JP7377850B2 - 加硫ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、加硫ゴム組成物に関する。
加硫ゴム組成物は、様々な分野(例えばタイヤ)で使用されており、その物性を改善するために様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、加硫ゴム組成物の硬さ安定化(詳しくは、加硫ゴム組成物の老化による硬さ増大の抑制)を達成するために、ピリミジン誘導体(特に、2,2-ビス(4,6-ジメチルピリミジル)ジスルフィド)を使用することが記載されている。
特表2004-500471号公報
加硫ゴム組成物が使用される分野の中でも、タイヤ分野が重要である。タイヤにおいて耐摩耗性は重要な性能のひとつであり、タイヤに使用される加硫ゴム組成物の耐摩耗性を向上させることが求められている。本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、耐摩耗性に優れた加硫ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成し得る本発明は、以下の通りである。
[1] 式(I):
Figure 0007377850000001
[式中、
1aは、窒素原子またはC-R1aを表し、
3aは、窒素原子またはC-R3aを表し、
5aは、窒素原子またはC-R5aを表し、
1a、X3aおよびX5aの少なくとも一つは、窒素原子であり、並びに
1aおよびR3a~R6aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-18アリール基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリール-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、またはニトロ基を表す。]
で示される化合物と、加硫ゴムとを含み、
式(I)で示される化合物の含有量が、加硫ゴム組成物全体に対して0.00005~5重量%である加硫ゴム組成物。
[2] X1a、X3aおよびX5aの1個または2個が、窒素原子である前記[1]に記載の加硫ゴム組成物。
[3] R1aおよびR3a~R6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、またはニトロ基である前記[1]または[2]に記載の加硫ゴム組成物。
[4] 置換基を有していてもよいC1-18アルキル基が、ハロゲン原子を有していてもよいC1-12アルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-3アルキル基である前記[3]に記載の加硫ゴム組成物。
[5] 置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基が、C1-12アルコキシ-カルボニル基であり、より好ましくはC1-12アルコキシ-カルボニル基である前記[3]または[4]に記載の加硫ゴム組成物。
[6] 式(I)で示される化合物が、
1aおよびX3aが、共に窒素原子であり、X5aが、C-R5aであり、並びにR4a~R6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(Ia)、
1aが、窒素原子であり、X3aが、C-R3aであり、X5aが、C-R5aであり、およびR3a~R6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(Ib)、並びに
1aが、C-R1aであり、X3aが、C-R3aであり、X5aが、窒素原子であり、並びにR1a、R3a、R4aおよびR6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(Ic)
からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]に記載の加硫ゴム組成物。
[7] 化合物(Ia)において、R4a~R6aが、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基である前記[6]に記載の加硫ゴム組成物。
[8] 化合物(Ia)において、R4aおよびR6aが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、並びにR5aが、水素原子である前記[6]に記載の加硫ゴム組成物。
[9] 化合物(Ib)において、R3a、R4aおよびR6aが、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である前記[6]~[8]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[10] 化合物(Ib)において、R5aが、水素原子またはニトロ基である前記[6]~[9]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[11] 化合物(Ic)において、R1a、R3a、R4aおよびR6aが、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である前記[6]~[10]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[12] X1aおよびX3aが、共に窒素原子であり、
5aが、C-R5aであり、
4aおよびR6aが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、並びに
5aが、水素原子である前記[1]に記載の加硫ゴム組成物。
[13] 置換基を有していてもよいC1-18アルキル基が、C1-18アルキル基であり、より好ましくはC1-12アルキル基であり、さらに好ましくはC1-6アルキル基であり、特に好ましくはC1-3アルキル基である前記[3]~[12]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[14] 式(I)で示される化合物が、下記式(Ia-1)~式(Ic-1):
Figure 0007377850000002
のいずれかで示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、好ましくは上記式(Ia-1)で示される化合物である前記[1]に記載の加硫ゴム組成物。
[15] 式(I)で示される化合物の含有量が、加硫ゴム組成物全体に対して、0.00008重量%以上、より好ましくは0.00010重量%以上、さらに好ましくは0.0010重量%以上、特に好ましくは0.010重量%以上である前記[1]~[14]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[16] 式(I)で示される化合物の含有量が、加硫ゴム組成物全体に対して、3重量%以下、より好ましくは1重量%以下である前記[1]~[15]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[17] さらに、式(II):
Figure 0007377850000003
[式中、
1bは、窒素原子またはC-R1bを表し、
3bは、窒素原子またはC-R3bを表し、
5bは、窒素原子またはC-R5bを表し、
1cは、窒素原子またはC-R1cを表し、
3cは、窒素原子またはC-R3cを表し、
5cは、窒素原子またはC-R5cを表し、
1b、X3b、X5b、X1c、X3cおよびX5cの少なくとも一つは、窒素原子であり、並びに
1bおよびR3b~R6b並びにR1cおよびR3c~R6cは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-18アリール基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリール-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、またはニトロ基を表す。]
で示される化合物を、加硫ゴム組成物全体に対して0.0001~1.0重量%の含有量で含む前記[1]~[16]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[18] X1b、X3b、X5b、X1c、X3cおよびX5cの1個以上5個以下が、窒素原子である前記[17]に記載の加硫ゴム組成物。
[19] X1bおよびX1cが、共に窒素原子であるか、またはX1bが、C-R1bであり、且つX1cが、C-R1cである前記[17]または[18]に記載の加硫ゴム組成物。
[20] R1bおよびR1cが、同じものである前記[19]に記載の加硫ゴム組成物。
[21] X3bおよびX3cが、共に窒素原子であるか、またはX3bが、C-R3bであり、且つX3cが、C-R3cである前記[17]~[20]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[22] R3bおよびR3cが、同じものである前記[21]に記載の加硫ゴム組成物。
[23] X5bおよびX5cが、共に窒素原子であるか、またはX5bが、C-R5bであり、且つX5cが、C-R5cである前記[17]~[22]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[24] R5bおよびR5cが、同じものである前記[23]に記載の加硫ゴム組成物。
[25] R1bおよびR3b~R6b並びにR1cおよびR3c~R6cが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、またはニトロ基である前記[17]~[24]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[26] 置換基を有していてもよいC1-18アルキル基が、ハロゲン原子を有していてもよいC1-12アルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-3アルキル基である前記[25]に記載の加硫ゴム組成物。
[27] 置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基が、置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ-カルボニル基であり、より好ましくはC1-12アルコキシ-カルボニル基である前記[25]または[26]に記載の加硫ゴム組成物。
[28] 式(II)で示される化合物が、
1b、X3b、X1cおよびX3cが、共に窒素原子であり、X5bが、C-R5bであり、X5cが、C-R5cであり、並びにR4b~R6bおよびR4c~R6cが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(IIa)、
1bおよびX1cが、共に窒素原子であり、X3bが、C-R3bであり、X5bが、C-R5bであり、X3cが、C-R3cであり、X5cが、C-R5cであり、並びにR3b~R6bおよびR3c~R6cが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(IIb)、並びに
1bが、C-R1bであり、X3bが、C-R3bであり、X1cが、C-R1cであり、X3cが、C-R3cであり、X5bおよびX5cが、共に窒素原子であり、並びにR1b、R3b、R4b、R6b、R1c、R3c、R4cおよびR6cが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(IIc)
からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[17]に記載の加硫ゴム組成物。
[29] 化合物(IIa)において、R4b~R6bおよびR4c~R6cは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基である前記[28]に記載の加硫ゴム組成物。
[30] 化合物(IIa)において、R4b、R6b、R4cおよびR6cが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、並びにR5bおよびR5cが、共に水素原子である前記[28]に記載の加硫ゴム組成物。
[31] 化合物(IIb)において、R3b、R4b、R6b、R3c、R4cおよびR6cは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である前記[28]~[30]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[32] 化合物(IIb)において、R5bおよびR5cは、水素原子またはニトロ基である前記[28]~[31]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[33] 化合物(IIc)において、R1b、R3b、R4b、R6b、R1c、R3c、R4cおよびR6cは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である前記[28]~[32]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[34] X1b、X3b、X1cおよびX3cが、共に窒素原子であり、
5bが、C-R5bであり、
5cが、C-R5cであり、
4b、R6b、R4cおよびR6cが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、並びに
5bおよびR5cが、共に水素原子である前記[17]に記載の加硫ゴム組成物。
[35] 置換基を有していてもよいC1-18アルキル基が、C1-18アルキル基であり、より好ましくはC1-12アルキル基であり、さらに好ましくはC1-6アルキル基であり、特に好ましくはC1-3アルキル基である前記[17]~[34]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[36] 式(II)で示される化合物が、下記式(IIa-1)~式(IIc-1):
Figure 0007377850000004
のいずれかで示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、好ましくは上記式(IIa-1)で示される化合物である前記[17]に記載の加硫ゴム組成物。
[37] 式(II)で示される化合物の含有量が、加硫ゴム組成物全体に対して、0.0001重量%以上、より好ましくは0.0002重量%以上、さらに好ましくは0.0005重量%以上、特に好ましくは0.0010重量%以上である前記[17]~[36]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[38] 式(II)で示される化合物の含有量が、加硫ゴム組成物全体に対して、1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である前記[17]~[37]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[39] 加硫ゴムが、硫黄成分によって架橋されたゴム成分である前記[1]~[38]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[40] 硫黄成分の量が、ゴム成分100重量部あたり、0.1~10重量部、より好ましくは0.1~7重量部、さらに好ましくは0.1~4重量部である前記[39]に記載の加硫ゴム組成物。
