JP2006219580A - イオン性基を有するポリマー、高分子電解質材料、高分子電解質部品、膜電極複合体、および高分子電解質型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A1)、(A2)および(A3)から選ばれた少なくとも2つのビスフェノールから得られる構造を有し、スルホン酸基、スルホンイミド基等のイオン性基を有するポリマー。
(A1)フルオレン構造の結合基を有するビスフェノール
(A2)ジフェニルメタン構造の結合基を有するビスフェノール
(A3)フェノールフタレイン構造の結合基を有するビスフェノール
【選択図】 なし
Description
本発明のイオン性基を有するポリマーは、式(A1)の基を含有し、さらに式(A2)および式(A3)から選ばれた少なくとも1つの基を含有することが、燃料遮断性、燃料による膨潤への耐性、および製膜溶媒への溶解性のいずれにも優れた特性を得るという観点で、より好ましい。さらに好ましくは式(A1)の基と式(A2)の基を両方を含有することである。
式(Z1−A1)で表される基の中で、特に好ましいものは下記式(Z1−A1−1)および(Z1−A1−2)で表される基であり、最も好ましいものは式(Z1−A1−1)で表される基である。
式(B1)で表される基の中で、特に好ましいものは下記式(B1−1)〜(B1−4)で表される基であり、最も好ましいものは式(B1−1)で表される基である。
式(C1)、(C2)、(C3)および(C4)で表される基の中で、燃料による膨潤への耐性、および製膜溶媒への溶解性のバランスに優れる点で特に好ましいものはそれぞれ下記式(C1−1)、(C2−1)、(C3−1)および(C4−1)で表される基である。
式(P4)の繰り返し単位を含むことにより、溶解性や機械物性をより良好にすることができる。Z14で表される基として好ましいのは下記式(Z1−1)〜(Z1−12)で表される基である。
(1) 試料をミルにより粉砕し、粒径を揃えるため、目50メッシュの網ふるいにかけ、ふるいを通過したものを測定試料とする。
(2) サンプル管(蓋付き)を精密天秤で秤量する。
(3) 前記(1)の試料 約0.1gをサンプル管に入れ、40℃で16時間、真空乾燥する。
(4) 試料入りのサンプル管を秤量し、試料の乾燥重量を求める。
(5) 塩化ナトリウムを30重量%メタノール水溶液に溶かし、飽和食塩溶液を調製する。
(6) 試料に前記(5)の飽和食塩溶液を25mL加え、24時間撹拌してイオン交換する。
(7) 生じた塩酸を0.02mol/L水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液(0.1体積%)を2滴加え、薄い赤紫色になった点を終点とする。
(8) イオン交換容量は下記の式により求める。
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/試料の乾燥重量(g)
本発明のイオン性基を有するポリマーには本発明の目的を阻害しない範囲において、他の成分、例えば導電性若しくはイオン伝導性を有さない不活性なポリマーや有機あるいは無機の化合物、が含有されていても構わない。
[測定方法]
実施例で採用する測定方法を以下に説明する。
ポリマーの重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めた。
接触式膜厚計にて測定した。
高分子電解質膜の試料を25℃において30%メタノール水溶液(重量比で試料量の1000倍以上)に撹拌しながら12時間浸漬し、その後20℃において純水(重量比で試料量の1000倍以上)に撹拌しながら24時間以上浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
高分子電解質膜の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、20℃において測定した。
膜電極複合体(MEA)をエレクトロケム社製セルにセットし、アノード側に30%メタノール水溶液、カソード側に空気を流してMEA評価を行った。評価はMEAに定電流を流し、その時の電圧を測定した。電流を順次増加させ電圧が10mV以下になるまで測定を行った。各測定点での電流と電圧の積が出力となるが、その最大値(MEAの単位面積あたり)を出力(mW/cm2)とした。
出力:最大出力密度(mW/cm2)
容積:燃料の容積(本実施例では10mLとして計算した。)
濃度:燃料のメタノール濃度(%)
MCO:MEAでのMCO(μmol・min−1・cm−2)
電流密度:最大出力密度が得られるときの電流密度(mA/cm2)
合成例1
市販の“ナフィオン”117膜(デュポン社製(商品名))を用い、プロトン伝導度およびメタノール透過量を評価した。ナフィオン117膜は、100℃の5%過酸化水素水中にて30分、続いて100℃の5%希硫酸中にて30分浸漬した後、100℃の脱イオン水でよく洗浄した。メタノール透過量は5.9μmol・min−1・cm−2、プロトン伝導度は5.7S・cm−2であった。
