JP2004184138A - 分離装置、分離方法、および質量分析システム - Google Patents

分離装置、分離方法、および質量分析システム Download PDF

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稔 麻生川
Masakazu Baba
雅和 馬場
Hisao Kawaura
久雄 川浦
Toru Sano
亨 佐野
Kazuhiro Iida
一浩 飯田
Noriyuki Iguchi
憲幸 井口
Hiroko Someya
浩子 染谷
Wataru Hattori
渉 服部
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Abstract

【課題】被分離成分を含む試料から高濃度で精度よく各成分を分離する。
【解決手段】分離装置100は、被分離成分を含む試料の移動する流路112と、分離用流路112を複数の部屋200〜206に区画する関門部208〜206とを有する。分離装置100は、図示していない外力付与手段をさらに有し、外力付与手段は、被分離成分に外力を付与し流路中を移動させる。また、外力付与手段は、流路の進行方向に外力を付与する第一の外力印加パターンと、流路の進行方向と反対方向に外力を付与する第二の外力印加パターンとを順次繰り返し実行するように構成される。これにより、被分離成分がいずれかの室に分画される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中に含まれる複数の成分から特定の成分を分離する分離装置および分離方法、ならびに質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロテオミクス研究やゲノミクス研究では、タンパク質やペプチド、またはDNA等の核酸断片を電気泳動により分離し、ゲルから回収して分析を行っている。マイクロチップを用いた電気泳動では、図22(a)に示すように、基板300上に投入用流路302および分離用流路304が十字型に形成される。図22(b)に示すように、まず液溜め306から試料を投入し、図中横方向に電界をかけて投入された試料を右方向に移動せしめ、ついで図22(c)に示すように、図中縦方向に電界をかけることにより試料を分離用流路に流し、これにより移動距離の異なる成分を分離することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−131280号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、投入用流路から分離用流路に導入される試料の量が少ないと、分離の過程で目的成分を微量しか得ることができない。高濃度の目的成分を得ることができないと、分析を精度よく行えないという問題がある。一方、投入用流路の幅を広く形成して分離用流路に導入される試料の量を多くすると、分離用流路中で流れる試料のバンド幅が広くなり、分解能が悪くなって精度よく分離ができなくなってしまう。また、投入用流路の幅が狭いまま高濃度の試料を導入した場合も、試料自体がアグリゲーションをおこしてしまい、分解能が悪くなり、良好な分離が行えない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、試料を、簡単な操作で効率よく分離する技術を提供することを目的とする。本発明は、試料を精度よく分離するとともに濃縮して回収する技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、被分離成分を含む試料の移動する流路と、流路中に設けられ、被分離成分の逆流を抑制する一または二以上の逆流抑制弁と、逆流抑制弁により区画された複数の室と、被分離成分に外力を付与し流路中を移動せしめる外力付与手段と、を備え、外力付与手段は、被分離成分に流路の進行方向に外力を付与する第一の外力印加パターンと、被分離成分に流路の進行方向と反対方向に外力を付与する第二の外力印加パターンとを順次繰り返し実行し、被分離成分をいずれかの室に分画される機能を備えたことを特徴とする分離装置が提供される。
【0007】
このようにすることにより、被分離成分がそれぞれ固有の速度で流路中を移動し、第一の外力印加パターンを実行した際に一の室を通過した成分は第二の外力印加パターンを実行した際にも流路の進行方向と反対方向の室への逆流が抑制されるので、各被分離成分をそれぞれ固有の移動距離に応じていずれかの室に分離することができる。ここで、各被分離成分の移動距離は、各成分の特性、外力の大きさ、および外力の印加時間に応じて定まる。これにより、被分離成分を分離するとともに濃縮することができる。なお、ここで、流路の進行方向に外力を付与するとは、各室において、流路の進行方向に試料が移動するような力を付与することをいう。また、流路の進行方向と反対方向に外力を付与するとは、各室において、流路の進行方向と反対方向に試料が移動するような力を付与することをいう。
【0008】
本発明の分離装置において、流路は、一直線上に延在して形成することができる。
【0009】
このようにすれば、外力の印加方向が一方向とその反対方向のみとすることができるので、構成を簡略化することができる。さらに、各成分を各室に分離後、一方向に外力を付与することにより、各室に分離された試料を流路の下流側で順次回収することができる。
【0010】
本発明の分離装置において、逆流抑制弁は、各逆流抑制弁を通過して流路の下流側に移動した被分離成分の少なくとも一部の逆流を阻止するように形成することができる。
【0011】
ここで、逆流抑制弁は、それ自体が試料中の被分離成分に電気的な影響を与えないような材料により構成されるのが好ましい。逆流抑制弁は、たとえば被分離成分が通過できない程度の間隔で配置された複数の柱状体を用いることができる。また、逆流抑制弁の材料は、上記したように、試料中の被分離成分に電気的な影響を与えないような材料であれば、どのようなものであってもよいが、たとえば導電性部材とすることができる。ここで、逆流抑制弁は弁として機能すればよく、様々な構造および形状を有するように形成することができる。また、流路の下流側の室に移動した成分が上流側の室に逆流したとしても、第一の外力印加パターンおよび第二の外力印加パターンを繰り返し実行することにより、各成分は固有の移動距離に応じて等比級数的に下流側の室に移動するので、最終的には各成分をそれぞれ各室に分離することができ、濃縮することができる。
【0012】
本発明の分離装置において、外力付与手段は、流路の両端に設けられた複数の電極を含み、電極間に印加する電圧の方向を切り替えることにより、第一の外力印加パターンおよび第二の外力印加パターンを実行する機能を備えることができる。ここで、電極は流路の両端に設けられたものに限らず、各室において、流路の進行方向とその反対方向に試料が移動できるようになっていれば、どのような配置とすることもできる。
【0013】
本発明によれば、被分離成分を含む試料の移動する流路と、流路を移動する被分離成分を当該流路の試料進行方向において堰き止める堰き止め部と、隣接する堰き止め部によって区画された複数の室と、被分離成分に外力を付与し流路中を移動せしめる外力付与手段と、を備え、外力付与手段は、各室の流路の試料進行方向の外力成分がそれぞれ異なる複数の外力印加パターンを順次実行するように構成されており、複数の外力印加パターンを順次実行し、被分離成分をいずれかの室に分画する機能を備えたことを特徴とする分離装置が提供される。
【0014】
このようにすることにより、流路の試料進行方向の外力成分が正となる外力印加パターンが実行された室においては、その室の長さに応じて被分離成分がそれぞれ固有の速度で流路の試料進行方向へ移動するとともに、流路の試料進行方向の外力成分が負となる外力印加パターンが実行された室においては、被分離成分はその室内で流路流路の試料進行方向と逆の方向に移動する。これにより、堰き止め部を通過した成分は次のパターンの印加により次の室に移動することができるので、複数の外力印加パターンを順次繰り返すことにより、各成分はそれぞれ固有の移動距離に応じていずれかの室に分離される。これにより、被分離成分を分離するとともに濃縮することができる。
【0015】
本発明の分離装置において、外力付与手段は、各室ににおける被分離成分に印加される外力の大きさが略等しくなるように外力を付与する構成とすることができる。
【0016】
ここで、外力の大きさが略等しくなるとは、本来同じ速度で移動する被分離成分は、どの室にあっても同じ速度で移動するように外力が付与されるという意味である。たとえば、各室の両端に電極を設けて電圧を印加することにより外力を付与する場合、外力付与手段は、各室の長さを考慮してそれぞれの電極に印加される電位を設定するように構成される。ここで、電極は各室の両端に設けられたものに限らず、各室において、流路の進行方向とその反対方向に試料が移動できるようになっていれば、どのような配置とすることもできる。
【0017】
本発明の分離装置において、外力印加パターンは、流路の試料進行方向に沿って外力成分が正となる室と外力成分が負となる室とが交互に現れるように外力を付与するパターンとすることができる。
【0018】
このようにすれば、これにより、堰き止め部を通過した成分は次のパターンの印加により次の室に移動してその室内を移動していくので、複数の外力印加パターンを順次繰り返すことにより、各成分はそれぞれ固有の移動距離に応じていずれかの室に分離される。これにより、被分離成分を分離するとともに濃縮することができる。
【0019】
本発明の分離装置において、流路は屈曲形状を有し、流路の屈曲箇所を堰き止め部とするように形成することができる。
【0020】
これにより、屈曲箇所に達した成分は次のパターンの印加により次の室に移動してその室内を移動していくので、複数の外力印加パターンを順次繰り返すことにより、各成分はそれぞれ固有の移動距離に応じていずれかの室に分離される。これにより、被分離成分を分離するとともに濃縮することができる。
【0021】
本発明の分離装置において、屈曲箇所は実質的に直角に形成することができる。
【0022】
このようにすれば、屈曲箇所に達した成分のほとんど全てが次のパターンの印加により次の室に移動してその室内を移動していくので、外力印加パターンの繰り返し回数を少なくしても効率よく各被分離成分の分離および濃縮をおこなうことができる。
【0023】
本発明の分離装置において、各室に分画された被分離成分を堰き止め部から回収する回収部が設けられてよく、外力付与手段は、回収部と堰き止め部との間にも外力を付与し、試料の分画時には、堰き止め部の方向に試料が移動するように外力を付与し、試料の回収時には回収部の方向に試料が移動するように外力を付与することができる。
