JP2020021579A - 高分子電解質 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に電解質膜として使用した際に、パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂との親和性に優れる高分子電解質を提供する。【解決手段】芳香族炭化水素系の主鎖を有し、炭素数6以上のパーフルオロアルキル基および炭素数6以上のパーフルオロアルキルエーテル基から選択されるパーフルオロ基を側鎖に有する高分子電解質。【選択図】なし
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池や水電解装置、電気化学式水素圧縮装置等の電気化学装置を構成する高分子電解膜に主として使用される高分子電解質に関するものである。
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のプロトン伝導体からなる高分子電解質膜とが、膜電極複合体(以降、MEAと略称することがある。)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。具体的には、アノード電極においては、触媒層で燃料ガスが反応してプロトン及び電子を生じ、電子は電極を経て外部回路に送られ、プロトンは電極電解質を介して高分子電解質膜へと伝導する。一方、カソード電極では、触媒層で、酸化ガスと、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、外部回路から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。
水電解装置もまた、MEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されており、アノード電極においては、触媒層で水から電子が奪われと酸素、プロトンを生じ、プロトンは電極電解質を介して高分子電解質膜へと伝導する。一方、カソード電極では、触媒層で、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、電子とが反応して水素を生成する。
電気化学式水素圧縮装置は、電気化学的に水素を圧縮する水素圧縮機である。容積式圧縮機に比べ、エネルギー効率や静音性が高く、かつコンパクトであり、また水素精製も可能といった特長を有する。電気化学式水素圧縮装置においては、まず、アノードに供給された水素が電圧印加により酸化され、プロトンと電子を生成する。そして、プロトンが電解質膜中のイオン交換基を介してカソードに伝導するとともに、電子が電圧印加により外部回路を通ってアノードからカソードへ伝導する。さらに、プロトンと電子がカソードで結合して再び水素を生成することで、カソード側で水素を圧縮する。
従来、燃料電離、水電解装置または電気化学式水素圧縮装置(本明細書において、総称して「電気化学装置」という)の触媒層に使用される高分子電解質膜用の高分子電解質、および触媒層のバインダ樹脂としては、パーフルオロスルホン酸系ポリマー、中でもナフィオン(登録商標)(デュポン社製)が広く用いられてきた。しかし、ナフィオン(登録商標)は、多段階合成を経て製造されるため非常に高価であり、膨潤乾燥によって膜の機械強度や物理的耐久性が失われるという問題、軟化点が低く高温で使用できないという問題、さらには、使用後の廃棄処理の問題や材料のリサイクルが困難といった課題が指摘されてきた。
このような欠点を克服するために、高分子電解質膜としては、ナフィオン(登録商標)に替わり得る、安価で、機械強度に優れ、軟化点が高く高温での使用に耐える高分子電解質膜として使用される芳香族炭化水素系の膜の開発が進んでおり、実用化に耐え得る良好な性能が得られるようになってきている(特許文献1、2)。一方、バインダ樹脂としても芳香族炭化水素系の高分子電解質の開発を用いる試みがなされているが(特許文献3、非特許文献1)、依然として高プロトン伝導性と高ガス透過性とを両立には、その極性の低さからガス溶解度の高いパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロスルホン酸系ポリマーが有利であり、バインダ樹脂としてはパーフルオロスルホン酸系ポリマーが主流となっている。
Macro Lett., 2012, 1,969−972
しかし、芳香族炭化水素系高分子電解質とパーフルオロスルホン酸系ポリマーとはSP値が大きく異なるため、親和性が低い。そのため、芳香族炭化水素系高分子電解質膜と、バインダ樹脂としてパーフルオロスルホン酸系ポリマーを含有する触媒層とを接合しようとすると、十分な強度が得られにくいという課題があった。
本発明は、課題に鑑み、特に電解質膜として使用した際に、パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂との親和性に優れる高分子電解質を提供せんとするものである。
本発明では、主鎖骨格が芳香環を有する炭化水素骨格であっても、側鎖にパーフルオロスルホン酸系ポリマーとの親和性が高いパーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルキルエーテル基が導入することで、優れた物理的耐久性を維持しながら、パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂との親和性を高めることができることを見いだした。
すなわち、本発明は、芳香族炭化水素系の主鎖を有し、炭素数6以上のパーフルオロアルキル基および炭素数6以上のパーフルオロアルキルエーテル基から選択されるパーフルオロ基を側鎖に有する高分子電解質である。
本発明によれば、パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂との親和性に優れる芳香族炭化水素系高分子電解質を提供することができる。
以下本発明について詳細に説明する。
<高分子電解質>
本発明の高分子電解質は、芳香族炭化水素系の主鎖を有する高分子である。芳香族炭化水素系の主鎖を有する、とは、芳香環を有する炭化水素を主鎖構造としていることを意味する。芳香族炭化水素系の主鎖構造の具体例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンホキシド、ポリエーテルホスフィンホキシド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドスルホンから選択される構造が挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有している構造の総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含む。主鎖は、これらの構造のうち複数の構造を有していてもよい。これらのなかでも、特に主鎖が芳香族ポリエーテルケトン構造を含むことが最も好ましい。
本発明の高分子電解質は、芳香族炭化水素系の主鎖を有する高分子である。芳香族炭化水素系の主鎖を有する、とは、芳香環を有する炭化水素を主鎖構造としていることを意味する。芳香族炭化水素系の主鎖構造の具体例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンホキシド、ポリエーテルホスフィンホキシド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドスルホンから選択される構造が挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有している構造の総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含む。主鎖は、これらの構造のうち複数の構造を有していてもよい。これらのなかでも、特に主鎖が芳香族ポリエーテルケトン構造を含むことが最も好ましい。
高分子電解質は、プロトン伝導性を担保するためのイオン性基を有する。イオン性基は、プロトン交換能を有する負電荷を有する原子団が好ましい。このようなイオン性基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましい。中でも、高プロトン伝導度の点からスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基がより好ましく、原料コストの点からスルホン酸基を有することが最も好ましい。また、これらのイオン性基を2種類以上有してもよい。ここで、イオン性基には塩となっているものを含むものとする。塩を形成するカチオンとしては、任意の金属カチオン、NR4 +(Rは任意の有機基)等を例として挙げることができる。金属カチオンの場合、その価数等は特に限定されず、Li、Na、K、Rb、Mg、Ca、Sr、Ti、Al、Fe、Pt、Rh、Ru、Ir、Pd等のカチオンが用いることができるが、中でも、安価でかつ容易にプロトン置換可能なNa、K、Liが好ましい。
