JP2000002677A - 分析装置 - Google Patents

分析装置

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JP2000002677A
JP2000002677A JP10167603A JP16760398A JP2000002677A JP 2000002677 A JP2000002677 A JP 2000002677A JP 10167603 A JP10167603 A JP 10167603A JP 16760398 A JP16760398 A JP 16760398A JP 2000002677 A JP2000002677 A JP 2000002677A
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groove
flat plate
organic polymer
chip
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Shigemi Mukoyama
滋美 向山
Koji Shimoide
浩治 下出
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】廃棄物性に優れ安価で簡便かつ短時間に分析が
出来、POCに適した分析装置を提供する。 【解決手段】表面に液体が流れる微細な溝を有する有機
ポリマー製の平板を有するチップと、チップ上の溝内の
液体の少なくとも一部分に励起光を照射して、前記液体
の部分的な温度変化に伴う物理量変化を計測する光熱変
換検出装置とからなることを特徴とする分析装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、簡便な微量試料の
分析、検出に関わる。
【0002】
【従来の技術】医療診断に必要な測定を患者近傍で行う
ベッドサイド診断や、河川や廃棄物中の有害物質分析を
測定対象側で行う分析、さらには食品の調理、収穫、輸
入現場における汚染検査など、point of care(POC)の分
析、検出法、装置の開発が重要となってきている。こう
したPOC 分析においては、安価で簡便かつ短時間での測
定法が求められる。
【0003】微量試料の分析、検出には、従来から、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー(CGC) 、キャピラリ
ー液体クロマトグラフィー(CLC) 等で分離し質量分析計
で検出するGCMS, LCMSが広く用いられてきたが、検出器
の質量分析計が大きく測定機器が大型であると共に操作
が煩雑なため即時現場測定分析(POC)には向いてい
ない。
【0004】また、10センチから数センチ角程度以下
のガラスやシリコンのチップ表面に溝を刻んで、その溝
での分離、反応を利用して、微量試料の分析を行うμTA
S (micro total analysis system) の研究(特開平2−
245655)も進められている。
【0005】μTAS では、検体量、検出に必要な試薬
量、検出に用いた消耗品等の廃棄物、廃液の量がいずれ
も少なくなる上、検出に必要な時間もおおむね短時間で
済むという利点がある。
【0006】しかし、溝を形成する素材、即ち、キャピ
ラリーを形成する材質は、高い精度で微細加工ができる
ガラスやシリコンが一般的であるが、加工コストが高
く、また、割れ易く取り扱いに注意を要する等の問題も
有する。さらに、医療診断用途などでは、血液等の患者
由来の検体が触れることもあり、ディスポーザブルにす
る事が望ましいが、ガラスやシリコンは不燃物であり廃
棄処理上も問題を有する。
【0007】上記のような問題点の改善を目指した研究
として、樹脂でチップを作成する方法(R M Mcc
ormick et al./Anal.Chem.
Vol.69,No.14(1997)2626−26
30)も提案されているが、その検出法は以下に述べる
課題を有する蛍光法である。
【0008】また、検出装置を中心に従来技術をさらに
説明する。キャピラリー電気泳動装置に代表される、キ
ャピラリー内を流れる試料の分析方法には、蛍光分光法
(例えばS. C. Jakobson, et. al., Anal. Chem. Vol.
66, 4127-4132, 1994 、特開平2−245655)、吸
光度法(例えばN. Kuroda,et. al., J. Chromatogr., V
ol. 798, 325-334, 1998 )、化学発光法(例えばM.
F. Regehr, et. al., J. Capillary Electrophor, Vol.
3, 117-124, 1996)などが一般的である。
【0009】上記のうち、化学発光法、蛍光法は、各々
被検出物質が酸化剤などの触媒の存在又は励起光により
励起状態の化合物となり、この状態から、基底状態にな
るときのエネルギーが光として放出されるのを検出する
ものである。一方、吸光度法は、被検出物質を含む溶液
に光を入射し透過光強度を測定し、その入射光強度に対
する透過光強度の比を求めるものである。感度的には一
般に吸光度法、蛍光法、化学発光法の順に高感度といわ
れる。
【0010】化学発光反応としては、ルミノール、ルシ
ゲニンなどによる方法が古くから知られている。化学発
光反応は迅速で高感度であり、また、検出は光源を必要
としないなどの利点を有するが、発光の減衰が急速であ
り、試薬が不安定、バックグランドが高いなどの欠点を
有する。蛍光法も同様に反応系が古くから知られている
利点はあるが、光学系として励起光光源、励起光と蛍光
を分離する光学フィルターなどが必要となる。これら発
光現象を利用する方法では、放射される光が四方に発散
するため受光効率が良くなく、また、蛍光法の場合蛍光
を発する収率が低いなど、微量試料の検出を行う場合の
欠点を有する。吸光度法は、原理的に検出するのが入射
光と透過光の比であるため、高精度の結果を得るために
は光路長を長くとる必要があり、キャピラリーに垂直に
光をあてるのではなく、流れ方向に光を当てる工夫もさ
れている(例えば、特開平8-304339)が、平面チップ状
のキャピラリーの場合、流れ方向の検出は容易ではな
く、長光路を得るため検出セルの構造が複雑となる欠点
を有する。
【0011】微量成分の別の検出法として、励起光で液
体中の試料を励起していわゆる熱レンズを形成させ、プ
ローブ光でその熱レンズの変化を検出する光熱変換法
(熱レンズ法)が以前から知られている(特開昭60−
174933、A.C.Boccara et a
l.,Appl.Phys.Lett.36,130,
1980)。 光熱変換法では、励起光により0.1 μm
〜1mm 程度の厚みの熱レンズを形成させる。 光路長が
十分長く、たとえば1cm程度、取れる場合には、光熱変
換法は、吸光度法や蛍光法に比べて、励起光とプローブ
光の通常2種の光源が必要なこと等から、光熱変換法は
一般には用いられていない。
【0012】ArレーザーとHe-Ne レーザーを用いて光熱
変換法(熱レンズ法)で検出を行い、溝が刻まれたチッ
プの外部からポンプにより送液する、キャピラリー分析
装置に適用した例もあるが(ぶんせきNo.4,280
−284,1997、M.Harada,et.a
l.,Anal.Chem.Vol.65,2938−
