JPWO2019221186A1 - 金属不純物含有量の分析方法及び金属不純物含有量の分析キット - Google Patents

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Abstract

分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液することにより、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(1)と、溶離液を、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(1)と、該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(1)と、を有すること、を特徴とする金属不純物含有量の分析方法。本発明によれば、分析対象水の通液速度が高く、且つ、溶離液中の酸濃度を低くすることができる金属不純物含有量の分析方法を提供することができる。

Description

本発明は、超純水や超純水製造工程中の工程水に微量に含まれる金属不純物の含有量を分析するための分析方法及びそれに用いられる分析キットに関する。
半導体製造プロセスや医薬品製造プロセスでは、イオン性不純物の含有量が極めて低い超純水が用いられている。そのため、半導体製造プロセスや医薬品製造プロセスに用いられる超純水の製造においては、最終的に製造される超純水、又は超純水製造工程の工程水に微量に含有されているイオン性不純物の含有量を把握することが重要である。
また、超純水中の金属不純物は、種類や形態は定かではないが、イオンの他、凝集状態や分散状態の微粒子で存在する可能性がある。
水中のイオン性不純物濃度の測定において、その濃度が測定器の検出下限界以下の濃度の場合には、クリーンルーム内で、特殊な装置により、分析対象水を蒸留し濃縮をした後に、測定を行うことが行われている(蒸留法)。
また、他の方法としては、イオン交換機能を有する多孔性膜、イオン交換樹脂等のイオン交換体に、分析対象水を通液し、捕捉されたイオン性不純物を、溶離液により溶離し、回収した溶離液中のイオン性不純物濃度を測定する方法(濃縮法)がある。例えば、特許文献1には、イオン交換機能を有する多孔性膜を用いる濃縮法の分析方法が開示されている。
特開平5−45351号公報
ところが、蒸留法では、イオン性不純物濃度が低くなればなるほど、蒸留する分析対象水の量が多くなり、操作が煩雑になることから、コンタミを起こす可能性が高くなるという問題があった。また、一部の元素が揮散するおそれもあった。
また、濃縮法では、濃縮に多孔性膜やイオン交換樹脂を用いるために、差圧が高くなり、高流速での通液が行えない。そのため、分析対象水を、多孔性膜やイオン交換樹脂に、長時間通水しなければならないという問題があった。あるいは、多孔性膜やイオン交換樹脂に、高流速で、分析対象水を通液すると、ショートパスを起こしてしまうという問題があった。また、多孔性膜やイオン交換樹脂に捕捉されたイオン性不純物元素を溶離するために用いる溶離液の酸濃度が高いために、定量下限値が高くなってしまうことや、そのために、通水量を増やす必要があり、更に、通液時間が長くなるという問題があった。
また、超純水中の金属不純物の形態は、イオンの他に微粒子として存在する可能性がある。微粒子の表面電荷密度はイオンに比べて小さく、イオン交換樹脂との静電気的な相互作用が小さい。
ここで、モノリス状有機多孔質交換体は網目状の流路を持っており、静電気的な相互作用に加えて、微粒子を物理的に吸着又は捕捉する作用を有する。また、モノリス状有機多孔質アニオン交換体を使用することで、錯形成したアニオン状態の金属不純物の吸着又は捕捉が出来る。すなわち、超純水中のメタル不純物を効果的に吸着又は捕捉することができる。
従って、本発明の目的は、分析対象水の通液速度が高く、且つ、溶離液中の酸濃度を低くすることができる金属不純物含有量の分析方法を提供することにある。
上記課題は、以下に示す本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液することにより、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(1)と、
溶離液を、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(1)と、
該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(1)と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液することにより、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(2)と、
溶離液を、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(2)と、
該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(2)と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順、又は先に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に通液し、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(3)と、
溶離液を、先に、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順、又は先に、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び該モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(3)と、
該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(3)と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、少なくともモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備え、分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に、通過させるためのフローセル(1)と、
該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析キットを提供するものである。
また、本発明(5)は、少なくともモノリス状有機多孔質カチオン交換体を備え、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に、通過させるためのフローセル(2)と、
該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析キットを提供するものである。
また、本発明(6)は、少なくとも前段にモノリス状有機多孔質カチオン交換体を、後段にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備え、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順に、通過させるため、又は前段にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、後段にモノリス状有機多孔質カチオン交換体を備え、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に、通過させるためのフローセル(3)と、
該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析キットを提供するものである。
本発明によれば、分析対象水の通液速度が高く、且つ、溶離液中の酸濃度を低くすることができる金属不純物含有量の分析方法を提供することができる。
本発明の金属不純物含有量の分析方法の形態例を実施するフロー図である。 本発明の金属不純物含有量の分析方法の形態例を実施するフロー図である。 第1のモノリスアニオン交換体の形態例の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 第2のモノリスアニオン交換体の形態例のSEM写真である。 第2のモノリスアニオン交換体の共連続構造の模式図である。 モノリス中間体(2)の形態例のSEM写真である。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法は、分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液することにより、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(1)と、
溶離液を、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(1)と、
該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(1)と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析方法である。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法は、不純物捕捉工程(1)と、溶離工程(1)と、測定工程(1)と、を有する。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る不純物捕捉工程(1)は、分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液して、分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に接触させながら、モノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させることにより、分析対象水中の金属不純物を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる工程である。
不純物捕捉工程(1)に係る分析対象水としては、半導体製造プロセス、医薬品製造プロセス等のユースポイントで用いられる超純水を製造するための超純水製造工程により得られる超純水、又は超純水製造工程の途中の工程水が挙げられる。
なお、本発明において、超純水製造工程の途中の工程水とは、例えば、超純水製造工程の一次純水製造系から二次純水製造系に移送される水、二次純水製造系の紫外線酸化装置からイオン交換樹脂が充填された非再生式のカートリッジポリッシャーに移送される水、イオン交換樹脂が充填された非再生式のカートリッジポリッシャーから脱気膜装置に移送される水、脱気膜装置から限外ろ過膜装置に移送される水、限外ろ過膜装置からユースポイントに移送される水等の超純水製造工程の途中で生じる水全般を指す(以下において同じ)。
分析対象水は、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物を含有する。分析対象水中で、金属不純物は、主に、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素のイオン性不純物又は微粒子の状態で存在している。モノリス状有機多孔質アニオン交換体は、特に、B又はAsの捕捉に優れた性能を発揮する。そのため、分析対象水としては、好ましくはB又はAsのうちのいずれか1種又は2種の元素の金属不純物を少なくとも含有する分析対象水である。
分析対象水は、金属不純物として、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素のイオン性不純物を含有する。
また、半導体製造プロセスに用いられる超純水中には、微粒子が含まれることがある。この微粒子は、例えば、原料水中に元々含まれている微粒子や、超純水の送液ライン中の配管材又は継手などから発生する金属酸化物微粒子等である。そのようなことから、半導体製造プロセスに用いられる超純水においては、イオン性の不純物の含有量の分析に加えて、そのような微粒子の含有量の分析をすることが必要になる。分析対象水は、金属不純物として、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属微粒子を含有していてもよい。金属微粒子の大きさは特に制限されないが、例えば、1〜100nmである。
また、分析対象水は、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Ba等の元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物を含有していてもよい。Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Ba等の元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物は、イオン性不純物、コロイド状や単分散等の微粒子、錯体の状態で存在している。
分析対象水中で各イオン性不純物元素は、カチオンの状態で、あるいは、オキソアニオンの状態で、あるいは、カチオンの状態とオキソアニオンの状態が混在した状態で存在している。また、分析対象中で、金属不純物微粒子は、コロイド状、又は単分散の状態で存在している。
分析対象水中の金属不純物含有量は、特に制限されないが、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、金属不純物含有量が低い場合に、特に優れた効果を発揮するので、分析対象水中の各金属不純物の含有量は、好ましくは2000ng/L以下、より好ましくは10ng/L以下、特に好ましくは1ng/L以下である。
不純物捕捉工程(1)に係るモノリス状有機多孔質アニオン交換体の詳細については、後述する。モノリス状有機多孔質アニオン交換体のイオン形は、特に制限されず、OH形、NO形、Cl形、CO形、HCO形等が挙げられる。これらのうち、モノリス状有機多孔質アニオン交換体のイオン形は、OH形がイオン交換吸着性能が高い点で好ましい。
不純物捕捉工程(1)において、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液する分析対象水の量は、分析対象水中の金属不純物の含有量、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の種類や厚み、通水速度等により、適宜選択される。なお、測定工程(1)を行い得られる回収溶離液中の各金属不純物の含有量から、分析対象水中の各金属不純物の含有量を算出するときに、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液された分析対象水の総量が必要となるので、不純物捕捉工程(1)においては、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液した分析対象水の総量を計測する。
不純物捕捉工程(1)において、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に分析対象水を通液するときの通液条件は、特に制限されないが、通液速度SVは、好ましくは20000h−1以下、より好ましくは10〜4000h−1である。SVの下限値側は特に好ましくは500h−1以上である。また、LVは、好ましくは100m/h以下、特に好ましくは1〜80m/hである。また、通液時間は、分析対象水の総通液量と通液速度により、適宜選択される。
そして、不純物捕捉工程(1)において、分析対象水中のイオン性不純物、コロイド状や単分散等の微粒子、錯体等の状態で存在している金属不純物が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉される。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る溶離工程(1)は、溶離液を、不純物捕捉工程(1)を行った後のモノリス状有機多孔質アニオン交換体、すなわち、分析対象水中の金属不純物を捕捉させたモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、溶離液を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に接触させながら、モノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させ、モノリス状有機多孔質アニオン交換体から排出される排出液、すなわち、回収溶離液を得る工程である。
溶離液は、酸を含有する水溶液である。溶離液に含有される酸としては、特に制限されず、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これらのうち、溶離液に含有される酸としては、イオン交換体からのイオン性不純物元素が溶離し易く、また、高純度の試薬が必要である点から、硝酸、硫酸、塩酸が好ましい。
溶離液中の酸濃度は、特に制限されないが、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、溶離液中の酸濃度を低くすることができるため、定量下限値を低くすることができる。そのため、溶離液中の酸濃度は、定量下限値が低くなる点で、好ましくは0.1〜2.0N、より好ましくは0.5〜2.0Nである。酸濃度が0.1N未満であると回収する液量が増えてしまうため好ましくない。一方、酸濃度が2.0Nを超えると分析装置の定量下限値が高くなるため好ましくない。また、溶離液としては、各金属不純物の含有量が100ppt以下のものが好ましく、各金属不純物の含有量が100ppt以下の硝酸又は塩酸がより好ましく、各金属不純物の含有量が10ppt以下の硝酸又は塩酸が特に好ましい。
