JP2006270061A - 光起電力素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極間の短絡が抑制された光起電力素子を提供する。
【解決手段】正極2、カーボンナノチューブと共役系重合体を含有する重合体コンポジットからなる層3、負極4の順に積層された光起電力素子であって、負極と重合体コンポジット層の間に少なくとも一層の電子輸送層5を有する光起電力素子。
【選択図】図2
【解決手段】正極2、カーボンナノチューブと共役系重合体を含有する重合体コンポジットからなる層3、負極4の順に積層された光起電力素子であって、負極と重合体コンポジット層の間に少なくとも一層の電子輸送層5を有する光起電力素子。
【選択図】図2
Description
本発明は、カーボンナノチューブと共役系重合体からなる重合体コンポジットを半導体素材として用いた光起電力素子に関する。
太陽電池は環境に優しい電気エネルギー源として、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力なエネルギー源と注目されている。現在、太陽電池の光起電力素子の半導体素材としては単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池は、火力発電や原子力発電などの発電方式と比べてコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を製造するというプロセスにある。したがって、安価な製造方法が開発されれば大幅な低減が可能となり、太陽電池の市場が急激に拡大できることが期待される。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体素材として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。
しかし、共役系重合体に代表される有機太陽電池では、従来の無機半導体と比べて光電変換効率が低いことが最大の課題であり、まだ実用化には至っていない。従来の有機太陽電池の光電変換効率が低いのは、主として入射光によって生成された電子と正孔が分離しにくいエキシトンという束縛状態に形成されるためと、有機半導体ではキャリアを捕獲するトラップが形成されやすいため生成したキャリアがトラップに捕獲されやすくキャリアの移動度が遅いことによる。
このため、生成した電子と正孔をエキシトンからうまく分離する手段と重合体の非晶領域や重合体鎖間でのキャリアの散乱やトラップによるキャリアの捕捉を抑制して移動度を向上できる手段を見出すことが、有機半導体素材による太陽電池を実用化するための鍵となる。
すなわち、半導体素材には一般にその素材が有するキャリア(電子、正孔)に高い移動度μが要求されるが、共役系重合体では従来の無機結晶半導体やアモルファスシリコンと比べて電子と正孔が分離しにくいという欠点と移動度が低いという欠点がある。
有機半導体による光電変換素子は、現在のところ一般的に次のような素子構成に分類することができる。電子供与性材料(p型有機半導体)と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型、電子受容性材料(n型有機半導体)と電子供与性材料(p型有機半導体)を接合させることにより作製したヘテロ接合型などである。これらの素子は、接合部の有機層(数分子層程度)のみが光電流生成に寄与するため光電変換効率が低く、その向上が課題となっている。
光電変換効率向上の一つの方法として、電子受容性材料(n型有機半導体)と電子供与性材料(p型有機半導体)を混合し、光電変換に寄与する接合面を増加させたバルクへテロ接合型(非特許文献1参照)がある。共役系重合体を電子供与性材料(p型有機半導体)として用いた場合、電子受容性材料としてn型の半導体特性をもつ導電性高分子のほかC60などのフラーレンやカーボンナノチューブ(以下、CNTと略す)を用いた光電変換材料が報告されている(非特許文献2、特許文献1、2参照)。
またCNTはその紐状の形状から電荷輸送体としての機能も期待され、フラーレン類と導電性高分子の混合層に電荷輸送体としてCNTを添加した光電変換材料がある(特許文献3参照)。
ネイチャー(Nature)J.J.M.Halls、C.A.Walsh、N.C.Greenham、E.A.Marseglla、R.H.Frirnd、S.C.Moratti、A.B.Homes著、376号、498号(1995年) アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)(米国)、80巻、112号、2002年 特開2003−347565号公報(請求項1、3)
特開2004−165474号公報(請求項1、3)
特開2002−335004号公報(請求項5、0054〜0095段落)
ネイチャー(Nature)J.J.M.Halls、C.A.Walsh、N.C.Greenham、E.A.Marseglla、R.H.Frirnd、S.C.Moratti、A.B.Homes著、376号、498号(1995年) アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)(米国)、80巻、112号、2002年
しかしながら、電子受容体、電子輸送体として期待されるCNTは導電的な特性を持つ紐状の物質であり、その長さは数10μmに達する場合もあるため、有機半導体層に分散したCNTがそれぞれの電極と接し、短絡する可能性が考えられる。そこで、CNTを混合した有機半導体層についての短絡防止策をとる必要がある。本発明はCNTと共役系重合体からなる重合体コンポジット層を挟んだ基本構成からなる光起電力素子において発生しやすい短絡の課題を防止し、電極間の短絡防止を達成する光起電力素子を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、正極、CNTと共役系重合体を含有する重合体コンポジットからなる層、負極の順に積層された光起電力素子であって、負極と重合体コンポジット層の間に少なくとも一層の電子輸送層を有する光起電力素子である。また本発明の別の態様は、さらに、正極と重合体コンポジット層の間に少なくとも一層の正孔輸送層を有する光起電力素子である。
