JPWO2017061361A1 - ペロブスカイト光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

高い光耐久性を示すペロブスカイト光電変換素子を提供することを課題とする。
本発明は、電極、ペロブスカイト化合物を含む活性層、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極カットフィルターが、この順番で積層されており、前記カットフィルターの波長442nm以下の光の透過率が50%以下であるペロブスカイト光電変換素子を提供する。
本発明はまた、前記カットフィルターの波長482nm以下の光の透過率が50%以下であるペロブスカイト光電変換素子を提供する。

Description

本発明は、ペロブスカイト光電変換素子に関する。
近年、ペロブスカイト化合物を活性層に用いた高効率の光電変換素子が提案されている。
例えば、FTOを含む透明電極、TiOを含む多孔質の酸化物層からなる電子輸送層、ペロブスカイト化合物を含む活性層、Spiro−OMETADを含む正孔注入層、Auを含む陽極および435nm未満の波長をカットするカットフィルターが、この順で積層された光電変換素子が報告されている(非特許文献1)。
Nature Communications、2013、4号、Article number 2885
しかしながら、上述の非特許文献1に記載された光電変換素子では、光耐久性が十分ではなかった。
本発明の目的は、高い光耐久性を示すペロブスカイト光電変換素子を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
[1]電極、ペロブスカイト化合物を含む活性層、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極および波長442nm以下の光の透過率が50%以下であるカットフィルターが、この順番で積層されている、ペロブスカイト光電変換素子。
[2]前記カットフィルターが、波長482nm以下の光の透過率が50%以下であるカットフィルターである、[1]に記載されたペロブスカイト光電変換素子。
[3]前記カットフィルター、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である支持基板、陽極としての前記波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極、前記ペロブスカイト化合物を含む活性層および陰極が、この順番で積層されている、[1]または[2]に記載されたペロブスカイト光電変換素子。
[4]支持基板、陽極、前記ペロブスカイト化合物を含む活性層、陰極としての前記波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極および前記カットフィルターが、この順で積層されている、[1]または[2]に記載されたペロブスカイト光電変換素子。
本発明によれば、高い光耐久性を示すペロブスカイト光電変換素子を得ることができる。
比較例2および実施例1〜4で用いたカットフィルターの透過スペクトルを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>ペロブスカイト光電変換素子の構成
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、電極、ペロブスカイト化合物を含む活性層、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極および波長442nm以下の光の透過率が50%以下であるカットフィルターが、この順番で積層されている、ペロブスカイト光電変換素子である。
ここで、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極とは、波長400nm〜1200nmの領域における全ての波長の光の透過率が10%以上である電極を意味する。また、波長442nm以下の光の透過率が50%以下であるカットフィルターとは、波長442nm以下の領域における全ての波長の光の透過率が50%以下であるカットフィルターを意味する。
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、
カットフィルター、支持基板、陽極、ペロブスカイト化合物を含む活性層および陰極がこの順番で積層されているペロブスカイト光電変換素子、または、
支持基板、陽極、ペロブスカイト化合物を含む活性層、陰極およびカットフィルターがこの順で積層されているペロブスカイト光電変換素子であることが好ましい。
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、
カットフィルター、支持基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、ペロブスカイト化合物を含む活性層、電子輸送層および陰極がこの順番で積層されているペロブスカイト光電変換素子、または、
支持基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、ペロブスカイト化合物を含む活性層、電子輸送層、陰極およびカットフィルターがこの順で積層されているペロブスカイト光電変換素子であることがより好ましい。
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、支持基板から遠い方の電極の外側に封止層を有していてもよい。
本発明のペロブスカイト光電変換素子の製造方法の詳細については後述するが、カットフィルター、支持基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、ペロブスカイト化合物を含む活性層、電子輸送層および陰極がこの順番で積層されているペロブスカイト光電変換素子の構成を採用する場合、
当該ペロブスカイト有機光電変換素子は、例えば、支持基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、ペロブスカイト化合物を含む活性層、電子輸送層および陰極をこの順番に積層し、封止層を形成し、最後にカットフィルターを支持基板に配置させることによって製造することができる。
(支持基板)
