JPWO2016190224A1 - 黒化めっき液、導電性基板 - Google Patents

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Abstract

硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸とを含み、pHが4.0以上6.5以下である黒化めっき液を提供する。

Description

本発明は、黒化めっき液、導電性基板に関する。
静電容量式タッチパネルは、パネル表面に近接する物体により引き起こされる静電容量の変化を検出することにより、パネル表面上での近接する物体の位置の情報を電気信号に変換する。静電容量式タッチパネルに用いられる導電性基板は、ディスプレイの表面に設置されるため、導電性基板の導電層の材料には反射率が低く、視認されにくいことが要求されている。
そこで、静電容量式タッチパネルに用いられる導電層の材料としては、反射率が低く、視認されにくい材料が用いられ、透明基板または透明なフィルム上に配線が形成されている。
例えば特許文献1には、高分子フィルムおよびその上に気相成膜法により設けられた金属酸化物からなる透明導電膜を含む透明導電性フィルムが開示され、金属酸化物からなる透明導電膜として酸化インジウム−酸化スズ(ITO)膜を用いることが開示されている。
ところで、近年タッチパネルを備えたディスプレイの大画面化が進んでおり、これに対応してタッチパネル用の透明導電性フィルム等の導電性基板についても大面積化が求められている。しかし、ITOは電気抵抗値が高いため、導電性基板の大面積化に対応できないという問題があった。
そこで、導電層の材料として、ITOにかえて銅等の金属を用いることが検討されている。ただし、金属は金属光沢を有していることから、反射によりディスプレイの視認性が低下するという問題がある。このため、導電層の表面に、黒色の材料により構成される層を乾式法により形成する黒化処理を施した導電性基板が検討されている。
日本国特開2003−151358号公報
しかしながら、従来検討されていた黒色の材料では、銅等の金属を用いた導電層表面での光の反射を十分に抑制することができていなかった。また、乾式法により導電層表面に十分に黒化処理を施すためには時間を要し、生産性が低かった。
上記従来技術の問題に鑑み、本発明の一側面では、金属層表面での光の反射を十分に抑制できる黒化層を形成するための黒化めっき液を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一側面では、
硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸とを含み、pHが4.0以上6.5以下である黒化めっき液を提供する。
本発明の一側面によれば、金属層表面での光の反射を十分に抑制できる黒化層を形成するための黒化めっき液を提供することができる。
本発明の実施形態に係る導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係る導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係る導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係る導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係るメッシュ状の配線を備えた導電性基板の上面図。 図3のA−A´線における断面図。 図3のA−A´線における断面図。
以下、本発明の黒化めっき液、導電性基板の一実施形態について説明する。
(黒化めっき液)
本実施形態の黒化めっき液は、硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸とを含み、pHを4.0以上6.5以下とすることができる。
本発明の発明者らは、金属層表面における光の反射を十分に抑制できる黒化層を、生産性良く形成する方法について鋭意検討を行った。
従来は、乾式法により黒化処理を行っていたため、生産性が低かった。そこで、本発明の発明者らは生産性良く黒化層を形成するため、湿式法を用いて黒化層を形成することを検討した。このため、黒化層の成膜に適した黒化めっき液について検討を行った。
黒化めっき液について検討を進める中で、本発明の発明者らは、黒化層としてニッケルと亜鉛とを含有する層を形成することで、金属層表面での光の反射を抑制して、導電性基板の反射率を抑制できることを見出した。このため、黒化めっき液は、ニッケルと亜鉛とを含有する層を形成できるめっき液であることが好ましい。
そこで、本実施形態の黒化めっき液は、硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛とを含有することができる。さらに、錯化剤として機能するアミド硫酸を含有することで、形成した黒化層に色ムラが生じることを抑制できる。
ただし、黒化めっき液のpHが4.0未満の場合、形成した黒化層が光の反射を十分に抑制できる色にならない場合があるため、pHは4.0以上であることが好ましい。また、黒化めっき液のpHが6.5を超えると、黒化めっき液の成分の一部の成分が析出する場合等があり、係る黒化めっき液を用いて黒化層を形成すると、黒化層に色ムラが生じる場合がある。このため、黒化めっき液のpHは6.5以下であることが好ましい。
黒化めっき液のpHを調整する際に用いる薬剤は特に限定されるものではないが、成膜する黒化層に影響を与えないように金属成分を含有しないアルカリを用いることが好ましい。このため、例えばpHはアンモニア水により調整されていることが好ましい。すなわち、黒化めっき液はpH調整剤としてアンモニア(アンモニア水)を含むことができる。
上述の様に、本実施形態の黒化めっき液は、硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸とを含有することができるが、各成分の含有量については特に限定されるものではなく、形成する黒化層に要求される反射率の抑制の程度等に応じて任意に選択することができる。
