JP2007324587A - 有機光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布プロセスを用いて長寿命な有機光電変換素子を製造できる有機光電変換素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に形成されたn型半導体を含有する活性層とを備えた有機光電変換素子の製造方法であって、2種以上の潜在顔料を混合して成膜し、その後 前記潜在顔料を顔料に変換して、その後n型半導体を含有する活性層とする事を特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に形成されたn型半導体を含有する活性層とを備えた有機光電変換素子の製造方法であって、2種以上の潜在顔料を混合して成膜し、その後 前記潜在顔料を顔料に変換して、その後n型半導体を含有する活性層とする事を特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機光電変換素子の製造方法に関するものである。
有機顔料を用いた太陽電池(以下適宜、「有機太陽電池」という)の構造は様々であり、例えば、色素増感型、バルクヘテロ接合型、ヘテロpn接合型、ショットキー型などが提案されている(特許文献1、非特許文献1,2参照)。
また、前記のバルクヘテロ接合型の太陽電池の製造方法として、ポリチオフェン誘導体やポリフェニレンビニレン誘導体とフラーレン(C60)誘導体とを混合したものを塗布により成膜する方法が報告されている(特許文献2、非特許文献3)。なお、これにより製造される太陽電池では、混合層の中で、共役高分子とフラーレン化合物とが相分離した構造となっている旨が報告されている。
太陽電池は、いずれも光を吸収して発電を行なう。当該発電のメカニズムは、通常、以下の過程に分解して説明される。
過程1:光吸収による励起状態(励起子)の生成。
過程2:励起子のイオン対(所謂キャリア)への解離。
過程3:イオン対が分離して電極に到達。
過程1:光吸収による励起状態(励起子)の生成。
過程2:励起子のイオン対(所謂キャリア)への解離。
過程3:イオン対が分離して電極に到達。
ところで、励起子は、通常は、その寿命の中で動ける範囲(励起子拡散距離)が限定されている。具体的には、この励起子の拡散距離は、一般に、10nm程度の小さい距離である。このため、生成した励起子は、生成した場所と解離場所とがその動ける範囲の中にあるものしか光起電力としては利用できない。
そこで、励起子の解離場所を増やすことにより、高効率が達成できると考えられる。
そこで、励起子の解離場所を増やすことにより、高効率が達成できると考えられる。
上記の観点から、有機太陽電池の構造においては、前記の過程2(即ち、励起子がイオン対に解離する過程)を効率よく進行させるために、異なる物質の界面、不純物、空乏層、蓄積層などの電荷移動の起こりやすい場を備えさせ、この電荷移動の起こりやすい場を利用して前記過程を進行させることが多い。したがって、前記の有機太陽電池は、通常、その部分に、それぞれ特徴ある構造を有している。
これらの太陽電池の構造の一例に、有機顔料の層を有するものがある。ところが、太陽電池の製造のため有機顔料を成膜しようとする場合、通常は有機顔料が高結晶性の性質を有しているので、前記有機顔料は真空蒸着以外の方法では成膜が困難であった。したがって、大面積の成膜が実用上難しく、高コストになっていた。
また、バルクヘテロ接合型の太陽電池の製造方法は、塗布プロセスを用いているものの、共役高分子を利用しているため、有機顔料を用いる場合に比較すると強い光の照射に対する耐久性は期待できず、十分に長寿命な太陽電池を得ることが難しかった。
また、太陽電池以外の有機光電変換素子においても、前記と同様の課題があった。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、塗布プロセスを用いて長寿命な有機光電変換素子を製造しうる、有機光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
また、太陽電池以外の有機光電変換素子においても、前記と同様の課題があった。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、塗布プロセスを用いて長寿命な有機光電変換素子を製造しうる、有機光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、2種以上の潜在顔料を顔料に変換するプロセスを利用することにより、塗布プロセスを用いて長寿命な有機光電変換素子を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に形成された活性層とを備えた有機光電変換素子の製造方法であって、2種以上の潜在顔料を顔料に変換するプロセスを有することを特徴とする、有機光電変換素子の製造方法に存する(請求項1)。
このとき、本発明の有機光電変換素子の製造方法は、前記潜在顔料を前記顔料に変換するより前に、前記潜在顔料の成膜を行なうプロセスを有することが好ましい(請求項2)。
更に、本発明の有機光電変換素子の製造方法では、前記2種以上の潜在顔料を混合して前記成膜を行なうことが好ましい(請求項3)。
また、前記成膜は、塗布法により行なうことが好ましい(請求項4)。
更に、前記顔料として、ポルフィリン、フタロシアニン、キナクリドン、ピロロピロール、ジチオケトピロロピロール及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい(請求項5)。
本発明の別の要旨は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に形成された、n型半導体を含有する活性層とを備えた有機光電変換素子の製造方法であって、前記n型半導体を、潜在顔料から変換して作製することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法に存する(請求項6)。
さらに、該有機光電変化素子は、太陽電池であることが好ましい(請求項7)。
本発明の有機光電変換素子の製造方法によれば、塗布プロセスを用いて長寿命な有機光電変換素子を製造できる。また、通常は、高効率な有機光電変換素子を製造することが可能である。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[I.概要]
本発明の有機光電変換素子の製造方法は、2種以上の潜在顔料を顔料に変換するプロセスを有する。
有機光電変換素子の活性層の材料である顔料は、顔料自体の性質等により、必ずしも成膜性が良好ではない。しかし、当該顔料の成膜性が良好でなくとも、顔料の前駆体である潜在顔料の成膜性が良好である場合には、塗布法などの低コストの方法により潜在顔料を容易に成膜することが可能である。これを利用し、本発明では、潜在顔料を、形状、寸法、配設位置などの構成を所望の構成として成膜し、その後、潜在顔料を顔料に変換して活性層を得るプロセスを用いて有機光電変換素子を製造するものである。
本発明の有機光電変換素子の製造方法は、2種以上の潜在顔料を顔料に変換するプロセスを有する。
有機光電変換素子の活性層の材料である顔料は、顔料自体の性質等により、必ずしも成膜性が良好ではない。しかし、当該顔料の成膜性が良好でなくとも、顔料の前駆体である潜在顔料の成膜性が良好である場合には、塗布法などの低コストの方法により潜在顔料を容易に成膜することが可能である。これを利用し、本発明では、潜在顔料を、形状、寸法、配設位置などの構成を所望の構成として成膜し、その後、潜在顔料を顔料に変換して活性層を得るプロセスを用いて有機光電変換素子を製造するものである。
[II.顔料及び潜在顔料]
本発明に係る潜在顔料とは、顔料の化学構造の異なる前駆体のことをいう。潜在顔料に対して例えば加熱や光照射等の外的な刺激を与えることにより、潜在顔料の化学構造は変化し、顔料に変換されるものである。
本発明に係る潜在顔料とは、顔料の化学構造の異なる前駆体のことをいう。潜在顔料に対して例えば加熱や光照射等の外的な刺激を与えることにより、潜在顔料の化学構造は変化し、顔料に変換されるものである。
また、本発明に係る潜在顔料は、成膜性に優れるものが好ましい。成膜性が良好でない顔料であっても、潜在顔料の状態で成膜してから顔料に変換することにより、成膜時のコストを抑制することができるからである。特に、塗布プロセスを適用できるようにするためには、当該潜在顔料自体が液状で塗布可能であるか、当該潜在顔料が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲を挙げると、潜在顔料の溶媒に対する溶解性は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
さらに、本発明に係る潜在顔料は、容易に顔料に変換できることが好ましい。潜在顔料から顔料への変換工程において、どのような外的な刺激を潜在顔料に与えるかは任意であるが、通常は、熱処理、光照射などを行なう。
また、本発明に係る潜在顔料は、変換工程を経て、高い収率で顔料に変換されることが好ましい。この際、潜在顔料から変換して得られる顔料の収率は有機光電変換素子の性能を著しく損なわない限り任意である。収率の好適な範囲を挙げると、潜在顔料から得られる顔料の収率は高いほど好ましく、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。