溶離工程(1)において、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液する溶離液の量は、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の種類や厚み、通水速度、等により、適宜選択される。本発明の金属不純物含有量の分析方法では、モノリス状有機多孔質アニオン交換体から金属不純物元素が溶離し易いので、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、溶離液の通液量を少なくすることができる。そして、溶離液の通液量の減少は、測定時間の短縮に繋がる。
溶離工程(1)において、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に溶離液を通液するときの通液条件は、特に制限されないが、通液速度SVは、好ましくは20000h−1以下、より好ましくは10〜4000h−1、特に好ましくは300〜1000h−1であり、また、LVは、好ましくは100m/h以下で、特に好ましくは1〜80m/hである。また、通液時間は、溶離液の総通液量と通液速度により、適宜選択される。
溶離工程(1)では、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉されていた分析対象水中の金属不純物が、溶離液により溶離され、溶離液中に移行する。そして、溶離工程(1)を行うことにより、分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る測定工程(1)は、溶離工程(1)を行うことにより得られた回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する工程である。
回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する方法としては、特に制限されず、プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を用いる方法、プラズマ発光分光分析装置(ICP)、原子吸光光度計、イオンクロマト分析装置等が挙げられる。測定条件は、適宜選択される。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法では、測定工程(1)を行うことにより得られる回収溶離液中の各金属不純物の含有量と、回収溶離液の回収量と、不純物捕捉工程(1)において、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液した分析対象水の総通液量とから、分析対象水中の各金属不純物の含有量を求める。
そして、本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法では、不純物捕捉工程(1)において、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に、分析対象水中の金属不純物、すなわち、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を捕捉させ、溶離工程(1)において、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に溶離液を通液し、排出液を回収することにより、モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した分析対象水中の金属不純物、すなわち、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有する回収溶離液を回収し、測定工程(1)において、回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する。また、本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法は、特に、イオン性不純物元素及び金属不純物微粒子の分析に優れた効果を発揮するので、分析対象水が、金属不純物として、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有することが好ましい。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法は、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液することにより、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(2)と、
溶離液を、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(2)と、
該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(2)と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析方法である。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法は、不純物捕捉工程(2)と、溶離工程(2)と、測定工程(2)と、を有する。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る不純物捕捉工程(2)は、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液して、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に接触させながら、モノリス状有機多孔質カチオン交換体内を通過させることにより、分析対象水中の金属不純物を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に捕捉させる工程である。
不純物捕捉工程(2)に係る分析対象水としては、半導体製造プロセス、医薬品製造プロセス等のユースポイントで用いられる超純水を製造するための超純水製造工程により得られる超純水、又は超純水製造工程の途中の工程水が挙げられる。
分析対象水は、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Ba等の元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物を含有する。分析対象水中で、金属不純物は、主に、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Ba等のうちのいずれか1種又は2種以上の元素のイオン性不純物又は微粒子の状態で存在している。
分析対象水は、金属不純物として、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Ba等の元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素のイオン性不純物を含有する。
また、半導体製造プロセスに用いられる超純水中には、微粒子が含まれることがあるので、半導体製造プロセスに用いられる超純水においては、イオン性の不純物の含有量の分析に加えて、そのような微粒子の含有量の分析をすることが必要になる。分析対象水は、金属不純物として、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Ba等のうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属微粒子を含有していてもよい。金属微粒子の大きさは特に制限されないが、例えば、1〜100nmである。
また、分析対象水は、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物を含有していてもよい。B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素からなる金属不純物は、イオン性不純物、コロイド状や単分散等の微粒子、錯体の状態で存在している。
分析対象水中で各イオン性不純物元素は、カチオンの状態で、あるいは、オキソアニオンの状態で、あるいは、カチオンの状態とオキソアニオンの状態が混在した状態で存在している。
分析対象水中の金属不純物含有量は、特に制限されないが、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、金属不純物含有量が低い場合に、特に優れた効果を発揮するので、分析対象水中の金属不純物の含有量は、好ましくは2000ng/L以下、より好ましくは10ng/L以下、特に好ましくは1ng/L以下である。
不純物捕捉工程(2)に係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体の詳細については、後述する。モノリス状有機多孔質カチオン交換体のイオン形は、特に制限されず、H形、Na形等が挙げられる。これらのうち、モノリス状有機多孔質カチオン交換体のイオン形は、H形がイオン交換吸着性能が高い点で好ましい。
不純物捕捉工程(2)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液する分析対象水の量は、分析対象水中の金属不純物含有量、モノリス有機多孔質カチオン交換体の種類や厚み、通水速度等により、適宜選択される。なお、測定工程(2)を行い得られる回収溶離液中の各金属不純物の含有量から、分析対象水中の各金属不純物の含有量を算出するときに、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液された分析対象水の総量が必要となるので、不純物捕捉工程(2)においては、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液した分析対象水の総量を計測する。
不純物捕捉工程(2)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に分析対象水を通液するときの通液条件は、特に制限されないが、通液速度SVは、好ましくは20000h−1以下、より好ましくは10〜4000h−1である。SVの下限値側は特に好ましくは500h−1以上である。また、LVは、好ましくは100m/h以下、特に好ましくは1〜80m/hである。また、通液時間は、分析対象水の総通液量と通液速度により、適宜選択される。
そして、不純物捕捉工程(2)において、分析対象水中のイオン性不純物、コロイド状や単分散等の微粒子、錯体等の状態で存在している金属不純物が、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に捕捉される。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る溶離工程(2)は、溶離液を、不純物捕捉工程(2)を行った後のモノリス状有機多孔質カチオン交換体、すなわち、分析対象水中の金属不純物元素を捕捉させたモノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、溶離液を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に接触させながら、モノリス状有機多孔質カチオン交換体内を通過させ、モノリス状有機多孔質カチオン交換体から排出される排出液、すなわち、回収溶離液を得る工程である。
溶離液は、酸を含有する水溶液である。溶離液に含有される酸としては、特に制限されず、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。これらのうち、溶離液に含有される酸としては、イオン交換体からのイオン性不純物元素が溶離し易く、また、高純度の試薬が必要である点から、硝酸、硫酸、塩酸が好ましい。
溶離液中の酸濃度は、特に制限されないが、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、溶離液中の酸濃度を低くすることができるため、定量下限値を低くすることができる。そのため、溶離液中の酸濃度は、定量下限値が低くなる点で、好ましくは0.1〜2.0N、より好ましくは0.5〜2.0Nである。酸濃度が0.1N未満であると回収する液量が増えてしまうため好ましくない。一方、酸濃度が2.0Nを超えると分析装置の定量下限値が高くなるため好ましくない。また、溶離液としては、各金属不純物の含有量が100ppt以下のものが好ましく、各金属不純物の含有量が100ppt以下の硝酸又は塩酸がより好ましく、各金属不純物の含有量が10ppt以下の硝酸又は塩酸が特に好ましい。
溶離工程(2)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液する溶離液の量は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の種類や厚み、通水速度により、適宜選択される。本発明の金属不純物含有量の分析方法では、モノリス状有機多孔質カチオン交換体から金属不純物元素が溶離し易いので、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、溶離液の通液量を少なくすることができる。そして、溶離液の通液量の減少は、測定時間の短縮に繋がる。
溶離工程(2)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に溶離液を通液するときの通液条件は、特に制限されないが、通液速度SVは、好ましくは20000h−1以下、より好ましくは10〜4000h−1、特に好ましくは300〜1000h−1であり、また、LVは、好ましくは100m/h以下、特に好ましくは1〜80m/hである。また、通液時間は、溶離液の総通液量と通液速度により、適宜選択される。
溶離工程(2)では、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に捕捉されていた分析対象水中の金属不純物元素が、溶離液により溶離され、溶離液中に移行する。そして、溶離工程(2)を行うことにより、分析対象水中の金属不純物元素を含有する回収溶離液を得る。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る測定工程(2)は、溶離工程(2)を行うことにより得られた回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する工程である。
回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する方法としては、特に制限されず、プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を用いる方法、プラズマ発光分光分析装置(ICP)、原子吸光光度計、イオンクロマト分析装置等が挙げられる。測定条件は、適宜選択される。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法では、測定工程(2)を行うことにより得られる回収溶離液中の各金属不純物の含有量と、回収溶離液の回収量と、不純物捕捉工程(2)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液した分析対象水の総通液量とから、分析対象水中の各金属不純物の含有量を求める。
そして、本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法では、不純物捕捉工程(2)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に、分析対象水中の金属不純物、すなわち、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を捕捉させ、溶離工程(2)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に溶離液を通液し、排出液を回収することにより、モノリス状有機多孔質カチオン交換体から溶離した分析対象水中の金属不純物、すなわち、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有する回収溶離液を回収し、測定工程(2)において、回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する。また、本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法は、特に、イオン性不純物元素及び金属不純物微粒子の分析に優れた効果を発揮するので、分析対象水が、金属不純物として、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有することが好ましい。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法は、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順、又は先に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に通液し、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(3)と、
溶離液を、先に、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順、又は先に、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び該モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(3)と、
該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(3)と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析方法である。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法は、不純物捕捉工程(3)と、溶離工程(3)と、測定工程(3)と、を有する。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る不純物捕捉工程(3)は、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液して、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体に接触させながら、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させることにより、分析対象水中の金属不純物を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる工程である。