例えば、硫酸ニッケルは黒化めっき液中で硫酸ニッケル6水和物として存在すると考えられるが、黒化めっき液中の硫酸ニッケル6水和物の濃度は、30g/L以上であることが好ましい。これは硫酸ニッケル6水和物の濃度を30g/L以上とすることで、形成する黒化層中に十分なニッケルを供給し、黒化層に色ムラ等が生じることを抑制できるからである。黒化めっき液中の硫酸ニッケル6水和物の濃度の上限値は特に限定されるものではなく、例えば硫酸ニッケル6水和物の飽和濃度以下となるように添加することができる。特に黒化めっき液を用いて黒化層を成膜する前にめっき液中に析出物等が生じることを抑制する観点から、100g/L以下であることが好ましい。
また、硫酸亜鉛は黒化めっき液中で硫酸亜鉛7水和物として存在すると考えられるが、黒化めっき液中の硫酸亜鉛7水和物の濃度は1.0g/L以上7.5g/L以下であることが好ましい。これは、黒化めっき液中の硫酸亜鉛7水和物の濃度を1.0g/L以上とすることで、形成した黒化層を特に金属層表面での光の反射を抑制するためにより適した色とすることができ、導電性基板の光の反射率を特に抑制できるからである。また、硫酸亜鉛7水和物の濃度を7.5g/Lより多くした場合、成膜する黒化層に色ムラ等が生じる場合があるため、7.5g/L以下とすることが好ましい。
なお、黒化めっき液に含まれる金属成分としてのニッケル及び亜鉛の合計の含有量(含有重量)に対する、金属成分としての亜鉛の含有量(含有重量)の割合は2重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
黒化層は、ニッケルと亜鉛とを同時に含有することで、金属層表面での光の反射を抑制するのに適した色とすることができる。そして、黒化めっき液に含まれる、金属成分としてのニッケル及び亜鉛の合計の重量に対する、金属成分としての亜鉛の割合が2重量%以上の場合、金属層表面での光の反射を抑制するのに特に適した色とすることができ、導電性基板の反射率を抑制できるからである。
ただし、亜鉛の割合が高くなりすぎると、形成した黒化層に色ムラ等を生じる恐れがある。このため、黒化めっき液に含まれる金属成分としてのニッケル及び亜鉛の合計の重量に対する、金属成分としての亜鉛の割合は20重量%以下であることが好ましい。
黒化めっき液中のアミド硫酸の濃度は特に限定されないが、例えば10g/L以上30g/L以下であることが好ましい。
本実施形態の黒化めっき液には、硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸以外にも任意の成分を含有することができる。例えば添加剤として、モリブデン(Mo)化合物および/またはスズ(Sn)化合物を添加することもできる。
以上に説明した本実施形態の黒化めっき液によれば、導電性基板の金属層表面での光の反射を十分に抑制できる黒化層を形成する際に好適に用いることができる。また、本実施形態の黒化めっき液を用いることで、黒化層を電解めっき法等の湿式法により成膜することができるため、従来、乾式で成膜されていた黒化層と比較して生産性良く黒化層を形成できる。
(導電性基板)
次に、本実施形態の導電性基板の一構成例について説明する。
本実施形態の導電性基板は、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に形成された金属層と、金属層上に黒化めっき液を用いて形成された黒化層と、を有することができる。
なお、本実施形態における導電性基板とは、金属層等をパターニングする前の、透明基材の表面に金属層、及び黒化層を有する基板と、金属層等をパターン化した基板、すなわち、配線基板と、を含む。
ここでまず、導電性基板に含まれる各部材について以下に説明する。
透明基材としては特に限定されるものではなく、可視光を透過する樹脂基板(樹脂フィルム)や、ガラス基板等の透明基材を好ましく用いることができる。
可視光を透過する樹脂基板の材料としては例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の樹脂を好ましく用いることができる。特に、可視光を透過する樹脂基板の材料として、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド、ポリカーボネート等をより好ましく用いることができる。
透明基材の厚さについては特に限定されず、導電性基板とした場合に要求される強度や静電容量、光の透過率等に応じて任意に選択することができる。透明基材の厚さとしては例えば10μm以上200μm以下とすることができる。特にタッチパネルの用途に用いる場合、透明基材の厚さは20μm以上120μm以下とすることが好ましく、20μm以上100μm以下とすることがより好ましい。タッチパネルの用途に用いる場合で、例えば特にディスプレイ全体の厚さを薄くすることが求められる用途においては、透明基材の厚さは20μm以上50μm以下であることが好ましい。
透明基材の全光線透過率は高い方が好ましく、例えば全光線透過率は30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。透明基材の全光線透過率が上記範囲であることにより、例えばタッチパネルの用途に用いた場合にディスプレイの視認性を十分に確保することができる。
なお透明基材の全光線透過率はJIS K 7361−1に規定される方法により評価することができる。
次に、金属層について説明する。
金属層を構成する材料は特に限定されず用途にあった電気伝導率を有する材料を選択できるが、例えば、金属層を構成する材料は、Cuと、Ni,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Mn,Co,Wから選ばれる少なくとも1種以上の金属との銅合金、または銅を含む材料であることが好ましい。また、金属層は銅から構成される銅層とすることもできる。
透明基材上に金属層を形成する方法は特に限定されないが、光の透過率を低減させないため、透明基材と金属層との間に接着剤を配置しないことが好ましい。すなわち金属層は、透明基材の少なくとも一方の面上に直接形成されていることが好ましい。なお、後述のように透明基材と金属層との間に密着層を配置する場合には、金属層は密着層の上面に直接形成されていることが好ましい。
透明基材等の上面に金属層を直接形成するため、金属層は金属薄膜層を有することが好ましい。また、金属層は金属薄膜層と金属めっき層とを有していてもよい。
