JP2007109472A - 燃料電池用膜−電極接合体 - Google Patents

燃料電池用膜−電極接合体 Download PDF

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Nobuyuki Kaneoka
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Abstract

【課題】スルホン化ポリアリーレンからなり、耐クリープ変形性、耐熱性および膜強度などに優れるとともに、低湿度等の種々の条件下においても充分に高いプロトン伝導性を示す固体高分子電解質膜を用いた燃料電池用膜−電極接合体を提供すること。
【解決手段】本発明の燃料電池用膜−電極接合体は、ガス拡散層および触媒層を有する一対の電極が固体高分子電解質膜の両面に該触媒層側が接するように設けられ、該固体高分子電解質膜が下記一般式(1)で表される構成単位を有するスルホン化ポリアリーレンを含む。下記式中、Zは直接結合または2価の有機基を示し、nは1〜10の整数である。
Figure 2007109472

【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用膜−電極接合体に関し、より詳しくは、アニオン性基およびカチオン性基を有するスルホン化ポリアリーレンを含む固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体に関する。
固体高分子型燃料電池は、基本的に2つの触媒電極と、電極に挟まれた固体高分子電解質膜とからなる膜−電極接合体によって構成されている。燃料である水素は一方の電極でイオン化され、この水素イオンは固体高分子電解質膜中を拡散した後に他方の電極で酸素と結合する。このとき2つの電極を外部回路で接続していると、電流が流れて外部回路に電力が供給される。ここで固体高分子電解質膜は、水素イオンを拡散させると同時に、燃料ガスの水素と酸素とを物理的に隔離し、かつ電子の流れを遮断する機能を担っている。
固体高分子電解質膜としては、DuPont社、Dow社、旭化成社、旭硝子社などから提案されているパーフルオロカーボンスルホン酸膜に代表されるフッ素系電解質膜がある。このフッ素系電解質膜は化学的安定性に優れていることから、過酷な条件下で使用される燃料電池や水分解のための電解質膜として使用されている。
しかしながら、フッ素系電解質膜に代表される多くの電解質膜は、ガラス転移点が比較的低く、高温の作動条件下ではクリープ変形を起こし、膜厚が経時的に変化するという問題点がある。そのため、このような電解質膜を用いた燃料電池の作動温度は100℃以下、悪ければ80℃以下に限定される。
したがって、フッ素系電解質膜などの電解質膜は、宇宙用あるいは軍用の固体高分子型燃料電池などの特殊な用途に限られ、自動車用の低公害動力源、民生用小型分散電源、携帯用電源などに応用する場合には、原燃料である低分子の炭化水素から水素ガスを主成分とする改質ガスを製造し、得られた改質ガスを冷却したり、改質ガス中の一酸化炭素を除去する必要があるなどシステムが複雑になるという問題がある。
また、燃料電池は、高い温度で作動させるほうが電極触媒が高活性になって電極過電圧が低下し、電極の一酸化炭素による被毒も少なくなることからも、高温下(100℃以上)で十分なプロトン伝導度を示す固体高分子電解質膜の開発が望まれている。
特許文献1(米国特許第5,403,675号公報)には、スルホン化された剛直ポリフェニレ
ンからなる固体高分子電解質が開示されている。このポリマーは、フェニレン連鎖からなる芳香族化合物を重合して得られるポリマーを主成分とし、これをスルホン化剤と反応させてスルホン酸基を導入している。しかしながら、スルホン酸基の導入量の増加によって、プロトン伝導度が向上するものの、同時に得られるスルホン化ポリマーの機械的性質、たとえば、破断伸び、耐折り曲げ性等の靭性や耐熱水性は著しく損なわれるという問題がある。
また、上記フッ素系電解質膜などの従来の電解質膜がプロトン伝導性を発揮するには、適正量の水分が必要となるが、燃料電池は様々な条件下においても対応できることが求められている。したがって、低温化での水分凍結等によって電解質膜の含水率が低い場合においても、充分なプロトン伝導性を示す電解質膜の開発が望まれている。
低含水率におけるプロトン伝導性を向上させる方法として、カチオン性基を高分子電解
質中に導入することが考えられる。しかしながら、電解質中にカチオン性基を導入することによって、低含水率におけるプロトン伝導性を向上することはできるが、同時に含まれるスルホ基(−SO3 -)等のアニオン性基の酸性度が低下してプロトン伝導性が充分に発揮されないという問題がある。
米国特許第5,403,675号公報
本発明の課題は、スルホン化ポリアリーレンからなり、耐クリープ変形性、耐熱性および膜強度などに優れるとともに、低湿度等の種々の条件下においても充分に高いプロトン伝導性を示す固体高分子電解質膜を用いた燃料電池用膜−電極接合体を提供することにある。
本発明に係る燃料電池用膜−電極接合体は、触媒層を有する一対の電極が固体高分子電解質膜の両面に該触媒層側が接するように設けられ、該固体高分子電解質膜が、下記一般式(1)で表される構成単位と、下記一般式(2)で表される構成単位と、下記一般式(3)で表される構成単位とを有するスルホン化ポリアリーレンを含むことを特徴とする。
Figure 2007109472
(式(1)中、Qは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(
CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−および直接結合からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、jは1〜10の整数である。)
Figure 2007109472
(式(2)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−
(CF2l−(lは1〜10の整数である)または−C(CF32−を示し、Zは、独立に直接結合、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−または−S−を示し、Arは、−SO3Hまたは−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し
、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
Figure 2007109472
(式(3)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−SO
−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数を示す。)、−(CH2l−(lは1〜10の整数を示す。)、−CRa 2−(Raは脂肪族炭化水素基、芳
香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基
、一部もしくは全部がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