[41] ゴム成分が、ジエン系ゴムを含む前記[39]または[40]に記載の加硫ゴム組成物。
[42] ゴム成分中のジエン系ゴムの量が、50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、最も好ましくは100重量%である前記[41]に記載の加硫ゴム組成物。
[43] ゴム成分が、スチレン・ブタジエン共重合ゴムを含む前記[39]または[40]に記載の加硫ゴム組成物。
[44] ゴム成分中のスチレン・ブタジエン共重合ゴムの量が、50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%である前記[43]に記載の加硫ゴム組成物。
[45] ゴム成分が、スチレン・ブタジエン共重合ゴムおよびブタジエンゴムを含む前記[39]または[40]に記載の加硫ゴム組成物。
[46] ゴム成分中のスチレン・ブタジエン共重合ゴムおよびブタジエンゴムの合計量が、50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、最も好ましくは100重量%である前記[45]に記載の加硫ゴム組成物。
[47] ブタジエンゴムの量とスチレン・ブタジエン共重合ゴムの量との重量比(ブタジエンゴムの量/スチレン・ブタジエン共重合ゴムの量)が、5/95~50/50、より好ましくは10/90~40/60、さらに好ましくは20/80~40/60である前記[45]または[46]に記載の加硫ゴム組成物。
[48] ゴム成分が、スチレン・ブタジエン共重合ゴムおよび天然ゴムを含む前記[39]または[40]に記載の加硫ゴム組成物。
[49] ゴム成分中のスチレン・ブタジエン共重合ゴムおよび天然ゴムの合計量が、50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、最も好ましくは100重量%である前記[48]に記載の加硫ゴム組成物。
[50] 天然ゴムの量とスチレン・ブタジエン共重合ゴムの量との重量比(天然ゴムの量/スチレン・ブタジエン共重合ゴムの量)が、5/95~50/50、より好ましくは10/90~40/60、さらに好ましくは20/80~40/60である前記[48]または[49]に記載の加硫ゴム組成物。
[51] 加硫ゴム組成物が、さらにシリカを含む前記[39]~[50]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[52] シリカのBET比表面積が、20~400m/g、より好ましくは20~350m/g、さらに好ましくは20~300m/gである前記[51]に記載の加硫ゴム組成物。
[53] シリカの量が、ゴム成分100重量部あたり、10~120重量部、より好ましくは20~120重量部、さらに好ましくは30~120重量部、最も好ましくは50~100重量部である前記[51]または[52]に記載の加硫ゴム組成物。
[54] 加硫ゴム組成物が、さらにカーボンブラックを含む前記[51]~[53]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[55] カーボンブラックのBET比表面積が、10~130m/g、より好ましくは20~130m/g、さらに好ましくは40~130m/gである前記[54]に記載の加硫ゴム組成物。
[56] カーボンブラックの量が、ゴム成分100重量部あたり、1~120重量部、より好ましくは1~100重量部、さらに好ましくは1~60重量部、最も好ましくは1~30重量部である前記[54]または[55]に記載の加硫ゴム組成物。
[57] カーボンブラックの量とシリカの量との重量比(カーボンブラックの量/シリカの量)が、1/120~1/1、より好ましくは1/120~3/5、さらに好ましくは1/120~1/2、最も好ましくは1/100~1/5である前記[54]~[56]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物。
[58] 前記[1]~[57]のいずれか一つに記載の加硫ゴム組成物を含むタイヤ。
本発明によれば、耐摩耗性に優れた加硫ゴム組成物を得ることができる。
式(I)で示される化合物(以下「化合物(I)」と略称することがある)を含有する加硫ゴム組成物は、化合物(I)、ゴム成分および硫黄成分、並びに必要に応じて他の成分(例えば、シリカ、カーボンブラック)を混練し、得られたゴム組成物を加熱することによって製造することができる。前記混練または加熱中に、化合物(I)とゴム成分および/または他の成分とが反応して別の化合物が形成されることにより、化合物(I)は消費されると考えられる。そのため、化合物(I)を用いたとしても、得られる加硫ゴム組成物は、所定量の化合物(I)を含有しないことがある。この点、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、所定量の化合物(I)を含有する加硫ゴム組成物は、優れた耐摩耗性を示すことを見出した。
以下、本発明を順に説明する。なお、以下では、「式(I)で示される化合物」と同様に、「式(II)で示される化合物」を「化合物(II)」と略称することがある。他の式で示される化合物等も同様に略称することがある。また、後述の例示、好ましい記載等は、これらが互いに矛盾しない限り、組み合わせることができる。
<定義>
まず、本明細書中で用いられる各置換基等の定義について、順に説明する。
「Cx-y」とは、炭素数がx以上y以下(xおよびyは数を表す)を意味する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は、例えば1~18である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
アルキル基は置換基を有していてもよい。アルキル基を一部分として含む他の基(例えばアルコキシ基)も同様に置換基を有していてもよい。アルキル基(例えばC1-18アルキル基)および一部分としてアルキル基(例えばC1-18アルキル基)を含む他の基が有し得る置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる:
(1)ハロゲン原子、
(2)シクロアルキル基(好ましくはC3-8シクロアルキル基)、
(3)アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基)、
(4)シクロアルキルオキシ基(好ましくはC3-8シクロアルキルオキシ基)、
(5)アリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基)、
(6)アラルキルオキシ基(好ましくはC7-16アラルキルオキシ基)、
(7)置換基を有していてもよいアミノ基。
シクロアルキル基の炭素数は、例えば3~10である。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、アダマンチル基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、例えば6~18である。アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基が挙げられる。
アラルキル基の炭素数は、例えば7~20である。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フェニルプロピル基が挙げられる。
シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基は、いずれも置換基を有していてもよい。シクロアルキル基等を一部分として含む他の基(例えばシクロアルキルオキシ基等)も同様に置換基を有していてもよい。シクロアルキル基(例えばC3-10シクロアルキル基)、アリール基(例えばC6-18アリール基)およびアラルキル基(例えばC7-20アラルキル基)、並びにこれらの基を一部分として含む他の基が有し得る置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる:
(1)ハロゲン原子、
(2)アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)、
(3)シクロアルキル基(好ましくはC3-8シクロアルキル基)、
(4)アリール基(好ましくはC6-14アリール基)、
(5)アラルキル基(好ましくはC7-16アラルキル基)、
(6)アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基)、
(7)シクロアルキルオキシ基(好ましくはC3-8シクロアルキルオキシ基)、
(8)アリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基)、
(9)アラルキルオキシ基(好ましくはC7-16アラルキルオキシ基)、
(10)置換基を有していてもよいアミノ基。
アルコキシ基(即ち、アルキルオキシ基)の一部であるアルキル基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるアルキル基の説明も同様である。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられる。
シクロアルキルオキシ基の一部であるシクロアルキル基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるシクロアルキル基の説明も同様である。シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基の一部であるアリール基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるアリール基の説明も同様である。アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基が挙げられる。
アラルキルオキシ基の一部であるアラルキル基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるアラルキル基の説明も同様である。アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基が挙げられる。
アルキル-カルボニルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、3-メチルブタノイルオキシ基、2-メチルブタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基が挙げられる。なお、「C1-18アルキル-カルボニルオキシ基」との記載は、この基の一部であるアルキル基の炭素数が1~18であることを表す。他の記載も同様の意味である。
シクロアルキル-カルボニルオキシ基としては、例えば、シクロプロピル-カルボニルオキシ基、シクロブチル-カルボニルオキシ基、シクロペンチル-カルボニルオキシ基、シクロヘキシル-カルボニルオキシ基、シクロヘプチル-カルボニルオキシ基、シクロオクチル-カルボニルオキシ基が挙げられる。
アリール-カルボニルオキシ基としては、例えば、ベンゾイルオキシ基、1-ナフトイルオキシ基、2-ナフトイルオキシ基が挙げられる。
アラルキル-カルボニルオキシ基としては、例えば、フェニルアセチルオキシ基、フェニルプロピオニルオキシ基が挙げられる。
アルコキシ-カルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。
シクロアルキルオキシ-カルボニル基としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘプチルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基が挙げられる。
アリールオキシ-カルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、1-ナフチルオキシカルボニル基、2-ナフチルオキシカルボニル基が挙げられる。
アラルキルオキシ-カルボニル基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、ナフチルメチルオキシカルボニル基、フェニルプロピルオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいカルバモイル基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および置換基を有していてもよいアラルキル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいカルバモイル基の好適な例としては、以下のものが挙げられる:
(1)カルバモイル基、
(2)モノ-またはジ-(アルキル)カルバモイル基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)(例、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、N-エチル-N-メチルカルバモイル基)、
(3)モノ-またはジ-(シクロアルキル)カルバモイル基(前記シクロアルキルは、置換基を有していてもよい)(例、シクロプロピルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基)、
(4)モノ-またはジ-(アリール)カルバモイル基(前記アリールは、置換基を有していてもよい)(例、フェニルカルバモイル基)、
(5)モノ-またはジ-(アラルキル)カルバモイル基(前記アラルキルは、置換基を有していてもよい)(例、ベンジルカルバモイル基、フェネチルカルバモイル基)。
ここで、「モノ-またはジ-(アルキル)カルバモイル基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)」とは、モノ(アルキル)カルバモイル基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)またはジ(アルキル)カルバモイル基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)を表す。また、「モノ(アルキル)カルバモイル基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)」とは、置換基を有していてもよいアルキル基1個を有するカルバモイル基を表し、「ジ(アルキル)カルバモイル基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)」とは、置換基を有していてもよいアルキル基2個を有するカルバモイル基を表す。モノ-またはジ-の表記の意味は他も同様である。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルキル-カルボニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル-カルボニル基、置換基を有していてもよいアリール-カルボニル基、および置換基を有していてもよいアラルキル-カルボニル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基の好適な例としては、以下のものが挙げられる:
(1)アミノ基、
(2)モノ-またはジ-(アルキル)アミノ基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)(例、メチルアミノ基、トリフルオロメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジブチルアミノ基)、
(3)モノ-またはジ-(シクロアルキル)アミノ基(前記シクロアルキルは、置換基を有していてもよい)(例、シクロプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、
(4)モノ-またはジ-(アリール)アミノ基(前記アリールは、置換基を有していてもよい)(例、フェニルアミノ基)、
(5)モノ-またはジ-(アラルキル)アミノ基(前記アラルキルは、置換基を有していてもよい)(例、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基)、
(6)モノ-またはジ-(アルキル-カルボニル)アミノ基(前記アルキル-カルボニルは、置換基を有していてもよい)(例、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基)、
(7)モノ-またはジ-(シクロアルキル-カルボニル)アミノ基(前記シクロアルキル-カルボニルは、置換基を有していてもよい)(例、シクロプロピルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基)、
(8)モノ-またはジ-(アリール-カルボニル)アミノ基(前記アリール-カルボニルは、置換基を有していてもよい)(例、ベンゾイルアミノ基)、
(9)モノ-またはジ-(アラルキル-カルボニル)アミノ基(前記アラルキル-カルボニルは、置換基を有していてもよい)(例、ベンジルカルボニルアミノ基)。
ここで、「モノ-またはジ-(アルキル)アミノ基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)」とは、モノ(アルキル)アミノ基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)またはジ(アルキル)アミノ基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)を表す。また、「モノ(アルキル)アミノ基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)」とは、置換基を有していてもよいアルキル基1個を有するアミノ基を表し、「ジ(アルキル)アミノ基(前記アルキルは、置換基を有していてもよい)」とは、置換基を有していてもよいアルキル基2個を有するアミノ基を表す。モノ-またはジ-の表記の意味は他も同様である。
<式(I)で示される化合物>
本発明の加硫ゴム組成物は、式(I):
Figure 0007377850000005
で示される化合物を所定量で含むことを特徴の一つとする。化合物(I)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
1aは、窒素原子またはC-R1aを表し、X3aは、窒素原子またはC-R3aを表し、X5aは、窒素原子またはC-R5aを表す。但し、X1a、X3aおよびX5aの少なくとも一つは、窒素原子である。X1a、X3aおよびX5aの1個または2個が窒素原子であることが好ましい。
1aおよびR3a~R6aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-18アリール基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリール-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、またはニトロ基を表す。なお、本明細書中、「R3a~R6a」とは、「R3a、R4a、R5aおよびR6a」を意味する。同様の他の記載も、同様の意味である。
本発明の一態様では、R1aおよびR3a~R6aは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、またはニトロ基である。この態様において、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基は、好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-12アルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-3アルキル基である。この態様において、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基は、好ましくは置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ-カルボニル基であり、より好ましくはC1-12アルコキシ-カルボニル基である。
好ましい化合物(I)としては、以下のものが挙げられる:
(a)X1aおよびX3aが、共に窒素原子であり、X5aが、C-R5aであり、並びにR4a~R6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(以下「化合物(Ia)」と略称することがある)、
(b)X1aが、窒素原子であり、X3aが、C-R3aであり、X5aが、C-R5aであり、およびR3a~R6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(以下「化合物(Ib)」と略称することがある)、並びに
(c)X1aが、C-R1aであり、X3aが、C-R3aであり、X5aが、窒素原子であり、並びにR1a、R3a、R4aおよびR6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(以下「化合物(Ic)」と略称することがある)。
化合物(Ia)において、R4a~R6aは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基である。また、化合物(Ia)の中でも、X1aおよびX3aが、共に窒素原子であり、X5aが、C-R5aであり、R4aおよびR6aが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、並びにR5aが、水素原子である化合物が好ましい。
化合物(Ib)において、R3a、R4aおよびR6aは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である。化合物(Ib)において、R5aは、好ましくは水素原子またはニトロ基である。
化合物(Ic)において、R1a、R3a、R4aおよびR6aは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である。
化合物(Ia)~化合物(Ic)における置換基を有していてもよいC1-18アルキル基は、好ましくはC1-18アルキル基であり、より好ましくはC1-12アルキル基であり、さらに好ましくはC1-6アルキル基であり、特に好ましくはC1-3アルキル基である。
化合物(Ia)~化合物(Ic)は、いずれも1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。化合物(Ia)~化合物(Ic)の具体例としては、以下のものが挙げられる。以下の具体例の中では、化合物(Ia-1)が、より好ましい。
Figure 0007377850000006
化合物(I)として、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、東京化成工業社製「4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン」(化合物(Ia-1))、東京化成工業社製「2-メルカプトピリミジン」(化合物(Ia-2))、東京化成工業社製「2-メルカプトピリジン」(化合物(Ib-1))、東京化成工業社製「2-メルカプト-5-ニトロピリジン」(化合物(Ib-2))、東京化成工業社製「4-メルカプトピリジン」(化合物(Ic-1))等が挙げられる。また、市販品に公知の方法で置換基を導入して得られる化合物も、化合物(I)として使用することができる。
本発明の加硫ゴム組成物は、化合物(I)を所定量で含むことを特徴とする。加硫ゴム組成物全体に対する化合物(I)の含有量は、耐摩耗性の観点から、0.00005重量%以上、好ましくは0.00008重量%以上、より好ましくは0.00010重量%以上、さらに好ましくは0.0010重量%以上、特に好ましくは0.010重量%以上である。一方、化合物(I)の含有量が多い加硫ゴム組成物を製造するためには、それを製造するための未加硫ゴム組成物中の化合物(I)の含有量を多くする必要がある。しかし、化合物(I)の含有量が多い未加硫ゴム組成物は、化合物(I)のスルファニル基(-SH)によるスコーチが原因となって、その加工性が悪化すると考えられる。そのため、加硫ゴム組成物全体に対する化合物(I)の含有量は、未加硫ゴム組成物の加工性悪化の防止の観点から、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。本発明における化合物(I)の含有量は、実施例欄に記載する条件および方法での抽出および分析によって得られる値である。
<式(II)で示される化合物>
本発明の加硫ゴム組成物は、好ましくは、式(II):
Figure 0007377850000007
で示される化合物を、加硫ゴム組成物全体に対して0.0001~1.0重量%の含有量で含む。化合物(I)および化合物(II)を所定量で含有する加硫ゴム組成物は、優れた耐摩耗性を発揮することができる。化合物(II)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(I)および化合物(II)を含有する加硫ゴム組成物は、化合物(I)、化合物(II)、ゴム成分および硫黄成分、並びに必要に応じて他の成分(例えば、シリカ、カーボンブラック)を混練し、得られたゴム組成物を加熱することによって製造することができる。前記混練または加熱中に、化合物(II)とゴム成分および/または他の成分とが反応して別の化合物が形成されることにより、化合物(I)と同様に、化合物(II)も消費されると考えられる。そのため、化合物(II)を用いたとしても、得られる加硫ゴム組成物は、所定量の化合物(II)を含有しないことがある。
1bは、窒素原子またはC-R1bを表し、X3bは、窒素原子またはC-R3bを表し、X5bは、窒素原子またはC-R5bを表し、X1cは、窒素原子またはC-R1cを表し、X3cは、窒素原子またはC-R3cを表し、X5cは、窒素原子またはC-R5cを表す。但し、X1b、X3b、X5b、X1c、X3cおよびX5cの少なくとも一つは、窒素原子である。X1b、X3b、X5b、X1c、X3cおよびX5cの1個以上5個以下が窒素原子であることが好ましい。
1bおよびX1cは、共に窒素原子であるか、またはX1bは、C-R1bであり、且つX1cは、C-R1cであることが好ましい。この態様において、R1bおよびR1cは、同じものであることが好ましい。
3bおよびX3cは、共に窒素原子であるか、またはX3bは、C-R3bであり、且つX3cは、C-R3cであることが好ましい。この態様において、R3bおよびR3cは、同じものであることが好ましい。
5bおよびX5cは、共に窒素原子であるか、またはX5bは、C-R5bであり、且つX5cは、C-R5cであることが好ましい。この態様において、R5bおよびR5cは、同じものであることが好ましい。
1bおよびR3b~R6b並びにR1cおよびR3c~R6cは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-18アリール基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリール-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、またはニトロ基を表す。
本発明の一態様では、R1bおよびR3b~R6b並びにR1cおよびR3c~R6cは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、またはニトロ基である。この態様において、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基は、好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-12アルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよいC1-3アルキル基である。この態様において、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基は、好ましくは置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ-カルボニル基であり、より好ましくはC1-12アルコキシ-カルボニル基である。
好ましい化合物(II)としては、以下のものが挙げられる:
(a)X1b、X3b、X1cおよびX3cが、共に窒素原子であり、X5bが、C-R5bであり、X5cが、C-R5cであり、並びにR4b~R6bおよびR4c~R6cが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(以下「化合物(IIa)」と略称することがある)、
(b)X1bおよびX1cが、共に窒素原子であり、X3bが、C-R3bであり、X5bが、C-R5bであり、X3cが、C-R3cであり、X5cが、C-R5cであり、並びにR3b~R6bおよびR3c~R6cが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(以下「化合物(IIb)」と略称することがある)、並びに
(c)X1bが、C-R1bであり、X3bが、C-R3bであり、X1cが、C-R1cであり、X3cが、C-R3cであり、X5bおよびX5cが、共に窒素原子であり、並びにR1b、R3b、R4b、R6b、R1c、R3c、R4cおよびR6cが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基またはニトロ基である化合物(以下「化合物(IIc)」と略称することがある)。