不純物捕捉工程(3)に係る分析対象水としては、半導体製造プロセス、医薬品製造プロセス等のユースポイントで用いられる超純水を製造するための超純水製造工程により得られる超純水、又は超純水製造工程の途中の工程水が挙げられる。
分析対象水は、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Baの元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物と、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物と、を少なくとも含有する。モノリス状有機多孔質アニオン交換体は、特に、B又はAsの捕捉に優れた性能を発揮する。そのため、分析対象水としては、好ましくはLi、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Ba等のうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物と、B又はAsのうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物と、を少なくとも含有する分析対象水である。分析対象水中で、金属不純物は、主に、上記元素のイオン性不純物又は微粒子の状態で存在している。
分析対象水は、金属不純物として、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Baの元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素のイオン性不純物と、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素のイオン性不純物と、を含有する。
また、半導体製造プロセスに用いられる超純水中には、微粒子が含まれることがあるので、半導体製造プロセスに用いられる超純水においては、イオン性の不純物の含有量の分析に加えて、そのような微粒子の含有量の分析をすることが必要になる。分析対象水は、金属不純物として、Li、Na、Mg、K、Ca、Mn、Co、Ni、Cd、Baの元素のうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物微粒子と、B、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbのうちのいずれか1種又は2種以上の元素の金属不純物微粒子と、を含有していてもよい。金属不純物微粒子の大きさは特に制限されないが、例えば、1〜100nmである。
分析対象水中で各イオン性不純物元素は、カチオンの状態で、あるいは、オキソアニオンの状態で、あるいは、カチオンの状態とオキソアニオンの状態が混在した状態で存在している。
分析対象水中の金属不純物含有量は、特に制限されないが、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、金属不純物含有量が低い場合に、特に優れた効果を発揮するので、分析対象水中の金属不純物の含有量は、好ましくは2000ng/L以下、より好ましくは10ng/L以下、特に好ましくは1ng/L以下である。
不純物捕捉工程(3)に係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体の詳細については、後述する。モノリス状有機多孔質カチオン交換体のイオン形は、特に制限されず、H形、Cl形、CO形、HCO形等が挙げられる。これらのうち、モノリス状有機多孔質カチオン交換体のイオン形は、H形がイオン交換吸着性能が高い点で好ましい。モノリス状有機多孔質アニオン交換体のイオン形は、特に制限されず、OH形、NO形、Cl形、CO形、HCO形等が挙げられる。これらのうち、モノリス状有機多孔質アニオン交換体のイオン形は、OH形がイオン交換吸着性能が高い点で好ましい。
不純物捕捉工程(3)では、(i)分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体内を通過させ、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体からの排出液を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させるか、あるいは、(ii)分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させ、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体からの排出液を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体内を通過させる。
不純物捕捉工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液する分析対象水の量は、分析対象水中の金属不純物含有量、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス有機多孔質アニオン交換体の種類や厚み、通水速度等により、適宜選択される。なお、測定工程(3)を行い得られる回収溶離液中の各金属不純物の含有量から、分析対象水中の各金属不純物の含有量を算出するときに、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液された分析対象水の総量が必要となるので、不純物捕捉工程(3)においては、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液した分析対象水の総量を計測する。
不純物捕捉工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に分析対象水を通液するときの通液条件は、特に制限されないが、通液速度SVは、好ましくは20000h−1以下、より好ましくは10〜4000h−1である。SVの下限値側は特に好ましくは500h−1以上である。また、LVは、好ましくは100m/h以下で、特に好ましくは1〜80m/hである。また、通液時間は、分析対象水の総通液量と通液速度により、適宜選択される。
そして、不純物捕捉工程(3)において、分析対象水中のイオン性不純物、コロイド状や単分散等の微粒子、錯体等の状態で存在している金属不純物が、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉される。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る溶離工程(3)は、溶離液を、不純物捕捉工程(3)を行った後のモノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体、すなわち、分析対象水中の金属不純物を捕捉させたモノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、溶離液を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体に接触させて、モノリス状有機多孔質カチオン交換体内とモノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させ、後段のモノリス状有機多孔質イオン交換体から排出される排出液、すなわち、回収溶離液を得る工程である。
溶離工程(3)では、(i)溶離液を、先に、分析対象水中の金属不純物を捕捉させたモノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体内を通過させ、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体からの排出液を、分析対象水中の金属不純物を捕捉させたモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させるか、あるいは、(ii)溶離液を、先に、分析対象水中の金属不純物を捕捉させたモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質アニオン交換体内を通過させ、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体からの排出液を、分析対象水中の金属不純物を捕捉させたモノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体内を通過させる。
溶離液は、酸を含有する水溶液である。溶離液に含有される酸としては、特に制限されず、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これらのうち、溶離液に含有される酸としては、イオン交換体からのイオン性不純物元素が溶離し易い点で、硝酸、硫酸、塩酸が好ましい。
溶離液中の酸濃度は、特に制限されないが、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、溶離液中の酸濃度を低くすることができるため、定量下限値を低くすることができる。そのため、溶離液中の酸濃度は、定量下限値が低くなる点で、好ましくは0.1〜2.0N、より好ましくは0.5〜2.0Nである。酸濃度が0.1N未満であると回収する液量が増えてしまうため好ましくない。一方、酸濃度が2.0Nを超えると分析装置の定量下限値が高くなるため好ましくない。また、溶離液としては、各金属不純物の含有量が100ppt以下のものが好ましく、各金属不純物の含有量が100ppt以下の硝酸又は塩酸がより好ましく、各金属不純物の含有量が10ppt以下の硝酸又は塩酸が特に好ましい。
溶離工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液する溶離液の量は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス有機多孔質アニオン交換体の種類や厚み、通水速度等により、適宜選択される。本発明の金属不純物含有量の分析方法では、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体から金属不純物が溶離し易いので、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、溶離液の通液量を少なくすることができる。そして、溶離液の通液量の減少は、測定時間の短縮に繋がる。
溶離工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に溶離液を通液するときの通液条件は、特に制限されないが、通液速度SVは、好ましくは20000h−1以下、より好ましくは10〜4000h−1、特に好ましくは300〜1000h−1であり、また、LVは、好ましくは100m/h以下で、特に好ましくは1〜80m/hである。また、通液時間は、溶離液の総通液量と通液速度により、適宜選択される。
溶離工程(3)では、モノリス状有機多孔質カチオン交換体又はモノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉されていた分析対象水中の金属不純物元素が、溶離液により溶離され、溶離液中に移行する。そして、溶離工程(3)を行うことにより、分析対象水中の金属不純物元素を含有する回収溶離液を得る。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法に係る測定工程(3)は、溶離工程(3)を行うことにより得られた回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する工程である。
回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する方法としては、特に制限されず、プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を用いる方法、プラズマ発光分光分析装置(ICP)、原子吸光光度計、イオンクロマト分析装置等が挙げられる。測定条件は、適宜選択される。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法では、測定工程(3)を行うことにより得られる回収溶離液中の各金属不純物の含有量と、回収溶離液の回収量と、不純物捕捉工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液した分析対象水の総通液量とから、分析対象水中の各金属不純物の含有量を求める。
そして、本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法では、不純物捕捉工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に、分析対象水中の金属不純物、すなわち、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を捕捉させ、溶離工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に溶離液を通液し、排出液を回収することにより、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した分析対象水中の金属不純物、すなわち、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有する回収溶離液を回収し、測定工程(3)において、回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法の変形形態では、不純物捕捉工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体又はモノリス状有機多孔質アニオン交換体に、詳細には、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体のうち、先に分析対象水が通液される方に、分析対象水中の分析対象水中の金属不純物、すなわち、イオン性不純物元素とそれに加え金属不純物微粒子も捕捉させ、溶離工程(3)において、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体に溶離液を通液し、排出液を回収することにより、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した分析対象水中の分析対象水中の金属不純物、すなわち、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有する回収溶離液を回収し、測定工程(3)において、回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する。また、本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法は、特に、イオン性不純物元素及び金属不純物微粒子の分析に優れた効果を発揮するので、分析対象水が、金属不純物としては、少なくともイオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有することが好ましい。
本発明の金属不純物含有量の分析方法の実施の形態例を説明する。例えば、図1に示すように、原料水10が、超純水製造装置11に供給され、超純水製造装置11で得られる超純水21が、ユースポイント12に供給される超純水の製造工程において、ユースポイント12に超純水21を移送するための超純水移送管13の途中に、分析対象水抜出管14を繋ぎ、分析対象水抜出管14の他端側を、第一分岐管15と第二分岐管18とに分岐させ、第一分岐管15にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備えるフローセル16及び積算流量計17を設置し、第二分岐管18にモノリス状有機多孔質カチオン交換体を備えるフローセル19及び積算流量計20を設置して、分析システムを構築する。また、第一分岐管15及び第二分岐管18には、ぞれぞれ、溶離液22の導入管23を繋げる。そして、超純水の製造工程を行っているときに、超純水移送管13、分析対象水抜出管14及び第一分岐管15を経て、フローセル16に分析対象水である超純水21を通液して、不純物捕捉工程(1)を行い、また、超純水移送管13、分析対象水抜出管14及び第二分岐管18を経て、フローセル19に分析対象水である超純水21を通液して、不純物捕捉工程(2)を行う。このとき、積算流量計17及び積算流量計20で、フローセル16及びフローセル19への超純水の通液総量を測定する。なお、溶離液22の導入管23へは超純水21が流れないように、図示しない弁で流れを制御する。次いで、所定量の超純水を通液させた後、第一分岐管15又は第二分岐管18に繋げられている溶離液の導入管23より溶離液を所定量供給し、溶離液22を、フローセル16及びフローセル19に通液して、回収溶離液24、25をそれぞれ回収し、溶離工程(1)及び溶離工程(2)を行う。次いで、回収溶離液24、25中の各金属不純物の含有量を、それぞれ測定し、測定工程(1)及び測定工程(2)を行う。そして、以上の結果から、超純水21中の各金属不純物の含有量を求める。このようにして、本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法と本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法を、並行して行う。
