JP2013185105A - ゴム組成物および架橋ゴム組成物 - Google Patents

ゴム組成物および架橋ゴム組成物 Download PDF

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進 森
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佳余子 阿部
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Abstract

【課題】ゴム用老化防止物質の効果が充分に持続するゴム組成物を提供すること。
【解決手段】(A)酸化亜鉛、酸化銅(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)および酸化鉄(III)鉄(II)からなる群から選ばれる金属酸化物と、
前記金属酸化物に担持されたゴム用老化防止物質と
を含有するゴム用老化防止剤、および
(B)ゴム成分
を含有するゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物および架橋ゴム組成物に関する。
特許文献1には、ゴム用老化防止物質として、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンが記載されている。
特開2007−238803号公報
ゴム用老化防止物質をそのままの状態で含む従来の架橋ゴム組成物は、ゴム用老化防止物質が架橋ゴム組成物中で移行し(最終的にはゴム用老化防止物質が表面にブリードアウトし)、その老化防止効果が充分に持続しない場合があった。本発明は、このような事情に着目してなされたものであって、その目的は、老化防止効果が充分に持続するゴム用老化防止剤を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ゴム用老化防止物質を、酸化亜鉛、酸化銅(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)および酸化鉄(III)鉄(II)からなる群から選ばれる金属酸化物(以下「特定の金属酸化物」と略称することがある。)に担持させて得られるゴム用老化防止剤を含有する架橋ゴム組成物中では、ゴム用老化防止物質の移行を抑制することができ、老化防止効果を充分に持続させ得ることを見出した。この知見に基づく本発明は、以下の通りである。
[1] (A)酸化亜鉛、酸化銅(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)および酸化鉄(III)鉄(II)からなる群から選ばれる金属酸化物と、
前記金属酸化物に担持されたゴム用老化防止物質と
を含有するゴム用老化防止剤、および
(B)ゴム成分
を含有するゴム組成物。
[2] (A)酸化亜鉛、酸化銅(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)および酸化鉄(III)鉄(II)からなる群から選ばれる金属酸化物と、
前記金属酸化物に担持されたゴム用老化防止物質と
を含有するゴム用老化防止剤、および
(B)ゴム成分
を混練することによって得られるゴム組成物。
[3] ゴム用老化防止物質が、式(I)で示される化合物である上記[1]または[2]に記載のゴム組成物。
Figure 2013185105
(式(I)中、Rは、水素原子または炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
[4] 前記金属酸化物の含有量が、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1〜100質量部である上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のゴム組成物を架橋することによって得られる架橋ゴム組成物。
[6] 上記[5]に記載の架橋ゴム組成物を含むタイヤ。
[7] 上記[5]に記載の架橋ゴム組成物を含むタイヤ用のサイドウォール、インナーライナー、キャップトレッドまたはアンダートレッド。
[8] 上記[5]に記載の架橋ゴム組成物で被覆されたスチールコードを含むタイヤ用ベルト。
[9] 上記[5]に記載の架橋ゴム組成物で被覆されたカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス。
特定の金属酸化物と特定の金属酸化物に担持されたゴム用老化防止物質とを含有するゴム用老化防止剤を含む架橋ゴム組成物では、ゴム用老化防止物質の効果が充分に持続する。
架橋ゴム組成物のゴム用老化防止物質の移行量を測定する方法を説明する図である。
<ゴム用老化防止剤>
本発明のゴム組成物および架橋ゴム組成物は、特定の金属酸化物と特定の金属酸化物に担持されたゴム用老化防止物質とを含有するゴム用老化防止剤(以下「本発明のゴム用老化防止剤」と略称することがある。)を含むことを特徴とする。そこで、まず、このゴム用老化防止剤に含まれるゴム用老化防止物質および特定の金属酸化物を、この順で説明する。
<ゴム用老化防止物質>
本発明におけるゴム用老化防止物質とは、ゴム製品の老化を防ぎ、その寿命を長くする目的で配合される有機物質である。ゴム用老化防止物質は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム用老化防止物質としては、特に限定されず、例えば、アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、硫黄系老化防止剤、リン系老化防止剤などが挙げられる。具体的には、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第436頁〜第443頁に記載されているもの、アニリンとアセトンとの反応生成物(TMDQ)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックス等が挙げられる。
ゴム用老化防止物質は、低分子量ほど架橋ゴム組成物中で移行しやすい。この移行の抑制という本発明の効果の点から、ゴム用老化防止物質は、比較的低分子量であるものが好ましく、分子量が150〜600程度であるものがより好ましく、分子量が150〜400程度であるものがさらに好ましい。
ゴム用老化防止物質としては、アミン系老化防止物質が好ましい。アミン系老化防止物質としては、例えば、式(I):
Figure 2013185105
(式(I)中、Rは、水素原子または炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
で示される化合物、式(II):
Figure 2013185105
(式(II)中、Rは、水素原子または炭素数1〜13のアルキル基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜13のアルコキシ基を表す。)
で示される化合物またはそのポリマー等が挙げられる。
炭素数1〜13のアルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、好ましくは分枝鎖状である。その炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは3〜6である。炭素数1〜13のアルコキシ基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。その炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