化合物(IIa)において、R4b~R6bおよびR4c~R6cは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基である。また、化合物(IIa)の中でも、X1b、X3b、X1cおよびX3cが、共に窒素原子であり、X5bが、C-R5bであり、X5cが、C-R5cであり、R4b、R6b、R4cおよびR6cが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、並びにR5bおよびR5cが、共に水素原子である化合物が好ましい。
化合物(IIb)において、R3b、R4b、R6b、R3c、R4cおよびR6cは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である。化合物(IIb)において、R5bおよびR5cは、好ましくは水素原子またはニトロ基である。
化合物(IIc)において、R1b、R3b、R4b、R6b、R1c、R3c、R4cおよびR6cは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である。
化合物(IIa)~化合物(IIc)における置換基を有していてもよいC1-18アルキル基は、好ましくはC1-18アルキル基であり、より好ましくはC1-12アルキル基であり、さらに好ましくはC1-6アルキル基であり、特に好ましくはC1-3アルキル基である。
化合物(IIa)~化合物(IIc)は、いずれも1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。化合物(IIa)~化合物(IIc)の具体例としては、以下のものが挙げられる。以下の具体例の中では、化合物(IIa-1)がより好ましい。
Figure 0007377850000008
化合物(II)として、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、東京化成工業社製「2,2’-ジピリジルジスルフィド」(化合物(IIb-1))、東京化成工業社製「2,2’-ジチオビス(5-ニトロピリジン)」(化合物(IIb-2))、東京化成工業社製「4,4’-ジピリジルジスルフィド」(化合物(IIc-1))等が挙げられる。
化合物(II)は、公知の方法によって製造することができる。化合物(II)は、例えば、以下に示すように、市販の化合物(I)および/または公知の方法で製造した化合物(I)の酸化およびジスルフィド結合の形成によって製造することができる(下記式中の基の定義は前記の通りである)。
Figure 0007377850000009
化合物(II)の合成反応における酸化は、過酸化水素、フェリシアン化カリウム、酸素、ヨウ素、臭素、ヨードベンゼンジアセテート、過ヨウ素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の酸化剤を使用して行うことができる。酸化剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、過酸化水素とヨウ化ナトリウムとを併用することによって、系中でヨウ素を発生させてもよい。酸化剤の使用量(2種以上の酸化剤を使用する場合は、その合計量)は、化合物(Id)および化合物(Ie)の合計1モルに対して、好ましくは1~10モル、より好ましくは1~3モルである。
化合物(II)の合成反応(即ち、酸化およびジスルフィド結合の形成)は、通常、溶媒中で行われる。この溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒、水、メタノール、エタノール等のプロトン性溶媒が挙げられる。溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(II)の合成反応(即ち、酸化およびジスルフィド結合の形成)は、化合物(Id)および化合物(Ie)に、過酸化水素水溶液を添加して行うことが好ましい。過酸化水素水溶液を用いる酸化およびジスルフィド結合の形成は発熱反応である。過酸化水素水溶液の添加後、混合物を好ましくは0~100℃、より好ましくは0~60℃で、好ましくは0.1~48時間、より好ましくは0.1~24時間撹拌することが好ましい。
化合物(II)の合成後、公知の手段(ろ過、抽出、濃縮等)によって、化合物(II)を得ることができる。得られた化合物(II)を、公知の手段によって精製してもよい。
加硫ゴム組成物全体に対する化合物(II)の含有量は、耐摩耗性の観点から、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.0002重量%以上、さらに好ましくは0.0005重量%以上、特に好ましくは0.0010重量%以上である。一方、前記含有量は、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。本発明における化合物(II)の含有量は、実施例欄に記載する条件および方法での抽出および分析によって得られる値である。
<加硫ゴム>
本発明の加硫ゴム組成物は、加硫ゴムを含む。ここで「加硫ゴム」とは、「硫黄成分によって架橋されたゴム成分」を意味する。以下、ゴム成分および硫黄成分を順に説明する。
(ゴム成分)
ゴム成分としては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、天然ゴム(NR)(変性天然ゴム、例えば、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴムを含む)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(イソプレン・イソブチレン共重合ゴム、IIR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等が挙げられる。ゴム成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210~211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRが挙げられる。乳化重合SBRおよび溶液重合SBRを併用してもよい。
溶液重合SBRとしては、変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズおよびケイ素の少なくとも一つの元素を有する、変性溶液重合SBRが挙げられる。変性剤としては、例えば、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N-ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合SBRとしては、具体的には、日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)NS116」等の4,4’-ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、および旭化成社製「E10」および「E15」等のシラン変性溶液重合SBR等が挙げられる。
また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRも使用することができる。
天然ゴムとしては、例えば、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10~60モル%のもの(例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25やENR50)が挙げられる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。その他の変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに4-ビニルピリジン、N,N,-ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,-ジエチルアミノエチルアクリレート)、2-ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが挙げられる。
BRとしては、タイヤ工業において一般的なBRを使用できる。BRは、しばしば、SBRおよび/または天然ゴムとのブレンドで使用される。
BRとしては、耐摩耗性の向上効果が高いという理由から、シス含有量が高いBRが好ましく、シス含有量が95質量%以上であるハイシスBRがより好ましい。ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン社製のBR1220、宇部興産社製のBR150B等が挙げられる。
変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、およびケイ素の少なくとも一つの元素を有する変性BRを使用することもできる。変性剤としては、例えば、4,4’-ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N-ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えば、トリアルコキシシラン化合物)、アミノシラン化合物、スズ化合物、アルキルアクリルアミド化合物等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性BRとしては、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等のスズ変性BRが挙げられる。
ゴム成分は、好ましくはジエン系ゴムを含む。ここで、ジエン系ゴムとは、共役二重結合を持つジエンモノマーを原料としたゴムを意味する。ジエン系ゴムとしては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。
ジエン系ゴムを使用する場合、ゴム成分中のジエン系ゴムの量(即ち、ゴム成分100重量%あたりのジエン系ゴムの量)は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、最も好ましくは100重量%である。即ち、ゴム成分がジエン系ゴムからなることが最も好ましい。
本発明の一態様では、ゴム成分は、好ましくはSBRを含む。この態様における、ゴム成分中のSBRの量は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%である。
本発明の一態様では、ゴム成分は、好ましくはSBRおよびBRを含む。この態様では、ゴム成分中のSBRおよびBRの合計量は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、最も好ましくは100重量%である。即ち、この態様において、ゴム成分がSBRおよびBRからなることが最も好ましい。この態様において、BRの量とSBRの量との重量比(BRの量/SBRの量)は、低燃費性および耐摩耗性の観点から、好ましくは5/95~50/50、より好ましくは10/90~40/60、さらに好ましくは20/80~40/60である。
本発明の一態様では、ゴム成分は、好ましくはSBRおよび天然ゴムを含む。この態様では、ゴム成分中のSBRおよび天然ゴムの合計量は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、最も好ましくは100重量%である。即ち、この態様において、ゴム成分がSBRおよび天然ゴムからなることが最も好ましい。この態様において、天然ゴムの量とSBRの量との重量比(天然ゴムの量/SBRの量)は、耐久性向上の観点から、好ましくは5/95~50/50、より好ましくは10/90~40/60、さらに好ましくは20/80~40/60である。
(硫黄成分)
硫黄成分としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等が挙げられる。
硫黄成分の量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.1~7重量部、さらに好ましくは0.1~4重量部である。
<他の成分>
本発明では、上述の化合物(I)、化合物(II)および加硫ゴム(即ち、硫黄成分によって架橋されたゴム成分)とは異なる他の成分を使用してもよい。他の成分としては、ゴム分野で公知のものを使用することができ、例えば、充填剤、シリカと結合可能な化合物(例、シランカップリング剤)、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、加工助剤、オイル、ワックス、レゾルシノール、樹脂、粘弾性改善剤、しゃく解剤、リターダー、オキシエチレンユニットを有する化合物、触媒(ナフテン酸コバルト等)が挙げられる。他の成分は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(充填剤)
充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、瀝青炭粉砕物、タルク、クレー(特に、焼成クレー)、酸化チタン等が挙げられる。充填剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカとしては、例えば、(i)pHが6~8であるシリカ、(ii)ナトリウムを0.2~1.5重量%含むシリカ、(iii)真円度が1~1.3の真球状シリカ、(iv)シリコーンオイル(例、ジメチルシリコーンオイル)、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、アルコール(例、エタノール、ポリエチレングリコール)等で表面処理したシリカ、(v)二種類以上の異なった表面積を有するシリカの混合物等が挙げられる。これらは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカのBET比表面積は、好ましくは20~400m/g、より好ましくは20~350m/g、さらに好ましくは20~300m/gである。このBET比表面積は、多点窒素吸着法(BET法)によって測定することができる。
シリカの市販品としては、例えば、東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、「Nipsil(登録商標)AQ-N」、EVONIK社製「Ultrasil(登録商標)VN3」、「Ultrasil(登録商標)VN3-G」、「Ultrasil(登録商標)360」、「Ultrasil(登録商標)7000」、「Ultrasil(登録商標)9100GR」、Solvay社製「Zeosil(登録商標)115GR」、「Zeosil(登録商標)1115MP」、「Zeosil(登録商標)1205MP」、「Zeosil(登録商標)Z85MP」が挙げられる。
シリカを使用する場合、その量は、耐摩耗性の観点から、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは10~120重量部、より好ましくは20~120重量部、さらに好ましくは30~120重量部、最も好ましくは50~100重量部である。