2940,1993、川西,他 日本分析化学会第44
年会講演要旨集,p119,1995)、溝を刻む素材
としてガラスが使われている。しかし、ガラスでは、小
型のキャピラリー装置を作るためには、半導体集積回路
を作る技術を発展させた方法(フォトリソグラフィー技
術とエッチング技術の組み合わせ)により、1枚ずつ、
平板ガラス上に溝を形成しなくてはならず、製造工程に
おいて、多くの有害な薬品を使用すると共に、製造工程
が長く、また半導体製造等に用いられる高価な大型設備
を必要とする。さらに、ガラスは、割れ易く取り扱いに
注意を要する等の問題も有すると共に、医療診断用途な
どでは、血液等の患者由来の検体が触れることもあり、
ディスポーザブルにする事が望ましいが、ガラス素材は
不燃物であり廃棄処理上も問題を有する。このため、安
価なPOC分析には適さない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】分析装置は、流路装置
に小型平板状の装置が提案されるなど、POC分析を目
指した研究開発が行われているが、未だに、取り扱いが
容易で、経済性に優れ、汎用性が高く、且つ、高感度分
析が可能で、さらに、流路装置と検出装置を合わせた分
析装置として小型化が可能な分析装置はなく、POC分
析に適した分析装置が望まれているのが現状である。ま
た、医療診断用の分析に用いる場合には、使用後の流路
装置(チップ)が、焼却等により廃棄処理できるなど廃
棄処理性に優れていることも重要である。
【0014】本発明は、前記従来技術に鑑みて、取り扱
いが容易で、廃棄性に優れ且つ量産性にも優れるチップ
と小型化が容易で且つ微量成分の高感度検出が可能な検
出装置から成る、汎用性が高く安価な小型高感度分析装
置の提供を目的としたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
標を達成すべく鋭意研究を行った結果、表面に溝を形成
させた有機ポリマー製の平板を有するチップと溝を流れ
る液体中の検出対象を光熱変換法で検出する検出装置か
ら成る光熱変換分析装置により、取り扱いが容易で且つ
安価な小型高感度分析装置が作れることを見いだし、本
発明を完成した。
【0016】即ち本発明は、液体が流れる溝を表面に有
する有機ポリマー製の平板を有する装置であって、溝内
の液体に励起光を照射し、液体の部分的な温度変化に伴
う物理量変化を計測することを特徴とする光熱変換分析
装置を提供する。さらに言えば、一対の板状部材を備
え、少なくとも一方の板状部材は有機ポリマーからな
り、さらに、有機ポリマーからなる板状部材の表面に液
体が流れる溝が形成され、これら板状部材が溝を内側に
して張り合わされて成るキャピラリー内の液体試料に、
励起光を照射し、液体試料の部分的な温度変化に伴う物
理量変化を計測することを特徴とする光熱変換分析装置
を提供する。
【0017】精度良く成形された有機ポリマー固体から
なるチップは、微量分析に適するとともに、安価に製造
することが可能であると共に焼却により容易に廃棄処理
する事が出来、ディスポーザブル用のチップとして有用
である。また、溝の幅、深さが1-1000μm 程度のキャピ
ラリーでは、チップ面の上下(角度は必ずしもチップ面
に垂直である必要はない)方向での、つまり、液体の流
れと垂直または斜め方向での、光路長は溝の深さ程度ま
での短い光路長しか取ることが出来ないにもかかわら
ず、検出方法として光熱変換法を用いていることによ
り、微量の対象物質の高感度検出分析が可能である。
【0018】また、本発明の分析装置は、一対の板状部
材の両方がプローブ光を透過する素材からなり、板状部
材の少なくとも一方が、励起光を透過する素材からなる
チップと光熱変換検出装置とからなる分析装置とするこ
とにより、従来の樹脂製チップを用いた分析装置では測
定に困難があった紫外領域の吸収しかもたない検出対象
物質も高感度での検出が可能であり汎用性の高い分析装
置となる。このことは、生体物質の中には紫外領域の吸
収しかもたないもの(つまり、人間の目には無色のも
の)も多いため、医療診断用の分析に用いるためには非
常に重要なことである。
【0019】ここで、紫外領域の吸収しかもたない物質
の分析について、若干の補足説明を加える。有機ポリマ
ー(樹脂)は、チップ素材として、ガラスよりも生産
性、コスト、廃棄物処理、等の点で優れている。しかし
ながら、有機ポリマーは、一般には紫外領域で吸収があ
る。そのため、一般的な検出法である吸光度で、対象物
質を検出しようとすると、チップ素材による吸収が大き
く正しい測定値が得られない。さらに、100μm 程度
の光路長では、チップ素材が吸収しない波長を用いても
微量検出は困難である。蛍光で検出する事も可能である
が、蛍光を発する物質に検出対象が限定され汎用性に乏
しい。
【0020】それに対し、光熱変換検出法は、励起光さ
え対象物質に吸収されれば、プローブ光の波長は、有機
ポリマーが吸収しない長波を自由に選ぶことが可能であ
る。一対の板状部材からなるチップにおいて、両方の板
状部材が有機ポリマーが吸収しない波長、一般には可視
光のプローブ光に対して『透明』であり、さらに、一対
の平板のどちらか一方が、励起光に対し、対象物質の励
起を起こすのに十分な透過度を有しておれば、汎用的な
測定が可能となる。具体例で説明すると、一対の板状部
材からなるチップが、溝を有する平板の厚みが1〜5m
m程度の厚みであり、この平板に張り合わせる板状部材
(シート)が500μm程度以下の薄いシートであり、
このシートが励起光に対して高い透過率の素材から成っ
ているチップの例では、励起光を薄いシート側から当て
ることにより、溝を有する平板が励起光に対して透過率
が小さくても、検出対象物質を高感度で検出することが
可能である。
【0021】本発明に係る分析装置は、有機ポリマーか
らなる板状部材で作成されるチップと、光熱変換法によ
る検出システム(励起光、プローブ光の光源と、光量変
化検出器、演算装置など)をその内部に有する検出装置
からなり、該チップに検体を入れて、該検出装置にその
チップを装着して、該チップ内で分離、反応等を起こさ
せた後に、該検出装置の検出システムを用いて、検出対
象物質を光熱変換法で検出する。
【0022】以下本発明を明細に説明する。
【0023】
【発明の実施形態】本発明の有機ポリマー製の平板の表
面に有する液体の流れる溝の断面形状は、光熱変換法に
よる検出部以外は四角形、三角形等の多角形の形状、半
円形、半楕円形等、特に形状は問わない。また、有機ポ
リマー製の平板が何種類かの異なった形状の溝を組み合
わせてなる流路を表面に有していてもよい。溝の上面
(開放面)の幅は、溝の下面(底)の幅と同じであるか
又は広くてもよい。更に好ましくは、溝断面形状が四角
形である。光熱変換法による検出部は、溝の上面と下面
は平面であることが望ましい。
【0024】また、この溝は、あまり小さすぎると、微
粒子により流れが乱される原因となり、また、あまり大
きすぎると、多くの流路を1つの平板の表面に作る時に
平板の面積を大きくしなければならなくなるため、幅が
1〜5000μm、深さが0.1〜3000μm、断面
積が1〜15,000,000μm2 であることが望ま
しい。好ましくは、巾2〜500μm、深さが1〜50
0μm、断面積が2〜250000μm2 、更には、2
〜200μm、深さが1〜200μm、断面積が2〜4
0000μm2 であることが好ましい。
