JPWO2016186155A1 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016186155A1
JPWO2016186155A1 JP2017519391A JP2017519391A JPWO2016186155A1 JP WO2016186155 A1 JPWO2016186155 A1 JP WO2016186155A1 JP 2017519391 A JP2017519391 A JP 2017519391A JP 2017519391 A JP2017519391 A JP 2017519391A JP WO2016186155 A1 JPWO2016186155 A1 JP WO2016186155A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
rubber composition
formula
examples
kneading
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017519391A
Other languages
English (en)
Inventor
泰生 上北
泰生 上北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Publication of JPWO2016186155A1 publication Critical patent/JPWO2016186155A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/02Elements
    • C08K3/04Carbon
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C5/00Inflatable pneumatic tyres or inner tubes
    • B60C5/12Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim
    • B60C5/14Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim with impervious liner or coating on the inner wall of the tyre
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/16Nitrogen-containing compounds
    • C08K5/17Amines; Quaternary ammonium compounds
    • C08K5/175Amines; Quaternary ammonium compounds containing COOH-groups; Esters or salts thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/16Nitrogen-containing compounds
    • C08K5/20Carboxylic acid amides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L21/00Compositions of unspecified rubbers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L9/00Compositions of homopolymers or copolymers of conjugated diene hydrocarbons
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K2201/00Specific properties of additives
    • C08K2201/019Specific properties of additives the composition being defined by the absence of a certain additive

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

本発明は、硫黄成分を含有しないゴム組成物の製造方法であって、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つと、ゴム成分と、カーボンブラックとを混練して、混練物を調製する工程1、得られた混練物に冷却操作を施して、冷却混練物を調製する工程2、および得られた冷却混練物を混練する工程3を含む製造方法を提供する(式(I)中の基の定義は明細書に記載した通りである)。

Description

本発明は、ゴム組成物の製造方法等に関する。
近年、環境保護の要請から、自動車の燃費向上(すなわち、低燃費化)が求められている。そして、自動車用タイヤの分野においては、タイヤ製造に用いられる加硫ゴム組成物が有する損失係数(tanδ)を低減させることにより、自動車の燃費が向上することが知られている。
特許文献1には、加硫ゴム組成物が有する損失係数(tanδ)を低減させるために、式(A):
[式(A)中の基の定義は特許文献1に記載された通りである。なお、式(A)は特許文献1において式(I)と記載されている。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物の少なくとも一つを使用することが記載されている。式(A)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物として、特許文献1の実施例では、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物等が使用されている。
また、特許文献2には、加硫ゴム組成物が有する損失係数(tanδ)を低減させるために、式(B):
[式(B)中の基の定義は特許文献2に記載された通りである。なお、式(B)は特許文献2において式(I)と記載されている。]
で表される化合物を使用することが記載されている。式(B)で表される化合物として、特許文献2の実施例では、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウムが使用されている。
特開2013−209605号公報 特開2014−95014号公報
上述の特許文献1および2に記載されるような化合物、その塩、その溶媒和物、およびその塩の溶媒和物(例えば、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウムおよびその二水和物)は、加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)の低減に有効である。しかし、該化合物等を使用すると、ゴム組成物の粘度が増大し、加工性が低下するという問題があった。
本発明は上述のような事情に着目してなされたものであって、下記式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つを使用することによるゴム組成物の粘度増大を抑制することにある。
上記目的を達成することができる本発明は、以下の通りである。
[1] 硫黄成分を含有しないゴム組成物の製造方法であって、
式(I):
[式(I)中、
は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
Xは、−NH−または−O−を表す。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つと、ゴム成分と、カーボンブラックとを混練して、混練物を調製する工程1、
得られた混練物に冷却操作を施して、冷却混練物を調製する工程2、および
得られた冷却混練物を混練する工程3
を含む製造方法。
[2] 工程2において、混練物を120℃以下に冷却する前記[1]に記載の製造方法。
[3] 工程2において、混練物を100℃以下に冷却する前記[1]に記載の製造方法。
[4] 工程2において、混練物を80℃以下に冷却する前記[1]に記載の製造方法。
[5] 工程2における冷却後の混練物の温度が0℃以上である前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
[6] 工程2における冷却後の混練物の温度が5℃以上である前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
[7] 工程2における冷却操作が、混練物をシート状またはボード状に加工することを含む前記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[8] シート状またはボード状に加工された混練物の厚さが、1〜500mmである前記[7]に記載の製造方法。
[9] シート状またはボード状に加工された混練物の厚さが、1〜400mmである前記[7]に記載の製造方法。
[10] シート状またはボード状に加工された混練物の厚さが、1〜100mmである前記[7]に記載の製造方法。
[11] 工程1における混練を、5rpm以上の回転速度で1分以上行う前記[1]〜[10]のいずれか一つに記載の製造方法。
[12] 工程1における混練の回転速度が10rpm以上である前記[11]に記載の製造方法。
[13] 工程1における混練の回転速度が10〜100rpmである前記[11]に記載の製造方法。
[14] 工程1における混練の回転速度が10〜90rpmである前記[11]に記載の製造方法。
[15] 工程1における混練時間が1〜10分である前記[11]〜[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[16] 工程1における混練時間が2〜8分である前記[11]〜[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[17] 工程1における混練開始時の装置設定温度が100〜180℃である前記[1]〜[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[18] 工程1における混練開始時の装置設定温度が120〜180℃である前記[1]〜[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[19] 工程1における混練開始時の装置設定温度が140〜180℃である前記[1]〜[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[20] 工程1における混練開始時の装置設定温度が150〜170℃である前記[1]〜[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[21] 工程1における混練後の混練物の排出温度が150℃以上である前記[1]〜[20]のいずれか一つに記載の製造方法。
[22] 工程1における混練後の混練物の排出温度が155〜200℃である前記[1]〜[20]のいずれか一つに記載の製造方法。
[23] 工程1における混練後の混練物の排出温度が160〜185℃である前記[1]〜[20]のいずれか一つに記載の製造方法。
[24] 工程3における混練を、回転速度を変更して行う前記[1]〜[23]のいずれか一つに記載の製造方法。
[25] 工程3における最初の混練の回転速度が40〜100rpmである前記[24]に記載の製造方法。
[26] 工程3における最初の混練の回転速度が45〜90rpmである前記[24]に記載の製造方法。
[27] 工程3における最初の混練の回転速度が46〜80rpmである前記[24]に記載の製造方法。
[28] 工程3における最初の混練時間が0.5〜10分である前記[24]〜[27]のいずれか一つに記載の製造方法。
[29] 工程3における最初の混練時間が0.5〜8分である前記[24]〜[27]のいずれか一つに記載の製造方法。
