JP2011026441A - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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久志 古田
Shunichi Kondo
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【課題】生産性を悪化させることなく、耐摩耗性を向上するとともに、ブリスターの発生を抑制することができるゴム組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)ゴム成分、シリカ及びシランカップリング剤を混練し、混練物を調製する工程、(b)上記混練物にマイクロ波を照射し、混練物の表面温度を125〜165℃にする工程を含むゴム組成物の製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物の製造方法に関する。
近年、ゴム成分にシリカ等の充填剤を配合することにより、耐摩耗性とウェットスキッド性とを両立させたタイヤトレッド用の各種ゴム組成物が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。シリカを配合したゴム組成物では、シリカとゴム成分との結合を補強するため、通常、有機珪素化合物であるシランカップリング剤が用いられる。
タイヤ用ゴム組成物の混練工程は、通常、硫黄等の加硫剤や加硫促進剤以外の充填剤とゴム成分とを混練するベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物と加硫剤や加硫促進剤とを混練する仕上げ練り工程とからなる。シリカおよびシランカップリング剤は、上記ベース練り工程で、混練機を用いて、ゴム成分と混練される。
ベース練り工程において、混練物の温度が150℃を超えると、ゴム成分のゲル化が起こる傾向がある。したがって、ベース練り工程では、一般的に、混練物の温度が150℃を超えたときに混練を終了し、混練機から混練物が排出されるように設定されている。しかしながら、このような設定では、シリカとシランカップリング剤との反応が不充分となり、シリカが耐摩耗性の向上に充分寄与することができない傾向があり、また、混練機のロールに未反応のシランカップリング剤が残存する傾向があった。混練機のロールにシランカップリング剤が残存した場合、混練物がロール表面に張りつき、作業性が悪化するという問題が発生する。
上記問題を解決する方法として、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)でロール表面を定期的に磨く方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、危険性の高い苛性ソーダを使用する必要があるという点で改善の余地があった。
シランカップリング剤の反応率を高める方法として、混練物を150℃以上の温度で混練し続ける方法が挙げられる。例えば、ベース練り工程において、混練物が150℃に達してから、さらに、30秒間混練した場合には、シランカップリング剤の反応率を10%以上向上させることができる。しかしながら、この場合には、混練時間が長くなり、生産性が悪化するという点で改善の余地があった。また、この方法では、ゴム成分のゲル化が起こるおそれがあるという点でも改善の余地があった。
また、シランカップリング剤は、分子内にアルコキシシリル基を有しているため、シリカと反応する際にアルコールを発生する。生じたアルコールは、ゴム組成物中で揮発して、押出成形した未加硫ゴムの内部で発泡し(ブリスターが生成し)、ゴム組成物の剛性、寸法安定性および生産性を低下させる傾向がある。
特開2000−159935号
本発明は、生産性を悪化させることなく、耐摩耗性を向上するとともに、ブリスターの発生を抑制することができるゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、(a)ゴム成分、シリカ及びシランカップリング剤を混練し、混練物を調製する工程、(b)上記混練物にマイクロ波を照射し、混練物の表面温度を125〜165℃にする工程を含むゴム組成物の製造方法に関する。
上記マイクロ波の周波数が、500〜3000MHzであり、上記マイクロ波を照射する装置の出力が、2〜20KWであることが好ましい。
本発明によれば、マイクロ波を照射して混練物を適正な温度に加熱することにより、ベース練り工程における混練時間を延長することなく、シランカップリング剤の反応率を向上することができる。これにより、ゴム組成物の耐摩耗性を向上することができる。また、シランカップリング剤の反応率が向上することで、混練機のロールに残存(付着)する未反応のシランカップリング剤が少なくなるため、混練物の上記ロールへの張りつきを抑制することができ、苛性ソーダ等の危険な薬品を使用する作業を無くすことができる。更に、上記加熱により、シリカとシランカップリング剤との反応で発生したアルコールを除去することができるため、ゴム組成物を押出加工する工程におけるブリスターの発生を抑制することができる。そして、上記加熱は、マイクロ波を照射することで行っており、ベース練り工程の混練時間は従来と同程度である。したがって、シランカップリング剤の反応率を向上させる従来の方法(ベース練り工程の混練時間を延長する方法)で生じていたゴム成分のゲル化の問題を考慮する必要は無い。
なお、本発明によれば、マイクロ波を照射するための工程(マイクロ波照射工程)を別途設ける必要があるため、ゴム組成物の製造工程全体としての製造時間が長くなり、生産性が悪化することが懸念される。しかしながら、マイクロ波照射工程は、従来の工程の中で、混練物の移動に要していた時間を利用することができるため、生産性が低下することを防止できる。以下、この理由を詳述する。
ゴム組成物の製造工程では、通常、ベース練り工程で調製された混練物は、シート状に成形された後(成形工程)、フェスツーン内で冷却される(冷却工程)。成形工程から冷却工程への混練物の移動は、ベルトコンベア等によって行われている。このベルトコンベアを、マイクロ波を照射するための装置(マイクロ波加熱装置)に通過させるだけで、混練物にマイクロ波を照射することができる。このようにして、生産性を低下させることなく、マイクロ波照射工程を行うことができる。