【0025】本発明の表面に液体が流れる溝を有する有
機ポリマー製の平板は、その表面に有する溝の寸法精度
は特に問わない。しかし、極微量成分の分析や定量分析
等を行う上では、溝の寸法精度は優れていることが好ま
しく、操作の精度及び装置間の再現性を得るため、金型
の凸形状(成形により転写され、平板では溝が形成され
る)に対し、幅および深さにおいては±5%以内、断面
積においては±7%以内の寸法精度(寸法転写精度)を
有することが好ましい。また、高精度の定量分析を行う
ためには、幅および深さが±2%以内、断面積が±4%
以内の寸法精度を有することが更に好ましい。
【0026】本発明の表面に液体が流れる溝を有する有
機ポリマー製の平板を有するチップの構造は、使用時の
操作性や製造時の加工生産性等の点からは、一対の板状
部材から成り、少なくとも一方の板状部材は表面に液体
が流れる溝を有する平板であって、この平板と他方の板
状部材を、該平板の溝を内側にして張り合わせて作製さ
れる(キャピラリーを形成する)構造をとることが好ま
しい。また、液体が流れる溝に応じた貫通孔(板厚方向
を貫通する孔)を有する平板(板状部材)1枚と、溝も
溝に応じた貫通孔も無い板状部材2枚とからなり、溝に
応じた貫通孔を有する平板を2枚の前記板状部材で挟ん
でキャピラリーを形成する構造をとることも可能であ
る。また、表面に液体が流れる溝を有する平板(板状部
材)のみからなり、溝の上面が開放されたままの構造を
とることも可能である。
【0027】一対の板状部材から成り、少なくとも一方
の板状部材は表面に液体が流れる溝を有する有機ポリマ
ー製の平板である、該平板の該流路を内側にして張り合
わせてつくられる装置(以下キャピラリー装置と略す
る)は、液体または試料の入り口または出口のためおよ
び電極を付ける(送液を電気浸透流で行う場合及び/ま
たは溝内での電気泳動分離を行う場合)ための開口部
を、張り合わせる2枚の板状部材のいずれかの板状部材
に貫通孔の形で有していることが好ましい。貫通孔は、
キャピラリー装置の各流路の端部に作られているか、ま
たは、張り合わせるもう1枚の板状部材側のキャピラリ
ー装置の各流路の端部(としたい部分)と合わさる部分
に作られているのが望ましい。貫通孔の大きさは特に限
定されるものではないが、開口直径0.1〜数mm程度
が好ましい。
【0028】本発明のキャピラリー装置は、上記の平板
の少なくとも1枚を含む2枚の板状部材を、流路を内側
にして、超音波融着、熱融着、ホットメルト接着剤やU
V接着剤等の接着剤による接着、粘着剤による粘着、直
接又は薄い弾性シートを介しての圧接等の方法で張り合
わせてつくられる。溝を有していない板状部材として
は、溝を有する平板に用いることができる後述の樹脂の
中から選択された樹脂からなるシート(薄い板)あるい
はガラスシート(薄いガラス板)等を用いることができ
る。この樹脂からなるシートの例としては、メタクリル
樹脂シート、ポリカーボネートシート、ポリスチレンシ
ート等が挙げられる。また、シートの厚みは、光熱変換
分析の障害になることが無ければ、特に限定されるもの
ではないが、0.05〜数mm程度が好ましい。
【0029】さらに本発明の平板の流路には、一定量の
サンプリングを主な目的とした流路部分、試薬や試料の
混合を主な目的とした流路部分、試薬や試料の移送を主
な目的とした流路部分など、部分毎に異なった操作を主
な目的とした流路部分を作ることが出来る。電気浸透流
を送液手段として用いる場合には上記のほかに電気泳動
分離を主な目的とした流路部分を作ることも出来る。ポ
ンプ送液や電気浸透流などいずれの送液手段で送液する
場合にも、当然1つの流路部分が複数の目的を兼ね備え
ていても良い。また、本発明の平板は、流路が、1つの
操作を主な目的とした流路部分のみからなっていても良
いが、複数の各々異なった操作を主な目的とした流路部
分を組み合わせた流路となっていることにより、単なる
定性分析ではなく、定量分析や反応などを伴うような高
度な分析が可能な装置とする事が出来る。
【0030】一定量のサンプリング(分取)を主な目的
とした流路部分の形状は、2本の流路が十字にクロスし
ている図1に示すような形状又は1本の流路に対し2本
の流路が各々T字に合流する図2に示すような形状であ
り、好ましくは図2の形状である。一定量のサンプリン
グは、図1の形状の流路では、試料をまずAよりBに向
かって流した後Bへの流れを止め、次に試料をAよりD
に向かって一定時間流した後Aからの流れを止め、更に
CからDに向かって液体を流すことにより行われる。こ
の場合には、溝の断面積と流速と時間により一定量のサ
ンプリングが行われる。また、図2の形状の流路では、
試料をまずAよりBに向かって流した後流れを止め、次
にCからDに向かって液体を流すことにより行わる。こ
の場合には、溝の断面積とT字状の流路の合流点EとT
字状の流路の合流点Fの長さによって一定量のサンプリ
ングが行われる。この形状では、溝が寸法精度良く作れ
れていれば、液の流速や流した時間に関係することな
く、溝の断面積とEとF間の長さによってのみ量が決ま
り、また、溝の断面積とEとF間の長さを変えることよ
り任意に量を設定できるためより好ましい一定量のサン
プリング(分取)方法といえる。
【0031】試薬や試料の混合や希釈を主な目的とした
の流路部分の形状は、サンプリング(分取)と組み合わ
せて行う場合には、流路途中に幅が広い及び/または深
さの深い形状(この部分は、mmオーダーからcmオー
ダーのサイズとすることが好ましいこともあるが)など
が上げられ、いったん送液を止め拡散により液を均一化
したり、機械的攪拌により液を均一化する等の均一化工
程をとることが好ましい、特に、機械的に攪拌出来る構
造(攪拌バーを入れておき、磁力により撹拌するなど)
は、均一化に時間を必要とせず好ましい構造である。
【0032】また、流路構造により、試薬や試料の混合
や希釈を行う場合の流路部分の形状は、1本の流路に他
の流路を合流させた形状や1本の流路に複数本の流路を
一カ所で合流させた形状などがある。1本の流れに他の
流れまたは複数の流れを合流させ一本の流れとすること
により、混合操作や希釈操作を行うことが出来る。又、
この時、各々の流量を変えることにより、異なった比率
での混合や希釈も可能である。混合や希釈の比率は、ポ
ンプでの送液の場合には、機械的に合流する各流路の流
量を変えることが出来るし、又、電気浸透流での送液の
場合には、合流する各流路の断面サイズや長さを変えた
り、各流路への電圧のかけ方を変えたり、各流路キャピ
ラリー内表面の荷電状態を表面処理等により変える事に
より合流する各流路の流量を変えることが出来る。この
場合には、合流部分に邪魔板構造を設けたり、合流部の
後に拡散により液を均一化する流路部分を有することが
望ましい。液を均一化する流路部分は、直線の形状、蛇
行状や渦巻き状に曲げられた形状などの形状が上げられ
る。
【0033】更に、上記とは逆に、1本の流れが、多数
本に別れる流れ(流路を分岐)とする事により、分流を
行うことも可能である。電気浸透流を送液手段として用
いる場合の電気泳動分離を主な目的とした流路部分の形
状としては、直線の形状、蛇行状や渦巻き状に曲げられ
た形状などの形状が上げられる。蛇行状や渦巻き状に曲
げられた形状は、チップ長辺の長さより長い分離のため
の流路が得られるため、直線の形状より分離性能を上げ
る事が出来る。