本発明の高分子電解質は、イオン性基を有するイオン性セグメントと、イオン性基を有しない非イオン性セグメントをそれぞれ1個以上有するブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」ということがある)であることが好ましい。セグメントとは、ブロック共重合体において各ブロックを構成する構造単位であって、1種類の繰り返し単位または複数種類の繰り返し単位の組み合わせからなり、分子量が2000以上のものを指す。
イオン性セグメントは、下記一般式(S1)で表される構成単位を有することが好ましい。
(一般式(S1)中、X1およびY1は、それぞれ直接結合、−CO−、−SO2−からなる群より選ばれた1種の構造を表す。Ar1〜Ar4は任意の2価のアリーレン基を表し、任意に置換されていても良いが、Ar1および/またはAr2は1つ以上のイオン性基を有し、Ar3およびAr4はイオン性基を有しても有しなくても良い。また、複数の構成単位がAr1〜Ar4として異なる2価のアリーレン基を有していてもよい。*は一般式(S1)で表される構成単位または他の構成単位との結合部位を表す。)
一般式(S1)中のAr1〜Ar4は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などの炭化水素系アリーレン基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイルなどのヘテロアリーレン基が挙げられ、好ましくはフェニレン基であり、最も好ましくはp−フェニレン基である。
一般式(S1)中のAr1〜Ar4は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などの炭化水素系アリーレン基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイルなどのヘテロアリーレン基が挙げられ、好ましくはフェニレン基であり、最も好ましくはp−フェニレン基である。
一般式(S1)中のX1は、好ましくは−CO−であり、Y1は好ましくは−CO−または直接結合である。
イオン性セグメント中の一般式(S1)で表される構成単位の含有量は多い方が好ましく、20重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上が最も好ましい。一般式(S1)で表される構成単位の含有量が20モル%未満である場合には、化学的安定性と低加湿条件下でのプロトン伝導性が低下する傾向がある。
非イオン性セグメントは、下記一般式(S2)で表される構成単位を有することがより好ましい。
(一般式(S2)中、X2およびY2は、それぞれ直接結合、−CO−、−SO2−からなる群より選ばれた1種の構造を表す。Ar5〜Ar8は任意の2価のアリーレン基を表し、任意に置換されていても良いが、イオン性基を有しない。また、複数の構成単位がAr5〜Ar8として異なる2価のアリーレン基を有していてもよい。*は一般式(S2)または他の構成単位との結合部位を表す。)
一般式(S2)中のX2、Y2は好ましくは−CO−である。
一般式(S2)中のX2、Y2は好ましくは−CO−である。
一般式(S2)中のAr5〜Ar8として好ましい2価のアリーレン基は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などの炭化水素系アリーレン基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイルなどのヘテロアリーレン基が挙げられる。
ブロック共重合体はさらに、イオン性セグメントと非イオン性セグメントを連結するリンカー部位を有していてもよい。リンカー部位とは、イオン性セグメントと非イオン性セグメントとの間を連結する部位であって、イオン性セグメントや非イオン性セグメント中の繰り返し構造とは異なる構造を有する部位である。リンカーの存在により、エーテル交換反応によるランダム化、セグメント切断、副反応を抑制しながら、両セグメントを連結することができる。また、後述するように、リンカー部位にパーフルオロ基を有する高分子電解質は、本発明の好ましい態様である。
リンカーとしては、セグメント切断なくブロック共重合することができるものであれば特に限定されるものではないが、その好適な具体例としては、オクタフルオロビフェニレン(−C6F4−C6F4−)、テトラフルオロフェニレン(−C6F4−)、および下記一般式(L1)〜(L7)のいずれかで表される構成単位が挙げられる。
(一般式(L1)中、X3は、それぞれ独立にH、NO2、CN、CF3、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(L2)中、Y3は、NO2、CN、CF3、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(L3)中、Zは、それぞれ独立にNO2、CN、CF3、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(L5)中、Rは任意の有機基、一般式(L6)中、Ar9は任意のアリーレン基、一般式(L7)中、Eは酸素または硫黄を表す。一般式(L1)〜(L7)は、電子吸引性基でさらに置換されていても良い。*はイオン性セグメントまたは非イオン性セグメントとの結合部位を表す。)
〔パーフルオロ基〕
本発明の高分子電解質は、炭素数6以上のパーフルオロアルキル基および炭素数6以上のパーフルオロアルキルエーテル基から選択される基(以下、総称して「パーフルオロ基」という)を側鎖に有する。パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂との親和性をより高めるためには、パーフルオロ基の炭素数は8以上であることがより好ましい。一方、パーフルオロ基の炭素数は30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。パーフルオロ基の炭素数を30以下とすることにより、優れたプロトン伝導性と物理的耐久性を維持することが出来る。
〔パーフルオロ基〕
本発明の高分子電解質は、炭素数6以上のパーフルオロアルキル基および炭素数6以上のパーフルオロアルキルエーテル基から選択される基(以下、総称して「パーフルオロ基」という)を側鎖に有する。パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂との親和性をより高めるためには、パーフルオロ基の炭素数は8以上であることがより好ましい。一方、パーフルオロ基の炭素数は30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。パーフルオロ基の炭素数を30以下とすることにより、優れたプロトン伝導性と物理的耐久性を維持することが出来る。
パーフルオロ基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。
パーフルオロ基は、イオン性基で修飾されていてもよい。イオン性基の例としてはスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、アミノ基等があげられる。
パーフルオロアルキル基としては、特に下記一般式(N−1)で表される基が好ましい。
(式(N−1)中、A1、B1およびD1は、それぞれ直接結合、−O−又は−S−を表し、Y4、Y5はH、F、Cl、Br、又はIを表し、n1は0〜5の整数を表す。n1個のY4、Y5は同一であっても異なっていてもよい。Y6、Y7はF、Cl、Br、I又はパーフルオロアルキル基を表し、m1+p1は3以上の整数を表す。m1個のY6およびp1個のY7は同一であっても異なっていてもよい。E1は、F、−SO3H又は−COOHを表す。*は主鎖との結合部位を意味する。)
パーフルオロアルキルエーテル基としては、特に下記一般式(N−2)で表される基が好ましい。
パーフルオロアルキルエーテル基としては、特に下記一般式(N−2)で表される基が好ましい。
(式(N−2)中、A2、B2およびD2は、それぞれ直接結合、−O−、又は−S−を表し、Y8、Y9はH、F、Cl、Br又はIを表し、n2は0〜5の整数を表す。n2個のY8、Y9は同一であっても異なっていてもよい。Y10はF、Cl、Br、I又はパーフルオロアルキル基を表し、m2は1〜3の整数を表す。m2個のY10は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y11は、F、Cl、Br、I又はパーフルオロアルキル基を表す。p2は、m2が1の場合には4以上の整数を表し、m2が2の場合には2以上の整数を表しm2が3の場合には1以上の整数を表す。p2が2以上の整数であるときは、p2個のY11は同一でもあっても異なっていてもよい。E2は、F、−SO3H又は−COOHを表す。*は主鎖との結合部位を意味する。)
上記一般式(N−1)で表される基の好ましい例としては、具体的には、下記式(N−1−1)〜(N−1−21)で表される構造が挙げられる。(N−1−1)〜(N−1−21)において*は主鎖との結合部位を意味する。
上記一般式(N−1)で表される基の好ましい例としては、具体的には、下記式(N−1−1)〜(N−1−21)で表される構造が挙げられる。(N−1−1)〜(N−1−21)において*は主鎖との結合部位を意味する。
