JP4489400B2 - 試薬の安定化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化発色剤であるN,N,N',N',N'',N''-ヘキサ(3-スルホプロピル)-4,4''-トリアミノトリフェニルメタン塩を溶液中で安定化する方法に関する。
生体成分をはじめとする各種物質の分析において、吸光度測定を行う酵素法は極めて重要な方法として知られている。前記酵素法の中でも、例えば、分析対象成分から中間代謝物として過酸化水素を生成させ、この過酸化水素量を測定し、過酸化水素量から前記分析対象成分の量を換算する方法が広く採用されている。前記過酸化水素の量は、一般に、トリンダー試薬等の酸化により発色する基質(発色基質)の存在下、前記過酸化水素をペルオキシダーゼ(POD)で還元することに伴い、前記発色基質を酸化により発色させ、その発色程度を測定してその測定値から算出される。
このような酵素法においては、過酸化水素量を高感度で検出することができれば、微量成分であっても成分分析が可能となるため、高感度の測定方法の確立、特に高感度な発色基質が求められている。しかし、従来の発色基質、特に前記トリンダー試薬は、過酸化水素換算でのモル吸光係数が2×104〜3×104であるため、測定できる過酸化水素はμmol/Lオーダーであり、高感度な測定を実現するには不十分であった。
そこで、近年、優れた発色感度を示す基質として、N,N,N',N',N'',N''-ヘキサ(3-スルホプロピル)-4,4''-トリアミノトリフェニルヘキサソディウム塩(以下、「TPM-PS」という)が開発されている。この基質は、前記トリンダー試薬の5倍〜10倍の発色感度を持つため、例えば、従来の酵素法では分析できなかった成分についても分析が可能になると考えられている。また、高い水溶性であるため、基質試薬としての取り扱い性にも優れるという利点を有している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平6-197795号公報 特開平3-206869号公報
しかしながら、TPM-PSを前記酵素法に適用する際には、前記TPM-PSを溶液試薬として使用する必要があるが、この場合、以下のような問題が発生することが明らかになった。すなわち、TPM-PSは水に溶解すると安定性が悪くなるため、使用時に調製しても、水中の溶存酸素等により非酵素的に発色し、吸光度測定の際にバックグラウンドが上昇してしまい、測定精度が低下、もしくは測定不能となってしまうのである。また、このような酵素法に使用する発色基質は、測定を簡便にするために溶液状態で保存するのが通常であるが、前述のように溶液状態では不安定となるため、保存によって、経時的に前記非酵素的な発色が増加し、試薬として使用すること自体が不可能になってしまう。
さらに、測定の簡便化のため、TPM-PSとPODとの混合試薬を調製した場合には、TPM-PSはより一層不安定化され、例えば、POD非共存下と比較して6〜10倍の発色が生じることもわかった。また、近年、糖化ヘモグロビン等の糖化タンパク質を分析する方法として、タンパク質の糖化部分にフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(以下、「FAOD」という)を作用させ、糖の遊離に伴って発生する過酸化水素を、前記PODを用いて測定することによって、糖化タンパク質を測定する酵素法も実用化されている。この場合もPODと同様に、発色基質であるTPM-PSとFAODとの混合試薬の調製が考えられるが、FAODを共存させた場合にも、TPM-PSがより一層不安定化され、非酵素的な発色が発生することもわかった。
そこで、本発明の目的は、TPM-PSを溶液中で安定化する方法および溶液試薬の提供である。
前記目的を達成するために、本発明のTPM-PS(N,N,N',N',N'',N''-ヘキサ(3-スルホプロピル)-4,4''-トリアミノトリフェニルメタン塩)の安定化方法として、以下に示す4つの方法があげられる。
第1の本発明の安定化方法は、TPM-PSを溶液中で安定化する方法であって、
前記溶液中で、TPM-PSと、Bis-Tris、ADA(N-(2-Acetamido)iminodiacetic acid)、TEA、PIPES(Piperazine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid))、MOPSO(2-Hydroxy-3-morpholinopropanesulfonic acid)、BES(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)-2-aminoethanesulfonic acid)、MOPS(3-Morpholinopropanesulfonic acid)、TES( N-Tris(hydroxymethyl)methyl-2-aminoethanesulfonic acid)、HEPES(2-[4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid)、DIPSO(3-[N,N-Bis(2-hydroxyethyl)amino]-2-hydroxypropanesulfonic acid)、POPSO(Piperazine-1,4-bis(2-hydroxy-3-propanesulfonic acid),dihydrate)、HEPPSO(2-Hydroxy-3-[4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazinyl]propanesulfonic acid,monohydrate)、EPPS(3-[4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazinyl]propanesulfonic acid)、Tris(2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3-propanediol Tris(hydroxymethyl)aminomethane)、Tricine(N-[Tris(hydroxymethyl)methyl]glycine)、TAPS(N-tris(hydroxymethyl)methyl-3-aminopropanesulfonic acid)、CyDTA(トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N',N'-テトラ酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EDDP(Tthylenediamine-N, N' -dipropionic acid, dihydrochloride)、EGTA(O, O'-Bis(2-aminoethyl) ethyleneglycol -N, N, N', N' -tetraacetic acid)、HIDA(N- (2 -Hydroxyethyl) iminodiacetic acid)、IDA(Iminodiacetic acid)、NTA(ニトリロトリ酢酸)、TTHA(Triethylenetetramine -N, N, N', N'', N''', N''' -hexaacetic acid)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OH(1,3-Diamino-2-hydroxypropane-N,N,N',N'-tetraacetic acid)からなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤とを共存させることを特徴とする。
第2の本発明の安定化方法は、PODの共存下、TPM-PSを溶液中で安定化する方法であって、前記溶液中で、TPM-PSおよびPODと、Bis-Tris、ADA、TEA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、HEPES、Tricine、Bicine(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)glycine)、MES、DIPSO、TAPSO、TAPS、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OHからなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤とを共存させることを特徴とする。
第3の本発明の安定化方法は、PODおよびフルクトシルアミノ酸オキシダーセ゛(以下、「FAOD」という)の共存下、TPM-PSを溶液中で安定化する方法であって、前記溶液中で、TPM-PS、PODおよびFAODと、MES、ADA、PIPES、MOPSO、HEPES、MOPS、TAPSO、Tricine、Bicine、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OHからなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤とを共存させることを特徴とする。
第4の本発明の安定化方法は、FAODの共存下、TPM-PSを溶液中で安定化する方法であって、前記溶液中で、TPM-PSおよびFAODと、MES、ADA、PIPES、MOPSO、MOPS、HEPES、DIPSO、TAPSO、Tricine、TAPS、Bicine、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OHからなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤とを共存させることを特徴とする。
さらに本発明の溶液試薬は、以下に示す4つの試薬があげられる。
第1の本発明の溶液試薬は、TPM-PSを含む溶液試薬であって、さらに、Bis-Tris、ADA、TEA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tris、Tricine、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OHからなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤を含有することを特徴とする。
第2の本発明の溶液試薬は、PODおよびTPM-PSを含む溶液試薬であって、さらに、Bis-Tris、ADA、TEA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、HEPES、Tricine、Bicine、MES、DIPSO、TAPSO、TAPS、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OHからなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤を含有することを特徴とする。
第3の本発明の溶液試薬は、POD、FAODおよびTPM-PSを含む溶液試薬であって、さらに、MES、ADA、PIPES、MOPSO、HEPES、MOPS、TAPSO、Tricine、Bicine、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OHからなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤を含有することを特徴とする。
第4の本発明の溶液試薬は、FAODおよびTPM-PSを含む溶液試薬であって、さらに、MES、ADA、PIPES、MOPSO、MOPS、HEPES、DIPSO、TAPSO、Tricine、TAPS、Bicine、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K)ならびにこれらの水酸化物(例えば、EDTA-OH)、およびDPTA-OHからなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤を含有することを特徴とする。
このように、TPM-PSを各種安定化剤と共存させれば、そのメカニズムは不明であるが、溶液状態におけるTPM-PSの非酵素的な自然発色を抑制できるため、溶液試薬としてTPM-PSを使用した場合でも、自然発色によって、発色反応の測定精度の低下を防止できる。また、また、液体状態での保存も可能になる。このため、極めて測定感度に優れるにもかかわらず、実用化が困難であったTPM-Pが、溶液状態で前述のような酵素法に使用可能となるため、測定操作が容易かつ簡便になり、測定感度の向上も実現できる。したがって、特に微量成分の分析等に有用な、TPM-PSの液体試薬を提供できる。
本発明の安定化方法および溶液試薬について以下に具体的に説明する。なお、本発明において、前記TPM-PSとしては、例えば、N,N,N',N',N'',N''-ヘキサ(3-スルホプロピル)-4,4''-トリアミノトリフェニルメタンヘキサソディウム塩(例えば、商品名TPM-PS;同仁化学社製)が使用できるが、ナトリウム塩には限定されない。なお、TPM-PSは、酸化により発色し、その発色は波長591nmに吸収を有するため、前記波長で吸光度を測定すればその発色程度を測定できる。
まず、本発明の第1の安定化方法および第1の溶液試薬について説明する。前記第1の安定化方法は、前述のように、溶液中でTPM-PSを安定化する方法であって、溶液中で前記各種安定化剤をTPM-PSと共存させればよく、例えば、水系溶媒に、TPM-PSおよび前記安定化剤を溶解したTPM-PS含有溶液を調製することによって行うことができる。前記安定化剤を共存させれば、TPM-PSのみを水に溶解した溶液に比べて、TPM-PSが安定化され、極めて非酵素的な発色が抑制できる。このため、例えば、発色反応時にバックグラウンドが上昇することを抑制でき、また、溶液状態での保存も可能になる。したがって、このような方法で安定化されたTPM-PSは、溶液試薬として有用となる。
例えば、前記TPM-PSのみを水に溶解した溶液(以下「TPM-PS水溶液」という)の発色程度(例えば、591nmにおける吸光度)を100%とした場合に、約5〜90%程度の発色程度に抑制できる。具体的には、0〜25℃で1年間放置した場合、TPM-PS水溶液に比べて、約5〜60%程度の発色程度に抑制できる。なお、保存する場合、その温度は特に制限されないが、例えば、0〜10℃であり、好ましくは0〜4℃である。
前記安定化剤であるBis-Tris、ADA、TEA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tris、Tricine、TAPS、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K等)、これらの水酸化物(例えば、EDTA-OH等)、DPTA-OHの中でも、好ましくはADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、DIPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、TAPS、DTPA、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、EDTA-2K、DPTA-OH、EDTA-OHであり、より好ましくはADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、DIPSO、Tricine、TAPS、DTPA、EGTA、HIDA、TTHA、DPTA-OHである。なお、これらの安定化剤は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記水系溶媒としては、水が好ましく、例えば、予め、水に、前記各種安定化剤を溶解した溶液を調製しておき、これにTPM-PSを溶解することが好ましい。
前記溶液におけるTPM-PS濃度は、例えば、0.03〜1.0mMの範囲であり、好ましくは0.125〜0.25mMの範囲である。一方、各種安定化剤の濃度は、例えば、TPM-PS濃度や、安定化剤の種類(特に安定化剤がキレート剤に属するか、緩衝剤に属するか)等に応じて適宜決定できるが、例えば、25〜300mMの範囲である。具体的には、前記安定化剤が、例えば、キレート剤に属する場合、前記溶液中において25〜300mMの範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜300mMであり、特に好ましくは300mMである。また、安定化剤が、例えば、キレート剤に属する場合、10〜100mMの範囲が好ましく、特に25〜50mM程度が好ましい。
前記溶液におけるTPM-PS(A)と安定化剤(B)の比率(モル比A:B)は、例えば、1:25〜1:10,000の範囲であり、好ましくは1:100〜1:10,000の範囲、より好ましくは1:100〜1:2400の範囲である。具体的には、TPM-PS濃度0.25mMの場合、前記安定化剤ADAを300mMとすることが好ましく、前記安定化剤DTPAを25〜50mMとすることが好ましい。
前記溶液のpHは、特に制限されず、前記安定化剤の種類に応じて適宜決定できるが、例えば、pH7〜10であり、好ましくはpH7〜9である。