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、通常、支持基板上に形成される。支持基板には、光電変換素子を作製する際に化学的に変化しないものが好適に用いられる。支持基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、シリコン板が挙げられる。支持基板の光透過性は特に限定されないが、本発明のペロブスカイト光電変換素子において、支持基板側から光を取り込む場合、支持基板には波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である光透過性の高い基板が好適に用いられる。一方、光透過性の低い支持基板上にペロブスカイト光電変換素子を作製する場合には、支持基板に近い方の電極側から光を取り込むことができないため、支持基板から遠い方の電極には、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である光透過性の高い電極を用いることが好ましい。光透過性の高い電極を用いることにより、たとえ光透過性の低い支持基板を用いたとしても、支持基板側から遠い方の電極から光を取り込むことができる。
(陽極)
陽極は、単層の形態または複数の層が積層された形態を取り得る。陽極には、例えば、導電性の金属酸化物膜、金属薄膜、および、有機物を含む導電膜が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、フッ素化スズ酸化物(FLUORINE Tin Oxide:略称FTO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ポリアニリンおよびその誘導体、並びに、ポリチオフェンおよびその誘導体等の薄膜が用いられる。これらの中でも、陽極には、ITO、FTO、IZO、酸化スズの薄膜が好適に用いられる。
本発明のペロブスカイト光電変換素子における波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極を陽極とする場合、該陽極は、例えば陽極を構成する薄膜の膜厚を、光が透過する程度の厚さにすることによって得ることができる。光透過性の高い陽極としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)等からなる群より選ばれる1種以上の導電性材料を含む薄膜、NESA、金、白金、銀または銅を含む薄膜が用いられる。これらの中でも、陽極としては、酸化スズ、ITOおよびIZOからなる群より選ばれる1種以上の導電性材料を含む薄膜が好ましい。
(正孔注入層)
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、陽極と活性層との間に正孔注入層が設けられていることが好ましい。正孔注入層は、陽極への正孔注入を促進する機能を有する。正孔注入層は陽極に接して設けられていることが好ましい。
正孔注入層の材料としては、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物等の高分子化合物、アニリン、チオフェン、ピロール、芳香族アミン化合物等の低分子化合物、CuSCN、CuI等の無機化合物が挙げられる。これらの中では、ポリチオフェンおよびその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物、CuSCN並びにCuIが好ましい。また、高分子化合物の中では、光電変換素子の寿命を長くする観点から、芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物が好ましい。
芳香族アミン化合物としては具体的には、以下のようなものが例示される。
Figure 2017061361
前記芳香族アミン化合物は、少なくとも3つの置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
少なくとも3つの置換基を有するフェニル基を含む芳香族アミン化合物としては、具体的には、以下のようなものが例示される。
Figure 2017061361
芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物において、芳香族アミン残基をもつ繰り返し単位とは、芳香族アミン化合物から水素原子を2個取り除いた繰り返し単位である。芳香族アミン残基をもつ繰り返し単位としては、下記式(1’)で表される繰り返し単位が挙げられる。下記式(1’)で表される繰り返し単位としては、下記式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。前記芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物は、少なくとも3つの置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
Figure 2017061361
(式中、
Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基(A1)または2価の複素環基(B1)を表す。
’、E’およびE’は、それぞれ独立に、下記アリール基(A2’)または1価の複素環基(B2’)を表す。
aおよびbは、それぞれ独立に、0または1を表し、0≦a+b≦1である。
アリーレン基(A1):芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり、ベンゼン環または縮合環を有する2価の基、および、独立したベンゼン環または縮合環の2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合した2価の基も含まれる。アリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基が好ましい。無置換のアリーレン基の炭素数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜20である。