例えば透明基材上に、乾式めっき法により金属薄膜層を形成し、該金属薄膜層を金属層とすることができる。これにより、透明基材上に接着剤を介さずに直接金属層を形成できる。なお、乾式めっき法としては、例えばスパッタリング法や蒸着法、イオンプレーティング法等を好ましく用いることができる。
また、金属層の膜厚を厚くする場合には、金属薄膜層を給電層として湿式めっき法の一種である電気めっき法により金属めっき層を形成することにより、金属薄膜層と金属めっき層とを有する金属層とすることもできる。金属層が金属薄膜層と金属めっき層とを有することにより、この場合も透明基材上に接着剤を介さずに直接金属層を形成できる。
金属層の厚さは特に限定されるものではなく、金属層を配線として用いた場合に、該配線に供給する電流の大きさや配線幅等に応じて任意に選択することができる。
ただし、金属層が厚くなると、配線パターンを形成するためにエッチングを行う際にエッチングに時間を要するためサイドエッチが生じ易くなり、細線が形成しにくくなる等の問題を生じる場合がある。このため、金属層の厚さは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
また、特に導電性基板の抵抗値を低くし、十分に電流を供給できるようにする観点から、例えば金属層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
なお、金属層が上述のように金属薄膜層と、金属めっき層とを有する場合には、金属薄膜層の厚さと、金属めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
金属層が金属薄膜層により構成される場合、または金属薄膜層と金属めっき層とを有する場合のいずれの場合でも、金属薄膜層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば50nm以上500nm以下とすることが好ましい。
金属層は後述するように例えば所望の配線パターンにパターニングすることにより配線として用いることができる。そして、金属層は従来透明導電膜として用いられていたITOよりも電気抵抗値を低くすることができるから、金属層を設けることにより導電性基板の電気抵抗値を小さくできる。
次に黒化層について説明する。
黒化層は、既述の黒化めっき液を用いて成膜することができる。このため、例えば金属層を形成後、金属層の上面に電解めっき法等の湿式法により形成することができる。
このため、黒化層は、ニッケルと亜鉛とを含む層、より具体的には湿式黒化層とすることができる。
黒化めっき液については既述のため、ここでは説明を省略する。
黒化層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。これは、黒化層の厚さを30nm以上とすることにより金属層表面における光の反射を特に抑制できるからである。
黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、黒化層の厚さは120nm以下とすることが好ましく、90nm以下とすることがより好ましい。
また、導電性基板は上述の透明基材、金属層、黒化層以外に任意の層を設けることもできる。例えば密着層を設けることができる。
密着層の構成例について説明する。
上述のように金属層は透明基材上に形成することができるが、透明基材上に金属層を直接形成した場合に、透明基材と金属層との密着性は十分ではない場合がある。このため、透明基材の上面に直接金属層を形成した場合、製造過程、または、使用時に透明基材から金属層が剥離する場合がある。
そこで、本実施形態の導電性基板においては、透明基材と金属層との密着性を高めるため、透明基材上に密着層を配置することができる。
透明基材と金属層との間に密着層を配置することにより、透明基材と金属層との密着性を高め、透明基材から金属層が剥離することを抑制できる。
また、密着層は黒化層としても機能させることができる。このため、金属層の下面側、すなわち透明基材側からの光による金属層の光の反射も抑制することが可能になる。
密着層を構成する材料は特に限定されるものではなく、透明基材及び金属層との密着力や、要求される金属層表面での光の反射の抑制の程度、また、導電性基板を使用する環境(例えば湿度や、温度)に対する安定性の程度等に応じて任意に選択することができる。
密着層は例えば、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも1種以上の金属を含むことが好ましい。また、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素をさらに含むこともできる。
なお、密着層は、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種以上の金属を含む金属合金を含むことができる。この場合についても、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素をさらに含むこともできる。この際、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種以上の金属を含む金属合金としては、Cu−Ti−Fe合金や、Cu−Ni−Fe合金、Ni−Cu合金、Ni−Zn合金、Ni−Ti合金、Ni−W合金、Ni−Cr合金、Ni−Cu−Cr合金を好ましく用いることができる。
密着層の成膜方法は特に限定されるものではないが、乾式めっき法により成膜することが好ましい。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。密着層を乾式法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、密着層には上述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
