明 細 書 - 酵素の安定化方法及び酵素組成物 技術分野
本発明は、 コン トロール物質等において、 媒体中に含まれる酵素を安 定化する方法及び酵素組成物に関する。 前記コン トロール物質は、 例え ば人の血液中に含まれる酵素の量を検出する検査等において、 一定量の 酵素を成分と して含有させたものをコン トロール物質と して用い、 この コン ト口ール物質を検出装置にかけることで、 その検出装置が酵素等の 正しい値を検出できる状態にあるか否かを検証し、 或いはコントロール 物質の検出数値を予め得ておく ことで、 実際の被検査体において得られ た検出数値から正確な酵素の量を比例配分等によって得るのに用いられ ている。 背景技術
ァスパラギン酸ァミ ノ トランスフェラーゼ (A s p a r t a t e a m i n o t o r a n s f e r a s e E C 2. 6. 1 . 1 、 以下 A S Tと略す) は、 ァスパラギン酸及び α—ケ トグルタル酸からグルタ ミン 酸及びォキザ口酢酸を生成する酵素で、 心臓、 肝臓、 骨格筋に多く存在 し、 急性肝炎、 慢性肝炎、 心筋梗塞などの診断に有用な指標になる。 また、 ァラニンアミ ノ トランスフェラーゼ (A l a n i n e a m i n o t r a n s f e r a s e E C 2. 6. 1 . 2、 以下 A L Tと略 す) はァラニン及びひ —ケ トグルタル酸からグルタ ミ ン酸及びピルビン 酸を生成する酵素で、 肝臓、 腎臓、 心臓に多く存在し、 A S Tと同様に 臨床診断に有用な指標である。
これら A S T及び A L Tの血液中に含まれる量を検出するために行わ- れる 日常検査等においては、 コ ン ト口ール物質を用いて行う場合が多い 従ってコ ン ト口ール物質は、 日常的な検査における検查値の安定性や 信頼性を保証する上で、 また精密且つ高度な技術が要求される臨床試験 を行う上で、 その取り扱いが重要となってきている。 例えば、 人の血液 中に含まれる A S Tや A L Tの数値を検出する場合には、 A S Tや A L Tを含有させたコントロール物質を用いることになる力 上記したコン トロール物質の役割を十分に果たすためには、 コ ン トロール物質に含有 させた不安定な酵素である A S Tや A L Tの酵素活性を十分に安定化さ せる必要がある。
このような観点から、 コントロール物質中に含有せられた酵素の安定 化を図る従来技術が、 特開昭 5 5 — 1 4 1 1 9 4号公報、 特開昭 5 6一 1 4 8 2 9 1号公報、 特開昭 5 7— 4 5 4 5 3号公報等に開示されてい る。 これらの従来技術においては、 安定化成分と して、 エチレングリ コ ール、 ショ糖或いはグリセリ ンなどが用いられている。
また、 アミ ノ酸を用いた酵素の安定化については、 ハロルド等 (H a r o l d L . S e g a l e t . a 1 . B i o c h e m i c a l a n d B i o p h y s i c a l R e s e a r c h C o mmu n i c a t i o n s , V o l . 3 0 (1 ), P . 6 3〜 6 8, 1 9 6 8 ) に代表されるように、 過去から研究されてきた。
更に、 コン トロール物質の濁度を減少させるためにァミ ノ酸を用いた 報告もあるが、 何れにせよァミ ノ酸は蛋白質の変性を防ぐことができる と考えられている。
しかしながら、 上記エチレングリ コール、 ショ糖或いはグリセリ ン等 の従来の安定化剤においては、 その効果を発揮させるためには高濃度に
する必要があった。 即ち、 エチレングリ コールでは 5 m o 1 / L程度、-〜 グリセリ ンでは 3 . 3 m o 1 / L程度と添加濃度が高く なり、 またショ 糖では 1〜 1 0 %添加する必要が生じるため、 コン トロール物質そのも のが高比重且つ Zまたは高粘性となり、 パラメータとなるべきコン ト 口 ール物質がヒ ト血清とは異なる物理的性質を持つといった問題が生じた のである。 そしてこのような問題は、 コントロール物質を近年の自動分 析機に適用した場合に、 サンプリ ングの精度が通常のヒ ト血清と異なる ことから機種間或いは施設間で測定値に差異が生じるという要因となつ て現れる等、 コン ト口ール物質本来の目的を達成できない状況を生じせ しめている (日本臨床化学会、 学術連絡委員会、 臨床化学 V o し 2 5 ( 2 ) , P . 1 3 5〜 1 4 8, 1 9 9 6 ) 。 発明の開示
そこで本発明者らは、 このよ う な問題を解決すべく、 コン トロール物 質の濁度や蛋白質の変性に対して果たすァミ ノ酸の役割等の事実を出発 点と して、 鋭意研究を重ねた結果、 コン トロール物質等に含まれる、 特 に A S Tや A L Tの酵素を安定化させるものと して、 特にパリ ン、 プロ リ ンが当該酵素を安定化させることを見出し、 本発明の酵素の安定化方 法及び酵素組成物を完成するに至った。
即ち本発明の酵素の安定化方法の第 1 の特徴は、 血清及び緩衝液から なる群より選ばれる少なく とも 1種の媒体中に、 ァスパラギン酸ァミ ノ トランスフェラーゼとァラニンアミノ トランスフェラーゼからなる群よ り選ばれる少なく とも 1種の酵素を安定化する安定化成分と して、 バリ ンとプロ リ ンより選ばれたァミノ酸の少なく とも一方を含有させること である。 ただし、 安定化の対象がァラニンアミノ トランスフェラーゼで ありァスパラギン酸ァミ ノ トランスフェラーゼを含まない場合、 安定化
