JP5487872B2 - 有機光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機光電変換素子の製造方法に関し、塗布形成した有機薄膜のモルフォロジーを制御して、高い光捕集性をもつ光電変換効率の高い有機光電変換素子を製造する方法に関する。
塗布型の有機薄膜太陽電池は、有機ドナー材料または有機アクセプタ材料がそれぞれ相分離した、所謂バルクヘテロジャンクション構造を有しており、光吸収によって形成した励起子を失活する前に効率よく電荷分離出来ることが特徴である。このフリーキャリアは各ドメインが電極まで繋がったパーコレーション構造中を拡散によって移動し、電極に到達することで発電する。よって、p/nそれぞれのドメインサイズとパーコレーション構造といった、モルフォロジーの制御は発電効率に関わる重要な因子であるといえる。
上述した概念を達成する方法として、結晶性の高分子をp型半導体材料として用い、塗布製膜後に最適なアニール処理を施すことで結晶性の高分子同士が集合し、モルフォロジーを制御する方法が報告されている(例えば非特許文献1)。この技術は塗布型の有機薄膜太陽電池において、変換効率を大きく向上させる一要因となり、基本的な考え方として様々な研究機関で検討されている。同じくモルフォロジーを制御する方法として、塗布液の溶媒として良溶媒に貧溶媒を混合することで、溶液の極性と乾燥速度を制御し、モルフォロジーを最適化させる手法が提案さている(例えば、非特許文献2)。
しかしながら、上述した従来技術の様に、アニール処理によってモルフォロジーを制御できるのは高い結晶性を有する化合物に限定され、それは化学構造に大きく依存することから、高い光捕集性との両立を達成させるためには、分子設計・合成技術にかかる負担が大きかった。
この様な課題に対して、いくつかの方法が提案されてはいるが(例えば、特許文献1、特許文献2)、これらの方法においても材料種に依存した解決策であり、積極的にモルフォロジーを制御する技術はこれまで見出されていなかった。
国際公開第2008/66933号パンフレット 特開2008−16834号公報
Advanced FunctionalMaterials,2005,15,1617 Japanese Journal of Applied Physics,Vol.47,No.2,2008,pp.1238−1241
本発明の目的は、光電変換材料のモルフォロジーを制御して、高い光捕集性を有すると同時に光電変換効率が高い光電変換素子を製造する方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の手段により達成されるものである。
1.塗布型の有機光電変換素子の製造方法において、光電変換層を塗布する前の塗布液に対しピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザーを複数回照射し、該塗布液中に含まれる成分のうち少なくとも一種からなる微粒子を形成した後、該塗布液を基板上に塗布して光電変換層を形成することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
2.前記塗布液が少なくとも結晶性の溶質を含み、過飽和状態を保持した後、該塗布液に対し前記パルスレーザーを照射することを特徴とする前記1に記載の有機光電変換素子の製造方法。
3.前記過飽和状態が、前記塗布液の温度変化によって引き起こされる溶解度差を利用して保持されることを特徴とする前記1または2に記載の有機光電変換素子の製造方法。
4.前記パルスレーザーは、レンズによって溶液中に集光される形で照射されることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
5.前記塗布液が、溶質としてp型の有機半導体を混合し溶解した溶液であり、該塗布液を塗布して形成する塗布膜は、バルクへテロジャンクション型のドメイン構造を有してなる光電変換層であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
本発明により光電変換効率が高い光電変換素子を得ることができる。
本発明の有機光電変換素子の一例を示す断面図である。 パルスレーザー照射装置の一例を示す図である。 レーザー照射を受けた後、連続して塗布手段に送ることができる照射装置の一例を示す図である。
以下、本発明について詳述する。
本発明の有機光電変換素子は、例えば、図1で示される構成により、光が入射することで起電流が発生する素子である。
図1において、有機光電変換素子は、基板11、順次積層された第一の電極12、正孔輸送層14、光電変換層15、電子輸送層16、第二の電極13を保持する部材である。さらに第二の基板11′を保持する場合もある。
本発明は、前記の構成で例示される、塗布型の有機光電変換素子の製造方法において、光電変換層(BHJ)を、塗布する前の光電変換層塗布液に対しピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザーを複数回照射し、該塗布液中に含まれる成分のうち少なくとも一種からなる微粒子を形成した後、該塗布液を基板上に塗布して形成することを特徴とする。
前記塗布液は少なくとも結晶性の溶質(例えばp型半導体材料またはn型半導体材料)を含み、この溶液の過飽和状態を保持した後、該塗布液に対しパルスレーザーを照射することが好ましい。