[30] 工程3における最初の混練時間が0.5〜6分である前記[24]〜[27]のいずれか一つに記載の製造方法。
[31] 工程3における混練開始時の装置設定温度が100〜180℃である前記[1]〜[30]のいずれか一つに記載の製造方法。
[32] 工程3における混練開始時の装置設定温度が120〜170℃である前記[1]〜[30]のいずれか一つに記載の製造方法。
[33] 工程3における混練開始時の装置設定温度が140〜170℃である前記[1]〜[30]のいずれか一つに記載の製造方法。
[34] 工程3における混練後の混練物の排出温度が100〜180℃である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[35] 工程3における混練後の混練物の排出温度が100〜175℃である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[36] 工程3における混練後の混練物の排出温度が100〜170℃である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[37] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.01〜100重量部である前記[1]〜[36]のいずれか一つに記載の製造方法。
[38] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.01〜20重量部である前記[1]〜[36]のいずれか一つに記載の製造方法。
[39] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.1〜10重量部である前記[1]〜[36]のいずれか一つに記載の製造方法。
[40] カーボンブラックの使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、20〜80重量部である前記[1]〜[39]のいずれか一つに記載の製造方法。
[41] カーボンブラックの使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、30〜70重量部である前記[1]〜[39]のいずれか一つに記載の製造方法。
[42] カーボンブラックの使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、30〜60重量部である前記[1]〜[39]のいずれか一つに記載の製造方法。
[43] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計の全量およびカーボンブラックの全量を、工程1で混練する前記[1]〜[42]のいずれか一つに記載の製造方法。
[44] 製造されるゴム組成物が老化防止剤を含有し、老化防止剤の全量と工程2で得られた冷却混練物とを工程3において混練する前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の製造方法。
[45] 老化防止剤の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.01〜15重量部である前記[44]に記載の製造方法。
[46] 老化防止剤の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.1〜10重量部である前記[44]に記載の製造方法。
[47] 老化防止剤の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.1〜5重量部である前記[44]に記載の製造方法。
[48] 式(I)で表される化合物が、式(II):
[式(II)中、R〜RおよびXは上記と同義である。]
で表される化合物である前記[1]〜[47]のいずれか一つに記載の製造方法。
[49] Rが、C2−12アルカンジイル基または2価のC6−12芳香族炭化水素基である前記[1]〜[48]のいずれか一つに記載の製造方法。
[50] Rが、C2−12アルカンジイル基またはフェニレン基である前記[1]〜[48]のいずれか一つに記載の製造方法。
[51] Rが、フェニレン基である前記[1]〜[48]のいずれか一つに記載の製造方法。
[52] Rが、1,4−フェニレン基である前記[1]〜[48]のいずれか一つに記載の製造方法。
[53] RおよびRが、それぞれ独立に、水素原子またはC1−6アルキル基である前記[1]〜[52]のいずれか一つに記載の製造方法。
[54] RおよびRが、水素原子である前記[1]〜[52]のいずれか一つに記載の製造方法。
[55] Rが、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基である前記[1]〜[54]のいずれか一つに記載の製造方法。
[56] Rが、ヒドロキシ基である前記[1]〜[54]のいずれか一つに記載の製造方法。
[57] Xが、−NH−である前記[1]〜[56]のいずれか一つに記載の製造方法。
[58] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つが、式(I)で表される化合物の塩の溶媒和物である前記[1]〜[57]のいずれか一つに記載の製造方法。
[59] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つが、式(I)で表される化合物のカルボン酸塩の溶媒和物である前記[1]〜[57]のいずれか一つに記載の製造方法。
[60] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つが、式(I)で表される化合物のカルボン酸アルカリ金属塩の水和物および式(I)で表される化合物のカルボン酸アルカリ土類金属塩の水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]〜[57]のいずれか一つに記載の製造方法。
[61] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つが、式(I)で表される化合物のカルボン酸ナトリウム塩の水和物である前記[1]〜[57]のいずれか一つに記載の製造方法。
[62] ゴム成分の50重量%以上がジエン系ゴムである前記[1]〜[61]のいずれか一つに記載の製造方法。
[63] ゴム成分の70〜100重量%がジエン系ゴムである前記[1]〜[61]のいずれか一つに記載の製造方法。
[64] ゴム成分の80〜100重量%がジエン系ゴムである前記[1]〜[61]のいずれか一つに記載の製造方法。
[65] 硫黄成分を含有するゴム組成物の製造方法であって、前記[1]〜[64]のいずれか一つに記載の製造方法により得られたゴム組成物と、硫黄成分とを混練することを含む製造方法。
[66] 硫黄成分の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.01〜30重量部である前記[65]に記載の製造方法。
[67] 硫黄成分の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.1〜20重量部である前記[65]に記載の製造方法。
[68] 硫黄成分の使用量が、製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、0.1〜10重量部である前記[65]に記載の製造方法。
[69] 前記[1]〜[64]のいずれか一つに記載の製造方法により得られた、硫黄成分を含有しないゴム組成物。
[70] 前記[65]〜[68]のいずれか一つに記載の製造方法により得られた、硫黄成分を含有するゴム組成物。
[71] 前記[70]に記載の硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって得られた加硫ゴム組成物。
[72] 前記[71]に記載の加硫ゴム組成物を含む加硫タイヤ。
[73] 前記[71]に記載の加硫ゴム組成物およびスチールコードを含むタイヤ用ベルト部材。
[74] 前記[71]に記載の加硫ゴム組成物およびカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス部材。
[75] 前記[71]に記載の加硫ゴム組成物を含むタイヤ用部材。
[76] タイヤ用サイドウォール部材、タイヤ用インナーライナー部材、タイヤ用キャップトレッド部材またはタイヤ用アンダートレッド部材である前記[75]に記載のタイヤ用部材。
[77] 前記[65]〜[68]のいずれか一つに記載の製造方法により得られた、硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することを含む、加硫ゴム組成物の製造方法。
本発明によれば、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つを使用することによるゴム組成物の粘度増大を抑制することができる。
<成分>
まず本発明で使用し得る成分を説明する。
(1)式(I)で表される化合物等
本発明は、式(I):
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つを使用することを特徴とする。本明細書では、「式(I)で表される化合物」を「化合物(I)」と略称することがある。他の式で表される化合物も同様に略称することがある。また、「式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つ」を「化合物(I)等」と略称することがある。
式(I)中のRは、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
本明細書中、「Cx−y」とは、炭素原子数がx以上y以下(x、y:整数)であることを意味する。
本明細書中、アルカンジイル基は、直鎖状アルカンジイル基および分枝鎖状アルカンジイル基の両方を包含する。本明細書中、「C2−12アルカンジイル基」としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、1−プロピルテトラメチレン基、2−プロピルテトラメチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、1−エチルペンタメチレン基、2−エチルペンタメチレン基、3−エチルペンタメチレン基、1−プロピルペンタメチレン基、2−プロピルペンタメチレン基、3−プロピルペンタメチレン基、1−メチルヘキサメチレン基、2−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基、1−エチルヘキサメチレン基、2−エチルヘキサメチレン基、3−エチルヘキサメチレン基、1−プロピルヘキサメチレン基、2−プロピルヘキサメチレン基、3−プロピルヘキサメチレン基が挙げられる。
2−12アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。なお、C1−6アルコキシ基等の説明は後述する。
本明細書中、「C3−10シクロアルカンジイル基」としては、例えば、シクロプロパン−1,2−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基、シクロノナン−1,5−ジイル基、シクロデカン−1,6−ジイル基が挙げられる。
3−10シクロアルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「2価のC6−12芳香族炭化水素」としては、例えば、フェニレン基(例、1,4−フェニレン基)、ナフチレン基(例、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基)、ビフェニルジイル基(例、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基)が挙げられる。
2価のC6−12芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基、スルホ基が挙げられる。なお、スルホ基は、−SOHで表される基である。
