WO1999064846A1 - Analyzer - Google Patents

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Description

明 細 書 分析装置 技術分野
本発明は、 微量試料の分析, 検出を簡便に行う分析装置に関する。 背景技術
医療診断に必要な測定を患者近傍で行うべッ ドサイ ド診断用の分析 ( P 0 C (point of care ) 分析) や、 河川や廃棄物中の有害物質の分析 を河川や廃棄物処理場等の現場で行うことや、 食品の調理, 収穫, 輸入 の各現場における汚染検査等の、 分析 ·計測が必要とされる現場、 もし くは現場の近傍で、 分析 ·計測を行うこと (以下、 「P 0 C分析等」 と 総称する) の重要性が注目されており、 近年、 このような P O C分析等 に適用される検出法や装置の開発が重要視されつつある。 このような P O C分析等は、 簡便に短時間で、 且つ低コストで行われることが要求さ れる。
従来の微量分析法としては、 試料を、 キヤビラリガスクロマ卜グラフ ィ一 (C G C ) , キヤビラリ液体クロマトグラフィー (C L C ) 等で分 離した後、 質量分析計で定量する G C M S装置や L C M S装置が広く使 用されてきた。 しかしながら、 これらの分析装置は質量分析計が大きい こと、 および操作が煩雑であることから、 患者のベッ ドサイ ドゃ汚染河 川, 廃棄物処理場近辺等の測定現場で使用するのには適さない。 さらに、 血液等を試料とする医療診断用途の分析装置は、 試料が触れる部分を使 い捨てにすることが望ましい。
これらの問題点を解決するために、 従来利用されてきた分析装置を小 型化し、 かつ電気泳動を実施するためのキヤビラリを含む数 cm角程度 の大きさのチップを用いて、 試料の分離や反応を行って、 微量分析を簡 便に行うことを目指した〃 T A S (micro total analysis system) と総 称される分析法の概念が提唱されている (Sensors and Actuators, Bl ( 1990), 244-248, A. Manz 他) 。 この〃 T ASは、 試料の量、 成分の検 出に必要な試薬の量、 検出に用いた消耗品等の廃棄物や廃液の量がいず れも少なくなる上、 検出に必要な時間も短時間で済むという利点がある TASは、 上述のチップ、 分析手段に加えて、 チップ内での液体、 気体 (以下、 「流動体」 と称する) などからなる試料、 試薬類の搬送の ための手段、 さらにそれらの反応などを行わせるための手段、 などから 構成され、 それぞれについて研究が進められている。 しかし、 それぞれ 後述のような問題点があり、 これらを組み合わせた総合的な/ T ASは、 いまだ完成されていないのが現状である。
例えば、 キヤビラリを形成する材質は、 高い精度で微細加工ができる ガラスやシリコンが一般的であるが (日本国特許公開公報 平成 2年第 24565 5号など) 、 加工コス 卜が高く、 また、 割れやすく取り扱い に注意を要する等の問題も有する。 さらに、 前記のように医療診断用途 などでは、 血液等の患者由来の試料が触れるので、 チップはディスポ一 ザプルにする事が望ましいが、 ガラスゃシリコン等の素材は不燃物であ り廃棄処理上も問題を有する。 このようなガラスやシリコン等を用いる 際の問題点の改善を目指した研究として、 樹脂でチップを作成する方法 ( R M Mc c o rmi c k e t . a 1. /A n a 1. Chem . Vo l . 69, No. 14 ( 1997 ) 2626— 2630、 日本 国特許公開公報 平成 2年第 259557号、 日本国特許 第 2639 087号 (97.4.25 登録、 島津製作所) ) も提案されている。 その樹脂 チップの製作法としては、 まず、 半導体の微細加工技術を応用して Si- W afer表面を加工した後、 Niを電錡し Siを溶解等により除去して樹脂加工 のマスターを製作し、 そして、 前記マス夕一を母型として、 アクリル樹 脂等を射出成形してチップを成形する方法等がある (Analytical Chemi stry 69, 2626-2630 (1997) (Aclara Biosciences) ) 。
このように、 樹脂製のチップは廃棄性, 量産性などに優れているが、 ガラスゃシリコン等のチップと同様に、 そのチップ内の物質を検出する 手段として、 従来の検出装置で利用される蛍光法、 吸光度法などを採用 する場合は、 以下に述べる課題を包含している。
以下に、 検出装置を中心に従来技術をさらに説明する。
キヤビラリ内を流れる試料の分析方法は、 蛍光分光法 (例えば S. C, Jacobson, et. al. , Anal. Chem. Vol. 66, 4127-4132, 1994、 日本国 特許公開公報 平成 2年第 2 4 5 6 5 5 、 吸光度法 (例えば N. Kurod a, et. al. , J. Chrom atogr. , Vol. 798, 325-334, 1998 ) 、 化学発 光法 (例えば M, F. Regehr, et. al, , J. Capi l lary Electrophor, Vol. 3, 117-124, 1996) などが一般的である。
上記のうち、 化学発光法, 蛍光法は、 被検出物質が酸化剤などの触媒 の存在により励起状態の化合物となり、 この状態から、 基底状態になる ときのエネルギー (蛍光法の場合は励起化合物と共存するエネルギー受 容体にエネルギーをトランスファーし、 この受容体の励起状態から基底 状態へ移る時のエネルギー) が光として放出されるのを検出するもので ある。 一方、 吸光度法は、 被検出物質を含む溶液に光を入射し透過光強 度を測定し、 その入射光強度に対する透過光強度の比を求めるものであ る。 感度的には一般に吸光度法、 蛍光法、 化学発光法の順に高感度とい われる。
主な化学発光反応としては、 ルミノール, ルシゲニンなどによる方法 が古くから知られている。 また、 化学発光反応は、 迅速で高感度である、 検出に光源を必要としないので装置が比較的安価である、 などの利点を 有するが、 発光の減衰が急速であり、 使用する試薬が不安定、 バックグ ランドが高いなどの欠点を有する。
蛍光法も同様に反応系が古くから知られている利点はあるが、 光学系 として励起光光源や励起光と蛍光とを分離する光学フィルターなどが必 要となる。
また、 これらの発光現象を利用する方法では、 放射される光が四方に 発散するため受光効率が良くないという問題点がある。 蛍光法の場合は、 蛍光を発する収率が低いこと、 および測定対象物質を限られた蛍光物質 へ変換する反応系の構築が必要であることから、 汎用性が高くない。 特に、 医療診断のための臨床検査においては、 学会などが定めた標準 分析法での測定値に統一していく方向であるので、 大幅な測定系の変更 は問題を惹起する可能性がある。
また、 吸光度法は、 原理的に入射光と透過光との比を検出するため、 高精度の結果を得るためには光路長を く とる必要があり、 特に微量試 料を検出するためには長光路を得るため検出セルの構造が複雑となる欠 点を有する。
このように、 キュべッ トなどを使用する従来の吸光度法や蛍光法での 検出は、 比較的小型の装置で可能であるが、 P O C分析等への応用を目 指す、 キヤビラリを備えたチップでの測定は、 キヤビラリの径が小さく なるため短い光路長しか取ることができず、 低い感度しか得られない。 光路長を長く取るために、 キヤビラリに垂直に光をあてるのではなく、 流れ方向に光を当てる方法も提案されている (例えば 日本国特許公開 公報 平成 8年第 3 0 4 3 3 9号) が、 平面チップに形成されたキヤピ ラリでは、 流れ方向の検出は容易ではなく、 チップ構造および検出部の 構造が複雑になるという問題を有する。 微量成分の別の検出法として、 励起光で液体中の試料を励起して、 い わゆる熱レンズを形成させ、 検出光でその熱レンズの変化を測定する光 熱変換検出法 (熱レンズ検出法) が以前から知られている (日本国特許 公開公報 昭和 60年第 174933号、 A. C. B o c c a r a e t . a 1. , Ap 1. Phy s. L e t t . 36, 1 30, 198
0) o
光熱変換検出法では、 励起光により 0.1 〃m〜lmm程度の厚みの熱レ ンズを形成させる。 光路長が十分長く、 たとえば lcm程度に取れる場合 には、 光熱変換検出法は吸光度法や蛍光法に比べて、 励起光と検出光と の通常 2種の光源が必要なこと等から一般には用いられていない。 また、 励起光, 検出光は通常、 同軸にしてキヤビラリに入射されるので、 装置 を複雑化させる要因となっている。 ただし、 二本のレーザーを同軸にせ ず、 交差もしくは対向させる方法 (J. Liquid Chromatograph 12, 257 5-2585 (1989)、 日本国特許公開公報 平成 10年第 142 1 77号( 分 子パイォホ卜::クス) ) や、 一本のレーザーを分岐して使用し、 光熱変化による 焦点位置変化そのものを検出しているもの (日本国特許公開公報 平成 4年第 369467号 (横河電機) ) も提案されている。
Arレーザ一と He-Ne レーザ一とを用いた光熱変換検出法の例として、 ガラス平板の上に試料を載せ、 別のもう一枚のガラス板ではさみ込むも の (Anal. Chem. 65, 2938-2940 (1993) ) が有る。
さらに、 キヤビラリを備えた平板チヅプの外部からポンプにより送液 する分析装置に適用した例もある。 (ぶんせき No. 4, 280 - 28 4, 1 997、 M. H a r a d a , e t . a 1. , Ana l . Chem. Vo l . 65, 2938 - 2940, 1 993、 川西, 他 日本分析化 学会第 44年会講演要旨集, p 1 19, 1 995など) 。
これらの光熱変換検出法は、 「分子を何個検出できるか」 と言った局 所での絶対感度の向上を主目的としている。 したがって、 できるだけレ —ザ一を絞って、 小さな体積に励起光を集中させて、 その微小空間に生 じる熱レンズを検出する方法が主である。
また、 これらの例の中にはチップ内に、 反応槽, 流体制御素子, 検出 部などの化学反応系を集積する構想を示したもの (日本機械学会誌 100 , 615-617 (1997) 、 センサ ' ァクチユエ一夕/ ウイ一ク' 9 7総合シン ポジゥム要旨集 「マイクロセンサ」 Session 3, P19-P23 (1997, 4. 17) ) も見られる。 さらに、 これらの例では、 キヤビラリを形成するため、 その表面に溝を刻む素材としてガラスが使われている。
チップの素材としてシリコンやガラスを使用する場合は、 ガラス, 石 英もしくは S i基板にエッチング保護膜 (C r等) を真空蒸着等の方法 で数千オングス トロームの厚さに製膜し、 その上にパ夕一ニングレジス トをスピナ一を用いて塗布する。 その後、 フォトリソ用マスクを用いて、 紫外光にてレジス 卜を露光し、 続いて現像 (未硬化部分を溶剤で除去) して所望の形状にパターニングする。 次に、 パ夕一ニングされたレジス トをェツチングマスクとして、 エッチング保護膜をフエリシアン化力リ ゥム水溶液等で溶解除去しパターニングする。 続いて、 パターニングさ れたレジス トおよびエツチング保護膜をマスクとして、 基板を例えば弗 酸水溶液にてエッチングして溝を形成する。 その後、 レジストおよび保 護膜をエッチング除去する。 また、 上記基板とは別に、 超音波加工等の 方法で貫通孔を開けたガラス等の基板を準備する。 最後に、 溝加工され た基板と貫通孔を開けられた基板とを溝を内側にして合わせ、 例えば、 真空炉中にて加熱 (ガラス基板同士の場合には、 6 0 0度程度に数時間 加熱) した後、 自然冷却することで融着し作ることができる。
以上述べたように、 ガラスでは、 チップを作るためには、 半導体集積 回路を作る技術を発展させた方法 (フォトリソグラフィー技術とエッチ ング技術との組み合わせ) により、 1枚ずつ、 平板ガラス上に溝を形成 しなくてはならない。 また、 製造工程において、 多くの有害な薬品を使 用すると共に、 製造工程が長く、 また半導体製造等に用いられる高価な 大型設備を必要とする。 さらに、 ガラス製の前記チップは、 割れ易く取 り扱いに注意を要する等の問題も有する。
そしてさらに、 医療診断用途などでは、 血液等の患者由来の試料が触 れることもあり、 前記チヅプはディスポーザブルにすることが望ましい が、 ガラス素材は不燃物であり廃棄処理上も問題を有する。 このため、 安価であることが求められる P 0 C分析等への応用には適さない。
一方、 医療診断のために、 血液, 尿, 髄液など生体に由来する試料中 の様々な物質について、 その濃度を定量的に、 あるいは定性的に検出す ることが広く行われている。 生体に由来する試料中の検出対象としては、
GOT, GPT, ァ -GTP、 ALP などの酵素活性や、 トータルコレステロール, トリグリセライ ド, グルコース, へモグロビン Al e (HbAlc)、 さらには、 クレアチニンカイネース, C反応性蛋 j (CRP) , サイ ト力イン類等の蛋 白、 また、 菌ゃウィルス由来の抗原やそれに対する抗体等があげられる これらの検出対象物質の検出は、 試料と、 検出対象物質に特異的な酵 素や抗体とを反応させることにより、 検出対象物質を、 最終的に、 吸光 度, 蛍光, 化学発光などで検出できる物質 (発色色素, 蛍光物質, 発光 物質など) に変換し、 その最終物質を定量することで行っている(Ogawa , Z. ,ら 臨床検査, 41 : 981 (1997) , Kanno, T. 臨床検査 , 42: 309 (1998) ) 。 これらの検出反応は、 試料と 1種類以上の試薬溶液を、 各々一定量ず つ量り取って混合し、 一定時間所定温度で反応させることによって行わ れる。
大病院の中央検査室や、 検査会社で採用されている自動分析機では、 自動ビぺッ トにより、 一定の体積または重量の試料および試薬溶液が各 々量り取られる。 また、 手作業による分析でも、 検査者がピペッ トゃ定 量キヤビラリなどで一定量を量り取っている。
食品の汚染検査もほぼ同様である (日本国特許公開公報 平成 4年第 6 4 0 6 3号、 食品汚染菌の検出法) 。
環境汚染物質を定量する場合も、 河川水や土壌抽出物を試料として、 種々の試薬を反応させ、 対象物質を検出することが多い (日本国特許公 開公報 平成 9年第 7 2 8 9 8号、 土壌の分析方法) 。
このような検出のための反応をチップの中で行う、 すなわち、 チップ 内で何らかの反応試薬や標識試薬と試料とを混合して反応させ、 その反 応後の試料を分析する方法としては、 以下のような方法がある。
その一つは、 試料および試薬溶液の所定置を、 チップ外で量り取って からチップ内に注入する方法である。 また、 チップ内にメスシリンダー のような所定体積の流路 (液溜) を設けて、 ポンプとバルブとの組み合 わせにより、 または電界印加により精度良く送液を制御することにより、 試料および試薬溶液をチップ内で量り取って混合する方法 (例えば A. M anz et al. , rends Anal. Chem. , Vol. 10, 144, 1991 ) もある。 さら に、 試料と試薬溶液とを反応チャンバ一に流し込み、 混合して反応させ た後、 一定量を量り取って成分を分離し、 分離した各成分を定量分析し ている ( S. C. Jacobson et. al. , Anal , Chem. , Vol. 6, 4127, 1994) 方 法もある。 いずれの方法においても、 試料および試薬溶液、 または、 そ の混合物を量り取る工程が必要であり、 一定流量比で連続的に送液しな がら分析する方法は提案されていない。
一方、 秤量操作をすることなく、 所定の比率で二液を混ぜ合わせる概 念も提案されている (US5785831 (HP) 、 日本国特許公開公報 平成 8年 第 2 6 1 9 8 6号(US5785831の日本国内特許) 。 しかし、 単純に分岐流 路でニ液を混合するものであって、 連続的に所定の化学反応を行い、 特 定の物質の検出に用いるという概念は含まれていない。 同様に、 互いに 所定の流速で接する二つの層流間で、 その界面付近での相互作用を利用 する方法も提案されている (W09739338 、 USP5716852 、 W09747390 ) c しかしこの場合も、 基本的にそれぞれに含まれる粒子, 分子のサイズの 違いによる拡散速度の違いを利用して、 必要な分子, 粒子のみを抽出、 もしくは計測する手段であって、 所定の化学反応を実施するものではな い。
また、 秤量操作をすることなく必要な化学反応を行う例 ( Microme ch. Microeng. 4, 246-256 (1994) Verpoorte E, M. J. , // Manz A. , de R oo ij N. F. INTERFAC IAL DESIGN AND CHEMICAL SENSING Chapter21 P244-254, America Chemical Soc iety (1994) ) もある。 すなわち、 溝 をその表面に有するシリコン製のチップを複数枚重ねてキヤビラリを形 成し、 そのキヤビラリにポンプにより反応試薬液を一定流速で送液する ことにより、 そのキヤビラリ中で試料液と反応試薬液とを所定の比率で 混合および反応させるものである。
しかしながらこの方法は、 所定の比率で試料液と反応試薬液とを混ぜ 合わせるだけであり、 実際の実施工程としては、 混合槽に所定の比率で 試料液と反応試薬液とを投入するバッチ式と大差はない。
