JP2019034988A - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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俊宏 信岡
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Abstract

【課題】オレフィン性二重結合を有するゴム成分およびシリカを用いて、損失係数が低い加硫ゴム組成物を製造すること。【解決手段】オレフィン性二重結合と反応し得る基または構造(A)、およびシリカと反応または相互作用し得る基または構造(B)を有し、Si−O結合を有さない化合物(C)と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分と、シリカとを混練して、混練物を得る工程1、および得られた混練物と、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物とを混練して、ゴム組成物を得る工程2、を含むゴム組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物の製造方法等に関する。
近年、環境保護の要請から、自動車の燃費向上(すなわち、低燃費化)が求められている。そして、自動車用タイヤの分野においては、タイヤ製造に用いられる加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)を低減させることにより、自動車の燃費が向上することが知られている。
例えば、特許文献1には、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるために、式(D):
[式(D)中の基の定義は特許文献1に記載された通りである。なお、式(D)は特許文献1において式(I)と記載されている。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物の少なくとも一つを使用することが記載されている。
また、特許文献2には、加硫ゴム組成物の損失係数を低減させるために、式(E):
[式(E)中の基の定義は特許文献2に記載された通りである。なお、式(E)は特許文献2において式(I)と記載されている。]
で表される化合物を使用することが記載されている。
特開2013−209605号公報 特開2013−159678号公報
オレフィン性二重結合を有するゴム成分およびシリカを用いて、損失係数(tanδ)が低い加硫ゴム組成物を製造することが求められている。しかし、従来技術では、オレフィン性二重結合を有するゴム成分(特に、天然ゴム)およびシリカを用いると、加硫ゴム組成物の損失係数を充分に低減させることが困難であった。
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分およびシリカを用いて、損失係数が低い加硫ゴム組成物を製造することにある。
上記目的を達成し得る本発明は、以下の通りである。
[1] オレフィン性二重結合と反応し得る基または構造(A)、およびシリカと反応または相互作用し得る基または構造(B)を有し、Si−O結合を有さない化合物(C)と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分と、シリカとを混練して、混練物を得る工程1、および
得られた混練物と、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物とを混練して、ゴム組成物を得る工程2、
を含むゴム組成物の製造方法。
[2] 基または構造(A)が、オレフィン性二重結合とラジカル反応または1,3−双極子付加反応し得る基または構造である前記[1]に記載の方法。
[3] 基または構造(A)が、オレフィン性二重結合、アミド基、マレイミド環、1H−イミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、*−SSOH若しくはその塩、*−S−S−*、*−C≡N−O、*−C≡N−N−*、式(i)で表される構造、式(ii)で表される構造、または式(iii)で表される構造:
[前記式中、*は結合位置を表す。]
である前記[1]に記載の方法。
[4] 基または構造(B)が、無置換または置換アミノ基、フラン環、オキサゾール環または1H−ベンゾイミダゾール環である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の方法。
[5] 化合物(C)が、式(I):
[式(I)中、
は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基、または−NR(前記式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。)を表す。
Xは、−NH−または−O−を表す。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物、並びに式(II):
[式(II)中、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表すか、或いはRおよびRが結合し、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基を形成する。
mは、2〜9の整数を表す。
nは、1または2を表す。
n+は、Hまたはn価の金属イオンを表す。]
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]に記載の方法。
[6] 式(I)で表される化合物が、式(Ia):
[式(Ia)中、R〜RおよびXは前記と同義である。]
で表される化合物である前記[5]に記載の方法。
[7] Rが、C2−12アルカンジイル基または2価のC6−12芳香族炭化水素基である前記[5]または[6]に記載の方法。
[8] Rが、C2−12アルカンジイル基またはフェニレン基である前記[5]または[6]に記載の方法。
[9] Rが、フェニレン基である前記[5]または[6]に記載の方法。
[10] Rが、1,4−フェニレン基である前記[5]または[6]に記載の方法。
[11] RおよびRが、それぞれ独立に、水素原子またはC1−6アルキル基である前記[5]〜[10]のいずれか一つに記載の方法。
[12] RおよびRが、共に水素原子である前記[5]〜[10]のいずれか一つに記載の方法。
[13] Rが、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基である前記[5]〜[12]のいずれか一つに記載の方法。
[14] Rが、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基である前記[5]〜[12]のいずれか一つに記載の方法。
[15] Rが、ヒドロキシ基である前記[5]〜[12]のいずれか一つに記載の方法。
[16] Xが、−NH−である前記[5]〜[15]のいずれか一つに記載の方法。
[17] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物が、式(I)で表される化合物の塩の溶媒和物である前記[5]〜[16]のいずれか一つに記載の方法。
[18] 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つが、式(I)で表される化合物のカルボン酸塩の溶媒和物である前記[5]〜[16]のいずれか一つに記載の方法。
[19] シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物が、シランカップリング剤である前記[1]〜[18]のいずれか一つに記載の方法。
[20] オレフィン性二重結合を有するゴム成分が、ジエン系ゴムを含む前記[1]〜[19]のいずれか一つに記載の方法。
[21] オレフィン性二重結合を有するゴム成分が、天然ゴムを含む前記[1]〜[19]のいずれか一つに記載の方法。
[22] 化合物(C)の使用量が、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、0.1〜10重量部である前記[1]〜[21]のいずれか一つに記載の方法。
[23] シリカの使用量が、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、10〜120重量部である前記[1]〜[22]のいずれか一つに記載の方法。
[24] シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物の使用量が、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、0.1〜20重量部である前記[1]〜[23]のいずれか一つに記載の方法。
[25] 前記[1]〜[24]のいずれか一つに記載の方法で得られたゴム組成物と、硫黄成分とを混練することを含む、硫黄成分を含有するゴム組成物の製造方法。
[26] 前記[25]に記載の方法で得られた硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することを含む、加硫ゴム組成物の製造方法。
[27] 前記[1]〜[24]のいずれか一つに記載の方法で得られたゴム組成物。
[28] 前記[25]に記載の方法で得られた硫黄成分を含有するゴム組成物。
[29] 前記[26]に記載の方法で得られた加硫ゴム組成物。
本発明によれば、オレフィン性二重結合を有するゴム成分およびシリカを用いて、損失係数が低い加硫ゴム組成物を製造することができる。
<化合物(C)>
本発明は、オレフィン性二重結合と反応し得る基または構造(A)、およびシリカと反応または相互作用し得る基または構造(B)を有し、Si−O結合を有さない化合物(C)を使用することを特徴の一つとする。化合物(C)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
基または構造(A)としては、例えば、オレフィン性二重結合とラジカル反応または1,3−双極子付加反応し得る基または構造が挙げられる。より具体的には、基または構造(A)としては、例えば、オレフィン性二重結合、アミド基、マレイミド環、1H−イミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、*−SSOH若しくはその塩、*−S−S−*、*−C≡N−O、*−C≡N−N−*、式(i)で表される構造、式(ii)で表される構造、または式(iii)で表される構造:
[前記式中、*は結合位置を表す。]
が挙げられる。上述のアミド基、マレイミド環、1H−イミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、およびベンゾチアゾール環は、いずれも、1価の基でもよく、2価の基でもよい。アミド基としては、例えば、*−CO−NH−*、*−NHCO−*、*−CONH(前記式中、*は結合位置を表す)が挙げられる。マレイミド環としては、例えば、1−マレイミジル基が挙げられる。1H−イミダゾール環としては、例えば、1−イミダゾリル基が挙げられる。ベンゾオキサゾール環としては、例えばベンゾオキサゾリル基が挙げられる。ベンゾチアゾール環としては、例えば、ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
基または構造(B)としては、例えば、無置換または置換アミノ基(好ましくは無置換アミノ基)、フラン環、オキサゾール環または1H−ベンゾイミダゾール環が挙げられる。上述のフラン環、オキサゾール環および1H−ベンゾイミダゾール環は、いずれも、1価の基でもよく、2価の基でもよい。フラン環としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基が挙げられる。オキサゾール環としては、例えば2−オキサゾリル基が挙げられる。1H−ベンゾイミダゾール環としては、例えば、2−ベンゾイミダゾリル基が挙げられる。化合物(C)が有する無置換または一置換アミノ基中の水素原子と、シリカが有するヒドロキシ基中の酸素原子とは、水素結合を形成し得る。また、化合物(C)が有するアミノ基中の窒素原子と、シリカが有するヒドロキシ基中の水素原子とは、水素結合を形成し得る。また、化合物(C)が有するフラン環、オキサゾール環または1H−ベンゾイミダゾール環が有する窒素原子および酸素原子と、シリカが有するヒドロキシ基中の水素原子とは、水素結合を形成し得る。
