JP5567958B2 - 白金族金属担持触媒の製造方法 - Google Patents

白金族金属担持触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発電所用水や半導体製造などの精密加工洗浄用水に使用される、超純水中の過酸化水素や溶存酸素の様な酸化性物質を除去するための白金族金属担持触媒に関するものである。
発電所で用いられる用水中の溶存酸素は、配管や熱交換器等の部材の腐食を引き起こすことが知られており、特に、原子力発電所の一次系及び二次系においては、溶存酸素を極力低減する必要がある。
また、半導体製造産業においては、不純物を高度に除去した超純水を用いてシリコンウエハの洗浄等が行われている。超純水は、一般に原水(河川水、地下水、工業用水等)中に含まれる懸濁物質や有機物の一部を前処理工程で除去した後、その処理水を一次純水系システム及び二次純水系システム(サブシステム)で順次処理することによって製造され、ウエハ洗浄を行うユースポイントに供給される。このような超純水は、不純物の定量も困難であるほどの純度を有するが、全く不純物を有していないわけではない。
例えば、超純水中に含まれる溶存酸素は、シリコンウエハの表面に自然酸化膜を形成する。自然酸化膜がウエハ表面に形成されると、低温でのエピタキシャルSi薄膜の成長を妨げたり、ゲート酸化膜の膜圧及び膜質の精密制御の妨げとなったり、コンタクトホールのコンタクト抵抗の増加原因となったりする。そのため、ウエハ表面の自然酸化膜の形成は、極力抑制する必要がある。
そこで、超純水製造装置においては、特に一次純水系システムにおいて、脱気装置を用いて溶存酸素を低減している。この脱気装置により、二次純水系システム入り口における被処理水(一次純水)中の溶存酸素濃度は、通常、100μg/L以下にまで低減されている。更に、10μg/L以下に管理されている場合もある。
前述した超純水の製造では、一般に、二次純水系システムに設置した紫外線酸化装置によって有機物の分解を行っている。紫外線酸化処理の過程では過酸化水素が副生するため、紫外線酸化装置の処理水中には、過酸化水素が残存しているのが一般的である。この過酸化水素は、二次純水系システムのポリッシャ工程で部分的に分解されて酸素を生成し、処理水中の溶存酸素濃度を上昇させてしまう。
そこで、紫外線酸化装置の処理水中に含まれる過酸化水素を、合成炭素系粒状吸着剤を用いて吸着除去する方法が提案されている(特開平9−29233号公報)。この方法によれば、紫外線酸化装置の処理水中に残存する過酸化水素自体を除去することから、ウエハ表面の自然酸化皮膜の形成を抑制することが可能である。しかし、この方法では、所定の過酸化水素除去率を達成するためには、多量の合成炭素系粒状吸着剤を充填した大型の吸着塔が必要であった。
また、紫外線酸化装置の処理水中に含まれる過酸化水素を、白金族金属ナノコロイド粒子を担体に担持させた触媒によって分解する方法が提案されている(特開2007−185587号公報)。
特開平9−29233号公報(特許請求の範囲) 特開2007−185587号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特開2007−185587号公報に記載の触媒は、通水空間速度(SV)が100〜2000h−1と比較的低い領域でしか使用できず、SVが2000h−1を越えると、過酸化水素の分解除去が不十分になるといった欠点を有していた。また、触媒の充填層高が100mm程度は必要で、充填層高が100mm未満になると、SVが100〜2000h−1であっても、過酸化水素の分解除去が不十分になる可能性がある。
従って、本発明の目的は、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで通水しても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であり、更に、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去を可能にする、高性能触媒を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下と均質な粒度分布を持つ白金族金属粒子を含有する流体、例えば、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下と均質な粒度分布を持つ白金族金属粒子を含有する超臨界流体に、モノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体を接触させることにより、有機多孔質体内の細孔に、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下と粒度分布の均一な白金族金属粒子が担持された白金族金属担持触媒が得られ、このような白金族金属担持触媒は、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで通水しても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であり、更に、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明()は、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する超臨界流体に、モノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体を接触させることにより、該モノリス状有機多孔質体又は該モノリス状有機多孔質イオン交換体に該白金族金属粒子を担持して、白金族金属担持触媒を得る白金族金属担持工程を有することを特徴とする白金族金属担持触媒の製造方法を提供するものである。
本発明の白金族金属担持触媒によれば、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで通水しても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であり、更に、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能である。
第1のモノリスの形態例のSEM写真である。 第2のモノリスの形態例のSEM写真である。 第3のモノリスの形態例のSEM写真である。 図3のSEM写真の断面として表れる骨格部を転写した図である。 第4のモノリスの形態例のSEM写真である。 第4のモノリス及びモノリスイオン交換体の共連続構造の模式図である。 モノリス中間体(4)の形態例のSEM写真である。 突起体の模式的な断面図である。 第5−1のモノリスの形態例のSEM写真である。 第6のモノリス及びモノリスイオン交換体の基本構造を示す模式図である。 第6のモノリスの形態例のSEM写真である。
本発明の白金族金属担持触媒は、モノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体に、平均粒子径1〜100nmの白金族金属粒子が担持されている白金族金属担持触媒であり、該白金族金属粒子の均一度数が、10以下であり、該白金族金属粒子の担持量が、0.004〜20重量%であることを特徴とする白金族金属担持触媒である。
モノリス状有機多孔質体は、骨格が有機ポリマーにより形成されており、骨格間に被処理水の流路となる連通孔を多数有する多孔質体である。また、モノリス状有機多孔質イオン交換体は、モノリス状有機多孔質体に、イオン交換基が導入された多孔質体である。なお、本明細書中、「モノリス状有機多孔質体」を単に「モノリス」と、「モノリス状有機多孔質イオン交換体」を単に「モノリスイオン交換体」とも言い、また、モノリスの製造における中間体(前駆体)である「モノリス状有機多孔質中間体」を単に「モノリス中間体」とも言う。
<モノリス状有機多孔質体及びモノリス状有機多孔質イオン交換体>
モノリスとしては、以下に示す第1のモノリス〜第6のモノリスが挙げられる。また、モノリスイオン交換体としては、以下に示す第1のモノリスイオン交換体〜第6のモノリスイオン交換体が挙げられる。
<第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体の説明>
本発明の白金族金属担持触媒において、白金族金属粒子の担体となる第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均直径が乾燥状態で1〜1000μmの共通の開口(メソポア)を有する連続気泡構造を有し、乾燥状態での全細孔容積が1〜50ml/gである有機多孔質体である。また、第1のモノリスイオン交換体は、イオン交換基を有しており、イオン交換基が均一に分布し、乾燥状態の重量当りのイオン交換容量が0.5〜5.0mg当量/gであるモノリスイオン交換体である。
第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径1〜1000μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜100μmの共通の開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体であり、その大部分がオープンポア構造のものである。オープンポア構造は、水を流せば該マクロポアと該メソポアで形成される気泡内が流路となる。マクロポアとマクロポアの重なりは、1個のマクロポアで1〜12個、多くのものは3〜10個である。図1には、第1のモノリスの形態例の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示すが、図1に示す第1のモノリスは、多数の気泡状のマクロポアを有しており、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が共通の開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体となっており、その大部分がオープンポア構造である。メソポアの乾燥状態での平均直径が1μm未満であると、通水時の圧力損失が著しく大きくなってしまうため好ましくなく、メソポアの乾燥状態での平均直径が1000μmを越えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が低下してしまうため好ましくない。第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体の構造が上記のような連続気泡構造となることにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成できると共に、特開平8−252579号公報等に記載されるような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができる。
なお、本発明では、乾燥状態の第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体の開口の平均直径は、水銀圧入法により測定される。また、水湿潤状態の第1のモノリス又は第1のモノリスイオン交換体の開口の平均直径は、乾燥状態の第1のモノリス又は第1のモノリスイオン交換体の開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の第1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の第1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を水銀圧入法により測定したときの開口の平均直径がz1(μm)であったとすると、水湿潤状態の第1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)は、次式で算出される。「水湿潤状態の第1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第1のモノリスの開口の平均直径、及びその乾燥状態の第1のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第1のモノリスに対する水湿潤状態の第1のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第1のモノリスの開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第1のモノリスイオン交換体の開口の平均直径を算出することもできる。
第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、1〜50ml/g、好適には2〜30ml/gである。全細孔容積が1ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過水量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が50ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス及びモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とモノリス及びモノリスイオン交換体およびそれに担持された白金族金属粒子との接触効率が低下するため、触媒効果も低下してしまうため好ましくない。全細孔容積は、従来の粒子状多孔質イオン交換樹脂では、せいぜい0.1〜0.9ml/gであるから、それを越える従来には無い1〜50ml/gの高細孔容積、高比表面積のものが使用できる。
なお、第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、これを1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失(以下、「差圧係数」と言う。)で示すと、0.005〜0.5MPa/m・LVが好ましく、0.005〜0.05MPa/m・LVであることが特に好ましい。差圧係数及び全細孔容積が上記範囲であれば、これを触媒として用いた場合、被処理水との接触面積が大きく、かつ被処理水の円滑な流通が可能となるため、優れた性能が発揮される。
第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体において、骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、イオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。
第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体の骨格を構成する有機ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記有機ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続マクロポア構造形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
第1のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基は、第2のモノリスイオン交換体〜第6のイオン交換体においても同様であり、カチオン交換基又はアニオン交換基である。カチオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。アニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
第1のモノリスイオン交換体において(第2のモノリスイオン交換体〜第6のイオン交換体においても同じ)、導入されているイオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「イオン交換基が均一に分布している」とは、イオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。イオン交換基の分布状況であるが、アニオン交換基の場合、対アニオンを塩化物イオン、臭化物イオンなどにイオン交換した後、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer;電子線マイクロアナライザ)を用いることで確認することができ、また、カチオン交換基の場合、例えばスルホン酸基では、EPMAを用いた硫黄原子のマッピングにより、スルホン酸基を確認することができる。また、イオン交換基が、モノリスの表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
第1のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、0.5〜5.0mg当量/gである。乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が、上記範囲にあれば、OH形のアニオン交換基をもつモノリスイオン交換体の場合、触媒担体近傍の塩基性度が高くなり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が高くなる。なお、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が5.0mg当量/gを超えると、イオン形の変化によるモノリスイオン交換体の膨潤及び収縮の体積変化が大きくなり過ぎ易い。なお、第1のモノリスイオン交換体の水湿潤状態における体積当りのイオン交換容量は特に限定されないが、通常、0.05〜0.5mg当量/mlである。なお、イオン交換基が表面のみに導入された多孔質体のイオン交換容量は、多孔質体やイオン交換基の種類により一概には決定できないものの、せいぜい500μg当量/gである。
<第1のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体の製造方法>
第1のモノリスの製造方法としては、特に制限されないが、特開2002−306976号公報記載の方法に準じた、製造方法の一例を以下示す。すなわち、第1のモノリスは、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを得、これを重合させてモノリスを形成することにより得られる。このような、第1のモノリスの製造方法は、モノリスの多孔構造の制御が容易である点で、好ましい。
第1のモノリスの製造で用いられるイオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、カルボン酸基、スルホン酸基等のカチオン交換基及び四級アンモニウム基等のアニオン交換基のいずれも含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーを指すものである。これらモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、本発明においては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%とすることが、後の工程でイオン交換基を定量的に導入し、かつ、実用的に十分な機械的強度を確保できる点で好ましい。
第1のモノリスの製造で用いられる界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。また、必ずしも必須ではないが、モノリスの気泡形状やサイズを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン、トルエン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルを系内に共存させることもできる。
また、第1のモノリスの製造において、重合によりモノリスを形成する際、必要に応じて用いられる重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
第1のモノリスの製造において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーや、被処理物を混合容器に入れ、該混合容器を傾斜させた状態で公転軸の周りに公転させながら自転させることで、被処理物を攪拌混合する、所謂遊星式攪拌装置等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。これらの混合装置のうち、遊星式攪拌装置はW/Oエマルジョン中の水滴を均一に生成させることができ、その平均径を幅広い範囲で任意に設定できるため、好ましく用いられる。
第1のモノリスの製造において、このようにして得られた油中水滴型エマルジョンを重合させる重合条件は、モノマーの種類、開始剤系により様々な条件が選択できる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間、加熱重合させればよく、開始剤として過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、0〜30℃で1〜48時間重合させればよい。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出し、未反応モノマーと残留界面活性剤を除去して第1のモノリスを得る。
第1のモノリスイオン交換体の製造方法としては、特に制限されず、上記第1のモノリスの製造方法において、イオン交換基を含まないモノマーに代えて、イオン交換基を含むモノマー、例えば、上記イオン交換基を含まない油溶性モノマーに、カルボン酸基、スルホン酸基等のカチオン交換基又は四級アンモニウム基等のアニオン交換基が導入されているモノマーを用いて重合させ、一段階でモノリスイオン交換体にする方法、イオン交換基を含まないモノマーを用いて重合させ第1のモノリスを形成し、次いで、イオン交換基を導入する方法などが挙げられる。これらの方法のうち、イオン交換基を含まないモノマーを用いて重合させ第1のモノリスを形成し、次いで、イオン交換基を導入する方法は、モノリスイオン交換体の多孔構造の制御が容易であり、イオン交換基の定量的導入も可能であるため好ましい。
第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法としては、特に制限はなく、高分子反応やグラフト重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、四級アンモニウム基を導入する方法としては、モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させ導入する方法;モノリスをクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合により製造し、三級アミンと反応させ導入する方法;モノリスにラジカル開始基や連鎖移動基を導入し、N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアクリレートやN,N,N−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドをグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換により四級アンモニウム基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、四級アンモニウム基を導入する方法としては、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体にクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させる方法やクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合によりモノリスを製造し、三級アミンと反応させる方法が、イオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。また、例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロ硫酸や濃硫酸、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法;モノリスに均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部に導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムやアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換によりスルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、クロロ硫酸を用いてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸を導入する方法が、イオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するイオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基が挙げられる。
<第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体の説明>
本発明の白金族金属触媒において、白金族金属粒子の担体となる第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体は、粒子凝集型モノリスであり、平均粒子径が水湿潤状態で1〜50μmの有機ポリマー粒子が凝集して三次元的に連続した骨格部分を形成し、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で20〜100μmの三次元的に連続した空孔を有し、乾燥状態での全細孔容積が1〜5ml/gである有機多孔質体である。また、第2のモノリスイオン交換体は、イオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が0.3〜1.0mg当量/mlであり、イオン交換基が該有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリスイオン交換体である。
第2のモノリス及び第2モノリスイオン交換体の基本構造は、架橋構造単位を有する平均粒子径が水湿潤状態で1〜50μm、好ましくは1〜30μmの有機ポリマー粒子が凝集して三次元的に連続した骨格部分を形成し、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で20〜100μm、好ましくは20〜90μmの三次元的に連続した空孔を有する粒子凝集型構造であり、当該三次元的に連続した空孔が液体や気体の流路となる。図2には、第2のモノリスの形態例のSEM写真を示すが、図2に示す第2のモノリスは、有機ポリマー粒子が凝集して三次元的に連続した骨格部分を形成し、その骨格間に三次元的に連続した空孔を有する粒子凝集型構造である。有機ポリマー粒子の平均粒子径が水湿潤状態で1μm未満であると、骨格間の連続した空孔の平均直径が水湿潤状態で20μm未満と小さくなってしまうため好ましくなく、50μmを超えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解効果又は溶存酸素除去効果が低下してしまうため好ましくない。また、骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径が水湿潤状態で20μm未満であると、被処理水を透過させた際の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、一方、100μmを越えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が低下してしまうため好ましくない。
なお、第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体の骨格部分を構成する有機ポリマー粒子の乾燥状態での平均粒子径は、SEMを用いることで簡便に測定される。また、水湿潤状態の第2のモノリス又は第2のモノリスイオン交換体の骨格部分を構成する有機ポリマー粒子の平均粒子径は、乾燥状態の第2のモノリス又は第2のモノリスイオン交換体の骨格部分を構成する有機ポリマー粒子の平均粒子径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、先ず、乾燥状態の第2のモノリス又は第2のモノリスイオン交換体の断面の任意に抽出した部分のSEM写真を撮り、そのSEM写真中の全粒子の有機ポリマー粒子の直径を測定して、乾燥状態の第2のモノリス又は第2のモノリスイオン交換体中の有機ポリマー粒子の平均粒子径を測定する。次いで、得られた乾燥状態の有機ポリマー粒子の平均粒子径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第2のモノリス又は第2のモノリスイオン交換体中の有機ポリマー粒子の平均粒子径を算出する。例えば、水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の断面のSEM写真を撮り、そのSEM写真中の全粒子の有機ポリマー粒子の直径を測定したときの平均粒子径がz1(μm)であったとすると、水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)中の有機ポリマー粒子の平均粒子径(μm)は、次式「水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)中の有機ポリマー粒子の平均粒子径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第2のモノリス中の有機ポリマー粒子の平均粒子径、及びその乾燥状態の第2のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第2のモノリスに対する水湿潤状態の第2のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第2のモノリス中の有機ポリマー粒子の平均粒子径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第2のモノリスイオン交換体中の有機ポリマー粒子の平均粒子径を算出することもできる。