本発明によれば、負極と重合体コンポジット層の間に電子輸送層を積層させることによって、光電変換効率を低下させることなく正負電極間の短絡発生を抑えることができ、光起電力素子製造の効率を向上することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は従来の光起電力素子の要部断面図(特許文献1に記載されている)である。図1において1は基板、2は正極、3は共役系重合体とCNTを含む重合体コンポジット層、4は負極である。図2は本発明の光起電力素子の一例を示すものである。本発明の光起電力素子は重合体コンポジット層3の上に電子輸送層5を設け、この電子輸送層5の上に負極4を設けた積層構造を有する。
本発明に用いられるCNTは、半導体層中で電子受容体と電荷輸送体の機能を兼ね備える。CNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT(SWCTN)、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT(DWCNT)と、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNT(MWCNT)とがあり、本発明では、SWCNT、DWCNT、MWCNTのいずれも使用することができ、同時に2種以上のCNTを使用することも可能である。なかでも単層CNTは直径が細いため(すなわち体積が小さいため)、微分散が良好にできれば同じ体積密度でもCNTの数密度を増やすことができ、本発明には好ましい。またその作製方法はアーク放電法、化学気相成長法(以下CVD法とする)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明に使用されるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。
上記の方法でCNTを作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成され、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存するので、これらの不純物を精製する必要がある。また、CNTは紐状に形成されるので、コンポジットのフィラーとして供するためには、短繊維状にカットすることが必要である。以上の不純物の精製や短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理や、ミル装置などを用いた粉砕、超音波処理が有効であり、またフィルターによる分離を併用してCNTの長さを制御することは純度を向上させる上でさらに好ましい。また超音波処理を行う際に共役系重合体を媒体として用いると、CNTがより細かく均一に分散する。
本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、1nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下が良好に使用される。本発明で用いられるCNTの数平均長さは特に限定されないが、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下、また0.05μm以上で使用される。CNTは短いほどお互いの重なり合いが少なく、電極間での短絡パスを抑制できるので、特に、重合体コンポジット層の膜厚が200nm以下で用いられる場合、CNTは0.5μm以下であることが望ましい。
CNTの数平均長さは、溶媒中に分散してCNT分散液とし、これを基板に塗布した塗膜の状態で、CNT形状を解析することで得られる。なお、後述のようにCNTを共役系重合体などと共に超音波照射しておくことで均一なCNT分散液が得られ、より正確な形状解析をすることができる。CNTの数平均長さは次の方法に基づいて測定する。作製したCNT分散液を、予め表面を洗浄処理したシリコンウェハーやガラス基板上にスピンコート法などによって塗布し、AFM(原子間力顕微鏡)やSEM(走査型電子顕微鏡)を用いてCNTを観察する。観察されるCNTの全数が100個程度となるように視野を決め、観察された全てのCNTの長さの合計値を、CNT全数で割ることで数平均長さを求める。
本発明ではカットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも本発明により好ましく使用できる。このような短繊維状CNTは例えば、基板上に鉄、コバルトなどの触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。短繊維状CNTは基板から剥ぎ取るなどの方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることができる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することができる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
本発明ではCNTと共役系重合体(重合体コンポジット層におけるマトリックス)を有して、重合体コンポジットを構成するが、用いる共役系重合体は、p型半導体特性を示す共役系重合体が好ましく用いられる。これは電子供与体(正孔受容体又は電子発生剤)として用いられるものである。このような共役系重合体はポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリチエニレンビニレン誘導体などが挙げられる。
上記の重合体のなかでも、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−チエニレンビニレン誘導体が特に好ましく使用される。ポリチオフェン系重合体とはポリ−p−チオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するものである。具体的にはポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェン、などのポリ−3−アルコキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェン、などのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェンが挙げられる。
ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体とは、ポリ−p−フェニレンビニレンのフェニレン環に置換基が付加したもの、及び/又はビニレン基に置換基が付加したものであり、特にフェニレン環の2、5位に置換基が付加したものが好ましく用いられる。例えば、ポリ(2−メトキシ−5−ドデシルオキシ−p−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−p−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシ−5−(2’エチルヘキソキシ−p−フェニレンビニレン)、ポリ(2、5−ビスオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)などが挙げられる。また、本発明の重合体とは必ずしも高分子量である必要はなく、共役系からなるオリゴマーであっても良い。
以上のように、分子内の不規則性が小さいポリマーを用いるとともに、ポリ−3−アルキルチオフェンに含まれる不純物を除去することも光電変換効率を向上させる上で好ましい。
不純物を除去する方法は特に限定されないが、基本的には合成過程で使用した原料や副生成物を除去する精製工程であり、再沈殿法、ソクスレー抽出法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。中でも低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法が好ましく用いられ、金属成分の除去には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法のうち1種を単独で用いるか、あるいは複数を組み合わせても良く、特に限定はされない。
本発明の光起電力素子にある重合体コンポジット層に使用されるCNTの量は、共役系重合体に対し、CNTを0.01重量%以上1重量%以下で混合することが好ましい。この範囲の添加によって電荷の移動度を大きく増大させることができる。重合体間または結晶子などドメインの間を移動する電荷は、重合体間やドメイン間の構造の乱れによって電荷がトラップされたり、散乱されたりする。このため、外部に観測される移動度は本来重合体が有する移動度より大きく低下している。一方、CNTを適度に含む重合体では、重合体間やドメイン間を移動度の高いCNTが橋渡しするため、高移動度が得られる。また、CNTは重合体コンポジットの中で電子受容体として働くため、光照射時に重合体中で形成されたエキシトンが電子と正孔に分離され、光電流がより効率的に発生する。それによって光電変換効率が大きく向上すると考えられる。
本発明の光起電力素子に搭載される重合体コンポジット層は、共役系重合体とCNTを溶媒に溶解して溶液とし、浸漬法、印刷転写法、スピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法等で形成され、溶媒を除去することで得られる。重合体コンポジット層は50nm〜1μmの厚さで好ましく、さらに好ましくは50nm〜200nmの厚さで用いられる。
本発明で用いる重合体コンポジット層は共役系重合体をマトリックスとし、その中にCNTが分散されている。CNTを分散する方法は特に限定されないが、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合させる方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させこの中にCNTを添加して混合させる方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合させる方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法等が挙げられる。本発明では、何れの方法を単独で用いるか、あるいは何れの方法を組み合わせても良く、特に限定されない。
具体的には例えばポリ−3−アルキルチオフェン(P3AT)にCNTを分散する方法としては下記の方法が行われる。先ず、クロロホルムの入ったフラスコの中にポリ−3−アルキルチオフェンを加え、超音波洗浄機中で超音波照射することによりP3ATのクロロホルム溶液を得る。ここでP3ATの不純物を除去する場合には、塩酸/メタノールの混合溶液の中で再沈殿を行う。再沈殿したP3ATをメンブレンフィルターによって濾別捕集し、真空乾燥により溶媒を除去する。
次に、CNTと、精製したP3ATをクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザーを用いて超音波照射することによってCNTの分散液が得られる。なお、CNT分散液中のCNTをより細かく均一に分散するために、超音波照射を終える前に追加の共役系重合体を添加する方法も好ましく用いられる。この方法では、CNTの再凝集を抑制して分散を安定化させることができる。得られた分散液をメンブレンフィルターを用いてろ過し、長いCNTを除去する。得られた濾液にさらに精製したP3ATを加えてCNTのP3ATに対する重量濃度を調整しながら、溶液の温度をコントロールして超音波洗浄機で超音波照射し、CNT分散液(後に溶媒が除去されて重合体コンポジットとなる)を得る。
また上記重合体コンポジットの作製時に用いられる溶媒は、たとえば有機溶媒が好ましく用いられ、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o−クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフランなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、必要に応じて溶媒を選ぶことができる。
図1に示した基板1は、光電変換材料の種類や用途に応じて、電極材料や有機半導体層が積層できる基板、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また基板側から光を入射して用いる場合は、上記に示した各基板に好ましくは80%程度の光透過性を持たせておく必要がある。
本発明の光起電力素子は、負極4と重合体コンポジット層3の間に存在する電子輸送層5を設ける。電子輸送層を形成する材料として、n型半導体特性をもつ有機半導体(n型有機半導体)がある。これは、低分子系では1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)、N,N'−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド(PTCDI−C8H)、フラーレン類、オキサゾール誘導体(PBD、BND、OXD1)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナントロリン誘導体、フラーレン(C60)誘導体、高分子系ではポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入したもの(CN−PPV)などが好ましく用いられる。電子輸送層5は5nmから600nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nmから600nmである。
