JPWO2018221183A1 - 透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板 - Google Patents

透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018221183A1
JPWO2018221183A1 JP2019522085A JP2019522085A JPWO2018221183A1 JP WO2018221183 A1 JPWO2018221183 A1 JP WO2018221183A1 JP 2019522085 A JP2019522085 A JP 2019522085A JP 2019522085 A JP2019522085 A JP 2019522085A JP WO2018221183 A1 JPWO2018221183 A1 JP WO2018221183A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
conductive
substrate
transparent
blackening
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019522085A
Other languages
English (en)
Inventor
下地 匠
匠 下地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Publication of JPWO2018221183A1 publication Critical patent/JPWO2018221183A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F3/00Input arrangements for transferring data to be processed into a form capable of being handled by the computer; Output arrangements for transferring data from processing unit to output unit, e.g. interface arrangements
    • G06F3/01Input arrangements or combined input and output arrangements for interaction between user and computer
    • G06F3/03Arrangements for converting the position or the displacement of a member into a coded form
    • G06F3/041Digitisers, e.g. for touch screens or touch pads, characterised by the transducing means
    • G06F3/044Digitisers, e.g. for touch screens or touch pads, characterised by the transducing means by capacitive means
    • G06F3/0443Digitisers, e.g. for touch screens or touch pads, characterised by the transducing means by capacitive means using a single layer of sensing electrodes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/04Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
    • B32B15/08Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material of synthetic resin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/02Physical, chemical or physicochemical properties

Abstract

透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置され、ニッケルおよび銅を含む第1黒化層と、銅を含む導電層とを前記透明基材の側からその順に積層した積層体とを含む積層体基板の、前記積層体をパターン化するパターン化工程を有しており、前記パターン化工程は、銅を溶解することができる第1エッチング液により前記導電層をエッチングする導電層エッチングステップと、前記第1黒化層を、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液によりエッチングする第1黒化層エッチングステップとを有し、前記第2エッチング液の塩化物イオン濃度が塩酸換算で10質量%以上である透明導電性基板の製造方法を提供する。