【0024】
このようにすれば、各室に分離された被分離成分を流路下流の回収先まで移動させることなく、それぞれの室に設けられた堰き止め部から各被分離成分を回収することができる。
【0025】
本発明の分離装置において、流路の進行方向に沿う複数の室の長さが、当該流路の下流側に向かうにつれて長くすることができる。
【0026】
このようにすれば、移動速度の速い成分ほど流路の進行方向の先に進行してそれぞれ固有の移動距離に応じていずれかの室に分離することができ、その室で濃縮することができる。
【0027】
本発明の分離装置において、各外力印加パターンにおいて、流路の試料進行方向に沿って、流路の下流側に向かう室ほど小さい外力が印加されるように構成することができる。
【0028】
このようにすれば、移動速度の速い成分は流路の進行方向の先に進行するが、進行方向の先に進むほど、各室から次の室に移動するための各成分の移動距離が短くなり、精度よく分離を行うことができるようになる。
【0029】
本発明の分離装置において、各被分離成分は、外力の付与による移動距離に応じていずれかの室にそれぞれ分画することができる。
【0030】
本発明の分離装置において、流路の下流側に設けられた回収部をさらに含むことができ、外力付与手段は、各印加パターンにおける、外力を付与する時間を徐々に長くして、回収部から被分離成分のフラクションが順次得られるように構成することができる。
【0031】
本発明の分離装置において、外力付与手段は、各外力印加パターンにおける、外力を付与する時間よりも長い時間、流路の進行方向に外力を付与する回収用外力印加パターンを実行するように構成することができ、当該回収用外力印加パターンの実行により、流路の最も下流に位置する室から被分離成分が回収されるように構成することができる。ここで、回収用外力印加パターンにおける外力の印加時間は、流路の最も下流に位置する室の長さをその上流側に位置する室の長さで除した数値を外力を付与する時間に乗じた時間である。
【0032】
このようにすれば、流路の最も下流に位置する室内に滞在していた成分の中でも、移動速度の速い成分とそれよりも移動速度の遅い成分とを分離することができるので、各成分を濃縮した状態で、精度よく分離して回収することができる。
【0033】
本発明によれば、以上のいずれかの分離装置を用いて試料中の成分を分離する方法であって、流路に試料を導入する工程と、試料が一の室において流路の下流側に移動するようにいずれかの外力印加パターンを実行する第一の工程と、試料が一の室において流路の上流側に移動するようにいずれかの外力印加パターンを実行する第二の工程と、を順次繰り返し行うことを特徴とする分離方法が提供される。
【0034】
本発明の分離方法において、第一の工程における外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間は毎回一定とすることができる。
【0035】
本発明の分離方法において、第一工程における外力印加パターンおよび第二の工程における外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間を毎回一定とすることができる。
【0036】
本発明の分離方法において、第二の工程における外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間は、第一工程における外力印加パターンにおいて外力を付与する時間と実質的に同じ時間またはそれ以上の時間とすることができる。
【0037】
本発明の分離方法において、第一の工程と第二の工程と、を繰り返し実行した後、再び試料を導入する工程を行うことができ、同様の処理を繰り返すことができる。
【0038】
本発明の分離方法において、第一の工程における外力印加パターンおよび第二の工程における外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間を毎回一定として第一の工程と第二の工程と、を繰り返し実行した後、少なくとも第一の工程における外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間を長くして同様の処理を繰り返すことができる。
【0039】
本発明の分離方法において、第一の工程の外力印加パターンにおいて付与される外力の付与時間よりも長い時間、試料が流路の下流側に移動する方向に外力を付与する回収用外力印加パターンを実行する工程をさらに含むことができる。
【0040】
本発明によれば、主流路および該主流路に分岐して形成された副流路を有し、被分離成分を含む試料の移動する流路と、被分離成分に外力を付与し流路中を移動せしめる外力付与手段と、を備え、外力付与手段は、流路に対する外力の付与方向が異なる複数の外力印加パターンを順次実行するように構成されており、複数の外力印加パターンの実行により、被分離成分がいずれかの副流路に分画されるように構成されたことを特徴とする分離装置が提供される。
【0041】
このようにすることにより、被分離成分がそれぞれ固有の速度で流路中を移動し、外力の付与方向が異なる外力印加パターンを実行することにより、いずれかの副流路に分離される。これにより、被分離成分を分離するとともに濃縮することができる。
【0042】
本発明の分離装置において、主流路は試料導入口を有することができ、副流路は、外力付与手段が試料導入口の方向に外力を付与したときに被分離成分が導入されるように構成することができ、外力付与手段が試料導入口から遠ざかる方向に外力を付与したときに被分離成分が主流路の方向に移動するように構成することができる。
【0043】
このようにすれば、主流路を移動した成分が試料導入口の方向に逆流した際に副流路に分離されるので、各成分に固有の移動距離に応じて各成分を副流路に導入することができる。
【0044】
本発明の分離装置において、主流路は試料導入口を有することができ、副流路の長さは、その副流路が主流路から分岐する点から試料導入口に至る長さに略等しくすることができる。
【0045】
このようにすれば、副流路に分離された成分を当該副流路の端部まで移動させた後、試料導入口に新たな試料を導入して、試料導入口からと副流路の端部からと同時に試料を移動させると、同じ移動速度で移動する成分を主流路の分岐点で合流させることができ、試料を濃縮して回収することができる。
【0046】
本発明の分離装置において、主流路は試料導入口を有することができ、副流路の長さは、その副流路が主流路から分岐する点から試料導入口に至る長さよりも長くすることができる。
【0047】
このようにすれば、一端副流路に分離された成分が副流路から流出することなく、副流路中に収容しておくことができるので、副流路において各成分を濃縮することができる。
【0048】
本発明の分離装置において、副流路が主流路から分岐する点の上流側近傍に、逆流抑制弁を設けることができる。
【0049】
このようにすれば、試料が試料導入口から遠ざかる方向に移動して分流路との分岐点を通過した後、逆方向に移動されるとき、試料導入方向への逆流を阻止して副流路に多くの成分を移動させることができるので、効率よく成分を分離および濃縮することができる。
【0050】
なお、以上で説明した分離装置において、主流路の下流側には、さらに分子量に応じて各成分を分離する分離量分離領域を設けることもできる。これにより、各成分をより精度よく分離することができる。
【0051】
本発明の分離装置において、各被分離成分は、外力の付与による移動距離に応じていずれかの室にそれぞれ分画することができる。
【0052】
本発明によれば、以上のいずれかの分離装置を用いて試料中の成分を分離する方法であって、流路に試料を導入する工程と、主流路において、試料が流路の下流側に移動するようにいずれかの外力印加パターンを実行する第一の工程と、主流路において、試料が流路の上流側に移動するようにいずれかの外力印加パターンを実行する第二の工程と、を順次繰り返し行うことを特徴とする分離方法が提供される。
【0053】
本発明の分離方法において、第一の工程における外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間を毎回一定とすることができる。
【0054】
本発明の分離方法において、第二の工程における外力印加パターンにおいて外力を付与する時間は、第一の工程における外力印加パターンにおいて外力を付与する時間と実質的に同じ時間またはそれ以上の時間とすることができる。
【0055】
本発明の分離方法において、第一の工程と第二の工程と、を繰り返し実行した後、再び試料を導入する工程を行い、同様の処理を繰り返すことができる。
【0056】
本発明によれば、被分離成分を含む試料の移動する流路と、流路に設けられた複数の室と、被分離成分に外力を付与し流路中を移動せしめる外力付与手段と、を含む分離装置を用いて、流路における試料導入位置から遠ざかる方向および近づく方向に順次外力を付与する処理を繰り返すことにより、被分離成分をいずれかの室に分画することを特徴とする方法方法が提供される。
【0057】
本発明の分離方法において、各被分離成分を、外力の付与による移動距離に応じていずれかの室にそれぞれ分画することができる。
【0058】
本発明によれば、上記のいずれかの分離方法を実行させる外力切り替え制御部を含むことを特徴とするシステムが提供される。
【0059】
本発明によれば、生体試料を分子サイズまたは性状に応じて分離する分離手段と、分離手段により分離された試料に対し、酵素消化処理を含む前処理を行う前処理手段と、前処理された試料を乾燥させる乾燥手段と、乾燥後の試料を質量分析する質量分析手段と、を備え、分離手段は、以上で説明した分離装置のいずれかを含むことを特徴とする質量分析システムが提供される。ここで生体試料は、生体から抽出したものであってもよく、合成したものであってもよい。
【0060】
【発明の実施の形態】
本発明に係る分離装置は、細胞その他の成分、細胞を破壊して得られる成分のうち、固形物、(細胞膜の断片、ミトコンドリア、小胞体)と液状分画(細胞質)、液状分画の成分のうち、高分子量成分(DNA、RNA、タンパク質、糖鎖)と低分子量成分(ステロイド、ブドウ糖、ペプチド等)など、様々な成分の分離・濃縮に適用することができる。
【0061】
また、本発明は、これらの処理に限定されず、外力を付与することにより、移動距離が異なる成分を含むどのような試料をも分離対象とすることができる。外力としては、たとえば電界を印加することにより電気泳動または電気浸透流させる方法、あるいはポンプを用いて圧力を付与することにより移動させる方法等種々の方法を用いることができる。