成分と して、 プロ リ ンを単独で用いる場合には、 該プロ リ ンを 1 0 0 m.. m o I / Lを超えて含有させる。
また本発明の酵素の安定化方法の第 2の特徴は、 上記第 1 の特徴に加 えて、 パリ ンとプロ リ ンのうちバリ ン単独とする場合はその含有量を 0 . 5〜 1 0 0 mm o l /Lとすることである。
また本発明の酵素の安定化方法の第 3の特徴は、 上記第 1 の特徴に加 えて、 パリ ンとプロ リ ンを組合せて用いる場合は、 パリ ン含有量を 5〜 2 0 mm o 1 / L、 ブロ リ ン含有量を 1 0〜 5 0 0 mm o 1 /Lとする ことである。
また本発明の酵素の安定化方法の第 4の特徴は、 上記第 1 の特徴に加 えて、 バリ ンとプロ リ ンのうちプロ リ ンを単独でァスパラギン酸ァミノ トランスフェラーゼの安定化に用いる場合には、 その含有量を 0. 5〜 5 0 0 mm o 1 Z Lとすることである。
また本発明の酵素の安定化方法の第 5の特徴は、 上記第 1 の特徴に加 えて、 血清または緩衝液が、 可溶性蛋白質を含む緩衝液であることであ る。
また本発明の酵素の安定化方法の第 6の特徴は、 上記第 5の特徴に加 えて、 可溶性蛋白質がアルブミン及びゼラチンからなる群より選ばれる 少なく とも 1種の可溶性蛋白質であることである。
また本発明の酵素の安定化方法の第 7の特徴は、 上記第 6の特徴に加 えて、 アルブミ ンの濃度は 0. 5〜 1 5重量%であることである。
また本発明の酵素の安定化方法の第 8の特徴は、 上記第 6の特徴に加 えて、 ゼラチンの濃度は 0. 5〜 1 5重量%であることである。
また本発明の酵素組成物の特徴は、 血清及び緩衝液からなる群より選 ばれる少なく とも 1種の媒体に対して、 ァスパラギン酸ァミ ノ トランス フェラーゼとァラニンアミ ノ トランスフェラーゼからなる群より選ばれ
る少なく とも 1種の酵素と、 ノくリ ンとプロ リ ンより選ばれたァミソ酸の 少なく とも一方からなる前記酵素の安定化成分とが含有せられているこ とである。 ただし、 含有する安定化成分がプロ リ ンで、 且つ含有する酵 素がァラニンアミ ノ トランスフェラーゼでァスパラギン酸ァミノ トラン スフエラーゼを含まない場合のプロ リ ン含有量は 1 0 0 m m o l / Lを 超えるものとする。
上記において、 媒体は、 酵素や安定化成分を溶かし或いは分散させる 溶媒や分散媒等の母相或いは母材をいい、 媒体に酵素と安定化成分を溶 かし或いは分散させたものをコン トロール物質と して用いることができ る。 コ ン ト ロール物質の媒体と しては、 例えば検出対象がヒ ト血清中に 含まれるものである場合には、 コントロール物質の媒体もヒ ト血清、 或 いはそれに処理を加えた類似のものを用いるのが好ましい。 即ち、 検査 対象物に近い性質のものをコントロール物質の媒体と して選ぶのが好ま しい。
前記媒体と しては、 血清や緩衝液を用いることができる。 血清とは、 広い意味において、 ヒ ト血清やその他の動物の血清、 或いはそれらに処 理を加えたものとする。 前記血清や緩衝液は、 可溶性蛋白質溶液を含む 緩衝液とすることができる。 以下、 ァスパラギン酸ァミ ノ トランスフエ ラーゼを A S T、 ァラニンアミノ トランスフェラーゼを A L Τと略す。 上記 A S Tや A L Tを安定化する安定化成分と してのパリ ン、 プロ リ ンは、 パリ ン単独で用いる場合、 プロ リ ン単独で用いる場合及びパリ ン とプロ リ ンの両方を組み合わせて用いる場合の 3つの場合がある。 ただ し、 これらの安定化成分は、 A S T、 A L Tの各単独或いは両組み合わ せを安定化するのに用いられて、 良好な効果を発揮するのは勿論である 。 力 他の酵素に対する安定化成分と して用いる場合も本発明の範囲内 である = またプロ リ ンを A L T安定化に単独で用いる場合は、 1 0 0 m
m o 1 / Lを超える量でプロ リ ンの量を用いるのが好ましい。 - また上記の特徴において、 媒体中に酵素と して A S Tを含ませたもの は、 コン トロール物質と して、 典型的には、 人の血液中に含まれる A S T量を検出する場合に用いることができる。 また媒体に酵素と して A L Tを含ませたものは、 コン ト ロール物質と して、 典型的には、 人の血液 中に含まれる A L Tの量を検出する場合に用いられる。
コン ト口ール物質に含ませる A S T、 A L Tの起源は特に限定しない が、 例えばゥシ心臓、 ブタ心臓、 ヒ ト心臓、 血清、 赤血球、 尿等の生体 材料、 さらにヒ ト細胞を培養したもの、 或いはヒ ト由来遺伝子を組み込 んだ形質転換体を培養することにより得ることができる。 この場合 A S T、 A L Tの含有量は、 それぞれ 5〜 : 1 0 0 0 UZ Lとする。 力 好ま しくは 3 0〜 5 0 O U/Lとする。
上記特徴において、 媒体が血清である場合には、 コン ト ロール物質は 、 その血清に酵素と安定化成分と してのアミ ノ酸を含有している。