Description

本発明は、透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板に関する。
静電容量式タッチパネルは、パネル表面に近接する物体により引き起こされる静電容量の変化を検出することにより、パネル表面上での近接する物体の位置情報を電気信号に変換する。静電容量式タッチパネルに用いられる透明導電性基板は、ディスプレイの表面に設置されるため、透明導電性基板の配線材料には反射率が低く、視認されにくいことが要求される。
そこで、静電容量式タッチパネルに用いられる配線材料としては、反射率が低く、視認されにくい材料が用いられ、透明な基板または透明なフィルム上に配線が形成されている。例えば、特許文献1には、高分子フィルム上に透明導電膜としてITO(酸化インジウム−スズ)膜を形成したタッチパネル用の透明導電性フィルムが開示されている。
ところで、近年タッチパネルを備えたディスプレイの大画面化が進んでおり、これに対応してタッチパネル用の透明導電性フィルム等の透明導電性基板についても大面積化が求められている。しかし、ITOは電気抵抗値が高く配線長が長くなると信号の劣化を生じるため、大型パネルには不向きという問題があった。
このため、例えば特許文献2、3に開示されているようにITOに替えて銅等による金属配線を用いることが検討されている。しかし、金属配線の材料である金属は金属光沢を有するため、反射によりディスプレイの視認性が低下するという問題がある。
そこで、透明基材上の金属材料を用いた導電層上に、導電層表面での光の反射を抑制する黒化層を形成してから、導電層、及び黒化層をパターン化することで、金属配線の表面に黒化層を形成した透明導電性基板とすることが検討されている。
日本国特開2003−151358号公報 日本国特開2011−018194号公報 日本国特開2013−069261号公報
本発明の発明者は、金属材料を用いた導電層表面での光の反射を特に抑制できる透明導電性基板として、ニッケルと、銅とを含有する黒化層を含む透明導電性基板を検討した。具体的には、透明基材側からニッケルと銅とを含有する第1黒化層と、銅を含む金属材料を用いた層である導電層と、ニッケルと銅とを含有する第2黒化層とをその順に積層した積層体が配置された透明導電性基板を検討した。
ところで、透明基材上に黒化層と、導電層とを含む積層体が配置された積層体基板をパターン化し、配線パターンを備えた透明導電性基板を製造するには、まず積層体の表面にエッチングにより除去する部分に対応した形状の開口部を有するレジストを配置する。そして、黒化層と導電層とを共にエッチングできるエッチング液を供給し、黒化層と導電層とを含む積層体をエッチングする。その後、レジストを剥離、除去することで配線パターンを備えた透明導電性基板を製造していた。上述のように、従来は生産性の観点から黒化層と、導電層とは同じ1つのエッチング液によりエッチングがなされていた。
しかしながら、黒化層と導電層とを1つのエッチング液によりエッチングする場合、透明基材に接する黒化層、上述の構成の場合であれば第1黒化層についてエッチング後に一部が溶け残り、残渣が発生しやすいという問題があった。
特に近年では透明導電性基板をディスプレイ上に搭載した場合に、配線パターンをより目立たなくするため、導電層表面での反射率をさらに抑制できる黒化層とすることが求められるようになっている。
そして、ニッケルと、銅とを含有する黒化層の場合、ニッケル酸化物の含有割合を高くすることで、導電層表面での反射率をさらに抑制することができる。しかし、ニッケル酸化物は、黒化層と導電層とを共にエッチングできるエッチング液、例えば塩化第二鉄等のエッチング液に対する反応性が低いため、反射率を抑制することでさらに黒化層の残渣が生じ易くなり、黒化層を所望の形状にパターン化できなかった。
上記従来技術の問題に鑑み、本発明の一側面では黒化層を所望の形状にパターン化することができる透明導電性基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一側面では、
透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置され、ニッケルおよび銅を含む第1黒化層と、銅を含む導電層とを前記透明基材の側からその順に積層した積層体とを含む積層体基板の、前記積層体をパターン化するパターン化工程を有しており、
前記パターン化工程は、銅を溶解することができる第1エッチング液により前記導電層をエッチングする導電層エッチングステップと、
前記第1黒化層を、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液によりエッチングする第1黒化層エッチングステップとを有し、前記第2エッチング液の塩化物イオン濃度が塩酸換算で10質量%以上である透明導電性基板の製造方法を提供する。
本発明の一側面によれば、黒化層を所望の形状にパターン化することができる透明導電性基板の製造方法を提供することができる。
積層体基板の説明図。 積層体基板の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の製造方法の説明図。 メッシュ状の配線を備えた透明導電性基板の説明図。 図5のA−A´線での断面図の構成例。 図5のA−A´線での断面図の構成例。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の説明図。 本発明の実施形態に係る透明導電性基板の説明図。 実験例4−1で得られた格子状の金属細線を含む透明導電性基板の電子顕微鏡写真。 実験例7−1で得られた透明導電性基板の導電配線層部分の電子顕微鏡写真。 実験例7−6で得られた透明導電性基板の導電配線層部分の電子顕微鏡写真。
以下、本発明の透明基材の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の透明導電性基板の製造方法は透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に配置され、ニッケルおよび銅を含む第1黒化層と、銅を含む導電層とを透明基材の側からその順に積層した積層体とを含む積層体基板の、積層体をパターン化するパターン化工程を有することができる。
そして、パターン化工程は、さらに以下のステップを有することができる。
銅を溶解することができる第1エッチング液により導電層をエッチングする導電層エッチングステップ。
第1黒化層を、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液によりエッチングする第1黒化層エッチングステップ。
第2エッチング液の塩化物イオン濃度は、塩酸換算で10質量%以上とすることができる。
ここでまず、本実施形態の透明導電性基板の製造方法に供する積層体基板に含まれる各部材について以下に説明する。
透明基材としては特に限定されるものではなく、例えば可視光を透過する樹脂基板(樹脂フィルム)や、ガラス基板等を好ましく用いることができる。
可視光を透過する樹脂基板の材料としては例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の樹脂を好ましく用いることができる。特に、可視光を透過する樹脂基板の材料として、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、ポリイミド、ポリカーボネート等をより好ましく用いることができる。
透明基材の厚さについては特に限定されず、透明導電性基板とした場合に要求される強度や静電容量、光の透過率等に応じて任意に選択することができる。透明基材の厚さとしては例えば10μm以上200μm以下とすることができる。特にタッチパネルの用途に用いる場合、透明基材の厚さは20μm以上120μm以下とすることが好ましく、20μm以上100μm以下とすることがより好ましい。タッチパネルの用途に用いる場合で、例えば特にディスプレイ全体の厚さを薄くすることが求められる用途においては、透明基材の厚さは20μm以上50μm以下であることが好ましい。
透明基材の全光線透過率は高い方が好ましく、例えば全光線透過率は30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。透明基材の全光線透過率が上記範囲であることにより、例えばタッチパネルの用途に用いた場合にディスプレイの視認性を十分に確保することができる。
なお透明基材の全光線透過率はJIS K 7361−1に規定される方法により評価することができる。
次に、積層体について説明する。
本実施形態の透明導電性基板の製造方法では、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に配置された積層体とを有する積層体基板の、積層体をパターン化(パターニング)することで、所望の配線パターンを有する透明導電性基板とすることができる。
積層体は、既述のように透明基材側からニッケルおよび銅を含む第1黒化層と、銅を含む導電層とを透明基材の側からその順に積層した構造を有することができる。なお、後述のように、積層体は導電層の第1黒化層と対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化層を有することもできる。
導電層は、銅(Cu)を含有していればよく、その他の成分については特に限定されない。透明導電性基板に要求される電気抵抗値等に応じて任意に選択することができる。導電層は、例えばCuと、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、W(タングステン)の元素群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素との銅合金、またはCuと、上記元素群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素とを含む材料であることが好ましい。また、導電層は銅から構成される銅層とすることもできる。
透明基材上に導電層を形成する方法は特に限定されないが、光の透過率を低減させないため、導電層と、第1黒化層との間には接着剤が配置されていないことが好ましい。すなわち、導電層は第1黒化層の上面に直接形成されていることが好ましい。
第1黒化層の上面に導電層を直接形成するため、導電層は導電薄膜層を有することが好ましい。また、導電層は導電薄膜層と導電めっき層とを有していてもよい。
例えば第1黒化層上に、乾式めっき法により導電薄膜層を形成し該導電薄膜層を導電層とすることができる。これにより、第1黒化層上に接着剤を介さずに直接導電層を形成できる。なお、乾式めっき法としては、例えばスパッタリング法や蒸着法、イオンプレーティング法等を好ましく用いることができる。
また、導電層の膜厚を厚くする場合には、導電薄膜層を給電層として例えば湿式めっき法の一種である電気めっき法により導電めっき層を形成することにより、導電薄膜層と導電めっき層とを有する導電層とすることもできる。導電層が導電薄膜層と導電めっき層とを有することにより、この場合も第1黒化層上に接着剤を介さずに直接導電層を形成できる。
導電層の厚さは特に限定されるものではなく、導電層をパターン化して配線として用いた場合に、該配線に供給する電流の大きさや配線幅等に応じて任意に選択することができる。
ただし、導電層が厚くなると、積層体のパターン化のために導電層のエッチングを行う際にエッチングに時間を要するためサイドエッチが生じ易くなり、細線が形成しにくくなる等の問題を生じる場合がある。このため、導電層の厚さは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
また、特に透明導電性基板の抵抗値を低くし、十分に電流を供給できるようにする観点から、例えば導電層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
なお、導電層が上述のように導電薄膜層と、導電めっき層とを有する場合には、導電薄膜層の厚さと、導電めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
導電層が導電薄膜層により構成される場合、または導電薄膜層と導電めっき層とにより構成される場合のいずれの場合でも、導電薄膜層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば50nm以上500nm以下とすることが好ましい。
導電層は所望の配線パターンに対応した形状にパターン化することにより配線である導電配線層とすることができる。導電配線層のパターン形状は特に限定されるものではなく、透明導電性基板に要求される配線パターンに対応した形状とすることができる。
導電配線層は例えば上述の様に導電層をパターン化することで形成することができる。このため、導電層が導電薄膜層から構成されている場合には、導電配線層はパターン化した導電薄膜層を有することができる。また、導電層が導電薄膜層と、導電めっき層とを有する場合には、導電配線層は、パターン化した導電薄膜層と、パターン化した導電めっき層とを有することもできる。
導電層は、透明導電性基板の導電層の材料として従来用いられていたITOよりも電気抵抗値を低くすることができるから、導電層をパターン化した配線を設けることにより透明導電性基板の電気抵抗値を小さくできる。
次に第1黒化層について説明する。
透明基材上に導電層や、導電配線層を直接形成した場合に、透明基材と、導電層や導電配線層との密着性は十分ではない場合がある。このため、透明基材の上面に直接導電層や導電配線層を配置した場合、製造過程、または、使用時に透明基材から導電層や導電配線層が剥離する場合がある。また、透明基材側から入射した光による導電層や導電配線層表面での光の反射を抑制することが求められる場合がある。
そこで、本実施形態の透明導電性基板の製造方法で用いる積層体基板は、透明基材と導電層との密着性を高め、透明基材側から入射した光による導電層表面での反射を抑制するため、導電層と透明基材との間に第1黒化層を有することができる。
第1黒化層は、ニッケルおよび銅を含有することができ、その他の成分は特に限定されないが、既述のように導電層表面での光の反射を抑制するため、係る光の反射を抑制するのに適した色を有していることが好ましい。このため、第1黒化層はニッケルと、銅と、ニッケルの酸化物とを含有することが好ましい。また、第1黒化層は、さらに銅の酸化物を含有することもできる。ニッケルの酸化物と、銅の酸化物とは、例えばニッケルと銅とを含む金属の酸化物のように複合金属の酸化物として存在していても良い。
第1黒化層は、例えば上述のニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物から構成することもできる。また、第1黒化層はさらに任意の成分を含有することもできる。任意の成分として、例えばニッケル、および銅から選択された1種類以上の金属の水酸化物等を含有することもできる。
第1黒化層の成膜方法は特に限定されるものではないが、乾式めっき法により成膜することが好ましい。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。第1黒化層を乾式法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、第1黒化層は上述のように、ニッケルの酸化物等の酸化物も含むことができる。このため、第1黒化層を成膜する際の雰囲気中に酸素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
第1黒化層を成膜する際の雰囲気中に酸素を添加しておくことにより、第1黒化層中に酸素を添加し、酸化物を生成することができる。
第1黒化層を成膜する際、酸素は例えば不活性ガスに添加し、乾式めっきの際の雰囲気ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
第1黒化層を上述のように乾式めっき法により成膜することにより、透明基材と第1黒化層との密着性を高めることができる。そして、第1黒化層は例えば金属を主成分として含むことができるため導電層との密着性も高い。このため、透明基材と導電層との間に第1黒化層を配置することにより、導電層や、該導電層から形成した導電配線層の剥離を抑制することができる。
第1黒化層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば3nm以上50nm以下とすることが好ましく、3nm以上35nm以下とすることがより好ましく、3nm以上33nm以下とすることがさらに好ましい。
第1黒化層の厚さを3nm以上とすることで、導電層の表面での光の反射を特に抑制できるため好ましい。
ただし、第1黒化層を必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、第1黒化層をパターン化する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、第1黒化層の厚さは上述のように50nm以下とすることが好ましく、35nm以下とすることがより好ましく、33nm以下とすることがさらに好ましい。
次に、第2黒化層について説明する。
本実施形態の透明導電性基板の製造方法に供する積層体基板が有する積層体は導電層の第1黒化層と対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化層を有することもできる。
第2黒化層を有することで、導電層の第1黒化層を配置していない面での光の反射を抑制することができ、好ましい。
第2黒化層は、ニッケルおよび銅を含有することができ、その他の成分は特に限定されないが、既述のように導電層表面での光の反射を抑制するため、係る光の反射を抑制するのに適した色を有していることが好ましい。このため、第2黒化層はニッケルと、銅と、ニッケルの酸化物とを含有することが好ましい。また、第2黒化層は、さらに銅の酸化物を含有することもできる。ニッケルの酸化物と、銅の酸化物とは、例えばニッケルと銅とを含む金属の酸化物のように複合金属の酸化物として存在していても良い。
第2黒化層は、例えば上述のニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物から構成することもできる。また、第2黒化層はさらに任意の成分を含有することもできる。任意の成分として、例えばニッケル、および銅から選択された1種類以上の金属の水酸化物等を含有することもできる。
第1黒化層と、第2黒化層とは、同じ組成であってもよいが、組成が異なっていても良い。既に説明したように、第1黒化層と、第2黒化層とは、共にニッケルと、銅とを含有することができる。また、第1黒化層と、第2黒化層とは、さらにニッケルの酸化物や、銅の酸化物、ニッケル、および銅から選択された1種類以上の水酸化物等を含有することもできる。このため、第1黒化層と、第2黒化層とは、同じ成分を含有し、その含有割合が同一、または異なっていて良い。また、第1黒化層と、第2黒化層とは、含有する成分が異なっていても良い。
第2黒化層の成膜方法は特に限定されるものではないが、ニッケルと銅とを含有するように形成できる方法であれば任意の方法を選択することができる。ただし、第2黒化層は、導電層等の他の部材の上面に接着剤を介さずに直接形成することが好ましい。
第2黒化層の成膜方法としては、例えば湿式めっき法や、乾式めっき法を用いることができる。湿式めっき法の場合であれば、例えば電気めっき法を用いることができ、乾式めっき法の場合であれば、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を用いることができる。乾式めっき法を用いる場合、特に膜厚の制御が容易であることからスパッタリング法を用いることが好ましい。
なお、第2黒化層は上述のように、ニッケルの酸化物等の酸化物も含むことができる。このため、第2黒化層を乾式めっき法により成膜する場合、成膜する際の雰囲気中に酸素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
第2黒化層を乾式めっき法により成膜する際の雰囲気中に酸素を添加しておくことにより、第2黒化層中に酸素を添加し、酸化物を生成することができる。
第2黒化層を成膜する際、酸素は例えば不活性ガスに添加し、乾式めっきの際の雰囲気ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
第2黒化層の厚さは特に限定されるものではなく、透明導電性基板に要求される光の反射の抑制する程度等に応じて任意に選択することができる。
第2黒化層の厚さは例えば15nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。第2黒化層の厚さを15nm以上とすることにより、導電層の表面での光の反射をより確実に抑制できるため好ましい。
また、第2黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くすると、パターン化工程でのエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、第2黒化層の厚さは70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
ここで、積層体基板の構成について、図1A、図1Bを用いて説明する。図1A、図1Bは、透明基材と、積層体との積層方向と平行な面での断面図を模式的に示している。
図1Aに示したように積層体基板10Aは、透明基材11と、透明基材11の一方の面11a上に配置された積層体121とを有することができる。積層体121は、第1黒化層121Aと、導電層121Bとを透明基材11側から順に有することができる。
また、図1Bに示したように、積層体基板10Bは、透明基材11と、透明基材11の一方の面11a上に配置された積層体122とを有することができる。図1Bに示した積層体基板10Bの場合、積層体122は、第1黒化層122Aと、導電層122Bと、第2黒化層122Cとを透明基材11側から順に積層した構造を有することができる。
なお、図1A、図1Bでは積層体基板として、透明基材11の一方の面11aにのみ積層体を配置した例を示したが、係る形態に限定されず、透明基材11の他方の面11bにも積層体を配置した積層体基板とすることもできる。透明基材11の他方の面11bに積層体を配置する場合、透明基材11を挟んで上下に配置した積層体が対称に構成されていても良く、異なる構成となるように構成されていても良い。例えば図1Aに示した積層体基板10Aにおいて、他方の面11bに、図1Bで示した積層体122と同様に、第1黒化層122A、導電層122B、第2黒化層122Cを透明基材11側から順に積層した構造の積層体を配置することもできる。
次に、本実施形態の透明導電性基板の製造方法の各工程、ステップの構成例について図を用いながら説明する。なお、添付した図面において、同じ部材には同じ番号をつけ、説明を一部省略する。
本実施形態の透明導電性基板の製造方法は、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に配置された積層体とを含む積層体基板の、積層体をパターン化するパターン化工程を有することができる。
図2A〜図2Dに、図1Aに示した積層体基板10Aを用いてパターン化工程を実施した例を示す。図2A〜図2Dは、積層体基板10Aの透明基材11と、積層体121との積層方向と平行な面での断面図を模式的に示している。
本実施形態の透明導電性基板の製造方法のパターン化工程を実施する場合、予め積層体基板10Aの積層体121の表面のうち、透明基材11と対向する面121aとは反対側の面121b上にレジストパターン21を配置しておくことができる。レジストパターン21は、積層体121のパターン化工程において除去する部分に対応した形状の開口部21Aを有することができる。
そして、パターン化工程は、銅を溶解することができる第1エッチング液により導電層をエッチングする導電層エッチングステップを有することができる。
導電層エッチングステップを実施することで、図2Bに示すように積層体121の導電層121Bをパターン化し、配線である導電配線層22とすることができる。この際、第1黒化層121Aについてはほとんどエッチングされないため、図2Bに示すように導電層エッチングステップを実施する前と同様の形状を保つことができる。
第1エッチング液としては銅を溶解することができるエッチング液であれば良く特に限定されないが、例えば硫酸、過酸化水素水、塩酸、塩化第二銅、及び塩化第二鉄から選択された1種類を含む水溶液、または上記硫酸等から選択された2種類以上を含む混合水溶液をより好ましく用いることができる。エッチング液中の各成分の含有量は、特に限定されるものではない。ただし、導電層を選択的にエッチングできるように第1エッチング液中の各成分の濃度を調整することが好ましい。
エッチング液は室温で用いることもできるが、反応性を高めるため加温して用いることもできる、例えば30℃以上50℃以下に加熱して用いることができる。
次に、第1黒化層を、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液によりエッチングする第1黒化層エッチングステップを実施することができる。
第1黒化層エッチングステップを実施することで、図2Cに示すように導電層エッチングステップ後にパターン化されずに残っていた、積層体121の第1黒化層121Aをパターン化し、パターン化した第1黒化層である第1黒化配線層23とすることができる。
また、第1黒化層エッチングステップでは、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液を用いることで、ニッケルおよび銅を含む第1黒化層を残渣の発生を抑制しつつ所望の形状にパターン化でき、導電配線層22のサイドエッチの発生を抑制できる。
第2エッチング液としては、上述のように塩化物イオンと水とを含んでいればよく、各成分の濃度や、その他の成分等については特に限定されない。ただし、第1黒化層に対する反応性を十分に高めるため、第2エッチング液の塩化物イオンの濃度は、塩酸換算で10質量%以上であることが好ましい。なお、塩酸換算の塩化物イオンの濃度とは第2エッチング液に含まれる塩化物イオンが全て塩酸(HCl)の状態で含まれていると仮定して算出した濃度であることを意味する。
また、第2エッチング液は、塩酸と水とを含有することが好ましい。第2エッチング液が塩酸と水とを含有する場合、塩酸の濃度は特に限定されないが10質量%以上37質量%以下であることが好ましい。
これは、塩酸の濃度を10質量%以上とすることで、第1黒化層との反応性を十分に高めることができるからである。そして、一般的に入手できる塩酸は濃度が37質量%以下程度であり、コスト等の観点から37質量%以下であることが好ましいからである。