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられる。カーボンブラックは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。カーボンブラックとしては、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、ISAF-HM(Intermediate SAF-High Modulus)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF(Medium Abrasion Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)が好ましい。
カーボンブラックのBET比表面積は、好ましくは10~130m/g、より好ましくは20~130m/g、さらに好ましくは40~130m/gである。このBET比表面積は、多点窒素吸着法(BET法)によって測定することができる。
カーボンブラックを使用する場合、その量は、耐摩耗性の観点から、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは1~120重量部、より好ましくは1~100重量部、さらに好ましくは1~60重量部、最も好ましくは1~30重量部である。
カーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの量とシリカの量との重量比(カーボンブラックの量/シリカの量)は、耐摩耗性の観点から、好ましくは1/120~1/1、より好ましくは1/120~3/5、さらに好ましくは1/120~1/2、最も好ましくは1/100~1/5である。
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5~250m/g、DOP給油量50~100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
瀝青炭粉砕物の平均粒径は、好ましくは0.001mm以上であり、好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.05mm以下、さらに好ましくは0.01mm以下である。なお、瀝青炭粉砕物の平均粒径は、JIS Z 8815-1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
瀝青炭粉砕物の比重は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。比重が1.6を超える瀝青炭粉砕物を使用すると、ゴム組成物全体の比重が増加し、タイヤの低燃費性向上が充分に図れないおそれがある。瀝青炭粉砕物の比重は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。比重が0.5未満である瀝青炭粉砕物を使用すると、混練時の加工性が悪化するおそれがある。
(シリカと結合可能な化合物)
シリカと結合可能な化合物としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、EVONIK社製「Si-69」)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、EVONIK社製「Si-75」)、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(別名:「オクタンチオ酸S-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]エステル」、例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S-[3-{(2-メチル-1,3-プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S-[3-{(2-メチル-1,3-プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中で、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、EVONIK社製「Si-69」)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、EVONIK社製「Si-75」)、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)が、好ましい。
シリカと結合可能な化合物を使用する場合、その量は、シリカ100重量部あたり、好ましくは2~20重量部、より好ましくは2~15重量部、さらに好ましくは2~10重量部である。
シリカと結合可能な化合物を使用する場合、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の多価アルコール;N-アルキルアミン;アミノ酸;分子末端がカルボキシ変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン等を使用してもよい。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、例えば、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日 社団法人 日本ゴム協会発行)に記載されているものを使用することができる。加硫促進剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤等が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N,N-ジシクロへキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。スルフェンアミド系加硫促進剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2-メルカプトベンゾチアゾール シクロヘキシルアミン塩(CMBT)、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(ZMBT)等が挙げられる。チアゾール系加硫促進剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン(DPG)、N,N'-ジ-o-トリルグアニジン(DOTG)等が挙げられる。グアニジン系加硫促進剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤を使用する場合、その量(2種以上の加硫促進剤を使用する場合は、その合計量)は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.5~10.5重量部、より好ましくは0.7~8重量部、さらに好ましくは0.8~5.5重量部である。
硫黄成分の量と加硫促進剤の量との重量比(硫黄成分の量/加硫促進剤の量)は、特に制限されないが、好ましくは1/10~10/1、より好ましくは1/5~5/1である。なお、2種以上の加硫促進剤(例えば、CBSおよびDPG)を使用する場合、前記重量比は、硫黄成分の量と、2種以上の加硫促進剤の合計量とを用いて算出する。
(加硫促進助剤)
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛、シトラコンイミド化合物、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、有機チオスルフェート化合物および式(III):
16-S-S-R17-S-S-R18 (III)
(式中、R17は、C2-10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で示される化合物が挙げられる。
なお、本発明において酸化亜鉛は、加硫促進助剤の概念に包含され、上述の充填剤の概念には包含されない。
酸化亜鉛を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01~20重量部、より好ましくは0.1~15重量部、さらに好ましくは0.1~10重量部である。
シトラコンイミド化合物としては、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、ビスシトラコンイミド類が好ましい。具体的には、1,2-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,6-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2-ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3-ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4-ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,6-ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3-ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4-ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5-ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,6-ビスシトラコンイミドエチルトルエンなどが挙げられる。
シトラコンイミド化合物のなかでも、熱的に特に安定であり、ゴム成分中への分散性に特に優れ、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができる(リバージョン抑制)という理由から、下記式で表される1,3-ビスシトラコンイミドメチルベンゼンが好ましい。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができるという理由から、式(IV):
[式中、nは0~10の整数であり、Xは2~4の整数であり、R19はC5-12アルキル基である。]
で表されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を使用することが好ましい。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)のゴム成分中への分散性が良いという理由から、式(IV)中のnは、好ましくは1~9の整数である。
Xが4を超えると、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)が熱的に不安定となる傾向があり、Xが1であるとアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)中の硫黄含有率(硫黄の重量)が少ない。高硬度を効率よく発現させることができる(リバージョン抑制)という理由から、Xは2であることが好ましい。
19は、C5-12アルキル基である。ゴム成分中へのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の分散性が良いという理由から、R19は、好ましくはC6-9アルキル基である。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の具体例として、式(IV)中のnが0~10であり、Xが2であり、R19がオクチル基であり、硫黄含有率が24重量%である田岡化学工業社製のタッキロールV200が挙げられる。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物が得られる(リバージョン抑制)という観点から、式(V):
HOS-S-(CH-S-SOH (V)
[式中、sは3~10の整数である。]
で表される有機チオスルフェート化合物の塩(以下「有機チオスルフェート化合物塩(V)」と記載することがある。)を使用することが好ましい。結晶水を含有する有機チオスルフェート化合物塩(V)を使用してもよい。有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられ、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
sは、3~10の整数であり、好ましくは3~6の整数である。sが2以下では、充分な耐熱疲労性が得られない傾向があり、sが11以上では、有機チオスルフェート化合物塩(V)による耐熱疲労性の改善効果が充分に得られない場合がある。
有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、常温常圧下で安定であるという観点から、そのナトリウム塩1水和物、ナトリウム塩2水和物が好ましく、コストの観点からチオ硫酸ナトリウムから得られる有機チオスルフェート化合物塩(V)がより好ましく、下記式で表される1,6-ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物がさらに好ましい。
ゴム成分中へ良く分散すること、およびアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)と併用した場合にアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の-S-架橋の中間に挿入されて、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)とのハイブリッド架橋を形成することが可能であるという理由から、式(III):
16-S-S-R17-S-S-R18 (III)
(式中、R17はC2-10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で示される化合物を、加硫促進助剤として使用することが好ましい。
17は、C2-10アルカンジイル基であり、好ましくはC4-8アルカンジイル基であり、より好ましくは直鎖状のC4-8アルカンジイル基である。R17は、直鎖状であることが好ましい。R17の炭素数が1以下では、熱的な安定性が悪い場合がある。また、R17の炭素数が11以上では、加硫促進助剤を介したポリマー間の距離が長くなり、加硫促進助剤を添加する効果が得られない場合がある。
16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基である。窒素原子を含む1価の有機基としては、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、芳香環および=N-C(=S)-基を含むものがさらに好ましい。R16およびR18は、それぞれ同一でも、異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から、同一であることが好ましい。