また上記特徴において、 媒体が緩衝液である場合と しては、 例えばゥ シ血清アルブミ ンを溶かした B E S緩衝液を用いることができる。 力 実際に検査装置にかけられる検査対象物 (厳密には検査対象物の媒体) の種類や状態に対応して、 物理的に或いは化学的に似た性質を持つよう にするため、 種々の物質を緩衝液に溶解したものを用いることができる 。 本発明はこの様な場合も含むものとする。
前記本発明で用いられる緩衝液と しては、 例えば、 p H 6〜 p H 8. 5の間に適宜に調整できる有機アミ ン系緩衝液、 グッ ド緩衝液やその他 に、 クェン酸—第 2 リ ン酸ナ ト リ ウム系、 塩酸一べロナ一ルナ ト リ ウム —酢酸ナ ト リ ウム系、 第 1 リ ン酸カリ ウム一第 2 リ ン酸ナ ト リ ウム系、 第 1 リ ン酸カリ ウム ホウ砂系、 第 1 リ ン酸カ リ ゥム一水酸化ナ ト リ ウ ム系、 塩酸ー コ リジン系、 塩酸—ベロナ一ルナ ト リ ウム系、 塩酸— ト リ
スァミ ノメタン系、 塩酸一ホウ砂系、 ホウ酸一炭酸ナ ト リ ウム系、 ホウ- - 酸一ホウ砂系、 塩酸ーァミノメチルプロパンジオール系、 塩化アンモニ ゥムーアンモニア系、 グリ シン一水酸化ナ ト リ ウム系、 ホウ酸一水酸化 ナ ト リ ウム系、 塩酸ージメチルダリ シンナ ト リ ウム系、 ホウ砂一水酸化 ナ ト リ ウム系、 ホウ砂—炭酸ナ ト リ ウム系、 セーレンセン緩衝液、 グリ シン一塩化ナ ト リ ウム一塩酸系、 第 2クェン酸ナ ト リ ウム一塩酸系、 第 2クェン酸ナ ト リ ウムー水酸化ナ ト リ ウム系、 ホウ砂一塩酸ナ ト リ ウム 系、 ミカエリス緩衝液、 ベロナ一ルナ ト リ ゥム—酢酸ナ ト リ ゥム一塩酸 系、 クラ一クールブス緩衝液、 ホウ酸一塩酸カ リ ウム一水酸化ナ ト リ ウ ム系、 ア トキンス一パルチン緩衝液、 パリティ ッシュ緩衝液、 コル トホ フ緩衝液、 マツタイルベイ ン緩衝液、 ハスチング一セン ドロイ緩衝液、 プリ トン一 口 ビンソン緩衝液、 マィ レン酸塩緩衝液、 ト リスーマイ レン 酸塩緩衝液、 ベロナール緩衝液、 ベロナ一ルー酢酸塩緩衝液等の生化学 用緩衝液がある。 これらの緩衝液以外であっても、 p H 6〜8. 5で緩 衝能を有するものであれば何ら限定されない。
また前記有機アミ ン系緩衝液と しては、 例えば、 ジエタノールァミ ン 緩衝液、 2—ェチルアミ ノエタノール緩衝液、 2—ア ミ ノ ー 2—メチル ― 1 一プロパノール、 N—メチルー D—グルカ ミ ン等が挙げられる。 更に前記グッ ド緩衝液と しては、 例えば、 ME S ( 2— (N -M o r p h i l i n o ) e t h a n e s u l i o n i c a c i d ) 緩衝液、 B i s — T r i s (B i s ( 2— h y d r o x y e t h y 1 ) i m i n o t r i s (h y d r o x y m e t h y 1 ) m e t h a n e ) 緩 液、 ADA ( N— ( 2— A c e t a m i d o ) i m i n o d i a c e t i c a s i d ) 緩衝液、 P I P E S (P i p e r a z i n e — N, N ' - b i s ( 2 - e t h a n e s u l f o n i c a c i d ) 緩衝液、 A C E S (N— ( 2— A c e t a m i d o ) — 2— a m i n o e t h a n e
s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 MO P S O ( 3— (N— M o r-. p h o 1 i n o ) — 2— h y d r o x y p r o p a n e s u l f o n i c a c i d ) 緩衝液、 B E S ( N , N— B i s ( 2— h y d r o x y e t h y l ) — 2— a m i n o e t h a n e s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 M〇 P S ( 3— (N-M o r p h o l i n o ) p r o p a n e s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 T E S (N— T r i s (h y d r o x y m e t h y 1 ) m e t h y 1 — 2— a m i n o e t h a n e s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 H E P E S (N— 2— h y d r o x y e t h y l p i p e r a z i n e — N ' 一 2— e t h a n e s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 D I P S O ( 3— [N, N - B i s ( 2— h y d r o x y e t h y 1 ) a m i n o ] — 2— h y d r o x y p r o p a n e s u l f o n i c a c i d ) 緩 ¾r液、 TA P S O ( N— T r i s (h y d r o x y m e t h y 1 ) m e t h y 1 — 2— h y d r o x y— 3— a