【0062】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図18は、一般的な分離装置を本実施の形態に適用した構成を示す図である。分離装置100は、基板101上に形成された試料導入部104と、分離用流路112と、試料回収部106とを含む。本発明の分離装置は、図18に示した構成に限られず、どのような構成とすることもできる。本実施の形態において、試料導入部104および試料回収部106には電極120aおよび電極120bがそれぞれ設けられている。電極120aおよび電極120bは基板101外部の電源122に接続される。分離装置100は、電源制御部124をさらに含む。電源制御部124は、電極120aおよび電極120bに印加する電圧の方向、電位、時間等の電圧印加パターンを制御する。
【0063】
ここで、基板101としては、シリコン基板、石英等のガラス基板あるいはプラスチック材料により構成されたものを用いることができる。分離用流路112は、このような基板101に溝を形成することにより設けることもできるが、たとえば疎水性の基板表面に親水性処理を施したり、親水性の基板表面の流路部分の壁部に疎水性処理を施すこと等によっても形成することができる。さらに、基板101としてプラスチック材料を用いる場合、エッチングやエンボス成形等の金型を用いたプレス成形、射出成形、光硬化による形成等、基板101の材料の種類に適した公知の方法で分離用流路112を形成することができる。
【0064】
分離用流路112の幅は、分離目的に応じて適宜設定される。たとえば、
(i)細胞とその他の成分の分離、濃縮
(ii)細胞を破壊して得られる成分のうち、固形物(細胞膜の断片、ミトコンドリア、小胞体)と液状分画(細胞質)の分離、濃縮
(iii)液状分画の成分のうち、高分子量成分(DNA、RNA、タンパク質、糖鎖)と低分子量成分(ステロイド、ブドウ糖等)の分離、濃縮
といった処理において、
(i)の場合、1μm〜10μm、
(ii)の場合、100nm〜1μm、
(iii)の場合、1nm〜100nm、
とする。
【0065】
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態における分離装置の一部を示す図である。分離装置100は、複数の部屋200、202、204、および206に分離された分離用流路112を有する。試料は部屋200に導入され、部屋202、部屋204、部屋206の順で図中右方向に流れた後回収される。部屋200、202、204、および206は、それぞれ長さd、d、d、およびdを有する。ここで、各部屋200〜206は、回収先に近づくほど長く形成される。つまり、長さd<長さd<長さd<長さdとなる。部屋200の入り口、および各部屋200〜206の間にはそれぞれ関門部208、210、212、214が設けられ、これにより試料は、回収先方向(図中右方向)には移動するが、試料導入部(図中左方向)への移動は阻止される。関門部208〜214の詳細な構成については後述するが、関門部208〜214は、導電性を有する材料により構成することができる。なお、ここでは図示していないが、分離用流路112の試料導入側および回収側には電極が設けられており、図18に示した電源制御部124により電圧の印加パターンが制御される。
【0066】
このように形成された分離用流路112に複数の成分を含む試料を導入したときの動作を図2を参照して説明する。
まず、図2(a)に示すように、3つの成分f、m、およびsを含む試料を部屋200に導入し、試料が図中右方向に流れるように電圧を印加する。このようにすると、各成分f、m、およびsは、それぞれ固有の速度で図中右方向に移動する。ここで、成分fが最も速く流れ、成分mがその次に速く流れ、成分sが最も遅く流れるものとする。
【0067】
一定時間電圧を印加すると、図2(b)に示すように、移動速度の速い成分fおよび移動速度の中程度の成分mは部屋202に移動するが、移動速度の遅い成分sは部屋200中に滞在し、部屋200中を移動する。この後、電圧の印加方向を逆転させ、試料が左方向に流れるように電圧を印加する。
【0068】
これにより、成分fおよび成分mは部屋202中を関門部210の方向に移動し、成分sは部屋200中を関門部208の方向に移動する。各部屋の間には関門部208および関門部210が設けられているので、図2(c)に示すように、成分fおよび成分mは関門部210により堰き止められ、成分sは関門部208により堰き止められる。
【0069】
この状態で再び電圧の印加方向を逆転させ試料が図中右方向に流れるように電圧を印加する。一定時間電圧を印加すると、図2(d)に示すように、移動速度の速い成分fは部屋204中に移動するが、移動速度が中程度の成分mは部屋202中に滞在し、部屋202中を移動する。また、移動速度の遅い成分sは部屋200中に滞在し、部屋200中を移動する。この後、再び電圧の印加方向を逆転させ、試料が左方向に流れるように電圧を印加する。
【0070】
このようにすると、図2(e)に示すように、各成分f、m、およびsは再びそれぞれ滞在している部屋204、部屋202、および部屋200の図中左側にある関門部212、210、および208により堰き止められる。
【0071】
再び電圧の印加方向を逆転させ、試料が右方向に流れるように電圧を印加し、電圧の印加方向を交互に交換する処理を繰り返す。このとき、試料を回収先方向に流すための電圧は毎回同じ一定時間印加することが好ましい。また、試料を試料導入部方向に流すための電圧を印加する時間は毎回一定にする必要はないが、この処理により、各部屋に含まれる試料がその部屋の左側にある関門部に到達するのに充分な時間とすることが好ましい。
【0072】
このようにすると、一定時間電圧を印加した際の移動距離がdより小さい成分はいつまでも部屋200内に滞在し、次の部屋202に移動することができない。同様に、一定時間電圧を印加した際の移動距離がdより小さい成分は部屋202中に、一定時間電圧を印加した際の移動距離がdより小さい成分は部屋204に、一定時間電圧を印加した際の移動距離がdより小さい成分は部屋206に滞在し続ける。また、各部屋200〜206は、右へ進むほど長さが長く形成されているので、たとえば一定時間電圧を印加した際の移動距離がd以上でdより小さい成分は部屋202に滞在し続ける。
【0073】
したがって、図2(e)に示したように、部屋200に導入した試料中の成分f、m、およびsが分離された後、再び部屋200に試料を導入して同様の処理を繰り返すと、最初に導入した試料中の各成分は固有の移動距離に応じて各部屋に滞在し続けるので、次に導入した試料中の同成分と集結することができ、各成分を濃縮して分離することができる。
【0074】
このように、分離用流路112に、試料の回収先に近づくにつれて長さが徐々に長くなるようにした複数の部屋200〜206を設け、試料の回収先方向への移動と試料導入部方向への移動とを交互に繰り返すことにより、試料中の成分は、それぞれ固有の移動距離に応じて、いずれかの部屋200〜206に分離され、徐々に分画することができる。
【0075】
また、試料が回収先方向に流れるように電圧を印加する際、電圧の印加時間を長くしていくと、各成分の右方向への移動距離が増える。電圧の印加時間を少しだけ長くすると、たとえば部屋206に滞在し続けていた成分のうち、最も移動速度の速い成分のみが部屋206から流出してくる。これにより、部屋206内に分画されていた成分のうちでも最も移動速度の速い成分のみを回収することができる。次に、印加時間を少しだけ長くして上記の電圧印加サイクルを繰り返すと、各部屋にはその印加時間において各部屋の図中左側にある部屋の長さに相当する距離以上移動できる成分が分画される。ここで、また電圧の印加時間を少しだけ長くすると、たとえば部屋206に滞在し続けていた成分のうち、移動速度の速い成分のみが部屋206から流出してくる。このような処理を繰り返すことにより、各成分を濃縮した状態で、精度よく分離して回収することができる。
【0076】
次に、関門部208〜214の構成を説明する。関門部208〜214は、同様の構成を有するので、ここでは関門部210の構成のみ示す。図19に示すように、本実施の形態において、関門部210は、複数のピラー125により構成される。ピラー125とは、円柱ないし楕円柱の形状を有する微小な柱状体のことである。ここで、複数のピラー125は、試料中の目的成分が通過できない程度の間隔で配置される。また、試料を運ぶバッファー等の流体はピラー125間を通過するため、関門部210を導電性とすることができ、分離用流路112を通過する試料が関門部210等からの電気的な影響を受けることなく、分離用流路112中を移動することができる。
【0077】
以上の説明では、分離用流路112の各部屋の間に関門部を設ける構成としたが、分離用流路112は、関門部を設けない構成、または関門部の開口部分を広く設けた構成とすることもできる。この場合、各部屋の入り口部分は、分離用流路112の他の領域よりも幅狭に形成され、少なくとも試料の一部が試料導入部方向へ移動するのを阻止できる構成となっていればよい。
【0078】
図3は、このような分離用流路112の一部を示す図である。ここでは部屋200および部屋202を示す。この場合、各部屋200および202の入り口には、各部屋を区切る壁部が形成される。これにより、各部屋200および部屋202の入り口部分は、分離用流路112の他の領域よりも幅狭となっている。なお、壁部は、試料が壁部を通過する割合が、試料を回収先方向(図中右方向)に流したときよりも試料導入口方向(図中左方向)に流したときの方が高くなるように形成されるのが好ましい。
【0079】
図3に示した分離用流路112に複数の成分fおよびmを含む試料を部屋200に導入した場合の動作を説明する。試料を部屋200に導入した後、試料が右方向に移動するように電圧を印加すると、移動速度の速い成分fは部屋202の中程に移動し、移動速度の遅い成分mは部屋200に滞在する。以下、説明のため、成分fについてのみ説明する。試料が左方向に移動するように電圧を印加すると、部屋202に滞在していた成分fのうち、一部は図中左側の部屋200へ逆流するが、部屋200と部屋202の間には壁部が設けられているため、壁部により成分の移動が阻害され、成分fの一部はそのまま部屋202の壁部近傍に滞在する。
【0080】
次に再び電圧の印加方向を逆転して図中右方向に試料を移動させる。このとき、成分fのうち、部屋200に逆流していた成分は逆流する前の位置(部屋202の中程)に戻る。また、成分fのうち、部屋202の壁部近傍に滞在していた成分は部屋202の先の方、または図中右方向の次の部屋に移動する。この後、再び電圧の印加方向を逆転して試料を左方向に移動させると、部屋202の中程に移動していた成分fのうちの一部が部屋202に逆流し、残りの一部は部屋200と部屋202の間の壁部近傍に滞在する。このように、電圧の印加方向を変換するサイクルを重ねることにより、指数関数的に図中左側の元の部屋に逆流する割合が下がり、各部屋にはその長さに応じた成分が集結されることになる。
