JP4208455B2 - スルホン化フッ素含有重合体、それを含有する樹脂組成物および高分子電解質膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スルホン化フッ素含有重合体に関する。さらに詳しくは、本発明は、燃料電池における高分子電解質膜の素材として有用なスルホン化フッ素含有重合体に関する。
【0002】
また、本発明は、前記のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、該樹脂組成物を含有する高分子電解質膜に関する。
【0003】
【従来の技術】
現在、火力発電に代替する地球環境に優しい発電システムの候補として、燃料電池が注目を集めている。燃料電池は、“電池”という名前がついているものの、いわゆる電気を蓄えて使用するタイプの乾電池や蓄電池のようなものではない。電気を通して水を加水分解すると、水素と酸素が発生するが、この逆の原理を利用したものが燃料電池である。すなわち、燃料電池とは、触媒などを介した水素と酸素の電気化学反応により、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する、新しい発電システムのことをいう。
【0004】
ここで、燃料電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電システムであるため、カルノーサイクルの制限を受けず、また、伝熱ロスや機械ロスなども発生しないため、理論的には、火力発電に比べ顕著に優れた発電効率を有する。しかし、燃料電池においても、燃焼において得られる熱エネルギー、すなわちエンタルピーの変化量(ΔHで表わす)をすべて電気エネルギーに変換できるわけではなく、ギブス自由エネルギーの変化量(ΔGで表わす)を電気エネルギーに変換できるにすぎない。
【0005】
実際、水素を燃料とする燃料電池の理論的に可能な最大効率(理論効率)は、H2(gas)+1/2O2(gas)→H2O(liquid)
ΔH=−285.83kJ/mol
ΔG=−237.13kJ/mol
であるから、ΔG/ΔH×100=82.9%となる。
【0006】
このように、燃料電池の理論効率は、カルノーサイクルで示される熱機関の理論効率を遥かにしのぐ高い値となる。同様に、メタンやアルコールを燃料とする場合にも、理論効率は90%を超える値となる。
【0007】
ただし、実際の燃料電池で理論効率に近い効率を実現することは現段階では難しい。その理由は、燃料電池内部および燃料電池の付帯装置においてさまざまなエネルギー損失が発生し、熱エネルギーとして外部に放出されるためである。
【0008】
燃料電池内部で発生するエネルギー損失の原因としては、抵抗分極、活性化分極、拡散分極などが挙げられる。
【0009】
ここで、抵抗分極とは、電極と高分子電解質膜との間の接触抵抗、電極に挟まれた高分子電解質膜の有する電気抵抗、電極やセパレータの有する電気抵抗などにより生じる現象を指す。この時、抵抗の存在により、燃料電池の起電力の一部が電流に比例したIR損として消費され、熱として外部に放出される。
【0010】
また、活性化分極とは、燃料極での水素などの燃料の酸化、空気極での酸素の還元が進む際に、水素などの燃料や酸素が基底状態から一旦励起状態を経由する必要があるが、この際、励起のための活性化エネルギーが電位のシフトにより低くなり、反応が起こりやすくなることにより生じる現象を指す。この時、燃料電池の起電力の一部は活性化過電圧として消費され、熱として外部に放出される。
【0011】
そして、拡散分極とは、電極上での反応によって平衡がずれ、反応系、生成系が共に濃度差を生じ、拡散移動を起こすことにより生じる現象を指す。この時、拡散のためのエネルギーとして、燃料電池の起電力の一部が消費され、熱として放出される。
【0012】
また、燃料電池の付帯装置でも、改質器などでの伝熱ロスや、大気への放熱、吸水ポンプ、送風機などの所内動力による損失、インバータによる直交変換による損失など、さまざまな損失が存在する。
【0013】
現在のところ、燃料電池による発電システムにおいて最も損失として大きいのは燃料電池内部における損失であり、これを低減することにより、燃料電池の発電効率を大きく向上することができる。また、燃料電池の付帯装置における損失を最小限に抑えることも、燃料電池による発電システム全体の発電効率を向上させる上では重要である。
【0014】
燃料電池の利点としては、ボイラーやエンジンによる燃焼を必要としないので、酸性雨の主な原因といわれる窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)をほとんど排出しないことが挙げられる。さらに、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)についても、高いエネルギー利用効率が得られるため、生成されるエネルギーに対して、その発生量を非常に少なくすることができるという利点がある。また、タービンやエンジンなどを用いる従来の発電方式と異なり、静止型発電装置であるため、騒音や振動が極めて少ないという利点もある。
【0015】
また、燃料電池には、発電効率の向上以外にも多くの利点が存在する。前述の例として、たとえば、資源の有効利用の面での利点が挙げられる。まず、燃料電池での発電に必要な燃料の酸素は、空気中にほぼ無尽蔵に存在する。そして、水素は自然界に微量しか存在しないが、安定供給可能な都市ガスなどに含まれる炭化水素化合物を改質器に通し、そこから水素を取出して燃料にするシステムを用いることにより供給可能である。このシステムはさまざまな炭化水素化合物に応用できるので、天然ガスをはじめメタノールやLPG、ナフサなど、多くのものが水素発生源として利用可能となる。また、最近では、下水処理施設での汚泥から発生する消化ガス(メタンが主成分の発酵ガス)より水素を発生させ、発電に利用するシステムも開発されている。
【0016】
また、燃料電池は小型化が可能であるため、各施設ごとに設置が可能であり、電力会社から長大な電線を通じて電力を供給する場合に比べて送電ロスを低減することができる。さらに、燃料電池を発電の際に発生する熱も利用するコジェネレーションシステムと組合わせて用いた場合には、さらなるエネルギー利用効率の向上が実現可能である。
【0017】
上記の理由より、燃料電池の効率を理論効率に近づけるため、各方面において活発な研究開発が行なわれ、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、などのさまざまな種類の燃料電池が開発されている。
【0018】
これらの燃料電池の中でも、固体高分子型燃料電池(PEFCとも呼称される)は、他のタイプの燃料電池に比較して低温で作動することから、使用材料に対する制約が小さく、プラスチック、カーボン、ステンレスなどの安価な材料が使用可能であり、低コスト化を図りやすく、注目を集めている。また、PEFCは、他のタイプの燃料電池に比較して小型化が可能であるため、移動用動力源または小容量電力源に適している。
【0019】
ここで、PEFCの開発の歴史は、1950年代後半に米国ゼネラルエレクトリック社で初めて開発が開始され、1960年代前半には、出力1kWの水素/酸素を利用する燃料電池がジェミニ宇宙船に搭載されることからスタートした。当初使用した高分子電解質膜はポリスチレン系の膜であり、化学的に耐久性が乏しいものであったが、米国デュポン社がNASA宇宙計画用燃料電池のために開発したフッ素樹脂系の高分子電解質膜「ナフィオン(R)」の登場により、PEFCの化学的な耐久性は飛躍的に向上し、PEFCの開発が盛んとなった。現在では、PEFCは、従来の宇宙用、軍事用としての利用よりもむしろ、主に自動車搭載用または家庭用としての利用が検討されている。
【0020】
PEFCの心臓部である高分子電解質膜は、一種のイオン交換膜として働き、優れたイオン伝導性、物理強度、ガスバリア性、化学的安定性、電気化学的安定性、熱的安定性、が要求される。このため、長期にわたり使用できる高分子電解質膜としては、主に米国デュポン社製の「ナフィオン(R)」を代表例とするパーフルオロカーボンスルホン酸膜が使用されてきた。一般に、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、フッ素系の主鎖とプロトンを付加することのできるスルホン酸基を側鎖とを有する構造をしている。
【0021】
しかしながら、一般的なパーフルオロカーボンスルホン酸膜は、100℃を超える条件で運転すると膜の含水率が急激に落ち、膜の軟化も顕著となる。このため、メタノールを燃料とする燃料電池においては、膜内のメタノール透過による性能低下がおこり、十分な性能を発揮することはできない。また、水素を燃料として80℃付近で運転する燃料電池においても、パーフルオロカーボンスルホン酸膜の製造コストが高価であるため、燃料電池の実用化に向けての障害となっている。さらに、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、膜厚、イオン交換能力などのパラメータが限定されたものしか入手することができないため、燃料電池の設計をする上で制約となっているという問題もある。
【0022】
このようなパーフルオロカーボンスルホン酸膜の有する欠点を克服するため、非フッ素系芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜が種々検討されている。たとえば、ポリアリールエーテルスルホンをスルホン化したもの(Journal of Membrane Science,83,P.211(1993))、ポリエーテルエーテルケトンをスルホン化したもの(特開平6−93114号公報)、スルホン化ポリスチレン、などである。しかしながら、ポリマーを原料として芳香族環上にスルホン酸基を導入するスルホン化反応の制御は一般に困難であり、適切な性能を示すように、スルホン酸基の量を自由に制御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化することができない場合が多い。
【0023】
スルホン酸基の量を自由に制御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化する方法としては、スルホン酸基含有モノマーとスルホン酸基非含有モノマーとを用い、それら仕込量の比を制御することにより、重合して得られる芳香族環含有ポリマーのスルホン酸基の量を制御することが考えられる。たとえば、スルホン酸基含有ポリベンズチアゾールとしては、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールと、5−スルホイソフタル酸と、2−スルホテレフタル酸と、4,6−ジスルホイソフタル酸と、などから合成するものが報告されている(J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,34,481(1996))。しかしこの報告では、特にスルホイソフタル酸の場合に重合時の脱スルホン酸反応がおこるという問題がある。
【0024】
また、ポリスルホン類、ポリエーテルケトン類などを合成する一般的な方法である、芳香族求核置換反応による芳香族エーテル結合形成によるポリマー合成についても、加熱条件で重合反応が行われるため、スルホン酸基を含むモノマーを用いて重合しようとすると、脱スルホン酸反応が起こる可能性がある。
【0025】
以上のように非フッ素系芳香族ポリマー骨格にスルホン酸基を導入するには、合成上の問題を抱えているが、仮に合成上の問題を克服したとしても、燃料電池用高分子電解質膜として使用する場合には、別の問題が生じる。
【0026】
また、燃料電池用高分子電解質膜は、一般に触媒を担持したカーボン層を表面に被覆した、膜−電極複合体の形で使用される。このため、カーボン層と高分子電解質膜とを接着させるためには、イオン伝導性を有すると同時に電極での化学反応や熱に耐える安定な接着剤用バインダーが必要となり、現状では前述のフッ素系ポリマーであるナフィオンが接着剤用バインダーとしても優れている。