本発明者らは鋭意検討の結果、光電変換層(BHJ)を塗布する前の塗布液に対しピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザー照射することで、結晶核となる核微粒子を塗布液中に発生させ、その後の塗布、成膜時に、結晶性の分子同士の集合状態(モルフォロジー)を制御して、高い光捕集性を持った結晶性の薄膜を光電変換層をとして得ることが出来る。成膜後にアニール処理等を施すことは必須ではない。
これにより光電変換層を構成するp型半導体材料またはn型半導体材料等の有機光電変換材料の光電変換効率が向上出来ることを本発明者は見出し本発明に至った。
以下、光電変換層を塗布する前の光電変換材料塗布液に対しパルスレーザー照射して、各微粒子を発生させる機構について説明する。
結晶化対象の溶質が溶解している溶液に対し、ピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザーを照射すると、低飽和溶液であっても結晶核となる核微粒子が生成するので、これを基に結晶を成長させることが出来、照射した塗布液をその後、好ましくは連続して、基材上に塗布・成膜することで、結晶性の分子同士の集合状態(モルフォロジー)が制御された膜を形成させることが出来る。
パルスレーザーを照射した後は、急激に結晶化や結晶成長が起こらない限り、特に連続して塗布工程を実施する必要はない。
図2に、本発明において、パルスレーザーの照射を行う態様についてその一例を示した。図2はパルスレーザー照射装置の一例を示す。
この装置は、フェムト秒レーザー照射手段1、機械シャッター2、半波長板3、偏光子4、集光レンズ5、および恒温水槽8を例えば有する。恒温水槽8の中には水9が入っており、その中に、モルフォロジーを制御したい溶質が溶解した溶液7が入った試料容器6が配置される。例えば、恒温水槽8で温度を徐々に低下させることで、溶液7の溶解度を低下させて過飽和状態を作り出す。このとき過度の過飽和状態にすると材料によっては結晶成長が速いので、比較的低い過飽和とすることが好ましい。レーザー照射手段1よりレーザー光10を照射すると、レーザー光10は、機械シャッター2、半波長板3、偏光子4および集光レンズ5を通過して溶液7内で集光し、ここで急激な光吸収により、結晶核生成を誘引する。
形成する微粒子のサイズは溶質の種類によっても異なるが、概ね1nm〜100nmの範囲であることが好ましい。更に好ましくは、2nm〜50nm、最も好ましくは3nm〜30nmであることが好ましい。このサイズであれば急激に結晶化を起こすことなく、所定の期間保管も出来る。光散乱を用いた粒径測定装置、例えば株式会社 堀場製作所動的光散乱式粒径分布測定装置(DLS)LB−550等により測定することができる。
核微粒子を生成させたい溶液は、これを入れた試料容器6を運動させることで溶液の攪拌を行うことも出来る。容器を回転、振動また揺動等の運動により間接的に容器を攪拌すれば、簡単に穏やかな攪拌を実現でき好ましい。例えば、円運動の場合、10〜1000rpm、好ましくは30〜200rpm、より好ましくは50〜100rpmである。
また、図3にレーザー照射を受けた後、連続して塗布手段に送ることができる照射装置の一例を示す。図に示したように、試料容器6を光電変換層材料溶液の貯留槽20と塗布手段をつなぐ経路中に配設することで、塗布液は塗布前にレーザー照射を受け、核微粒子を形成した後、塗布手段に送ることで連続して、基材上に塗布を行うことが出来る。このようなレーザー照射装置は、流路に複数台設置することも出来、また、レーザー光源をスプリットさせて、複数の試料容器6にてレーザー照射を行うことも出来る。矢印の先が図示されていない塗布装置である。
上記の装置による各微粒子(結晶核)の生成については、以下のいずれかの過程あるいはそのどれもが関与していると考えられるが、特定はできない。
(1)即ち、パルスレーザー照射により光熱変換が引き起こされ焦点付近の容器中の溶液が瞬間的に蒸発し、溶質の濃縮が起こった結果として結晶核が生成する。
(2)パルスレーザーが誘起するアブレーションにより衝撃波が発生し、それにより溶液が局所的に揺らされた結果として結晶核が生成する。
(3)レーザーの強度が強くなると溶液中で誘導散乱が引き起こされ、溶液中に濃度勾配が形成され、結晶核が生成する。
いずれにしても、光電変換層材料溶液は、ピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザーを複数回照射されたのち、塗布工程に送られ、基材上に塗布成膜されることで、結晶核を有する塗布液は成膜された後、乾燥過程中、またその後にも、結晶性の増した層を形成することができ、高い光捕集性をもち、光電変換効率の高い光電変換層を形成することが出来る。
前記レーザー照射装置においては、前記塗布液が少なくとも結晶性の溶質を含み形成されるとき、過飽和状態を保持したのち、前記塗布液に対しパルスレーザーを照射することが好ましい。また、好ましくは、比較的低い過飽和状態を作り出すために、レーザー照射温度において過飽和となるように、溶質の濃度を予め調整し、レーザー照射時に低い過飽和度となるよう設計することが好ましい。
この様にすれば、必要とされる過飽和状態が、溶液の温度変化によって引き起こされる溶解度差を利用して生成・保持させることができる。
例えば、80℃で溶解しておき、レーザー照射時の温度(例えば25℃)において過飽和となるよう徐々に冷却して過飽和溶液を作成する。
本発明において、照射するパルスレーザーの光強度(光子流量)は、例えば5×10(watt)以上であり、好ましくは2×10(watt)以上である。パルスレーザーの光密度の上限は、特に制限されないが、例えば、1018(watt)以下であり、好ましくは1015(watt)以下であり、より好ましくは1012(watt)以下である。