炭酸カリウム6.9g、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン7.0g、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン7.0g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン5.2g、および合成例1で得た式(m1)の化合物6.8gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、190℃で重合を行った。この間、適宜トルエンを加えて共沸法により重合系から水を除去した。多量の水で再沈することで精製を行い、イオン性基を有するポリマーを得た。このポリマーは前記式(A1)と(A2)の両方の基を有するものである。得られたポリマーの重量平均分子量は24万であった。
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン14.0gを用い、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンを用いないこと以外は実施例1と同様にして、イオン性基を有するポリマーを得た。このポリマーは前記式(A1)の基のみを有するものである。得られたポリマーの重量平均分子量は25万であった。
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを用いず、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン14.0gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、イオン性基を有するポリマーを得た。このポリマーは前記式(A2)の基のみを有するものである。得られたポリマーの重量平均分子量は22万であった。
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの代りに9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−フェニルフェニル)フルオレン10.1gを用い、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンの代りにフェノールフタレイン6.4gを用い、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの代りに2,6−ジクロロベンゾニトリル4.1gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、イオン性基を有するポリマーを得た。前記式(A1)と(A3)の両方の基を有するものである。得られたポリマーの重量平均分子量は20万であった。
(1)膜電極複合体(MEA)の作製
炭素繊維クロス基材に20%ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液を用いて撥水処理を施し、焼成して電極基材を2枚作製した。
(2)高分子電解質型燃料電池の作製
前記(1)で得られたMEAをエレクトロケム社製セルに挟みアノード側に30重量%メタノール水溶液、カソード側に空気を流して高分子電解質型燃料電池とした。
膜電極複合体と高分子電解質型燃料電池の作製は、アノード電極触媒塗液の調製において、実施例1で得た高分子電解質材料のN−メチル−2−ピロリドン溶液の代りに“ナフィオン”溶液を用いる他は実施例3と同様にして行った。出力は22mW/cm2、エネルギー容量は2.4Whであった。
“ナフィオン”117膜を用い、膜電極複合体と高分子電解質型燃料電池の作製は実施例4と同様にして行った。出力は8mW/cm2を示し低い値であった。エネルギー容量も0.6Whであり低い値であった。
Claims (12)
- 前記式(A1)においてQ1が直接結合であり、前記式(A2)においてQ2がフェニル基であり、前記式(A3)においてQ3がカルボニル基であり、Q4がOおよびN−R1から選ばれた置換基であることを特徴とする請求項1に記載のイオン性基を有するポリマー。
- イオン性基がスルホン酸基またはスルホンイミド基であることを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載のイオン性基を有するポリマー。
- イオン性基がスルホン酸基であることを特徴とする、請求項6に記載のイオン性基を有するポリマー。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のイオン性基を有するポリマーからなる高分子電解質材料。
- 請求項8に記載の高分子電解質材料を用いて構成されていることを特徴とする高分子電解質部品。
- 請求項9に記載の高分子電解質部品を用いて構成されていることを特徴とする膜電極複合体。
- 請求項10に記載の膜電極複合体を用いて構成されていることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
- 該高分子電解質型燃料電池が、炭素数1〜6の有機化合物およびこれと水との混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料に用いる直接型燃料電池である請求項11に記載の高分子電解質型燃料電池。
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