2価の複素環基(B1):複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団である。2価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基、イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基が好ましい。無置換の2価の複素環基の炭素数は、通常3〜60程度である。
アリール基(A2’):アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子が好ましい。無置換のアリール基の炭素数は通常6〜30程度であり、好ましくは6〜20である。
1価の複素環基(B2’):1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子が好ましい。無置換の1価の複素環基の炭素数は、通常1〜30程度である。)
Figure 2017061361
(式中、
Ar、Ar、Ar、Ar、aおよびbは、上述と同義である。
、EおよびEは、それぞれ独立に、下記アリール基(A2)または1価の複素環基(B2)を表す。
アリール基(A2):アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を3個以上有するアリール基。アリール基の炭素数は、通常6〜40程度であり、好ましくは6〜30である。
1価の複素環基(B2):アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1以上有し、かつ該置換基の数と複素環のヘテロ原子の数の和が3以上である1価の複素環基。1価の複素環基の炭素数は、通常1〜40程度である。)
アリール基(A2)は、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基または置換基を3個以上有するアントラセニル基であることが好ましく、下記式(2)で示される基であることがより好ましい。
Figure 2017061361
(式中、Re、RfおよびRgは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。)
芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物は、さらに、下記式(3)、式(4)、式(5)または式(6)で表される繰り返し単位を有していてもよい。

−Ar12− (3)

―Ar12−X―(Ar13−X)―Ar14− (4)

−Ar12−X2− (5)

−X2− (6)

(式中、
Ar12、Ar13およびAr14は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表す。
1は、−CR=CR−、−C≡C−または−(SiR−を表す。
2は、−CR=CR−、−C≡C−、−N(R)−、または−(SiR−を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはアリールアルキル基を表す。
cは、0〜2の整数を表す。dは、1〜12の整数を表す。Ar13、R、R、RおよびRがそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
前記式(1’)で表される繰り返し単位の具体例(前記式(1)で表される繰り返し単位の具体例を含む)として、Ar、Ar、ArおよびArがそれぞれ独立に無置換のフェニレン基であり、a=1、b=0のものとしては、以下のものが挙げられる。
Figure 2017061361
Figure 2017061361
Figure 2017061361
前記式(1’)で表される繰り返し単位の具体例(前記式(1)で表される繰り返し単位の具体例を含む)として、Ar、Ar、ArおよびArがそれぞれ独立に無置換のフェニレン基であり、a=0、b=1のものとしては、以下のものが挙げられる。
Figure 2017061361
Figure 2017061361
Figure 2017061361
上記式中、Meはメチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、MeOはメトキシ基を、BuOはブチルオキシ基を表す。
正孔注入層の厚さは、25nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔注入層と活性層の間に設けられており、電子ブロックの機能を有する。正孔輸送層を設けることで、より高効率な光電変換素子を得ることができる。正孔輸送層としては、例えば、前記正孔注入層で例示された芳香族アミン残基を有する低分子化合物、前記正孔注入層で例示された芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物が挙げられる。なお、正孔注入層に、芳香族アミン残基を有する低分子化合物、芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物を用いる場合には、正孔輸送層を設けなくてもよい。
(活性層)
活性層は、ペロブスカイト化合物を含む。活性層は、ペロブスカイト化合物の他に、他の成分を含んでいてもよい。活性層が含み得る他の成分の例としては、電子供与性化合物、電子受容性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線に対する安定性を増すための光安定剤、および、機械的特性を高めるためのバインダーが挙げられる。
ペロブスカイト化合物は、有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物であることが好ましく、下記式(7)〜(9)のいずれかで表されるペロブスカイト化合物であることが好ましい。
CHNH (7)
(式中、
は、2価の金属であり、
複数あるXは、それぞれ独立に、F、Cl、BrまたはIである。
で表される2価の金属としては、例えば、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Euが挙げられる。)
(RNH4 (8)
(式中、
は、炭素数が2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、1価の複素環基または1価の芳香族複素環基であり、
およびXは、上述と同義である。)
式(8)中、Rで表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、シクロアルキル基であってもよい。Rで表されるアルキル基の炭素数は、通常2〜40であり、2〜30であることが好ましい。