また、乾燥状態の第2のモノリスの骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径又は乾燥状態の第2のモノリスイオン交換体の骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径は、水銀圧入法により求められ、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。また、水湿潤状態の第2のモノリス又は第2のモノリスイオン交換体の骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径は、乾燥状態の第2のモノリス又は第2のモノリスイオン交換体の骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx2(mm)であり、その水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy2(mm)であり、この乾燥状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を水銀圧入法により測定したときの骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径がz2(μm)であったとすると、水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の第2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径(μm)=z2×(x2/y2)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第2のモノリスの骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径、及びその乾燥状態の第2のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第2のモノリスに対する水湿潤状態の第2のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第2のモノリスの骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第2のモノリスイオン交換体の骨格間に存在する三次元的に連続した空孔の平均直径を算出することもできる。
第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、1〜5ml/gである。全細孔容積が1ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過水量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス及びモノリスイオン交換体が大きく変形してしまう点で、好ましくない。
第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、これを1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失(以下、「差圧係数」と言う。)で示すと、0.005〜0.1MPa/m・LVであることが好ましく、0.005〜0.05MPa/m・LVであることが特に好ましい。差圧係数及び全細孔容積が上記範囲にあれば、これを触媒として用いた場合、被処理水との接触面積が大きく、かつ被処理水の円滑な流通が可能となるため、優れた性能が発揮できる。
第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体において、骨格部分の材料は、架橋構造単位を有する有機ポリマー材料である。すなわち、該有機ポリマー材料は、ビニルモノマーからなる構成単位と、分子中に2個以上のビニル基を有する架橋剤構造単位とを有するものであり、該ポリマー材料は、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、1〜5モル%、好適には1〜4モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が1モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、5モル%を越えると、上記骨格間に三次元的に連続して存在する空孔径が小さくなってしまい、圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体の骨格を構成するポリマー材料の種類は、特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルベンジルクロライド等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー;スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。上記ポリマーは、単独のモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、粒子凝集構造の形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
第2のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基は、第1のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基と同様である。
第2のモノリスイオン交換体において、導入されたイオン交換基は、第1のモノリスイオン交換体と同様に、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。
第2のモノリスイオン交換体のイオン交換容量は、水湿潤状態での体積当り0.3〜1.0mg当量/mlである。第2のモノリスイオン交換体は、圧力損失を低く押さえたままで体積当りのイオン交換容量を格段に大きくすることができる。水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が、上記範囲にあれば、OH形のアニオン交換基をもつモノリスイオン交換体の場合、触媒担体近傍の塩基性度が高くなり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が高くなる。なお、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、イオン形の変化によるモノリスイオン交換体の膨潤及び収縮の体積変化が大きくなり過ぎ易い。なお、第2のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基を多孔質体の表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3〜5mg当量/gの値を示す。
<第2のモノリス及び第2のモノリスイオン交換体の製造方法>
第2のモノリスの製造方法としては、ビニルモノマー、特定量の架橋剤、有機溶媒および重合開始剤とを混合し、静置状態でこれを重合させることにより、第2のモノリスを得る方法が挙げられる。
第2のモノリスの製造に用いられるビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性のモノマーであれば、特に制限はない。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用される。好適に用いられるビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等のスチレン系モノマーである。
第2のモノリスの製造に用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好ましい。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用される。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤の使用量({架橋剤/(ビニルモノマー+架橋剤)}×100)は、1〜5モル%、好ましくは1〜4モル%である。架橋剤の使用量は得られるモノリスの多孔構造に大きな影響を与え、架橋剤の使用量が5モル%を超えると、骨格間に形成される連続空孔の大きさが小さくなってしまうため好ましくない。一方、架橋剤使用量が1モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足し、通水時に大きく変形したり、モノリスの破壊を招いたりするため好ましくない。
第2のモノリスの製造に用いられる有機溶媒は、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。該有機溶媒は、ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の鎖状エーテル類;ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類等が挙げられる。これらのうち、アルコール類が、静置重合により粒子凝集構造が形成されやすくなると共に、三次元的に連続した空孔が大きくなるため好ましい。また、ベンゼンやトルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用される。
第2のモノリスの製造に用いられる重合開始剤としては、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好ましい。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する重合開始剤の使用量({重合開始剤/(ビニルモノマー+架橋剤)}×100)は、約0.01〜5モル%である。
第2のモノリスの製造においては、重合条件として、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件を選択することができる。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して第2のモノリスを得る。
第2のモノリスの製造において、有機溶媒に溶解したビニルモノマーの重合が早く進む条件で行えば、平均粒子径1μmに近い有機ポリマー粒子が沈降し凝集して三次元的に連続した骨格部分を形成させることができる。ビニルモノマーの重合が早く進む条件とは、ビニルモノマー、架橋剤、重合開始剤及び重合温度などにより異なり一概には決定できないものの、架橋剤を増やす、モノマー濃度を高くする、温度を高くするなどである。このような重合条件を加味して、平均粒子径1〜50μmの有機ポリマー粒子を凝集させる重合条件を適宜決定すればよい。また、その骨格間に平均直径が20〜100μmの三次元的に連続した空孔を形成するには、前述の如く、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤の使用量を特定量とすればよい。また、モノリスの全細孔容積を1〜5ml/gとするには、ビニルモノマー、架橋剤、重合開始剤及び重合温度などにより異なり一概には決定できないものの、概ね有機溶媒、モノマー及び架橋剤の合計使用量に対する有機溶媒使用量({有機溶媒/(有機溶媒+モノマー+架橋剤)}×100)が、30〜80重量%、好適には40〜70重量%のような条件で重合すればよい。
第2のモノリスイオン交換体の製造方法としては、上記の第2のモノリスの製造方法において、イオン交換基を含むモノマー、例えば、イオン交換基を含まないビニルモノマーに、カルボン酸基、スルホン酸基等のカチオン交換基又は四級アンモニウム基等のアニオン交換基が導入されているモノマーを用いて重合させ、一段階でモノリスイオン交換体にする方法、イオン交換基を含まないビニルモノマーを用いて重合させ第2のモノリスを形成し、次いで、イオン交換基を導入する方法などが挙げられる。
第2のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
<第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体の説明>
本発明の白金族金属担持触媒において、白金族金属粒子の担体となる第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜300μmの開口となる連続マクロポア構造体であり、乾燥状態での全細孔容積0.5〜5ml/gであり、且つ該連続マクロポア構造体(乾燥体)の切断面のSEM画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中25〜50%である有機多孔質体である。また、第3のモノリスイオン交換体は、イオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が0.4〜1.0mg当量/mlであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリスイオン交換体である。
第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜300μm、好ましくは30〜200μm、特に好ましくは40〜100μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体である。図3には、第3のモノリスの形態例のSEM写真を示すが、図3に示す第3のモノリスは、多数の気泡状のマクロポアを有しており、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が共通の開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体となっており、その大部分がオープンポア構造である。水湿潤状態での開口の平均直径が30μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、水湿潤状態での開口の平均直径が大き過ぎると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体および担持された白金族金属粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。
なお、乾燥状態の第3のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第3のモノリスイオン交換体の開口の平均直径、及び以下に述べる第3のモノリスの製造方法に係るI工程で得られる、乾燥状態の第3のモノリス中間体(3)の開口の平均直径は、水銀圧入法により測定される。また、水湿潤状態の第3のモノリス又は第3のモノリスイオン交換体の開口の平均直径は、乾燥状態の第3のモノリス又は第3のモノリスイオン交換体の開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第3のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の第3のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第3のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の第3のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を水銀圧入法により測定したときの開口の平均直径がz1(μm)であったとすると、水湿潤状態の第3のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の第3のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第3のモノリスの開口の平均直径、及びその乾燥状態の第3のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第3のモノリスに対する水湿潤状態の第3のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第3のモノリスの開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第3のモノリスイオン交換体の開口の平均直径を算出することもできる。
第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体では、連続マクロポア構造体(乾燥体)の切断面のSEM画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、25〜50%、好ましくは25〜45%である。断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、25%未満であると、細い骨格となり、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス又はモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体およびそれに担持された白金族金属粒子との接触効率が低下し、触媒効果が低下するため好ましくなく、50%を超えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
SEM画像を得るための条件は、切断面の断面に表れる骨格部が鮮明に表れる条件であればよく、例えば倍率100〜600、写真領域が約150mm×100mmである。SEM観察は、主観を排除した第3のモノリス又は第3のモノリスイオン交換体の任意の切断面の任意の箇所で撮影された切断箇所や撮影箇所が異なる3枚以上、好ましくは5枚以上の画像で行うのがよい。切断される第3のモノリス又は第3のモノリスイオン交換体は、電子顕微鏡に供するため、乾燥状態のものである。SEM画像における切断面の骨格部を図3及び図4を参照して説明する。また、図4は、図3のSEM写真の断面として表れる骨格部を転写したものである。図3及び図4中、概ね不定形状で且つ断面で表れるものは本発明の「断面に表れる骨格部(符号12)」であり、図3に表れる円形の孔は開口(メソポア)であり、また、比較的大きな曲率や曲面のものはマクロポア(図4中の符号13)である。図4の断面に表れる骨格部面積は、矩形状画像領域11中、28%である。このように、骨格部は明確に判断できる。
SEM画像において、切断面の断面に表れる骨格部の面積の測定方法としては、特に制限されず、当該骨格部を公知のコンピューター処理などを行い特定した後、コンピューターなどによる自動計算又は手動計算による算出方法が挙げられる。手動計算としては、不定形状物を、四角形、三角形、円形又は台形などの集合物に置き換え、それらを積層して面積を求める方法が挙げられる。
また、第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、0.5〜5ml/g、好ましくは0.8〜4ml/gである。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス又はモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体およびそれに担持された白金族金属粒子との接触効率が低下するため、触媒効果も低下してしまうため好ましくない。
なお、第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、多孔質体を1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失(以下、「差圧係数」と言う。)で示すと、0.001〜0.1MPa/m・LVの範囲、特に0.005〜0.05MPa/m・LVであることが好ましい。差圧係数及び全細孔容積が上記範囲にあれば、これを触媒として用いた場合に、被処理水との接触面積が大きく、かつ被処理水の円滑な流通が可能となるため、優れた性能が発揮される。
第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体において、骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、イオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。
第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体の骨格を構成するポリマー材料の種類は、特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続マクロポア構造形成の容易さ、イオン交換基を導入する場合は、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
第3のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基は、第1のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基と同様である。
第3のモノリスイオン交換体において、導入されたイオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。
第3のモノリスイオン交換体は、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が0.4〜1.0mg当量/mlである。第3のモノリスイオン交換体は、開口径を更に大きくすると共に、連続マクロポア構造体の骨格を太くする(骨格の壁部を厚くする)ことができるため、圧力損失を低く押さえたままで体積当りのイオン交換容量を飛躍的に大きくすることができる。水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が、上記範囲にあれば、OH形のアニオン交換基をもつモノリスイオン交換体の場合、触媒担体近傍の塩基性度が高くなり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が高くなる。なお、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、イオン形の変化によるモノリスイオン交換体の膨潤及び収縮の体積変化が大きくなり過ぎ易い。なお、第3のモノリスイオン交換体の重量当りのイオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基が多孔質体の表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3.5〜4.5mg当量/gである。
<第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体の製造方法>
第3のモノリスは、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が5〜16ml/gの連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(3)とも記載する。)を得るI工程、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製するII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(3)の存在下に重合を行い、モノリス中間体(3)の骨格より太い骨格を有する第3のモノリスを得るIII工程、を行うことにより得られる。
第3のモノリスの製造方法において、I工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行えばよい。
第3のモノリスの製造方法に係るI工程のモノリス中間体(3)の製造において、イオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、四級アンモニウム基等のイオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの好適なものとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%とすることが、イオン交換基を導入する場合に、イオン交換基量を定量的に導入できるため好ましい。
第3のモノリスの製造方法に係るI工程で用いられる界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
また、第3のモノリスの製造方法に係るI工程では、油中水滴型エマルジョン形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
第3のモノリスの製造方法に係るI工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
第3のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(3)は、連続マクロポア構造を有する。これを重合系に共存させると、モノリス中間体(3)の構造を型として骨太の骨格を有する多孔構造が形成される。また、モノリス中間体(3)は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。特に、全細孔容積が10〜16ml/gと大きい場合には、連続マクロポア構造を維持するため、架橋構造単位を2モル%以上含有していることが好ましい。一方、10モル%を越えると、イオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。
第3のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(3)のポリマー材料の種類としては、特に制限はなく、前述の第1のモノリスのポリマー材料と同じものが挙げられる。これにより、モノリス中間体(3)の骨格に同様のポリマーを形成して、骨格を太らせ均一な骨格構造の第3のモノリスを得ることができる。
第3のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(3)の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、5〜16ml/g、好適には6〜16ml/gである。全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの全細孔容積が小さくなりすぎ、流体透過時の圧力損失が大きくなるため好ましくない。一方、全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が連続マクロポア構造から逸脱するため好ましくない。モノリス中間体(3)の全細孔容積を上記数値範囲とするには、モノマーと水の比を、概ね1:5〜1:20とすればよい。
また、第3のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(3)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で20〜200μmである。乾燥状態での開口の平均直径が20μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリス及びモノリスイオン交換体の開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、200μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリス及びモノリスイオン交換体の開口径が大きくなりすぎ、被処理水とモノリス及びモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(3)は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
第3のモノリスの製造方法に係るII工程は、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
第3のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられるビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性のビニルモノマーであれば、特に制限はないが、上記重合系に共存させるモノリス中間体(3)と同種類もしくは類似のポリマー材料を生成するビニルモノマーを選定することが好ましい。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好適に用いられるビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等の芳香族ビニルモノマーである。
