JP2017101132A - ゴム組成物および加硫ゴム組成物 - Google Patents

ゴム組成物および加硫ゴム組成物 Download PDF

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オルハン オズトゥルク
武史 原
Takeshi Hara
武史 原
泰生 上北
Yasuo Kamikita
泰生 上北
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Abstract

【課題】アミンのみを使用する場合に比べてゴム組成物のスコーチを大幅に増大させず、且つ加硫ゴム組成物の損失係数を低減させること。【解決手段】式(I)で表されるカルボン酸および式(II)で表されるアミンまたはこれらの塩、ゴム成分、および充填剤を混練して得られるゴム組成物[式(I)および(II)中の基の定義は明細書に記載した通りである]。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物および加硫ゴム組成物等に関する。
近年、環境保護の要請から、自動車の燃費向上(すなわち、低燃費化)が求められている。そして、自動車用タイヤの分野においては、タイヤ製造に用いられる加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)を低減させることにより、自動車の燃費が向上することが知られている(非特許文献1参照)。
日本ゴム協会編「ゴム技術入門」丸善株式会社、第123〜124頁
本発明者らは、自動車の燃費向上のために検討を重ねていたところ、1,6−ジアミノヘキサンのようなアミンが加硫ゴム組成物の損失係数を低減させ得ること、しかし、アミンは、硫黄成分を含有するゴム組成物のスコーチを増大させることを見出した。本発明はこのような知見に着目してなされたものであって、その目的は、アミンのみを使用する場合に比べてゴム組成物のスコーチを大幅に増大させず、且つ加硫ゴム組成物の損失係数を低減させることにある。
本発明者らが上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、1,6−ジアミノヘキサンのようなアミンおよびカルボン酸を併用するか、またはそれらの塩を用いることにより、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させると共に、その構成成分であるアミンを単独で用いる場合に比べて、ゴム組成物のスコーチを大幅に増大させないことを見出した。この知見に基づく本発明は、以下の通りである。
[1] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸、
式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミン、
ゴム成分、および
充填剤
を混練して得られるゴム組成物。
[2] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸と、式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンとの塩、
ゴム成分、および
充填剤
を混練して得られるゴム組成物。
[3] QおよびQが、それぞれ独立に、
式(1):
[式(1)中、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
*は、カルボニル基との結合位置を表す。]、または
式(2):
[式(2)中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基を形成する。
*は、カルボニル基との結合位置を表す。]
で表される前記[1]または[2]に記載のゴム組成物。
[4] カルボン酸が、式(I−2):
[式(I−2)中、
、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成するか、或いはR10およびR11が結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表される前記[1]または[2]に記載のゴム組成物。
[5] カルボン酸が、式(I−3):
[式(I−3)中、R、R、R10、R11、X、YAおよびkは、前記[4]における記載と同一である。]
で表わされる前記[4]に記載のゴム組成物。
[6] ゴム成分が、ジエン系ゴムを含む前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[7] 充填剤が、カーボンブラックを含む前記[1]〜[6]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[8] さらに硫黄成分を混練して得られる前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[9] 前記[8]に記載のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物。
[10] 前記[9]に記載の加硫ゴム組成物を含む空気入りタイヤ。
[11] 前記[9]に記載の加硫ゴム組成物およびスチールコードを含むタイヤ用ベルト部材。
[12] 前記[9]に記載の加硫ゴム組成物およびカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス部材。
[13] 前記[9]に記載の加硫ゴム組成物を含むタイヤ用部材。
[14] 前記[9]に記載の加硫ゴム組成物を含むゴム製品。
[15] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR12−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸、
式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミン、
ゴム成分、および
充填剤
を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
[16] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸と、式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンとの塩、
ゴム成分、および
充填剤
を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
[17] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR13−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸、
式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミン、
ゴム成分、
充填剤、および
硫黄成分
を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
[18] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸と、式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンとの塩、
ゴム成分、
充填剤、および
硫黄成分
を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
[19] 前記[17]または[18]に記載の製造方法によって得られたゴム組成物を加硫することを含む加硫ゴム組成物の製造方法。
[20] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸と、式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンとの塩を含有する、加硫ゴム組成物用の損失係数低減剤。
[21] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸、および
式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンの、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるための使用。
[22] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸と、式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンとの塩の、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるための使用。
[23] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸、
式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミン、
ゴム成分、
充填剤、および
硫黄成分
を混練することを含む、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させる方法。
[24] 式(I):
[式(I)中、
およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸と、式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンとの塩、
ゴム成分、
充填剤、および
硫黄成分
を混練することを含む、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させる方法。
[25] 式(I−2):
[式(I−2)中、
、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成するか、或いはR10およびR11が結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
で表されるカルボン酸と、式(II):
[式(II)中、
n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
で表されるアミンとの塩。
[26] カルボン酸が、式(I−3):
[式(I−3)中、R、R、R10、R11、X、YAおよびkは、前記[25]における記載と同一である。]
で表される前記[25]に記載の塩。
[27] R、R、R10およびR11が、水素原子である前記[25]または[26]に記載の塩。
[28] Rが、水素原子である前記[25]〜[27]のいずれか一つに記載の塩。
本発明によれば、アミンのみを使用する場合に比べてゴム組成物のスコーチを大幅に増大させず、且つ加硫ゴム組成物の損失係数を低減させることができる。
以下、本発明を順に説明する。なお、以下では、上述した「式(I)で表されるカルボン酸」を「カルボン酸(I)」と略称することがある。他の式で表される化合物も同様に略称することがある。
<カルボン酸(I)およびアミン(II)の併用、およびこれらの塩>
本発明は、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるために、カルボン酸(I)およびアミン(II)を併用するか、またはこれらの塩を使用する。カルボン酸(I)およびアミン(II)はいずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明は、以下のものを提供する:
(i)カルボン酸(I)、アミン(II)、ゴム成分、および充填剤を混練して得られるゴム組成物、
(ii)カルボン酸(I)、アミン(II)、ゴム成分、充填剤、および硫黄成分を混練して得られるゴム組成物、
(iii)前記(ii)のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物、およびそれを含むゴム製品(例えば、空気入りタイヤ、タイヤ用ベルト部材、タイヤ用カーカス部材、その他のタイヤ用部材)、
(iv)カルボン酸(I)、アミン(II)、ゴム成分、および充填剤を混練することを含むゴム組成物の製造方法、
(v)カルボン酸(I)、アミン(II)、ゴム成分、充填剤、および硫黄成分を混練することを含むゴム組成物の製造方法、
(vi)前記(v)の製造方法によって得られたゴム組成物を加硫することを含む加硫ゴム組成物の製造方法、
(vii)加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるためのカルボン酸(I)およびアミン(II)の使用、並びに
(viii)カルボン酸(I)、アミン(II)、ゴム成分、充填剤、および硫黄成分を混練することを含む、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させる方法。
また、本発明は、以下のものを提供する:
(i’)カルボン酸(I)とアミン(II)との塩(好ましくはカルボン酸(I−2)とアミン(II)との塩)、