さらに、 このようなチップを複数枚重ねた構造では、 流路は三次元構 造なので、 流路を順次遡って種々の反応時間において測定値を得ること は難しい。 すなわち、 酵素反応のエンドポイントでの定量はできるが、 反応速度から酵素量を求めるレイ トアツセィでの定量は困難である。 分析装置については、 キヤビラリを備えたチップが提案されるなど、 近年は P〇 C分析等を目指した研究開発が行われている。 しかし、 上述 のように、 キヤビラリを備えたチップの材質は、 高い精度で微細加工が 可能なガラスやシリコンが一般的である。 そのため、 加工コストが高く、 また、 割れやすく取り扱いに注意を要する等の問題もある。 さらに、 医 療診断用途などでは、 血液等の患者由来の試料が触れることもあり、 キ ャビラリを備えたチップはディスポ一ザブルにすることが望ましいが、 ガラス素材は不燃物であり廃棄処理上も問題を有する。
また、 流路装置と検出装置とを合わせた分析装置として考えた場合、 発光現象を利用する方法では、 放射される光が四方に発散するため受光 効率が良くない。
発光現象を利用するものの内、 化学発光反応は迅速で高感度であり、 検出は光源を必要としないので装置が比較的安価であるなどの利点を有 するが、 発光の減衰が急速であり、 試薬が不安定、 バックグラウンドが 高いなどの欠点を有する。
また、 蛍光法も同様に反応系が古くから知られている利点はあるが、 光学系として励起光光源, 励起光と蛍光とを分離する光学フィル夕一な どが必要となる。
さらに、 蛍光法は、 蛍光を発する収率が低いなどの理由から、 本発明 で用いられるような微細なキヤビラリ内の微量試料の検出を行う場合に は適していない。
また、 吸光度法は、 原理的に入射光と透過光との比を検出するため、 高精度の結果を得るためには光路長を長く とる必要があり、 特に微量試 料の検出のためには長光路を得るため検出セルの構造が複雑となる欠点 を有する。
このように、 本発明で用いられるような微細なキヤビラリ内の微量試 料を検出する分析装置において、 取り扱いが容易で、 経済性に優れ、 且 つ、 高感度分析が可能で、 さらに、 小型化が可能な分析装置はなく、 P 0 C分析等に適した分析装置が望まれているのが現状である。
一方、 血漿のみを用いて固体試薬 (試薬の凍結乾燥品、 または紙ゃ繊 維に試薬を所定量含浸させたもの等) を試料に溶解することにより、 血 糖値などを検出できる検出紙も市販されている。 このような固体試薬は、 試薬を量り取る必要がなく簡便ではあるが、 液状の試薬と比較して定量 精度に劣るという問題がある。
さらに、 検出のための反応を行うために、 試料および試薬をチヅプ外 で量り取りチップに注入する方法では、 手間がかかる上、 チップ以外に 廃棄物が生じる。 また、 人間が試料および試薬を量り取らない場合は、 チップ外に秤量システムが必要となるため、 装置全体が大がかりとなる さらに、 チップ内に試料および試薬を量り取るための流路を設ける必要 があるので、 チップ内の流路が複雑となり、 高コス トとなる。 また、 チ ップ内外を問わず、 試料および試薬を量り取る操作が入ると、 分析のェ 程が複雑になるという欠点を有している。 さらに、 従来の技術は、 バッ チ式の試料処理や検出であるため、 連続的かつ時間を精密に制御する必 要のある各工程のタイミングを合わせる手段が別途必要となる。 発明の開示
本発明の分析装置は、 取り扱いが容易で、 複雑な構造を有し得て、 安 全性, 廃棄性に優れ、 かつ量産性にも優れるキヤビラリを備えたチップ と、 小型化が容易で、 かつ微量成分の高感度検出が可能な検出装置とか らなる。 そして、 試料や試薬の秤量などを別途行うことなく、 チップの キヤビラリ内のみで所定の混合や化学反応を行い、 さらに全工程に渡つ て各工程の微妙なタイミング合わせの必要のない、 操作性に優れた、 コ ンパク トで安価な分析装置の提供を目的としたものである。
本発明は、 流動体が流れるキヤビラリを備えたチップの基材として、 少なくとも一部に有機ポリマ一を用いている。 寸法精度が良好に成形さ れる有機ポリマー製のチップは、 微量分析に適するとともに、 安価に製 造することが可能であり、 さらに焼却により容易に廃棄処理することが でき、 ディスポ一ザブル用のチップとして有用である。 さらに言えば、 取り扱いが容易で、 複雑な構造を有し得て、 安全性に優れ、 かつ量産性 にも優れる。
また、 本願発明においては、 有機ポリマー製チップに形成されたキヤ ビラリ中の、 流動体状の試料および流動体状の試薬の流量を各々所定の 値に制御し、 連続的に流すことで、 流動体状の試料と流動体状の試薬と を所定の流量比率で合流させる。 合流の後、 所定の流速下において、 混 合、 反応に必要な時間流すのに必要かつ十分な長さのキヤビラリを与え ることで、 混合, 希釈, 化学反応など所定の操作を行う。 この手段によ り、 複数の流動体の混合, 希釈など所定の操作を、 秤量を (チップ内外 を問わず) 行うことなく実施でき、 必要な化学反応などを精度良く、 簡 便に、 さらに全工程に渡って各エネ の微妙なタイミング合わせの必要の なく実施することを可能とした。
また、 上記手段により生成された反応後の生成物に対して、 対物レン ズ等で絞った励起光を照射すると、 励起, 吸収による部分的な温度変化 (光熱変換効果) に伴う物理量変化、 より具体的には屈折率変化を生じ る。 この屈折率変化を、 励起光に加えて照射される検出光などを用いて 計測する検出装置 (熱レンズ検出装置) を本装置に備えることにより、 従来技術では、 チップの上下幅程度 (角度は必ずしもチップ面に垂直で ある必要はない) 、 すなわち、 溝の深さ程度 ( l ~ 1 0 0 0〃m程度) の短い光路長のため計測が困難であった被検出物の濃度などの測定が可 能となった。
しかし、 従来用いられた熱レンズ検出法は、 微小空間の物質を検出す る汎用法であるが、 分子数を最低いくつから検出できるかという絶対感 度を高めるために、 励起光を対物レンズなどでできる限り絞って試料溶 液に集光し、 形成される熱レンズの厚みが小さくなるようにしている。 例えば、 従来の熱レンズ検出法のうち、 川西他による 「ガラス基板上 のマイクロチャネルと顕微熱レンズ分光法を用いた集積化液相化学分析 システムの開発 ( I ) 」 (日本分析化学会第 4 4年会講演要旨集 p 1 1 9 , 1 9 9 5 ) では、 顕微鏡の倍率を 7 0倍にすることにより焦点付近 での励起光のビーム径は約 4〃mになり、 倍率を 2 8 0倍にすれば励起 光のビーム径をサブミクロンにまで絞ることができると記載されている c しかしながら、 このような従来の熱レンズ検出法では、 試料溶液の一定 体積あたりの物質量を定量するという濃度感度は低い。
医療診断や環境分析などでは、 絶対感度ではなく濃度感度が高いこと が重要である。 そこで、 本発明者らは、 従来の熱レンズ検出法とは異な り、 励起光の集光度を下げて、 流路断面積程度に熱レンズを広げること により濃度感度を上げ、 安定した電気浸透流が可能な程度の小断面積の キヤビラリにおいても、 高感度で物質を検出できることを見出した。 また、 キヤビラリを備えた有機ポリマー製チップを上述の熱レンズ検 出装置に適用した際、 チップの材質によって、 熱レンズ検出法による出 力のバックグラウンド信号の増大がみられることがあった。 従来用いら れてきたガラス素材の場合、 熱レンズ検出法に用いられるレーザー (例 えば He- Ne レーザー( 波長: 633nm)、 Arレ一ザ一 (波長: 488nm ) 、 半 導体レーザー (例えば波長: 780nm ) ) の反射分を除いた透過率が、 9 9 %以上のものや、 ほとんど 1 0 0 %に近いものを通常の流通品として 入手することは容易である。 したがって、 熱レンズ検出法を実施する上 で問題が発生することはなかった。
しかし、 有機ポリマーに関しては、 通常の流通品は添加剤, 可塑剤, 安定化剤などが加えられており、 ガラスのように高い透過率を持つもの は一般的ではない。 そのため、 熱レンズ検出装置に適用できる有機ポリ マ一基材には制限のあることが判った。 特に、 熱レンズ検出装置に対し 大きな影響を与えるのは、 励起光などの光路における励起光などの吸収 である。 そこで、 実験により、 その吸収量の許容範囲を取得した。
すなわち、 本発明に係る分析装置は、 キヤビラリ内に流動体状の試料 、 もしくは、 流動体状の試料および流動体状の試薬を流して、 前記試料 中、 もしくは、 前記試料および前記試薬の混合流動体中の所定成分を分 析する分析装置であって、 少なくとも一部が有機ポリマーにより構成さ れ、 前記キヤビラリを備えたチップと、 前記所定成分に励起光を照射し て、 その結果生じる前記キヤビラリ内の部分的な温度変化に伴う物理量 変化を測定する光熱変換検出装置と、 からなることを特徴とする。
なお、 本発明における流動体とは、 液体, 気体の他、 流動性を有する 物を意味する。
また、 キヤビラリ内に流す流動体状の試料は、 試料のみを流してもよ いし、 混合したものが流動体であれば、 流動体状のキャリアと混合して 流してもよいし、 流動体状の試薬と混合して流してもよい。
混合は前もって行ってからキヤビラリに供給してもよいし、 それぞれ 個別にキヤビラリに供給し、 キヤビラリ内で混合してもよい。
前記チップは、 少なくとも一方がその板面に溝を備え、 少なくとも一 方が有機ポリマー製である一対の平板状部材を、 前記溝を備えた板面を 内側にして張り合わせることにより構成することができる。
なお、 前記の一対の平板状部材は、 その両方が有機ポリマー製であつ てもよいし、 あるいは、 その一方のみが有機ポリマ一製であってもよい。 ただし、 前記溝を備えた平板状部材は、 有機ポリマー製であることが望 ましい。
また、 前記物理量変化を屈折率変化とすれば、 前記光熱変換検出装置 は、 前記屈折率変化により形成される熱レンズに検出光を入射させ、 前 記熱レンズにより生じる前記検出光の変化を測定する装置とすることが できる。
前記チップを構成する部材は、 前記励起光を吸収することによっては、 実質的に光熱変換効果を生じないことが望ましい。
例えば、 前記チップを構成する部材は、 前記励起光の吸収率が 5 %以 下であることが望ましい。
さらに、 前記キヤビラリ内の部分的な温度変化が、 前記所定成分を分 祈するのに十分な濃度感度が得られるような範囲に生じるように、 前記 励起光の集光度が調整してあることが望ましい。
ただし、 前記励起光の光軸は前記試料または前記混合流動体の流れ方 向に垂直であり、 かつ、 前記キヤビラリ内の部分的な温度変化を、 前記 流れ方向に垂直で前記光軸を含む断面において、 前記所定成分を分析す るのに十分な濃度感度が得られるような範囲に生じさせるように、 前記 励起光の集光度が調整してあることが、 より好ましい。
なお、 前記励起光の光軸は、 前記試料または前記混合流動体の流れ方 向に対して斜め方向でもよい。
さらに、 前記励起光の集光度は、 前記キヤビラリに前記励起光を照射 する対物レンズの開口数で調節することができる。
さらに、 本発明に係る分析装置の前記キヤビラリは、 前記試料を流す 試料流路と、 前記測定を行う流路とを有することに加えて、 前記試料流 路と前記測定を行う流路との間に、 少なくとも一つの試薬混合手段を有 し、
前記試薬混合手段は、 前記試薬を流す少なくとも一つの試薬流路と、 前記試料流路側から流れてくる流動体と前記試薬流路から流れてくる前 記試薬との合流点と、 この合流点より下流側に設けられ、 前記試料流路 側から流れてくる流動体と前記試薬流路から流れてくる前記試薬とを所 定比率で混合して所定時間反応させる混合流路と、 から構成され、 前記試薬混合手段が複数の場合には、 各試薬混合手段は直列関係に配 設され、
さらに、 前記試料流路および前記試薬流路の流量を前記混合比率に応 じて調整する流量調整機構を備えた構成とすることができる。
かかる構成の場合、 前記キヤビラリは、 前記試料と前記試薬とが連続 的に流され、 前記混合流路は、 その直前の合流点で合流した流動体が、 所定の流速下で、 所定の混合および反応を終了するために必要な時間流 動するのに十分な長さの流路とすることができる。
さらに、 前記試料に電圧を印加する、 もしくは前記試料および前記試 薬に別々に電圧を印加することにより、 前記試料、 もしくは前記試料お よび前記試薬を流すことができる。
さらに、 前記試料は、 生物学的材料に由来する試料とすることができ る。
さらに、 前記チップを前記一対の平板状部材で構成した場合、 その一 対の平板状部材の少なく とも一方は、 圧縮成形法, エンボス成形法, 射 出成形法, ガス存在下で樹脂のガラス転移点を下げる射出成形法, 射出 圧縮成形, 電磁誘導による金型表面加熱射出成形法のいずれか、 または これらの組み合わせにより成形された有機ポリマー製の平板状部材とす ることができる。
この場合、 前記ガス存在下で樹脂のガラス転移点を下げる射出成形法 において使用されるガスは、 炭酸ガスが適用できる。
かく して、 本発明に係る分析装置は、 チップ内で試料や試薬の秤量を 行うことなく、 所定の混合、 反応等を起こさせた後に、 光熱変換検出装 置の検出システムを用いて所定成分を光熱変換検出法で検出する。 検出 方法として光熱変換検出法を用いることにより、 微量の所定成分の高感 度検出が可能である。 さらに、 チップ内外を問わず秤量を行う必要がな いため、 操作性に優れるだけでなく装置の小型化も可能となった。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の光熱変換検出法に基づく分析装置の、 熱レンズ検 出部の模式図である。
第 2図は、 本発明の光熱変換検出装置の構成図である。
第 3図は、 一定量のサンプリングを目的とした流路パターン一 1であ る。
第 4図は、 一定量のサンプリングを目的とした流路パターン— 2であ る。
第 5図は、 本発明の、 複数の流動体同士を合流させることで、 希釈、 混合などを行わせる流路の模式図一 1である。
第 6図は、 本発明の、 複数の流動体同士を合流させることで、 希釈、 混合などを行わせる流路の模式図一 2である。
第 7図は、 本発明の、 複数の流動体同士を合流させることで、 希釈、 混合などを行わせる流路の模式図一 3である。
第 8図は、 本発明の、 複数の流動体同士を合流させることで、 希釈、 混合などを行わせる流路の模式図一 4である。
第 9図は、 射出成形により成形された、 表面に流動体の流れる微細な 溝を有する有機ポリマ一製の板状部材の溝パターンを示す図一 1である。 第 10図は、 一対の有機ポリマー製の板状部材を張り合わせ、 導電性ィ ンクで配線と液だめ用電極および検出装置内の電源端子接続用電極とを 印刷したチップを示す図一 1である。
第 11図は、 第 1 0図の a— a ' 線での断面図である。
第 12図は、 合流点において、 直角に側流が合流することで 2つの試薬 類を合流させる、 流路の図である。
第 13図は、 合流点において、 鋭角的に側流が合流することで 2つの試 薬類を合流させる、 流路の図である。
第 14図は、 2つ以上の合流点において、 2つ以上の試薬類を合流させ る流路の図である。
第 15図は、 ポリマ一基材のレーザ一光の吸収率および熱レンズ検出法 による出力を測定した結果を示す図である。
第 16図は、 表面に流動体の流れる微細な溝を有する有機ポリマー製の 板状部材を成形する金型装置の断面を示す図である。
第 17図は、 本発明の、 表面に流動体の流れる微細な溝を有する有機ポ リマ一製の板状部材を成形する金型の、 金型表面部に加工された溝から なる流路を、 成形 (転写) するための微細形状を示す平面図 (a ) と、 その微細形状の a— a ' 線断面の形状を示す断面図 (b ) と、 b— b, 線断面の形状を示す断面図 (c ) である。
第 18図は、 射出成形により成形された、 表面に流動体の流れる微細な 溝を有する有機ポリマー製の板状部材の溝パ夕一ンを示す図一 2である c 第 19図は、 一対の有機ポリマー製の板状部材を張り合わせ、 導電性ィ ンクで配線と液だめ用電極および検出装置内の電源端子接続用電極とを 印刷したチップを示す図一 2である。
第 20図は、 第 1 9図の c— c ' 線での断面図である。
第 21図は、 実施例において使用した熱レンズ検出装置の模式図である c 第 22図は、 熱レンズ検出装置のキヤビラリに対するレーザ一焦点位置 と熱レンズ検出法による出力との関係を示す図である。
第 23図は、 射出成形により成形された、 表面に流動体の流れる微細な 溝を有する有機ポリマー製の板状部材の溝パターンを示す図一 3である c 第 24図は、 一対の有機ポリマー製の板状部材を張り合わせ、 導電性ィ ンクで配線と液だめ用電極および検出装置内の電源端子接続用電極とを 印刷したチップを示す図一 3である。
第 25図は、 第 24図の a— a ' 線での断面図である。
第 26図は、 実施例 3における、 コレステロールの濃度と熱レンズ検出 法による出力との関係を示す図である。
第 27図は、 実施例 4における、 コレステロールの濃度と熱レンズ検出 法による出力との関係を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明に係る分析装置は、 キヤビラリを備えたチップと、 検出装置と、 からなる。
チップは、 一対のポリマー製の平板状部材から成り、 少なくとも一方 の表面には流動体が流れる溝が刻まれている。 これら平板状部材は、 溝 を内側にして張り合わせることでキヤビラリを形成する。 このキヤビラ リは、 試料用および少なくとも一種類の試薬溶液用の各々の流路を有し 、 また、 該流路が順次あるいは一度に合流する合流点を有する。 さらに 、 このキヤビラリは、 前記試料と前記試薬溶液との混合、 化学反応に必 要な所定の長さ以上の距離の流路を合流点の下流側に有し、 また該流路 が測定を行う流路に連結する構造を有している。 これらの試料、 試薬溶 液は所定の流量で送液されるよう制御される必要があるので、 前記分析 装置はそのための仕組みを有している。 すなわち、 前記試料と前記試薬 溶液とがキヤビラリ中を所定の流速で流れるような仕組みである。