バインダ樹脂との親和性の面からは、パーフルオロアルキル鎖のより長い、上記式(N−1−3)、(N−1−6)、(N−1−9)、(N−1−11)、(N−1−13)、(N−1−15)、(N−1−17)、(N−1−19)、または(N−1−21)で表される基がより好ましく、原料入手の面からは、上記式(N−1−6)、(N−1−12)、または(N−1−13)で表される基がより好ましく、高分子電解質の安定性の観点からは、超強酸であるパーフルオロスルホン酸を有さない(N−1−1)、(N−1−2)、(N−1−3)、(N−1−4)、(N−1−5)、(N−1−6)、(N−1−7)、(N−1−8)、(N−1−9)、(N−1−16)、(N−1−17)、(N−1−18)、(N−1−19)、(N−1−20)、(N−1−21)がより好ましい。
上記一般式(N−2)で表される構造単位の好ましい例としては、具体的には、下記式(N−2−1)〜(N−2−24)で表される構造が挙げられる。(N−2−1)〜(N−2−24)において*は主鎖との結合部位を意味する。
バインダ樹脂との親和性の面からは、パーフルオロアルキル鎖のより長い、上記式(N−2−1)、(N−2−3)、(N−2−5)、(N−2−7)、(N−2−9)、(N−2−11)、(N−2−13)、(N−2−15)、(N−2−17)、(N−2−18)、(N−2−19)、(N−2−20)または(N−2−21)で表される構造がより好ましく、原料入手の面からは、上記式(N−2−1)、(N−2−3)、(N−2−5)、(N−2−13)、(N−2−14)、(N−2−15)、(N−2−16)、(N−2−17)または(N−2−18)で表される構造がより好ましい。
本発明における高分子電解質中のパーフルオロ基の総量は、分子全体の30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。総量を30重量%以下とすることにより、優れたプロトン伝導性と物理的耐久性を維持することが出来る。一方、高分子電解質中のパーフルオロ基の総量は、分子全体の0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましい。総量を0.5重量%以上とすることにより、バインダ樹脂との親和が向上する。
〔高分子電解質の製造方法〕
本発明の高分子電解質は、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法、あるいはモノマーを重合後に高分子反応でイオン性基を導入する方法により合成することができるが、得られる電解質ポリマーの化学的安定性が向上する点やイオン性基の量の精密制御が可能な点から、イオン性基を有するモノマーを重合させる方法を用いることが好ましい。かかる方法は例えば、ジャーナル オブ メンブレン サイエンス(Journal of Membrane Science),197,2002,p.231−242に記載がある。
本発明の高分子電解質は、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法、あるいはモノマーを重合後に高分子反応でイオン性基を導入する方法により合成することができるが、得られる電解質ポリマーの化学的安定性が向上する点やイオン性基の量の精密制御が可能な点から、イオン性基を有するモノマーを重合させる方法を用いることが好ましい。かかる方法は例えば、ジャーナル オブ メンブレン サイエンス(Journal of Membrane Science),197,2002,p.231−242に記載がある。
本発明の高分子電解質は、芳香族活性ジハライド化合物と2価フェノール化合物の芳香族求核置換反応やハロゲン化芳香族フェノール化合物の芳香族求核置換反応を利用して合成することができる。
本発明の高分子電解質の合成に用いる芳香族活性ジハライド化合物として、芳香族活性ジハライド化合物にイオン酸基を導入した化合物をモノマーとして用いることは、化学的安定性、製造コスト、イオン性基の量を精密制御が可能な点から好ましい。イオン性基としてスルホン酸基を有するモノマーの好適な具体例としては、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、等を挙げることができる。なかでも化学的安定性と物理的耐久性の点から、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンがより好ましく、重合活性の点から3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。
また、ハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物としても特に制限されることはないが、4−ヒドロキシ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロジフェニルスルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)ケトン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)ケトン、等を例として挙げることができる。これらは、単独で使用することができるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。さらに、活性化ジハロゲン化芳香族化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物の反応においてこれらのハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物を共に反応させて高分子電解質を合成しても良い。
本発明の高分子電解質において、パーフルオロ基を導入する方法としては、たとえば(I)パーフルオロ基を有するモノマーを用いて重合する方法、(II)反応性基を有する高分子電解質を合成した後、高分子反応によって当該反応性基にパーフルオロ基を導入する方法、上記の(I)と(II)を組み合わせる方法などを挙げることが出来るが、材料入手の容易さならびに、反応制御の容易さの面から(II)の方法が好ましい。
(II)の方法において、反応性基としては、ヒドロキシル基、クロロメチル基、カルボキシ基、アルキニル基、アルケニル基、フッ素化アリール基などを挙げることが出来るが、反応性基の安定性の観点から、カルボキシ基もしくはフッ素化アリール基が好ましく、チオールやアルコールといった官能基を末端に有するパーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルキルエーテル基と反応させる事で容易にパーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルキルエーテル基を導入することが可能なため、フッ素化アリール基がより好ましい。
特に、ブロック共重合体の場合、オクタフルオロビフェニレン(−C6F4−C6F4−)やテトラフルオロフェニレン(−C6F4−)等のフッ化アリール化合物をリンカー化合物としてブロック共重合体を合成し、当該リンカー化合物により形成されたリンカー部位を反応性基としてパーフルオロ基を導入することが好ましい態様である。
本発明の高分子電解質のイオン交換容量(IEC)は、プロトン伝導性と耐水性のバランスの点から、0.1meq/g以上5meq/g以下が好ましく、より好ましくは1.5meq/g以上、さらに好ましくは1.8meq/g以上、最も好ましくは2.1meq/g以上である。また、本発明の高分子電解質のイオン交換容量は3.5meq/g以下がより好ましく、さらに好ましくは2.9meq/g以下、一層好ましくは2.6meq/g以下、最も好ましくは2.3meq/g以下である。イオン交換容量が0.1meq/gより小さい場合には、プロトン伝導性が不足する場合があり、5meq/gより大きい場合には、耐水性が不足する場合がある。
ここで、イオン交換容量とは、高分子電解質、または高分子電解質膜の単位乾燥重量当たりに交換可能なイオン性基のモル量であり、この値が大きいほどイオン性基の密度が高いことを示す。イオン交換容量は、元素分析、中和滴定法等により測定が可能である。イオン性基としてスルホン酸を含む場合には、元素分析法を用い、S/C比から算出することもできるが、スルホン酸基以外の硫黄源を含む場合などは測定することが難しい。従って、本発明においては、イオン交換容量は、中和滴定法により求めた値であり、具体的には後述する実施例(4)に記載の方法による測定値を指すものとする。
本発明の高分子電解質がブロック共重合体である場合には、イオン性セグメントのイオン交換容量は、低加湿条件下でのプロトン伝導性の点から高いことが好ましく、好ましくは2.5meq/g以上、さらに好ましくは、3meq/g以上、最も好ましくは3.5meq/g以上である。また、6.5meq/g以下が好ましく、5meq/g以下がより好ましく、4.5meq/g以下がさらに好ましい。イオン性セグメントのイオン交換容量が2.5meq/g未満の場合には、低加湿条件下でのプロトン伝導性が不足する場合があり、6.5meq/gを越える場合には、耐熱水性や物理的耐久性が不足する場合がある。
