JPWO2018211932A1 - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
それらの技術の一つとして、例えば特許文献1には、ゴム成分とカーボンブラックとの化学的相互作用を向上させることを目的として、天然ゴムを含むエラストマーに、カーボンブラック及び特定のヒドラジド化合物を配合したゴム組成物が開示されている。
上記構成を具えることによって、優れた低発熱性及び耐摩耗性を実現できる。
0.05<b/(a+b)<0.9
より優れた低発熱性及び耐摩耗性を実現できるためである。
上記構成を具えることによって、優れた低発熱性及び耐摩耗性を実現できる。
<タイヤ用ゴム組成物>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分、カーボンブラック及びシリカを含むゴム組成物である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に含まれるゴム成分については、ジエン系ゴムを含有するゴム成分であり、ジエン系ゴムについては、天然ゴム及び任意の合成ゴムを用いることが可能である。
なお、前記ゴム成分におけるジエン系ゴムについては、主成分となることが好ましく、具体的には、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
また、前記ゴム成分が天然ゴムを含む場合には、天然ゴムの含有量が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。より優れた低発熱性及び耐摩耗性を得ることができるためである。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したゴム成分に加えて、カーボンブラックをさらに含む。
ここで、前記カーボンブラックの種類や含有量については特に限定されず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
前記カーボンブラックの種類については、GPF、FEF、SRF、HAF、ISAF、IISAF、SAFグレード等のカーボンブラックが挙げられ、いずれか一種を用いても、複数の種類を混合して用いてもよい。また、より優れた低発熱性及び耐摩耗性を実現できる点からは、HAF〜SAFの範囲に含まれるハードカーボンブラックのうちの少なくとも一種を用いることが好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したゴム成分及びカーボンブラックに加えて、シリカをさらに含む。
ここで、前記シリカの種類や含有量については特に限定されず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
前記シリカの種類については、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ及びコロイダルシリカ等が挙げられ、いずれか一種を用いても、複数の種類を混合して用いてもよい。
0.05<b/(a+b)<0.9
を満たすことがより好ましく、
0.1<b/(a+b)<0.7
を満たすことが特に好ましい。なお、含有量a及びbについては、いずれもゴム組成物に含まれる質量(又は質量の割合)のことである。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したゴム成分、式(I)〜(V)で表される化合物、並びに、式(IV)で表される化合物の塩、溶媒和物及び塩の溶媒和物、からなる群より選択される少なくとも一種であるカーボンブラック分散剤を含む。
前記カーボンブラック分散剤を構成する化合物として、式(I)で表される化合物が挙げられる。
また、式(I)のR11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、アシル基、アミド基、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基からなる群から選択される少なくとも一種の置換基である。さらに、これらの置換基については、酸素、硫黄及び窒素原子のうちの一種以上を含んでいてもよい。
また、ゴム成分と充填材との化学的相互作用が大きく向上する結果、ゴム組成物の低発熱性を維持しつつ、スコーチ性が高まるため(スコーチ時間が長くなるため)、加工性についても向上が可能となる。
また、前記極性基の種類については、特に限定はされず、例えば、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基、アルコキシシリル基、アルキルアミノ基、ニトロ基等が挙げられる。それらの中でも、前記極性基は、少なくとも1つがヒドロキシル基、アミノ基又はニトロ基であることが好ましく、ヒドロキシル基であることがより好ましく、少なくとも2つがヒドロキシル基であることが特に好ましい。さらに優れた充填材との親和性を示し、ゴム組成物の低発熱性をより向上できるためである。
さらに、R11及びR12については、上述した置換基の中でも、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、R11及びR12がいずれも水素原子であることがより好ましい。ゴム成分と高い親和性を有し、より優れた低発熱性及び加工性が得られるためである。
前記カーボンブラック分散剤を構成する化合物として、式(II)で表される化合物が挙げられる。
また、式(II)のR13は、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基からなる置換基である。さらに、これらの置換基については、酸素、硫黄及び窒素原子のうちの一種以上を含んでいてもよい。
また、ゴム成分と充填材との化学的相互作用が大きく向上する結果、ゴム組成物の低発熱性を維持しつつ、スコーチ性が高まるため(スコーチ時間が長くなるため)、加工性についても向上が可能となる。
また、前記極性基の種類については、特に限定はされず、例えば、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基、アルコキシシリル基、アルキルアミノ基、ニトロ基等が挙げられる。それらの中でも、前記極性基は、ヒドロキシル基又はアミノ基を含むことが好ましく、ヒドロキシル基を含むことがより好ましい。さらに優れた充填材との親和性を示し、ゴム組成物の低発熱性をより向上できるためである。
前記カーボンブラック分散剤を構成する化合物として、式(III)で表される化合物(ベンズイミダゾリルアルキルチオ硫酸)が挙げられる。
前記ベンズイミダゾリルアルキルチオ硫酸としては、例えば、S−((ベンズイミダゾリル−2)メチル)チオ硫酸、S−(2−(ベンズイミダゾリル−2)エチル)チオ硫酸、S−(3−(ベンズイミダゾリル−2)n−プロピル)チオ硫酸、S−(2−(ベンズイミダゾリル−2)イソプロピル)チオ硫酸、S−(4−(ベンズイミダゾリル−2)n−ブチル)チオ硫酸、S−(5−(ベンズイミダゾリル−2)n−ペンチル)チオ硫酸、S−(6−(ベンズイミダゾリル−2)n−ヘキシル)チオ硫酸等が挙げられる。