また、本発明の金属不純物含有量の分析方法の実施の他の形態例を説明する。例えば、図2に示すように、原料水10が、超純水製造装置11に供給され、超純水製造装置11で得られる超純水21が、ユースポイント12に供給される超純水の製造工程において、ユースポイント12に超純水21を移送するための超純水移送管13の途中に、分析対象水抜出管14を繋ぎ、分析対象水抜出管14に、前段側にモノリス状有機多孔質カチオン交換体、その後段にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備えるフローセル27及び積算流量計28を有する分析キット26を取り付ける。そして、超純水の製造工程を行っているときに、超純水移送管13、分析対象水抜出管14を経て、フローセル27に分析対象水である超純水21を供給して、超純水21を、先に、前段側のモノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体からの排出液を、後段のモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、不純物捕捉工程(3)を行う。このとき、積算流量計28で、フローセル27への超純水の通液総量を測定する。次いで、所定量の超純水を通液させた後、分析キット26を、分析対象水抜出管14から、取り外す。このとき、分析キット26の内部へ、外部からのコンタミが起こらない方法で取り外すと共に、内部を密閉する。次いで、超純水の製造工程を行っている場所とは違う場所に設けられている溶離装置に、分析キット26を取り付け、溶離装置の溶離液供給管より、分析キット26内のモノリス状有機多孔質カチオン交換体に先に通液し、その排出液をモノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液して、分析キット26からの回収溶離液を回収し、溶離工程(3)を行う。次いで、回収溶離液中の金属不純物の含有量を測定し、測定工程(3)を行う。そして、以上の結果から、超純水21中の各金属不純物含有量を求める。このようにして、本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法を行う。
本発明の金属不純物含有量の分析方法において、不純物捕捉工程((1)、(2)、(3))と、溶離工程((1)、(2)、(3))と、分析工程((1)、(2)、(3))と、の全てを、分析対象水の製造が行われている場所で行ってよいし、不純物捕捉工程((1)、(2)、(3))とは別の場所で、溶離工程((1)、(2)、(3))及び分析工程((1)、(2)、(3))を行ってもよいし、不純物捕捉工程((1)、(2)、(3))及び溶離工程((1)、(2)、(3))を同じ場所で行い、それらを行う場所とは別の場所で、分析工程((1)、(2)、(3))を行ってもよいし、不純物捕捉工程((1)、(2)、(3))と、溶離工程((1)、(2)、(3))と、分析工程((1)、(2)、(3))と、を、それぞれ別の場所で行ってもよい。
本発明に係るモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質体にアニオン交換基が導入されている多孔質体である。モノリス状有機多孔質アニオン交換体に係るモノリス状有機多孔質体は、骨格が有機ポリマーにより形成されており、骨格間に反応液の流路となる連通孔を多数有する多孔質体である。そして、モノリス状有機多孔質アニオン交換体は、このモノリス状有機多孔質体の骨格中にアニオン交換基が均一に分布するように導入されている多孔質体である。また、本発明に係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体は、モノリス状有機多孔質体にカチオン交換基が導入されている多孔質体である。モノリス状有機多孔質カチオン交換体に係るモノリス状有機多孔質体は、骨格が有機ポリマーにより形成されており、骨格間に反応液の流路となる連通孔を多数有する多孔質体である。そして、モノリス状有機多孔質カチオン交換体は、このモノリス状有機多孔質体の骨格中にカチオン交換基が均一に分布するように導入されている多孔質体である。
なお、本明細書中、「モノリス状有機多孔質体」を単に「モノリス」と、「モノリス状有機多孔質アニオン交換体」を単に「モノリスアニオン交換体」とも言い、「モノリス状有機多孔質カチオン交換体」を単に「モノリスカチオン交換体」とも言い、また、第2のモノリスの製造における中間体(第2のモノリスの前駆体)である「モノリス状有機多孔質中間体(2)」を単に「モノリス中間体(2)」とも言う。
本発明に係るモノリスアニオン交換体は、モノリスにアニオン交換基を導入することで得られるものであり、その構造は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体であって、連続骨格の厚みは1〜100μm、連続空孔の平均直径は1〜1000μm、全細孔容積は0.5〜50mL/gである。
モノリスアニオン交換体の乾燥状態での連続骨格の厚みは1〜100μmである。モノリスアニオン交換体の連続骨格の厚みが、1μm未満であると、体積当りのアニオン交換容量が低下するといった欠点のほか、機械的強度が低下して、特に高流速で通液した際にモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、反応液とモノリスアニオン交換体との接触効率が低下し、触媒活性が低下するため好ましくない。一方、モノリスアニオン交換体の連続骨格の厚みが、100μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、基質の拡散に時間を要するようになって触媒活性が低下するため好ましくない。なお、連続骨格の厚みは、SEM観察により決定される。
モノリスアニオン交換体の乾燥状態での連続空孔の平均直径は、1〜1000μmである。モノリスアニオン交換体の連続空孔の平均直径が、1μm未満であると、通水時の圧力損失が高くなるため好ましくない。一方、モノリスアニオン交換体の連続空孔の平均直径が、1000μmを超えると、被処理液とモノリスアニオン交換体との接触が不十分となり、除去性能が低下するため好ましくない。なお、モノリスアニオン交換体の乾燥状態での連続空孔の平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。
モノリスアニオン交換体の乾燥状態での全細孔容積は0.5〜50mL/gである。モノリスアニオン交換体の全細孔容積が、0.5mL/g未満であると、被処理液の接触効率が低くなるため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過液量が小さくなり、処理量が低下してしまうため好ましくない。一方、モノリスアニオン交換体の全細孔容積が、50mL/gを超えると、体積当りのアニオン交換容量が低下し、除去性能が低下するため好ましくない。また、機械的強度が低下して、特に高速で通液した際にモノリスアニオン交換体が大きく変形し、通液時の圧力損失が急上昇してしまうため好ましくない。なお、全細孔容積は、水銀圧入法で測定される。
このようなモノリスアニオン交換体の構造例としては、特開2002−306976号公報や特開2009−62512号公報に開示されている連続気泡構造や、特開2009−67982号公報に開示されている共連続構造や、特開2009−7550号公報に開示されている粒子凝集型構造や、特開2009−108294号公報に開示されている粒子複合型構造等が挙げられる。
モノリスアニオン交換体の水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量は、0.2〜1.0mg当量/mL(水湿潤状態)である。モノリスアニオン交換体の乾燥状態でのアニオン交換容量が、上記範囲未満では、破過するまでに処理する処理水量が少なくなり、モジュールの交換頻度が高くなるため好ましくない、一方、上記範囲を超えると、通水時の圧力損失が増大してしまうため好ましくない。なお、アニオン交換基が骨格表面のみに導入された多孔質体のアニオン交換容量は、多孔質体やアニオン交換基の種類により一概には決定できないものの、せいぜい500μg当量/gである。
モノリスアニオン交換体において、導入されているアニオン交換基は、モノリスの表面のみならず、モノリスの骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「アニオン交換基が均一に分布している」とは、アニオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。アニオン交換基の分布状況は、EPMAを用いることで簡単に確認される。また、アニオン交換基が、モノリスの表面のみならず、モノリスの骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
モノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
モノリスアニオン交換体において、連続骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1〜30モル%、好適には0.1〜20モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.1モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、30モル%を越えると、アニオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続構造形成の容易さ、アニオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
<モノリス状有機多孔質アニオン交換体の形態例>
モノリスアニオン交換体の形態例としては、以下に示す第1のモノリスアニオン交換体や第2のモノリスアニオン交換体が挙げられる。また、アニオン交換基が導入されるモノリスの形態例としては、以下に示す第1のモノリスや第2のモノリスが挙げられる。
<第1のモノリス及び第1のモノリスアニオン交換体の説明>
第1のモノリスアニオン交換体は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均直径が乾燥状態で1〜1000μmの共通の開口(メソポア)を有する連続気泡構造を有し、乾燥状態での全細孔容積が1〜50mL/gであり、アニオン交換基を有しており、アニオン交換基が均一に分布しており、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量は、0.1〜1.0mg当量/mL(水湿潤状態)であるモノリスアニオン交換体である。また、第1のモノリスは、アニオン交換基が導入される前のモノリスであり、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均直径が乾燥状態で1〜1000μmの共通の開口(メソポア)を有する連続気泡構造を有し、乾燥状態での全細孔容積が1〜50mL/gである有機多孔質体である。
第1のモノリスアニオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径1〜1000μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜100μmの共通の開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体であり、その大部分がオープンポア構造のものである。オープンポア構造は、液体を流せば該マクロポアと該メソポアで形成される気泡内が流路となる。マクロポアとマクロポアの重なりは、1個のマクロポアで1〜12個、多くのものは3〜10個である。図3には、第1のモノリスアニオン交換体の形態例の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示すが、図3に示す第1のモノリスアニオン交換体は、多数の気泡状のマクロポアを有しており、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が共通の開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体となっており、その大部分がオープンポア構造である。メソポアの乾燥状態での平均直径が1μm未満であると、モノリスアニオン交換体内部への被処理液の拡散性が低くなるため好ましくなく、メソポアの乾燥状態での平均直径が1000μmを越えると、被処理液とモノリスアニオン交換体との接触が不十分となり、除去性能が低下してしまうため好ましくない。第1のモノリスアニオン交換体の構造が上記のような連続気泡構造となることにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成できると共に、特開平8−252579号公報等に記載されるような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができる。
なお、本発明では、乾燥状態の第1のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第1のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られる細孔分布曲線の極大値を指す。
第1のモノリスアニオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、1〜50mL/g、好適には2〜30mL/gである。全細孔容積が1mL/g未満であると、被処理液の接触効率が低くなるため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が50mL/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通液した際にモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理液とモノリスアニオン交換体との接触効率が低下するため、除去性能も低下してしまうため好ましくない。全細孔容積は、従来の粒子状多孔質アニオン交換樹脂では、せいぜい0.1〜0.9ml/gであるから、それを越える従来には無い1〜50ml/gの高細孔容積、高比表面積のものが使用できる。
第1のモノリスアニオン交換体において、骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、アニオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。
第1のモノリスアニオン交換体の骨格を構成する有機ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記有機ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続マクロポア構造形成の容易さ、アニオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
第1のモノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。第1のモノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基は、第2のモノリスアニオン交換体においても同様である。
第1のモノリスアニオン交換体において(第2のモノリスアニオン交換体においても同じ)、導入されているアニオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「アニオン交換基が均一に分布している」とは、アニオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。アニオン交換基の分布状況は、EPMAを用いることで確認される。また、アニオン交換基が、モノリスの表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
第1のモノリスアニオン交換体の水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量は、0.1〜1.0mg当量/mL(水湿潤状態)、である。水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量が、上記範囲にあることにより、除去性能が高く且つ寿命が長くなる。なお、アニオン交換基が表面のみに導入された多孔質体のアニオン交換容量は、多孔質体やアニオン交換基の種類により一概には決定できないものの、せいぜい500μg当量/gである。
<第1のモノリス及び第1のモノリスアニオン交換体の製造方法>
第1のモノリスの製造方法としては、特に制限されないが、特開2002−306976号公報記載の方法に準じた、製造方法の一例を以下示す。すなわち、第1のモノリスは、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを得、これを重合させてモノリスを形成することにより得られる。このような、第1のモノリスの製造方法は、モノリスの多孔構造の制御が容易である点で、好ましい。
第1のモノリスの製造で用いられるイオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、カルボン酸基、スルホン酸基等のカチオン交換基及び四級アンモニウム基等のアニオン交換基のいずれも含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーを指すものである。これらモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、本発明においては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%とすることが、後の工程でアニオン交換基を定量的に導入し、かつ、実用的に十分な機械的強度を確保できる点で好ましい。