密着層が炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を含む場合には、密着層を成膜する際の雰囲気中に炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を含有するガスを添加しておくことにより、密着層中に添加することができる。例えば、密着層に炭素を添加する場合には一酸化炭素ガスおよび/または二酸化炭素ガスを、酸素を添加する場合には酸素ガスを、水素を添加する場合には水素ガスおよび/または水を、窒素を添加する場合には窒素ガスを、乾式めっきを行う際の雰囲気中に添加しておくことができる。
炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を含有するガスは、不活性ガスに添加し、乾式めっきの際の雰囲気ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
密着層を上述のように乾式めっき法により成膜することにより、透明基材と密着層との密着性を高めることができる。そして、密着層は例えば金属を主成分として含むことができるため金属層との密着性も高い。このため、透明基材と金属層との間に密着層を配置することにより、金属層の剥離を抑制することができる。
密着層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば3nm以上50nm以下とすることが好ましく、3nm以上35nm以下とすることがより好ましく、3nm以上33nm以下とすることがさらに好ましい。
密着層についても黒化層として機能させる場合、すなわち金属層における光の反射を抑制する場合、密着層の厚さを上述のように3nm以上とすることが好ましい。
密着層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、密着層の厚さは上述のように50nm以下とすることが好ましく、35nm以下とすることがより好ましく、33nm以下とすることがさらに好ましい。
次に、導電性基板の構成例について説明する。
上述のように、本実施形態の導電性基板は透明基材と、金属層と、黒化層と、を有することができる。また、任意に密着層等の層を設けることもできる。
具体的な構成例について、図1A、図1Bを用いて以下に説明する。図1A、図1Bは、本実施形態の導電性基板の、透明基材、金属層、黒化層の積層方向と平行な面における断面図の例を示している。
本実施形態の導電性基板は、例えば透明基材の少なくとも一方の面上に、透明基材側から金属層と、黒化層とがその順に積層された構造を有することができる。
具体的には例えば、図1Aに示した導電性基板10Aのように、透明基材11の一方の面11a側に金属層12と、黒化層13と、を一層ずつその順に積層することができる。また、図1Bに示した導電性基板10Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ金属層12A、12Bと、黒化層13A、13Bと、を一層ずつその順に積層することができる。
また、さらに任意の層として、例えば密着層を設けた構成とすることもできる。この場合例えば、透明基材の少なくとも一方の面上に、透明基材側から密着層と、金属層と、黒化層とがその順に形成された構造とすることができる。
具体的には例えば図2Aに示した導電性基板20Aのように、透明基材11の一方の面11a側に、密着層14と、金属層12と、黒化層13とをその順に積層することができる。
この場合も透明基材11の両面に密着層、金属層、黒化層を積層した構成とすることもできる。具体的には図2Bに示した導電性基板20Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、他方の面11b側と、にそれぞれ密着層14A、14Bと、金属層12A、12Bと、黒化層13A、13Bとをその順に積層できる。
なお、図1B、図2Bにおいて、透明基材の両面に金属層、黒化層等を積層した場合において、透明基材11を対称面として透明基材11の上下に積層した層が対称になるように配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば、図2Bにおいて、透明基材11の一方の面11a側の構成を図1Bの構成と同様に、密着層14Aを設けずに金属層12Aと、黒化層13Aとをその順に積層した形態とし、透明基材11の上下に積層した層を非対称な構成としてもよい。
ところで、本実施形態の導電性基板においては、透明基材上に金属層と、黒化層とを設けることで、金属層による光の反射を抑制し、導電性基板の反射率を抑制することができる。
本実施形態の導電性基板の反射率の程度については特に限定されるものではないが、例えばタッチパネル用の導電性基板として用いた場合のディスプレイの視認性を高めるためには、反射率は低い方が良い。例えば、波長400nm以上700nm以下の光の平均反射率が20%以下であることが好ましく、19%以下であることがより好ましい。
反射率の測定は、導電性基板の黒化層に光を照射するようにして測定を行うことができる。具体的には例えば図1Aのように透明基材11の一方の面11a側に金属層12、黒化層13の順に積層した場合、黒化層13に光を照射するように黒化層13の表面Aに対して光を照射し、測定できる。測定に当たっては波長400nm以上700nm以下の光を例えば波長1nm間隔で上述のように導電性基板の黒化層13に対して照射し、測定した値の平均値を該導電性基板の反射率とすることができる。
本実施形態の導電性基板はタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。この場合導電性基板はメッシュ状の配線を備えた構成とすることができる。
メッシュ状の配線を備えた導電性基板は、ここまで説明した本実施形態の導電性基板の金属層、及び黒化層をエッチングすることにより得ることができる。
例えば、二層の配線によりメッシュ状の配線とすることができる。具体的な構成例を図3に示す。図3はメッシュ状の配線を備えた導電性基板30を金属層等の積層方向の上面側から見た図を示しており、配線パターンが分かり易いように、透明基材、及び金属層をパターニングして形成した配線31A、31B以外の層は記載を省略している。
図3に示した導電性基板30は、透明基材11と、図中Y軸方向に平行な複数の配線31Aと、X軸方向に平行な配線31Bとを有している。なお、配線31A、31Bは金属層をエッチングして形成されており、該配線31A、31Bの上面または下面には図示しない黒化層が形成されている。また、黒化層は配線31A、31Bと同じ形状にエッチングされている。