前記溶液には、安定化をさらに向上できることから、さらに安定化促進剤としてチオシアン酸カリウム(KSCN)を共存させることが好ましい。これによって、安定化剤のみ(チオシアン酸カリウム非存在)における発色を、さらに70%〜90%程度抑制することができる。前記溶液におけるKSCN濃度は、例えば、TPM-PS濃度が0.125〜0.25mMの範囲の場合、10〜200mMの範囲であり、好ましくは10〜100mMの範囲、より好ましくは20〜50mMの範囲である。前記安定化剤(B)と安定化促進剤(C)との比率(モル比B:C)は、例えば、30:1〜3:1の範囲であり、好ましくは15:1〜6:1の範囲である。また、TPM-PS(A)と安定化促進剤(C)との比率(モル比A:C)は、例えば、1:80〜1:400の範囲である。
前記溶液には、前述のようなPOD等を使用した酵素反応において、TPM-PSの測定感度を向上できることから、さらにアジ化ナトリウムを共存させることが好ましい。これによって、TPM-PS含有溶液を本発明の溶液試薬として酵素反応に使用した際に、あわせて測定感度を向上することもできる。なお、後述する第2〜第4の安定化方法においても同様である。
このようにTPM-PSの安定化のために、水性溶媒中でTPM-PSおよび前記安定化剤を共存させた溶液が、本発明の第1の溶液試薬となる。この溶液試薬における各成分の濃度は、例えば、前述と同様の範囲であり、使用の際には酵素反応の条件に合わせて適宜希釈することができる。また、この溶液試薬は、従来公知の酵素法における、発色基質試薬と同様に使用することができ、その用途や取り扱いは特に制限されない。なお、後述する第2〜第4の溶液試薬も同様である。
つぎに、本発明の第2の安定化方法および第2の溶液試薬について具体的に説明する。なお、特に示さない限りは、前記第1の安定化方法と同様の条件で行うことができる。前記第2の安定化方法は、前述のように、溶液中で、前述のような各種安定化剤と、TPM-PSおよびPODとを共存させればよく、例えば、水系溶媒に、TPM-PS、PODおよび前記安定化剤を溶解したTPM-PS含有溶液を調製することによって行うことができる。このような方法によれば、例えば、前記TPM-PSのみを溶解したTPM-PS水溶液の発色程度(例えば、591nmにおける吸光度)を100%とした場合に、約10〜65%程度の発色程度に抑制できる。具体的には、0〜4℃で1年間放置した場合、TPM-PS水溶液に比べて、約10〜65%程度の発色程度に抑制できる。
前記安定化剤であるBis-Tris、ADA、TEA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、HEPES、Tricine、Bicine、MES、DIPSO、TAPSO、TAPS、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K等)、これらの水酸化物(例えば、EDTA-OH等)、DPTA-OHの中でも、好ましくはBis-Tris、ADA、TEA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、HEPES、Tricine、Bicine、MES、CyDTA、DTPA、EGTA、IDA、NTA、TTHA、EDTA-2K、DPTA-OH、EDTA-OHであり、より好ましくはADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、HEPES、Tricine、DTPA、IDA、NTA、DPTA-OHである。なお、これらの安定化剤は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記溶液におけるPOD濃度は、例えば、10〜100KU/Lの範囲であり、好ましくは50〜70KU/Lの範囲、より好ましくは67KU/Lである。また、TPM-PS 0.25mMに対する添加割合は、例えば、10〜100KUの範囲であり、好ましくは50〜70KUの範囲である。
前記溶液には、安定化をさらに向上できることから、さらに安定化促進剤としてNaCl、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびチオシアン酸カリウム(KSCN)等を共存させることが好ましい。これによって、安定化剤のみ(安定化促進剤非存在)における非酵素的な発色を、さらに30%〜50%程度抑制することができる。中でも、NaCl、KSCNが好ましい。前記溶液における安定化促進剤の濃度は、特に制限されないが、例えば、NaClや硝酸ナトリウムの場合、300〜1000mMの範囲が好ましく、より好ましくは300〜700mMの範囲であり、KSCNの場合、10〜200mMの範囲が好ましく、より好ましくは10〜100mMの範囲、特に好ましくは20〜50mMの範囲である。また、硫酸ナトリウムの場合は、例えば、100〜500mMの範囲が好ましい。これらの安定化促進剤は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。なお、後述する第3および第4の安定化方法においても同様である。
このようにTPM-PSの安定化のために、水性溶媒中でTPM-PS、PODおよび前記安定化剤を共存させた溶液が、本発明の第2の溶液試薬となる。この溶液試薬における各成分の濃度は、例えば、前述と同様の範囲であり、使用の際には酵素反応の条件に合わせて適宜希釈することができる。
つぎに、本発明の第3の安定化方法について具体的に説明する。なお、特に示さない限りは、前記第1および第2の安定化方法と同様の条件で行うことができる。前記第3の安定化方法は、前述のように、溶液中で、前述のような各種安定化剤と、TPM-PS、PODおよびFAODとを共存させればよく、例えば、水系溶媒に、TPM-PS、POD、FAODおよび前記安定化剤を溶解したTPM-PS含有溶液を調製することによって行うことができる。このような方法によれば、例えば、前記TPM-PSのみを溶解したTPM-PS水溶液の発色程度(例えば、591nmにおける吸光度)を100%とした場合に、約5〜80%程度の発色程度に抑制できる。具体的には、0〜4℃で1年間放置した場合、TPM-PS水溶液に比べて、約5〜40%程度の発色程度に抑制できる。
前記安定化剤であるMES、ADA、PIPES、MOPSO、HEPES、MOPS、TAPSO、Tricine、Bicine、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K等)、これらの水酸化物(例えば、EDTA-OH等)、DPTA-OHの中でも、好ましくはMES、ADA、PIPES、MOPSO、HEPES、DTPA、IDA、TTHA、EDTA-2K、DPTA-OH、EDTA-OHである。なお、これらの安定化剤は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記溶液におけるPOD濃度は、例えば、前記第2の安定化方法と同様であり、一方、前記溶液におけるFAOD濃度は、例えば、PODとの比率によって設定できる。POD(E)とFAOD(F)との比率(活性比E:F)は、例えば、10:18〜100:18の範囲であり、好ましくは50:18〜70:18の範囲である。具体的には、前記溶液におけるFAOD濃度は、10〜50KU/Lが好ましく、より好ましくは18KU/L程度である。
前記FAODとしては、下記式(1)の反応を触媒する酵素であればよく、その起源は特に制限されないが、例えば、市販品である商品名FAOX−E(キッコーマン社製)、FOD(旭化成社製)等が使用できる。
1−CO−CH2−NH−R2 + H2O + O2
→ R1−CO−CHO + NH2−R2 + H22 …(1)
前記式(1)において、R1は、水酸基もしくは糖化反応前の糖に由来する残基(糖残基)を示す。前記糖残基(R1)は、反応前の糖がアルドースの場合はアルドース残基であり、反応前の糖がケトースの場合、ケトース残基である。例えば、反応前の糖がグルコースの場合は、アマドリ転位により、反応後の構造はフルクトース構造をとるが、この場合、糖残基(R1)は、グルコース残基(アルドース残基)となる。この糖残基(R1)は、例えば、 −[CH(OH)]n−CH2OH で示すことができ、nは、0〜6の整数である。
前記式(1)において、R2は、特に制限されないが、例えば、糖化アミノ酸、糖化ペプチドまたは糖化タンパク質の場合、α−アミノ基が糖化されている場合と、それ以外のアミノ基が糖化されている場合とで異なる。
前記式(1)において、α−アミノ基が糖化されている場合、R2は、下記式(2)で示すアミノ酸残基またはペプチド残基である。
−CHR3−CO−R4 …(2)
前記式(2)において、R3はアミノ酸側鎖基を示す。また、R4は水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基を示し、例えば、下記式(3)で示すことができる。下記式(3)において、nは、0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CHR3−CO)n−OH …(3)
また、前記式(1)において、α−アミノ基以外のアミノ基が糖化されている(アミノ酸側鎖基が糖化されている)場合、R2は下記式(4)で示すことができる。
−R5−CH(NH− R6)−CO−R7 …(4)
前記式(4)において、R5は、アミノ酸側鎖基のうち、糖化されたアミノ基以外の部分を示す。例えば、糖化されたアミノ酸がリジンの場合、R5
−CH2−CH2−CH2−CH2− であり、
例えば、糖化されたアミノ酸がアルギニンの場合、R5は、
−CH2−CH2−CH2−NH−CH(NH2)− である。
また、前記式(4)において、R6は、水素、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(5)で示すことができる。なお、下記式(5)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(CO−CHR3−NH)n−H …(5)
また、前記式(4)において、R7は、水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(6)で示すことができる。なお、下記式(6)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CHR3−CO)n−OH …(6)
このようにTPM-PSの安定化のために、水性溶媒中でTPM-PS、POD、FAODおよび前記安定化剤を共存させた溶液が、本発明の第3の溶液試薬となる。この溶液試薬における各成分の濃度は、例えば、前述と同様の範囲であり、使用の際には酵素反応の条件に合わせて適宜希釈することができる。
この第3の溶液試薬は、PODに加えてFAODを含有することから、特に糖化ヘモグロビンや糖化アルブミン等の糖化タンパク質の測定に有用である。例えば、糖化タンパク質に、前記第3の溶液試薬を添加すれば、前記試薬中のFAODによって、糖化タンパク質から糖が遊離されるとともに過酸化水素酸化が発生し、発生した過酸化水素をPODが還元することに伴い、TPM-PSが酸化により発色する。この発色程度を測定することによってタンパク質の糖化量が決定できる。
つぎに、本発明の第4の安定化方法について具体的に説明する。なお、特に示さない限りは、前記第1〜第3の安定化方法と同様の条件で行うことができる。前記第4の安定化方法は、前述のように、溶液中で、前述のような各種安定化剤と、TPM-PSおよびFAODとを共存させればよく、例えば、水系溶媒に、TPM-PS、FAODおよび前記安定化剤を溶解したTPM-PS含有溶液を調製することによって行うことができる。このような方法によれば、例えば、前記TPM-PSのみを溶解したTPM-PS水溶液の発色程度(例えば、591nmにおける吸光度)を100%とした場合に、約2〜30%程度の発色程度に抑制できる。具体的には、0〜4℃で1年間放置した場合、TPM-PS水溶液に比べて、約2〜10%程度の発色程度に抑制できる。
前記溶液におけるFAOD濃度は、例えば、10〜50KU/Lの範囲であり、好ましくは15〜20KU/Lの範囲である。また、TPM-PS 0.25mMに対する添加割合は、例えば、10〜50KUの範囲であり、好ましくは15〜20KUの範囲である。
前記安定化剤であるMES、ADA、PIPES、MOPSO、MOPS、HEPES、DIPSO、TAPSO、Tricine、TAPS、Bicine、CyDTA、DTPA、EDDP、EGTA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、EDTA、これらの塩(例えば、EDTA-2K等)、これらの水酸化物(例えば、EDTA-OH等)、DPTA-OHの中でも、好ましくはADA、DTPA、HIDA、IDA、NTA、TTHA、DPTA-OH、EDTA-OHである。
このようにTPM-PSの安定化のために、水性溶媒中でTPM-PSおよび前記安定化剤を共存させた溶液が、本発明の第4の溶液試薬となる。この溶液試薬における各成分の濃度は、例えば、前述と同様の範囲であり、使用の際には酵素反応の条件に合わせて適宜希釈することができる。
この第3の溶液試薬は、PODに加えてFAODを含有することから、特に糖化ヘモグロビンや糖化アルブミン等の糖化タンパク質の測定に有用である。例えば、糖化タンパク質に、前記第3の溶液試薬を添加すれば、前記試薬中のFAODによって、糖化タンパク質から糖が遊離されるとともに過酸化水素酸化が発生し、発生した過酸化水素をPODが還元することに伴い、TPM-PSが酸化により発色する。この発色程度を測定することによってタンパク質の糖化量が決定できる。
なお、以下に本発明の安定化方法について、以下の実施例および比較例を用いてさらに説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PSのみ)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表1および2に記載する緩衝剤を使用した。また、TPM-PSは、商品名TPM-PS(同仁化学社製)を使用した(以下、同じ)。
溶媒として水を使用し、下記表1および2に示すTPM-PS試薬サンプル(TPM-PS濃度 150mM : 安定化剤濃度 150mM, 300mM)を調製し、これを7日間保存した。保存温度は、安定化剤濃度150mMの場合は25℃、安定化剤濃度300mMの場合は4℃とした。そして、前記TPM-PS試薬について、保存開始時と保存7日後の吸光度をそれぞれ測定し(測定波長571nm)、その吸光度変化量を求めた。
前記吸光度測定は、自動分析装置(商品名Bio Majesty8 :日本電子社製)を用いて、以下に示す方法によって行った。まず、前記自動分析装置により、自動的に、測定対象溶液(蒸留水)8.4μLに蒸留水75.6μLを添加して37℃で5分間インキュベートした後、前記保存後のTPM-PS試薬サンプル18.9μLを添加した。この反応液を37℃でインキュベートし、前記サンプル添加2.5分後における前記反応液の吸光度を測定した。一方、未保存のTPM-PS試薬サンプルについても同様に吸光度測定を行い、前記保存後のサンプルについての吸光度から、前記未保存のサンプルについての吸光度を差し引き、これを7日間の保存による吸光度の変化量とした。なお、この方法において、TPM-PS試薬サンプルは5.44倍に希釈されたこととなる。また、TPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液を調製し、これについても同様にして吸光度測定を行った。そして、この7日間の保存による吸光度の変化量を365/7倍し、1年間の吸光度増加量を換算した。この1年間の吸光度増加量(換算値)、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルの吸光度増加量(換算値)の増加比率を、それぞれ下記表1および2に示す。なお、下記表1は、TPM-PS試薬サンプルにおける安定化剤濃度が150mM、保存温度25℃の結果であり、下記表2は、前記安定化剤濃度が300mM、保存温度4℃の結果である。
(表1)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率
(150mM) (1年間)
1-1 Bis-Tris 6.65 0.447 0.54
1-2 ADA 6.77 0.445 0.53
1-3 TEA 6.99 0.441 0.53
1-4 PIPES 7.0 0.392 0.47
1-5 MOPSO 7.12 0.482 0.58
1-6 BES 7.25 0.379 0.45
1-7 MOPS 7.28 0.423 0.51
1-8 TES 7.6 0.751 0.90
1-9 HEPES 7.68 0.297 0.36
1-10 DIPSO 7.74 0.630 0.76
1-11 POPSO 8.0 0.160 0.19
1-12 HEPPSO 8.05 0.135 0.19
1-13 EPPS 8.22 0.245 0.29
1-14 Tris 8.36 0.451 0.54
1-15 Tricine 8.25 0.322 0.39
1-16 Bicine 8.48 0.044 0.05
1-17 MES 6.3 2.821 3.38
1-18 ACES 6.98 1.096 1.31
1-19 Imidazole 7.15 5.446 6.53
1-20 TAPSO 7.82 1.049 1.26
水 - 0.834 1.0