(ii’)カルボン酸(I)とアミン(II)との塩、ゴム成分、および充填剤を混練して得られるゴム組成物、
(iii’)カルボン酸(I)とアミン(II)との塩、ゴム成分、充填剤、および硫黄成分を混練して得られるゴム組成物、
(iv’)前記(iii’)のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物、およびそれを含む製品、
(v’)カルボン酸(I)とアミン(II)との塩、ゴム成分、および充填剤分を混練することを含むゴム組成物の製造方法、
(vi’)カルボン酸(I)とアミン(II)との塩、ゴム成分、充填剤、および硫黄成分分を混練することを含むゴム組成物の製造方法、
(vii’)前記(vi’)の製造方法によって得られたゴム組成物を加硫することを含む加硫ゴム組成物の製造方法、
(viii’)カルボン酸(I)とアミン(II)との塩を含有する、加硫ゴム組成物用の損失係数低減剤(ここで「加硫ゴム組成物用の損失係数低減剤」とは、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるために用いられる薬剤を意味する。)、
(ix’)加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるためのカルボン酸(I)とアミン(II)との塩の使用、並びに
(x’)カルボン酸(I)とアミン(II)との塩、ゴム成分、充填剤、硫黄成分を混練することを含む、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させる方法。
なお、混練したカルボン酸(I)およびアミン(II)、またはこれらの塩は、混練中にゴム成分および/または充填剤と反応し、これらと化合物を形成する可能性がある。また、カルボン酸(I)とアミン(II)との塩が、混練中に分解し、この分解物が、ゴム成分および/または充填剤と反応し、これらと化合物を形成する可能性がある。しかし、固体であるゴム組成物中に含まれる前記化合物を、その構造または特性によって直接特定することは、現在の技術では実際上不可能である。そのため、本明細書および特許請求の範囲では、本発明のゴム組成物を、「カルボン酸(I)、アミン(II)および他の成分を混練して得られるゴム組成物」、または「カルボン酸(I)とアミン(II)との塩および他の成分(ゴム成分等)を混練して得られるゴム組成物」として特定する。
以下、本明細書における基の定義について順に説明する。本明細書中、「Cx−y」とは、炭素原子数がx以上y以下(x、y:整数)であることを意味する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「アルコキシ基」は、直鎖状アルコキシ基および分枝鎖状アルコキシ基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられる。C1−6アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「アルキル基」は、直鎖状アルキル基および分枝鎖状アルキル基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−メチルブチル基、3−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基が挙げられる。「C1−3アルキル基」としては、例えば、上述の「C1−6アルキル基」の中で炭素数が1〜3のものが挙げられる。
アルキル基(例、C1−6アルキル基)が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C3−6シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。C3−6シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−1−フェナントリル基が挙げられる。C6−14アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「アルカンジイル基」は、直鎖状アルカンジイル基および分枝鎖状アルカンジイル基の両方を包含する。本明細書中、「C1−15アルカンジイル基」としては、例えば、メタンジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、1−メチルエタン−1,2−ジイル基、1−エチルエタン−1,2−ジイル基、1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、1−エチルプロパン−1,3−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、1−エチルブタン−1,4−ジイル基、1−メチルペンタン−1,5−ジイル基、1−エチルペンタン−1,5−ジイル基、1−メチルヘキサン−1,6−ジイル基、1−エチルヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。本明細書中、「C1−3アルカンジイル基」および「C1−12アルカンジイル基」としては、例えば上述の「C1−15アルカンジイル基」の中で、それぞれ炭素数が1〜3のもの、および炭素数が1〜12のものが挙げられる。
アルカンジイル基(例、C1−15アルカンジイル基)が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「直鎖状のC2−5アルカンジイル基」としては、例えば、上述の「C1−15アルカンジイル基」の中で、直鎖状であり、且つ炭素数が2〜5のものが挙げられる。直鎖状のC2−5アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「直鎖状のC2−5アルケンジイル基」としては、例えば、エテン−1,2−ジイル基、1−プロペン−1,3−ジイル基、1−ブテン−1,4−ジイル基、1−ペンテン−1,5−ジイル基が挙げられる。直鎖状のC2−5アルケンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルカンジイル基」としては、例えば、シクロプロパン−1,2−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基、シクロノナン−1,5−ジイル基、シクロデカン−1,6−ジイル基が挙げられる。「C5−6シクロアルカンジイル基」としては、例えば上述の「C3−10シクロアルカンジイル基」の中で、炭素数が5〜6のものが挙げられる。
シクロアルカンジイル基(例、C3−10シクロアルカンジイル基)が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。シクロアルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、C1−6アルキル基が好ましく、C1−3アルキル基がより好ましい。
本明細書中、「C3−10シクロアルケンジイル基」としては、例えば、シクロプロペン−1,2−ジイル基、シクロブテン−1,2−ジイル基、シクロペンテン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、シクロヘプテン−1,2−ジイル基、シクロオクテン−1,2−ジイル基、シクロノネン−1,2−ジイル基、シクロデセン−1,2−ジイル基が挙げられる。C3−10シクロアルケンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「2価のC6−14芳香族炭化水素基」としては、例えば、フェニレン基(例、1,4−フェニレン基)、ナフチレン基(例、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基)、フェナントレンジイル基(例、フェナントレン−2,7−ジイル基)、アントラセンジイル基(例、アントラセン−2,6−ジイル基)、ビフェニルジイル基(例、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基)が挙げられる。2価のC6−14芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C1−7アシル基」としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル基、ピバロイル基)、ベンゾイル基が挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルコキシ−カルボニル基」に含まれる「C1−6アルコキシ基」および「C1−7アシル−オキシ基」に含まれる「C1−7アシル基」としては、例えば、上記のものが挙げられる。
以下、カルボン酸(I)について説明する。
式(I)中、XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
は、好ましくは水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子またはC1−6アルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
XおよびYは、それぞれ独立に、好ましくはRが水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す−NR−であり、より好ましくはRが水素原子またはC1−6アルキル基を表す−NR−であり、さらに好ましくは−NH−である。
式(I)中、k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
式(I)中、kは、1〜3の整数を表し、好ましくは1または2、より好ましくは1である。
k個のA全体(即ち、式(I)中の「−(A)−」)は、好ましくは1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基と1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基との組合せであり、より好ましくは直鎖状のC3−15アルカンジイル基、フェニレン基、ナフチレン基、または1〜3個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいC5−6シクロアルカンジイル基とC1−3アルカンジイル基との組合せであり、さらに好ましくは直鎖状のC3−15アルカンジイル基、フェニレン基、または1〜3個のC1−3アルキル基で置換されていてもよいシクロヘキサン−1,3−ジイル基とメタンジイル基との組合せである。
式(I)中、QおよびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
およびQは、それぞれ独立に、好ましくは、下記式(1)で表される基または下記式(2)で表される基であり、より好ましくは下記式(1)で表される基である。
[式(1)中、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
*は、カルボニル基との結合位置を表す。]
[式(2)中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基を形成する。
*は、カルボニル基との結合位置を表す。]
およびRは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子またはC1−6アルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子またはC1−6アルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
カルボン酸(I)は、好ましくは下記式(I−2)で表されるカルボン酸であり、より好ましくは下記式(I−3)で表されるカルボン酸である。
[式(I−2)および式(I−3)中、
、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成するか、或いはR10およびR11が結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
kは、1〜3の整数を表す。]
、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子またはC1−6アルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
式(I−2)および式(I−3)におけるX、Y、Aおよびkの説明は、式(I)における上記説明と同じである。
カルボン酸(I)は、例えば、下記式に示すようにして製造することができる(下記式中の記号の定義は上記の通りである。)。
化合物(I−5)および化合物(I−6)の合計量は、化合物(I−4)1molに対して、好ましくは2〜6mol、より好ましくは2〜3molである。原料の添加順序に特に限定はなく、例えば、まず、溶媒に化合物(I−4)を溶かして化合物(I−4)の溶液を調製し、化合物(I−5)および化合物(I−6)自体を化合物(I−4)の溶液に添加するか、別途調製した化合物(I−5)および化合物(I−6)の溶液を化合物(I−4)の溶液に添加するか、または化合物(I−5)、化合物(I−6)および化合物(I−4)を同時に混合することなどが挙げられる。