また、本発明に係る潜在顔料は、変換工程を経て、高い収率で顔料に変換されることが好ましい。この際、潜在顔料から変換して得られる顔料の収率は有機光電変換素子の性能を著しく損なわない限り任意である。収率の好適な範囲を挙げると、潜在顔料から得られる顔料の収率は高いほど好ましく、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。
一方、本発明に係る顔料とは、前記の潜在顔料が変換してなるものであり、一般的な溶媒への溶解度の小さい材料のことを指す。ここで、一般的な溶媒への溶解度が小さいとは、例えば、トルエンに対する溶解度が、通常1%以下、好ましくは0.1%以下であることをいう。
この顔料は、有機光電変換素子の構成に応じて任意のものを用いることが可能であるが、本発明では通常は顔料として有機物(有機顔料)を使用する。さらに、通常は、顔料中を電荷が移動して有機光電変換素子の発電効果が生じることから、顔料としては半導体特性を示すものを使用することが好ましい。ここで、半導体特性を示すとは、例えば、当該顔料単独の層のキャリア移動度が10-7cm2/Vs以上の値を示す事が挙げられる。キャリア移動度は、タイムオブフライト法、電界効果トランジスタの特性、ホール効果、電気伝導度とキャリア密度の測定等により測定できる。
なお、本発明においては、顔料本来の色を発現することは必ずしも関係していないが、一般に、半導体材料はπ共役系の分子を用いるため、太陽光スペクトル領域に吸収帯を有するものが有機光電変換素子用材料として適している。
なお、本発明においては、顔料本来の色を発現することは必ずしも関係していないが、一般に、半導体材料はπ共役系の分子を用いるため、太陽光スペクトル領域に吸収帯を有するものが有機光電変換素子用材料として適している。
外部刺激により、高い収率で顔料分子に変換できる好適な潜在顔料の例を挙げると、例えば、以下のものが挙げられる。
即ち、好適な潜在顔料としては、例えば、米国特許第6071989号明細書に記載のものが挙げられる。具体的には、下記式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
A(B)x (1)
即ち、好適な潜在顔料としては、例えば、米国特許第6071989号明細書に記載のものが挙げられる。具体的には、下記式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
A(B)x (1)
式(1)において、xは、1〜8の数を表わす。ただし、xが2〜8である場合、Bは同じでも異なっていても良い。
また、式(1)においてAは、アントラキノン系、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、キナクリドン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系、インダントロン系、インジゴ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ペリレン系及びフタロシアニン系の発色団のラジカルを表わす。このAは、Aが有するN、O及びSなどのヘテロ原子を介してBに結合されている。
さらに、式(I)においてBは下記式(2)、(3)、(4)(5a)及び(5b)からなる群より選ばれるラジカルを表わす。なお、本明細書において「Ck」(kは自然数)と表記した場合、炭素数がk個であることを表わす。例えば、C1は炭素数が1個であることを表わす。
ここで、式(2)において、mは0又は1を表わす。
また、式(2)、(3)において、Xは、無置換又はC1〜C6のアルキル基、R5又はR6で置換されていても良い、C2〜C5のアルケニレン基、又は、C1〜C6のアルキレン基を表わす。
また、式(2)、(3)において、Xは、無置換又はC1〜C6のアルキル基、R5又はR6で置換されていても良い、C2〜C5のアルケニレン基、又は、C1〜C6のアルキレン基を表わす。
さらに、式(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、C1〜C6のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、N(C1〜C6のアルキル基)2{即ち、窒素原子にC1〜C6のアルキル基が結合したアミノ基}、又は、無置換、若しくは、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、C1〜C6のアルキル基若しくはC1〜C6のアルコキシ基が置換したフェニル基を表わす。
さらに、式(4)において、R3及びR4は、それぞれ独立に、ハロゲン基、C1〜C4のアルキル基、
で表わされる基を表わす。また、R3とR4とは互いに結合してピペリジニル基を形成していても良い。ここで、X、m、R1及びR2はそれぞれ上述したものと同様である。
また、式(5a)及び(5b)において、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、C1〜C24のアルキル基、Oが挿入され、Sが挿入され、或いはC1〜C6のアルキル基が二置換し、更に、Nが挿入されたC1〜C24のアルキル基、C3〜C24のアルケニル基、C3〜C24のアルキニル基、C4〜C12のシクロアルケニル基、無置換又はC1〜C6のアルキル基、C1〜C6のアルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基或いはニトロ基が置換したフェニル基或いはビフェニル基を表わす。なお、O、S、N等の基がアルキル基に挿入されるとは、アルキル基の炭素鎖の途中に当該基を含むことをいう。
さらに、式(5a)において、R7、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、C1〜C24のアルキル基、又は、C3〜C24のアルケニル基を表わす。
また、式(5b)において、R82は、水素原子、C1〜C6のアルキル基、又は、
で表わされる基を表わす。
また、式(5b)において、R82は、水素原子、C1〜C6のアルキル基、又は、
ここで、R83はC1〜C6のアルキル基を表わし、R84は水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表わし、R85は水素原子、C1〜C6のアルキル基、又は、無置換或いはC1〜C6のアルキル基で置換されたフェニル基を表わす。
または、式(1)において、Bは、下記式
で表わされる基を表わす。
ここで、G1は、無置換、又は、C1〜C12のアルキル基、C1〜C12のアルコキシ基、C1〜C12のアルキルチオ基又はC2〜C24のジアルキルアミノ基で置換された、C2〜C12のp,q−アルキレン基を表わす。なお、p及びqはそれぞれ異なる位置番号を表わす。また、置換基は1つが単独で置換していてもよく、2つ以上が置換していても良い。
ここで、G1は、無置換、又は、C1〜C12のアルキル基、C1〜C12のアルコキシ基、C1〜C12のアルキルチオ基又はC2〜C24のジアルキルアミノ基で置換された、C2〜C12のp,q−アルキレン基を表わす。なお、p及びqはそれぞれ異なる位置番号を表わす。また、置換基は1つが単独で置換していてもよく、2つ以上が置換していても良い。
さらに、G2はN、O及びSからなる群より選ばれるヘテロ原子を表わす。なお、G2がO又はSである場合は前記式においてiは0であり、G2がNであればiは1である。
また、R10及びR11は、それぞれ独立に、[−(C2〜C12のp’,q’−アルキレン基)−R12−]ii−(C1〜C12のアルキル基){即ち、C2〜C12のp’,q’−アルキレン基とR12とが結合した繰り返し構造がii個結合し、さらに、R12側の末端にC1〜C12のアルキル基が結合した基}、又は、無置換或いは置換のC1〜C12のアルキル基を表わす。ここでC1〜C12のアルキル基の置換基は、C1〜C12のアルコキシ基、C1〜C12のアルキルチオ基、C2〜C24のジアルキルアミノ基、C6〜C12のアリルオキシ基、C6〜C12のアリルチオ基、C7〜C24のアルキルアリルアミノ基又はC12〜C24のジアリルアミノ基が挙げられる。また、置換基は1つが単独で置換していてもよく、2つ以上が置換していても良い。
また、R10及びR11は、それぞれ独立に、[−(C2〜C12のp’,q’−アルキレン基)−R12−]ii−(C1〜C12のアルキル基){即ち、C2〜C12のp’,q’−アルキレン基とR12とが結合した繰り返し構造がii個結合し、さらに、R12側の末端にC1〜C12のアルキル基が結合した基}、又は、無置換或いは置換のC1〜C12のアルキル基を表わす。ここでC1〜C12のアルキル基の置換基は、C1〜C12のアルコキシ基、C1〜C12のアルキルチオ基、C2〜C24のジアルキルアミノ基、C6〜C12のアリルオキシ基、C6〜C12のアリルチオ基、C7〜C24のアルキルアリルアミノ基又はC12〜C24のジアリルアミノ基が挙げられる。また、置換基は1つが単独で置換していてもよく、2つ以上が置換していても良い。
また、iiは1〜1000の数を表わし、p’及びq’はそれぞれ異なる位置番号を表わす。さらに、R12は、それぞれ独立に、O、S、又は、C1〜C12のアルキル基が置換したN、並びに、C2〜C12のアルキレン基を表わす。なお、前記の繰り返し構造[C2〜C12のアルキレン基−R12]は、同じでもよく異なっていても良い。