【0034】本発明の分析装置の電気浸透流を送液駆動
力とする分析装置構成の1例に以下に示す。分析装置の
構成例として、試料の注入口、試料の出口、泳動液の入
り口、泳動液の出口の計4つの開口部、図2の形状の一
定量のサンプリングのための流路および分離のための流
路を有するキャピラリー電気泳動装置を使用した1つの
例を説明する。各開口部には、電圧を印加するための細
い白金電極が装着される。また、泳動液の出口の近傍
(少し手前)に光熱変換検出計が配置される。光熱変換
検出計は、溝の上方から励起光、プローブ光を照射する
照射部と溝の下方で照射されたプローブ光を検出する検
出部から構成され、励起光、プローブ光が溝を透過する
ように配置される。
【0035】試料の分析操作は、泳動液そして試料を入
れた後、試料をまず試料入り口より試料出口に向かって
流した後流れを止め、次に泳動液入り口から泳動液出口
に向かって泳動液を流すことによりサンプリングを行
い、ひき続き泳動液入り口から泳動液出口に向かって泳
動液を流しサンプリングした試料を分離のための流路に
導き試料の分離を行うと共に、分離された試料を検出す
るための流路(励起光、プローブ光が透過する溝部)に
導き光熱変換検出装置(後述の検出装置の説明に於いて
詳しい説明を行う)により検出(分析)が行える。
【0036】本発明のキャピラリー装置では、流路パタ
ーン(構成)を変えることにより、多くの目的で使用す
ることが出来る。例えば、混合や分離を主な目的とした
流路を中心に構成し定性分析用として、定量サンプリン
グを主な目的とした流路部分と分離を主な目的とした流
路を組み合わせた構成としたり、定量混合を主な目的と
した流路を中心に構成し分離を伴う定量分析用や反応を
伴う定量分析用として、定量サンプリングを主な目的と
した流路部分、混合を主な目的とした流路部分と分離を
主な目的とした流路部分を組み合わせた構成とし反応を
伴う定量分離分析用として、定量サンプリングを主な目
的とした流路部分、混合を主な目的とした流路部分を主
に組み合わせた構成とし分離をあまり伴わない分析用と
して、など多くの分析目的に使用できる。
【0037】本発明の有機ポリマーは、光熱変換検出に
用いられる波長の光に対して透明性を有する樹脂であ
り、光熱変換検出で使用するプローブ光の波長で、好ま
しくは励起光とプローブ光両方の波長で透過率が80%
以上好ましくは90%以上のものが良好に使用できる。
プローブ光及び励起光の波長を考慮すると、一般的に
は、600nm〜800nm好ましくは400nm〜8
00nmの波長範囲で、ASTM D1003で測定し
た光線透過率が80%以上好ましくは90%以上のもの
が良好に使用できる。
【0038】また成形加工性も重要な要素であり、成形
加工性の面から良好に使用できるのは、一般の溶融加工
可能な透明性熱可塑性樹脂やUV硬化や熱硬化によって
得られた透明性樹脂が上げられる。さらに良好に使用で
きるのは、表面に溝を有する平板を大量に且つ安価に加
工成形出来る溶融加工可能な透明性熱可塑性樹脂であ
り、この中でも非結晶性熱可塑性樹脂、非結晶性樹脂が
主成分の熱可塑性ポリマーアロイ、あるいは結晶化度が
低い一部の結晶性熱可塑性樹脂である。特に良好に使用
できるのは、硬質樹脂であり、具体的には、ポリスチレ
ン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン
系樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレ
ート−スチレン共重合体等のメタクリル樹脂、ポリカー
ボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
エーテルイミド、ポリアリレート、ポリメチルペンテ
ン、ポリ塩化ビニル樹脂等である。
【0039】また、1,3−シクロヘキサジエン系重合
体も好適に用いられる。1,3−シクロヘキサジエン系
重合体は、ホモポリマーを使用することも可能である
が、共重合体を使用することもできる。この共重合体と
しては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペ
ンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン
系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタ
レン、ビニルスチレン等のビニル芳香族系モノマー、メ
タクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリロニトリ
ル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリル酸メチル
等の極性ビニルモノマー若しくはエチレンオキシド、プ
ロピレンオキシド、環状ラクトン、環状ラクタム、環状
シロキサン等の極性モノマー、またはエチレン、α−オ
レフィン系モノマーとの共重合体が挙げられる。この場
合の共重合比は、重量比で1,3−シクロヘキサジエン
モノマー/コモノマー=75/25〜100/0が好ま
しい。光透過性の高いシクロヘキサジエン系ポリマーに
ついては特願平9−277045中に詳細に記述されて
いる。該ポリマーは、素材として、200nm以上の波
長の吸収はほとんどなく、また、非晶性のC−Hポリマ
ーなので、短波長の光源による検出も可能である。
【0040】本発明の表面に液体が流れる微細な溝を有
する有機ポリマー製の平板は、板状部材からの切削加工
やレイザー等によるエッチング加工、型内でのモノマー
及び/又はマクロモノマーのUV硬化や熱硬化、熱可塑
性樹脂の溶融加工や塑性加工等の方法により成形でき
る。良好に使用できる成形加工法は、表面に溝を有する
平板を大量に且つ安価に成形加工出来ることから、熱可
塑性樹脂の溶融加工や塑性加工である。さらに良好に使
用できるのは、金型を用いた熱可塑性樹脂の射出成形法
及び/又は圧縮成形法、エンボス成形法である。特に、
樹脂の金型キャビティへの充填工程中に、金型に接する
樹脂表面の固化温度を低下させつつ射出成形する射出成
形法(特開平10−128783、特願平10−507
19)は、生産性良く成形精度の高い微細な溝を有する
有機ポリマー製の平板を作ることが出来きるため特に好
ましい成形方法と言える。この射出成形方法の具体例と
しては、キャビティー内に炭酸ガスを満たしておき射出
成形する方法が上げられる。この場合の炭酸ガスの圧力
は、10MPa以下が好ましい。
【0041】また、成形直前に高周波誘導加熱で金型表
面を加熱して成形する射出成形方法(特公昭62−58
287、米国特許第4439492等に記載)や成形直
前に輻射加熱で金型表面を加熱して成形する射出成形方
法(成形加工シンポジア’95,241<1995>、
成形加工’96,69<1996>、合成樹脂,42巻
(1),48<1992>等に記載)などの金型表面を
加熱して成形する射出成形方法も、金型温度を低く設定
し、高周波誘導加熱やハロゲンランプ等の熱源により成
形直前に金型表面だけを選択的に加熱して、型表面転写
性と成形サイクルの両立をはかれる成形方法であり、本
発明の有機ポリマー製の平板の製造に好ましい成形方法
である。
【0042】本発明の有機ポリマー製の平板を、特開平
6−283830の回路基板を製造する方法に基づいて
製造することも可能である。この方法によれば、厚いレ
