JP2018080290A - ゴム組成物 - Google Patents

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Koichiro Tajima
宏一郎 田島
泰生 上北
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泰生 上北
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Abstract

【課題】操作性およびオールシーズン性のバランスが良好な加硫ゴム組成物を製造し得る、シリカ含有ゴム組成物を提供すること。
【解決手段】式(I)で表される化合物またはその塩等と、ゴム成分と、シリカまたはシリカおよびカーボンブラックの組合せを含む充填剤とを混練して得られるゴム組成物であり、ゴム成分100重量部あたり、式(I)で表される化合物またはその塩等の量が1.2〜5重量部であり、充填剤の量が65〜140重量部であり、およびシリカの量が65〜140重量部であり、並びにカーボンブラックとシリカとの重量比(カーボンブラック/シリカ)が0〜1である、ゴム組成物(式中の基の定義は明細書に記載した通りである)。

【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物等に関する。
タイヤ分野では、低燃費タイヤを製造するために、充填剤であるカーボンブラックを、カーボンブラックおよびシリカの組合せまたはシリカに変更することが試みられている(例えば、非特許文献1)。しかし、カーボンブラックをカーボンブラックおよびシリカの組合せまたはシリカに変更すると、ゴム組成物および加硫ゴム組成物の性能に悪影響が出る場合がある。
平田靖、「タイヤ用ゴムの進歩:低燃費を目指して,シリカ配合タイヤ」、ネットワークポリマー Vol.33、No.5(2012)、第242〜248頁(合成樹脂工業協会発行)
タイヤ等として使用される加硫ゴム組成物には、良好な操作性および良好なオールシーズン性が要求される。ここで、良好な操作性とは、ハンドル操作をタイヤ(加硫ゴム組成物)に良好に伝え得ることを意味する。また、良好なオールシーズン性とは、夏での粘弾性特性および冬での粘弾性特性の間で変化が小さいことを意味する。
本発明は上記事情に着目してなされたものであって、その目的は、操作性およびオールシーズン性のバランスが良好な加硫ゴム組成物を製造し得る、シリカ含有ゴム組成物を提供することにある。この目的を達成し得る本発明は、以下の通りである。
[1] 式(I):
[式(I)中、
は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
Xは、−NH−または−O−を表す。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つと、ゴム成分と、シリカまたはシリカおよびカーボンブラックの組合せを含む充填剤とを混練して得られるゴム組成物であり、
ゴム成分100重量部あたり、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計量が1.2〜5重量部であり、充填剤の量が65〜140重量部であり、およびシリカの量が65〜140重量部であり、並びに
カーボンブラックとシリカとの重量比(カーボンブラック/シリカ)が0〜1である、
ゴム組成物。
[2] 式(I)で表される化合物が、式(II):
[式(II)中、R〜RおよびXは前記と同義である。]
で表される化合物である前記[1]に記載のゴム組成物。
[3] Rが、フェニレン基である前記[1]または[2]に記載のゴム組成物。
[4] RおよびRが、水素原子である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[5] Rが、ヒドロキシ基である前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[6] Xが、−NH−である前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[7] ゴム成分が、ジエン系ゴムを含む前記[1]〜[6]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[8] さらに硫黄成分を混練して得られる前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[9] 前記[8]に記載のゴム組成物を加硫することによって得られる加硫ゴム組成物。
[10] 前記[9]に記載の加硫ゴム組成物を含むタイヤ。
[11] 式(I):
[式(I)中、
は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
Xは、−NH−または−O−を表す。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つと、ゴム成分と、シリカまたはシリカおよびカーボンブラックの組合せを含む充填剤とを混練することを含むゴム組成物の製造方法であり、
ゴム成分100重量部あたり、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計量が1.2〜5重量部であり、充填剤の量が65〜140重量部であり、およびシリカの量が65〜140重量部であり、並びに
カーボンブラックとシリカとの重量比(カーボンブラック/シリカ)が0〜1である、
方法。
[12] さらに硫黄成分を混練することを含む前記[11]に記載の方法。
[13] 前記[12]に記載の方法で得られたゴム組成物を加硫することを含む、加硫ゴム組成物の製造方法。
本発明のシリカ含有ゴム組成物から、操作性およびオールシーズン性のバランスが良好な加硫ゴム組成物を製造することができる。
以下、本発明を順に説明する。なお、以下では、「式(I)で表される化合物」を「化合物(I)」と略称することがある。また、「式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つ」を「化合物(I)等」と略称することがある。他の式で表される化合物等も同様に略称することがある。
本発明は、以下のものを提供する:
(i)化合物(I)等と、ゴム成分と、充填剤とを混練して得られるゴム組成物、
(ii)化合物(I)等と、ゴム成分と、充填剤と、硫黄成分とを混練して得られるゴム組成物、
(iii)前記(ii)のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物、
(iv)前記(iii)の加硫ゴム組成物を含む製品(例えば、タイヤ等)、
(v)化合物(I)等と、ゴム成分と、充填剤とを混練することを含むゴム組成物の製造方法、
(vi)化合物(I)等と、ゴム成分と、充填剤と、硫黄成分とを混練することを含むゴム組成物の製造方法、および
(vii)前記(vi)の方法で得られたゴム組成物を加硫することを含む加硫ゴム組成物の製造方法。