第3のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられるビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体(3)に対して、重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍である。ビニルモノマー添加量がモノリス中間体に対して3倍未満であると、生成したモノリスの骨格(モノリス骨格の壁部の厚み)を太くできず、また、イオン交換基を導入する場合、導入後の体積当りのイオン交換容量が小さくなってしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー添加量が50倍を超えると、開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
第3のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。架橋剤使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して0.3〜10モル%、特に0.3〜5モル%であることが好ましい。架橋剤使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくない。一方、10モル%を越えると、イオン交換基の導入量が減少してしまう場合があるため好ましくない。なお、上記架橋剤使用量は、ビニルモノマー/架橋剤重合時に共存させるモノリス中間体(3)の架橋密度とほぼ等しくなるように用いることが好ましい。両者の使用量があまりに大きくかけ離れると、生成したモノリス中で架橋密度分布の偏りが生じ、イオン交換基導入反応時にクラックが生じやすくなる。
第3のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる有機溶媒は、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。該有機溶媒は、ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記ビニルモノマーの濃度が30〜80重量%となるように用いることが好ましい。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱してビニルモノマー濃度が30重量%未満となると、重合速度が低下したり、重合後のモノリス構造が第3のモノリスの範囲から逸脱してしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が暴走する恐れがあるため好ましくない。
第3のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる重合開始剤としては、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5%の範囲で使用することができる。
第3のモノリスの製造方法に係るIII工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(3)の存在下に重合を行い、該モノリス中間体(3)の骨格より太い骨格を有する第3のモノリスを得る工程である。III工程で用いるモノリス中間体(3)は、第3のモノリスを創出する上で、極めて重要な役割を担っており、上記重合系に連続マクロポア構造のモノリス中間体(3)を存在させると、第3のモノリスが得られる。
第3のモノリスの製造方法において、反応容器の内容積は、モノリス中間体(3)を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体(3)を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体(3)が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後の骨太のモノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、モノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体(3)に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
第3のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(3)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(3)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(3)に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、骨太の骨格を有する第3のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(3)の骨格内で重合が進行する。
第3のモノリスの製造方法に係るIII工程において、重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択される。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体(3)の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が骨格内で重合し、骨格を太らせる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して第3のモノリスを得る。
第3のモノリスイオン交換体は、III工程で得られた骨太の有機多孔質体である第3のモノリスにイオン交換基を導入するIV工程、を行うことにより得られる。
第3のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
第3のモノリス及び第3のモノリスイオン交換体は、開口径が格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。
<第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体の説明>
本発明の白金族金属担持触媒において、白金族金属粒子の担体となる第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体は、全構成単位中、架橋構造単位を0.3〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが水湿潤状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜5ml/gである有機多孔質体である。また、第4のモノリスイオン交換体は、イオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が0.3〜1.0mg当量/mlであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリスイオン交換体である。
第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体は、平均太さが水湿潤状態で1〜60μm、好ましくは3〜58μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μm、好ましくは15〜90μm、特に好ましくは20〜80μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体である。図5には、第4のモノリスの形態例のSEM写真を示し、図6には、第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体の共連続構造の模式図を示す。共連続構造は図6の模式図に示すように、連続する骨格相1と連続する空孔相2とが絡み合ってそれぞれが共に3次元的に連続する構造10である。この連続した空孔2は、従来の連続気泡型モノリスや粒子凝集型モノリスに比べて空孔の連続性が高くてその大きさに偏りがない。また、骨格が太いため機械的強度が高い。
三次元的に連続した空孔の平均直径が水湿潤状態で10μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、100μmを超えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、被処理水中の過酸化水素の分解又は溶存酸素の除去が不十分となるため好ましくない。また、骨格の平均太さが水湿潤状態で1μm未満であると、高流速で通水した際にモノリス又はモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触効率が低下し、触媒効果が低下するため好ましくない。一方、骨格の太さが60μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
乾燥状態の第4のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第4のモノリスイオン交換体の開口の平均直径、及び以下に述べる第4のモノリスの製造方法に係るI工程で得られる、乾燥状態の第4のモノリス中間体(4)の開口の平均直径は、水銀圧入法により測定される。また、第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体の空孔の水湿潤状態での平均直径は、水銀圧入法で測定した乾燥状態の第4のモノリス又は第4のモノリスイオン交換体の空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を水銀圧入法により測定したときの空孔の平均直径がz1(μm)であったとすると、第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の空孔の水湿潤状態での平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の空孔の平均直径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第4のモノリスの空孔の平均直径、及びその乾燥状態の第4のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第4のモノリスに対する水湿潤状態の第4のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第4のモノリスの空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第4のモノリスイオン交換体の空孔の平均直径を算出することもできる。また、第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体の骨格の水湿潤状態での平均太さは、乾燥状態の第4のモノリス又は第4のモノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx2(mm)であり、その水湿潤状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy2(mm)であり、この乾燥状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値がz2(μm)であったとすると、水湿潤状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の連続構造体の骨格の平均太さ(μm)は、次式「水湿潤状態の第4のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の連続構造体の骨格の平均太さ(μm)=z2×(x2/y2)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第4のモノリスの骨格の平均太さ、及びその乾燥状態の第4のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第4のモノリスに対する水湿潤状態の第4のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第4のモノリスの骨格の平均太さに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第4のモノリスイオン交換体の骨格の平均太さを算出することもできる。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
また、第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、0.5〜5ml/gである。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過水量が小さくなり、処理水量が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス又はモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触効率が低下するため、過酸化水素分解効果又は溶存酸素除去効果も低下してしまうため好ましくない。三次元的に連続した空孔の大きさ及び全細孔容積が上記範囲にあれば、被処理水との接触が極めて均一で接触面積も大きく、かつ低圧力損失下での通水が可能となる。
第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、多孔質体を1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失(以下、「差圧係数」と言う。)で示すと、0.001〜0.5MPa/m・LVの範囲、特に0.005〜0.1MPa/m・LVである。差圧係数及び全細孔容積が上記範囲にあれば、これを触媒として用いた場合に、被処理水との接触面積が大きく、かつ被処理水の円滑な流通が可能となるため、優れた性能が発揮できる。
第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体において、骨格を構成する材料は、全構成単位中、0.3〜5モル%、好ましくは0.5〜3.0モル%の架橋構造単位を含んでいる芳香族ビニルポリマーであり疎水性である。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、5モル%を越えると、多孔質体の構造が共連続構造から逸脱しやすくなる。芳香族ビニルポリマーの種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、共連続構造形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
第4のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基は、第1のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基と同様である。
第4のモノリスイオン交換体において、導入されたイオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。
第4のモノリスイオン交換体は、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が0.3〜1.0mg当量/mlのイオン交換容量を有する。第4のモノリスイオン交換体は、三次元的に連続した空孔の連続性や均一性が高いため、全細孔容積を低下させても圧力損失はさほど増加しない。そのため、圧力損失を低く押さえたままで体積当りのイオン交換容量を飛躍的に大きくすることができる。体積当りのイオン交換容量が上記範囲にあれば、OH形のアニオン交換基をもつモノリスイオン交換体の場合、触媒担体近傍の塩基性度が高くなり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が高くなる。なお、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、イオン形の変化によるモノリスイオン交換体の膨潤及び収縮の体積変化が大きくなり過ぎ易い。なお、第4のモノリスイオン交換体の乾燥状態における重量当りのイオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基が多孔質体の骨格表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3.5〜4.5mg当量/gである。
<第4のモノリス及び第4のモノリスイニオン交換体の製造方法>
第4のモノリスは、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が16ml/gを超え、30ml/g以下の連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(4)とも記載する。)を得るI工程、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製するII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つI工程で得られたモノリス中間体(4)の存在下に重合を行い、共連続構造体である有機多孔質体である第4のモノリスを得るIII工程、を行うことにより得られる。
第4のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(4)を得るI工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行えばよい。
すなわち、第4のモノリスの製造方法に係るI工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、三級アミノ基、四級アンモニウム基等のイオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーの中で、好適なものとしては、芳香族ビニルモノマーであり、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%とすることが、共連続構造の形成に有利となるため好ましい。
第4のモノリスの製造方法に係るI工程で用いられる界面活性剤は、第3のモノリスの製造方法に係るI工程で用いられる界面活性剤と同様であり、その説明を省略する。
また、第4のモノリスの製造方法に係るI工程では、油中水滴型エマルジョン形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
第4のモノリスの製造方法に係るI工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、第3のモノリスの製造方法に係るI工程における混合方法と同様であり、その説明を省略する。
第4のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(4)は、架橋構造を有する有機ポリマー材料、好適には芳香族ビニルポリマーである。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。一方、5モル%を超えると、モノリスの構造が共連続構造を逸脱し易くなるため好ましくない。特に、全細孔容積が16〜20ml/gの場合には、共連続構造を形成させるため、架橋構造単位は3モル%未満とすることが好ましい。
第4のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(4)のポリマー材料の種類は、第3のモノリスの製造方法に係るモノリス中間体(3)のポリマー材料の種類と同様であり、その説明を省略する。
第4のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(4)の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、16ml/gを超え、30ml/g以下、好適には16ml/gを超え、25ml/g以下である。すなわち、このモノリス中間体(4)は、基本的には連続マクロポア構造ではあるが、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)が格段に大きいため、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に限りなく近い構造を有している。図7には、モノリス中間体(4)の形態例のSEM写真を示すが、棒状に近い骨格を有している。これを重合系に共存させると、モノリス中間体(4)の構造を型として共連続構造の多孔質体が形成される。全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が共連続構造から連続マクロポア構造に変化してしまうため好ましくなく、一方、全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの機械的強度が低下したり、イオン交換基を導入する場合は、体積当たりのイオン交換容量が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(4)の全細孔容積を上記範囲とするには、モノマーと水の比を、概ね1:20〜1:40とすればよい。
また、第4のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(4)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で5〜100μmである。開口の平均直径が乾燥状態で5μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、流体透過時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、100μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなりすぎ、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(4)は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
第4のモノリスの製造方法に係るII工程は、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
第4のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性の芳香族ビニルモノマーであれば、特に制限はないが、上記重合系に共存させるモノリス中間体(4)と同種類もしくは類似のポリマー材料を生成するビニルモノマーを選定することが好ましい。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好適に用いられる芳香族ビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等である。
第4のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる芳香族ビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体(4)に対して、重量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍である。芳香族ビニルモノマー添加量がモノリス中間体(4)に対して5倍未満であると、棒状骨格を太くできず、また、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基導入後の体積当りのイオン交換容量が小さくなってしまうため好ましくない。一方、芳香族ビニルモノマー添加量が50倍を超えると、連続空孔の径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
第4のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。架橋剤使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量(全油溶性モノマー)に対して0.3〜5モル%、特に0.3〜3モル%である。架橋剤使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、多過ぎると、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基の定量的導入が困難になる場合があるため好ましくない。なお、上記架橋剤使用量は、ビニルモノマー/架橋剤重合時に共存させるモノリス中間体(4)の架橋密度とほぼ等しくなるように用いることが好ましい。両者の使用量があまりに大きくかけ離れると、生成したモノリス中で架橋密度分布の偏りが生じ、また、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基導入反応時にクラックが生じやすくなる。
第4のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる有機溶媒は、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。有機溶媒は、芳香族ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、芳香族ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記芳香族ビニルモノマーの濃度が30〜80重量%となるように用いることが好ましい。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱して芳香族ビニルモノマー濃度が30重量%未満となると、重合速度が低下したり、重合後のモノリス構造が第4のモノリスの範囲から逸脱してしまうため好ましくない。一方、芳香族ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が暴走する恐れがあるため好ましくない。
第4のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる重合開始剤は、第3のモノリスの製造方法に係るII工程で用いる重合開始剤と同様であり、その説明を省略する。
第4のモノリスの製造方法に係るIII工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(4)の存在下に重合を行い、該モノリス中間体(4)の連続マクロポア構造を共連続構造に変化させ、共連続構造モノリスである第4のモノリスを得る工程である。III工程で用いるモノリス中間体(4)は、本発明の斬新な構造を有するモノリスを創出する上で、極めて重要な役割を担っている。特表平7−501140号等に開示されているように、モノリス中間体(4)不存在下でビニルモノマーと架橋剤を特定の有機溶媒中で静置重合させると、粒子凝集型のモノリス状有機多孔質体が得られる。それに対して、第4のモノリスのように上記重合系に特定の連続マクロポア構造のモノリス中間体(4)を存在させると、重合後のモノリスの構造は劇的に変化し、粒子凝集構造は消失し、上述の共連続構造を持つ第4のモノリスが得られる。その理由は詳細には解明されていないが、モノリス中間体(4)が存在しない場合は、重合により生じた架橋重合体が粒子状に析出・沈殿することで粒子凝集構造が形成されるのに対し、重合系に全細孔容積が大きな多孔質体(中間体)が存在すると、ビニルモノマー及び架橋剤が液相から多孔質体の骨格部に吸着又は分配され、多孔質体中で重合が進行し、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に変化して共連続構造を有する第4のモノリスが形成されると考えられる。
第4のモノリスの製造方法において、反応容器の内容積は、第3のモノリスの製造方法に係る反応容器の内容積の説明と同様であり、その説明を省略する。
第4のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(4)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(4)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(4)に対して、芳香族ビニルモノマーの添加量が重量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な大きさの空孔が三次元的に連続し、且つ骨太の骨格が3次元的に連続する共連続構造の第4のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中の芳香族ビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体(4)の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(4)の骨格内で重合が進行する。
第4のモノリスの製造方法に係るIII工程の重合条件は、第3のモノリスの製造方法に係るIII工程の重合条件の説明と同様であり、その説明を省略する。III工程を行うことにより、第4のモノリスが得られる。