また本発明では、正極2と重合体コンポジット層3の間に正孔輸送層を設けても良く、正孔輸送層を形成する材料として導電性高分子であるポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体等が好ましく用いられる。特に、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたものが好ましく用いられる。また、p型半導体特性を示す共役系重合体も正孔輸送層として好ましく用いられる。正孔輸送層が、重合体コンポジット層の共役系重合体と同一の共役系重合体であることがより好ましい。この場合、正孔輸送層と重合体コンポジット層の成分である共役系重合体のHOMO(最高被占分子軌道)のエネルギーレベルが同じため、界面でのエネルギーレベル差による障壁がなく、正孔輸送の効率が向上する。正孔輸送層5は5nmから500nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nmから600nmである。
本発明の光起電力素子においては、正極もしくは負極のいずれかに光透過性を有する。電極薄膜の透過性は、重合体コンポジット層に入射光が透過して起電力が発生する程度であれば、特に限定されるものではない。電極薄膜の厚さは光透過性と導電性とを有する範囲であればよく、電極素材によって異なるが20nmから300nmが好ましい。なおもう一方の電極は導電性があれば必ずしも透明性は必要ではなく、従って厚さも限定されない。
電極材料としては、一方の電極には仕事関数の大きな導電性素材、もう一方の電極には仕事関数の小さな導電性素材を使用することが好ましい。また、仕事関数の大きな導電性素材を用いた電極は正極となる。仕事関数の大きな導電性素材としては金、白金、クロム、ニッケルなどの金属のほか、透明性を有するインジウム、スズなどの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)など)が好ましく用いられる。ここで、正極2に用いられる導電性素材は、重合体コンポジット層3の共役系重合体とオーミック接合するものであることが好ましい。さらに、正孔輸送層を用いた場合においても、正極2に用いられる導電性素材は正孔輸送層に使用する導電性高分子とオーミック接合するものであることが好ましい。
仕事関数の小さな導電性素材を用いた電極は負極となるが、仕事関数の小さな導電性素材としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、具体的にはリチウム、マグネシウム、カルシウムが使用される。また、錫や銀、アルミニウムも好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。また、負極4と電子輸送層5の界面に金属フッ化物などを導入することで、取り出し電流を向上させることも有効である。ここで、負極4に用いられる金属は、電子輸送層5であるn型有機半導体とオーミック接合するものであることが好ましい。
次に本発明の光電変換素子の製造工程について説明する。基板上にITOなどの透明電極(この場合正極に相当)をスパッタリング法などにより形成する。次に、共役系重合体とCNTを溶媒に混合して得たCNT分散液を、透明電極上に塗布し重合体コンポジット層を形成する。
重合体コンポジット層の形成には、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法など何れの方法を用いることができ、塗膜厚さ制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には、CNT分散液中の共役系重合体が1〜20g/Lの濃度であることが好ましく、この濃度にすることで厚さ5〜200nmの均質な塗膜を得ることができる。形成した塗膜に対して、溶媒を除去するために、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)などでアニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の好ましい温度は70℃〜200℃である。また、アニーリング処理を行うことで、積層した層が界面で互いに浸透して接触する実行面積が増加し、短絡電流を増大させることができる。アニーリング処理は、素子形成後に行ってもよい。
次に、重合体コンポジット層上に電子輸送層を形成する。低分子化合物を用いる場合は真空蒸着機を用いた蒸着法を適用し、高分子化合物を用いる場合は、スピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法によって形成する。次に、電子輸送層上にAlなどの金属電極(この場合負極に相当)を蒸着法やスパッタ法により形成する。金属電極は、電子輸送層に低分子型の材料を用いて蒸着した場合は、引き続き、真空を保持したまま続けて形成することが好ましい。
透明電極と重合体コンポジット層の間に正孔輸送層を設ける場合には、PEDOTなどの導電性高分子溶液をITO上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、正孔輸送層を形成する。
本発明の光電変換素子は、光電変換機能、光整流機能などを利用した種々の光電変換デバイスへの応用が可能である。たとえば光電池(太陽電池など)、光起電力素子、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタなど)、光記録材(光メモリなど)などとして有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
P3HT:ポリ−3−ヘキシルチオフェン
PTFE:ポリ4フッ化エチレン
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
NTCDA:1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド
MEH−PPV:ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]
BCP:4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン
ITO:インジウム錫酸化物
実施例1
クロロホルム10mLに単層CNT(CNI社製)0.2mgを加え、有機高分子半導体としてポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT、アルドリッチ社製、レジオレギュラー)0.2mgを加えて氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波照射してCNT濃度0.02g/Lの単層CNT分散液を得た。得られた単層CNT分散液をポリ4フッ化エチレン(PTFE)メンブレンフィルター(ミリポアコーポレーション社製、フィルタータイプ:JC、フィルター孔径:10μm)で濾過することにより、長い単層CNTを除き、短い単層CNT分散液を濾別した。得られたCNT分散液をクロロホルムで200倍に希釈し、ガラス基板上にスピンコート法により塗布し、原子間力顕微鏡(AFM:デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIa)で観察した。10μm×5μmの視野の中に観察された約100個のCNTの長さの合計値を、CNT全数で割ることで数平均長さを求めた。濾別後のCNT分散液に含まれるCNTの数平均長さは1.2μmであった。
P3HT:ポリ−3−ヘキシルチオフェン
PTFE:ポリ4フッ化エチレン
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
NTCDA:1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド
MEH−PPV:ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]
BCP:4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン
ITO:インジウム錫酸化物
実施例1
クロロホルム10mLに単層CNT(CNI社製)0.2mgを加え、有機高分子半導体としてポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT、アルドリッチ社製、レジオレギュラー)0.2mgを加えて氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波照射してCNT濃度0.02g/Lの単層CNT分散液を得た。得られた単層CNT分散液をポリ4フッ化エチレン(PTFE)メンブレンフィルター(ミリポアコーポレーション社製、フィルタータイプ:JC、フィルター孔径:10μm)で濾過することにより、長い単層CNTを除き、短い単層CNT分散液を濾別した。得られたCNT分散液をクロロホルムで200倍に希釈し、ガラス基板上にスピンコート法により塗布し、原子間力顕微鏡(AFM:デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIa)で観察した。10μm×5μmの視野の中に観察された約100個のCNTの長さの合計値を、CNT全数で割ることで数平均長さを求めた。濾別後のCNT分散液に含まれるCNTの数平均長さは1.2μmであった。
得られた単層CNT分散液にさらにP3HT50mgを加え、超音波洗浄機を用いて30分間超音波照射することによりP3HTと単層CNTを成分とするCNT分散液A(重合体に対するCNTの量が0.4重量%の重合体コンポジットクロロホルム溶液)を得た。一方、ガラス基板上に透明な正極2となるインジウム錫酸化物(ITO)層を5mm×30mmストライプ状に100nmの厚さで、マスクを用いてスパッタリング法により形成した。次に、この基板上に正孔輸送層となるポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)の混合水溶液(PEDOT:PSS=0.8重量%:0.5重量%)をスピンコート法により100nmの厚さに成膜した。前記のCNT分散液AをPEDOT:PSS膜上に滴下し、スピンコート法により膜厚100nmの薄膜を形成した。これを110℃の真空恒温槽中に2時間放置して溶媒を除去し、重合体コンポジット層を形成した。その後、重合体コンポジット層上に電子輸送層5(1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA))を200nmの厚さで蒸着法により形成し、その上に負極4となるアルミニウム層を140nmの厚さで蒸着法により形成した。この時には、あらかじめストライプ状に形成されたITO層と直交するように、マスクを配置してアルミニウム層を形成した。これら上下の電極から引き出し電極を取り出し、光電変換素子を作製した。
このようにして作製された光起電力素子をシールドボックス中に置き、上下の電極をヒューレット・パッカード社製ピコアンメーター/ボルテージソース4140Bに接続して、先ず光を遮断した状態で電圧を印加しながら減圧下(133Pa以下)で電流−電圧特性を測定したところ、この光電変換素子は図3に示すような整流特性を示した。このとき、10点作製した光電変換素子のうち、9点が整流特性を示した。
次に、シールドボックスの窓から光照射光源を灯して、ストライプ状のITO層とアルミニウム層が交差する5mm×5mm光電変換素子の部分にITO層側から光照射し、電流−電圧(明電流)特性を測定した。光照射には顕微鏡用の白色光源を用い、この時の照射強度は10mW/cm2であった。この時、光照射時の短絡電流は2μA/cm2電流が認められた。また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
実施例2
実施例1において、正孔輸送層を設けないこと以外、同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、9点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は1μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