は、好ましくは炭素数1〜13のアルキル基、より好ましくは分枝鎖状の炭素数3〜6のアルキル基であり、さらに好ましくはイソプロピルまたは1,3−ジメチルブチルであり、特に好ましくは1,3−ジメチルブチルである。Rは、好ましくは水素原子である。Rは、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子またはエトキシである。
式(I)で示される化合物としては、例えば、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)等を挙げることができる。式(II)で示される化合物としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(ETMDQ)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等を挙げることができる。式(II)で示される化合物のポリマーとしては、例えば、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)等を挙げることができる。これらの中では、式(I)で示される化合物が好ましく、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンがさらに好ましい。
<特定の金属酸化物>
本発明では、ゴム用老化防止物質のための担体として、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe、三酸化二鉄または三二酸化鉄ともいう)および酸化鉄(III)鉄(II)(Fe、四酸化三鉄または四三酸化鉄ともいう)からなる群から選ばれる金属酸化物を用いることを特徴の一つとする。特定の金属酸化物は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特定の金属酸化物の粒子径は、好ましくは0.1〜80μm、より好ましくは0.1〜50μmである。この粒子径は、レーザー回折法によって特定の金属酸化物の粒度分布を解析し、そのチャートから得られるD50の値である。
特定の金属酸化物の中でも、酸化亜鉛、酸化鉄(II)および酸化鉄(III)が好ましく、酸化鉄(II)および酸化鉄(III)がより好ましく、酸化鉄(II)が最も好ましい。
本発明のゴム用老化防止剤中の特定の金属酸化物の含有量は、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部、さらに好ましくは2〜30質量部である。なお、特定の金属酸化物を2種以上使用する場合、前記含有量は、特定の金属酸化物の合計量を指す。
<ゴム用老化防止剤の製造方法>
本発明のゴム用老化防止剤の製造方法は、ゴム用老化防止物質を特定の金属酸化物に担持できる方法であれば、特に限定されない。ここで「担持」とは、担体の表面に、被担持物質が付着していることをいう。担体が多孔質体の場合、その多孔質体内部(即ち、孔の表面)に非担持物質が付着していることも、「担持」に含まれる。この製造方法としては、例えば、下記(1)の方法、下記(2)の方法等を挙げることができる。
(1)ゴム用老化防止物質を溶媒に溶解した後、該溶液と特定の金属酸化物とを混合し、溶媒を除去する方法。
ここで「溶媒」としては、ゴム用老化防止物質を溶解でき、且つ除去(例えば、留去)が可能であるものであれば、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。
該方法では、ゴム用老化防止物質の溶液と特定の金属酸化物との混合方法に特に限定は無く、例えば、該溶液に特定の金属酸化物を添加してもよく、該溶液を特定の金属酸化物に噴霧してもよい。また、該方法では、溶媒除去後に得られた固形物を、必要に応じて粉砕してもよい。
(2)ゴム用老化防止物質を溶融した後、該溶融液と特定の金属酸化物とを混合し、冷却する方法。
該方法では、混合物の冷却方法に特に限定は無く、例えば、ブローによる強制空冷または放冷などを採用し得る。該方法では、冷却後に得られた固形物を、必要に応じて粉砕してもよい。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、本発明のゴム用老化防止剤とゴム成分とを混練することによって得られる。混練の際に、特定の金属酸化物とこれに担持されたゴム用老化防止物質とはゴム成分中で一緒に移動するため、得られた本発明のゴム組成物中では、ゴム用老化防止剤は、老化防止物質が特定の金属酸化物に担持された状態で存在すると推定される。
本発明のゴム用老化防止剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。同様に、ゴム成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。混練には特に限定は無く、公知の手法で行なうことができる。本発明のゴム組成物は、例えば、マスターバッチ(通常、架橋ゴム組成物を製造する前の、多量の本発明のゴム用老化防止剤とゴム成分とが予備混練された粉粒体)であってもよい。また、本発明のゴム組成物は、さらに、他の配合剤(例えば、充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、架橋剤、加硫促進剤等)を含有していてもよい。各配合剤は、それぞれ、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物に架橋剤(または硫黄および加硫促進剤)を配合する場合、架橋剤(または硫黄および加硫促進剤)および本発明のゴム用老化防止剤を、一緒にゴム成分と混練してもよく、本発明のゴム用老化防止剤とゴム成分とを混練した後で、得られた混練物と架橋剤(または硫黄および加硫促進剤)とをさらに混練してもよい。
本発明のゴム組成物がマスターバッチである場合、ゴム組成物中の本発明のゴム用老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば11〜990質量部、好ましくは31〜990質量部、より好ましくは51〜600質量部、特に好ましくは60〜500質量部である。
本発明のゴム組成物が、マスターバッチにゴム成分および必要に応じて配合剤を配合して得られるゴム組成物である場合、ゴム組成物中の本発明のゴム用老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば0.1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部である。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴムおよび変性天然ゴム(例えば、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム等);ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴム;を挙げることができる。ゴム成分は、高不飽和性であることが好ましく、天然ゴム、変性天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴムがより好ましく、天然ゴムがさらに好ましい。また、上述の各種ゴムは併用してもよい。併用の例としては、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムとの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムとの併用等が挙げられる。
天然ゴムとしては、例えば、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴム等を挙げることができる。
エポキシ化天然ゴムとしては、例えば、エポキシ化度10〜60モル%のもの(例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25、ENR50等)等を挙げることができる。