【0027】
しかしこのようなポリマーを接着剤用バインダーとして用いる場合、非フッ素系ポリマーとの接着性が一般に悪く、膜−電極複合体が十分な性能を発揮できないという問題がある。したがって、この点から、基本的には非フッ素系芳香族ポリマーでありながら、部分的にフッ素含有構造を有するポリマーであれば、接着性の改良が期待されるとともに、非フッ素系およびフッ素系の高分子電解質ポリマーの両方の長所を取り入れた材料となることが期待される。
【0028】
このようなポリマーとしては、たとえば、WO01/01510号公報、WO01/01506号公報におけるスルホン酸基含有フッ素系芳香族ポリマーの報告が見られる。しかし、ここで報告されているポリマー構造は、繁雑な合成ルートにより合成されるポリマー主鎖骨格に直接スルホン酸基が導入されているものであるため、現在のパーフルオロカーボンスルホン酸膜と同様に、製造コストが高価格となる問題がある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
上記の現状に基づき、本発明の課題は、スルホン酸基の導入量が制御されており、高分子電解質膜の材質として用いた際に高温でも優れた性質を示すスルホン化フッ素含有重合体を提供することである。
【0030】
また、本発明の別の課題は、該スルホン化フッ素含有重合体を含有し、高分子電解質膜の材質として用いた際に高温でも優れた性質を示す樹脂組成物を提供することである。
【0031】
そして、本発明のもう一つの課題は、優れたイオン伝導性、物理強度、耐久性、耐熱性および加工性、を有し、かつ、品質が安定しており、製造コストの低い高分子電解質膜を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するには、スルホン酸基の量を制御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化すればよいとの着想を得、さまざまな芳香族環含有ポリマーを用いて鋭意検討を重ねた。そして、検討の末に、特定のフッ素含有重合体を特定の条件でスルホン化することにより、スルホン酸基の量を制御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0033】
すなわち本発明は、下記の式(1)で表される繰返し単位を含有するスルホン化フッ素含有重合体である。
【0034】
【化9】
【0035】
(式(1)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である。X,X’はハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基を表し、q,q’は芳香族環あたりのX,X’の配位数を表わし、q,q’は0〜4の整数である。Rは下記の式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。)
【0036】
【化10】
【0037】
(式(2a)〜(2j)のいずれかにおいて、n1〜n29は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、n1〜n29は0〜2の整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n7+n8,n9+n10,は1〜4の整数であり、n11+n12+n13は1〜6の整数であり、n14+n15+n16+n17,n18+n19+n20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27+n28+n29は1〜8の整数である。Z1〜Z29は、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる一種または二種以上の官能基であり、r1〜r29は、芳香族環あたりのZ1〜Z29で表わされる官能基の配位数を表わし、r1〜r29は0〜5の整数であり、nk+rk≦4(k=1〜10,12〜13,15〜16,18〜23,26〜29)、nk+rk≦5(k=11、14、17)、nk+rk≦3(k=24、25)である。)
ここで、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(3)で表される繰返し単位であることが好ましい。
【0038】
【化11】
【0039】
(式(3)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である。Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。)
また、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(4)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0040】
【化12】
【0041】
(式(4)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’はともに4である。Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。)
また、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(5)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0042】
【化13】
【0043】
(式(5)において、Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。)
さらに、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、r1〜r29は0であることが好ましい。
【0044】
そして、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、n1〜n29は0〜2の整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n7+n8,n9+n10,,n14+n15+n16+n17,n18+n19+n20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27+n28+n29は2であり、n11+n12+n13は1または2であることが望ましい。
【0045】
さらに、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、n1〜n11,n14,n17〜n19,n22,n23,n26,n27は1であり、n12,n13,n15,n16,n20,n21,n24,n25,n28,n29は0であることが好ましい。
【0046】
そして、Rは式(2f)、(2g)、(2h)、(2i)、(2j)で示される結合単位のうちの一種または二種以上であることが望ましい。
【0047】
さらに、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(6)で表される繰返し単位であることが好ましい。
【0048】
【化14】
【0049】
そして、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。
【0050】
また、式(1)で表わされる繰り返し単位のモル数の合計は、重合体全体に含まれる繰返し単位のうち、50〜100モル%であることが望ましい。
【0051】
そして、本発明は、下記の式(7)で表される繰返し単位を含有するスルホン化フッ素含有重合体を含む。
【0052】
【化15】
【0053】
(式(7)において、pは芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、pは1または2である。Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。式(2a)〜(2j)および式(7)において、n1〜n30は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、n1〜n30は0〜2の整数であり、n1+n2+n30,n3+n4+n30,n5+n6+n30,n7+n8+n30,n9+n10+n30,は1〜6の整数であり、n11+n12+n13+n30は1〜8の整数であり、n14+n15+n16+n17+n30,n18+n19+n20+n21+n30,n22+n23+n24+n25+n30,n26+n27+n28+n29+n30は1〜10の整数である。)
ここで、式(7)で表わされる繰返し単位は、下記の式(8)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0054】
【化16】
【0055】
(式(8)において、Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。式(2a)〜(2j)および式(8)において、n1〜n29,n31は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、n1〜n29,n31は0〜2の整数であり、n1+n2+n31,n3+n4+n31,n5+n6+n31,n7+n8+n31,n9+n10+n31,は1〜6の整数であり、n11+n12+n13+n31は1〜8の整数であり、n14+n15+n16+n17+n31,n18+n19+n20+n21+n31,n22+n23+n24+n25+n31,n26+n27+n28+n29+n31は1〜10の整数である。)
さらに、本発明は、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式(7)で表わされる繰り返し単位とを含有するスルホン化フッ素含有重合体を含む。
【0056】
ここで、式(7)で表される繰返し単位を含有するスルホン化フッ素含有重合体および式(1)で表わされる繰り返し単位と、式(7)で表わされる繰り返し単位とを含有するスルホン化フッ素含有重合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。
【0057】
また、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式(7)で表わされる繰り返し単位とのモル数の合計は、重合体全体に含まれる繰返し単位のうち、50〜100モル%であることが好ましい。
【0058】
そして、本発明は、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物を含む。さらに、本発明は、本発明の樹脂組成物を含有する高分子電解質膜を含む。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0060】
<本発明のスルホン化フッ素含有重合体>
本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、下記の式(1)で表わされる繰返し単位を含有する。
【0061】
【化17】
【0062】
ここで、式(1)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である必要がある。すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位は、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のフッ素原子を含有している必要がある。
【0063】
なぜなら、m+m’が0であると、重合体の骨格ポリマーを構成する繰返し単位にフッ素原子が含まれないこととなってしまい、重合体の耐熱性、化学的安定性が低下してしまうという問題が生じるからである。
【0064】