本発明の膜−電極接合体を用いれば、該接合体を構成する固体高分子電解質膜が、耐クリープ変形性、耐熱性および膜強度などに優れるとともに、低湿度等の種々の条件下においても充分に高いプロトン伝導性を示すため、種々の過酷な使用環境下においても安定して優れた発電性能を発揮する固体高分子型燃料電池を提供することができる。
以下、本発明に係る燃料電池用膜−電極接合体について、詳細に説明する。
本発明の燃料電池用膜−電極接合体(以下、単に「MEA」ともいう。)は、ガス拡散層および触媒層を有する一対の電極が、固体高分子電解質膜の両面に、該触媒層側が接するように設けられており、該固体高分子電解質膜は、アニオン性基とカチオン性基とを有する特定のスルホン化ポリアリーレン(以下、単に「スルホン化ポリアリーレン」ともいう。)とからなる。
〔スルホン化ポリアリーレン〕
本発明で用いられるスルホン化ポリアリーレンは、下記一般式(1)で表される構成単位(以下「構成単位(1)」ともいう。)と、下記一般式(2)で表される構成単位(以下「構成単位(2)」ともいう。)と、下記一般式(3)で表される構成単位(以下「構成単位(3)」ともいう。)とを有するポリマーである。
<構成単位(1)>
Figure 2007109472
式(1)中、jは1〜10の整数、好ましくは3または4であり、Qは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数で
ある)、−C(CF32−、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−および直接結合からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
上記式(1)において、アニオン性基は−SO3 -(スルホ基)であり、カチオン性基はピリジン骨格部の4級窒素である。
上記のような構成単位(1)を有するスルホン化ポリアリーレンは、同一分子上の同一側鎖上にカチオン性基とアニオン性基との双方を有することになるため、カチオン性基が導入されても、アニオン性基の酸性度が低下することがない。したがって、カチオン性基の導入によって、低湿度条件におけるプロトン伝導性が向上するとともに、アニオン性基のプロトン伝導性が充分に発揮される。
<構成単位(2)>
Figure 2007109472
式(2)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−
(CF2l−(lは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示す。これらの中では、−CO−および−SO2−が好ましい。
Zは、独立に直接結合、−(CH2l−(lは1〜10の整数を示す。)、−C(CH32−、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合および−O−が好ましい。
Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜
12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示す。芳香族基としては、たとえば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの中では、フェニル基およびナフチル基が好ましい。また、Arは、−SO3H、
−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3Hで表される置換基を少なくとも1個有していることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上有することが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
上記構成単位(2)の好ましい構造としては、上記式(2)において、
(1)m=0、n=0であり、Yが−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基と
して−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが
置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
を有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基と
して−O(CH24SO3Hを有するフェニル基である構造
などを挙げることができる。
<構成単位(3)>
Figure 2007109472
上記式(3)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数を示す。)、−(CH2l−、−CRa 2−、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合、−CO−、−SO2−、−CRa 2−、シク
ロヘキシリデン基、フルオレニリデン基および−O−が好ましい。なお、Raは脂肪族炭
化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部もしくは全部がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示す。
上記R1〜R16におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
上記構成単位(3)の好ましい構造としては、上記式(3)において、
(1)s=1、t=1であり、Aが−CRa 2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレニ
リデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CRa 2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレニ
リデン基であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニトリ
ル基である構造
などが挙げられる。
<組成>
上記スルホン化ポリアリーレンは、上記構成単位(1)を0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.99モル%、特に好ましくは20〜99.9モル%の割合で、上記構成単位(2)を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.01モル%、特に好ましくは80〜0.1モル%の割合で含有していることが望ましい。上記構成単位(3)の含有量は任意であり、構成単位(1)および構成単位(2)以外の残りが構成単位(3)に相当し、構成単位(3)が含まれている場合には、99.5〜0.01モル%、好ましくは89.5〜0.5モル%の割合であることが望ましい(なお、この場合、構成単位(1)、(2)および(3)の合計量が100モル%となる量で、構成単位(1)および(2)が含まれる)。
〔スルホン化ポリアリーレンの製造方法〕
上記スルホン化ポリアリーレンは、上記構成単位(1)となりうるアニオン性基およびカチオン性基を有するモノマー(以下「モノマー(1’)」ともいう。)と、上記構成単位(2)となりうるモノマー(以下「モノマー(2’)」ともいう。)と、上記構成単位(3)となりうるモノマー(オリゴマーを含む。以下「モノマー(3’)」ともいう。)とを共重合させることにより製造することができる。