レーザー光強度(W)およびパルス時間幅(Δt)の積が、トータルの光強度であるから、レーザーの条件は、パルス時間幅によって、例えば以下のように設定できる。なおパルスレーザーには、様々なパルス時間幅のレーザーがあるが、本発明においてはピコ秒パルスレーザーおよびフェムト秒パルスレーザーを用いることが特徴であり、この中でもフェムト秒レーザーが特に好ましい。
例えばピコ秒パルスレーザーの場合
Figure 0005487872
またフェムト秒パルスレーザーの場合
Figure 0005487872
本願における核微粒子は、パルスレーザー照射が単発であっても形成できるが、複数回繰り返して照射することが特徴である。複数回とは2回以上をさすが、照射回数は特に制限されないが、好ましいのは一千発から一億発の範囲である。
照射回数が1千発以上であれば形成した核微粒子の数が十分であり、また成長した結晶サイズが粗大化することもなく好ましい。また上限は厳密にはないが、1億発以下であれば照射時間が長くなりすぎないので好ましい。
また、パルスレーザー周波数は、例えば、100MHz〜10GHzの範囲を好ましく用いることができるが、より好ましくは500MHz〜3GHz程度が好ましい。
パルスレーザーの具体例としては、例えば、フェムト秒チタンサファイアレーザー、フェムト秒ファイバーレーザー、ナノ秒・ピコ秒Nd3+:YAGレーザー、ナノ秒・ピコ秒Nd3+:VYO4レーザー、エキシマレーザーおよびアレクサンドライトレーザー等がある。
これらのパルスレーザー照射により形成される光電変換層として、p型半導体材料とn型半導体材料とを混合した、所謂バルクヘテロジャンクション構造を持つ光電変換層は、モルフォロジー変化を材料の変更や塗膜形成後の処理によらず容易に制御・形成できるので特に好ましい。
特に、溶質としてp型の有機半導体(後述する)が溶解した溶液とした場合、結晶核としての微粒子を形成しやすいので、該塗布液を塗布して形成する塗布膜は、バルクへテロジャンクション型のドメイン構造を形成しやすく好ましい。
本発明の光電変換層において、バルクヘテロジャンクション構造のドメインサイズは、平均値として5nm〜50nm程度が好ましく、より好ましくは7nm〜20nmであり、更に好ましくは、8nm〜15nmである。
ドメインサイズの計測は、例えばNano Lett.,Vol.9,No.1,2009を参考に、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置で作製した断層試料の透過型電子顕微鏡(TEM)の観察から、白黒のドメイン像を得て、画像解析から自己相関関数(ACR)の評価を行い、ドメインサイズを算出することができる。
本発明において、p型半導体材料とn型半導体材料とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、塗布法(キャスト法、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、など、また、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等広い意味での塗布による方法)により形成されることが特徴である。塗布法で形成するときに、前記のパルスレーザー照射によって、バルクヘテロジャンクション構造のモルフォロジーを最適化して形成させ、光電変換効率を向上させることが出来る。
また、塗布溶媒については、用いる光電変換層材料を溶解するものであれば特に制限されるところではなく、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、更に、キシレン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなど、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体等を用いることができ、これらを単独で、また混合して用いることができる。
以下、本発明に係る有機光電変換素子に関し、より詳しく説明する。
〔基板〕
図1において、光電変換素子は、例えば、基板11上に、第一の電極12、正孔輸送層14、光電変換層15、電子輸送層16、第二の電極13が順次積層され保持する。また第二の基板11′を保持する。尚、第二の基板11′のない光電変換素子もある。
図1の実施形態では、基板11側から光電変換される光が入射する場合、基板11はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。第二の基板11′を保持する光電変換素子の場合、同様に、基板11′側から光電変換される光が入射する場合、基板11′についてもこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。
基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
〔第一の電極〕
本発明の第一の電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができる。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、導電性高分子を用いることができる。
〔光電変換層〕
本発明の実施において、上述の光電変換層15は光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、少なくともp型半導体材料とn型半導体材料とを混合した、所謂バルクヘテロジャンクション構造であることが好ましい。
