JP2018172446A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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智希 岩田
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Abstract

【課題】シリカ等の無機充填材を含有するゴム組成物において、低ロス性及び破断強度を向上させ、更に十分な成形時間を確保しながら加硫時間を短縮し得るゴム組成物を提供すること。
【解決手段】リン酸亜鉛、アミノグアニジン誘導体、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材を含む充填材並びにシランカップリング剤を含有する、ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の化合物を含有するゴム組成物及びその組成物を用いたタイヤに関する。
充填材は、ゴムに混合して、ゴムの補強、増量や特殊機能を付与するなどの目的で用いられる配合剤である。代表的な充填材であるカ−ボンブラックは、ゴムの弾性率及び破断強度などの力学特性の向上(補強効果)に寄与しているのみならず、導電性を付与するなどの機能も有する。
カ−ボンブラックと同様にゴムの補強効果が得られ、発熱性の低い、即ち低ロス性のゴム組成物を得ることができる方法として、シリカ等の無機充填材を使用する方法が知られており、環境性に配慮した低燃費タイヤ向けのゴム組成物などに応用されている。
無機充填材配合ゴム組成物において、無機充填材を配合する際、無機充填材、特に、表面にシラノ−ル基を有する親水性のシリカは、疎水性のゴムとの親和性が低く、ゴム組成物中で凝集してしまうため、シリカによる補強性を高め、低発熱化効果を得るには、シリカとゴムの親和性を高める必要がある。その方法として、極性基で末端変性することにより無機充填材との親和性を向上させた合成ゴムや(特許文献1参照)、極性基含有単量体を共重合させて無機充填材との親和性を向上させた合成ゴム(特許文献2参照)等が知られている。天然ゴムを変性して極性基を導入する方法としては、天然ゴムを酸化した後、極性基を有するヒドラジド化合物で変性する方法(特許文献3参照)、極性基を導入した変性天然ゴムとシリカを含むゴム組成物にシランカップリング剤を添加することにより、シリカの分散性を更に向上させる方法(特許文献4参照)が知られている。
このように、シリカの分散性を向上させる検討とともに、シリカは酸性であるため、シリカへの加硫促進剤の吸着による加硫遅延を抑制する検討も行われている。例えば、特許文献5においては、ポリエチレングリコールやアミンを加えることにより加硫遅延の抑制を図っている。しかし、ポリエチレングリコールやアミンは成形時間を短くする副作用があり、これにより加工性が低下してしまうという問題もある。
今後、大気中の二酸化炭素濃度、大気汚染など、環境問題に対する世の中の関心はますます高くなることが予想され、シリカ等の無機充填材を添加しても生産性を低下させずに、タイヤの転がり抵抗を抑え、自動車の低燃費化につながる、低ロス性に優れたゴム組成物及びタイヤを提供する技術が求められている。
特開2010−209253号公報 特開2011−38009号公報 特開2009−108204号公報 特開2011−246513号公報 特開2001−139727号報
本発明の課題は、シリカ等の無機充填材を含有するゴム組成物において、低ロス性及び破断強度を向上させ、更に十分な成形時間を確保しながら加硫時間を短縮し得るゴム組成物を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、リン酸亜鉛、アミノグアニジン誘導体、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材を含む充填材並びにシランカップリング剤を混合することにより得られるゴム組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、リン酸亜鉛、アミノグアニジン誘導体、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材を含む充填材並びにシランカップリング剤を混合することにより得られるゴム組成物である。
また、本発明の別の態様は、上記ゴム組成物をタイヤ部材のトレッドに用いたタイヤである。
本発明によれば、低ロス性及び破断強度に優れ、更に十分な成形時間を確保しながら加硫時間を短縮し得るゴム組成物及びタイヤを提供することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、リン酸亜鉛及びアミノグアニジン誘導体と天然ゴム及び/又は合成ゴムに加えて、無機充填材及びシランカップリング剤を含有するものである。
本発明の原料ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムいずれも用いることができる。