なお、化合物(I)等は、混練中にゴム成分および/または充填剤と反応し、これらと化合物を形成する可能性がある。しかし、形成され得る化合物は、固体であるゴム組成物中に含まれるため、その構造または特性によって直接特定することは、現在の技術では不可能であるか、またはおよそ実際的でない。そのため、本明細書および特許請求の範囲では、本発明のゴム組成物を、「化合物(I)等と、ゴム成分と、充填剤とを混練して得られるゴム組成物」として特定する。なお、硫黄成分や、後述の他の成分を使用する場合も同様である。
<式(I)で表される化合物等>
本発明は、式(I):
で表される化合物等を使用することを特徴の一つとする。
式(I)中のRは、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
本明細書中、「Cx−y」とは、炭素原子数がx以上y以下(x、y:整数)であることを意味する。
本明細書中、アルカンジイル基は、直鎖状アルカンジイル基および分枝鎖状アルカンジイル基の両方を包含する。本明細書中、「C2−12アルカンジイル基」としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、1−プロピルテトラメチレン基、2−プロピルテトラメチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、1−エチルペンタメチレン基、2−エチルペンタメチレン基、3−エチルペンタメチレン基、1−プロピルペンタメチレン基、2−プロピルペンタメチレン基、3−プロピルペンタメチレン基、1−メチルヘキサメチレン基、2−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基、1−エチルヘキサメチレン基、2−エチルヘキサメチレン基、3−エチルヘキサメチレン基、1−プロピルヘキサメチレン基、2−プロピルヘキサメチレン基、3−プロピルヘキサメチレン基が挙げられる。
2−12アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。なお、ハロゲン原子等の説明は後述する。
本明細書中、「C3−10シクロアルカンジイル基」としては、例えば、シクロプロパン−1,2−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基、シクロノナン−1,5−ジイル基、シクロデカン−1,6−ジイル基が挙げられる。
3−10シクロアルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「2価のC6−12芳香族炭化水素」としては、例えば、フェニレン基(例、1,4−フェニレン基)、ナフチレン基(例、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基)、ビフェニルジイル基(例、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基)が挙げられる。
2価のC6−12芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基、スルホ基が挙げられる。なお、スルホ基は、−SOHで表される基である。
は、好ましくはC2−12アルカンジイル基または2価のC6−12芳香族炭化水素基であり、より好ましくはC2−12アルカンジイル基またはフェニレン基であり、さらに好ましくはフェニレン基であり、特に好ましくは1,4−フェニレン基である。
式(I)中のRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、アルコキシ基は、直鎖状アルコキシ基および分枝鎖状アルコキシ基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられる。
1−6アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、アルキル基は、直鎖状アルキル基および分枝鎖状アルキル基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−メチルブチル基、3−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基が挙げられる。
1−6アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基が挙げられる。
6−14アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基、スルホ基が挙げられる。
本明細書中、「C1−7アシル基」としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル基、ピバロイル基)、ベンゾイル基が挙げられる。
本明細書中、C1−6アルコキシ−カルボニル基に含まれる「C1−6アルコキシ基」およびC1−7アシル−オキシ基に含まれる「C1−7アシル基」としては、例えば、上記のものが挙げられる。
「RおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって形成されるC3−10シクロアルケンジイル基」としては、例えば、シクロプロペン−1,2−ジイル基、シクロブテン−1,2−ジイル基、シクロペンテン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、シクロヘプテン−1,2−ジイル基、シクロオクテン−1,2−ジイル基、シクロノネン−1,2−ジイル基、シクロデセン−1,2−ジイル基が挙げられる。
3−10シクロアルケンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
およびRは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子またはC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
式(I)中のRは、ヒドロキシ基(−OH)、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
本明細書中、C6−14アリールオキシ基に含まれる「C6−14アリール基」としては、例えば、上記のものが挙げられる。
は、好ましくはヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
式(I)中のXは、−NH−または−O−を表す。Xは、好ましくは−NH−である。
化合物(I)は、好ましくは式(II):
[式(II)中、R〜RおよびXは上記と同義である。]
で表される化合物である。
化合物(I)の塩としては、(a)化合物(I)の−NHと他の酸とが形成するアミン塩、(b)Xが−NH−である場合、化合物(I)の−NH−と他の酸とが形成するアミン塩、および(c)Rがヒドロキシ基である場合、化合物(I)の−COOHと他の塩基とが形成するカルボン酸塩が挙げられる。前記(a)および(b)のアミン塩を形成する他の酸としては、有機酸および無機酸のいずれでもよく、前記(c)のカルボン酸塩を形成する塩基は、有機塩基および無機塩基のいずれでもよい。化合物(I)の塩は、好ましくはカルボン酸塩であり、より好ましくはカルボン酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはカルボン酸アルカリ金属塩であり、特に好ましくはカルボン酸ナトリウム塩である。