第4のモノリスイオン交換体は、III工程で得られた第4のモノリスにイオン交換基を導入するIV工程を行うことにより得られる。
第4のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
第4のモノリス及び第4のモノリスイオン交換体は、3次元的に連続する空孔の大きさが格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。また、第4のモノリスイオン交換体は、骨格が太いため、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量を大きくでき、更に、被処理水を低圧、大流量で長期間通水することが可能である。
<第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の説明>
本発明の白金族金属担持触媒において、白金族金属粒子の担体となる第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態での孔の平均直径が10〜150μm、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜5ml/gである有機多孔質体である。また、第5のモノリスイオン交換体は、イオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリスイオン交換体である。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体である。なお、本明細書中、「粒子体」及び「突起体」を併せて「粒子体等」と言うことがある。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の連続骨格相と連続空孔相は、SEM画像により観察される。第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の基本構造としては、連続マクロポア構造及び共連続構造が挙げられる。第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の骨格相は、柱状の連続体、凹状の壁面の連続体あるいはこれらの複合体として表れるもので、粒子状や突起状とは明らかに相違する形状のものである。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の好ましい構造としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径10〜120μmの開口となる連続マクロポア構造体(以下、「第5−1のモノリス」とも言う。)、及び乾燥状態で平均太さが0.8〜40μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態で平均直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体(以下、「第5−2のモノリス」とも言う。)が挙げられる。また、第5のモノリスイオン交換体としては、この第5−1のモノリスにイオン交換基が導入されたモノリスイオン交換体(以下、「第5−1のモノリスイオン交換体」とも言う。)、及びこの第5−2のモノリスにイオン交換基が導入されたモノリスイオン交換体(以下、「第5−2のモノリスイオン交換体」とも言う。)が好ましい。
第5−1のモノリス及び第5−1のモノリスイオン交換体の場合、第5−1のモノリス及び第5−1のモノリスイオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径20〜150μm、好ましくは30〜150μm、特に好ましくは35〜150μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体であり、該マクロポアと該開口(メソポア)で形成される気泡内が流路となる。連続マクロポア構造は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。第5−1のモノリス及び第5−1のモノリスイオン交換体の水湿潤状態での開口の平均直径が20μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、水湿潤状態での開口の平均直径が150μmを超えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体および担持された白金族金属粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。
なお、乾燥状態の第5のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第5のモノリスイオン交換体の開口の平均直径、及び以下に述べる第5のモノリスの製造方法に係るI工程で得られる、乾燥状態のモノリス中間体(5)の開口の平均直径は、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指すものである。
また、水湿潤状態の第5−1のモノリス又は第5−1のモノリスイオン交換体の開口の平均直径は、乾燥状態の第5−1のモノリス又は第5−1のモノリスイオン交換体の開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第5−1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の第5−1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第5−1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の第5−1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を水銀圧入法により測定したときの開口の平均直径がz1(μm)であったとすると、水湿潤状態の第5−1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の第5−1のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第5−1のモノリスの開口の平均直径、及びその乾燥状態の第5−1のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第5−1のモノリスに対する水湿潤状態の第5−1のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第5−1のモノリスの開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第5−1のモノリスイオン交換体の開口の平均直径を算出することもできる。
第5−2のモノリス及び第5−2のモノリスイオン交換体の場合、第5−2のモノリス及び第5−2のモノリスイオン交換体は、水湿潤状態で平均太さが1〜50μm、好ましくは5〜50μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に水湿潤状態での平均直径が10〜100μm、好ましくは10〜90μmの三次元的に連続した空孔を有する共連続構造である。第5−2のモノリス及び第5−2のモノリスイオン交換体の三次元的に連続した空孔の水湿潤状態での平均直径が10μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、100μmを超えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体および担持された白金族金属粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。また、第5−2のモノリス及び第5−2のモノリスイオン交換体の骨格の平均太さが水湿潤状態で1μm未満であると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス又はモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。一方、第5−2のモノリス及び第5−2のモノリスイオン交換体の骨格の平均太さが水湿潤状態で50μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
第5−2のモノリス又は第5−2のモノリスイオン交換体の空孔の水湿潤状態での平均直径は、水銀圧入法で測定した乾燥状態の第5−2のモノリス又は第5−2のモノリスイオン交換体の空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx2(mm)であり、その水湿潤状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy2(mm)であり、この乾燥状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を水銀圧入法により測定したときの空孔の平均直径がz2(μm)であったとすると、第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の空孔の水湿潤状態での平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の空孔の平均直径(μm)=z2×(x2/y2)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第5−2のモノリスの空孔の平均直径、及びその乾燥状態の第5−2のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第5−2のモノリスに対する水湿潤状態の第5−2のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第5−2のモノリスの空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第5−2のモノリスイオン交換体の空孔の平均直径を算出することもできる。
また、第5−2のモノリス又は第5−2のモノリスイオン交換体の骨格の水湿潤状態での平均太さは、乾燥状態の第5−2のモノリス又は第5−2のモノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx3(mm)であり、その水湿潤状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy3(mm)であり、この乾燥状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値がz3(μm)であったとすると、水湿潤状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の連続構造体の骨格の平均太さ(μm)は、次式「水湿潤状態の第5−2のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の連続構造体の骨格の平均太さ(μm)=z3×(x3/y3)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第5−2のモノリスの骨格の平均太さ、及びその乾燥状態の第5−2のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第5−2のモノリスに対する水湿潤状態の第5−2のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第5−2のモノリスの骨格の平均太さに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第5−2のモノリスイオン交換体の骨格の平均太さを算出することもできる。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の孔の水湿潤状態での平均直径は、10〜150μmである。第5−1のモノリス及び第5−1のモノリスイオン交換体の場合、第5−1のモノリス及び第5−1のモノリスイオン交換体の水湿潤状態での孔径の好ましい値は30〜150μmであり、また、第5−2のモノリス及び第5−2のモノリスイオン交換体の場合、第5−2のモノリス及び第5−2のモノリスイオン交換体の水湿潤状態での孔径の好ましい値は10〜90μmである。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体において、水湿潤状態での粒子体の直径及び突起体の大きさは、4〜40μm、好ましくは4〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。なお、本発明において、粒子体及び突起体は、共に骨格表面に突起状に観察されるものであり、粒状に観察されるものを粒子体と称し、粒状とは言えない突起状のものを突起体と称する。図8に、突起体の模式的な断面図を示す。図8中の(A)〜(E)に示すように、骨格表面21から突き出している突起状のものが突起体22であり、突起体22には、(A)に示す突起体22aのように粒状に近い形状のもの、(B)に示す突起体22bのように半球状のもの、(C)に示す突起体22cのように骨格表面の盛り上がりのようなもの等が挙げられる。また、他には、突起体22には、(D)に示す突起体22dのように、骨格表面21の平面方向よりも、骨格表面21に対して垂直方向の方が長い形状のものや、(E)に示す突起体22eのように、複数の方向に突起した形状のものもある。また、突起体の大きさは、SEM観察したときのSEM画像で判断され、個々の突起体のSEM画像での幅が最も大きくなる部分の長さを指す。また、図9に、第5のモノリスの形態例のSEM写真を示すが、有機多孔質体の骨格表面に多数の突起体が形成されている。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体において、全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は70%以上、好ましくは80%以上である。なお、全粒子体等中の水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は、全粒子体等の個数に占める水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等の個数割合を指す。また、骨格相の表面は全粒子体等により40%以上、好ましくは50%以上被覆されている。なお、全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合は、SEMにより表面観察にしたときのSEM画像上の面積割合、つまり、表面を平面視したときの面積割合を指す。壁面や骨格を被覆している粒子の大きさが上記範囲を逸脱すると、流体とモノリス又はモノリスイオン交換体の骨格表面及び骨格内部との接触効率を改善する効果が小さくなり易い。なお、全粒子体等とは、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等以外の大きさの範囲の粒子体及び突起体も全て含めた、骨格層の表面に形成されている全ての粒子体及び突起体を指す。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の骨格表面に付着した粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさは、乾燥状態の第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体のSEM画像の観察により得られる粒子体等の直径又は大きさに、乾燥状態から水湿潤状態となった際の膨潤率を乗じて算出した値、又はイニオン交換基導入前の乾燥状態の第5のモノリスのSEM画像の観察により得られる粒子体等の直径又は大きさに、イオン交換基導入前後の膨潤率を乗じて算出した値である。具体的には、水湿潤状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx4(mm)であり、その水湿潤状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy4(mm)であり、この乾燥状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)をSEM観察したときのSEM画像中の粒子体等の直径又は大きさがz4(μm)であったとすると、水湿潤状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の粒子体等の直径又は大きさ(μm)は、次式「水湿潤状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の粒子体等の直径又は大きさ(μm)=z4×(x4/y4)」で算出される。そして、乾燥状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)のSEM画像中に観察される全ての粒子体等の直径又は大きさを測定して、その値を基に、1視野のSEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出する。この乾燥状態の第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)のSEM観察を少なくとも3回行い、全視野において、SEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出して、直径又は大きさが4〜40μmにある粒子体等が観察されるか否かを確認し、全視野において確認された場合、第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の骨格表面上に、直径又は大きさが水湿潤状態で4〜40μmにある粒子体等が形成されていると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出し、各視野毎に、全粒子体等に占める水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等の割合を求め、全視野において、全粒子体等中の水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合が70%以上であった場合には、第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の骨格表面に形成されている全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は70%以上であると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合を求め、全視野において、全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合が40%以上であった場合には、第5のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の骨格層の表面が全粒子体等により被覆されている割合が40%以上であると判断する。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第5のモノリスの粒子体等の直径又は大きさと、その乾燥状態の第5のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第5のモノリスに対する水湿潤状態の第5のモノリスイオン交換体の膨潤率とがわかる場合は、乾燥状態の第5のモノリスの粒子体等の直径又は大きさに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第5のモノリスイオン交換体の粒子体等の直径又は大きさを算出して、上記と同様にして、水湿潤状態の第5のモノリスイオン交換体の粒子体等の直径又は大きさ、全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合、粒子体等による骨格層の表面の被覆割合を求めることもできる。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体において、粒子体等による骨格相表面の被覆率が40%未満であると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体の骨格内部及び骨格表面との接触効率を改善する効果が小さくなり易い。上記粒子体等による被覆率の測定方法としては、第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体のSEM画像による画像解析方法が挙げられる。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当たりの全細孔容積は、0.5〜5ml/g、好ましくは0.8〜4ml/gである。モノリス及びモノリスイオン交換体の全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、モノリス及びモノリスイオン交換体の全細孔容積が5ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス又はモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体およびそれに担持された白金族金属粒子との接触効率が低下するため、触媒効果も低下してしまうため好ましくない。
なお、第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、多孔質体を1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失(以下、「差圧係数」と言う。)で示すと、0.005〜0.1MPa/m・LVの範囲、特に0.005〜0.05MPa/m・LVであることが好ましい。差圧係数及び全細孔容積が上記範囲にあれば、これを触媒として用いた場合に、被処理水との接触面積が大きく、かつ被処理水の円滑な流通が可能となるため、優れた性能が発揮できる。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体において、連続空孔構造の骨格相を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基の導入が困難となり、導入量が減少してしまう場合があるため好ましくない。
第5のモノリスの製造で用いられるポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続空孔構造形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸及びアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体において、有機多孔質体の骨格相を構成する材料と骨格相の表面に形成される粒子体等とは、同じ組織が連続した同一材料のもの、同じではない組織が連続する互いが異なる材料のものなどが挙げられる。同じではない組織が連続する互いが異なる材料のものとしては、ビニルモノマーの種類が互いに異なる材料の場合、ビニルモノマーや架橋剤の種類は同じであっても互いの配合割合が異なる材料の場合などが挙げられる。
第5のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基は、第1のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基と同様である。
第5のモノリスイオン交換体において、導入されたイオン交換基は、有機多孔質体の表面のみならず、有機多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。イオン交換基が、第5のモノリスイオン交換体の表面のみならず、骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
第5のモノリスイオン交換体は、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が0.2mg当量/ml以上、好ましくは0.3〜1.8mg当量/mlのイオン交換容量を有する。第5のモノリスイオン交換体の体積当りのイオン交換容量が上記範囲にあれば、OH形のアニオン交換基をもつモノリスイオン交換体の場合、触媒担体近傍の塩基性度が高くなり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が高くなる。なお、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が1.8mg当量/mlを超えると、イオン形の変化によるモノリスイオン交換体の膨潤及び収縮の体積変化が大きくなり過ぎ易い。なお、第5のモノリスイオン交換体の乾燥状態における重量当りのイオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基がモノリスイオン交換体の骨格表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3〜5mg当量/gである。
第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体は、その厚みは1mm以上であり、膜状の多孔質体とは区別される。厚みが1mm未満であると、多孔質体1つ当たりのイオン交換容量が極端に低くなるため好ましくない。第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の厚みは、好ましくは3〜1000mmである。また、第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体は、骨格の基本構造が連続空孔構造であるため、機械的強度が高い。
<第5のモノリス及び第5のモノリスイオン交換体の製造方法>
第5のモノリスは、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルションを調製し、次いで油中水滴型エマルションを重合させて全細孔容積が5〜30ml/gの連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(5)とも記載する。)を得るI工程、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製するII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(5)の存在下に重合を行い、複合構造を有する複合モノリスである第5のモノリスを得るIII工程、を行うことにより得られる。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行なえばよい。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程のモノリス中間体(5)の製造において、イオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、三級アミノ基、四級アンモニウム基等のイオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの好適なものとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%とすることが、後の工程でイオン交換基を導入する場合、イオン交換基量を定量的に導入できるため好ましい。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程で用いられる界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルションを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルションとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルションを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルション粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