脱蛋白天然ゴムとしては、例えば、総窒素含有率が0.3質量%以下である脱蛋白天然ゴム等を挙げることができる。
その他の変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに4−ビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート等)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させて得られる、極性基を含有する変性天然ゴム等を挙げることができる。
スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第210頁〜第211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBR等を挙げることができる。
トレッド用およびサイドウォール用ゴム組成物の好ましいゴム成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)溶液重合SBR。
(2)変性した溶液重合SBR。変性した溶液重合SBRとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
(i)日本ゼオン社製「ニッポール(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR。
(ii)JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR。
(iii)旭化成社製「E10」、「E15」等のシラン変性の溶液重合SBR。
(iv)ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)およびアミノシラン化合物のいずれかを用いて分子末端を変性して得られる、分子末端に窒素またはケイ素の元素を有する溶液重合SBR。
(v)スズ化合物、アルキルアクリルアミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物等の異なった複数の化合物を2種以上用いて分子末端を変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、ケイ素の複数の元素を有する溶液重合SBR。
(3)乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに重合した後、プロセスオイル、アロマオイル等のオイルを添加した油展SBR。
ポリブタジエンゴム(BR)としては、例えば、シス結合が90%以上の高シスBR、シス結合が35%前後の低シスBR等の溶液重合BR、高ビニル含量の低シスBR等が挙げられる。これらの中でも、高ビニル含量の低シスBRが好ましい。
より好ましいポリブタジエンゴム(BR)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等のスズ変性BR。
(2)4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)およびアミノシラン化合物のいずれかを用いて分子末端を変性して得られる、分子末端に窒素、スズまたはケイ素の元素を有する溶液重合BR。
(3)スズ化合物、アルキルアクリルアミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物等の異なった複数の化合物を2種以上用いて分子末端を変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、ケイ素の複数の元素を有する溶液重合BR。
ポリブタジエンゴム(BR)は、トレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物のゴム成分として好ましい。なお、BRは、通常、SBRおよび/または天然ゴムのブレンドで使用される。トレッド用ゴム組成物の場合、ゴム成分中、SBRおよび天然ゴムの各含有量(またはSBRおよび天然ゴムの合計量)は、例えば60〜100質量%であり、BRの含有量は、例えば40〜0質量%である。また、サイドウォール用ゴム組成物の場合、ゴム成分中、SBRおよび天然ゴムの各含有量(またはSBRおよび天然ゴムの合計量)は、例えば10〜70質量%であり、BRの含有量は、例えば90〜30質量%である。サイドウォール用ゴム組成物の場合、ゴム成分中、天然ゴムの含有量は、好ましくは40〜60質量%であり、BRの含有量は、好ましくは60〜40質量%である。サイドウォール用ゴムの場合、変性SBRと非変性SBRとのブレンドや、変性BRと非変性BRとのブレンドも好ましく使用することができる。
充填剤としては、例えば、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、酸化チタン等を挙げることができる。これらの中で、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第494頁に記載されるものを挙げることができる。好ましくは、例えば、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)等のカーボンブラックが挙げられる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の場合には、CTAB(Cetyl Tri-methyl Ammonium Bromide)比表面積40〜250m/g、窒素吸着比表面積20〜200m/g、粒子径10〜50nmのカーボンブラックを好ましく挙げることができる。より好ましくは、例えば、CTAB表面積70〜180m/gであるカーボンブラック等が挙げられる。具体的には、例えば、ASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等を挙げることができる。また、カーボンブラックの表面にシリカを0.1〜50質量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましく挙げることができる。より好ましくは、例えば、カーボンブラックとシリカとの組合せ、数種の充填剤の組合せ等が挙げられる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の場合には、充填剤として、カーボンブラック単独またはカーボンブラックとシリカとの組合せを使用することが好ましい。
カーカス用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物の場合には、CTAB比表面積20〜60m/g、粒子径40〜100nmのカーボンブラックが充填剤として好ましい。具体的には、例えば、ASTMの規格において、N330、N339、N343、N351、N550、N568、N582、N630、N642、N660、N662、N754、N762等を挙げることができる。
充填剤を使用する場合、ゴム組成物中のその含有量は、特に限定されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して、例えば5〜100質量部である。カーボンブラックのみを充填剤として使用する場合には、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30〜80質量部である。またトレッド部材用途においてカーボンブラックとシリカとの組合せを充填剤として用いる場合には、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5〜60質量部である。