化合物(I)の溶媒和物および化合物(I)の塩の溶媒和物を形成する溶媒は、水でもよく、有機溶媒(例えば、メタノール)でもよい。溶媒和物を形成する溶媒は、好ましくは水またはメタノールであり、より好ましくは水である。
化合物(I)等は、好ましくは化合物(I)の塩の溶媒和物であり、より好ましくは化合物(I)のカルボン酸塩の溶媒和物であり、さらに好ましくは化合物(I)のカルボン酸アルカリ金属塩の水和物および化合物(I)のカルボン酸アルカリ土類金属塩の水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、特に好ましくは化合物(I)のカルボン酸ナトリウム塩の水和物である。
以下に化合物(I)またはその塩の具体例を示す。
化合物(I)等としては、公知の方法に従って製造したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。例えば、化合物(I)等は、特開2013−209605に記載されている方法または該方法に準じた方法によって製造することができる。また、化合物(I)等は、住友化学社から「SUMILINK(登録商標) 200」等の商品名で市販されている。
化合物(I)等の量(即ち、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計量)は、操作性およびオールシーズン性の観点から、ゴム成分100重量部あたり、1.2〜5重量部、好ましくは1.2〜4重量部、より好ましくは1.5〜4重量部である。
<ゴム成分>
ゴム成分としては、天然ゴム(NR)および変性天然ゴム(例えば、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム);ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴム;が例示される。ゴム成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分は、好ましくはジエン系ゴムを含む。ここで、ジエン系ゴムとは、共役2重結合を持つジエンモノマーを原料としたゴムを意味する。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム、変性天然ゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムは、高不飽和性であることが好ましく、天然ゴムであることがより好ましい。また、天然ゴムと他のゴム(例えば、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム)とを併用することも有効である。
ジエン系ゴム(特に、天然ゴム)を使用する場合、ゴム成分中のジエン系ゴムの量(即ち、ゴム成分100重量%あたりのジエン系ゴムの量)は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%、最も好ましくは100重量%である。即ち、ゴム成分がジエン系ゴム(特に、天然ゴム)からなることが最も好ましい。
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のもの(例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25やENR50)が挙げられる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。その他の変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに4−ビニルピリジン、N,N,−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが挙げられる。
SBRとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRが挙げられる。
溶液重合SBRとしては、変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズおよびケイ素の少なくとも一つの元素を有する、変性溶液重合SBRが挙げられる。変性剤としては、例えば、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合SBRとしては、具体的には、日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、および旭化成社製「E10」および「E15」等のシラン変性溶液重合SBR等が挙げられる。
また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRも使用することができる。
BRとしては、低ビニル含量の溶液重合BRおよび高ビニル含量の溶液重合BRのいずれでもよいが、高ビニル含量の溶液重合BRが好ましい。変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、ケイ素の少なくとも一つの元素を有する変性溶液重合BRが特に好ましい。変性剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えば、トリアルコキシシラン化合物)、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合BRとしては、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等のスズ変性BRが挙げられる。BRは、SBRおよび/または天然ゴム(NR)とのブレンドで使用してもよい。
<充填剤>
本発明は、充填剤が、シリカまたはシリカおよびカーボンブラックの組合せを含むことを特徴の一つとする。充填剤は、シリカまたはシリカおよびカーボンブラックの組合せからなることが好ましい。
また、シリカのBET比表面積は、好ましくは20〜400m/g、より好ましくは20〜350m/g、さらに好ましくは20〜300m/gである。このBET表面積は、多点窒素吸着法(BET法)によって測定することができる。
シリカとしては、例えば、(i)pHが6〜8であるシリカ、(ii)ナトリウムを0.2〜1.5重量%含むシリカ、(iii)真円度が1〜1.3の真球状シリカ、(iv)シリコーンオイル(例、ジメチルシリコーンオイル)、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、アルコール(例、エタノール、ポリエチレングリコール)等で表面処理したシリカ、(v)二種類以上の異なった表面積を有するシリカの混合物等が挙げられる。これらは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの市販品としては、例えば、東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、「Nipsil(登録商標)AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)VN3−G」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」が挙げられる。