第1のモノリスの製造で用いられる界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非カチオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰カチオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽カチオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。また、必ずしも必須ではないが、モノリスの気泡形状やサイズを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン、トルエン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルを系内に共存させることもできる。
また、第1のモノリスの製造において、重合によりモノリスを形成する際、必要に応じて用いられる重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
第1のモノリスの製造において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーや、被処理物を混合容器に入れ、該混合容器を傾斜させた状態で公転軸の周りに公転させながら自転させることで、被処理物を攪拌混合する、所謂遊星式攪拌装置等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。これらの混合装置のうち、遊星式攪拌装置はW/Oエマルジョン中の水滴を均一に生成させることができ、その平均径を幅広い範囲で任意に設定できるため、好ましく用いられる。
第1のモノリスの製造において、このようにして得られた油中水滴型エマルジョンを重合させる重合条件は、モノマーの種類、開始剤系により様々な条件が選択できる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間、加熱重合させればよく、開始剤として過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、0〜30℃で1〜48時間重合させればよい。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出し、未反応モノマーと残留界面活性剤を除去して第1のモノリスを得る。
第1のモノリスアニオン交換体の製造方法としては、特に制限されず、上記第1のモノリスの製造方法において、イオン交換基を含まないモノマーに代えて、アニオン交換基を含むモノマー、例えば、上記イオン交換基を含まない油溶性モノマーに、モノメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基等のアニオン交換基が導入されているモノマーを用いて重合させ、一段階でモノリスアニオン交換体にする方法、イオン交換基を含まないモノマーを用いて重合させ第1のモノリスを形成し、次いで、アニオン交換基を導入する方法などが挙げられる。これらの方法のうち、イオン交換基を含まないモノマーを用いて重合させ第1のモノリスを形成し、次いで、アニオン交換基を導入する方法は、モノリスアニオン交換体の多孔構造の制御が容易であり、アニオン交換基の定量的導入も可能であるため好ましい。
第1のモノリスにアニオン交換基を導入する方法としては、特に制限はなく、高分子反応やグラフト重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、四級アンモニウム基を導入する方法としては、モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させる方法; モノリスをクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合により製造し、三級アミンと反応させる方法; モノリスに、均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部導入し、N , N , N − トリメチルアンモニウムエチルアクリレートやN , N , N− トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドをグラフト重合する方法; 同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換により四級アンモニウム基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、四級アンモニウム基を導入する方法としては、スチレン− ジビニルベンゼン共重合体にクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させる方法やクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合によりモノリスを製造し、三級アミンと反応させる方法が、イオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するイオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
<第2のモノリス及び第2のモノリスアニオン交換体の説明>
第2のモノリスアニオン交換体は、全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが乾燥状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜10mL/gであり、アニオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量が、0.2〜1.0mg当量/mL(水湿潤状態)であり、アニオン交換基が有機多孔質アニオン交換体中に均一に分布しているモノリスアニオン交換体である。また、第2のモノリスは、アニオン交換基が導入される前のモノリスであり、全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが乾燥状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜10mL/gである有機多孔質体である。
第2のモノリスアニオン交換体は、平均太さが乾燥状態で1〜60μm、好ましくは3〜58μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μm、好ましくは15〜180μm、特に好ましくは20〜150μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体である。図4には、第2のモノリスアニオン交換体の形態例のSEM写真を示し、図5には、第2のモノリスアニオン交換体の共連続構造の模式図を示す。共連続構造は図4の模式図に示すように、連続する骨格相1と連続する空孔相2とが絡み合ってそれぞれが共に3次元的に連続する構造10である。この連続した空孔2は、従来の連続気泡型モノリスや粒子凝集型モノリスに比べて空孔の連続性が高くてその大きさに偏りがない。また、骨格が太いため機械的強度が高い。
三次元的に連続した空孔の平均直径が乾燥状態で10μm未満であると、被処理液が拡散し難くなるため好ましくなく、200μmを超えると、被処理液とモノリスアニオン交換体との接触が不十分となり、その結果、除去性能が不十分となるため好ましくない。また、骨格の平均太さが乾燥状態で1μm未満であると、アニオン交換容量が低くなるため、また、機械的強度が低くなるため好ましくない。更に、反応液とモノリスアニオン交換体との接触効率が低下し、除去性能が低下するため好ましくない。一方、骨格の太さが60μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、被処理液の拡散が不均一になるため好ましくない。
乾燥状態の第2のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第2のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径及び以下に述べる第2のモノリスの製造のI工程で得られる、乾燥状態の第2のモノリス中間体(2)の開口の平均直径は、水銀圧入法により求められ、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。また、第2のモノリスアニオン交換体の骨格の乾燥状態での平均太さは、乾燥状態の第2のモノリスアニオン交換体のSEM観察により求められる。具体的には、乾燥状態の第2のモノリスアニオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、それらの平均値を平均太さとする。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
また、第2のモノリスアニオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、0.5〜10mL/gである。全細孔容積が0.5mL/g未満であると、基質や溶媒の接触効率が低くなるため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過量が小さくなり、処理量が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が10ml/gを超えると、被処理液とモノリスアニオン交換体との接触効率が低下するため、除去性能が低下してしまうため好ましくない。三次元的に連続した空孔の大きさ及び全細孔容積が上記範囲にあれば、被処理液との接触が極めて均一で接触面積も大きくなる。
第2のモノリスアニオン交換体において、骨格を構成する材料は、全構成単位中、0.1〜5モル%、好ましくは0.5〜3.0モル%の架橋構造単位を含んでいる芳香族ビニルポリマーであり疎水性である。架橋構造単位が0.1モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、5モル%を越えると、多孔質体の構造が共連続構造から逸脱しやすくなる。芳香族ビニルポリマーの種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、共連続構造形成の容易さ、アニオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
第2のモノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基は、第1のモノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基と同様である。
第2のモノリスアニオン交換体において、導入されたアニオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。
第2のモノリスアニオン交換体は、水湿潤状態での体積当り、0.2〜1.0mg当量/mL(水湿潤状態)アニオン交換容量を有する。第2のモノリスアニオン交換体は、三次元的に連続した空孔の連続性や均一性が高いため、基質や溶媒が均一に拡散する。そのため、反応の進行が速い。アニオン交換容量が上記範囲にあることにより、除去性能が高く且つ寿命が長くなる。
<第2のモノリス及び第2のモノリスアニオン交換体の製造方法>
第2のモノリスは、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が16mL/gを超え、30mL/g以下の連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(2)とも記載する。)を得るI工程、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製するII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つI工程で得られたモノリス中間体(2)の存在下に重合を行い、共連続構造体である有機多孔質体である第2のモノリスを得るIII工程、を行うことにより得られる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(2)を得るI工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行えばよい。
すなわち、第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、三級アミノ基、四級アンモニウム基等のイオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーの中で、好適なものとしては、芳香族ビニルモノマーであり、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%とすることが、共連続構造の形成に有利となるため好ましい。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程で用いられる界面活性剤は、アニオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非カチオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰カチオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽カチオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
また、第2のモノリスの製造方法に係るI工程では、油中水滴型エマルジョン形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(2)は、架橋構造を有する有機ポリマー材料、好適には芳香族ビニルポリマーである。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。一方、5モル%を超えると、モノリスの構造が共連続構造を逸脱し易くなるため好ましくない。特に、全細孔容積が16〜20ml/gの場合には、共連続構造を形成させるため、架橋構造単位は3モル%未満とすることが好ましい。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(2)のポリマー材料の種類は、第1のモノリスのポリマー材料と同じものが挙げられる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(2)の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、16mL/gを超え、30mL/g以下、好適には16mL/gを超え、25mL/g以下である。すなわち、このモノリス中間体(2)は、基本的には連続マクロポア構造ではあるが、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)が格段に大きいため、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に限りなく近い構造を有している。図6には、モノリス中間体(2)の形態例のSEM写真を示すが、棒状に近い骨格を有している。これを重合系に共存させると、モノリス中間体(2)の構造を型として共連続構造の多孔質体が形成される。全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が共連続構造から連続マクロポア構造に変化してしまうため好ましくなく、一方、全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの機械的強度が低下したり、アニオン交換基を導入する場合は、体積当たりのアニオン交換容量が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(2)の全細孔容積を上記範囲とするには、モノマーと水の比を、概ね1:20〜1:40とすればよい。