本発明は、(a)ゴム成分、シリカ及びシランカップリング剤を混練し、混練物を調製する工程、(b)上記混練物にマイクロ波を照射し、混練物の表面温度を125〜165℃にする工程を含む。
<(a)工程>
(a)工程(ベース練り工程)では、例えば、混練機を用いて、ゴム成分と、シリカおよびシランカップリング剤を含む配合剤とを混練し、混練物を調製する。混練機としては従来公知のものを使用でき、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどが挙げられる。
(a)工程における混練機のローター回転数は、20〜60rpmであることが好ましい。ローター回転数が20rpm未満では、配合剤の分散不良を招く傾向がある。60rpmを超えると、ゴム成分の温度が上昇しすぎて、充分な混練時間がとれず、配合剤の分散不良や、シランカップリング剤の反応率低下を招く傾向がある。
本発明に使用されるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、タイヤ用部材の中で、シリカが配合されるものの一つであるトレッドに使用されているという理由からSBR、BR、及びNRを併用したり、SBRを単独で用いることが好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。また、シリカとポリマー(ゴム成分)を結合できるという理由から、末端を変性したSBR(変性SBR)も好適に使用できる。変性SBRとしては、特開2001−114938号公報に記載されているアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で変性した変性スチレンブタジエンゴム等があげられる。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、必要なウェットグリップ性能が得られないおそれがある。また、該スチレン含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。45質量%を超えると、低温特性が悪化してしまう傾向がある。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。
本発明のゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
5質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、BRの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。80質量%を超えると、ゴム強度が低下し、本発明のゴム組成物をトレッドに用いた場合に、チップカットが発生するおそれがある。
シリカとしては、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)などを用いることができる。表面のシラノール基が多く、シランカップリング剤との反応点が多いという理由から、湿式法により調製されたシリカを用いることが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上、より好ましくは60m/g以上、更に好ましくは80m/g以上、特に好ましくは100m/g以上である。シリカのNSAが40m/g未満では、シリカの補強効果が不充分となるおそれがある。シリカのNSAは、好ましくは240m/g以下、より好ましくは200m/g以下、更に好ましくは180m/g以下、特に好ましくは160m/g以下である。シリカのNSAが240m/gを超えると、シリカの分散性が低下し、ゴム組成物の発熱性が増大してしまう傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。
10質量部未満では、シリカの補強効果が不充分となるおそれがある。また、シリカの含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、ゴム組成物の加工性および作業性が悪化する傾向がある。
本発明で使用されるシランカップリング剤としては、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を用いることができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。なかでも、加工性に優れる点からビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量100質量部に対して、2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上である。シランカップリング剤の含有量が2質量部未満では、シリカの補強効果が充分に発揮されない傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は15質量部以下、好ましくは12質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が15質量部をこえると、高価なシランカップリング剤の添加量に見合った効果が得られない傾向がある。
(a)工程では、上記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の無機・有機充填剤、オイル等の軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、各種老化防止剤、オゾン劣化防止剤、ワックスなどを必要に応じて適宜配合することができる。
(a)工程終了後、(b)工程を行う前に、以下の(x)工程を行うことが好ましい。
<(x)工程>