ジストで飛来する粒子の方向が垂直方向にそろうため、
通常の薄いレジストに比べてシャープな加工が可能で、
高アスペクト比の溝を作ることが出来る。また、樹脂基
板上に感光性レジストを塗布し、溝以外の部分を露光し
た後、未硬化部分を除去して、溝の形状のレジストパタ
ーンを基板上に形成する手法も可能である。
【0043】チップ成形用の金型は、鉄又は鉄を主成分
とする鋼材、アルミニウム、又はアルミニウムを主成分
とする合金、亜鉛合金、ベリリウム−銅合金等の一般に
合成樹脂の成形に使用されている金属金型が良好に使用
できる。
【0044】金型作製方法の1つの例を挙げると、ま
ず、金属、プラスチック、シリコン又はガラス等の材料
からの切削加工やエッチング加工、又は紫外線硬化樹脂
のフォトリソグラフィ加工等の方法により、目的とする
微細な溝を有する有機ポリマー製の平板の表面形状を有
する母型を1つ作成し、この母型からニッケル等の電気
化学的鋳造法により作製される。また前述の特開平6−
283830のレジストパターンを形成する方法を用い
て金型を作ることも可能である。金属基板にレジストパ
ターンを形成した後、レジストの無い部分を金属メッキ
で埋め、レジストを除去して、基板表面に微細なパター
ンを施した、金属板を形成する。この金属板を金型にし
て、樹脂の加工を行う事が可能である。
【0045】本発明の表面に液体が流れる微細な溝を有
する有機ポリマー製の平板を有するチップは、溝内面
を、ポリエチレングリコールのグラフト重合などで蛋白
吸着防止処理をしてもよいし、後述する電気浸透流を送
液手段として使う場合は、安定した電気浸透流を発生さ
せる表面処理を行っても良い。
【0046】また、本発明の表面に液体が流れる微細な
溝を有する有機ポリマー製の平板を有する装置及びキャ
ピラリー装置は、送液方法として、電気浸透流(EOF) を
用いた場合あるいは電気泳動分離を行う場合は、金属
針、金属板や金属箔などからなる金属製電極、導電化処
理された無機または有機ポリマー製電極或いは導電性イ
ンクで印刷された電極を、張り合わせる平板や、表面に
溝を有する有機ポリマー製平板の表面に設けても良い。
この場合は、溝、及び、溝の端または途中に設けられた
液溜(試薬、検体、緩衝液、廃液などを入れる)に接す
る電極、検出装置と連結できる電極及びそれら電極間の
リード線も、チップ内に装備することが好ましい。
【0047】金属針を挿入する場合は径0.1 〜1mmφで
平板の溝近傍まで達する長さの白金、銅、真鍮、アルミ
や鉄などの釘、針や鳩目(ハトメ)状のもの等を導入導
出孔内に固定することが好ましい。導電性インクの場合
は金、銅、ニッケル、カーボンブラック、グラファイト
等の微粒子を含有したインクを、真空蒸着やスパッタ成
膜では金や白金を孔内壁全面または一部いずれの場合も
深さは平板の溝の近くまで達するように印刷あるいは蒸
着する。この際、孔をテーパ状にしておけば平板を傾け
ることなく内壁に電極を形成することができる。
【0048】また上記電極以外に、チップをはめ込む検
出装置内の電源端子と連結するための電極及びそれらの
電極間のリード線も導電性インクや真空蒸着、スパッタ
成膜で形成できる。また銅板等の薄板を張り付けておい
て、エッチングで配線パターンを形成したり、パターン
形成した銅箔等を板上に転写あるいは張り付けしても形
成できる。
【0049】また、溝を有する平板や溝を内側に張り合
わせる平板以外の第3の平板や成形品に上記と同じ様な
方法で電極及び/又は配線を形成し、この第3の平板や
成形品を合わせることによって、電極及び/又は配線を
装備している装置とすることも出来る。
【0050】いずれの場合でも、高電圧を印加した際の
発熱が、電気浸透流や電気泳動に影響をおよぼさない程
度に抑えられるように、材質と大きさを選ぶことが必要
である。
【0051】次に、本発明の光熱検出装置について明細
な説明を行う。図3に、光熱変換現象に基づき形成され
る熱レンズを用いた検出法の原理を示す。レンズにより
集光されたレーザー光を試料に照射すると光励起により
試料に含まれる測定対象物より熱が発生し、その熱によ
りレーザーの焦点付近の屈折率が低下する。熱拡散など
の効果により屈折率の空間分布ができる。この領域を通
過する光は屈折率の分布により直進せず、光学的にレン
ズが生じたのと同じ効果を生じさせる。この仮想的なレ
ンズの効果を熱レンズ効果と呼ぶ。例えば、水のように
屈折率の温度係数が常温付近で負の物質の場合、凹レン
ズが生じたのと同じ効果を示す。レンズ効果の強さ(レ
ンズの度)は発生する熱量に比例、すなわち励起した分
子の数に比例する。そこで、別のプローブレーザー光を
入射すると、レンズ効果により、プローブレーザー光は
本来の光路より拡がったり狭まったりする。このプロー
ブレーザー光の変化の大きさから、発熱量、すなわち測
定対象物の吸光量を測定でき、測定対象物の定量化が可
能となる。原理的に熱レンズは励起レーザー光の焦点付
近に形成されるため長い光路長を必要とせず、微小領域
内の試料の検出に適する。
【0052】先述したように、微細な溝を有する有機ポ
リマー製の平板の溝は幅、深さが1-1000μm 程度なの
で、平板面の上下(角度は必ずしもチップ面に垂直であ
る必要はない)方向での、つまり、液体の流れと垂直ま
たは斜め方向での、光路長は溝の深さ程度までしか取れ
ないが、光熱変換法を用いれば、この程度の光路長で十
分高感度で対象物質の検出が可能である。 光熱変換法
は、光路長を長く取るための複雑な流路構造を作る必要
のない、即ち安価なチップで、また、半導体レーザーと
フォトダイオードの組み合わせなど安価で簡単な光学系
の検出装置で検出が可能である。
【0053】光熱変換法を用いた検出装置としては、検
出対象物質が吸収する波長を有し、熱レンズを形成させ
るのに十分な出力を備えた励起光源がまず必要である。
励起光源はキセノンランプなどから、必要とする波長の
光をプリズムを用いて取り出しても良いし、検出対象物
質を励起することが可能な波長を有するレーザーでもよ
い。レーザーとしてはHe-Ne レーザー、Arレーザー、炭
酸ガスレーザー、ヤグレーザーなども用いられるが、半
導体レーザーを用いると、検出装置が小さくなり、PO
Cの用途に適する。プローブ光の光源は、励起光よりも
出力は小さくてもよいし、波長は励起光と同じでも違っ
ても良い。励起光、プローブ光ともにキャピラリー流路
中に焦点を結ぶようにするために、集光レンズが必要で
ある。
【0054】熱レンズによるプローブ光の変化は、フォ
トダイオード、CCDカメラ、光電子倍増管などで捉え
られる。フォトダイオードが検出装置の小型化には適し
ている。
【0055】励起光はチョッパー等で1m秒程度のパルス
光にされ、そのチョッパーと同調するロックインアンプ
などで、プローブ光の変化のみを取り出す。 ロックイ
ンアンプは、単機能の半導体素子などで簡略化が可能で
ある。また励起光のパルス化は、半導体レーザーを電気
的に変調させてもよい。また、プローブ光の検出の際、
一般にはロックインアンプを用いるが、特開平9−22
9883に開示される暗視野型高熱変換分光分析装置の
方法を用いて、遮蔽板でポンプ光およびプローブ光の光
軸付近の光束を遮蔽し、熱レンズによって発散されたプ
ローブ光のみを検出する手段をとってもよい。或いは、
励起光のパルスに合わせて機能を絞ったLSI などに置き
換えてもよい。
【0056】チョッパーによりパルスとなった励起光に