また、第2エッチング液は、例えば塩化鉄、および塩化銅から選択された1種類以上を含有することもできる。
ただし、第2エッチング液内の鉄イオン濃度や、銅イオン濃度が高くなりすぎると導電層や、導電層をパターン化した導電配線層を侵食する恐れがある。このため、第2エッチング液内の鉄イオン濃度は、0.2質量%以下であることが好ましい。また、第2エッチング液内の銅イオン濃度は、0.4質量%以下であることが好ましい。なお、第2エッチング液は鉄イオンや、銅イオンを含有しない構成とすることもできるため、鉄イオン濃度は0以上とすることができる。また、銅イオン濃度についても0以上とすることができる。
以上のことから、第2エッチング液は、塩酸と水とを含有し、塩酸濃度が10質量%以上37質量%以下であり、鉄イオン濃度が0.2質量%以下とすることができる。
また、第2エッチング液は、例えば塩酸と水とを含有し、塩酸濃度が10質量%以上37質量%以下であり、銅イオン濃度が0.4質量%以下とすることができる。
パターン化工程の後は、図2Dに示すように、レジストパターン21を剥離、除去することで、導電層、および黒化層をパターン化した、導電配線層22およびパターン化した第1黒化層である、第1黒化配線層23とを有する透明導電性基板を得ることができる。
レジストパターン21の剥離、除去方法は用いるレジストの種類に応じて任意の方法を用いることができるが、例えば水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、レジストパターンを膨潤、剥離させて除去することができる。
パターン化工程の導電層エッチングステップと、第1黒化層エッチングステップとの間や、第1黒化層エッチングステップの後等では、例えばパターン化処理を行っている積層体基板の水洗等行うこともできる。このようにパターン化工程の各ステップの後で水洗を行うことで、後工程に積層体基板に付着したエッチング液を持ち込まないように構成できる。レジストパターンを剥離した後も、必要に応じて水洗、乾燥等を行うことができる。後述するパターン化工程の他の構成例の場合でも同様に、各ステップ間や、ステップ後において、パターン化処理を行っている積層体基板の水洗等を行うことができる。
また、本実施形態の透明導電性基板の製造方法に供する積層体基板は、既述のように第2黒化層を有することもできる。係る場合の本実施形態の透明導電性基板の製造方法の一の構成例について図3A〜図3Eを用いて以下に説明する。
図1Bを用いて説明したように、積層体基板10Bの積層体122は、導電層122Bの第1黒化層122Aと対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化層122Cを有することができる。
この場合についても、図3Aに示すように、予め積層体基板10Bの積層体122の表面のうち、透明基材11と対向する面122aとは反対側の面122b上にレジストパターン31を配置しておくことができる。レジストパターン31は、積層体122のパターン化工程において除去する部分に対応した形状の開口部31Aを有することができる。
そして、パターン化工程では、図3Bに示すように、導電層エッチングステップの前に、第2黒化層122Cを第2エッチング液によりエッチングする第2黒化層エッチングステップをさらに有することができる。
第2エッチング液については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
第2黒化層エッチングステップを実施することで、図3Bに示すように、積層体122の第2黒化層122Cをパターン化し、パターン化した第2黒化層である第2黒化配線層32とすることができる。導電層122Bについては第2エッチング液ではほとんどエッチングされないため、図3Bに示すように、第2黒化層エッチングステップ前とほぼ同様の形状を維持することができる。
その後は既述の構成例の場合と同様にして、銅を溶解することができる第1エッチング液により導電層122Bをエッチングする導電層エッチングステップを実施できる。これにより、図3Cに示すように導電層122Bをパターン化し、導電配線層33とすることができる。
次に、第1黒化層122Aを、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液によりエッチングする第1黒化層エッチングステップを実施することができる。これにより、図3Dに示すように、パターン化した第1黒化層である第1黒化配線層34を形成することができる。
導電層エッチングステップ、および第1黒化層エッチングステップは、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
パターン化工程の後は、図3Eに示すように、レジストパターン31を剥離、除去することで、第2黒化層122C、導電層122B、および第1黒化層122Aをパターン化した、第2黒化配線層32、導電配線層33、および第1黒化配線層34とを有する透明導電性基板を得ることができる。
本実施形態の透明導電性基板の製造方法に供する積層体基板の積層体が、導電層の第1黒化層と対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化層を有する場合における、本実施形態の透明導電性基板の製造方法の他の構成例について図4A〜図4Dを用いて以下に説明する。
この場合についても、図4Aに示すように予め積層体基板10Bの積層体122の表面のうち、透明基材11と対向する面122aとは反対側の面122b上にレジストパターン41を配置しておくことができる。レジストパターン41は、積層体122のパターン化工程において除去する部分に対応した形状の開口部41Aを有することができる。
そして、パターン化工程の導電層エッチングステップでは、図4Bに示すように、導電層122B、および第2黒化層122Cを、第1エッチング液によりエッチングすることができる。
第1エッチング液は既述のように導電層122Bをエッチングすることができ、第2黒化層122Cとの反応性は低い。しかしながら、第2黒化層122Cは、導電層122B上に配置されているため、導電層122Bをエッチングすることで、第2黒化層122Cも同様にエッチングできる。
このため、導電層エッチングステップを実施することで、第2黒化配線層42と、導電配線層43とを形成することができる。
第1エッチング液については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
その後は既述の構成例の場合と同様にして、第1黒化層122Aを、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液によりエッチングする第1黒化層エッチングステップを実施することができる。これにより、図4Cに示すように、第1黒化配線層44を形成することができる。
第1黒化層エッチングステップは、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
パターン化工程の後は、図4Dに示すように、レジストパターン41を剥離、除去することで、第2黒化層122C、導電層122B、および第1黒化層122Aをパターン化した、第2黒化配線層42、導電配線層43、および第1黒化配線層44とを有する透明導電性基板を得ることができる。
なお、ここまで透明基材11の一方の面上にのみ積層体を配置した積層体基板を用いてパターン化工程を行った例を示したが、係る形態に限定されない。例えば透明基材の一方の面、及び一方の面と反対側に位置する他方の面上に積層体を配置した積層体基板を用いてパターン化工程を行うこともできる。一方の面上に配置した積層体と、他方の面上に配置した積層体とは同時にパターン化工程を実施することもできるが、それぞれパターン化工程を実施することもできる。
本実施形態の透明導電性基板のパターン化工程で形成するパターンについては特に限定されるものではなく、用途等に応じて任意に選択することができる。例えばタッチパネルの用途に用いる場合、メッシュ状(格子状)の配線を有する透明導電性基板が要求される場合がある。このため、例えば導電層については格子状の導電配線層となるようにパターン化することができる。また、第1黒化層、第2黒化層は、導電層の表面での光の反射を抑制するために設けられることから、これらの層についても、透明基材の積層体を配置した面と平行な面での断面形状が導電配線層と同じ形状になるようにパターン化を行うことが好ましい。
メッシュ状の配線を有する透明導電性基板の構成例について説明する。1枚の透明導電性基板によりメッシュ状の配線を有する透明導電性基板とすることもできるが、2枚の透明導電性基板を組み合わせてメッシュ状の配線を有する透明導電性基板とすることもできる。
図5にメッシュ状の配線を有する透明導電性基板の上面図を、図6A、図6Bに図5のA−A´線での断面図の構成例をそれぞれ示す。なお、上面図とは、透明基材11の積層体を配置した面と垂直な方向上方から見た図を示している。また、図5では第1黒化配線層、第2黒化配線層の記載を省略しているが、第1黒化配線層、第2黒化配線層は、透明基材11の導電配線層51A等を配置した面と平行な面における断面形状が隣接する導電配線層51A、51Bと同じ形状を有することができる。
図5に示した透明導電性基板50は、Y軸方向と平行な線状の導電配線層51Aと、X軸方向と平行な線状の導電配線層51Bとにより、格子状の配線が形成されている。
そして、図6Aに示すように、透明基材11の一方の面11a上に、導電配線層51Aが、他方の面11b上に導電配線層51Bがそれぞれ配置された構成とすることができる。この場合、図6Aに示したように導電配線層51A、51Bの透明基材11側には第1黒化配線層52A、52Bを配置することができる。また、導電配線層51A、51Bの透明基材11側とは反対側の面上には、第2黒化配線層53A、53Bを配置した構成とすることもできる。なお、第2黒化配線層53A、53Bを有しない構造であっても良い。
図5、図6Aに示した構造の透明導電性基板は、例えば以下の手順により製造することができる。まず、透明基材の一方の面上に積層体を配置した2枚の積層体基板について、既述のパターン化工程により、積層体を互いに平行な複数の直線状のパターンとなるようにパターン化する。そして、2枚の透明導電性基板の複数の直線状の配線がメッシュ状となるように方向をあわせて透明基材の積層体を配置していない他方の面同士を貼り合せることで製造することができる。この場合、図6Aの透明基材11は2枚の透明基材を貼り合せた構成となる。
また、図5、図6Aに示した構造の透明導電性基板は、以下の手順により製造することもできる。まず透明基材の一方の面上、及び一方の面と反対側の他方の面上にそれぞれ積層体を配置した1枚の積層体基板を用意する。そして、該積層体の配線である導電配線層が図5、図6Aと同様の構成となるようにパターン化工程で透明基材の両面に配置した積層体をパターン化する。
また、図5、図6Bに示すように、導電配線層51Aは透明基材11A上に、導電配線層51Bは透明基材11Aと、透明基材11Bとの間に配置される構成とすることもできる。この場合も導電配線層51A、51Bの透明基材11A、11B側には第1黒化配線層52A、52Bを配置することができる。また、導電配線層51A、51Bの透明基材11A、11B側とは反対側の面上には、第2黒化配線層53A、53Bを配置した構成とすることもできる。なお、この場合も第2黒化配線層53A、53Bを有しない構造であっても良い。
図5、図6Bに示した構造の透明導電性基板は、例えば以下の手順により製造することができる。まず、透明基材の一方の面上に積層体を配置した2枚の積層体基板について、既述のパターン化工程により、積層体を互いに平行な複数の直線状のパターンとなるようにパターン化する。そして、2枚の透明導電性基板の複数の直線状の配線がメッシュ状となるように方向をあわせて、一方の透明導電性基板の透明基材の積層体を配置していない他方の面と、他方の透明導電性基板のパターン化した積層体の露出している面とを貼り合せることで製造することができる。
なお、図5、図6A、図6Bにおいては、直線形状の配線、すなわち導電配線層を組み合わせてメッシュ状の配線(配線パターン)を形成した例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、配線パターンを構成する配線は任意の形状とすることができる。例えばディスプレイの画像との間でモアレ(干渉縞)が発生しないようメッシュ状の配線パターンを構成する導電配線層の形状をそれぞれ、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)等の各種形状にすることもできる。
本実施形態の透明導電性基板の製造方法は、上述のパターン化工程以外にも任意の工程を有することもできる。
例えば、パターン化工程の前に、積層体の、透明基材と対向する面とは反対側の面である露出面上にレジストを配置するレジスト配置工程をさらに有することもできる。
レジスト配置工程は、さらに以下のステップを有することができる。
露出面上に感光性レジスト層を形成する感光性レジスト層形成ステップ。
感光性レジスト層に対して、形成するレジストパターンに応じて紫外線を露光し、未露光部を現像することでレジストパターンを形成するレジストパターン形成ステップ。
レジスト配置工程では、図2Aや、図3A、図4Aで示したレジストパターン21、31、41を形成することができる。
図2Aを用いて説明すると、まず、積層体121の透明基材11と対向する面121aとは反対側の面121b上に、感光性レジスト層を形成することができる。感光性レジスト層を形成する方法は、用いるレジストのタイプにもよるが、積層体121のレジストを配置する面121b上に塗布する方法や、ラミネート法等により貼付する方法などが挙げられる。
そして、マスク等を用いて、形成するレジストパターンに応じて紫外線を露光し、例えば未露光部分を現像、除去することでレジストパターンを形成することができる。
感光性レジスト層を現像する方法は特に限定されないが、現像液、例えば炭酸ナトリウム水溶液等に浸漬する方法が挙げられる。
また、本実施形態の透明導電性基板の製造方法は、例えば積層体基板製造工程を有することもできる。
積層体基板製造工程は、例えばさらに以下の工程を有することができる。
透明基材の少なくとも一方の面上に第1黒化層を形成する第1黒化層形成ステップ。
第1黒化層上に導電層を形成する導電層形成ステップ。
また、必要に応じてさらに、導電層上に第2黒化層を形成する第2黒化層形成ステップを有することもできる。
第1黒化層、導電層、第2黒化層の具体的な形成方法の例については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
また、パターン化工程後の複数枚の透明導電性基板について、既述のように例えばメッシュ状の配線となるように貼り合せる貼り合せ工程を有することもできる。
以上に説明した本実施形態の透明導電性基板の製造方法によれば、透明基材に接している第1黒化層と、導電層とを、異なるエッチング液によりエッチングすることで、透明基材上に第1黒化層の残渣が生じることを抑制できる。また、導電層のサイドエッチが大きくなることを抑制できる。
このため、本実施形態の透明導電性基板の製造方法によれば、黒化層を所望の形状にパターン化することができる。
[透明導電性基板]
次に、本実施形態の透明導電性基板の一構成例について説明する。
なお、本実施形態の透明導電性基板は、例えば既述の透明導電性基板の製造方法により製造することができる。このため、既に説明した事項については、一部説明を省略する。
また、以下に説明する第1黒化配線層、導電配線層、及び第2黒化配線層は、既述のようにそれぞれ第1黒化層、導電層、第2黒化層をパターン化することで形成できる。このため、第1黒化配線層、導電配線層、第2黒化配線層は、パターン化している点以外は、それぞれ透明導電性基板の製造方法で既述の第1黒化層、導電層、第2黒化層と同様の構成を有することができる。
本実施形態の透明導電性基板は、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に配置された金属細線と、を有することができる。
そして、金属細線は、ニッケルおよび銅を含む第1黒化配線層と、銅を含む導電配線層とを透明基材の側からその順に積層した積層体とすることができる。
さらに、透明基材の一方の面と垂直な方向から見た場合に、導電配線層からはみ出している第1黒化配線層のはみ出し幅を0.5μm以下とすることができる。
ここでまず、本実施形態の透明導電性基板について図7A、図7Bを用いて説明する。図7Aは、本実施形態の透明導電性基板の透明基材、及び金属細線の積層方向と平行な面での断面図を模式的に示している。
図7Aに示すように、本実施形態の透明導電性基板70は、透明基材11の少なくとも一方の面11a上に、第1黒化配線層712、及び導電配線層711を有する金属細線71を配置した構造を有することができる。
ここで、図7Aに示した透明導電性基板70を、透明基材11の一方の面11aと垂直な方向から見た場合、すなわち、透明導電性基板を図中のブロック矢印Aに沿って見た場合の、点線で囲った領域Bの拡大図を図7Bに示す。
透明導電性基板の製造方法で既述のように、第1黒化層等をパターン化することで、透明基材11上にパターン化された第1黒化配線層712、及び導電配線層711を積層した金属細線71とすることができる。しかし、第1黒化層等をパターン化する過程で、第1黒化層が一部溶け残り、導電配線層711よりも第1黒化配線層712がはみ出す場合がある。そして、本実施形態の透明導電性基板においては、係る第1黒化配線層712のはみ出し幅Lを0.5μm以下とすることが好ましい。
第1黒化配線層712のはみ出し幅Lは0とすることが好ましいことから、第1黒化配線層712のはみ出し幅Lは0以上とすることができる。
第1黒化配線層712のはみ出し幅Lを上記範囲とする方法は特に限定されないが、例えば既述の透明導電性基板の製造方法を用いることで上記範囲とすることができる。
図7A、図7Bでは、金属細線が第1黒化配線層712、及び導電配線層711とから構成されている例を示しているが、係る形態に限定されない。例えば、金属細線は、導電配線層711の第1黒化配線層712と対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化配線層を有することもできる。
また、図7Aでは、透明基材11の一方の面11a上にのみ金属細線を配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。図6A等を用いて説明したように、透明基材11の他方の面11b上にも金属細線を配置することもできる。この場合、透明基材11の一方の面11a上に配置した金属細線と、他方の面11b上に配置した金属細線とは、含まれる層の構成が異なっていても良い。例えば、一方の面11a上に、第1黒化配線層と、導電配線層とを有する金属細線を、他方の面11b上に、第1黒化配線層と、導電配線層と、第2黒化配線層とを有する金属細線を配置することもできる。ただし、いずれの金属細線においても、含有する第1黒化配線層のはみ出し幅は既述の範囲を充足することが好ましい。
なお、他方の面に金属細線を配置した場合、該他方の面側の金属細線における導電配線層からはみ出している第1黒化配線層のはみ出し幅は、該はみ出しを確認できるように、透明基材の他方の面側から見て、測定することができる。透明基材は通常、一方の面と他方の面とが平行になっていることから、他方の面側の第1黒化配線層のはみ出し幅を測定する場合、透明基材の一方の面と垂直な方向から見るとは、透明基材の他方の面と垂直な方向から見ると言い換えることもできる。また、このように透明基材の一方の面と、他方の面とに金属細線が配置されている場合は、第1黒化配線層のはみ出し幅は、該第1黒化層と同じ側に位置する導電配線層、すなわち隣接する導電配線層からのはみ出し幅を意味することになる。
さらに、例えば図5、図6A、図6Bを用いて説明したように、複数の導電配線層を組み合わせてメッシュ状の配線を有する透明導電性基板とすることもできる。
なお、第1黒化配線層については、透明基材の金属細線を設けた面と平行な面での断面形状が導電配線層と同じ形状であることが好ましい。このため、導電配線層を組み合わせてメッシュ状の配線を有する導電性基板とする場合、透明導電性基板に含まれる第1黒化配線層についても組み合わせることでメッシュ状になることが好ましい。第2黒化配線層を透明基材の両方の面上に設ける場合、第2黒化配線層についても同様のことがいえる。
本実施形態の透明導電性基板においては、導電配線層の表面に、第1黒化配線層を設けることで、透明基材と導電配線層との密着性を高め、導電配線層の、第1黒化配線層側の面での反射を抑制できる。第1黒化配線層の表面での光の反射の程度は特に限定されないが、例えば第1黒化配線層の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均が15%以下であることが好ましい。
なお、第1黒化配線層の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均は、透明基材についての光の反射率の平均に近いことが好ましい。このため、第1黒化配線層の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均の下限値は、用いる透明基材等に応じて選択でき、特に限定されない。例えば透明基材としてポリエチレンテレフタレート樹脂等を用いた場合、その波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均は6%程度となる。そして、第1黒化配線層の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均が0であっても、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂等の透明基材との上記光の反射率の平均の差は6%程度と小さくすることができる。このため、第1黒化配線層の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均は、例えば0以上とすることができる。
第1黒化配線層の光の反射率の測定は、透明導電性基板の第1黒化配線層に光を照射するようにして測定を行うことができる。具体的には例えば図7Aに示した透明導電性基板70のように透明基材11の一方の面11a上に第1黒化配線層712、導電配線層711の順に積層した場合、第1黒化配線層712に光を照射するように、透明基材11を介して第1黒化配線層712の表面712aに対して光を照射し、測定できる。測定に当たっては波長400nm以上700nm以下の光を例えば波長1nm間隔で上述のように透明導電性基板の第1黒化配線層712の表面712aに対して照射し、測定した値の平均値を第1黒化配線の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均とすることができる。
なお、第1黒化配線層は、既述のように第1黒化層をパターン化したものである。このため、第1黒化層について予め波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均を測定、算出しておき、その値を第1黒化配線層の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均とすることもできる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
実験例1−1〜実験例1−30として、透明導電性基板の製造を行った。実験例1−4〜実験例1−18が実施例、実験例1−1〜実験例1−3、実験例1−19〜実験例1−30が比較例になる。
まず、パターン化工程に供する、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムである透明基材の一方の面上に、第1黒化層、導電層、第2黒化層がその順に積層された積層体基板を用意した。なお、透明基材について、全光線透過率をJIS K 7361−1に規定された方法により評価を行ったところ93%であった。以下の他の実験例でも同じ透明基材を用いている。
第1黒化層は、厚さが0.03μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
導電層としては、厚さが0.5μmの銅層を用いた。導電層はスパッタリング法で形成した導電薄膜層(銅薄膜層)と、電気めっき法により形成した導電めっき層(銅めっき層)とを含む。以下、他の実験例でも同様に構成している。
第2黒化層は、厚さが0.05μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
第1黒化層、第2黒化層は、いずれもアルゴンガスに酸素を添加した雰囲気を用い、反応性スパッタリング法により成膜した。以下の他の実験例でも同様にして成膜している。
第1黒化層、第2黒化層は、同じ積層体基板においては同じ組成を有しており、第1黒化層表面での反射率が12%〜16%の間で異なる3種類の積層体基板を用意した。
なお、第1黒化層表面での光の反射率の測定は、紫外可視分光光度計(株式会社 島津製作所製 型式:UV−2550)に反射率測定ユニットを設置して行った。
作製した積層体基板の透明基材を介して、第1黒化層表面に対して、入射角5°、受光角5°として、波長400nm以上700nm以下の光を波長1nm間隔で照射して正反射率を測定し、その平均値を反射率とした。以下の他の実験例においても反射率は同様にして測定している。以下、第1黒化層表面での波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均を、単に第1黒化層表面での反射率とも記載する。また、表中では単に反射率と記載する場合もある。
また、第1黒化層表面での光の反射率が12%〜16%の場合における第1黒化層と、第2黒化層に含まれるニッケル成分のうちの、金属ニッケルと、酸化ニッケルもしくは水酸化ニッケルとの含有割合を表1に示す。表1に示した反射率が12%、16%の値は、反射率が14%の場合のXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)の分析結果を基に、第1黒化層、第2黒化層の成膜時の酸素供給量を考慮して算出した値となる。
表1中、例えば反射率が12%の場合、第1黒化層、および第2黒化層は、ニッケル成分のうち50.5質量%が金属ニッケルとして存在し、49.5質量%が酸化ニッケル、場合によってはさらに水酸化ニッケルとして存在していることを意味する。