また、本発明の高分子電解質がブロック共重合体である場合には、非イオン性セグメントのイオン交換容量は、耐熱水性、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性の点から、低いことが好ましく、好ましくは1meq/g以下、より好ましくは0.5meq/g以下、さらに好ましくは0.1meq/g以下である。非イオン性セグメントのイオン交換容量が1meq/gを越える場合には、耐熱水性、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性が不足する場合がある。
なお、本発明の高分子電解質がブロック共重合体である場合には、非イオン性セグメントに対するイオン性セグメントのモル組成比が0.2以上であることがより好ましく、0.33以上がさらに好ましく、0.5以上が最も好ましい。また、当該モル組成比は5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、2以下が最も好ましい。当該モル組成比が0.2未満あるいは5を越える場合には低加湿条件下でのプロトン伝導性が不足する場合や、耐熱水性や物理的耐久性が不足する場合がある。
本発明の高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましい。また、本発明の高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、100万以下であることが好ましく、60万以下であることがより好ましい。10万未満では、機械強度、物理的耐久性、耐溶剤性のいずれかが不十分な場合がある。一方、良好な溶解性ならびに、加工性良好な粘度範囲での塗液化の観点から100万以下であることが好ましい。
また、本発明の高分子電解質の重量平均分子量/数平均分子量は4.0以下であることが好ましい。4.0を超えると、低分子量体の割合が高まり、機械強度、物理的耐久性、耐溶剤性のいずれかが不十分となる場合がある。
本発明の高分子電解質の化学構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm−1、1,160〜1,190cm−1のS=O吸収、1,130〜1,250cm−1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm−1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、イオン性基の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、例えば6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。また、溶液13C−NMRや固体13C−NMRによって、イオン性基の付く位置や並び方を確認することができる。
[高分子電解質膜]
本発明の高分子電解質を膜状に成型することで高分子電解質膜が得られる。高分子電解質膜は、本発明の高分子電解質のみから製膜してもよいし、パーフルオロ基を有さない高分子電解質と混合して製膜してもよい。成型方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法あるいは溶融状態より製膜する方法が可能である。前者では、たとえば、該高分子電解質をN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が例示できる。
本発明の高分子電解質を膜状に成型することで高分子電解質膜が得られる。高分子電解質膜は、本発明の高分子電解質のみから製膜してもよいし、パーフルオロ基を有さない高分子電解質と混合して製膜してもよい。成型方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法あるいは溶融状態より製膜する方法が可能である。前者では、たとえば、該高分子電解質をN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が例示できる。
高分子電解質膜には、通常の高分子化合物に使用される結晶化核剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤あるいは離型剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない範囲内で含有させることができる。また、機械的強度、熱安定性、加工性などの向上を目的に、高分子電解質以外の各種ポリマー、エラストマー、フィラー、微粒子、各種添加剤などを含有させてもよく、微多孔膜、不織布、メッシュ等で補強しても良い。
本発明の高分子電解質は、パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルキルエーテル基を有することにより、パーフルオロスルホン酸系ポリマーとの親和性を向上させる事ができるが、パーフルオロスルホン酸系ポリマーとの親和性向上の指標としては本発明の高分子電解質を製膜して得られる高分子電解質膜の水に対する接触角が挙げられる。本発明の高分子電解質膜の水に対する接触角は85°以上であることが好ましく、90°以上であることがより好ましく、100°以上であることがさらに好ましい。なお、水に対する接触角は、後述する実施例(3)の方法で測定するものとする。
[触媒層付電解質膜・膜電極接合体]
高分子電解質膜の表面に触媒層を積層させたものは触媒層付電解質膜(Catalyst Coated Membrane;CCM)と称される。CCMの製造方法としては、高分子電解質膜表面に、触媒層を形成するための触媒層ペースト組成物を塗布及び乾燥させるという塗布方式や、触媒層を転写することにより、触媒層を電解質膜上に積層させる方法(転写法)が挙げられる。触媒層は、高分子電解質膜の両面に積層されていても片面のみに積層されていてもよい。
高分子電解質膜の表面に触媒層を積層させたものは触媒層付電解質膜(Catalyst Coated Membrane;CCM)と称される。CCMの製造方法としては、高分子電解質膜表面に、触媒層を形成するための触媒層ペースト組成物を塗布及び乾燥させるという塗布方式や、触媒層を転写することにより、触媒層を電解質膜上に積層させる方法(転写法)が挙げられる。触媒層は、高分子電解質膜の両面に積層されていても片面のみに積層されていてもよい。
また、電解質膜の両面に触媒層及びガス拡散基材を順次積層させたものは、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly;MEA)と称されている。MEAの作成法としては公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, p.269.記載の化学メッキ法、電気化学協会編(J. Electrochem. Soc.)、エレクトロケミカル サイエンス アンド テクノロジー (Electrochemical Science and Technology),1988, 135, 9, p.2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
前述の通り、CCMまたはMEAの触媒層に含まれるバインダ樹脂がパーフルオロスルホン酸系ポリマーである場合、本発明の効果が顕著に発揮される。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、各物性の測定条件は次の通りである。
なお、各物性の測定条件は次の通りである。
(1)核磁気共鳴スペクトル(NMR)
下記の測定条件で、1H−NMRの測定を行い、構造確認、およびイオン性セグメントと非イオン性セグメントのモル組成比の定量を行った。該モル組成比は、8.2ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン由来)と6.5〜8.0ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを除く全芳香族プロトン由来)に認められるピークの積分値から算出した。
下記の測定条件で、1H−NMRの測定を行い、構造確認、およびイオン性セグメントと非イオン性セグメントのモル組成比の定量を行った。該モル組成比は、8.2ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン由来)と6.5〜8.0ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを除く全芳香族プロトン由来)に認められるピークの積分値から算出した。
装置 :日本電子社製EX−270
共鳴周波数 :270MHz(1H−NMR)
測定温度 :室温
溶解溶媒 :DMSO−d6
内部基準物質:TMS(0ppm)
積算回数 :16回
(2)数平均分子量、重量平均分子量
ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、サンプル濃度0.1wt%、流量0.2mL/minの条件で測定した。
共鳴周波数 :270MHz(1H−NMR)
測定温度 :室温
溶解溶媒 :DMSO−d6
内部基準物質:TMS(0ppm)
積算回数 :16回
(2)数平均分子量、重量平均分子量
ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、サンプル濃度0.1wt%、流量0.2mL/minの条件で測定した。