(表2)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率
(300mM) (1年間)
1-21 ADA 7.0 0.033 0.10
1-22 PIPES 7.0 0.049 0.16
7.5 0.109 0.34
1-23 MOPSO 7.0 0.090 0.28
7.5 0.046 0.14
1-24 BES 7.0 0.028 0.09
7.5 0.034 0.11
1-25 MOPS 7.5 0.032 0.10
8.0 0.029 0.09
1-26 DIPSO 8.0 0.024 0.08
1-27 Tricine 8.5 0.019 0.06
1-28 TAPS 8.5 0.037 0.12
1-29 MES 7.0 0.453 1.43
1-30 ACES 8.0 1.926 6.06
水 - 0.318 1.0

表1に示すように、サンプル(1-1)〜(1-16)は実施例であり、水を使用したTPM−PS水溶液に比べて、非酵素的な発色による吸光度の上昇が極めて抑制された。一方、比較例であるサンプル(1-17)〜(1-20)は、著しい吸光度の増加を示した。サンプル(1-1)〜(1-16)の中でも特にPOPSO、HEPPSO、EPPS、Bicineを使用した場合に、優れた吸光度の増加抑制を示した。さらに、表1は保存温度が25℃という過酷な条件で保存した結果であるが、このような条件下でも吸光度抑制が可能であることがわかった。この結果は、保存の観点からは、例えば、0〜4℃付近での安定化向上が望ましいが、TPM-PSは酵素反応時におけるバックグラウンドの増加という問題もあるため、本実施例のように25℃の酵素反応温度においても吸光度増加が抑制されるということは、本発明のTPM-PS試薬が極めて有用であることを示しているといえる。また、表2に示すように、サンプル(1-21)〜(1-28)は実施例であり、水を使用したTPM−PS水溶液に比べて、非酵素的な酸化による吸光度の上昇が極めて抑制された。一方、比較例であるサンプル(1-29)〜(1-30)は、著しい吸光度の増加を示した。サンプル(1-21)〜(1-28)の中でも、特にADA、BES、MOPS、DIPSO、Tricineを使用した場合に、優れた吸光度の増加抑制を示した。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PS+POD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表3および4に記載する緩衝剤を使用した。
溶媒として水を使用し、下記表3および4に示すTPM-PS試薬サンプル(POD濃度 67KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM : 安定化剤濃度 150mM, 300mM)を調製した以外は、前記実施例1と同様にして、前記サンプルの保存および吸光度の測定を行った。なお、保存温度は、安定化剤濃度150mMの場合は25℃、安定化剤濃度300mMの場合は4℃とした。この7日間の保存による吸光度変化量から換算した1年間の変化量、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルの吸光度増加量(換算値)の増加比率を下記表3および4に示す。なお、下記表3は、サンプルにおける安定化剤濃度が150mMの結果であり、下記表4は、前記安定化剤濃度が300mMの結果である。
また、調製時のTPM-PS試薬サンプルを用いて、過酸化水素溶液についてPOD反応を行い、反応液の吸光度を測定した。具体的には、実施例1に記載した吸光度測定の方法において、測定対象溶液として、蒸留水8.4μLに代え、14μM過酸化水素溶液8.4μLを使用した以外は同様にして吸光度を測定した。そして、この吸光度から、ブランク(蒸留水8.4μLを用いた場合の吸光度)を差し引いた吸光度を下記表3および4に示す。なお、反応時における過酸化水素の終濃度は1μMとした。
(表3)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 H2O2測定値
(150mM) (1年間)
2-1 Bis-Tris 6.65 3.65 0.45 0.123
2-2 ADA 6.77 1.37 0.17 0.105
2-3 TEA 6.99 2.18 0.25
2-4 PIPES 7.0 2.07 0.25 0.156
2-5 MOPSO 7.12 3.46 0.42 0.152
2-6 BES 7.25 2.92 0.36 0.143
2-7 MOPS 7.28 2.86 0.35 0.159
2-8 HEPES 7.68 3.71 0.45 0.148
2-9 Tricine 8.25 5.34 0.65 0.153
2-10 MES 6.3 8.10 0.99
2-11 ACES 6.98 9.78 1.19 0.158
2-12 Imidazole 7.15 9.27 1.13
2-13 TES 7.6 9.98 1.22 0.162
2-14 POPSO 8.0 72.99 8.91 0.046
2-15 HEPPSO 8.05 58.21 7.10 0.073
2-16 EPPS 8.22 60.97 7.44 0.116
2-17 Tris 8.36 14.49 1.77
2-18 TAPSO 8.57 11.24 1.37
水 - 8.19 1.0 0.161