用意した積層体基板を任意のサイズにカットした後、レジスト配置工程を実施した。具体的には、第2黒化層の表面に感光性レジスト(旭化成株式会社製、品名:AQ―1F59)をラミネート法により貼付して感光性レジスト層を形成した(感光性レジスト層形成ステップ)。そして、感光性レジスト層に紫外線を露光し、未露光部を現像することで、網目パターンのレジストパターンを形成した(レジストパターン形成ステップ)。なお、レジストパターンは、隣り合う線の間隔が0.1mmであり、線幅(レジスト幅)を13μmとした。
第2黒化層の表面にレジストパターンを形成した積層体基板について、以下のパターン化工程を実施した。なお、各ステップ間では積層体基板を水洗した。
第1エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩化第二鉄溶液を用意した。そして、用意した積層体基板を第1エッチング液に10秒間浸漬し、導電層、および第2黒化層のエッチングを行った(導電層エッチングステップ)。
次に、第2エッチング液として、各実験例について表2に示す、濃度が5質量%〜37質量%の塩酸水溶液、濃度が10質量%、35質量%の硝酸水溶液、または濃度が10質量%、30質量%の硫酸水溶液を用意した。なお、第2エッチング液は室温(25℃)で用いた。第2エッチング液は、いずれも銅イオン濃度、鉄イオン濃度は0となっている。
そして、導電層エッチングステップを終了した後の積層体基板を各実験例の第2エッチング液に浸漬し、第1黒化層が溶解してフィルム上に残渣が残らず目視にて透明に見えるまでの時間を測定した。評価結果を表2に示す。

