JP2010010179A - プラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】視認性を上げるために前面を黒色化してプラズマディスプレイに適用する電磁波シールドメッシュを製造するに当たり、黒色化のための層の膜厚を薄くし、かつ黒色度を高くせしめたプラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュの提供。
【解決手段】 透明樹脂シートへ貼り合せた銅箔をエッチングして形成した所定のメッシュパターンを有し、そのメッシュパターン表面が、原子%でニッケル50%以上,スズ15%以下,酸素20%以上を含む組成で、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層により被覆されており、前記黒色電気ニッケル−スズ合金めっき表面は、めっき後に酸化性のない酸溶液に浸漬する工程によって作製する。
【選択図】図2

Description

本発明はプラズマディスプレイに係わり、さらに詳しくはプラズマディスプレイの前面に、有害電磁波の遮蔽のために設置する黒色化シールドメッシュ及びその製造方法に関する。
プラズマディスプレイ(以下、PDPとも記す)における画像表示は、次のようにして行われる。PDP内に充填されたキセノンやネオンが放電によって励起して、紫外領域から近赤外領域にわたる線スペクトルが発生し、この中の紫外線が蛍光体に当たると、この蛍光体から画像表示のための可視光が発生する。この放電に伴って発生した電磁波がPDPから漏洩するため、その遮蔽の目的で、PDPの前面に金属製のシールドメッシュを設置する。
メッシュの開口部から画像を見ることができ、金属であるメッシュ部が電磁波を遮蔽する。このメッシュ部は、ディスプレイの画面上に見えるため、画像の視認性の向上の目的で表面を黒くする。黒色化された表面は、光沢なく、外部から入射した光の反射を防止する。
このようなシールドメッシュ表面の黒色化の方法として、いろいろな金属化合物をめっきで析出させる提案がなされている。これらは、メッシュ状に加工された金属基材の表面に溶液中から黒色皮膜を被覆するものである。
上述のようなめっきによる金属化合物の析出を用いた黒色被膜は、透明樹脂シート上に形成された金属メッシュに対して、透明樹脂シート部の透明性を維持しながら、金属表面を選択的に黒色化するのに好適である。しかも、溶液とめっき装置を用意すれば、設備投資も含め低コストで処理を行うことが可能である。めっき方法には、めっき液中の金属イオンを電気的に還元する電気めっきと、液中に添加した還元剤により化学的に還元する無電解めっきがあるが、一般的に電気めっきの方がランニングコストを低くすることができる。
このような方法の例として、特許文献1には、メッシュ状の金属層の表面および側面へめっき法で黒色処理層を設け、この黒色処理層は、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、若しくはクロムから選択された少なくとも1種の単体、または化合物を含有するという例が開示されている。 また、特許文献2においては、電磁波シールドシートの第2黒化層として、銅,コバルト,ニッケル,亜鉛,モリブデン,スズまたはクロムから選択された少なくとも一種の金属,またはこれらの金属の化合物、あるいは、これらの金属2種以上からなる合金をめっきにより形成したものが例示されている。
このような無光沢の金属層を表面に析出するものでは、基本的に白色〜灰色の金属皮膜の表面粗さを調整して析出させ、入射光を散乱させることによって黒色化している。析出金属を単一のものではなく複数の金属の共析物とすることにより、結晶を微細化させて入射光の散乱の度合いを増し黒色度を増しているが、黒色度を一層高めることには限界がある。
このため、めっきの方法を用いて黒色度を高めるため、析出させためっき表面に対してさらに処理を加えることが考案されている。例えば、特許文献3では、りん化合物を還元剤として無電解ニッケルめっきを施し、ついで、それを過マンガン酸酸性浴に浸漬させることにより、黒色ニッケル皮膜を形成させる方法が開示されている。また、特許文献4では、窒素化合物を添加した無電解ニッケル−リン合金めっき浴から形成された無電解ニッケル−リン合金皮膜を第二鉄塩を含有する酸性溶液で酸化処理する方法が開示されている。また、さらに、特許文献5では、ニッケル・リン合金めっき皮膜を形成し、該ニッケル・リン合金皮膜を硝酸水溶液で一次酸化処理し、次いで硫酸を含有する硝酸塩水溶液で二次酸化処理することにより、無数の微細な穴を有し、かつ、該無数の微細穴の壁面に更に微細な凹凸が形成された表面構造を有する黒色皮膜が形成されることを開示している。これらの方法でめっきの後に処理される溶液は酸化性を有するものであり、ニッケルめっき面を酸化・溶解させ、微細な凹凸を形成するものである。