そして、 検出装置は、 励起光および検出光を照射する機構を備えてお り、 光熱変換検出法 (例えば、 ぶんせき No. 4 280 - 284 (1997) ) に基 づく光学的検出システムからなる。
(ポリマ一チップについて) 本発明においては、 平板状部材の表面に備えられた溝の断面形状は、 四角形、 三角形等の多角形の形状、 半円形、 半楕円形等、 特に制限され ない。 また、 チップが何種類かの異なった形状の溝を組み合わせてなる 流路を表面に有していてもよい。 溝の上面 (開放面) の幅は、 溝の下面 (底) の幅と同じであるか又は広くてもよい。 なお、 後述の光熱変換法 に基づく検出手段をより簡便に精度良く行うためには、 溝断面形状が四 角形であることが望ましい。
この溝は、 あまり小さすぎると、 微粒子により流れが乱される原因と なる。 また、 あまり大きすぎると、 多くの流路を 1つの平板状部材の表 面に作る際に、 平板状部材の面積を大きく しなければならないだけでな く、 拡散による混合を行う際の拡散距離の点で問題が発生する。 そのた め、 溝の幅が 1〜: L 0 0 0〃m、 深さが 0 . 1〜 1 0 0 0〃m、 断面積 が 1〜 1 0 0 0 0 0 0〃m 2 であることが好ましい。 より好ましくは、 幅が 2〜 5 0 0〃 m、 深さが;!〜 5 0 0 / m、 断面積が 2〜 2 5 0 0 0 0 ju 2 、 更に好ましくは、 幅が 2〜 2 0 0〃m、 深さが 1〜 2 0 0〃 m、 断面積が 2〜4 0 0 0 0 z m 2 である。
本発明の有機ポリマー製の平板状部材は、 その表面に有する溝の寸法 精度は特に問わない。 しかし、 極微料成分の分析や定量分析等を行う上 では、 寸法精度は優れていることが好ましい。 すなわち、 溝の寸法精度 は、 操作の精度および個々の分析装置間の再現性を得るため、 金型の凸 形状 (成形により転写され、 平板状部材では溝が形成される) に対し、 幅および深さにおいては士 5 %以内、 断面積においては士 7 %以内の寸 法精度 (寸法転写精度) を有することが好ましい。 また、 高精度の定量 分析を行うためには、 幅および深さが ± 2 %以内、 断面積が ± 4 %以内 の寸法精度を有することが更に好ましい。
本発明のキヤビラリを備えたチップは、 その少なくとも一方が表面に 流動体の流れる溝を有する 2枚の平板状部材を、 超音波融着、 熱融着、 ホッ トメルト接着剤や U V接着剤等の接着剤による接着、 粘着剤による 粘着、 直接または薄い弾性シートを介しての圧接等の方法で、 前記溝を 内側にして張り合わせて作られる。 いずれの場合も、 張り合わせ時の気 泡の混入を防ぐために、 真空系中で圧着できる真空ラミネ一夕一を用い たり、 中心部から周辺部に向かって気泡を追い出しながら圧着して行く 方法などを用いることが好ましい。
溝を有していない方の平板状部材 (以降は、 「被せ板」 と記す) とし ては、 メ夕クリル樹脂シート、 ポリ力一ボネ一トシ一ト、 ポリスチレン シート等の樹脂製の平板状シートあるいガラスシート (薄いガラス板) 等を用いることができる。 これらシートの厚みは、 光の吸収度の問題等 の後述のような光熱変換分析への障害がなければ、 特に限定されるもの ではないが、 0 . 0 5〜数 mm程度が好ましい。
また、 チップは、 試料または試薬などの導入のため、 および、 電極を 付けるための開口部を、 張り合わせる 2枚の平板状部材のいずれか一方 に、 貫通孔として有している。 貫通孔は、 平板状部材の各流路の端部に 作られているか、 または、 張り合わせるもう 1枚の平板状部材側の前記 各流路の端部と合わさる部分に作られているのが望ましい。 貫通孔の大 きさは、 特に限定されるものではないが、 開口直径は 0 . 1〜数 mm程 度が好ましい。
溝を有する平板状部材に用いられるポリマー基材の材質の選択におい て、 成形加工性は重要な要素である。 成形加工性の面から良好に使用で きるのは、 一般の溶融加工可能な透明性熱可塑性樹脂、 U V硬化や熱硬 化によって得られた透明性樹脂である。 なお、 表面に溝を有する平板状 部材を大量に且つ安価に成形加工できる点で前者が良好である。 その中 でも非結晶性熱可塑性樹脂、 非結晶性樹脂が主成分の熱可塑性ポリマー ァロイ、 あるいは結晶化度が低い一部の結晶性熱可塑性樹脂が良好であ る。 特に良好に使用できるのは、 硬質樹脂であり、 具体的には、 ポリス チレン、 スチレン一アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、 ポ リメチルメ夕クリレート (P MM A ) 、 メチルメタクリレート一スチレ ン共重合体等のメ夕クリル樹脂、 ポリカーボネート (P C ) 、 ポリスル ホン、 ポリエ一テルスルホン、 ポリエーテルイ ミ ド、 ポリアリレート、 ポリメチルペンテン、 ポリ塩化ビニル樹脂、 ポリシクロへキサジェン、 ポリエステル等である。
また、 1 , 3 —シクロへキサジェン系重合体も好適に用いられる。 1 : 3—シクロへキサジェン系重合体は、 ホモポリマ一を使用することも可 能であるが、 共重合体を使用することもできる。 この共重合体としては、 1 , 3—ブタジエン、 イソプレン、 1 , 3—ペン夕ジェン、 1, 3—へ キサジェン等の鎖状共役ジェン系モノマー、 スチレン、 ひ一メチルスチ レン、 p—メチルスチレン、 1, 3 —ジメチルスチレン、 ビニルナフ夕 レン、 ビニルスチレン等のビニル芳香族系モノマ一、 メ夕クリル酸メチ ル、 アクリル酸メチル、 アクリロニトリル、 メチルビ二ルケトン、 ひ一 シァノアクリル酸メチル等の極性ビニルモノマー若しくはエチレンォキ シド、 プロピレンォキシド、 環状ラク トン、 環状ラクタム、 環状シロキ サン等の極性モノマ一、 またはエチレン、 ひ一ォレフィ ン系モノマーと の共重合体が挙げられる。 この場合の共重合比は、 重量比で 1, 3—シ クロへキサジェンモノマー/コモノマー = 7 5 / 2 5〜 1 0 0 / 0が好 ましい。 光透過性の高いシクロへキサジェン系ポリマーについては日本 国特許願 平成 9年第 2 7 7 0 4 5号明細書中に、 詳細に記述されてい る。 該ポリマーは、 素材として、 2 0 0 n m以上の波長の吸収はほとん どなく、 また、 非晶性の C— Hポリマ一なので、 短波長の光源による検 出も可能である。 これらポリマ一基材を用いて成形される本発明のチップは、 チップを 構成する一対の平板状部材の両方が検出光を透過する素材からなり、 両 平板状部材の少なくとも一方が励起光を透過する素材からなっている。 本発明の分析装置は、 このようなチップと光熱変換検出装置とからなる ことにより、 従来の樹脂製チップを用いた分析装置では測定が困難であ つた紫外領域の吸収しかもたない検出対象物質も、 高感度で検出するこ とが可能であり、 汎用性が高い。 このことは、 生体物質の中には紫外領 域の吸収しかもたないもの (つまり、 人間の目には無色のもの) も多い ため、 医療診断用の分析に用いるためには非常に重要なことである。
ここで、 紫外領域の吸収しかもたない物質の分析について、 若干の補 足説明を加える。 有機ポリマ一 (樹脂) は、 チップ素材として、 生産性、 コスト、 廃棄物処理等の点でガラスよりも優れている。 しかしながら、 有機ポリマ一は一般には紫外領域で吸収がある。 そのため、 一般的な検 出法である吸光度法で対象物質を検出しょうとすると、 チップ素材によ る吸収が大きく正しい測定値が得られない。 さらに、 1 0 0〃m 程度の 光路長では、 チップ素材が吸収しない波長を用いても微量成分の検出は 困難である。 蛍光で検出することも可能であるが、 蛍光を発する物質に 検出対象が限定され汎用性に乏しい。
それに対し光熱変換検出法は、 励起光さえ対象物質に吸収されれば、 検出光の波長は、 有機ポリマーが吸収しない波長を自由に選ぶことが可 能である。 一対の平板状部材からなるチップにおいて、 両方の平板状部 材が有機ポリマーに吸収されない波長 (一般には可視光) の検出光に対 して 『透明』 であり、 さらに、 一対の平板状部材のどちらか一方が、 対 象物質の励起を起こすのに十分な励起光を透過する透過度を有していれ ば、 汎用的な測定が可能となる。 具体的な例として、 溝を有する平板状 部材の厚みが 1〜 5 mm程度であり、 この平板状部材に張り合わせる平 板状部材 (被せ板) が 5 0 0〃m程度以下の薄いシートであり、 このシ ートが励起光に対して高い透過率の素材からなっている場合で説明する c この場合は、 励起光を薄いシート側から当てることにより、 溝を有する 平板状部材が励起光に対して透過率が小さくても、 検出対象物質を高感 度で検出することが可能である。
本発明で使用される有機ポリマーは、 光熱変換法に用いられる波長の 光に対して透明性を有する樹脂であることが求められる。 レーザーのパ ヮ一損失を考慮すると、 光熱変換検出で使用する励起および検出のレー ザ一の波長で、 透過率が 8 0 %以上、 好ましくは 9 0 %以上のものが望 ましい。 励起および検出のレーザの波長を考慮すると、 一般的には、 6 0 0 n m〜 8 0 0 n m、 好ましくは 4 0 0 n m〜 8 0 0 n mの波長範囲 で、 A S T M D 1 0 0 3で測定した光線透過率が 8 0 %以上、 好まし くは 9 0 %以上のものが望ましい。
上記の光線透過率は、 チップ表面での反射率および有機ポリマ一基材 そのものによる吸収率の総和を、 1 0 0 %から減じた値である。 チップ 表面などで散乱される光は有機ポリマーに対しては何の効果も発揮しな いのに対し、 有機ポリマー基材によって吸収される光は、 有機ポリマ一 に対しても熱を発生させる効果を持つ。 よって、 光が有機ポリマ一を通 過する際に熱レンズのような効果が生じ、 熱レンズ検出法による出力に 対しバックグラウンドとなるため、 測定の誤差となる。 そのため、 実際 のチップ作成に先立って有機ポリマ一材の評価を行ない、 実際の熱レン ズ検出法に影響を及ぼさない吸収率の範囲を決定する必要がある。
吸光度で検出する場合は、 有機ポリマーによって 1 0 %程度吸収され たとしても、 全体の光量を 9 0 %に低下させるにすぎず、 検出感度には さほど影響しない。 しかしながら、 光熱変換検出法の場合は、 1 0 %以 下の吸収であつても、 樹脂中に形成される熱レンズのため測定に大きな 影響を与える。
後述の実施例に示す測定結果を鑑み、 熱レンズによる本願分析装置を、 定量測定を目的とする用途に応用する場合は、 励起光がチップを通過す る全光路で該有機ポリマーによって吸収される割合は 5 %以下であるこ とが必要であることが判明した。
しかし、 測定対象物の濃度が薄く、 かつキヤビラリが細い (溝が浅い ) といった、 測定に高感度を要求される場合には、 わずかな吸収であつ ても、 キヤビラリ中の物質測定に悪影響を与えるバックグラウンドの原 因となる。
測定対象が血液中成分等で、 試薬として現状流通している試薬キッ ト を使用した場合、 1 c mのキュベッ トでの吸光度が 0 . 1程度の測定は よく行われる。 この測定を仮に 5 0〃mのキヤビラリを備えた本発明の 有機ポリマー製チップを用いて行ったとすると (すなわち光路長が 5 0 〃m) 、 1 c mの光路長での吸光度 0 . 1は、 5 0〃mのキヤビラリに 対しての吸収率としては 0 . 1 0 3 %に相当する。 有機ポリマー製チッ プによる吸収 (熱レンズ形成) を、 この 1 0倍まで許容するとすると吸 収率は 1 %、 2倍までとすると吸収率は 0 . 2 %となる。
つまり、 1 c mの光路長の場合の吸光度が 0 . 1程度の測定を、 本発 明の分析装置で行うには、 チップを形成する有機ポリマーによる光の吸 収が 1 %以下、 より好ましくは 0 . 2 %以下であることが望ましいとい うことになる。
ただし、 この値は、 試薬キッ トの改良、 キヤビラリの深さの違い等に より変化し得る。 例えば、 1 c mのキュベッ トでの吸光度を 0 . 5程度 まで上げることは、 現状の技術をもってすればさほど困難は伴わない。 この場合、 5 0〃mのキヤビラリに対する吸収率は 0 . 3 4 2 %に相当 し、 有機ポリマー製チップによる吸収 (熱レンズ形成) を、 この 1 0倍 まで許容するとすると、 吸収率はおよそ 3 . 5 %、 2倍までとすると 1
^¾し 。
検出光についても、 吸収があることにより自らの光路に変化をきたす 結果を招くため、 同様に、 チップを通過する全光路で該有機ポリマーに よって吸収される割合を数%以下にすることが望ましい。
このように、 熱レンズ検出法により分析, 計測を行う場合、 チップを 構成する基材を、 適切に選択しなければならないことが判明した。 励起 光、 検出光、 いずれの場合においても、 ポリマー基材の許容される吸収 率は、 測定する対象物の濃度または吸光度により変化する。 そのため、 チップを構成する基材による励起光、 検出光の吸収は、 熱レンズ検出法 による測定に対して実質的に影響しない程度である必要がある。 生化学 反応系を例にとると、 ポリマー基材の吸収率は数%以下であることが望 ましい。
上述の基準を元に選択された有機ポリマーからなる平板状部材は、 切 削加工やレーザ一等によるエッチング加工、 型内でのモノマーおよび/ またはマクロモノマーの U V硬化や熱硬化、 熱可塑性樹脂の溶融加工や 塑性加工等の方法により成形できる。 良好に使用できる成形加工法は、 表面に溝を有する平板状部材を大量に且つ安価に成形加工できることか ら、 熱可塑性樹脂の溶融加工ゃ塑性加工である。 さらに良好に使用でき るのは、 金型を用いた熱可塑性樹脂の射出成形法および/または圧縮成 形法、 エンボス成形法である。 射出圧縮成形を含む射出成形法は、 量産 性や経済性の優れる成形法である。 圧縮成形は、 量産性では射出成形に は劣るが、 型表面を転写性良く成形する方法である。 具体的には、 予め 板状に成形された熱可塑性樹脂を金型内に入れ、 熱プレスにより熱可塑 性樹脂を溶融温度まで加熱する。 そして、 加圧圧縮 (プレス) し型表面 を転写後、 加圧した状態で熱プレスを冷却し、 熱可塑性樹脂を軟化温度 以下で冷却固化する方法である。 特に、 樹脂の金型キヤビティへの充塡 工程中に、 金型に接する樹脂表面の固化温度を低下させつつ射出成形す る射出成形法 (日本国特許公開公報 平成 1 0年第 1 2 8 7 8 3号、 日 本国特許出願 平成 1 0年第 5 0 7 1 9号明細書) は、 生産性良く成形 精度の高い微細な溝を有する有機ポリマ一製の平板状部材を作ることが できるため、 特に好ましい成形方法と言える。 この射出成形方法の具体 例としては、 キヤビティ一内に炭酸ガスを満たしておき射出成形する方 法が上げられる。 この場合の炭酸ガスの圧力は、 l O M P a以下が好ま しく、 更にはガス溜まりの防止と樹脂表面の固化温度を低下させる効果 との兼ね合いから 0 . 3〜2 M P aが好ましい。
また、 成形直前に高周波誘導加熱で金型表面を加熱して成形する射出 成形方法 (日本国特許公告公報 昭和 6 2年第 5 8 2 8 7号、 米国特許 第 4 4 3 9 4 9 2号等に記載) や、 成形直前に輻射加熱で金型表面を加 熱して成形する射出成形方法 (成形加工シンポジァ' 9 5, 2 4 1 < 1 9 9 5 >、 成形加工' 9 6, 6 9 く 1 9 9 6〉、 合成樹脂, 4 2巻 ( 1 ) , 4 8 < 1 9 9 2〉等に記載) などのような、 金型表面を加熱して成 形する射出成形方法も、 本発明の有機ポリマ—製の平板状部材の製造に 好ましい成形方法である。 つまり、 前記成形方法は、 金型温度を低く設 定し、 高周波誘導加熱やハロゲンランプ等の熱源により、 成形直前に金 型表面だけを選択的に加熱して、 型表面転写性と成形サイクルとの両立 をはかれる成形方法であるからである。
本発明の有機ポリマー製の平板状部材を、 日本国特許公開公報 平成 6年第 2 8 3 8 3 0号の回路基板を製造する方法に基づいて製造するこ とも可能である。 この方法によれば、 飛来する粒子の方向が厚いレジス 卜により垂直方向にそろうため、 通常の薄いレジストに比べてシャープ な加工が可能で、 高ァスぺク ト比の溝を作ることができる。 また、 樹脂
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訂正された用紙 (規 91 基板上に感光性レジストを塗布し溝以外の部分を露光した後、 未硬化部 分を除去して、 溝の形状のレジストパターンを基板上に形成する手法も 可能である。
金型は、 鉄または鉄を主成分とする鋼材、 アルミニウム、 またはアル ミニゥムを主成分とする合金、 亜鉛合金、 ベリ リウム一銅合金、 ニッケ ル等からなる、 一般に合成樹脂の成形に使用されている金属金型が良好 に使用できる。
金型作製方法の 1つの例を挙げる。 まず、 金属、 プラスチック、 シリ コンまたはガラス等の材料から、 切削加工やエッチング加工、 または紫 外線硬化樹脂のフォトリソグラフィ加工等の方法により、 目的とする微 細な溝を有する有機ポリマー製の平板状部材の表面形状を有する母型を
1つ作成する。 そして、 この母型からニッケル等の電気化学的錶造法に より金型が作製される。