また、第5のモノリスの製造方法に係るI工程では、油中水滴型エマルション形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤を混合し、油中水滴型エマルションを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルションを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルション粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルション粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(5)は、連続マクロポア構造を有する。これを重合系に共存させると、そのモノリス中間体(5)の構造を鋳型として連続マクロポア構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したり、共連続構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したりする。また、モノリス中間体(5)は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。一方、10モル%を越えると、多孔質体の柔軟性が失われたり、また、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(5)のポリマー材料の種類としては、特に制限はなく、前述の第5のモノリスのポリマー材料と同じものが挙げられる。これにより、モノリス中間体(5)の骨格に同様のポリマーを形成して、複合構造のモノリスである第5のモノリスを得ることができる。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(5)の乾燥状態での重量当たりの全細孔容積は、5〜30ml/g、好適には6〜28ml/gである。モノリス中間体の全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの全細孔容積が小さくなりすぎ、流体透過時の圧力損失が大きくなるため好ましくない。一方、モノリス中間体の全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が不均一になりやすく、場合によっては構造崩壊を引き起こすため好ましくない。モノリス中間体(5)の全細孔容積を上記数値範囲とするには、モノマーと水の比(重量)を、概ね1:5〜1:35とすればよい。
第5のモノリスの製造方法に係るI工程において、このモノマーと水との比を、概ね1:5〜1:20とすれば、モノリス中間体(5)の全細孔容積が5〜16ml/gの連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られるモノリスは第5−1のモノリスとなる。また、配合比率を、概ね1:20〜1:35とすれば、モノリス中間体(5)の全細孔容積が16ml/gを超え、30ml/g以下の連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られるモノリスは第5−2のモノリスとなる。
また、第5のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(5)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径が20〜200μmである。モノリス中間体の乾燥状態での開口の平均直径が20μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリス及びモノリスイオン交換体の開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、モノリス中間体の乾燥状態での開口の平均直径が200μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリス及びモノリスイオン交換体の開口径が大きくなり過ぎ、被処理水とモノリス及びモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(5)は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程は、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第2架橋剤、ビニルモノマーや第2架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられるビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性のビニルモノマーであれば、特に制限はない。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好適に用いられるビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等の芳香族ビニルモノマーである。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられるビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体(5)に対して、重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍である。ビニルモノマー添加量が多孔質体に対して3倍未満であると、生成したモノリスの骨格に粒子体等を形成できず、また、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基導入後の体積当りのイオン交換容量が小さくなってしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー添加量が50倍を超えると、開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。架橋剤の使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して0.3〜20モル%、特に0.3〜10モル%であることが好ましい。架橋剤使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくない。一方、20モル%を越えると、モノリスの脆化が進行して柔軟性が失われる、また、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基の導入量が減少してしまう場合があるため好ましくない。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる有機溶媒は、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。該有機溶媒は、ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記ビニルモノマーの濃度が5〜80重量%となるように用いることが好ましい。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱してビニルモノマー濃度が5重量%未満となると、重合速度が低下してしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が暴走する恐れがあるため好ましくない。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる重合開始剤としては、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5%の範囲で使用することができる。
第5のモノリスの製造方法に係るIII工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つI工程で得られたモノリス中間体(5)の存在下、重合を行い、第5のモノリスを得る工程である。III工程で用いるモノリス中間体(5)は、第5のモノリスを創出する上で、極めて重要な役割を担っている。特表平7−501140号等に開示されているように、モノリス中間体(5)不存在下でビニルモノマーと架橋剤を特定の有機溶媒中で静置重合させると、粒子凝集型のモノリス状有機多孔質体が得られる。それに対して、本発明のように上記重合系に連続マクロポア構造のモノリス中間体(5)を存在させると、重合後の複合モノリスの構造は劇的に変化し、粒子凝集構造ではなく、上述の特定の骨格構造を有する第5のモノリスが得られる。反応容器の内容積は、モノリス中間体(5)を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体(5)を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体(5)が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後の第5のモノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、第5のモノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後の第5のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体(5)に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
第5のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(5)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(5)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(5)に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、特定の骨格を有する複合モノリスである第5のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体(5)の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(5)の骨格内で重合が進行する。
第5のモノリスの製造方法に係るIII工程において、重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択できる。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、20〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体(5)の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が該骨格内で重合し、該特定の骨格構造を形成させる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して特定骨格構造の複合モノリスである第5のモノリスを得る。
上述の第5のモノリスを製造する際に、下記(1)〜(5)の条件のうち、少なくとも一つを満たす条件下でII工程又はIII工程行うと、第5モノリスの特徴的な構造である、骨格表面に粒子体等が形成されたモノリスを製造することができる。
(1)III工程における重合温度が、重合開始剤の10時間半減温度より、少なくとも5℃低い温度である。
(2)II工程で用いる架橋剤のモル%が、I工程で用いる架橋剤のモル%の2倍以上である。
(3)II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーである。
(4)II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルである。
(5)II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程の混合物中、30重量%以下である。
(上記(1)の説明)
10時間半減温度は重合開始剤の特性値であり、使用する重合開始剤が決まれば10時間半減温度を知ることができる。また、所望の10時間半減温度があれば、それに該当する重合開始剤を選択することができる。III工程において、重合温度を低下させることで、重合速度が低下し、骨格相の表面に粒子体等を形成させることができる。その理由は、モノリス中間体の骨格相の内部でのモノマー濃度低下が緩やかとなり、液相部からモノリス中間体へのモノマー分配速度が低下するため、余剰のモノマーがモノリス中間体の骨格層の表面近傍で濃縮され、その場で重合したためと考えられる。
第5のモノリスの製造方法に係るIII工程において、好ましい重合温度は、用いる重合開始剤の10時間半減温度より少なくとも10℃低い温度である。重合温度の下限値は特に限定されないが、温度が低下するほど重合速度が低下し、重合時間が実用上許容できないほど長くなってしまうため、重合温度を10時間半減温度に対して5〜20℃低い範囲に設定することが好ましい。
(上記(2)の説明)
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いる架橋剤のモル%を、I工程で用いる架橋剤のモル%の2倍以上に設定して重合すると、複合構造を有するモノリスが得られる。その理由は、モノリス中間体と含浸重合によって生成したポリマーとの相溶性が低下し相分離が進行するため、含浸重合によって生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。なお、架橋剤のモル%は、架橋密度モル%であって、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤量(モル%)を言う。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いる架橋剤モル%の上限は特に制限されないが、架橋剤モル%が著しく大きくなると、重合後のモノリスにクラックが発生する、モノリスの脆化が進行して柔軟性が失われる、また、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基の導入量が減少してしまう場合があるといった問題点が生じるため好ましくない。好ましい架橋剤モル%の倍数は2倍〜10倍である。一方、I工程で用いる架橋剤モル%をII工程で用いられる架橋剤モル%に対して2倍以上に設定しても、骨格相表面への粒子体等の形成は起こらず、第5のモノリスは得られなかった。
(上記(3)の説明)
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーであると、第5のモノリスが得られる。例えば、スチレンとビニルベンジルクロライドのように、ビニルモノマーの構造が僅かでも異なると、骨格相表面に粒子体等が形成された複合モノリスが生成する。一般に、僅かでも構造が異なる二種類のモノマーから得られる二種類のホモポリマーは互いに相溶しない。したがって、I工程で用いたモノリス中間体形成に用いたモノマーとは異なる構造のモノマーをII工程で用いてIII工程で重合を行うと、II工程で用いたモノマーはモノリス中間体に均一に分配や含浸がされるものの、重合が進行してポリマーが生成すると、生成したポリマーはモノリス中間体とは相溶しないため、相分離が進行し、生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相の表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。
(上記(4)の説明)
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルであると、第5のモノリスが得られる。ポリエーテルはモノリス中間体との親和性が比較的高く、特に低分子量の環状ポリエーテルはポリスチレンの良溶媒、低分子量の鎖状ポリエーテルは良溶媒ではないがかなりの親和性を有している。しかし、ポリエーテルの分子量が大きくなると、モノリス中間体との親和性は劇的に低下し、モノリス中間体とほとんど親和性を示さなくなる。このような親和性に乏しい溶媒を有機溶媒に用いると、モノマーのモノリス中間体の骨格内部への拡散が阻害され、その結果、モノマーはモノリス中間体の骨格の表面近傍のみで重合するため、骨格相表面に粒子体等が形成され骨格表面に凹凸を形成したものと考えられる。
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いるポリエーテルの分子量は、200以上であれば上限に特に制約はないが、あまりに高分子量であると、II工程で調製される混合物の粘度が高くなり、モノリス中間体内部への含浸が困難になるため好ましくない。好ましいポリエーテルの分子量は200〜100000、特に好ましくは200〜10000である。また、ポリエーテルの末端構造は、未修飾の水酸基であっても、メチル基やエチル基等のアルキル基でエーテル化されていてもよいし、酢酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等でエステル化されていてもよい。
(上記(5)の説明)
第5のモノリスの製造方法に係るII工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程中の混合物中、30重量%以下であると、第5のモノリスが得られる。II工程でモノマー濃度を低下させることで、重合速度が低下し、前記(1)と同様の理由で、骨格相表面に粒子体等が形成でき、骨格相表面に凹凸を形成されることができる。モノマー濃度の下限値は特に限定されないが、モノマー濃度が低下するほど重合速度が低下し、重合時間が実用上許容できないほど長くなってしまうため、モノマー濃度は10〜30重量%に設定することが好ましい。
このようにして得られる第5のモノリスの好ましい構造としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径10〜120μmの開口となる連続マクロポア構造体(「第5−1のモノリス」)及び乾燥状態での平均太さが0.8〜40μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態での直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体(「第5−2のモノリス」)が挙げられる。
第5のモノリスが第5−1のモノリスの場合、第5−1のモノリスは、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径10〜120μm、好ましくは20〜120μm、特に好ましくは25〜120μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体であり、マクロポアと該開口(メソポア)で形成される気泡内が流路となる。連続マクロポア構造は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。第5−1のモノリスの乾燥状態での開口の平均直径が10μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、乾燥状態での開口の平均直径が120μmを超えると、被処理水とモノリスイオン交換体および担持された白金族金属粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。
第5−2のモノリスの場合、第5−2のモノリスは、乾燥状態での平均太さが0.8〜40μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態での平均直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔を有する共連続構造である。第5−2のモノリスの三次元的に連続した空孔の乾燥状態での平均直径が8μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、80μmを超えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体および担持された白金族金属粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。また、第5−2のモノリスの骨格の乾燥状態での平均太さが0.8μm未満であると、イオン交換基を導入する場合、モノリスイオン交換体の体積当りのイオン交換容量が低下するといった欠点のほか、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリス又はモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。一方、骨格の乾燥状態での平均太さが80μmを越えると、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
第5のモノリスイオン交換体は、III工程で得られた第5のモノリスにイオン交換基を導入するIV工程、を行うことにより得られる。
第5のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
<第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体の説明>
本発明の白金族金属担持触媒において、白金族金属粒子の担体となる第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径20〜300μmの開口となる連続マクロポア構造体であり、該連続マクロポア構造体の骨格部の表層部が多孔構造である有機多孔質体である。また、第6のモノリスイオン交換体は、イオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.4mg当量/ml以上であり、イオン交換基が該有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリスイオン交換体である。
第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体の基本構造を示す模式図である図10を参照して説明する。図10中、右側の四角図は、第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の壁部(骨格部)Aを拡大した模式図である。第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)30は気泡状のマクロポア31同士が重なり合い、この重なる部分が共通の開口(メソポア)32となる連続マクロポア構造であり、開口32の平均直径が水湿潤状態で20〜300μm、好ましくは20〜200μm、特に20〜150μmであり、マクロポア31と開口32で形成される連続気泡内が流路となる。連続マクロポア構造は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体の水湿潤状態での開口(メソポア)の平均直径が20μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、水湿潤状態での開口(メソポア)の平均直径が300μmを超えると、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。
乾燥状態の第6のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第6のモノリスイオン交換体の開口の平均直径、及び以下に述べる第6のモノリスの製造方法に係るI工程で得られる、乾燥状態のモノリス中間体(6)の開口の平均直径は、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値である。また、水湿潤状態の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体の開口の平均直径は、乾燥状態の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体の開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を水銀圧入法により測定したときの開口の平均直径がz1(μm)であったとすると、水湿潤状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の開口の平均直径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第6のモノリスの開口の平均直径、及びその乾燥状態の第6のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第6のモノリスに対する水湿潤状態の第6のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第6のモノリスの開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第6のモノリスイオン交換体の開口の平均直径を算出することもできる。
なお、第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)30は骨格の表層部に多孔構造を有するが、骨格中に占める表層部の割合が小さいこと、更に多孔構造が「巣」のような非連続孔が大部分であることから、水銀圧入法によりメソポアの平均直径を求めることができる。
第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)30において、連続マクロポア構造体の骨格部36は内層部33と表層部34からなり、表層部34が多孔構造である。すなわち多孔構造は表層部34中に水湿潤状態で直径が0.1〜30μm、特に0.1〜15μmの細孔37が無数に存在する、表層部の断面が所謂蜂の巣に類似する構造のものである。多数の細孔37は、互いに独立のものあるいは隣接の孔同士が連通しているものもある。水湿潤状態で表層部34の厚みは概ね1〜45μmである。なお、図10中、符号35は気相(気泡)部である。骨格部36の多孔構造は、第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)(乾燥体)を切断した面のSEM(走査型電子顕微鏡による二次電子像)画像で確認することができる。図11には、第6のモノリスの形態例のSEM写真を示すが、骨格部の表層部に多数の細孔が形成されている。そして、第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)30としては、多孔構造を構成する細孔37が外部から観察されないもの(以下、「一体型の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体」とも言う。)又は骨格切断面などの端面に多孔構造を構成する細孔37が外部から観察されるもの(以下、「切断型の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体」とも言う。)が挙げられる。一体型の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体は反応容器から取り出し切断を施さないものであり、切断型の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体は刃物等で切断した例えばサイコロ形状のものである。第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体に白金族金属を担持した本発明の白金族金属担持触媒を、触媒として使用すれば、多孔構造の表面層に対する液の浸透が速く、接触効率が高くなり、触媒活性が高くなる。
上記連続マクロポア構造体の水湿潤状態での表層部の細孔直径は、乾燥状態の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の細孔直径を測定し、その平均値に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がx2(mm)であり、その水湿潤状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)を乾燥させ、得られる乾燥状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の直径がy2(mm)であり、この乾燥状態の第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の細孔直径を測定し、その平均値がz2(μm)であったとすると、第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の連続構造体の表層部の水湿潤状態での細孔直径(μm)は、次式「第6のモノリス(又はモノリスイオン交換体)の連続マクロポア構造体の表層部の水湿潤状態での細孔直径(μm)=z2×(x2/y2)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の第6のモノリスの表層部の細孔直径、及びその乾燥状態の第6のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の第6のモノリスに対する水湿潤状態の第6のモノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第6のモノリスの表層部の細孔直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第6のモノリスイオン交換体の表層部の細孔直径を算出することもできる。なお、第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体の表層部の厚みも同様の方法で算出することができる。
なお、切断型の第6のモノリス又は第6のモノリスアニオン交換体は、骨格部の表層部の多孔構造が表面に表れるため比表面積が格段に大きく、ほとんどの場合、第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体を乾燥させて測定した比表面積は20〜70m/gである。切断型の第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体は、比表面積が大きいため、これに白金族金属粒子を担持した本発明の白金族金属担持触媒を触媒として用いた場合、流体との接触面積が大きく、かつ流体の円滑な流通が可能となるため、優れた触媒性能が発揮できる。なお、本発明では、第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体の比表面積は、乾燥体を水銀圧入法により測定した値である。