(表4)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 H2O2測定値
(300mM) (1年間)
2-19 MES 7.0 0.382 0.23 0.119
2-20 ADA 7.0 0.384 0.23 0.045
2-21 PIPES 7.0 0.367 0.22 0.113
7.5 0.172 0.10 0.106
2-22 MOPSO 7.0 0.195 0.11 0.116
7.5 0.264 0.16 0.111
2-23 BES 7.0 0.188 0.11 0.097
7.5 0.183 0.11 0.079
2-24 MOPS 7.5 0.202 0.12 0.110
2-25 HEPES 8.0 0.209 0.12 0.065
2-26 DIPSO 8.0 0.213 0.13 0.034
2-27 TAPSO 8.0 1.097 0.65 0.112
2-28 Tricine 8.5 0.202 0.12 0.093
2-29 TAPS 8.5 0.503 0.30 0.111
水 - 1.699 1.0 0.128

表3においては、サンプル(2-1)〜(2-10)が実施例であり、その他のサンプルが比較例であり、表4においてはサンプル(2-19)〜(2-29)が実施例である。
TPM-PSをPODのみと水中で共存させると、TPM-PSは著しく不安定化するため、水に溶解した時点で、TPM-PS単独の場合に比べて約5倍〜10倍の非酵素的な着色が生じる。しかし、表3および表4に示すように、各実施例によれば、水を使用したTPM−PS水溶液に比べて吸光度の上昇が抑制された。これに対して、比較例では、著しい吸光度の増加を示した。また、表4に示すように、各種安定化剤の濃度を増加することによって、より一層吸光度の上昇が抑制されたといえる。前記サンプル(2-1)〜(2-10)の中でも、特にADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、Tricineが優れた効果を示し、前記サンプル(2-19)〜(2-29)の中でも、特に、PIPES(pH7.5)、MOPSO(pH7.0)、BES(pH7.0)、MOPS、Tricineが優れた効果を示した。また、過酸化水素溶液についての吸光度測定の結果から、酵素法によって過酸化水素の測定を十分な感度で行うことが出来ているため、本発明のTPM-PS試薬が発色試薬として酵素法に十分適用可能であることがわかる。なお、酸化水素溶液についての吸光度は、調製時のTPM-PS試薬サンプルを用いた結果を示したが、保存日数によってこの結果に変化はみられなかった(他の実施例においても同様)。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PS+POD+FAOD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表5および6に記載する緩衝剤を使用した。
溶媒として水を使用し、下記表5および6に示すTPM-PS試薬サンプルTPM-PS試薬サンプル(POD濃度 67KU/L :FAOD濃度18KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM : 安定化剤濃度 150mM, 300mM)を調製した以外は、前記実施例1と同様にして前記サンプルの保存および吸光度の測定を行った。なお、保存温度は、安定化剤濃度150mMの場合は25℃、安定化剤濃度300mMの場合は4℃とした。また、FAODは、商品名PAODL(キッコーマン社製)を使用した(以下、同じ)。この7日間の保存による吸光度変化量から換算した1年間の変化量、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルの吸光度増加量(換算値)の増加比率を下記表5および6に示す。なお、下記表5は、安定化剤濃度が150mMの結果であり、下記表6は、安定化剤濃度が300mMの結果である。また、前記実施例2と同様にして過酸化水素溶液を用いて吸光度の測定を行った。これらの結果を下記表5および6にあわせて示す。
さらに、調製時のTPM-PS試薬サンプル(3-6)〜(3-16)を用いて、FV(フルクトシルバリン)溶液について酵素反応を行い、反応液の吸光度を測定した。具体的には、実施例1に記載した吸光度測定の方法において、測定対象溶液として、蒸留水8.4μLに代え、14μM FV溶液8.4μLを使用した以外は同様にして吸光度を測定した。そして、この吸光度から、ブランク(測定対象溶液として蒸留水8.4μLを用いた場合の吸光度)を差し引いた吸光度を下記表6にあわせて示す。なお、反応時におけるFVの終濃度は1μMとした。
(表5)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 H2O2測定値
(150mM) (1年間)
3-1 MES 6.65 7.02 0.50 0.123
3-2 ADA 6.77 3.31 0.23 0.105
3-3 PIPES 6.99 5.53 0.39
3-4 MOPSO 7.0 6.20 0.44 0.156
3-5 HEPES 7.12 9.17 0.65 0.152
水 - 14.15 1.0 0.161