(3)水の接触角
水の液滴を高分子電解質膜に接触させ、以下の条件に従い、接触から2000mS後における接触角の観察を実施した。
装置:自動接触角計(DM−500)
システム:界面測定/解析統合システムFAMAS ソフトウェアバージョン2.30
測定方法:液滴法
注射針:先端90°カット、22G
液量設定:120ms、3000mV
(4)イオン交換容量(IEC)
プロトン置換し、純水で十分に洗浄した電解質膜の膜表面の水分を拭き取った後、100℃にて12時間以上真空乾燥し、乾燥重量を求めた。次に、電解質に5重量%硫酸ナトリウム水溶液を50mL加え、12時間静置してイオン交換した。続いて、0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生じた硫酸を滴定した。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液0.1w/v%を加え、薄い赤紫色になった点を終点とした。最終的に、下記の式によりイオン交換容量を算出した。
水の液滴を高分子電解質膜に接触させ、以下の条件に従い、接触から2000mS後における接触角の観察を実施した。
装置:自動接触角計(DM−500)
システム:界面測定/解析統合システムFAMAS ソフトウェアバージョン2.30
測定方法:液滴法
注射針:先端90°カット、22G
液量設定:120ms、3000mV
(4)イオン交換容量(IEC)
プロトン置換し、純水で十分に洗浄した電解質膜の膜表面の水分を拭き取った後、100℃にて12時間以上真空乾燥し、乾燥重量を求めた。次に、電解質に5重量%硫酸ナトリウム水溶液を50mL加え、12時間静置してイオン交換した。続いて、0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生じた硫酸を滴定した。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液0.1w/v%を加え、薄い赤紫色になった点を終点とした。最終的に、下記の式によりイオン交換容量を算出した。
イオン交換容量(meq/g)=〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/mL)×滴下量(mL)〕/試料の乾燥重量(g)
[実施例1:PEK系ブロックコポリマー]
〔下記一般式(G1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン(K−DHBP)の合成〕
[実施例1:PEK系ブロックコポリマー]
〔下記一般式(G1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン(K−DHBP)の合成〕
攪拌器、温度計及び留出管を備えた500mLフラスコに、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9g及びp−トルエンスルホン酸一水和物0.50gを仕込み溶解する。その後78〜82℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温、ギ酸メチル、メタノール、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した。この反応液を室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液100mLで洗浄し分液後、溶媒を留去した。残留物にジクロロメタン80mLを加え結晶を析出させ、濾過し、乾燥して2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを得た。この結晶をGC分析したところ99.8%の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランと0.2%の4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンであった。
〔下記一般式(G2)で表されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成〕
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1g(アルドリッチ試薬)を発煙硫酸(50%SO3)150mL(和光純薬試薬)中、100℃で10時間反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、上記一般式(G2)で示されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。構造は1H−NMRで確認した。不純物はキャピラリー電気泳動(有機物)およびイオンクロマトグラフィー(無機物)で定量分析を行った。
〔下記一般式(G3)で表されるイオン性基を有しないオリゴマーa1の合成〕
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム16.59g(アルドリッチ試薬、120mmol)、K−DHBP 25.8g(100mmol)および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン21.4g(アルドリッチ試薬、98mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中で160℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のメタノールで再沈殿することで精製を行い、イオン性基を有しないオリゴマーa1(末端OM基)を得た。尚、MはNaまたはKを表し、これ以降の表記もこれに倣う。数平均分子量は20000であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム1.1g(アルドリッチ試薬、8mmol)、イオン性基を有しない前記オリゴマーa1(末端OM基)を40.0g(2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中で100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、デカフルオロビフェニル4.0g(アルドリッチ試薬、12mmol)を入れ、105℃で1時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、一般式(G3)で示されるイオン性基を有しないオリゴマーa1’(末端フルオロ基)を得た。数平均分子量は21000であり、イオン性基を有しないオリゴマーa1’の数平均分子量は、リンカー部位(分子量630)を差し引いた値20400と求められた。
〔下記一般式(G4)で表されるイオン性基を有するオリゴマーa2の合成〕
(式(G4)において、Mは、NaまたはKを表す。またnは、正の整数を表す。)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム27.6g(アルドリッチ試薬、200mmol)、K−DHBP 25.8g(100mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン 41.4g(98mmol)、および18−クラウン−6エーテル17.9g(和光純薬、82mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中で170℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、上記式(G4)で示されるイオン性基を有するオリゴマーa2(末端ОM基)を得た。数平均分子量は33000であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム27.6g(アルドリッチ試薬、200mmol)、K−DHBP 25.8g(100mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン 41.4g(98mmol)、および18−クラウン−6エーテル17.9g(和光純薬、82mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中で170℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、上記式(G4)で示されるイオン性基を有するオリゴマーa2(末端ОM基)を得た。数平均分子量は33000であった。
〔イオン性セグメントとしてオリゴマーa2、非イオン性セグメントとしてオリゴマーa1、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレン、側鎖としてリンカー部位に導入された下記式(Si1)で示される1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオ基を有するブロックコポリマーa3の合成〕