透明基材11と配線31A、31Bとの配置は特に限定されない。透明基材11と配線との配置の構成例を図4A、図4Bに示す。図4A、図4Bは図3のA−A´線での断面図に当たる。
まず、図4Aに示したように、透明基材11の上下面にそれぞれ配線31A、31Bが配置されていてもよい。なお、図4Aでは配線31Aの上面、及び31Bの下面には、配線と同じ形状にエッチングされた黒化層32A、32Bが配置されている。
また、図4Bに示したように、1組の透明基材11を用い、一方の透明基材11を挟んで上下面に配線31A、31Bを配置し、かつ、一方の配線31Bは透明基材11間に配置されてもよい。この場合も、配線31A、31Bの上面には配線と同じ形状にエッチングされた黒化層32A、32Bが配置されている。なお、既述のように、金属層、黒化層以外に密着層を設けることもできる。このため、図4A、図4Bいずれの場合でも、例えば配線31Aおよび/または配線31Bと透明基材11との間に密着層を設けることもできる。密着層を設ける場合、密着層も配線31A、31Bと同じ形状にエッチングされていることが好ましい。
図3及び図4Aに示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は例えば、図1Bのように透明基材11の両面に金属層12A、12Bと、黒化層13A、13Bとを備えた導電性基板から形成することができる。
図1Bの導電性基板を用いて形成した場合を例に説明すると、まず、透明基材11の一方の面11a側の金属層12A、黒化層13Aを、図1B中Y軸方向に平行な複数の線状のパターンがX軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。なお、図1B中のX軸方向は、各層の幅方向と平行な方向を意味している。また、図1B中のY軸方向とは、図1B中の紙面と垂直な方向を意味している。
そして、透明基材11の他方の面11b側の金属層12B、黒化層13Bを図1B中X軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけてY軸方向に沿って配置されるようにエッチングを行う。
以上の操作により図3、図4Aに示したメッシュ状の配線を有する導電性基板を形成することができる。なお、透明基材11の両面のエッチングは同時に行うこともできる。すなわち、金属層12A、12B、黒化層13A、13Bのエッチングは同時に行ってもよい。また、図4Aにおいて、配線31A、31Bと、透明基材11との間にさらに配線31A、31Bと同じ形状にパターニングされた密着層を有する導電性基板は、図2Bに示した導電性基板を用いて同様にエッチングを行うことで作製できる。
図3に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は、図1Aまたは図2Aに示した導電性基板を2枚用いることにより形成することもできる。図1Aの導電性基板を2枚用いて形成した場合を例に説明すると、図1Aに示した導電性基板2枚についてそれぞれ、金属層12、黒化層13を、X軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけてY軸方向に沿って配置されるようにエッチングを行う。そして、上記エッチング処理により各導電性基板に形成した線状のパターンが互いに交差するように向きをあわせて2枚の導電性基板を貼り合せることによりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とすることができる。2枚の導電性基板を貼り合せる際に貼り合せる面は特に限定されるものではない。例えば、金属層12等が積層された図1Aにおける表面Aと、金属層12等が積層されていない図1Aにおける他方の面11bとを貼り合せて、図4Bに示した構造となるようにすることもできる。
また、例えば透明基材11の金属層12等が積層されていない図1Aにおける他方の面11b同士を貼り合せて断面が図4Aに示した構造となるようにすることもできる。
なお、図4A、図4Bにおいて、配線31A、31Bと、透明基材11との間にさらに配線31A、31Bと同じ形状にパターニングされた密着層を有する導電性基板は、図1Aに示した導電性基板にかえて図2Aに示した導電性基板を用いることで作製できる。
図3、図4A、図4Bに示したメッシュ状の配線を有する導電性基板における配線の幅や、配線間の距離は特に限定されるものではなく、例えば、配線に流す電流量等に応じて選択することができる。
また、図3、図4A、図4Bにおいては、直線形状の配線を組み合わせてメッシュ状の配線(配線パターン)を形成した例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、配線パターンを構成する配線は任意の形状とすることができる。例えばディスプレイの画像との間でモアレ(干渉縞)が発生しないようメッシュ状の配線パターンを構成する配線の形状をそれぞれ、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)等の各種形状にすることもできる。
このように2層の配線から構成されるメッシュ状の配線を有する導電性基板は、例えば投影型静電容量方式のタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。
以上の本実施形態の導電性基板によれば、透明基材の少なくとも一方の面上に形成された金属層上に、黒化層を積層した構造を有している。そして、黒化層は既述の黒化めっき液を用いて形成されているため、金属層表面における光の反射を十分に抑制し、反射率を抑制した導電性基板とすることができる。また、例えばタッチパネル等の用途に用いた場合にディスプレイの視認性を高めることができる。
さらに、黒化層を既述の黒化めっき液を用いて湿式法により形成できるため、従来の乾式法を用いて黒化層を成膜する場合と比較して、生産性良く導電性基板を生産することができる。
(導電性基板の製造方法)
次に本実施形態の導電性基板の製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態の導電性基板の製造方法は、以下の工程を有することができる。