カーボンブラックのBET表面積は、好ましくは10〜130m/g、より好ましくは20〜130m/g、さらに好ましくは40〜130m/gである。このBET表面積は、多点窒素吸着法(BET法)によって測定することができる。
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられる。カーボンブラックは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。カーボンブラックとしては、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、ISAF−HM(Intermediate SAF−High Modulus)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)が好ましい。
シリカおよびカーボンブラック以外の充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、瀝青炭粉砕物、タルク、クレー(特に、焼成クレー)、酸化チタンが挙げられる。
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m/g、DOP給油量50〜100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
瀝青炭粉砕物の平均粒径は、好ましくは0.001mm以上であり、好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.05mm以下、さらに好ましくは0.01mm以下である。なお、瀝青炭粉砕物の平均粒径は、JIS Z 8815−1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
瀝青炭粉砕物の比重は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。比重が1.6を超える瀝青炭粉砕物を使用すると、ゴム組成物全体の比重が増加し、タイヤの低燃費性向上が充分に図れないおそれがある。瀝青炭粉砕物の比重は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。比重が0.5未満である瀝青炭粉砕物を使用すると、混練時の加工性が悪化するおそれがある。
充填剤の量は、操作性およびオールシーズン性の観点から、ゴム成分100重量部あたり、65〜140重量部、好ましくは65〜130重量部、より好ましくは70〜120重量部である。
シリカの量は、操作性およびオールシーズン性の観点から、ゴム成分100重量部あたり、65〜140重量部、好ましくは65〜130重量部、より好ましくは70〜120重量部である。
カーボンブラックとシリカとの重量比(カーボンブラック/シリカ)は、操作性およびオールシーズン性の観点から、0〜1、好ましくは0〜0.8、より好ましくは0〜0.7である。
<硫黄成分>
硫黄成分としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、および高分散性硫黄、モルフォリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドが挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、本発明のゴム組成物を硫黄量が多い製品の製造に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。
硫黄成分の量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
<他の成分>
本発明では、上述の化合物(I)等、ゴム成分、充填剤および硫黄成分とは異なる他の成分を使用してもよい。他の成分としては、ゴム分野で公知のものを使用することができ、例えば、シリカと結合可能な化合物、加硫促進剤、加硫促進助剤、樹脂、粘弾性改善剤、老化防止剤、オイル、ワックス、しゃく解剤、リターダー、オキシエチレンユニットを有する化合物、触媒(ナフテン酸コバルト等)が挙げられる。他の成分は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカと結合可能な化合物の例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(別名:「オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル」、例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中で、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)が、好ましい。
シリカと結合可能な化合物を使用する場合、その量は、シリカ100重量部あたり、好ましくは2〜10重量部、より好ましくは7〜9重量部である。
シリカと結合可能な化合物に加えて、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の多価アルコール;N−アルキルアミン;アミノ酸;分子末端がカルボキシ変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン等を使用してもよい。
加硫促進剤の例としては、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日 社団法人 日本ゴム協会発行)の412〜413頁に記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
加硫促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
また、加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、シトラコンイミド化合物、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、有機チオスルフェート化合物および式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17は、C2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
なお、本発明において酸化亜鉛は、加硫促進助剤の概念に包含され、上述の充填剤の概念には包含されない。
酸化亜鉛を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
ステアリン酸を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