表2に示した結果によると、第2エッチング液として塩化物イオンと、水とを含有し、塩化物イオン濃度が塩酸換算で10質量%以上である塩酸水溶液を用いることで、180秒よりも短い時間で第1黒化層をエッチングできることが確認できた。すなわち、透明基材上に第1黒化層の残渣が生じることを抑制でき、第1黒化層、導電層、第2黒化層を所望の形状にパターン化できることを確認できた。
なお、得られた透明導電性基板をSEM(走査型電子顕微鏡 日本電子株式会社製 型式:JSM―6360LV)により観察したところ、実験例1−4〜実験例1−18のいずれにおいても、第1黒化配線層の導電配線層からのはみ出し幅が0.5μm以下になっていることが確認できた。
一方、第2エッチング液として、塩化物イオンを含まない硝酸や、硫酸の水溶液を用いた場合、180秒を超えても第1黒化層を完全にはエッチングできず、透明基材上に第1黒化層の残渣が生じることを確認できた。
[実験例2]
実験例2−1〜実験例2−6として、透明導電性基板を製造し、第2エッチング液中の銅イオン濃度の影響について検討を行った。実験例2−1〜実験例2−6はいずれも実施例になる。
まず、パターン化工程に供する、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムである透明基材の一方の面上に、第1黒化層、導電層、第2黒化層がその順に積層された積層体基板を用意した。
第1黒化層は、厚さが0.03μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
導電層としては、実験例1の場合と同様に構成した、厚さが0.5μmの銅層を用いた。
第2黒化層は、厚さが0.05μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
第1黒化層、第2黒化層は同じ組成を有しており、第1黒化層表面での反射率が14%の積層体基板を用意した。なお、第1黒化層、第2黒化層は実験例1−5の場合と同じ組成になる。
用意した積層体基板を任意のサイズにカットした後、レジスト配置工程を実施した。具体的には、第2黒化層の表面に感光性レジスト(旭化成株式会社製、品名:AQ―1F59)をラミネート法により貼付して感光性レジスト層を形成した(感光性レジスト層形成ステップ)。そして、感光性レジスト層に紫外線を露光し、未露光部を現像することで、網目パターンのレジストパターンを形成した(レジストパターン形成ステップ)。なお、レジストパターンは、隣り合う線の間隔が0.1mmであり、線幅(レジスト幅)を13μmとした。
第2黒化層の表面にレジストパターンを形成した積層体基板について、以下のパターン化工程を実施した。各ステップ間では積層体基板を水洗した。
第2エッチング液として、塩酸濃度が25質量%、温度が室温(25℃)の塩酸水溶液を用意した。なお、第2エッチング液を調製する際、上記濃度の塩酸に塩化第二銅を添加することで第2エッチング液中の銅イオン濃度を表3に示すように各実験例について調整した。本実験例で用いた第2エッチング液の鉄イオン濃度はいずれも0になっている。
そして、積層体基板を第2エッチング液に30秒間浸漬することで第2黒化層をエッチングした(第2黒化層エッチングステップ)。
次に、第1エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩化第二鉄溶液を用意した。そして、第2黒化層エッチングステップを終えた積層体基板を第1エッチング液に10秒間浸漬し、導電層のエッチングを行った(導電層エッチングステップ)。
そして、各実験例で第2黒化層をエッチングする際に用いた第2エッチング液を用いて、第1黒化層のエッチングを行った(第1黒化層エッチングステップ)。
その後、濃度が5質量%、温度が40℃の水酸化ナトリウム水溶液に60秒間浸漬し、レジストパターンを膨潤、剥離させて除去した後、水洗、乾燥を行い透明導電性基板を得た。
いずれの実験例でも透明基材上に第1黒化層の残渣は生じなかった。
得られた透明導電性基板について、導電配線層の外観を観察し、導電配線層が浸食されているかを目視にて確認した。評価結果を表3に示す。
表3中、正常に配線が形成された場合はA、配線の一部に細りが見られる場合にはBと評価した。