(表6)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 H2O2 FV
(300mM) (1年間) 測定値 測定値
3-6 MES 7.0 1.951 0.20 0.115 0.075
3-7 ADA 7.0 0.348 0.04 0.046 0.045
3-8 PIPES 7.0 1.223 0.13 0.107 0.081
7.5 1.119 0.11 0.103 0.088
3-9 MOPSO 7.0 2.268 0.23 0.107 0.073
7.5 1.896 0.19 0.104 0.100
3-10 MOPS 7.5 2.810 0.29 0.113 0.097
3-11 HEPES 8.0 1.353 0.14 0.076 0.068
3-12 TAPSO 8.0 4.924 0.51 0.118 0.106
3-13 Tricine 8.5 4.795 0.49 0.097 0.083
3-14 BES 7.0 30.028 3.08 0.097 0.058
7.5 26.830 2.75 0.085 0.079
3-15 DIPSO 8.0 23.392 2.40 0.040 0.041
3-16 TAPS 8.5 63.207 6.48 0.120 0.099
水 - 9.749 1.0 0.128 0.071

TPM-PSをPODのみと水中で共存させると、TPM-PSは著しく不安定化するため、水に溶解した時点で、TPM-PS単独の場合に比べて約5倍〜10倍の非酵素的な着色が生じる。しかし、表5および表6に示すように、各実施例によれば、水を使用したTPM−PS水溶液に比べて吸光度の上昇が抑制された。また、表6に示すように、各種安定化剤の濃度を増加することによって、より一層吸光度の上昇が抑制されたといえる。また、過酸化水素溶液およびFV溶液についての吸光度測定の結果から、酵素法によって過酸化水素およびFVの測定を十分な感度で行うことが出来ているため、本発明のTPM-PS試薬が発色試薬として酵素法に十分適用可能であることがわかる。なお、FV溶液についての吸光度は、調製時のTPM-PS試薬サンプルを用いた結果を示したが、保存日数によってこの結果に変化はみられなかった(他の実施例においても同様)。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PS+FAOD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表7に記載する緩衝剤を使用した。
溶媒として水を使用し、下記表7に示すTPM-PS試薬サンプル(FAOD濃度18KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM : 安定化剤濃度 300mM)を調製した以外は、前記実施例1と同様にして、前記サンプルの保存(保存温度4℃)および吸光度の測定を行った。この7日間の保存による吸光度変化量から換算した1年間の変化量、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルについての吸光度増加量(換算値)の増加比率を下記表7に示す。また、前記実施例3と同様にして、サンプルを用いてFV溶液について酵素反応を行い、反応液の吸光度を測定した。これらの結果を下記表7にあわせて示す。
(表7)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 FV測定値
(150mM) (1年間)
4-1 MES 7.0 0.558 0.60 0.079
4-2 ADA 7.0 0.256 0.27 0.043
4-3 PIPES 7.0 0.614 0.66 0.081
7.5 0.476 0.51 0.087
4-4 MOPSO 7.0 0.605 0.65 0.071
7.5 0.412 0.44 0.100
4-5 MOPS 7.5 0.482 0.52 0.095
4-6 HEPES 8.0 0.212 0.23 0.065
4-7 DIPSO 8.0 0.307 0.33 0.039
4-8 TAPSO 8.0 0.156 0.17 0.080
4-9 Tricine 8.5 0.289 0.31 0.078
4-10 TAPS 8.5 0.802 0.86 0.090
4-11 BES 7.0 1.683 1.80 0.057
7.5 0.979 1.05 0.076
水 - 0.936 1.0 0.088

TPM-PSをFAODのみと水中で共存させると、TPM-PSは著しく不安定化するため、水に溶解した時点で、TPM-PS単独の場合に比べて著しい非酵素的な着色が生じる。しかし、表7に示すように、サンプル(4-1)〜(4-10)の安定化剤を使用すれば、水を使用したTPM−PS水溶液やサンプル(4-11)の比較例に比べて吸光度の上昇が抑制された。特にTAPSOは、前記実施例1に示すように、TPM-PS単独の試薬においては吸光度の増加を抑制できないが、FAODを含むTPM-PS試薬の場合には、FAODとの共存によって吸光度の増加を抑制できるという効果を示した。また、FV溶液についての吸光度測定の結果から、酵素法によってFVの測定を十分な感度で行うことが出来ているため、本発明のTPM-PS試薬が発色試薬として酵素法に十分適用可能であることがわかる。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PSのみ)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表8に記載するキレート剤を使用した。
溶媒として水を使用し、下記表8に示すTPM-PS試薬サンプル(TPM-PS濃度 0.25mM : 安定化剤濃度 25mM)を調製し、7日間4℃で保存した以外は、前記実施例1と同様にして、前記サンプルの保存および吸光度の測定を行った。この7日間の保存による吸光度変化量から換算した1年間の変化量、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルの吸光度増加量(換算値)の増加比率を下記表8に示す。
(表8)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率
(25mM) (1年間)
5-1 ADA 8.0 0.073 0.22
5-2 Bicine 7.0 0.047 0.15
5-3 CyDTA 7.0 0.142 0.43
5-4 DPTA-OH 7.0 0.122 0.37
8.0 0.043 0.13
9.0 0.051 0.16
5-5 DTPA 8.0 0.024 0.07
9.0 0.050 0.15
5-6 EDDP 7.0 0.099 0.30
5-6 EDTA-OH 7.0 0.064 0.19
5-7 EGTA 9.0 0.045 0.14
5-8 HIDA 8.0 0.035 0.11
5-9 IDA 7.0 0.040 0.12
5-10 NTA 9.0 0.055 0.17
5-11 TTHA 7.0 0.036 0.11
5-12 EDTA-2K 7.0 0.067 0.21
5-13 EDTA 9.0 0.058 0.18
水 - 0.327 1.0

表8に示すように、サンプル(5-1)〜(5-13)によれば、水を使用したTPM−PS水溶液に比べて極めて非酵素的な酸化による吸光度の上昇が抑制された。また、実施例1における各種安定化剤に比べて、低濃度で十分な吸光度増加の抑制効果を示した。特にDTPA(pH8.0)、HIDA、TTHAは優れた効果を示した。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PS+POD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表9に記載するキレート剤を使用した。
溶媒として水を使用し、下記表9に示すTPM-PS試薬サンプル(POD濃度 67KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM : キレート剤濃度 25mM)を調製した以外は、前記実施例5と同様にして、前記サンプルの保存および吸光度の測定を行った。この7日間の保存による吸光度変化量、前記変化量から換算した1年間の変化量、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルの吸光度増加量(換算値)の増加比率を下記表9に示す。また、前記実施例2と同様にして、過酸化水素溶液(1μM)についてPOD反応を行い、吸光度を測定した。その結果を下記表9にあわせて示す。
(表9)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 H2O2測定値
(25mM) (1年間)
6-1 ADA 7.0 0.338 0.20 0.114
8.0 0.329 0.19 0.113
6-2 Bicine 7.0 0.605 0.35 0.046
6-3 CyDTA 7.0 0.291 0.17 0.086
6-4 DPTA-OH 7.0 0.266 0.15 0.080
8.0 0.133 0.08 0.096
9.0 0.080 0.05 0.064
6-5 DTPA 8.0 0.126 0.07 0.103
9.0 0.090 0.05 0.069
6-6 EDDP 7.0 0.351 0.20 0.116
6-6 EDTA-OH 7.0 0.300 0.17 0.097
6-7 EGTA 9.0 0.085 0.05 0.049
6-8 HIDA 8.0 0.316 0.18 0.090
6-9 IDA 7.0 0.191 0.11 0.057
6-10 NTA 9.0 0.115 0.07 0.087
6-11 TTHA 7.0 0.259 0.15 0.105
6-12 EDTA-2K 7.0 0.276 0.16 0.115
6-13 EDTA 9.0 0.076 0.04 0.031
水 - 1.721 1.0 0.127