p型半導体材料は相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
本発明において、電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を用いるが、本発明においては、塗布する前の光電変換層(電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層)塗布液に対しピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザーを複数回照射し、塗布液中に含まれる成分のうち少なくとも一種において微粒子(核微粒子)を形成した後、該塗布液を基板上に塗布して形成するものである。さらにモルフォロジー変化を強化して光電変換効率を向上させるために、塗布後さらに所定の温度でアニール処理等おこなってもよい。
図1において、第一の基板11を介して第一の電極12から入射された光は、光電変換層15のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、第一の電極12と第二の電極13の仕事関数が異なる場合では、第一の電極12と第二の電極13との電位差により形成される内部電界によって、電子は電子受容体間を通り、また正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光起電流が検出される。例えば、第一の電極12の仕事関数が第二の電極13の仕事関数よりも深い(大きい)場合では、内部電界に影響を受け、電子は第二の電極13へ、正孔は第一の電極12へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば、電子と正孔はこれとは逆方向に輸送され易くなる。また、第一の電極12と第二の電極13との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
〔n型半導体材料〕
n型半導体材料の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物、またはこれらの誘導体が挙げられる。
中でも、各種のp型半導体材料と高速(〜50fs)かつ効率的に電荷分離を行うことができる、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7329709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
〔p型半導体材料〕
本発明に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーの内、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーを好適に用いることができる。
その他、高分子p型半導体の例としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリカルバゾール、ポリイソチアナフテン、ポリヘプタジイン、ポリキノリン、ポリアニリンなどが挙げられ、更には特開2006−36755号公報などの置換−無置換交互共重合ポリチオフェン、特開2007−51289号公報、特開2005−76030号公報、J.Amer.Chem.Soc.,2007, p4112、J.Amer.Chem.Soc.,2007, p7246などの縮環チオフェン構造を有するポリマー、WO2008/000664、Adv.Mater.,2007,p4160、Macromolecules,2007,Vol.40,p1981などのチオフェン共重合体などを挙げることができる。
更にポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、更にポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
また、発電層上に電子輸送層を塗布で製膜する場合、電子輸送層溶液が発電層を溶かしてしまうという課題があるため、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料を用いても良い。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
〔電荷輸送層〕
電荷輸送層としては、具体的には正孔輸送層、電子輸送層が挙げられる。
〔正孔輸送層〕
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層(電子ブロック層)としては、スタルクヴイテック製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、国際公開第06/19270号パンフレット等に記載のシアン化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。
また、本発明においては、バルクヘテロジャンクション層(光電変換層)に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。
〔電子輸送層〕
また、電子輸送層(正孔ブロック層)としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。
また、バルクヘテロジャンクション層(光電変換層)に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。
〔第二の電極〕