前記天然ゴムとしては、天然ゴムラテックスを凝固、乾燥して得られるシ−トゴム、ブロックゴムいずれの形状も原料として用いることができる。シ−トゴムとしては、「天然ゴム各種等級品の国際品質包装基準」(通称グリ−ンブック)の格付けにより分類した、シ−トを煙で燻しながら乾燥させたリブドスモ−クドシ−ト(RSS)、シ−トを熱風乾燥させたエアドライシ−ト(ADS)凝固物を充分に水洗し熱風で乾燥させたクレ−プなどが挙げられ、この他に、TCラバ−(Technically Classified Rubber)、SPラバ−(Super Processing Rubber)、MGラバ−、PPクレ−プ、軟化剤、しゃく解剤添加ゴム等が挙げられる。ブロックゴムとしては、マレ−シアのSMR(Standard Malaysian Rubber)、インドネシアのSIR、タイのTTR、スリランカのSCR、シンガポ−ルのSSRなどが挙げられる。これら天然ゴム原材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、天然ゴムラテックスを酸化処理した後に凝固させたゴムを用いてもよく、天然ゴムラテックスの酸化は公知の方法で行うことができる。例えば、特開平8−81505号公報に従って、有機溶剤に1〜30質量%の割合で溶解した天然ゴムラテックスを金属系酸化触媒の存在下で空気酸化することによって天然ゴムラテックスの酸化を行うことができる。また、特開平9−136903号公報に記載されているように、天然ゴムラテックスにカルボニル化合物を添加して、酸化を行うこともできる。酸化方法として空気酸化を行う場合は、特開平9−136903号公報に記載されているように、空気酸化を促進するためにラジカル発生剤の存在下で空気酸化を行ってもよい。ラジカル発生剤としては、例えば過酸化物系ラジカル発生剤、レドックス系ラジカル発生剤、アゾ系ラジカル発生剤等が好適に用いられる。
前記合成ゴムとしては、例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、末端変性スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなど、分子内に二重結合を有するジエン系ゴムが挙げられる。
本発明のリン酸亜鉛とは、化学式Zn(PO又はZnで表される化合物であり、中でも化学式Zn(POで表される化合物を用いることが好ましく、無水物と水和物いずれを用いてもよい。リン酸亜鉛の含有量は、天然ゴム及び/又は合成ゴム(ゴム成分)に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、この範囲の含有量であるとゴム組成物の加硫挙動に影響を与えない。リン酸亜鉛は公知の化合物であり、例えば、和光純薬工業(株)製のリン酸亜鉛四水和物(Zn(PO・4HO)、二リン酸亜鉛(Zn(PO)等を市販品として入手することができる。
本発明のアミノグアニジン誘導体としては、アミノグアニジン、ジアミノグアニジン、トリアミノグアニジンなどを用いることができる。
本発明のアミノグアニジン誘導体は、その分子内に存在する複数の窒素原子によって共役酸のプラスの電荷が分散安定化されるため、強い塩基性を示し、通常は酸との複合体(塩)で存在する。アミノグアニジン誘導体の具体例としては、重炭酸アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノグアニジンヨウ化水素酸塩、アミノグアニジン臭化水素酸塩、アミノグアニジンヘミ硫酸塩、アミノグアニジン硝酸塩、アミノグアニジンシュウ酸塩、アミノグアニジンリン酸塩、アミノグアニジン酢酸塩、アミノグアニジンスルファミン酸塩、アミノグアニジン過塩素酸塩、アミノグアニジンケイ酸塩、アミノグアニジンホウ酸塩、アミノグアニジンフェニルホスフィン酸塩などが挙げられる。ジアミノグアニジン塩として、例えば、ジアミノグアニジン炭酸塩、ジアミノグアニジン塩酸塩、ジアミノグアニジンヨウ化水素酸塩、ジアミノグアニジン臭化水素酸塩、ジアミノグアニジンヘミ硫酸塩、ジアミノグアニジン硝酸塩、ジアミノグアニジンシュウ酸塩、ジアミノグアニジンリン酸塩、ジアミノグアニジン酢酸塩、ジアミノグアニジンスルファミン酸塩、ジアミノグアニジン過塩素酸塩、ジアミノグアニジンケイ酸塩、ジアミノグアニジンホウ酸塩、ジアミノグアニジンフェニルホスフィン酸塩などが挙げられる。トリアミノグアニジン塩として、例えば、トリアミノグアニジン炭酸塩、トリアミノグアニジン塩酸塩、トリアミノグアニジンヨウ化水素酸塩、トリアミノグアニジン臭化水素酸塩、トリアミノグアニジンヘミ硫酸塩、トリアミノグアニジン硝酸塩、トリアミノグアニジンシュウ酸塩、トリアミノグアニジンリン酸塩、トリアミノグアニジン酢酸塩、トリアミノグアニジンスルファミン酸塩、トリアミノグアニジン過塩素酸塩、トリアミノグアニジンケイ酸塩、トリアミノグアニジンホウ酸塩、トリアミノグアニジンフェニルホスフィン酸塩などが挙げられる。
これらのアミノグアニジン誘導体の中で、入手の容易さからアミノグアニジン及びその塩を用いることが好ましく、経済性から重炭酸アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩を用いることが更に好ましい。
上記アミノグアニジン誘導体に含まれるヒドラジン部位とジエン系ゴムが混合中に反応することにより、ゴムに極性基が導入され、無機充填材の極性基、特にシリカの場合はシリカ表面のシラノ−ル基と親和性が向上するため、ゴム−無機充填材間の密着性が向上して、タイヤ等のゴム成形体を得たときに、低ロス性に優れたゴム成形体となる。
本発明の十分な成形時間を確保しながら加硫時間を短縮し得る効果は、上記リン酸亜鉛又は上記アミノグアニジン誘導体をそれぞれ単独に添加したゴム組成物においても得られるが、併用した場合に顕著であることが分かっている。理由は定かではないが、リン酸亜鉛又はアミノグアニジン誘導体単独よりも、リン酸亜鉛とアミノグアニジン誘導体が混合中に反応することにより生成した複合体が、シリカ或いは酸化亜鉛の分散状態を大きく変化させたためではないかと推察される。