は、好ましくはC2−12アルカンジイル基または2価のC6−12芳香族炭化水素基であり、より好ましくはC2−12アルカンジイル基またはフェニレン基であり、さらに好ましくはフェニレン基であり、特に好ましくは1,4−フェニレン基である。
式(I)中のRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、アルコキシ基は、直鎖状アルコキシ基および分枝鎖状アルコキシ基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられる。
1−6アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、アルキル基は、直鎖状アルキル基および分枝鎖状アルキル基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−メチルブチル基、3−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基が挙げられる。
1−6アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基が挙げられる。
6−14アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基、スルホ基が挙げられる。
本明細書中、「C1−7アシル基」としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル基、ピバロイル基)、ベンゾイル基が挙げられる。
本明細書中、C1−6アルコキシ−カルボニル基に含まれる「C1−6アルコキシ基」およびC1−7アシル−オキシ基に含まれる「C1−7アシル基」としては、例えば、上記のものが挙げられる。
「RおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって形成されるC3−10シクロアルケンジイル基」としては、例えば、シクロプロペン−1,2−ジイル基、シクロブテン−1,2−ジイル基、シクロペンテン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、シクロヘプテン−1,2−ジイル基、シクロオクテン−1,2−ジイル基、シクロノネン−1,2−ジイル基、シクロデセン−1,2−ジイル基が挙げられる。
3−10シクロアルケンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
およびRは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子またはC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
式(I)中のRは、ヒドロキシ基(−OH)、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
本明細書中、C6−14アリールオキシ基に含まれる「C6−14アリール基」としては、例えば、上記のものが挙げられる。
は、好ましくはヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
式(I)中のXは、−NH−または−O−を表す。Xは、好ましくは−NH−である。
化合物(I)は、好ましくは式(II):
[式(II)中、R〜RおよびXは上記と同義である。]
で表される化合物である。
化合物(I)の塩としては、(a)化合物(I)の−NHと他の酸とが形成するアミン塩、(b)Xが−NH−である場合、化合物(I)の−NH−と他の酸とが形成するアミン塩、および(c)Rがヒドロキシ基である場合、化合物(I)の−COOHと他の塩基とが形成するカルボン酸塩が挙げられる。前記(a)および(b)のアミン塩を形成する他の酸としては、有機酸および無機酸のいずれでもよく、前記(c)のカルボン酸塩を形成する塩基は、有機塩基および無機塩基のいずれでもよい。化合物(I)の塩は、好ましくはカルボン酸塩であり、より好ましくはカルボン酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはカルボン酸アルカリ金属塩であり、特に好ましくはカルボン酸ナトリウム塩である。
化合物(I)の溶媒和物および化合物(I)の塩の溶媒和物を形成する溶媒は、水でもよく、有機溶媒(例えば、メタノール)でもよい。溶媒和物を形成する溶媒は、好ましくは水またはメタノールであり、より好ましくは水である。
化合物(I)等は、好ましくは化合物(I)の塩の溶媒和物であり、より好ましくは化合物(I)のカルボン酸塩の溶媒和物であり、さらに好ましくは化合物(I)のカルボン酸アルカリ金属塩の水和物および化合物(I)のカルボン酸アルカリ土類金属塩の水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、特に好ましくは化合物(I)のカルボン酸ナトリウム塩の水和物である。
以下に化合物(I)またはその塩の具体例を示す。
化合物(I)等は、特許文献1に記載されている方法または該方法に準じた方法によって製造することができる。
化合物(I)等の使用量(即ち、式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの合計の使用量)は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.01〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
(2)ゴム成分
ゴム成分としては、天然ゴム(NR)および変性天然ゴム(例えば、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム);ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴム;が例示される。ゴム成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分は、好ましくはジエン系ゴムを含む。ここで、ジエン系ゴムとは、共役2重結合を持つジエンモノマーを原料としたゴムを意味する。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム、変性天然ゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムは、高不飽和性であることが好ましく、天然ゴムであることがより好ましい。また、天然ゴムと他のゴム(例えば、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム)とを併用することも有効である。
ジエン系ゴム(特に、天然ゴム)を使用する場合、ゴム成分中のジエン系ゴムの量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%である。
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のもの(例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25やENR50)が挙げられる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。その他の変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに4−ビニルピリジン、N,N,−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが挙げられる。
SBRとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRが挙げられる。中でも、トレッド用ゴム組成物のためには、溶液重合SBRが好ましい。
溶液重合SBRとしては、変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズおよびケイ素の少なくとも一つの元素を有する、変性溶液重合SBRが挙げられる。変性剤としては、例えば、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合SBRとしては、具体的には、日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、および旭化成社製「E10」および「E15」等のシラン変性溶液重合SBR等が挙げられる。
また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRも、トレッド用ゴム組成物のために好ましい。
BRとしては、低ビニル含量の溶液重合BRおよび高ビニル含量の溶液重合BRのいずれでもよいが、高ビニル含量の溶液重合BRが好ましい。変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、ケイ素の少なくとも一つの元素を有する変性溶液重合BRが特に好ましい。変性剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えば、トリアルコキシシラン化合物)、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合BRとしては、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等のスズ変性BRが挙げられる。
BRは、トレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物のために好ましく用いることができる。BRは、SBRおよび/または天然ゴム(NR)とのブレンドで使用してもよい。トレッド用ゴム組成物では、ゴム成分中、例えば、SBRおよび/またはNRの量が60〜100重量%であり、BRの量が0〜40重量%である。サイドウォール用ゴム組成物では、ゴム成分中、好ましくは、SBRおよび/またはNRの量が10〜70重量%であり、BRの量が90〜30重量%であり、より好ましくは、NRの量が40〜60重量%であり、BRの量が60〜40重量%である。トレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物のために、変性SBRと非変性SBRとのブレンド、変性BRと非変性BRとのブレンド等も好ましく使用することができる。
本発明で製造するゴム組成物をタイヤのトレッド用に使用する場合、例えば乗用車用タイヤでは、ゴム成分として耐摩耗性やヒステリシスロス低減性能に優れるSBRをベース材料として用い、トラック・バス用タイヤではより高強度のNRを任意にSBRと共にベース材料として用い、これらベース材料に、必要に応じてBRをブレンドして用いることが、耐摩耗性、耐疲労性、反発弾性に優れたトレッドが得られるため好ましい。
本発明で製造するゴム組成物をタイヤのサイドウォール用に使用する場合、乗用車用タイヤではNRとSBRとをブレンドして、または、NRとBRとをブレンドして、トラック・バス用タイヤではNRとBRとをブレンドして使用することが、耐折曲げ屈曲性、耐き裂成長性が得られるため好ましい。
本発明で製造するゴム組成物をタイヤのベルト用に使用する場合、ゴム成分としてNRおよび/またはIRを使用することが、高弾性率や補強用繊維との良好な接着性が得られるため好ましい。
本発明で製造するゴム組成物をタイヤのインナーライナーとして使用する場合、ゴム成分としてIIRとSBRおよびNRとをブレンドして、またはIIRとNRとをブレンドして使用することが、抵ガス透過性と耐屈曲性が得られるため好ましい。
(3)カーボンブラック
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられる。カーボンブラックは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。カーボンブラックとしては、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、ISAF−HM(Intermediate SAF−High Modulus)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)が好ましい。