充填剤として、例えば、CTAB比表面積50〜180m/gのシリカ、窒素吸着比表面積50〜300m/gのシリカ等を挙げることができる。シリカの市販品としては、例えば、東ソー・シリカ社製「AQ」、「AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」、日本シリカ社製「ニップシール(登録商標)AQ」等を挙げることができる。また、例えば、(i)pHが6〜8であるシリカ、(ii)ナトリウムを0.2〜1.5質量%の量で含有するシリカ、(iii)真円度が1〜1.3の真球状シリカ、(iv)ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイル;エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物;エタノール、ポリエチレングリコール等のアルコール等で表面処理したシリカ、(v)異なった窒素吸着比表面面積を有する二種類以上のシリカの混合物等を、充填剤として配合してもよい。
充填剤を使用する場合、ゴム組成物中のその含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、ゴム成分100質量部に対して、例えば5〜100質量部である。また、充填剤としてシリカを配合する場合には、例えば、さらにカーボンブラックを、ゴム成分100質量部に対して5〜60質量部の量で配合することが好ましい。シリカ/カーボンブラックの配合比率(質量比)としては、例えば、0.7/1〜1/0.1の範囲を挙げることができる。
また、充填剤としてシリカを用いる場合には、さらに、シランカップリング剤、シリカと結合可能な化合物(例えば、シリカと結合可能なケイ素等の元素またはアルコキシシリル基等の官能基を有する化合物)等を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例:デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例:デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル(「3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン」ともいう、例:ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤およびシリカと結合可能な化合物の添加時期は特に限定されないが、シリカと同時にゴムに配合することが好ましい。これらを使用する場合、その配合量(これらを併用する場合は、これらの合計量)は、シリカ100質量部に対して、例えば2〜10質量部、好ましくは7〜9質量部である。これらをゴムに配合する際の配合温度は、例えば80〜200℃、好ましくは110〜180℃である。
また、充填剤としてシリカを用いる場合には、さらに、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の2価以上のアルコール、N−アルキルアミン、アミノ酸、分子末端がカルボキシル変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン等を配合してもよい。
酸化亜鉛を使用する場合、ゴム組成物中のその含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば1〜15質量部、好ましくは1〜8質量部である。
ステアリン酸を使用する場合、ゴム組成物中のその含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば0.5〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。
架橋剤としては、例えば、硫黄、硫黄含有化合物(例えば、モルフォリンジスルフィド)、パーオキサイド架橋剤(例えば、ジクミルパーオキサイド)、金属架橋剤(例えば、酸化亜鉛)、アミン架橋剤(例えば、ヘキサメチレンジアミン)、オキシム架橋剤(例えば、p−キノンジオキシム、4,4’−ジベンゾイルキノンジオキシム)等を挙げることができ、硫黄が好ましい。硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を挙げることができる。これらの中で、粉末硫黄が好ましい。また、例えば、後述する架橋ゴム組成物を、ベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には、不溶性硫黄が好ましい。本発明のゴム組成物に硫黄を添加する場合、ゴム組成物中のその含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば0.3〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部である。
硫黄を用いる架橋(即ち、加硫)を行う場合、加硫促進剤を用いることが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第412頁〜第413頁に記載されるチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤等を挙げることができる。
加硫促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)等を挙げることができる。
例えば、充填剤としてカーボンブラックを用いる場合には、加硫促進剤として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
例えば、充填剤としてシリカとカーボンブラックとの組合せを使用する場合には、加硫促進剤として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
硫黄と加硫促進剤との質量比(硫黄/加硫促進剤)は、特に制限されないが、例えば2/1〜1/2である。天然ゴムを主とするゴム部材において耐熱性を向上させる方法である硫黄/加硫促進剤の質量比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が必要な用途において好ましく用いられる。
上述したもの以外の配合剤として、さらに、ゴム分野で通常用いられている各種の配合剤を配合してもよい。かかる配合剤としては、例えば、オイル;ステアリン酸以外の脂肪酸類;日塗化学社製のクマロン樹脂G−90(軟化点80〜100℃)、神戸油化学工業社製のプロセスレジンAC8(軟化点95℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱ガス化学社製「ニカノール(登録商標)HP−100」(軟化点105〜125℃)等のキシレン・ホルムアルデヒド樹脂;荒川化学社製の「エステルガム」シリーズ、「ネオトール」シリーズ等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエン;等を挙げることができる。前記オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等を挙げることができる。前記プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等を挙げることができる。
<架橋ゴム組成物>
本発明の架橋ゴム組成物は、本発明のゴム組成物を架橋することによって得られる。架橋は、通常、架橋剤(例えば、硫黄または有機過酸化物)を用いて行われる。硫黄を含有するゴム組成物を使用する場合、架橋(即ち、加硫)は、通常、前記ゴム組成物を熱処理することによって行われる。また、有機過酸化物を含有するゴム組成物を使用する場合、架橋は、通常、前記ゴム組成物を熱処理または光照射することによって行われる。架橋は加硫が好ましく、本発明の架橋ゴム組成物は、好ましくは加硫ゴム組成物である。熱処理温度は、例えば、120〜180℃である。熱処理は、通常、常圧または加圧下で行えばよい。