シトラコンイミド化合物としては、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、ビスシトラコンイミド類が好ましい。具体的には、1,2−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドエチルトルエンなどが挙げられる。
シトラコンイミド化合物のなかでも、熱的に特に安定であり、ゴム成分中への分散性に特に優れ、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができる(リバージョン制御)という理由から、下記式で表される1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンが好ましい。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができるという理由から、式(IV):
[式中、nは0〜10の整数であり、Xは2〜4の整数であり、R19はC5−12アルキル基である。]
で表されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を使用することが好ましい。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)のゴム成分中への分散性が良いという理由から、nは、好ましくは1〜9の整数である。
Xが4を超えると、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)が熱的に不安定となる傾向があり、Xが1であるとアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)中の硫黄含有率(硫黄の重量)が少ない。高硬度を効率よく発現させることができる(リバージョン抑制)という理由から、Xは2であることが好ましい。
19は、C5−12アルキル基である。ゴム成分中へのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の分散性が良いという理由から、R19は、好ましくはC6−9アルキル基である。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の具体例として、nが0〜10であり、Xが2であり、R19がオクチル基であり、硫黄含有率が24重量%である田岡化学工業社製のタッキロールV200が挙げられる。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物が得られる(リバージョン抑制)という理由から、式(V):
HOS−S−(CH−S−SOH (V)
[式中、mは3〜10の整数である。]
で表される有機チオスルフェート化合物の塩(以下「有機チオスルフェート化合物塩(V)」と記載することがある。)を使用することが好ましい。結晶水を含有する有機チオスルフェート化合物塩(V)を使用してもよい。有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられ、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
mは、3〜10の整数であり、好ましくは3〜6の整数である。mが2以下では、充分な耐熱疲労性が得られない傾向があり、mが11以上では、有機チオスルフェート化合物塩(V)による耐熱疲労性の改善効果が充分に得られない場合がある。
有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、常温常圧下で安定であるという観点から、そのナトリウム塩1水和物、ナトリウム塩2水和物が好ましく、コストの観点からチオ硫酸ナトリウムから得られる有機チオスルフェート化合物塩(V)がより好ましく、下記式で表される1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物がさらに好ましい。
ゴム成分中へ良く分散すること、およびアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)と併用した場合にアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の−S−架橋の中間に挿入されて、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)とのハイブリッド架橋を形成することが可能であるという理由から、式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17はC2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物を、加硫促進助剤として使用することが好ましい。
17は、C2−10アルカンジイル基、好ましくはC4−8アルカンジイル基であり、より好ましくは直鎖状のC4−8アルカンジイル基である。R17は、直鎖状であることが好ましい。R17の炭素数が1以下では、熱的な安定性が悪い場合がある。また、R17の炭素数が11以上では、加硫促進助剤を介したポリマー間の距離が長くなり、加硫促進助剤を添加する効果が得られない場合がある。
16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基である。窒素原子を含む1価の有機基としては、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、芳香環および=N−C(=S)−基を含むものがさらに好ましい。R16およびR18は、それぞれ同一でも、異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から、同一であることが好ましい。
化合物(III)としては、例えば、1,2−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどが挙げられる。なかでも、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
化合物(III)の市販品としては、例えば、バイエル社製のVULCUREN TRIAL PRODUCT KA9188、VULCUREN VP KA9188(1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)が挙げられる。
硫黄成分と加硫促進剤との重量比(硫黄成分/加硫促進剤)は、特に制限されないが、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/5〜5/1、さらに好ましくは1/3〜3/1である。また天然ゴムを主成分とするゴム部材において、耐熱性を向上させる方法である硫黄成分/加硫促進剤の重量比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が特に必要な用途において好ましく用いられる。