【0081】
本実施の形態において、分離用流路112中で各成分を集結・濃縮して回収することができるので、分析に用いる試料を高濃度で取得することができ、分析の精度を高めることができる。
【0082】
さらに、分離用流路は、図4に示したように各部屋の間に複数の関門部が設けられた構成とすることもできる。この場合、複数の関門部208〜214は、試料の流れ方向に垂直な方向に並置される。これにより、より多くの試料を迅速に精度よく分離することができる。
【0083】
(第二の実施の形態)
図27は、本発明の第二の実施の形態における分離装置100の構成を示す上面図である。本実施の形態において、分離用流路112は、複数の分流路216、分流路218、および分流路220を有する。ここで、試料は分流路216に導入され、分流路218、分流路220を流れた後回収される。分流路216、分流路218、および分流路220は、回収先に近づくほど長く形成される。つまり、分流路220が最も長く、その次に分流路218が長く、分流路216が最も短い。分流路216および分流路218は、分岐点274で折れ曲がるように形成され、分流路218および分流路220は、分岐点276で折れ曲がるように形成されている。ここで、分流路216および分流路218は、実質的に平行に形成される。
【0084】
また、分流路216と分流路218の間には逆流防止弁230が、分流路218と分流路220の間には逆流防止弁232が設けられている。逆流防止弁230は、分岐点274に達した成分が、再び分流路216の方向に逆流するのを阻止するように構成される。同様に、逆流防止弁232は、分岐点276に達した成分が、再び分流路218の方向に逆流するのを阻止するように構成される。これにより、分岐点274および分岐点276に成分が存在する際に、試料導入部278方向に逆流する成分の割合を低下することができるので、試料中の成分を精度よく効率よく分離することが可能となる。
【0085】
逆流防止弁230および逆流防止弁232は、たとえば第一の実施の形態において説明したピラー125により構成することができる。また、逆流防止弁230および逆流防止弁232は、親水性の分離用流路112表面に、疎水性処理を施すことにより形成することもできる。疎水性処理は、シランカップリング剤やシラザン(ヘキサメチルシラザン等)等のシラン化合物を用いて、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、または気相法等により分離用流路112表面に疎水性膜を形成する手法を用いることができる。シランカップリング剤としては、たとえばチオール基等の疎水基を有するものを用いることができる。
【0086】
また、疎水性処理は、スタンプやインクジェットなどの印刷技術を用いて行うこともできる。スタンプによる方法では、PDMS(polydimethylsiloxane)樹脂を用いる。PDMS樹脂はシリコーンオイルを重合して樹脂化するが、樹脂化した後も分子間隙にシリコーンオイルが充填された状態となっている。そのため、PDMS樹脂を分離用流路112の表面に接触させると、接触した部分が強い疎水性となり水をはじく。これを利用して、逆流防止弁230および逆流防止弁232部分に対応する位置に凹部を形成したPDMS樹脂のブロックをスタンプとして接触させることにより、疎水性の逆流防止弁230および逆流防止弁232が形成される。また、インクジェットによる方法では、シリコーンオイルをインクジェットプリントのインクとして用いることにより、疎水性の逆流防止弁230および逆流防止弁232が形成される。このように疎水性処理が施された領域では、流体が通過できないため、試料の流れが阻害される。逆流防止弁230を図示したように、分流路216を、分流路218との境界において、分流路218に近づく程幅が狭くなるようにてーパー状に形成することにより、分流路216から分流路218への試料の移動は比較的容易に行われるが、逆方向の試料の移動を阻止することができる。
【0087】
分離装置100の基板101の図中下側と上側には、第一の電極281aおよび第二の電極281bが設けられる。これらの電極281aおよび281bへの電圧の印加方向を切り替えることにより、試料中の成分を分流路216、218、220の上方向または下方向に移動させることができる。なお、本実施の形態においても、第一の実施の形態において図18を参照して説明したのと同様、第一の電極281aおよび第二の電極281bは、電源および電源制御部に接続され、電源制御部により第一の電極281aおよび第二の電極281bに印加する電圧のパターンが制御される。ここで、分離装置100の基板には、側壁101aが形成され、分流路216、分流路218、および分流路220が形成された領域以外の部分は、たとえば第一の実施の形態において説明したピラー125を形成しておくことができる。ピラー125は、試料中の被分離成分が通過できない程度の間隔に配置される。また、ピラー125を配置する構成に限られず、たとえばフィルター等で流路112を区画刷る構成とすることもでき、流路112から被分離成分が流出せず、かつ流路112内にバッファー等が流通して電流が流れる状態とできる構成となっていればどのような構成であってもよい。この状態で、基板101表面をバッファー等で満たしておくと、第一の電極281aおよび第二の電極281bに電圧を印加することにより、各分流路216、分流路218、および分流路220において、試料を図中上方向および下方向に移動させることができる。
【0088】
また、本実施の形態において、分離装置100は、図5に示したような構成とすることもできる。この場合、各分流路216、218、220の両端には電極282、電極284、電極286、電極288が設けられる。各電極284〜288への電圧の印加方向を切り替えることにより、試料中の成分を分流路216、218、220の上方向または下方向に移動させることができる。なお、この場合も、各電極284〜288は電源および電源制御部に接続され、電源制御部により各電極284〜288に印加する電圧のパターンが制御される。また、電源制御部は、各流路216〜220のそれぞれに印加される電圧が等しくなるように制御する。たとえば、電界の強さは電極間の電位差と電極間の距離に依存するため、本実施の形態における分離装置100のように、分流路216、218、220の長さが異なる場合、電源制御部は、各分流路216、218、220異なる電位差が生じるように電圧を印加する。本実施の形態において、各分流路216〜220の長さを異ならせる例を説明したが、図5に示したような構成としておけば、分流路216〜220の長さを一定にして、それぞれの分流路に印加する電圧の大きさが異なるように電圧を印加することによっても同様の効果が得られる。
【0089】
電極282〜288は、たとえば以下のようにして形成することができる。
図20は、電極282の製造工程を示す図である。このとき、他の電極284〜288も同様にして形成される。
まず、電極282の装着部分を含む金型173を準備する(図20(a))。つづいて、金型173内に電極282を設置する(図20(b))。電極282の材料としては、たとえばAu、Pt、Ag、Al、Cu等を用いることができる。その後、金型173に被覆用金型179をセットして電極282を固定し、基板101となる樹脂177を金型173内に射出し、成型する(図20(c))。ここで、樹脂177としては、たとえばPMMA樹脂を用いることができる。
【0090】
このようにして、成形された樹脂177を金型173および被覆用金型179から外すと、流路112が形成された基板101が得られる(図20(d))。電極282表面の不純物をアッシングにより除去し、電極282を基板101裏面に露出させる。つづいて、基板101の裏面に金属膜を蒸着等することにより配線181を形成する(図20(e))。以上のようにして、流路112中に電極282を設けることができる。このようにして形成された電極282または配線181は、外部電源(不図示)に接続され、電圧を印加することができるようになっている。
【0091】
次に、図5に示した構成の分離装置100を例として、分離用流路112に試料を導入したときの動作を図6から図8を参照して説明する。図27に示した構成の分離装置100についても、同様の動作が行われる。
まず、図6(a)に示すように、3つの成分f、m、およびsを含む試料を分流路216に導入し、試料が図中上方向(矢印の方向)に流れるように電圧を印加する。このようにすると、各成分f、m、およびsは、それぞれ固有の速度で図中上方向に移動する。ここで、成分fが最も速く流れ、成分mがその次に速く流れ、成分sが最も遅く流れるものとする。
【0092】
一定時間電圧を印加すると、図6(b)に示すように、移動速度の速い成分fが、つづいて成分mが分岐点274に達する。ここでは、成分fが流路218よりも長い距離を移動する時間を一定時間とする。このとき、成分sは分流路216中を移動している。
【0093】
この後、電圧の印加方向を逆転させ、試料が図中下方向に流れるように電圧を印加する。これにより、成分fおよび成分mは分流路218中を図中下方向に移動し、成分sは分流路216中を図中下方向に移動する。また一定時間電圧を印加すると、図6(c)に示すように、成分fは分岐点276に達する。このとき、成分mは分流路218中を移動している。また、成分sは分流路216中を逆戻りして試料導入部278に移動する。
【0094】
この状態で再び電圧の印加方向を逆転させ試料が上方向に流れるように電圧を印加する。一定時間電圧を印加すると、図6(d)に示すように、移動速度の速い成分fは分流路220中を移動する。このとき、成分mは分流路218中を逆戻りして分岐点274に達する。成分sは分流路216中を移動する。この状態で再び電圧の印加方向を逆転させ試料が下方向に流れるように電圧を印加する。すると、図7(a)に示すように、成分fは分岐点276に移動し、成分mは分流路218中を下方向に移動する。このとき成分sは再び分流路216の試料導入部278に達する。
【0095】
つづいて、図7(b)に示すように、新たな試料を分流路216に導入した後、試料が上方向に流れるように、電圧を印加する。一定時間電圧を印加すると、図7(c)に示すように成分が分離される。つづいて、再び電圧の印加方向を逆転させ試料が下方向に流れるように電圧を印加する。一定時間電圧を印加すると、図7(d)に示したように、最初に導入した試料中の成分fおよび後から導入した試料中の成分fがともに分岐点276に移動し、成分mは分流路218中、成分sは分流路216の末端にそれぞれ集結される。
【0096】