実施例1において、正孔輸送層を設けないこと以外、同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、9点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は1μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
比較例1
実施例1において、電子輸送層5を設けないこと以外、同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、8点において正負極が短絡し整流特性が認められなかった。整流特性が認められた2点ではともに光照射時の短絡電流は0.2μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.1Vであった。
実施例1において、電子輸送層5を設けないこと以外、同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、8点において正負極が短絡し整流特性が認められなかった。整流特性が認められた2点ではともに光照射時の短絡電流は0.2μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.1Vであった。
比較例2
実施例1において、正孔輸送層及び電子輸送層5を設けないこと以外、同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、整流特性を示したのは1点であった。9点については整流特性を示さず(図3)、光照射時の開放電圧の発生もほとんど認められなかった。
実施例1において、正孔輸送層及び電子輸送層5を設けないこと以外、同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、整流特性を示したのは1点であった。9点については整流特性を示さず(図3)、光照射時の開放電圧の発生もほとんど認められなかった。
実施例3
実施例1の正孔輸送層として用いたPEDOT:PSS水溶液をポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV、アルドリッチ社製、分子量:Mn86000)30nmに換えた他は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、9点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は2μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
実施例1の正孔輸送層として用いたPEDOT:PSS水溶液をポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV、アルドリッチ社製、分子量:Mn86000)30nmに換えた他は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、9点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は2μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
実施例4
実施例1の正孔輸送層として用いたPEDOT:PSS水溶液をP3HTに換え、また正孔輸送層の厚さを100nmから30nmに換えた他は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、9点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は2μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
実施例1の正孔輸送層として用いたPEDOT:PSS水溶液をP3HTに換え、また正孔輸送層の厚さを100nmから30nmに換えた他は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。10点作製した光電変換素子のうち、9点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は2μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
実施例5
実施例1において、単層CNT分散液の作製方法を以下のように変更した以外、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。
実施例1において、単層CNT分散液の作製方法を以下のように変更した以外、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。
変更した単層CNT分散液の作製方法を記す。クロロホルム10mLに単層CNT(CNI社製)0.5mgを加え、有機高分子半導体としてP3HT(アルドリッチ社製、レジオレギュラー)0.5mgを加えて氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波照射した。超音波照射を30分行った時点で一度照射を停止し、P3HTを0.5mg追加し、さらに1分間超音波照射して、均一な単層CNT分散液(CNT濃度0.05g/L)を得、さらにこのCNT分散液4mLにクロロホルム6mLを加えてCNT濃度0.02g/Lの分散液を調製し、次いで孔径1μmのPTFEメンブレンフィルター(ミリポアコーポレーション社製、フィルタータイプ:JA、フィルター孔径:1μm)を用いて濾過を行い、長い単層CNTを除き、短い単層CNT分散液を濾別した。濾別後のCNT分散液をクロロホルムで200倍に希釈し、ガラス基板上にスピンコート法により塗布し、原子間力顕微鏡(AFM:デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIa)を用いて、実施例1と同様にCNTの数平均長さを求めた。濾別後のCNT分散液に含まれるCNTの数平均長さは0.5μmであった。
P3HT5mgに濾別後のCNT分散液を1mL加え、超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製US−2、出力120W)を用いて30分間超音波照射することにより、P3HTと単層CNTを成分とするCNT分散液B(重合体に対するCNTの量が0.4重量%の重合体コンポジットのクロロホルム溶液)を得た。