(式(Si1)中、*は主鎖との結合部位を意味する)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を有するオリゴマーa2(末端ОM基)を36gを入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中で100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、イオン性基を有しないオリゴマーa1(末端フルオロ基)9.0gを入れ、105℃で24時間重合反応を行った後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを1.6g(3.3mmol)入れ、60℃で8時間反応を行った。得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーである高分子電解質を得た。重量平均分子量は36万であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を有するオリゴマーa2(末端ОM基)を36gを入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中で100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、イオン性基を有しないオリゴマーa1(末端フルオロ基)9.0gを入れ、105℃で24時間重合反応を行った後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを1.6g(3.3mmol)入れ、60℃で8時間反応を行った。得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーである高分子電解質を得た。重量平均分子量は36万であった。
得られた高分子電解質を溶解させた25重量%NMP溶液をガラス繊維フィルターを用いて加圧ろ過後、ガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥後、窒素下150℃で10分間熱処理し、ポリケタールケトン膜を得た。25℃で10重量%硫酸水溶液に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
[実施例2:PEK系ランダムポリマー]
〔下記一般式(G5)で表される末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb1の合成〕
〔下記一般式(G5)で表される末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb1の合成〕
(式(G5)において、Mは、NaまたはKを表す。またnは、正の整数を表す。)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム69.1g(アルドリッチ試薬、500mmol)、K−DHBP 82.7g(320mmol)、4,4’−ビスフェノール14.90g(80.0mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン64.5g(152.8mmol)、および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン50.0g(アルドリッチ試薬、229.2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)360mL、トルエン70mL中で150℃で脱水後、昇温してトルエン除去、170℃で3時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、上記式(G5)で示される、末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb1(末端ОM基)を得た。数平均分子量は34000であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム69.1g(アルドリッチ試薬、500mmol)、K−DHBP 82.7g(320mmol)、4,4’−ビスフェノール14.90g(80.0mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン64.5g(152.8mmol)、および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン50.0g(アルドリッチ試薬、229.2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)360mL、トルエン70mL中で150℃で脱水後、昇温してトルエン除去、170℃で3時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、上記式(G5)で示される、末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb1(末端ОM基)を得た。数平均分子量は34000であった。
〔下記一般式(G6)で表される、末端にリンカー構造を有するオリゴマーb2の合成〕
(式(G6)において、Mは、NaまたはKを表す。またnは、正の整数を表す。)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム69.1g(アルドリッチ試薬、500mmol)、K−DHBP 82.7g(320mmol)、4,4’−ビスフェノール14.90g(14.9mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン64.5g(152.8mmol)、および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン50.0g(アルドリッチ試薬、229.2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)360mL、トルエン70mL中で150℃で脱水後、昇温してトルエン除去、170℃で3時間重合を行った。室温に冷却後、デカフルオロビフェニル105.6g(アルドリッチ試薬、316mmol)を加え、室温で1時間撹拌後、105℃で9時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、一般式(G6)で示される末端にリンカー構造を有するオリゴマーb2を得た。数平均分子量は36000であり、イオン性基を有しないオリゴマーb2の数平均分子量は、リンカー部位(分子量630)を差し引いた値35400と求められた。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム69.1g(アルドリッチ試薬、500mmol)、K−DHBP 82.7g(320mmol)、4,4’−ビスフェノール14.90g(14.9mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン64.5g(152.8mmol)、および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン50.0g(アルドリッチ試薬、229.2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)360mL、トルエン70mL中で150℃で脱水後、昇温してトルエン除去、170℃で3時間重合を行った。室温に冷却後、デカフルオロビフェニル105.6g(アルドリッチ試薬、316mmol)を加え、室温で1時間撹拌後、105℃で9時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、一般式(G6)で示される末端にリンカー構造を有するオリゴマーb2を得た。数平均分子量は36000であり、イオン性基を有しないオリゴマーb2の数平均分子量は、リンカー部位(分子量630)を差し引いた値35400と求められた。
〔リンカー構造を有しないオリゴマーb1、リンカー構造を有するオリゴマーb2からなり、側鎖として1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオ基を有するポリマーb3の合成〕
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb1を33g(1mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中で100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb2を33g(1mmol)を入れ、105℃で24時間重合反応を行った後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを2.1g(4.4mmol)入れ、60℃で8時間反応を行った。得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ランダムコポリマーである高分子電解質を得た。重量平均分子量は47万であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb1を33g(1mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中で100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、末端にリンカー構造を有さないオリゴマーb2を33g(1mmol)を入れ、105℃で24時間重合反応を行った後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを2.1g(4.4mmol)入れ、60℃で8時間反応を行った。得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ランダムコポリマーである高分子電解質を得た。重量平均分子量は47万であった。