前記表9に示すように、安定化剤を使用した各サンプルによれば、水を使用したTPM−PS試薬に比べて吸光度の上昇が抑制された。特に、DPTA-OH(pH8.0)、DTPA(pH8.0)、IDA、NTA、TTHA、EDTA-2Kが優れた効果を示し、中でもDPTA-OH(pH8.0)、TTHA(pH7.0)は測定感度の低下もなく極めて優れた効果を示した。また、過酸化水素溶液についての吸光度測定の結果から、酵素法によって過酸化水素の測定を十分な感度で行うことが出来ているため、本発明のTPM-PS試薬が発色試薬として酵素法に十分適用可能であることがわかる。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PS+POD+FAOD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表10に記載するキレート剤を使用した。
溶媒として水を使用し、下記表10に示すTPM-PS試薬サンプル(POD濃度 67KU/L :FAOD濃度18KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM : キレート剤濃度 25mM)を調製した以外は、前記実施例5と同様にして、前記サンプルの保存および吸光度の測定を行った。この7日間の保存による吸光度変化量から換算した1年間の変化量、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルの吸光度増加量(換算値)の増加比率を下記表10に示す。また、前記実施例2と同様にして過酸化水素溶液についてのPOD反応を行い、その反応液の吸光度を測定し、また、実施例3と同様にしてFV溶液についての酵素反応を行い、その反応液の吸光度を測定した。これらの結果を下記表10にあわせて示す。
(表10)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 H2O2 FV
(25mM) (1年間) 測定値 測定値
7-1 ADA 8.0 2.83 0.29 0.115 0.109
7-2 CyDTA 7.0 3.22 0.33 0.098 0.083
7-3 DPTA-OH 7.0 1.88 0.19 0.092 0.078
8.0 2.30 0.23 0.109 0.080
7-4 DTPA 8.0 1.67 0.17 0.115 0.076
7-5 EDDP 7.0 7.35 0.74 0.131 0.071
7-6 EDTA-OH 7.0 1.38 0.14 0.111 0.079
7-7 HIDA 8.0 2.48 0.25 0.101 0.094
7-8 IDA 7.0 0.484 0.05 0.065 0.049
7-9 TTHA 7.0 1.30 0.13 0.121 0.103
水 - 9.89 1.0 0.120 0.078

表10に示すように、各安定化剤を使用したサンプルによれば、水を使用したTPM−PS水溶液に比べて吸光度の上昇が抑制された。また、過酸化水素溶液およびFV溶液についての吸光度測定の結果から、酵素法によって過酸化水素およびFVの測定を十分な感度で行うことが出来ているため、本発明のTPM-PS試薬が発色試薬として酵素法に十分適用可能であることがわかる。
この実施例は、各種安定化剤を添加したTPM-PS試薬(TPM-PS+FAOD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。前記安定化剤としては、下記表11に記載するキレート剤を使用した。
溶媒として水を使用し、下記表11に示すTPM-PS試薬サンプル(FAOD濃度18KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM : キレート剤濃度 25mM)を調製した以外は、前記実施例5と同様にして、前記サンプルの保存および吸光度の測定を行った。この7日間の保存による吸光度変化量から換算した1年間の変化量、ならびにTPM-PSのみを水に溶解したTPM-PS水溶液についての1年間の吸光度増加量(換算値)を1とした場合の、各サンプルの吸光度増加量(換算値)の増加比率を下記表11に示す。また、前記実施例3と同様にしてFV溶液についての酵素反応を行い、吸光度を測定した。これらの結果を下記表11にあわせて示す。
(表11)
サンプル 安定化剤 pH=pKa 吸光度増加量 増加比率 FV測定値
(25mM) (1年間)
8-1 ADA 8.0 0.029 0.03 0.113
8-2 CyDTA 7.0 0.110 0.13 0.086
8-3 DPTA-OH 7.0 0.152 0.18 0.080
8.0 0.044 0.05 0.082
8-4 DTPA 8.0 0.026 0.03 0.079
8-5 EDDP 7.0 0.239 0.28 0.074
8-6 EDTA-OH 7.0 0.030 0.04 0.082
8-7 HIDA 8.0 0.027 0.03 0.097
8-9 IDA 7.0 0.089 0.10 0.050
8-10 TTHA 7.0 0.062 0.07 0.106
水 - 0.852 1.0 0.082

表11に示すように、各安定化剤を使用すれば、水を使用したTPM−PS水溶液に比べて吸光度の上昇が抑制された。特にADA、DPTA-OH(pH8.0)、DTPA(pH8.0)、EDTA-OH、HIDAは、優れた効果を示した。また、前記実施例4に比べて、より一層吸光度の上昇が抑制できた。また、FV溶液についての吸光度測定の結果から、酵素法によってFVの測定を十分な感度で行うことが出来ているため、本発明のTPM-PS試薬が発色試薬として酵素法に十分適用可能であることがわかる。
この実施例は、さらに安定化促進剤を共存させることにより、非酵素的な発色の抑制の向上を調べた例である。
下記組成のTPM-PS試薬を調製し、4℃で7日間保存した以外は、前記実施例1と同様にして、前記各試薬の吸光度測定を行い、1年間の吸光度の増加を換算した。また、ADA濃度が300mMであるTPM-PS試薬の吸光度増加量を1とした場合の、各試薬の吸光度増加量の増加比率を求めた。これらの結果を下記表12に示す。また、調製直後の前記TPM-PS試薬を用いて、前記実施例3と同様にしてFV溶液についての酵素反応を行い、吸光度を測定した。これら結果を下記表12に示す。
(TPM-PS試薬)
ADA 300 mM
POD 67 KU/L
FAOD 18 KU/L
TPM-PS 0.25 mM
添加剤 0、50mM、100mM

(表12)
安定化促進剤 吸光度増加量 増加比率 FV測定値
(1年間)
無添加(0mM) 0.365 - 0.047
100mM Na塩 NaCl 0.298 0.817 0.048
硝酸Na 0.309 0.846 0.047
硫酸Na 0.311 0.851 0.046
50mM K塩 チオシアン酸K 0.289 0.791 0.035

前記表12に示すように、TPM-PS試薬にADAを添加するだけでなく、さらに安定化促進剤としてNa塩もしくはK塩を共存させることによって、非酵素的な発色をより一層抑制できることがわかった。具体的には、安定化促進剤無添加の場合に比べて、発色程度をさらに20%程度抑制できた。また、特にNa塩を用いたTPM-PS試薬は、表12における、FV溶液についての吸光度測定の結果に示すように、安定化促進剤の添加によっても測定感度の低下が全く認められないため、安定化促進剤の添加により、TPM-PSの安定性をさらに向上させ、かつ、TPM-PS試薬を発色試薬として十分に使用でき、例えば、安定化促進剤の添加濃度を適宜設定することによってさらなる安定化の向上も可能になるといえる。
この実施例は、さらにNaClの添加により、非酵素的な発色の抑制の向上を調べた例である。
下記組成のTPM-PS試薬A、BおよびCを調製し、4℃で7日間保存した以外は、前記実施例1と同様にして、前記各試薬の吸光度測定を行い、1年間の吸光度の増加を換算した。また、ADA濃度が300mMであるTPM-PS試薬(NaCl 0mM)の吸光度増加量を1とした場合の、各試薬の吸光度増加量の増加比率を求めた。これらの結果を下記表13および表14に示す。また、調製直後のTPM-PS試薬Aを用いて、実施例3と同様にしてFV溶液についての酵素反応を行い、その吸光度を測定した。これら結果を下記表13および表14に示す。なお、表13は、TPM-PS試薬Aの結果であり、表14はTPM-PS試薬BおよびCの結果である。
(TPM-PS試薬A)
ADA 300 mM、200 mM、100 mM
POD 67 KU/L
FAOD 18 KU/L
TPM-PS 0.25 mM
NaCl 0、300mM、500mM、700mM、1000mM

(TPM-PS試薬B)
ADA 300 mM、200 mM、100 mM
POD 67 KU/L
TPM-PS 0.25 mM
NaCl 0、500mM、700mM

(TPM-PS試薬C)
ADA 300 mM、200 mM、100 mM
FAOD 18 KU/L
TPM-PS 0.25 mM
NaCl 0、500mM、700mM

(表13)
TPM-PS試薬A
ADA濃度 NaCl濃度 吸光度増加量 増加比率 FV測定値
(mM) (mM) (1年間)
300mM 0 0.394 1.0 0.046
200mM 0 0.449 1.14 0.060
300 0.301 0.76 0.049
500 0.272 0.69 0.044
700 0.261 0.66 0.041
1000 0.251 0.64 0.037
100mM 0 1.003 2.55 0.075
500 0.296 0.75 0.060
700 0.265 0.67 0.056
1000 0.248 0.63 0.051

(表14)
TPM-PS試薬B TPM-PS試薬C
ADA濃度 NaCl濃度 吸光度増加量 増加比率 吸光度増加量 増加比率
(mM) (mM) (1年間) (1年間)
300mM 0 0.382 1.0 0.256 1.0
200mM 500 0.234 0.612 0.241 0.943
100mM 700 0.222 0.581 0.228 0.889