化合物(I−5)および化合物(I−6)と化合物(I−4)との反応は、通常、縮合剤の存在下に行われる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩などが挙げられる。
化合物(I−5)および化合物(I−6)と化合物(I−4)との反応温度は、好ましくは−30〜80℃、より好ましくは0〜50℃であり、その反応時間は、好ましくは1〜72時間、より好ましくは3〜12時間である。反応は、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で行うことが好ましい。
また、カルボン酸(I)は、例えば、下記式に示すようにして製造することができる(下記式中の記号の定義は上記の通りである。)。
化合物(I−7)および化合物(I−8)の合計量は、化合物(I−4)1molに対して、好ましくは2〜6mol、より好ましくは2〜3molである。原料の添加順序に特に限定はなく、例えば、まず、溶媒に化合物(I−4)を溶かして化合物(I−4)の溶液を調製し、化合物(I−7)および化合物(I−8)自体を化合物(I−4)の溶液に添加するか、または別途調製した化合物(I−7)および化合物(I−8)の溶液を化合物(I−4)の溶液に添加することなどが挙げられる。
化合物(I−7)および化合物(I−8)と化合物(I−4)との反応温度は、好ましくは−30〜80℃、より好ましくは0〜50℃であり、その反応時間は、好ましくは1〜72時間、より好ましくは3〜12時間である。反応は、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で行うことが好ましい。
上述のカルボン酸(I)の合成(即ち、化合物(I−5)および化合物(I−6)と化合物(I−4)との反応、または化合物(I−7)および化合物(I−8)と化合物(I−4)との反応)は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、メチルターシャリーブチルエーテル、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどが挙げられ、メタノール、2−プロパノール、THFが好ましい。溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶媒の量は、化合物(I−4)1molあたり、好ましくは100〜2000mL、より好ましくは300〜1200mLである。
上述のカルボン酸(I)の合成では、公知の保護基を使用してもよい。保護基の導入および除去は、公知の方法、例えば、グリーンズ・プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Greene’s PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS)、第4版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHN WILLY&SONS)出版(2006年)等に記載されている方法によって行うことができる。
反応終了後、ろ取等の公知の手段によって、生成したカルボン酸(I)を回収することができる。
次に、アミン(II)について説明する。式(II)中、nは0〜2の整数を表す。ここで、nが0であるとは、繰り返し単位である(Z−E)が存在しないことを意味する。即ち、nが0であるアミン(II)は、式(II−2):
N−E−NH (II−2)
で表される。
式(II)中、n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。nが2である場合、2個のZは、それぞれ独立に異なるものであってもよいが、同じものであることが好ましい。Zは、より好ましくは−NH−である。
式(II)中、n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。前記組合せとしては、例えば、1個のC3−10シクロアルカンジイル基に1または2個のC1−15アルカンジイル基が結合している2価の基、または1個の2価のC6−14芳香族炭化水素基に1または2個のC1−15アルカンジイル基が結合している2価の基が挙げられる。前記組合せにおいて、C1−15アルカンジイル基、C3−10シクロアルカンジイル基および2価のC6−14芳香族炭化水素基はいずれも、1以上の置換基を有していてもよい。
nが1または2である場合、n+1個のEは、それぞれ独立に異なるものであってもよいが、同じものであることが好ましい。
混練中のアミン(II)の揮発を防止して、併用するカルボン酸(I)およびアミン(II)による損失係数低減効果、またはこれらの塩の損失係数低減効果を充分に維持させるために、式(II)中のEとしてのC1−15アルカンジイル基は、好ましくはC3−15アルカンジイル基、より好ましくはC4−15アルカンジイル基、さらに好ましくはC6−15アルカンジイル基である。前記アルカンジイル基はいずれも、1以上の置換基を有していてもよい。
n+1個のEが、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基と1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基との組合せであることが好ましく;nが0であり、Eが、直鎖状のC3−15アルカンジイル基、フェニレン基、ナフチレン基、または1〜3個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいC5−6シクロアルカンジイル基とC1−3アルカンジイル基との組合せであることがより好ましく;nが0であり、Eが、直鎖状のC3−15アルカンジイル基、または1〜3個のC1−3アルキル基で置換されていてもよいシクロヘキサン−1,3−ジイル基とメタンジイル基との組合せであることがより一層好ましく;nが0であり、Eが、直鎖状のC3−15アルカンジイル基であることがさらに好ましく;nが0であり、Eが、直鎖状のC4−15アルカンジイル基であることがさらに一層好ましく;nが0であり、Eが、直鎖状のC6−15アルカンジイル基であることが特に好ましい。
アミン(II)の具体例としては、1,6−ジアミノヘキサン、1,10−ジアミノデカン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。これらのアミン(II)は入手可能な市販品を使用してもよいし、例えば、下記式に示すようにして製造してもよい(下記式中の記号の定義は上記の通りである。)。
カルボン酸(I)およびアミン(II)を併用する場合、これらの合計量は、損失係数の低減のために、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
カルボン酸(I)およびアミン(II)を併用する場合、カルボン酸(I):アミン(II)のモル比は、損失係数の低減およびスコーチ増大の抑制のために、好ましくは1:0.5〜1:1.8、より好ましくは1:0.7〜1:1.5、さらに好ましくは1:1〜1:1.2である。
カルボン酸(I)とアミン(II)との塩を使用する場合、その量は、損失係数の低減のために、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
カルボン酸(I)とアミン(II)との塩を使用する場合、この塩におけるカルボン酸(I):アミン(II)のモル比は、好ましくは1:0.5〜1:1.8、より好ましくは1:0.7〜1:1.5、さらに好ましくは1:1〜1:1.2である。
カルボン酸(I)とアミン(II)との塩は、これらを混合することによって製造することができる。この場合、化合物(I−5)および化合物(I−6)と化合物(I−4)との反応において使用した縮合剤は使わない。この混合の際の温度は好ましくは−30〜80℃、より好ましくは0〜50℃であり、その際の時間は、好ましくは1〜72時間、より好ましくは3〜12時間である。この混合は、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で行ってもよい。この混合は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えば、メタノール、2−プロパノール、THF、メチルターシャリーブチルエーテル、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどが挙げられ、メタノール、2−プロパノール、THFが好ましい。溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶媒の量は、カルボン酸(I)1molあたり、好ましくは100〜3000mL、より好ましくは300〜2000mLである。溶媒中でカルボン酸(I)とアミン(II)とを混合し、析出した塩をろ取等の公知の手段によって回収することができる。
また、上述したカルボン酸(I)の製造における化合物(I−1)および化合物(I−2)と化合物(I−3)との反応後、その反応溶液にアミン(II)を添加することによって、カルボン酸(I)とアミン(II)との塩を製造してもよい。
<ゴム成分>
次に本発明で用いるゴム成分を説明する。ゴム成分としては、天然ゴム(NR)および変性天然ゴム(例えば、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム);並びにポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴムが例示される。ゴム成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分は、好ましくはジエン系ゴムを含む。ここで、ジエン系ゴムとは、共役2重結合を持つジエンモノマーを原料としたゴムを意味する。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム、変性天然ゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムは、高不飽和性であることが好ましく、天然ゴムであることがより好ましい。また、天然ゴムと他のゴム(例えば、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム)とを併用することも有効である。
ジエン系ゴム(特に、天然ゴム)を使用する場合、ゴム成分中のジエン系ゴムの量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%である。
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のもの(例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25やENR50)が挙げられる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。その他の変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに4−ビニルピリジン、N,N,−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが挙げられる。
SBRとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRが挙げられる。中でも、トレッド用ゴム組成物のためには、溶液重合SBRが好ましい。
溶液重合SBRとしては、変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズおよびケイ素の少なくとも一つの元素を有する、変性溶液重合SBRが挙げられる。変性剤としては、例えば、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合SBRとしては、具体的には、日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、および旭化成社製「E10」および「E15」等のシラン変性溶液重合SBR等が挙げられる。
また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRも、トレッド用ゴム組成物のために好ましい。
BRとしては、低ビニル含量の溶液重合BRおよび高ビニル含量の溶液重合BRのいずれでもよいが、高ビニル含量の溶液重合BRが好ましい。変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、ケイ素の少なくとも一つの元素を有する変性溶液重合BRが特に好ましい。変性剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えば、トリアルコキシシラン化合物)、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合BRとしては、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等のスズ変性BRが挙げられる。