また、 前述の日本国特許公開公報 平成 6年第 2 8 3 8 3 0号のレジ ス トパターンを形成する方法を用いて金型を作ることも可能である。 金 属基板にレジス トパターンを形成した後、 レジス卜の無い部分を金属メ ツキで埋める。 そして、 レジストを除去して、 基板表面に微細なパター ンを施した金属板を形成する。 この金属板を金型にして、 樹脂の加工を 行うことが可能である。
また、 本発明の有機ポリマ一製の平板状部材で構成されるチップは、 キヤビラリ内面を、 ポリエチレングリコールのグラフト重合などにより 蛋白吸着防止処理をしてもよい。 また、 後述する電気浸透流を送液手段 として使う場合は、 安定した電気浸透流を発生させるため、 水酸化ナト リウム溶液などでキヤビラリの表面を処理しても良い。 特に、 P M M A を有機ポリマーとして用いる場合は、 水酸化ナトリウム処理を行うと、 表面のエステルが加水分解されカルボン酸が露出するため、 電気浸透流 が大きくかつ安定するので好ましい。
また、 送液方法として後述する電気浸透流 (EOF) を用いた場合、 チッ プは、 金属針、 金属板、 金属箔などからなる金属製電極、 導電化処理さ れた無機または有機ポリマ一製電極或いは導電性ィンクで印刷された電 極を、 チップの表面に有していてもよい。 この場合は、 キヤビラリおよ びキヤビラリの端または途中に設けられた液溜 (試薬、 試料、 緩衝液、 廃液などを入れる) に接する電極、 検出装置と連結できる電極、 および それら電極間のリード線も、 チップ内に装備することが好ましい。 金属針を挿入する場合は、 径 0. 1 〜2. 5 薩 で、 平板状部材の溝の近 傍まで達する長さの白金、 銅、 真鍮、 アルミ、 鉄などからなる釘、 針、 ノヽトメ状のもの等を、 貫通孔内に固定することが好ましい。
導電性インクによる印刷の場合は、 金、 銀、 銅、 ニッケル、 力一ボン ブラック、 グラフアイ ト等の微粒子を含有したインクを用いて、 例えば スクリーン印刷で電極を形成することができる。 スクリーン印刷で貫通 孔の内壁を印刷するには、 最近の多層化プリント基板の各層の導通のた めに行われるスクリーン印刷機による、 導電性ィンクのスルーホール印 刷技術を応用することができる。 スルーホール印刷は、 印刷する試料を 試料台の上に、 試料の貫通孔と試料台の吸引孔との位置を合わせて設置 し、 試料に印刷しながらまたは印刷した後、 貫通孔周辺に溜まったイン クを吸引して、 貫通孔の内壁をったわらせて印刷するものである。 真空蒸着やスパッ夕製膜では、 貫通孔の内壁全面または一部のいずれ の場合も、 深さは平板状部材の溝の近くまで達するように、 金や白金を 印刷あるいは蒸着する。 この際、 貫通孔をテ一パ状にしておけば平板状 部材を傾けることなく貫通孔の内壁に電極を形成することができる。 また上記電極以外に、 チップを装着する検出装置内の電源端子と連結 するための電極、 およびそれらの電極間のリード線も、 導電性インク、 真空蒸着、 スパッタ製膜で形成できる。 また、 銅板等の薄板を張り付け ておいて、 エッチングで配線パターンを形成したり、 パターン形成した 銅箔等を板上に転写あるいは張り付けしても形成できる。
また、 溝を有する平板状部材やそれに張り合わせる平板状部材 (被せ 板) 以外の第 3の平板状部材ゃ成形品に、 上記と同じ様な方法で電極お よび Zまたは配線を形成し、 この第 3の平板状部材ゃ成形品を張り合わ せることによって、 電極および/または配線を装備している装置とする こともできる。
いずれの場合でも、 高電圧を印加した際の発熱が、 電気泳動に影響を 及ぼさない程度に抑えられるよう、 材質と大きさとを選ぶことが必要で める。
(流動体について)
本発明が分析の対象としている流動体は、 主として液体と気体であり、 その中でも特に水溶液である。 有機溶媒やガス状の物質も扱えるが、 い ずれもチップの素材、 接着剤などに腐食性、 溶解性、 樹脂の白化性など を持たないことが必要である。 電気的な送液の場合は、 特に水溶液が好 ましい対象である。
(熱レンズについて)
本発明に係る分析装置のチップにおいては、 試料は、 電気浸透流、 電 気泳動または他の適当な手段により、 精度良く流量を制御される。 そし て、 必要に応じて希釈や他の試薬との反応を行った後、 その流路の下流 において、 以下に述べる方法で対象物質が検出される。
第 1図に、 光熱変換現象に基づき形成される熱レンズを用いた検出法 の原理を示す。 レンズにより集光されたレーザー光 (励起光) を試料に 照射すると、 光励起によって試料に含まれる測定対象物から熱が発生 ( 光熱変換効果) し、 その熱によりレーザーの焦点付近の屈折率が低下す る。 そして、 熱拡散などの効果により屈折率の空間分布ができる。 この 領域を通過する光は屈折率の分布により直進せず、 光学的にレンズが生 じたのと同じ効果を生じさせる。 このような仮想的なレンズの効果を熱 レンズ効果と呼ぶ。 例えば、 水のように屈折率の温度係数が常温付近で 負の物質の場合は、 凹レンズが生じたのと同じ効果を示す。 レンズ効果 の強さ (レンズの度) は発生する熱量に比例、 すなわち励起した分子の 数に比例する。 そこで、 別に検出のためのレーザ一光 (検出光) を入射 すると、 レンズ効果により、 検出レーザ一光は本来の光路より拡がった り狭まったりする。 この検出レーザー光の変化の大きさから、 発熱量、 すなわち測定対象物の吸光量を測定でき、 測定対象物の定量化が可能と なる。 原理的に熱レンズは、 励起レーザー光の焦点付近に形成されるた め長い光路長を必要とせず、 微小領域内の試料の検出に適する。
この熱レンズ検出装置を本装置に備えることにより、 従来技術では、 チップ面の上下幅程度 (角度は必ずしもチップ面に垂直である必要はな い) 、 すなわち溝の深さ程度 ( 1〜 1 0 0 0〃m程度) の短い光路長の ため計測が困難であつた被検出物の濃度などの測定が可能となった。 先述したように、 有機ポリマー製の平板状部材の溝は、 幅、 深さが 1 〜1000〃111 程度なので、 板面の上下 (角度は必ずしもチップ面に垂直で ある必要はない) 方向、 つまり、 流動体の流れと垂直または斜め方向の 光路長は、 溝の深さ程度までしか取れない。 しかし、 熱レンズ検出法を 用いれば、 この程度の光路長でも十分高感度で対象物質を検出すること が可能である。 したがって、 光熱変換検出法は光路長を長く取るための 複雑な流路構造をとる必要がないので、 チップが低コストである。 また、 半導体レーザーとフォトダイォードとの組み合わせなど、 小型かつ安価 で簡単な光学系の検出装置で検出が可能である。 ただし、 検出に用いら れるチップの材質については、 励起光に対する吸収率が小さくなければ ならない制限がある。 さもないと、 第 1図に示すように本来の濃度検出 のための熱レンズの他に、 熱レンズ相当の領域ができて、 それにより誤 差が発生する。
光熱変換検出法を用いた検出装置としては、 検出対象物質が吸収する 波長を有し、 熱レンズを形成させるのに十分な出力を備えた励起光源が 必要である。 励起光としては、 キセノンランプなどから必要とする波長 の光をプリズムを用いて取り出したものでもよいし、 検出対象物質を励 起することが可能な波長を有するレーザーでもよい。 レ一ザ一としては 、 He-Ne レーザー、 Arレーザ一、 炭酸ガスレーザ一、 Y A Gレーザーな ども用いられるが、 半導体レーザーを用いると検出装置が小さくなり、 P〇 C分析等や環境計測などの用途に適する。 検出光の光源は、 励起光 よりも出力は小さくてもよく、 また、 波長は励起光と同じでも違っても よい。 励起光、 検出光ともにキヤビラリ流路中、 もしくはキヤビラリ近 傍に焦点を結ぶのが好ましく、 その場合は集光レンズが必要である。 励起光はチョッパー等で 0 . 1〜 1 0 m秒程度のパルス光にされてい る。 そして、 フォトダイオード、 C C Dカメラ、 光電子倍増管などで捉 えられた検出光は、 前記チヨヅパーと同調するロヅクインアンプなどで 信号処理されることで、 熱レンズにより引き起こされるその変化分のみ が取り出される。 なお、 検出光の検出には、 フォ トダイオードの使用が 検出装置の小型化の点では適している。
ロックィンアンプは、 単機能の半導体素子などで簡略化が可能である また、 励起光のパルス化は、 半導体レーザ一を電気的に変調させても良 い。 また、 検出光の検出の際、 一般にはロックインアンプを用いるが、 日本国特許公開公報 平成 9年第 2 2 9 8 8 3号に開示される喑視野型 光熱変換分光分析装置の方法を用いて、 遮蔽板で励起光および検出光の 光軸付近の光束を遮蔽し、 熱レンズによって発散された検出光のみを検 出する手法をとつてもよい。 あるいは、 励起光のパルスに合わせて機能 を絞った L S Iなどに置き換えても良い。
また、 本発明では、 極微小空間に存在する分子数を数えるといった絶 対感度は必要ではなく、 キヤビラリ中に存在する物質の濃度が高感度で 測定できればよい。 すなわち、 濃度感度が高いことが必要である。 つま り、 熱レンズは、 できる限りキヤビラリの所定断面全体に広げるほうが、 その中に存在する測定対象物質の分子数が多くなり、 熱レンズ効果が大 きくなる。
なお、 所定断面とは、 キヤビラリ内の流動体の流れ方向と励起光の光 軸とを含む平面に対して垂直な平面のうち、 前記光軸を含む平面による 断面である。 なお、 この光軸はキヤビラリ内の流動体の流れ方向に対し て垂直であることが望ましいが、 斜めでもよい。
しかし、 励起光を広げすぎると単位体積当たりの光量が減り、 熱拡散 などの影響により熱レンズ効果は低下するので、 励起光の広さには最適 値がある。 本実施例 1の場合には、 キヤビラリの深さ 5 0〃mに対し、 N A = 0 . 4の対物レンズを用い、 キヤビラリの深さ方向の中心位置で の励起光のビーム径 (最大光量に対し 1 3 . 5 % ) が 3 8〃mとなって おり、 この時に熱レンズ検出法による出力の最大値が得られた。 熱レン ズが大きくなると、 有機ポリマ一製のチップ内にも熱レンズが形成され るので、 前述したように、 バックグラウンドの原因となって、 測定感度 を低下させることは明らかである。
このように熱レンズは、 前記所定断面のうち、 測定する所定成分の濃 度感度を、 前記所定成分を分析するのに十分な感度とするような範囲に 形成させることが必要である。 そのためには、 適切な集光度を持ち、 か つ適切な位置で焦点を結ぶように励起光の調整を行う必要がある。
この熱レンズの大きさ (温度変化の発生する範囲) の調節法は種々有 るが、 キヤビラリに励起光を照射する対物レンズの開口数を調節しても 行うことができる。 通常の熱レンズ、 例えば、 日本分析化学会第 4 4年 会 ( 1 9 9 5 ) 要旨集 I C 0 5に記載されている顕微熱レンズシステム を、 そのまま本発明に係るチップに用いたところ、 対象物質の検出感度 は必ずしも高いとは言えなかった。 熱レンズの検出部のキヤビラリのサ ィズとしては、 幅、 深さとも 2 0〃m程度以上が好ましい。 一方、 先述 の顕微熱レンズでは、 倍率 7 0倍で励起光のビーム径は約 4〃mとなり 、 さらに絶対感度を上げるために、 顕微鏡の倍率を上げ、 ビーム径をサ プミクロンのオーダ一まで絞ることが記載されている。 本発明者らが、 検出部のキヤビラリが深さ約 5 0〃m、 幅が約 5 0 / mであるチップを 用いて、 ビーム径 4〃 m程度の励起光で熱レンズ検出法による出力を測 定したところ、 検出感度は低かった。
そこで、 集光レンズの開口数を種々検討した実験の結果、 開口数を 0 . 1程度に落として、 ビーム径を 5 0 / m程度に拡げた例では、 検出感 度の改善が見られた。 これは、 従来の熱レンズ検出法は、 微小空間の物 質の分子数を最低いくつから検出できるかという絶対感度を高めるため 、 励起光を光学的集光レンズなどで強く絞って試料溶液に集光し、 形成 される熱レンズの厚みを小さく しているので、 試料溶液一定体積当たり の物質量の定量という濃度感度が低いためであると考えられる。
一方、 医療診断や環境分析等では絶対感度ではなく、 濃度感度が高い ことが重要である。 したがって、 従来の熱レンズ検出法とは異なり、 励 起光の集光度を下げて、 安定した電気浸透流を得る流路断面積程度に熱 レンズを拡げることにより、 濃度感度を上げ、 安定した電気浸透流が可 能な小断面積のキヤビラリで、 高感度で物質を検出できる。
実際に熱レンズ検出法を用いて、 本願発明のようなチップに形成され たキヤビラリ内の物質を分析する手順について、 以下に記載する。 第 2図に示された顕微鏡を含む各光学部品を、 安定した実験台の上に 設置する。 実験台は防振効果を持つものが望ましい。 また、 レーザー光 を集光するための顕微鏡は、 外部より直接レーザ一光を導入できる導入 口を備えている。 なお、 励起光の光路上に設置されたチョッパーの周波 数は 1 1 6 H zに調整をした。 この値は、 電源などのノイズ源からのノ ィズを拾わないよう心掛ければ、 変更は可能である。
まず、 励起光、 検出光、 それぞれの光路途中に設置されたビームェク スパンダーの光軸を調整する。 特に、 検出光に対しては、 ビームのコリ メート度を変化させても光軸がずれないように厳密な調整を行う。 今回、 ビームェクスパンダーの拡大率は 1 0倍とした。 次にこれら 2つのレー ザ一光を、 ダイクロイツクミラーを用いて同軸にする。 ダイクロイツク ミラーは励起光に対して 9 0 %以上の透過率を有しており、 一方、 検出 光に対しては 8 0 %以上の反射率を¾している。 この特性により、 励起 光、 検出光ともに光量損失を押さえつつ、 同軸にすることができた。 同 軸にした後、 検出光のビームェクスパンダーのコリメ一ト度を変化させ、 顕微鏡下での目視により、 励起光との同軸性が落ちないレベルに励起光 と検出光との同軸性を高める。
測定に使用するチップを顕微鏡下に設置し、 チップ内に形成されたキ ャビラリに測定試料を導入する。 その後、 励起光の焦点がキヤビラリの 深さ方向の中心に来るように、 高さの調整を行う。 対物レンズはキヤピ ラリの深さ (幅) が 50 m 〜; 100 urn ならば、 NA二 0. 2〜0. 8 の範囲で調 整をすればよく、 0. 2 、 0. 4 、 0. 6 の 3点について感度の検討を行った c 高さの調整は顕微鏡下でチップを上下に微動させ、 大気/基板界面もし くは基板/キヤビラリ界面での反射を見ながら高さの調節を行う。 この 場合、 目視なので励起光の焦点深度程度の誤差を含み、 開口数が 0. 4 の 対物レンズを用いた場合には 2 〃m程度となるが、 この程度であれば問 題はない。 最初に、 開口数 0. 2 の対物レンズを用いて、 上記の様に試料 を導入したチップの高さ調節を行う。 そのとき、 励起光および検出光の 焦点位置の差をほぼキヤビラリの深さと同じにし、 かつ検出光の焦点位 置を励起光の焦点位置よりも対物レンズ側となるようにビームェクスパ ンダ一を調整する。 今回の場合 50 / Π1 程度である。 ビームェクスパンダ 一を検出光が収束するように調整していけば、 検出光の焦点位置は励起 光よりも対物レンズ側となる。 以上の状態でロックインアンプの出力、 すなわち熱レンズ検出法による出力を確認する。 このとき、 ロックイン アンプの時定数は 1秒とした。 この状態で、 十分に有意な値が出ること を確認すると共に、 励起光の迷光が光検出器に入っていないことを確認 するため、 励起光のみが入射した状態で、 先述の熱レンズ検出法による 出力が十分に小さくなることを確認する。 次に、 検出光のビームェクス パンダ一収束角を調整し、 熱レンズ検出法による出力を見ながら、 信号 が最大になる位置に調整する。 以上の操作を開口数が 0. 2、 0. 4、 0. 6 の 3種類について行い、 最適な感度が得られる開口数を選択する。 50〃 m の深さのキヤビラリを例に取ると、 開口数 0. 4 の対物レンズを用いた 場合に、 熱レンズ検出法を用いて最も高い濃度感度が得られた。
なお、 熱レンズ検出法で検出できる対象物は、 励起光を吸収するもの であれば何でも良いが、 試料中の他の物質、 特に励起光を吸収するもの や、 検出光を吸収または検出光の波長に対して蛍光などを持つ物質とは 、 光熱変換が行われる前に分離しておくことが必要である。 励起光を吸 収する度合いは、 モル吸光係数が 1 , 0 0 0から 1 0 0, 0 0 0程度あ ることが感度の点で望ましい。
励起光を吸収しない、 あるいは、 わずかしか吸収しない検出対象物質 は、 検出対象物質を基質とする酵素を用いた反応を組み合わせて、 励起 光を吸収する物質 (可視光の場合は色素) に変換して測定する。 あるい は、 検出物質対象に対する抗体を用いて、 励起光を吸収する物質でその 抗体または 2次抗体を標識して、 直接若しくは酵素反応の結果生じる励 起光を吸収する物質を測定する。