第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体は、開口径を大きくすると共に、連続マクロポア構造体の骨格を太くする(骨格の壁部を厚くする)ことができ、且つ表面層に多孔構造を有するため、透過時の圧力損失を低く押さえたままで触媒活性を飛躍的に大きくすることができる。
また、第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当たりの全細孔容積は、0.5〜5ml/g、好ましくは0.8〜4ml/gである。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、単位断面積当りの透過液量や透過気体量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを越えると、触媒活性が低下してしまうため好ましくない。
なお、第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、第6のモノリス又は第6のモノリスイオン交換体を1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失(以下、「差圧係数」と言う。)で示すと、0.005〜0.1MPa/m・LVの範囲、特に0.005〜0.05MPa/m・LVであることが好ましい。
第6のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基は、第1のモノリスイオン交換体に導入されているイオン交換基と同様である。
第6のモノリスイオン交換体において、導入されたイオン交換基は、有機多孔質体の表面のみならず、有機多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。また、イオン交換基が、第6のモノリスイオン交換体の表面のみならず、骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
第6のモノリスイオン交換体は、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が0.4mg当量/ml以上、好ましくは0.4〜1.8mg当量/mlのイオン交換容量を有する。モノリスイオン交換体の体積当りのイオン交換容量が、上記範囲にあれば、OH形のアニオン交換基をもつモノリスイオン交換体の場合、触媒担体近傍の塩基性度が高くなり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が高くなる。なお、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量が1.8mg当量/mlを超えると、イオン形の変化によるモノリスイオン交換体の膨潤及び収縮の体積変化が大きくなり過ぎ易い。なお、第6のモノリスイオン交換体の乾燥状態における重量当りのイオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基がモノリスイオン交換体の骨格表面及び骨格内部にまで均一に導入されているため、3〜5mg当量/g(乾燥体)である。
第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体は、その厚みは1mm以上であり、膜状の多孔質体とは区別される。第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体の厚みは、好ましくは3〜1000mmである。また、第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体は、骨格の基本構造が連続マクロポア構造であるため、機械的強度が高い。
第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体において、連続マクロポア構造体の骨格を構成する材料、すなわち、内層部33及び表層部34の骨格部41は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。
第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体において、該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1〜10モル%、好適には0.2〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.1モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、連続マクロポア構造体の骨格部分への多孔構造導入が認められなくなるため好ましくない。該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続マクロポア構造形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸及びアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
<第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体の製造方法>
第6のモノリスは、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルションを調製し、次いで油中水滴型エマルションを重合させて全細孔容積が5〜16ml/gの連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(6)とも記載する。)を得るI工程、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、炭素数3〜9の脂肪族アルコール及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程であって、ビニルモノマー、架橋剤及び脂肪族アルコール混合物中のビニルモノマー濃度(重量%)を56〜80%とするか、若しくはビニルモノマー濃度を40%以上、56%未満とし、且つビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する該架橋剤の量を0.1〜1モル%とするII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(6)の存在下に重合を行い、第6のモノリスを得るIII工程、を行うことにより得られる。
なお、第6のモノリスの製造方法において、I工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行なえばよい。
第6のモノリスの製造方法に係るI工程のモノリス中間体(6)の製造において、イオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基及び三級アミノ基や四級アンモニウム基等のアニオン交換基のいずれも含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの好適なものとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマー(架橋剤)を少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%とすることが、後の工程でイオン交換基量を定量的に導入できるため好ましい。
第6のモノリスの製造方法に係るI工程で用いられる界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルションを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルションとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルションを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルション粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
また、第6のモノリスの製造方法に係るI工程では、油中水滴型エマルション形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
第6のモノリスの製造方法に係るI工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤を混合し、油中水滴型エマルションを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルションを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルション粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
第6のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(6)は、連続マクロポア構造を有する。これを重合系に共存させると、モノリス中間体(6)の構造を鋳型としてモノリス中間体(6)の骨格表面に多孔構造の表層部が形成されるため、表面層が多孔構造を有する骨太骨格を有する多孔質体構造が形成される。また、モノリス中間体(6)は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.1モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。特に、全細孔容積が10〜16ml/gと大きい場合には、連続マクロポア構造を維持するため、架橋構造単位を0.2モル%以上含有していることが好ましい。一方、10モル%を越えると、連続マクロポア構造体の骨格部の表層部に多孔構造を導入することが困難となる。
第6のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(6)のポリマー材料の種類としては、特に制限はなく、前述の第6のモノリス及び第6のモノリスイオン交換体のポリマー材料と同じものが挙げられる。これにより、モノリス中間体(6)の骨格に同様のポリマーを形成して、表層部に多孔構造を有する骨太の骨格構造のモノリスである第6のモノリスを得ることができる。
第6のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(6)の乾燥状態での重量当たりの全細孔容積は、5〜16ml/g、好適には6〜16ml/gである。モノリス中間体の全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの全細孔容積が小さくなりすぎ、被処理水透過時の圧力損失が大きくなるため好ましくない。一方、モノリス中間体の全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が連続マクロポア構造から逸脱するため好ましくない。モノリス中間体(6)の全細孔容積を上記数値範囲とするには、モノマーと水の比(重量)を、概ね1:5〜1:16とすればよい。
また、第6のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(6)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径が15〜200μmである。モノリス中間体の乾燥状態での開口の平均直径が15μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、モノリス中間体の乾燥状態での開口の平均直径が200μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなり過ぎ、被処理水とモノリス又はモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
第6のモノリスの製造方法に係るII工程は、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第2架橋剤、炭素数3〜9の脂肪族アルコール及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程であって、ビニルモノマー、第2架橋剤及び脂肪族アルコール混合物中のビニルモノマー濃度(重量%)を56〜80%とするか、若しくはビニルモノマー濃度を40%以上、56%未満とし、且つビニルモノマーと第2架橋剤の合計量に対する該第2架橋剤の量を0.1〜1モル%とする工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
第6のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられるビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性のビニルモノマーであれば、特に制限はない。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好適に用いられるビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等の芳香族ビニルモノマーである。
第6のモノリスの製造方法に係るII工程において、ビニルモノマー、第2架橋剤及び脂肪族アルコール混合物中のビニルモノマー濃度(重量%)が56〜80%の場合、ビニルモノマーと第2架橋剤の合計量に対する該第2架橋剤の量は、好ましくは0.1〜5モル%、更に好ましくは0.3〜4モル%である。一方、ビニルモノマー、第2架橋剤及び脂肪族アルコール混合物中のビニルモノマー濃度が40%以上、56%未満の場合、ビニルモノマーと第2架橋剤の合計量に対する該第2架橋剤の量は0.1〜1モル%、好ましくは0.2〜1モル%である。ビニルモノマー濃度が上記範囲を逸脱すると、骨格部への多孔構造導入が認められなくなる。また、ビニルモノマー濃度が80%を超えると、重合熱の除熱が困難となり、重合反応の制御が困難になるため好ましくない。
第6のモノリスの製造方法に係るII工程において、ビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体(6)に対して、重量で3〜70倍、好ましくは4〜50倍である。ビニルモノマー添加量がモノリス中間体に対して3倍未満であると、骨格部への多孔構造導入が困難になるため好ましくない。一方、ビニルモノマー添加量が70倍を超えると、開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
第6のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる第2架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。第2架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら第2架橋剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい第2架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。第2架橋剤の使用量は、ビニルモノマー、第2架橋剤、脂肪族アルコール混合物中のビニルモノマー濃度(重量%)により変動するが、ビニルモノマーと第2架橋剤の合計量に対して0.1〜5モル%、特に0.2〜5モル%であることが好ましい。第2架橋剤使用量が0.1モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくない。一方、5モル%を越えると、骨格部分への多孔構造導入が困難になるため好ましくない。なお、上記第2架橋剤使用量は、ビニルモノマー/第2架橋剤重合時に共存させるモノリス中間体の架橋密度とほぼ等しくなるように用いることが好ましい。両者の使用量があまりに大きくかけ離れると、生成したモノリス中で架橋密度分布の偏りが生じ、また、イオン交換基を導入する場合、イオン交換基導入反応時にクラックが生じやすくなる。
第6のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる溶媒は、炭素数3〜9の脂肪族アルコールである。該脂肪族アルコールの具体例としては、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。また、上記脂肪族アルコール以外の溶媒であっても、その使用量が少ない場合には、上記脂肪族アルコールに添加して使用することができる。これら脂肪族アルコールの使用量は、上記ビニルモノマー濃度が40〜80重量%となるように用いることが好ましい。脂肪族アルコール使用量が上記範囲から逸脱してビニルモノマー濃度が40%未満となると、骨格部分への多孔構造導入が困難になるため好ましくない。一方、ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合熱の除熱が困難となり、重合反応の制御が困難になるため好ましくない。
第6のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる重合開始剤としては、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5%の範囲で使用することができる。
第6のモノリスの製造方法に係るIII工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(6)の存在下、重合を行い、モノリス中間体(6)の骨格より太い骨格を有し、且つ骨格の表面層が多孔構造を有する第6のモノリスを得る工程である。
第6のモノリスの製造において、反応容器の内容積は、モノリス中間体(6)を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体(6)を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体(6)が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後のモノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、モノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや第2架橋剤は、モノリス中間体に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
第6のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(6)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(6)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(6)に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3〜70倍、好ましくは4〜50倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、骨格中にも多孔構造が導入されたモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと第2架橋剤は、静置されたモノリス中間体(6)の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体の骨格内で重合が進行する。この重合が進行する過程において、多孔構造が形成される理由の詳細については不明であるものの、ビニルモノマー濃度が著しく高い場合や架橋剤量が著しく少ない場合、重合の進行が不均一となり、架橋構造が偏在してしまうためと考えられる。
第6のモノリスの製造方法に係るIII工程において、重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択できる。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体(6)の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと第2架橋剤が該骨格内で重合し、該骨格を太らせるとともに、骨格中に多孔構造を形成していく。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、メタノールやアセトン等の溶剤で抽出して特定骨格構造のモノリスである第6のモノリスを得る。
第6のモノリスの製造方法に係るIII工程で得られる第6のモノリスの基本構造は、図10で示した構造である。
第6のモノリスイオン交換体は、III工程で得られた第6のモノリスにイオン交換基を導入するIV工程、を行うことにより得られる。IV工程ではIII工程で得られた第6のモノリスにイオン交換基を導入するため、モノリスイオン交換体の多孔構造を厳密にコントロールすることができる。
第6のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
<白金族金属担持触媒の説明>
本発明の白金族金属担持触媒は、モノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体に、平均粒子径1〜100nmの白金族金属粒子が、担持されている白金族金属担持触媒であり、該白金族金属粒子の均一度数が、10以下であり、該白金族金属粒子の担持量が、乾燥状態で0.004〜20重量%であることを特徴とする白金族金属担持触媒である。
本発明の白金族金属担持触媒は、モノリス状有機多孔質体、例えば、第1のモノリス〜第6のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体〜第6のモノリスイオン交換体のいずれかに、平均粒子径が1〜100nmの白金族金属粒子が担持された白金族金属担持触媒である。
本発明に係る白金族金属とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金である。これらの白金族金属は、一種類を単独で用いても、二種類以上の金属を組み合わせて用いても良く、更に、二種類以上の金属を合金として用いても良い。これらの中で、白金、パラジウム、白金/パラジウム合金は触媒活性が高く、好適に用いられる。
本発明の白金族金属触媒担持に担持されている白金族金属粒子の平均粒子径は、1〜100nmであり、好ましくは1〜50nm、更に好ましくは1〜20nmである。平均粒子径が1nm未満であると、白金族金属粒子が担体から脱離する可能性が高くなるため好ましくなく、一方、平均粒子径が100nmを超えると、金属の単位質量当たりの表面積が少なくなり触媒効果が効率的に得られなくなるため好ましくない。なお、本発明において、白金族金属粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)分析により得られるTEM画像を、画像解析することにより求められる。具体的には、先ず、白金族金属担持触媒の表面を、TEM分析する。次いで、得られたTEM画像において、粒子数が200個以上となる一視野を任意に選択し、その視野のTEM画像を画像解析して、視野中の全粒子の粒子径を測定する。なお、一視野に担持されている白金族金属粒子の数が200個に満たない場合は、2以上の視野を任意に選択して、選択した2以上の視野中の全粒子について、粒子径の測定を行う。次いで、白金族金属粒子の平均粒子径を、次式「白金族金属粒子の平均粒子径(nm)=測定した全粒子の粒子径の合計(nm)/測定した粒子の個数(個)」にて算出する。
本発明の白金族金属触媒担持に担持されている白金族金属粒子の均一度数は、10以下、好ましくは5以下である。白金族金属粒子の均一度数が上記範囲にあることにより、触媒活性が高くなる。なお、本発明において、白金族金属粒子の均一度数は、透過型電子顕微鏡(TEM)分析により得られるTEM画像を、画像解析することにより求められる。具体的には、先ず、白金族金属担持触媒の表面を、TEM分析する。次いで、得られたTEM画像において、粒子数が200個以上となる一視野を任意に選択し、その視野のTEM画像を画像解析して、視野中の全粒子の粒子径を測定する。なお、一視野に担持されている白金族金属粒子の数が200個に満たない場合は、2以上の視野を任意に選択して、選択した2以上の視野中の全粒子について、粒子径の測定を行う。次いで、測定した粒子を、粒子径順に最大粒子径の粒子から最小粒子径まで並べ、1nm毎の分布を求める。そして、各分布帯の中間値を、その分布帯の代表粒子径とし、最大粒子径の粒子から積算して、全粒子の個数に対する個数が40%になる粒子が含まれる分布帯の代表粒子径(nm)(以下、「40%粒子径」と記載する。)と、最大粒子径の粒子から積算して、全粒子の個数に対する個数が90%になる粒子が含まれる分布帯の代表粒子径(nm)(以下、「90%粒子径」と記載する。)とを求め、均一度数を次式:
均一度数=40%粒子径(nm)−90%粒子径(nm)
にて算出する。
本発明の白金族金属担持触媒中の白金族金属粒子の担持量((白金族金属粒子/乾燥状態の白金族金属担持触媒)×100)は、0.004〜20重量%、好ましくは0.005〜15重量%である。白金族金属粒子の担持量が0.004重量%未満であると、過酸化水素分解効果又は溶存酸素の除去効果が不十分になるため好ましくない。一方、白金族金属粒子の担時量が20重量%を超えると、水中への金属溶出が認められるようになるため好ましくない。
また、本発明の白金族金属担持触媒は、過酸化水素分解性能又は溶存酸素の除去性能が高いため、通水速度がSV=2000〜40000h−1と速くても、少ない白金族金属粒子の担持量で、優れた過酸化水素分解効果又は溶存酸素の除去効果を発揮する。通水速度がSV=2000〜40000h−1の場合、白金族金属粒子の担持量は、好ましくは0.004〜2.0重量%である。
<白金族金属担持触媒の製造方法>
本発明の白金族金属担持触媒の製造方法は、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する流体、例えば、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する超臨界流体に、モノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体を接触させることにより、モノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体に該白金族金属粒子を担持して、白金族金属担持触媒を得る白金族金属担持工程を有することを特徴とする白金族金属担持触媒の製造方法である。
本発明の白金族金属担持触媒の製造方法に係る白金族金属担持工程において、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する流体、例えば、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する超臨界流体と接触させるモノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体は、有機多孔質体の骨格が有機ポリマーにより形成されており、骨格内に被処理水の流路となる連通孔を多数有するモノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体であり、例えば、第1のモノリス〜第6のモノリス及び第1のモノリスイオン交換体〜第6のモノリスイオン交換体が挙げられる。
平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する流体、例えば、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する超臨界流体に、モノリス又はモノリスイオン交換体を接触させる方法について、流体が超臨界二酸化炭素により構成される場合を例示して説明する。
平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する超臨界流体は、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子が有機溶媒に分散された白金族金属コロイド溶液と、超臨界二酸化炭素とを混合することにより得られる。白金族金属粒子を超臨界状態の二酸化炭素中に分散させることで、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する超臨界流体が得られる。
(i)先ず、耐圧容器に、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子と、モノリス又はモノリスイオン交換体を入れ、耐圧容器を密封する。次いで、耐圧容器内に、二酸化炭素を所定の圧力となるまで導入し、所定の温度まで加熱することで、耐圧容器内の二酸化炭素を超臨界状態に至らせる。次いで、この超臨界状態で、所定の時間保持する。