また、X,X’はハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基を表し、q,q’は芳香族環あたりのX,X’の配位数を表わし、q,q’は0〜4の整数である必要がある。
【0065】
すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位には、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基が、式(1)で示される芳香族環に付加していてもよい。
【0066】
さらに、Rは下記の式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。
【0067】
【化18】
【0068】
ここで、式(2a)〜(2j)のいずれかにおいて、n1〜n29は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、n1〜n29は0〜2の整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n7+n8,n9+n10,は1〜4の整数であり、n11+n12+n13は1〜6の整数であり、n14+n15+n16+n17,n18+n19+n20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27+n28+n29は1〜8の整数である必要がある。
【0069】
すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位には、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のスルホン酸基が導入されている必要があり、さらに、芳香族環1環あたりのスルホン酸基の導入数は2個以内である必要がある。
【0070】
なぜなら、式(1)で表わされる繰返し単位にスルホン酸基が導入されていない場合、すなわちn1〜n29が0である場合は、十分な量のイオン伝導性を有する重合体が得られないからである。
【0071】
また、芳香族環1環あたり3個以上のスルホン酸基を導入した場合、すなわちn1〜n29が3以上の整数である場合には、高温時における水による膨潤などの耐水性の低下という問題が生じるからである。
【0072】
さらに、Z1〜Z29は、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる一種または二種以上の官能基であり、r1〜r29は、芳香族環あたりのZ1〜Z29で表わされる官能基の配位数を表わし、r1〜r29は0〜5の整数であり、nk+rk≦4(k=1〜10,12〜13,15〜16,18〜23,26〜29)、nk+rk≦5(k=11、14、17)、nk+rk≦3(k=24、25)である必要がある。
【0073】
すなわち、Rの芳香族環には、スルホン酸基以外に、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる一種または二種以上の官能基が付加されていてもよい。
【0074】
ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重合体中に含有される、式(1)で表わされる繰返し単位の構造は必ずしも一種類に限定されるものではなく、二種類以上の構造からなる式(1)で表わされる繰返し単位が同じ重合体中に含有されていてもよい。
【0075】
また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1以上の場合には、高分子電解質材料として燃料電池などに好適に用いることができるが、対数粘度が0.1未満の場合には、取扱性や加工性が不十分となる傾向があり、高分子電解質材料として燃料電池などに用いるには適さない場合がある。
【0076】
そして、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、数平均分子量が2,000から200,000の範囲にあることが好ましい。数平均分子量が2,000未満の場合には、高分子電解質材料として十分な強度を示さない傾向があり、数平均分子量が200,000を超える場合には、高分子電解質材料としての加工が困難となる傾向がある。
【0077】
さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(3)で表される繰返し単位であることが好ましい。
【0078】
【化19】
【0079】
ここで、式(3)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である必要がある。また、Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。
【0080】
すなわち、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(1)で表わされる繰返し単位には、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基が、芳香族環に付加していないことが好ましい。
【0081】
また、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(4)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0082】
【化20】
【0083】
(式(4)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’はともに4である。Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。)
すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位は、式(4)で示されるように繰返し単位あたり8個のフッ素原子を有することが好ましい。式(1)で表わされる繰返し単位がこのような構造を有することによって、重合体の耐熱性、化学的安定性が向上するからである。
【0084】
そして、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(5)で表される繰返し単位であれば、さらに好ましい。
【0085】
【化21】
【0086】
ここで、式(4)において、Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。
【0087】
すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位は、式(5)で示される特定の位置にフッ素原子を有することが好ましい。式(1)で表わされる繰返し単位がこのような構造を有することによって、重合体の耐熱性、化学的安定性がさらに向上するからである。
【0088】
また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、r1〜r29は0であることが好ましい。
【0089】
すなわち、Rの芳香族環には、スルホン酸基以外に、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、が付加されていないことが好ましい。
【0090】
そして、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、n1〜n29は0〜2の整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n7+n8,n9+n10,n14+n15+n16+n17,n18+n19+n20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27+n28+n29は2であり、n11+n12+n13は1または2であることが望ましい。
【0091】
すなわち、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいては、結合単位1単位あたり1個または2個のスルホン酸基が導入されていることが好ましい。
【0092】
このように、導入されるスルホン酸基の数を1個または2個に制御することによって、好適なイオン伝導性を有する重合体を得ることができ、燃料電池に好ましく用いることができる。
【0093】
そして、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいては、n1〜n11,n14,n17〜n19,n22,n23,n26,n27は1であり、n12,n13,n15,n16,n20,n21,n24,n25,n28,n29は0であればなお一層のこと好ましい。
【0094】
すなわち、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいては、結合単位1単位あたり1個または2個のスルホン酸基が導入されており、かつ、該1個または2個のスルホン酸基は別々の芳香族環に1個ずつ導入されており、かつ、該1個または2個のスルホン酸基は特定の芳香族環に導入されていることが好ましい。
【0095】
このように、スルホン酸基を特定の別々の芳香族環に1個ずつ、合計1個または2個導入されるようにスルホン酸基の数を制御することにより、さらに一層好適なイオン伝導性を有する重合体を得ることができ、燃料電池に好ましく用いることができる。
【0096】
そして、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、Rは式(2f),(2g),(2h),(2i),(2j)で示される結合単位のうちの一種または二種以上であることが望ましい。すなわち、Rは主鎖を形成する芳香環以外の芳香環を有することが好ましい。
【0097】
このように、Rが主鎖を形成する芳香環以外の芳香環を有することにより、該重合体中のスルホン酸基量の制御がさらに容易となり、該重合体を含有する高分子電解質膜の特性がさらに好ましいものとなる。
【0098】
さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式(6)で表される繰返し単位であることが好ましい。
【0099】
【化22】
【0100】
すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位の構造およびスルホン酸基の導入される位置は、特定されていることが好ましい。
【0101】
このように、式(1)で表わされる繰返し単位の構造およびスルホン酸基の導入される位置が特定されていることにより、該重合体を含有する高分子電解質膜の特性がさらに好ましいものとなる。
【0102】
また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、式(1)で表わされる繰返し単位と他の繰返し単位で構成され得るが、この場合式(1)で表わされる繰り返し単位のモル数の合計は、重合体全体に含まれる繰返し単位のうち、50〜100モル%の範囲にあることが好ましく、70〜100モル%の範囲にあればさらに好ましい。
【0103】
式(1)で表わされる繰返し単位のモル数の合計が50モル%未満であり、かつ、後述するように式(1)で表わされる繰り返し単位と式(7)で表わされる繰り返し単位とのモル数の合計が50モル%未満の場合には、十分なイオン伝導性が発現しないという問題が生じる傾向がある。
【0104】
<本発明のシアノ基を含むスルホン化フッ素含有重合体>
また、本発明は、下記の式(7)で表される繰返し単位を含有し、スルホン化フッ素含有重合体を含む。
【0105】
【化23】
【0106】
ここで、式(7)において、pは芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、pは1または2である。
【0107】
すなわち、式(7)で表わされる繰返し単位は、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のフッ素原子を含有している必要がある。