BRは、トレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物のために好ましく用いることができる。BRは、SBRおよび/または天然ゴム(NR)とのブレンドで使用してもよい。トレッド用ゴム組成物では、ゴム成分中、例えば、SBRおよび/またはNRの量が60〜100重量%であり、BRの量が0〜40重量%である。サイドウォール用ゴム組成物では、ゴム成分中、好ましくは、SBRおよび/またはNRの量が10〜70重量%であり、BRの量が90〜30重量%であり、より好ましくは、NRの量が40〜60重量%であり、BRの量が60〜40重量%である。トレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物のために、変性SBRと非変性SBRとのブレンド、変性BRと非変性BRとのブレンド等も好ましく使用することができる。
本発明のゴム組成物をタイヤのトレッド用に使用する場合、例えば乗用車用タイヤでは、ゴム成分として耐摩耗性やヒステリシスロス低減性能に優れるSBRをベース材料として用い、トラック・バス用タイヤではより高強度のNRを任意にSBRと共にベース材料として用い、これらベース材料に、必要に応じてBRをブレンドして用いることが、耐摩耗性、耐疲労性、反発弾性に優れたトレッドが得られるため好ましい。
本発明のゴム組成物をタイヤのサイドウォール用に使用する場合、乗用車用タイヤではNRとSBRとをブレンドして、または、NRとBRとをブレンドして、トラック・バス用タイヤではNRとBRとをブレンドして使用することが、耐折曲げ屈曲性、耐き裂成長性が得られるため好ましい。
本発明のゴム組成物をタイヤのベルト用に使用する場合、ゴム成分としてNRおよび/またはIRを使用することが、高弾性率や補強用繊維との良好な接着性が得られるため好ましい。
本発明のゴム組成物をタイヤのインナーライナーとして使用する場合、ゴム成分としてIIRとSBRおよびNRとをブレンドして、またはIIRとNRとをブレンドして使用することが、抵ガス透過性と耐屈曲性が得られるため好ましい。
本発明のゴム組成物には、ジエン系ゴムとして、例えば国際公開第2012/057308号に記載の変性ジエン系重合体、特開2012−140595号に記載の共役ジエン系重合体を混練してもよい。
<充填剤>
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ(例えば、含水シリカ)、水酸化アルミニウム、瀝青炭粉砕物、タルク、クレー(特に、焼成クレー)、酸化チタン等が例示される。これらの中で、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウムおよび瀝青炭粉砕物が好ましく、カーボンブラックおよびシリカがより好ましく、カーボンブラックがさらに好ましい。カーボンブラックを使用する場合、充填剤中のカーボンブラックの量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%である。
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられる。カーボンブラックは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。カーボンブラックとしては、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、ISAF−HM(Intermediate SAF−High Modulus)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)が好ましい。
タイヤトレッド用ゴム組成物にはCTAB表面積40〜250m/g、窒素吸着比表面積20〜200m/g、粒子径10〜50nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、CTAB表面積70〜180m/gであるカーボンブラックがさらに好ましく、その例としてはASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等である。またカーボンブラックの表面にシリカを0.1〜50重量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましい。
さらには、カーボンブラックとシリカの併用等、数種の充填剤を組み合わせることも有効であり、タイヤトレッド用ゴム組成物においてはカーボンブラック単独、あるいはカーボンブラックとシリカの両方を用いることが好ましい。カーカス、サイドウォール用ゴム組成物においてはCTAB表面積20〜60m/g、粒子径40〜100nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、その例としては、ASTMの規格において、N330、N339、N343、N351,N550、N568、N582、N630、N642、N660、N662、N754、N762が挙げられる。
充填剤の使用量は、特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり5〜100重量部が好ましい。カーボンブラックのみを充填剤として使用する場合、充填剤(=カーボンブラック)の使用量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは30〜80重量部である。トレッド部材用途において充填剤としてシリカとカーボンブラックとを併用して用いる場合、充填剤の使用量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは5〜50重量部である。
シリカとしては、CTAB比表面積50〜180m/gのシリカ、窒素吸着比表面積50〜300m/gのシリカが例示される。シリカの市販品としては、例えば、東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、「Nipsil(登録商標)AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)VN3−G」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」が挙げられる。また、(i)pHが6〜8であるシリカ、(ii)ナトリウムを0.2〜1.5重量%含むシリカ、(iii)真円度が1〜1.3の真球状シリカ、(iv)シリコーンオイル(例、ジメチルシリコーンオイル)、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、アルコール(例、エタノール、ポリエチレングリコール)等で表面処理したシリカ、(v)二種類以上の異なった窒素吸着比表面積を有するシリカの混合物を、充填剤として使用してもよい。乗用車トレッド用ゴム組成物にはシリカが好ましく用いられる。乗用車トレッド用ゴム組成物中のシリカ量は、ゴム成分100重量部あたり10〜120重量部の範囲が好ましい。またシリカを配合する場合、カーボンブラックを5〜50重量部配合することが好ましく、シリカ/カーボンブラックの重量比は0.7/1〜1/0.1が好ましい。
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m/g、DOP給油量50〜100mL/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
瀝青炭粉砕物の平均粒径は、通常、0.1mm以下であり、好ましくは0.05mm以下、より好ましくは0.01mm以下である。平均粒径が0.1mmを超える瀝青炭粉砕物を使用しても、ゴム組成物のヒステリシスロスが充分に低減されず、低燃費性を充分に向上できない場合がある。また、本発明のゴム組成物をインナーライナー用組成物として用いる場合には、平均粒径が0.1mmを超える瀝青炭粉砕物を使用しても、該組成物の耐空気透過性を充分に向上できない場合がある。
瀝青炭粉砕物の平均粒径の下限は特に限定されないが、好ましくは0.001mm以上である。0.001mm未満では、コストが高くなる傾向がある。なお、瀝青炭粉砕物の平均粒径は、JIS Z 8815−1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
瀝青炭粉砕物の比重は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。比重が1.6を超える瀝青炭粉砕物を使用すると、ゴム組成物全体の比重が増加し、タイヤの低燃費性向上が充分に図れないおそれがある。瀝青炭粉砕物の比重は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。比重が0.5未満である瀝青炭粉砕物を使用すると、混練時の加工性が悪化するおそれがある。
瀝青炭粉砕物を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、通常5重量部以上、好ましくは10重量部以上であり、通常70重量部以下、好ましくは60重量部以下である。この量が、5重量部未満であると、瀝青炭粉砕物による効果が充分に得られない場合があり、70重量部を超えると、混練時の加工性が悪化するおそれがある。
<硫黄成分>
硫黄成分としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、および高分散性硫黄、モルフォリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドが挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、本発明のゴム組成物をベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材の製造に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。
硫黄成分の量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
<他の成分>
本発明では、上述の成分に加えて、ゴム分野で公知の他の成分を使用してもよい。他の成分としては、シリカと結合可能な化合物、加硫促進剤、加硫促進助剤、樹脂、粘弾性改善剤、老化防止剤、オイル、ワックス、しゃく解剤、リターダー、オキシエチレンユニットを有する化合物、触媒(ナフテン酸コバルト等)が挙げられる。他の成分は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
充填剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤等のシリカと結合可能な化合物を使用することが好ましい。該化合物の例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(別名:「オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル」、例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中で、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)が、好ましい。
シリカと結合可能な化合物の添加時期は特に限定されないが、シリカと同時期にゴム成分に配合することが好ましい。シリカおよびシリカと結合可能な化合物を使用する場合、シリカと結合可能な化合物の量は、シリカ100重量部あたり、好ましくは2〜10重量部、より好ましくは7〜9重量部である。シリカと結合可能な化合物を配合する場合、その配合温度は80〜200℃が好ましく、より好ましくは110〜180℃である。
充填剤としてシリカを用いる場合には、シリカと結合可能な化合物に加えて、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の多価アルコール;N−アルキルアミン;アミノ酸;分子末端がカルボキシ変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン等を使用することも好ましい。
加硫促進剤の例としては、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日 社団法人 日本ゴム協会発行)の412〜413頁に記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
加硫促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