あるいは、上記構成単位(1)においてピリジン骨格部の窒素原子上に置換基(−(CH2n−SO3 -)を有しない構成単位と、上記構成単位(2)と、上記構成単位(3)とからなるポリアリーレンを予め合成した後、該窒素原子とスルホ基との間のアルキレン基に相当する炭素数nを有するアルキルスルトンを反応させて、該窒素原子上にアニオン性置換基−(CH2n−SO3 -を導入することにより合成することもできる。
<モノマー(1’)>
上記構成単位(1)となりうるモノマー(1’)としては、たとえば、下記一般式(1’)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007109472
式(1’)中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2
(ここで、Gはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示し、jおよびQは、それぞれ上記一般式(1)中のjおよびQと同義である。
なお、上記非スルホン化ポリアリーレンを合成する際に用いることができる、上記構成単位(1)において窒素上にアニオン性置換基を有しない構成単位となりうる単量体(以下「モノマー(1”)」ともいう。)としては、下記一般式(1”)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007109472
式(1”)中、XおよびQは、それぞれ上記一般式(1’)中のXおよびQと同義である。
<モノマー(2’)>
上記構成単位(2)となりうるモノマー(2’)としては、たとえば、下記一般式(2’)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007109472
式(2’)中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2
(ここで、Gはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示し、Y,Z,Ar,m,n,kは上記一般式(2)中のY,Z,Ar,m,n,kと同義である。
上記一般式(2)で表される構造単位となりうるモノマー(2’)としては、たとえば、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
<モノマー(3’)>
上記構成単位(3)となりうるモノマー(3’)(オリゴマーを含む。)としては、たとえば、下記一般式(3’)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007109472
式(3’)中、R’およびR”は、互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2G(Gはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはア
リール基を示す。)で表される基を示し、A、B、D、R1〜R16、s、t、rは上記一
般式(3)中のA、B、D、R1〜R16、s、t、rと同義である。
上記一般式(3)で表される構造単位となりうるモノマーまたはオリゴマーとしては、r=0の場合、たとえば、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルなどが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物なども用いることができる。
r=1の場合、たとえば、特開2003−113136号公報に記載の化合物などが挙げられる。
r≧2の場合、たとえば、特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特開2004−346164号公報、特開2005−112985号公報、特願2004−211739号、特願2004−211740号に記載の化合物などが挙げられる。
<スルホン化ポリアリーレンの合成>
上記スルホン化ポリアリーレンは、モノマー(1’)またはモノマー(1”)と、モノマー(2’)と、モノマー(3’)とを、遷移金属化合物を含む触媒系の存在下に反応させることにより合成される。この触媒系は、(i)遷移金属塩および配位子となる化合物
(以下「配位子成分」ともいう。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)と、(ii)還元剤とを必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために「塩」を添加してもよい。
上記遷移金属塩としては、たとえば、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらの中では、塩化ニッケルおよび臭化ニッケルが好ましい。
上記配位子成分としては、たとえば、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる。これらの中では、トリフェニルホスフィンおよび2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記配位子が配位された遷移金属錯体としては、たとえば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シクロ
オクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらの中では、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)および塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
上記還元剤としては、たとえば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらの中では、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いてもよい。
上記触媒系において添加することのできる「塩」としては、たとえば、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物;フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらの中では、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
上記遷移金属塩または遷移金属錯体は、上記モノマーの総計(モノマー(1’)+(2’)+(3’)またはモノマー(1”)+(2’)+(3’)、以下同様。)1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルの量で用いられる。使用量が上記範囲よりも低いと、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、上記範囲を超えると、分子量が低下することがある。