で表されるアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、イコサニル基、ドコサニル基、トリアコンタニル基、テトラコンタニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
で表されるアルケニル基の炭素数は、通常2〜30であり、2〜20であることが好ましい。
で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、オレイル基、アリル基が挙げられる。
で表されるアラルキル基の炭素数は、通常7〜40であり、7〜30であることが好ましい。
で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基が挙げられる。
で表されるアリール基の炭素数は、通常6〜30であり、6〜20であることが好ましい。
で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基が挙げられる。
で表される1価の複素環基の炭素数は、通常1〜30であり、1〜20であることが好ましい。Rで表される1価の芳香族複素環基の炭素数は、通常2〜30であり、2〜20であることが好ましい。
で表される1価の複素環基または1価の芳香族複素環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジニル基、モルホリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基、フタラジニル基が挙げられる。
HC(=NH)NH (9)
(式中、MおよびXは、上述と同義である。)
本発明の光電変化の素子において、ペロブスカイト化合物は、1種のみを活性層の材料として用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
本発明の光電変換素子におけるペロブスカイト化合物は、式(7)で表される化合物であることが好ましい。式(7)で表される化合物のうち、CHNHPbI、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHSnI、CHNHSnClまたはCHNHSnBrであることがより好ましい。
(電子輸送層)
本発明の光電変換素子は、活性層と陰極との間に電子輸送層を設けられていることが好ましい。
電子輸送層は電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。有機化合物である電子輸送性材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
有機化合物の電子輸送性材料のうち、低分子化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、フラーレン類およびその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体が挙げられる。
有機化合物の電子輸送性材料のうち、高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体が挙げられる。
これらの中でも、有機化合物の電子輸送性材料は、フラーレン類およびその誘導体であることが好ましい。
フラーレン類としては、C60フラーレン、C70以上のフラーレン、カーボンナノチューブ、および、それらの誘導体が挙げられる。C60フラーレンの誘導体の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。
Figure 2017061361
無機化合物の電子輸送性材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO(インジウムスズ酸化物)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)が挙げられ、これらの中でも、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛が好ましい。
無機化合物の電子輸送性材料を含む電子輸送層を形成する際には、粒子状の酸化亜鉛、粒子状のガリウムドープ酸化亜鉛または粒子状のアルミニウムドープ酸化亜鉛を含む塗布液を塗布することにより、電子輸送層を形成することが好ましい。このような電子輸送材料としては、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子が好ましく、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子のみからなる電子輸送性材料を用いて、電子輸送層を形成することがより好ましい。酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子の球相当の平均粒子径は、1nm〜1000nmであることが好ましく、10nm〜100nmであることがより好ましい。平均粒子径は、レーザー光散乱法やX線回折法によって測定することができる。
(陰極)
陰極は、単層の形態または複数の層が積層された形態を取り得る。陰極の材料には、例えば、金属、導電性高分子を用いられる。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫等の金属、それらの金属からなる群より選ばれる2つ以上の金属を含む合金、グラファイト、グラファイト層間化合物が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
本発明のペロブスカイト光電変換素子における波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極を陰極とする場合、該陰極は、例えば陰極を構成する薄膜の膜厚を、光が透過する程度の厚さにすることによって得ることができる。光透過性の高い陰極としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)等からなる群より選ばれる1種以上の導電性材料を含む薄膜、NESA、金、白金、銀または銅を含む薄膜が用いられる。これらの中でも、陰極としては、酸化スズ、ITOおよびIZOからなる群より選ばれる1種以上の導電性材料を含む薄膜が好ましい。