本発明の架橋ゴム組成物中では、ゴム用老化防止剤は、老化防止物質が特定の金属酸化物に担持された状態で存在すると推定される。本発明の架橋ゴム組成物を用いれば、ゴム用老化防止剤の効果が持続するため、それから得られるゴム製品の長寿命化を図ることができる。
本発明の架橋ゴム組成物は、例えば、タイヤ用に好適に使用し得る。タイヤとしては、例えば、空気入りタイヤ、ソリッドタイヤ等を挙げることができる。また、本発明の架橋ゴム組成物は、タイヤを構成する各部材を製造するために使用することができる。そのような各部材としては、例えば、本発明の架橋ゴム組成物で被覆されたスチールコードを含むタイヤ用ベルト、本発明の架橋ゴム組成物で被覆されたカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス、本発明の架橋ゴム組成物を含むタイヤ用サイドウォール、タイヤ用インナーライナー、タイヤ用キャップトレッド、タイヤ用アンダートレッド等が挙げられる。
本発明の架橋ゴム組成物は、上記のタイヤ用途のみならず、エンジンマウント、ストラットマウント、ブッシュ、エグゾーストハンガー等の自動車用防振ゴムとしても使用できる。
以下、製造例および試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例で使用したゴム用老化防止物質および特定の金属酸化物は、以下の通りである。
<ゴム用老化防止物質>
住友化学社製 アンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
<特定の金属酸化物>
本荘ケミカル社製 酸化亜鉛(規格:2種)(ZnO、粒子径:D10=0.34μm,D50=0.72μm,D90=1.86μm)
Sigma−Aldrich社製 酸化銅(II)(CuO、粒子径:D10=4.58μm,D50=13.9μm,D90=29.7μm)
Sigma−Aldrich社製 酸化鉄(II)(FeO、粒子径:D10=13.8μm,D50=43.0μm,D90=108μm)
Sigma−Aldrich社製 酸化鉄(III)(Fe、粒子径:D10=0.04μm,D50=0.11μm,D90=0.28μm)
Sigma−Aldrich社製 酸化鉄(III)鉄(II)(Fe、製品名:「酸化鉄(II、III)」、粒子径:D10=2.52μm,D50=4.89μm,D90=8.15μm)
製造例1(ゴム用老化防止剤の製造)
200mLビーカーにゴム用老化防止物質3質量部を仕込み、これにアセトン80mLを添加することにより、ゴム用老化防止物質のアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶液を、酸化亜鉛2質量部が入った200mLビーカー内に加え、更に、前記のアセトン溶液が入った200mLビーカーをアセトン20mLで洗浄して生じた洗浄液も加えることにより、混合物を得た。得られた混合物を25℃、大気下で1日間攪拌した。攪拌終了後、得られた混合物を減圧下で1日間乾燥することにより、紫色の固体としてゴム用老化防止剤(1)を得た。
製造例2(ゴム用老化防止剤の製造)
酸化亜鉛2質量部を酸化銅(II)1.95質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ゴム用老化防止剤(2)を得た。
製造例3(ゴム用老化防止剤の製造)
酸化亜鉛2質量部を酸化鉄(II)1.77質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ゴム用老化防止剤(3)を得た。
製造例4(ゴム用老化防止剤の製造)
酸化亜鉛2質量部を酸化鉄(III)1.97質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ゴム用老化防止剤(4)を得た。
製造例5(ゴム用老化防止剤の製造)
酸化亜鉛2質量部を酸化鉄(III)鉄(II)1.89質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ゴム用老化防止剤(5)を得た。
製造例6(基本ゴム組成物の製造)
600mLのバンバリーミキサーに市販の天然ゴム(標準マレーシア産天然ゴム:SMR−CV60)とブタジエンゴム(製品名:JSR BR01、JSR社製)との両者をそれぞれ50質量部投入し、3分間混練した。得られた混練物に、表1に示す原料を加えた後、更に8分間混練することにより、基本ゴム組成物(B1)を得た。なお、混練機からのゴム組成物の排出温度は160℃であった。
Figure 2013185105
製造例7(ゴム用老化防止物質を含まない架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の架橋ゴム組成物(C1)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
得られた架橋ゴム組成物(C1)は、ゴム用老化防止物質を含まない。
製造例8(ゴム用老化防止物質を含む、比較用の架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゴム用老化防止物質3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、比較用の架橋ゴム組成物(C2)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
得られた架橋ゴム組成物(C2)は、特定の金属酸化物に担持されていないゴム用老化防止物質を含む。
試験例1(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
製造例8で得られた比較用の架橋ゴム組成物(C2)のゴム用老化防止物質の移行量を以下のようにして測定した。
まず、ゴム用老化防止物質を含まない架橋ゴム組成物(C1)から製造されるブランク用シート3枚、およびゴム用老化防止物質を含む架橋ゴム組成物(C2)から製造される測定用シート3枚について、各シートの初期重量を測定した。
図1は、架橋ゴム組成物のゴム用老化防止物質の移行量を測定する方法を説明する図である。重量測定後の6枚のシート(測定用シート1〜3、ブランク用シート4〜6)を積層した後、当該積層物の全体をアルミホイル7で包み、更にその上からアルミラミネート8で包んだ。このようにして得られたアルミホイルおよびアルミラミネート梱包体の上に、約3kgの錘9を載せた。
錘が載せられた梱包体を25℃の恒温室内に6日間放置した後、アルミホイルおよびアルミラミネート梱包を開封して各シートを取り出し、そして各シートの重量を測定した。ゴム用老化防止物質の移行量は、ブランク用シートの初期重量からの重量変化から算出した。詳しくは、3枚のブランクシートの重量変化から、ブランクシート内で増加した老化防止物質の濃度を算出し、増加濃度を移行量として算出した。結果を下記表4に示す。
なお、別途、各シートからゴム用老化防止物質を抽出・定量した結果、前記の重量変化はゴム用老化防止物質の移行によるものであることが確認された。
製造例9(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)5質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明の架橋ゴム組成物(1)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