化合物(C)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明はこれら化合物に限定されない[下記式中、Aは、O、SまたはNHを表し、xは1〜4の整数を表し、yおよびzは、それぞれ独立に1〜6の整数を表す]。
化合物(C)は、好ましくは式(I):
[式(I)中、
は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
は、ヒドロキシ基(−OH)、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基、または−NR(前記式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。)を表す。
Xは、−NH−または−O−を表す。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物、並びに式(II):
[式(II)中、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表すか、或いはRおよびRが結合し、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基を形成する。
mは、2〜9の整数を表す。
nは、1または2を表す。
n+は、Hまたはn価の金属イオンを表す。]
で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
以下では、「式(I)で表される化合物」を「化合物(I)」と略称することがある。他の式で表される化合物も同様に略称することがある。また、「式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物」を「化合物(I)等」と略称することがある。化合物(I)等および化合物(II)等は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
以下では、まず基の定義について説明する。
本明細書中、「Cx−y」とは、炭素原子数がx以上y以下(x、y:整数)であることを意味する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、アルキル基は、直鎖状アルキル基および分枝鎖状アルキル基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−メチルブチル基、3−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基が挙げられる。
1−6アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基が挙げられる。
6−14アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基、スルホ基が挙げられる。
本明細書中、アルコキシ基は、直鎖状アルコキシ基および分枝鎖状アルコキシ基の両方を包含する。本明細書中、「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられる。
1−6アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、C6−14アリールオキシ基に含まれる「C6−14アリール基」としては、例えば、上記のものが挙げられる。
本明細書中、「C1−7アシル基」としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル基、ピバロイル基)、ベンゾイル基が挙げられる。
本明細書中、C1−6アルコキシ−カルボニル基に含まれる「C1−6アルコキシ基」およびC1−7アシル−オキシ基に含まれる「C1−7アシル基」としては、例えば、上記のものが挙げられる。
本明細書中、アルカンジイル基は、直鎖状アルカンジイル基および分枝鎖状アルカンジイル基の両方を包含する。本明細書中、「C2−12アルカンジイル基」としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、1−プロピルテトラメチレン基、2−プロピルテトラメチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、1−エチルペンタメチレン基、2−エチルペンタメチレン基、3−エチルペンタメチレン基、1−プロピルペンタメチレン基、2−プロピルペンタメチレン基、3−プロピルペンタメチレン基、1−メチルヘキサメチレン基、2−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基、1−エチルヘキサメチレン基、2−エチルヘキサメチレン基、3−エチルヘキサメチレン基、1−プロピルヘキサメチレン基、2−プロピルヘキサメチレン基、3−プロピルヘキサメチレン基が挙げられる。
2−12アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルカンジイル基」としては、例えば、シクロプロパン−1,2−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基、シクロノナン−1,5−ジイル基、シクロデカン−1,6−ジイル基が挙げられる。
3−10シクロアルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルケンジイル基」としては、例えば、シクロプロペン−1,2−ジイル基、シクロブテン−1,2−ジイル基、シクロペンテン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、シクロヘプテン−1,2−ジイル基、シクロオクテン−1,2−ジイル基、シクロノネン−1,2−ジイル基、シクロデセン−1,2−ジイル基が挙げられる。
3−10シクロアルケンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「2価のC6−12芳香族炭化水素基」としては、例えば、フェニレン基(例、1,4−フェニレン基)、ナフチレン基(例、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基)、ビフェニルジイル基(例、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基)が挙げられる。
2価のC6−12芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−7アシル基、C1−7アシル−オキシ基、C6−14アリール基、スルホ基が挙げられる。なお、スルホ基は、−SOHで表される基である。
次に、式(I)中の好ましい基等について説明する。
は、好ましくはC2−12アルカンジイル基または2価のC6−12芳香族炭化水素基であり、より好ましくはC2−12アルカンジイル基またはフェニレン基であり、さらに好ましくはフェニレン基であり、特に好ましくは1,4−フェニレン基である。
およびRは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子またはC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
は、好ましくはヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基であり、さらに好ましくはヒドロキシ基である。
Xは、好ましくは−NH−である。
化合物(I)は、好ましくは式(Ia):
[式(Ia)中、R〜RおよびXは上記と同義である。]
で表される化合物である。
化合物(I)の塩としては、(a)化合物(I)の−NHと他の酸とが形成するアミン塩、(b)Xが−NH−である場合、化合物(I)の−NH−と他の酸とが形成するアミン塩、および(c)Rがヒドロキシ基(−OH)である場合、化合物(I)の−COOHと他の塩基とが形成するカルボン酸塩が挙げられる。前記(a)および(b)のアミン塩を形成する他の酸としては、有機酸および無機酸のいずれでもよく、前記(c)のカルボン酸塩を形成する塩基は、有機塩基および無機塩基のいずれでもよい。化合物(I)の塩は、好ましくはカルボン酸塩であり、より好ましくはカルボン酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはカルボン酸アルカリ金属塩であり、特に好ましくはカルボン酸ナトリウム塩である。
化合物(I)の溶媒和物および化合物(I)の塩の溶媒和物を形成する溶媒は、水でもよく、有機溶媒(例えば、メタノール)でもよい。溶媒和物を形成する溶媒は、好ましくは水またはメタノールであり、より好ましくは水である。
本発明の一態様において、化合物(I)等は、好ましくは化合物(I)の塩の溶媒和物であり、より好ましくは化合物(I)のカルボン酸塩の溶媒和物であり、さらに好ましくはカルボン酸アルカリ金属塩の溶媒和物であり、特に好ましくはカルボン酸ナトリウム塩の溶媒和物である。この態様において、化合物(I)は化合物(Ia)であることが望ましい。
以下に化合物(I)またはその塩の具体例を示す。
化合物(I)等は、特許文献1に記載されている方法または該方法に準じた方法によって製造することができる。
次に、式(II)中の好ましい基等について説明する。
およびRは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
mは、好ましくは2〜7、より好ましくは2〜5である。
nは、好ましくは1である。
n価の金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン)、マンガンイオン、鉄イオン、銅イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。Mn+は、好ましくはHまたはアルカリ金属イオンであり、より好ましくはHまたはナトリウムイオンであり、さらに好ましくはHである。
化合物(II)としては、例えば、S−(アミノアルキル)チオ硫酸、S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩、S−(N,N−ジアルキルアミノアルキル)チオ硫酸、S−(N,N−ジアルキルアミノアルキル)チオ硫酸塩、S−(N−モノアルキルアミノアルキル)チオ硫酸、S−(N−モノアルキルアミノアルキル)チオ硫酸塩等が挙げられる。
S−(アミノアルキル)チオ硫酸としては、例えば、S−(2−アミノエチル)チオ硫酸、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸、S−(4−アミノブチル)チオ硫酸、S−(5−アミノペンチル)チオ硫酸、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸、S−(7−アミノヘプチル)チオ硫酸、S−(8−アミノオクチル)チオ硫酸、S−(9−アミノノニル)チオ硫酸等が挙げられる。
S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩としては、例えば、S−(2−アミノエチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム、S−(4−アミノブチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(5−アミノペンチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム、S−(7−アミノヘプチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(8−アミノオクチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(9−アミノノニル)チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