実験例2−1〜実験例2−6のいずれにおいても第1黒化層、導電層、及び第2黒化層を所望の形状にパターン化できることが確認できた。ただし、表3に示した結果によると、第2エッチング液中の銅イオン濃度が0.5質量%程度において、得られた配線である導電配線層の一部に若干の細りが見れらることを確認できた。以上の結果から、第2エッチング液内の銅イオン濃度は0.5質量%未満であることが好ましく、0.4質量%以下がより好ましいことを確認できた。
なお、得られた透明導電性基板をSEMにより観察したところ、実験例2−1〜実験例2−6のいずれにおいても、第1黒化配線層の導電配線層からのはみ出し幅が0.5μm以下になっていることが確認できた。
[実験例3]
実験例3−1〜実験例3−7として、透明導電性基板を製造し、第2エッチング液中の鉄イオン濃度の影響について検討を行った。実験例3−1〜実験例3−7はいずれも実施例になる。
まず、パターン化工程に供する、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムである透明基材の一方の面上に、第1黒化層、導電層、第2黒化層がその順に積層された積層体基板を用意した。
第1黒化層は、厚さが0.03μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
導電層としては、実験例1の場合と同様に構成した、厚さが0.5μmの銅層を用いた。
第2黒化層は、厚さが0.05μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
第1黒化層、第2黒化層は同じ組成を有しており、第1黒化層表面での反射率が14%の積層体基板を用意した。なお、第1黒化層、第2黒化層は実験例1−5の場合と同じ組成になる。
用意した積層体基板を任意のサイズにカットした後、レジスト配置工程を実施した。具体的には、第2黒化層の表面に感光性レジスト(旭化成株式会社製、品名:AQ―1F59)をラミネート法により貼付して感光性レジスト層を形成した(感光性レジスト層形成ステップ)。そして、感光性レジスト層に紫外線を露光し、未露光部を現像することで、網目パターンのレジストパターンを形成した(レジストパターン形成ステップ)。なお、レジストパターンは、隣り合う線の間隔が0.1mmであり、線幅(レジスト幅)が13μmとした。
第2黒化層の表面にレジストパターンを形成した積層体基板について、以下のパターン化工程を実施した。各ステップ間では積層体基板を水洗した。
第2エッチング液として、塩酸濃度が25質量%、温度が室温(25℃)の塩酸水溶液を用意した。なお、第2エッチング液を調製する際、上記濃度の塩酸に塩化第二鉄を添加することで第2エッチング液中の鉄イオン濃度を表4に示すように各実験例について0〜0.3質量%の範囲で調整した。本実験例で用いた第2エッチング液の銅イオン濃度はいずれも0になっている。
そして、積層体基板を第2エッチング液に30秒間浸漬することで第2黒化層をエッチングした(第2黒化層エッチングステップ)。
次に、第1エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩化第二鉄溶液を用意した。そして、第2黒化層エッチングステップを終えた積層体基板を第1エッチング液に10秒間浸漬し、導電層のエッチングを行った(導電層エッチングステップ)。
そして、各実験例で第2黒化層をエッチングする際に用いた第2エッチング液を用いて、第1黒化層のエッチングを行った(第1黒化層エッチングステップ)。
その後、濃度が5質量%、温度が40℃の水酸化ナトリウム水溶液に60秒間浸漬し、レジストパターンを膨潤、剥離させて除去した後、水洗、乾燥を行い透明導電性基板を得た。
いずれの実験例でも透明基材上に第1黒化層の残渣は生じなかった。
得られた透明導電性基板について、導電配線層の外観を観察し、導電配線層が浸食されているかを目視にて確認した。評価結果を表4に示す。
表4中、正常に配線が形成された場合はA、配線の一部に細りが見られる場合にはBと評価した。

実験例3−1〜実験例3−7のいずれにおいても第1黒化層、導電層、及び第2黒化層を所望の形状にパターン化できることが確認できた。ただし、表4に示した結果によると、第2エッチング液中の鉄イオン濃度が0.30質量%程度において、得られた配線である導電配線層の一部に若干の細りが見れらることを確認できた。以上の結果から、第2エッチング液内の鉄イオン濃度は0.30質量%未満であることが好ましく、0.20質量%以下がより好ましいことを確認できた。
なお、得られた透明導電性基板をSEMにより観察したところ、実験例3−1〜実験例3−7のいずれにおいても、第1黒化配線層の導電配線層からのはみ出し幅が0.5μm以下になっていることが確認できた。
[実験例4]
実験例4−1、実験例4−2として、透明導電性基板を製造した。実験例4−1、実験例4−2は共に実施例となる。
まず、パターン化工程に供する、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムである透明基材の一方の面上に、第1黒化層、導電層、第2黒化層がその順に積層された積層体基板を用意した。
第1黒化層は、厚さが0.03μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
導電層としては、実験例1の場合と同様に構成した、厚さが0.5μmの銅層を用いた。
第2黒化層は、厚さが0.05μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
第1黒化層、第2黒化層は同じ組成を有しており、第1黒化層表面での反射率が14%の積層体基板を用意した。なお、第1黒化層、第2黒化層は実験例1−5の場合と同じ組成になる。
次に、レジスト配置工程を実施した。具体的には、第2黒化層の表面に感光性レジスト(旭化成株式会社製、品名:AQ―1F59)をラミネート法により貼付して感光性レジスト層を形成した(感光性レジスト層形成ステップ)。
そして、所定のパターンのガラスマスクを介して感光性レジスト層に紫外線を露光した。この時使用したガラスマスクは現像後のレジスト幅が13μmで、100μm角の格子状パターンが形成できる物を使用した。
さらに、1質量%、30℃の炭酸ナトリウム水溶液に60秒間浸漬することで未露光部を現像し、レジストパターンを形成した(レジストパターン形成ステップ)。
第2黒化層の表面にレジストパターンを形成した積層体基板について、以下のパターン化工程を実施した。なお、パターン化工程では各ステップ間で積層体基板を水洗した。
第1エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩化第二鉄溶液を用意した。そして、用意した積層体基板を第1エッチング液に10秒間浸漬し、導電層、および第2黒化層のエッチングを行った(導電層エッチングステップ)。
次に、第2エッチング液として、各実験例について表5に示す、濃度が20質量%(実験例4−1)、または30質量%(実験例4−2)の塩酸水溶液を用意した。なお、第2エッチング液は室温(25℃)で用いた。第2エッチング液は、いずれも銅イオン濃度、鉄イオン濃度は0となっている。
そして、導電層エッチングステップを終了した後の積層体基板を各実験例の第2エッチング液に45秒間(実験例4−1)、または20秒間(実験例4−2)浸漬して第1黒化層のエッチングを行った(第1黒化層エッチングステップ)。
次いで、濃度が5質量%、温度が40℃の水酸化ナトリウム水溶液に60秒間浸漬し、レジストパターンを膨潤、剥離させて除去した後、水洗、乾燥を行い透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板について光学顕微鏡を用いて、第1黒化層の残渣の有無を観察した。また、電子顕微鏡を用いて配線形状(導電配線層形状)の観察と配線幅(導電配線層幅)の測定を実施した。
配線幅は任意に選択した4本の配線について配線幅を測定し、その平均値を該透明導電性基板の配線幅とした。
評価結果を表5に示す。また、図8に実験例4−1で得られた格子状の金属細線を含む透明導電性基板の電子顕微鏡写真を示す。

表5に示した結果から、実験例4−1、実験例4−2は、共に第1黒化層の残渣が無く、メッシュ配線の剥がれや欠損のない良好なエッチングを行えることが確認できた。すなわち、黒化層および導電層を所望の形状にパターン化することができることが確認できた。
なお、得られた透明導電性基板をSEMにより観察したところ、実験例4−1、実験例4−2のいずれにおいても、第1黒化配線層の導電配線層からのはみ出し幅が0.5μm以下になっていることが確認できた。
[実験例5]
実験例5−1、実験例5−2として、透明導電性基板を製造した。実験例5−1、実験例5−2は共に実施例となる。
導電層エッチングステップにおいて、第1エッチング液として、濃度が21質量%、温度が35℃の塩化第二銅溶液を用意し、用意した積層体基板を第1エッチング液に45秒間浸漬し、導電層、および第2黒化層のエッチングを行った点。
第1黒化層エッチングステップにおいて、第2エッチング液として、各実験例について表6に示す、塩酸濃度が20質量%(実験例5−1)、または30質量%(実験例5−2)の塩酸水溶液を用意し、浸漬時間を20秒間(実験例5−1)、または10秒間(実験例5−2)とした点。
以上の点以外は実験例4の場合と同様にして透明導電性基板を製造し、評価を行った。結果を表6に示す。
なお、第2エッチング液は室温(25℃)で用いた。第2エッチング液は、いずれも銅イオン濃度、鉄イオン濃度は0となっている。