また、R10及びR11は、飽和でもよく、不飽和結合を1〜10有していてもよい。また、R10及びR11は、任意の位置に、−(C=O)−及び−C6H4−からなる群より選ばれる1〜10の基が挿入されていてもよい。さらに、R10及びR11は、無置換でもよく、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基などの置換基で1〜10置換されていても良い。
ただし、−G1−が−(CH2)iv−である場合には、ivは2〜12の数を表わし、G2はSを表わし、R11は、無置換、飽和、炭素鎖の途中に炭素以外のO,S,Nが挿入されたC1〜C4のアルキル基ではない。
ただし、−G1−が−(CH2)iv−である場合には、ivは2〜12の数を表わし、G2はSを表わし、R11は、無置換、飽和、炭素鎖の途中に炭素以外のO,S,Nが挿入されたC1〜C4のアルキル基ではない。
また、好適な潜在顔料の別の例としては、下記式(6)で表わされる化合物も挙げられる。
式(6)において、X1及びX2の少なくとも一方はπ共役した2価の芳香族環を形成する基を表わし、Z1−Z2は熱または光により脱離可能な基であって、Z1−Z2が脱離して得られるπ共役化合物が顔料分子となるものを表わす。また、X1及びX2のうちπ共役した2価の芳香族環を形成する基でないものは、置換又は無置換のエテニレン基を表わす。
式(6)で表わされる化合物は、下記化学反応式に示すように熱又は光によりZ1−Z2が脱離して、平面性の高いπ共役化合物を生成する。この生成されたπ共役化合物が本発明に係る顔料である。本発明においては、この顔料が半導体特性を示すことが好ましい。
一方、潜在顔料を変換して生成する顔料(π共役化合物)の具体例を挙げると、ナフタセン、ペンタセン、ピレン、フラーレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のオリゴマー類;ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の、芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物;銅フタロシアニン、パーフルオロ銅フタロシアニン、テトラベンゾポルフィリン及びその金属塩等の大環状化合物などが挙げられる。例えば、上記潜在顔料を変換する具体例としては、以下のものが挙げられる。
これらの潜在顔料を変換して得られる顔料は、一般には結晶性を有する高結晶性材料である。また、本発明に係る顔料は、π共役分子が強い分子間相互作用により凝集しているものである。このため、本発明に係る顔料は可視光領域に強い吸収帯を有し、程度の差はあれ、電荷を輸送できる半導体特性を有する。それらの中でも、高い半導体特性を有するものが望ましい。
これらの観点から、前記の顔料のうちでも、潜在顔料を変換して得られる有機顔料材料としては、例えば、テトラベンゾポルフィリンとその銅や亜鉛等の金属錯体、フタロシアン及びその金属錯体、ペンタセン類、キナクリドン類などが好ましく、中でも、ベンゾポルフィリン、フタロシアニン及びその金属錯体が特に好ましい。
これらの観点から、前記の顔料のうちでも、潜在顔料を変換して得られる有機顔料材料としては、例えば、テトラベンゾポルフィリンとその銅や亜鉛等の金属錯体、フタロシアン及びその金属錯体、ペンタセン類、キナクリドン類などが好ましく、中でも、ベンゾポルフィリン、フタロシアニン及びその金属錯体が特に好ましい。
また、顔料は、半導体特性により、p型とn型とに分けられる。一般に、p型、n型とは、半導体材料で電気伝導に寄与するのが、正孔であるか、電子であるかを示しており、材料の電子状態、ドーピング状態、トラップの状態などに依る。p型、n型を示す顔料の例としては、以下のものが挙げられるが、必ずしも明確に分類できるものではなく、同一物質でp型及びn型の両方の特性を示すものもある。
即ち、p型の半導体特性を示す顔料(以下適宜、「p型の顔料」という)の例としては、フタロシアニン及びその金属錯体;テトラベンゾポルフィリン及びその金属錯体;テトラセン(ナフタセン)、ペンタセン、ピレン、ペリレン等のポリアセン;セキシチオフェン等のオリゴチオフェン類;及び、これら化合物を骨格として含む誘導体などが挙げられる。
一方、n型の半導体特性を示す顔料(以下適宜、「n型の顔料」という)の例としては、フラーレン(C60);上記p型半導体のパーフルオロ体;ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物;及び、これら化合物を骨格として含む誘導体などが挙げられる。
さらに、前記式(7B)で表される化合物の骨格に、その化合物の電子親和力を大きくする構造を導入したものは、n型を示す半導体材料の前駆体化合物として、好適に用いることができる。なお、前記式(7B)で表される化合物は顔料の一種であり、潜在顔料である式(7A)で表される化合物を変換することにより得られる化合物である。
式(7B)で表される化合物の電子親和力を大きくする構造の例を挙げると、フッ素原子に代表される電子吸引性の置換基を複数置換したり、π共役系の炭素原子−CH=を窒素原子に置き換えて、−N=の構造にしたものを挙げることができる。例えば、次のような化合物あるいはその銅や亜鉛等の金属錯体が挙げられる。
また、同様に、前記式(8B)、(9B)、(10B)で表される化合物のフッ素置換体や、窒素置換体もn型半導体として用いることができる。なお、前記式(8B)、(9B)及び(10B)で表される化合物はいずれも顔料の一種であり、それぞれ、潜在顔料である式(8A)、(9A)及び(10A)で表される化合物を変換することにより得られる化合物である。
本発明の有機光電変換素子の製造方法により製造される有機光電変換素子では、少なくともp型及びn型の一方の顔料を潜在顔料からの変換により作製することが好ましい。したがって、潜在顔料を選択する際には、少なくとも前記のp型の顔料若しくはn型の顔料に対応した前駆体を選択することが好ましい。
上述した顔料のなかでも、本発明の有機光電変換素子の製造方法により製造される有機光電変換素子においては、顔料として、ポルフィリン、フタロシアニン、キナクリドン、ピロロピロール、ジチオケトピロロピロール及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。その中でも、特に、本発明に係る潜在顔料としては、ベンゾポルフィリン化合物を用いることが好ましい。以下、このベンゾポルフィリン化合物について詳しく説明する。
[II−1.ベンゾポルフィリン化合物]
本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、下記の式(I)又は(II)で表わされる。
(前記式(I)及び(II)中、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、原子又は原子団を表わす。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R1〜R4は、各々独立に、原子又は原子団を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。)
本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、下記の式(I)又は(II)で表わされる。
式(I)及び式(II)において、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。
Zia及びZibの例を挙げると、原子としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;などが挙げられる。
Zia及びZibの例を挙げると、原子としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;などが挙げられる。
一方、原子団としては、水酸基;アミノ基;アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基、ハロアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基等の有機基;などが挙げられる。