S−(N,N−ジアルキルアミノアルキル)チオ硫酸としては、例えば、S−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)チオ硫酸、S−(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)チオ硫酸、S−(4−N,N−ジメチルアミノブチル)チオ硫酸、S−(5−N,N−ジメチルアミノペンチル)チオ硫酸、S−(6−N,N−ジメチルアミノヘキシル)チオ硫酸、S−(7−N,N−ジメチルアミノヘプチル)チオ硫酸、S−(8−N,N−ジメチルアミノオクチル)チオ硫酸、S−(9−N,N−ジメチルアミノノニル)チオ硫酸等が挙げられる。
S−(N,N−ジアルキルアミノアルキル)チオ硫酸塩としては、例えば、S−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム、S−(4−N,N−ジメチルアミノブチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(5−N,N−ジメチルアミノペンチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(6−N,N−ジメチルアミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム、S−(7−N,N−ジメチルアミノヘプチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(8−N,N−ジメチルアミノオクチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(9−N,N−ジメチルアミノノニル)チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
S−(N−モノアルキルアミノアルキル)チオ硫酸としては、例えば、S−(2−N−メチルアミノエチル)チオ硫酸、S−(3−N−メチルアミノプロピル)チオ硫酸、S−(4−N−メチルアミノブチル)チオ硫酸、S−(5−N−メチルアミノペンチル)チオ硫酸、S−(6−N−メチルアミノヘキシル)チオ硫酸、S−(7−N−メチルアミノヘプチル)チオ硫酸、S−(8−N−メチルアミノオクチル)チオ硫酸、S−(9−N−メチルアミノノニル)チオ硫酸等が挙げられる。
S−(N−モノアルキルアミノアルキル)チオ硫酸塩としては、例えば、S−(2−N−メチルアミノエチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(3−N−メチルアミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム、S−(4−N−メチルアミノブチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(5−N−メチルアミノペンチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(6−N−メチルアミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム、S−(7−N−メチルアミノヘプチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(8−N−メチルアミノオクチル)チオ硫酸ナトリウム、S−(9−N−メチルアミノノニル)チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
化合物(II)は、好ましくはS−(アミノアルキル)チオ硫酸およびS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、より好ましくはS−(アミノアルキル)チオ硫酸であり、さらに好ましくはS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸である。
化合物(II)は、特許文献2に記載されている方法または該方法に準じた方法によって製造することができる。
本発明における化合物(C)の使用量は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.25〜8重量部、さらに好ましくは0.5〜4重量部である。
<オレフィン性二重結合を有するゴム成分>
本発明は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分を使用することを特徴の一つとする。オレフィン性二重結合を有するゴム成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン性二重結合を有するゴム成分としては、天然ゴム(NR)および変性天然ゴム(例えば、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム);スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)等の各種の合成ゴム;が例示される。
オレフィン性二重結合を有するゴム成分は、好ましくはジエン系ゴムを含む。ここで、ジエン系ゴムとは、共役2重結合を持つジエンモノマーを原料としたゴムを意味する。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム、変性天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムは、高不飽和性であることが好ましく、天然ゴムであることがより好ましい。また、天然ゴムと他のゴム(例えば、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム)とを併用することも有効である。
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のもの(例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25やENR50)が挙げられる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。その他の変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに4−ビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが挙げられる。
SBRとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRが挙げられる。中でも、トレッド用ゴム組成物のためには、溶液重合SBRが好ましい。
溶液重合SBRとしては、変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズおよびケイ素の少なくとも一つの元素を有する、変性溶液重合SBRが挙げられる。変性剤としては、例えば、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合SBRとしては、具体的には、日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、および旭化成社製「E10」および「E15」等のシラン変性溶液重合SBR等が挙げられる。
また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRも、トレッド用ゴム組成物のために好ましい。
BRとしては、低ビニル含量の溶液重合BRおよび高ビニル含量の溶液重合BRのいずれでもよいが、高ビニル含量の溶液重合BRが好ましい。変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、ケイ素の少なくとも一つの元素を有する変性溶液重合BRが特に好ましい。変性剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えば、トリアルコキシシラン化合物)、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。これらの変性剤は、単独で用いてもよいし、複数を用いてもよい。変性溶液重合BRとしては、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等のスズ変性BRが挙げられる。
BRは、トレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物のために好ましく用いることができる。BRは、SBRおよび/または天然ゴム(NR)とのブレンドで使用してもよい。トレッド用ゴム組成物では、オレフィン性二重結合を有するゴム成分中、例えば、SBRおよび/またはNRの量が60〜100重量%であり、BRの量が0〜40重量%である。サイドウォール用ゴム組成物では、オレフィン性二重結合を有するゴム成分中、好ましくは、SBRおよび/またはNRの量が10〜70重量%であり、BRの量が90〜30重量%であり、より好ましくは、NRの量が40〜60重量%であり、BRの量が60〜40重量%である。トレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物のために、変性SBRと非変性SBRとのブレンド、変性BRと非変性BRとのブレンド等も好ましく使用することができる。
ゴム組成物をタイヤのトレッド用に使用する場合、例えば乗用車用タイヤでは、オレフィン性二重結合を有するゴム成分として耐摩耗性やヒステリシスロス低減性能に優れるSBRをベース材料として用い、トラック・バス用タイヤではより高強度のNRを任意にSBRと共にベース材料として用い、これらベース材料に、必要に応じてBRをブレンドして用いることが、耐摩耗性、耐疲労性、反発弾性に優れたトレッドが得られるため好ましい。
ゴム組成物をタイヤのサイドウォール用に使用する場合、乗用車用タイヤではNRとSBRとをブレンドして、または、NRとBRとをブレンドして、トラック・バス用タイヤではNRとBRとをブレンドして使用することが、耐折曲げ屈曲性、耐き裂成長性が得られるため好ましい。
ゴム組成物をタイヤのベルト用に使用する場合、オレフィン性二重結合を有するゴム成分としてNRおよび/またはIRを使用することが、高弾性率や補強用繊維との良好な接着性が得られるため好ましい。
ゴム組成物をタイヤのインナーライナーとして使用する場合、オレフィン性二重結合を有するゴム成分としてIIRとSBRおよびNRとをブレンドして、またはIIRとNRとをブレンドして使用することが、抵ガス透過性と耐屈曲性が得られるため好ましい。
上述したように、オレフィン性二重結合を有するゴム成分は、好ましくはジエン系ゴムを含む。ジエン系ゴムを使用する場合、オレフィン性二重結合を有するゴム成分中のジエン系ゴムの量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは75〜100重量%である。オレフィン性二重結合を有するゴム成分は、ジエン系ゴムからなることが最も好ましい。
オレフィン性二重結合を有するゴム成分は、より好ましくは天然ゴムを含む。天然ゴムを使用する場合、オレフィン性二重結合を有するゴム成分中の天然ゴムの量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%である。
<シリカ>