表6に示した結果から、実験例5−1、実験例5−2は、共に第1黒化層の残渣が無く、メッシュ配線の剥がれや欠損のない良好なエッチングを行えることが確認できた。すなわち、黒化層および導電層を所望の形状にパターン化することができることが確認できた。
なお、得られた透明導電性基板をSEMにより観察したところ、実験例5−1、実験例5−2のいずれにおいても、第1黒化配線層の導電配線層からのはみ出し幅が0.5μm以下になっていることが確認できた。
[実験例6]
透明導電性基板を製造した。実験例6は実施例となる。
まず、実験例4の場合と同様にして、第2黒化層の表面にレジストパターンを形成した積層体基板を用意した。そして係る積層体基板について、以下のパターン化工程を実施した。
第2エッチング液として、濃度が20質量%の塩酸水溶液を用意した。なお、第2エッチング液は室温(25℃)で用いた。第2エッチング液は、銅イオン濃度、鉄イオン濃度は0となっている。そして、用意した積層体基板を第2エッチング液に45秒間浸漬し、第2黒化層のエッチングを行った(第2黒化層エッチングステップ)。なお、第2黒化層エッチングステップの後水洗を行った。
第1エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩化第二鉄溶液を用意した。そして、第2黒化層エッチングステップを実施した積層体基板を第1エッチング液に10秒間浸漬し、導電層のエッチングを行った(導電層エッチングステップ)。なお、導電層エッチングステップの後水洗を行った。
次に、第2エッチング液に導電層エッチングステップを実施した積層体基板を45秒間浸漬し、第1黒化層のエッチングを行った(第1黒化層エッチングステップ)。なお、第1黒化層エッチングステップの後水洗を行った。
次いで、濃度が5質量%、温度が40℃の水酸化ナトリウム水溶液に60秒間浸漬し、レジストパターンを膨潤、剥離させて除去した後、水洗、乾燥を行い透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板について実験例4の場合と同様に評価を行った。
評価結果を表7に示す。

表7に示した結果から、本実験例においても、第1黒化層の残渣が無く、メッシュ配線の剥がれや欠損のない良好なエッチングを行えることが確認できた。すなわち、黒化層および導電層を所望の形状にパターン化することができることが確認できた。
なお、得られた透明導電性基板をSEMにより観察したところ、実験例6においても、第1黒化配線層の導電配線層からのはみ出し幅が0.5μm以下になっていることが確認できた。
[実験例7]
実験例7−1〜実験例7−6として、透明導電性基板の製造を行った。実験例7−1〜実験例7−3が実施例、実験例7−4〜実験例7−6が比較例になる。
まず、第1黒化層と第2黒化層の膜厚、及び第1黒化層表面での反射率が所望の値となるように黒化層の成膜条件を調整した点以外は、実験例1の場合と同様にして、パターン化工程に供する、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムである透明基材の一方の面上に、第1黒化層、導電層、第2黒化層がその順に積層された積層体基板を用意した。
第1黒化層は、厚さが0.02μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
導電層としては、厚さが0.5μmの銅層を用いた。導電層はスパッタリング法で形成した導電薄膜層(銅薄膜層)と、電気めっき法により形成した導電めっき層(銅めっき層)とを含む。
第2黒化層は、厚さが0.02μmであって、ニッケル、銅、ニッケルの酸化物、および銅の酸化物を含有している。
第1黒化層、第2黒化層は、いずれもアルゴンガスに酸素を添加した雰囲気を用い、反応性スパッタリング法により成膜した。
第1黒化層と、第2黒化層とは、同じ積層体基板においては同じ組成を有しており、第1黒化層表面での反射率が10%、14%、20%と異なる3種類の積層体基板を用意した。なお、表8に示すように、実験例7−1、及び実験例7−4では第1黒化層表面での反射率が10%の積層体基板を、実験例7−2、及び実験例7−5では第1黒化層表面での反射率が14%の積層体基板を、実験例7−3、及び実験例7−6では第1黒化層表面での反射率が20%の積層体基板をそれぞれ用いている。
第1黒化層、第2黒化層は、各実験例において、第1黒化層表面での反射率が上記値となるように、予め行っておいた試験に基いて、成膜条件、具体的にはニッケル−銅合金ターゲットに印加する電圧、及び雰囲気を調整して成膜した。
第1黒化層表面での反射率とは、既述のように第1黒化層表面での波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均を意味する。
用意した積層体基板を任意のサイズにカットした後、レジスト配置工程を実施した。具体的には、第2黒化層の表面にドライフィルムレジスト(旭化成株式会社製、品名:ATP−053)をラミネート法により貼付して感光性レジスト層を形成した(感光性レジスト層形成ステップ)。そして、感光性レジスト層に紫外線を露光し、未露光部を現像することで、互いに平行な複数の直線形状を有するレジストパターンを形成した(レジストパターン形成ステップ)。なお、レジストパターンは、隣り合う線の間隔が0.1mmであり、線幅(レジスト幅)を16μmとした。
第2黒化層の表面にレジストパターンを形成した積層体基板について、以下のパターン化工程を実施した。なお、各ステップ間では積層体基板を水洗した。
実験例7−1〜実験例7−3は以下の条件でパターン化工程を実施した。
第1エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩化第二鉄溶液を用意した。そして、用意した積層体基板を第1エッチング液に10秒間浸漬し、導電層、および第2黒化層のエッチングを行った(導電層エッチングステップ)。
次に、第2エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩酸水溶液を用意した。そして、用意した積層体基板を第2エッチング液に20秒間浸漬し、第1黒化層のエッチングを行った(第1黒化層エッチングステップ)。第2エッチング液は、銅イオン濃度、及び鉄イオン濃度は共に0となっている。
実験例7−4〜実験例7−6は以下の条件でパターン化工程を実施した。
第1エッチング液として、濃度が25質量%、温度が30℃の塩化第二鉄溶液を用意した。そして、用意した積層体基板を第1エッチング液に50秒間浸漬し、第1黒化層、導電層、及び第2黒化層のエッチングを行った。
なお、実験例7−4〜実験例7−6では第2エッチング液によるエッチングは行っていない。
各実験例について、上述のパターン化工程を実施した後、濃度が5質量%、温度が40℃の水酸化ナトリウム水溶液に60秒間浸漬し、レジストパターンを膨潤、剥離させて除去した後、水洗、乾燥を行い透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板について、SEMを用いて、導電配線層からの、第1黒化配線層のはみ出し幅Lの最大値を評価した。
評価結果を表8に示す。また、実験例7−1、実験例7−6の導電配線層周辺のSEM画像を図9、図10にそれぞれ示す。

実験例7−1〜実験例7−3においては、第1黒化層の残渣が無く、導電配線層の剥がれや欠損のない良好なエッチングを行えることが確認できた。また、表7に示したように、実験例7−1〜実験例7−3で得られた透明導電性基板では、第1黒化配線層のはみ出し幅Lが0.5μm以下になることを確認できた。例えば図9に示すように、実験例7−1の透明導電性基板のSEM画像においては、ほぼ透明基材91と、第2黒化配線層92とが観察されるのみであり、第2黒化配線層92により覆われた導電配線層からの第1黒化配線層のはみ出しは見られないことが確認できた。
一方、実験例7−4、実験例7−5では、第1黒化層がエッチングされず、全面に残っていることを確認できた。また、実験例7−6では、第1黒化層の平均反射率が高いため、実験例7−4、実験例7−5と比較するとエッチング液に対する反応性が高く、一部除去できることを確認できた。しかしながら、図10に示すように、透明基材101上に配置した第2黒化配線層102により覆われた導電配線層から、第1黒化配線層103がはみ出していることを確認でき、第1黒化配線層のはみ出し幅Lの最大値は0.9μmであることを確認できた。
以上に透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板を、実施形態および実施例等で説明したが、本発明は上記実施形態および実施例等に限定されない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本出願は、2017年5月29日に日本国特許庁に出願された特願2017−105836号、及び2017年7月25日に日本国特許庁に出願された特願2017−143963号に基づく優先権を主張するものであり、特願2017−105836号、及び特願2017−143963号の全内容を本国際出願に援用する。
10A、10B 積層体基板
11、11A、11B、91、101 透明基材
121、122 積層体
121A、122A 第1黒化層
121B、122B 導電層
122C 第2黒化層
71 金属細線
22、33、43、51A、51B、711 導電配線層
23、34、44、52A、52B、712、103 第1黒化配線層
32、42、53A、53B、92、102 第2黒化配線層
70 透明導電性基板
L 第1黒化配線層のはみ出し幅

Claims (10)