よって形成される熱レンズの変化を、プローブ光で検出
する際に、プローブ光中の振動成分(励起光のパルスと
同一周波数)のみを検出することにより、散乱などによ
って光の絶対量Iが減少しても、光量Iに対する振動成
分i比(i/I)は不変となり、安定して正しい値を得
ることが可能となる。
【0057】検出対象は、励起光を吸収するものであれ
ば、何でも良いが、検体中の他の物質、特に励起光を吸
収するものや、プローブ光を吸収またはプローブ光の波
長に蛍光などを持つ物質とは、光熱変換までに 分離し
ておくことが必要である。励起光を吸収する度合いは、
モル吸光係数が1000から100,000 程度あることが感度の
点で望ましい。
【0058】励起光を吸収しない、或いはわずかしか吸
収しない検出対象物質は、検出対象物質を基質とする酵
素を用いた反応を組み合わせて、励起光を吸収する物質
(可視光の場合は色素)に変換して測定するか、或い
は、検出物質対象に対する抗体を用いて、励起光を吸収
する物質でその抗体または2次抗体を標識して、直接、
若しくは酵素反応の結果生じる励起光を吸収する物質を
測定する。
【0059】例えば、検出対象物質として生物学的材料
を検出する場合、検出対象物質を基質とする酵素反応を
組み合わせて、最終的にN-エチル-N-(3-メチルフェニ
ル)-N'- アセチルエチレンジアミン(EMAE)、N-エチル-N
-(3- メチルフェニル)-N'- スクシニルエチレンジアミ
ン(EMSE)、N-エチル-N-(3- スルホプロピル)-3, 5-
ジメトキシアニリン(DAPS)、N-( 3- スルホプロピル)-
3, 5- ジメトキシアニリン(HDAPS) 、 N- エチル-N-
(2- ヒドロキシ- 3- スルホプロピル)-3, 5-ジメト
キシアニリン(DA OS)、N-( 2- ヒドロキシ- 3- スル
ホプロピル)-3,5- ジメトキシアニリン(HDAOS) 、N-
( 2- ヒドロキシ- 3- スルホプロピル)-3, 5- ジメ
トキシアニリン(HSDA)、N- エチル-N-(2-ヒドロキシ-3
- スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOPS)、N-エチル
-N-( 2- ヒドロキシ- 3- スルホプロピル)-3- メチ
ルアニリン(TOOS)、N-エチル-N -(2- ヒドロキシ- 3
- スルホプロピル)-3, 5- ジメチルアニリン(MAPS)、
N-エチル -N-( 2- ヒドロキシ- 3- スルホプロピル)-
3, 5- ジメチルアニリン(MAOS)、N,N-ビス( 4- スル
ホブチル)-3, 5- ジメチルアニリン(MADB)、N,N-ビス
( 4- スルホブチル)-3, 5- ジメトキシアニリン(DAD
B)等と4−アミノアンチピリンの縮合体である励起光を
吸収する物質、若しくはビス{4-[N-3'-スルホ-n- プ
ロピル]-N-n-エチル] アミノ- 2, 6- ジメチルフェニ
ル}メタン(Bis-MAPS-C2) 、ビス{4-[N-3' -スルホ
-n- プロピル]-N-n-プロピル] アミノ- 2, 6- ジメチ
ルフェニル}メタン(B is-MAPS-C 3) 、ビス{4-[N-
3'-スルホ-n- プロピル]-N-n-ブチル] アミノ- 2, 6
- ジメチルフェニル}メタン(Bis-MAPS-C 4) 等の励起
光を吸収する物質に変換する事なども可能である。(Aoy
ama,N. 臨床検査,41:1014(1997))これら反応をチップ
内で行う際に、反応試薬溶液はチップの外から、チュー
ブや針を用いて供給してもよい。或いは、チップ内にビ
ニル袋(材質はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
ステル、ナイロン、塩化ビニルなどで、反応試薬と相互
作用しないものならよい)等の小さい容器に封入した反
応試薬溶液をセットしておき、チップ内の針をチップ外
から押しつけるなどして該袋等を破って、チップ内の反
応試薬溜を満たしてもよい。さらには、反応試薬を乾燥
固体としてチップ内に封入しておき、チップ内または外
の水または緩衝液溜から水または緩衝液を反応試薬固体
封入場所に所定容積導入して、所定の濃度の反応試薬と
する方法などがある。
【0060】検体はそのままチップに入れても良いし、
河川の汚濁分析や尿分析などでは前処理として、分子量
で分画可能な膜フィルターなどを用いて濃縮してもよ
い。また、チップ上にフィルターを設け、検体中のゴミ
や、血球などを除去してからキャピラリーに導いても良
い。
【0061】検体を、チップ中で、ゲルを用いたり、或
いは溶液のまま電気泳動によって各構成成分に分離した
り、また、イオン交換などで分離してもよい。溝中を、
どうやって液送りするか(送液手段)については、電気
浸透流(横川アナリティカルシステムズ(株)刊キャピ
ラリー電気泳動入門や講談社刊キャピラリー電気泳動に
詳しく記載されている)を用いて電圧をかけることによ
って送液してもよいし、キャピラリー装置外部の送液ポ
ンプ(シリンジポンプやチューブポンプなど)や吸引ポ
ンプの力で送液してもよい。
【0062】送液、吸引ポンプでチップ中キャピラリー
内の送液を行うためには、さまざまなバルブを用いて制
御するのがよい。チップ内での反応や分離を、精度良く
制御するために、電気浸透流の採用は好ましい実施態様
の一つである。
【0063】電気浸透流は、本発明の送液手段として以
下に記載する3つの理由により、特に適している。電気
浸透流は、外部から電極を通して電気をかける事によ
り、送液がコントロールできし、また、電圧の制御によ
り、送液を細かく即応的にまたプログラマブル(経時的
に設定した流量変化をもたらせる)にコントロールでき
る。外部ポンプを用いた時の流れが、壁面との摩擦の影
響で放物面的なプロフィールを持つのと対照的に、電気
浸透流では、流れの駆動力がキャピラリーの内壁に沿っ
て分布するため、流れは均一である。電気浸透流を送液
駆動力として使うと、キャピラリー装置に単に長い流路
を設けるだけで、送液と同時に、試料の分離処理を同時
に行うことも可能である。
【0064】本発明に係る分析装置を用いて、医療現場
でベッドサイド診断や、外来患者が受診当日にその日の
検査結果を知らさせ、その結果に基づく治療薬、治療方
法の選択が行える。 また、河川の汚濁、廃棄物中の有
害物質の定量定性分析等も、汚染現場で行える。さらに
は、輸入食品の通関時の汚染検査や、調理現場での即時
的な分析も可能となる。検出対象物質は、化学物質、蛋
白、核酸など特に問わないが、環境汚染化学物質、血液
・髄液・唾液や尿中に含まれる生体成分、臓器・組織・
粘膜由来の生体成分、感染源となる菌やウィルスなどの
蛋白、DNA 、RNA 、アレルゲン、種々の抗原等が対象と
なりうる。
【0065】
【発明の実施の形態】以下に実施例を用いて本発明の効
果をさらに具体的に説明する。
【0066】
【実施例】本発明の一実施例として血清中のトータルコ
レステロールの定量測定を検体とトータルコレステロー
ル検出キット(商品名 コレステロールE−HAテスト
ワコー(和光純薬(株)製))の2つの検出反応試薬溶
液の流量制御で行った例を示す。送液は電圧の印加によ
る電気浸透流で行った。 (キャピラリー装置の作成)キャピラリー装置の表面に
溝を有する平板は射出成形により成形する。
【0067】射出成形に使用した樹脂は、メタクリル樹