カーボンブラックの使用量は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜70重量部、さらに好ましくは30〜60重量部である。
(4)硫黄成分
硫黄成分としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、および高分散性硫黄、モルフォリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドが挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、本発明で製造するゴム組成物をベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材の製造に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。
硫黄成分の使用量は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
(5)他の成分
本発明では、上述の化合物(I)等、ゴム成分、カーボンブラック、硫黄成分に加えて、ゴム分野で公知の他の成分を使用してもよい。他の成分としては、カーボンブラック以外の充填剤、シリカと結合可能な化合物、加硫促進剤、加硫促進助剤、樹脂、粘弾性改善剤、老化防止剤、オイル、ワックス、しゃく解剤、リターダー、オキシエチレンユニットを有する化合物、触媒(ナフテン酸コバルト等)が挙げられる。他の成分は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラック以外の充填剤としては、例えば、シリカ(例えば、含水シリカ)、水酸化アルミニウム、瀝青炭粉砕物、タルク、クレー(特に、焼成クレー)、酸化チタンが挙げられる。
シリカとしては、CTAB比表面積50〜180m/gのシリカ、窒素吸着比表面積50〜300m/gのシリカが例示される。シリカの市販品としては、例えば、東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、「Nipsil(登録商標)AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)VN3−G」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」が挙げられる。また、(i)pHが6〜8であるシリカ、(ii)ナトリウムを0.2〜1.5重量%含むシリカ、(iii)真円度が1〜1.3の真球状シリカ、(iv)シリコーンオイル(例、ジメチルシリコーンオイル)、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、アルコール(例、エタノール、ポリエチレングリコール)等で表面処理したシリカ、(v)二種類以上の異なった窒素吸着比表面積を有するシリカの混合物を、充填剤として使用してもよい。本発明で製造するゴム組成物を乗用車トレッドに使用する場合、シリカの使用量は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり10〜120重量部の範囲が好ましい。またシリカを配合する場合、シリカ/カーボンブラックの重量比は0.7/1〜1/0.1が好ましい。
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m/g、DOP給油量50〜100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
瀝青炭粉砕物の平均粒径は、通常、0.1mm以下であり、好ましくは0.05mm以下、より好ましくは0.01mm以下である。平均粒径が0.1mmを超える瀝青炭粉砕物を使用しても、ゴム組成物のヒステリシスロスが充分に低減されず、低燃費性を充分に向上できない場合がある。また、本発明で製造するゴム組成物をインナーライナー用組成物として用いる場合には、平均粒径が0.1mmを超える瀝青炭粉砕物を使用しても、該組成物の耐空気透過性を充分に向上できない場合がある。
瀝青炭粉砕物の平均粒径の下限は特に限定されないが、好ましくは0.001mm以上である。0.001mm未満では、コストが高くなる傾向がある。なお、瀝青炭粉砕物の平均粒径は、JIS Z 8815−1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
瀝青炭粉砕物の比重は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。比重が1.6を超える瀝青炭粉砕物を使用すると、ゴム組成物全体の比重が増加し、タイヤの低燃費性向上が充分に図れないおそれがある。瀝青炭粉砕物の比重は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。比重が0.5未満である瀝青炭粉砕物を使用すると、混練時の加工性が悪化するおそれがある。
瀝青炭粉砕物を使用する場合、その量は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、通常5重量部以上、好ましくは10重量部以上であり、通常70重量部以下、好ましくは60重量部以下である。この量が、5重量部未満であると、瀝青炭粉砕物による効果が充分に得られない場合があり、70重量部を超えると、混練時の加工性が悪化するおそれがある。
充填剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤等のシリカと結合可能な化合物を使用することが好ましい。該化合物の例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(別名:「オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル」、例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中で、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)が、好ましい。
シリカと結合可能な化合物の添加時期は特に限定されないが、シリカと同時期にゴム成分に配合することが好ましい。シリカおよびシリカと結合可能な化合物を使用する場合、シリカと結合可能な化合物の量は、シリカ100重量部あたり、好ましくは2〜10重量部、より好ましくは7〜9重量部である。シリカと結合可能な化合物を配合する場合、その配合温度は80〜200℃が好ましく、より好ましくは110〜180℃である。
充填剤としてシリカを用いる場合には、シリカと結合可能な化合物に加えて、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の多価アルコール;N−アルキルアミン;アミノ酸;分子末端がカルボキシ変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン等を使用することも好ましい。
加硫促進剤の例としては、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日 社団法人 日本ゴム協会発行)の412〜413頁に記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
加硫促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
充填剤としてカーボンブラックのみを用いる場合には、加硫促進剤として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)またはジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかと、ジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。充填剤としてシリカとカーボンブラックとを併用する場合には、加硫促進剤として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)またはジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかと、ジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
硫黄成分と加硫促進剤との比率は特に制限されないが、硫黄成分/加硫促進剤の重量比は、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/5〜5/1、さらに好ましくは1/2〜2/1である。また天然ゴムを主成分とするゴム部材において、耐熱性を向上させる方法である硫黄成分/加硫促進剤の比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が特に必要な用途において好ましく用いられる。
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、シトラコンイミド化合物、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、有機チオスルフェート化合物および式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17は、C2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物が挙げられる。なお、本発明において酸化亜鉛は、加硫促進助剤の概念に包含され、上述の充填剤の概念には包含されない。
加硫促進助剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸、シトラコンイミド化合物が好ましく、酸化亜鉛、ステアリン酸がより好ましい。
酸化亜鉛を使用する場合、その量は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。ステアリン酸を使用する場合、その量は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
シトラコンイミド化合物としては、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、ビスシトラコンイミド類が好ましい。具体的には、1,2−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドエチルトルエンなどが挙げられる。
シトラコンイミド化合物のなかでも、熱的に特に安定であり、ゴム成分中への分散性に特に優れ、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができる(リバージョン制御)という理由から、下記式で表される1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンが好ましい。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができるという理由から、式(IV):
[式中、nは0〜10の整数であり、Xは2〜4の整数であり、R19はC5−12アルキル基である。]
で表されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を使用することが好ましい。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)のゴム成分中への分散性が良いという理由から、nは、好ましくは1〜9の整数である。