  1. 透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置され、ニッケルおよび銅を含む第1黒化層と、銅を含む導電層とを前記透明基材の側からその順に積層した積層体とを含む積層体基板の、前記積層体をパターン化するパターン化工程を有しており、
    前記パターン化工程は、銅を溶解することができる第1エッチング液により前記導電層をエッチングする導電層エッチングステップと、
    前記第1黒化層を、塩化物イオンと水とを含む第2エッチング液によりエッチングする第1黒化層エッチングステップとを有し、前記第2エッチング液の塩化物イオン濃度が塩酸換算で10質量%以上である透明導電性基板の製造方法。
  2. 前記積層体は、前記導電層の前記第1黒化層と対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化層を有し、
    前記導電層エッチングステップでは、前記導電層、および前記第2黒化層を、前記第1エッチング液によりエッチングする請求項1に記載の透明導電性基板の製造方法。
  3. 前記積層体は、前記導電層の前記第1黒化層と対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化層を有し、
    前記パターン化工程は、前記導電層エッチングステップの前に、前記第2黒化層を前記第2エッチング液によりエッチングする第2黒化層エッチングステップをさらに有する請求項1に記載の透明導電性基板の製造方法。
  4. 前記第2エッチング液は塩化鉄、および塩化銅から選択された1種類以上を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
  5. 前記第2エッチング液は塩酸と水とを含有し、
    塩酸の濃度が10質量%以上37質量%以下であり、
    銅イオン濃度が0.4質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
  6. 前記第2エッチング液は塩酸と水とを含有し、
    塩酸の濃度が10質量%以上37質量%以下であり、
    鉄イオン濃度が0.2質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
  7. 前記パターン化工程の前に、
    前記積層体の、前記透明基材と対向する面とは反対側の面である露出面上にレジストを配置するレジスト配置工程をさらに有し、
    前記レジスト配置工程は、
    前記露出面上に感光性レジスト層を形成する感光性レジスト層形成ステップと、
    前記感光性レジスト層に対して、形成するレジストパターンに応じて紫外線を露光し、未露光部を現像することでレジストパターンを形成するレジストパターン形成ステップと、を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
  8. 透明基材と、
    前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置された金属細線と、を有しており、
    前記金属細線は、
    ニッケルおよび銅を含む第1黒化配線層と、
    銅を含む導電配線層とを前記透明基材の側からその順に積層した積層体であり、
    前記透明基材の一方の面と垂直な方向から見た場合に、前記導電配線層からはみ出している前記第1黒化配線層のはみ出し幅が0.5μm以下である透明導電性基板。
  9. 前記金属細線は、前記導電配線層の前記第1黒化配線層と対向する面とは反対側の面上にさらにニッケルおよび銅を含む第2黒化配線層を有する請求項8に記載の透明導電性基板。
  10. 前記第1黒化配線層の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均が15%以下である請求項8または9に記載の透明導電性基板。
JP2019522085A 2017-05-29 2018-05-14 透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板 Pending JPWO2018221183A1 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017105836 2017-05-29
JP2017105836 2017-05-29
JP2017143963 2017-07-25
JP2017143963 2017-07-25
PCT/JP2018/018559 WO2018221183A1 (ja) 2017-05-29 2018-05-14 透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2018221183A1 true JPWO2018221183A1 (ja) 2020-03-26

Family

ID=64455318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019522085A Pending JPWO2018221183A1 (ja) 2017-05-29 2018-05-14 透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JPWO2018221183A1 (ja)
CN (1) CN110709805A (ja)
TW (1) TWI785046B (ja)
WO (1) WO2018221183A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7381562B2 (ja) * 2019-03-26 2023-11-15 富士フイルム株式会社 導電性積層体、タッチパネル、導電性積層体の製造方法
JP2021024261A (ja) * 2019-08-09 2021-02-22 株式会社コイネックス 透明導電構造およびその製造方法
CN113677085B (zh) * 2020-05-13 2023-01-17 鹏鼎控股(深圳)股份有限公司 透明电路板、透明电路板中间体及透明电路板制造方法
CN111834233A (zh) * 2020-06-24 2020-10-27 南昌欧菲显示科技有限公司 线路结构及其制备方法
TWI783440B (zh) * 2021-04-13 2022-11-11 國立勤益科技大學 透明導電基板結構及其製造方法
JP2023173028A (ja) * 2022-05-25 2023-12-07 日東電工株式会社 導電層付フィルムおよびフィルムアンテナ用積層フィルム

Citations (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07307550A (ja) * 1994-05-11 1995-11-21 Toshiba Corp 電子部品の製造方法
JPH11266095A (ja) * 1998-03-17 1999-09-28 Dainippon Printing Co Ltd 電磁波遮蔽板
JP2003183857A (ja) * 2001-12-19 2003-07-03 Hitachi Ltd エッチング液およびそれを用いた回路基板の製法
JP2005210058A (ja) * 2003-12-26 2005-08-04 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd プリント配線基板、その製造方法および回路装置
JP2010010179A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Toppan Printing Co Ltd プラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュおよびその製造方法
WO2012063805A1 (ja) * 2010-11-12 2012-05-18 Jx日鉱日石金属株式会社 フレキシブルラミネート基板への回路形成方法
JP2015007271A (ja) * 2013-06-25 2015-01-15 メック株式会社 配線形成方法、及びこれに用いるエッチング液
JP2015125605A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 大日本印刷株式会社 電極シート、該電極シートを用いたタッチパネル、該タッチパネルを配置した画像表示装置
JP2015138820A (ja) * 2014-01-21 2015-07-30 イビデン株式会社 プリント配線板とその製造方法
JP2015153666A (ja) * 2014-02-17 2015-08-24 住友金属鉱山株式会社 細線パターンの形成方法、及び導電性基板の製造方法
WO2016175130A1 (ja) * 2015-04-28 2016-11-03 住友金属鉱山株式会社 導電性基板
JP2017049723A (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 住友金属鉱山株式会社 積層体基板、導電性基板、積層体基板の製造方法、導電性基板の製造方法
JP2017064939A (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 住友金属鉱山株式会社 積層体基板、導電性基板、積層体基板の製造方法、導電性基板の製造方法
JP2017074749A (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 住友金属鉱山株式会社 積層体基板、積層体基板の製造方法、導電性基板、及び導電性基板の製造方法
JP2017084265A (ja) * 2015-10-30 2017-05-18 住友金属鉱山株式会社 導電性基板の製造方法
WO2017183489A1 (ja) * 2016-04-18 2017-10-26 住友金属鉱山株式会社 導電性基板、導電性基板の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3366002B2 (ja) * 1990-01-31 2003-01-14 株式会社日立製作所 エッチング液及びそれを使用したエッチング方法
JP2005023340A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Nihon Kagaku Sangyo Co Ltd プリント配線板のエッチング方法及びエッチング液
JP2011166028A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Sumitomo Metal Mining Co Ltd Cof基板の製造方法

Patent Citations (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07307550A (ja) * 1994-05-11 1995-11-21 Toshiba Corp 電子部品の製造方法
JPH11266095A (ja) * 1998-03-17 1999-09-28 Dainippon Printing Co Ltd 電磁波遮蔽板
JP2003183857A (ja) * 2001-12-19 2003-07-03 Hitachi Ltd エッチング液およびそれを用いた回路基板の製法
JP2005210058A (ja) * 2003-12-26 2005-08-04 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd プリント配線基板、その製造方法および回路装置
JP2010010179A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Toppan Printing Co Ltd プラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュおよびその製造方法
WO2012063805A1 (ja) * 2010-11-12 2012-05-18 Jx日鉱日石金属株式会社 フレキシブルラミネート基板への回路形成方法
JP2015007271A (ja) * 2013-06-25 2015-01-15 メック株式会社 配線形成方法、及びこれに用いるエッチング液
JP2015125605A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 大日本印刷株式会社 電極シート、該電極シートを用いたタッチパネル、該タッチパネルを配置した画像表示装置
JP2015138820A (ja) * 2014-01-21 2015-07-30 イビデン株式会社 プリント配線板とその製造方法
JP2015153666A (ja) * 2014-02-17 2015-08-24 住友金属鉱山株式会社 細線パターンの形成方法、及び導電性基板の製造方法
WO2016175130A1 (ja) * 2015-04-28 2016-11-03 住友金属鉱山株式会社 導電性基板
JP2017049723A (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 住友金属鉱山株式会社 積層体基板、導電性基板、積層体基板の製造方法、導電性基板の製造方法
JP2017064939A (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 住友金属鉱山株式会社 積層体基板、導電性基板、積層体基板の製造方法、導電性基板の製造方法
JP2017074749A (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 住友金属鉱山株式会社 積層体基板、積層体基板の製造方法、導電性基板、及び導電性基板の製造方法
JP2017084265A (ja) * 2015-10-30 2017-05-18 住友金属鉱山株式会社 導電性基板の製造方法
WO2017183489A1 (ja) * 2016-04-18 2017-10-26 住友金属鉱山株式会社 導電性基板、導電性基板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW201901701A (zh) 2019-01-01
CN110709805A (zh) 2020-01-17
WO2018221183A1 (ja) 2018-12-06
TWI785046B (zh) 2022-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2018221183A1 (ja) 透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板
TWI728095B (zh) 導電性基板、導電性基板的製造方法
US20190333656A1 (en) Method of manufacturing conductive film and conductive film
JP2020074114A (ja) 導電性フィルム、タッチパネルセンサー、および、タッチパネル
JP6806092B2 (ja) 黒化めっき液、導電性基板の製造方法
JP6597139B2 (ja) 黒化めっき液、導電性基板
JP6500746B2 (ja) 導電性基板の製造方法
WO2017022596A1 (ja) 導電性基板、導電性基板の製造方法
JP7003665B2 (ja) 黒化めっき液、導電性基板の製造方法
JPWO2018193940A1 (ja) 導電性基板
JPWO2016190224A1 (ja) 黒化めっき液、導電性基板
JPWO2016175095A1 (ja) 導電性基板、液晶タッチパネル
JP6791172B2 (ja) 導電性基板
JP6806093B2 (ja) 黒化めっき液、導電性基板の製造方法
JPWO2018047608A1 (ja) 導電性フィルムの製造方法、導電性フィルム、タッチパネルセンサー、アンテナ、指紋認証部、および、タッチパネル
JPWO2018056089A1 (ja) 導電性フィルム、タッチパネル、フォトマスク、インプリントテンプレート、導電性フィルム形成用積層体、導電性フィルムの製造方法、および電子デバイスの製造方法
JP6729007B2 (ja) 積層体基板、導電性基板、積層体基板の製造方法、導電性基板の製造方法
WO2016068153A1 (ja) 導電性基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220524

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220725

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20221115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230213

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20230213

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20230221

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20230228

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20230407

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20230411

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20230411