(x)工程では、例えば、バンバリーミキサー等の公知の混練機やオープンロールをを用いて、(a)工程で調製された混練物をシート状に圧延(成形)する。シート状に成形した混練物に対して、以下の(b)工程を行うことにより、混練物をより均一に加熱することができる。シートの厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上である。0.5mm未満であると、シートが切れ易くなり、加工性が悪化するおそれがある。シートの厚みは、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。3.0mmを超えると、マイクロ波加熱により、ゴム焼けが発生しやすくなる傾向がある。
<(b)工程>
(b)工程では、例えば、マイクロ波加熱装置を用いて、(a)工程で調製された混練物(又は(x)工程によりシート状に成形した混練物)に対して、マイクロ波を照射し、混練物の表面温度を125〜165℃にする。
なお、(b)工程は、(x)工程によりシート状に成形された混練物をベルトコンベア等で(c)工程へ移送しながら行うことが好ましい。すなわち、ベルトコンベアを用いて、マイクロ波加熱装置に混練物を通過させるだけで、(b)工程を行うことができる(混練物にマイクロ波を照射することができる)。このようにして、上述のように、生産性を悪化することなく、(b)工程(マイクロ波照射工程)を行うことができる。
マイクロ波の周波数は、好ましくは500MHz以上、より好ましくは800MHz以上、さらに好ましくは1000MHz以上である。マイクロ波の周波数が500MHz未満の場合、混練物の加熱が不充分となるおそれがある。また、マイクロ波の周波数は、好ましくは3000MHz以下、より好ましくは2800MHz以下、さらに好ましくは2500MHz以下である。マイクロ波の周波数が3000MHzを超えると、混練物の温度が高くなりすぎてしまい、ゴム成分のゲル化が起こるおそれがある。
マイクロ波加熱装置の出力は、好ましくは2kW以上、より好ましくは4kW以上、さらに好ましくは6kW以上である。マイクロ波加熱装置の出力が2kW未満の場合、混練物の加熱が不充分となるおそれがある。また、マイクロ波加熱装置の出力は、好ましくは20kW以下、より好ましくは18kW以下、さらに好ましくは16kW以下である。マイクロ波加熱装置の出力が20kWを超えると、混練物の温度が高くなりすぎてしまい、ゴム成分のゲル化が起こるおそれがある。
マイクロ波の照射時間は、好ましくは30秒以上、より好ましくは35秒以上、さらに好ましくは40秒以上である。マイクロ波の照射時間が30秒未満の場合、混練物の加熱が不充分となるおそれがある。また、マイクロ波の照射時間は、好ましくは75秒以下、より好ましくは70秒以下である。マイクロ波の照射時間が75秒を超えると、混練物の温度が高くなりすぎてしまい、ゴム成分のゲル化が起こるおそれがある。
マイクロ波の照射によって加熱された混練物の表面温度は、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上である。混練物の表面温度が125℃未満の場合、シランカップリング剤の反応率が充分に向上されないおそれがある。また、マイクロ波の照射によって加熱された混練物の表面温度は、好ましくは165℃以下、より好ましくは160℃以下である。混練物の表面温度が165℃を超えると、ゴム成分のゲル化が起こるおそれがある。
混練物の表面温度は、レーザー温度計によって測定することができる。
<(c)工程>
(c)工程では、例えば、(b)工程によりマイクロ波を照射された混練物の冷却をフェスツーン内で行う。冷却する方法は、特に限定されず、例えば、空気(冷気)との接触により冷却する方法、金属板等に接触させ冷却する方法、水槽で冷却する方法等があげられる。
<(d)工程>
(d)工程(仕上げ練り工程)では、例えば、混練機を用いて、(c)工程により冷却された混練物と、硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤と、加硫促進剤とを混練し、混練物を調製する。混練機としては(a)工程と同様のものを使用できる。
<(e)工程>
(e)工程では、(d)工程により得られた混練物を加硫することによりゴム組成物が得られる。加硫反応は、例えば、(d)工程により得られた混練物(未加硫ゴム組成物)を170〜180℃で8〜15分間加硫反応を行うことにより実施できる。
以上の工程を含む製法により得られるゴム組成物は、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)、サイドウォール等のタイヤの各部材や、タイヤコード用トッピングゴム、ゴムクローラ、ゴム防舷材等に好適に使用できる。
上記ゴム組成物を用い、通常の方法により空気入りタイヤを製造できる。すなわち、ゴム組成物を未加硫の段階でタイヤ部材の形状に合わせて押出加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
BR:宇部興産(株)製のBR150
SBR:旭化成(株)製のT3830(スチレン含有量33質量%)
シリカ用変性SBR:JSR(株)製のHPR355(スチレン含有量27質量%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のN220
シリカ:日本シリカ工業(株)製のVN3
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266
オイル:H&R社製のVIVATEC500
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤M:大内新興化学工業(株)製のノクセラーM(2−メルカプトベンゾチアゾール)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜4および比較例1〜4
表1に示す配合内容にしたがって、バンバリーミキサー(ローター回転数60rpm)を用いて、硫黄および加硫促進剤以外の配合剤とゴム成分とを150℃になるまで混練し(ベース練り工程)、得られた混練物を厚さが1.0mmのシート状に圧延してから、表2に示す加工条件にしたがって、マイクロウェーブオーブンを用いて、マイクロ波を照射した。マイクロ波の周波数は2450MHz、マイクロウェーブオーブンの出力は、16kWとした。なお、比較例1については、マイクロ波を照射しなかった。