得られた高分子電解質を用い、実施例1と同様にして高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
[実施例3:PES系ブロックコポリマー]
(下記式(G7)で表されるイオン性基を有しないオリゴマーc1の合成)
(下記式(G7)で表されるイオン性基を有しないオリゴマーc1の合成)
2,6−ジクロロベンゾニトリル49.97g(DCBN、アルドリッチ試薬)、4,4’−ビフェノール54.99g(アルドリッチ試薬)、炭酸カリウム46.94g(アルドリッチ試薬)、N−メチル−2−ピロリドン750mL、トルエン150mLを、窒素導入管、撹拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で撹拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行った後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、15時間加熱した。窒素導入管、撹拌翼、冷却還流管、温度計を取り付けた別の1000mL枝付きフラスコに、NMP200mLとデカフルオロビフェニル4.85g(和光純薬試薬)を入れ、窒素気流下、攪拌しながら、オイルバス中で110℃に加熱した。そこに、DCBNとBPの反応溶液を、滴下漏斗を用いて2時間かけて撹拌しながら投入し、投入完了後、さらに2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mLの純水に注ぎオリゴマーを固化させた。水洗したオリゴマーを濾別して減圧乾燥させた後、3000mLのアセトンで2回洗浄し、過剰のデカフルオロビフェニルを除去した。再びオリゴマーを濾別して減圧乾燥することで、イオン性基を有しないオリゴマーc1を得た。数平均分子量は13880であった。
(下記式(G8)で表されるイオン性基を有するオリゴマーc2の合成)
4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ナトリウム250.0g(SDCDPS、アルドリッチ試薬)、BP97.04g(アルドリッチ試薬)、炭酸ナトリウム66.23g(アルドリッチ試薬)、NMP650mL、トルエン150mLを、窒素導入管、撹拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で撹拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行った後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、16時間加熱した。続いて、NMP500mLを投入し、撹拌しながら室温まで冷却した。得られた溶液をガラスフィルターで吸引濾過し、黄色の透明な溶液を得た。得られた溶液を3Lのアセトンに滴下してオリゴマーを固化させた。オリゴマーはさらにアセトンで3回洗浄した後、濾別して減圧乾燥することで、イオン性基を有するオリゴマーc2を得た。数平均分子量は25560であった。
(イオン性基を有するセグメントとしてオリゴマーc2、イオン性基を有しないセグメントとしてオリゴマーc1、リンカー部位としてデカフルオロビフェニル、側鎖として1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオ基を有するブロックコポリマーc3の合成)
上記のイオン性基を有するオリゴマーa4を225.0g、イオン性基を有しないオリゴマーa3を123.0g、炭酸ナトリウム1.4g(アルドリッチ試薬)、NMP2000mLを、窒素導入管、撹拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた5000mL枝付きフラスコに入れ、窒素気流下50℃のオイルバス中で撹拌し溶解させ、次いで110℃まで加熱し、10時間反応を行った後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを19.5g(40.6mmol)入れ、60℃で8時間反応を行った。得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーを得た。重量平均分子量は35万であった。
上記のイオン性基を有するオリゴマーa4を225.0g、イオン性基を有しないオリゴマーa3を123.0g、炭酸ナトリウム1.4g(アルドリッチ試薬)、NMP2000mLを、窒素導入管、撹拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた5000mL枝付きフラスコに入れ、窒素気流下50℃のオイルバス中で撹拌し溶解させ、次いで110℃まで加熱し、10時間反応を行った後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを19.5g(40.6mmol)入れ、60℃で8時間反応を行った。得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーを得た。重量平均分子量は35万であった。
得られた高分子電解質を用い、実施例1と同様にして高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
[実施例4:PEK系ブロックコポリマー]
1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの添加量を0.1g(0.2mmol)とした以外は、実施例1と同様にして、高分子電解質および高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの添加量を0.1g(0.2mmol)とした以外は、実施例1と同様にして、高分子電解質および高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
[比較例1]
〔イオン性セグメントとしてオリゴマーa2、非イオン性セグメントとしてオリゴマーa1、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを有するブロックコポリマーa’3の合成〕
パーフルオロアルキル基を導入する為の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの追加を行わない以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーa’3を得た、重量平均分子量は40万であった。
〔イオン性セグメントとしてオリゴマーa2、非イオン性セグメントとしてオリゴマーa1、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを有するブロックコポリマーa’3の合成〕
パーフルオロアルキル基を導入する為の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの追加を行わない以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーa’3を得た、重量平均分子量は40万であった。
得られたブロックコポリマーを実施例1と同様にして製膜処理し、スルホン酸基を有するポリエーテルエーテルケトン(s−PEEKb)からなる高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
[比較例2]
〔リンカー構造を有しないオリゴマーb1、リンカー構造を有するオリゴマーb2からなるポリマーb’3の合成〕
パーフルオロアルキル基を導入する為の、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの追加を行わない以外は実施例2と同様にしてブロックコポリマーb’3を得た、重量平均分子量は45万であった。
〔リンカー構造を有しないオリゴマーb1、リンカー構造を有するオリゴマーb2からなるポリマーb’3の合成〕
パーフルオロアルキル基を導入する為の、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの追加を行わない以外は実施例2と同様にしてブロックコポリマーb’3を得た、重量平均分子量は45万であった。
得られたブロックコポリマーを実施例2と同様にして製膜処理し、スルホン酸基を有するポリエーテルエーテルケトン(s−PEEKr)からなる高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