【0108】
なぜなら、pが0であると、重合体の骨格ポリマーを構成する繰返し単位にフッ素原子が含まれないこととなってしまい、重合体の耐熱性、化学的安定性が低下してしまうという問題が生じるからである。
【0109】
また、Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。そして、式(2a)〜(2j)のいずれかおよび式(7)において、n1〜n30は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、n1〜n30は0〜2の整数であり、n1+n2+n30,n3+n4+n30,n5+n6+n30,n7+n8+n30,n9+n10+n30,は1〜6の整数であり、n11+n12+n13+n30は1〜8の整数であり、n14+n15+n16+n17+n30,n18+n19+n20+n21+n30,n22+n23+n24+n25+n30,n26+n27+n28+n29+n30は1〜10の整数である。
【0110】
すなわち、式(7)で表わされる繰返し単位には、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のスルホン酸基が導入されている必要があり、さらに、芳香族環1環あたりのスルホン酸基の導入数は2個以内である必要がある。
【0111】
なぜなら、式(7)で表わされる繰返し単位にスルホン酸基が導入されていない場合、すなわちn1〜n30が0である場合は、十分な量のイオン伝導性を有する重合体が得られないからである。
【0112】
また、芳香族環1環あたり3個以上のスルホン酸基を導入した場合、すなわちn1〜n30が3以上の整数である場合には、高温時における水による膨潤などの耐水性の低下の問題が生じるからである。
【0113】
そして、式(2a)〜(2j)のいずれかにおけるZ1〜Z29およびr1〜r29に関しては、前述の説明の通りである。
【0114】
ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重合体中に含有される、式(7)で表わされる繰返し単位の構造は必ずしも一種類に限定されるものではなく、二種類以上の構造からなる式(7)で表わされる繰返し単位が同じ重合体中に含有されていてもよい。
【0115】
ここで、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1以上の場合には、高分子電解質材料として燃料電池などに好適に用いることができるが、対数粘度が0.1未満の場合には、取扱性や加工性が不十分となる傾向があり、高分子電解質材料として燃料電池などに用いるには適さない場合がある。
【0116】
そして、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体は、数平均分子量が2,000から200,000の範囲にあることが好ましい。数平均分子量が2,000未満の場合には、高分子電解質材料として十分な強度を示さない傾向があり、数平均分子量が200,000を超える場合には、高分子電解質材料としての加工が困難となる傾向がある。
【0117】
また、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体において、式(7)で表わされる繰返し単位は、下記の式(8)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0118】
【化24】
【0119】
ここで、式(8)において、Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。そして、式(2a)〜(2j)および式(8)において、n1〜n29,n31は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、n1〜n29,n31は0〜2の整数であり、n1+n2+n31,n3+n4+n31,n5+n6+n31,n7+n8+n31,n9+n10+n31,は1〜6の整数であり、n11+n12+n13+n31は1〜8の整数であり、n14+n15+n16+n17+n31,n18+n19+n20+n21+n31,n22+n23+n24+n25+n31,n26+n27+n28+n29+n31は1〜10の整数である。
【0120】
すなわち、式(7)で表わされる繰返し単位は、式(8)で示される特定の位置にフッ素原子を有することが好ましい。式(7)で表わされる繰返し単位がこのような構造を有することによって、重合体の耐熱性、化学的安定性が向上するからである。
【0121】
また、この場合、式(8)で表わされる繰返し単位には、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のスルホン酸基が導入されている必要があり、さらに、芳香族環1環あたりのスルホン酸基の導入数は2個以内である必要がある。
【0122】
なぜなら、式(8)で表わされる繰返し単位にスルホン酸基が導入されていない場合、すなわちn1〜n29,n31が0である場合は、十分な量のイオン伝導性を有する重合体が得られないからである。
【0123】
また、芳香族環1環あたり3個以上のスルホン酸基を導入した場合、すなわちn1〜n29,n31が3以上の整数である場合には、高温時における水による膨潤などの耐水性の低下の問題が生じるからである。
【0124】
そして、式(2a)〜(2j)のいずれかにおけるZ1〜Z29およびr1〜r29に関しては、前述の説明の通りである。
【0125】
さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式(7)で表わされる繰り返し単位とを含有する重合体であってもよい。
【0126】
ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1以上の場合には、高分子電解質材料として燃料電池などに好適に用いることができるが、対数粘度が0.1未満の場合には、取扱性や加工性が不十分となる傾向があり、高分子電解質材料として燃料電池などに用いるには適さない場合がある。
【0127】
そして、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体は、数平均分子量が2,000から200,000の範囲にあることが好ましい。数平均分子量が2,000未満の場合には、高分子電解質材料として十分な強度を示さない傾向があり、数平均分子量が200,000を超える場合には、高分子電解質材料としての加工が困難となる傾向がある。
【0128】
さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式(7)で表わされる繰り返し単位以外にも、さらに他の構成成分を含有していてもよい。その場合、本発明のスルホン化フッ素含有重合体の構成成分となりうる化合物は、特に限定されず、一般的な重合体の構成成分を用いることができるが、好ましい具体例として、スルホン酸基を有しない、含フッ素ポリアリールエーテルケトン系化合物、含フッ素ポリシアノアリールエーテル系化合物、フッ素非含有ポリアリールエーテルケトン系化合物、フッ素非含有ポリシアノアリールエーテル系化合物、などが挙げられる。
【0129】
これらの化合物は、一種または二種以上を組合わせて用いることができ、ランダム共重合やブロック共重合などの反応により、本発明のスルホン化フッ素含有重合体に構成成分として組込むことができる。
【0130】
上記の場合において、本発明のスルホン化フッ素含有重合体において、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式(7)で表わされる繰り返し単位とのモル数の合計は、重合体全体に含まれる繰返し単位のうち、50〜100モル%の範囲にあることが好ましく、70〜100モル%の範囲にあればさらに好ましい。
【0131】
なぜなら、式(1)で表わされる繰り返し単位と式(7)で表わされる繰り返し単位とのモル数の合計が50モル%未満の場合には、十分なイオン伝導性が発現しないという問題が生じる傾向があるからである。
【0132】
<本発明におけるスルホン化フッ素含有重合体の製造方法>
式(1)で表わされる繰返し単位を含有する、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、下記の式(9)で表わされる繰返し単位を含有するフッ素含有重合体にスルホン酸基を導入することによって得ることができる。
【0133】
【化25】
【0134】
ここで、式(9)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である。また、X,X’はハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基を表し、q,q’は芳香族環あたりのX,X’の配位数を表わし、q,q’は0〜4の整数である。さらに、R’は下記の式(10a)〜(10j)のいずれかで示される結合単位である。
【0135】
【化26】
【0136】
ここで、式(10a)〜(10j)のいずれかにおいて、Z1〜Z29は、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる一種または二種以上の官能基であり、r1〜r29は、芳香族環あたりのZ1〜Z29で表わされる官能基の配位数を表わし、r1〜r29は0〜5の整数であり、rk≦3(k=24、25)、rk≦4(k=1〜10,12〜13,15〜16,18〜23,26〜29)、rk≦5(k=11、14、17)である。
【0137】
ここで、式(9)で表わされる繰返し単位を含有するフッ素含有重合体にスルホン酸基を導入するためには、式(9)で示されるフッ素含有重合体に対して、適当なスルホン化剤を反応させることにより、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得ることができる。
【0138】
また、式(7)で表わされる繰返し単位を含有する、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体は、下記の式(11)で示されるシアノ基を有するフッ素含有重合体にスルホン酸基を導入することにより得られる。
【0139】
【化27】
【0140】
ここで、式(11)において、pは芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、pは1または2である。R’は式(10a)〜(10j)のいずれかで示される結合単位である。
【0141】
式(7)で表わされる繰返し単位を含有する、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体は、たとえば、第49回高分子学会年次大会要旨集P.231(2000)で開示される方法により合成することができるスルホン酸基を含まないフッ素含有重合体を、適当なスルホン化剤と反応させることにより得ることができる。
【0142】
すなわち、本発明のスルホン化フッ素含有重合体(シアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体を含む、以下同じ)は、式(9)および/または式(11)で表わされる繰返し単位を有する重合体(以下、単にフッ素含有重合体と呼称する)と、スルホン化剤とを混合して、一定時間、一定温度の条件で反応させることにより得ることができる。この際、有機溶媒中で反応を進めることもできる。
【0143】
ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を製造するために用いられるスルホン化剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、濃硫酸や発煙硫酸(たとえば、Solid State Ionics,106,P.219(1998)に開示)、クロロ硫酸(たとえば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.295(1984)に開示)、無水硫酸錯体(たとえば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.721(1984)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,23,P.1231(1985)などに開示)などを好適に使用することができる。
【0144】
また、該周知のスルホン化剤に加えて、特許第2884189号公報に記載のスルホン化剤、すなわち、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4−ジスルホン酸、1,2,4−トリメチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,4−トリメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3−トリメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3,6−ジスルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリエチルベンゼン−2−スルホン酸、1−エチル−3,5−ジメチルベンゼン−2−スルホン酸、1−エチル−3,5−ジメチルベンゼン−4−スルホン酸、1−エチル−3,4−ジメチルベンゼン−6−スルホン酸、1−エチル−2,5−ジメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,4,5−テトラエチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタエチルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2−スルホン酸、1−プロピル−3,5−ジメチルベンゼン−4−スルホン酸などを用いることも可能である。
【0145】
上記のスルホン化剤の中でも、スルホン酸基の両側のオルソ位に低級アルキルが置換された化合物、たとえば、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4−ジスルホン酸、1,3,5−トルエチルベンゼン−2−スルホン酸、などが特に好ましく、さらには、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸が最も好ましい。
【0146】
ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を製造する際は、フッ素含有重合体100質量部に対して、これらのスルホン化剤は、30〜50,000質量部の範囲で加えることが好ましく、50〜10,000質量部の範囲で加えればさらに好ましい。
【0147】
スルホン化剤の添加量が30質量部未満の場合には、スルホン化反応が十分に進行しない傾向があり、スルホン化剤の添加量が50,000質量部を超える場合には、反応後のスルホン化剤処理に多くの労力が必要となる傾向がある。
【0148】
また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を製造するために用いられる有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、フッ素含有重合体およびスルホン化剤を溶解し、スルホン化反応に悪影響を及ぼさないものであれば従来公知のものを使用することができる。具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、などのハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、などのハロゲン化芳香族炭化水素類、ニトロメタン、ニトロベンゼン、などのニトロ化合物類、トリメチルベンゼン、トリブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、などのアルキルベンゼン類、スルホラン、などの複素環化合物類、オクタン、デカン、シクロヘキサン、などの直鎖、分枝鎖または環状の脂肪族飽和炭化水素類が挙げられる。
【0149】
これらの溶剤は、一種または二種以上を混合して使用してもよく、その使用量は、フッ素含有重合体およびスルホン化剤の種類により異なり適宜選択されるが、通常はスルホン化剤100質量部に対して100〜2,000質量部の範囲にあることが好ましい。
【0150】
溶剤の量が100質量部未満の場合には、均一なスルホン化反応を進めるのが困難となる傾向があり、溶剤の量が2,000質量部を超える場合には、反応後の溶剤とスルホン化剤との分離、溶剤の回収に多くの労力が必要となる傾向がある。
【0151】
さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得るためには、これらのスルホン化剤を用い、それぞれのフッ素含有重合体および導入したいスルホン酸基の量に応じた反応条件により、フッ素含有重合体のスルホン化を行なう必要がある。
【0152】
従来、ポリマーのスルホン化反応は、一般にスルホン化部位およびスルホン化量の制御が難しかった。しかし、本発明においては、式(10a)〜(10j)のいずれかで示されるR’のような結合単位を有する、式(9)および式(11)で表わされる繰返し単位を含有するフッ素含有重合体を、前記のようなスルホン化剤を用いて特定の条件でスルホン化することにより、従来は困難であったスルホン化部位およびスルホン化量の制御が可能となったものである。
【0153】
本発明のように、制御された形でスルホン酸基を導入するには、式(9)および/または式(11)で表わされる繰返し単位を有する重合体のような特定のポリマー構造を選択する必要があり、式(9)および/または式(11)の繰返し単位中に含まれるR’として、式(10a)〜(10j)のいずれかで示される結合単位の中から選ぶことが必要となる。
【0154】
このとき、R’を含む繰返し単位あたり実質的に1個以上のスルホン酸基を導入するようにスルホン化の条件を制御すると、得られるスルホン化フッ素含有重合体は、高分子電解質膜として用いた際の特性が特に好ましいものとなる。さらに、R’を含む繰返し単位あたり実質的に2個のスルホン酸基を導入するようにスルホン化の条件を制御すると、得られるスルホン化フッ素含有重合体は、高分子電解質膜として用いた際の特性がきわめて好ましいものとなる。
【0155】
ここで、「R’を含む繰返し単位あたり実質的に1個以上のスルホン酸基を導入する」とは、すべてのR’を含む繰返し単位に1個以上のスルホン酸基が導入されなければならないことを意味するものではない。すなわち、大部分のR’を含む繰返し単位に1個以上のスルホン酸基が導入され、かつ、重合体全体として見た場合、R’を含む繰返し単位に平均して1個以上のスルホン酸基が導入されることを意味するものである。
【0156】
同様に、「R’を含む繰返し単位あたり実質的に2個のスルホン酸基を導入する」とは、すべてのR’を含む繰返し単位に2個のスルホン酸基が導入されなければならないことを意味するものではない。すなわち、大部分のR’を含む繰返し単位に2個のスルホン酸基が導入され、かつ、重合体全体として見た場合、R’を含む繰返し単位に平均してほぼ2個のスルホン酸基が導入されることを意味するものである。
【0157】
そして、本明細書において、繰返し単位あたりのフッ素原子、スルホン酸基、官能基、置換基などの数値を限定する場合も、その数値はすべての繰返し単位において厳密に成立しなければならないものではなく、大部分の繰返し単位において成立し、かつ、重合体全体として見た場合、各繰返し単位において平均してほぼその数値限定が成立していることを意味するものである。
【0158】
本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得るため、フッ素含有重合体をスルホン化する際に、R’を含む繰返し単位あたり実質的に1個以上のスルホン酸基を導入するようにスルホン化の条件を制御するためには、反応温度−20〜150℃の範囲、反応時間0.1〜100時間の範囲でスルホン化反応を行なう必要がある。
【0159】
ここで、反応温度が−20℃未満では、スルホン化反応の反応速度が遅くなり、反応温度が150℃を超えると、スルホン化の制御が困難となってしまうという問題がある。
【0160】
本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得るため、フッ素含有重合体をスルホン化する際に、R’を含む繰返し単位あたり実質的に2個のスルホン酸基を導入するようにスルホン化の条件を制御するためには、反応温度−20〜120℃の範囲、反応時間0.1〜100時間の範囲でスルホン化反応を行なう必要がある。
【0161】
ここで、反応温度が−20℃未満では、スルホン化反応の反応速度が遅く、反応が十分進まなくなり、反応温度が120℃を超えると、繰返し単位あたりのスルホン化量が2個以上となってしまうという問題がある。
【0162】
また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得るためには、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下でスルホン化を行なうことが好ましい。得られる重合体が酸化劣化することを防止するためである。
【0163】
ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得るための原料となるフッ素含有重合体においては、式(9)および/または式(11)で表わされる繰返し単位として、式(10a)〜(10j)のいずれかで示される結合単位R’のうち、主鎖を形成する芳香環以外の芳香環が存在する、(10f),(10g),(10h),(10i),(10j)の5種よりなる群から選ばれる一種または二種以上を含有するものを用いることが好ましい。このようなフッ素含有重合体を用いた場合には、スルホン化の際に、スルホン酸基量の制御が容易となり、得られる重合体を高分子電解質膜として用いた際の特性が好ましいものとなるためである。
【0164】
また、式(1)で表わされるスルホン化フッ素含有重合体を得るには、式(9)中のR’を含むジオール構造を持つモノマーに対して、上記のフッ素含有重合体のスルホン化反応と同様のスルホン化反応を行なう工程と、得られたスルホン酸基含有ジオールを用いて特開2001−49110公報に開示されている重合反応と同様の重合反応を行なう工程を経て、式(9)で示される繰返し単位を含有するフッ素含有重合体のR’上にスルホン酸基を導入する方法を用いてもよい。
【0165】
ここで、特開2001−49110公報に開示されている重合反応とは、具体的には、下記の式(12)で示される化合物を、塩基性化合物の存在下で有機溶媒中において、式(8)中のR’を含むジオール構造を持つモノマーとともに加熱することによって、式(1)で示されるスルホン化フッ素含有重合体を得る反応である。
【0166】
【化28】
【0167】
ここで、式(12)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である。また、X,X’はハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基を表し、q,q’は芳香族環あたりのX,X’の配位数を表わし、q,q’は0〜4の整数である。
【0168】
ここで、上記の重合反応においては、反応温度は20〜150℃である必要があり、50〜120℃であることが好ましい。この際、このように低温度で反応することで副反応を抑制し、得られる重合体のゲル化をある程度は抑制することができる。上記の重合反応において、反応温度が20℃未満の場合には、反応が十分には進行しなくなり、反応温度が150℃を超えると、ゲル化が抑制できなくなるという問題がある。