本発明は、シリカを使用することを特徴の一つとする。シリカとしては、例えば、(i)pHが6〜8であるシリカ、(ii)ナトリウムを0.2〜1.5重量%含むシリカ、(iii)真円度が1〜1.3の真球状シリカ、(iv)シリコーンオイル(例、ジメチルシリコーンオイル)、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、アルコール(例、エタノール、ポリエチレングリコール)等で表面処理したシリカ、(v)二種類以上の異なった表面積を有するシリカの混合物等が挙げられる。これらは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの市販品としては、例えば、東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、「Nipsil(登録商標)AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)VN3−G」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」が挙げられる。
シリカのBET比表面積は、好ましくは20〜400m/g、より好ましくは20〜350m/g、さらに好ましくは20〜300m/gである。このBET比表面積は、多点窒素吸着法(BET法)によって測定することができる。
本発明におけるシリカの使用量は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、好ましくは10〜120重量部、より好ましくは22.5〜100重量部、さらに好ましくは35〜80重量部である。
<シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物>
本発明は、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物を使用することを特徴の一つとする。シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(別名:「オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル」、例えば、ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステル、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ここでシランカップリング剤とは、無機材料(例えば、シリカ)と結合し得る官能基および有機材料(例えば、ゴム成分)と結合し得る官能基を有するシラン系化合物を意味する。無機材料と結合し得る官能基としては、例えば、ケイ素原子に結合したC1−6アルコキシ基、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基等が挙げられ、ケイ素原子に結合したC1−6アルコキシ基が好ましい。有機材料と結合し得る官能基としては、例えば、ジスルフィド結合(S−S)、アミノ基等が挙げられ、ジスルフィド結合が好ましい。シランカップリング剤としては、ケイ素原子に結合したC1−6アルコキシ基およびジスルフィド結合を有するシランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
本発明におけるシリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物の使用量は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.25〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
<硫黄成分>
本発明で使用し得る硫黄成分としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、および高分散性硫黄、モルフォリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドが挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、ゴム組成物をベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材の製造に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。
本発明における硫黄成分の使用量は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
<他の成分>
本発明では、上述の成分(化合物(C)、オレフィン性二重結合を有するゴム成分、シリカ、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物、および硫黄成分)とは異なる他の成分を使用してもよい。他の成分としては、例えば、シリカとは異なる他の充填剤、1価アルコール、多価アルコール、加硫促進剤、加硫促進助剤、樹脂、老化防止剤、オイル、ワックス、しゃく解剤、リターダー、オキシエチレンユニットを有する化合物、触媒(例えば、ナフテン酸コバルト等)が挙げられる。他の成分は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
他の充填剤としては、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、瀝青炭粉砕物、タルク、クレー(特に、焼成クレー)、酸化チタンが挙げられる。他の充填剤を使用する場合、その使用量は、本発明におけるシリカの使用量および他の充填剤の使用量の合計あたり、好ましくは0〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。
他の充填剤としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを使用する場合、その使用量は、本発明におけるシリカの使用量およびカーボンブラックの使用量の合計あたり、好ましくは0〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられる。カーボンブラックは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。カーボンブラックとしては、例えば、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、ISAF−HM(Intermediate SAF−High Modulus)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF(Medium Abrasion Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)が挙げられる。
カーボンブラックのBET比表面積は、好ましくは10〜130m/g、より好ましくは20〜130m/g、さらに好ましくは40〜130m/gである。このBET比表面積は、多点窒素吸着法(BET法)によって測定することができる。
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m/g、DOP給油量50〜100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
瀝青炭粉砕物の平均粒径は、通常、0.1mm以下であり、好ましくは0.05mm以下、より好ましくは0.01mm以下である。平均粒径が0.1mmを超える瀝青炭粉砕物を使用しても、ゴム組成物のヒステリシスロスが充分に低減されず、低燃費性を充分に向上できない場合がある。また、ゴム組成物をインナーライナー用組成物として用いる場合には、平均粒径が0.1mmを超える瀝青炭粉砕物を使用しても、該組成物の耐空気透過性を充分に向上できない場合がある。
瀝青炭粉砕物の平均粒径の下限は特に限定されないが、好ましくは0.001mm以上である。0.001mm未満では、コストが高くなる傾向がある。なお、瀝青炭粉砕物の平均粒径は、JIS Z 8815−1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
瀝青炭粉砕物の比重は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。比重が1.6を超える瀝青炭粉砕物を使用すると、ゴム組成物全体の比重が増加し、タイヤの低燃費性向上が充分に図れないおそれがある。瀝青炭粉砕物の比重は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。比重が0.5未満である瀝青炭粉砕物を使用すると、混練時の加工性が悪化するおそれがある。
シリカを使用する本発明では、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物と共に、1価アルコールおよび多価アルコールを使用してもよい。1価アルコールとしては、例えば、エタノール、ブタノール、オクタノール等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。また、本発明では、分子末端がカルボキシ変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン等を使用してもよい。
加硫促進剤の例としては、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日 社団法人 日本ゴム協会発行)の412〜413頁に記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
加硫促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
硫黄成分と加硫促進剤との比率は特に制限されないが、硫黄成分/加硫促進剤の重量比は、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/5〜5/1、さらに好ましくは1/2〜2/1である。また天然ゴムを主成分とするゴム部材において、耐熱性を向上させる方法である硫黄成分/加硫促進剤の比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が特に必要な用途において好ましく用いられる。
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、シトラコンイミド化合物、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、有機チオスルフェート化合物および式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17は、C2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物が挙げられる。なお、本発明において酸化亜鉛は、加硫促進助剤の概念に包含され、上述の充填剤の概念には包含されない。
加硫促進助剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸、シトラコンイミド化合物が好ましく、酸化亜鉛、ステアリン酸がより好ましい。
酸化亜鉛を使用する場合、その使用量は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。ステアリン酸を使用する場合、その使用量は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
シトラコンイミド化合物としては、熱的に安定であり、オレフィン性二重結合を有するゴム成分中への分散性に優れるという理由から、ビスシトラコンイミド類が好ましい。具体的には、1,2−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドエチルトルエンなどが挙げられる。
シトラコンイミド化合物のなかでも、熱的に特に安定であり、オレフィン性二重結合を有するゴム成分中への分散性に特に優れ、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができる(リバージョン制御)という理由から、下記式で表される1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンが好ましい。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物を得ることができるという理由から、式(IV):