また、第2のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(2)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で5〜100μmである。開口の平均直径が乾燥状態で5μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、流体透過時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、100μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなりすぎ、被処理液とモノリスアニオン交換体との接触が不十分となり、その結果、除去性能が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(2)は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程は、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性の芳香族ビニルモノマーであれば、特に制限はないが、上記重合系に共存させるモノリス中間体(2)と同種類もしくは類似のポリマー材料を生成するビニルモノマーを選定することが好ましい。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好適に用いられる芳香族ビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等である。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる芳香族ビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体(2)に対して、重量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍である。芳香族ビニルモノマー添加量がモノリス中間体(2)に対して5倍未満であると、棒状骨格を太くできず、また、アニオン交換基を導入する場合、アニオン交換基導入後の体積当りのアニオン交換容量が小さくなってしまうため好ましくない。一方、芳香族ビニルモノマー添加量が50倍を超えると、連続空孔の径が小さくなり、通液時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。架橋剤使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量(全油溶性モノマー)に対して0.3〜5モル%、特に0.3〜3モル%である。架橋剤使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、多過ぎると、アニオン交換基を導入する場合、アニオン交換基の定量的導入が困難になる場合があるため好ましくない。なお、上記架橋剤使用量は、ビニルモノマー/架橋剤重合時に共存させるモノリス中間体(2)の架橋密度とほぼ等しくなるように用いることが好ましい。両者の使用量があまりに大きくかけ離れると、生成したモノリス中で架橋密度分布の偏りが生じ、また、アニオン交換基を導入する場合、アニオン交換基導入反応時にクラックが生じやすくなる。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる有機溶媒は、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。有機溶媒は、芳香族ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、芳香族ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記芳香族ビニルモノマーの濃度が30〜80重量%となるように用いることが好ましい。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱して芳香族ビニルモノマー濃度が30重量%未満となると、重合速度が低下したり、重合後のモノリス構造が第2のモノリスの範囲から逸脱してしまうため好ましくない。一方、芳香族ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が暴走する恐れがあるため好ましくない。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5%の範囲で使用することができる。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(2)の存在下に重合を行い、該モノリス中間体(2)の連続マクロポア構造を共連続構造に変化させ、共連続構造モノリスである第2のモノリスを得る工程である。III工程で用いるモノリス中間体(2)は、本発明の構造を有するモノリスを創出する上で、極めて重要な役割を担っている。特表平7−501140号等に開示されているように、モノリス中間体(2)不存在下でビニルモノマーと架橋剤を特定の有機溶媒中で静置重合させると、粒子凝集型のモノリス状有機多孔質体が得られる。それに対して、第2のモノリスのように上記重合系に特定の連続マクロポア構造のモノリス中間体(2)を存在させると、重合後のモノリスの構造は劇的に変化し、粒子凝集構造は消失し、上述の共連続構造を持つ第2のモノリスが得られる。その理由は詳細には解明されていないが、モノリス中間体(2)が存在しない場合は、重合により生じた架橋重合体が粒子状に析出・沈殿することで粒子凝集構造が形成されるのに対し、重合系に全細孔容積が大きな多孔質体(中間体)が存在すると、ビニルモノマー及び架橋剤が液相から多孔質体の骨格部に吸着又は分配され、多孔質体中で重合が進行し、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に変化して共連続構造を有する第2のモノリスが形成されると考えられる。
第2のモノリスの製造方法において、反応容器の内容積は、モノリス中間体(2)を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体(2)を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体(2)が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後の骨太のモノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、モノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体(2)に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(2)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(2)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(2)に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、骨太の骨格を有する第2のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(2)の骨格内で重合が進行する。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(2)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(2)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(2)に対して、芳香族ビニルモノマーの添加量が重量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な大きさの空孔が三次元的に連続し、且つ骨太の骨格が3次元的に連続する共連続構造の第2のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中の芳香族ビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体(2)の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(2)の骨格内で重合が進行する。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程の重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択される。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体(2)の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が骨格内で重合し、骨格を太らせる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して第2のモノリスを得る。
第2のモノリスアニオン交換体は、III工程で得られた第2のモノリスにアニオン交換基を導入するIV工程を行うことにより得られる。
第2のモノリスにアニオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにアニオン交換基を導入する方法と同様である。
第2のモノリス及び第2のモノリスアニオン交換体は、3次元的に連続する空孔の大きさが格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。また、第2のモノリスアニオン交換体は、骨格が太いため、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量を大きくでき、更に、被処理液を低圧、大流量で長期間通液することが可能である。
また、モノリスカチオン交換体は、モノリスアニオン交換体とは、モノリスに導入されているイオン交換基が、アニオン交換基ではなく、カチオン交換基である点が異なるものの、他は同様である。そのため、モノリスカチオン交換体は、上記モノリスアニオン交換体の説明において、アニオンをカチオンと読み替えればよい。以下では、モノリスカチオン交換体について、モノリスアニオン交換体とは異なる点を説明する。
モノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、イミノ二酢酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。また、第1のモノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。第1のモノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基は、第2のモノリスカチオンにおいても同様である。
また、モノリスに、カチオン交換基を導入する方法としては、例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロ硫酸や濃硫酸、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法;モノリスに均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部に導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムやアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換によりスルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、クロロ硫酸を用いてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸を導入する方法が、カチオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するカチオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基が挙げられる。
モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、他のイオン性不純物の含有量の分析方法で用いられる多孔質膜やイオン交換樹脂に比べ、捕捉したイオン性不純物元素が溶離液により溶離され易いので、本発明の金属不純物含有量の分析方法(本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法、本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法及び本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法を総称して、本発明の金属不純物含有量の分析方法と記載する。)は、溶離液の酸濃度を低くすることができ、そのため、定量下限値が低くなる。
モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、他の金属不純物含有量の分析方法で用いられる多孔質膜やイオン交換樹脂に比べ、捕捉した金属不純物元素が溶離液により溶離され易いので、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、溶離工程にかかる時間が短くなるため、分析時間を短くすることができる。
モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、他の金属不純物含有量の分析方法で用いられる多孔質膜やイオン交換樹脂に比べ、分析対象水の通液速度を高くすることができるので、本発明の金属不純物含有量の分析方法は、不純物捕捉工程にかかる時間が短くなるため、分析時間を短くすることができる。
そして、分析対象水中の金属不純物含有量が非常に低い場合、例えば、1ppt以下である場合、吸着材に多量の分析対象水を通液する必要がある。本発明の金属不純物含有量の分析方法では、捕捉した金属不純物元素が溶離液により溶離され易いために、溶離液の使用量を少なくできるので、モノリス多孔質イオン交換体への分析対象水の通液量を少なくすることができる上に、分析対象水の通液速度を高くすることができるため、短時間で多量の通液が可能であるので、分析における捕捉工程にかける時間を非常に短くすることができる。本発明の金属不純物含有量の分析方法において、分析対象水中の金属不純物含有量が非常に低い場合の分析対象水中の各金属不純物含有量は、例えば、1.000ppt以下が挙げられ、また、0.001〜1.000pptが挙げられ、また、0.001〜0.100pptが挙げられる。また、この場合、本発明の金属不純物含有量の分析方法の捕捉工程における圧力係数は、好ましくは0.1〜10.0L/min./MPa、特に好ましくは2.0〜10.0L/min./MPaである。
また、モノリス状有機多孔質アニオン交換体は、分析対象水中のB、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPbの捕捉、特にB又はAsの捕捉に優れた捕捉性能を発揮する。そのため、本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法及び本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法は、分析対象中のB、As、Al、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Sn、V、Ga及びPb、特にB又はAsの含有量の分析性能に優れる。
本発明の第三の形態の金属不純物元素の分析方法では、同一の分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体の両方に通液し、同一の溶離液を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体の両方に通液するので、モノリス状有機多孔質アニオン交換体のみを用いて、不純物捕捉工程を行い、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉され易い金属不純物の含有量を分析し、且つ、モノリス状有機多孔質カチオン交換体のみを用いて、不純物捕捉工程を行い、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に捕捉され易い金属不純物の含有量を分析し、つまり、異なる分析対象水と異なる溶離液を用いて、別々にカチオン性の元素とアニオン性の元素とを別々に分析し、それらの結果から、分析対象水中の全金属不純物の含有量を求める場合に比べ、誤差が少なくなる。特に、分析対象水中の金属不純物含有量が非常に低い場合、例えば、1ppt以下である場合、吸着材への分析対象水の通液量を非常に多くする必要があるので、本発明の第三の形態の金属不純物元素の分析方法では、誤差を少なくする効果が顕著に表れる。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析キット(分析装置)は、少なくともモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備え、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に、通過させるためのフローセル(1)と、
該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析キット(分析装置)である。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析キットは、本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法を実施するための分析キットである。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析キットに係るモノリス状有機多孔質アニオン交換体、分析対象水は、本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析方法に係るモノリス状有機多孔質アニオン交換体、分析対象水と同様である。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析キット(分析装置)は、少なくともモノリス状有機多孔質カチオン交換体を備え、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に、通過させるためのフローセル(2)と、
該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析キット(分析装置)である。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析キットは、本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法を実施するための分析キットである。
本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析キットに係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体、分析対象水は、本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析方法に係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体、分析対象水と同様である。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析キット(分析装置)は、少なくとも前段にモノリス状有機多孔質カチオン交換体を、後段にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備え、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順に、通過させるため、又は前段にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、後段にモノリス状有機多孔質カチオン交換体を備え、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に、通過させるためのフローセル(3)と、