【0169】
また、上記の重合反応においては、式(9)中のR’を含むジオール構造を持つモノマー中のスルホン酸基は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などの塩構造の形で重合に用いることが好ましい。
【0170】
上記の重合反応においては、通常の芳香族求核反応の重合条件に比べかなり低い温度での反応が可能であるので、重合時の脱スルホン酸反応はかなりおさえられる。ただし、多少とも脱スルホン酸反応が起こる可能性はあるので、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得るには、上記のフッ素含有重合体のスルホン化反応による製造方法を使用する方が好ましい。
【0171】
なお、上記のスルホン化反応および/または重合反応により得られた本発明のスルホン化フッ素含有重合体の精製方法は、従来公知の重合体の精製方法を好適に使用可能であるが、たとえば、得られた本発明のスルホン化フッ素含有重合体が固体状の場合には濾過後に溶剤で洗浄して乾燥することにより、オイル状の場合には分液することにより、反応溶液に溶解している場合には有機溶媒を蒸発除去することにより、精製することができる。
【0172】
あるいは、本発明のスルホン化フッ素含有重合体が含まれる反応液に水を加え、必要に応じてアルカリ成分を加えて重合体を溶解し、溶剤相と水相に分離した後に、水相より酸析や塩析などの方法により沈殿させ、濾過後に溶剤で洗浄して乾燥させることにより精製することもできる。
【0173】
また、濃硫酸などのスルホン化剤のみで反応を行なう場合には、反応液を水中に注ぐことによりポリマーの沈殿として回収および精製することも有効である。
【0174】
<本発明の樹脂組成物>
本発明は、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物を含む。
【0175】
ここで、本発明の樹脂組成物は、本発明のスルホン化フッ素含有重合体一種のみからなる樹脂組成物であってもよいが、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を一種または二種以上含有していてもよい。また、本発明の樹脂組成物は、本発明のスルホン化フッ素含有重合体のみからなる樹脂組成物であってもよいが、その特性を著しく低下しない範囲で、構造の異なる他の種類の樹脂を含有していてもよい。
【0176】
この際、本発明の樹脂組成物に配合され得る他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂およびAS樹脂などの汎用樹脂や、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)などのエンジニアリングプラスチックや、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)および各種液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0177】
本発明の樹脂組成物に、本発明のスルホン化フッ素含有重合体以外の樹脂成分を配合する場合であっても、本発明のスルホン化フッ素含有重合体の配合量は、全配合成分に対して50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であればさらに好ましい。
【0178】
本発明のスルホン化フッ素含有重合体の配合量が50質量%未満の場合には、良好なイオン伝導性が得られなくなる傾向があるからである。
【0179】
なお、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、たとえば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加することができる。
【0180】
本発明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物は、イオン伝導性に優れているため、フィルム状あるいは膜状にして、燃料電池などの高分子電解質膜として使用するのに適している。さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物を主成分にする接着剤は、本発明の高分子電解質膜と電極との接合体を作製するときの接着剤として利用することもできる。
【0181】
<本発明の高分子電解質膜>
本発明の高分子電解質膜は、本発明の樹脂組成物を含有する。ここで、本発明の樹脂組成物は、本発明のスルホン化フッ素含有重合体のみからなる樹脂組成物であってもよく、本発明のスルホン化フッ素含有重合体以外の成分を含んでいてもよい。
【0182】
本発明の高分子電解質膜は、本発明のスルホン化フッ素含有重合体の重合反応溶液、スルホン化反応溶液または精製したスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物を素材として用いて、押し出し法、紡糸法、圧延法、キャスト法などの従来公知の成形方法で、膜状に成形することにより得られる。また、同様の方法を用いて、膜形状だけではなく、繊維状、ペレット状、プレート状、ロッド状、パイプ状、ボール状、ブロック状、などのさまざまな形状に成形することも可能である。
【0183】
本発明の高分子電解質膜の成形に用いる素材としては、前記の素材のなかでも、本発明の樹脂組成物を適当な溶媒に溶解した溶液が特に好ましい。この場合に、本発明の樹脂組成物を溶解する溶媒としては、特に限定されるものではないが、たとえば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミド、などの非プロトン極性溶媒や、メタノール、エタノール、などのアルコール類などから適切なものを選ぶことができる。
【0184】
これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。また、溶液中の樹脂組成物の濃度は、溶液全体の質量の0.1〜50質量%の範囲であることが好ましい。濃度が0.1質量%未満の場合は高分子電解質膜の成形性が低下する傾向があり、濃度が50質量%を超える場合は高分子電解質膜の加工性が低下する傾向がある。
【0185】
また、本発明の高分子電解質膜の成形方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、本発明の樹脂組成物の加熱、減圧乾燥、本発明の樹脂組成物を溶解し得る溶媒と混和可能な、本発明の樹脂組成物を溶解し得ない溶媒への、本発明の樹脂組成物の浸漬などによって、溶媒を除去し、本発明の高分子電解質膜を得ることができる。また、同様の方法を用いて、他のさまざまな形状にも成形可能である。
【0186】
ここで、本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶媒が有機溶媒の場合は、加熱または減圧乾燥で溶媒を留去させて成形することが好ましい。この際、必要に応じて、他の樹脂組成物と複合された形で、本発明の高分子電解質膜に成形することもできる。用いる溶媒への溶解性挙動が、本発明の樹脂組成物と類似する樹脂組成物と組み合わせて成形すると、本発明の高分子電解質膜を良好な状態で成形をすることができるので都合がよい。
【0187】
本発明の高分子電解質膜を成形するには、本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶液をキャスト法を用いて成形することが特に好ましい。そして、キャスト法によりキャストした溶液から膜を成形するには、上記のように加熱または減圧乾燥で溶媒を除去することが好ましい。
【0188】
また、この場合、溶媒の除去は、加熱ではなく乾燥によることが、得られる本発明の高分子電解質膜の均一性の面からは好ましい。さらに、本発明の樹脂組成物や溶媒の分解や変質をさけるため、減圧下でできるだけ低い温度で乾燥することが好ましい。
【0189】
そして、本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。この際、溶液の温度が50〜150℃の範囲にある状態でキャストすることが好ましい。溶液の温度が50℃未満の場合は、十分に溶液の粘度を下げることが困難となる傾向があり、溶液の温度が150℃を超えると、ポリマー溶液の変質が生じるおそれがでる場合がある。
【0190】
本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶液をキャストする際、該溶液の厚みは、特に制限されるものではないが、10〜1000μmの範囲であることが好ましく、50〜500μmの範囲であればさらに好ましい。厚みが10μm未満の場合は膜としての形態を保てなくなる傾向があり、厚みが1000μmを超えると不均一な膜ができやすくなる傾向がある。
【0191】
また、本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶液のキャスト厚を制御する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャスト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。
【0192】
本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶液をキャストする際、溶媒の除去速度すなわち樹脂組成物の凝固速度を調整することでより均一な高分子電解質膜を得ることができる。たとえば、加熱して溶媒を除去する場合には、最初の段階では低温にして蒸発速度を下げることにより溶媒の除去速度を調整することができる。また、水などの非有機溶媒に浸漬して有機溶媒を除去する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして有機溶媒の除去速度を調整することができる。
【0193】
本発明の高分子電解質膜は、目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、イオン伝導性の面からはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には、膜厚が5〜200μmの範囲にあることが好ましく、5〜50μmの範囲にあればさらに好ましく、5〜20μmの範囲にあれば最も好ましい。
【0194】
ここで、膜厚が5μm未満の場合には、燃料電池を作製した場合に短絡などが起こりやすくなる傾向があり、膜厚が200μmを超えると、高分子電解質膜の電気抵抗値が大となる傾向がある。
【0195】
なお、本発明の高分子電解質膜は、イオン伝導性に加え、加工性、耐熱性、耐久性などにも優れている。たとえば、本発明の高分子電解質膜は、該主成分である本発明の樹脂組成物が優れた溶解性を有するため、フィルム状や膜状に成形しやすいことから、加工性に優れていると言える。
【0196】
また、本発明の高分子電解質膜とパーフルオロカーボンスルホン酸を主成分とする接着剤とは接着の際の相性が優れるため、本発明の高分子電解質膜を用いた膜−電極複合体の作成時に、触媒担持カーボンのバインダとしてパーフルオロカーボンスルホン酸を主成分とする接着剤を用いても、高分子電解質膜とカーボン層との良い接着状態がえられる。この点からも、本発明の高分子電解質膜は加工性に優れていると言える。
【0197】
さらに、本発明の高分子電解質膜は、膜厚の薄い状態でも膜の取扱性の際に破断などの心配が少ない上に、長時間高分子電解質膜として用いても劣化が少ないため、耐久性に優れていると言える。
【0198】
加えて、本発明の高分子電解質膜は、80℃の熱水中に長時間浸漬しても変質や変形が起こりにくいことから、耐熱性にも優れていると言える。
【0199】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0200】