得られたCNT分散液Bを用いて、実施例1と同様の方法で作製した光電変換素子を評価したところ、5点のうち5点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は5μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.5Vであった。
実施例6
スパッタリング法により正極2となるITO透明導電膜を120nm堆積させたガラス基板を38×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56(商品名))で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。素子を作製する直前に、この基板を30分間UV/オゾン処理した。次に、この基板上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液(PEDOT:PSS=0.8重量%:0.5重量%)をスピンコート法により100nmの厚さに成膜した。ホットプレートにより150℃で3分間加熱乾燥した後、実施例4と同様に調整したP3HTと単層CNTを成分とするCNT分散液(重合体に対するCNTの量が0.4重量%の重合体コンポジットのクロロホルム溶液)をPEDOT:PSS層上に滴下し、スピンコート法(回転速度1000rpm、10秒)により膜厚60nmの薄膜を形成した。これを110℃の真空恒温槽中に2時間放置して溶媒を除去し、重合体コンポジット層を形成した。その後、基板を真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が6×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって、重合体コンポジット層上に電子輸送層5(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン;BCP)を10nmの厚さに蒸着した。次に、陰極用マスクを装着し、バッファ層となるフッ化リチウムを0.5nm、負極4となるアルミニウム層を120nmの厚さに蒸着した。これら上下の電極から引き出し電極を取り出し、光電変換素子を作製した。
スパッタリング法により正極2となるITO透明導電膜を120nm堆積させたガラス基板を38×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56(商品名))で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。素子を作製する直前に、この基板を30分間UV/オゾン処理した。次に、この基板上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液(PEDOT:PSS=0.8重量%:0.5重量%)をスピンコート法により100nmの厚さに成膜した。ホットプレートにより150℃で3分間加熱乾燥した後、実施例4と同様に調整したP3HTと単層CNTを成分とするCNT分散液(重合体に対するCNTの量が0.4重量%の重合体コンポジットのクロロホルム溶液)をPEDOT:PSS層上に滴下し、スピンコート法(回転速度1000rpm、10秒)により膜厚60nmの薄膜を形成した。これを110℃の真空恒温槽中に2時間放置して溶媒を除去し、重合体コンポジット層を形成した。その後、基板を真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が6×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって、重合体コンポジット層上に電子輸送層5(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン;BCP)を10nmの厚さに蒸着した。次に、陰極用マスクを装着し、バッファ層となるフッ化リチウムを0.5nm、負極4となるアルミニウム層を120nmの厚さに蒸着した。これら上下の電極から引き出し電極を取り出し、光電変換素子を作製した。
実施例1と同様の測定方法で、得られた光電変換素子の性能を評価したところ、5点のうち5点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は6μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.5Vであった。
実施例7
電子輸送層にフラーレン(C60)30nmを用いた他は、実施例5と同様にして素子を作製した。実施例1と同様の測定方法で、得られた光電変換素子の性能を評価したところ、5点のうち5点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は60μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
電子輸送層にフラーレン(C60)30nmを用いた他は、実施例5と同様にして素子を作製した。実施例1と同様の測定方法で、得られた光電変換素子の性能を評価したところ、5点のうち5点が整流特性を示した。この時、光照射時の短絡電流は60μA/cm2であり、また照射時の開放電圧は0.3Vであった。
1:基板
2:正極
3:重合体コンポジット
4:負極
5:電子輸送層
2:正極
3:重合体コンポジット
4:負極
5:電子輸送層
Claims (6)
- 正極、カーボンナノチューブと共役系重合体を含有する重合体コンポジットからなる層、負極の順に積層された光起電力素子であって、負極と重合体コンポジット層の間に少なくとも一層の電子輸送層を有する光起電力素子。
- 正極と重合体コンポジット層の間に少なくとも一層の正孔輸送層を有する請求項1記載の光起電力素子。
- 電子輸送層が、n型半導体特性をもつ有機半導体である請求項1記載の光起電力素子。
- 正孔輸送層が共役系重合体である請求項2記載の光起電力素子。
- 正孔輸送層が重合体コンポジット層の共役系重合体と同一の共役系重合体である請求項4記載の光起電力素子。
- 重合体コンポジット層中のカーボンナノチューブの数平均長さが0.05μm以上0.5μm以下である請求項1記載の光起電力素子。
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- 2006-02-14 JP JP2006036073A patent/JP2006270061A/ja active Pending
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