第二の電極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。第二の電極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。第二の電極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
第二の電極の導電材として金属材料を用いれば第二の電極側に来た光は反射されて第一の電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。
また、第二の電極13は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤ、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤの分散物であれば、透明で導電性の高い第二の電極を塗布法により形成でき好ましい。
〔その他の素子構成〕
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
更に太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、図1に示す有機光電変換素子10におけるサンドイッチ構造に替わって、一対の櫛歯状電極上にそれぞれ正孔輸送層14、電子輸送層16を形成し、その上に光電変換部15を配置するといった、バックコンタクト型の有機光電変換素子が構成されてもよい。
また、光電変換素子を積層した、タンデム型の構成としてもよい。タンデム型構成の場合、基板11上に、順次、透明な第一の電極、第1正孔輸送層、第1光電変換層、第1電子輸送層を積層し、更にその上に、再結合層を積層し、第2正孔輸送層、第2光電変換層、第2電子輸送層を逐次積層し、次いで第二の電極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。
ここで、第2光電変換層は、第1光電変換層の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。
また、再結合層の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ特性を有した層であることが好ましく、ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層、金属または金属酸化物等のナノワイヤ層、カーボンナノチューブ等を含む層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等が好ましい。
〔封止〕
作製した有機光電変換素子が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上10を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)を直接堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。更に本発明においては、エネルギー変換効率と素子寿命向上の観点から、素子全体を二枚のバリア付き基板で封止した構成でもよく、好ましくは、水分ゲッター等を同封した構成であることが本発明においてより好ましい。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
〈有機光電変換素子SC−101の作製〉
《ITO(第一電極の形成)》
表面粗さRpv<30nm、膜厚150nmのITO形成済みガラス基板を準備し、通常のエッチング法を用いて2mm幅にパターニングを行った。更に、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行い、パターン済みITO付き透明電極基板を作製した。
《PEDOT/PSS(正孔輸送層の形成)》
このITO付き透明基板上に、導電性高分子であるCLEVIOS P AI 4083(H.C.スタルク社製)を30nmの膜厚になるようスピンコートした後、150℃で大気中15分間加熱乾燥し正孔輸送層を形成した。
《P3HT:PCBM(光電変換層の形成)》
クロロベンゼンにP3HT(プレクストロニクス社製:レジオレギュラー−ポリ−3−ヘキシルチオフェン)Mn≒50000(高分子、p型半導体材料)とPCBM(Mw=911、低分子n型半導体材料)(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を2.0質量%となるように1:0.8で混合し、80℃で15時間スターラーで攪拌しながら溶解させた。
この液を室温までクーリングし、0.45μm(ポア径)のPTFEフィルターで濾過した後、膜厚100nmになるように塗布を行い、150℃で10分間加熱して、光電変換層を製膜した。
《LiF、Al》
上述した光電変換層まで積層した基板を蒸着機チャンバーへ移動し、1×10−4Paまで減圧した。
先ず、タンタル製抵抗加熱ボートに通電し加熱し、0.005〜0.01nm/sの蒸着速度で基板上にフッ化リチウム(LiF)を0.6nm蒸着した。続いて、第一電極のパターニングと直交させる形に配したシャドウマスクを通し(受光部は2mm幅)、タングステン製加熱ボートに通電し加熱して、0.1〜0.5nm/sの蒸着速度でアルミを蒸着して第二電極を形成した。
得られた有機光電変換素子SC−101を窒素チャンバーに移動し、ガラスキャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行って、受光部が2×2mmサイズの有機光電変換素子SC−101を作製した。