<実施例1>
まず、特開2001−49110公報に記載の方法に準じて4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE)を合成した。
【0201】
次に、トルエンに溶解した状態から再結晶により精製された9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(HF、アルドリッチ社製)1.25g(3.57mmolに相当)と、炭酸カリウム0.57g(4.12mmolに相当)と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)13mlと、トルエン10mlとを、ディーンスタークトラップ、コンデンサー、マグネティック撹拌機および窒素供給管を備えた100ml容の三つ口丸底フラスコに仕込んだ。
【0202】
続いて、この混合物を160℃に加熱し、2時間還流に供し、ついでトルエンを留去した。さらに、BPDE2.0g(3.58mmolに相当)をこの混合物に添加し、温度80℃で21時間重合を行なった。
【0203】
重合反応後、反応液を冷却して、この溶液を急速撹拌下に1%酢酸を含有する水中に注加した。そして、その結果析出した重合体を濾過により捕集し、水洗した後、乾燥した。
【0204】
上記の一連の操作の収率は、93%であり、得られた重合体のガラス転移温度は243℃であり、対数粘度は0.53dl/gであった。この重合体の1H−NMR,13C−NMRのチャート図および該チャート図から予測される重合体の繰返し単位の構造式を図1および図2に示す。図1および図2の上部に示される繰返し単位の構造式は、得られたNMRのチャート図のピークに対応する化学構造の組合わせおよび重合反応に用いた単量体の構造式から予測された繰返し単位の構造式である。また、図1および図2においては、それぞれのピークと、そのピークから予測される化学構造とには、同一の番号が付してある。
【0205】
次に、この重合体200mgを濃硫酸20mlとともに30℃で2時間撹拌した。そして、反応後、過剰の水中に注いで生成した沈殿を濾取した。さらに、沈殿の水洗を繰り返した後、生成物を乾燥することでスルホン化重合体を得た。
【0206】
その結果、この際の収率は、89%であり、得られたスルホン化重合体の対数粘度は0.51dl/gであった。この重合体の1H−NMR,13C−NMRのチャート図および該チャート図から予測される重合体の繰返し単位の構造式を図3および図4に示す。図3および図4の上部に示される繰返し単位の構造式は、得られたNMRのチャート図のピークに対応する化学構造の組合わせおよび重合反応に用いた単量体の構造式から予測された繰返し単位の構造式である。また、図3および図4においては、それぞれのピークと、そのピークから予測される化学構造とには、同一の番号が付してある。上記のNMRの結果より、得られたスルホン化重合体は、フルオレン環あたり実質2個のスルホン酸基が導入された重合体であることが確認される。
【0207】
そして、このスルホン化重合体200mgをN−メチルピロリドン2mlに溶解し、ガラス板上に流延した後、溶媒を留去することで、厚さ約15μmの強靱な高分子膜が得られた。さらに、この高分子膜を80℃の蒸留水中で1時間浸漬処理した後、イオン伝導性測定を行なったところ、0.10S/cmの値を得た。また、得られた膜を80℃の熱水中で耐久性試験を行なったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかった。さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工性テストをしたところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは認められなかった。加えて、(株)島津製作所製、TGA−50を用いてアルゴン雰囲気中で昇温速度10℃/分の条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量減少温度は310℃という結果となった。
【0208】
<実施例2>
まず、HFのかわりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン(6FBA、東京化成工業(株)製)0.6g(1.78mmolに相当)とHF0.62g(1.77mmolに相当)の混合物を用いる以外は、実施例1と同様の条件で、重合体を合成した。
【0209】
その結果、この際の収率は、92%であり、得られた重合体のガラス転移温度は207℃であり、得られた重合体の対数粘度は0.57dl/gであった。
【0210】
続いて、実施例1と同様の条件で得られた重合体のスルホン化反応を行なったところ、この際の収率は、88%であり、対数粘度が0.64dl/gのスルホン化重合体が得られた。また、得られたスルホン化重合体を1H−NMRを用いて分析した結果より、選択的にフルオレン環に対してスルホン化がおこり、フルオレン環あたり実質2個のスルホン酸が導入されたスルホン化重合体であることが確認された。
【0211】
続いて、得られたスルホン化重合体を用いて、実施例1と同様の条件で、厚さ約15μmの強靱な膜を得、イオン伝導性測定を行なったところ、0.06S/cmの値を得た。また、得られた膜を80℃の熱水中で耐久性試験を行なったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかった。さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工性テストをしたところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは認められなかった。加えて、実施例1と同様の条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量減少温度は328℃という結果となった。
【0212】
<比較例1>
まず、HFのかわりに6FBAを1.2g(3.57mmolに相当)を用いる以外は、実施例1と同様の条件で、重合体を合成した。その結果、この際の収率は94%であり、得られた重合体のガラス転移温度は176℃であり、得られた重合体の対数粘度は、0.49dl/gであった。
【0213】
続いて、実施例1と同様の条件で得られた重合体のスルホン化反応を行なったところ、図5および図6に示すように、得られた重合体のNMRスペクトルの結果と、反応前の結果との差は認められず、得られた重合体ではスルホン化反応がおこっていないことが分かった。
【0214】
<実施例3>
まず、還流管およびディーンスタークトラップを備えた25ml容のフラスコに、トルエンに溶解した状態から再結晶により精製された9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(HF、アルドリッチ社製)0.394g(1.12mmolに相当)、炭酸カリウム0.171g(1.24mmolに相当)、N−メチルピロリドン2.5mlおよびトルエン2.5mlを仕込んだ。
【0215】
次に、この混合液を窒素気流下において、130℃で2時間共沸脱水を行い、HFのカリウム塩を合成した。得られたHFのカリウム塩に量論量(約0.04ml)の水が含まれていることを確認した後、トルエンを留去し放冷した。
【0216】
続いて、反応液の温度が80℃に到達したところで、4−フェノキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゾニトリル(PTFBN)0.300g(1.12mmolに相当)を反応液に添加し、この温度を維持しながら20時間反応させた。
【0217】
そして、反応終了後、この溶液をブレンダーで激しく撹拌しながら1%酢酸水溶液中に注加した。その結果析出したポリマーを濾別し、蒸留水、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した。
【0218】
このようにして回収された重合体を30wt/vol%の濃度になるようにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、この溶液をメタノール中に撹拌下でゆっくり注加し再沈殿法により精製した。その後、完全に固化するまで放置した後、沈殿、固化した重合体を濾別し、減圧乾燥した。
【0219】
この際の収率は、94%であり、得られた重合体のガラス転移温度は232℃であり、対数粘度は0.35dl/gであった。この重合体の1H−NMRおよび該スペクトルより同定される化学構造を図7に示す。
【0220】
図7の上部に示される繰返し単位の構造式は、得られたNMRのチャート図のピークに対応する化学構造の組合わせおよび重合反応に用いた単量体の構造式から予測された繰返し単位の構造式である。また、図7においては、それぞれのピークと、そのピークから予測される化学構造とには、同一の番号が付してある。
【0221】
続けて、この重合体1gを濃硫酸10mlとともに30℃で7時間撹拌した。反応後、該反応液を過剰の水中に注いで生成した沈殿を濾取した。水洗を繰り返した後、生成物を乾燥することでスルホン化重合体を得た。この際の収率は、85%であり、得られたスルホン化重合体の対数粘度は0.40dl/gであった。このポリマーの1H−NMRおよび該スペクトルより同定される化学構造を図8に示す。
【0222】
図8の上部に示される繰返し単位の構造式は、得られたNMRのチャート図のピークに対応する化学構造の組合わせおよび重合反応に用いた単量体の構造式から予測された繰返し単位の構造式である。また、図8においては、それぞれのピークと、そのピークから予測される化学構造とには、同一の番号が付してある。上記のNMRの結果より、得られたスルホン化重合体は、選択的にフェノキシ環およびフルオレン環に対してスルホン化がおこり、フェノキシ環あたり実質1個、フルオレン環あたり実質2個のスルホン酸基が導入された重合体であることが確認された。
【0223】
続いて、得られたスルホン化重合体と未スルホン化重合体を1:1で混合し、実施例1と同様の条件で、厚さ約15μmの強靱な膜を作製し、イオン伝導性測定を行なったところ、0.09S/cmの値を得た。また、得られた膜を80℃の熱水中で耐久性試験を行なったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかった。さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工性テストをしたところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは認められなかった。加えて、実施例1と同様の条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量減少温度は287℃という結果となった。
【0224】
<実施例4>
まず、BPDEの代わりに、BPDEにその異性体4,2−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)を約10%含む混合物を用いる以外は、実施例1と同様の条件で、重合体を合成した。
【0225】
その結果、この際の収率は95%であり、得られた重合体のガラス転移温度は239℃であり、得られた重合体の対数粘度は0.81であった。
【0226】
この重合体の1H−NMRスペクトルを図9に示す。図9は、図1と同様のスペクトルパターンを示しているが、異性体モノマーの影響により図1には見られない小さなシグナルも認められる。
【0227】
次に、実施例1と同様の条件で得られた重合体のスルホン化反応を行なったところ、この際の収率は86%であり、対数粘度が0.86dl/gのスルホン化重合体が得られた。ここで、得られたスルホン化重合体を1H−NMRを用いて分析した結果を図10に示す。図10に示すように、実施例1の場合と同様にほぼ選択的にフルオレン環に対してスルホン化が起こり、フルオレン環あたり実質2個のスルホン酸が導入されたスルホン化重合体であることが確認された。