Xが4を超えると、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)が熱的に不安定となる傾向があり、Xが1であるとアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)中の硫黄含有率(硫黄の重量)が少ない。高硬度を効率よく発現させることができる(リバージョン抑制)という理由から、Xは2であることが好ましい。
19は、C5−12アルキル基である。ゴム成分中へのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の分散性が良いという理由から、R19は、好ましくはC6−9アルキル基である。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の具体例として、nが0〜10であり、Xが2であり、R19がオクチル基であり、硫黄含有率が24重量%である田岡化学工業社製のタッキロールV200が挙げられる。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物が得られる(リバージョン抑制)という理由から、式(V):
HOS−S−(CH−S−SOH (V)
[式中、mは3〜10の整数である。]
で表される有機チオスルフェート化合物の塩(以下「有機チオスルフェート化合物塩(V)」と記載することがある。)を使用することが好ましい。結晶水を含有する有機チオスルフェート化合物塩(V)を使用してもよい。有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられ、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
mは、3〜10の整数であり、好ましくは3〜6の整数である。mが2以下では、充分な耐熱疲労性が得られない傾向があり、mが11以上では、有機チオスルフェート化合物塩(V)による耐熱疲労性の改善効果が充分に得られない場合がある。
有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、常温常圧下で安定であるという観点から、そのナトリウム塩1水和物、ナトリウム塩2水和物が好ましく、コストの観点からチオ硫酸ナトリウムから得られる有機チオスルフェート化合物塩(V)がより好ましく、下記式で表される1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物がさらに好ましい。
ゴム成分中へ良く分散すること、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)と併用した場合にアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の−S−架橋の中間に挿入されて、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)とのハイブリッド架橋を形成することが可能であるという理由から、式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17はC2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物を、加硫促進助剤として使用することが好ましい。
17は、C2−10アルカンジイル基、好ましくはC4−8アルカンジイル基であり、より好ましくは直鎖状のC4−8アルカンジイル基である。R17は、直鎖状であることが好ましい。R17の炭素数が1以下では、熱的な安定性が悪い場合がある。また、R17の炭素数が11以上では、加硫促進助剤を介したポリマー間の距離が長くなり、加硫促進助剤を添加する効果が得られない場合がある。
16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基である。窒素原子を含む1価の有機基としては、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、芳香環および=N−C(=S)−基を含むものがさらに好ましい。R16およびR18は、それぞれ同一でも、異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から、同一であることが好ましい。
化合物(III)としては、例えば、1,2−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどが挙げられる。なかでも、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
化合物(III)の市販品としては、例えば、バイエル社製のVULCUREN TRIAL PRODUCT KA9188、VULCUREN VP KA9188(1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)が挙げられる。
ゴム組成物は、レゾルシノール等の有機化合物、レゾルシノール樹脂、変性レゾルシノール樹脂、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂および変性フェノール樹脂等の樹脂を含んでよい。レゾルシノールやこれらの樹脂を含むことにより、加硫ゴム組成物の破断時伸び、複素弾性率を向上させることができる。また、ゴム組成物をコードと接触するゴム製品の製造に使用する場合、レゾルシノールや樹脂を含むことにより、コードとの接着性を高めることができる。
レゾルシノールとしては、例えば、住友化学社製のレゾルシノール等が挙げられる。レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、インドスペック社製のペナコライト樹脂B−18−S、B−20、田岡化学工業社製のスミカノール620、ユニロイヤル社製のR−6、スケネクタディー化学社製のSRF1501、アッシュランド社製のArofene7209等が挙げられる。
クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール樹脂の末端のメチル基をヒドロキシ基に変性したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、田岡化学工業社製のスミカノール610、住友ベークライト社製のPR−X11061等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。また、変性フェノール樹脂としては、フェノール樹脂をカシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどを用いて変性した樹脂が挙げられる。
その他の樹脂としては、例えば、住友化学社製の「スミカノール507AP」等のメトキシ化メチロールメラミン樹脂;日鉄化学社製のクマロン樹脂NG4(軟化点81〜100℃)、神戸油化学工業社製の「プロセスレジンAC5」(軟化点75℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱瓦斯化学社製の「ニカノール(登録商標)A70」(軟化点70〜90℃)等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエンが挙げられる。
粘弾性改善剤としては、例えば、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(例えば、住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、特開昭63−23942号公報記載のジチオウラシル化合物、田岡化学工業社製「タッキロール(登録商標)AP」、「タッキロール(登録商標)V−200」、特開2009−138148号公報記載のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(例えば、バイエル社製「KA9188」)、1,6−ヘキサメチレンジチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(例えば、フレキシス社製「パーカリンク900」)、1−ベンゾイル−2−フェニルヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2004−91505号公報記載の1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド誘導体、特開2000−190704号公報記載の3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジフェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2006−328310号公報記載のビスメルカプトオキサジアゾール化合物、特開2009−40898号公報記載のピリチオン塩化合物、特開2006−249361号公報記載の水酸化コバルト化合物が挙げられる。
中でも、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(例えば、住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(例えば、バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(例えば、フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学工業社製「タッキロール(登録商標)AP」、「タッキロール(登録商標)V−200」が好ましい。
老化防止剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。老化防止剤としては、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(略称「6PPD」、例えば住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」)、アニリンとアセトンの反応生成物(略称「TMDQ」)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(例えば、松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
老化防止剤を使用する場合、その量は、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルが挙げられる。市販品としては、例えば、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)が挙げられる。
ワックスとしては、大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」、日本精蝋社製の「OZOACE−0355」等が挙げられる。
しゃく解剤としては、ゴム分野において通常用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の446〜449頁に記載される、芳香族メルカプタン系しゃく解剤、芳香族ジスルフィド系しゃく解剤、芳香族メルカプタン金属塩系しゃく解剤が挙げられる。中でも、ジキシリルジスルフィド、o,o’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(大内新興化学工業社製「ノクタイザーSS」)が好ましい。しゃく解剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
しゃく解剤の使用量は、特に限定されるものではないが、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。
リターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
リターダーの使用量は特に限定されるものではないが、本発明で製造されるゴム組成物が含有するゴム成分100重量部あたり0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。