化合物(III)としては、例えば、1,2-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどが挙げられる。なかでも、熱的に安定であり、ゴム成分中への分散性に優れるという理由から、1,6-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
化合物(III)の市販品としては、例えば、バイエル社製のVULCUREN TRIAL PRODUCT KA9188、VULCUREN VP KA9188(1,6-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)が挙げられる。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436~443頁に記載されるものが挙げられる。老化防止剤としては、N-フェニル-N’-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン(略称「6PPD」、例えば住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」)、アニリンとアセトンの反応生成物(略称「TMDQ」)、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-)ジヒドロキノリン)(例えば、松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
老化防止剤を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01~15重量部、より好ましくは0.1~10重量部、さらに好ましくは0.1~5重量部である。
(加工助剤)
加工助剤としては、例えば、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、そのエステルおよびアミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩等が挙げられる。市販品としては、例えば、SCHILL & SEILACHER Gmbh. & CO.製「STRUKTOL A50P」、「STRUKTOL A60」、「STRUKTOL EF44」、「STRUKTOL HT204」、「STRUKTOL HT207」、「STRUKTOL HT254」、「STRUKTOL HT266」、「STRUKTOL WB16」などが挙げられる。
加工助剤を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01~20重量部、より好ましくは0.1~15重量部、さらに好ましくは0.1~10重量部である。
加工助剤としてステアリン酸を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは0.01~15重量部、より好ましくは0.1~10重量部、さらに好ましくは0.1~5重量部である。
(オイル)
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、MES(軽度抽出溶媒和物)オイル、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物)オイルが挙げられる。市販品としては、例えば、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC-140」)、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)、TDAEオイル(H&R社製「VivaTec500」)が挙げられる。
オイルを使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり、好ましくは5~70重量部、より好ましくは20~60重量部である。
(ワックス)
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」、日本精蝋社製の「OZOACE-0355」等が挙げられる。
(レゾルシノール、樹脂)
本発明では、レゾルシノール、レゾルシノール樹脂、変性レゾルシノール樹脂、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂および変性フェノール樹脂等の樹脂を使用してもよい。レゾルシノールやこれらの樹脂を使用することにより、加硫ゴム組成物の破断時伸び、複素弾性率を向上させることができる。
レゾルシノールとしては、例えば、住友化学社製のレゾルシノール等が挙げられる。レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、インドスペック社製のペナコライト樹脂B-18-S、B-20、田岡化学工業社製のスミカノール620、ユニロイヤル社製のR-6、スケネクタディー化学社製のSRF1501、アッシュランド社製のArofene7209等が挙げられる。
クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール樹脂の末端のメチル基をヒドロキシ基に変更したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、田岡化学工業社製のスミカノール610、住友ベークライト社製のPR-X11061等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。また、変性フェノール樹脂としては、フェノール樹脂をカシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどを用いて変性した樹脂が挙げられる。
その他の樹脂としては、例えば、住友化学社製の「スミカノール507AP」等のメトキシ化メチロールメラミン樹脂;日鉄化学社製のクマロン樹脂NG4(軟化点81~100℃)、神戸油化学工業社製の「プロセスレジンAC5」(軟化点75℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱瓦斯化学社製の「ニカノール(登録商標)A70」(軟化点70~90℃)等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエンが挙げられる。
(粘弾性改善剤)
粘弾性改善剤としては、例えば、N,N’-ビス(2-メチル-2-ニトロプロピル)-1,6-ヘキサンジアミン(例えば、住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、特開昭63-23942号公報記載のジチオウラシル化合物、田岡化学工業社製「タッキロール(登録商標)AP」、「タッキロール(登録商標)V-200」、特開2009-138148号公報記載のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(例えば、バイエル社製「KA9188」)、1,6-ヘキサメチレンジチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3-ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(例えば、フレキシス社製「パーカリンク900」)、1-ベンゾイル-2-フェニルヒドラジド、1-ヒドロキシ-N’-(1-メチルエチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N’-(1-メチルエチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、特開2004-91505号公報記載の1-ヒドロキシ-N’-(1-メチルプロピリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N’-(1-メチルプロピリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、1-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、1-ヒドロキシ-N’-(2-フリルメチレン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N’-(2-フリルメチレン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド誘導体、特開2000-190704号公報記載の3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジフェニルエチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N’-(1-メチルエチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、特開2006-328310号公報記載のビスメルカプトオキサジアゾール化合物、特開2009-40898号公報記載のピリチオン塩化合物、特開2006-249361号公報記載の水酸化コバルト化合物が挙げられる。
(しゃく解剤)
しゃく解剤としては、ゴム分野において通常用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の446~449頁に記載される、芳香族メルカプタン系しゃく解剤、芳香族ジスルフィド系しゃく解剤、芳香族メルカプタン金属塩系しゃく解剤が挙げられる。中でも、ジキシリルジスルフィド、o,o’-ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(大内新興化学工業社製「ノクタイザーSS」)が好ましい。しゃく解剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
しゃく解剤を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり0.01~1重量部が好ましく、0.05~0.5重量部がより好ましい。
(リターダー)
リターダーとしては、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N-ニトロソジフェニルアミン、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール ジホスファイト等が例示され、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)が挙げられる。
リターダーを使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部あたり0.01~1重量部が好ましく、0.05~0.5重量部がより好ましい。
(オキシエチレンユニットを有する化合物)
本発明では、式:-O-(CH-CH-O)-H[式中、rは1以上の整数である。]で表される構造を有するオキシエチレンユニットを有する化合物を使用してもよい。ここで、上記式中、rは、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、rは16以下が好ましく、14以下がより好ましい。rが17以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
オキシエチレンユニットを有する化合物中のオキシエチレンユニットの位置は、主鎖でも、末端でも、側鎖でもよい。得られるタイヤ表面における静電気の蓄積防止効果の持続性および電気抵抗の低減の観点から、オキシエチレンユニットを有する化合物の中でも、少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物が好ましい。
主鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンスチレン化アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイドなどが挙げられる。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、オキシエチレンユニットの個数は、主鎖を構成する炭素数100個当たり4個以上が好ましく、8個以上がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が3個以下では、電気抵抗が増大する傾向がある。また、オキシエチレンユニットの個数は12個以下が好ましく、10個以下がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が13個以上では、ゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、その主鎖としては、主としてポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンから構成されるものが好ましい。
<加硫ゴム組成物の製造>
本発明の加硫ゴム組成物を、化合物(I)、ゴム成分および硫黄成分、並びに必要に応じて化合物(II)および/または他の成分(例えば、シリカ、カーボンブラック)を混練し、得られたゴム組成物を加熱することによって製造することができる。上述したように、混練または加熱中に、化合物(I)は消費されると考えられるため、所定量と予測される消費量との合計量(即ち、所定量+予測される消費量)で化合物(I)を使用することによって、本発明の加硫ゴム組成物を製造することができる。化合物(II)を使用する場合も同様である。
化合物(I)、ゴム成分および硫黄成分を混練して得られるゴム組成物(以下「硫黄成分を含有するゴム組成物」と記載することがある。)は、充填剤(例えば、シリカ、カーボンブラック)を使用する場合、以下の工程1および2を経て製造することが好ましい:
ゴム成分、充填剤、および必要に応じて他の成分を混練する工程1、並びに
工程1で得られたゴム組成物、硫黄成分、および必要に応じて他の成分を混練する工程2。
工程1の前に、ゴム成分を加工しやすくするため、ゴム成分を素練りする予備混練工程を設けてもよい。
硫黄成分を含有するゴム組成物の製造では、化合物(I)の全量を、予備混練工程、工程1または工程2のいずれかでゴム成分等と混練してもよく、化合物(I)をそれぞれ分割して、予備混練工程~工程2の少なくとも二つの工程でゴム成分等と混練してもよい。また、化合物(I)を、上述の充填剤に予め担持してから、ゴム成分等と混練してもよい。
化合物(II)を使用する場合、硫黄成分を含有するゴム組成物の製造では、化合物(II)の全量を、予備混練工程、工程1または工程2のいずれかでゴム成分等と混練してもよく、化合物(II)をそれぞれ分割して、予備混練工程~工程2の少なくとも二つの工程でゴム成分等と混練してもよい。また、化合物(II)を、上述の充填剤に予め担持してから、ゴム成分等と混練してもよい。