上記触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルの量で用いられる。配位子成分の使用量が上記範囲よりも低いと、触媒活性が不十分となることがあり、一方、上記範囲を超えると、分子量が低下することがある。
上記還元剤は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルの量で用いられる。還元剤の使用量が上記範囲よりも低いと、重合が十分進行しないことがあり、上記範囲を超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
上記触媒系に「塩」を添加する場合、該「塩」は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルの量で用いられる。「塩」の使用量が上記範囲よりも低いと、重合速度を上げる効果が不十分となることがあり、上記範囲を超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
上記モノマー(1’)またはモノマー(1”)と、モノマー(2’)と、モノマー(3’)とを反応させる際に用いられる重合溶媒としては、たとえば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。これらの中では、テトラヒドロフラン、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−
ピロリドン(NMP)、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。反応条件としては、重合温度が、通常0〜200℃、好ましくは50〜120℃であり、重合時間が、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
<脱保護>
上記モノマー(1’)、(2’)および(3’)を共重合させることにより得られた重合体は、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記モノマー(2’)に由来するスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換する。
<前駆体ポリアリーレンへのアニオン性置換基の導入>
上記スルホン化ポリアリーレンは、上記モノマー(1”)、(2’)および(3’)を、上記と同様の方法で共重合させることにより予め前駆体ポリアリーレンを合成し、この前駆体ポリアリーレンとアルキルスルトンとを反応させて、ピリジン環の窒素原子上にアルキレン基を介してスルホ基を導入し、さらに、得られた重合体を特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記モノマー(2’)に由来するスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換することにより合成される。あるいは、上記モノマー(1”)、(2’)および(3’)から得られた重合体を、まず、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記モノマー(2’)に由来するスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換した後、アルキルスルトンとを反応させて、ピリジン環の窒素原子上にアルキレン基を介してスルホ基を導入することもできる。
前駆体ポリアリーレンとアルキルスルトンとの反応条件としては、反応温度が、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃であり、反応時間が、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。反応溶媒としては、上記重合溶媒と同様のもの(たとえば、NMPなど)を用いることができる。
<スルホン化ポリアリーレンの性質>
上記のような方法により製造されるスルホン化ポリアリーレン中の、スルホン酸当量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。スルホン酸当量が上記範囲よりも低いと、プロトン伝導度が低く実用的ではなく、上記範囲を超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがある。このスルホン酸当量は、たとえば、モノマー(1’)、(1”)、(2’)、(3')の
種類、使用割合、組み合わせなどを変えることにより、調整することができる。
上記のようにして得られるスルホン化ポリアリーレンの重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
なお、上記スルホン化ポリアリーレンの構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1、1,160〜1,190cm-1のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、スルホン酸の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
〔固体高分子電解質膜〕
本発明のMEAを構成する固体高分子電解質膜(以下「プロトン伝導膜」ともいう。)は、上記スルホン化ポリアリーレンを含む組成物(以下「プロトン伝導体組成物」ともいう。)からなり、該組成物は、プロトン伝導性を損なわない範囲で、フェノール性水酸基含有化合物、アミン系化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物などの酸化防止剤や老化防止剤などを含んでもよい。
<老化防止剤>
上記老化防止剤としては、分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物が好ましく、このような老化防止剤を含有させることにより電解質としての耐久性をより向上させることができる。
上記老化防止剤として用いられるヒンダードフェノール系化合物としては、たとえば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキ
シ−ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシ
アヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)
などを挙げることができる。
上記ヒンダードフェノール系化合物は、スルホン化ポリアリーレン100重量部に対して0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
<プロトン伝導体組成物>
上記プロトン伝導体組成物は、たとえば、上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法、具体的にはホモジナイザー、ディスパーサー、ペイントコンディショナー、ボールミルなどの高シェアのかかる混合機を用いて混合することにより調製することができる。この際には、溶剤を用いてもよい。
<固体高分子電解質膜の製造方法>