以下、同様の処理を繰り返す。このようにすると、一定時間電圧を印加した際の移動距離が分流路216の長さより短い成分はいつまでも分流路216内に滞在し、次の分流路218に移動することができない。同様に、一定時間電圧を印加した際の移動距離が分流路218の長さより短い成分はいつまでも分流路218内に滞在し、一定時間電圧を印加した際の移動距離が分流路220の長さより短い成分はいつまでも分流路220内に滞在し続ける。
【0097】
このように、試料が図中上方向および下方向に交互に流れるように一定時間電圧を印加するサイクルの処理を繰り返すと、試料中に含まれる複数の成分が、それぞれの移動距離に応じて各分流路に分離されるようになる。したがって、試料導入部278から随時試料を追加してこのサイクルの処理を行えば、各成分は固有の移動距離に応じて各分流路に分離されるので、各成分を濃縮して分離することができる。これにより、図8に示すように、集結して濃縮された成分sが分流路216内、集結して濃縮された成分mが分流路218内、集結して濃縮された成分fが分流路220内に分離された状態とすることができる。
【0098】
図25は、本実施の形態において、電源制御部により各分流路216〜220に印加される電圧の印加パターンを示す図である。以上の実施の形態では、分離用流路112は分流路を三つ含むとして説明したが、分流路はこれ以上多数設けることができる。以下、分流路216、分流路218、分流路220および分流路220の隣にもう一つ別の分流路Xが設けられた場合を想定して説明する。図中「+」は分離用流路112の進行方向(回収部に近づく方向)に試料が移動するように電圧が印加された場合、「−」はその逆の方向に試料が移動するように電圧が印加された場合を示す。
【0099】
図示したように、電流制御部は、まず分流路216および分流路218に+の電圧が印加され、分流路218および分流路Xに−の電圧が印加されるようなパターン1を実行する。つづいて、電源制御部は、分流路216および分流路218に−の電圧が印加され、分流路218および分流路Xに+の電圧が印加されるようなパターン2を実行する。これ以降、電源制御部は同じ処理を繰り返す。
【0100】
図9は、図5に示した分離装置100の変形例を示す図である。図5に示した分離装置100では、分離用流路112に逆流防止弁230と、逆流防止弁232とを設けた構成を説明したが、これらを省略した構成とすることもできる。
【0101】
この場合、たとえば分岐点274に成分が存在するときに、試料が下方向に流れるように電圧を印加すると、分岐点274に存在していた成分は分流路218に流れ込むが、このとき同時に分流路216にも流れ込んでしまう。しかし、試料導入部278から順次試料を追加して、電圧印加サイクルを繰り返すと、同じ移動速度で移動する成分は同じ分流路内に集結していくので、各成分を濃縮して分離することができる。
【0102】
ここで、各分流路216〜220は、分岐点274および分岐点276に達した成分が回収方向に近づく方向に高い割合で移動するように形成されるのが好ましい。これにより、電圧印加サイクルの回数を減らしても、精度よく成分の分離を行うことができる。
【0103】
本実施の形態における分離装置100で分離した各成分は、電圧を印加する時間を徐々に長くすることにより、分離用流路112の端部284から順次取り出すこともできるが、分岐点274や分岐点276から取り出すようにすることもできる。図10は、分岐点274および分岐点276に試料回収部を設けた例を示す図である。分離装置100は、分岐点274に設けられた回収用流路223と、分岐点276に設けられた回収用流路225と、試料導入部222と、試料回収部224と、試料回収部226と、試料回収部228と、を含む。試料導入部222、分岐点274、分岐点276、試料回収部228、試料回収部224、試料回収部226には、それぞれ電極292a、電極292b、電極292c、電極292d、電極292e、および電極292fが設けられる。
【0104】
このように構成された分離装置100を用いて試料中の成分を分離・回収する方法を説明する。ここでは、たとえばDNA等マイナスに帯電した物質を分離する場合を例として説明する。
【0105】
まず、試料導入部222に試料を導入し、電極292aおよび電極292cに対して電極292bの電位が高くなるように、また電極292cに対して電極292dの電位が高くなるように電圧を印加する。これにより、試料が図中上方向に流れる。このとき、電極292eおよび電極292fは、それぞれ電極292bおよび電極292cより電位が低くなるようにされる。これにより、試料導入部222に導入された試料は分岐点274の方向に流れ、移動速度の速い成分は分岐点274に達する。このとき、電極292bの電位は電極292eの電位より高くなっているので、分岐点274に達した成分がマイナスに帯電している場合、回収用流路223に流れ込まないようにすることができる。
【0106】
次に、電極292aおよび電極292cに対して電極292bの電位が低くなるように、また電極292cに対して電極292dの電位が低くなるように電圧を印加する。このとき、電極292eおよび電極292fは、それぞれ電極292bおよび電極292cより電位が低くなるようにされる。これにより、分流路218に滞在していた成分は分流路218に移動し、移動速度の速い成分は分岐点276に達する。このとき、電極292cの電位は電極292fの電位より高くなっているので、分岐点276に達した成分がマイナスに帯電している場合、回収用流路223に流れ込まないようにすることができる。
【0107】
このようにして電圧印加サイクルを繰り返すと、各成分はそれぞれ固有の移動距離に応じていずれかの分岐点274または276に集結される。ここで、各分岐点274または276から成分を回収する際には、電極292eおよび電極292fの電位がそれぞれ電極292bおよび電極292cよりも高くなるように電圧を印加する。これにより、分岐点274に滞在していた成分および分岐点276に滞在していた成分をそれぞれ試料回収部224および試料回収部226に回収することができる。
【0108】
(第三の実施の形態)
図28は、本発明の第三の実施の形態における分離装置100の構成を示す上面図である。本実施の形態において、分離用流路112は、主流路236と、分流路238と、分流路240と、分流路242と、試料導入部234と、試料回収部244と、を有する。ここで、分流路238は長さがL、分流路240は長さがL、分流路242は長さがLとなるように形成される。また、分流路238は、主流路236において、試料導入部234からの距離がLの分岐点246から分枝し、分流路240は、主流路236において、試料導入部234からの距離がLの分岐点248から分枝し、分流路242は、主流路236において、試料導入部234からの距離がLの分岐点250から分枝する。さらに、分流路238、分流路240、および分流路242は、主流路236と所定の角度をなすように形成され、分流路238、分流路240、および分流路242は、互いに平行に形成される。
【0109】
ここで、分離装置100の基板101の図中下側と上側には、それぞれ、第一の電極291aおよび第二の電極291bが設けられる。これらの第一の電極291aおよび291bへの電圧の印加方向を切り替えることにより、試料中の成分を主流路236、分流路238、分流路240、および分流路242の上方向または下方向に移動させることができる。なお、本実施の形態においても、第一の実施の形態において図18を参照して説明したのと同様、第一の電極291aおよび第二の電極291bは、電源および電源制御部に接続され、電源制御部により第一の電極291aおよび第二の電極291bに印加する電圧のパターンが制御される。ここでも、基板101は、第二の実施の形態において説明したのと同様に側壁101aが形成され、流路112以外の領域には被分離成分が通過できないように構成されたたとえばピラー125等が配置される。この状態で、基板101表面をバッファー等で満たしておくと、第一の電極291aおよび第二の電極291bに電圧を印加することにより、流路112において試料を図中上方向および下方向に移動させることができる。
【0110】
また、本実施の形態において、分離装置100は、図11に示したような構成とすることもできる。この場合、分流路238〜分流路242の両端には、それぞれ電極290が設けられる。また、図示していないが、試料導入部234および試料回収部244にも電極が設けられている。なお、この場合も、各電極290および試料導入部234および試料回収部244に設けられた電極は電源および電源制御部に接続され、電源制御部により各電極に印加する電圧のパターンが制御される。また、電源制御部は、主流路236、分流路238、分流路240、および分流路242それぞれに印加される電圧が等しくなるように制御する。
【0111】
次に、図11に示した構成の分離装置100を例として、分離用流路112に試料を導入したときの動作を図12および図13を参照して説明する。図28に示した構成の分離装置100についても、同様の動作が行われる。
まず、図12(a)に示すように、3つの成分f、m、およびsを含む試料を試料導入部234に導入する。つづいて、試料が図中上方向(矢印の方向)に流れるように電圧を印加する。このようにすると、各成分f、m、およびsは、それぞれ固有の速度で図中上方向に移動する。ここで、成分fが最も速く流れ、成分mがその次に速く流れ、成分sが最も遅く流れるものとする。
【0112】
一定時間電圧を印加すると、図12(b)に示すように、各成分f、m、およびsがそれぞれ分離される。つづいて、電圧の印加方向を逆転させ、試料が図中下方向に流れるように電圧を印加する。これにより、各成分f、m、およびsは、主流路236中を試料回収部244の方向から試料導入部234の方向に移動する。このとき、分岐点250(図11)よりも試料回収部244側にある成分fは分岐点250を通過する際に、ある程度の割合で分流路242に移動する。また、このとき、分岐点250と分岐点248(図11)との間にある成分mは、分岐点248を通過する際に、ある程度の割合で分流路240に移動する。同様に、分岐点248と分岐点246(図11)との間にある成分sは、分岐点246を通過する際に、ある程度の割合で分流路238に移動する。試料が下方向に流れる電圧の印加を行うと、図12(c)に示すように、成分f、成分m、成分sは、それぞれ分流路242、分流路240、および分流路238の端部に移動し、これらの成分の一部は試料導入部234に戻る。このとき、毎回、図中下方向に試料が流れるように電圧を印加する時間を図中上方向に試料が流れるように電圧を印加する時間よりも長くする。
【0113】