透明基材の少なくとも一方の面上に金属層を形成する金属層形成工程。
金属層上に黒化めっき液を用いて黒化層を形成する黒化層形成工程。
なお、黒化めっき液としては既述の硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸とを含み、pHが4.0以上6.5以下の黒化めっき液を用いることができる。
以下に本実施形態の導電性基板の製造方法について具体的に説明する。
なお、本実施形態の導電性基板の製造方法により上述の導電性基板を好適に製造することができる。このため、以下に説明する点以外については上述の導電性基板の場合と同様の構成とすることができるため説明を一部省略する。
金属層形成工程に供する透明基材は予め準備しておくことができる。用いる透明基材の種類は特に限定されるものではないが、既述のように可視光を透過する樹脂基板(樹脂フィルム)や、ガラス基板等の透明基材を好ましく用いることができる。透明基材は必要に応じて予め任意のサイズに切断等行っておくこともできる。
そして、金属層は既述のように、金属薄膜層を有することが好ましい。また、金属層は金属薄膜層と金属めっき層とを有することもできる。このため、金属層形成工程は、例えば乾式めっき法により金属薄膜層を形成する工程を有することができる。また、金属層形成工程は、乾式めっき法により金属薄膜層を形成する工程と、該金属薄膜層を給電層として、湿式めっき法の一種である電気めっき法により金属めっき層を形成する工程と、を有していてもよい。
金属薄膜層を形成する工程で用いる乾式めっき法としては、特に限定されるものではなく、例えば、蒸着法、スパッタリング法、又はイオンプレーティング法等を用いることができる。なお、蒸着法としては真空蒸着法を好ましく用いることができる。金属薄膜層を形成する工程で用いる乾式めっき法としては、特に膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。
次に金属めっき層を形成する工程について説明する。湿式めっき法により金属めっき層を形成する工程における条件、すなわち、電気めっき処理の条件は、特に限定されるものではなく、常法による諸条件を採用すればよい。例えば、金属めっき液を入れためっき槽に金属薄膜層を形成した基材を供給し、電流密度や、基材の搬送速度を制御することによって、金属めっき層を形成できる。
次に、黒化層形成工程について説明する。
黒化層形成工程においては、既述の硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸とを含み、pHが4.0以上6.5以下の黒化めっき液を用いて黒化層を形成できる。
黒化層は湿式法により形成できる。具体的には例えば、金属層を給電層として用いて、既述の黒化めっき液を含むめっき槽内で、金属層上に電解めっき法により黒化層を形成することができる。このように金属層を給電層として、電解めっき法により黒化層を形成することで、金属層の透明基材と対向する面とは反対側の面の全面に黒化層を形成できる。
黒化めっき液については既述のため、説明を省略する。
本実施形態の導電性基板の製造方法においては、上述の工程に加えてさらに任意の工程を実施することもできる。
例えば透明基材と金属層との間に密着層を形成する場合、透明基材の金属層を形成する面上に密着層を形成する密着層形成工程を実施することができる。密着層形成工程を実施する場合、金属層形成工程は、密着層形成工程の後に実施することができ、金属層形成工程では、本工程で透明基材上に密着層を形成した基材に金属薄膜層を形成できる。
密着層形成工程において、密着層の成膜方法は特に限定されるものではないが、乾式めっき法により成膜することが好ましい。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。密着層を乾式法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、密着層には既述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
本実施形態の導電性基板の製造方法で得られる導電性基板は例えばタッチパネル等の各種用途に用いることができる。そして、各種用途に用いる場合には、本実施形態の導電性基板に含まれる金属層、及び黒化層がパターン化されていることが好ましい。なお、密着層を設ける場合は、密着層についてもパターン化されていることが好ましい。金属層、及び黒化層、場合によってはさらに密着層は、例えば所望の配線パターンにあわせてパターン化することができ、金属層、及び黒化層、場合によってはさらに密着層は同じ形状にパターン化されていることが好ましい。
このため、本実施形態の導電性基板の製造方法は、金属層、及び黒化層をパターニングするパターニング工程を有することができる。なお、密着層を形成した場合には、パターニング工程は、密着層、金属層、及び黒化層をパターニングする工程とすることができる。
パターニング工程の具体的手順は特に限定されるものではなく、任意の手順により実施することができる。例えば図1Aのように透明基材11上に金属層12、黒化層13が積層された導電性基板10Aの場合、まず黒化層13上の表面Aに所望のパターンを有するマスクを配置するマスク配置ステップを実施することができる。次いで、黒化層13上の表面A、すなわち、マスクを配置した面側にエッチング液を供給するエッチングステップを実施できる。
エッチングステップにおいて用いるエッチング液は特に限定されるものではなく、エッチングを行う層を構成する材料に応じて任意に選択することができる。例えば、層毎にエッチング液を変えることもでき、また、同じエッチング液により同時に金属層、及び黒化層、場合によってはさらに密着層をエッチングすることもできる。
また、図1Bのように透明基材11の一方の面11a、他方の面11bに金属層12A、12B、黒化層13A、13Bを積層した導電性基板10Bについてもパターニングするパターニング工程を実施できる。この場合例えば黒化層13A、13B上の表面A、及び表面Bに所望のパターンを有するマスクを配置するマスク配置ステップを実施できる。次いで、黒化層13A、13B上の表面A、及び表面B、すなわち、マスクを配置した面側にエッチング液を供給するエッチングステップを実施できる。