ゴム組成物は、レゾルシノール等の有機化合物、レゾルシノール樹脂、変性レゾルシノール樹脂、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂および変性フェノール樹脂等の樹脂を含んでよい。レゾルシノールやこれらの樹脂を含むことにより、加硫ゴム組成物の破断時伸び、複素弾性率を向上させることができる。また、ゴム組成物をコードと接触するゴム製品の製造に使用する場合、レゾルシノールや樹脂を含むことにより、コードとの接着性を高めることができる。
レゾルシノールとしては、例えば、住友化学社製のレゾルシノール等が挙げられる。レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、インドスペック社製のペナコライト樹脂B−18−S、B−20、田岡化学工業社製のスミカノール620、ユニロイヤル社製のR−6、スケネクタディー化学社製のSRF1501、アッシュランド社製のArofene7209等が挙げられる。
クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール樹脂の末端のメチル基をヒドロキシ基に変性したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、田岡化学工業社製のスミカノール610、住友ベークライト社製のPR−X11061等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。また、変性フェノール樹脂としては、フェノール樹脂をカシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどを用いて変性した樹脂が挙げられる。
その他の樹脂としては、例えば、住友化学社製の「スミカノール507AP」等のメトキシ化メチロールメラミン樹脂;日鉄化学社製のクマロン樹脂NG4(軟化点81〜100℃)、神戸油化学工業社製の「プロセスレジンAC5」(軟化点75℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱瓦斯化学社製の「ニカノール(登録商標)A70」(軟化点70〜90℃)等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエンが挙げられる。
粘弾性改善剤としては、例えば、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(例えば、住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、特開昭63−23942号公報記載のジチオウラシル化合物、田岡化学工業社製「タッキロール(登録商標)AP」、「タッキロール(登録商標)V−200」、特開2009−138148号公報記載のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(例えば、バイエル社製「KA9188」)、1,6−ヘキサメチレンジチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(例えば、フレキシス社製「パーカリンク900」)、1−ベンゾイル−2−フェニルヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2004−91505号公報記載の1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド誘導体、特開2000−190704号公報記載の3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジフェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2006−328310号公報記載のビスメルカプトオキサジアゾール化合物、特開2009−40898号公報記載のピリチオン塩化合物、特開2006−249361号公報記載の水酸化コバルト化合物が挙げられる。
中でも、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(例えば、住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(例えば、バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(例えば、フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学工業社製「タッキロール(登録商標)AP」、「タッキロール(登録商標)V−200」が好ましい。
老化防止剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。老化防止剤としては、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(略称「6PPD」、例えば住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」)、アニリンとアセトンの反応生成物(略称「TMDQ」)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(例えば、松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
老化防止剤を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、MES(軽度抽出溶媒和物)オイル、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物)オイルが挙げられる。市販品としては、例えば、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)、TDAEオイル(H&R社製「VivaTec500」)が挙げられる。
オイルを使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり5〜70重量部が好ましく、20〜60重量部がより好ましい。
ワックスとしては、大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」、日本精蝋社製の「OZOACE−0355」等が挙げられる。
しゃく解剤としては、ゴム分野において通常用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の446〜449頁に記載される、芳香族メルカプタン系しゃく解剤、芳香族ジスルフィド系しゃく解剤、芳香族メルカプタン金属塩系しゃく解剤が挙げられる。中でも、ジキシリルジスルフィド、o,o’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(大内新興化学工業社製「ノクタイザーSS」)が好ましい。しゃく解剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
しゃく解剤を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。
リターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
リターダーを使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。
本発明では、式:−O−(CH−CH−O)−H[式中、qは1以上の整数である。]で表される構造を有するオキシエチレンユニットを有する化合物を使用してもよい。ここで、上記式中、qは、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、qは16以下が好ましく、14以下がより好ましい。qが17以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
オキシエチレンユニットを有する化合物中のオキシエチレンユニットの位置は、主鎖でも、末端でも、側鎖でもよい。得られるタイヤ表面における静電気の蓄積防止効果の持続性および電気抵抗の低減の観点から、オキシエチレンユニットを有する化合物の中でも、少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物が好ましい。
主鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンスチレン化アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイドなどが挙げられる。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、オキシエチレンユニットの個数は、主鎖を構成する炭素数100個当たり4個以上が好ましく、8個以上がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が3個以下では、電気抵抗が増大する傾向がある。また、オキシエチレンユニットの個数は12個以下が好ましく、10個以下がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が13個以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、その主鎖としては、主としてポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンから構成されるものが好ましい。
<ゴム組成物の製造>
本発明のゴム組成物は、化合物(I)等と、ゴム成分と、充填剤と、必要に応じて他の成分とを混練することによって製造することができる。
前記成分に加えて、さらに硫黄成分を混練して得られる本発明のゴム組成物(以下「硫黄成分を含有する本発明のゴム組成物」と記載することがある。)は、まず、ゴム成分と充填剤とを混練する工程(以下「工程1」と略称することがある。)、次いで工程1で得られたゴム組成物と硫黄成分とを混練する工程(以下「工程2」と略称することがある。)を経て製造することが好ましい。さらに、工程1(即ち、ゴム成分と充填剤等との混練)の前に、ゴム成分を加工しやすくするため、ゴム成分を素練りする予備混練工程を設けてもよい。
硫黄成分を含有する本発明のゴム組成物の製造では、化合物(I)等の全量を、予備混練工程、工程1または工程2のいずれかでゴム成分等と混練してもよく、化合物(I)等をそれぞれ分割して、予備混練工程〜工程2の少なくとも二つの工程でゴム成分等と混練してもよい。また、化合物(I)等は、上述の充填剤に予め担持されてから、ゴム成分等と混練してもよい。
酸化亜鉛および/またはステアリン酸を配合するときは、工程1でそれらとゴム成分等とを混練することが好ましい。加硫促進剤を配合するときは、工程2でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。しゃく解剤を配合するときは、工程1でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。予備混練工程を設ける時は、予備混練工程でしゃく解剤の全量とゴム成分とを混練するか、またはしゃく解剤を分けて、予備混練工程および工程1の両方でそれの一部とゴム成分とを混練することが好ましい。リターダーを配合するときは、工程2でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。
工程1における混練には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。工程1における混練後のゴム組成物の排出温度は、200℃以下が好ましく、120〜180℃がより好ましい。
工程2における混練には、例えば、オープンロール、カレンダー等を使用することができる。工程2における混練温度(混練しているゴム組成物の温度)は、60〜120℃が好ましい。
<加硫ゴム組成物の製造>
硫黄成分を含有する本発明のゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造することができる。硫黄成分を含有する本発明のゴム組成物を特定の形状に加工してから加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造してもよい。
加硫温度は、120〜180℃が好ましい。当業者であれば、ゴム組成物の組成に応じて、加硫時間を適宜設定することができる。加硫は、通常、常圧または加圧下で行われる。
<用途>
本発明のゴム組成物および加硫ゴム組成物は、様々な製品を製造するために有用である。そのような製品としては、タイヤおよびタイヤ用部材が好ましく、タイヤがより好ましい。タイヤ用部材としては、例えば、本発明の加硫ゴム組成物およびスチールコードを含むタイヤ用ベルト部材、本発明の加硫ゴム組成物およびカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス部材、タイヤ用サイドウォール部材、タイヤ用インナーライナー部材、タイヤ用キャップトレッド部材またはタイヤ用アンダートレッド部材が挙げられる。
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
<工程1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、天然ゴム(RSS#1)100重量部、シリカ(東ソーシリカ社製、商品名「Nipsil(登録商標)AQ」、BET比表面積:210m/g)120重量部、シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、デグッサ社製、商品名「Si−75」)9.6重量部、TDAEオイル(H&R社製、商品名「VivaTec500」)50重量部、ステアリン酸2重量部、酸化亜鉛3重量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、住友化学社製、商品名「アンチゲン(登録商標)6C」)1重量部および(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物(化合物(I)の1種)2重量部を混練して、ゴム組成物を得た。本工程では、混練開始時の装置温度を140℃とし、60rpmのミキサー回転数で5分間混練した。排出時のゴム組成物の温度は160℃であった。