(封止層)
封止層は、支持基板から遠い方の電極側に設けられていてもよい。封止層は、水分を遮断する性質(水蒸気バリア性)または酸素を遮断する性質(酸素バリア性)を有する材料により形成することができる。封止層の材料としては、例えば、三フッ化ポリエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、脂環式ポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の樹脂などの有機材料、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン等の無機材料が挙げられる。本発明のペロブスカイト光電変換素子において、支持基板から遠い方の電極側から光を取り込む場合、封止層としては、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である封止層が好ましい。
(カットフィルター)
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、カットフィルターを有する。カットフィルターにおける波長442nm以下の光の透過率は50%以下である。カットフィルターにおける波長482nm以下の光の透過率は50%以下であることが好ましい。光の透過率が50%以下となる波長の長波長側の波長は、ペロブスカイト化合物を含む活性層の吸収波長の吸収端の波長よりも、短波長であることが好ましい。カットフィルターは、干渉膜、光吸収のある物質等を用いて製造されており、短波長の光をカットする機能を有する。
カットフィルターは、その製造方法の違いから、誘電体多層膜フィルターと吸収型フィルターに大別することが出来る。
誘電体多層膜フィルターは、基板表面にフィルターとして機能する誘電体多層膜を積層したものである。誘電体多層膜フィルターとしては、例えば、ガラス基板または透明樹脂フィルムの表面に、TiO、Nb、SiO、TaまたはMgFを積層したものが挙げられる。誘電体多層膜フィルターは、誘電体多層膜の光の干渉効果により、特定の波長の光を選択的に取り出す。誘電体多層膜フィルターは、分光透過特性のグラフにおいて、パス/カットの急激な立ち上がり(或いは立ち下がり)を示すという特徴がある。
吸収型フィルターは、基板自体による光の吸収により、特定の波長の光を取り出す。吸収型フィルターとしては、例えば、光学吸収物質を含有している光学ガラス板が挙げられる。吸収型フィルターは、分光透過性のグラフにおいて、穏やかなパス/カットの立ち上がり(あるいは立ち下がり)を示すという特徴がある。
カットフィルターには、市販のカットフィルターを適宜用いることができる。本発明のペロブスカイト光電変換素子のカットフィルターには、2種類以上のカットフィルターを重ねて用いてもよい。
<2>ペロブスカイト光電変換素子の製造方法
支持基板、陽極、ペロブスカイト化合物を含む活性層、陰極およびカットフィルターがこの順番で積層されている本発明のペロブスカイト光電変換素子の製造方法について、以下で詳しく説明する。
(陽極形成工程)
陽極は、前記陽極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって支持基板上に成膜することで形成することができる。
陽極の材料として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機物を用いる場合は、当該有機物を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。陽極は、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理が施されていてもよい。
(正孔注入層形成工程)
正孔注入層の形成方法は特に限定されないが、正孔注入層形成工程の簡易化の観点からは、正孔注入層を塗布法によって形成することが好ましい。正孔注入層を塗布法によって形成する場合、例えば、前記正孔注入層の材料と溶媒とを含む塗布液を陽極上に塗布することにより形成することができる。
正孔注入層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
正孔注入層を形成するための塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、炭化水素が挙げられる。アルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノールが挙げられる。ケトンの具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンが挙げられ、炭化水素の具体例としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンが挙げられる。正孔注入層を形成するための塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。正孔注入層を形成するための塗布液に含まれる溶媒の量は、正孔注入層の材料に対し、1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
正孔注入層を形成するための塗布液を塗布した後、加熱処理、風乾処理、減圧処理等で溶媒を除去することにより、正孔注入層を形成することが好ましい。
(正孔輸送層形成工程)
正孔輸送層の形成方法は特に限定されないが、正孔輸送層形成工程の簡易化の観点からは、正孔輸送層を塗布法によって形成することが好ましい。正孔輸送層を塗布法によって形成する場合、例えば、前記正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を正孔注入層上に塗布することにより形成することができる。正孔輸送層を形成するための塗布液に含まれる溶媒としては、正孔注入層を形成するための塗布液に含まれる溶媒と同様のものが挙げられる。
正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
正孔輸送層を形成するための塗布液を塗布した後、加熱処理、風乾処理、減圧処理等で溶媒を除去することにより、正孔輸送層を形成することが好ましい。
(活性層形成工程)