前記の有機基のうち、アルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アラルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アラルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアラルキル基の例としては、ベンジル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルケニル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルケニル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルケニル基の例としては、ビニル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アシル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アシル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアシル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルコキシ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルコキシカルボニル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルコキシカルボニル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アリールオキシ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アリールオキシ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ジアルキルアミノ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ジアルキルアミノ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このジアルキルアミノ基の例としては、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ジアラルキルアミノ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ジアラルキルアミノ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このジアラルキルアミノ基の例としては、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ハロアルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ハロアルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基などが挙げられる。
前記の有機基のうち、芳香族炭化水素環基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常6以上、好ましくは10以上、また、通常30以下、好ましくは20以下である。芳香族炭化水素環基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。この芳香族炭化水素環基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、芳香族複素環基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常2以上、好ましくは5以上、また、通常30以下、好ましくは20以下である。芳香族複素環基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。この芳香族複素環基の例としては、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
さらに、上記の原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。前記置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基などが挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
また、ZiaとZibとは、結合して環を形成していてもよい。ZiaとZibとが結合して環を形成する場合、当該Zia及びZibを含む環(即ち、Zia−CH=CH−Zibで表わされる構造の環)の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環;ピリジン環、キノリン環、フラン環、チオフェン環等の、置換基を有していてもよい芳香族複素環;シクロヘキサン環等の非芳香族環状炭化水素;などが挙げられる。
ZiaとZibとが結合して形成する環が有する前記の置換基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その例としては、Zia及びZibを構成する原子団の置換基として例示したものと同様の置換基が挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
上述したZia及びZibの中でも、特に水素原子が好ましい。結晶のパッキングが良好で、高い半導体特性が期待できるためである。
式(I)及び式(II)において、R1〜R4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。
R1〜R4の例を挙げると、上述したZia及びZibと同様のものが挙げられる。また、R1〜R4が原子団である場合、当該原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、前記Zia及びZibの置換基と同様のものが挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
ただし、R1〜R4は、分子の平面性を高めるためには、水素原子、ハロゲン原子等の原子から選ばれることが好ましい。
R1〜R4の例を挙げると、上述したZia及びZibと同様のものが挙げられる。また、R1〜R4が原子団である場合、当該原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、前記Zia及びZibの置換基と同様のものが挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
ただし、R1〜R4は、分子の平面性を高めるためには、水素原子、ハロゲン原子等の原子から選ばれることが好ましい。
式(I)及び式(II)において、Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。
Mが2価の金属原子である場合、その例としては、Zn、Cu、Fe、Ni、Co等が挙げられる。一方、Mが3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団である場合、その例としては、Fe−B1、Al−B2、Ti=O、Si−B3B4などが挙げられる。ここで、B1、B2、B3及びB4は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等の1価の基を表わす。
Mが2価の金属原子である場合、その例としては、Zn、Cu、Fe、Ni、Co等が挙げられる。一方、Mが3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団である場合、その例としては、Fe−B1、Al−B2、Ti=O、Si−B3B4などが挙げられる。ここで、B1、B2、B3及びB4は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等の1価の基を表わす。
更に、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、例えば、1個の原子を2つポルフィリン環が共有して配位しているもの、2個のポルフィリン環が1個以上の原子あるいは原子団を共有して結合したもの、または、それらが3個以上結合して長鎖上に繋がったものであってもよい。
以下に、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物として好ましい具体例を挙げる。ただし、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は以下の例に限定されるものではない。また、ここでは対称性の良い分子構造を主に例示しているが、部分的な構造の組み合わせによる非対称構造であっても使用できる。
[2−2.ベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体]
上述した本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体に対して熱による変換(以下適宜、「熱変換」という)を行なうことにより、得ることができる。以下、その可溶性前駆体について説明する。
上述した本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体に対して熱による変換(以下適宜、「熱変換」という)を行なうことにより、得ることができる。以下、その可溶性前駆体について説明する。
本発明に係る可溶性前駆体は、熱変換により、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換しうるものである。その構造は、ビシクロ環を有し、熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換できる限り、任意である。
ただし、本発明に係る可溶性前駆体は、下記式(III)または(IV)で表される化合物が好ましい。
ただし、本発明に係る可溶性前駆体は、下記式(III)または(IV)で表される化合物が好ましい。
前記式(III)及び(IV)において、Zia、Zib、R1〜R4及びMは、それぞれ、式(I)及び(II)と同様である。