つづいて、図13(a)に示すように、試料導入部234にさらに試料を追加し、試料が図中上方向(矢印の方向)に流れるように電圧を印加する。この方向への電圧の印加を一定時間行った後、再び電圧の印加方向を逆転させて一定時間電圧を印加する。このような処理を繰り返すことにより、図13(b)に示すように、分流路238、分流路240、および分流路242の端部に移動する各成分の量が増加していく。
【0114】
その後、さらに試料が図中上方向に流れるように電圧を印加すると、図13(c)に示すように、分流路238、分流路240、および分流路242の端部に位置していた成分も、試料導入部234に位置していた成分も、移動距離が同じ成分は分岐点246、分岐点248、分岐点250で合流して集結される。このままこの方向の電圧を印加すると、集結された各成分を順次試料回収部244から取り出すことができる。このように、本実施の形態において、主流路から分岐して設けられた各分流路の長さを、試料導入部から該当する分岐点までの長さと同じにしておくことで、試料導入部から追加した試料中の成分と、その前に各分流路に分離していた成分とをあわせて回収することができる。このように、本実施の形態における分離装置100によれば、試料中の成分を濃縮して分離することができる。
【0115】
また、図示していないが、各成分は、分流路238、分流路240、および分流路242の端部から回収する構成とすることもできる。
【0116】
(第四の実施の形態)
図14は、本発明の第四の実施の形態における分離装置100の構成を示す上面図である。本実施の形態においても、第三の実施の形態において図11を参照して説明したのと同様、分離用流路112は、主流路236と、分流路238と、分流路240と、分流路242と、試料導入部234と、試料回収部244と、を有する。本実施の形態において、分流路238は、主流路236において、試料導入部234からの距離がLの分岐点246から分枝し、分流路240は、主流路236において、試料導入部234からの距離がLの分岐点248から分枝し、分流路242は、主流路236において、試料導入部234からの距離がLの分岐点250から分枝する。分流路238は長さがL、分流路240は長さがL、分流路242は長さがLとなるように形成される。本実施の形態において、分流路238は、試料導入部234から分岐点246までの距離より長く、分流路240は試料導入部234から分岐点248までの距離より長く、分流路242は、試料導入部234から分岐点250までの距離より長く形成される。つまり、L>L、L>L、L>Lとなる。
【0117】
このように形成された分離用流路112の試料導入部234から第三の実施の形態において説明したのと同様に複数の成分を含む試料を導入し、電圧印加サイクルを繰り返す。このとき、毎回、図中下方向に試料が流れるように電圧を印加する時間を図中上方向に試料が流れるように電圧を印加する時間よりも長くする。そのようにすると、分流路238、分流路240、および分流路242に移動された試料は分流路238、分流路240、および分流路242の端部に達し、上方向に試料が流れるように電圧を印加した場合にも分岐点246、分岐点248、分岐点250まで到達しない。そのため、一度分流路238、分流路240、および分流路242に移動された成分が試料導入部234に逆流するのを防ぐことができる。
【0118】
本実施の形態においても、成分を分流路238、分流路240、および分流路242に移動させた後に、試料が上方向に移動するように電圧を印加すると、集結された各成分を順次試料回収部244から取り出すことができる。このように、本実施の形態における分離装置100によれば、試料中の成分を濃縮して分離することができる。また、図示していないが、各成分は、分流路238、分流路240、および分流路242の端部から回収する構成とすることもできる。
【0119】
なお、本実施の形態においても、第三の実施の形態において図28に示したように、基板101の図中上側と下側に電極291aおよび291bを設けた構成とすることももちろん可能である。
【0120】
(第五の実施の形態)
図29は、本発明の第五の実施の形態における分離装置100の構成を示す上面図である。本実施の形態における分離装置100は、分離用流路112と、試料導入部252と、試料回収部272とを有する。分離用流路112は、複数の分流路254、258、262、266、および270を有する。また、分離用流路112は、分流路254と分流路258を結ぶ接続流路256と、分流路258と分流路262とを結ぶ接続流路260と、分流路262と分流路266とを結ぶ接続流路264と、分流路266と分流路270とを結ぶ接続流路268とを含む。分流路254、258、262、266、および270は、試料回収部272に近づくにつれて長くなるように形成される。つまり、分流路254の長さ<分流路258の長さ<分流路262の長さ<分流路266の長さ<分流路270の長さとなる。
【0121】
ここで、分離装置100の基板101の図中下側と上側、図中左側と右側には、それぞれ、第一の電極290a、第二の電極290b、第三の電極290c、および第四の電極290dが設けられる。これらの第一の電極290aおよび第二の電極290bへの電圧の印加方向を切り替えることにより、試料中の成分を流路112の図中上方向または下方向に移動させることができる。また、第三の電極290cおよび第四の電極290dへ電圧を印加することにより、試料中の成分を流路112の図中右方向に移動させることができる。なお、本実施の形態においても、第一の実施の形態において図18を参照して説明したのと同様、各電極290a〜290dは、電源および電源制御部に接続され、電源制御部により各電極290a〜290dに印加する電圧のパターンが制御される。ここでも、基板101は、第二の実施の形態において説明したのと同様に側壁101aが形成され、流路112以外の領域には被分離成分が通過できないように構成されたたとえばピラー125等が配置される。この状態で、基板101表面をバッファー等で満たしておくと、第一の電極290aおよび第二の電極290b間、ならびに第三の電極290cおよび第四の電極290d間に電圧を印加することにより、流路112において試料を図中上方向、下方向および右方向に移動させることができる。
【0122】
また、本実施の形態において、分離装置100は、図15に示したような構成とすることもできる。この場合、分流路254、接続流路256、分流路258、接続流路260、分流路262、接続流路264、分流路266、接続流路268、分流路270がそれぞれ連結された屈曲部分には、それぞれ電極290が設けられる。また、図示していないが、試料導入部252および試料回収部272にも電極が設けられている。この場合も、各電極290および試料導入部252および試料回収部272に設けられた電極は電源および電源制御部に接続され、電源制御部により各電極への印加する電圧のパターンが制御される。また、電源制御部は、これらの分流路254、258、262、266、および270それぞれに印加される電圧が等しくなるように制御する。
【0123】
次に、図15に示した構成の分離装置100を例として、分離用流路112に試料を導入したときの動作を図16を参照して説明する。図29に示した構成の分離装置100についても、同様の動作が行われる。
まず、図16(a)に示すように、3つの成分f、m、およびsを含む試料を試料導入部252に導入し、試料が図中下方向(矢印の方向)に流れるように電圧を印加する。このようにすると、各成分f、m、およびsは、それぞれ固有の速度で図中下方向に移動する。ここで、成分fが最も速く流れ、成分mがその次に速く流れ、成分sが最も遅く流れるものとする。
【0124】
一定時間電圧を印加すると、図16(b)に示すように、移動速度の速い成分fおよびmが分流路254の接続流路256との境界に移動する。このとき、成分sは分流路254中を移動する。
【0125】
この後、電圧の印加方向を変換し、試料が図中右方向に流れるように電圧を印加する。これにより、成分fおよび成分mは接続流路256中を図中右方向に移動し、接続流路256と分流路258との境界に達する。一方、このとき成分sは移動しない。
【0126】
つづいて、電圧の印加方向を再び変換し、試料が図中上方向に流れるように電圧を印加する。これにより、図16(c)に示すように、成分fおよび成分mは分流路258中を接続流路260の方向に移動する。一方、成分sは、分流路254中を試料導入部252の方向に移動する。
【0127】
成分fが分流路258と接続流路260との境界に達した時点で再び電圧の印加方向を変換し、試料が図中右方向に流れるように電圧を印加する。これにより、図16(d)に示すように、成分fは接続流路260と分流路262との境界に移動する。このとき成分mおよび成分sは移動しない。
【0128】
つづいて、電圧の印加方向を再び変換し、試料が図中下方向に流れるように電圧を印加する。これにより、成分fは分流路262中を、成分mは分流路258中を、成分sは分流路254中を下方向に移動する。このとき、試料導入部252から次の試料を導入すると、各成分はそれぞれ固有の速度で分流路254を図中下方向に移動する。その結果、各成分は図17(a)に示すように分離される。これ以降同様の電圧印加サイクルを繰り返すと、図17(b)に示すように、各成分はそれぞれ一定時間で移動する距離に応じていずれかの分流路に集結される。
【0129】
図26は、本実施の形態において、電源制御部により分流路254、接続流路256、分流路258、および接続流路260に印加される電圧の印加パターンを示す図である。図中「+」は分離用流路112の進行方向(試料回収部272に近づく方向)に試料が移動するように電圧が印加された場合、「−」はその逆の方向に試料が移動するように電圧が印加された場合を示す。また、試料の移動がない方向に電圧が印加された場合を「0」とする。
【0130】
図示したように、電流制御部は、まず分流路254に+の電圧が印加され、分流路258に−の電圧が印加され、接続流路256および接続流路260が「0」となるようなパターン1を実行する。つづいて、電源制御部は、接続流路256および接続流路260に+の電圧が印加され、分流路254および分流路258が「0」となるようなパターン2を実行する。その後、電流制御部は、分流路258に+の電圧が印加され、分流路254に−の電圧が印加され、接続流路256および接続流路260が「0」となるようなパターン3を実行する。これ以降、電源制御部は同じ処理を繰り返す。
【0131】
本実施の形態において、各分流路の端部に達した成分は全て次の分流路へ移動され、成分の逆流が起こらないので、電圧印加サイクルの回数を少なくしても、各成分を効率よく分離・濃縮することができる。
【0132】