ところが、このような無電解ニッケル−リン合金皮膜は元来黒色ではなく、凹凸を形成して十分な黒色度とするためには相当量のニッケルを溶解させなければならず、予め、溶解分を見込んで厚いめっき層を形成する必要がある。これは、プロセス全体の時間を長くすることになり好ましくない。
WO2004−093513 WO2005−072040 特開昭57−174442 特開平3−68785 特開平1−188680
そこで本発明の課題は、低コストで簡便なめっき法の利点を生かし、極めて薄いめっき膜厚で、かつ黒色度の高いPDP前面板用黒色化シールドメッシュを得ることである。また黒色めっき層の膜厚が薄くすることで、処理時間を短縮し、生産性を向上したPDP前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法を提供することである。
課題を解決するための本発明の1つの形態は、請求項1記載のPDP前面板用黒色化シールドメッシュであり、これは、透明樹脂シートへ貼り合せた銅箔をエッチングして形成したメッシュパターンを有し、そのメッシュパターン表面が、原子%でニッケル50%以上,スズ15%以下,酸素20%以上を含む組成で、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層により被覆されており、前記黒色電気ニッケル−スズ合金めっき表面が、めっき後に酸化性のない酸溶液に浸漬する工程によって作製されたことを特徴とするPDP前面板用黒色化シールドメッシュである。
このような黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層が形成されているため、かかる層の厚さは極めて薄いにもかかわらず、黒色度が高いという特徴を持つ。さらに、この特徴は、めっき後に酸化性のない酸溶液に浸漬する工程を経ることで簡便にもたらされたものである。
請求項2記載の発明は、この酸化性のない酸溶液が塩酸溶液であるというものである。前記のような、黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層が極めて薄いにもかかわらず、黒色度が高いという特徴は、塩酸溶液を使用することによって最も顕著にもたらされる。
課題を解決するための本発明のもう1つの形態は、請求項3記載のPDP前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法であり、少なくとも、下記の(1)〜(4)の工程を有し、メッシュパターン表面に黒色ニッケル−スズ合金めっき層を形成させることを特徴とするPDP前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法である。
(1)透明樹脂シートへ銅箔を貼り合せる工程
(2)前記銅箔をエッチングして所定のメッシュパターンを形成する工程
(3)前記メッシュパターン表面を、組成が原子%でニッケル50%以上,スズ25%以下,酸素10%以上を含み、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層により被覆する工程
(4)前記黒色電気ニッケル−スズ合金めっき表面を酸化性のない酸溶液に浸漬して表面の黒色度を向上させる工程
請求項4の発明は、前記PDP前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法の(4)の工程における酸化性のない酸溶液が、塩酸溶液であることを特徴とする。塩酸溶液を使用することによって黒色度向上の効果が最も顕著にもたらされる。
本発明のPDP前面板用黒色化シールドメッシュは、薄く、かつ黒色度の高い電気ニッケル−スズ合金めっき層を有するため、有害電磁波の遮蔽性に優れ、より視認性を上げると共に低コスト化を実現するという特性を持つ。また、本発明のPDP前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法は、元来コストパフォーマンスに優れ、プロセス構築が比較的平易という電気めっき法を用いて、さらにめっき時間短縮による生産性向上が可能であるという特性を持つ。
以下に本発明によるPDP前面板用黒色化シールドメッシュおよびその製造方法を、その一実施の形態に基いて工程を追って説明する。
図1は、本発明の黒色化シールドメッシュの製造方法の工程を示す断面視の説明図であり、図2はその平面視説明図である。
一連の工程を通す時、電磁波シールドメッシュを1枚毎の単位に切断して処理することもできるが、一般的にはシートをロールから一定速度で巻き出し、連続的に配置されたチャンバーを通すことで連続的に処理して、再度ロールに巻き取る形態のいわゆる「リール・トゥー・リール」方式が採用される場合が多い。
本発明の形態は、「リール・トゥー・リール」方式に限定されないが、以下では、この方式を念頭にして説明する。