酸化亜鉛を配合するときは、工程1でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。ステアリン酸を配合するときは、工程1でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。加硫促進剤を配合するときは、工程2でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。しゃく解剤を配合するときは、工程1でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。予備混練工程を設ける時は、予備混練工程でしゃく解剤の全量とゴム成分とを混練するか、またはしゃく解剤を分けて、予備混練工程および工程1の両方でそれの一部とゴム成分とを混練することが好ましい。リターダーを配合するときは、工程2でそれとゴム成分等とを混練することが好ましい。
工程1における混練には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。工程1における混練後のゴム組成物の排出温度は、200℃以下が好ましく、120~180℃がより好ましい。
工程2における混練には、例えば、オープンロール、カレンダー等を使用することができる。工程2における混練温度(混練しているゴム組成物の温度)は、60~120℃が好ましい。
硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって、本発明の加硫ゴム組成物を製造することができる。硫黄成分を含有するゴム組成物を特定の形状に加工してから加硫することによって、本発明の加硫ゴム組成物を製造してもよい。
加硫温度は、120~180℃が好ましい。当業者であれば、ゴム組成物の組成に応じて、加硫時間を適宜設定することができる。加硫は、通常、常圧または加圧下で行われる。
<用途>
本発明の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れるため、タイヤに用いることが好ましい。従って、本発明は、前記加硫ゴム組成物を含むタイヤを提供する。
また、本発明の加硫ゴム組成物は、タイヤ用部材に用いることが好ましい。タイヤ用部材としては、例えば、本発明の加硫ゴム組成物およびスチールコードを含むタイヤ用ベルト部材、本発明の加硫ゴム組成物およびカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス部材、タイヤ用サイドウォール部材、タイヤ用インナーライナー部材、タイヤ用キャップトレッド部材またはタイヤ用アンダートレッド部材が挙げられる。
本発明の加硫ゴム組成物は、タイヤおよびタイヤ用部材以外にも、様々な製品(例えば、防振ゴム、コンベアベルト用ゴム、エンジンマウントゴム等)に用いることができる。
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
製造例1:化合物(IIa-1)の製造
4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン21.5g(0.15mol)に酢酸エチル500mLを加えた後、塊となっている4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジンを超音波によって粉砕した(40℃、30分)。そこにヨウ化ナトリウム2.3g(0.015mol)を加えた後、35重量%過酸化水素水溶液14.4mL(0.15mol)を1時間33分かけて滴下したところ、発熱が確認された。過酸化水素水溶液の全量を滴下した後には、完全な溶液は得られず、固体が一部析出した分散液が得られた。分散液を室温で8時間40分間攪拌し、TLCにて4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジンの消失を確認した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液100mLを添加してクエンチし、過酸化物試験紙で過酸化水素が消失していることを確認した。析出した固体を吸引ろ過により分取し、水、次いで酢酸エチルで洗浄した。ろ液を分液漏斗に移し、酢酸エチル250mLで2回抽出した後、まとめた有機層を飽和食塩水100mLにて洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過によって固体を除去した後、ろ液をエバポレーターにて濃縮して固体を得た。吸引ろ過により分取した固体とエバポレーターによって得られた固体とをあわせて、減圧乾燥することで、化合物(IIa-1)(即ち、2,2’-ビス(4,6-ジメチルピリミジル)ジスルフィド)21.0g(収率98%)を淡黄色固体として得た。
H-NMR(CDCl,400MHz) δ ppm:2.39(12H,s),6.76(2H,s)
製造例2:化合物(IIa-2)の製造
2-メルカプトピリミジン22.9g(0.20mol)に酢酸エチル500mLを加えた後、塊となっている2-メルカプトピリミジンを超音波によって粉砕した(40℃、30分)。そこにヨウ化ナトリウム3.0g(0.020mol)を加えた後、35重量%過酸化水素水溶液19.4mL(0.200mol)を室温で約2時間かけて滴下すると発熱し、過酸化水素水溶液の全量を滴下した後には、完全な溶液が得られた。溶液を室温で45分間攪拌し、TLCにて2-メルカプトピリミジンの消失を確認した後、溶液にチオ硫酸ナトリウム35.0g(0.22mol)の100mL水溶液を添加してクエンチし、過酸化物試験紙で過酸化水素が消失していることを確認した。得られた溶液を分液漏斗に移し、酢酸エチル150mLで2回抽出した後、まとめた有機層を飽和食塩水100mLで洗浄した。分液した有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過によって固体を除去した後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、減圧乾燥することで、化合物(IIa-2)(即ち、2,2’-ジピリミジルジスルフィド)21.8g(収率98%)を淡黄色固体として得た。
H-NMR(CDCl,400MHz) δ ppm:7.10(4H,t,J=4.8Hz),8.56(2H,d,J=4.8Hz)
実施例1
<工程1:バンバリーミキサーによる混錬>
バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製、容量:1700mL)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(旭化成社製「SBRタフデン2000」)80重量部、ブタジエンゴム(JSR社製「BR01」)20重量部、シリカ(東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、BET比表面積:205m/g)75重量部、カーボンブラックHAF(旭カーボン社製「旭#70」)5重量部、ステアリン酸2重量部、酸化亜鉛3重量部、老化防止剤(N-フェニル-N’-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン(6PPD)、住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」)1.5重量部、TDAEオイル(H&R社製「VivaTec500」)30重量部、およびシリカと結合可能な化合物(EVONIK社製「Si-75」)6重量部および化合物(Ia-1)(東京化成工業社製「4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン」)0.5重量部を混練し、ゴム組成物を得た。該工程では、温度80℃に設定し、ローター回転数25rpmで回転させているバンバリーミキサーに上記の全成分を投入した後、バンバリーミキサー中の混合物を、ローター回転数50rpmで3.5分、さらにローター回転数80rpmで1.5分混練した。混練終了時のゴム組成物の温度は160~170℃であった。
<工程2:オープンロール機による混練>
ロール設定温度60℃のオープンロール機で、工程1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)1.5重量部およびジフェニルグアニジン(DPG)2.0重量部)と、粉末硫黄(細井化学社製「微粉硫黄」)2.0重量部とを混練して、ゴム組成物を得た。
<加硫>
工程2で得られたゴム組成物を170℃で12分加熱することによって、加硫ゴム組成物を得た。
実施例2~5および比較例1
表1に示す種類および量の成分を工程1および2で使用したこと、並びに加硫ゴム組成物を得るための加硫時間を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~5および比較例1の加硫ゴム組成物を得た。
スチレン・ブタジエン共重合ゴム等は、実施例1と同じものを使用した。また、化合物(IIa-1)としては、製造例1で得られたものを使用した。
加硫時間は、実施例1および比較例1では12分、実施例2および5では25分、実施例3および4では60分とした。
後述の耐摩耗性の評価のために、実施例1~5の加硫ゴム組成物の硬度と、比較例1の加硫ゴム組成物の硬度とが同等となるように、実施例1~5では、粉末硫黄、CBSおよびDPGの量を調整した。
<化合物(I)および化合物(II)の含有量>
(1)抽出
実施例1~5で得られた加硫ゴム組成物から試料(約2g)を採取した。試料重量は0.1mgの単位まで測定できる精密天秤を用いて秤量した。試料を切断し、一辺が2mm以下の小片を作製した。円筒ろ紙を入れたソックスレー抽出器の抽出部に、得られた小片(約2g)を加えた。ソックスレー抽出器の受器フラスコ(容量:150mL)にアセトン(100mL)を加え、還流条件にて8時間、抽出を行った。
(2)分析
抽出後、受器フラスコ中の抽出液を、必要に応じて濃縮し、その全量を20~100mLのメスフラスコに加え、アセトンまたは任意の有機溶媒を加えて抽出液を希釈し、分析溶液を得た。この希釈で得られた分析溶液(即ち、希釈した抽出溶液)の全量をcとする。得られた分析溶液(3μL)を液体クロマトグラフィー(LC)装置(島津製作所社製「LC 20A」)に注入し、カラムとして「L-column ODS(4.6mmφ×150mm,粒径5μm)」を使用し、移動相として2種の溶液(A液およびB液)を使用した。A液として、トリフルオロ酢酸の水溶液(濃度0.05重量%)を、B液として、トリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液(濃度0.05重量%)を使用した。B液のグラジエント条件を「0分:5体積%、0~40分:5体積%から一定速度で100体積%となるように移動相中のB液の割合を変更、40~45分:100体積%、45.01~50分:5体積%」と設定した。カラム温度:40℃、移動相流量:1.0mL/分、および検出波長:254nmの条件で、LC分析を実施し、分析溶液の検出ピークの面積値を算出した。
あらかじめ上記条件にて化合物(I)および化合物(II)の標準サンプル(3μL)のLC分析を行い、それらの検出ピークの位置および面積値を確認した。化合物(I)または化合物(II)の分析溶液の検出ピークの面積値、抽出に使用した加硫ゴム組成物(小片)の量(約2g)、標準サンプルの濃度(a)と、標準サンプルの検出ピークの面積値(b)、並びに分析溶液(即ち、希釈した抽出溶液)の全量(c)を用いて下記式:
化合物(I)または化合物(II)の含有量(重量%)
=(100×分析溶液の検出ピークの面積値×a×c)/(抽出に使用した加硫ゴム組成物の量(約2g)×b)
により、加硫ゴム組成物全体に対する化合物(I)または化合物(II)の含有量を算出した。結果を表1に示す。
なお、上記式中、aは、標準サンプルの濃度(g/mL)を表し、bは、標準サンプルの検出ピークの面積値を表し、およびcは、分析溶液(即ち、希釈した抽出溶液)の全量(mL)を表す。
<耐摩耗性の評価>
DIN摩耗試験機 AB-6111(上島製作所製)を用い、JIS K6264-2:2005 「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-耐摩耗性の求め方-」に準拠して、化合物(I)を所定量で含有する実施例1~13の加硫ゴム組成物、および化合物(I)を含有しない比較例1の加硫ゴム組成物の摩耗体積(単位:mm)を測定した。下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例1の摩耗体積)/(実施例1~5の摩耗体積)
により実施例1~5の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を表1に示す。この指数が大きいほど、耐摩耗性が良好である。
表1に示されるように、化合物(I)を所定量で含有する実施例1~5の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れている。
実施例6
<工程1:ラボプラストミルによる混錬>
ラボプラストミル(東洋精機製作所社製、容量:600mL)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(旭化成社製「SBRタフデン2000」)80重量部、ブタジエンゴム(JSR社製「BR01」)20重量部、シリカ(東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、BET比表面積:205m/g)75重量部、カーボンブラックHAF(旭カーボン社製「旭#70」)5重量部、ステアリン酸2重量部、酸化亜鉛3重量部、老化防止剤(N-フェニル-N’-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン(6PPD)、住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」)1.5重量部、TDAEオイル(H&R社製「VivaTec500」)30重量部、およびシリカと結合可能な化合物(EVONIK社製「Si-75」)6重量部および化合物(Ia-2)(東京化成工業社製「2-メルカプトピリミジン」)2重量部を混練し、ゴム組成物を得た。該工程では、温度140℃に設定し、ローター回転数25rpmで回転させているラボプラストミルに上記の全成分を投入した後、ラボプラストミル中の混合物を、ローター回転数10rpmで3分、さらにローター回転数60rpmで5分混練した。混練終了時のゴム組成物の温度は155~165℃であった。
<工程2:オープンロール機による混練>
ロール設定温度60℃のオープンロール機で、工程1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)1.5重量部およびジフェニルグアニジン(DPG)2.0重量部)と、粉末硫黄(細井化学社製「微粉硫黄」)2.0重量部とを混練して、ゴム組成物を得た。
<加硫>
工程2で得られたゴム組成物を170℃で14分加熱することによって、加硫ゴム組成物を得た。
実施例7~12および比較例2
表2および3に示す種類および量の成分を使用したこと、並びに加硫ゴムを得るための加硫時間を変更したこと以外は実施例6と同様にして、実施例7~12および比較例2の加硫ゴム組成物を得た。