本発明では、式:−O−(CH−CH−O)−H[式中、qは1以上の整数である。]で表わされる構造を有するオキシエチレンユニットを有する化合物を使用してもよい。ここで、上記式中、qは、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、qは16以下が好ましく、14以下がより好ましい。qが17以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
オキシエチレンユニットを有する化合物中のオキシエチレンユニットの位置は、主鎖でも、末端でも、側鎖でもよい。得られるタイヤ表面における静電気の蓄積防止効果の持続性および電気抵抗の低減の観点から、オキシエチレンユニットを有する化合物の中でも、少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物が好ましい。
主鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンスチレン化アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイドなどが挙げられる。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、オキシエチレンユニットの個数は、主鎖を構成する炭素数100個当たり4個以上が好ましく、8個以上がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が3個以下では、電気抵抗が増大する傾向がある。また、オキシエチレンユニットの個数は12個以下が好ましく、10個以下がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が13個以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、その主鎖としては、主としてポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンから構成されるものが好ましい。
<工程1>
本発明の製造方法は、化合物(I)等と、ゴム成分と、カーボンブラックとを混練して、混練物を調製する工程1を含む。化合物(I)等、ゴム成分およびカーボンブラックは、いずれも、工程1で使用量の全量を混練してもよく、それらを分割して、それらの一部を工程1で混練し、次いで、それらの残りと工程2で得られた冷却混練物とを工程3で混練してもよい。但し、化合物(I)等による損失係数(tanδ)の低減効果を充分に発揮させるために、化合物(I)等およびカーボンブラックの両方とも、それら使用量の全量を工程1で混練することが好ましい。
工程1における混練には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。
工程1における混練の回転速度は、好ましくは5rpm以上、より好ましくは10rpm以上、さらに好ましくは10〜100rpm、特に好ましくは10〜90rpmである。工程1における混練時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは1〜10分、さらに好ましくは2〜8分である。工程1では、まず低い回転速度(例えば、10rpm)で混練し、次いで回転速度を上げて(例えば、50rpm)、混練を続けてもよい。工程1における混練開始時の装置設定温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは120〜180℃、さらに好ましくは140〜180℃、特に好ましくは150〜170℃である。工程1における混練後の混練物の排出温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは155〜200℃、さらに好ましくは160〜185℃である。
<工程2>
本発明の製造方法は、得られた混練物に冷却操作を施して、冷却混練物を調製する工程2を含む。工程2において、混練物を、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下に冷却する。冷却後の混練物の温度下限に特に限定はないが、冷却後の混練物の温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上である。
冷却操作としては、例えば、(i)混練物の強制冷却(例えば、水冷または強制空冷)すること、(ii)例えばオープンロール等を使用して、混練物をシート状またはボード状に加工すること(なお、オープンロール等と接触する際に混練物は冷却される)、(iii)混練物をシート状またはボード状に加工した後に、シート状またはボード状混練物を強制冷却または放冷すること;等が挙げられる。混練物を効率的に均一に冷却するために、冷却操作が、混練物をシート状またはボード状に加工することを含むことが好ましい。シート状またはボード状に加工された混練物の厚さは、好ましくは1〜500mm、より好ましくは1〜400mm、さらに好ましくは1〜100mmである。
本発明における冷却操作には、得られた混練物に上述のような操作を施さずに、単に放置して自然に温度が低下すること(即ち、放冷)は含まれない。なお、特許文献2の段落[0057]には、まず、ゴム成分、カーボンブラック、および特許文献2に記載の化合物I(即ち、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム)をバンバリーミキサーで混練し(第1混練)、排出して、マスターバッチを調製し、次いで該マスターバッチと他の成分とをバンバリーミキサーで混練する(第2混練)こと、即ち、2段階の混練が記載されている。しかし、特許文献2には、第1混練で得られたマスターバッチに冷却操作を施すことは記載されていない。
<工程3>
本発明の製造方法は、得られた冷却混練物を混練する工程3を含む。本発明の製造方法では、化合物(I)等、ゴム成分およびカーボンブラックを含有する混練物を一旦冷却し、得られた冷却混練物を混練することによって、ゴム成分がせん断され(ゴム成分の低分子量化)、その結果、化合物(I)等によるゴム組成物の粘度増大が抑制されると推定される。但し、本発明はこのような推定に限定されない。
工程3における混練には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。
工程3における混練を、回転速度を変更して行うことが好ましい。ゴム成分のせん断を充分に行うため、工程3における最初の混練の回転速度は、好ましくは40〜100rpm、より好ましくは45〜90rpm、さらに好ましくは46〜80rpmであり、この最初の混練時間は、好ましくは0.5〜10分、より好ましくは0.5〜8分、さらに好ましくは0.5〜6分である。このような回転速度で最初の混練を行い、ゴム成分を充分にせん断した後は、ゴム成分と他の成分とを充分に混練するため、回転速度を下げて(例えば、10rpm)、混練を行ってもよく、その後に回転速度を再度上げて(例えば、50rpm)、混練を行ってもよい。工程3における混練開始時の装置設定温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは140〜170℃である。工程2で得られた冷却混練物は冷却後の温度のまま、混練装置に投入され、工程3の混練開始後に加熱される。工程3における混練後の混練物の排出温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは100〜175℃、さらに好ましくは100〜170℃である。
<硫黄成分の混練工程>
本発明は、上述のようにして得られたゴム組成物と、硫黄成分とを混練することを含む製造方法も提供する。硫黄成分の混練には、例えば、オープンロール、カレンダー等を使用することができる。硫黄成分の混練温度(混練しているゴム組成物の温度)は、60〜120℃が好ましい。
<加硫工程>
硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造することができる。加硫温度は、120〜180℃が好ましい。当業者であれば、ゴム組成物の組成に応じて、加硫時間を適宜設定することができる。加硫は、通常、常圧または加圧下で行われる。
<他の工程>
本発明の製造方法では、上述した工程1〜3、硫黄成分の混練工程および加硫工程に加えて、他の工程を行ってもよい。他の工程としては、例えば、工程1の前のゴム成分の素練り工程等が挙げられる。
<他の成分の混練>
上述した他の成分の混練は、工程1、工程3および他の工程(例えば、素練り工程)のいずれで行ってもよい。但し、老化防止剤を工程1またはその前の素練り工程でゴム成分等と混練すると、工程1の際に混練物中の老化防止剤が化合物(I)等に作用し、化合物(I)等のtanδの低減効果が弱められる場合がある。このような悪影響を避けるために、老化防止剤を含有するゴム組成物を製造する場合、工程3で、老化防止剤の全量を工程2で得られた冷却混練物と混練することが好ましい。
加硫促進剤を使用する場合、その全量を、硫黄成分の混練工程で混練すること、即ち、硫黄成分および加硫促進剤を一緒に、ゴム組成物と混練することが好ましい。また、老化防止剤および加硫促進剤以外の他の成分は、硫黄成分の混練工程の前に、即ち、素練り工程、工程1または工程3のいずれかでゴム成分等と混練することが好ましい。老化防止剤および加硫促進剤以外の他の成分は、それらを分割して、素練り工程、工程1および工程3の二つ以上の工程でゴム成分等と混練してもよい。
<ゴム組成物>
本発明は、上述の製造方法によって得られた、硫黄成分を含有しないゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、加硫ゴム組成物も提供する。
本発明のゴム組成物および加硫ゴム組成物は、様々な製品を製造するために有用である。ゴム組成物および加硫ゴム組成物から得られる製品としては、加硫タイヤおよびタイヤ用部材が好ましい。タイヤ用部材としては、例えば、本発明の加硫ゴム組成物およびスチールコードを含むタイヤ用ベルト部材、本発明の加硫ゴム組成物およびカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス部材、タイヤ用サイドウォール部材、タイヤ用インナーライナー部材、タイヤ用キャップトレッド部材またはタイヤ用アンダートレッド部材が挙げられる。
加硫タイヤは、まずタイヤ用部材を製造し、これらを組み合わせて生タイヤを製造し、生タイヤを加硫することによって製造される。本発明のゴム組成物を用いて製造されたタイヤは、損失係数(tanδ)が低く、低燃費を達成することができる。
本発明の加硫ゴム組成物は、上記したタイヤ用途のみならず、各種防振ゴムとしても使用できる。かかる防振ゴムとしては、例えば、エンジンマウント、ストラットマウント、ブッシュ、エグゾーストハンガー等の自動車用防振ゴムが挙げられる。防振ゴムは、まず硫黄成分を含有するゴム組成物を所定の形状に加工し、次いで加硫することによって、製造することができる。
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の実施例等に記載の「部」は「重量部」を意味する。
1.成分
以下の実施例等で使用した成分は以下の通りである。
・NR:天然ゴム(RSS#1)
・CB1:カーボンブラックHAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)
・CB2:カーボンブラックISAF(旭カーボン社製、商品名「旭#80」)
・CB3:カーボンブラックFEF(旭カーボン社製、商品名「旭#60」)
・化合物(I−1):(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物
・酸化亜鉛(ZnO)
・ステアリン酸:花王社製「ルナックS20」
・老化防止剤:住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン)
・硫黄成分:粉末硫黄(S
・加硫促進剤:N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