製造例10(ゴム用老化防止物質を含まない架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛4質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、架橋ゴム組成物(C3)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
得られた架橋ゴム組成物(C3)は、製造例9で用いたゴム用老化防止剤(1)中に含まれる酸化亜鉛の量(2質量部)だけ、製造例7で得られた架橋ゴム組成物(C1)の酸化亜鉛の量を増やしたこと(即ち、酸化亜鉛量を2質量部から4質量部に変更した)こと以外は、架橋ゴム組成物(C1)と同じである。
試験例2(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
架橋ゴム組成物(C2)を製造例9で得られた架橋ゴム組成物(1)に変更し、架橋ゴム組成物(C1)を製造例10で得られた架橋ゴム組成物(C3)に変更したこと以外は試験例1と同様にして、本発明の架橋ゴム組成物(1)のゴム用老化防止物質の移行量を測定した。結果を下記表4に示す。
製造例11(基本ゴム組成物の製造)
600mLのバンバリーミキサーに市販の天然ゴム(標準マレーシア産天然ゴム:SMR−CV60)とブタジエンゴム(製品名:JSR BR01、JSR社製)との両者をそれぞれ50質量部投入し、3分間混練した。得られた混練物に、表2に示す原料を加えた後、更に8分間混練することにより、基本ゴム組成物(B2)を得た。なお、混練機からのゴム組成物の排出温度は160℃であった。
得られた基本ゴム組成物(B2)は、ゴム用老化防止剤(1)5質量部を含むこと以外、製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)と同じである。
Figure 2013185105
製造例12(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例11で得られた基本ゴム組成物(B2)168.5質量部と、酸化亜鉛1質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明の架橋ゴム組成物(2)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
得られた架橋ゴム組成物(2)は、加硫促進剤および硫黄の配合および混練前に、ゴム混練物とゴム用老化防止剤(1)とを混練したこと、並びに得られた基本ゴム組成物に配合する酸化亜鉛の量を2質量部から1質量部に変更したこと以外、製造例9で得られた架橋ゴム組成物(1)と同じである。
製造例13(基本ゴム組成物の製造)
600mLのバンバリーミキサーに市販の天然ゴム(標準マレーシア産天然ゴム:SMR−CV60)とブタジエンゴム(製品名:JSR BR01、JSR社製)との両者をそれぞれ50質量部投入し、3分間混練した。得られた混練物に、表3に示す原料を加えた後、更に8分間混練することにより、基本ゴム組成物(B3)を得た。なお、混練機からのゴム組成物の排出温度は160℃であった。
得られた基本ゴム組成物(B3)は、酸化亜鉛2質量部を含むこと以外、製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)と同じである。
Figure 2013185105
製造例14(ゴム用老化防止物質を含まない架橋ゴム組成物の製造)
製造例13で得られた基本ゴム組成物(B3)165.5質量部と、酸化亜鉛1質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゴム用老化防止物質3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、架橋ゴム組成物(C4)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
得られた架橋ゴム組成物(C4)は、酸化亜鉛の合計量を2質量部から3質量部に変更したこと以外、製造例7で得られた架橋ゴム組成物(C1)と同じである
試験例3(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
架橋ゴム組成物(C2)を製造例12で得られた架橋ゴム組成物(2)に変更し、架橋ゴム組成物(C1)を製造例14で得られた架橋ゴム組成物(C4)に変更したこと以外は試験例1と同様にして、本発明の架橋ゴム組成物(2)のゴム用老化防止物質の移行量を測定した。結果を下記表4に示す。
製造例15(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、製造例2で得られたゴム用老化防止剤(2)4.95質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明の架橋ゴム組成物(3)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
試験例4(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
架橋ゴム組成物(C2)を製造例15で得られた架橋ゴム組成物(3)に変更したこと以外は試験例1と同様にして、本発明の架橋ゴム組成物(3)のゴム用老化防止物質の移行量を測定した。結果を下記表4に示す。
製造例16(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、製造例3で得られたゴム用老化防止剤(3)4.77質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明の架橋ゴム組成物(4)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
試験例5(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
架橋ゴム組成物(C2)を製造例16で得られた架橋ゴム組成物(4)に変更したこと以外は試験例1と同様にして、本発明の架橋ゴム組成物(5)のゴム用老化防止物質の移行量を測定した。結果を下記表4に示す。
製造例17(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、製造例4で得られたゴム用老化防止剤(4)4.97質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明の架橋ゴム組成物(5)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
試験例6(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
架橋ゴム組成物(C2)を製造例17で得られた架橋ゴム組成物(5)に変更したこと以外は試験例1と同様にして、本発明の架橋ゴム組成物(5)のゴム用老化防止物質の移行量を測定した。結果を下記表4に示す。
製造例18(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、製造例5で得られたゴム用老化防止剤(5)4.89質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明の架橋ゴム組成物(6)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
試験例7(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
架橋ゴム組成物(C2)を製造例18で得られた架橋ゴム組成物(6)に変更したこと以外は試験例1と同様にして、本発明の架橋ゴム組成物(6)のゴム用老化防止物質の移行量を測定した。結果を下記表4に示す。