該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
を有すること、
を特徴とする金属不純物含有量の分析キット(分析装置)である。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析キットは、本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法を実施するための分析キットである。
本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析キットに係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、分析対象水は、本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析方法に係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、分析対象水と同様である。
本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析キット、本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析キット及び本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析キット(以下、本発明の第一の形態の金属不純物含有量の分析キット、本発明の第二の形態の金属不純物含有量の分析キット及び本発明の第三の形態の金属不純物含有量の分析キットを総称して、本発明の金属不純物含有量の分析キットと記載する。)に係るフローセル((1)、(2)、(3))は、内部に備えるモノリス状有機多孔質イオン交換体の種類が異なること以外は同様である。
本発明の金属不純物含有量の分析キットに係る積算流量計は、導入される液の量を計測し積算できるものであれば、特に制限されない。
本発明の金属不純物含有量の分析キットは、フローセル((1)、(2)、(3))内のモノリス状有機多孔質イオン交換体に、分析対象水及び溶離液を供給するための供給管と、モノリス状有機多孔質イオン交換体から排出される排出液を、積算流量計に導入するための導入管と、積算流量計から排出される排出液を、分析キット外に排出するための排出管と、を有する。
本発明の金属不純物含有量の分析キットは、分析キットを分析対象水が供給される管から取り外した後、内部へのコンタミが起こらないように、内部を密閉するための密閉手段が付設されている。
本発明の金属不純物含有量の分析キットに係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体としては、第2のモノリスカチオン交換体、すなわち、全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが乾燥状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜10mL/gであり、カチオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量が、0.3〜5.0mg当量/mL(水湿潤状態)であり、カチオン交換基が有機多孔質カチオン交換体中に均一に分布しているモノリス状有機多孔質カチオン交換体であり、且つ、H形であるものが、通液速度を高くすることができ、不純物捕捉工程及び溶離工程にかかる時間を短くすることができる点で好ましい。
本発明の金属不純物含有量の分析キットに係るモノリス状有機多孔質アニオン交換体としては、第2のモノリスアニオン交換体、すなわち、全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが乾燥状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜10mL/gであり、アニオンン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量が、0.2〜5.0mg当量/mL(水湿潤状態)であり、アニオン交換基が有機多孔質アニオン交換体中に均一に分布しているモノリス状有機多孔質アニオン交換体であり、且つ、OH形であるものが、通液速度を高くすることができ、不純物捕捉工程及び溶離工程にかかる時間を短くすることができる点で好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
特開平2010−234357号公報に係る明細書の実施例の参考例17と同様の方法で、第2のモノリスカチオン交換体を製造した。
(参考例1)
<第2のモノリスアニオン交換体及び第2のモノリスカチオン交換体の製造>
(I工程;モノリス中間体の製造)
スチレン5.4g、ジビニルベンゼン0.17g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.4gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリス中間体を製造した。このようにして得られたモノリス中間体(乾燥体)の内部構造をSEM画像により観察したところ、隣接する2つのマクロポアを区画する壁部は極めて細く棒状であるものの、連続気泡構造を有しており、水銀圧入法により測定したマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は70μm、全細孔容積は21.0ml/gであった。
(共連続構造モノリスの製造)
次いで、スチレン76.0g、ジビニルベンゼン4.0g、1-デカノール120g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.8gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。次に上記モノリス中間体を直径70mm、厚さ約40mmの円盤状に切断して4.1gを分取した。分取したモノリス中間体を内径110mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約60mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥した(III工程)。
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を3.2モル%含有したモノリス(乾燥体)の内部構造をSEMにより観察したところ、当該モノリスは骨格及び空孔はそれぞれ3次元的に連続し、両相が絡み合った共連続構造であった。また、SEM画像から測定した骨格の太さは17μmであった。また、水銀圧入法により測定した当該モノリスの三次元的に連続した空孔の大きさは41μm、全細孔容積は2.9ml/gであった。
(共連続構造モノリス状アニオン交換体の製造)
上上記の方法で製造したモノリスを、直径70mm、厚み約50mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン4700ml、四塩化スズ67mlを加え、氷冷下クロロ硫酸1870mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリス状有機多孔質体にTHF3400mlとトリメチルアミン30%水溶液2000mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して単離した。して共連続構造を有するモノリスアニオン交換体Aを得た。
(共連続構造モノリス状カチオン交換体の製造)
上記の方法で製造したモノリスを、直径75mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。モノリスの重量は18gであった。これにジクロロメタン1500mlを加え、35℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、クロロ硫酸99gを徐々に加え、昇温して35℃で24時間反応させた。その後、メタノールを加え、残存するクロロ硫酸をクエンチした後、メタノールで洗浄してジクロロメタンを除き、更に純水で洗浄して共連続構造を有するモノリスカチオン交換体Bを得た。
(モノリスアニオン交換体Aの分析)
得られたモノリスアニオン交換体Aを一部切り出し、乾燥させた後、その内部構造をSEMにより観察したところ、当該モノリスアニオン交換体は共連続構造を維持していることを確認した。また、該モノリスアニオン交換体Aの反応前後の膨潤率は1.4倍であり、体積当りのアニオン交換容量は水湿潤状態で0.72mg当量/mlであった。水湿潤状態でのモノリスの連続空孔の大きさを、モノリスの値と水湿潤状態のカチオン交換体の膨潤率から見積もったところ70μmであり、骨格の直径は23μm、全細孔容積は2.9ml/gであった。
また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.005MPa/m・LVであった。更に、該モノリスアニオン交換体Aの塩化物イオンに関するイオン交換帯長さを測定したところ、LV=20m/hにおけるイオン交換帯長さは16mmであった。
次に、モノリスアニオン交換体A中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、アニオン交換体Aを塩酸水溶液で処理して塩化物型とした後、EPMAにより塩素原子の分布状態を観察した。その結果、四級アンモニウム基はアニオン交換体の骨格表面及び骨格内部(断面方向)にそれぞれ均一に導入されていることが観察された。
(モノリスカチオン交換体Bの分析)
また、得られたモノリスカチオン交換体Bを一部切り出し、乾燥させた後、その内部構造をSEMにより観察したところ、当該モノリスカチオン交換体は共連続構造を維持していることを確認した。また、該モノリスカチオン交換体Bの反応前後の膨潤率は1.4倍であり、体積当りのカチオン交換容量は水湿潤状態で0.72mg当量/mlであった。水湿潤状態でのモノリスの連続空孔の大きさを、モノリスの値と水湿潤状態のカチオン交換体の膨潤率から見積もったところ70μmであり、骨格の直径は23μm、全細孔容積は2.9ml/gであった。
また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.005MPa/m・LVであった。更に、該モノリスカチオン交換体Bのナトリウムイオンに関するイオン交換帯長さを測定したところ、LV=20m/hにおけるイオン交換帯長さは16mmであり、市販の強酸性カチオン交換樹脂であるアンバーライトIR120B(ロームアンドハース社製)の値(320mm)に比べて圧倒的に短いばかりでなく、従来の連続気泡構造を有するモノリス状多孔質カチオン交換体の値に比べても短かった。
次に、モノリスカチオン交換体B中のスルホン酸基の分布状態を確認するため、EPMAにより硫黄原子の分布状態を観察した。その結果、スルホン酸基はカチオン交換体の骨格表面及び骨格内部(断面方向)にそれぞれ均一に導入されていることが観察された。
(実施例1)
モノリスアニオン交換体Aを、直径10mm×高さ20mmの形状に切り出し、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製の充填容器に充填した。次いで、充填容器内に、後述する試験水1を、表1に示す条件で、33mL/min.(SV=1274h−1)で、通液し、モノリスアニオン交換体Aへの試験水1の通液を行った。このときの試験水1の総通液量は100mLである。
次いで、回収液を、ICP−MSで測定し、各イオン性不純物元素の濃度を測定した。
次いで、試験水中の各イオン性不純物元素の濃度及び総通液量から算出される通液した試験水中の各イオン性不純物元素の総量と、回収液中の各イオン性不純物元素の濃度及び液の通液量から算出される回収液中の各イオン性不純物元素の総回収量とを求めた。そして、通液した試験水中の各イオン性不純物元素の総量に対する回収液中の各イオン性不純物元素の総回収量の百分率を求めた。その結果を表2に示す。
(試験水1)
Li、B、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Cd、Sn、Ba、Pbが、それぞれ2000ng/Lとなるように調整された試験水。
(分析)
試験水及び処理水中の各元素の含有量を、ICP−MS(アジレントテクノロジー社製、7500cs)にて測定した。
なお、ICP−MSでの含有量の分析においては、予め、複数の含有量の標準試料を用いてカウント値(CPS)と金属含有量の検量線を作製しておき、試験サンプル(試験水又は処理水)を測定し、検量線に基づいて、そのカウント値に対応する金属含有量を、試験水又は処理水の金属含有量とした。
(実施例2)
モノリスカチオン交換体Bを、表1に示す形状に切り出し、表1に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(実施例3)
モノリスアニオン交換体A及びモノリスカチオン交換体Bを、いずれも表1に示す形状に切り出し、充填容器に、前段にモノリスカチオン交換体Bを、後段にモノリスアニオン交換体Aを充填し、表1に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(実施例4)
モノリスアニオン交換体A及びモノリスカチオン交換体Bを、いずれも表1に示す形状に切り出し、充填容器に、前段にモノリスアニオン交換体Aを、後段にモノリスカチオン交換体Bを充填し、表1に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(比較例1)
粒状のアニオン交換樹脂(ダウケミカル社製、AMBERJET ESG 4002(OH)、平均粒径0.5〜0.65μm、湿潤状態のイオン交換容量1.25mg当量/g、アニオン交換基:四級アンモニウム)を、表1に示す形状の充填層が形成されるように充填容器に充填し、表1に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(比較例2)
粒状のカチオン交換樹脂(ダウケミカル社製、型番AMBERJET 1024(H)、平均粒径 0.60〜0.70mm、湿潤状態のイオン交換容量2.1mg当量/g以上、カチオン交換基:スルホン酸基)を、表1に示す形状の充填層が形成されるように充填容器に充填し、表1に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例2で用いた粒状のアニオン交換樹脂と比較例3で用いた粒状のカチオン交換樹脂とを、体積比で1:1で混合し、表1に示す形状の充填層が形成されるように充填容器に充填し、表1に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(比較例4)
T.Hori et al., J.Membr.Sci., 132(1997)203-211に記載の方法により膜モジュールを作製した(膜1g当たりのイオン交換基:1.6ミリ当量、平均孔径;0.1μm、交換基;スルホン酸基)。次いで、膜モジュール内に、試験水を、76mL/min.(SV=1274h−1)で供給し、カチオン吸着膜への試験水の通液を行った。このときの試験水の総通液量は100mLである。
次いで、回収液を、ICP−MSで測定し、各イオン性不純物元素の濃度を測定した。
次いで、実施例1と同様にして、通液した試験水中の各イオン性不純物元素の総量に対する回収液中の各イオン性不純物元素の総回収量の百分率を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2019221186
Figure 2019221186
実施例1のモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体で吸着性能が不十分なB、Asについて、優れた吸着性能を有する。また、Al、V、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Sn、Pbについて、優れた吸着性能を示した。
実施例2のモノリス状有機多孔質カチオン交換体は、B、As、Cd以外については、優れた吸着性能を示した。
実施例3及び4からは、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、組み合わせることにより、上記元素の全てを完全に吸着することができた。特に、Cdついては、単独では、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体のいずれも、吸着性能が不十分であるのに対し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、組み合わせることにより、完全に吸着することができた。
一方、イオン交換樹脂を用いる比較例1〜3では、いずれも、モノリス状有機多孔質カチオン交換体又はモノリス状有機多孔質アニオン交換体に比べ、吸着性能が大きく劣っていた。
また、比較例4のカチオン交換膜を用いる場合は、B、As、Cd以外については、優れた吸着性能を示し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体と同程度の吸着性能を示した。
次に、上記試験において、吸着性能が高かったモノリス状有機多孔質アニオン交換体、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、カチオン交換膜について、溶離液による回収性能試験を行った。なお、アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂については、吸着性能が劣っていたので、回収性能試験を行わなかった。
(実施例5)
モノリスアニオン交換体Aを、直径10mm×高さ20mmの形状に切り出し、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製の充填容器に充填した。次いで、充填容器内に、試験水を、表3に示す条件で、33mL/min.(SV=1274h−1)で、通液し、モノリスアニオン交換体Aへの試験水1の通液を行った。このときの試験水1の総通液量は100mLである。