m i n o p r o p a n e s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 P O P S O (P i p e r a z i n e — N, N' — b i s ( 2— h y d r o x y p r o p a n e s u l f o n i c a c i d ) 緩衝 液、 H E P P S O (Ν- 2 -H y d r o x y e t h y 1 p i p e r a z i n e — N— 2— h y d r o x y p r o p a n e — 3— s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 E P P S (Ν- 2 -H y d r o x y e t h y l p i p e r a z i n e— N' — 3— p r o p a n e s u 1 f o n i c a c i d , 別名 H E P P S ) 緩衝液、 T r i c i n e (T r i s (h y d r o x y m e t h y l ) m e t h y l g l y c i n e ) 緩衡液、 B i c i n e ( N , N— B i s ( 2— h y d r o x y e t h y l ) g 1 y c i n e ) 緩衝液、 TA P S (N— T r i s ( h y d r o x y m e t h y 1 ) m e t h y 1 — 3— a m i n o p r o p a n e s u 1 f o n i c a c i d ) 緩衝液、 CH E S ( 2— (C y c l o h e x y l a m i n o
) e t h a n e s u l f o n i c a c i d ) 緩衝液、 C A P S O ( 3- — N— C y c l o h e x y l a m i n o— 2— h y d r o x y p r o p a n e s u l f o n i c a c i d ) 緩衝液、 CA P S ( 3— C y c l o h e x y l a m i n o p r o p a n e s u l f o n i c a c i d ) 緩衝液等が挙げられる。
前記有機アミン系緩衝液を用いる場合は、 2 0 mM〜 2Mの濃度、 好 ましく は 2 O mM〜 l Mの濃度、 最適には 2 0 mM〜 5 0 O mMの濃度 に調整した水性媒体と して用いれば良い。 また、 好適な水性媒体と して は水、 具体的には精製水が挙げられ、 適宜に補酵素、 可溶性塩類、 界面 活性剤、 安定化剤や防腐剤などを含有しても良い。
また前記グッ ド緩衝液または生化学用緩衝液を用いる場合は、 2 0 m M〜 1 Mの濃度、 好ましくは 2 0 mM〜 5 0 0 mMの濃度、 最適には 2 0 mM〜 3 0 O mMの濃度に調整して用いれば良い。
上記特徴において、 媒体が可溶性蛋白質溶液である場合と しては、 B S A、 ヒ ト血清アルブミン (H S A) 、 ゼラチン等の水溶液があげられ るが、 これらを 1種または 2種以上組合せて使用することができる。 こ の場合、 アルブミンとゼラチンの濃度は、 それぞれ 0. 5〜 1 5重量% が好ましい。 更に、 媒体が血清である場合でも上記緩衝液を適時用いる ことができる。
上記したバリ ン或いはプロ リ ンを用いて酵素の安定化を図る場合には 、 多量のパリン、 プロ リ ンを溶媒に添加することなく 、 低濃度で、 よつ てコン トロール物質が高比重、 高粘性となることなく 、 酵素の安定化を 図ることができる。 さらにバリ ン、 プロ リ ンは A S T、 A L T以外の酵 素、 例えば、 アルカリホスファターゼ (A L P) (E C. 3. 1 . 3. 1 ) 、 ク レアチンキナーゼ (C K) (E C. 2. 7. 3. 2 ) 、 乳酸デ ヒ トロゲナーゼ (L DH) (E C. 1 . 1 . 1. 2 7 ) 、 y -グルタミ
ルトランスぺプチダーゼ ( γ— G T P) (E C. 2. 3. 2. 2) の安- - 定化に負の影響を及ぼすものではなかった。 尚、 前記各酵素の添加量は 、 し?カ 9〜 6 5 0 01;ノし、 特に好ましく は4 5〜 1 3 0 01;/し 、 CKが 6〜4 0 0 0 UZL、 特に好ましく は 3 0〜 8 0 0リ/し、 L DHが 8〜4 00 0 U/L、 特に好ましく は4 0〜 8 001)/1^、 y - G T Pが 2〜 1 2 0 0 U/L、 特に好ましく は 1 0〜 8 0 0 UZLとす ることができる。
前記パリ ン、 プロ リ ンを A S Tと A L Tからなる群より選ばれる少な く とも 1種の酵素を含むコン トロール物質の安定化成分と して用いる場 合、 バリ ン単独の場合の含有量は 0. 5〜 1 0 0 mm o l /Lとする。 そしてより好ましく は、 バリ ンの含有量を 1 0〜 2 0 mm o 1 /Lとす る。 このよ うな範囲とすることで安定化の効果が良好で、 しかも物理的 化学的性質も検査対象である血清と近いものとすることができる。