前記式(III)及び(IV)において、Y1〜Y4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。また、前記式(III)及び(IV)においてはY1〜Y4はそれぞれ4個ずつ存在するが、Y1同士、Y2同士、Y3同士、及びY4同士は、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。
Y1〜Y4の例を挙げると、原子としては、水素原子などが挙げられる。
一方、原子団としては、水酸基、アルキル基などが挙げられる。ここで、アルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常10以下、好ましくは6以下、より好ましくは3以下である。アルキル基の炭素数が大きすぎると、脱離基が大きくなるため、脱離基が揮発しにくくなり、膜内に残留する可能性がある。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
一方、原子団としては、水酸基、アルキル基などが挙げられる。ここで、アルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常10以下、好ましくは6以下、より好ましくは3以下である。アルキル基の炭素数が大きすぎると、脱離基が大きくなるため、脱離基が揮発しにくくなり、膜内に残留する可能性がある。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
また、Y1〜Y4が原子団である場合、当該原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、前記Zia及びZibの置換基と同様のものが挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
上述したY1〜Y4の中でも、水素原子、または、炭素数10以下のアルキル基が好ましい。炭素数が小さい方が、変換により生じる脱離基の分子量が小さくなり、脱離物が系外に揮発しやすい。また、アルキル基が導入されることにより、ポルフィリン化合物の溶解性が向上する。
本発明に係る可溶性前駆体は、熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換される。変換に際してどのような反応が生じるかについて制限はないが、例えば前記の式(III)又は(IV)で表わされる可溶性前駆体の場合、熱が加えられることによって下記式(V)の化合物が脱離する。この脱離反応は定量的に進行する。そして、この脱離反応によって、本発明に係る可溶性前駆体は本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換される。
熱変換について、上記にて例示したベンゾポルフィリン化合物BP−1を例に挙げて、具体的に説明する。ベンゾポルフィリン化合物BP−1の可溶性前駆体としては、例えば、式(III)において、Zia、Zib、R1〜R4及びY1〜Y4が全て水素原子である化合物(以下、「BP−1前駆体」という)を用いることができる。ただし、ベンゾポルフィリン化合物BP−1の可溶性前駆体は、このBP−1前駆体に限定されるものではない。
BP−1前駆体は加熱されると、ポルフィリン環に結合した4個の環それぞれからエチレン基が脱離する。この脱エチレン反応により、ベンゾポルフィリン化合物BP−1が得られる。この変換を反応式で表わすと、以下のようになる。
本発明に係る可溶性前駆体を熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する際、温度条件は前記の反応が進行する限り制限はないが、通常100℃以上、好ましくは150℃以上である。温度が低すぎると、変換に時間がかかり、実用上好ましくなくなる可能性がある。上限は任意であるが、通常400℃以下、好ましくは300℃以下である。温度が高すぎると分解又は昇華の可能性があるためである。
本発明に係る可溶性前駆体を熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する際、加熱時間は前記の反応が進行する限り制限はないが、通常10秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常100時間以下、好ましくは50時間以下である。加熱時間が短すぎると変換が不十分となる可能性があり、長すぎると実用上好ましくなくなる可能性がある。
本発明に係る可溶性前駆体を熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する際、その雰囲気は前記の反応が進行する限り制限はないが、不活性雰囲気であることが好ましい。この際に用いることができる不活性ガスの種類としては、例えば、窒素、希ガス等が挙げられる。なお、不活性ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係る可溶性前駆体は、有機溶媒等の溶媒に対する溶解性が高い。具体的な溶解性の程度は溶媒の種類などによるが、25℃におけるクロロホルムに対する溶解性は、通常0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上である。なお、上限に制限はないが、通常1000g/L以下である。
本発明に係る可溶性前駆体が溶媒に対して溶解性が高いのに対し、それから誘導される本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は有機溶媒等の溶媒に対する溶解性が非常に低い。これは、本発明に係る可溶性前駆体の構造が平面構造でないために溶解性が高く且つ結晶化しにくいのに対し、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は構造が平面的であることに起因するものと推察される。したがって、このような溶媒に対する溶解性の違いを利用すれば、当該ベンゾポルフィリン化合物を含む層を塗布法により容易に形成できる。例えば、以下の方法により製造できる。即ち、本発明に係る可溶性前駆体を溶媒に溶解させて溶液を用意し、当該溶液を塗布してアモルファス又はアモルファスに近い良好な層を形成する。そして、この層を加熱処理して熱変換により本発明に係る可溶性前駆体を変換することで、平面性の高いベンゾポルフィリン化合物の層を得ることができる。この際、上述した例のように、式(III)又は(IV)で表わされる化合物のうちY1〜Y4が全て水素原子であるものを可溶性前駆体として用いると、脱離するものがエチレン分子であるため、系内に残りにくく、毒性、安全性の面で好適である。
本発明に係る可溶性前駆体の製造方法に制限はなく、公知の方法を任意に採用することができる。例えば、前記のBP−1前駆体を例に挙げると、以下の合成経路を経て製造できる。なお、ここで、Etはエチル基を表わし、t−Buはt−ブチル基を表わす。
[III.有機光電変換素子の構造]
有機光電変換素子は、電極間に挟まれた半導体層(半導体膜)からなり、光を吸収して電荷を発生、輸送する活性層を備えて構成される。また、有機光電変換素子は、例えば図1に模式的に示すように、電極及び活性層を支持するため、有機光電変換素子は基板を備えている。また、電極と活性層の間に、電極界面層(p型半導体層およびn型半導体層)を含んでいても良い。
有機光電変換素子は、電極間に挟まれた半導体層(半導体膜)からなり、光を吸収して電荷を発生、輸送する活性層を備えて構成される。また、有機光電変換素子は、例えば図1に模式的に示すように、電極及び活性層を支持するため、有機光電変換素子は基板を備えている。また、電極と活性層の間に、電極界面層(p型半導体層およびn型半導体層)を含んでいても良い。
[III−1.基板]
基板は、任意の材料により形成することが可能である。基板の材料の例を挙げると、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミ等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料などが挙げられる。なお、基板の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、基板の形状及び寸法に制限はなく、任意に設定することができる。
基板は、任意の材料により形成することが可能である。基板の材料の例を挙げると、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミ等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料などが挙げられる。なお、基板の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、基板の形状及び寸法に制限はなく、任意に設定することができる。
[III−2.電極]