[式中、nは0〜10の整数であり、各Xは、それぞれ独立に2〜4の整数であり、各R19は、それぞれ独立にC5−12アルキル基である。]
で表されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を使用することが好ましい。
オレフィン性二重結合を有するゴム成分中へのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の分散性が良いという理由から、nは、好ましくは1〜9の整数である。
Xが4を超えると、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)が熱的に不安定となる傾向があり、Xが1であるとアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)中の硫黄含有率(硫黄の重量)が少ない。高硬度を効率よく発現させることができる(リバージョン抑制)という理由から、Xは2であることが好ましい。
19は、C5−12アルキル基である。オレフィン性二重結合を有するゴム成分中へのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の分散性が良いという理由から、R19は、好ましくはC6−9アルキル基である。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の具体例として、nが0〜10であり、Xが2であり、R19がオクチル基であり、硫黄含有率が24重量%である田岡化学工業社製のタッキロールV200が挙げられる。
加硫促進助剤として、高硬度(Hs)の加硫ゴム組成物が得られる(リバージョン抑制)という理由から、式(V):
HOS−S−(CH−S−SOH (V)
[式中、kは3〜10の整数である。]
で表される有機チオスルフェート化合物の塩(以下「有機チオスルフェート化合物塩(V)」と記載することがある。)を使用することが好ましい。結晶水を含有する有機チオスルフェート化合物塩(V)を使用してもよい。有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられ、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
kは、3〜10の整数であり、好ましくは3〜6の整数である。kが2以下では、充分な耐熱疲労性が得られない傾向があり、kが11以上では、有機チオスルフェート化合物塩(V)による耐熱疲労性の改善効果が充分に得られない場合がある。
有機チオスルフェート化合物塩(V)としては、常温常圧下で安定であるという観点から、そのナトリウム塩1水和物、ナトリウム塩2水和物が好ましく、コストの観点からチオ硫酸ナトリウムから得られる有機チオスルフェート化合物塩(V)がより好ましく、下記式で表される1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物がさらに好ましい。
オレフィン性二重結合を有するゴム成分中へ良好に分散すること、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)と併用した場合にアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)の−S−架橋の中間に挿入されて、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)とのハイブリッド架橋を形成することが可能であるという理由から、式(III):
16−S−S−R17−S−S−R18 (III)
(式中、R17はC2−10アルカンジイル基を示し、R16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基を示す。)
で表される化合物を、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(IV)と共に、加硫促進助剤として使用することが好ましい。
17は、C2−10アルカンジイル基、好ましくはC4−8アルカンジイル基であり、より好ましくは直鎖状のC4−8アルカンジイル基である。R17は、直鎖状であることが好ましい。R17の炭素数が1以下では、熱的な安定性が悪い場合がある。また、R17の炭素数が11以上では、加硫促進助剤を介したポリマー間の距離が長くなり、加硫促進助剤を添加する効果が得られない場合がある。
16およびR18は、それぞれ独立に、窒素原子を含む1価の有機基である。窒素原子を含む1価の有機基としては、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、芳香環および=N−C(=S)−基(チオカルバモイル基)を含むものがさらに好ましい。R16およびR18は、それぞれ同一でも、異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から、同一であることが好ましい。
化合物(III)としては、例えば、1,2−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどが挙げられる。なかでも、熱的に安定であり、オレフィン性二重結合を有するゴム成分中への分散性に優れるという理由から、1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
化合物(III)の市販品としては、例えば、バイエル社製のVULCUREN TRIAL PRODUCT KA9188、VULCUREN VP KA9188(1,6−ビス(ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)が挙げられる。
本発明において、レゾルシノール等の有機化合物、レゾルシノール樹脂、変性レゾルシノール樹脂、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂および変性フェノール樹脂等の樹脂を使用してもよい。レゾルシノールやこれらの樹脂を使用することにより、加硫ゴム組成物の破断時伸び、複素弾性率を向上させることができる。また、ゴム組成物をコードと接触するゴム製品の製造に使用する場合、レゾルシノールや樹脂を使用することにより、コードとの接着性を高めることができる。
レゾルシノールとしては、例えば、住友化学社製のレゾルシノール等が挙げられる。レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、インドスペック社製のペナコライト樹脂B−18−S、B−20、田岡化学工業社製のスミカノール620、ユニロイヤル社製のR−6、スケネクタディー化学社製のSRF1501、アッシュランド社製のArofene7209等が挙げられる。
クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール樹脂の末端のメチル基をヒドロキシ基に変性したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、田岡化学工業社製のスミカノール610、住友ベークライト社製のPR−X11061等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。また、変性フェノール樹脂としては、フェノール樹脂をカシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどを用いて変性した樹脂が挙げられる。
その他の樹脂としては、例えば、住友化学社製の「スミカノール507AP」等のメトキシ化メチロールメラミン樹脂;日鉄化学社製のクマロン樹脂NG4(軟化点81〜100℃)、神戸油化学工業社製の「プロセスレジンAC5」(軟化点75℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱瓦斯化学社製の「ニカノール(登録商標)A70」(軟化点70〜90℃)等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエンが挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。老化防止剤としては、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(略称「6PPD」、例えば住友化学社製「アンチゲン(登録商標)6C」)、アニリンとアセトンの反応生成物(略称「TMDQ」)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(例えば、松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
老化防止剤を使用する場合、その使用量は、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルが挙げられる。市販品としては、例えば、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)が挙げられる。
ワックスとしては、大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」、日本精蝋社製の「OZOACE−0355」等が挙げられる。
しゃく解剤としては、ゴム分野において通常用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の446〜449頁に記載される、芳香族メルカプタン系しゃく解剤、芳香族ジスルフィド系しゃく解剤、芳香族メルカプタン金属塩系しゃく解剤が挙げられる。中でも、ジキシリルジスルフィド、o,o’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(大内新興化学工業社製「ノクタイザーSS」)が好ましい。しゃく解剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
リターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
本発明では、式:−O−(CH−CH−O)−H[式中、qは1以上の整数である。]で表される構造を有するオキシエチレンユニットを有する化合物を使用してもよい。ここで、上記式中、qは、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、qは16以下が好ましく、14以下がより好ましい。qが17以上では、オレフィン性二重結合を有するゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
オキシエチレンユニットを有する化合物中のオキシエチレンユニットの位置は、主鎖でも、末端でも、側鎖でもよい。得られるタイヤ表面における静電気の蓄積防止効果の持続性および電気抵抗の低減の観点から、オキシエチレンユニットを有する化合物の中でも、少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物が好ましい。
主鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンスチレン化アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイドなどが挙げられる。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物を使用する場合、オキシエチレンユニットの個数は、主鎖を構成する炭素数100個当たり4個以上が好ましく、8個以上がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が3個以下では、電気抵抗が増大する傾向がある。また、オキシエチレンユニットの個数は12個以下が好ましく、10個以下がより好ましい。オキシエチレンユニットの個数が13個以上では、オレフィン性二重結合を有するゴム成分との相溶性および補強性が低下する傾向がある。