上記プロトン伝導体組成物を用いてプロトン伝導膜を製造する方法としては、特に限定されないが、たとえば、上記スルホン化ポリアリーレンを含むプロトン伝導体組成物を溶剤に溶解して溶液とした後、キャスティングにより基体上に流延し、フィルム状に成形するキャスティング法などが挙げられる。なお、プロトン伝導膜を作製する際に、上記プロトン伝導体組成物以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
上記基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、たとえばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
上記プロトン伝導体組成物を溶解する溶剤としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらの中では、溶解性および溶液粘度の点で、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。上記非プロトン系極性溶剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記溶剤として、上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いることもできる。このようなアルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられる。これらの中では、幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があることから、メタノールが好ましい。アルコールは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記溶媒として、非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いる場合には、非プロトン系極性溶剤の含有量が、95〜25重量%、好ましくは90〜25重量%であり、アルコールの含有量が5〜75重量%、好ましくは10〜75重量%(ただし、合計は100重量%)である。アルコールの含有量が上記範囲内であると、溶液粘度を下げる効果に優れる。
この際のポリマー濃度は、スルホン化ポリアリーレンの分子量にもよるが、通常、5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。ポリマー濃度が上記範囲よりも低いと、厚膜化し難く、ピンホールが生成しやすい。一方、上記範囲を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、スルホン化ポリアリーレンの分子量や、ポリマー濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。溶液粘度が上記範囲よりも低いと、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、上記範囲を超えると、粘度が高過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記のようにして成膜した後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬すると、未乾燥フィルム中の有機溶剤を水と置換することができ、得られるプロトン伝導膜の残留溶媒量を低減することができる。なお、成膜後、未乾燥フィルムを水に浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式でもよく、また、通常得られる基材フィルム(たとえば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、あるいは、基板から分離した膜(フィルム)を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方法でもよい。
バッチ方式の場合は、処理されたフィルムの表面の皺形成を抑制するために、処理フィルムを枠にはめるなどの方式で行うことが好ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、未乾燥フィルム1重量部に対し、水が10重量部以上、好ましくは30重量部以上の接触比となるようにすることがよい。得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量をできるだけ少なくするために、できるだけ大きな接触比を維持することが好ましい。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量の低減に有効である。プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるために、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが効果的である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、通常5〜80℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。高温ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面状態が荒れる懸念がある。浸漬時間は、初期の残存溶媒量や接触比、処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後乾燥すると、残存溶媒量が低減されたプロトン伝導膜が得られるが、このようにして得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量は、通常5重量%以下である。
また、浸漬条件によっては、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を1重量%以下とすることもできる。たとえば、未乾燥フィルムと水との接触比(水/未乾燥フィルム、重量比)を50以上、浸漬する際の水の温度を10〜60℃、浸漬時間を10分〜10時間とすることにより、このような残存溶媒量とすることができる。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分間乾燥し、次いで、50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下、0.5〜24時間真空乾燥することにより、プロトン伝導膜を得ることができる。
上記方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
<アニオン性化合物>
上記高分子電解質膜は、上記スルホン化ポリアリーレンにより構成されていることから、該スルホン化ポリアリーレン中の構成単位(1)の側鎖上にカチオン性基とアニオン性基との双方を有するが、さらに、アニオン性化合物を含有してもよい。これにより、ポリマー中に導入されたカチオン性基が中和され、ポリマーの酸性度が向上するため、アニオン性基のイオン伝導性を向上させることができる。
上記アニオン性化合物としては、通常、ブレンステッド酸が用いられ、特に、強酸であるH2SO4、H3PO4、HClおよびトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる化合物を使用することができる。これらの中では、H2SO4が特に好ましく用いられる。