図1および図2に示すように、透明樹脂シート1の上に、銅箔2をラミネートする。このラミネートの方法は特に指定されない。一般的なラミネートの方法は透明樹脂シート1に、透明接着剤を塗布してから、銅箔2をラミネートする方法である。このほか、接着剤を介さずに、透明樹脂シート1に無電解銅めっきや蒸着で銅箔2を析出させるなどの方法を取ることもできる。
透明樹脂シート1の材料としては、透明性が高いことが必要である。また、後続の処理で化学薬品が接触するため、それらの薬品に対する耐性を有することも必要である。そのような材料としては、具体的には、例えばアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂やエンジニアリングプラスチックと呼ばれるものが挙げられるが、価格や耐熱性等の点でPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂が好適である。
次に、銅箔2の表面にエッチング用のレジスト3を被覆し、パターンニングする。一般的な電磁波シールドメッシュでは、メッシュパターンのライン幅(W1)は5〜70μm、ラインの間隔(W2)は100〜1000μm程度であり、その仕様によってレジストの種類やパターンニングの方法が選択される。
一般的な方法は、感光性のドライフィルムレジストまたは液状レジストをコーティングし、フォトマスクを通して露光、現像するものである。この方法では、ライン幅(W1)が5〜20μmの高精細パターンを形成できる。しかし、精細度よりもコストを重視する場合には、レジスト3を印刷で形成することもできる。
次に、レジスト3を被覆していない露出部分の銅箔2をエッチングして銅メッシュパターンを形成する。エッチングの方法は、一般的に、塩化第2鉄、または塩化第2銅を主成分とするエッチング液を使用した化学的エッチングを行なう。エッチング後には、エッチングレジスト3を除去する。除去の方法は、用いるレジストにもよるが、通常は、アルカリ性の水溶液に浸漬して溶解除去する。
そして、形成された銅メッシュパターンの表面を黒色化するが、その直前処理として表面を脱脂、および、化学粗化することが望ましい。銅メッシュパターンの表面には、エッチングレジスト3の残渣などの有機物が付着し、その部分は、後続の処理において処理液の濡れ性が劣るためにムラを生じる場合がある。そこで、それら有機物を除くために脱脂処理を行うことが望ましい。脱脂処理は、市販の酸性またはアルカリ性の脱脂液に浸漬するか、脱脂液中で電解処理を行う。
また、黒色化される銅メッシュパターンの表面は、入射する外部からの光を散乱させるため、平坦でなく凹凸があった方がよい。そのため、銅メッシュパターンの表面を化学的に粗化する。この処理は、化学粗化液、または、ソフトエッチング液などと呼ばれる水溶液中に、銅メッシュパターンを浸漬することによって行なう。 この液は、一般的に、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、過酸化水素水などの成分を含んでいる。このような、脱脂および粗化のプロセスは、最終的に黒色化した銅メッシュパターンの仕様や、上述のような表面の汚れ付着の度合いによって必要性が変わるため、導入が必要かどうかは事業者によって決められるべきである。
次に、銅メッシュパターンに、黒色ニッケル−スズ電気めっき4を施す。この電気めっき工程において、組成が原子%でニッケル50%以上,スズ25%以下,酸素10%以上を含み、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層を析出させる。そのために使用するめっき液は指定されないが、例えば次のようなめっき液(1)が使用される。
(1)
塩化第1スズ 6g/L
塩化ニッケル 60g/L
ピロリン酸カリウム 200g/L
グリシン 25g/L
pH 8.5(アンモニアで調整)
あるいは、次のようなめっき液(2)も使用できる。
(2)
塩化第1スズ 9g/L
塩化ニッケル 25g/L
ピロリン酸カリウム 200g/L
システイン 5g/L
pH 9.0(アンモニアで調整)
市販液としては、スタナロイ ネオブラック,スタナロイ ロゼブラウン(キザイ(株)製)などを使用できる。これらの液では液温は20〜35℃,が適当である。アノードは、カーボンまたは、白金被覆チタン電極が使用できる。
前記の組成,膜厚の黒色ニッケル−スズ電気めっきを得るためには、電流密度および、めっき時間の設定も重要な因子である。電流密度は 0.5〜5A/dmが適当な範囲であり、めっき時間は膜厚が300nm以下となるよう、電流密度との関係で設定される。例えば、1A/dmでは1.5分以下、2A/dmでは45秒以下となる。前記の組成、および、膜厚の両方の条件を満たすような条件を選択する。時間的には、好ましくは1分以内で終了するため、プロセス設計の上で非常に採用が容易である。「リール・トゥー・リール」方式の場合は、めっき時間によってめっき槽の長さを設計するが、本プロセスでは非常に短くて済むため、設備投資の額も抑えることができる。