電極は、導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。電極の材料の例を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。なお、電極の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電極は、導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。電極の材料の例を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。なお、電極の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、有機光電変換素子において、電極は、基板上に少なくとも一対(2個)設けられ、この一対の電極の間に活性層が設けられる。この際、一対の電極のうち、少なくとも一方は透明(即ち、顔料が吸収する光を透過させる)である。透明な電極の材料を挙げると、例えば、ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜などが挙げられる。また、この際、光の透過率に制限は無いが、有機光電変換素子の発電効率を考慮すると、80%以上が好ましい。なお、光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
電極は、活性層内に生じた正孔及び電子を捕集して光起電力を生じさせる機能を有するものである。したがって、電極には、正孔及び電子を捕集するのに適した電極材料を用いることが好ましい。正孔の捕集に適した電極(正極)の材料を挙げると、例えば、Au、ITO等の高い仕事関数を有する材料が挙げられる。一方、電子の捕集に適した電極(負極)の材料を挙げると、例えば、MgやCa、Alのような低い仕事関数を有する材料が挙げられる。
なお、電極の形成方法に制限はない。例えば、真空蒸着、スパッタ等のドライプロセスにより形成することができる。また、例えば、導電性インク等を用いたウェットプロセスにより形成することもできる。この際、導電性インクとしては任意のものを使用することができ、例えば、導電性高分子、金属粒子分散液等を用いることができる。
[III−3.活性層]
活性層は、通常はp型とn型との2種以上の半導体を有してなる層である。この活性層は、単一の層のみによって構成されていてもよく、2以上の層によって構成されていても良い。また、活性層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、活性以外の成分を含有していてもよい。本発明においては、この活性層中の半導体を潜在顔料を用いて形成するのが好ましい。なかでも、有機光電変換素子の活性層に、例えば上述した顔料等のn型半導体を少なくとも含有させるようにし、そのn型半導体を潜在顔料から変換して作製することは、従来知られていない優れた技術であり、より好ましい。特に、p型とn型の両方の半導体をそれぞれ潜在顔料から誘導するのが望ましい。
活性層は、通常はp型とn型との2種以上の半導体を有してなる層である。この活性層は、単一の層のみによって構成されていてもよく、2以上の層によって構成されていても良い。また、活性層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、活性以外の成分を含有していてもよい。本発明においては、この活性層中の半導体を潜在顔料を用いて形成するのが好ましい。なかでも、有機光電変換素子の活性層に、例えば上述した顔料等のn型半導体を少なくとも含有させるようにし、そのn型半導体を潜在顔料から変換して作製することは、従来知られていない優れた技術であり、より好ましい。特に、p型とn型の両方の半導体をそれぞれ潜在顔料から誘導するのが望ましい。
単一の層に2種以上の半導体を含む場合、使用する2種以上の半導体の比率に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、例えば2種の半導体を使用する場合、その顔料の使用比率は、「一方の半導体/他方の半導体」で表わされる体積比で、通常1/99以上、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、また、通常99/1以下、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下である。特に、前記2種の半導体がp型の半導体とn型の半導体である場合は、それぞれの相が連続相になるためには両者の体積が極端に違わない方が好ましく、このため、前記体積比は、更に好ましくは30/70以上、特に好ましくは40/60以上、また、更に好ましくは70/30以下、特に好ましくは60/40以下である。
活性層の具体的な構成は、その有機光電変換素子のタイプにより様々である。活性層の構成の例を挙げると、バルクヘテロ接合型、積層型(ヘテロpn接合型)、ショットキー型、ハイブリッド型などが挙げられる。
バルクヘテロ接合型は、単一の層内に、p型の半導体とn型の半導体とを含んで構成されている。そして、p型の半導体とn型の半導体とが相分離した構造となっていて、当該相の界面でキャリア分離が起こり、各相において正電荷(正孔)と負電荷(電子)とが電極まで輸送されるものである。
なお、バルクヘテロ接合型の活性層において、その相分離構造は、光吸収過程、励起子の拡散過程、励起子の解離(キャリア分離)過程、キャリア輸送過程などに対する影響がある。したがって、相分離構造を最適化することにより、良好な発光効率を実現することができるものと考えられる。
積層型(ヘテロpn接合型)は、活性層が2以上の層から構成されていて、少なくとも一つの層がp型の顔料により形成され、他の層がn型の半導体により形成されているものである。そして、当該p型の半導体からなる層とn型の半導体からなる層との境界にはp型の半導体とn型の半導体との相界面が形成されて、当該相界面でキャリア分離が起こるようになっている。
また、バルクヘテロ接合型と積層型とを組み合わせることも可能である。例えば、活性層を2以上の層から構成すると共に、そのうちの少なくとも一層にp型の半導体とn型の半導体とを含有させ、当該p型の半導体とn型の半導体とが相分離するように構成するのである。この場合、積層した層間に形成される相界面と、p型の半導体とn型の半導体との両方を含む相内における相界面との両方でキャリア分離が生じるようになっている。或いは、この場合、例えば積層した層間において一方のキャリアをブロックして、電気取り出し効率を向上させることも期待できる。
ショットキー型は、電極近傍にショットキー障壁が形成され、この部分の内部電場でキャリア分離を行なうものである。電極としてショットキー障壁を形成するものを用いれば、その活性層は、2種以上の顔料を備えて構成すれば任意である。ショットキー型における活性層の具体的な構成は、前記のバルクヘテロ接合型、積層型及び両者を組み合わせた型のいずれを採用することも可能であり、特に高い特性(例えば、変換効率など)が期待できる。
ハイブリッド型は、活性層に、顔料を含有させると共に、例えばチタニア、酸化亜鉛等の無機顔料粒子を含有させるものである。これにより、活性層は、無機顔料と有機顔料との混合膜として構成される。無機顔料は耐久性に優れており、また、各種ナノ粒子が利用可能である。さらに、無機粒子はキャリア移動度が大きいものが多く、このため、ハイブリッド型では有機光電変換素子の高効率化が期待できる。なお、この際に用いる無機顔料粒子に制限は無いが、通常は、ナノスケールの粒子を用いることが好ましい。
いずれのタイプの活性層であっても、活性層の厚さに特に制限はない。ただし、活性層は、光吸収が十分で、光吸収により生じた電荷を失活させないために、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の厚さで形成する。
[III−4.電極界面層]
活性層と電極との間に、電気特性の改良に電極界面層を設ける事が望ましい。通常は、正孔を捕集する電極には、電子をブロックして正孔のみ伝導する層(p型半導体層)を形成し、電子を捕集する電極には、正孔をブロックして電子のみ伝導する層(n型半導体層)を形成する。
[III−4.電極界面層]
活性層と電極との間に、電気特性の改良に電極界面層を設ける事が望ましい。通常は、正孔を捕集する電極には、電子をブロックして正孔のみ伝導する層(p型半導体層)を形成し、電子を捕集する電極には、正孔をブロックして電子のみ伝導する層(n型半導体層)を形成する。
p型半導体層の材料(p型半導体材料)としては、活性層で生成した正孔を効率よく正極へ輸送できるものが好ましい。そのためには、p型半導体材料は、正孔移動度が高いこと、導電率が高いこと、正極との間の正孔注入障壁が小さいこと、活性層からp型半導体層への正孔注入障壁が小さいこと、などの性質を有することが好ましい。
さらに、p型半導体層を通して活性層に光を取り込む場合には、p型半導体材料として透明な材料を用いることが好ましい。通常は光のうちでも可視光を活性層に取り込むことになるため、透明なp型半導体材料としては、当該p型半導体層を透過する可視光の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上となるものを用いることが好ましい。
さらに、有機光電変換素子の製造コストの抑制、大面積化などを実現するためには、p型半導体材料として、有機半導体材料を用い、p型半導体層をp型有機半導体層として形成することが好ましい。
このような観点から、p型半導体材料の好適な例を挙げると、ポルフィリン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は、中心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。その具体例を挙げると、29H,31H−フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、チタンフタロシアニンオキシド、銅(II)4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;などが挙げられる。