上記アニオン性化合物の含有量は、上記スルホン化ポリアリーレン中に含まれるカチオン性基とほぼ当量となる量であることが好ましい。
〔膜−電極接合体〕
本発明の膜−電極接合体は、上記プロトン伝導膜が酸素極と燃料極との間に挟持されている。酸素極および燃料極は、いずれも触媒層と必要に応じて拡散層とを備え、触媒層側でプロトン伝導膜に接している。
上記拡散層は、ガス透過性および電子伝導性を兼ね備えたものであればよく、通常、カーボンペーパーおよび下地層からなる。下地層は、たとえば、所定の重量比で混合したカーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とをエチレングリコール等の有機溶媒に均一に分散したスラリーを、カーボンペーパーの片面に塗布して乾燥することにより形成される。
上記触媒層は、導電材、バインダーおよび触媒金属などから構成される。導電材としては、炭素材料や各種金属が用いられ、たとえば、カーボンブラックや黒鉛などが挙げられる。バインダーとしては、パーフルオロスルホン酸系樹脂、スルホン化された芳香族ポリマー樹脂などが挙げられる。触媒金属としては、白金、ルテニウム、ロジウム、およびそれらの合金などが挙げられる。
上記触媒層は、たとえば、カーボンブラックに所定の重量比で白金を担持させた触媒粒子とイオン伝導性バインダーとを均一に混合した触媒ペーストを、上記拡散層上に塗布して乾燥することにより形成される。
上記膜−電極接合体は、上記プロトン伝導膜を、酸素極および燃料極の両触媒層に挟持させた状態でホットプレスすることにより形成される。
本発明の膜−電極接合体を有する本発明の固体高分子型燃料電池は、高温などの過酷な環境下においても発電性能や耐久性に優れる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
(分子量)
非スルホン化ポリアリーレンの分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン化ポリアリーレンの分子量は、溶剤として臭化リチウムおよび燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。なお、以下において「Mn」は数平均分子量を、「Mw」は重量平均分子量を表す。
(スルホン酸当量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水が中性になるまで十分に洗浄して、フリーに残存している酸を除去して乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
(耐クリープ性)
温度90℃、相対湿度90%の環境下、膜−電極接合体に面圧5kg/cm2の負荷を
1000時間かけた後の該電極構造体の厚さ減少率(%)を測定した。厚さ減少率の数値が小さいほど、耐クリープ性が高いことを意味する。
(発電性能)
得られた膜−電極接合体を単セルとし、酸素極に空気を流通するとともに燃料極に純水素を流通して発電を行った。発電条件としては、両極とも、相対湿度50%および温度90℃とした。電流密度0.5A/cm2でのセル電圧を測定し、0.5V以上あれば良好
な発電性能を示すものと評価した。
(発電耐久性)
上記条件で1000時間継続して発電を行ったときに、燃料極側または酸素極側でクロスリークの発生が認められなければ、発電耐久性が良好と評価した。
<合成例1>
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管および窒素導入用三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20mol)、4,4'−ジクロロベンゾフェノン(4,4'−DCBP)60.3g(0.24mol)、炭酸カリウム71.9g(0.52mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)30
0mLおよびトルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。その後、反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4'−DCBP10.0g(0.040mol)を加え、さらに5時間反応させた。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過して除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに投入して再沈殿させ、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
得られた化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算のMnは11,20
0であった。また、得られた化合物は、THF、NMP、DMAc、スルホランなどに可溶で、Tg(ガラス転移温度)が110℃、熱分解温度が498℃であり、下記式(I)で表されるオリゴマー(以下「オリゴマー(I)」ともいう。)であることを確認した。
Figure 2007109472
<合成例2>
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管および冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル48.8g(0.28mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン89.5g(0.27mol)、炭酸カリウム47.8g(0.35mol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346mL、トルエン173mLを加えて攪拌し、オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、3時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル9.2g(0.053mol)を加え、さらに5時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的物109gを得た。得られた化合物のGPCで測定したMnは9,500であった。得られた化合物は式(II)で表されるオリゴマー
(以下「オリゴマー(II)」ともいう。)であることを確認した。
Figure 2007109472
<合成例3>