スチレン・ブタジエン共重合ゴム等は、実施例6と同じものを使用した。
加硫時間は、実施例7、10および11では14分、実施例8および12では36分、実施例9では21分、実施例13では20分、比較例2では9分とした。
化合物(Ia-2)としては、東京化成工業社製「2-メルカプトピリミジン」を使用した。化合物(Ib-1)としては、東京化成工業社製「2-メルカプトピリジン」を使用した。化合物(Ib-2)としては、東京化成工業社製「2-メルカプト-5-ニトロピリジン」を使用した。化合物(Ic-1)としては、東京化成工業社製「4-メルカプトピリジン」を使用した。
化合物(IIa-2)としては、製造例2で得られたものを使用した。化合物(IIb-1)としては、東京化成工業社製「2,2’-ジピリジルジスルフィド」を使用した。化合物(IIb-2)としては、東京化成工業社製「2,2’-ジチオビス(5-ニトロピリジン)」を使用した。化合物(IIc-1)としては、東京化成工業社製「4,4’-ジピリジルジスルフィド」を使用した。
<化合物(I)および化合物(II)の含有量>
実施例1等と同様にして実施例6~12で得られた加硫ゴム組成物中の化合物(I)および化合物(II)の含有量を測定および算出した。結果を表2および3に示す。
<耐摩耗性の評価>
実施例8の加硫ゴム組成物の硬度は、比較例1の加硫ゴム組成物の硬度と同等であったため、実施例1等と同様にして、加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。具体的には、下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例1の摩耗体積)/(実施例8の摩耗体積)
により実施例8の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を下記表2に示す。
実施例6、7および9~12で得られた加硫ゴム組成物の硬度は、比較例1の加硫ゴム組成物の硬度と同等ではなかったため、硬度が実施例6等のものと同等となる加硫ゴム組成物が得られるように粉末硫黄、CBSおよびDPGの量を調整した比較例2を行った。次いで実施例1等と同様にして加硫ゴム組成物の摩耗体積(単位:mm)を測定し、下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例2の摩耗体積)/(実施例6、7または9~12の摩耗体積)
により実施例6、7および9~12の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を下記表3に示す。
Figure 0007377850000015
表2および3に示されるように、化合物(I)を所定量で含有する実施例6~12の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れている。
実施例13および比較例3
表4に示す種類および量の成分を実施例1の工程1および2で使用したこと、並びに加硫ゴムを得るための加硫時間を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例13および比較例3の加硫ゴム組成物を得た。
スチレン・ブタジエン共重合ゴム等は、実施例1と同じものを使用した。また、化合物(IIa-1)としては、製造例1で得られたものを使用した。
加硫時間は、実施例13では48分、比較例9では9分とした。
<化合物(I)および化合物(II)の含有量>
実施例1等と同様にして実施例13で得られた加硫ゴム組成物中の化合物(I)および化合物(II)の含有量を測定および算出した。結果を表4に示す。
<耐摩耗性の評価>
実施例13で得られた加硫ゴム組成物の硬度は、比較例1および2の加硫ゴム組成物の硬度と同等ではなかったため、硬度が実施例13のものと同等となる加硫ゴム組成物が得られるように粉末硫黄、CBSおよびDPGの量を調整した比較例3を行った。次いで実施例1等と同様にして加硫ゴム組成物の摩耗体積(単位:mm)を測定し、下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例3の摩耗体積)/(実施例13の摩耗体積)
により実施例3の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を下記表3に示す。結果を表4に示す。
表4に示されるように、化合物(I)を所定量で含有する実施例13の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れている。
実施例14および比較例4
表5に示す種類および量の成分を実施例1の工程1および2で使用したこと、並びに加硫ゴムを得るための加硫時間を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例14および比較例4の加硫ゴム組成物を得た。
スチレン・ブタジエン共重合ゴムは、日本ゼオン社製「Nipol NS616」を使用した。また、ブタジエンゴム等は、実施例1と同じものを使用した。さらに、化合物(IIa-1)としては、製造例1で得られたものを使用した。
加硫時間は、実施例14では60分、比較例4では40分とした。
<化合物(I)および化合物(II)の含有量>
実施例1等と同様にして実施例14で得られた加硫ゴム組成物中の化合物(I)および化合物(II)の含有量を測定および算出した。結果を表5に示す。
<耐摩耗性の評価>
実施例14で得られた加硫ゴム組成物の硬度は、比較例1の加硫ゴム組成物の硬度と同等ではなかったため、硬度が実施例14のものと同等となる加硫ゴム組成物が得られるように粉末硫黄、CBSおよびDPGの量を調整した比較例4を行った。次いで実施例1等と同様にして加硫ゴム組成物の摩耗体積(単位:mm)を測定し、下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例4の摩耗体積)/(実施例14の摩耗体積)
により実施例4の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を下記表5に示す。
表5に示されるように、化合物(I)を所定量で含有する実施例14の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れている。
実施例15および比較例5
表6に示す種類および量の成分を実施例1の工程1および2で使用したこと、並びに加硫ゴムを得るための加硫時間を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例15および比較例5の加硫ゴム組成物を得た。
スチレン・ブタジエン共重合ゴムは、旭化成社製「SBRタフデン3835」を使用した。また、ブタジエンゴム等は、実施例1と同じものを使用した。
加硫時間は、実施例15および比較例では15分とした。
<化合物(I)の含有量>
実施例1等と同様にして実施例15で得られた加硫ゴム組成物中の化合物(I)の含有量を測定および算出した。結果を表6に示す。
<耐摩耗性の評価>
実施例15で得られた加硫ゴム組成物の硬度は、比較例1の加硫ゴム組成物の硬度と同等ではなかったため、硬度が実施例15のものと同等となる加硫ゴム組成物が得られるように粉末硫黄、CBSおよびDPGの量を調整した比較例5を行った。次いで実施例1等と同様にして加硫ゴム組成物の摩耗体積(単位:mm)を測定し、下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例5の摩耗体積)/(実施例15の摩耗体積)
により実施例15の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を表6に示す。
表6に示されるように、化合物(I)を所定量で含有する実施例15の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れている。
実施例6および比較例6
表7に示す種類および量の成分を実施例1の工程1および2で使用したこと、並びに加硫ゴムを得るための加硫時間を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例16および比較例6の加硫ゴム組成物を得た。
スチレン・ブタジエン共重合ゴムとしては、日本ゼオン社製「Nipol NS612」を使用した。ブタジエンゴム等は、実施例1と同じものを使用した。化合物(Ib-1)としては、東京化成工業社製「2-メルカプトピリジン」を使用した。
加硫時間は、実施例16および比較例6では15分とした。
<化合物(I)の含有量>
実施例1等と同様にして実施例16で得られた加硫ゴム組成物中の化合物(I)の含有量を測定および算出した。結果を表7に示す。
<耐摩耗性の評価>
実施例16で得られた加硫ゴム組成物の硬度は、比較例1の加硫ゴム組成物の硬度と同等ではなかったため、硬度が実施例16のものと同等となる加硫ゴム組成物が得られるように粉末硫黄、CBSおよびDPGの量を調整した比較例6を行った。次いで実施例1等と同様にして加硫ゴム組成物の摩耗体積(単位:mm)を測定し、下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例6の摩耗体積)/(実施例16の摩耗体積)
により実施例16の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を表7に示す。
表7に示されるように、化合物(I)を所定量で含有する実施例16の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れている。
実施例17および比較例7
表8に示す種類および量の成分を実施例1の工程1および2で使用したこと、並びに加硫ゴムを得るための加硫時間を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例17および比較例7の加硫ゴム組成物を得た。
スチレン・ブタジエン共重合ゴムとしては、日本ゼオン社製「Nipol NS540」を使用した。ブタジエンゴム等は、実施例1と同じものを使用した。化合物(Ib-1)としては、東京化成工業社製「2-メルカプトピリジン」を使用した。化合物(IIb-1)としては、東京化成工業社製「2,2’-ジピリジルジスルフィド」を使用した。
加硫時間は、実施例17および比較例7では15分とした。
<化合物(I)および化合物(II)の含有量>
実施例1等と同様にして実施例17で得られた加硫ゴム組成物中の化合物(I)および化合物(II)の含有量を測定および算出した。結果を表8に示す。
<耐摩耗性の評価>
実施例17で得られた加硫ゴム組成物の硬度は、比較例1の加硫ゴム組成物の硬度と同等ではなかったため、硬度が実施例17のものと同等となる加硫ゴム組成物が得られるように粉末硫黄、CBSおよびDPGの量を調整した比較例7を行った。次いで実施例1等と同様にして加硫ゴム組成物の摩耗体積(単位:mm)を測定し、下記式:
耐摩耗性の指数
=100×(比較例7の摩耗体積)/(実施例17の摩耗体積)
により実施例17の加硫ゴム組成物の耐摩耗性の指数を算出した。結果を表8に示す。
表8に示されるように、化合物(I)を所定量で含有する実施例17の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れている。
実施例18~21
表9に示す硫黄、加硫促進助剤および加硫促進剤以外の成分を表9に示す量で、バンバリーミキサーを用いて165℃で4分間混練することによってゴム組成物が得られる。
上記のようにして得られるゴム組成物に、表9に示す硫黄、加硫促進助剤および加硫促進剤を表9に示す量で添加し、オープンロールを用いて80℃で4分間混練することによって、ゴム組成物が得られる。適当な加硫時間加硫することで加硫ゴム組成物が得られる。
表9に示す成分は以下の通りである。
スチレン・ブタジエン共重合ゴム1:JSR社製「SBR1502」
スチレン・ブタジエン共重合ゴム2:旭化成社製「SBRタフデン3835」
スチレン・ブタジエン共重合ゴム3:日本ゼオン社製「Nipsol NS540」
ブタジエンゴム:宇部興産社製「BR130B」
天然ゴム:RSS#3
本発明の加硫ゴム組成物は耐摩耗性に優れ、タイヤ等を製造するために有用である。
本願は、日本で出願された特願2019-034798号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。

Claims (4)

  1. 式(I):
    Figure 0007377850000022
    [式中、
    1aは、窒素原子またはC-R1aを表し、
    3aは、窒素原子またはC-R3aを表し、
    5aは、窒素原子またはC-R5aを表し、
    1a、X3aおよびX5aの少なくとも一つは、窒素原子であり、並びに
    1aおよびR3a~R6aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-18アリール基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-18アリール-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル-カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、またはニトロ基を表す。]
    で示される化合物と、
    式(II):
    Figure 0007377850000023
    [式中、
    1b 、X 3b 、X 1c およびX 3c は、共に窒素原子を表し、
    5b は、C-R 5b を表し、
    5c は、C-R 5c を表し、
    4b 、R 6b 、R 4c およびR 6c は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC 1-18 アルキル基を表し、並びに
    5b およびR 5c は、共に水素原子を表す。]
    で示される化合物と、
    加硫ゴムと
    を含み、
    式(I)で示される化合物の含有量が、加硫ゴム組成物全体に対して0.00005~5重量%であり、および
    式(II)で示される化合物の含有量が、加硫ゴム組成物全体に対して0.0001~1.0重量%である加硫ゴム組成物。
  2. 1aおよびR3a~R6aが、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいC1-18アルコキシ-カルボニル基、またはニトロ基である請求項1に記載の加硫ゴム組成物。
  3. 1aおよびX3aが、共に窒素原子であり、
    5aが、C-R5aであり、
    4aおよびR6aが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基であり、並びに
    5aが、水素原子である請求項1に記載の加硫ゴム組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の加硫ゴム組成物を含むタイヤ。
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