プロ リ ン単独の場合の含有量は 0. 5〜 5 0 0 mm o l ZLとする。 そしてより好ましく は、 プロ リ ンの含有量を 1 0 0〜 5 0 0 11 111 0 1 / しとする。 但し A L Tの安定化 (A S Tを含まない場合) のためにプロ リ ンを単独で用いる場合は、 1 O O mm o l ZLを超える量のプロ リ ン を含有させるのが好ましく、 より好ましくは 2 0 0〜 5 O O mm o 1 / Lで、 最適には 3 0 0〜 5 O O mm o 1 /Lである。
またバリ ンとプロ リ ンを組み合わせる場合の含有量は、 パリ ンは 5〜 2 0 mm o i /L、 プロ リ ンは 1 0〜 5 0 0 mm o 1 ZLと し、 組み合 わせられた総量は 1 5〜 5 2 0 mm o 1 / Lとする。
以上のよ うな範囲の含有量とすることで、 安定化の効果が良好で、 し かも物理的、 化学的性質も検查対象である血清と近いものにすることが できる: よって得られるコン トロール物質の物理的、 化学的性質を常に 検査対象である血清に近似させ、 且つ安定性を確保することができ、 得
られたデータの値の信頼性を得ることができると共に、 検査を行う施設、 間等での差異を無くすことができる。
上記本発明の特徴による酵素の安定化方法によれば、 パリ ンとプロ リ ンの各単独またはそれらの両方の含有によ り媒体中の A S T若しくは A L T又はその組み合わせにおける媒体中での変性を抑制し、 安定化させ ることが可能となる。
また A S Tや A L Tを安定化成分により安定化させることが可能とな り、 それらを A S T或いは A L Tを検出対象とする検査等において、 安 定した正確な検出データを得ることが可能となった。 特に、 前記 A S T 或いは A L Tに対して、 バリ ン又はプロ リ ン又はその組み合わせが安定 化成分と して用いられることで、 それらバリ ンゃプロ リ ンの少ない含有 量でもってそれら酵素の安定化を十分に図ることができる。
また上記本発明の特徴による酵素の安定化方法によれば、 媒体を血清 とすることで、 血清中に含まれる A S Tや A L Tの検出を行う場合、 媒 体である血清の中に A S Tや A L Tとその安定化成分であるバリ ンゃプ 口 リンを一緒に加えたコント口ール物質等を用いることができ、 物理的 、 化学的に似た良好な環境下での検出が可能となる。
同様に、 媒体を緩衝液とすることで、 緩衝液という安定した媒体中に おいて、 A S Tや A L Tを安定化成分であるバリ ンやプロ リ ンにより安 定化させることができる。 勿論、 緩衝液には必要に応じて種々の成分を 溶解させることで、 検査対象物質 (溶媒) と類似の物理的、 化学的性質 を有するコント口ール物質を提供することができる。
また上記本発明の特徴による酵素の安定化方法において、 バリ ンとプ 口 リ ンのうちバリ ン単独とする場合はその含有量を 0 . 5〜 1 0 0 m m o 1 / Lとすることで、 A S T、 A L Tの良好な安定化を図ることがで さる。
また上記本発明の特徴による酵素の安定化方法において、 パリ ンとプ-. 口 リ ンを組合せて用いる場合は、 バリ ン含有量を 5〜 2 0 mm o 1 / L 、 プロ リ ン含有量を 1 0〜 5 0 0 mm o l / Lとすることで、 A S T、 A L Tの良好な安定化を図ることができる。
また上記本発明の特徴による酵素の安定化方法において、 パリ ンとプ 口 リ ンのうちプロ リ ンを単独で A S Tの安定化に用いる場合には、 その 含有量を 0. 5〜 5 0 0 mm o l /Lとすることで、 A S Tの良好な安 定化を図ることができる。
また上記本発明の特徴による酵素の安定化方法において、 血清または 緩衝液が可溶性蛋白質を含む緩衝液である場合には、 該可溶性蛋白質を 含む緩衝液中であっても、 A S T、 A L Tを安定化成分であるバリ ンゃ プロ リ ンにより安定化させることができる。
更に前記可溶性蛋白質がアルブミン及びゼラチンからなる群より選ば れる少なく とも 1種の可溶性蛋白質である場合には、 アルブミンゃゼラ チンを含む緩衝液中においても、 A S T、 A L Tを安定化成分であるバ リ ンやプロ リ ンによ り安定化させることができる。 この場合、 アルブミ ンとゼラチンの濃度が、 それぞれ 0. 5〜 1 5重量%である場合に好ま しく A S T、 A L Tを安定化させることができる。
また上記本発明の特徴による酵素の安定化方法において、 血清及び緩 衝液からなる群より選ばれる少なく とも 1種の媒体中に A L Tを含有し 、 A S Tを含有しない場合に、 前記 A L Tを安定化する安定化成分と し てプロ リ ンを単独で用いる場合には、 該プロ リ ンを l O O mm o 1 /L を超えて含有させることで、 A L Tを良好に安定化することができる。 また上記本発明の酵素組成物によれば、 血清及び緩衝液からなる群よ り選ばれる少なく とも 1種の媒体に対して、 A S Tと A L Tからなる群 より選ばれる少なく と も 1種の酵素と、 ノくリ ンとプロ リ ンより選ばれた
ァミ ノ酸の少なく とも一方からなる前記酵素の安定化成分とが含有せら- れていることで、 A S T、 A L T又はその両方が容易に変性せずに、 安 定した状態で存在することができる酵素組成物を提供することができる 。 よってこのような酵素組成物をコントロール物質と して、 A S Tや A L Tを検出対象とする検査等に用いることで、 安定した正確な検出デー タを得ることが可能となる。 発明を実施するための最良の形態