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管および冷却管を取り付けた1Lの三口フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン24.1g(71.7mmol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン10.1g(28.7mmol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル19.7g(115mmol)、炭酸カリウム18.0g(130mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン135mL、トルエン67mLを加えて攪拌し、オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水は、Dean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、5時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル9.86g(57.3mmol)を加え、さらに3時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過して乾燥し、目的物40.1gを得た。得られた化合物のGPCで測定したMnは7,500であった。得られた化合物は、式(III)で表わされるオ
リゴマー(以下「オリゴマー(III)ともいう。)であることを確認した。下記式(III)中、aとbの比(a:b)は71:29であった。なお、繰り返し数aおよびbで表わしている構成成分を、それぞれa成分およびb成分ともいう。
Figure 2007109472
〔実施例1〕
(1)スルホン化ポリアリーレンの合成
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管および窒素導入用三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、下記式(IV)で表される化合物2.15g(9.0mmol)、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル35.92g(89.5mmol)、合成例1で得られたオリゴマー(I)17.36g(1.55mmol)、Ni(PPh32Cl21.67g(2.55mmol)、PPh310.49g(40mmol)、NaI0.45g(3mmol)、亜鉛末15.69g(240mmol)および乾燥NMP 280mLを窒素雰囲気下で加えた。
Figure 2007109472
次いで、反応系を攪拌下に加熱し(最終的には75℃まで加温)、3時間反応させた。重合反応液をTHF250mLで希釈し、30分攪拌し、濾過助剤としてセライトを用いて濾過した。濾液を大過剰のメタノール1500mLに注いで凝固させた。凝固物を濾集、風乾し、さらにTHF/NMP(それぞれ200/300mL)に再溶解し、大過剰のメタノール1500mLで凝固析出させた。
得られた重合体30gと1,4−ブタンスルトン15gをNMPに溶解させた溶液中、70℃で12時間反応させた。反応後、反応液を大量の水/メタノール(1:1重量比)中に注いでポリマーを凝固させた後、イオン交換水でポリマーを洗浄後、80℃で真空乾燥させた。
得られた重合体を20gを攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付けた三口フラスコ
に入れ、DMAc200gに溶解した。この溶液を115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム11.7g(135mmol)を加えた。7時間攪拌後、大量のアセトン中に注いで生成物を沈殿させた。次いで、1N塩酸、純水の順に洗浄後、乾燥させて目的のスルホン化ポリマーを得た。
こうして得られたポリマーのIRスペクトルおよびイオン交換容量の定量分析から、スルホ基(−SO3 -)が導入されていることを確認した。得られたスルホン化ポリアリーレン(I)のGPCによる分子量は、Mnが53,200、Mwが185,000であり、スルホン酸当量は1.9meq/gであった。
(2)プロトン伝導膜の作製
得られたスルホン化ポリアリーレン(I)の10重量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液を、ガラス板上にキャストして製膜し、膜厚40μmのフィルムを得た。本フィルムを30重量%の硫酸水溶液中で20時間浸漬を行い、膜中のカチオン性基を中和した。中和に使用されなかった過剰の硫酸をイオン交換水で洗浄して、除去した。
(3)膜−電極接合体の作製
得られたプロトン伝導膜を、酸素極および燃料極で挟持し、80〜180℃、5MPa、1回当たり2分間の条件で数回のホットプレスを行い、膜−電極構造体(MEA)を作製した。なお、酸素極および燃料極は以下のようにして形成した。
まず、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE=4:6の重量比で混合し、エチレングリコールに均一に分散させてスラリーを調製した。このスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布し、乾燥させて下地層を形成し、カーボンペーパーと下地層とからなる拡散層を形成した。
次に、カーボンブラック(ファーネスブラック)に白金粒子を1:1の重量比で担持させた触媒粒子とイオン伝導性バインダーとを、触媒粒子:イオン伝導性バインダー=8:5の重量比で混合し、均一に分散させて触媒ペーストを作製した。なお、イオン伝導性バインダーとしてナフィオン(登録商標、デュポン社製)を用いた。
次に、拡散層上に、前記触媒ペーストを白金量が0.5mg/cm2となるようにスク
リーン印刷し、60℃、10分間の乾燥および120℃の減圧乾燥を行って、酸素極および燃料極とした。
〔実施例2〕
(1)スルホン化ポリアリーレンの合成
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、上記式(IV)で表される化合物23.50g(98.0mmol)、合成例2で得られたオリゴマー(II)19.00g(2.0mmol)、Ni(PPh32Cl21.67g(2.55mmol)、PPh32.0g(40mmol)、NaI0.45g(3mmol)、亜鉛末15.69g(240mmol)および乾燥NMP280mLを窒素雰囲気下で加えた。次いで、反応系を攪拌下に加熱し(最終的には80℃まで加温)、3時間反応させた。重合反応液をTHF250mLで希釈し、30分攪拌し、濾過助剤としてセライトを用いて濾過した。濾液を大過剰のメタノール1500mLに注いで凝固させた。凝固物を濾集、風乾し、さらにTHF/NMP(それぞれ200/300mL)に再溶解し、大過剰のメタノール1500mLで凝固析出させた。風乾後、加熱乾燥により目的の非スルホン化ポリアリーレン31.9g(収率90%)を得た。得られた共重合体のGPCによる分子量は、Mnが47,600、Mwが159,000であった。
得られた非スルホン化ポリアリーレン30gを、1,4−ブタンスルトン15gをNMPに溶解させた溶液中、70℃で12時間反応させた。反応後、反応液を大量の水/メタノール(1:1重量比)中に注いでポリマーを凝固させた後、イオン交換水でポリマーを洗浄した。
こうして得られたポリマーのIRスペクトルおよびイオン交換容量の定量分析から、スルホ基(−SO3 -)が導入されていることを確認した。得られたスルホン化ポリアリーレン(II)のGPCによる分子量は、Mnが53,200、Mwが185,000であり、スルホン酸当量は1.9meq/gであった。
(2)プロトン伝導膜の作製
得られたスルホン化ポリアリーレン(II)を用いて、実施例1と同様にしてプロトン伝導膜を作製した。
(3)膜−電極接合体の作製