少なくとも側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物の主鎖としては、主としてポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンから構成されるものが好ましい。
<製造方法>
(1)ゴム組成物および硫黄を含有するゴム組成物の製造方法
本発明のゴム組成物の製造方法は、化合物(C)と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分と、シリカとを混練して、混練物を得る工程1、および得られた混練物と、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物とを混練して、ゴム組成物を得る工程2、を含むことを特徴とする。
本発明では、化合物(C)(特に化合物(I)、化合物(II))が、加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)を低減させる作用を有すると推定される。しかし、後述の比較例で示すように、化合物(C)と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分と、シリカと、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物とを一度に混練してゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物と硫黄成分とを混練して硫黄成分を含有するゴム組成物を調製し、得られた硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって得られる加硫ゴム組成物の損失係数が、化合物(C)を使用せずに得られる加硫ゴム組成物の損失係数に比べて、あまり低減しないという問題を、本発明者は見出した。
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、まず、化合物(C)と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分と、シリカとを混練して、混練物を調製し(工程1)、次いで得られた混練物と、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物とを混練して、ゴム組成物を調製することによって(工程2)、後述の実施例で示されるように、損失係数が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られることを見出した。
加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)の低減の観点から、本発明における化合物(C)の使用量の全部を、工程1で混練することが好ましい。但し、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、本発明における化合物(C)の使用量の一部を、工程2で混練してもよい。工程2で混練する化合物(C)の量は、本発明におけるその使用量中、好ましくは0〜25重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)の低減の観点から、本発明におけるオレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量の全部を、工程1で混練することが好ましい。但し、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、本発明におけるオレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量の一部を、工程2で混練してもよい。工程2で混練するオレフィン性二重結合を有するゴム成分の量は、本発明におけるその使用量中、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜40重量%である。
加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)の低減の観点から、本発明におけるシリカの使用量の全部を、工程1で混練することが好ましい。但し、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、本発明におけるシリカの使用量の一部を、工程2で混練してもよい。工程2で混練するシリカの量は、本発明におけるその使用量中、好ましくは0〜75重量%、より好ましくは0〜25重量%である。
加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)の低減の観点から、本発明におけるシリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物の使用量の全部を、工程2で混練することが好ましい。但し、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、本発明におけるシリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物の使用量の一部を、工程1で混練してもよい。工程2で混練するシリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物の量は、本発明におけるその使用量中、好ましくは0〜25重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
本発明において、オレフィン性二重結合を有するゴム成分を加工しやすくするため、工程1の前に、前記ゴム成分を素練りする予備混練工程を設けてもよい。しゃく解剤を使用する場合、本発明におけるその使用量の全部を予備混練工程で混練するか、またはその使用量の一部を予備混練工程で混練し、残りを工程1で混練することが好ましい。
本発明において、硫黄成分は、工程2で得られたゴム組成物と混練する。なお、以下では、ゴム組成物と硫黄成分とを混練する工程をpro工程と記載することがある。加硫促進剤を使用する場合、その使用量の全部を、pro工程で混練することが好ましい。また、リターダーを使用する場合、その使用量の全部を、pro工程で混練することが好ましい。
加硫促進剤、しゃく解剤およびリターダーを除く他の成分(例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤)は、予備混練工程、工程1および工程2のいずれで混練してもよい。但し、混練中に、化合物(C)を、オレフィン性二重結合を有するゴム成分およびシリカと充分に反応または相互作用させて、化合物(C)の損失係数低減効果を充分に発揮させるために、加硫促進剤、しゃく解剤およびリターダーを除く他の成分の使用量の全部を、工程2で混練することが好ましい。
以下、予備混練工程、工程1、工程2およびpro工程等について順に説明する。
(a)予備混練工程
上述したように、本発明の方法では、工程1の前に、オレフィン性二重結合を有するゴム成分を素練りする予備混練工程を行ってもよい。予備混練工程における素練りには、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。
予備混練工程における素練りのための回転速度は、好ましくは5〜100rpm、より好ましくは10〜80rpm、さらに好ましくは10〜60rpmである。素練りのための混練時間は、好ましくは0.5〜15分、より好ましくは1〜10分、さらに好ましくは1〜4分である。
(b)工程1
工程1における化合物(C)、オレフィン性二重結合を有するゴム成分、およびシリカの混練、または工程1における化合物、オレフィン性二重結合を有するゴム成分、シリカ、および必要に応じて他の成分の混練(本明細書中、「工程1の混練」と略称することがある)には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。
本発明における工程1および工程2を、例えば、下記(i)または(ii)のようにして行うことができる:
(i)工程1の後、工程1で使用した装置から混練物を排出し、冷却してから、得られた混練物、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物、および必要に応じて他の成分を工程2で使用する装置に投入し、工程2の混練を行う。
(ii)工程1の後、工程1で使用した装置から混練物を排出せずに、該装置にシリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物、および必要に応じて他の成分を投入して、工程1の混練に続けて、工程2の混練を行う。
作業上の観点から、上記(i)の態様が好ましい。
上記(i)および(ii)の態様のいずれでも、工程1の混練を充分に行ってから、工程2の混練を行うことが好ましい。工程1の混練を充分に行ったか否かは、工程1で使用した装置のトルクの変化から判断することができる。詳しくは、混練が不充分である間は装置のトルクは上昇し、その後に装置のトルクは低下していく。装置のトルクが低下する時間以上の時間(例えば、装置のトルクが低下した後、さらに1〜5分経過するまでの時間)、工程1の混練を行うことが好ましい。
工程1の混練は、その回転速度を変更して行ってもよい。例えば、まず、低速の第1の回転速度で混練してから、次いで第1の回転速度より速い第2の回転速度で混練を行ってもよい。第1の回転速度は、好ましくは2〜35rpm、より好ましくは4〜25pm、さらに好ましくは6〜15rpmであり、その混練時間は、好ましくは0.5〜5分、より好ましくは0.5〜3分、さらに好ましくは0.5〜2分である。第2の回転速度は、好ましくは35〜100rpm、より好ましくは40〜90pm、さらに好ましくは45〜80rpmであり、その混練時間は、好ましくは1〜10分、より好ましくは1.5〜8分、さらに好ましくは2〜6分である。
上記(i)の態様のように、工程1で使用した装置から混練物を排出する場合、混練物の排出温度は、好ましくは120〜180℃、より好ましくは130〜170℃、さらに好ましくは140〜160℃である。
(c)冷却工程
上述したように、本発明の方法では、工程1の後に、工程1で使用した装置から混練物を排出し、混練物を冷却してもよい。工程1で使用した装置からの冷却操作としては、例えば、放冷、水冷、強制空冷が挙げられる。これらの中で、簡便な放冷が好ましい。
冷却(特に放冷)を促進するために、工程1で得られた混練物を、オープンロールを使用して、シート状またはボード状に加工してもよい。シート状またはボード状に加工された混練物の厚さは、好ましくは0.5〜20mm、より好ましくは2〜10mmである。
(d)工程2
工程2における上記混練物およびシリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物の混練、または工程2における上記混練物、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物および必要に応じて他の成分の混練(本明細書中、「工程2の混練」と略称することがある)には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。
工程2の混練開始時の装置設定温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは60〜160℃である。
冷却工程を行った場合、冷却後の混練物中のゴム成分をせん断させるために、まず、この混練物のみを混練することが好ましい。この混練物のみの混練の回転速度は、好ましくは35〜100rpm、より好ましくは40〜90pm、さらに好ましくは45〜80rpmであり、その混練時間は、好ましくは0.5〜10分、より好ましくは1〜8分、さらに好ましくは2〜5分である。