充填剤としてカーボンブラックのみを用いる場合には、加硫促進剤として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)またはジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかと、ジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。充填剤としてシリカとカーボンブラックとを併用する場合には、加硫促進剤として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)またはジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかと、ジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
硫黄成分と加硫促進剤との比率は特に制限されないが、硫黄成分/加硫促進剤の重量比は、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/5〜5/1、さらに好ましくは1/2〜2/1である。また天然ゴムを主成分とするゴム部材において、耐熱性を向上させる方法である硫黄成分/加硫促進剤の比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が特に必要な用途において好ましく用いられる。
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、シトラコンイミド化合物、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、有機チオスルフェート化合物および式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17は、C2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物が挙げられる。なお、本発明において酸化亜鉛は、加硫促進助剤の概念に包含され、上述の充填剤の概念には包含されない。
加硫促進助剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸、シトラコンイミド化合物が好ましく、酸化亜鉛、ステアリン酸がより好ましい。
酸化亜鉛を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。ステアリン酸を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
シトラコンイミド化合物としては、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、ビスシトラコンイミド類が好ましい。具体的には、1,2−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドエチルトルエンなどが挙げられる。
シトラコンイミド化合物のなかでも、熱的に特に安定であり、ゴム成分中への分散性に特に優れ、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができる(リバージョン制御)という理由から、下記式で表される1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンが好ましい。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができるという理由から、式(IV):
[式中、nは0〜10の整数であり、Xは2〜4の整数であり、R19はC5−12アルキル基である。]
で表されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を使用することが好ましい。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)のゴム成分中への分散性が良いという理由から、nは、好ましくは1〜9の整数である。
Xが4を超えると、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)が熱的に不安定となる傾向があり、Xが1であるとアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)中の硫黄含有率(硫黄の重量)が少ない。高硬度を効率よく発現させることができる(リバージョン抑制)という理由から、Xは2であることが好ましい。
19は、C5−12アルキル基である。ゴム成分中へのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の分散性が良いという理由から、R19は、好ましくはC6−9アルキル基である。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の具体例として、nが0〜10であり、Xが2であり、R19がオクチル基であり、硫黄含有率が24重量%である田岡化学工業社製のタッキロールV200が挙げられる。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物が得られる(リバージョン抑制)という理由から、式(V):
HOS−S−(CH−S−SOH (V)
[式中、mは3〜10の整数である。]
で表される有機チオスルフェート化合物の塩(以下「有機チオスルフェート化合物塩(V)」と記載することがある。)を使用することが好ましい。結晶水を含有する有機チオスルフェート化合物塩(V)を使用してもよい。有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられ、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
mは、3〜10の整数であり、好ましくは3〜6の整数である。mが2以下では、充分な耐熱疲労性が得られない傾向があり、mが11以上では、有機チオスルフェート化合物塩(V)による耐熱疲労性の改善効果が充分に得られない場合がある。
有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、常温常圧下で安定であるという観点から、そのナトリウム塩1水和物、ナトリウム塩2水和物が好ましく、コストの観点からチオ硫酸ナトリウムから得られる有機チオスルフェート化合物塩(V)がより好ましく、下記式で表される1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物がさらに好ましい。
ゴム成分中へ良く分散すること、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)と併用した場合にアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の−S−架橋の中間に挿入されて、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)とのハイブリッド架橋を形成することが可能であるという理由から、式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17はC2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物を、加硫促進助剤として使用することが好ましい。
17は、C2−10アルカンジイル基、好ましくはC4−8アルカンジイル基であり、より好ましくは直鎖状のC4−8アルカンジイル基である。R17は、直鎖状であることが好ましい。R17の炭素数が1以下では、熱的な安定性が悪い場合がある。また、R17の炭素数が11以上では、加硫促進助剤を介したポリマー間の距離が長くなり、加硫促進助剤を添加する効果が得られない場合がある。
16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基である。窒素原子を含む1価の有機基としては、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、芳香環および=N−C(=S)−基を含むものがさらに好ましい。R16およびR18は、それぞれ同一でも、異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から、同一であることが好ましい。
化合物(III)としては、例えば、1,2−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどが挙げられる。なかでも、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
化合物(III)の市販品としては、例えば、バイエル社製のVULCUREN TRIAL PRODUCT KA9188、VULCUREN VP KA9188(1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)が挙げられる。
ゴム組成物は、レゾルシノール等の有機化合物、レゾルシノール樹脂、変性レゾルシノール樹脂、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂および変性フェノール樹脂等の樹脂を含んでよい。レゾルシノールやこれらの樹脂を含むことにより、加硫ゴム組成物の破断時伸び、複素弾性率を向上させることができる。また、ゴム組成物をコードと接触するゴム製品の製造に使用する場合、レゾルシノールや樹脂を含むことにより、コードとの接着性を高めることができる。
レゾルシノールとしては、例えば、住友化学社製のレゾルシノール等が挙げられる。レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、インドスペック社製のペナコライト樹脂B−18−S、B−20、田岡化学工業社製のスミカノール620、ユニロイヤル社製のR−6、スケネクタディー化学社製のSRF1501、アッシュランド社製のArofene7209等が挙げられる。
クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール樹脂の末端のメチル基をヒドロキシ基に変性したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、田岡化学工業社製のスミカノール610、住友ベークライト社製のPR−X11061等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。また、変性フェノール樹脂としては、フェノール樹脂をカシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどを用いて変性した樹脂が挙げられる。
その他の樹脂としては、例えば、住友化学社製の「スミカノール507AP」等のメトキシ化メチロールメラミン樹脂;日鉄化学社製のクマロン樹脂NG4(軟化点81〜100℃)、神戸油化学工業社製の「プロセスレジンAC5」(軟化点75℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱瓦斯化学社製の「ニカノール(登録商標)A70」(軟化点70〜90℃)等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエン;が挙げられる。
粘弾性改善剤としては、例えば、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(例えば、住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、特開昭63−23942号公報記載のジチオウラシル化合物、田岡化学工業社製「タッキロール(登録商標)AP」、「タッキロール(登録商標)V−200」、特開2009−138148号公報記載のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(例えば、バイエル社製「KA9188」)、1,6−ヘキサメチレンジチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(例えば、フレキシス社製「パーカリンク900」)、1−ベンゾイル−2−フェニルヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2004−91505号公報記載の1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエン酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエン酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド誘導体、特開2000−190704号公報記載の3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジフェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2006−328310号公報記載のビスメルカプトオキサジアゾール化合物、特開2009−40898号公報記載のピリチオン塩化合物、特開2006−249361号公報記載の水酸化コバルト化合物が挙げられる。