得られたプロトン伝導膜を用いて、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
〔実施例3〕
(1)スルホン化ポリアリーレンの合成
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、上記式(IV)で表される化合物23.40g(97.5mmol)、合成例3で得られたオリゴマー(III)18.50g(2.5mmol)、Ni(PP
32Cl21.67g(2.55mmol)、PPh310.49g(40mmol)、NaI0.45g(3.0mmol)、亜鉛末15.69g(240mmol)および乾燥NMP280mLを窒素雰囲気下で加えた。次いで、反応系を攪拌下に加熱し(最終的には80℃まで加温)、3時間反応させた。重合反応液をTHF250mLで希釈し、30分攪拌し、濾過助剤としてセライトを用いて濾過した。濾液を大過剰のメタノール1500mLに注いで凝固させた。凝固物を濾集、風乾し、さらにTHF/NMP(それぞれ200/300mL)に再溶解し、大過剰のメタノール1500mLで凝固析出させた。風乾後、加熱乾燥により目的の非スルホン化ポリアリーレン32.0g(収率92%)を得た。得られた共重合体のGPCによる分子量は、Mnが47,600、Mwが159,000であった。
得られた非スルホン化ポリアリーレン30gを、1,4−ブタンスルトン15gをNMPに溶解させた溶液中、70℃で12時間反応させた。反応後、反応液を大量の水/メタノール(1:1重量比)中に注いでポリマーを凝固させた後、イオン交換水でポリマーを洗浄した。
こうして得られたポリマーのIRスペクトルおよびイオン交換容量の定量分析から、スルホ基(−SO3 -)が導入されていることを確認した。得られたスルホン化ポリアリーレン(III)のGPCによる分子量は、Mnが53,200、Mwが185,000であり、
スルホン酸当量は1.9meq/gであった。
(2)プロトン伝導膜の作製
得られたスルホン化ポリアリーレン(III)を用いて、実施例1と同様にしてプロトン
伝導膜を作製した。
(3)膜−電極接合体の作製
得られたプロトン伝導膜を用いて、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
〔比較例1〕
パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物からなる膜(デュポン社製「ナフィオン112」)をプロトン伝導膜としたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製した。
〔比較例2〕
(1)スルホン化ポリエーテルエーテルケトンの調製
ビクトレックス社製のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)3.0gを濃硫酸150mL中に溶解させ、攪拌しながら室温で14時間反応を行った。得られた混合物を多量のエーテル中に投入し、白色沈殿を濾別して洗浄した後、乾燥してスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを作製した。該スルホン化ポリエーテルエーテルケトンをN,N-ジメ
チルアセトアミドに溶解し、20重量%の溶液を調製した。
(2)プロトン伝導膜の作製
前記ポリマー溶液をシリコーンゴムで囲いをしたガラス板上に流延塗布し、加熱乾燥させた。得られたフィルムをガラス板から剥離してプロトン伝導膜を得た。
(3)膜−電極接合体の作製
得られたプロトン伝導膜を用いて、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
〔評価結果〕
上記実施例および比較例で得られた膜−電極接合体について、上記のとおり評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2007109472

Claims (2)

  1. 触媒層を有する一対の電極が固体高分子電解質膜の両面に該触媒層側が接するように設けられ、
    該固体高分子電解質膜が、下記一般式(1)で表される構成単位と、下記一般式(2)で表される構成単位と、下記一般式(3)で表される構成単位とを有するスルホン化ポリアリーレンを含むことを特徴とする燃料電池用膜−電極接合体。
    Figure 2007109472
    (式(1)中、Qは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(
    CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−および直接結合からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、jは1〜10の整数である。)
    Figure 2007109472
    (式(2)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−
    (CF2l−(lは1〜10の整数である)または−C(CF32−を示し、
    Zは、独立に直接結合、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−または−S−を示し、
    Arは、−SO3Hまたは−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1
    〜12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し、
    mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
    Figure 2007109472
    (式(3)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−SO
    −、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数を示す。)、−(CH2l−(lは1〜10の整数を示す。)、−CRa 2−(Raは脂肪族炭化水素基、芳
    香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、
    Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、
    1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基
    、一部もしくは全部がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、
    sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
  2. 上記高分子電解質膜が、該高分子電解質膜を構成するスルホン化ポリアリーレンにおける上記一般式(1)で表される構成単位中に含まれるカチオン性基とほぼ当量のアニオン性化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜−電極構造体。
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