エッチングステップで形成するパターンについては特に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。例えば図1Aに示した導電性基板10Aの場合、既述のように金属層12、黒化層13を複数の直線や、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)を含むようにパターンを形成することができる。
また、図1Bに示した導電性基板10Bの場合、金属層12Aと、金属層12Bとでメッシュ状の配線となるようにパターンを形成することができる。この場合、黒化層13Aは、金属層12Aと同様の形状に、黒化層13Bは金属層12Bと同様の形状になるようにそれぞれパターニングを行うことが好ましい。
また、例えばパターニング工程で上述の導電性基板10Aについて金属層12等をパターン化した後、パターン化した2枚以上の導電性基板を積層する積層工程を実施することもできる。積層する際、例えば各導電性基板の金属層のパターンが交差するように積層することにより、メッシュ状の配線を備えた積層導電性基板を得ることもできる。
積層した2枚以上の導電性基板を固定する方法は特に限定されるものではないが、例えば接着剤等により固定することができる。
以上の本実施形態の導電性基板の製造方法により得られる導電性基板は、透明基材の少なくとも一方の面上に形成された金属層上に、黒化層を積層した構造を有している。そして、黒化層は既述の黒化めっき液を用いて形成されているため、金属層表面における光の反射を十分に抑制し、反射率を抑制した導電性基板とすることができる。また、例えばタッチパネル等の用途に用いた場合にディスプレイの視認性を高めることができる。
さらに、黒化層を既述の黒化めっき液を用いて湿式法により形成できるため、従来の乾式法を用いて黒化層を成膜する場合と比較して、生産性良く導電性基板を生産することができる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(評価方法)
まず、得られた導電性基板の評価方法について説明する。
(1)反射率
測定は、紫外可視分光光度計(株式会社 島津製作所製 型式:UV−2600)に反射率測定ユニットを設置して行った。
後述のように各実験例では図1Aに示した構造を有する導電性基板を作製した。このため、反射率測定は図1Aに示した導電性基板10Aの黒化層13の表面Aに対して入射角5°、受光角5°として、波長400nm以上700nm以下の光を波長1nm間隔で照射して正反射率を測定し、その平均値を該導電性基板の反射率(平均反射率)とした。
(2)黒化層の外観評価
形成した黒化層の外観について目視で評価を行い、色ムラを含まず均一な色になっている場合には良好と判断し、色ムラが生じている場合には不良と判断した。
(3)判定
導電性基板の反射率が20%以下であり、かつ黒化層の外観評価が良好な導電性基板について〇と判定した。
導電性基板の反射率が20%を超え、および/または黒化層の外観評価が不良と判断した導電性基板については×と判定した。
(試料の作製条件)
以下の各実験例では、以下に説明する条件で導電性基板を作製し、上述の評価方法により評価を行った。
[実験例1]
実験例1では、めっき液のpHが異なる実験例1−1〜実験例1−6の6種類の黒化めっき液を調製し、それぞれの実験例の黒化めっき液を用いて導電性基板を作製して評価を行った。実験例1−2〜実験例1−5が実施例となり、実験例1−1、実験例1−6が比較例となる。
(1)黒化めっき液
本実験例で作製した黒化めっき液について説明する。
本実験例で作製した黒化めっき液は、硫酸ニッケル6水和物の濃度が40g/L、硫酸亜鉛7水和物の濃度が5g/L、アミド硫酸の濃度が11g/Lとなるように各成分を混合した。そして、実験例1−1〜実験例1−6の各黒化めっき液のpHが表1に示した値となるようにさらにアンモニア水を添加して各実験例の黒化めっき液を調製した。
(2)導電性基板
(金属層形成工程)
長さ100m、幅500mm、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製の透明基材の一方の面上に金属層を成膜した。なお、透明基材として用いたポリエチレンテレフタレート樹脂製の透明基材について、全光線透過率をJIS K 7361−1に規定された方法により評価を行ったところ97%であった。
金属層形成工程では、金属薄膜層形成工程と、金属めっき層形成工程と、を実施した。
まず、金属薄膜層形成工程について説明する。
金属薄膜層形成工程では、基材として上述の透明基材を用い、透明基材の一方の面上に金属薄膜層として銅薄膜層を形成した。
金属薄膜層形成工程ではまず、予め60℃まで加熱して水分を除去した上述の透明基材を、スパッタリング装置のチャンバー内に設置した。
次に、チャンバー内を1×10−3Paまで排気した後、アルゴンガスを導入し、チャンバー内の圧力を1.3Paとした。
スパッタリング装置のカソードに予めセットしておいた銅ターゲットに電力を供給し、透明基材の一方の面上に銅薄膜層を厚さが0.2μmになるように成膜した。
次に、金属めっき層形成工程においては、金属めっき層として銅めっき層を形成した。銅めっき層は、電気めっき法により銅めっき層の厚さが0.3μmになるように成膜した。
以上の金属薄膜層形成工程と、金属めっき層形成工程とを実施することで、金属層として厚さ0.5μmの銅層を形成した。
金属層形成工程で作製した、透明基材上に厚さ0.5μmの銅層が形成された基板を20g/Lの硫酸に30sec浸漬し、洗浄した後に以下の黒化層形成工程を実施した。
(黒化層形成工程)
黒化層形成工程では、各実験例について予め作成した黒化めっき液を用いて電解めっき法により、金属層の一方の面上に黒化層を形成した。なお、黒化層形成工程においては、いずれの実験例においても黒化めっき液の温度が40℃、電流密度が0.4A/dm、めっき時間が50secの条件で電解めっきを行い、黒化層を形成した。
形成した黒化層の膜厚は70nmとなった。
以上の工程により得られた導電性基板について、既述の反射率、及び外観評価を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2016190224