例えば、 検出対象物質として生物学的材料を検出する場合、 検出対象 物質を基質とする酵素を用いた反応を組み合わせて、 最終的に以下の物 質に変換することなども可能である(Aoyama,N. 臨床検査, 41:1014(19 97)) 。 すなわち、 N-ェチル - N- (3-メチルフエニル) -N' - ァセチルェチ レンジァミン(EMAE)、 N-ェチル - N- (3 - メチルフエ二ル)- Ν' - スクシ二 ルエチレンジァミン(EMSE)、 N-ェチル - N- (3- スルホプロピル)- 3, 5 - ジメ トキシァニリン(DAPS)、 N- ( 3 - スルホプロピル) -3 , 5- ジメ トキシァニリン(HDAPS) 、 N-ェチル - N- (2 - ヒ ドロキシ- 3 - スルホプ 口ピル)- 3 , 5 - ジメ トキシァニリン(DA0S)、 N- ( 2- ヒドロキシ- 3 - スルホプロピル)- 3, 5- ジメ トキシァニリン(HDA0S) 、 N- ( 2- ヒ ドロキシ- 3- スルホプロピル) - 3, 5 - ジメ トキシァニリン(HSDA)、 N-ェチル -N- (2-ヒドロキシ- 3- スルホプロピル)- 3-メチルァニリン(TOP S)、 N-ェチル - N- (2 - ヒ ドロキシ- 3 - スルホプロピル)- 3 - メチルァ 二リン(T00S)、 N-ェチル -N- (2- ヒドロキシ- 3- スルホプロピル) - 3 , 5- ジメチルァニリン(MAPS)、 N-ェチル - N- (2- ヒドロキシ- 3 - ス ルホプロピル)- 3, 5- ジメチルァニリン(MA0S)、 Ν,Ν-ビス( 4- スル ホブチル)- 3, 5- ジメチルァニリン(MADB)、 Ν,Ν-ビス( 4- スルホブ チル) -3, 5- ジメ トキシァニリン(DADB)等と 4 _アミノアンチピリン の縮合体である励起光を吸収する物質、 若しくはビス {4- [Ν- 3' -スル ホ- η- プロピル]- Ν- η-ェチル] ァミノ- 2, 6 - ジメチルフエ二ル} メ 夕ン(Bis-MAPS- C2) 、 ビス { 4 - [N- 3 ' -スルホ - n- プロピル]- N-n-プロ ピル] ァミノ- 2, 6- ジメチルフエ二ル} メタン(Bis- MAPS- C 3) 、 ビス {4- [N- 3' -スルホ - n- プロピル] n -プチル] ァミノ- 2, 6 - ジメチルフヱ二ル} メタン(B is- MAPS-C 4 ) 等の励起光を吸収する物質 への変換である。
これら反応をチップ内で行う際に、 試薬溶液はチップの外から、 チュ 一ブゃ針を用いて供給してもよい。 あるいは、 チップ内にビニル袋 (材 質はポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリエステル、 ナイロン、 塩化ビ ニルなどで、 試薬と相互作用しないものならよい) 等の小さい容器に封 入した試薬溶液をセッ トしておき、 チップ内の針をビニル袋に外から押 しっけるなどして該袋を破って、 チップ内の試薬溜に試薬溶液を移液し てもよい。 さらには、 試薬を乾燥固体としてチップ内に封入しておき、 チップ内もしくは外の水、 または緩衝液溜からの水もしくは緩衝液を、 試薬固体封入場所に所定容積導入して、 所定の濃度の試薬とする方法な どがある。
また、 試料はそのままチップに入れてもよい。 また、 河川の汚濁分析 や尿分析などでは、 前処理として分子量で分画可能な膜フィルターなど を用いて濃縮してもよい。 また、 チップにフィル夕一を設け、 試料中の ゴミや、 血球などを除去してからキヤビラリに導いてもよい。
(流量比について)
本発明のチップのキヤビラリには、 一定量のサンプリングを主な目的 とした流路部分、 試薬や試料の混合を主な目的とした流路部分、 試薬や 試料の移送を主な目的とした流路部分など、 部分毎に異なった操作を主 な目的とした流路部分を作ることができる。 電気浸透流を送液手段とし て用いる場合には、 上記のほかに電気泳動分離を主な目的とした流路部 分を作ることもできる。 ポンプ送液や電気浸透流などいずれの送液手段 で送液する場合にも、 当然 1つの流路部分が複数の目的を兼ね備えてい てもよい。 また、 本発明のチップは、 流路が、 1つの操作を主な目的と した流路部分のみからなっていてもよいが、 複数の各々異なった操作を 主な目的とした流路部分を組み合わせてなっていてもよい。 このことに より、 単なる定性分析ではなく、 定量分析や反応などを伴うような高度 な分析が可能な装置とすることができる。
一定量のサンプリング (分取) を主な目的とした流路部分の形状は、 2本の流路が十字にクロスしている第 3図に示すような形状、 または 1 本の流路に対し 2本の流路が各々 T字に合流する第 4図に示すような形 状であり、 好ましくは第 4図の形状である。 一定量のサンプリングは、 第 3図の形状の流路では、 試料をまず Aより Bに向かって流した後に B への流れを止め、 次に試料を Aより Dに向かって一定時間流した後に A からの流れを止め、 更に Cから Dに向かって流動体を流すことにより行 われる。 この場合には、 キヤビラリの断面積と流速と時間とにより一定 量のサンプリングが行われる。
また、 第 4図の形状の流路では、 試料をまず Aより Bに向かって流し た後に流れを止め、 次に Cから Dに向かって流動体を流すことにより行 わる。 この場合には、 キヤビラリの断面積および T字状の流路の合流点 Eと T字状の流路の合流点 Fとの間の長さによって、 一定量のサンプリ ングが行われる。 この形状では、 キヤビラリが寸法精度良く作られてい れば、 流動体の流速や流した時間に関係することなく、 キヤビラリの断 面積および合流点 Eと合流点 Fとの間の長さによってのみサンプリング の量が決定する。 また、 キヤビラリの断面積および合流点 Eと合流点 F との間の長さを変えることより、 任意にサンプリングの量を設定できる ので、 より好ましいサンプリング (分取) 方法といえる。
試料や試薬の混合や希釈を主な目的とした流路部分の形状は、 サンプ リング (分取) と組み合わせて行う場合には、 流路途中に幅が広い形状 および/または深さの深い形状 (この部分は、 mmオーダ一から c mォ —ダ一のサイズとすることが好ましいこともある) などがあげられる。 なお、 一旦、 送液を止め拡散により流動体を均一化したり、 機械的攪拌 により流動体を均一化する等の均一化工程を取ることが好ましい。 特に、 機械的に攪拌できる構造 (攪拌バーを入れておき、 磁力により撹拌する など) は、 均一化に時間を必要とせず好ましい。
また、 流路構造によっては、 試料や試薬の混合や希釈を主な目的とし た流路の形状として、 1本の流路に他の流路を合流させた形状や、 1本 の流路に複数本の流路を一力所で合流させた形状などを挙げることがで きる。 1本の流路に他の流路または複数の流路を合流させ一本の流路と することにより、 流路形状のみで、 混合操作や希釈操作を行うことがで きる。 また、 この時、 各々の流量を変えることにより、 異なった比率で の混合や希釈も可能である。 ポンプでの送液の場合には、 合流する各流 路の流量を機械的に変えることができる。 また、 電気浸透流での送液の 場合には、 合流する各流路の断面サイズや長さを変えたり、 各流路への 電圧のかけ方を変えたり、 各流路内表面の荷電状態を表面処理等により 変えることにより、 合流する各流路の流量を変えることができる。 また 、 ポンプを外部に持つ場合には、 シリンジポンプで空気圧を発生させ、 その圧により流動体を押し出す形式のもの、 吸引する形式のものなど、 ポンプの種類は問わない。 この場合には、 合流部分に邪魔板構造を設け たり、 合流部の後に拡散により液を均一化する流路を設けることが望ま しい。 流動体を均一化する流路部分の形状としては、 直線状の形状、 蛇 行状や渦巻き状に曲げられた形状などの形状が挙げられる。 加えて、 混 合した流動体が所定の反応を行うのに必要かつ十分な時間を確保する必 要があるが、 混合後得られる所定の流速に応じて、 合流点から次の合流 点もしくは検出部に至るまでの流路の距離を所要の距離とすることで、 別途反応時間を計測する手段を用いることなく必要な反応を行った。 流動体の移動手段としては、 ポンプなどの機械的手段、 または電気浸 透流などの電気的手段を用いることが可能である。
キヤビラリ内の流動体の移動を、 チップ外の駆動装置で稼働する送液 ポンプまたは吸引ボンプで行う場合は (チップ内のポンプをチップ外の 駆動装置で稼働させる事も含む) 、 流量をポンプの吐出量または吸引量 で制御するか、 または流量調節バルブを用いるなどの機械的手段によつ て制御することが可能である。
さらに、 上記とは逆に、 1本の流路が多数本に別れる流路 (流路を分 岐) とすることにより、 分流を行うことも可能である。
電気浸透流を送液手段として用いる場合の電気泳動分離を主な目的と した流路部分の形状としては、 直線状の形状、 蛇行状や渦巻き状に曲げ られた形状などがあげられる。 蛇行状や渦巻き状に曲げられた形状は、 分離のための流路の長さをチップ長辺の長さより長くできるため、 直線 状の形状より分離性能を上げることができる。
本発明の分析装置は、 流路パターン (構成) を変えることにより、 多 くの分析目的で使用することができる。 例えば、 混合や分離を主な目的 とした流路を中心に構成して定性分析用としたり、 定量サンプリングを 主な目的とした流路と分離を主な目的とした流路とを組み合わせた構成 としたり、 定量混合を主な目的とした流路を中心に構成して分離を伴う 定量分析用や反応を伴う定量分析用としたり、 定量サンプリングを主な 目的とした流路と混合を主な目的とした流路と分離を主な目的とした流 路とを組み合わせた構成として反応を伴う定量分離分析用としたり、 定 量サンプリングを主な目的とした流路と混合を主な目的とした流路とを 主に組み合わせた構成として分離をあまり伴わない分析用としたりする ことが可能である。
本発明に係る分析装置のチップにおいては、 試料は、 電気浸透流、 電 気泳動または他の適当な手段により制御されて、 希釈や他の試薬との反 応が行なわれる。 また、 これらの流動体の合流などの操作は、 通常タイ ミングも精度良く制御しなければならない。 これらの操作を精度良く、 簡便に、 かつ外部タイマーなど余分な装置を用いることなく行うことを、 それぞれの流動体を所定の流量比率で混合、 反応させることと、 所定の 流速で流れる合流後の流動体に、 混合、 反応に必要な時間流動するのに 必要かつ十分な長さのキヤビラリを与えることとで実現できることを発 見した。 その詳細を以下に述べる。 なお、 本発明で言う流量とは、 キヤ ビラリ中を一定時間内に移動する流動体の体積を意味する。
図を用いて、 より詳細に混合、 反応に関わる部分の本技術を述べる。 以下の説明では、 簡略化のため全てのキヤビラリは同じ深さを持つと仮 定するが、 実際に実施する場合は深さが違っていても構わない。 同様に 簡略化のため、 合流前の流動体の流速、 すなわち単位時間当たりの移動 距離は、 全ての流動体について Vであると仮定する。 これも同様に実際 の実施場面では各流動体で違っていても構わない。 以下の説明では、 合 流前の各流動体は速度 Vで連続的に移動を続け、 停止することはないと する。
第 5図は流動体 1と流動体 2とを合流点 1において合流させ、 所定の 時間かけて混合、 反応を行った後、 流動体 3を流動体 1と流動体 2との 混合物に合流させる流路を示したものである。 第 5図では、 合流点 1に 達するまでの流動体 1、 流動体 2の流れる流路の幅 Wは aであり、 合流 した後の合流点 1から合流点 2までの間の流路の幅 Wも aである。 この 条件下では、 流動体 1と流動体 2との混合物の合流点 1から合流点 2の 間での流速は 2 Vであることが自明である。 また、 流動体 1と流動体 2 との混合比は 1 : 1であることも自明である。 合流点 1から合流点 2ま での流路の距離を kとすると、 合流点 1から合流点 2に合流した流動体 が移動するのに掛かる時間 tは k / ( 2 v ) となる。 k、 Vの値はそれ それキヤビラリのレイァゥト、 液送り手段の調整などにより独立に調整 可能であるので、 混合、 反応に必要かつ十分な時間になるように kおよ び Vを調整することで、 外部の夕イマ一などに頼ることなく、 次工程で ある流動体 3との合流までの時間を精度良く合わせることができる。 な お、 最終的に混合される流動体の数が 3以上の場合は、 同一箇所におい て 3つ以上の流動体を同時に合流させても構わない。 これは以降の説明 においても同じである。
第 6図は別の例で、 本図の場合、 流動体 1と流動体 2とが流れる流路 の幅 Wは第 5図と同様 aであるが、 合流点 1で合流した後の流路の幅 W が 2 aとなっている。 この条件下では、 流動体 1と流動体 2との混合物 の合流点 1から合流点 2の間での流速は Vに保たれたままであることは 自明である。 この場合、 もし、 流動体 1と流動体 2との混合、 反応に必 要な時間が、 第 5図で説明したものと同じであるなら、 それを実現する ためには、 第 6図の様に合流点 1から合流点 2までの流路の距離を k / 2とするか、 この距離を kに保ったまま、 第 5図での流速 Vと第 6図で の流速 Vとの比を 2 : 1にすれば良い。 このいずれを採用するか、 もし くは Vと kの値を他の適当な組み合わせにするかは、 チップのサイズ、 液送り手段による制限がある場合があるが、 基本的には自由である。 さ らに言えば、 合流点 1から合流点 2の間の流路の幅 Wを 2 a以外にすれ ば、 さらに選択肢を広げることが可能である。 なお、 この場合も流動体 1と流動体 2との混合比は 1 : 1である。
第 7図はさらに別の例で、 本図の場合、 流動体 1と流動体 2とが流れ る流路の幅 Wは第 5図、 第 6図と違いそれぞれ a、 bであり、 合流点 1 で合流した後の流路の幅 Wは a + bとなっている。 この条件下でも、 流 動体 1 と流動体 2との混合物の合流点 1から合流点 2の間での流速は、 vに保たれたままであることは自明である。 この場合、 もし、 流動体 1 と流動体 2との混合、 反応に必要な時間が、 第 5図、 第 6図で説明した ものと同じであるなら、 それを実現するためには、 合流点 1から合流点 2までの流路の距離を第 6図において説明したと同様に k / 2とするか、 第 5図での流速 Vに対する第 7図での流速 Vの比を 2 : 1にすれば良い c このいずれを採用するか、 もしくは Vと kの値を他の適当な組み合わせ にするかは、 チップのサイズゃ液送り手段による制限がある場合がある が、 基本的には自由である。 さらに言えば、 合流点 1から合流点 2の間 の流路の幅 Wを a + b以外にすれば、 さらに選択肢を広げることが可能 であることは、 第 6図で説明したのと同じである。 この様にすることで、 流動体 1と流動体 2とを a : bの混合比で混合し、 必要な反応を実行さ せることが、 複雑な機構を用いることなく可能となる。
第 8図は第 5図〜第 7図をさらに拡張した例である。 流動体 1〜 4が 流れる流路の幅 Wはそれぞれ a , b , c, dで、 それぞれ図のように合 流点 1〜3で合流しており、 合流点間の距離はそれぞれ、 kZ 2、 jで ある。 また、 合流点間での流路の幅は、 合流点 1〜合流点 2で a + b、 合流点 2〜合流点 3で a + b + cとなっている。 もちろん、 これらの値 は混合に必要な拡散距離、 実際のチップの大きさなどに制限があるため 、 流路幅と流路長さとでトレードオフになり、 実際の設計に際しては変 更可能である。 図に沿って説明を行うと、 合流後の流速は第 5図〜第 7 図で説明したのと同じく Vとなり、 流動体 1と流動体 2とが合流して、 次に流動体 3が合流するまでの時間は k / ( 2 v ) であり、 流動体 1と 流動体 2との混合物に対し流動体 3が合流した後、 流動体 4がさらに合 流するまでの時間は j / vとなる。 k / ( 2 v ) の値と j / vの値とは 、 混合に必要な距離、 反応に必要な時間によって決まり、 同じ値のこと もあるが、 必ずしも同じ値である必要もない。 この様にすることで、 流 動体 1〜4を混合比 a : b : c : dで、 かつ、 所定の時間間隔で順次混 合していくことが可能となる。 以下合流する流動体の数を増やしても、 同様の考え方により、 所定の混合比で、 所定の時間間隔で、 かつ連続的 に、 必要な流動体を順次混合し続けることが可能である。
上記説明をチップ上で実現するための実施形態について、 第 9図〜第 1 1図を用いてさらに詳細に説明する。
以下の説明では、 送液手段として電気浸透流を用いている。
この実施形態のキヤビラリは、 一対の平板状部材を張り合わせて形成 され、 設定された流路に応じた平面形状の溝を板面に有する溝付き板 3 1と、 その溝面側に張り合わせる平板状の被せ板 3 2とで構成される。 以下の説明では、 この溝付き板 3 1と被せ板 3 2とが張り合わされたも のをチップと称する。 第 9図は、 この溝付き板 3 1の溝面側を示す平面 図であり、 第 1 0図はこの溝付き板 3 1の溝面側とは反対側の面を示す 平面図であり、 第 1 1図はチップの部分断面図であって、 第 1 0図の a —a ' 線断面に相当する。
溝付き板 3 1の流路をなす溝の、 液の導入や廃液等の液溜めの部分と なる各位置には、 板面を貫通する円形の貫通孔 1 9〜 2 2が設けてある 。 これらの貫通孔のうち液導入側の貫通孔 1 9〜 2 1は試料, 試薬等の 液溜めとして使用され、 貫通孔 2 2は緩衝液の液溜めおよび廃液の液溜 めとして使用される。 この溝付き板 3 1は、 設定された流路に応じた平 面形状の溝に対応する凹凸をキヤビティ面に設けた金型を用いて、 P M M A等の射出成形により容易に形成することができる。
第 9図に示すように、 このキヤビラリは、 試料導入用液溜め 1 9に接 続された試料流路 2 3と、 第 1試薬導入用液溜め 2 0に接続された第 1 試薬流路 2 4と、 第 2試薬導入用液溜め 2 1に接続された第 2試薬流路 2 6と、 試料と第 1試薬との反応時間に応じた長さで設けた第 1混合流 路 2 5と、 試料と第 2試薬との反応時間に応じた長さで設けた第 2混合 流路 2 7とを有し、 第 2混合流路 2 7の緩衝液および廃液用液溜め 2 2 側の端部を検出装置による検出部 2 9としている。
ここで、 試料流路 2 3と第 1混合流路 2 5と第 2混合流路 2 7 (検出 部 2 9を含む) とは連続する直線状に形成され、 この直線状の連続流路 の上流側の所定位置に第 1試薬流路 2 4の合流点 5を設定し、 この合流 点 5との距離が試料と第 1試薬との反応時間に応じた長さとなる。 なお かつ、 第 2混合流路 2 7の検出部 2 9より上流側までの長さが試料と第 2試薬との反応時間に応じた長さとなるように、 第 2試薬流路 2 6の合 流点 6を設定してある。 また、 第 1試薬流路 2 4および第 2試薬流路 2 6は、 直線状の連続流路に対して鋭角に合流している。