なお、これらのベンズイミダゾリルアルキルチオ硫酸は、一種又は二種以上を組み合わせてカーボンブラック分散剤の成分として使用してもよい。
この反応によりベンズイミダゾリルアルキルチオ硫酸の塩酸塩が生成する。続いて、該塩酸塩を苛性ソーダ水溶液で中和することによって、ベンズイミダゾリルアルキルチオ硫酸が生成する。
当該ベンズイミダゾリルアルキルチオ硫酸は、中和後に、反応液を濃縮乾固した後、適当な溶剤で抽出することによって単離精製することができる。この抽出に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。
前記の前駆体を合成するための反応時間や反応温度に特に制限はないが、反応温度は0〜90℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。反応時間は1〜12時間であることが好ましく、2〜8時間であることがより好ましい。反応に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。これらの溶媒は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
前記のチオ硫酸の金属塩としては、例えば、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸マグネシウム、チオ硫酸セシウム、チオ硫酸コバルト、チオ硫酸銅、チオ硫酸亜鉛等が挙げられる。
前記カーボンブラック分散剤を構成する化合物として、式(IV)で表される化合物(以下、化合物(IV)ともいう。)、式(IV)で表される化合物の塩、式(IV)で表される化合物の溶媒和物、及び、式(IV)で表される化合物の塩の溶媒和物が挙げられる。
化合物(IV)のカルボキシラート塩としては、例えば、式(IV)で表される化合物又は塩において、R4が−O−(Yn+)1/nである塩が挙げられる。
化合物(IV)中のアミン部分において酸とともに形成される付加塩における、酸としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。
化合物(IV)の溶媒和物としては、メタノール和物や水和物等が挙げられる。
化合物(IV)中の炭素−炭素二重結合とR3及びCO−R4との結合については、炭素−炭素二重結合の立体がE体の化合物、Z体の化合物、又は、E体の化合物及びZ体の化合物の混合物のいずれであってもよい。中でも炭素−炭素二重結合の立体がZ体である化合物が好ましい。
炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等の炭素数1〜7のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数3〜4のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数7〜11のアリールオキシカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素数2〜7のアシルオキシ基;等が挙げられる。
炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、t−ブチルシクロヘキシレン基が好ましい。
Arにおける炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。
R1における*−B1−Ar−B2−*基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、下記の基等が挙げられる。なお、式中の*は結合手を表す。
R2及びR3における炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
R2及びR3における炭素数6〜12のアリール基は、炭素数6〜12の単環式又は縮合多環式芳香族炭化水素を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
R2及びR3における炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
R2及びR3が互いに結合した炭素数2〜12のアルカンジイル基としては、上記素数3〜12のアルカンジイル基で挙げたものと同じ基が挙げられ、炭素数3又は4のアルカンジイル基であることが好ましい。また、R2及びR3が一緒になって、それらが結合している炭素原子と共に形成する環状構造としては、例えばシクロペンテン環、シクロヘキセン環等が挙げられる。
R2及びR3としては、R2が水素原子であり、R3が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、R2及びR3が水素原子であることがより好ましい。
R4における炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、上記のR2及びR3における炭素数6〜12のアリール基にオキシ基が結合した基等が挙げられ、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
R4における炭素数7〜15のアリールアルコキシ基としては、フェニルエチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルプロピルオキシ等が挙げられる。
R4における−NR5R6としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
Y+としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び周期表IB、IIB族の遷移元素からなる群から選ばれる金属のカチオン、アミン等のカルボキシ基と塩形成しうる有機塩基類のカチオン等が挙げられ、例えばLi+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Zn2+、Cu2+、Cu+、Ag+、(NH4)+、[NH(C2H5)3]+、[NH(C2H5)(i−C3H7)2]+、+H3N−(CH2)2−NH3 +、+H3N−(CH2)6−NH3 +等が挙げられる。
R4としては、ヒドロキシ基又は−O−(Yn+)1/nが好ましく、ヒドロキシ基又は−O−(Yn+)1/n(Yがアルカリ金属)がより好ましい。
前記P1で表される保護基としては、tert-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。保護基を使用した場合には、その保護基を汎用される方法にて除去することができる。
式(IV−I)で表される化合物は、無水マレイン酸等の対応する酸無水物を、エステル化反応、アミド化反応又は塩形成反応することにより製造することができる。
前記カーボンブラック分散剤を構成する化合物として、式(V)で表される化合物(以下、「化合物(V)ともいう。)が挙げられる。