【0228】
続いて、得られたスルホン化重合体を用いて、実施例1と同様の条件で、厚さ約15μmの強靭な膜を得、イオン伝導性測定を行なったところ、0.10S/cmの値を得た。また、得られた膜を80℃の熱水中で耐久性試験を行なったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかった。さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工性テストをしたところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは認められなかった。加えて、実施例1と同様の条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量減少温度は308℃という結果となった。
【0229】
<分析結果および性能評価>
ここで、実施例1〜4および比較例1において得られた重合体について実施した、(i)溶液粘度、(ii)ガラス転移温度、(iii)NMRスペクトル、などの測定は、下記の測定方法に従った。NMRスペクトルを除く測定結果を表1にまとめる。NMRスペクトルの測定結果は、図1〜図10に示す。
【0230】
また、実施例1〜4および比較例1において得られた高分子電解質膜について実施した、(iv)イオン伝導性測定、(v)加工性、(vi)耐久性、(vii)耐熱性、などの測定あるいは評価は、下記の測定方法あるいは評価方法に従った。結果を表1にまとめる。
<測定方法および評価方法>
(i)溶液粘度の測定
得られた重合体の粉末を、0.5g/dlの濃度となるようにN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ粘度計を用いて粘度測定を行なった。測定した溶液粘度は、対数粘度({ln(ta/tb)}/c、taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度(単位g/dl))で評価した。
【0231】
(ii)ガラス転移温度の測定
(株)島津製作所製、DSC−50を用い、試料10mgについてアルゴン雰囲気中昇温速度20℃/分で測定した。
【0232】
(iii)NMRスペクトルの測定
得られた重合体からなる試料を、重水素化DMSOに溶解し、Varian社製、Unity−500(1H−NMR、温度80℃)およびGemini−200(13C−NMR、温度60℃)を用いて測定した。次に、測定スペクトルを分析し、重合体の化学構造を推測した。
【0233】
(iv)イオン伝導性の測定
自作測定用プローブ(テフロン(R)製)上で、得られた高分子電解質膜からなる短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃、95%RHの恒温、恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所製、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社製、1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。
【0234】
測定の際には、極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から、下記の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出し、該高分子電解質膜のイオン伝導性とした。
【0235】
導電率の計算式:導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
(v)加工性の評価
白金担持量が20wt%であるカーボンブラック0.72gと、ナフィオン(R)溶液(デュポン社製、「ナフィオン(R)」溶液20%)1gとを、均一になるようにグリセリン5gに混合分散することによって、ペーストを調整した。次いで、テフロン(R)フィルム(FEP)の一方の面に、このペーストをアプリケーターを用いて塗布、減圧乾燥することにより、テフロン(R)フィルム上に触媒層を形成した。
【0236】
続けて、平板プレスのプレス板の間に、触媒層が高分子電解質膜と接触するようにして、テフロン(R)フィルムと高分子電解質膜とを180℃、5MPaの条件で3分間挟持した後に、テフロン(R)フィルムを高分子電解質膜から剥離することにより、触媒層を固体高分子電解質膜に転写した。その際の触媒層の接着状況を観察して、下記の基準に従って評価した。
◎:均一に転写されている
○:ほぼ均一に転写されているが、極一部に未転写部が存在する
△:部分的に未転写部が存在する
×:未転写部が多い
(vi)耐久性の評価
高分子電解質膜からなるフィルム試料を、溶封したアンプル中で、80℃の水中に浸漬して3日間放置した。処理前後のフィルム形態の変化を目視で観察し、下記の基準に従って耐久性の評価を行なった。
◎:形態変化なし
○:わずかに膨潤が認められる
△:形態の崩れが認められる
×:溶解してしまっている
(vii)耐熱性の評価
高分子電解質膜からなるフィルム試料を、(株)島津製作所製、TGA−50を用いて、アルゴン雰囲気中にて昇温速度10℃/分で3%質量減少温度を測定した。
【0237】
【表1】
【0238】
表1および図1〜図10の結果より、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する高分子電解質膜は、イオン伝導性、加工性、耐久性、耐熱性に優れたものであることがわかる。
【0239】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0240】
【発明の効果】
本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、スルホン酸基の導入量を高度に制御できるため、優れたイオン伝導性に加え、物理強度、耐久性、耐熱性、加工性にも優れた高分子電解質膜の素材として好適に用いることが可能である。また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、製造工程が簡便であるため、品質が安定しており、製造コストが低いという優れた性質を有する。
【0241】
同様に、本発明の樹脂組成物も、優れたイオン伝導性に加え、物理強度、耐久性、耐熱性、加工性にも優れた高分子電解質膜の素材として好適に用いることが可能である。また、本発明の樹脂組成物も、品質が安定しており、製造コストが低いという優れた性質を有する。
【0242】
さらに、本発明の高分子電解質膜も同様に、優れたイオン伝導性、物理強度、耐久性、耐熱性、および加工性、を有し、かつ、品質が安定しており、製造コストが低いため、燃料電池などの素材として好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図2】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合体の13C−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図3】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図4】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の13C−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図5】 BPDEと6FBAから合成したフッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図6】 BPDEと6FBAから合成したフッ素含有重合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図7】 PTFBNとHFから合成したフッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図8】 PTFBNとHFから合成したフッ素含有重合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造を表わす図である。
【図9】 異性体混合BPDEとHFから合成したフッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルを表わす図である。
【図10】 異性体混合BPDEとHFから合成したフッ素含有重合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の1H−NMRスペクトルを表わす図である。
Claims (15)
- 下記の式(1)で表される繰返し単位を含有し、対数粘度が0.1以上であるスルホン化フッ素含有重合体。
- 式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、r1〜r29は0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスルホン化フッ素含有重合体。
- 式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、n1〜n29は0〜2の整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n7+n8,n9+n10,n14+n15+n16+n17,n18+n19+n20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27+n28+n29は2であり、n11+n12+n13は1または2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスルホン化フッ素含有重合体。
- 式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であるRにおいて、n1〜n11,n14,n17〜n19,n22,n23,n26,n27は1であり、n12,n13,n15,n16,n20,n21,n24,n25,n28,n29は0であることを特徴とする請求項6に記載のスルホン化フッ素含有重合体。
- Rが式(2f),(2g),(2h),(2i),(2j)で示される結合単位のうちの一種または二種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスルホン化フッ素含有重合体。
- 下記の式(7)で表される繰返し単位を含有し、対数粘度が0.1以上であるスルホン化フッ素含有重合体。
- 式(7)で表わされる繰返し単位が式(8)で表される繰返し単位であることを特徴とする請求項10に記載のスルホン化フッ素含有重合体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のスルホン化フッ素含有重合体と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリイミド、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂から選ばれる樹脂類とを含有する樹脂組成物。
- 請求項12に記載の樹脂組成物を含有する高分子電解質膜。
- 請求項10または11に記載のスルホン化フッ素含有重合体と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリイミド、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂から選ばれる樹脂類とを含有する樹脂組成物。
- 請求項14に記載の樹脂組成物を含有する高分子電解質膜。
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