(ii)先ず、耐圧容器に、モノリス又はモノリスイオン交換体を充填する。それとは別の筒状の触媒充填容器に、平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を入れ、密封する。次いで、耐圧容器内に、二酸化炭素を所定の圧力となるまで導入し、所定の温度まで加熱することで、耐圧容器内の二酸化炭素を超臨界状態に至らせる。次いで、筒状の触媒充填容器に、二酸化炭素を所定の圧力となるまで導入し、所定の温度まで加熱することで、筒状の触媒充填容器内の二酸化炭素を超臨界状態に至らせる。次いで、筒状の触媒充填容器内の白金族金属粒子を含有する超臨界状態の二酸化炭素を、耐圧容器の一端から供給しつつ、耐圧容器の他端から二酸化炭素を排出して、耐圧容器内に充填されているモノリス又はモノリスイオン交換体の細孔内を、白金族金属粒子を含有する超臨界状態の二酸化炭素を通過させる。
白金族金属粒子が有機溶媒に分散された白金族金属コロイド溶液において、コロイド溶液中の白金族金属粒子の平均粒子径及び均一度数は、透過型電子顕微鏡(TEM)分析により得られるTEM画像を、画像解析することにより求められる。具体的には、先ず、コロイド溶液の1滴を、透過型電子顕微鏡用メッシュ(例えば、応研商事製、フォルマール支持膜メッシュ)に滴下し、自然乾燥させる。次いで、TEMにて観察して、TEM画像を得る。得られたTEM画像を画像解析して、コロイド溶液中の白金族金属粒子の平均粒子径及び均一度数を求める方法は、本発明の白金族金属担持触媒に担持されている白金族金属粒子の平均粒子径及び均一度数を求める方法と同様である。
超臨界流体を用いた白金族金属担持工程において、白金族金属粒子を含有する超臨界流体にモノリス又はモノリスイオン交換体を接触させる際の圧力及び温度は、超臨界状態となる圧力及び温度の範囲で、適宜選択される。例えば、超臨界二酸化炭素の場合、温度は0〜120℃の範囲で選択され、選択された温度において超臨界状態となる圧力が、圧力として選択される。例えば、40〜80℃、20〜30MPaの条件が選択される。
平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する流体中の白金族金属粒子の含有量は、白金族金属担持工程を行うことにより得られる白金族金属担持触媒中の白金族金属粒子の担持量が、0.004〜20重量%、好ましくは0.005〜15重量%となるように、適宜選択される。
超臨界流体を用いた白金族金属担持工程において、白金族金属粒子を含有する超臨界流体にモノリス又はモノリスイオン交換体を接触させる際の接触時間は、モノリス又はモノリスイオン交換体内の細孔に、超臨界流体が浸透するために十分な時間であればよく、適宜選択される。通常、0.2〜48時間である。
超臨界流体を用いた白金族金属担持工程では、白金族金属粒子を含有する超臨界流体に、モノリス又はモノリスイオン交換体を接触させた後、系内の圧力を減圧し、常圧にして、モノリス又はモノリスイオン交換体に所定の粒子性状を有する白金族金属粒子が担持された白金族金属担持触媒を得る。また、白金族金属担持工程を行った後、得られた白金族金属担持触媒を、必要に応じて、水洗、乾燥等をすることができる。
<本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法>
本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法は、本発明の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を接触させて、過酸化水素を含有する被処理水中の過酸化水素を分解除去する過酸化水素の分解処理水の製造方法である。
過酸化水素を含有する被処理水は、過酸化水素を含有するものであれば、特に制限されず、例えば、半導体製造等の電子部品の製造及び電子部品の製造器具を洗浄するための超純水の製造において、その中の種々の工程により生じる水が挙げられ、具体的には、水中の有機物を分解するための紫外線酸化処理工程を行った後の水が挙げられる。また、過酸化水素を含有する被処理水としては、他には、用廃水系に過酸化水素を添加し、酸化、還元、殺菌、洗浄を行った処理液又は処理水やこれらの処理液又は処理水を用いて処理を行った後の廃液又は排水が挙げられる。例えば、半導体製造工程から排出される過酸化水素を含む洗浄排水、半導体製造工程から排出される有機物を含む洗浄排水を超純水として回収再利用するために、過酸化水素の存在下に紫外線を照射し有機物を酸化分解して得られる処理水、フェントン試薬を用いて有機物を分解して得られる処理水、逆浸透膜、限外ろ過膜等を過酸化水素で殺菌又は洗浄した後の排水、6価クロムを含有する排水を過酸化水素で還元処理して得られる処理水等が挙げられる。
過酸化水素を含有する被処理水中の過酸化水素濃度は、特に制限されないが、通常、0.01〜100mg/Lである。超純水製造のサブシステムでは、通常、過酸化水素濃度は、10〜50μg/Lである。過酸化水素濃度が100mg/Lを超えると、母体であるモノリス及びモノリスイオン交換体の劣化が進み易い。
本発明の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を接触させる方法としては、特に制限されず、例えば、触媒充填塔に、本発明の白金族金属担持触媒を充填し、触媒充填塔に、過酸化水素を含有する被処理液を供給することにより、本発明の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を通液する方法等が挙げられる。
上記方法の場合、本発明の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を、SV=2000〜40000h−1、好ましくはSV=5000〜20000h−1で通水することができる。本発明の白金族金属担持触媒を用いると、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで被処理水を通水しても、過酸化水素の分解除去が可能である。更に、SVが10000h−1であっても、本発明の白金族金属担持触媒を用いると、過酸化水素の分解が可能であり、本発明の白金族金属担持触媒は、粒子状アニオン交換樹脂に白金族金属ナノ粒子を担持した従来の担持触媒の処理限界を大きく上回る、卓越した性能を示す。本発明の白金族金属担持触媒への過酸化水素を含有する被処理水の通水速度は、特に制限されないが、好ましくはSV=2000〜40000h−1、特に好ましくはSV=5000〜20000h−1である。なお、本発明の白金族金属担持触媒は、過酸化水素分解能力が著しく高いため、あえて通水速度をSV=2000h−1未満の領域とする必要はないが、通水速度をSV=2000h−1未満の領域としてもよく、通水速度をSV=2000h−1未満の領域とした場合も、本発明の白金族金属担持触媒は、優れた過酸化水素分解能力を発揮する。一方、SVが40000h−1を超えると、通水差圧が大きくなり過ぎる傾向にある。
更に、本発明の白金族金属担持触媒は、過酸化水素分解能力が著しく高いため、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去が可能である。本発明の白金族金属担持触媒の充填層高は、5〜1000mmが好ましく、10〜500mmが特に好ましく、10〜100mmがより好ましい。白金族金属担持触媒の充填層高が5mm未満だと、触媒層の機械的強度が不足し易くなることに加え、過酸化水素がリークし易くなる。一方、白金族金属触媒の触媒層高が1000mmを超えると、通水差圧が大きくなる。
本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行い得られる処理水中の過酸化水素濃度は、特に制限されないが、通常、10μg/L〜100mg/L(10ppb〜100ppm)である。過酸化水素濃度が100mg/Lを超えると、担体であるモノリス及びモノリスイオン交換体の劣化が進み易くなる。なお、過酸化水素を含有する被処理水の一種である、超純水の製造装置を構成するサブシステムの被処理水に含まれる過酸化水素の濃度は、通常、10〜50μg/L(10〜50ppb)程度である。
<本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法>
本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法は、本発明の白金族金属担持触媒の存在下で、酸素を含有する被処理水中の溶存酸素と水素とを反応させて水を生成させることにより、酸素を含有する被処理水から溶存酸素を除去する溶存酸素の除去処理水の製造方法である。
酸素を含有する被処理水は、酸素を含有するものであれば、特に制限されず、例えば、半導体製造等の電子部品の製造及び電子部品の製造器具等を洗浄するための超純水の製造に用いられる原水又はその製造工程中の種々の水等が挙げられ、具体的には、超純水製造サブシステムの循環水、例えば、紫外線酸化装置の出口水等が挙げられる。また、溶存酸素を含有する被処理水としては、他には、発電所で用いられる用水、各種工場で用いられるボイラー水や冷却水等が挙げられる。
酸素を含有する被処理水中の溶存酸素濃度は、特に制限されないが、通常、0.01〜10mg/Lである。
溶存酸素と反応させる水素の量は、特に制限されないが、酸素濃度の1倍当量〜10倍当量、好ましくは1.1倍当量〜5倍当量である。
本発明の白金族金属担持触媒の存在下で、酸素を含有する被処理水中の溶存酸素と水素を反応させる方法としては、特に制限されず、例えば、触媒充填塔に、本発明の白金族金属担持触媒を充填し、触媒充填塔に、酸素を含有する被処理液を供給すると共に、被処理液の供給管内に、水素ガスを注入することにより、本発明の白金族金属担持触媒に、溶存水素と溶存酸素を含有する被処理水とを通液する方法等が挙げられる。
上記の方法の場合、本発明の白金族金属担持触媒に、酸素を含有する被処理水を、SV=2000〜40000h−1、好ましくはSV=5000〜20000h−1で通水することができる。本発明の白金族金属担持触媒を用いると、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで被処理水を通水しても、溶存酸素の除去が可能である。更に、SVが10000h−1であっても、本発明の白金族金属担持触媒を用いると、溶存酸素の除去が可能であり、本発明の白金族金属担持触媒は、粒子状アニオン交換樹脂に白金族金属ナノ粒子を担持した従来の担持触媒の処理限界を大きく上回る、卓越した性能を示す。本発明の白金族金属担持触媒への酸素を含有する被処理水の通水速度は、特に制限されないが、好ましくはSV=2000〜40000h−1、特に好ましくはSV=5000〜20000h−1である。なお、本発明の白金族金属担持触媒は、溶存酸素除去能力が著しく高いため、粒子状アニオン交換樹脂に白金族金属ナノ粒子を担持した従来の担持触媒の処理限界を大きく上回る通水速度で、被処理水を通水しても、被処理水中の溶存酸素を分解することができる。
更に、本発明の白金族金属担持触媒は、溶存酸素除去能力が著しく高いため、触媒の充填層高を薄くしても溶存酸素の除去が可能である。
本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行い得られる処理水中の溶存酸素濃度は、10μg/L以下であることが好ましい。
本発明の白金族金属担持触媒は、モノリス又はモノリスイオン交換体に白金族金属粒子が担持されており、且つ、担持されている白金族金属粒子の平均粒子径が1〜100nmと小さく、均一度数が10以下と粒子径が均一なので、過酸化水素や溶存酸素等を含有する被処理水と白金族金属触媒との接触効率が、従来の粒状の白金族金属担持触媒に比べ、格段に高い。そのため、本発明の白金族金属担持触媒は、過酸化水素や溶存酸素の分解能力が著しく高いので、触媒の充填層高を薄くしても、被処理水中の過酸化水素や溶存酸素を分解除去することができる。
特に、本発明の白金族金属担持触媒は、白金族金属粒子の担持量が0.004 〜2.0重量%と少なくても、均一度数が10以下であることにより、被処理水と白金族金属触媒との接触効率が高くなるので、通水速度を2000〜40000h−1と高くすることができる。
また、本発明の白金族金属担持触媒は、担体がモノリス又はモノリスイオン交換体であるので、担体が無機多孔質体である触媒に比べ、白金族金属粒子を担持させる工程において、モノリス又はモノリスイオン交換体を膨潤させた状態で白金族金属粒子を担持させることができ、担持後にもとの状態に戻すことにより、白金族金属粒子を担体内に保持できるため、無機多孔質体を担体とした触媒で問題となる担体からの白金族金属粒子の流出や脱離が問題とならない触媒を提供することが可能である。
また、本発明の白金族金属担持触媒の製造方法は、担体がモノリス又はモノリスイオン交換体であるので、担体が無機多孔質体である触媒に比べ、白金族金属粒子を担持させる工程において、モノリス又はモノリスイオン交換体を膨潤させた状態で白金族金属粒子を担持させることができ、担持後にもとの状態に戻すことにより、白金族金属粒子を担体内に保持できるため、無機多孔質体を担体とした触媒で問題となる担体からの白金族金属粒子の流出や脱離が問題とならない触媒を提供できる製造方法である。
また、本発明の白金族金属担持触媒の製造方法では、白金族金属粒子を含有する流体、例えば、白金族金属粒子を含有する超臨界流体を調製するときに用いる白金族金属粒子、例えば、白金族金属コロイド液中の白金族金属粒子の粒子性状により、白金族金属担持触媒に担持されている白金族金属粒子の粒子性状を制御できる。そのため、本発明の白金族金属担持触媒の製造方法によれば、モノリス又はモノリスイオン交換体に担持される白金族金属粒子の粒子性状の制御が容易であり、平均粒子径を1〜100nmとし且つ均一度数を10以下とすることができる。
一方、イオン交換基を有する担体に、イオン交換で白金族金属イオンを結合させ、そのイオンを還元することにより、白金族金属担持触媒を得る製造方法では、白金族金属イオンが全て完全に還元されているかどうかは不明確であり、イオンのまま残留している可能性もある。また、還元されることにより生成する白金族金属粒子は不安定で、二次凝集を起こす場合もある。二次凝集が起こると粒子表面積が小さくなり、触媒活性が低下する。よって、高い触媒活性を得るためには、二次凝集が起こらない方法で白金族金属を担持させる必要がある。なお、二次凝集が存在する触媒には、凝集していない小さな粒子と、凝集した大きな粒子が混在する。そのため、担持されている白金族金属粒子の均一度数は10以下とはならない。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<白金族担持触媒1の製造>
(I工程;モノリス中間体(4)Aの製造)
スチレン5.29g、ジビニルベンゼン0.28g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.39gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリス中間体(4)Aを製造した。
このようにして得られたモノリス中間体(乾燥体)の内部構造をSEM画像(図7)により観察したところ、隣接する2つのマクロポアを区画する壁部は極めて細く棒状であるものの、連続気泡構造を有しており、水銀圧入法により測定したマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は乾燥状態で70μm、乾燥状態の全細孔容積は17.8ml/gであった。
(第4のモノリスAの製造)
次いで、スチレン39.2g、ジビニルベンゼン0.8g、1-デカノール60g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.8gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。次に上記モノリス中間体(4)Aを直径70mm、厚さ約30mmの円盤状に切断して2.4gを分取した。分取したモノリス中間体を内径75mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約60mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥し、第4のモノリスAを得た(III工程)。
このようにして得られた第4のモノリスA(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図5に示す。図5から明らかなように、第4のモノリスAは骨格及び空孔はそれぞれ3次元的に連続し、両相が絡み合った共連続構造であった。また、SEM画像から測定した骨格の平均太さは8μmであった。また、水銀圧入法により測定した当該モノリスの三次元的に連続した空孔の乾燥状態での平均直径は18μm、乾燥状態での全細孔容積は2.0ml/gであった。
また、乾燥状態の第4のモノリスAを水で湿潤させたときの変化(膨張率)は、1.3倍であり、この膨張率から見積もった、第4のモノリスAの水湿潤状態での骨格の平均太さは10μmであり、空孔の平均直径は23μmであった。
(第4のモノリスアニオン交換体Aの製造)
上記の方法で製造した第4のモノリスAを、直径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ20mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリス状有機多孔質体にTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して、第4のモノリスアニオン交換体Aを得た。
得られた第4のモノリスアニオン交換体Aの反応前後の膨潤率は1.6倍であり、体積当りのアニオン交換容量は水湿潤状態で0.44mg当量/mlであった。水湿潤状態でのモノリスイオン交換体の連続空孔の平均直径を、乾燥状態のモノリスの値とアニオン交換基導入前後の変化率(膨潤率:1.6倍)から見積もったところ29μmであり、骨格の平均太さは13μmであった。また、乾燥状態での全細孔容積は、2.5ml/gであった。
次に、第4のモノリスアニオン交換体A中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、第4のモノリスアニオン交換体Aを塩酸水溶液で処理して塩化物型とした後、EPMAにより骨格表面及び骨格内部の塩化物イオンの分布状態を観察したところ、塩化物イオンは第4のモノリスアニオン交換体Aの骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基がモノリスアニオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
(白金族金属担持触媒1の調整)
第4のモノリスアニオン交換体AをCl形にイオン交換した後、水膨潤状態で直径30mm、厚さ15mmの円柱状に切り出し、減圧乾燥した。乾燥後のモノリスアニオン交換体の重量は、1.6gであった。この乾燥状態のモノリスアニオン交換体を水に浸漬し、再び水膨潤状態とした。
次いで、耐圧容器に、水膨潤状態のモノリスアニオン交換体と、パラジウムナノコロイド液(パラジウム4重量%)5mlを入れ、密封した。密封した耐圧容器を、40℃の恒温槽の中に入れた。耐圧容器内に二酸化炭素を、25MPaになるまで導入した。25MPaになったところで導入を止め、その状態で1時間保持した。1時間経過後、耐圧容器を開放して二酸化炭素を放出した。耐圧容器内から、パラジウムが担持されたモノリスアニオン交換体を取り出した。取り出したパラジウム担持モノリスアニオン交換体を、1.0N水酸化ナトリウムで再生してOH形とし、白金族金属担持触媒1を得た。
上記で使用したパラジウムナノコロイド溶液の1滴を、透過型電子顕微鏡用メッシュ(応研商事製、フォルマール支持膜メッシュ)に滴下し、自然乾燥させた。次いで、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察して、TEM画像を得、得られたTEM画像を画像解析し、観察した視野中のパラジウム粒子の粒子径を測定して、パラジウムナノコロイド溶液中のパラジウム粒子の粒度分布を得た。得られたパラジウムナノコロイド溶液中のパラジウム粒子の粒度分布を、表1に示す。表1から求められる均一度数は、2である。また、得られたTEM画像の画像解析から求めたパラジウムナノコロイド溶液中のパラジウム粒子の平均粒子径は、4.0nmであった。
乾燥状態の白金族金属担持触媒1に担持されたパラジウム量は、2.0重量%であった。白金族金属担持触媒1に担持されたパラジウム粒子の粒子径を、透過型電子顕微鏡で観察して、TEM画像を得、得られたTEM画像を画像解析し、観察した視野中のパラジウム粒子の粒子径を測定して、白金族金属担持触媒1に担持されているパラジウム粒子の粒度分布を得た。得られた白金族金属担持触媒1に担持されているパラジウム粒子の粒度分布を、表2に示す。表2から求められる均一度数は、2である。また、得られたTEM画像の画像解析から求めた白金族金属担持触媒1に担持されたパラジウム粒子の平均粒子径は、5.2nmであった。
<過酸化水素分解処理水の製造>
上記白金族金属担持触媒1を切り出して内径10mmのカラムに充填し、過酸化水素分解特性の評価に用いた。このとき、白金族金属担持触媒1の充填層高は13mmであった。
上記白金族金属担持触媒1の充填物に対し、過酸化水素を15〜30μg/L(15〜30ppb)を含む超純水をSV=20000h−1にて通水した。24時間通水後、カラム出口の溶液を採取し、過酸化水素濃度を測定した。その結果、過酸化水素濃度は1μg/L未満であり、SV=20000h−1と非常に速く、白金族金属担持触媒1の充填層高が13mmと低いにも関わらず、過酸化水素は分解除去されていた。次に、SV=40000h−1とし、同様の処理を行った。カラム出口の溶液を採取し、過酸化水素濃度を測定した。その結果、過酸化水素濃度は2.0g/Lであり、過酸化水素は分解除去されていた。
(実施例2)
<白金族金属担持触媒2の製造>
(I工程;モノリス中間体(4)Aの製造)
実施例1と同様にして、モノリス中間体(4)Aを製造した。
(第4モノリスAの製造)
実施例1と同様にして、第4のモノリスAを製造した。
(第4のモノリスアニオン交換体Aの製造)
実施例1と同様にして、第4のモノリスアニオン交換体Aを製造した。
(白金族金属担持触媒2の調整)
第4のモノリスアニオン交換体AをCl形にイオン交換した後、水膨潤状態で直径30mm、厚さ15mmの円柱状に切り出し、減圧乾燥した。乾燥後のモノリスアニオン交換体の重量は、1.6gであった。この乾燥状態のモノリスアニオン交換体を水に浸漬し、再び水膨潤状態とした。次いで、耐圧容器に、水膨潤状態のモノリスアニオン交換体と、パラジウムナノコロイド溶液(パラジウム0.1重量%)5mLを入れ、密封した。密封した耐圧容器を、40℃の恒温槽の中に入れた。耐圧容器内に二酸化炭素を、25MPaになるまで導入した。25MPaになったところで導入を止め、その状態で6時間保持した。6時間経過後、耐圧容器を開放して二酸化炭素を放出した。耐圧容器内から、パラジウムが担持されたモノリスアニオン交換体を取り出した。取り出したパラジウム担持モノリスアニオン交換体を、1.0N水酸化ナトリウムで再生してOH形とし、白金族金属担持触媒2を得た。
上記で使用したパラジウムナノコロイド溶液の1滴を、透過型電子顕微鏡用メッシュ(応研商事製、フォルマール支持膜メッシュ)に滴下し、自然乾燥させた。次いで、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察して、TEM画像を得、得られたTEM画像を画像解析し、観察した視野中のパラジウム粒子の粒子径を測定して、パラジウムナノコロイド溶液中のパラジウム粒子の粒度分布を得た。得られたパラジウムナノコロイド溶液中のパラジウム粒子の粒度分布を、表3に示す。表3から求められる均一度数は、2である。また、得られたTEM画像の画像解析から求めたパラジウムナノコロイド溶液中のパラジウム粒子の平均粒子径は、4.0nmであった。
乾燥状態の白金族金属担持触媒2に担持されたパラジウム量は、0.05重量%であった。白金族金属担持触媒2に担持されたパラジウム粒子の粒子径を、透過型電子顕微鏡で観察して、TEM画像を得、得られたTEM画像を画像解析し、観察した視野中のパラジウム粒子の粒子径を測定して、白金族金属担持触媒2に担持されているパラジウム粒子の粒度分布を得た。得られた白金族金属担持触媒2に担持されているパラジウム粒子の粒度分布を、表4に示す。表4から求められる均一度数は、1である。また、得られたTEM画像の画像解析から求めた白金族金属担持触媒2に担持されたパラジウム粒子の平均粒子径は、4.5nmであった。
<過酸化水素分解処理水の製造>
上記白金族金属担持触媒2を切り出して内径10mmのカラムに充填し、過酸化水素分解特性の評価に用いた。このとき、白金族金属担持触媒2の充填層高は14mmであった。
上記白金族金属担持触媒2の充填物に対し、過酸化水素を15〜30μg/L(15〜30ppb)を含む超純水をSV=10000h−1にて通水した。24時間通水後、カラム出口の溶液を採取し、過酸化水素濃度を測定した。その結果、過酸化水素濃度は1μg/L未満であり、SV=10000h−1と非常に速く、白金族金属担持触媒2の充填層高が14mmと低いにも関わらず、過酸化水素は分解除去されていた。次に、SV=20000h−1とし、同様の処理を行った。カラム出口の溶液を採取し、過酸化水素濃度を測定した。その結果、過酸化水素濃度は1.5g/Lであり、過酸化水素は分解除去されていた。
Figure 0005567958
Figure 0005567958
Figure 0005567958
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表1では、最大粒子径の粒子から積算して、全粒子の個数に対する個数が40%を超えるのは、4以上5未満(nm)の分布帯であるので、全粒子の個数に対する個数が40%になる粒子が含まれる分布帯は、4以上5未満(nm)の分布帯である。そして、この4以上5未満(nm)の代表粒子径は、4.5nmであるので、40%粒子径は4.5nmとなる。また、最大粒子径の粒子から積算して、全粒子の個数に対する個数が90%を超えるのは、2以上3未満(nm)の分布帯であるので、全粒子の個数に対する個数が90%になる粒子が含まれる分布帯は、2以上3未満(nm)の分布帯である。そして、この2以上3未満(nm)の代表粒子径は、2.5nmであるので、90%粒子径は2.5nmとなる。これらから、均一度数を求めると、下記式:
均一度数=40%粒子径−90%粒子径=4.5−2.5=2
より、均一度数は2となる。
同様にして、表2より均一度数を求めたところ、下記式:
均一度数=40%粒子径−90%粒子径=5.5−3.5=2
より、均一度数は2となる。
また、表3より均一度数を求めたところ、下記式:
均一度数=40%粒子径−90%粒子径=4.5−2.5=2
より、均一度数は2となる。
また、表4より均一度数を求めたところ、下記式:
均一度数=40%粒子径−90%粒子径=4.5−3.5=1
より、均一度数は1となる。
(実施例3)
<白金族金属担持触媒3の製造>
(第1のモノリスBの製造)
スチレン19.2g、ジビニルベンゼン1.0g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.0gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に,当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを反応容器に速やかに移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで抽出した後、減圧乾燥して、第1のモノリスBを得た。該モノリスは、架橋成分を3.3モル%含有するスチレン/ジビニルベンゼン共重合体であり、SEM観察により、連続マクロポア構造を有することを確認した。SEM画像を図1に示す。水銀圧入法により求めた該モノリスのマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径は29μm、乾燥状態での全細孔容積は8.6ml/gであった。
(第1のモノリスアニオン交換体Bの製造)
上記の方法で製造した第1のモノリスBを、外径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ20mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃、5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリスにTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して、第1のモノリスアニオン交換体Bを得た。
得られた第1のモノリスアニオン交換体Bの反応前後の膨潤率は1.5倍であり、乾燥状態における重量当りのアニオン交換容量は、4.3mg当量/gであり、開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径は、43μmであり、乾燥状態での全細孔容積は、13ml/gであった。水湿潤状態でのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径を、モノリスの値と水湿潤状態のモノリスアニオン交換体の膨潤率から見積もったところ44μmであり、全細孔容積は、8.6ml/gであった。また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.014MPa/m・LVであり、実用上要求される圧力損失と比較して、それを下回る低い圧力損失であった。