前記表13および表14に示すように、TPM-PS試薬にADAを添加するだけでなく、さらにNaClを共存させることによって、非酵素的な発色をより一層抑制できることがわかった。中でもPODおよびFAODを含むTPM-PS試薬Aにおいては、ADA濃度200mMに対してNaCl濃度500mM、ADA濃度100mMに対してNaCl濃度700mMとした場合に、特に優れた効果を示した。なお、NaClに代えて硝酸Na、硫酸Naおよび塩化Kを添加した場合にも、同様の効果が得られた。
この実施例は、さらにKSCNの添加により、非酵素的な発色の抑制の向上を調べた例である。
下記組成のTPM-PS試薬D、TPM-PS試薬E、TPM-PS試薬Fを調製し、4℃で7日間保存した以外は、前記実施例1と同様にして、前記各試薬の吸光度測定を行い、1年間の吸光度の増加を換算した。また、ADA濃度が300mMであるTPM-PS試薬(KSCN 0mM)の吸光度増加量を1とした場合の、各試薬の吸光度増加量の増加比率を求めた。これらの結果を下記表15および表16に示す。また、調製直後のTPM-PS試薬Dを用いて、前記実施例3と同様にしてFV溶液について酵素反応を行い、反応液の吸光度を測定した。また、調製直後のTPM-PS試薬Dを用いて、前記実施例2と同様にして過酸化水素溶液についてのPOD反応を行い、反応液の吸光度を測定した。これら結果を下記表15に示す。
(TPM-PS試薬D)
ADA 300 mM、200 mM(ADA 200mMの場合のみ、さらに500mM NaCl含有)
POD 67 KU/L
FAOD 18 KU/L
TPM-PS 0.25 mM
KSCN 0、10mM、20mM、30mM、40mM、50mM

(TPM-PS試薬E)
ADA 300 mM、200 mM(ADA 200mMの場合のみ、さらに500mM NaCl含有)
TPM-PS 0.25 mM
KSCN 0、20mM、30mM、50mM

(TPM-PS試薬F)
ADA 300 mM、200 mM(ADA 200mMの場合のみ、さらに500mM NaCl含有)
POD 67 KU/L
TPM-PS 0.25 mM
KSCN 0、20mM、30mM、50mM

(表15)
TPM-PS試薬D
ADA濃度 KSCN濃度 吸光度増加量 増加比率 H2O2 FV
(mM) (mM) (1年間) 測定値 測定値
300mM 0 0.346 1.0 0.049 0.046
200mM 0 0.240 0.694 0.049 0.046
10 0.228 0.660 0.045 0.041
20 0.214 0.618 0.042 0.038
30 0.203 0.588 0.037 0.032
40 0.206 0.596 0.035 0.030
50 0.208 0.600 0.032 0.028

(表16)
TPM-PS試薬E TPM-PS試薬F
ADA濃度 KSCN濃度 吸光度増加量 増加比率 吸光度増加量 増加比率
(mM) (mM) (1年間) (1年間)
300mM 0 0.039 1.0 0.321 1.0
200mM 20 0.036 0.915 0.180 0.560
30 0.034 0.870 0.173 0.540
50 0.031 0.802 0.183 0.571

前記表15および表16に示すように、TPM-PS試薬にADAを添加するだけでなく、さらにKSCNを共存させることによって、非酵素的な発色をより一層抑制できることがわかった。中でもPODおよびFAODを含むTPM-PS試薬Aにおいては、特に優れた効果を示した。また、表15における、H2O2 およびFVの測定結果と吸光度増加量の結果との兼ね合いから、KSCN濃度が20〜50mMの低濃度で、好ましくは30mMでTPM-PSの安定性向上が可能であることがわかった。なお、安定性向上の点で好ましいKSCN濃度30mMでは、表15に示すように、若干の測定感度の低下が見られるが、実用上、測定に支障がない範囲である。なお、KSCNに代えて硝酸Na、硫酸Naおよび塩化Kを添加した場合にも、同様の効果が得られた。
この実施例は、TPM-PSと安定化剤を含むTPM-PS試薬に、さらにアジ化ナトリウムを添加することによる、TPM-PSの測定感度の向上を調べた例である。
下記組成のTPM-PS試薬(pH7.0)を調製し、調製直後の前記TPM-PS試薬を用いて、前記実施例3と同様にしてFV溶液について酵素反応を行い、反応液の吸光度を測定した。また、前記調製直後のTPM-PS試薬を用いて、前記実施例2と同様にして過酸化水素溶液についてのPOD反応を行い、反応液の吸光度を測定した。これら結果を下記表15に示す。下記表15において「DW測定値」とは、測定対象溶液として蒸留水8.4μLを使用した際のブランクの吸光度であり、「FV測定値」および「H2O2測定値」とは、前記ブランクの吸光度を差し引く前の反応液の吸光度であり、「ΔFV」および「ΔH2O2」は、前記反応液の吸光度からブランクの吸光度を差し引いた値を示す。なお、反応液におけるアシ゛化Naの最終濃度は、それぞれ、0、0.15g/L、0.37g/L、0.73g/Lとし、前記反応液における基質(FV)の最終濃度は、1.63μMとした。
(TPM-PS試薬)
ADA 200 mM
NaCl 500 mM
KSCN 30 mM
POD 67 KU/L
FAOD 18 KU/L
TPM-PS 0.25 mM
アジ化Na 0、0.2g/L、0.5g/L、1.0g/L

(表17)
NaN3濃度 DW FV ΔFV H2O2 ΔH2O2
(g/L) 測定値 測定値 (1.63μM) 測定値 (1.63μM)
0 0.0146 0.0687 0.0541 0.0741 0.0595
0.2 0.0152 0.0757 0.0605 0.0761 0.0609
0.5 0.0159 0.0784 0.0625 0.0781 0.0622
1.0 0.0165 0.0786 0.0621 0.0783 0.0618

前記表17に示すように、さらにアジ化ナトリウムを添加することによって、吸光度の増加が見られたことから、アジ化ナトリウムによってTPM-PSによる測定感度を向上できることがわかった。
この実施例は、TPM-PSと安定化剤を含むTPM-PS試薬について、非酵素的な自然発色による吸光度変化の抑制を調べた例である。
溶媒として水を使用し、下記組成のTPM-PS試薬サンプルG、H、I、Jを調製し、これを精製水で5.44倍に希釈した。この希釈液を30℃でインキュベートしながら経時的に吸光度変化を測定した。なお、安定化剤を添加しない以外は、前記試薬サンプルG、H、I、Jと同様である4種類のTPM-PS水溶液を調製し、これらについても同様にして吸光度測定を行った。これらの結果を図1〜図4に示す。図1は、TPM-PS試薬Gについての経時的な吸光度変化を示すグラフであり、図2は、TPM-PS試薬Hについての経時的な吸光度変化を示すグラフであり、図3は、TPM-PS試薬Iについての経時的な吸光度変化を示すグラフであり、図4は、TPM-PS試薬Jについての経時的な吸光度変化を示すグラフである。
(TPM-PS試薬G)
TPM-PS試薬G-1
TPM-PS 0.25mM
Tricine 300mM(pH8.5)
TPM-PS試薬G-2
TPM-PS 0.25mM
BES 300mM(pH7.0)

(TPM-PS試薬H)
TPM-PS試薬H-1
TPM-PS 0.25mM
POD 67KU/L
PIPES 300mM(pH7.5)
TPM-PS試薬H-2
TPM-PS 0.25mM
POD 67KU/L
ADA 300mM(pH7.0)

(TPM-PS試薬I)
TPM-PS試薬I-1
TPM-PS 0.25mM
POD 67KU/L
FAOD 18KU/L
ADA 300mM(pH7.0)
TPM-PS試薬I-2
TPM-PS 0.25mM
POD 67KU/L
FAOD 18KU/L
PIPES 300mM(pH7.5)

(TPM-PS試薬J)
TPM-PS試薬J-1
TPM-PS 0.25mM
FAOD 18KU/L
TAPSO 300mM(pH8.0)
TPM-PS試薬J-2
TPM-PS 0.25mM
FAOD 18KU/L
ADA 300mM(pH7.0)