中でも、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(例えば、住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(例えば、バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(例えば、フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学工業社製「タッキロール(登録商標)AP」、「タッキロール(登録商標)V−200」が好ましい。
老化防止剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。好ましい老化防止剤としては、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(略称「6PPD」、例えば住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」)、アニリンとアセトンの反応生成物(略称「TMDQ」)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(例えば、松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
老化防止剤を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルが挙げられる。市販品としては、例えば、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)が挙げられる。
ワックスとしては、大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」、日本精蝋社製の「OZOACE−0355」等が挙げられる。
しゃく解剤としては、ゴム分野において通常用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の446〜449頁に記載される、芳香族メルカプタン系しゃく解剤、芳香族ジスルフィド系しゃく解剤、芳香族メルカプタン金属塩系しゃく解剤が挙げられる。中でも、ジキシリルジスルフィド、o,o’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(大内新興化学工業社製「ノクタイザーSS」)が好ましい。しゃく解剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
しゃく解剤の使用量は、特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。
リターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
リターダーの使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。
本発明では、式:−O−(CH−CH−O)−H[式中、qは1以上の整数である。]で表わされる構造を有するオキシエチレンユニットを有する化合物を使用してもよい。ここで、上記式中、qは、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、qは16以下が好ましく、14以下がより好ましい。qが17以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
オキシエチレンユニットを有する化合物中のオキシエチレンユニットの位置は、主鎖でも、末端でも、側鎖でもよい。得られるタイヤ表面における静電気の蓄積防止効果の持続性および電気抵抗の低減の観点から、オキシエチレンユニットを有する化合物の中でも、少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物が好ましい。
主鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシスチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイドなどが挙げられる。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、オキシエチレンユニットの個数は、主鎖を構成する炭素数100個当たり4個以上が好ましく、8個以上がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が3個以下では、電気抵抗が増大する傾向がある。また、オキシエチレンユニットの個数は12個以下が好ましく、10個以下がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が13個以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、その主鎖としては、主としてポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンから構成されるものが好ましい。
<ゴム組成物の製造>
本発明のゴム組成物は、カルボン酸(I)およびアミン(II)またはそれらの塩と、ゴム成分、充填剤、および必要に応じて他の成分とを混練することによって製造することができる。
前記成分に加えて、さらに硫黄成分を混練して得られる本発明のゴム組成物(以下「硫黄成分を含有する本発明のゴム組成物」または「硫黄成分を含有するゴム組成物」と記載することがある。)は、まず、ゴム成分と充填剤とを混練する工程(以下「工程1」と略称することがある。)、次いで工程1で得られたゴム組成物と硫黄成分とを混練する工程(以下「工程2」と略称することがある。)を経て製造することが好ましい。さらに、工程1(即ち、ゴム成分と充填剤等との混練)の前に、ゴム成分を加工しやすくするため、ゴム成分を素練りする予備混練工程を設けてもよい。
硫黄成分を含有する本発明のゴム組成物の製造では、カルボン酸(I)およびアミン(II)またはそれらの塩の全量を、予備混練工程、工程1または工程2のいずれかでゴム成分等と混練してもよく、カルボン酸(I)およびアミン(II)またはそれらの塩をそれぞれ分割して、予備混練工程〜工程2の少なくとも二つの工程でゴム成分等と混練してもよい。
カルボン酸(I)およびアミン(II)またはそれらの塩は、予め担持剤に担持させてから、ゴム成分等と混練してもよい。かかる担持剤としては、先に例示した充填剤、および日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の510〜513頁に記載されている無機充てん剤、補強剤が挙げられる。担持剤としては、カーボンブラック、シリカ、焼成クレー、水酸化アルミニウムが好ましい。担持剤の使用量は、特に限定されるものではないが、カルボン酸(I)およびアミン(II)またはそれらの塩100重量部あたり、好ましくは10〜1,000重量部、より好ましくは100〜1,000重量部、さらに好ましくは200〜1,000重量部である。
酸化亜鉛を配合するときは、工程1でゴム成分等と混練することが好ましい。加硫促進剤を配合するときは、工程2でゴム成分等と混練することが好ましい。しゃく解剤を配合するときは、工程1でゴム成分等と混練することが好ましい。予備混練工程を設ける時は、予備混練工程でしゃく解剤の全量をゴム成分と混練するか、またはしゃく解剤を分けて、予備混練工程および工程1の両方でゴム成分と混練することが好ましい。リターダーを配合するときは、工程2でゴム成分等と混練することが好ましい。
工程1における混練には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。工程1における混練後のゴム組成物の排出温度は、200℃以下が好ましく、120〜180℃がより好ましい。
工程2における混練には、例えば、オープンロール、カレンダー等を使用することができる。工程2における混練温度(混練しているゴム組成物の温度)は、60〜120℃が好ましい。
<加硫ゴム組成物>
上述の硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造することができる。上述の硫黄成分を含有するゴム組成物を特定の形状に加工してから加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造してもよい。
加硫温度は、120〜180℃が好ましい。当業者であれば、ゴム組成物の組成に応じて、加硫時間を適宜設定することができる。加硫は、通常、常圧または加圧下で行われる。
<用途>
本発明のゴム組成物および加硫ゴム組成物は、様々な製品を製造するために有用である。ゴム組成物および加硫ゴム組成物から得られる製品としては、加硫タイヤおよびタイヤ用部材が好ましい。タイヤ用部材としては、例えば、本発明の加硫ゴム組成物およびスチールコードを含むタイヤ用ベルト部材、本発明の加硫ゴム組成物およびカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス部材、タイヤ用サイドウォール部材、タイヤ用インナーライナー部材、タイヤ用キャップトレッド部材またはタイヤ用アンダートレッド部材が挙げられる。
加硫タイヤは、まずタイヤ用部材を製造し、これらを組み合わせて生タイヤを製造し、生タイヤを加硫することによって製造される。本発明のゴム組成物を用いて製造されたタイヤは、損失係数が低く、低燃費を達成することができる。
本発明の加硫ゴム組成物は、上記したタイヤ用途のみならず、各種防振ゴムとしても使用できる。かかる防振ゴムとしては、例えば、エンジンマウント、ストラットマウント、ブッシュ、エグゾーストハンガー等の自動車用防振ゴムが挙げられる。防振ゴムは、まず硫黄成分を含有するゴム組成物を所定の形状に加工し、次いで加硫することによって、製造することができる。
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の実施例等に記載の「部」は「重量部」を意味する。
製造例1:カルボン酸(Ia)の製造
窒素雰囲気下、反応器に1,4−フェニレンジアミン200.0g(1.85mol)とメタノール4000mLとを仕込み、水で冷却した。室温で、無水マレイン酸453g(4.62mol)を75分かけて少量ずつ反応器に添加した後、得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応終了後、黄橙色沈殿をろ取し、メタノール600mLで3回洗浄を行い、目的のカルボン酸(Ia)を得た(498.7g、1.64mol、収率88.7%)。
1H-NMR (δ, ppm, 400 MHz, DMSO-d6): 6.38(dd, 4H), 7.59(s, 4H), 10.44(s, 2H), 13.18(s, 2H).
製造例2:塩(A)(即ち、カルボン酸(Ia)とアミン(IIa)との塩)の製造
窒素雰囲気下、反応器にカルボン酸(Ia)12.2g(40mmol)とメタノール120mLを仕込んだ。別途調製しておいたアミン(IIa)(即ち、1,6−ジアミノヘキサン)4.65g(40mmol)のメタノール(20mL)溶液を、室温で反応器に滴下した。反応混合液を室温で2時間撹拌した後、生成した沈殿をろ取し、メタノール(20mL)で2回洗浄した後、乾燥し、目的の塩(A)をアイボリー色の固体として得た(17.8g、42.3mmol、収率106%)。
1H-NMR (δ, ppm, 400 MHz, DMSO-d6): 1.36-1.41(m, 4H), 1.60-1.67(m, 4H), 2.97(t, 4H), 6.06(d, 2H), 6.43(d, 2H), 7.54(s, 4H).
製造例3:塩(B)(即ち、カルボン酸(Ib)とアミン(IIa)との塩)の製造
窒素雰囲気下、反応器にアミン(IIa)(即ち、1,6−ジアミノヘキサン)81.3g(0.70mol)と2−プロパノール800mLを仕込んだ。冷水での冷却下、粉状の無水マレイン酸144.1g(1.47mol)を2時間かけて少しずつ反応器に添加し、次いで2−プロパノール400mLを追加した後、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。別途調製しておいたアミン(IIa)81.4g(0.07mol)の2−プロパノール(160mL)溶液を、室温で約1時間かけて反応器に滴下し、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。白色沈殿をろ取し、2−プロパノール(200mL)で3回洗浄後、乾燥して、目的の塩(B)を白色結晶として得た(283.2g、0.66mol、収率94%)。
1H-NMR(δ, ppm, 300 MHz, D2O) 1.24-1.33(m, 8H), 1.43(t, 4H), 1.54(t, 4H), 2.88(t, 4H), 3.11(t, 4H), 5.84(d, 2H), 6.20(d, 2H).