2.実施例における操作
以下のようにして、実施例の硫黄成分を含有しないゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物を製造した。なお以下では、本発明における工程1を「non−pro第1工程」と、工程2を「冷却工程」と、工程3を「non−pro第2工程」と、硫黄成分の混練工程を「pro工程」と記載する。
<non−pro第1工程>
混練開始時の装置設定温度を155℃にした加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、天然ゴムを投入後、回転数50rpmにて2分、素練りした。そこへ、下記表1〜5に示す量でゴム成分以外の成分を加えて、下記表1〜5に示す回転数および時間で混練を行い、混練物を排出した。排出温度を下記表1〜5に示す。
<冷却工程>
non−pro第1工程で得られた混練物を設定温度50℃のオープンロール(関西ロール社製ラボラトリーミル)を用いて、混練物を厚さ3〜5mmのシート状に加工した後、下記表1〜5に示す冷却後温度になるまで、室温の大気雰囲気下でシート状の混練物を放冷した。
<non−pro第2工程>
混練開始時の装置設定温度を155℃にした加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、上記冷却工程で得たゴム組成物を投入して、回転数50rpmにて1分のせん断をかけた後に、下記表1〜5に示す量で成分を投入し、回転数10rpmにて1分、さらに回転数50rpmにて1分混練を行って、硫黄成分を含有しないゴム組成物を得た。排出温度を下記表1〜5に示す。
<pro工程>
オープンロールで60〜80℃の温度にて、non−pro第2工程により得られたゴム組成物と、下記表1〜5に示す量で加硫促進剤および硫黄成分とを混練し、硫黄成分を含有するゴム組成物を得た。
<加硫工程>
加硫プレス機を用いて、加硫温度を145℃に設定し、加硫時間をJIS K 6300−2に準拠したレオメーター測定にて得られた90%加硫時間(tc(90))の値に5分を加えた時間に設定して、pro工程により得られたゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を得た。
3.比較例および参考例における操作
以下のようにして、比較例および参考例の硫黄成分を含有しないゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物を製造した。なお以下では、硫黄成分を含有しないゴム組成物を製造する工程を「non−pro第1工程」と、硫黄成分を含有するゴム組成物を製造する工程を「pro工程」と記載する。
<non−pro第1工程>
混練開始時の装置設定温度を155℃にした加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、天然ゴムを投入後、回転数50rpmにて2分、素練りした。そこへ、下記表1〜5に示す量でゴム成分以外の成分を加えて、下記表1〜5に示す回転数および時間で混練を行い、混練物を排出した。排出温度を下記表1〜5に示す。
<pro工程>
オープンロールで60〜80℃の温度にて、non−pro第1工程により得られたゴム組成物と、下記表1〜5に示す量で加硫促進剤および硫黄成分とを混練し、硫黄成分を含有するゴム組成物を得た。
<加硫工程>
加硫プレス機を用いて、加硫温度を145℃に設定し、加硫時間をJIS K 6300−2に準拠したレオメーター測定にて得られたtc(90)の値に5分を加えた時間に設定して、pro工程により得られたゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を得た。
4.特性評価
<粘度の相対値>
JIS−K6300−1に準拠し、125℃にて、実施例、比較例および参考例で得られた硫黄成分を含有するゴム組成物のムーニー粘度を測定した。
化合物(I−1)を使用しない参考例のゴム組成物のムーニー粘度、および化合物(I−1)を使用する実施例または比較例のゴム組成物のムーニー粘度から、式(1):
粘度の相対値=(実施例または比較例のゴム組成物のムーニー粘度)/(参考例のゴム組成物のムーニー粘度) ・・・ (1)
によって、粘度の相対値を算出した。結果を下記表1〜5に示す。
<tanδの相対値>
以下の条件で株式会社上島製作所製の粘弾性アナライザを用いて、実施例、比較例および参考例で得られた加硫ゴム組成物の粘弾性特性を測定し、それらの60℃での損失係数(tanδ)を求めた。
測定温度:−5℃〜80℃
昇温速度:2℃/分
初期歪:10%
動的歪:2.5%
周波数:10Hz
化合物(I−1)を使用しない参考例のゴム組成物のtanδ、および化合物(I−1)を使用する実施例または比較例の加硫ゴム組成物のtanδから、式(2):
tanδの相対値=(実施例または比較例の加硫ゴム組成物のtanδ)/(参考例の加硫ゴム組成物のtanδ) ・・・ (2)
によって、tanδの相対値を算出した。結果を下記表1〜5に示す。
実施例1〜4、比較例1および2、並びに参考例1および2
上述の操作、下記表1に示す成分および条件にて、実施例1〜4、比較例1および2、並びに参考例1および2のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表1に示す実施例1および2並びに比較例1の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例1のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出し、実施例3および4並びに比較例2の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例2のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
上記表1に示すように、硫黄成分を含有しないゴム組成物を1段階の混練工程(non−pro第1工程)のみで製造した比較例1および2では、粘度の相対値が1よりも大きくなっていた。このことから、従来の1段階の混練工程のみでは、化合物(I−1)を使用することによって、ゴム組成物の粘度が増大することが分かる。
一方、硫黄成分を含有しないゴム組成物を2段階の混練工程(non−pro第1工程およびnon−pro第2工程)で製造した実施例1〜4では、粘度の相対値が1よりも小さかった。このように、2段階の混練工程を行う実施例1〜4では、化合物(I−1)を使用することによるゴム組成物の粘度増大を抑制するだけでなく、化合物(I−1)を使用しない参考例1および2よりも、ゴム組成物の粘度を低減させることができた。
また、驚くべきことに、実施例1および2のtanδの相対値は比較例1の値よりも低く、実施例3および4のtanδの相対値は比較例2の値よりも低かった。このように、2段階の混練工程を行うことによって、粘度増大の抑制だけでなく、tanδをより一層低減することができた。
実施例5〜7、比較例3、および参考例3
上述の操作、並びに下記表2に示す成分および条件にて、実施例5〜7、比較例3、および参考例3のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表2に示す実施例5〜7および比較例3の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例3のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
実施例5〜7では、non−pro第1工程にて10rpmで2分の混練後、50rpmで混練を1〜3分行った。non−pro第1工程にて10rpmで2分および50rpmで1分の混練を行っただけの実施例5でも、粘度の相対値が1であり、粘度増減を抑制できた。この結果から、粘度増大の抑制は、冷却後にnon−pro第2工程を行うことに起因すると推定される。
実施例8〜15、比較例4および5、並びに参考例4および5
上述の操作、並びに下記表3に示す成分および条件にて、実施例8〜15、比較例4および5、並びに参考例4および5のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表3に示す実施例8〜12および比較例4の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例4のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出し、実施例13〜15および比較例5の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例5のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
他の成分(酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤)をnon−pro第1工程で混練した場合の影響を検討した。酸化亜鉛、ステアリン酸または老化防止剤をnon−pro第1工程で混練する実施例9〜12、14および15の粘度の相対値は1程度または1よりも小さく、これらの他の成分をnon−pro第1工程で混練しても、粘度増大を抑制することができる。しかし、老化防止剤をnon−pro第1工程で混練する実施例11、12および15は、他の実施例に比べて、tanδの相対値が大きくなった。老化防止剤をnon−pro第1工程で混練することによって、化合物(I−1)のtanδの低減効果が弱められていると推定される。そのため、老化防止剤を使用する場合、non−pro第1工程(即ち、本発明の工程1)ではなく、non−pro第2工程(即ち、本発明の工程3)で、老化防止剤の全量と冷却混練物とを混練することが好ましい。
実施例16〜21、比較例6〜8、および参考例6〜8
上述の操作、下記表4に示す成分および条件にて、実施例16〜21、比較例6〜8、および参考例6〜8のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表4に示す実施例16および17並びに比較例6の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例6のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出し、実施例18および19並びに比較例7の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例7のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出し、実施20および21並びに比較例8の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例8のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
カーボンブラックの種類を変更した実施例16〜21のいずれでも、粘度の相対値およびtanδの相対値が比較例よりも小さかった。これらの結果から、本発明の製造方法によれば、カーボンブラックの種類にかかわらず、化合物(I)による粘度増大を抑制することができ、且つtanδも低減することができることが分かる。
実施例22および23、比較例9および10、並びに参考例9
上述の操作、下記表5に示す成分および条件にて、実施例22および23、比較例9および10、並びに参考例9のゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造した。なお、下記表5に示す実施例22および23並びに比較例9および10の粘度の相対値およびtanδの相対値は、それぞれ、式(1)および式(2)において、参考例9のゴム組成物のムーニー粘度および加硫ゴム組成物のtanδの値を使用して算出した。
化合物(I−1)の添加量を変更した実施例22および23でも、粘度の相対値およびtanδの相対値が比較例よりも小さかった。これらの結果から、本発明の製造方法によれば、化合物(I−1)の添加量にかかわらず、粘度増大を抑制することができ、且つtanδも低減することができることが分かる。