各図に示すように、TPM-PS水溶液に比べて、各種安定化剤を含むTPM-PS試薬であれば、経時的な吸光度の増加を抑制できた。すなわち、TPM-PSの不安定化を抑制し、非酵素的な自然発色を防止できたといえる。
この実施例は、二種類の安定化剤を併用したTPM-PS試薬(TPM-PS+POD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。
溶媒として水を使用し、下記表18に示す二種類の安定化剤(安定化剤1+安定化剤2)を含むTPM−PS試薬サンプル(POD濃度67KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM)を調製し、4℃で45日間保存した以外は、前記実施例1と同様にして吸光度の測定を行った。この45日間の保存による吸光度変化量を365/45倍して、1年間の吸光度増加量を換算した。また、調製後の試薬サンプルについて、前記実施例2と同様にして過酸化水素溶液を用いて吸光度の測定を行った。これらの結果を下記表18に示す。
(表18)
サンプル 安定化剤1 pH 安定化剤2 pH 吸光度増加量 H2O2
(300mM) (10mM) (1年間) 測定値
8-1 Tricine 8.5 DPTA-OH 8.0 0.081 0.082
8-2 Tricine 8.5 DTPA 8.0 0.143 0.089
8-3 PIPES 7.0 IDA 7.0 0.078 0.074
8-4 MOPSO 7.0 IDA 7.0 0.085 0.084
8-5 BES 7.0 IDA 7.0 0.102 0.065
8-6 MOPS 7.5 IDA 7.0 0.156 0.080
8-7 Tricine 8.5 IDA 7.0 0.097 0.069
8-8 PIPES 7.0 TTHA 7.0 0.086 0.102
8-9 MOPSO 7.0 TTHA 7.0 0.051 0.111
8-10 BES 7.0 TTHA 7.0 0.115 0.083
8-11 MOPS 7.5 TTHA 7.0 0.035 0.103
8-12 Tricine 8.5 TTHA 7.0 0.081 0.083
8-13 PIPES 7.0 EDTA-2K 7.0 0.088 0.106
8-14 MOPSO 7.0 EDTA-2K 7.0 0.069 0.114
8-15 BES 7.0 EDTA-2K 7.0 0.094 0.088
8-16 MOPS 7.5 EDTA-2K 7.0 0.052 0.107
8-17 Tricine 8.5 EDTA-2K 7.0 0.069 0.092

前記表18に示すように、安定化剤を併用することによってTPM-PSの安定化がより一層向上した。具体的に説明すると、一種類の安定化剤のみを使用した前記実施例2における表4の結果と比較すると、1年間の吸光度増加量は、Tricine単独(2-29)では0.202、MOPSO単独(2-23)では0.195、BES単独(2-24)では0.188、MOPS単独(2-25)では0.202であったのに対して、さらにDPTA-OH、DTPA、IDA、TTHA、EDTA-2Kのいずれかを10mMさらに添加するのみによって、0.035〜0.156の増加量に低減することが出来たのである。また、二種類の安定化剤を併用することによって、実用上、問題となる測定精度の低下も発生していない。表18において、特にサンプル8-9、8-11、8-16が優れた効果を示した。
この実施例は、二種類の安定化剤を併用したTPM-PS試薬(TPM-PS+POD+FAOD)について、TPM-PSの非酵素的酸化による吸光度増加の抑制を調べた例である。
溶媒として水を使用し、下記表19に示す二種類の安定化剤(安定化剤1+安定化剤2)を含むTPM−PS試薬サンプル(POD濃度 67KU/L : FAOD濃度 18KU/L : TPM-PS濃度 0.25mM)を調製し、4℃で45日間保存した以外は、前記実施例1と同様にして吸光度の測定を行った。この45日間の保存による吸光度変化量を365/45倍して、1年間の吸光度増加量を換算した。また、調製後の試薬サンプルについて、前記実施例2と同様にして過酸化水素溶液を用いて吸光度の測定を行い、また、実施例3と同様にしてFV溶液を用いて吸光度の測定を行った。これらの結果を下記表18に示す。
(表19)
サンプル 安定化剤1 pH 安定化剤2 pH 吸光度増加量 H2O2 FV
(300mM) (10mM) (1年間) 測定値 測定値
9-1 MES 7.0 DPTA-OH 7.0 0.419 0.0958 0.0706
9-2 ADA 7.0 DPTA-OH 7.0 0.278 0.0421 0.0378
9-3 MOPSO 7.5 DPTA-OH 7.0 0.414 0.0701 0.0734
9-4 HEPES 8.0 DPTA-OH 7.0 0.256 0.0500 0.0426
9-5 HEPES 8.0 DTPA 8.0 0.264 0.0526 0.0464
9-6 MES 7.0 IDA 7.0 0.270 0.0898 0.0672
9-7 ADA 7.0 IDA 7.0 0.150 0.0422 0.0368
9-8 PIPES 7.5 IDA 7.0 0.197 0.0690 0.0565
9-9 MOPSO 7.5 IDA 7.0 0.288 0.0815 0.0554
9-10 HEPES 8.0 IDA 7.0 0.266 0.0508 0.0414
9-11 MES 7.0 TTHA 7.0 0.453 0.1145 0.0816
9-12 ADA 7.0 TTHA 7.0 0.281 0.0460 0.0412
9-13 PIPES 7.5 TTHA 7.0 0.309 0.0899 0.0728
9-14 MOPSO 7.5 TTHA 7.0 0.463 0.1046 0.0851
9-15 HEPES 8.0 TTHA 7.0 0.299 0.0511 0.0425

前記表19に示すように、安定化剤を併用することによってTPM-PSの安定化がより一層向上した。具体的に説明すると、一種類の安定化剤のみを使用した記実施例3における表6に示すように、1年間の吸光度増加量は、MES単独(3-6)では1.951、ADA単独(3-7)では0.348、PIPES単独(3-8)では1.223、MOPSO単独(3-9)では2.268、Tricine単独(3-13)では4.795であったのに対して、さらにDPTA-OH、DTPA、TTHA、EDTA-2Kのいずれかを10mMさらに添加するのみによって、0.150〜0.463の増加量に低減することが出来たのである。また、二種類の安定化剤を併用することによって、実用上、問題となる測定精度の低下も発生していない。表19において、特にサンプルIDAを添加した9-6〜9-10、HEPESを添加した9-4、9-5、9-10、9-15が優れた効果を示した。
以上のように、本発明の安定化方法によれば、TPM-PSを溶液状態で安定に保存することができる。このため、従来では非酵素的な自然発色のため、感度に極めて優れるにもかかわらず実用困難であったTPM-PSを、液体試薬として使用することが可能になった。
図1は、本発明の一実施例において、TPM-PS試薬の経時的な吸光度変化を示すグラフである。 図2は、本発明のその他の実施例において、TPM-PS試薬の経時的な吸光度変化を示すグラフである。 図3は、本発明のさらにその他の実施例において、TPM-PS試薬の経時的な吸光度変化を示すグラフである。 図4は、本発明のさらにその他の実施例において、TPM-PS試薬の経時的な吸光度変化を示すグラフである。

Claims (6)

  1. N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩を溶液中で安定化する方法であって、
    前記溶液中で、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩と、Bis−Tris、ADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tris、Tricine、TAPS、及びこれらの塩からなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤とを共存させ
    前記溶液中に、さらに安定化促進剤としてチオシアン酸カリウム(KSCN)を共存させることを含む、
    N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩の安定化方法。
  2. ペルオキシダーゼおよびフルクトシルアミノ酸オキシダーゼの共存下、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩を溶液中で安定化する方法であって、
    前記溶液中で、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩、ペルオキシダーゼおよびフルクトシルアミノ酸オキシダーゼと、MES、ADA、PIPES、MOPSO、HEPES、MOPS、TAPSO、Tricine、及びこれらの塩からなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤とを共存させることを含む、
    N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩の安定化方法。
  3. フルクトシルアミノ酸オキシダーゼの共存下、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩を溶液中で安定化する方法であって、
    前記溶液中で、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩およびフルクトシルアミノ酸オキシダーゼと、MES、ADA、PIPES、MOPSO、MOPS、HEPES、DIPSO、TAPSO、Tricine、TAPS、及びこれらの塩からなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤とを共存させることを含む、
    N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩の安定化方法。
  4. N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩と、Bis−Tris、ADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tris、Tricine、TAPS、及びこれらの塩からなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤と、さらに安定化促進剤としてチオシアン酸カリウム(KSCN)とを溶解した状態で含み、
    請求項記載の安定化方法を少なくとも7日間行うための、又は、請求項記載の安定化方法を少なくとも7日間行った、
    N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩の溶液試薬。
  5. ペルオキシダーゼと、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼと、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩と、MES、ADA、PIPES、MOPSO、HEPES、MOPS、TAPSO、Tricine、及びこれらの塩からなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤と、さらに安定化促進剤としてチオシアン酸カリウム(KSCN)とを溶解した状態で含み、
    請求項記載の安定化方法を少なくとも7日間行うための、又は、請求項記載の安定化方法を少なくとも7日間行った、
    N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩の溶液試薬。
  6. フルクトシルアミノ酸オキシダーゼと、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩と、MES、ADA、PIPES、MOPSO、MOPS、HEPES、DIPSO、TAPSO、Tricine、TAPS、及びこれらの塩からなる群から選択された少なくとも一つの安定化剤と、さらに安定化促進剤としてチオシアン酸カリウム(KSCN)とを溶解した状態で含み、
    請求項記載の安定化方法を少なくとも7日間行うための、又は、請求項記載の安定化方法を少なくとも7日間行った、
    N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン塩の溶液試薬。
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