活性層の形成方法は特に限定されないが、活性層形成工程の簡易化の観点からは、活性層を塗布法によって形成することが好ましい。活性層を塗布法によって形成する場合、例えば、前記ペロブスカイト化合物と溶媒とを含む塗布液を、陽極上、正孔注入層上または正孔輸送層上に塗布することにより形成することができる。前記ペロブスカイト化合物は、前躯体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。
活性層を塗布法により形成する場合、例えば、金属ハロゲン化物を含む溶液を正孔輸送層上に塗布した後に、形成された金属ハロゲン化物の膜上に、ハロゲン化アンモニウムまたはハロゲン化アミンを含む溶液を塗布することによっても形成することができる。また、例えば、金属ハロゲン化物を含む溶液を正孔輸送層上に塗布した後に、形成された金属ハロゲン化物の膜を、ハロゲン化アンモニウムまたはハロゲン化アミンを含む溶液に浸漬させることによっても形成することができる。具体的には、活性層は、正孔輸送層上にヨウ化鉛を含む溶液を塗布した後、ヨウ化鉛の膜の上にヨウ化メチルアンモニウムを含む溶液を塗布することによっても形成することができる。金属ハロゲン化物を含む溶液、ハロゲン化アンモニウムを含む溶液、ハロゲン化アミンを含む溶液において、溶媒は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウムまたはハロゲン化アミンに対して、1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
活性層を形成するための塗布液を塗布した後、加熱処理、風乾処理、減圧処理等で溶媒を除去することにより、活性層を形成することが好ましい。
ペロブスカイト化合物を含む塗布液、金属ハロゲン化物を含む溶液、ハロゲン化アンモニウムを含む溶液およびハロゲン化アミンを含む溶液に含まれる溶媒としては、例えば、エステル類(例、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例、γ-ブチロラクトン、Nメチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤(例:N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤(例、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボート系剤(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶媒を構成する化合物は、分岐構造または環状構造を有していてもよく、エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のうちの二つ以上を有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。活性層を形成するための塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
ペロブスカイト化合物を含む塗布液、金属ハロゲン化物を含む溶液、ハロゲン化アンモニウムを含む溶液およびハロゲン化アミンを含む溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
(電子輸送層形成工程)
電子輸送層の形成方法は特に限定されないが、電子輸送層形成工程の簡易化の観点からは、電子輸送層を塗布法によって形成することが好ましい。電子輸送層を塗布法によって形成する場合、例えば、前記電子輸送性材料と溶媒とを含む塗布液を活性層上に塗布することにより形成することができる。電子輸送性材料を含む塗布液を塗布する方法としては、前記活性層形成工程で例示した前記ペロブスカイト化合物を含む塗布液等を塗布する方法と同様の方法が挙げられる。電子輸送性材料を含む塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。電子輸送性材料を含む塗布液は、該塗布液が塗布される層(活性層など)に与える損傷が少ないものを用いることが好ましく、具体的には、該塗布液が塗布される層(活性層など)を溶解し難いものが好ましい。
電子輸送層を形成するための塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、炭化水素が挙げられる。アルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノールが挙げられる。ケトンの具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。炭化水素の具体例としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンが挙げられる。電子輸送層を形成するための塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。電子輸送層を形成するための塗布液に含まれる溶媒の量は、電子輸送性材料に対し、1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
前記電子輸送性材料と溶媒を含む塗布液は、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルター等で濾過してから用いることが好ましい。
(陰極形成工程)
陰極は、前記陰極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等によって、例えば電子輸送層上に成膜することで形成することができる。
陰極を塗布法により形成することができる陰極の材料としては、例えば、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤーまたは導電性物質のナノチューブを含むエマルション(乳濁液)、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤーまたは導電性物質のナノチューブを含むサスペンション(懸濁液)が挙げられる。陰極の材料が導電性物質を含む場合、当該導電性物質を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陰極を形成してもよい。導電性物質を含む塗布液等を塗布する方法としては、前記活性層形成工程で例示した前記ペロブスカイト化合物を含む塗布液等を塗布する方法と同様の方法が挙げられる