次いで、モノリスアニオン交換体Aへ、溶離液として1N硝酸水溶液(多摩化学工業株式会社製 TAMAPURE−AA−10、表2及び表4中の金属元素の含有量がいずれも10ppt以下)を200mL通液を行い、回収溶離液を得た。なお、1N硝酸水溶液の通液については、総通液量として200mLを通液し、0〜100mLでは20mLずつ分取し、100〜200mLでは100mLを回収した。
次いで、回収溶離液を、ICP−MSで測定し、各イオン性不純物元素の濃度を測定した。
次いで、試験水中の各イオン性不純物元素の濃度及び総通液量から算出される通液した試験水中の各イオン性不純物元素の総量と、回収溶離液中の各イオン性不純物元素の濃度及び溶離液の通液量から算出される回収溶離液中の各イオン性不純物元素の総溶離回収量とを求めた。そして、通液した試験水中の各イオン性不純物元素の総量に対する回収溶離液中の各イオン性不純物元素の総溶離回収量の百分率を求めた。その結果を表4に示す。なお、表2中の回収量欄については、回収欄の「20ml」とは「回収液の積算0〜20mlまでの回収液」を指し、回収欄の「40ml」とは「回収液の積算0〜40mlまでの回収液」を指し、回収欄の「60ml」とは「回収液の積算0〜60mlまでの回収液」を指し、回収欄の「80ml」とは「回収液の積算0〜80mlまでの回収液」を指し、回収欄の「100ml」とは「回収液の積算0〜100mlまでの回収液」を指し、回収欄の「200ml」とは「回収液の積算0〜200mlまでの回収液」を指す。以下の表5〜表8についても同じ。
Figure 2019221186
Figure 2019221186
(実施例6)
モノリスカチオン交換体Bを、表3に示す形状に切り出し、表3に示す条件で通液すること以外は、実施例5と同様に行った。その結果を表5に示す。
Figure 2019221186
(実施例7)
モノリスアニオン交換体A及びモノリスカチオン交換体Bを、いずれも表3に示す形状に切り出し、充填容器に、前段にモノリスカチオン交換体Bを、後段にモノリスアニオン交換体Aを充填し、表3に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表6に示す。
Figure 2019221186
(実施例8)
モノリスアニオン交換体A及びモノリスカチオン交換体Bを、いずれも表3に示す形状に切り出し、充填容器に、前段にモノリスアニオン交換体Aを、後段にモノリスカチオン交換体Bを充填し、表3に示す条件で通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表7に示す。
Figure 2019221186
(比較例5)
比較例4で用いた膜モジュールを作製した。次いで、膜モジュール内に、試験水を、表3に示す条件で、供給し、カチオン吸着膜への試験水の通液を行った。
次いで、カチオン吸着膜に、溶離液として1N硝酸水溶液を200mL通液を行い、回収溶離液を得た。なお、1N硝酸水溶液の通液については、総通液量として200mLを通液し、0〜100mLでは20mLずつ分取し、100〜200mLでは100mLを回収した。
次いで、回収溶離液を、ICP−MSで測定し、各イオン性不純物元素の濃度を測定した。
次いで、試験水中の各イオン性不純物元素の濃度及び総通液量から算出される通液した試験水中の各イオン性不純物元素の総量と、回収溶離液中の各イオン性不純物元素の濃度及び溶離液の通液量から算出される回収溶離液中の各イオン性不純物元素の総溶離回収量とを求めた。そして、通液した試験水中の各イオン性不純物元素の総量に対する回収溶離液中の各イオン性不純物元素の総溶離回収量の百分率を求めた。その結果を表8に示す。
Figure 2019221186
実施例5のモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体で吸着性能が不十分なB、Asについて、優れた回収性能をしめした。また、V、Cr、Fe、について優れた回収性能を示した。
実施例6のモノリス状有機多孔質カチオン交換体は、B、As以外については、優れた吸着性能を示した。
実施例7及び8からは、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、組み合わせることにより、上記元素の全てを完全に回収することができた。
また、比較例5のカチオン交換膜を用いる場合は、B、Ti、V、Cr、MnFe、As、Ba以外については、優れた回収性能を示した。
次いで、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8及び比較例5について、表3に示す通水条件で後述する試験水2を通液し、イオン交換体への試験水2の通液を行った。このときの試験水2の総通液量は100mLである。次いで、試験水中の金属不純物微粒子の濃度及び総通液量から算出される通液した試験水中の金属不純物微粒子の総量と、回収液中の金属不純物微粒子の濃度及び液の通液量から算出される回収液中の金属不純物微粒子の総回収量とを求めた。そして、通液した試験水中の金属不純物微粒子の総量に対する回収液中の金属不純物微粒子の総回収量の百分率を求めた。その結果を表9に示す。
(試験水2)
試験水2として、平均粒径5nm(粒径4nm以上6nm未満)のFe微粒子、平均粒径10nm(粒径9nm以上11nm未満)のFe微粒子、平均粒径30nm(粒径29nm以上31nm未満)のFe微粒子の含有量が1000ng/Lとなるように調整された試験水を用意した。
なお、試験水2のFe微粒子は、SHIGMA−ALDRICH社製の「酸化鉄溶液」より調整した。また、粒径については、透過型電子顕微鏡(TEM)にて測定した。
(分析)
試験水及び回収溶離液中の各微粒子の濃度を、ICP−MSで測定することにより求めた。
なお、ICP−MSでの含有量の分析においては、予め、複数の含有量の標準試料を用いてカウント値(CPS)と金属粒子含有量の検量線を作製しておき、試験サンプル(試験水又は処理水)を測定し、検量線に基づいて、そのカウント値に対応する金属粒子含有量を、試験水又は処理水の金属粒子含有量とした。
Figure 2019221186
*表9中、Fe 5nm:平均粒径5nmのFe微粒子、Fe 10nm:平均粒径10nmのFe微粒子、Fe 30nm:平均粒径30nmのFe微粒子
実施例5のモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体で吸着性能が不十分な平均粒径5nm、平均粒径10nmのFe粒子に対して高い吸着性能を示した。
実施例7及び8からは、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、組み合わせることにより、粒径の異なるFe粒子を完全に吸着することができた。
また、比較例5のカチオン交換膜を用いる場合は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体と同程度の吸着性能を示した。
次いで、充填容器内に、溶離液として1N硝酸水溶液を200mL供給し、イオン交換体への1N硝酸水溶液の通液を行い、回収溶離液を得た。
次いで、回収溶離液を(ICP−MS)で測定し、各微粒子の含有量を測定した。なお、モノリス状有機多孔質イオン交換体に吸着した金属不純物微粒子は、硝酸等の酸での溶離により、回収溶離液中ではイオンの状態で存在する。また、ICP−MSでは高温でイオン化を行う。そのため、金属不純物微粒子等の固体であってもイオン化して分析が可能である。
次いで、試験水2中の各微粒子の含有量及び総通液量から算出される通液した試験水2中の各微粒子の総量と、回収溶離液中の各微粒子の含有量及び溶離液の通液量から算出される回収溶離液中の各微粒子の総溶離回収量とを求めた。そして、通液した試験水2中の各微粒子の総量に対する回収溶離液中の各微粒子の総溶離回収量の百分率を求めた。その結果を表10に示す。
Figure 2019221186
*表10中、Fe 5nm:平均粒径5nmのFe微粒子、Fe 10nm:平均粒径10nmのFe微粒子、Fe 30nm:平均粒径30nmのFe微粒子
実施例5のモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体で吸着性能が不十分な各粒径のFe粒子について、優れた回収性能を示した。
実施例7及び8からは、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、組み合わせることにより、各粒径のFe粒子を完全に回収することができた。
また、実施例6のモノリス状有機多孔質カチオン交換体、および比較例5のカチオン交換膜は同等の回収性能を示した。
(実施例9)
モノリスカチオン交換体Bを、直径10mm×高さ20mmの形状に切り出し、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製の充填容器に充填した。次いで、充填容器内に、後述する試験水3を、表11に示す条件で、通液し、モノリスカチオン交換体Bへの試験水3の通液を行った。
次いで、充填容器内に、溶離液として1N硝酸水溶液を表11に示す量供給し、イオン交換体への1N硝酸水溶液の通液を行い、回収溶離液を得た。
次いで、回収溶離液を(ICP−MS)で測定し、各イオン性不純物元素の含有量を測定した。
次いで、試験水3の総通液量と、回収溶離液中の各イオン性不純物元素の含有量及び溶離液の通液量から、試験水3中の各イオン性不純物元素の含有量を求めた。その結果を表12に示す。
なお、本実施例におけるブランク値は10ng/L未満である。本実施例において、ブランク値とは、ICP−MSの定量下限値又はモノリスからの金属溶出量のうち高い数値のほうを指す。例えば、ブランク値が10ng/L未満であるのに対し、試験水に要求される定量下限値0.001ng/Lの場合、濃縮倍率として10000倍が必要であるので、溶離液の通水量の10000倍の通水量が必要となる。
(試験水3)
試験水3として、超純水製造設備から採取した超純水を用意した。
(比較例6)
比較例4と同じ方法で膜モジュールを作製した(膜1g当たりのイオン交換基:1.6ミリ当量、平均孔径:0.1μm、交換基:スルホン酸基)。次いで、膜モジュールに後述する試験水3を表11に示す条件で通液し、膜モジュールへの試験水3の通液を行った。
以後は、実施例9と同様の手順で行った。そして、試験水3の総通液量と、回収溶離液中の各イオン性不純物元素の含有量及び溶離液の通液量から、試験水3中の各イオン性不純物元素の含有量を求めた。その結果を表12に示す。
Figure 2019221186
Figure 2019221186
表12の結果より、モノリスカチオン交換体Bを用いる実施例9では、膜モジュールを用いる比較例6と同様の精度で、ppqオーダーの超純水中の金属不純物含有量の定量分析を行うことができることがわかった。また、実施例9は、比較例6に比べ、非常に短い通水時間で、分析に必要な量の分析対象水の通水を完了することができるので、分析時間を大幅に短くすることができることがわかった。
(実施例10)
モノリスアニオン交換体Aを、直径10mm×高さ20mmの形状に切り出し、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製の充填容器に充填した。次いで、充填容器内に、後述する試験水3を、表13に示す条件で、通液し、モノリスアニオン交換体Aへの試験水3の通液を行った。
以後は、実施例9と同様の手順で行った。そして、試験水3の総通液量と、回収溶離液中の各イオン性不純物元素(B)の含有量及び溶離液の通液量から、試験水3中の各イオン性不純物元素(B)の含有量を求めた。その結果、回収溶離液中のBの含有量は30pptであった。この値は、ICP−MSの定量下限値である10pptを超えていた。回収溶離液中のBの含有量から算出される試験水3中のB含有量は、0.3pptである。
Figure 2019221186
実施例10では、試験水3中のBの含有量の測定を行うことができた。一方、参考のために、ボトルサンプリングした超純水を、ICP−MSにて分析したが、ICP−MSの定量下限値が10pptのため信頼した結果を得ることが出来なかった。
10 原水
11 超純水製造装置
12 ユースポイント
13 超純水移送管
14 分析対象水抜出管
15 第一分岐管
16、19、27 フローセル
17、20、28 積算流量計
18 第二分岐管
21 超純水
22 溶離液
23 溶離液の導入管
24、25 回収溶離液
26 分析キット

Claims (10)

  1. 分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液することにより、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(1)と、
    溶離液を、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(1)と、
    該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(1)と、
    を有すること、
    を特徴とする金属不純物含有量の分析方法。
  2. 分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液することにより、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(2)と、
    溶離液を、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質カチオン交換体に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(2)と、
    該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(2)と、
    を有すること、
    を特徴とする金属不純物含有量の分析方法。
  3. 分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順、又は先に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に通液し、該分析対象水中の金属不純物を、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び該モノリス状有機多孔質アニオン交換体に捕捉させる不純物捕捉工程(3)と、
    溶離液を、先に、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、該モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順、又は先に、該分析対象水中の金属不純物を捕捉させた該モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に通液し、排出液を回収することにより、該モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び該モノリス状有機多孔質アニオン交換体から溶離した該分析対象水中の金属不純物を含有する回収溶離液を得る溶離工程(3)と、
    該回収溶離液中の各金属不純物の含有量を測定する測定工程(3)と、
    を有すること、
    を特徴とする金属不純物含有量の分析方法。
  4. 前記分析対象水が、金属不純物として、少なくとも、イオン性不純物元素及び金属不純物微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の金属不純物含有量の分析方法。
  5. 前記分析対象水中の各金属不純物の含有量が1.000ppt以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の金属不純物含有量の分析方法。
  6. 前記溶離液が、0.1〜2.0Nの酸であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の金属不純物含有量の分析方法。
  7. 前記溶離液が、各金属不純物の含有量が100ppt以下の硝酸又は塩酸であることを特徴とする請求項6記載の金属不純物含有量の分析方法。
  8. 少なくともモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備え、分析対象水を、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に、通過させるためのフローセル(1)と、
    該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
    を有すること、
    を特徴とする金属不純物含有量の分析キット。
  9. 少なくともモノリス状有機多孔質カチオン交換体を備え、分析対象水を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体に、通過させるためのフローセル(2)と、
    該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
    を有すること、
    を特徴とする金属不純物含有量の分析キット。
  10. 少なくとも前段にモノリス状有機多孔質カチオン交換体を、後段にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を備え、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の順に、通過させるため、又は前段にモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、後段にモノリス状有機多孔質カチオン交換体を備え、分析対象水を、先に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の順に、通過させるためのフローセル(3)と、
    該フローセルを通過した分析対象水の量を計測するための積算流量計と、
    を有すること、
    を特徴とする金属不純物含有量の分析キット。
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