R31とR32とが互いに結合して、それらが結合している窒素原子とともに環を形成している場合、R31とR32とが互いに結合して形成する基としてはポリメチレン基が挙げられ、ポリメチレン基としては、エチレン基(ジメチレン基)、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。R31及びR32としては、水素原子が好ましい。
S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩としては、S−(アミノエチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(アミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム、S−(アミノブチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(アミノペンチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(アミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム、S−(アミノヘプチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(アミノオクチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(アミノノニル)チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
S−(N,N−ジアルキルアミノアルキル)チオ硫酸としては、S−(N,N−ジメチルアミノエチル)チオ硫酸、S−(N,N−ジメチルアミノプロピル)チオ硫酸、S−(N,N−ジメチルアミノブチル)チオ硫酸、S−(N,N−ジメチルアミノペンチル)チオ硫酸、S−(N,N−ジメチルアミノヘキシル)チオ硫酸、S−(N,N−ジメチルアミノヘプチル)チオ硫酸、S−(N,N−ジメチルアミノオクチル)チオ硫酸、S−(N,N−ジメチルアミノノニル)チオ硫酸等が挙げられる。
S−(N,N−ジアルキルアミノアルキル)チオ硫酸塩としては、S−(N,N−ジメチルアミノエチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N,N−ジメチルアミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N,N−ジメチルアミノブチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N,N−ジメチルアミノペンチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N,N−ジメチルアミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N,N−ジメチルアミノヘプチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N,N−ジメチルアミノオクチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N,N−ジメチルアミノノニル)チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
S−(N−モノアルキルアミノアルキル)チオ硫酸としては、S−(N−メチルアミノエチル)チオ硫酸、S−(N−メチルアミノプロピル)チオ硫酸、S−(N−メチルアミノブチル)チオ硫酸、S−(N−メチルアミノペンチル)チオ硫酸、S−(N−メチルアミノヘキシル)チオ硫酸、S−(N−メチルアミノヘプチル)チオ硫酸、S−(N−メチルアミノオクチル)チオ硫酸、S−(N−メチルアミノノニル)チオ硫酸等が挙げられる。
S−(N−モノアルキルアミノアルキル)チオ硫酸塩としては、S−(N−メチルアミノエチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N−メチルアミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N−メチルアミノブチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N−メチルアミノペンチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N−メチルアミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N−メチルアミノヘプチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N−メチルアミノオクチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(N−メチルアミノノニル)チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したゴム成分、カーボンブラック、シリカ及びカーボンブラック分散剤に加えて、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)が27以上の化合物をさらに含む。
前記HSPが27以上の化合物は、極性が高く、上述したカーボンブラック分散剤よりも優先的にシリカの表面に吸着され、シリカの表面を覆うシールディング剤としての効果を果たすこととなり、シリカ表面にカーボンブラックが吸着されるのを抑制できる。その結果、前記カーボンブラック分散剤による、カーボンブラックの分散性をより高めることができるため、ゴム組成物の低発熱性及び耐摩耗性を従来技術に比べて向上させることができる。
ここで、ハンセンの溶解度パラメーター(HSP)は、物質の溶解性の示すためのパラメータである。本発明では、HSPの値を、Charles M. Hansen, Hansen Solubility Parameters: A user's handbook, Second Edition(2007)に記載の方法から算出された値とする。
同様の理由から、前記化合物のHSPは、29以上であることが好ましい。
これらの化合物としては、例えば、グリセロースモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ステアリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ラウリン酸アミド等が挙げられる。
なお、前記HSPが27以上である化合物については、一種単独で用いることもできるし、複数の種類を混合して用いることもできる。