製造例19(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例6で得られた基本ゴム組成物(B1)163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、酸化ニッケル(NiO)2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明の架橋ゴム組成物(7)を得た。なお、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
得られた架橋ゴム組成物(7)は、ゴム用老化防止剤(1)の量を5質量部から3質量部に変更し、さらに酸化ニッケル2質量部を配合したこと以外、製造例9で得られた架橋ゴム組成物(1)と同じである。
試験例8(ゴム用老化防止物質の移行量の測定)
架橋ゴム組成物(C2)を製造例19で得られた架橋ゴム組成物(7)に変更したこと以外は試験例1と同様にして、本発明の架橋ゴム組成物(7)のゴム用老化防止物質の移行量を測定した。結果を下記表4に示す。
Figure 2013185105
表4に示すように、本発明の架橋ゴム組成物(1)〜(7)は、比較用の架橋ゴム組成物(C2)に比べて、ゴム用老化防止物質の移行量が小さい。この結果から、本発明の架橋ゴム組成物は、ゴム用老化防止物質の移行が抑制されて、ゴム用老化防止物質の効果が充分に持続することが分かる。
製造例20(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
下記の第1工程および第2工程により得られる架橋ゴム組成物は、アンダートレッド用に好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)100質量部、ISAF−HM(旭カーボン社製、製品名「旭#80」)35質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛3質量部、製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)8質量部、および、ワックス(日本精蝋製「OZOACE−0355」)2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサー回転数で混練することにより、ゴム組成物が得られる。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られるゴム組成物の全量、加硫促進剤であるN−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)2質量部、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)0.5質量部、加硫促進剤であるジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)0.8質量部および硫黄1質量部を混練することにより、ゴム混練物が得られる。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られるゴム混練物を145℃で熱処理することにより、架橋ゴム組成物が得られる。
製造例21(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
下記の第1工程および第2工程により得られる架橋ゴム組成物は、ベルト用に好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(RSS#1)100質量部、HAF(旭カーボン社製、製品名「旭#70」)45質量部、ステアリン酸3質量部、酸化亜鉛5質量部、含水シリカ(東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」)10質量部、製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)16質量部、レゾルシン2質量部およびナフテン酸コバルト2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサー回転数で混練することにより、ゴム組成物が得られる。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られるゴム組成物の全量、加硫促進剤であるN,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)1質量部、硫黄6質量部およびメトキシ化メチロールメラミン樹脂(住友化学社製「スミカノール507AP」)3質量部を混練することにより、ゴム混練物が得られる。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られるゴム混練物を145℃で熱処理することにより、架橋ゴム組成物が得られる。
製造例22(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
下記の第1工程および第2工程により得られる架橋ゴム組成物は、インナーライナー用に好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、ハロゲン化ブチルゴム(エクソンモービル社製「Br−IIR2255」)100質量部、GPF 60質量部、ステアリン酸1質量部、酸化亜鉛3質量部、およびパラフィンオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスオイル」)10質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサー回転数で混練することにより、ゴム組成物が得られる。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られるゴム組成物の全量、製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)2質量部、加硫促進剤であるジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)1質量部および硫黄2質量部を混練することにより、ゴム混練物が得られる。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られる混練物を145℃で熱処理することにより、架橋ゴム組成物が得られる。
製造例23(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
下記の第1工程および第2工程により得られる架橋ゴム組成物は、サイドウォール用に好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(RSS#3)40質量部、ポリブタジエンゴム(宇部興産社製「BR150B」)60質量部、FEF50質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛3質量部、製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)16質量部、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)10質量部およびワックス(大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」)2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサー回転数で混練することにより、ゴム組成物が得られる。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られるゴム組成物の全量、加硫促進剤であるN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)0.75質量部および硫黄1.5質量部を混練することにより、ゴム混練物が得られる。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られるゴム混練物を145℃で熱処理することにより、架橋ゴム組成物が得られる。