電気ニッケル−スズめっき工程の後、水洗に引き続き、酸化性のない酸溶液に浸漬する。これにより、黒色度を向上させた黒色ニッケル−スズめっき面5を得ることができる。この酸溶液は、酸化性がないことが必要であり、もし、硝酸,過マンガン酸塩,第2鉄塩など酸化性のある溶液を使用した場合は、もともと300nm以下の薄いニッケル−スズめっき皮膜はごく短い時間内に溶解されてしまうため不可である。
酸化性のない酸としては、塩酸が最適である。濃度は特に定めないが、濃塩酸に対して1〜50容量%が適当である。薄すぎると、黒色度を向上させる効果が現れず、濃すぎると、めっき層の溶解速度が大きくなってプロセスコントロールが難しくなる。塩酸以外の酸化性のない酸としては、臭化水素酸,フッ化水素酸,硫酸,メタンスルホン酸,ほうふっ酸などが挙げられる。浸漬する時間は、酸の濃度によるが、1〜60秒程度である。酸溶液の温度は常温でよい。リール・トゥー・リール方式においては、規定の長さの浸漬槽を設け、そこを一定速度でシートを連続的に通して処理を行う。
本発明の酸化性のない酸溶液への浸漬により、黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層5の表面は、原子%でニッケル50%以上,スズ15%以下,酸素20%以上を含む組成となり、ニッケル分はほとんど変化しないが、スズ分が減少し、酸素分が増加する。これは、この酸化性のない酸溶液への浸漬で、表層のスズ分が選択的に溶解したものと考えられる。そして、スズ分が抜けることで極めて微小な表面上の空孔が生じ、その部分が空気酸化を受けることによって黒色度が増すものと考えられる。また、めっき層の膜厚はほとんど減少しない。
この酸化性のない酸溶液への浸漬後、黒色化されたPDP前面板用シールドメッシュは、水洗、乾燥される。リール・トゥー・リール方式においては、最終的に巻き取られて工程を終える。
ここで、めっき層の組成に測定について定義を行なう。本発明に係るめっき層の厚さは300nm以下と非常に薄いため、表面のみを定量性よく測定できるXPS(X線光電子分光 [X−ray photoelectron spectroscopy])法を用いる。また、めっき面の最表面は、大気中の汚染物質の吸着などがあるため、最低10nmのスパッタを行なってから測定を行なう。主要な検出元素は、ニッケル,スズ,酸素であるが、素地の銅や、炭素,窒素,イオウも検出されることがある。ピーク強度を対比することによって、以上の検出元素全体に対する特定の元素の組成を求める。
本発明のPDP前面板用黒色化シールドメッシュは、透明樹脂シートへ貼り合せた銅箔をエッチングして形成した所定のメッシュパターンを有し、そのメッシュパターン表面が、原子%でニッケル50%以上,スズ15%以下,酸素20%以上を含む組成で、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層により被覆されており、前記黒色電気ニッケル−スズ合金めっき表面が、めっき後に酸化性のない酸溶液に浸漬する工程によって作製されたことを特徴とする。
透明樹脂シートは、透明性が高いことが必要である。また、後続の処理で化学薬品が接触するため、それらの薬品に対する耐性を有することも必要である。そのような材料としては、具体的には、例えばアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂やエンジニアリングプラスチックと呼ばれるものが挙げられるが、価格や耐熱性等の点でPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂が好適である。
銅箔をエッチングして形成した所定のメッシュパターンは、ライン幅(W1)は5〜70μm、ラインの間隔(W2)は100〜1000μm程度である。その製造方法は前記の通りである。
メッシュパターンの表面は、原子%でニッケル50%以上,スズ15%以下,酸素20%以上を含む組成で、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層により被覆されており、めっき後に酸化性のない酸溶液に浸漬する工程を経て作製されたものである。この酸溶液に浸漬する工程は、前記のように表層のスズ分を選択的に溶解するものである。図3は、最表面,10nmスパッタ後,30nmスパッタ後における、XPSスペクトルのSn3d5に相当するピーク形状を示したものであり、最表面では、SnはSnOとして存在して金属スズ分がほとんどないのに対し、スパッタ後では金属スズ分が存在する特徴的な状態となっている。酸化性のない酸溶液に浸漬しない場合は、最表面においてもSnOと同程度の強度で金属スズに相当するピークが認められる。
次に、黒色のニッケル−酸化ニッケル共析物の電気めっき工程に関し、実施例および比較例を示して説明する。