また、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物以外の好ましいp型半導体材料の例としては、正孔輸送性高分子にドーパントを混合した系が挙げられる。この場合、正孔輸送性高分子の例としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが挙げられる。一方、ドーパントの例としては、ヨウ素;ポリ(スチレンスルホン酸)、カンファースルホン酸等の酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;などが挙げられる。
なお、p型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、p型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
p型半導体層の厚みに制限はない。ただし、通常3nm以上、中でも10nm以上、また、通常200nm以下、中でも100nm以下とすることが好ましい。p型半導体層が厚すぎると透過率が低下したり、直列抵抗が増大したりする可能性があり、薄すぎると不均一な膜となる可能性がある。
一方、n型半導体層に求められる役割は、活性層で光を吸収して生成する励起子(エキシトン)が負極により消光されるのを防ぐことにある。そのためには、電子供与体及び電子受容体が有する光学的ギャップより大きい光学的ギャップを、n型半導体層の材料(n型半導体材料)が有することが好ましい。
さらに、n型半導体層を通して活性層に光を取り込む場合には、p型半導体層と同様に、n型半導体材料として透明な材料を用いることが好ましい。
さらに、n型半導体層を通して活性層に光を取り込む場合には、p型半導体層と同様に、n型半導体材料として透明な材料を用いることが好ましい。
このような観点から、n型半導体材料の好適な例を挙げると、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体等の電子輸送性を示す有機化合物;TiO2等の無機半導体などが挙げられる。
なお、n型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、n型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
n型半導体層の厚みに制限はない。ただし、通常2nm以上、中でも5nm以上、また、通常200nm以下、中でも100nm以下とすることが好ましい。n型半導体層をこのような範囲の厚みに形成することにより、正極より入射した光が活性層で吸収されずに透過した場合、負極で反射されて再び活性層に戻ることによる光干渉効果を活用することが可能である。
本発明においては、この電極界面層の形成に潜在顔料を用いることも可能である。
本発明においては、この電極界面層の形成に潜在顔料を用いることも可能である。
[III−5.その他の部材]
有機光電変換素子は、上述した基板、電極及び活性層、電極界面層以外の構成部材を備えていても良い。
例えば、有機光電変換素子は、外気の影響を最小限にするために、保護膜を備えていても良い。保護層は、例えば、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンポリビニルアルコール共重合体、等のポリマー膜;酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜;あるいはこれらの積層膜などにより構成することができる。なお、これらの保護層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
有機光電変換素子は、上述した基板、電極及び活性層、電極界面層以外の構成部材を備えていても良い。
例えば、有機光電変換素子は、外気の影響を最小限にするために、保護膜を備えていても良い。保護層は、例えば、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンポリビニルアルコール共重合体、等のポリマー膜;酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜;あるいはこれらの積層膜などにより構成することができる。なお、これらの保護層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、前記の保護膜の形成方法に制限はない。例えば、保護膜をポリマー膜とする場合には、例えば、ポリマー溶液の塗布乾燥による形成方法、モノマーを塗布或いは蒸着して重合する形成方法などが挙げられる。また、ポリマー膜の形成に際しては、さらに架橋処理を行なったり、多層膜を形成したりすることも可能である。一方、保護膜を無機酸化膜や窒化膜等の無機物膜とする場合には、例えば、スパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法などを用いることができる。
また、有機光電変換素子が太陽電池である場合は、例えば紫外線を透過させない光学フィルタを備えさせることが好ましい。紫外線は一般に太陽電池の劣化を促進することが多いため、この紫外線を遮断することにより、太陽電池を長寿命化させることができるからである。
[IV.有機光電変換素子の製造方法]
本発明の有機光電変換素子の製造方法においては、前記の活性層を形成するプロセスを経て有機光電変換素子を製造する。この際、活性層は、活性層以外の有機光電変換素子の構成部材とは別に形成し、活性層の形成後に他の構成部材と組み合わせるようにしてもよいが、通常は、基板や電極等の構成部材上に成膜することにより活性層を形成する。
本発明の有機光電変換素子の製造方法においては、前記の活性層を形成するプロセスを経て有機光電変換素子を製造する。この際、活性層は、活性層以外の有機光電変換素子の構成部材とは別に形成し、活性層の形成後に他の構成部材と組み合わせるようにしてもよいが、通常は、基板や電極等の構成部材上に成膜することにより活性層を形成する。
また、本発明の有機光電変換素子の製造方法では、活性層を形成するプロセスにおいて、2種以上の潜在顔料を顔料に変換するプロセス(以下適宜、「変換プロセス」という)を行なうようにすることが好ましい。この際、通常は、変換プロセスにおいて潜在顔料を前記顔料に変換するより前に、潜在顔料の成膜を行なうプロセス(以下適宜、「成膜プロセス」という)を行なうようにする。
[IV−1.成膜プロセス]
成膜プロセスでは潜在顔料を成膜する。成膜の手法に制限は無いが、通常は、塗布法により成膜を行なう。潜在顔料が液状であればそのまま塗布することも可能であるが、通常は、潜在顔料を適切な溶媒に溶解させた溶液(以下適宜、「塗布液」という)を用意し、当該塗布液を基板、電極等の塗布対象に塗布して成膜を行なう。
成膜プロセスでは潜在顔料を成膜する。成膜の手法に制限は無いが、通常は、塗布法により成膜を行なう。潜在顔料が液状であればそのまま塗布することも可能であるが、通常は、潜在顔料を適切な溶媒に溶解させた溶液(以下適宜、「塗布液」という)を用意し、当該塗布液を基板、電極等の塗布対象に塗布して成膜を行なう。
潜在顔料を溶解させる溶媒に制限はなく、潜在顔料を溶解する任意の溶媒を用いることができる。溶媒の例を挙げると、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類;ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類などが挙げられる。
なお、溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、塗布液には潜在顔料を少なくとも1種含有させるようにすればよいが、2種以上の潜在顔料を含有させることも可能である。その際に用いる潜在顔料の種類、並びに、2種以上の潜在顔料の組み合わせ及び比率は、有機光電変換素子のタイプや当該有機光電変換素子の活性層に含有させる顔料の種類及び比率などに応じて適切に選択すればよい。
例えば、有機光電変換素子をバルクヘテロ接合型にする場合は、同じ活性層内にp型の半導体とn型の半導体とがそれぞれ少なくとも1種は含まれていなくてはならないため、塗布液にも、p型の顔料の前駆体である潜在顔料とn型の顔料の前駆体である潜在顔料とが少なくとも1種ずつ、合計2種以上が含まれるようにすることができる。一方、例えば有機光電変換素子を積層型にする場合は、活性層を構成する各層にはそれぞれ少なくとも1種の顔料が含有されていればよいため、当該各層に対応した塗布液にも少なくとも1種の潜在顔料が含有されていればよい。ただし、積層型のように塗布液に潜在顔料が少なくとも1種しか含まれていない場合であっても、本発明の有機光電変換素子の製造方法においては、別の層を別の潜在顔料を用いて構成することなどにより、最終的には2種以上の潜在顔料を顔料に変換することになる。