次に、第1のモノリスアニオン交換体B中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、モノリスアニオン交換体を塩酸水溶液で処理して塩化物型とした後、EPMAにより塩化物イオンの分布状態を観察した。その結果、塩化物イオンは第1のモノリスアニオン交換体Bの骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基がモノリスアニオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
(白金族金属担持触媒3の調製)
第4のモノリスアニオン交換体Aに代えて、第1のモノリスアニオン交換体Bとすること以外は、実施例1と同様の方法で行い、白金族金属担持触媒3を得た。白金族金属担持触媒3に担持されているパラジウム粒子の平均粒子径は4.5nmであり、均一度数は2であった。また、白金族金属担持触媒3のパラジウム粒子の担持量は、乾燥状態で2.1重量%であった。
(実施例4)
<白金族金属担持触媒4の製造>
(第2のモノリスCの製造)
ビニルベンジルクロライド38.8g、ジビニルベンゼン1.2g、1−ブタノール60gおよび2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4gを混合し、均一に溶解させた。ビニルベンジルクロライドとジビニルベンゼンの合計量に対して、ジビニルベンゼンは2.8モル%であった。次に当該ビニルベンジルクロライド/ジビニルベンゼン/1-ブタノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物をポリエチレン製円筒容器に入れ、窒素で3回パージした後密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約30mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンで10時間ソックスレー抽出し、未反応モノマー、1-ブタノールを除去した後、85℃で一夜減圧乾燥し、第2のモノリスCを得た。得られた円筒型の第2のモノリスCの直径は76mmであった。
このようにして得られたビニルベンジルクロライド/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を2.8モル%含有した第2のモノリスCの内部構造を、SEMにより観察した結果を図2に示す。図2から明らかなように、第2のモノリスCは乾燥状態で平均直径が約15μmの架橋ポリビニルベンジルクロライド粒子が凝集して三次元的に連続した骨格部分を形成していることがわかる。また、水銀圧入法により測定した第2のモノリスCの細孔分布曲線の乾燥状態での極大値(空孔の平均直径)は、60μmであった。また、第2のモノリスCの乾燥状態での全細孔容積は、1.4ml/gであった。
また、乾燥状態の第2のモノリスCを水で湿潤させたときの変化(膨張率)は、1.2倍であり、この膨張率から見積もった、第2のモノリスCの水湿潤状態での有機ポリマー粒子の平均直径は18μmであり、水湿潤状態での空孔の平均直径は72μmであった。
(第2のモノリスアニオン交換体Cの製造)
上記の方法で製造した第2のモノリスCを、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにテトラヒドロフラン1500mlを加え、40℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、トリメチルアミン30%水溶液140gを徐々に加え、昇温して40℃で24時間反応させた。反応終了後、生成物を取り出し、メタノール、純水の順で洗浄し、第2モノリスアニオン交換体Cを得た。得られた第2のモノリスアニオン交換体Cの直径は111mm、体積当りのアニオン交換容量は、水湿潤状態で0.65mg当量/mlであった。水湿潤状態のモノリスアニオン交換体の空孔の平均直径を、乾燥状態のモノリスの空孔の平均直径とアニオン交換基導入前後の変化(膨潤率:1.5倍)から見積もったところ、88μmであり、水湿潤状態のモノリスアニオン交換体の有機ポリマー粒子の平均直径を、乾燥状態のモノリスの有機ポリマー粒子の平均直径とアニオン交換基導入前後の変化(膨潤率)から見積もったところ、23μmであった。また、乾燥状態での全細孔容積は1.4ml/gであった。また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.010MPa/m・LVであり、実用上要求される圧力損失と比較して、それを下回る低い圧力損失であった。
次に、第2モノリスアニオン交換体C中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、EPMAにより塩化物イオンの分布状態を観察したところ、四級アンモニウム基がモノリスアニオン交換体表面に均一に導入されていることがわかった。また、塩化物イオンのモノリスアニオン交換体の断面(厚み)方向における分布状態をEPMAにより観察したところ、断面方向においても、四級アンモニウム基が均一に導入されていることがわかった。このことから、得られた第2のモノリスアニオン交換体Cには、四級アンモニウム基が多孔質体の表面と骨格内部に均一に導入されていることがわかった。
(白金族金属担持触媒4の調製)
第4のモノリスアニオン交換体Aに代えて、第2のモノリスアニオン交換体Cとすること以外は、実施例1と同様の方法で行い、白金族金属担持触媒4を得た。白金族金属担持触媒4に担持されているパラジウム粒子の平均粒子径は4.2nmであり、均一度数は2であった。また、白金族金属担持触媒4のパラジウム粒子の担持量は、乾燥状態で1.8重量%であった。
(実施例5)
<白金族金属担持触媒5の製造>
(I工程;モノリス中間体(3)の製造)
スチレン19.9g、ジビニルベンゼン0.4g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.0gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物をTHF1.8mlを含有する180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを反応容器に速やかに移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリス中間体(3)Dを製造した。水銀圧入法により測定した該モノリス中間体(3)Dのマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径は56μm、乾燥状態での全細孔容積は7.5ml/gであった。
(第3のモノリスDの製造)
次いで、スチレン49.0g、ジビニルベンゼン1.0g、1-デカノール50g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。次に上記モノリス中間体(3)Dを外径70mm、厚さ約20mmの円盤状に切断して、7.6g分取した。分取したモノリス中間体を内径90mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約30mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥し、第3のモノリスDを得た(III工程)。
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を1.3モル%含有した第3のモノリスD(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図3に示す。図3のSEM画像は、モノリスを任意の位置で切断して得た切断面の任意の位置における画像である。図3から明らかなように、当該モノリスは連続マクロポア構造を有しており、連続マクロポア構造体を構成する骨格が太く、また、骨格を構成する壁部の厚みが厚いものであった。
次ぎに、得られた第3のモノリスDを主観を排除して上記位置とは異なる位置で切断して得たSEM画像2点、計3点から壁部の厚みと断面に表れる骨格部面積を測定した。壁部の厚みは1つのSEM写真から得た8点の平均であり、骨格部面積は画像解析により求めた。なお、壁部は前述の定義のものである。また、骨格部面積は3つのSEM画像の平均で示した。この結果、乾燥状態での壁部の平均厚みは30μm、断面で表れる骨格部面積はSEM画像中28%であった。また、水銀圧入法により測定した第3のモノリスDの開口の乾燥状態での平均直径は31μm、乾燥状態での全細孔容積は2.2ml/gであった。
また、乾燥状態の第3のモノリスDを水で湿潤させたときの変化(膨張率)は、1.3倍であり、この膨張率から見積もった、第3のモノリスCの水湿潤状態での開口の平均直径は40μmであった。
(第3のモノリスアニオン交換体Dの製造)
上記の方法で製造した第3のモノリスDを、外径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ20mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃、5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリスにTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して、第3のモノリスアニオン交換体Dを得た。
得られた第3モノリスアニオン交換体Dのアニオン交換基導入前後の膨潤率は1.7倍であり、体積当りのアニオン交換容量は、水湿潤状態で0.60mg当量/mlであった。水湿潤状態でのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径を、モノリスの値と水湿潤状態のモノリスアニオン交換体の膨潤率から見積もったところ54μmであった。また、モノリスと同様の方法で求めた第3モノリスアニオン交換体D(乾燥体)の骨格を構成する壁部の平均厚みは50μm、骨格部面積はSEM写真の写真領域中28%、乾燥状態での全細孔容積は、2.2ml/gであった。また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.017MPa/m・LVであり、実用上要求される圧力損失と比較して、それを下回る低い圧力損失であった。
次に、第3のモノリスアニオン交換体D中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、モノリスアニオン交換体を塩酸水溶液で処理して塩化物型とした後、EPMAにより骨格表面及び骨格断面の塩化物イオンの分布状態を、観察したところ、塩化物イオンはモノリスアニオン交換体の骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基がモノリスアニオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
(白金族金属担持触媒5の調製)
第4のモノリスアニオン交換体Aに代えて、第3のモノリスアニオン交換体Dとすること以外は、実施例1と同様の方法で行い、白金族金属担持触媒5を得た。白金族金属担持触媒5に担持されているパラジウム粒子の平均粒子径は4.5nmであり、均一度数は2であった。また、白金族金属担持触媒5のパラジウム粒子の担持量は、乾燥状態で1.9重量%であった。
(実施例6)
<白金族金属担持触媒6の製造>
(I工程;モノリス中間体(5−1)の製造)
スチレン19.85g、ジビニルベンゼン0.40g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.07gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を、THF1.8mlと180mlの純水よりなる混合液に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有する架橋密度1.3モル%のモノリス中間体(5−1)Eを製造した。水銀圧入法により測定した該モノリス中間体(5−1)Eのマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径は56μm、乾燥状態での全細孔容積は7.5ml/gであった。
(第5−1のモノリスEの製造)
次いで、スチレン58.8g、ジビニルベンゼン1.2g、1-デカノール150g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。次に上記モノリス中間体(5−1)Eを直径70mm、厚さ約30mmの円盤状に切断して8.1gを分取した。分取したモノリス中間体(5−1)を内径89mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約60mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥し、第5−1のモノリスEを得た(III工程)。
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を1.3モル%含有した第5−1のモノリスE(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図9に示す。当該第5−1のモノリスEは連続マクロポア構造を有しており、連続マクロポア構造体を構成する骨格相の表面は、平均粒子径3μmの粒子体で被覆され、粒子被覆率は70%であった。また、粒径3〜5μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。また、水銀圧入法により測定した当該第5−1のモノリスEの開口の乾燥状態での平均直径は27μm、乾燥状態での全細孔容積は3.1ml/gであった。
また、乾燥状態の第5−1のモノリスEを水で湿潤させたときの変化(膨張率)は、1.2倍であり、この膨張率から見積もった、第5−1のモノリスEの水湿潤状態での開口の平均直径は32μmであり、骨格相の表面を被覆する粒子体の平均粒子径は4μmであった。
(第5−1のモノリスアニオン交換体Eの製造)
上記の方法で製造した第5−1のモノリスEを、直径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ20mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリスにTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して、第5−1のモノリスアニオン交換体Eを単離した。
得られた第5−1のモノリスアニオン交換体Eのアニオン交換基導入前後の膨潤率は1.7倍であり、体積当りのアニオン交換容量は水湿潤状態で0.40mg当量/mlであった。水湿潤状態での第5−1のモノリスアニオン交換体Eの開口の平均直径を、第5−1のモノリスEの値とアニオン交換基導入前後の第5−1のモノリスアニオン交換体Eの膨潤率から見積もったところ46μmであり、同様の方法で求めた被覆粒子の平均粒径は5μmであった。なお、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率は70%であり、また、粒径5〜8μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。また、第5−1のモノリスアニオン交換体Eの乾燥状態での全細孔容積は3.1ml/gであった。
また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.012MPa/m・LVであり、実用上支障のない低い圧力損失であった。
次に、第5−1のモノリスアニオン交換体E中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、第5−1のモノリスアニオン交換体Eを塩酸水溶液で処理して塩化物形とした後、EPMAにより骨格表面及び骨格断面の塩化物アニオンの分布状態を観察したところ、塩化物アニオンはモノリスアニオン交換体の骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基が第5−1のモノリスアニオン交換体E中に均一に導入されていることが確認できた。
(白金族金属担持触媒6の調製)
第4のモノリスアニオン交換体Aに代えて、第5−1のモノリスアニオン交換体Eとすること以外は、実施例1と同様の方法で行い、白金族金属担持触媒6を得た。白金族金属担持触媒6に担持されているパラジウム粒子の平均粒子径は4.2nmであり、均一度数は2であった。また、白金族金属担持触媒6のパラジウム粒子の担持量は、乾燥状態で2.1重量%であった。
(実施例7)
<白金族金属担持触媒7の製造>
(I工程;モノリス中間体(5−2)の製造)
スチレン9.33g、ジビニルベンゼン0.14g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)0.50gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に,当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを反応容器に速やかに移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有する架橋密度1.0モル%のモノリス中間体(5−2)Fを製造した。該モノリス中間体(5−2)Fのマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径は28μm、乾燥状態での全細孔容積は17.2ml/gであった。
(第5−2のモノリスFの製造)
ビニルベンジルクロライド39.4g、ジビニルベンゼン0.6g、1-ブタノール60g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。重合開始剤として用いた2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)の10時間半減温度は、51℃であった。モノリス中間体(5−2)Fの架橋密度1.0モル%に対して、II工程で用いたビニルベンジルクロライドとジビニルベンゼンの合計量に対するジビニルベンゼンの使用量は1.4モル%であった。次に上記モノリス中間体(5−2)Fを外径70mm、厚さ約20mmの円盤状に切断して、2.9g分取した。分取したモノリス中間体(5−2)Fを内径73mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-ブタノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約30mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥し、第5−2のモノリスFを得た(III工程)。
このようにして得られたビニルベンジルクロライド/ジビニルベンゼン共重合体よりなる第5−2のモノリスF(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察したところ、第5−2のモノリスFは共連続構造を有しており、共連続構造体を構成する骨格相の表面は、平均粒子径10μmの粒子体で被覆され、全粒子体等による粒子被覆率は100%であった。また、粒径6〜12μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は80%であった。
また、水銀圧入法により測定した第5−2のモノリスFの開口(空孔)の乾燥状態での平均直径は29μm、乾燥状態での全細孔容積は2.1ml/gであった。
また、乾燥状態の第5−2のモノリスFを水で湿潤させたときの変化(膨張率)は、1.2倍であり、この膨張率から見積もった、第5−2のモノリスFの水湿潤状態での開口(空孔)の平均直径は34μmであり、骨格相の表面を被覆する粒子体の平均粒子径は12μmであった。
(第5−2のモノリスアニオン交換体Fの製造)
上記の方法で製造した第5−2のモノリスFを、外径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。第5−2のモノリスFの重量は17.9gであった。これにテトラヒドロフラン1500mlを加え、40℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、トリメチルアミン30%水溶液114.5gを徐々に加え、昇温して40℃で24時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄してテトラヒドロフランを除き、更に純水で洗浄して第5−2のモノリスアニオン交換体Fを得た。
得られた第5−2のモノリスアニオン交換体Fのアニオン交換基導入前後の膨潤率は2.0倍であり、体積当りのアニオン交換容量は、水湿潤状態で0.32mg当量/mlであった。水湿潤状態での第5−2のモノリスアニオン交換体Fの連続細孔の平均直径を、第5−2のモノリスFの値とアニオン交換基導入前後の第5−2のモノリスアニオン交換体Fの膨潤率から見積もったところ58μmであり、同様の方法で求めた突起体の平均径は20μm、粒子被覆率は100%であった。また、第5−2のモノリスアニオン交換体Fの乾燥状態での全細孔容積は2.1ml/gであった。なお、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.041MPa/m・LVであり、実用上要求される圧力損失と比較して、それを下回る低い圧力損失であった。また、粒径12〜24μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は80%であった。
次に、第5−2のモノリスアニオン交換体F中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、第5−2のモノリスアニオン交換体を塩酸水溶液で処理して塩化物形とした後、EPMAにより骨格表面及び骨格断面の塩化物アニオンの分布状態を観察したところ、塩化物アニオンは第5−2のモノリスアニオン交換体Fの骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基が第5−2のモノリスアニオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
(白金族金属担持触媒7の調製)
第4のモノリスアニオン交換体Aに代えて、第5−2のモノリスアニオン交換体Fとすること以外は、実施例1と同様の方法で行い、白金族金属担持触媒7を得た。白金族金属担持触媒7に担持されているパラジウム粒子の平均粒子径は4.1nmであり、均一度数は2であった。また、白金族金属担持触媒7のパラジウム粒子の担持量は、乾燥状態で2.0重量%であった。
(実施例8)
<白金族金属担持触媒8の製造>
(I工程;モノリス中間体(6)の製造)
スチレン19.9g、ジビニルベンゼン0.4g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.1gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を、THF1.8mlと180mlの純水よりなる混合液に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有する架橋密度1.3モル%のモノリス中間体(6)Gを製造した。水銀圧入法により測定した該モノリス中間体(6)Gのマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径は56μm、乾燥状態での全細孔容積は7.5ml/gであった。
(第6のモノリスGの製造)
次いで、スチレン59.4g、ジビニルベンゼン0.6g、1-オクタノール50g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。次に上記モノリス中間体(6)Gを直径70mm、厚さ約30mmの円盤状に切断して7.7gを分取した。分取したモノリス中間体(6)Gを内径89mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-オクタノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約60mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥し、第6のモノリスGを得た(III工程)。
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を0.6モル%含有した第6のモノリスG(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図11に示す。当該第6のモノリスGは連続マクロポア構造を有しており、連続マクロポア構造体を構成する骨格部にもハニカム状の多孔構造が導入されていた。水銀圧入法により測定した当該第6のモノリスGの開口の乾燥状態での平均直径は35μm、乾燥状態での全細孔容積は1.7ml/g、乾燥状態での比表面積は55.2m/gであった。
また、乾燥状態の第6のモノリスGを水で湿潤させたときの変化(膨張率)は、1.3倍であり、この膨張率から見積もった、第6のモノリスGの水湿潤状態での開口の平均直径は46μmであった。
(第6のモノリスアニオン交換体Gの製造)
上記の方法で製造した第6のモノリスGを、直径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ40mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリスにTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して、第6のモノリスアニオン交換体Gを得た。
得られた第6のモノリスアニオン交換体Gのアニオン交換基導入前後の膨潤率は1.5倍であり、体積当りのアニオン交換容量は水湿潤状態で0.75mg当量/mlであった。水湿潤状態での第6のモノリスアニオン交換体Gの開口の平均直径を、第6のモノリスGの値とアニオン交換基導入前後の第6のモノリスアニオン交換体Gの膨潤率から見積もったところ53μmであった。第6のモノリスアニオン交換体Gの乾燥状態での全細孔容積は1.7ml/gであり、比表面積は55.2m/gであった。
次に、第6のモノリスアニオン交換体G中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、第6のモノリスアニオン交換体Gを塩酸水溶液で処理して塩化物形とした後、EPMAにより骨格表面及び骨格断面の塩化物アニオンの分布状態を観察したところ、塩化物アニオンは第6のモノリスアニオン交換体Gの骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基がモノリスアニオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
なお、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.016MPa/m・LVであり、実用上支障のない低い圧力損失であった。
(白金族金属担持触媒8の調製)
第4のモノリスアニオン交換体Aに代えて、第6のモノリスアニオン交換体Gとすること以外は、実施例1と同様の方法で行い、白金族金属担持触媒8を得た。白金族金属担持触媒8に担持されているパラジウム粒子の平均粒子径は4.4nmであり、均一度数2はであった。また、白金族金属担持触媒8のパラジウム粒子の担持量は、乾燥状態で2.4重量%であった。
(実施例9〜15)
(白金族金属担持触媒9〜15の調製)
表5に示すように、実施例1で製造した第4のモノリスA、実施例3で製造した第1のモノリスB、実施例4で製造した第2のモノリスC、実施例5で製造した第3のモノリスD、実施例6で製造した第5−1のモノリスE、実施例7で製造した第5−2のモノリスF、及び実施例8で製造した第6のモノリスGを、水膨潤状態で直径30mm、厚さ15mmの円柱状に切り出した。
次いで、耐圧容器に、水膨潤状態のモノリスと、実施例1で用いたパラジウムナノコロイド溶液(パラジウム4重量%)5mlを入れ、密封した。密封した耐圧容器を、40℃の恒温槽の中に入れた。耐圧容器内に二酸化炭素を、25MPaになるまで導入した。25MPaになったところで導入を止め、その状態で1時間保持した。1時間経過後、耐圧容器を開放して二酸化炭素を放出した。耐圧容器内から、パラジウムが担持されたモノリスを取り出し、白金族金属担持触媒9〜15を得た。
得られた白金族金属担持触媒に担持されているパラジウム粒子の平均粒子径、、均一度数及び乾燥状態での担持量を表5に示す。
Figure 0005567958
1 骨格相
2 空孔相
10 モノリス
11 画像領域
12 断面で表れる骨格部
13 マクロポア
21 骨格表面
22 突起体
30 モノリス(モノリスイオン交換体)
31 マクロポア
32 開口
33 内層部
34 表層部
35 気相部(気泡部)
36 壁部(骨格部)
37 細孔

Claims (1)

  1. 平均粒子径が1〜100nmであり且つ均一度数が10以下の白金族金属粒子を含有する超臨界流体に、モノリス状有機多孔質体又はモノリス状有機多孔質イオン交換体を接触させることにより、該モノリス状有機多孔質体又は該モノリス状有機多孔質イオン交換体に該白金族金属粒子を担持して、白金族金属担持触媒を得る白金族金属担持工程を有することを特徴とする白金族金属担持触媒の製造方法。
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