<工程2>
オープンロールで60〜80℃の温度にて、工程1により得られたゴム組成物、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))1重量部、加硫促進剤(ジフェニルグアニジン(DPG))3.73重量部、および粉末硫黄2重量部を混練して、ゴム組成物を得た。
<加硫>
工程2で得たゴム組成物を170℃で3.5分加熱して、加硫ゴム組成物を得た。
参考例1
(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を得た。
実施例2
(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物の使用量を3重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を得た。
比較例1
(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物の使用量を0.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を得た。
比較例2
実施例1において、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物の使用量を1重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を得た。
試験例1:粘弾性特性の測定
以下の測定条件で株式会社上島製作所製の粘弾性アナライザを用いて、得られた加硫ゴム組成物の−20℃での粘弾性特性(E’(−20℃))および60℃での粘弾性特性(E’(60℃))を測定した。
(1)E’(−20℃)の測定条件
測定温度:−20℃
初期歪:10%
動的歪:0.05%
周波数:10Hz
(2)E’(60℃)の測定条件
測定温度:60℃
初期歪:10%
動的歪:0.1〜2.5%
周波数:10Hz
操作性の指標として、参考例1の加硫ゴム組成物のE’(60℃)を100とした場合の実施例および比較例のE’(60℃)の相対値を、下記式:
E’(60℃)の相対値=100×(実施例または比較例の加硫ゴム組成物のE’(60℃))/(参考例1の加硫ゴム組成物のE’(60℃))
から算出した。結果を表1に示す。E’(60℃)の相対値が大きいほど、加硫ゴム組成物をタイヤに用いた場合、ハンドル操作をタイヤに良好に伝えることができる。
オールシーズン性の指標として、得られたE’(−20℃)およびE’(60℃)から、E’(60℃)/E’(−20℃)を算出した。結果を表1に示す。E’(60℃)/E’(−20℃)が1に近い(即ち、温度による粘弾性特性の変化が小さい)加硫ゴム組成物は、夏での粘弾性特性および冬での粘弾性特性の間で変化が小さく、オールシーズン性が良好である。
実施例1および2の加硫ゴム組成物は、参考例1、比較例1および2の加硫ゴム組成物よりもE’(60℃)の相対値およびE’(60℃)/E’(−20℃)が大きく、操作性およびオールシーズン性が良好である。
本発明のゴム組成物は、タイヤ等の製造に有用である。

Claims (13)

  1. 式(I):

    [式(I)中、
    は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
    は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
    Xは、−NH−または−O−を表す。]
    で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つと、ゴム成分と、シリカまたはシリカおよびカーボンブラックの組合せを含む充填剤とを混練して得られるゴム組成物であり、
    ゴム成分100重量部あたり、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計量が1.2〜5重量部であり、充填剤の量が65〜140重量部であり、およびシリカの量が65〜140重量部であり、並びに
    カーボンブラックとシリカとの重量比(カーボンブラック/シリカ)が0〜1である、
    ゴム組成物。
  2. 式(I)で表される化合物が、式(II):

    [式(II)中、R〜RおよびXは前記と同義である。]
    で表される化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. が、フェニレン基である請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. およびRが、水素原子である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. が、ヒドロキシ基である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  6. Xが、−NH−である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  7. ゴム成分が、ジエン系ゴムを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  8. さらに硫黄成分を混練して得られる請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  9. 請求項8に記載のゴム組成物を加硫することによって得られる加硫ゴム組成物。
  10. 請求項9に記載の加硫ゴム組成物を含むタイヤ。
  11. 式(I):

    [式(I)中、
    は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
    は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
    Xは、−NH−または−O−を表す。]
    で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つと、ゴム成分と、シリカまたはシリカおよびカーボンブラックの組合せを含む充填剤とを混練することを含むゴム組成物の製造方法であり、
    ゴム成分100重量部あたり、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計量が1.2〜5重量部であり、充填剤の量が65〜140重量部であり、およびシリカの量が65〜140重量部であり、並びに
    カーボンブラックとシリカとの重量比(カーボンブラック/シリカ)が0〜1である、
    方法。
  12. さらに硫黄成分を混練することを含む請求項11に記載の方法。
  13. 請求項12に記載の方法で得られたゴム組成物を加硫することを含む、加硫ゴム組成物の製造方法。
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