前記HSPが27以上の化合物の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して3質量部以上の場合には、前記シリカの表面をシールディングする効果が十分に得られ、より優れた低発熱性が得られる。一方、前記化合物の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して20質量部以下の場合、十分な耐摩耗性が確保できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したゴム成分、カーボンブラック、シリカ、カーボンブラック分散剤及びHSPが27以上の化合物に加えて、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、シランカップリング剤、老化防止剤、亜鉛華等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含むことができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
さらに、軟化剤を配合する場合には、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以下で配合することが好ましく、5質量部以下で配合することがより好ましい。
本発明のタイヤは、上述した本発明のタイヤ用ゴム組成物を用いてなることを特徴とする。本発明のタイヤ用ゴム組成物をタイヤ材料として含むことで、優れた低発熱性及び耐摩耗性を実現できる。
前記ゴム組成物を適用する部位については、タイヤの中でもトレッドに用いることが好ましい。本発明のタイヤ用ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低発熱性及び耐摩耗性に優れる。
なお、本発明のタイヤは、上述した本発明のタイヤ用ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。なお、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
表1に示す配合処方で、各実施例及び比較例のゴム組成物を調製した。
調製した各ゴム組成物のサンプルに対して、下記の方法で、低発熱性及び耐摩耗性について、評価を行った。評価結果を表1に示す。
各サンプルのゴム組成物を、145℃で33分間加硫して加硫ゴムを得た。得られた加硫ゴムに対し、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。
なお、tanδは、比較例1の値を100としたときの指数で示し、小さい程、低発熱性に優れることを示す。
調製した各加硫ゴムから円板状(直径16.2mm×厚さ6mm)に切り抜いた試験片を用い、JIS K6264-2:2005に準じて、DIN摩耗試験を行い、室温でDIN摩耗試験を行った際の摩耗量(mm3)を測定した。
なお、各サンプルにおいて測定した摩耗量については、比較例1の摩耗量の逆数を100とした場合の、各サンプルの摩耗量の逆数を指数として表示している。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
*2:旭カーボン(株)製「♯80」
*3:東ソー・シリカ(株)製「ニプシルAQ」
*4:ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド、Evonik社製 商品名「Si75」(登録商標)
*5:三共油化工業(株)製「A/O MIX」
*6:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業(株)製「ノクラック224」
*7:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業(株)製「サンセラーNS」
*8:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業(株)製「サンセラーCM」
*9:3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、東京化成工業(株)製
*10: 2,6−ジヒドロキシベンゾヒドラジド、大塚化学(株)製
*11:S−(2−(ベンズイミダゾリル−2)エチル)チオ硫酸、四国化成工業(株)製
*12: ナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸、住友化学(株)製「スミリンク200」
*13:S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸、住友化学(株)製「スミリンク100」
*14:花王(株)製「エキシルS−95」、HSP値:35.6
*15:日本化成(株)製「ダイヤミッドY 」、HSP値:29.2
*16:モノ[POP(5)ラウリルエーテル]マレイン酸エステル、HSP値:26.2
*17:花王(株)製「ファーミンDM8098」、HSP値:21.7
Claims (9)
- ジエン系ゴムを含有するゴム成分、カーボンブラック及びシリカを含むゴム組成物であって、
該ゴム組成物は、式(I)〜(V)で表される化合物、並びに、式(IV)で表される化合物の塩、溶媒和物及び塩の溶媒和物、からなる群より選択される少なくとも一種であるカーボンブラック分散剤と、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)が27以上の化合物とを、さらに含むことを特徴とする、タイヤ用ゴム組成物。
- 前記カーボンブラック分散剤を、前記ゴム成分100質量部に対して、0.05〜30質量部含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記HSPが27以上の化合物を、前記シリカの含有量に対して、3〜30質量%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分が、天然ゴムを60質量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記カーボンブラックを、前記ゴム成分100質量部に対して、10〜160質量部含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ゴム組成物中の、カーボンブラックの含有量をa、シリカの含有量をbとしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする、請求項5に記載のタイヤ用ゴム組成物。
0.05<b/(a+b)<0.9 - 前記ゴム組成物中の、カーボンブラックの含有量をa、シリカの含有量をbとしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする、請求項5に記載のタイヤ用ゴム組成物。
0.05<b/(a+b)<0.9 - 前記HSPが27以上の化合物が、炭素数9以上の脂肪酸、並びに、窒素及び酸素のうちから選択される少なくとも1つの原子を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いてなることを特徴とする、タイヤ。
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