本発明における充填材とは、ゴムに混合して、ゴムを補強、増量する又はゴムに特殊機能を付与する等の目的で用いられる、配合剤である。
本発明における無機充填材とは、ケイ素、典型金属又は遷移金属の酸化物又は水酸化物及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種を含む無機化合物を指す。
前記無機充填材として具体的には、当業界で用いられる無機充填材であれば特に限定されない。無機充填材は、表面が活性なシリカや表面処理クレーなど補強性充填材と、炭酸カルシウム、クレー及びタルクなど非補強性充填材に大別されるが、ジエン系ゴムとの相互作用を考慮すると、補強性充填材を用いるのが好ましく、シリカが特に好ましい。シリカとしては、特に制限はなく、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等を使用することができる。
シリカを用いる場合には、BET比表面積が40〜350m/gであることが好ましい。シリカのBET表面積がこの範囲であれば、シリカの粒子径が適切となり、引張り強度の向上とヒステリシスロスの低下になる。
本発明のゴム組成物に用いる充填材として、上記の無機充填材の他に、補強効果を高めるため、カ−ボンブラックを添加することもできる。カ−ボンブラックとしては、GPF、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレ−ドのもの等が挙げられる。
本発明のゴム組成物における無機充填材とカ−ボンブラックの合計含有量は、特に限定されるものではないが、加工性を悪化させず、充分な低ロス効果又は補強効果が得られる含有量として、ゴム成分他のゴム組成物の有機成分100質量部に対して5〜120質量部の範囲が好ましく、20〜100質量部の範囲が更に好ましい。
本発明のシランカップリング剤としては、特に限定されないが、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド等が挙げられる。その含有量は、上記無機充填材100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。
次に、本発明のゴム組成物の製造法について述べる。本発明のゴム組成物は、リン酸亜鉛、アミノグアニジン、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材並びにシランカップリング剤をミキサ−、押出機及び混練機等を用いて混ぜ合わせることにより得られる。分散性向上の点から混練機で混合することが好ましい。リン酸亜鉛及びアミノグアニジン誘導体をミキサ−、押出機及び混練機等に添加する方法として、粉体をそのまま添加する方法、溶媒に溶解させて溶液として添加する方法、エマルジョン溶液として添加する方法、いずれを用いてもよい。
本発明のゴム組成物を得るための混合条件は、特に限定されるものではないが、混合時の温度は、20〜180℃であることが好ましく、50〜160℃であることが更に好ましい。20℃〜180℃であるとジエン系ゴムとアミノグアニジン誘導体、及びリン酸亜鉛とアミノグアニジン誘導体を十分に混合して反応させることができ、更にアミノグアニジン誘導体の分解を抑えることができる。ゴムの混練時間は上記反応温度で0.5〜30分間となるように調節されることが好ましく、2〜10分間であると更に好ましい。0.5〜30分間であると生産性を悪化させることなくゴムとアミノグアニジン誘導体、及びリン酸亜鉛とアミノグアニジン誘導体を十分に反応させることができる。反応の雰囲気としては、空気下など酸素存在下で行うことが好ましい。酸素はジエン系ゴムとアミノグアニジン誘導体のラジカル反応を促進するためである。
アミノグアニジン誘導体の使用量は、加工性を低下させずに、混合中にジエン系ゴムの二重結合部位及びリン酸亜鉛とまんべんなく反応し、シリカ或いは酸化亜鉛に対する親和性が向上することにより、低ロス性に優れ、十分な成形時間を確保しながら加硫時間を短縮し得るゴム組成物与える観点から、ゴム成分に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
アミノグアニジン誘導体の反応性を調整する目的で、重合開始(反応促進)剤や重合防止(反応遅延)剤を用いることができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパ−オキサイド、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、ジ−tert−ブチルパ−オキサイド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。なお、反応温度を低下させるためには、レドックス系の重合開始剤を用いることが好ましい。かかるレドックス系重合開始剤において、過酸化物と組み合せる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合防止剤としては、ジフェニルピクリルヒドラジル、ガルビノキシル、フェルダジルなどの安定なラジカル物質や、酵素、フェノ−ル誘導体、ベンゾキノン誘導体、ニトロ化合物のようにラジカルと付加して安定ラジカルを生じやすいものなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物には、充填材、シランカップリング剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これらの配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