製造例24(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
下記の第1工程および第2工程により得られる架橋ゴム組成物は、カーカス用に好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(TSR20)70質量部、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)30質量部、N339(三菱化学社製)60質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛5質量部、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)7質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサー回転数で混練することにより、ゴム組成物が得られる。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られるゴム組成物の全量、加硫促進剤であるN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)1質量部、硫黄3質量部および製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)8質量部を混練することにより、ゴム混練物が得られる。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られるゴム混練物を145℃で熱処理することにより、架橋ゴム組成物が得られる。
製造例25(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
下記の第1工程および第2工程により得られる架橋ゴム組成物は、キャップトレッド用に好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)100質量部、シリカ(製品名:「ウルトラシル(登録商標)VN3−G」デグッサ社製)78.4質量部、カーボンブラック(製品名「N−339」三菱化学社製)6.4質量部、シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:製品名「Si−69」デグッサ社製)6.4質量部、プロセスオイル(製品名「NC−140」コスモ石油社製)47.6質量部、製造例1で得られたゴム用老化防止剤(1)12質量部、酸化亜鉛2質量部、ステアリン酸2質量部を、70℃〜120℃の範囲内で、5分間、80rpmのミキサー回転数で混練し、引き続き70℃〜120℃の範囲内で、5分間、100rpmのミキサー回転数で混練することにより、ゴム組成物が得られる。
(手順2)
オープンロール機で30℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られるゴム組成物の全量、加硫促進剤であるN−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)1質量部、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)1質量部、ワックス(製品名「サンノック(登録商標)N」大内新興化学工業社製)1.5質量部および硫黄1.4質量部を混練することにより、ゴム混練物が得られる。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られるゴム混練物を160℃で熱処理することにより、架橋ゴム組成物が得られる。
製造例26(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例25において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に代えて溶液重合SBR(「アサプレン(登録商標)」旭化成ケミカルズ社製)を用いること以外は、製造例25と同様にして、架橋ゴム組成物が得られる。得られる架橋ゴム組成物はキャップトレッド用に好適である。
製造例27(本発明の架橋ゴム組成物の製造)
製造例25において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に代えてSBR#1712(JSR社製)を用い、プロセスオイルの使用量を21質量部に変更し、酸化亜鉛を仕込むタイミングを手順2に変更すること以外は、製造例25と同様にして、架橋ゴム組成物が得られる。得られる架橋ゴム組成物はキャップトレッド用に好適である。
本発明の架橋ゴム組成物は、その中に含まれるゴム用老化防止物質の効果が充分に持続し、様々な用途(例えばタイヤなど)に好適である。
1,2,3 ゴム用老化防止物質を含む架橋ゴム組成物から製造される測定用シート
4,5,6 ゴム用老化防止物質を含まない架橋ゴム組成物から製造されるブランク用シート
7 アルミホイル
8 アルミラミネート
9 錘

Claims (9)

  1. (A)酸化亜鉛、酸化銅(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)および酸化鉄(III)鉄(II)からなる群から選ばれる金属酸化物と、
    前記金属酸化物に担持されたゴム用老化防止物質と
    を含有するゴム用老化防止剤、および
    (B)ゴム成分
    を含有するゴム組成物。
  2. (A)酸化亜鉛、酸化銅(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)および酸化鉄(III)鉄(II)からなる群から選ばれる金属酸化物と、
    前記金属酸化物に担持されたゴム用老化防止物質と
    を含有するゴム用老化防止剤、および
    (B)ゴム成分
    を混練することによって得られるゴム組成物。
  3. ゴム用老化防止物質が、式(I)で示される化合物である請求項1または2に記載のゴム組成物。
    Figure 2013185105
    (式(I)中、Rは、水素原子または炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
  4. 前記金属酸化物の含有量が、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1〜100質量部である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物を架橋することによって得られる架橋ゴム組成物。
  6. 請求項5に記載の架橋ゴム組成物を含むタイヤ。
  7. 請求項5に記載の架橋ゴム組成物を含むタイヤ用のサイドウォール、インナーライナー、キャップトレッドまたはアンダートレッド。
  8. 請求項5に記載の架橋ゴム組成物で被覆されたスチールコードを含むタイヤ用ベルト。
  9. 請求項5に記載の架橋ゴム組成物で被覆されたカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス。
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