本発明の方法により、 バリ ン、 プロ リ ンを安定化成分と し、 A S Tや A L Tを酵素成分と したコン トロール物質の製造の例を説明する。
ヒ ト血清 (ト リナ社製 (スイス国) ) を用い、 これを予め 5 6 °Cで 4 時間熱処理することにより、 内因性の酵素を失活させた後、 0. 2 m のメンブランフィルターで除菌濾過する (これをヒ ト血清ベースと称す る。 ) e このヒ ト血清ベース (媒体) に、 例えば 1 0 mm o 1 ノ Lのバ リ ンを溶解し、 更に A S T又は A L Tを一定量溶解することで、 ノくリ ン を安定化成分と した A S T又は A L Tを含むコン ト口ール物質を得るこ とができる。
また前記ヒ ト血清ベースに、 例えば 3 0 0 m m o 1 Z Lのプロ リ ンを 溶解し、 更に A S T又は A L Tを一定量溶解することで、 プロ リ ンを安 定化成分と した A S T又は A L Tを含むコン トロール物質を得ることが できる。
同様に本発明の方法により、 パリ ン、 プロ リ ンを安定化成分と し、 A S Tや A L Tを酵素成分と し、 緩衝液を媒体と したコント口ール物質の 製造の例を説明する。
2 0 mm o 1 /Lの B E S緩衝液に、 ゥシ血清アルブミ ン (イ ンター ジェン社製 (アメ リカ) ) を 3 %含有させ、 これを除菌濾過する ( p H
7. 4、 これを B S Aベース とする) 。 この B S Aベースに、 例えば 1- 0 mm o 1 /Lのバリ ンを溶解し、 更に A S T又は A L Tを一定量溶解 することで、 緩衝液媒体中にパリ ンを安定化成分と し、 A S T、 A L T を含むコント口ール物質を得ることができた。
また前記 B S Aベースに、 例えば 3 0 0 mm o 1 / Lのプロ リ ンを溶 解し、 更に A S T又は A L Tを一定量溶解することで、 緩衝液媒体中に プロ リ ンを安定化成分と し、 A S T、 A L Tを含むコン トロール物質を 得ることができた。
尚、 本発明の方法を用いて得られるコン トロール物質は通常の使用時 において液体であるが、 保存状態と しては、 凍結乾燥品、 冷凍保存品、 凍結液状品等、 液体以外の状態であってもよい。 実施例
以下、 本発明の実施例を説明する。 力 本発明はこれに限定されるも のではない。 実施例 1
コントロール物質中の A S T又は A L Tに対する各種ァミノ酸の安定化 効果の確認
媒体と してヒ ト血清べ一スと B S Aベースをそれそれ用レ、、 それらの 各媒体に対して安定化成分と して、 アミ ノ酸無添加のもの、 アミ ノ酸と してバリ ンを 1 O mm o 1 /L加えたもの、 プロ リ ンを 1 O mm o 1 / L加えたもの、 その他のアミ ノ酸を 1 O mm o l ZL加えたものを作り (但し、 チロシンは l mm o 1 /L) 、 さらにそれらに対して、 酵素と して A S Tを約 1 O O U/Lになるように加え、 また酵素と して A L T を約 1 0 0 U / Lになるように加えて、 コン トロール物質を作成した。
そして得られた各コントロール物質を 4 5 °Cで 4 日間保持し、 各コン- トロール物質に含まれる A S Tと A L Tの残存活性を測定した。
尚、 使用する A S Tは旭化成工業株式会社製 (製造番号 T— 7 0 ) の ヒ ト肝遺伝子組換体由来のもの (以下、 r 一 A S Tと称す) を用いた。 また、 A L Tは旭化成工業株式会社製 (製造番号 T一 7 1 ) のヒ ト肝遺 伝子組換体由来のもの (以下、 r 一 A L Tと略す) を用いた。 また使用 するヒ ト血清ベースは、 ヒ ト血清を予め 5 6 °Cで 4時間熱処理して内因 性の酵素を失活させた後、 0. 2 μ mのメンブランフィルターで除菌濾 過したものを用いた。 また使用する B S Aベースは、 3 %B S A含有の 2 0 mm o 1 / Lの B E S緩衝液を用いた。
A S Tと A L Tの残存活性の測定は、 A S Tについては国際試薬株式 会社製の A S T試薬 ' L「コクサイ」を用いて測定した。 また A L Tにつ いては国際試薬株式会社製の A L T試薬 · L「コクサイ」を用いて測定し た。
結果を表 1 に示す。
表 1 から明らかなように、 ノ リ ンとプロ リ ンが A S T、 A L Tに対し て好ましい安定化効果を示した。 実施例 2
コン ト口ール物質中の A S T又は A L Tに対するバリ ンの安定化効果の ヒ ト血清ベース、 B S Aベースにバリ ン及び r 一 A S T、 r — A L T を約 1 0 0 UZLになるように加え、 4 5 °Cで 4 日間保持し、 残存活性 を測定した。 A S T、 A L Tの活性測定は実施例 1 と同様に行った。 結果を表 2に示す。
表 2から明らかなよ うに、 B S Aベースでは、 バリ ン無添加の場合の