表1に示した結果より、黒化めっき液のpHが4.0以上6.5以下である、実験例1−2〜実験例1−5の黒化めっき液を用いて作製した導電性基板について判定が〇となることを確認できた。すなわち、実施例である実験例1−2〜実験例1−5の黒化めっき液を用いて作製した導電性基板については、反射率が20%以下で、黒化層が色ムラを含まず均一な色であることを確認できた。
これに対して、黒化めっき液のpHが3.5である比較例の実験例1−1においては、作製した導電性基板の反射率が27%と高くなり、判定が×になることが確認できた。また、黒化めっき液のpHが7である比較例の実験例1−6においては、形成した黒化層に色ムラが生じ、判定が×になることが確認できた。
[実験例2]
実験例2では、黒化めっき液中の硫酸ニッケル6水和物の濃度が異なる、実験例2−1〜実験例2−3の3種類の黒化めっき液を調製し、それぞれの実験例の黒化めっき液を用いて導電性基板を作製して評価を行った。実験例2−1〜実験例2−3はいずれも実施例となる。
(1)黒化めっき液
本実験例で作製した黒化めっき液について説明する。
本実験例で作製した黒化めっき液は、硫酸ニッケル6水和物、硫酸亜鉛7水和物、及びアミド硫酸が所定の濃度となるように混合して調製した。
本実験例の黒化めっき液において硫酸ニッケル6水和物の濃度は、実験例2−1〜実験例2−3についてそれぞれ表2に示した値となるように添加した。
硫酸亜鉛7水和物は、各実験例で、硫酸ニッケル6水和物を表2に示した濃度となるように添加した際、金属成分としてのニッケル及び亜鉛の合計の含有量に対する、金属成分としての亜鉛の含有量の割合である金属亜鉛率が10.0重量%となるように添加した。
アミド硫酸については濃度が11g/Lとなるように添加した。そして、黒化めっき液のpHが6となるようにさらにアンモニア水を添加して各実験例の黒化めっき液を調製した。
(2)導電性基板
黒化層形成工程において、各実験例の黒化めっき液を用いた点以外は、実験例1の場合と同様にして各実験例の導電性基板を作製した。
得られた導電性基板について、反射率、及び外観評価を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2016190224
表2の結果から、硫酸ニッケル6水和物濃度が30g/L〜50g/Lの範囲にある実験例2−1〜実験例2−3の黒化めっき液を用いて作製した導電性基板について判定が〇となることを確認できた。すなわち、実施例である実験例2−1〜実験例2−3の黒化めっき液を用いて作製した導電性基板については、反射率が20%以下で、黒化層が色ムラを含まず均一な色であることを確認できた。
[実験例3]
実験例3では、黒化めっき液中の硫酸亜鉛7水和物の濃度が異なる、実験例3−1〜実験例3−7の7種類の黒化めっき液を調製し、それぞれの実験例の黒化めっき液を用いて導電性基板を作製して評価を行った。実験例3−1〜実験例3−7はいずれも実施例となる。
(1)黒化めっき液
本実験例で作製した黒化めっき液について説明する。
本実験例で作製した黒化めっき液は、硫酸ニッケル6水和物、硫酸亜鉛7水和物、及びアミド硫酸が所定の濃度となるように混合して調製した。
本実験例の黒化めっき液において硫酸亜鉛7水和物の濃度は、実験例3−1〜実験例3−7についてそれぞれ表3に示した値となるように添加した。
また、硫酸ニッケル6水和物については、各実験例で硫酸亜鉛7水和物を表3に示した濃度となるように添加した際、金属成分としてのニッケル及び亜鉛の合計の含有量が一定となるように添加した。具体的には、表3に示した濃度となるように添加した。
アミド硫酸については濃度が11g/Lとなるように添加した。そして、黒化めっき液のpHが6となるようにさらにアンモニア水を添加して各実験例の黒化めっき液を調製した。
なお、表3には各実験例で調製した黒化めっき液の金属亜鉛率もあわせて示した。
(2)導電性基板
黒化層形成工程において、各実験例の黒化めっき液を用いた点以外は、実験例1の場合と同様にして各実験例の導電性基板を作製した。
得られた導電性基板について、既述の反射率、及び外観評価を実施した。結果を表3に示す。
Figure 2016190224
表3の結果から、硫酸亜鉛7水和物濃度が1.0g/L〜7.5g/Lの範囲にある実験例3−1〜実験例3−7の黒化めっき液を用いて作製した導電性基板について判定が〇となることを確認できた。すなわち、実施例である実験例3−1〜実験例3−7の黒化めっき液を用いて作製した導電性基板については、反射率が20%以下で、黒化層が色ムラを含まず均一な色であることを確認できた。
以上に黒化めっき液、および導電性基板を、実施形態および実施例等で説明したが、本発明は上記実施形態および実施例等に限定されない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本出願は、2015年5月25日に日本国特許庁に出願された特願2015−105752号に基づく優先権を主張するものであり、特願2015−105752号の全内容を本国際出願に援用する。
10A、10B、20A、20B、30 導電性基板
11 透明基材
12、12A、12B 金属層
13、13A、13B、32A、32B 黒化層

Claims (6)

  1. 硫酸ニッケルと、硫酸亜鉛と、アミド硫酸とを含み、pHが4.0以上6.5以下である黒化めっき液。
  2. pHがアンモニア水により調整されている請求項1に記載の黒化めっき液。
  3. 硫酸ニッケル6水和物の濃度が30g/L以上、
    硫酸亜鉛7水和物の濃度が1.0g/L以上7.5g/L以下である請求項1または2に記載の黒化めっき液。
  4. 金属成分としてのニッケル及び亜鉛の合計の含有量に対する、
    金属成分としての亜鉛の含有量の割合が2重量%以上20重量%以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の黒化めっき液。
  5. 透明基材と、
    前記透明基材の少なくとも一方の面上に形成された金属層と、
    前記金属層上に請求項1乃至4のいずれか一項に記載の黒化めっき液を用いて形成された黒化層と、を有する導電性基板。
  6. 前記黒化層の厚さが30nm以上120nm以下である請求項5に記載の導電性基板。
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