工程2の混練は、その回転速度を変更して行ってもよい。例えば、まず、低速の第1の回転速度で混練してから、次いで第1の回転速度より速い第2の回転速度で混練を行ってもよい。第1の回転速度は、好ましくは2〜35rpm、より好ましくは4〜25pm、さらに好ましくは6〜15rpmであり、その混練時間は、好ましくは0.5〜5分、より好ましくは0.5〜3分、さらに好ましくは0.5〜2分である。第2の回転速度は、好ましくは35〜100rpm、より好ましくは40〜90pm、さらに好ましくは45〜80rpmであり、その混練時間は、好ましくは1〜10分、より好ましくは1.5〜8分、さらに好ましくは2〜6分である。
本発明では、工程2で得られたゴム組成物を、工程2で使用した装置から排出し、工程2とは別の装置を使用して、得られたゴム組成物と硫黄成分とを混練するpro工程工程を行うことが好ましい。工程2で使用した装置からのゴム組成物の排出温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜190℃、さらに好ましくは100〜180℃である。
(e)pro工程
上述のようにして得られたゴム組成物と、硫黄成分との混練には、例えば、オープンロール、カレンダー等を使用することができる。pro工程の混練温度(混練しているゴム組成物の温度)は、好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは40〜80℃である。
(2)加硫ゴム組成物の製造方法
硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造することができる。加硫温度は、120〜180℃が好ましい。当業者であれば、ゴム組成物の組成に応じて、加硫時間を適宜設定することができる。加硫は、通常、常圧または加圧下で行われる。
<ゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物および加硫ゴム組成物>
本発明は、上述の方法によって得られた、ゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物も提供する。
後述の実施例および比較例で示されるように、工程1および工程2を含む本発明の方法で得られた加硫ゴム組成物の損失係数(tanδ)は、化合物(C)と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分と、シリカと、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物とを一度に混練する工程を含む方法(以下「他の方法」と略称することがある。)で得られた加硫ゴム組成物の損失係数に比べて、非常に低い。そのため、本発明の方法で得られたゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物および加硫ゴム組成物は、他の方法で得られたゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物および加硫ゴム組成物と異なる物であることは明らかである。
しかし、本発明の方法で得られたゴム組成物等と、操作のみが異なり、使用成分が同じである他の方法で得られたゴム組成物等とを区別することは、現在の分析技術では不可能であるか、またはおよそ実際的でない。言い換えると、固体のゴム組成物を分析する現在の技術では、本発明の方法で得られたゴム組成物等を、その構造等によって直接特定することは不可能であるか、またはおよそ実際的でない。そのため、本明細書および特許請求の範囲では、本発明のゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物および加硫ゴム組成物を、本発明の方法によって特定する。
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の実施例等に記載の「部」は「重量部」を意味する。
<成分>
以下の実施例等で使用した成分および略号は以下の通りである。
・NR:天然ゴム(RSS#1)
・SBR:溶液重合スチレン・ブタジエン共重合ゴム(住友化学社製、商品名「SE−0212」)
・BR:ポリブタジエンゴム(JSR社製、商品名「BR01」)
・シリカ(東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil(登録商標)AQ」、BET比表面積:190m/g)
・CB:カーボンブラックISAF(旭カーボン社製、商品名「旭#80」、BET比表面積:115m/g)
・化合物(Ia−1):(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム・二水和物
・化合物(II−1):S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸
・シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、デグッサ社製、商品名「Si−75」)
・酸化亜鉛(ZnO)
・ステアリン酸(花王社製、商品名「ルナックS20」)
・老化防止剤:N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(住友化学社製、商品名「アンチゲン(登録商標)6C」)
・硫黄成分:粉末硫黄(S
・加硫促進剤1:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)
・加硫促進剤2:ジフェニルグアニジン(DPG)
<参考例1および2、実施例1〜12、並びに比較例1および2>
以下のようにして、参考例1および2、実施例1〜12、並びに比較例1および2のゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物を製造した。
予備混練工程および工程1(参考例2、実施例1〜12、並びに比較例1および2)
混練開始時の温度を140℃に設定した加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、天然ゴムを投入後、回転数50rpmにて2分素練りした。そこへ、下記表の工程1に示す量で天然ゴム以外の成分を加えて、回転数10rpmにて2分の混練を行い、その後に回転数50rpmにて3分の混練を行い、混練物を排出した。なお、天然ゴム以外の成分を加えてから装置のトルクが低下するまでの時間は約2.5分であり、装置のトルクが低下した後、さらに回転数50rpmにて2.5分の混練を行った。また、工程1の混練物の排出温度は約150℃であった。
冷却工程(参考例2、実施例1〜12、並びに比較例1および2)
工程1で得られた混練物を設定温度50℃のオープンロール(関西ロール社製ラボラトリーミル)を用いて、混練物を厚さ3〜5mmのシート状に加工した後、室温になるまで、室温の大気雰囲気下でシート状の混練物を放冷した。
工程2
混練開始時の温度を140℃に設定した加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、上記冷却工程後の混練物(下記表では「混練物」と記載する。)を投入して、回転数50rpmにて1分のせん断をかけた後に、下記表に示す種類および量の成分を投入し、回転数10rpmにて2分、さらに回転数50rpmにて3分混練を行って、ゴム組成物を得た。ゴム組成物の排出温度は約150℃であった。
pro工程
オープンロールで60〜80℃の温度にて、工程2で得られたゴム組成物と、下記表に示す量の硫黄成分並びに加硫促進剤1および2とを混練し、硫黄成分を含有するゴム組成物を得た。
加硫工程
加硫プレス機を用いて、加硫温度を145℃に設定し、加硫時間をJIS K 6300−2に準拠したレオメーター測定にて得られたt(90)の値に10分を加えた時間に設定して、pro工程で得られたゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を得た。
下記表に示すように、参考例1および2では、化合物(Ia−1)および化合物(II−1)を使用しなかった。
比較例1では、工程1で化合物(Ia−1)および化合物(II−1)の代わりにシランカップリング剤を混練した。
比較例2では、工程1でシリカを混練しなかった。
下記表に示すように、参考例1では、上記工程1を行わず、硫黄成分並びに加硫促進剤1および2以外の成分を上記工程2で混練してゴム組成物を製造した。具体的には、混練開始時の温度を140℃に設定した加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、100重量部の天然ゴムを投入して、回転数50rpmにて2分のせん断をかけた後に、下記表に示す種類および量の成分を投入し、回転数10rpmにて2分、さらに回転数50rpmにて3分混練を行って、ゴム組成物を得た。ゴム組成物の排出温度は約150℃であった。
tanδの相対値の算出
以下の条件で株式会社上島製作所製の粘弾性アナライザを用いて、実施例、比較例および参考例で得られた加硫ゴム組成物の粘弾性特性を測定し、それらの60℃での損失係数(tanδ)を求めた。
測定温度:60℃
初期歪:10%
動的歪:2.5%
周波数:10Hz
参考例1および2、実施例1〜12、並びに比較例1および2では、参考例2の加硫ゴム組成物のtanδを基準にして、tanδの相対値を算出した。具体的には、上記のようにして測定した加硫ゴム組成物のtanδを使用し、次式:
tanδの相対値=100×(加硫ゴム組成物のtanδ)/(参考例2の加硫ゴム組成物のtanδ)
から、tanδの相対値を算出した。結果を下記表に示す。
上記表で示されるように、本発明の要件を満たす実施例1〜12では、tanδの相対値が、化合物(Ia−1)および化合物(II−1)を使用しない参考例1および2に比べて大幅に低減した。一方、化合物(Ia−1)および化合物(II−1)の代わりにシランカップリング剤を使用する比較例1では、tanδの相対値が、参考例1および2に比べて増大した。また、工程1で天然ゴムおよび化合物(Ia−1)を混練するが、シリカを混練しない比較例2では、tanδの相対値が参考例1および2と同等であった。
上記表で示されるように、シリカの一部を工程2で混練する実施例7〜9、および天然ゴムの一部を工程2で混練する実施例10〜12でも、シリカおよび天然ゴムの全部を工程1で混練する実施例1〜6と同様に、損失係数(tanδ)が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られた。
上記の結果から、化合物(C)(=化合物(Ia−1)または化合物(II−1))と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分(=天然ゴム)と、シリカとを混練して、混練物を調製し(工程1)、次いで得られた混練物と、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物(=シランカップリング剤)とを混練して、ゴム組成物を調製することによって(工程2)、損失係数が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られることが示される。
<参考例3および4、実施例13、並びに比較例3>
天然ゴムのみではなく、天然ゴムおよび溶液重合スチレン・ブタジエン共重合ゴムを使用したこと以外は上記の実施例1等と同様にして、参考例3および4、実施例13、並びに比較例3のゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物を製造し、加硫ゴム組成物の60℃での損失係数(tanδ)を測定した。使用した成分の種類および量を下記表に示す。
下記表に示すように、参考例3および4では、化合物(Ia−1)を使用しなかった。
また、参考例3および比較例3では、上記工程1を行わず、硫黄成分並びに加硫促進剤1および2以外の成分を上記工程2で混練してゴム組成物を製造した。具体的には、混練開始時の温度を140℃に設定した加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、下記表に示す種類および量のゴム成分を投入して、回転数50rpmにて2分のせん断をかけた後に、下記表に示す種類および量の他の成分を投入し、回転数10rpmにて2分、さらに回転数50rpmにて3分混練を行って、ゴム組成物を得た。ゴム組成物の排出温度は約150℃であった。