A S T, A L Tの残存率はそれぞれ 5 3 %、 3 2 %であるのに対して、-.. ノくリ ンを 0. 5 mm o 1 / L添加することにより A S T、 A L Tの残存 率がそれぞれ 6 5 %、 3 8 %となり安定性が向上した。 またパリ ン濃度 が 1 0 mm o 1 / Lの場合における A S T、 A L Tの残存率は、 それぞ れ 8 5 %、 6 2 %であり、 ノく リ ン濃度が 2 0 mm o 1 / Lの場合におけ る A S T、 A L Tの残存率は、 それぞれ 8 2 %、 6 5 %であり、 更にバ リ ン濃度が 1 0 0 mm o 1 / Lの場合における A S T、 A L Tの残存率 は、 それぞれ 8 2 Q/。、 6 5 %であった。
またヒ ト血清ベースでも、 同様にバリ ン無添加の場合の A S T、 A L Tの残存率はそれぞれ 4 1 %、 2 0 %であったが、 ノくリ ンを 0. 5 mm o 1 / L添加することにより A S T、 A L Tの残存率それぞれ 4 7 %、 2 8 %となり安定性が向上した。 またパリ ン濃度が 1 0 m m o 1 / Lの ときの A S T、 A L Tの残存率は、 それぞれ 7 1 %、 5 5 %であり、 バ リ ン濃度が 2 0 mm o l ZLの場合における A S T、 A L Tの残存率は 、 それぞれ 7 3 %、 5 6 %であり、 更にパリ ン濃度が 1 0 0 mm o 1 Z Lの場合における A S T、 A L Tの残存率は、 それぞれ 7 2 %、 5 5 % であった。
以上よりバリ ンの濃度は 0. 5〜 1 0 0 mm o 1 /Lとするのが良く 、 より好ましく は 1 0〜 2 0 mm o 1 ZLとするのがよいことが判った
実施例 3
コントロール物質中の A S T又は A L Tに対するプロ リ ンの安定化効果 の確認
媒体と してヒ ト血清ベースと B S Aベースをそれぞれ用い、 それらの 各媒体に対して安定化成分と して、 プロ リ ン無添加のもの、 プロ リ ンを
それぞれ 0. 5、 1 0、 1 0 0、 3 0 0、 5 0 0 mm o l / Lカ卩えたも-. のを作り、 さらにそれらに対して、 酵素と して r 一 A S Tを約 1 0 0 U /Lになるように加え、 また酵素とそて r 一 A L Tを約 1 0 0 UZLに なるよ うに加えて、 コン ト ロール物質を作製した。 そして得られた各コ ントロール物質を 4 5 °Cで 4 日間保持し、 各コン トロール物質に含まれ る A S Tと A L Tの残存活性を測定した。 A S T、 A L Tの活性測定は 実施例 1 と同様に操作を行った。 その結果を表 3に示す。
表 3から明らかなように、 B S Aベースでは、 プロ リ ン無添加の場合 に A S T、 A L Tの残存率がそれぞれ 5 3 %、 3 2 %であるのに対して 、 プロ リ ンを 0. 5 mm o l /L添加することにより A S T、 A L Tの 残存率がそれぞれ 6 0 %、 4 1 %となり、 安定性が向上した。 プロ リ ン を 1 0 0 mm o 1 / L添加することにより、 A S T、 A L Tの残存率が それぞれ 7 4 %、 6 9 %となり、 プロ リ ン濃度が 3 0 0 m m o 1 Z Lの 場合の A S T、 A L Tの残存率は、 それぞれ 8 4 %、 8 4 %であり、 更 にプロ リ ン濃度が 5 0 0 mm o 1 / Lの場合の A S T、 A L Tの残存率 は、 それぞれ 8 4 %、 8 5 %であった。
またヒ ト血清べ一スでも同様に A S T、 A L Tのプロ リ ン無添加のと きの残存率は、 それぞれ 4 1 %、 2 0 %であったが、 プロ リ ンを 0. 5 mm o 1 ノ L添加することにより A S T、 A L Tの残存率がそれぞれ 4 9 %、 3 4 %となり安定性が向上した。 またプロ リ ンを 1 0 0 m m o 1 /L添加することにより、 A S T、 A L Tの残存率がそれぞれ 6 7 %、 6 5 %となり、 プロ リ ンを 3 0 0 mm o 1 /L添加することにより A S T、 A L Τの残存率がそれぞれ 8 2 %、 8 3 %となり、 更にプロ リ ン濃 度が 5 0 0 mm o l /Lの場合の時の A S T、 A L Tの残存率は、 それ ぞれ 8 5 %、 8 8 %であった。
以上よりプロ リ ンの濃度は 0. 5〜 5 0 0 mm o 1 ZLとするのが良
く、 より好ましく は 1 0 0〜 5 0 0 mm o 1 /Lとするのがよいこと -. 判った。 特に A L Tの安定化に対するプロ リ ンの濃度については、 1 0 0 mm o 1 /Lを超え 2. 5 m o 1 /Lまでの濃度で適宜しようするの が好ましく 、 最適には 3 0 0〜 5 0 0 mm o 1 / Lとするのがよいこと が判った。 実施例 4
コン トロール物質中の A S T、 A L Tに対するバリ ンとプロ リ ンを組み 合わせたときの安定化効果の確認
ヒ ト血清ベースにバリ ン、 プロ リ ン及び r 一 A S T、 r — A L Tを約 1 0 0 U / Lになるよ うに加え、 4 5 °Cで 4 日間保存し、 残存活性を測 定した。 A S T、 A L Tの活性測定は実施例 1 と同様に操作を行った。 その結果を表 4に示す。
表 4で明らかなよ うに、 ァミ ノ酸無添加の場合の A S Tの残存率が 4 1 %であり、 これに対してバリ ンを単独で 5 m m o 1 / L添加したとき の残存率が 5 2 %で、 プロ リ ンを単独で 1 0 m m o 1 / L添加したとき の残存率は 5 4 %となり、 更にバリ ンを 5 mm o 1 / Lとプロ リ ンを 1 0 mm o 1 / L添加したときの残存率は 6 6 %となり、 それぞれのァミ ノ酸を単独で用いた場合より安定性が向上した。