製造例4:塩(C)(即ち、カルボン酸(Ib)とアミン(IIb)との塩)の製造
窒素雰囲気下、反応器にアミン(IIa)(即ち、1,6−ジアミノヘキサン)5.0g(43.0mmol)とメタノール(75mL)を仕込み、水で冷却した。無水マレイン酸8.86g(90.5mmol)をTHF18mLに溶かし、得られた無水マレイン酸溶液を室温で反応器に滴下した。その混合物を室温で1.5時間撹拌した。別途調製しておいたアミン(IIb)(即ち、1,10−ジアミノデカン)7.4g(43.0mmol)のメタノール(10mL)溶液を、室温で反応器にさらに滴下した。その後、混合物を室温で3.5時間撹拌した。撹拌後、2−プロパノール100mLを反応器に滴下し、室温のまま、混合物をさらに一晩撹拌した。析出した固体をろ取し、2−プロパノール(10mL)で3回洗浄を行った後、乾燥し、目的の塩(C)を白色固体として得た(18.2g、37.6mmol、収率87%)。
1H-NMR (δ, ppm, 400 MHz, D2O) 1.11-1.18(m, 16H), 1.33-1.37(m, 4H), 1.42-1.49(m, 4H), 2.79(t, 4H), 3.03(t, 4H), 5.76(d, 2H), 6.12(d, 2H).
製造例5:塩(D)(即ち、カルボン酸(Ic)とアミン(IIb)との塩)の製造
窒素雰囲気下、反応器に、アミン(IIb)(即ち、1,10−ジアミノデカン)6.0g(34.8mmol)と2−プロパノール(75mL)を仕込み、水で冷却した。無水マレイン酸7.17g(73.1mmol)をTHF14mLに溶かし、得られた無水マレイン酸溶液を室温で反応器に滴下した。その混合物を室温で1.5時間撹拌した。別途調製しておいたアミン(IIb)6.0g(34.8mmol)の2−プロパノール(12mL)溶液を、室温で反応器にさらに滴下した。その後、混合物を一晩室温で撹拌し、沈殿した固体をろ取し、2−プロパノール(12mL)で3回洗浄を行った後、乾燥し、目的の塩(D)を白色固体として得た(17.6g、32.6mmol、収率94%)。
1H-NMR (δ, ppm, 400 MHz, D2O) 1.07-1.22(m, 24H), 1.30-1.36(m, 4H), 1.43-1.50(m, 4H), 2.80(t, J = 7.8 Hz, 4H), 3.03(t, 4H), 5.74(d, 2H), 6.13 (d, 2H)
製造例6:塩(E)(即ち、カルボン酸(Id)とアミン(IIa)との塩)の製造
窒素雰囲気下、反応器にアミン(IIa)(即ち、1,6−ジアミノヘキサン)24.3g(0.70mol)と2−プロパノール800mLを仕込んだ。冷水での冷却下、無水コハク酸52.3g(0.52mol)をTHF200mLに溶解させ、得られた無水コハク酸溶液を2時間かけて少しずつ反応器に滴下した。次いで2−プロパノール400mLを追加した後、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。白色沈殿をろ取し、2−プロパノール(50mL)で3回洗浄後、乾燥してカルボン酸(Id)の白色粉末53.8gを得た。
得られたカルボン酸(Id)32.0g(0.10mol)と2−プロパノール200mLを反応器に仕込んだ。冷水での冷却下、アミン(IIa)11.75g(0.10mol)を2−プロパノール100mLに溶解させた溶液を2時間かけて少しずつ反応器に滴下し、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。白色沈殿をろ取し、2−プロパノール(50mL)で3回洗浄後、乾燥して、目的の塩(E)を白色結晶として得た(39.0g、0.09mol、収率72%)。
1H-NMR(δ, ppm, 400 MHz, D2O) 1.13-1.61(m, 20H), 2.33-2.35(m, 4H), 2.87(t, 4H), 3.04(t, 4H).
製造例7:塩(F)(即ち、カルボン酸(Ie)とアミン(IIc)との塩)の製造
窒素雰囲気下、反応器にアミン(IIc)(即ち、イソホロンジアミン シス−トランス混合物)68.1g(0.40mol)と2−プロパノール400mLを仕込んだ。氷水での冷却下、無水マレイン酸80.4g(0.82mol)をTHF250mLに溶解させた溶液を1時間かけて少しずつ反応器に滴下し、得られた混合物を室温で終夜撹拌した。沈殿をろ取し、2−プロパノール(50mL)で3回洗浄後、乾燥してカルボン酸(Ie)の無色固体139.8gを得た。
得られたカルボン酸(Ie)22.0g(0.060mol)と2−プロパノール200mLを反応器に仕込んだ。室温でアミン(IIc)10.2g(0.060mol)を2−プロパノール20mLに溶解させた溶液を2時間かけて少しずつ反応器に滴下し、得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を濃縮、乾燥し、目的の塩(F)を無色固体として得た(32.2g、0.060mol、収率100%)。
1H-NMR(δ, ppm, 300 MHz, D2O)0.75-1.78(m), 2.65(s, 2H), 2.90(s, 2H), 3.82-3.97(m, 2H), 5.74-5.81(m, 2H), 6.15-6.26(m, 2H).
製造例8:カルボン酸(Ib)の製造
窒素雰囲気下、反応器にアミン(IIa)(即ち、1,6−ジアミノヘキサン)7.22g(62.0mmol)とTHF(170mL)を仕込み、氷水で冷却した。無水マレイン酸15.23g(155.3mmol)をTHF70mLに溶かし、得られた無水マレイン酸溶液を室温で反応器に滴下した。その混合物を室温で終夜撹拌した。析出した固体をろ取し、THF(30mL)で3回洗浄を行った後、乾燥し、目的のカルボン酸(Ib)を白色固体として得た(19.3g、61.8mmol、収率99%)。
1H-NMR (δ, ppm, 300 MHz, DMSO-d6) 1.30(m, 4H), 1.45-1.49(m, 4H), 3.18(q, 4H), 6.24(d, 2H), 6.41(d, 2H), 9.18(br, 2H).