参考例3および4、実施例13、並びに比較例3では、参考例3の加硫ゴム組成物のtanδを基準にして、tanδの相対値を算出した。具体的には、上記のようにして測定した加硫ゴム組成物のtanδを使用し、次式:
tanδの相対値=100×(加硫ゴム組成物のtanδ)/(参考例3の加硫ゴム組成物のtanδ)
から、tanδの相対値を算出した。結果を下記表に示す。
上記表に示すように、ゴム成分として天然ゴムおよび溶液重合スチレン・ブタジエン共重合ゴムを使用する場合も、本発明の要件を満たす実施例13では、損失係数(tanδ)が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られた。
実施例13と比較例3との対比から、化合物(C)(=化合物(Ia−1))と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分(=天然ゴムおよび溶液重合スチレン・ブタジエン共重合ゴム)と、シリカと、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物(=シランカップリング剤)とを一度に混練してゴム組成物を製造する場合に比べて、これらを工程1および2に分けて混練する本発明によって、損失係数が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られることが示される。
<参考例5および6、実施例14、並びに比較例4>
天然ゴムのみではなく、天然ゴムおよびポリブタジエンゴムを使用したこと以外は上記の実施例1等と同様にして、参考例5および6、実施例14、並びに比較例4のゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物を製造し、加硫ゴム組成物の60℃での損失係数(tanδ)を測定した。使用した成分の種類および量を下記表に示す。
下記表に示すように、参考例5および6では、化合物(Ia−1)を使用しなかった。
また、参考例5および比較例4では、上記工程1を行わず、硫黄成分並びに加硫促進剤1および2以外の成分を上記工程2で混練してゴム組成物を製造した。具体的には、混練開始時の温度を140℃に設定した加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、下記表に示す種類および量のゴム成分を投入して、回転数50rpmにて2分のせん断をかけた後に、下記表に示す種類および量の他の成分を投入し、回転数10rpmにて2分、さらに回転数50rpmにて3分混練を行って、ゴム組成物を得た。ゴム組成物の排出温度は約150℃であった。
参考例5および6、実施例14、並びに比較例4では、参考例5の加硫ゴム組成物のtanδを基準にして、tanδの相対値を算出した。具体的には、上記のようにして測定した加硫ゴム組成物のtanδを使用し、次式:
tanδの相対値=100×(加硫ゴム組成物のtanδ)/(参考例5の加硫ゴム組成物のtanδ)
から、tanδの相対値を算出した。結果を下記表に示す。
上記表に示すように、ゴム成分として天然ゴムおよびポリブタジエンゴムを使用する場合も、本発明の要件を満たす実施例14では、損失係数(tanδ)が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られた。
実施例14と比較例4との対比から、化合物(C)(=化合物(Ia−1))と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分(=天然ゴムおよびポリブタジエンゴム)と、シリカと、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物(=シランカップリング剤)とを一度に混練してゴム組成物を製造する場合に比べて、これらを工程1および2に分けて混練する本発明によって、損失係数が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られることが示される。
<参考例7および8、実施例15、並びに比較例5>
天然ゴムのみではなく、天然ゴム、溶液重合スチレン・ブタジエン共重合ゴムおよびポリブタジエンゴムを使用したこと以外は上記の実施例1等と同様にして、参考例7および8、実施例15、並びに比較例5のゴム組成物、硫黄成分を含有するゴム組成物、および加硫ゴム組成物を製造し、加硫ゴム組成物の60℃での損失係数(tanδ)を測定した。使用した成分の種類および量を下記表に示す。
下記表に示すように、参考例7および8では、化合物(Ia−1)を使用しなかった。
また、参考例7および比較例5では、上記工程1を行わず、硫黄成分並びに加硫促進剤1および2以外の成分を上記工程2で混練してゴム組成物を製造した。具体的には、混練開始時の温度を140℃に設定した加圧式ニーダー((株)トーシン製TD1−5MDX)に、下記表に示す種類および量のゴム成分を投入して、回転数50rpmにて2分のせん断をかけた後に、下記表に示す種類および量の他の成分を投入し、回転数10rpmにて2分、さらに回転数50rpmにて3分混練を行って、ゴム組成物を得た。ゴム組成物の排出温度は約150℃であった。
参考例7および8、実施例15、並びに比較例5では、参考例7の加硫ゴム組成物のtanδを基準にして、tanδの相対値を算出した。具体的には、上記のようにして測定した加硫ゴム組成物のtanδを使用し、次式:
tanδの相対値=100×(加硫ゴム組成物のtanδ)/(参考例7の加硫ゴム組成物のtanδ)
から、tanδの相対値を算出した。結果を下記表に示す。
上記表に示すように、ゴム成分として天然ゴム、溶液重合スチレン・ブタジエン共重合ゴムおよびポリブタジエンゴムを使用する場合も、本発明の要件を満たす実施例15では、損失係数(tanδ)が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られた。
実施例15と比較例5との対比から、化合物(C)(=化合物(Ia−1))と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分(=天然ゴム、溶液重合スチレン・ブタジエン共重合ゴムおよびポリブタジエンゴム)と、シリカと、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物(=シランカップリング剤)とを一度に混練してゴム組成物をする場合に比べて、これらを工程1および2に分けて混練する本発明によって、損失係数が充分に低減された加硫ゴム組成物が得られることが示される。
本発明の方法によれば、損失係数が低い加硫ゴム組成物を製造することができる。本発明の方法によって得られたゴム組成物は、様々な製品(例えば、加硫タイヤおよびタイヤ用部材)の製造に有用である。

Claims (14)

  1. オレフィン性二重結合と反応し得る基または構造(A)、およびシリカと反応または相互作用し得る基または構造(B)を有し、Si−O結合を有さない化合物(C)と、オレフィン性二重結合を有するゴム成分と、シリカとを混練して、混練物を得る工程1、および
    得られた混練物と、シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物とを混練して、ゴム組成物を得る工程2、
    を含むゴム組成物の製造方法。
  2. 化合物(C)が、式(I):
    [式(I)中、
    は、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルカンジイル基、1以上の置換基を有していてもよい2価のC6−12芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せを表す。
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリール基を表すか、或いはRおよびRが結合し、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1以上の置換基を有していてもよいC3−10シクロアルケンジイル基を形成する。
    は、ヒドロキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、1以上の置換基を有していてもよいC6−14アリールオキシ基、または−NR(前記式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表す。)を表す。
    Xは、−NH−または−O−を表す。]
    で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物、並びに式(II):
    [式(II)中、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子または1以上の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を表すか、或いはRおよびRが結合し、1以上の置換基を有していてもよいC2−12アルカンジイル基を形成する。
    mは、2〜9の整数を表す。
    nは、1または2を表す。
    n+は、Hまたはn価の金属イオンを表す。]
    で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の方法。
  3. 式(I)で表される化合物、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物が、式(I)で表される化合物の塩の溶媒和物である請求項2に記載の方法。
  4. シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物が、シランカップリング剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. オレフィン性二重結合を有するゴム成分が、ジエン系ゴムを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. オレフィン性二重結合を有するゴム成分が、天然ゴムを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 化合物(C)の使用量が、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、0.1〜10重量部である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. シリカの使用量が、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、10〜120重量部である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. シリカと結合可能なSi−O結合を有する化合物の使用量が、オレフィン性二重結合を有するゴム成分の使用量100重量部に対して、0.1〜20重量部である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得られたゴム組成物と、硫黄成分とを混練することを含む、硫黄成分を含有するゴム組成物の製造方法。
  11. 請求項10に記載の方法で得られた硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することを含む、加硫ゴム組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得られたゴム組成物。
  13. 請求項10に記載の方法で得られた硫黄成分を含有するゴム組成物。
  14. 請求項11に記載の方法で得られた加硫ゴム組成物。
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