また、 ァミノ酸無添加の場合の A L Tの残存率は 2 0 %であったが、 バリ ンを単独で 5 mm o 1 / L添加した場合の残存率は 3 3 %、 ブロ リ ンを単独で 1 0 mm o 1 / L添加した場合の残存率は 4 3 %となり、 更 にバリ ンを 5 mm o 1 /Lとプロ リ ンを 1 O mm o 1 / L添加したとき の残存率は 5 4 %となり、 それぞれのァミ ノ酸を単独で用いた場合より 安定化が向上した。
またバリ ンを 2 0 mm o l ZLに対してプロ リ ンを 1 O mm o 1 /L
と して組み合わせた場合の A S Tの残存率は 7 8 %で、 A L Tの残存率.. は 7 9 %、 バリ ンを 2 0 mm o 1 ZLに対してプロ リ ンを l O O mm o 1 / Lと して組み合わせた場合の A S Tの残存率は 8 4 %で、 A L Tの 残存率は 8 5 %、 ノ リ ンを 2 0 mm o 1 /Lに対してプロ リ ンを 3 0 0 mm o 1 / Lと して組み合わせた場合の A S Tの残存率は 9 0 %で、 A L Tの残存率は 9 2 %、 ノくリ ンを 2 0 mm o 1 / Lに対してプロ リ ンを 5 0 0 mm o 1 Z Lと して組み合わせた場合の A S Tの残存率は 9 4 % で、 A L Tの残存率は 9 4 %であった。
以上よりパリ ンとプロ リ ンとを組み合わせて用いる場合には、 パリ ン を 5〜 2 0 mm o 1 /L、 プロ リ ンを 1 0〜 5 0 0 mm o 1 /Lとする のがよく、 組み合わせられた総量が 1 5〜 5 2 0 mm o 1 /Lとするの がよいことが判った。 またこの濃度では、 比重、 粘度等はヒ ト血清に近 似したものであった。 実施例 5
起源の異なる A S T、 A L Tに対するバリ ン、 プロ リ ンの安定化効果の 確認
ヒ ト血清ベースに安定化成分と してバリ ンを 1 O mm o 1 /L、 プロ リ ンを 3 0 O mm o 1 /L含有させたもの、 及び含有させないものを作 り、 これらに対して起源の異なる幾つかの A S T、 A L Tをそれぞれ約 1 0 0 U / Lになるよ うに加え、 コン ト口ール物質を作製した。 各コン トロール物質を 4 5 °Cで 4 日間保存し、 残存活性を測定した、 A S T、 A L Tの活性測定は実施例 1 と同様に操作を行った。 その結果を表 5に 示す。
表 5から明らかなように、 各種起源の異なる A S T、 A L Tに対して もパリ ン、 プロ リ ンによる安定化効果があることがわかった。
産業上の利用可能性
本発明の酵素の安定化方法及び酵素組成物は、 医療検査に用いられる コン ト ロール物質に関わるものであり 、 血清中や緩衝液中或いは可溶性 蛋白質溶液等の媒体中に含有せられる A S Tや A L Tを十分に安定化さ せることから、 医療の臨床検査分野において正確で安定した検査値を得 るための方法、 或いは材料を提供することで、 産業上の利用可能性があ る。
J 〇
,
1 Sひ
aヽ 安定化成分 媒 体
B S Aベース ヒ ト血清ベース
A S T残 A S T残 A S T残
存率 存率 存率
( % ) ( % ) ( % )
無添カロ 5 3 3 2 4 1 2 0 ノくリ ン 8 5 6 2 7 1 5 5 プロ リ ン 7 3 6 1 5 4 3 5 ァラニン 3 9 2 8 3 3 1 5 ロイシン 4 6 2 8 4 0 2 0 イ ソロイシン 5 0 2 8 4 2 1 8 メチォニン 4 8 3 1 4 0 2 0 ト リ ブ トファン 5 2 3 0 3 8 1 8 フエ二ルァラニン 5 3 3 1 4 0 1 9 グリ シン 5 3 3 0 4 0 1 9 セ リ ン 5 2 3 2 4 0 t J 1 9 ト レオニン 5 0 3 1 3 7 1 8 システィ ン 4 7 2 4 3 2 1 4」 « チロシン 4 9 3 1 4 0 1 8 ァスパラギン 4 1 2 5 3 7 1 4 グルタ ミ ン 4 3 1 5 3 2 1 7 リ ジン 5 3 3 1 3 9 2 0 ヒ スチジン 4 7 2 8 3 6 1 5 アルギニン 5 0 3 0 3 9 1 8 ァスパラギン酸 3 2 2 3 2 0 1 3 グルタ ミ ン酸 3 1 2 8 2 5 1 5
表 2
矫 表 3 安定化成分 媒 体
B S Aベース ヒ ト血清ベース ブロ リ ン濃度 A S T残 A L T残 A S T残
( m m o 1 / L 存率 存率 存率
) (%) (%) (%)
0 5 3 3 2 4 1 2 0
0. 5 6 0 4 1 4 9 3 4
1 0 6 5 5 7 5 4 4 3
1 0 0 7 4 6 9 6 7 6 5
3 0 0 8 4 8 4 8 2 8 3
5 0 0 8 4 8 5 8 5 8 8
表 4
由 来 残存率 (%)
安定化成分無し 安定化成分有り
A S T ヒ ト肝遺伝子組換体 4 1 9 0
A S T ブタ心筋 4 4 9 3
A S T ヒ ト心筋' 4 3 9 4
A L T ヒ ト肝遺伝子組換体 2 0 9 2
A L T ブタ心筋 2 1 9 1
A L T ヒ ト心筋 2 0 9 0