さらに、分離装置100は、図21に示すような構成とすることもできる。分離用流路112には試料導入部298および試料回収部296を有する。ここでも、分離用流路112の屈曲部分にはそれぞれ電極294が設けられ、図中下方向に試料が移動するように電圧が印加され、つづいて図中右方向、図中上方向、図中左方向・・に試料が順次移動するように電圧が印加される。このような形状としても、屈曲部分で区画された各分流路は、それぞれ異なる長さを有するので、試料中の成分は固有の移動速度で分離用流路112中を移動し、それぞれの移動距離に応じていずれかの分流路内に濃縮されて分画される。
【0133】
以上の実施の形態において説明した分離装置100は、MALDI−TOFMS測定を行う前の分離に用いることができる。以下、タンパク質のMALDI−TOFMS用試料調製および測定を行う例を説明する。
【0134】
MALDI−TOFMS測定を行うためには、測定対象のタンパク質を、1000Da程度まで低分子化する必要がある。
【0135】
まず、測定対象のタンパク質が分子内ジスルフィド結合を有する場合、DTT(ジチオスレイトール)等の還元試薬を含むアセトニトリル等の溶媒中で還元反応を行う。こうすることにより、次の分解反応が効率よく進行する。なお、還元後、チオール基をアルキル化等により保護し、再び酸化するのを抑制することが好ましい。
【0136】
次に、トリプシン等のタンパク質加水分解酵素を用いて還元処理されたタンパク質分子の低分子化処理を行う。低分子化は燐酸バッファー等の緩衝液中で行われるため、反応後、トリプシンの除去や脱塩等の処理を行う。その後、タンパク質分子をMALDI−TOFMS用の基質と混合し、乾燥処理を行う。
【0137】
ここで、MALDI−TOFMS用の基質は、測定対象物質に応じて適宜選択されるが、たとえば、シナピン酸、α−CHCA(α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸)、2,5−DHB(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,5−DHBおよびDHBs(5−メトキシサリチル酸)の混合物、HABA(2−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸)、3−HPA(3−ヒドロキシピコリン酸)、ジスラノール、THAP(2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン)、IAA(トランス−3−インドールアクリル酸)、ピコリン酸、ニコチン酸等を用いることができる。
【0138】
本実施の形態における分離装置100は、基板上に形成することができ、基板の下流に前処理装置および乾燥装置等を形成しておくことにより、基板をMALDI−TOFMS装置にそのままセットするようにすることもできる。このようにすれば、目的とする特定成分の分離、前処理、乾燥、および構造解析を一枚の基板上で行うことが可能となる。
【0139】
乾燥後の試料をMALDI−TOFMS装置にセットし、電圧を印加し、たとえば337nmの窒素レーザー光を照射し、MALDI−TOFMS分析を行う。
【0140】
ここで、本実施形態で用いる質量分析装置について簡単に説明する。図23は、質量分析装置の構成を示す概略図である。図23において、試料台上に乾燥試料が設置される。そして、真空下で乾燥試料に波長337nmの窒素ガスレーザーが照射される。すると、乾燥試料はマトリックスとともに蒸発する。試料台は電極となっており、電圧を印加することにより、気化した試料は真空中を飛行し、リフレクター検知器、リフレクター、およびリニアー検知器を含む検出部において検出される。
【0141】
図24は本実施の形態の分離装置を含む質量分析システムのブロック図である。このシステムは、試料1001について、夾雑物をある程度除去する精製1002、不要成分1004を除去する分離1003、分離した試料の前処理1005、前処理後の試料の乾燥1006、の各ステップを実行する手段を備えている。この後、質量分析による同定1007が行われる。これらのステップは、一枚のマイクロチップ1008上で行うことができる。
【0142】
ここで、本実施の形態の反応装置は、分離1003のステップに対応している。
【0143】
このように、本実施の形態の処理フローでは、試料を一枚のマイクロチップ1008上で連続的に処理することにより、微量の成分についても損出が少ない方法で効率よく確実に同定を行うことが可能となる。
【0144】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0145】
たとえば、上記の実施の形態において、各部屋、または各分流路の長さを異ならせる例を説明したが、各部屋または分流路の長さを一定として、各部屋または分流路に印加する外力の大きさを異ならせるようにしても、以上の実施の形態と同様の効果が得られる。この場合、流路の回収先に近づくにつれて、外力の大きさが小さくなるように設定するのが好ましい。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、試料を、簡単な操作で効率よく分離する分離装置が実現される。本発明によれば、試料を精度よく分離するとともに濃縮して回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態における分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図4】図1に示した分離装置の他の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す上面図である。
【図6】図5に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図7】図5に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図8】図5に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図9】図5に示した分離装置の変形例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における分離装置の回収部分を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す上面図である。
【図12】図11に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図13】図11に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す上面図である。
【図15】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す上面図である。
【図16】図16に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図17】図16に示した分離装置で試料中の成分を分離する際の動作を説明する図である。
【図18】本発明の実施の形態における分離装置を示す上面図である。
【図19】関門部の構成を詳細に示す図である。
【図20】電極の製造工程を示す図である。
【図21】実施の形態における分離装置を示す上面図である。
【図22】従来の分離装置の構成を示す上面図である。
【図23】質量分析装置の構成を示す概略図である。
【図24】本発明の実施の形態における分離装置を含む質量分析システムのブロック図である。
【図25】流路に印加される電圧の印加パターンを示す図である。
【図26】流路に印加される電圧の印加パターンを示す図である。
【図27】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す上面図である。
【図28】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す上面図である。
【図29】本発明の実施の形態における分離装置の構成を示す上面図である。
【符号の説明】
100 分離装置
101 基板
101a 側壁
104 試料導入部
106 試料回収部
112 分離用流路
120a 電極
120b 電極
122 電源
124 電源制御部
125 ピラー
173 金型
177 樹脂
179 被覆用金型
181 配線
200 部屋
202 部屋
204 部屋
206 部屋
208 関門部
210 関門部
212 関門部
214 関門部
216 分流路
218 分流路
220 分流路
222 試料導入部
223 回収用流路
224 試料回収部
225 回収用流路
226 試料回収部
228 試料回収部
230 逆流防止弁
232 逆流防止弁
234 試料導入部
236 主流路
238 分流路
240 分流路
242 分流路
244 試料回収部
246 分岐点
248 分岐点
250 分岐点
252 試料導入部
254 分流路
256 接続流路
258 分流路
260 接続流路
262 分流路
264 接続流路
266 分流路
268 接続流路
270 分流路
272 試料回収部
274 分岐点
276 分岐点
278 試料導入部
280 端部
281a 第一の電極
281b 第二の電極
282 電極
284 電極
286 電極
288 電極
290 電極
290a 第一の電極
290b 第二の電極
290c 第三の電極
290d 第四の電極
291a 第一の電極
291b 第二の電極
292a 電極
292b 電極
292c 電極
292d 電極
292e 電極
292f 電極
294 電極
296 試料回収部
298 試料導入部
1001 試料
1002 精製
1003 分離
1004 不要成分
1005 前処理
1006 乾燥
1007 質量分析による同定
1008 マイクロチップ

Claims (35)

  1. 被分離成分を含む試料の移動する流路と、
    前記流路中に設けられ、前記被分離成分の逆流を抑制する一または二以上の逆流抑制弁と、
    前記逆流抑制弁により区画された複数の室と、
    前記被分離成分に外力を付与し前記流路中を移動せしめる外力付与手段と、
    を備え、
    前記外力付与手段は、前記被分離成分に前記流路の進行方向に外力を付与する第一の外力印加パターンと、前記被分離成分に前記流路の進行方向と反対方向に外力を付与する第二の外力印加パターンとを順次繰り返し実行し、前記被分離成分をいずれかの前記室に分画される機能を備えたことを特徴とする分離装置。
  2. 請求項1に記載の分離装置において、
    前記流路は、一直線上に延在して形成されたことを特徴とする分離装置。