[比較例3]
(イオン性基を有するセグメントとしてオリゴマーc2、イオン性基を有しないセグメントとしてオリゴマーc1、リンカー部位としてデカフルオロビフェニルを有するブロックコポリマーc’3の合成)
パーフルオロアルキル基を導入する為の、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの追加を行わない以外は実施例3と同様にしてブロックコポリマーb’3を得た、重量平均分子量は33万であった。
(イオン性基を有するセグメントとしてオリゴマーc2、イオン性基を有しないセグメントとしてオリゴマーc1、リンカー部位としてデカフルオロビフェニルを有するブロックコポリマーc’3の合成)
パーフルオロアルキル基を導入する為の、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールの追加を行わない以外は実施例3と同様にしてブロックコポリマーb’3を得た、重量平均分子量は33万であった。
得られたブロックコポリマーを実施例2と同様にして製膜処理し、スルホン酸基を有するポリエーテルスルホン(s−PESb)からなる高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
[比較例4]
〔下記一般式(G9)で表されるイオン性基を有するオリゴマーd2の合成〕
〔下記一般式(G9)で表されるイオン性基を有するオリゴマーd2の合成〕
(式(G9)において、Mは、NaまたはKを表す。またnは、正の整数を表す。)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム27.6g(アルドリッチ試薬、200mmol)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル5.59g(30mmol)、ビスフェノールAF10.09g(30mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン 25.0g(59mmol)、および18−クラウン−6エーテル15.8g(和光純薬、60mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)89mL、トルエン17mL中で155℃で脱水後、昇温してトルエン除去、170℃で1時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、上記式(G9)で示されるイオン性基を有するオリゴマーd2(末端ОM基)を得た。数平均分子量は36000であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム27.6g(アルドリッチ試薬、200mmol)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル5.59g(30mmol)、ビスフェノールAF10.09g(30mmol)、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン 25.0g(59mmol)、および18−クラウン−6エーテル15.8g(和光純薬、60mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)89mL、トルエン17mL中で155℃で脱水後、昇温してトルエン除去、170℃で1時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、上記式(G9)で示されるイオン性基を有するオリゴマーd2(末端ОM基)を得た。数平均分子量は36000であった。
〔イオン性セグメントとしてオリゴマーd2、非イオン性セグメントとしてオリゴマーa1、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを有するブロックコポリマーd’3の合成〕
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.21g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を有するオリゴマーa2(末端ОM基)を12g(0.3mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中で100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、イオン性基を有しないオリゴマーa1(末端フルオロ基)3g(0.05mmol)を入れ、105℃で24時間重合反応を行った後、得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーを得た。重量平均分子量は40万であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.21g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を有するオリゴマーa2(末端ОM基)を12g(0.3mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中で100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、イオン性基を有しないオリゴマーa1(末端フルオロ基)3g(0.05mmol)を入れ、105℃で24時間重合反応を行った後、得られた重合液を多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーを得た。重量平均分子量は40万であった。
得られた高分子電解質を用い、実施例1と同様にして高分子電解質膜(膜厚50μm)を得た。
各実施例、比較例で作製した高分子電解質の構成と、それから作製した高分子電解質膜の評価結果を表1に示す。
Claims (15)
- 芳香族炭化水素系の主鎖を有し、
炭素数6以上のパーフルオロアルキル基および炭素数6以上のパーフルオロアルキルエーテル基から選択されるパーフルオロ基を側鎖に有する高分子電解質。 - 前記パーフルオロ基の総量が全体の0.5重量%以上30重量%以下である、請求項1に記載の高分子電解質。
- 前記パーフルオロ基として下記一般式(N−2)で表されるパーフルオロアルキルエーテル基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質。
- 前記パーフルオロ基の炭素数が8以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質。
- 前記芳香族炭化水素系の主鎖が芳香族ポリエーテルケトン構造を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質。
- イオン性基を有するイオン性セグメントと、イオン性基を有しない非イオン性セグメントとを有するブロック共重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質。
- 前記イオン性セグメントが下記一般式(S1)で表されるセグメントであり、前記非イオン性セグメントが下記一般式(S2)で表されるセグメントである、請求項7に記載の高分子電解質。
- 前記イオン性セグメントと前記非イオン性セグメントを連結するリンカー部位を有し、該リンカー部位に前記パーフルオロ基を有する、請求項7または8に記載の高分子電解質。
- 前記リンカー部位が、フッ化アリール化合物により形成される、請求項9に記載の高分子電解質。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の高分子電解質を含む高分子電解質膜。
- 膜面の水の接触角が85°以上である、請求項11に記載の高分子電解質膜。
- 請求項11または12に記載の高分子電解質膜の表面に、パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂を含む触媒層が積層されてなる触媒層付電解質膜。
- 請求項11または12に記載の高分子電解質膜と、パーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるバインダ樹脂を含有する触媒層を有する膜電極接合体。
- 請求項14に記載の膜電極接合体を含む電気化学装置。
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WO2022202123A1 (ja) * | 2021-03-23 | 2022-09-29 | 東レ株式会社 | ブロック共重合体およびその製造方法、高分子電解質材料、高分子電解質成型体、高分子電解質膜、触媒層付電解質膜、膜電極複合体、固体高分子型燃料電池ならびに水電解式水素発生装置 |
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2018
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