脂(旭化成工業製デルペット 80NH)である。ガス
としては純度99%以上の二酸化炭素を使用する。
【0068】成形機は住友重機械工業製SG50を使用
する。金型装置は図4に示す装置を使用する。成形品
は、厚み5mmで縦横が120mm、80mmの長方形平
板である。図4において、金型1の金型キャビティ3の
周囲にはパーティング面の隙間2を通して金型キャビテ
ィに二酸化炭素を吸排気する吸排気用溝4があり、該吸
排気用溝4は二酸化炭素の供給源と金型外通気用穴5を
通してつながっている。金型キャビティの外側には金型
キャビティを加圧状に保持するためのO−リング溝6が
あり、その中にO−リング7を設置する。金型通気用穴
5はガス体導管11を通して二酸化炭素源9につながっ
ている。ガス体導管11には圧力計10と安全弁8が連
結されている。
【0069】金型表面は、入れ子あるいはスタンパー1
2で形成され、該入れ子あるいはスタンパー12の表面
は微細なキャピラリー電気泳動用チップの形状に加工さ
れている。その微細な形状は、図5に示す形状であり、
a−a’の溝形状は、幅301μm、深さ50μm、断
面積14500マイクロm2 の台形の突起状である。樹
脂はランナを経てゲートから金型キャビティに射出され
る。
【0070】金型表面状態の転写性は、光学顕微鏡によ
る観察、レーザー顕微鏡による形状測定で評価する。ま
た、成形品も、光学顕微鏡による観察、切断断面の溝形
状の光学顕微鏡や電子顕微鏡での観察、レーザー顕微鏡
による形状測定等で観察する。
【0071】図4に示す金型装置を用い、金型キャビテ
ィ表面温度80℃の金型内に、二酸化炭素を5.0MP
aの圧力に満たし、次いで樹脂温度240℃のメタクリ
ル樹脂を射出し、シリンダ内樹脂圧力80MPaで10
秒間保圧し、20秒間冷却した後成形品を取り出す。金
型に満たした二酸化炭素は、樹脂充填完了と同時に大気
中に開放して、表面に溝を有する平板を成形した。
【0072】得られた成形品の表面は、平滑であり、ス
タンパーのa−a’に相当する部分の転写された溝は、
幅303.0μm、深さ49.7μm、断面積1430
0μm2 であった。従って、幅および深さが2%以内、
断面積が4%以内の寸法精度で溝が転写されていた。
【0073】成形された平板は縦120mm、横80m
m、厚み5mmで図6に示す様なパターンの溝が形成さ
れている。液だめのための直径3mm の貫通孔が4カ所あ
り、それぞれ、液だめ13は検体用、14は試薬1用、
15は試薬2用、16は廃棄用である。液だめ13には
血球分離フィルターが装着されており、検体(全血)を
滴下すると検出を妨害する血球が除かれ、血漿がキャピ
ラリに送られる。溝の大きさは溝17幅15μm 深さ10μ
m 長さ1cm 、溝18幅200 μm 深さ50μm 長さ1cm 、溝
19幅203 μm 深さ50μ m長さ3cm 、溝20幅100 μm
深さ50μm 長さ4cm 、溝21幅303 μm 深さ50μm 長さ
5cm である(溝20との合流点から検出部までの長
さ)。
【0074】この成形品と200μm厚みのメタクリル
樹脂シートをホットメルト接着剤によって張り合わせて
キャピラリー装置を作成する。つぎに平板の反対側(貫
通孔のある側)に銅粒子を含んだ導電性インクで配線及
び検出装置内の電源端子接続用電極を印刷し、液だめ用
電極として白金メッキされた真鍮製鳩目をセットしキャ
ピラリー装置を完成する(図7)。図8は図7のc−
c’の断面図である。検出装置には液だめ13から16
に所定の電圧を印加できるような電源装置が装備され、
また図7の23の位置で光熱変換法による検出ができる
よう検出器が装備されており、さらに検出データから測
定結果を計算しアウトプットするプリンターも備えてい
る。 (標準血清の調製)協和メディックス社脂質測定用標準
血清の調製法を一部改変して調製した。具体的には、1
バイヤルの凍結乾燥品を付属の標準血清溶解液851 μl
を用い溶解し、計算値でトータルコレステロールが800m
g/dlになるように調製し、ストック溶液とした。次にス
トック溶液を付属の標準血清溶液で希釈し、計算値で20
0mg/dl及び50mg/dl のトータルコレステロールを含む溶
液を調製した。 (検出キットの調製)HAテストワコーコレステロールE-
HAテストワコー( 和光純薬工業( 株) 社) を用い、付属
のプロトコールに従った。 (トータルコレステロールの検出)液だめ16に緩衝液
を約200 μl滴下し、キャピラリ全体が緩衝液で満たさ
れた後、液だめ14に試薬1を約200 μl 、液だめ15
に試薬2を約200 μl 、液だめ13に検体を約200 μl
滴下した。液だめ16に対して13〜15の電極に100H
V を印加し、液だめ13〜15から16へ電気浸透流を
発生させた。このとき各溝における流量は溝17 1.5nl
/min、溝18 100nl/min、溝19 101.5nl/min、溝2
0 50nl/min 、溝21 151.5nl/minとなる。検体と試薬
1との反応時間は3分必要だが、検体が試薬と混合され
溝を進む間で反応が完結するようあらかじめ設定してお
く。検体と試薬2との反応も同様に5分必要だが、溝通
過中に反応が完結するようあらかじめ設定しておく。い
づれの場合も流路の長さ及び印加電圧の調整により設定
が可能である。反応が終了した検体を図7の検出部23
で後述のレーザ励起波長633nm、検出波長750n
mの光熱変換法により検出した。
【0075】流路容積の補正が必要な場合はキャピラリ
ー装置内の検体の液だめの近くに標準サンプル用の液だ
めを準備しておき、検体の測定前または後に標準サンプ
ルを試薬1,2とともに送液・反応し検出して補正す
る。 (光熱変換検出系の構成)使用した光熱変換原理に基づ
く検出系を図9に示す。
【0076】顕微鏡にはステージ上での試料の取り扱い
の容易さを勘案し倒立型顕微鏡(IX70、Olympus 製)を
使用した。これは別に落射型の顕微鏡であっても構わな
い。この顕微鏡は、顕微鏡外の光学系で同軸にされたレ
ーザー光を導入できるよう改造を加えてある。レーザー
は励起用にはHe-Ne レーザー(633nm、10mW、
エドモントサイエンティフィック製)を、検出用にはチ
ューナブルな色素レーザー(750nm、スペクトロン
レーザーシステム製)を使用した。これらレーザーは使
用する試薬、生成する反応物の吸収スペクトルにより適
当な周波数のものを利用すればよい。またレーザーはガ
ス、固体、半導体などの種類を選ばない。ミラー、ビー
ムエクスパンダー等の光学系はメスグリオ社製品で統一
した。励起用のレーザー光はライトチョッパーにより変
調された後、ダイクロイックミラーにより検出用レーザ
ーと同軸にされ、顕微鏡に導かれ試料に照射される。試
料を照射した後、励起用、検出用で同軸にされていたレ
ーザー光の内、励起光のみ選択的にフィルターにより除
去しフォトセンサーに導く。レーザー光受光部分の素子
には取り扱いの簡便性を考えファイバー付きのフォトセ
ンサーアンプ(C 6386、浜松ホトニクス社製)を使
用した。このフォトセンサー受光部はピンホールを持つ
カバーで覆われている。フォトセンサー及びセンサーア
ンプからの出力は低雑音プリアンプ(LI−75A 、エヌ
エフ回路ブロック社製)で増幅した後、ロックインアン
プに導かれ信号処理が行われる。
【0077】本検出系を用いた検出の手順は以下であ