陰極を形成するための塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、s−ブチルベゼン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類系溶媒;水、アルコールが挙げられる。アルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノールが挙げられる。陰極を形成するための塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
(封止層形成工程)
封止層は、支持基板から遠い方の電極上に形成されていてもよいし、該電極の外側に電極に接しない形態で形成されていてもよい。封止層は、前記封止層の材料の種類に応じて、任意の方法で形成させることができる。封止層の形成方法としては、例えば、気相成膜法、スピンコート法、ディップ法、スプレー法が挙げられる。封止層は、予め成形した封止層構造を封止材(接着材)により貼付けることにより形成してもよい。
(カットフィルター形成工程)
本発明の光電変換素子において、支持基板側から光を取り込む場合、カットフィルターは、支持基板の電極が形成されている面とは反対側の面にカットフィルターを配置することにより、形成することができる。
本発明の光電変換素子において、支持基板から遠い方の電極側から光を取り込む場合、カットフィルターは、支持基板から遠い方の電極の形成後、封止層の形成前に、該電極と該封止層との間に配置してもよいし、該電極および該封止層を形成した後、該封止層の外側に配置してもよい。
<3>ペロブスカイト光電変換素子の用途
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極に太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、太陽電池として動作させることができる。太陽電池は、有機無機ペロブスカイト太陽電池であることが好ましい。太陽電池を複数集積することにより、太陽電池を薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
本発明のペロブスカイト光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明または半透明の電極に光を照射することにより、光電流が流れ、光センサーとして動作させることができる。光センサーを複数集積することにより、光センサーをイメージセンサーとして用いることもできる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(組成物1の製造)
ヨウ化鉛368mgを、1mlのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、次いで、70℃で攪拌することで完溶させることで、組成物1を調製した。
(組成物2の製造)
ヨウ化メチルアンモニウム55mgを、1mlの2−プロパノールに完溶させることで、組成物2を調製した。
(組成物3の製造)
フラーレン類の誘導体として2重量部の[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)(フロンティアカーボン社製E100)と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することで、組成物3を調製した。
(組成物4の製造)
下記の繰り返し単位を持つ高分子化合物(シグマアルドリッチ社製Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn 7,000−10,000)を0.5重量部と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させることで、組成物4を調整した。
Figure 2017061361
比較例1
(太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタリング法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。前記ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。
次に、ITO薄膜上に、組成物4をスピンコートにより塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚約10nmの正孔注入層を形成した。
次に、正孔注入層を形成した基板をホットプレートで70℃に充分に加熱した後、加熱された基板をスピンコーターに載せた。その後、正孔注入層上に、70℃で攪拌加熱された組成物1を2000rpmの回転数でスピンコートにより塗布し、窒素雰囲気下で風乾させることにより、ヨウ化鉛の塗布膜を得た。その後、ヨウ化鉛の塗布膜上に、組成物2を6000rpmの回転数でスピンコートにより塗布し、大気中100℃で10分間加熱することにより、活性層を形成した。活性層の膜厚は約350nmであった。
次に、活性層上に、組成物3をスピンコートにより塗布し、膜厚約50nmの電子輸送層を形成した。
次に、電子輸送層上に、真空蒸着機によりカルシウムを膜厚4nmで蒸着し、次いで、銀を膜厚60nmで蒸着した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10−3Paであった。
次に、窒素ガス雰囲気下において、UV硬化性エポキシ樹脂を用いて、封止ガラスを光電変換素子の陰極側の面にUV硬化によって接着して封止することにより、太陽電池を作製した。こうして得られた太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。
得られた太陽電池に、ソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて、一定の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定した。光電変換効率は17.6%であり、Jsc(短絡電流密度)は20.6mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.10Vであり、FF(フィルファクター)は0.77であった。