なお、 第 1試薬流路 2 4と合流点 5と第 1混合流路 2 5とから、 およ び、 第 2試薬流路 2 6と合流点 6と第 2混合流路 2 7とから、 それぞれ 試薬混合手段が構成されている。
第 1 1図に示すように、 第 1試薬流路 2 4の上流端となる貫通孔 2 0 の内面には、 電極 3 0が設けてある。 また、 試料流路 2 3の上流端とな る貫通孔 1 9、 第 2試薬流路 2 6の上流端となる貫通孔 2 1、 および混 合流路 2 7の下流端となる貫通孔 2 2の内面にも、 同様に電極が設けて ある。
第 1 0図に示すように、 各電極 3 0は、 それぞれ別々の配線 2 8で、 溝付き板 3 1の液導入側の端部に設けた別々の電極 3 3と接続されてい る。 この電極 3 3は検出装置内に設けた電源端子に接続され、 各電極 3 3から、 貫通孔 1 9と貫通孔 2 2との間、 貫通孔 2 0と貫通孔 2 2との 間、 貫通孔 2 1 と貫通孔 2 2との間に、 それぞれ別々に電圧が供給され るようになっている。 また、 各電極 3 3に供給する電圧は、 検出装置内 に設けた電圧制御装置により、 試料流路 2 3、 第 1試薬流路 2 4、 第 2 試薬流路 2 6での各設定流量に応じて制御されるようになっている。 なお、 これらの電極 3 0 , 3 3および配線 2 8は、 溝付き板 3 1と被 せ板 3 2とを接着剤により貼り合わせた後、 この溝付き板 3 1の溝面側 の反対側の面に、 銀や銅などの粒子を含んだ導電性インクの印刷により 形成される。 また、 第 1 1図に示すように、 貫通孔 2 0の断面が溝面側 が窄まるテーパ状に形成してあるため、 溝付き板 3 1の板面を水平に保 持した状態で、 印刷により貫通孔 2 0の内面へ電極 3 0を設けることが できる。
この分析装置を使用する場合には、 先ず、 上述のチップの緩衝液用液 溜め 2 2に、 所定量の緩衝液を滴下して全流路 2 3〜2 7内に緩衝液を 満たした後、 第 1試薬用液溜め 2 0に第 1試薬を、 第 2試薬用液溜め 2 1に第 2試薬を、 試料を試料用液溜め 1 9にそれぞれ所定量導入する。 次に、 電圧制御装置の電圧設定により、 貫通孔 1 9と貫通孔 2 2との間 、 貫通孔 2 0と貫通孔 2 2との間、 貫通孔 2 1 と貫通孔 2 2との間に、 それぞれ別々に、 各流路の流量設定値に応じた電気浸透流を発生させる 電圧をかける。 このとき、 各流路の流量設定値は、 試料流路 2 3の流量 と第 1試薬流路 2 4の流量との比が試料と第 1試薬との混合比率となり 、 第 1混合流路 2 5の流量と第 2試薬流路 2 6の流量との比が試料およ び第 1試薬と第 2試薬との混合比率となるようにする。
これにより、 各流路内の液体は、 電気浸透流により各流路の流量設定 値に応じた流量で移動する。 具体的には、 試料と第 1試薬とは混合比率 に応じた流量で合流点 5に達し、 第 1混合流路 2 5で両者の流量の比に 応じた比率で混合される。 そして、 試料と第 1試薬との反応が終了した 後に合流点 6に達し、 第 2混合流路 2 7を流れる。 また、 第 2試薬は、 試料に対する混合比率に応じた流量で第 2試薬流路 2 6から合流点 6に 達し、 第 2混合流路 2 7で前記混合比率に応じた比率で、 試料と第 1試 薬との混合液体と混合され、 試料と第 2試薬との反応が終了した後に検 出部 2 9を流れる。
したがって、 この分析装置によれば、 このチップを後述の検出装置に セッ トすると、 キヤビラリ内で試料と第 1試薬および第 2試薬との所定 比率での混合および反応が自動的に行われる。 そして、 後述の検出装置 により検出部 2 9を検出することで、 分析成分の検出が自動的に行われ る。
本発明をより明確、 かつ具体的に記述するため、 医療診断などで具体 的な測定項目である、 血清中のトータルコレステロール量測定など、 試 料と 2つの試薬溶液の場合を例に説明する。
通常は、 試料を例えば 3 ピぺッ 卜で秤取し、 例えば 200 / ^秤取 した第一の試薬溶液 (試薬 1 ) と混合し、 例えば 3分反応させる。 その 後、 その反応液に、 100 〃 秤取した第二の試薬溶液 (試薬 2 ) を添加 し、 混合する。 所定の時間、 例えば 1 0分間反応させた後に、 反応混合 液中の発色試薬の吸光度を測定することにより、 試料中の検出対象物質 (コレステロールなど) の量を求める。
これを、 本発明の方法で行うには、 試料を 30 η /minで流している流 路に、 試薬 1を 2000 n /minで流している流路を合流させ、 2030 n /m inの流量とし、 3分間の反応時間が取れるよう流路長を設計する。 次い で、 この試薬 1と試料との混合物流路に、 試薬 2を 1000 η / minで流し ている流路を合流させ、 3030 n i /minの流量とし、 10分間の反応時間が 取れるよう流路長を設計し、 最後に、 流路中で光熱変換検出法などの検 出を行う。
すなわち、 流量は、 ポンプや電圧などで精度良く制御できるので、 一 定体積の溶液を秤取することなく、 定量比での混合反応が可能となる。 特に、 反応後の液を、 特段の分離をせずに直接検出装置にかけられる場 合、 例えば、 医療診断用のいわゆる生化学項目 I中の測定では、 本発明 は特に有用である。
なお、 上記説明において、 必要に応じて深さを変えるなどして、 キヤ ビラリの断面積を変化させることにより線速度を変えてもよいことは、 上述の説明と同じである。
流路のパターン例を第 1 2図に示す。 液だめ 1は試料用、 液だめ 2は 試薬 1用、 液だめ 3は試薬 2用、 液だめ 4は廃液用の液だめで、 合流点 5で試料と試薬 1とが混合され、 さらに合流点 6で試薬 2が混合される < 合流点での両溝の角度はこの場合は直角であるが、 第 1 3図のように鋭 角に合流させることにより、 より合流する相手側の圧力による流速変化 などの影響を少なく して混合できる。 なお、 混合をより効率的に行うた めに、 合流部に流れを乱す邪魔板などの突起物を設けてもいいし、 合流 部分の溝幅を大きく し滞留時間を長く して拡散により混合させることも できる。
上述の、 特に生化学検査項目のように、 試料と試薬とを反応後、 分離 の必要なく検出ができる場合は、 分離のために一定量秤取することなく 混合から反応、 検出まで一貫した流路で連続的に処理が可能である。 一 般に、 例えば吸収波長の関係で検出すべき成分が他の夾雑物の妨害なく 検出できる場合や、 試料中の水酸基を酸化して生成したカルボ二ル基を 分光光度計で検出するなど、 検出する物質が変化する場合では、 分離す ることなく、 所定の流量比での混合、 反応から検出まで一貫した流路で 処理することができる。
本発明の方法は、 長時間連続的に行うことも可能であるが、 必ずしも 長時間連続的に行う必要はない。 例えば、 前段の説明において、 検出に 1 0秒かかるとしたら、 最低 1 0秒間 (通常はやや多めに 2 0秒程度) 、 試薬 1と試料との合流を行い、 その 3分後に試薬 2との合流を同じく最 低 1 0秒間行えばよい。 そして、 それから 1 0分後に検出を行う。 つま り、 本発明の方法は、 流量制御を経時的にプログラマブルに行うことに より、 最小限の試薬、 試料量で、 効率よく、 一定体積の秤取をせずに、 微量分析を行うことができる。 そのため、 流量制御の精度とプログラム 性、 即応性は重要である。 流量比の検定については、 試料の代わりに標 準サンプルを流す事などにより、 補正が容易に行える。 或いは、 製造口 ッ ト毎のチップ中の流路サイズを検定しておき、 その補正値を用いても 良い。
本発明の方法を用いると、 試料中の一対象だけでなく複数の対象も、 流路を共有することにより、 すなわち簡単な流路設計にて測定が可能で ある (第 1 4図) 。 すなわち、 上述の説明例において、 試薬 1と試料と を必要時間反応後、 少し時間をあけて、 所定流量の (試薬 1と混合する ときの流量と同一でなくてもよい) 試料と、 別の所定流量で流している 試薬 3の流路を合流させる。 そして、 所定時間反応後、 試薬 4を合流さ せ、 試料と試薬 1、 2との反応生成物の測定後、 同じ検出流路を用いて、 試料と試薬 3、 4との反応生成物を検出できる。
トータルコレステロール、 トリグリセライ ド、 ピリルビンなど試料中 の物質量を直接定量する場合は、 反応生成物がいわゆるェンドボイント で測定可能であり、 検出は最低 1点でよい。 一方、 血中の GOT 、 GPT 、 r GTP 等、 試料中の酵素活性を測定する場合は、 検出は 1点でもよいが、 より正確を期すため、 経時的に複数の測定 (検出) を行うことが好まし い (レー卜アツセィ (rate assay) ) 。
この場合は、 検出を、 最終反応混合液が流れる流路の複数点、 すなわ ち、 最終試薬との合流点からの距離 (すなわち反応時間) が異なる複数 の流路上の地点で検出を行えばよい。 そのために、 検出装置内に複数の 検出システムを最終反応混合液の流路上に配置するか、 一つの検出シス テムの場合は、 検出 (光学) 系を移動させるか、 または、 チヅプを移動 させるかすればよい。 流路に沿って、 熱レンズ検出システムを移動させ るか、 複数の熱レンズ検出端を流路上に配置することによって、 反応の 経時変化が短時間で、 或いは、 一瞬で把握できることになる。 つまり、 流路の長さが、 反応時間に相当することになるわけである。 このことは、 3次元的に重ね合わせた立体チップでは実現が難しく、 本発明の平面チ ップと高感度の熱レンズ検出装置とを組み合わせることにより容易とな つた。
(電気的液送りについて)
本願発明において液送りは、 各流動体が所定の流量比で混合するため に、 機械式ポンプ、 電気的方法など、 様々な手段を取り得る。 その中で 、 精密かつ簡便な送液制御手段として、 電気浸透流等の電気的方法が好 ましい形態としてあげられる。 なお、 ここで言う電気的方法では、 電圧 を制御する方法と電流を制御する方法とを、 それぞれ必要に応じて使い 分けることも可能である。
電圧の制御により送液の制御を行うものに、 キヤビラリ中の液体に電 界を印加して、 電気泳動や、 電気浸透流によって電気的に送液を行う方 法がある ( 「キヤビラリ電気泳動」 講談社 等に詳しく記載されている ) 。 電気浸透流は、 キヤビラリ内面表面のイオンの移動によってキヤピ ラリ内の液体が一緒に移動するものであり、 キヤビラリがガラスゃシリ コンで形成される場合は、 ガラス表面のケィ酸のプロ トンなどが移動力 となる。 また、 P M M Aや P Cなどの有機ポリマー等からなるチップで 、 キヤビラリ内面に特別のイオン種が存在しない場合でも、 キヤビラリ 内を流す液体の組成によっては、 その液体中の電解質をキヤビラリ内面 に吸着させ、 その電解質の移動により電気浸透流を生じさせることがで きる。 安定した電気浸透流を発生させるため、 キヤビラリ内面の表面に 、 スルホン酸基やカルボン酸基を有する有機ポリマーをグラフト重合な どで付加してもよい。
電気浸透流での送液の場合には、 合流する各流路の断面サイズや長さ を変えたり、 各流路への電圧のかけ方を変えたり、 各流路キヤビラリ内 表面の荷電状態を表面処理等により変えることにより、 合流する各流路 の流量を変えることができる。
電気浸透流は理論的に、 キヤビラリ壁面の材質による ^電位と、 キヤ ビラリに印加される電位差とに比例する。 2 0 °Cの水を例に電気浸透流 速度を求めると、 電位 7 5 mV を持つキヤビラリにおいて 1 0 0 V / c mを印加した場合、 電気浸透流の速度は 0 . 5 mm/ s e c強の値が 得られる。 電気浸透流を発生させる電源には特に特殊な機能は必要では ないが、 キヤビラリ長によっては 1 k V 以上の電位差を発生させること もあり得ることを考えると、 高電圧 ( 1 k V 以上) の出力が可能である ものが好ましいこともあり得る。 さらに、 この高電圧電源は直接、 もし くはィン夕ーフェイスボ一ド等を介して外部のコンピューターにつなが り、 制御できる機能を持つものが好ましい。 それにより、 電気浸透流を 発生させるための電位差の印加タイミング等をプログラム化し、 よりき め細やかな電気浸透流制御を行うことができる。 本発明に係る分析装置 のチップにおいては、 試料は、 電気浸透流および/または電気泳動で精 度良く制御され、 分離や他の試薬との反応を行ったあと、 その流路の下 流において光熱変換分析に供せられる。 特に、 精密な制御という観点か ら、 電気浸透流は電圧の制御により細かく即応的に、 また、 設定したプ ログラムに従って正確に流量を制御できるので、 流量の比を精密に制御 し必要な化学反応を行う用途では、 電気浸透流の採用は好ましい実施態 様の一つである。
さらに、 酵素等を利用した生体由来物質の検出などに使用されるレ一 トアツセィ法などのような、 反応開始からの時間に応じた反応生成物を 定量検出する手法は、 キヤビラリ断面において速度分布が発生するボン プによる送液では高精度測定に問題が起こり得る。 しかし、 上記のよう な電気浸透流においては、 液の流れは原理的にキヤビラリ断面方向で速 度の違いのない層流になるため、 高精度検出が可能となる。
また、 ポンプでは流れの中心部が凸になる層流ができ、 熱レンズ検出 法ではこの凸部の先端と根本部との物質濃度の違いを検出する場合があ るが、 電気浸透流を用いることにより流体はフラッ 卜な層流となるので 、 安定した検出が可能であることも特徴として挙げられる。
ただし、 ポンプでの送液でも、 キヤビラリ内に設けられた邪魔板等に よって、 液組成の混合、 拡散の促進をはかると共に、 酵素反応等に十分 な流路長を設ける等の対策を取ることで、 高精度の検出が可能となる。 電気浸透流を発生させる電源としては、 高電圧電源装置 (例えば Mode 1 HCZE-30PN0, 25 、 松定プレシジョン社、 3 O k Vまで印加可能) を用 いるが、 これはインターフェイスボード (例えば DAQCard- 1200, CB-50 コネクターブロック、 ナショナルインスツルメント社) を介して外部の コンビュ一夕一から出力制御できる。 電圧の印加タイミング等のプログ ラムは、 例えば NI -DAQドライブソフトウェア、 LabVIEW などで作製でき る。
以上説明したこの実施形態の分析装置を用いれば、 医療現場でのベ、ソ ドサイ ド診断や、 外来患者に受診当日にその日の検査結果を知らせるこ とが可能となるため、 その結果に基づく治療薬、 治療方法の選択を迅速 に行うことができる。 また、 河川の汚濁、 廃棄物中の有害物質の定量定 性分析等も、 汚染現場で容易に行うことができる。 さらには、 輸入食品 の通関時の汚染検査や、 調理現場での即時的な分析も可能となる。
検出対象物質は、 化学物質、 蛋白、 核酸など特に問わないが、 環境汚 染化学物質、 血液 ·髄液 ·唾液や尿中に含まれる生体成分、 臓器 ·組織
•粘膜由来の生体成分、 感染源となる菌ゃウィルスなどの蛋白、 DNA、 RNA 、 アレルゲン、 種々の抗原等が対象となりうる。
以下に、 実施例を用いて本発明の効果をさらに具体的に説明する。
•実施例 1
本発明の実施例として、 ェンドボイン卜法で測定する血清中のトー夕 ルコレステロールの定量測定を、 脂質測定用標準血清と トータルコレス テロール検出キッ ト (商品名 コレステロール E—H Aテス トヮコ一 (和光純薬株式会社製) ) の 2つの検出反応試薬溶液との計 3溶液を流 量制御して行った例を示す。 送液は電圧の印加による電気浸透流で行つ た。
(チップの作成について)
まず、 キヤビラリを備えるチップの製作について述べる。
板状有機ポリマー基材の吸光度を測定することで、 熱レンズに与える 影響を予測し、 使用できるポリマー基材の素材選定の基礎デ一夕とした その測定方法ならびに結果を記載する。
測定装置には島津製作所製 UV- 2200A (UV-VIS Recording Spectroph otometry) を使用した。 測定方法は、 厚さの違う同一素材の試料を用意 し、 光路部全体をふさぐに十分な大きさに切り取った後、 測定用セルを 使用せずに、 測定セル挿入部に光路に対し板表面が垂直になるように試 料を立てる。 まず、 用意した同一素材板の内、 最も薄い板 2枚を用いて 初期補正を行った。 実際の測定には参照用として、 最も薄い板を使用し、 厚さの違うものを測定試料として吸光度を測定した。 測定波長には 4 8 8 n m、 6 3 3 n m、 7 8 0 n mの 3波長を使用した。 以下に使用素材 など詳細を記載する。 ( 1 ) 測定試料
(a) 旭化成工業株式会社製 メ夕クリル樹脂 (デルぺッ ト 56 0 F : t二 2 mm、 3 mm)
(b) 日東樹脂工業株式会社製 アクリル樹脂 (クラレックス : t = 0. 3mm、 0. 5 mm;
( c) 住友化学株式会社製 アクリル樹脂 (スミペックス : t = 4. 5 mm、 1 0 mm)
(d) 三菱レーヨン株式会社製 メタクリル樹脂 (ァク リライ ト : t — 2 mm、 5 mm)
( e ) 帝人化成株式会社製 ポリカーボネート樹脂 (パンライ ト AD
5503: t = 1 mm、 2 mm;
(f ) 旭化成工業株式会社製 メ夕クリル樹脂 (デラグラス A : t = 2mm、 3 mm)
( g) 三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製 ポリカーボ ネート樹脂 (ユーピロン ' シート : t = 0. 5 mm、 1. 0 mm, 2.