前記老化防止剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、ナフチルアミン系、p−フェニレンジアミン系、ヒドロキノン誘導体、ビス,トリス,ポリフェノ−ル系、ジフェニルアミン系、キノリン系、モノフェノ−ル系、チオビスフェノ−ル系、ヒンダ−ド、フェノ−ル系などを挙げることができ、更なる老化防止効果の点でp−フェニレンジアミン系、ジフェニルアミン系のアミン系老化防止剤が好ましい。ジフェニルアミン系老化防止剤としては、例えば、4,4′−(α−メチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4′−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4′−ジオクチルジフェニルアミンなどが挙げられ、これらの中で、更に高い老化防止効果の点で4,4′−(α−メチルベンジル)ジフェニルアミンが最も好ましい。また、p−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、例えば、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられ、これらの中で、更に高い老化防止効果及びコスト面からN−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが最も好ましい。老化防止剤のゴム組成物における含有量は、ゴム組成物中におけるゴム成分の0.1〜5質量%含有させることが好ましい。
前記軟化剤の種類としては、特に限定されないが、石油やコ−ルタ−ル由来の鉱物油系軟化剤、脂肪油や松樹由来の植物油系軟化剤及び合成樹脂系軟化剤などが挙げられる。
前記加硫促進剤の種類としては、特に限定されないが、メルカプトベンゾチアゾ−ル、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾ−ル系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N′−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その含有量はゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
さらに、本発明においては加硫促進剤の効果をさらに向上させるため、加硫促進助剤を用いることが好ましい。
加硫促進助剤としては、酸化亜鉛等の亜鉛化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸が挙げられる。尚、本発明のゴム組成物に含まれるリン酸亜鉛は、酸化亜鉛と同様に加硫促進助剤として作用するため、亜鉛源として例えば酸化亜鉛を用いる場合は、ゴム成分に対して酸化亜鉛及びリン酸亜鉛の合計量として0.01〜10質量%であることが好ましく、亜鉛原子(Zn)自体の含有量に換算した場合は、0.008〜8質量%であることが好ましい。
前記加硫剤の種類としては、通常当業界で用いられるものを適宜使用することができ、硫黄、過酸化物などが挙げられるが、好ましくは硫黄である。加硫剤の含有量はゴム成分100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜3質量部である。加硫剤の量が少なすぎると、十分な加硫が得られないことがあり、また、加硫剤の量が多すぎると、いわゆるスコ−チ時間が短くなり、混練り中にゴムが焦げてしまうことがある。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、上記ゴム組成物をトレッドに用いることが好ましい。上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性に優れる。尚、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をタイヤ部材の何れかに用いる以外特に制限はなく、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
表1の組成に従い、最初に天然ゴム凝固体、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、ステアリン酸、アミノグアニジン塩をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて、140℃で5分間混練した後、一旦55℃に冷却しこれに硫黄と加硫促進剤を投入し、90℃で3分間混練して未加硫ゴム組成物を調製した。続いて、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaでt90値(分)の1.5倍の時間(19〜40分間)加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。t90は、加硫試験機による評価でのトルクの最大値と最小値の差の90%+最小値に達するまでの時間とした。以下に用いた成分について示す。なお、実施例1と比較例1で亜鉛原子のモル数が同一になるように質量部を変更した。