る。図6に示したような、表面に溝パターンを形成して
ある平板を有するキャピラリー装置を倒立顕微鏡のステ
ージ上に置く。対物レンズの焦点合わせは励起用レーザ
ーを使用しモニター画面を参照しつつ溝パターンの上
辺、下辺の位置での焦点合わせを実施したのちその中間
点をもって溝の中心位置とした。焦点合わせを実施した
後、上記に詳述したような検体と検出用試薬との反応を
行わせ、反応生成物を含む溶液を検出部分に導く。励起
用レーザーはライトチョッパーにより1kHzに変調さ
れ、溝パターン内反応生成物を励起し発熱過程を生じさ
せる。このライトチョッパーによる変調の周波数はSN比
等の影響により変更することも有り得る。この発熱過程
により発生した熱レンズにより検出用レーザーの焦点位
置がずれ、それによりピンホールを通してフォトセンサ
ーの受光量が発熱量に応じ変化する。測定時、試料の流
れは停止させても、流した状態でも構わないが、本実施
例では停止させて測定を行った。フォトセンサーからの
信号はロックインアンプにより処理されるがここでは時
定数として1秒を用い、ライトチョッパーと同じ周波数
1kHzの信号のみ選択的に出力として用いた。ロックイ
ンアンプの出力電圧は励起光により励起される反応生成
物濃度に比例するため反応生成物の定量化が可能であ
る。本実施例の結果では、800mg/dlと50mg/dl のトータ
ルコレステロールを含む標準血清による5回の測定によ
り検量線を作成し、200mg/dl相当のトータルコレステロ
ールを含む標準血清20回の測定を行ったところCV値3
%の値が得られた。以上の結果より、当該「混合分析装
置」を用いて検体中のトータルコレステロールを再現よ
く検出することが出来た。
【0078】
【発明の効果】本発明の分析装置は、量産性が良く且つ
取り扱い性の良い表面に液体の流れる微細な溝を有する
有機ポリマー製の平板を有するキャピラリー装置と高感
度で小型化が容易な光熱変換検出装置からなる分析装置
であるため、廃棄物性に優れ安価で簡便かつ短時間に分
析が出来、POCに適した分析装置を提供できるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面に液体の流れる微細な溝を有する
有機ポリマー製の平板における一定量のサンプリングを
目的とした流路部分の形状を示す図である。
【図2】本発明の表面に液体の流れる微細な溝を有する
有機ポリマー製の平板における一定量のサンプリングを
目的とした流路部分の形状を示す図である。
【図3】光熱変換現象に基づき形成される熱レンズを用
いた検出法の原理を示す図である。
【図4】本発明の表面に液体の流れる微細な溝を有する
有機ポリマー製の平板を成形する金型装置の断面を示す
図である。
【図5】本発明の表面に液体の流れる微細な溝を有する
有機ポリマー製の平板を成形する金型の金型表面部に加
工された、溝からなる流路を成形(転写)するための微
細形状を示す平面図(a)と、その微細形状のa−a’
断面の形状を示す断面図(b)と、b−b’断面の形状
を示す断面図(c)である。
【図6】PMMAの射出成形により成形された表面に液
体の流れる微細な溝を有する有機ポリマー製の平板の溝
形状を示す図である。
【図7】PMMAの平板を張り合わせ、導電性インクで
配線と液だめ用電極及び検出装置内の電源端子接続用電
極を印刷したキャピラリー装置の平面図である。
【図8】図7のc−c’の断面図である。
【図9】光熱変換原理に基づく検出系構成図である。
【符号の説明】
1 金型 2 金型キャビティ 3 隙間 4 吸排気用溝 5 金型外通気用穴 6 O−リング用溝 7 O−リング 8 安全弁 9 二酸化炭素源 10 圧力計 11 ガス体導管 12 スタンパー 13 検体用液だめ 14 試薬1用液だめ 15 試薬2用液だめ 16 廃液だめ 17〜21 キャピラリ形成用溝 22 配線 23 検出部 24 電極 25 溝有する平板 26 張り合わせたシート 27 キャピラリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G040 AA02 AB08 AB12 BA24 EA06 EB02 EC02 FA01 GA05 GC01 ZA01 2G059 AA01 BB04 BB12 DD03 DD12 EE01 EE20 GG01 GG07 JJ03 JJ07 JJ24 KK01 KK02 KK04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に液体が流れる微細な溝を有する有
    機ポリマー製の平板を有するチップと、チップの溝内の
    液体の少なくとも一部分に励起光を照射して、前記液体
    の部分的な温度変化に伴う物理量変化を計測する光熱変
    換検出装置とからなることを特徴とする分析装置。
  2. 【請求項2】 一対の板状部材から成り、少なくとも一
    方の板状部材は表面に液体が流れる溝を有する有機ポリ
    マー製の平板である、該平板状装置の該流路を内側にし
    て張り合わせてつくられるチップと、溝内の前記液体の
    少なくとも一部分に励起光を照射し、さらに、チップ表
    裏面の一方側からプローブ光を照射して、前記液体の部
    分的な温度変化に伴う物理量変化を、チップ表裏の他方
    において検出計測する光熱変換検出装置とからなること
    を特徴とする分析装置。
  3. 【請求項3】 一対の板状部材の両方がプローブ光を透
    過する素材からなり、板状部材の少なくとも一方が、励
    起光を透過する素材からなる請求項2に記載の分析装
    置。
  4. 【請求項4】 前記物理量変化が屈折率変化であり、前
    記屈折率変化により形成される熱レンズにプローブ光を
    入射させ、前記熱レンズから出力される前記プローブ光
    を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一
    つに記載の分析装置。
  5. 【請求項5】 圧縮成形法によって成形された有機ポリ
    マー製の平板を用いることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか一つに記載の分析装置。
  6. 【請求項6】 エンボス成形法によって成形された有機
    ポリマー製の平板を用いることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか一つに記載の分析装置。
  7. 【請求項7】 射出成形法によって成形された有機ポリ
    マー製の平板を用いることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか一つに記載の分析装置。
  8. 【請求項8】 炭酸ガス存在下で射出成形された有機ポ
    リマー製の平板を用いることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか一つに記載の分析装置。
  9. 【請求項9】 分析対象が生物学的材料に由来する液体
    試料であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一
    つに記載の分析装置。
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