  3. 請求項1または2に記載の分離装置において、
    前記逆流抑制弁は、各前記逆流抑制弁を通過して前記流路の下流側に移動した前記被分離成分の少なくとも一部の逆流を阻止するように形成されたことを特徴とする分離装置。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の分離装置において、
    前記外力付与手段は、前記流路の両端に設けられた複数の電極を含み、前記電極間に印加する電圧の方向を切り替えることにより、前記第一の外力印加パターンおよび前記第二の外力印加パターンを実行する機能を備えていることを特徴とする分離装置。
  5. 被分離成分を含む試料の移動する流路と、
    前記流路を移動する前記被分離成分を当該流路の試料進行方向において堰き止める堰き止め部と、
    隣接する前記堰き止め部によって区画された複数の室と、
    前記被分離成分に外力を付与し前記流路中を移動せしめる外力付与手段と、
    を備え、
    前記外力付与手段は、各室の流路の試料進行方向の外力成分がそれぞれ異なる複数の外力印加パターンを順次実行し、前記被分離成分をいずれかの前記室に分画する機能を備えたことを特徴とする分離装置。
  6. 請求項5に記載の分離装置において、
    前記外力付与手段は、各前記室における前記被分離成分に印加される外力の大きさが略等しくなるように外力を付与する構成とされたことを特徴とする分離装置。
  7. 請求項5または6に記載の分離装置において、
    前記外力印加パターンは、前記流路の試料進行方向に沿って、前記外力成分が正となる室と前記外力成分が負となる室とが交互に現れるように外力を付与するパターンであることを特徴とする分離装置。
  8. 請求項5乃至7にいずれかに記載の分離装置において、
    前記流路は屈曲形状を有し、前記流路の屈曲箇所を前記堰き止め部とするように形成されたことを特徴とする分離装置。
  9. 請求項8に記載の分離装置において、
    前記屈曲箇所は実質的に直角に形成されたことを特徴とする分離装置。
  10. 請求項5乃至9いずれかに記載の分離装置において、
    前記各室に分画された前記被分離成分を前記堰き止め部から回収する回収部が設けられ、
    前記外力付与手段は、前記回収部と前記堰き止め部との間にも外力を付与し、前記試料の分画時には、前記堰き止め部の方向に前記試料が移動するように外力を付与し、前記試料の回収時には前記回収部の方向に前記試料が移動するように外力を付与することを特徴とする分離装置。
  11. 請求項1乃至10いずれかに記載の分離装置において、
    前記流路の試料進行方向に沿う前記複数の室の長さが、当該流路の下流側に向かうにつれて長くなっていることを特徴とする分離装置。
  12. 請求項1乃至11いずれかに記載の分離装置において、
    各前記外力印加パターンにおいて、前記流路の試料進行方向に沿って、前記流路の下流側に向かう室ほど小さい外力が印加されるように構成されたことを特徴とする分離装置。
  13. 請求項1乃至12いずれかに記載の分離装置において、
    各前記被分離成分は、前記外力の付与による移動距離に応じていずれかの前記室にそれぞれ分画されることを特徴とする分離装置。
  14. 請求項1乃至13いずれかに記載の分離装置において、
    前記流路の下流側に設けられた回収部をさらに含み、
    前記外力付与手段は、各前記印加パターンにおける、外力を付与する時間を徐々に長くして、前記回収部から前記被分離成分のフラクションが順次得られるように構成されたことを特徴とする分離装置。
  15. 請求項1乃至14いずれかに記載の分離装置において、
    前記外力付与手段は、各前記外力印加パターンにおける、外力を付与する時間よりも長い時間、前記流路の進行方向に外力を付与する回収用外力印加パターンを実行するように構成されており、
    当該回収用外力印加パターンの実行により、前記流路の最も下流に位置する室から被分離成分が回収されるように構成されたことを特徴とする分離装置。
  16. 主流路および該主流路に分岐して形成された副流路を有し、被分離成分を含む試料の移動する流路と、
    前記被分離成分に外力を付与し前記流路中を移動せしめる外力付与手段と、
    を備え、
    前記外力付与手段は、前記流路に対する外力の付与方向が異なる複数の外力印加パターンを順次実行するように構成されており、
    複数の前記外力印加パターンの実行により、被分離成分がいずれかの前記副流路に分画されるように構成されたことを特徴とする分離装置。
  17. 請求項16に記載の分離装置において、
    前記主流路は試料導入口を有し、
    前記副流路は、前記外力付与手段が前記試料導入口の方向に外力を付与したときに前記被分離成分が導入されるように構成され、前記外力付与手段が前記試料導入口から遠ざかる方向に外力を付与したときに前記被分離成分が前記主流路の方向に移動するように構成されたことを特徴とする分離装置。
  18. 請求項16または17に記載の分離装置において、
    前記主流路は試料導入口を有し、
    前記副流路の長さは、その副流路が前記主流路から分岐する点から前記試料導入口に至る長さに略等しくなることを特徴とする分離装置。
  19. 請求項16乃至18いずれかに記載の分離装置において、
    前記主流路は試料導入口を有し、
    前記副流路の長さは、その副流路が前記主流路から分岐する点から前記試料導入口に至る長さよりも長くなることを特徴とする分離装置。
  20. 請求項16乃至19いずれかに記載の分離装置において、前記副流路が前記主流路から分岐する点の上流側近傍に、逆流抑制弁が設けられたことを特徴とする分離装置。
  21. 被分離成分を含む試料の移動する流路と、前記流路に設けられた複数の室と、前記被分離成分に外力を付与し前記流路中を移動せしめる外力付与手段と、を含む分離装置を用いて、
    前記流路における試料導入位置から遠ざかる方向および近づく方向に順次外力を付与する処理を繰り返すことにより、前記被分離成分をいずれかの前記室に分画することを特徴とする分離方法。
  22. 請求項21に記載の分離方法において、
    各前記被分離成分を、前記外力の付与による移動距離に応じていずれかの前記室にそれぞれ分画することを特徴とする分離方法。
  23. 請求項1乃至15いずれかに記載の分離装置を用いて試料中の成分を分離する方法であって、
    前記流路に前記試料を導入する工程と、
    前記試料が一の前記室において前記流路の下流側に移動するようにいずれかの前記外力印加パターンを実行する第一の工程と、
    前記試料が前記一の室において前記流路の上流側に移動するようにいずれかの前記外力印加パターンを実行する第二の工程と、
    を順次繰り返し行うことを特徴とする分離方法。
  24. 請求項23に記載の分離方法において、
    前記第一の工程における前記外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間は毎回一定であることを特徴とする分離方法。
  25. 請求項23に記載の分離方法において、
    前記第一工程における前記外力印加パターンおよび第二の工程における前記外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間を毎回一定とすることを特徴とする分離方法。
  26. 請求項23乃至25いずれかに記載の分離方法において、前記第二の工程における前記外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間は、前記第一工程における前記外力印加パターンにおいて外力を付与する時間と実質的に同じ時間またはそれ以上の時間であることを特徴とする分離方法。
  27. 請求項23乃至26いずれかに記載の分離方法において、前記第一の工程と前記第二の工程と、を繰り返し実行した後、再び前記試料を導入する工程を行い、同様の処理を繰り返すことを特徴とする分離方法。
  28. 請求項23乃至27いずれかに記載の分離方法において、前記第一の工程における前記外力印加パターンおよび第二の工程における前記外力印加パターンにおいて、前記外力を付与する時間を毎回一定として前記第一の工程と前記第二の工程と、を繰り返し実行した後、少なくとも前記第一の工程における前記外力印加パターンにおいて、外力を付与する時間を長くして同様の処理を繰り返すことを特徴とする分離方法。
  29. 請求項23乃至28いずれかに記載の分離方法において、前記第一の工程の前記外力印加パターンにおいて付与される外力の付与時間よりも長い時間、前記試料が前記流路の下流側に移動する方向に外力を付与する回収用外力印加パターンを実行する工程をさらに含むことを特徴とする分離方法。
  30. 請求項16乃至20いずれかに記載の分離装置を用いて試料中の成分を分離する方法であって、
    前記流路に前記試料を導入する工程と、
    前記主流路において、前記試料が前記流路の下流側に移動するようにいずれかの前記外力印加パターンを実行する第一の工程と、
    前記主流路において、前記試料が前記流路の上流側に移動するようにいずれかの前記外力印加パターンを実行する第二の工程と、
    を順次繰り返し行うことを特徴とする分離方法。
  31. 請求項30に記載の分離方法において、
    前記第一の工程における前記外力印加パターンにおいて、前記外力を付与する時間を毎回一定とすることを特徴とする分離方法。
  32. 請求項30または31に記載の分離方法において、
    第二の工程における前記外力印加パターンにおいて前記外力を付与する時間は、前記第一の工程における前記外力印加パターンにおいて外力を付与する時間と実質的に同じ時間またはそれ以上の時間であることを特徴とする分離方法。
  33. 請求項30乃至32いずれかに記載の分離方法において、前記第一の工程と前記第二の工程と、を繰り返し実行した後、再び前記試料を導入する工程を行い、同様の処理を繰り返すことを特徴とする分離方法。
  34. 請求項21乃至33いずれかに記載の方法を実行させる外力切り替え制御部を含むことを特徴とするシステム。
  35. 生体試料を分子サイズまたは性状に応じて分離する分離手段と、
    前記分離手段により分離された試料に対し、酵素消化処理を含む前処理を行う前処理手段と、
    前処理された試料を乾燥させる乾燥手段と、
    乾燥後の試料を質量分析する質量分析手段と、
    を備え、
    前記分離手段は、請求項1乃至20いずれかに記載の分離装置を含むことを特徴とする質量分析システム。
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