(実施例、比較例および参考例)
1.成分
以下の実施例等で使用した成分は以下の通りである。
・NR:天然ゴム(RSS#1)
・CB:カーボンブラックHAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)
・損失係数低減剤
塩(A)〜塩(F)
カルボン酸(Ia)、カルボン酸(Ib)
アミン(IIa)(1,6−ジアミノヘキサン)
・酸化亜鉛(ZnO)
・ステアリン酸:花王社製「ルナックS20」
・老化防止剤:住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン)
・硫黄成分:粉末硫黄(S
・加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
2.実施例、比較例および参考例における操作
以下のようにして、硫黄成分を含有しないゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物を製造した。なお以下では、ゴム成分、配合剤(硫黄成分および加硫促進剤を除く)および充填剤の混練工程を「non−pro工程」と、non−pro工程で得られたゴム組成物、硫黄成分および加硫促進剤の混練工程を「pro工程」と記載する。
<non−pro工程>
混練開始時の装置温度を120℃に設定したバンバリーミキサーに、天然ゴム100部を投入した後、回転数50rpmにて3分間素練りした。その後、回転数10rpmに設定をし、下記表1〜表5に示す量で、non−pro工程で混練する残りの成分(即ち、天然ゴム、硫黄成分および加硫促進剤以外の成分)を加えた後、回転数50rpmで5分間混練を行い、得られたゴム組成物を160℃以上の温度で排出した。
<pro工程>
オープンロール設定温度を60℃に設定し、non−pro工程により得られたゴム組成物と、ゴム組成物中の天然ゴム100部に対して、加硫促進剤1部と、硫黄成分2部とをオープンロールにて混練し、硫黄成分を含有するゴム組成物を得た。
<加硫工程>
加硫プレス機を用いて、加硫温度を145℃に設定し、加硫時間をJIS K 6300−2に準拠したレオメーター測定にて得られたt(90)の値に5分を加えた時間に設定して、pro工程により得られたゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を得た。
3.特性評価
<tanδの相対値>
以下の条件で株式会社上島製作所製の粘弾性アナライザを用いて、実施例、比較例および参考例で得られた加硫ゴム組成物の粘弾性特性を測定し、それらの60℃での損失係数(tanδ)を求めた。
測定温度:−5℃〜80℃
昇温速度:2℃/分
初期歪:10%
動的歪:2.5%
周波数:10Hz
損失係数低減剤(塩(A)〜塩(F)、カルボン酸(Ia)、カルボン酸(Ib)またはアミン(IIa))を含有しない参考例の加硫ゴム組成物のtanδ、およびゴム成分等と損失係数低減剤とを混練して得られた実施例または比較例の加硫ゴム組成物のtanδから、式(i):
tanδの相対値=(実施例または比較例の加硫ゴム組成物のtanδ)/(参考例の加硫ゴム組成物のtanδ) ・・・ (i)
によって、tanδの相対値を算出した。tanδの相対値が小さいほど、損失係数の低減効果が良好である。
<スコーチの相対値>
スコーチの指標として、JIS−K6300−1に準拠し、125℃にて、実施例、比較例および参考例で得られた硫黄成分を含有するゴム組成物のスコーチタイム(t)を測定した。
損失係数低減剤を含有しない参考例のゴム組成物のスコーチタイム(t)、およびゴム成分等と損失係数低減剤とを混練して得られた実施例または比較例のゴム組成物のスコーチタイム(t)から、式(ii):
スコーチタイムの相対値=(実施例または比較例のゴム組成物のスコーチタイム(t))/(参考例のゴム組成物のスコーチタイム(t)) ・・・ (ii)
によって、スコーチタイムの相対値を算出した。スコーチタイム(t)は長いほどスコーチが抑制されていることを示す。そのためスコーチタイムの相対値が1に近いほど、損失係数低減剤によるスコーチ増大が少ないことを示している。
実施例1〜6、比較例1および参考例1
下記表1に示す成分を用いて上述の操作を行い、実施例1〜6、比較例1および参考例1のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表1に示す実施例1〜6および比較例1のtanδの相対値は、それぞれ、式(i)において、参考例1の加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
表1に示す通り、カルボン酸(Ia)を使用した比較例1のtanδの相対値は1.04であり、損失係数の低減効果は確認されなかった。一方、塩(A)〜(F)を使用した実施例1〜6は、tanδの相対値が低く、良好な損失係数の低減効果を示した。
実施例7〜10および参考例2
下記表2に示す成分を用いて上述の操作を行い、実施例7〜10および参考例2のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表2に示す実施例6〜9のtanδの相対値は、それぞれ、式(i)において、参考例2の加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
表2に示す通り、天然ゴム(NR)100部に対して、塩(B)を1部加えた実施例8で最も良好な結果が得られており、塩(B)の最適添加量が1部であることが確認された。
実施例11、比較例2および参考例3
下記表3に示す成分を用いて上述の操作を行って、実施例11、比較例2および参考例3のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表3に示す実施例11および比較例2のスコーチタイムの相対値は、それぞれ、式(ii)において、参考例3のゴム組成物のスコーチタイム(t)の値を使用して算出した。
表3に示す通り、塩(B)(即ち、アミン(IIa)とカルボン酸(Ib)との塩)は、その構成成分の一つであるアミン(IIa)に比べて、スコーチ増大を抑制することができる。
実施例12、比較例3および参考例4
塩(B)(即ち、カルボン酸(Ib)とアミン(IIa)との塩)を予め形成せず、カルボン酸(Ib)、アミン(IIa)およびゴム成分等を混練して、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。詳しくは、下記表4に示す成分を用いて上述の操作を行って、実施例12、比較例3および参考例4のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表4に示す実施例12および比較例3のtanδの相対値は、それぞれ、式(i)において、参考例4の加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
表4に示す通り、カルボン酸(Ib)およびアミン(IIa)を混練して得られる加硫ゴム組成物は、カルボン酸(Ib)のみを混練して得られる加硫ゴム組成物に比べ、損失係数の良好な低減効果を示した。
実施例13、比較例4および参考例5
塩(B)(即ち、カルボン酸(Ib)とアミン(IIa)との塩)を予め形成せず、カルボン酸(Ib)、アミン(IIa)およびゴム成分等を混練して、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。詳しくは、下記表5に示す成分を用いて上述の操作を行って、実施例13、比較例4および参考例5のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表5に示す実施例13および比較例4のスコーチタイムの相対値は、それぞれ、式(ii)において、参考例5のゴム組成物のスコーチタイム(t)の値を使用して算出した。
表5に示す通り、カルボン酸(Ib)およびアミン(IIa)を併用する実施例13のゴム組成物は、アミン(IIa)のみを使用する比較例4のゴム組成物に比べて、スコーチ増大が抑制されている。
本発明のゴム組成物および加硫ゴム組成物は、様々な製品(例えば、加硫タイヤ、タイヤ用部材、防振ゴム、コンベアベルト用ゴム、エンジンマウントゴム等)の製造に有用である。

Claims (23)

  1. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸、
    式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミン、
    ゴム成分、および
    充填剤
    を混練して得られるゴム組成物。
  2. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸と、式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンとの塩、
    ゴム成分、および
    充填剤
    を混練して得られるゴム組成物。
  3. およびQが、それぞれ独立に、
    式(1):
    [式(1)中、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
    *は、カルボニル基との結合位置を表す。]、または
    式(2):
    [式(2)中、
    、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基を形成する。
    *は、カルボニル基との結合位置を表す。]
    で表される請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. カルボン酸が、式(I−2):
    [式(I−2)中、
    、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成するか、或いはR10およびR11が結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表される請求項1または2に記載のゴム組成物。
  5. カルボン酸が、式(I−3):
    [式(I−3)中、R、R、R10、R11、X、YAおよびkは、請求項4における記載と同一である。]
    で表わされる請求項4に記載のゴム組成物。
  6. ゴム成分が、ジエン系ゴムを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  7. 充填剤が、カーボンブラックを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  8. さらに硫黄成分を混練して得られる請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  9. 請求項8に記載のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物。
  10. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR12−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸、
    式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミン、
    ゴム成分、および
    充填剤
    を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
  11. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸と、式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンとの塩、
    ゴム成分、および
    充填剤
    を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
  12. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR13−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸、
    式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミン、
    ゴム成分、
    充填剤、および
    硫黄成分
    を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
  13. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸と、式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンとの塩、
    ゴム成分、
    充填剤、および
    硫黄成分
    を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の製造方法によって得られたゴム組成物を加硫することを含む加硫ゴム組成物の製造方法。
  15. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸と、式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンとの塩を含有する、加硫ゴム組成物用の損失係数低減剤。
  16. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸、および
    式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンの、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるための使用。
  17. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸と、式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンとの塩の、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるための使用。
  18. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸、
    式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミン、
    ゴム成分、
    充填剤、および
    硫黄成分
    を混練することを含む、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させる方法。
  19. 式(I):
    [式(I)中、
    およびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい直鎖状のC2−5アルケンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を表す。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸と、式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンとの塩、
    ゴム成分、
    充填剤、および
    硫黄成分
    を混練することを含む、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させる方法。
  20. 式(I−2):
    [式(I−2)中、
    、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−6シクロアルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成するか、或いはR10およびR11が結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
    XおよびYは、それぞれ独立に、−NR−、−O−または−S−を表し、Rは、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。
    k個のAは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、または1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基を表す。
    kは、1〜3の整数を表す。]
    で表されるカルボン酸と、式(II):
    [式(II)中、
    n個のZは、それぞれ独立に、−NH−、−O−または−S−を表す。
    n+1個のEは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいC1−15アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−14芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
    で表されるアミンとの塩。
  21. カルボン酸が、式(I−3):
    [式(I−3)中、R、R、R10、R11、X、YAおよびkは、請求項20における記載と同一である。]
    で表される請求項20に記載の塩。
  22. 、R、R10およびR11が、水素原子である請求項20または21に記載の塩。
  23. が、水素原子である請求項20〜22のいずれか一項に記載の塩。
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