比較例2および実施例1〜4
(太陽電池の作製)
比較例1における封止後に、下記に示すカットフィルターを支持基板であるガラス基板上に配置した以外は、比較例1同様にして太陽電池を作成した。
比較例2では、423nm以下の波長の光の透過率が50%以下になるカットフィルター(シグマ光機製、SCF−50S−42L(以下42Lと示す))を、実施例1では、442nm以下の波長の光の透過率が50%以下になるカットフィルター(シグマ光機製、SCF−50S−44Y(以下44Yと示す))を、実施例2では、482nm以下の波長の光の透過率が50%以下になるカットフィルター(シグマ光機製、SCF−50S−48Y(以下48Yと示す))を、実施例3では、502nm以下の波長の光の透過率が50%以下になるカットフィルター(シグマ光機製、SCF−50S−50Y(以下50Yと示す))を、実施例4では、521nm以下の波長の光の透過率が50%以下になるカットフィルター(シグマ光機製、SCF−50S−52Y(以下52Yと示す))を支持基板であるガラス基板の上に載せ、太陽電池を作製した。
比較例1および2、並びに、実施例1〜4
(太陽電池の光耐久性の評価)
得られた太陽電池に対し、ソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて、比較例1の太陽電池ではガラス基板側から、比較例2および実施例1〜4の太陽電池ではカットフィルター側から光照射する連続照射試験を行った。連続照射試験中は、太陽電池をペルチェ素子で冷却することにより、太陽電池を25℃の一定温度に保つようにした。光照射163時間後の効率保持率(初期効率に対する、光照射163時間後の効率に対する割合)の関係を表1に示す。また、比較例2および実施例1〜4で用いたカットフィルターの透過スペクトルを図1に示す。
Figure 2017061361
参考例1
(ペロブスカイト層の作製、評価)
ガラス基板をホットプレートで70℃に充分に加熱後、加熱された基板をスピンコーターに載せた。その後、ガラス基板上に、70℃で攪拌加熱された組成物1を2000rpmの回転数でスピンコートにより塗布し、窒素雰囲気下で風乾させることにより、ヨウ化鉛の塗布膜を得た。その後、ヨウ化鉛の塗布膜上に、組成物2を6000rpmの回転数でスピンコートにより塗布し、大気中100℃で10分間加熱することにより、ガラス基板上にペロブスカイト層を形成することにより、素子を形成した。ペロブスカイト層の膜厚は約350nmであった。
得られた素子に対し、ソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて、ガラス基板側から光照射する連続照射試験を行った。連続照射試験中は、素子をペルチェ素子で冷却することにより、太陽電池を25℃の一定温度に保つようにした。光照射24時間後のペロブスカイト層の吸収スペクトルを、分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−670)で測定した。波長600nmの光の吸光度を表2に示す。
参考例2〜6
(ペロブスカイト層の作製、評価)
参考例1と同様にして、ガラス基板上にペロブスカイト層を形成した。その後、封止は行わずに、ガラス基板上にペロブスカイト層が形成されている面とは反対側の面にカットフィルターを配置させることにより、素子を作製した。用いたカットフィルターは、参考例2では前記42Lであり、参考例3では前記44Yであり、参考例4では前記48Yであり、参考例5では前記50Y、参考例6では前記52Yである。
参考例2〜6で得られた素子に対し、ソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて、カットフィルター側から光照射する連続照射試験を行った。連続照射試験中は、素子をペルチェ素子で冷却することにより、太陽電池を25℃の一定温度に保つようにした。光照射24時間後のペロブスカイト層の吸収スペクトルを、分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−670)で測定した。波長600nmの光の吸光度を表2に示す。
参考例7
(ペロブスカイト層の作製、評価)
参考例1と同様の素子を作製した後、光照射なしで、暗所で24時間保管した。暗所で24時間保管後のペロブスカイト層の吸収スペクトルを、分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−670)で測定した。波長600nmの光の吸光度を表2に示す。
Figure 2017061361
本発明の、波長442nm以下の光の透過率が50%以下であるカットフィルターを用いたペロブスカイト光電変換素子は、高い光耐久性を示す。

Claims (4)

  1. 電極、ペロブスカイト化合物を含む活性層、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極および波長442nm以下の光の透過率が50%以下であるカットフィルターが、この順番で積層されている、ペロブスカイト光電変換素子。
  2. 前記カットフィルターが、波長482nm以下の光の透過率が50%以下であるカットフィルターである、請求項1に記載されたペロブスカイト光電変換素子。
  3. 前記カットフィルター、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である支持基板、陽極としての前記波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極、前記ペロブスカイト化合物を含む活性層および陰極が、この順番で積層されている、請求項1または2に記載されたペロブスカイト光電変換素子。
  4. 支持基板、陽極、前記ペロブスカイト化合物を含む活性層、陰極としての前記波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極および前記カットフィルターが、この順で積層されている、請求項1または2に記載されたペロブスカイト光電変換素子。
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