〈有機光電変換素子SC−102の作製〉
前記SC−101の作製において、光電変換層の製膜と同様に溶液を作製し、塗布直前の溶液に対して、下記に示すパルスレーザー照射条件で処理した以外はSC−101と同様にしてSC−102を作製した。
《パルスレーザー照射条件1》
フェムト秒パルスレーザーを間欠照射するパルスレーザー発生装置は図2に示した装置を用いた(WO2004/018744に記載の装置を参考にした)。ここで、パルスレーザー照射条件1においては、集光レンズ5を用いない構成とした。
ここでは、過飽和度溶液は、溶液濃度、溶液温度変化によって形成させる。この装置は、パルスレーザー10として、高出力フェムト秒チタンサファイアレーザーを用い、恒温水槽8中の試料溶液7に照射する装置である。恒温水槽8は、温度を±0.05℃の精度で制御できるものを用いた。レーザーの波長は800nm、時間幅は120fs(フェムト秒)である。レーザー発振の繰り返し周波数は1MHzから3GHzまで調整できる。また、レーザー光強度は、半波長板3と偏光子4を用いても調整できる。
前記作製した溶液に、上述した装置を用いて、フェムト秒レーザーを光強度250μJ/pulse(2×109watt)、周波数500MHzで1分間照射を行った。
〈有機光電変換素子SC−103の作製〉
前記SC−102の作製において、光電変換層を製膜する溶液を、P3HTとPCBMを3.5質量%となるように1:0.8で混合し、クロロベンゼンに溶解させたものを使った以外は前記SC−102の作製と同様にしてSC−103を作製した。
〈有機光電変換素子SC−104の作製〉
前記SC−102の作製において、光電変換層を製膜する溶液を、P3HTとPCBMを3.0質量%となるように1:0.8で混合し、クロロベンゼンに溶解させたものを使い、更に80℃で15時間スターラーで攪拌しながら溶解させた後、毎時10℃ずつ温度を下げ15℃までクーリングを行った。その後、SC−102と同様にしてパルスレーザーを溶液に照射した。
これ以降は前記SC−102の作製と同様にしてSC−104を作製した。
〈有機光電変換素子SC−105の作製〉
前記SC−104の作製において、図2の装置例中5に相当する、焦点距離170mmのレンズ(集光レンズ5)を用いてパルスレーザーを集光して照射させた以外は、前記SC−104の作製と同様にしてSC−105を作製した。
《エネルギー変換特性評価》
上記方法で作製した有機光電変換素子について、ソーラーシミュレーターを用いたAM1.5Gフィルター、100mW/cmの強度の光を照射し、マスクを受光部に重ね、I−V特性を評価し、特性値として、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、フィルファクターffから式1を用いてエネルギー変換効率η(%)を得て、SC−101のエネルギー変換効率を100としたとき相対値を表1に示した。
(式1) Jsc(mA/cm)×Voc(V)×ff=η(%)
Figure 0005487872
表3から明らかなように、本発明における、塗布する前の光電変換層塗布液に対しピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザーを複数回照射し、塗布液中に含まれる成分のうち少なくとも一種において微粒子(核微粒子)を形成した後、該塗布液を基板上に塗布して形成させることで、作製した光電変換素子の特性が優れることが分かった。
1 フェムト秒レーザー照射手段
2 機械シャッター
3 半波長板
4 偏光子
5 集光レンズ
6 試料容器
7 溶液
8 恒温水槽
9 水
10 レーザー光
20 貯留槽
11 基板
11′ 第二の基板
12 第一の電極
13 第二の電極
14 正孔輸送層
15 光電変換層
16 電子輸送層

Claims (6)

  1. 塗布型の有機光電変換素子の製造方法において、光電変換層を塗布する前の、溶媒を単独で含む塗布液に対しピコ秒からフェムト秒オーダーのパルスレーザーを複数回照射し、該塗布液中に含まれる成分のうち少なくとも一種からなる微粒子を形成した後、該塗布液を基板上に塗布して光電変換層を形成することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
  2. 前記塗布液が少なくとも結晶性の溶質を含み、過飽和状態を保持した後、該塗布液に対し前記パルスレーザーを照射することを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子の製造方法。
  3. 前記過飽和状態が、前記塗布液の温度変化によって引き起こされる溶解度差を利用して保持されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機光電変換素子の製造方法。
  4. 前記パルスレーザーは、レンズによって溶液中に集光される形で照射されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
  5. 前記塗布液が、溶質としてp型の有機半導体を混合し溶解した溶液であり、該塗布液を塗布して形成する塗布膜は、バルクへテロジャンクション型のドメイン構造を有してなる光電変換層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
  6. 前記ドメイン構造のドメインサイズは、平均値として5nm〜50nmである請求項5に記載の有機光電変換素子の製造方法。
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