0 mm)
(h) タキロン株式会社製 ポリカーボネー卜樹脂 (PCSM PS600: t = 0. 5 mm、 1 mm)
( i) タキロン株式会社製 ポリカーボネート樹脂 (短冊板: t = 1 mm、 3 mm)
( j ) タキロン株式会社製 ポリエステル樹脂 (P E TE C P E T 60 1 0 : t = l mm、 3 mm)
(k) タキロン株式会社製 塩化ビニル樹脂 (ESS8800A : t = 1 m m、 3 mm)
( ^ ) 明光商会製 ラミネートフィルム (MSバウチ : t = 1 0 0 j πιΝ 1 5 0 m) ( 2 ) 測定結果
測定結果を第 1 5図にまとめて示す。 なお、 (a) 〜 (^ ) の基材に ついて、 熱レンズ検出法による出力の測定も併せて行った。 測定は、 測 定するポリマー基材のみに対し励起光, 検出光を照射し、 最も高い熱レ ンズ検出法による出力が得られる焦点位置での値を記録した。 この際、 試料は現実のチップの厚さ ( 2mm) に近い厚さを持つものを測定する か、 もしくは厚さ違いの 2種の測定結果を平均した。
なお、 (f ) 三菱エンジニアリングプラスチック (株) 製ポリカーボ ネート樹脂については、 測定場所による熱レンズ検出法による出力のば らつきが大きく、 微結晶など光を吸収する物質の偏在が予想される。 第 1 5図に示す結果より、 ポリマ一基材の本来持つ吸収率 (吸光度よ り換算) と得られる熱レンズ検出法による出力との間に、 相関のあるこ とが明らかとなった。 (熱レンズ検出の励起光波長: 6 33 nm) リファレンス測定として、 二枚のガラス板にキシレン · シァノ一ル色 素 (濃度 5〃M) を挟んで測定した際の熱レンズ検出装置の出力はおよ そ 20 mVであった。
そこで、 表面に溝を持つポリカーボネート基材を、 先述の明光商会製 ラミネートフィルム ( t = 1 00〃m) で覆い、 溝をキヤビラリ化した チップで、 同様にキシレン ' シァノール色素 (濃度 5 /M) を測定しよ うとしたところ、 バックグラウンドとして 1 OmVが検出され、 このバ ックグラウンドにより精密な測定が困難となった。 使用したラミネ一ト フィルムの吸光度は、 上述の測定結果より t = 50〃m ( 1 50 jum- 1 00〃m) で 0. 008 5であるため、 t = 1 00〃mでは吸収率に 換算するとおよそ 4%に相当する。 ただし、 この場合、 使用したラミネ 一トフイルムには熱硬化性の接着剤が使用されているので、 その偏在に よると思われるバックグラウンド値のばらつきが見られる。 しかし、 吸 光度の測定では、 このばらつきは平均化されるので、 部分的な吸収率は
4%より大きいと考えられる。 また、 現実の測定項目として、 上記キシ レン · シァノール色素よりも高濃度の試料を測定する可能性も勘案し、 この濃度範囲を測定する場合の、 ポリマー基材に許容される励起光の吸 収率は 5%と言える。 この値は、 下記数値評価と照らし合わせても妥当 な値である。
上記のリファレンス測定における 2 OmVという測定結果は、 医療診 断などで測定される生化学物質の測定においては、 ごく標準的な値であ り、 測定に使用した深さ 50 mのキヤビラリに換算すると、 吸光度の 値として 0. 0005が得られる。 本実施例で使用された熱レンズ検出 装置において、 最も理想的な透明基材と思われる合成石英を使用した場 合 (バックグラウンド = OmV) の検出限界としてのロヅクインアンプ 出力は 0. 5 mV程度である。 したがって、 さらに濃度を 1/1 0にし た高感度の測定も可能であり、 現実の測定値に対しさらに高感度を持つ ことは、 医療診断に限らず、 測定系の精度を保つ上で好ましい。 しかし 、 第 1 5図で示したように、 チップに使用するポリマー基材そのものが 励起光などに対し吸収を示すと、 バックグラウンドとして熱レンズ検出 法による出力が出てくるため、 誤差を発生する。 上記のキシレン ' シァ ノール色素 (濃度 5〃M) での熱レンズ出力 2 OmVに対し、 その 1/ 1 0の濃度まで測定すると考え、 かつ、 バックグラウンドの許容範囲を 測定対象物質による信号の 1 0倍、 望ましくは 5倍、 さらに望ましくは 2倍まで許容できるとすると、 1 0倍まで許容した場合は 2 OmV、 5 倍まで許容した場合は 1 OmV、 2倍まで許容した場合は 4mVとなる 。 第 1 5図の測定値と併せてこの値を見ると、 測定のばらつきも考慮し て、 吸収率は 5%以下が望ましく、 好ましくは 2%以下、 さらに好まし くは 1 %程度であることが言える。 さらに数値的に妥当な吸収率の値を計算してみる。 現実的な値として、 光路長が 1 cmのキュぺッ トを使用した場合に換算した吸光度値として、 2〜0. 0 1の範囲に含まれる対象物質を測定するとする。 この値は透 過率としては 1〜97. 7%となり、 吸収率としては 99〜2. 27% が得られる。 吸収が光路長において均等に行われると仮定すると、 光路 長 50〃mでは 0. 495〜0. 0 1 1 %の吸収となる。 ノ ソクグラウ ンドとして、 測定対象物質による信号の 1 0倍、 望ましくは 5倍、 さら に望ましくは 2倍まで許容できるとし、 さらに励起光の焦点位置からの ずれによるレンズ効果の低下を半分と仮定すると、 10倍まで許容した 場合は 9. 9〜0. 22%、 5倍まで許容した場合は 4. 9 5〜0. 1 1 %、 2倍まで許容した場合は 1. 98〜0. 044%の値が得られる すなわち、 この値は、 光路長が 1 c mのキュベッ トにおいて吸光度が 2〜 0. 0 1である物質を、 深さ 50〃mのキヤビラリに入れて、 熱レ ンズ検出法により計測する場合に許容される、 チップを形成する平板状 部材の、 入射から出射までの間の励起光に対する吸収率を示しているこ とになる。 さらに言うと、 バックグラウンドの大きさを最も大きく許容 するとしても、 チップの入射から出射までの間の励起光に対する吸収率 が 1 0%になると、 現状の吸光度計で 1 cmのキュべッ トを用いて測定 可能であった物質の測定が、 不可能になることを意味している。 したが つて、 現実的な吸収率の許容範囲の上限は、 2〜5 %であると言える。 この値は、 上記の現実のポリマ一基材の吸収率と熱レンズ検出法による 出力との関係と照らし合わせても、 妥当な値と言える。
ただし、 将来、 現状の光路長が 1 cmのキュベッ トを使用した場合に 換算して、 吸光度が 2をはるかに越えるような測定物質を計測する場合 は、 許容される樹脂ポリマーの吸収率の値はさらに大きくすることが可 能である。 さらに言うと、 キヤビラリの深さをより深く しても同様の効 果が出て、 許容する樹脂ポリマーの吸収率を大きくできるのは言うまで もない。
また、 検出光の光軸が、 チップ領域での励起光の光軸から大きくはず れている場合は、 上述のバックグラウンドの影響を受けないことも自明 である。
次に、 実際の生化学系の検出に使用したチップの製作法について述べ る。
チップを構成する平板状部材は、 射出成形により成形する。 射出成形 に使用した樹脂は、 メ夕クリル樹脂 (旭化成工業製デルぺッ ト 5 6 0 F ) である。 ガスとしては純度 9 9 %以上の二酸化炭素を使用する。 成 形機は住友重機械工業製 S G 5 0を使用する。 金型装置は第 1 6図に示 す装置を使用する。
第 1 6図において、 金型 1 0 1の金型キヤビティ 1 0 3の周囲には、 パーティング面の隙間 1 0 2を通して金型キヤビティ 1 0 3に二酸化炭 素を吸排気する吸排気用溝 1 0 4があり、 該吸排気用溝 1 0 4は二酸化 炭素の供給源に金型外通気用穴 1 0 5を通してつながつている。 金型キ ャビティ 1 0 3の外側には金型キヤビティ 1 0 3を加圧状に保持するた めの 0 —リング溝 1 0 6があり、 その中に 0—リング 1 0 7を設置する 金型通気用穴 1 0 5はガス体導管 1 1 1を通して二酸化炭素源 1 0 9に つながつている。 ガス体導管 1 1 1には圧力計 1 1 0と安全弁 1 0 8と が連結されている。
金型表面は、 入れ子あるいはスタンパー 1 1 2で形成され、 該入れ子 あるいはスタンパ一 1 1 2の表面は微細なキヤビラリの形状に加工され ている。 その微細な形状は、 第 1 7図に示す形状であり、 a— a ' 線断 面の溝形状は、 幅 3 0 1〃m、 深さ 5 0〃m、 断面積 1 4 5 0 0 ju 2 の台形状 (突起) である。 樹脂はランナを経てゲートから金型キヤビティ 1 0 3に射出される。 金型表面状態の転写性は、 光学顕微鏡による観察やレーザー顕微鏡に よる形状測定で評価する。
また、 成形品も、 光学顕微鏡による観察、 切断断面の溝形状の光学顕 微鏡ゃ電子顕微鏡での観察、 レーザー顕微鏡による形状測定等で観察す る。
第 1 6図に示す金型装置を用い、 金型キヤビティ表面温度 8 0°Cの金 型内に、 二酸化炭素を 5. O MP aの圧力で満たす。 次いで樹脂温度 2 4 0°Cのメ夕クリル樹脂を金型内に射出し、 シリンダ内樹脂圧力 8 0 M P aで 1 0秒間保圧し、 2 0秒間冷却した後成形品を取り出す。 金型に 満たした二酸化炭素は、 樹脂充填完了と同時に大気中に放出され、 表面 に溝を有する平板状部材が成形される。
得られた成形品の表面は平滑であり、 スタンパーの a— a' 線断面に 相当する部分の転写された溝は、 幅 3 0 3. 0 m、 深さ 4 9. Ί 、 断面積 1 4 3 0 0〃m2 であった。 従って、 幅および深さが 2 %以内、 断面積が 4 %以内の寸法精度で溝が転写されていた。
成形された平板状部材は縦 1 2 0mm、 横 8 0mm、 厚み 2 mmで、 第 1 8図に示す様なパターンの溝が形成されている。 液だめのための直 径 3翻 の貫通孔が 4力所あり、 それぞれ液だめ 2 1 3は試料用、 液だめ 2 1 4は試薬 1用、 液だめ 2 1 5は試薬 2用、 液だめ 2 1 6は廃棄用で ある。 液だめ 2 1 3には血球分離フィル夕一が装着されており、 試料 ( 全血) を滴下すると検出を妨害する血球が除かれ、 血漿がキヤビラリに 送られる。 溝の大きさは、 溝 2 1 7が幅 15〃m 、 深さ 、 長さ lcm で、 溝 2 1 8は幅 200 〃m 、 深さ 50〃m 、 長さ lcm 、 溝 2 1 9は幅 203 〃m 、 深さ 50〃m 、 長さ 3cm 、 溝 2 2 0は幅 100 j m 、 深さ 50 /m 、 長 さ 4cm 、 溝 2 2 1 (溝 2 2 0との合流点から検出部までの長さ) は幅 30 3 〃ιη、 深さ 50 zm、 長さ 5cm である。 この成形品と 300〃m厚みの メ夕クリル樹脂シートとを、 ホッ トメルト接着剤によって張り合わせて チップを作成する。
そして、 チップのキヤビラリ内面の電気浸透流の増強および洗浄等の 目的で、 キヤビラリ内を I N— NaOH溶液 (和光純薬社製) で満たし 、 60°(で24時間、 加熱する。 その後、 キヤビラリ内を精製水 (共栄 製薬株式会社製) で pHを指標にして中性になるまで洗浄し、 乾燥する c 次に、 平板状部材の反対側 (貫通孔のある側) に銀粒子を含んだ導電 性インク (三井化学製 MS P— 600 F) で配線および検出装置内の 電源端子接続用電極を印刷し、 液だめ用電極として白金メッキされた真 鍮製鳩目をセッ トし、 チップを完成する (第 1 9図) 。
第 20図は第 1 9図の c_ c' 線の断面図である。 分析装置には、 液 だめ 2 13〜2 1 6に所定の電圧を印加できるような電源装置が装備さ れ、 また第 19図の符号 223で示す位置で光熱変換検出法による検出 ができるような検出器が装備されており、 さらに検出デ一夕から測定結 果を計算しァゥ トプッ トするプリンターも備えている。
<血清中のトータルコレステロールの定量について >
(標準血清の調製について)
協和メディックス社の脂質測定用標準血清の調製法を一部改変して、 標準血清を調製した。 具体的には、 1バイャルの凍結乾燥品を付属の標 準血清溶解液 851 〃 を用いて溶解し、 トータルコレステロールが計算 値で 800mg/d ίになるように調製し、 ストック溶液とした。 次にストヅ ク溶液を付属の標準血清溶液で希釈し、 計算値で 200mg/d ίおよび 50mg I d ^のトータルコレステロールを含む溶液を調製した。
(検出キッ 卜の調製ついて) HAテストヮコ一コレステロール E- HAテストヮコ一 (和光純薬工業株式 会社) を用い、 付属のプロ トコ一ルに従った。
(トータルコレステロールの検出ついて)
液だめ 2 16に緩衝液を約 14 /^滴下し、 キヤビラリ全体が緩衝液 で満たされた後、 液だめ 2 14に試薬 1を約 14〃 ^、 液だめ 2 1 5に 試薬 2を約 14 /·^、 液だめ 2 1 3に試料を約 14 £滴下した。 液だ め 2 1 3〜2 1 5の電極に液だめ 2 1 6に対して 1 00 Vを印加し、 液 だめ 2 13〜 2 1 5から液だめ 2 1 6へ電気浸透流を発生させた。 この とき、 各溝における流量は、 溝 2 17が 1.5 η ί /min, 溝 2 18が 100 η ί /min、 溝 2 19が 101, 5 n i /min、 溝 220が 50 η ί /min、 溝 22 1が 151.5 n /minとなるよう、 微調整を行った。 流速の測定は実験の 便宜上、 無極性のビーズ (大塚電子製 0 : 520 nm) の流速を測定 することで行った。 試料と試薬 1との反応時間は 3分必要だが、 試料が 試薬と混合され溝を進む間で反応が完結するよう、 あらかじめ流路の長 さおよび印加電圧を設定しておく。 試料と試薬 2との反応も同様に 5分 必要だが、 溝を通過中に反応が完結するように、 あらかじめ流路の長さ および印加電圧を設定しておく。 反応が終了した試料を、 第 1 9図の検 出部 223で、 後述のように、 励起光に波長 633 nm、 検出光に波長 780 nmのレーザーを用いた光熱変換検出法により検出した。
流路容積の補正が必要な場合は、 チップ内の試料の液だめ 2 13の近 くに標準サンプル用の液だめを準備しておき、 試料の測定前または後に 、 標準サンプルを試薬 1, 2と共に送液、 反応および測定を行い、 その 結果から補正を行う。
なお、 電気浸透流を発生させる電源としては、 30 kV まで出力可能 な高電圧電源 (Mo d e 1 H C Z E— 30 PNO、 25、 松定プレシジ ヨン) を外部のコンピュータに接続し、 このコンビュ一夕により電圧制 御を行った。 その際、 高電圧電源の出力制御はインターフヱイスボード
(DAQC a r d— 1 2 0 0、 1 2 0 0 C B— 5 0コネクタ一ブロック 、 ナショナルインスツルメン卜) を介して行い、 ソフ トゥヱァ (N I - D AQドライブソフ トウェア、 L a b V I EW) により電圧の印加タイ ミ ング等のプログラムを作成した。
(光熱変換検出装置の構成ついて)
使用した光熱変換原理に基づく検出装置を第 2 1図に示す (光学部品 の詳細は省略) 。 顕微鏡としては、 ステージ上での試料の取り扱いの容 易さを勘案し、 倒立型顕微鏡 (1X70、 Olympus 製) を使用した。 これは 別に落射型の顕微鏡であっても構わない。 この顕微鏡は、 顕微鏡外の光 学系で同軸にされたレーザ一光を導入できるよう改造を加えてある。 レ —ザ一は励起用には He- Ne レーザ一 ( 6 3 3 n m、 1 0 mW 、 エドモン トサイエンティ フィ ック製) を、 検出用には赤外半導体レーザ一 (7 8 0 n m、 1 5 mW、 三洋電気株式会社製 DL— 4 0 3 4— 1 5 1) を 使用した。 これらレーザ一は使用する試薬、 生成する反応物の吸収スぺ ク トルにより適当な周波数のものを利用すればよい。
また、 レーザ一はガス、 固体、 半導体など、 種類は制限されない。 ミ ラー、 ビームェクスパンダ一等の光学系はメスグリオ社製品で統一した 励起用のレーザ一光は、 ライ トチョッパーにより変調された後、 ダイク ロイックミラ一により検出用レーザと同軸にされ、 顕微鏡に導かれて試 料に照射される。
照射後に、 同軸にされたレーザ一光の内、 励起光のみを選択的にフィ ル夕一により除去しフォ 卜センサ一に導く。 レーザ一光受光部分の素子 には、 取り扱いの簡便性を考えファイバー付きのフォ トセンサーアンプ (C 6 3 8 6、 浜松ホトニクス社製) を使用した。 このフォ トセンサー 受光部はピンホールを持つカバーで覆われている。 フォ トセンサ一およ びセンサ一アンプからの出力は、 低雑音プリアンプ (LI— 7 5 A 、 ェヌ エフ回路ブロック社製) で増幅した後、 ロヅクインアンプに導かれ信号 処理が行われる。
この検出装置によりキヤビラリ内の状態を検出する手順は以下の通り である。 第 2 1図に示したように、 まず、 チップを倒立顕微鏡のステー ジ上に置く。 対物レンズの焦点合わせは、 励起用レーザ一を使用し、 モ 二夕一画面を参照しながら、 キヤビラリパターンの上辺、 下辺の位置で の焦点合わせを実施した後、 その中間点をキヤビラリの中心位置として 行った。
なお、 上述のように、 キヤビラリの深さが 50〃m - 100 j ja ならば、 対物レンズは NA=0. 2〜0. 8 の範囲で調整をすればよく、 開口数が 0. 2 、 0. 4 、 0. 6 の中で最適な感度が得られる開口数を選択すればよい。 しか し、 本実施例の場合、 キヤビラリ深さが 50〃m であり、 開口数 0. 4 の対 物レンズを用いた場合に、 熱レンズ検出法を用いて最も高い濃度感度が 得られた。 この状態で、 十分に有意な値が出ることを確認すると共に、 励起光の迷光が光検出器に入っていないことを確認するため、 励起光の みが入射した状態で、 先述の熱レンズ検出法による出力が十分に小さく なることを確認する。 次に、 検出光のビームェクスパンダーの収束角を 調整し、 熱レンズ検出法による出力を見ながら、 信号が最大になる位置 に調整する。
この際、 本実施例での最適な焦点位置を求めるため、 チップと対物レ ンズとの距離の変化が判るよう、 チップを Z方向距離に m単位で制御 可能な X— Zステージ (シグマ光機製) に載せ、 チップを Z方向に移動 させた際の熱レンズ検出法による出力の変化を調べた。 その結果を図 2 2に示す。 本実施例の場合、 極微小領域での測定よりは、 ある領域での 濃度感度を重視するため、 励起光の焦点は必ずしもキヤビラリの中心とな つていない。 濃度感度の点では、 この励起光の照射はキヤビラリ全体を 覆う方向が有利であるが、 逆に励起光を広げ過ぎると測定領域内での励 起光強度が弱くなり、 温度拡散の影響など受けて熱レンズ検出法による 出力が弱まるため、 最適値が存在する。 本実施例の場合、 図 2 2に示す ように、 励起光の焦点位置、 すなわち、 照射側から見てキヤビラリの反 対側の平板状部材中の、 キヤビラリからの距離 1 6 O z mの位置を中心 に、 ± 5 0〃mの範囲で熱レンズ検出法による出力が得られている。 こ の最適値は、 キヤビラリの幅、 深さにより変化することは自明であるが 、 濃度感度を高めるためには、 キヤビラリ内の温度変化領域を広く取る 方が好ましいことは変わりがない。
焦点合わせを実施した後、 前述のようにチップ内に試料と試薬とを導 入して、 試料と試薬との混合および反応を行わせ、 反応生成物を含む溶 液を検出部に導く。
励起用レーザ一は、 ライ トチョッパーにより例えば 1 1 6 Hzに変調し ておき、 検出部を流れる液体に含まれる反応生成物を励起して発熱させ る。 このライ トチョッパーによる変調の周波数は SN比等の影響により変 更することも有り得る。 この発熱で発生した熱レンズにより検出用レ一 ザ一の焦点位置がずれ、 それによりピンホールを通してフォトセンサ一 の受光量が発熱量に応じ変化するため、 この変化量から試料に含まれる 所定成分を分析することができる。