PET製の透明シート(500mm×500mm、厚さ50μm)に18μm厚さの銅箔を、アクリル系樹脂の透明接着剤でラミネートした。一般的な方法により、銅箔上に感光性のドライフィルムをラミネートし、露光、現像、塩化第2鉄エッチング、レジスト剥離という工程を通し、図1、2に例示した、ライン幅50μm、ライン間隔300μmのメッシュパターンを形成した。
このシートに黒色電気ニッケル−スズめっきを析出させ、さらに、塩酸浸漬処理を行ってその効果を検討した。
なお、めっきの前処理時には、シートはプラスチック板に貼りつけて固定した。また、前処理として、過硫酸ナトリウム100g/L、硫酸50g/Lの溶液に室温で30秒浸漬して銅表面を化学粗化し、その後水洗を行なった。
電気めっき液、基本的なめっき条件,および、塩酸浸漬処理条件は次の通りである。
電気めっき液 塩化第1スズ 6g/L
塩化ニッケル 60g/L
ピロリン酸カリウム 200g/L
グリシン 25g/L
pH 8.5(アンモニアで調整)
めっき条件 電流密度 2.0 A/dm2
温度 30 ℃
めっき時間 20秒
アノード カーボン板(500mm×500mm)
塩酸浸漬 塩酸溶液 濃塩酸 10容量%希釈
時間 10秒
温度 常温 (25℃)
めっき後、および、さらに塩酸浸漬を行なった後の色調やめっき皮膜の組成を調べ、その結果を表1にまとめた。めっき皮膜の原子組成は、XPS分光法により測定した。黒色度の測定は、前記シート上のエッチングでメッシュが形成されていない部分に、PDP前面板として使用される状態に合わるために粘着性PETフィルムを貼付し、市販の色分布測定装置(CM−2600)でL*値を測定した。L*値は、小さいほど黒色度が高いことを示す。
表1から、本発明における塩酸処理の黒色度向上の効果および、それを裏付ける表面組成の変化がわかる。 めっき後のニッケル−スズめっきは灰色であるが、それを塩酸浸漬処理することで黒色度が向上した。L*値は19から12に変化し、数値上も黒色度が向上していることが明確となった。塩酸浸漬により、成分組成は、ニッケル分はほとんど変化しないが、スズ分が減少し、酸素分が増加しており、表層のスズ分が選択的に溶解したものと考えられる。そして、スズ分が抜けることで極めて微小な表面上の空孔が生じ、その部分が空気酸化を受けることによって黒色度が増すものと考えられる。また、膜厚はほとんど減少しておらず、このことから、130nm程度のめっき層の膜厚でも十分な黒色度を得られることが確認された。
本発明の黒色化PDP前面板用シールドメッシュの製造工程の一例を示す断面視説明図である。 図1に示した本発明の黒色化PDP前面板用シールドメッシュの加工の変遷を模式的に示す平面視説明図である。 本発明における黒色化ニッケル−スズめっき層のXPSスペクトルであり、Sn3d5に相当するピーク形状を示したものである。
符号の説明
1・・・透明樹脂シート
2・・・銅箔
3・・・エッチング用のレジスト
4・・・黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層
5・・・黒色度を向上させた黒色ニッケル−スズめっき

Claims (4)

  1. 透明樹脂シートへ貼り合せた銅箔をエッチングして形成したメッシュパターンを有し、該メッシュパターンの表面が、原子%でニッケル50%以上,スズ15%以下,酸素20%以上を含む組成で、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層により被覆されており、前記黒色電気ニッケル−スズ合金めっき表面が、めっき後に酸化性のない酸溶液に浸漬する工程によって作製されたことを特徴とするプラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュ。
  2. 前記酸化性のない酸溶液が、塩酸溶液であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュ。
  3. 少なくとも、下記の(1)〜(4)の工程を有し、メッシュパターン表面に、黒色ニッケル−スズ合金めっき層を形成させることを特徴とするプラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法。
    (1)透明樹脂シートへ銅箔を貼り合せる工程
    (2)前記銅箔をエッチングして所定のメッシュパターンを形成する工程
    (3)前記メッシュパターン表面を、組成が原子%でニッケル50%以上,スズ25%以下,酸素10%以上を含み、膜厚が300nm以下である黒色電気ニッケル−スズ合金めっき層により被覆する工程
    (4)前記黒色電気ニッケル−スズ合金めっき表面を酸化性のない酸溶液に浸漬して表面の黒色度を向上させる工程
  4. 前記(4)の工程における酸化性のない酸溶液が、塩酸溶液であることを特徴とする請求項3記載のプラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法。
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