次に、シート状の混練物をフェスツーン内で冷却してから、表1に示す配合内容にしたがって、オープンロール(ローター回転数35rpm)を用いて、硫黄および加硫促進剤とともに100℃になるまで混練し(仕上げ練り工程)、得られた未加硫ゴム組成物を、金型で170℃の条件下で15分間プレス加硫することにより、加硫ゴムシートを得た。
得られた未加硫ゴム組成物および加硫ゴムシートを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表2に示す。なお、評価に使用した未加硫ゴム組成物とは、仕上げ練り工程後のものを意味している。また、表2において、「表面温度(℃)」とは、定められた時間マイクロ波が照射された後の混練物の表面温度を、キーエンス社製のレーザー温度計によって測定した値である。
Figure 2011026441
(未加硫時の物性)
ML1+4(130℃)
JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度およびスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定した。なお、小数点以下は、四捨五入した。ムーニー粘度が小さいほど、加工性に優れることを示す。
スコーチタイム
JISK6300「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度およびスコーチタイムの求め方」に準じて、130℃にて、未加硫ゴム組成物の粘度が10ポイント上昇する時間(スコーチタイム(分))を測定した。スコーチタイムが大きいほど、早期加硫を抑制でき、好ましいことを示す。
(加硫後の物性)
Hs(硬度)
JIS K6253の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準じて、タイプAデュロメーターにより、加硫ゴムシートのHsを測定した。Hsが大きいほど、硬度に優れることを示す。
E*(複素弾性率)およびtanδ(損失正接)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、70℃における加硫ゴムシートのE*(MPa)およびtanδを測定した。そして、比較例1の結果を100とし、その他の例の結果を指数表示した。E*(指数)が大きいほど、剛性に優れることを示し、tanδ(指数)が小さいほど、低発熱性に優れることを示す。
(耐摩耗性)
各加硫ゴムシートから厚さ5mmの試験片を切り出し、(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用いて、20℃、表面回転速度50m/分、付加荷重3.0kg、落砂量15g/分、スリップ率20%の条件下で摩耗量を測定し、それらの摩耗量の逆数をとった。そして、比較例1の結果を100とし、その他の例の結果を指数表示した。摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(混練加工性)
加工時間
加工時間とは、シート状の混練物が一定量通過するのに要した時間を意味している。表2においては、比較例1の加工時間を100とし、その他の例の加工時間を指数表示した。加工時間指数が小さいほど、生産性が良好であることを示す。
生地の状態
未加硫ゴム組成物をオープンロールで薄通し(1.0mm間隔)してから、その表面を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:ゴム焼けが発生していない。
△:ゴム焼けが若干発生している。
×:ゴム焼けが大量に発生している。
シリカの分散率
未加硫ゴム組成物を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、得られた画像からシリカの分散状態を画像解析法で数値表現した。数値が大きいほど、シリカの分散性が良好であることを示す。
(押出加工性)
生地の状態
押出し口が9mm×2mmの長方形状の厚さ2mmのダイを使用し、120℃にて、余熱時間3分、ピストンの押出し速度10mm/secで未加硫ゴム組成物を押出した。押出し物の生地の状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:表面に凹凸が無く、光沢がある。
×:表面に凹凸がある。
ブリスター
上記押出し物を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:ブリスターが発生していない。
○:ブリスターが殆ど発生していない。
△:ブリスターが若干発生している。
×:ブリスターが発生している。
Figure 2011026441
表2に示すように、マイクロ波を照射することにより、混練物の表面を適正な温度に加熱すると、マイクロ波を照射しなかった比較例1と比較して、加工時間は同等のまま、耐摩耗性が向上するとともに、ブリスターの発生が抑制された(実施例1〜4)。これに対し、マイクロ波を照射しても、混練物の表面温度が低い場合、耐摩耗性の向上と、ブリスターの発生の抑制とが充分に達成されなかった(比較例2)。また、マイクロ波を照射しても、混練物の表面温度が高い場合、ブリスターの発生は抑制されるが、混練加工時、押出加工時の生地の状態が悪化した(比較例3および4)。

Claims (2)

  1. (a)ゴム成分、シリカ及びシランカップリング剤を混練し、混練物を調製する工程、
    (b)前記混練物にマイクロ波を照射し、混練物の表面温度を125〜165℃にする工程
    を含むゴム組成物の製造方法。
  2. 前記マイクロ波の周波数が、500〜3000MHzであり、
    前記マイクロ波を照射する装置の出力が、2〜20kWである
    請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
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WO2016186155A1 (ja) * 2015-05-20 2016-11-24 住友化学株式会社 ゴム組成物の製造方法

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