測定時には、 試料の流れは停止させても流した状態でも構わないが、 本実施例では停止させて測定を行った。 フォトセンサ一からの信号は口 ックインアンプにより処理されるが、 ここでは時定数として 1秒を用い、 ライ トチョッパーと同じ周波数 1 1 6 H zの信号のみを選択的に出力と して用いた。 ロックインアンプの出力電圧は、 励起光により励起される 反応生成物の濃度に比例するため、 反応生成物の定量化が可能である。 ,- 本実施例の結果では、 800mg/ d ίおよび 50mg/ d のトータルコレス テロールを含む標準血清による 5回の測定により検量線を作成し、 200m g/ d ^相当のトータルコレステロールを含む標準血清の測定を 2 0回行 つたところ、 CV値 3 %の値が得られた。 以上の結果より、 当該 「分析装 置」 を用いて、 試料中のトータルコレステロールを再現よく検出するこ とができた。
•実施例 2
本発明の一実施例として、 rate法で測定する血清中のァスパラギン酸 ァミノ トランスフェラ一ゼ(GOT) 活性の定量を、 標準血清とァスパラギ ン酸ァミノ トランスフェラ一ゼ(GOT) 活性測定キッ ト (TA- LN力イノス( 力イノス株式会社製) )を改変した 1つの反応試薬との計 2溶液を流量制 御して行った例を示す。 なお、 レイ トアツセィなので、 反応停止液は用 いなかった。
(チップを含む分析装置の作製ついて)
まず、 実施例 1において、 金型内に満たす二酸化炭素の圧力を 2 . 0 M P aに、 使用するメ夕クリル樹脂を 7 0 N H Xに、 入れ子およびス夕 ンパ一を、 第 2 3図に示すパターンを有するものに変更する以外は、 実 施例 1と同様にして、 射出成形によりチップを成形する。
チップを構成する平板状部材は、 縦 1 2 cm、 横 8 cm、 厚み 2扁で、 第 2 3図に示す様なパターンの溝が形成されている。 液だめのための直径 3醒 の貫通孔が 3力所あり、 それぞれ液だめ 3 1 9は試料用、 液だめ 3 2 0は試薬 1用、 液だめ 3 2 1は廃棄用である。 液だめ 3 1 9には血球 分離フィル夕一が装着されており、 試料 (全血) を滴下すると検出を妨 害する血球が除かれ、 血漿がキヤビラリに送られる。 溝の大きさは、 溝 3 0 1が幅 30 /m 、 深さ 30〃m 、 長さ lcm で、 溝 3 0 2が幅 30〃m 、 深 さ 30〃m 、 長さ lcm で、 溝 3 0 3が幅60〃111 、 深さ 30 m 、 長さ 5 cmで ある。
次に、 チップのキヤビラリの内面を洗浄する等の目的で、 キヤビラリ 内を 1 N— N a O H溶液 (和光純薬社製) で満たし、 6 0 °Cで 2 4時間 、 加熱する。 その後、 キヤビラリ内を精製水 (共栄製薬株式会社製) で p Hを指標にして中性になるまで洗浄し、 乾燥する。
この平板状部材に、 該平板状部材と同寸法で厚さ 200 j m の PMMAの被 せ板 (平板状部材) を、 接着剤で張り合わせキヤビラリを形成する。 次 に、 送液用の通電にも用いられるように、 平板状部材の反対側 (貫通孔 のある側) に銀粒子を含んだ導電性インク (三井化学製 M S P— 6 0 O F ) で、 配線と液だめ用電極および検出装置内の電源端子接続用電極 とを印刷して分析用チップを完成する (第 2 4図) 。 液だめはチップを 傾けることなく内壁に印刷可能なようにテーパ形状で形成しておく。 第 2 5図は第 2 4図の a— a, 線の断面図である。 分析装置には、 液 だめ 3 1 9〜3 2 1に所定の電圧を印加できるような電源装置が装備さ れている。 これら電極は本実施例 2では使用しないが、 電気浸透流を送 液手段に使用する後述の実施例 4では使用される。 また、 第 2 4図の 3 2 9の位置で光熱変換検出法による検出ができるよう検出器が装備され ており、 さらに検出デ一夕から測定結果を計算しァゥトプッ トするプリ ン夕ーも備えられている。
(検出キッ 卜の調製について)
検出キッ トとして、 カイノス社に特別に作製依頼を行い購入した TA-L N カイノス( カイノス株式会社) を用いた。 市販品と異なる点は、 GOT 基質緩衝液中から、 N-ェチル -N- (2-ヒドロキシ -3- スルホプロビル トルィジン , ナ卜リウ ム 塩(T00S)のみを除いた検出試薬に、 3, 5-ジメトキシ -N- ェチル - N- (2-ハイドロキシ -3- スルホプロピル ) -ァ;:リンナトリウム (DA0S) (同仁化学研究所株式会社) を 10mMの 濃度になるように溶解したものを GOT 基質緩衝液として用いたことであ る。
次に、 GOT 反応試薬 1パイャルを GOT 基質緩衝液 8ml で溶解し試薬 1とし た。 この操作は、 試薬 1と後述する希釈血清との混合比を 1 : 1 にするた めに行った。 また、 TA- LN カイノスの標準プロ トコ一ルで使用される反 応停止液は、 rate法で検出を行うために未使用とした。
(標準血清の調製について)
本実施例では、 全血ではなく血清を用いた。
標準血清は、 スイ トロール A (日水製薬株式会社製) の調製方法を一部 改変して調製した。 具体的には、 1バイャルの凍結乾燥品を精製水( 共 栄製薬株式会社製) 1174 / を用い溶解し、 計算値で GOT の活性が 600 カルメン単位(KU)になるように調製し、 ストック溶液とした。 次に、 ストツ ク溶液を精製水( 共栄製薬株式会社製) で希釈し、 計算値で 300KU およ び 150KU 並びに 75KUの活性を示す GOT を含む血清溶液( 以下、 GOT 希釈 血清と呼ぶ) を調製した。 さらに、 改変した TA- LN カイノスの GOT 基質 緩衝液で、 既に調製した 75KU, 150KU, 300KUの GOT 希釈血清を容量比で 26 倍に希釈し GOT 検出評価に用いた。 すなわち、 GOT 希釈血清 に、 改変した GOT 基質緩衝液を 250 // 加えたものを調製した。
( GOT の検出について)
Y字状のキヤビラリの上部の両端には、 試薬 1および希釈血清をそれ ぞれ入れたマイクロシリンジ (ハミルトン社製) をテフロンチューブと ゴム栓とを用いて連結した。
予め使用する溶液を 37°Cに予備加温し、 マイクロシリンジをシリンジ ポンプ (ハーバード社製) に装着し、 送液を行った。
このとき、 各溝における流量は溝 3 0 1が 1 . 5 n ^ /min、 溝 3 0 2 が 1 . 5 n /min、 溝 3 0 3が 3 . O n ^ /minとした。
励起光に波長 6 3 3 n m、 検出光に波長 7 8 0 n mのレ一ザ一を用い た光熱変換検出法により、 液だめ 3 2 1から液だめ 3 1 9と液だめ 3 2 0との混合部に向かって一定の速度でスキヤンニングすることで、 反応 が完結している部位から各反応途上点に至るまでの測定を行った。
すなわち、 光熱変換検出法による濃度測定を行う点を、 溝に沿って 1 . 5 cm/secの速度で移動させる。 具体的には、 1秒間移動後に、 溝の近 傍に配置した位置決め印を認識することにより精密に位置決めを行い、 目視により焦点を合わせ、 10秒間各測定位置にて光熱交換法により検出 を行った。 つまり、 該実施例では、 位置決め印の配置する間隔によって rate法の特徴である検出値の変化率を、 短時間で検出することができる c 流路容積の補正が必要な場合は、 チップ内の試料の液だめの近くに標 準サンプル用の液だめを準備しておき、 試料の測定前または後に、 標準 サンプルを試薬 1と共に送液、 反応および測定を行い、 その結果から補 正を行う。
(光熱変換検出装置の構成について)
光熱変換原理に基づく検出装置には、 実施例 1と同じものを用いた ( 第 2 1図) 。
顕微鏡としては、 ステージ上での試料の取り扱いの容易さを勘案し倒 立型顕微鏡 (1X70、 Olympus 製) を使用した。 これは別に落射型の顕微 鏡であっても構わない。 この顕微鏡は、 顕微鏡外の光学系で同軸にされ たレーザ一光を導入できるよう改造を加えてある。 レーザ一は励起用に は He- Ne レーザ一 ( 6 3 3 n m、 1 0 mW、 エドモントサイェンティフ ィ ック製) を、 検出用には赤外半導体レーザ一 (7 8 0 n m、 1 2 mW 、 三洋電気株式会社製 D L 4 0 3 4— 1 5 1 ) を使用した。 これら レーザ一は使用する試薬、 生成する反応物の吸収スぺク トルにより、 適 当な周波数のものを利用すればよい。
また、 レーザーはガス、 固体、 半導体など、 種類は制限されない。 ミ ラー、 ビームェクスパンダ一等の光学系はメスグリォ社製品で統一した ( 励起用のレーザー光は、 ライ トチョッパーにより変調された後、 ダイク 口イツクミラーにより検出用レーザーと同軸にされ、 顕微鏡に導かれ試 料に照射される。
照射後に、 同軸にされたレーザー光の内、 励起光のみを選択的にフィ ルターにより除去しフォトセンサ一に導く。 レーザ一光受光部分の素子 には、 取り扱いの簡便性を考えファイバ一付きのフォトセンサ一アンプ ( C 6 3 8 6、 浜松ホトニクス社製) を使用した。 このフォトセンサ一 受光部はピンホールを持つカバーで覆われている。 フォ トセンサーおよ びセンサーアンプからの出力は、 低雑音プリアンプ (L I一 7 5 A、 ェヌ エフ回路ブロック社製) で増幅した後、 ロックインアンプに導かれ信号 処理が行われる。
この検出装置によりキヤビラリ内の状態を検出する手順は以下の通り である。 第 2 1図に示したように、 まず、 チップを倒立顕微鏡のステー ジ上に置く。 前述のようにチップ内に試料と試薬とを導入し、 試料と試 薬との混合、 反応を行わせる。 測定の実施に際しては、 先述のようにス テ一ジを 0 . 5 c m/ s e cの速度で移動させ、 1秒移動後にキヤビラ リの近傍に配置した位置決め印を認識することで、 精密に位置決めを行 う。 対物レンズの焦点合わせは、 励起用レーザ一を使用し、 モニタ一画 面を参照しながら、 溝パターンの上辺、 下辺の位置での焦点合わせを実 施した後、 その中間点を溝の中心位置として行った。
励起用レーザーは、 ライ トチヨヅパーにより 1 1 4 H zに変調してお き、 検出部を流れる液体に含まれる反応生成物を励起して発熱させる。 このライ トチョッパーによる変調の周波数は、 SN比等の影響により変更 することも有り得る。 この発熱で発生した熱レンズにより検出用レーザ 一の焦点位置がずれ、 それによりピンホールを通してフォトセンサーの 受光量が発熱量に応じ変化するため、 この変化量から試料に含まれる所 定成分を分析することができる。
フォ 卜センサ一からの信号は口ックインアンプにより処理されるが、 ここでは時定数として 1秒を用い、 ライ トチヨッパーと同じ周波数 1 1 4 H zの信号のみ選択的に出力として用いた。 ロックインアンプの出力 電圧は、 励起光により励起される反応生成物濃度に比例するため、 反応 生成物の定量化が可能である。
本実施例の結果では、 300KU および 75KUの活性を示す GOT を含む標準 血清による 5回の測定により検量線を作成し、 150KU相当の GOT 活性を 示す GOT希釈血清の測定を 2 0回行ったところ、 CV値 1 %の値が得られ た。 以上の結果より、 当該 「分析装置」 を用いて、 試料中の GOT 活性を 再現よく検出することができた。
•実施例 3
検出光として、 4 8 8 n mに発光をもつ A rレーザ一を用いた以外は 、 実施例 2と同様の光熱変換検出装置を用い、 また、 実施例 2と同様に して射出成形で作成した PMMA製の Y字状流路チップ (第 2 3図) を用い て、 卜一タルコレステロールの測定を行った。 該チップの Y字状流路の 溝巾は 2 0 0〃mで、 深さは 5 0 mである。 試薬はヮコ一社のコレス テロール E -テス卜ヮコ一を用いた。 Y字状流路の上部の両端には、 発 色試薬および希釈標準血清を各々入れたマイクロシリンジ (ハミルトン 社製) をテフロンチューブで連結した。 試薬濃度は、 発色試薬と希釈標 準血清とが、 流量比 1 : 1で混合されたとき、 試薬キッ 卜所定の濃度に なるように調製した。 すなわち、 規定の半量の緩衝液を用い発色試薬の 溶解を行い、 実施例 1に準ずる方法にて調製した標準血清を、 該緩衝液 を用い 7 5倍に希釈した。 送液にはシリ ンジポンプ (ハーバード社製) を用い、 発色試薬および希釈標準血清の各々の流量を等しく し、 かつ混 合後の反応時間が 3分となるよう流速を調節して、 Y字状流路の下部の 廃液溜に向かってポンプ送液を行った。 温度は 3 0度になるよう、 チッ プの下に銅板とシ一トヒータとを設置し、 熱電対と温度調節器とにより 調節を行った。
熱レンズ検出法による出力の測定結果を第 2 6図に示す。
•実施例 4
送液方法を電気浸透流とし、 検出試薬としてヮコ一社コレステロール E H Aテストヮコ一を用いた以外は、 実施例 3と同様の装置、 チップ を用いて、 トータルコレステロールの検出反応を行った。 Y字状流路 ( 第 2 3図) の各端には、 貫通孔を介して、 高さ 6 m m、 直径 4 m m程度 の円筒形の液だめを、 溝と反対側のチップ表面に装着した。 次に、 チッ プのキヤピラリ内面の電気浸透流の增強および洗浄等の目的で、 キヤピ ラリ内を 1 N - N a O H溶液 (和光純薬社製) で満たし、 6 0 で2 4 時間、 加熱する。 その後、 キヤビラリ内を精製水 (共栄製薬株式会社製 ) で p Hを指標にして中性になるまで洗浄し、 乾燥する。
そして、 平板状部材に、 該平板状部材と同寸法で厚さ 2 0 0 mの被 せ板を接着剤で張り合わせ、 キヤビラリを形成させる。 次に、 送液用の 通電にも用いられるように、 平板状部材の反対側 (貫通孔のある側) に 銀粒子を含んだ導電性ィンク (三井化学製 M S P 6 0 0 F ) で、 配 線と液だめ用電極および検出装置内の電源端子接続用電極とを印刷して 、 チップを完成する (第 2 4図) 。 なお、 液だめは、 チップを傾けるこ とな内壁に印刷可能なようにテーパ形状で形成しておく。
第 2 5図は第 1 9図の c— c ' 線の断面図である。
実施例 1に準ずる方法で調製した希釈標準血清と酵素液 Aは、 あらか じめ混合し、 3 7 °Cで 5分間反応させた後、 Y字状流路の上部の一端の 液だめ 3 1 9に入れた。 そして、 上辺のもう一端の液だめ 3 2 0には酵 素液 Bを入れた。 試薬濃度は、 液だめ 3 1 9の液と液だめ 3 2 0の液と が 1 : 1に混合されたときに、 試薬キッ ト所定の濃度になるよう調製し た。 Y字状流路の下端部は廃液だめとし、 流路と廃液だめとを酵素液 A 溶解用の試薬キット添付のバッファ一で満たし、 各液だめの液面レベル 差がなくなるよう液面高さを調節した。 各液だめには白金線電極を入れ 、 2 5 V/ c mの電位勾配を形成する状態を基本として、 廃液だめを 0 Vとして、 試料 ·酵素液 A混合液だめ 3 1 9および酵素液 B液だめ 3 2 0の電極に電圧を印加し、 液だめ 3 1 9から廃液だめ 3 2 1への流量と 、 液だめ 3 2 0から廃液だめ 3 2 1への流量とが 1 : 1になるように電 圧を調整した。
実験の都合で温度は室温 (2 6 °C ) で行った。
熱レンズ検出法による出力の測定結果を、 第 2 7図に示す。 産業上の利用可能性
本発明の分析装置は、 量産性がよく、 かつ取り扱い性のよい、 流動体 の流れる微細なキヤビラリを有する有機ポリマー製のチップと、 高感度 で小型化が容易な光熱変換検出装置とからなる分析装置であるため、 チ ップの廃棄性に優れ、 安価で簡便かつ短時間に分析ができ、 P O C分析 等に適した分析装置を提供できるものである。

Claims

請 求 の 範 囲
1 . キヤビラリ内に流動体状の試料、 もしくは、 流動体状の試料お よび流動体状の試薬を流して、 前記試料中、 もしくは、 前記試料および 前記試薬の混合流動体中の所定成分を分析する分析装置であって、 少なくとも一部が有機ポリマーにより構成され、 前記キヤビラリを備 えたチップと、
前記所定成分に励起光を照射して、 その結果生じる前記キヤビラリ内 の部分的な温度変化に伴う物理量変化を測定する光熱変換検出装置と、 からなることを特徴とする分析装置。
2 . 前記チップが、 少なくとも一方がその板面に溝を備え、 少なく とも一方が有機ポリマー製である一対の平板状部材を、 前記溝を備えた 板面を内側にして張り合わせることにより構成されることを特徴とする 請求の範囲第 1項記載の分析装置。
3 . 前記物理量変化が屈折率変化であり、 前記光熱変換検出装置は、 前記屈折率変化により形成される熱レンズに検出光を入射させ、 前記熱 レンズにより生じる前記検出光の変化を測定する装置であることを特徴 とする請求の範囲第 1項または第 2項記載の分析装置。
4 . 前記チップを構成する部材が前記励起光を吸収することによつ ては、 実質的に光熱変換効果を生じないことを特徴とする請求の範囲第 1項〜第 3項のいずれかに記載の分析装置。
5 . 前記チップを構成する部材は、 前記励起光の吸収率が 5 %以下 であることを特徴とする請求の範囲第 4項記載の分析装置。
6 . 前記キヤビラリ内の部分的な温度変化を、 前記所定成分を分析 するのに十分な濃度感度が得られるような範囲に生じさせるように、 前 記励起光の集光度が調整してあることを特徴とする請求の範囲第 1項〜 第 5項のいずれかに記載の分析装置。
7 . 前記励起光の集光度は、 前記キヤビラリに前記励起光を照射す る対物レンズの閧口数で調節されていることを特徴とする請求の範囲第 6項記載の分析装置。
8 . 前記キヤビラリは、 前記試料を流す試料流路と、 前記測定を行 う流路とを有することに加えて、 前記試料流路と前記測定を行う流路と の間に、 少なくとも一つの試薬混合手段を有し、
前記試薬混合手段は、 前記試薬を流す少なくとも一つの試薬流路と、 前記試料流路側から流れてくる流動体と前記試薬流路から流れてくる前 記試薬との合流点と、 この合流点より下流側に設けられ、 前記試料流路 側から流れてくる流動体と前記試薬流路から流れてくる前記試薬とを所 定比率で混合して所定時間反応させる混合流路と、 から構成され、 前記試薬混合手段が複数の場合には、 各試薬混合手段は直列関係に配 設され、
さらに、 前記試料流路および前記試薬流路の流量を前記混合比率に応 じて調整する流量調整機構を備えたことを特徴とする請求の範囲第 1項 〜第 7項のいずれかに記載の分析装置。
9 . 前記キヤビラリは、 前記試料と前記試薬とが連続的に流され、 前記混合流路は、 その直前の合流点で合流した流動体が、 所定の流速下 で、 所定の混合および反応を終了するために必要な時間流動するのに十 分な長さの流路であることを特徴とする請求の範囲第 8項記載の分析装 置。
1 0 . 前記試料に電圧を印加する、 もしくは前記試料および前記試 薬に別々に電圧を印加することにより、 前記試料、 もしくは前記試料お よび前記試薬を流すことを特徴とする請求の範囲第 1項〜第 9項のいず れかに記載の分析装置。
1 1 . 前記試料が生物学的材料に由来する試料であることを特徴と する請求の範囲第 1項〜第 1 0項のいずれかに記載の分析装置。
1 2 . 前記一対の平板状部材の少なくとも一方は、 圧縮成形法, ェ ンボス成形法, 射出成形法, ガス存在下で樹脂のガラス転移点を下げる 射出成形法, 射出圧縮成形, 電磁誘導による金型表面加熱射出成形法の いずれか、 またはこれらの組み合わせにより成形された有機ポリマー製 の平板状部材であることを特徴とする請求の範囲第 2項記載の分析装置。
1 3 . 前記ガス存在下で樹脂のガラス転移点を下げる射出成形法に おいて使用されるガスが、 炭酸ガスであることを特徴とする請求の範囲 第 1 2項記載の分析装置。
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