製造例1
窒素置換された500mLの反応容器に、p−フェニレンジアミン1.65g(15.3mmol)とテトラヒドロフラン180mLとを仕込み、反応容器を0〜5℃に保持した。
この反応容器を0〜5℃に保ちながら、そこへ、p−フェニレンジアミン5.51g(51.0mmol)を添加し、次いで無水マレイン酸5.00g(51.0mmol)をテトラヒドロフラン7.5mLに溶解させて得た溶液を30分かけて滴下した。上述のp−フェニレンジアミンを添加する操作と無水マレイン酸のテトラヒドロフラン溶液を滴下する操作を合計6回繰り返した。
6回目の無水マレイン酸のテトラヒドロフラン溶液の滴下終了後、得られた混合物を20〜25℃でさらに2時間撹拌した。その後、得られた反応溶液を濃縮乾固して、粗結晶を得た。この粗結晶は、NMR測定により、主成分が、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸であることを確認した。収率:94.3%。
製造例2
窒素置換された500mLの反応容器に、テトラヒドロフラン10mLを仕込み、反応容器を0〜5℃に保持した。
この反応容器を0〜5℃に保ちながら、そこへ、無水マレイン酸30.0g(305.9mmol)をテトラヒドロフラン45mLに溶解させて得た溶液と、p−フェニレンジアミン34.7g(321.2mmol)をメタノール30mLに溶解させて得た溶液とを、2時間かけて同時並行的に滴下した。滴下終了後、得られた混合物を0〜5℃に保ってさらに2時間撹拌した。その後、得られた反応溶液を濃縮乾固して、粗結晶を得た。この粗結晶は、NMR測定により、主成分が、(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸であることを確認した。収率:92.6%。
本発明の製造方法によれば、化合物(I)等を使用することによるゴム組成物の粘度増大を抑制することができる。本発明に製造方法によって得られたゴム組成物は、様々な製品(例えば、加硫タイヤおよびタイヤ用部材)の製造に有用である。
本願は、日本で出願された特願2015−102549号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。

Claims (23)

  1. 硫黄成分を含有しないゴム組成物の製造方法であって、
    式(I):

    [式(I)中、
    は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
    は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基を表す。
    Xは、−NH−または−O−を表す。]
    で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つと、ゴム成分と、カーボンブラックとを混練して、混練物を調製する工程1、
    得られた混練物に冷却操作を施して、冷却混練物を調製する工程2、および
    得られた冷却混練物を混練する工程3
    を含む製造方法。
  2. 工程2において、混練物を120℃以下に冷却する請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程2における冷却操作が、混練物をシート状またはボード状に加工することを含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 工程1における混練を、10rpm以上の回転速度で1分以上行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 工程1における混練後の混練物の排出温度が150℃以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 製造されるゴム組成物が老化防止剤を含有し、老化防止剤の全量と工程2で得られた冷却混練物とを工程3において混練する請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 式(I)で表される化合物が、式(II):

    [式(II)中、R〜RおよびXは上記と同義である。]
    で表される化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. が、フェニレン基である請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. およびRが、水素原子である請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. が、ヒドロキシ基である請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. Xが、−NH−である請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つが、式(I)で表される化合物の塩の溶媒和物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. ゴム成分の50重量%以上がジエン系ゴムである請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 硫黄成分を含有するゴム組成物の製造方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法により得られたゴム組成物と、硫黄成分とを混練することを含む製造方法。
  15. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法により得られた、硫黄成分を含有しないゴム組成物。
  16. 請求項14に記載の製造方法により得られた、硫黄成分を含有するゴム組成物。
  17. 請求項16に記載の硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって得られた加硫ゴム組成物。
  18. 請求項17に記載の加硫ゴム組成物を含む加硫タイヤ。
  19. 請求項17に記載の加硫ゴム組成物およびスチールコードを含むタイヤ用ベルト部材。
  20. 請求項17に記載の加硫ゴム組成物およびカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス部材。
  21. 請求項17に記載の加硫ゴム組成物を含むタイヤ用部材。
  22. タイヤ用サイドウォール部材、タイヤ用インナーライナー部材、タイヤ用キャップトレッド部材またはタイヤ用アンダートレッド部材である請求項21に記載のタイヤ用部材。
  23. 請求項14に記載の製造方法により得られた、硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することを含む、加硫ゴム組成物の製造方法。
JP2017519391A 2015-05-20 2016-05-19 ゴム組成物の製造方法 Pending JPWO2016186155A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015102549 2015-05-20
JP2015102549 2015-05-20
PCT/JP2016/064820 WO2016186155A1 (ja) 2015-05-20 2016-05-19 ゴム組成物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016186155A1 true JPWO2016186155A1 (ja) 2018-03-08

Family

ID=57320435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017519391A Pending JPWO2016186155A1 (ja) 2015-05-20 2016-05-19 ゴム組成物の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2016186155A1 (ja)
TW (1) TW201714924A (ja)
WO (1) WO2016186155A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7248411B2 (ja) * 2018-11-05 2023-03-29 Toyo Tire株式会社 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴムならびに防振ゴム用ゴム組成物の製造方法
JP7288749B2 (ja) * 2018-11-05 2023-06-08 Toyo Tire株式会社 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005232354A (ja) * 2004-02-20 2005-09-02 Bridgestone Corp ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ
JP2011026441A (ja) * 2009-07-24 2011-02-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム組成物の製造方法
JP2014084312A (ja) * 2012-10-25 2014-05-12 Sumitomo Chemical Co Ltd 加硫ゴムの粘弾性特性を改善するための化合物及び該化合物を含んでなるゴム組成物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016186155A1 (ja) 2016-11-24
TW201714924A (zh) 2017-05-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101784018B1 (ko) S-(3-아미노프로필)티오황산 또는 그 금속염의 사용
JP5573883B2 (ja) ゴム組成物
EP2913367B1 (en) Carbon black
US20120101219A1 (en) Vulcanized rubber and process for manufacturing same
JP2014084312A (ja) 加硫ゴムの粘弾性特性を改善するための化合物及び該化合物を含んでなるゴム組成物
US9796831B2 (en) Process for producing particles
JP2012012457A (ja) S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用方法、並びに、加硫ゴム組成物の発熱抑制方法
US11692088B2 (en) Rubber composition
WO2013015440A1 (ja) ゴム組成物
JP7377850B2 (ja) 加硫ゴム組成物
JPWO2016186155A1 (ja) ゴム組成物の製造方法
EP3683263B1 (en) Rubber composition
WO2018012452A1 (ja) 添加剤組成物およびゴム組成物
JP7033374B2 (ja) ゴム組成物
JPWO2016175272A1 (ja) ゴム組成物
JP2017101132A (ja) ゴム組成物および加硫ゴム組成物
JP5978043B2 (ja) ゴム組成物
WO2018012451A1 (ja) 添加剤組成物およびゴム組成物
JP2018080290A (ja) ゴム組成物
JP2018204033A (ja) ゴム組成物の製造方法
JP2019034988A (ja) ゴム組成物の製造方法
TWI834817B (zh) 加硫橡膠組成物
JP2018080289A (ja) ゴム組成物
JP2019119784A (ja) ゴム組成物の製造方法
JP6013823B2 (ja) 化合物