天然ゴム:RSS#1(加藤産商(株)製)
シリカ:商品名「ニップシ−ルAQ」(BET表面積=207m2/g、東ソ−・シリカ(株)製)
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(エボニック ジャパン(株)製)
酸化亜鉛(Zn(PO・4HO、和光純薬工業(株)製)
リン酸亜鉛四水和物(和光純薬工業(株)製)
ステアリン酸(和光純薬工業(株)製)
硫黄(細井化学工業(株)製、250μm)
加硫促進剤(CBS):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(和光純薬工業(株)製)
加硫促進剤(DPG):ジフェニルグアニジン(和光純薬工業(株)製)
重炭酸アミノグアニジン(東京化成工業(株)製)
該加硫ゴム組成物に対して、下記の方法で発熱性及び引張り破断強度を測定、評価した。結果を表1に示す。
(1)発熱性
上記加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコ−インスツル(株)製DMS6100)を用い、温度50℃、歪み0.05%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定し、表1の比較例1の値を100として指数表示した。指数値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低発熱性であることを示す。
(2)引張り破断強度
上記加硫ゴム組成物に対し、JIS K6251:2010に準拠して引張り試験を行い、引張り破断強度を測定し、表1の比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、引張り破断強度が大きいことを示す。
(3)成形時間/加硫時間
下記に示す成形時間(3−1)と加硫時間(3−2)をそれぞれ測定し、加硫時間に対する成形時間の比率(成形時間/加硫時間)を求め、表1の比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、十分な成形時間を確保しながら加硫時間の短縮が可能となることを示す。
(3−1)成形時間
上記未加硫ゴム組成物に対し、加硫試験機((株)東洋精機製作所製ローターレス・レオメータRLR−4)を用い、JIS K 6300−2:2001 ダイ加硫試験A法に準拠して、温度145℃、振幅角±1°、振動数100cpmでt10を測定した。t10はトルクの最大値と最小値の差の10%+最小値に達するまでの時間とし、加硫成形時の流動時間の長さ、すなわち加工性or成形時間の指標として用いられている。この時間が長い程、成形性に優れることを示す。
(3−2)加硫時間
上記未加硫ゴム組成物に対し、加硫試験機((株)東洋精機製作所製ローターレス・レオメータRLR−4)を用い、JIS K 6300−2:2001 ダイ加硫試験A法に準拠して、温度145℃、振幅角±1°、振動数100cpmでt90を測定した。t90はトルクの最大値と最小値の差の90%+最小値に達するまでの時間とし、加硫時間の指標として用いられている。この時間が短い程、生産性に優れることを示す。
Figure 2018172446
表1中、配合処方の各成分は質量部を示し、( )内は亜鉛原子に換算した質量部を示す。
表1から、アミノグアニジンリン酸塩、ジエン系ゴム、シリカ及びシランカップリング剤を混合したゴム組成物は、低発熱性に優れ、引張り破断強度が大きくなり、更に十分な成形時間を確保しながら加硫時間を短縮が可能となることが分かる。

Claims (7)

  1. リン酸亜鉛、アミノグアニジン誘導体、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材を含む充填材並びにシランカップリング剤を含有する、ゴム組成物。
  2. 前記無機充填材がシリカである、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記充填材がカーボンブラックを含むものである、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. リン酸亜鉛、アミノグアニジン誘導体、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材を含む充填材並びにシランカップリング剤を混合することにより得られ、その際の温度が20〜180℃の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 前記リン酸亜鉛の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴムに対して0.01〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  6. 前記アミノグアニジン誘導体の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴムに対して0.01〜10質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴム組成物をタイヤ部材のトレッドに用いたタイヤ。
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