さらに、塗布液には、本発明の効果を著しく損なわない限り、潜在顔料及び溶媒以外の成分を含有していてもよい。例えば、電気伝導度等の電気物性を制御するドーパント、ハイブリッド型の有機光電変換素子に用いるための無機顔料粒子や、他の有機顔料粒子、有機半導体高分子、有機半導体低分子などを含有させることも可能である。なお、これらのその他の成分は、1種を含有させてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、塗布液の濃度も、所望の潜在顔料の層を形成できる限り、制限は無い。したがって、塗布液中の潜在顔料及びその他の成分の濃度は、それぞれ任意である。ただし、塗布性を良好にするため、塗布液の粘度が塗布に適した粘度範囲となるように、溶媒を選択したり、前記濃度を設定したりすることが好ましい。
また、塗布液を塗布する方法にも制限はない。例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法などを用いることができる。また、印刷法によって成膜することも可能である。印刷法の例を挙げると、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
さらに、塗布により潜在顔料の層を形成した後には、必要に応じて、潜在顔料の層から溶媒を除去するようにしてもよい。溶媒除去の方法に制限はなく、加熱乾燥、減圧乾燥など、任意の方法を用いることができる。また、後述する変換プロセスにおいては潜在顔料の層を加熱することが多く、この場合には、加熱と共に溶媒が乾燥・除去されることが多い。したがって、溶媒の除去を変換プロセスと共に行なうようにしてもよい。
[IV−2.変換プロセス]
潜在顔料の層の形成後、当該潜在顔料の層に外部から刺激を与え、潜在顔料を顔料に変換する。これにより、顔料の層を形成し、活性層とすることができる。
前記のように、潜在顔料を顔料に変換するための外部刺激は、例えば、熱処理や光照射等が挙げられるが、中でも、熱処理が望ましい。熱処理温度は用いる材料によるが、一般には、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、また、通常350℃以下、好ましくは300℃以下である。低い温度で変換される潜在顔料は、潜在顔料自体の安定性が悪く取り扱いが難しいことがある。一方、熱処理時の温度が高すぎると基板や電極等の有機光電変換素子の構成部材に高い耐熱性が要求され、製造コストが高くなることがある。
潜在顔料の層の形成後、当該潜在顔料の層に外部から刺激を与え、潜在顔料を顔料に変換する。これにより、顔料の層を形成し、活性層とすることができる。
前記のように、潜在顔料を顔料に変換するための外部刺激は、例えば、熱処理や光照射等が挙げられるが、中でも、熱処理が望ましい。熱処理温度は用いる材料によるが、一般には、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、また、通常350℃以下、好ましくは300℃以下である。低い温度で変換される潜在顔料は、潜在顔料自体の安定性が悪く取り扱いが難しいことがある。一方、熱処理時の温度が高すぎると基板や電極等の有機光電変換素子の構成部材に高い耐熱性が要求され、製造コストが高くなることがある。
また、前記の外的な刺激を与える時間についても任意であるが、製造コストを考慮すると、短時間であることが好ましい。外的な刺激を与える時間は外的な刺激の種類にもよるが、好適な範囲の例を挙げると、例えば、レーザー加熱であれば1ナノ秒〜1秒、通常の加熱であれば1秒〜1時間、熱成するのであれば1時間〜数日である。
また、2以上の層を積層して活性層を構成する場合、潜在顔料の層を全て積層して成膜した後で、各層に含まれる潜在顔料を一度に顔料に変換するようにしてもよいが、通常は、潜在顔料の層を成膜する度に変換を行ない、成膜と変換とを交互に行なうことが好ましい。通常、変換により得られる顔料は溶媒に対して溶解しにくいため、積層の際に先に成膜された潜在顔料の層が後で積層される際に使用される塗布液によって溶解されることが抑制できるからである。
[IV−3.有機光電変換素子のタイプ別の製造方法の例]
以下、有機光電変換素子のタイプ別に、製造方法の手順について説明する。
例えば、バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子を複数の潜在顔料を用いて製造する場合、p型及びn型の顔料に対応したそれぞれ1種以上、合計2種以上の潜在顔料を含有する塗布液を用意する。この際、塗布液中に含有させる潜在顔料の混合比率は、潜在顔料を顔料に変換した場合に、形成しようとする活性層の顔料の比率となるよう設定すればよい。なお、潜在顔料は、通常は、顔料に変化すると重量や体積などが減少するため、その減少分を加味して設定することが好ましい。そして、用意した塗布液を基板や電極に塗布して潜在顔料の層を成膜する(成膜プロセス)。その後、この層内の2種以上の潜在顔料を加熱等の外部刺激により顔料に変換し(変換プロセス)、p型の顔料とn型の顔料とを同じ層内に含む活性層を形成する。
以下、有機光電変換素子のタイプ別に、製造方法の手順について説明する。
例えば、バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子を複数の潜在顔料を用いて製造する場合、p型及びn型の顔料に対応したそれぞれ1種以上、合計2種以上の潜在顔料を含有する塗布液を用意する。この際、塗布液中に含有させる潜在顔料の混合比率は、潜在顔料を顔料に変換した場合に、形成しようとする活性層の顔料の比率となるよう設定すればよい。なお、潜在顔料は、通常は、顔料に変化すると重量や体積などが減少するため、その減少分を加味して設定することが好ましい。そして、用意した塗布液を基板や電極に塗布して潜在顔料の層を成膜する(成膜プロセス)。その後、この層内の2種以上の潜在顔料を加熱等の外部刺激により顔料に変換し(変換プロセス)、p型の顔料とn型の顔料とを同じ層内に含む活性層を形成する。
バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子においては、半導体相内の相分離構造が、使用する顔料の分子構造及び成膜処理により、様々に制御が可能である。例えば、混合する潜在顔料の混合比を変化させて相分離構造を制御することができる。また、使用する潜在顔料の変換時の条件差(熱変換温度の差など)を利用して、一方だけを変換した後に残りのものを変換させる等の操作を行なうことにより、顔料の生成条件を制御して、層構造を制御することもできる。
また、例えば積層型の有機光電変換素子を製造する場合、p型又はn型の一方に対応した潜在顔料を少なくとも1種含む塗布液を用意し、当該塗布液を塗布して潜在顔料の層を成膜し(成膜プロセス)、その層内の潜在顔料を顔料に変換する(変換プロセス)。その後、p型又はn型の他方に対応した潜在顔料を少なくとも1種含む塗布液を用意し、当該塗布液を塗布して潜在顔料の層を成膜し(成膜プロセス)、その層内の潜在顔料を顔料に変換する(変換プロセス)。これにより、最終的には2種以上の潜在顔料が顔料に変換されて、p型の顔料の層とn型の顔料の層とを有する活性層を形成する。なお、前記のように、潜在顔料を顔料に変換することにより、通常は溶媒への溶解性が大きく低下するため、一度成膜した顔料の層が、その上に塗布される塗布液に溶解して破壊されることは抑制されている。
また、活性層を構成する層の一つに2種以上の顔料を含有させることも可能である。この際、前記の2種以上の顔料は、p型及びn型の一方でもよく両方でもよいが、通常は、p型及びn型の両方が好ましい。この場合、塗布液に潜在顔料を2種以上含有させて、同様に成膜プロセス及び変換プロセスを繰り返すようにすればよい。これにより、バルクヘテロ接合型と積層型とを組み合わせた型の有機光電変換素子を製造することができる。
さらに、電極界面層に潜在顔料を使用する構成も同様に可能である。
さらに、電極界面層に潜在顔料を使用する構成も同様に可能である。
また、例えばショットキー型の有機光電変換素子を製造する場合、ショットキー障壁を形成する電極に接するように活性層を設けるようにすれば良い。この場合の活性層の形成方法は、前記のバルクヘテロ接合型の活性層と同様にしてもよく、積層型の活性層と同様にしても良い。これにより、バルクヘテロ接合型又は積層型とショットキー型とを組み合わせた活性層を形成することができる。
なお、p型又はn型の一方のみの顔料に対応した2種以上の潜在顔料を含有する塗布液を塗布して潜在顔料の層を成膜し(成膜プロセス)、その潜在顔料の層を顔料に変換するようにしてもよい。これにより、従来は困難であった、2種以上の顔料を用いた活性層の形成が容易になる。
また、例えばハイブリッド型の有機光電変換素子を製造する場合、塗布液には、p型及びn型の一方又は両方の無機顔料粒子と、p型及びn型の他方又は両方の顔料に対応した潜在顔料とを含有させるようにする。そして、その塗布液を基板や電極に塗布して潜在顔料の層を成膜し(成膜プロセス)、この潜在顔料の層を顔料に変換して(変換プロセス)、p型及びn型の一方の無機顔料粒子と、p型及びn型の他方の顔料とを同じ層内に含む活性層を形成する。ただし、この際も、無機顔料粒子を塗布液に含むようにする以外は、活性層の形成方法は、前記のバルクヘテロ接合型の活性層と同様にしてもよく、積層型の活性層と同様にしても良い。これにより、バルクヘテロ接合型又は積層型とハイブリッド型とを組み合わせて活性層を形成することができる。なお、この際、塗布液に無機顔料粒子と同様にp型及びn型の一方の顔料に対応した潜在顔料を含有させ、活性層にp型及びn型の一方の顔料を含ませるようにしてもよい。
また、これらのタイプはいずれも他のタイプと組み合わせて実施することも可能である。ただし、本発明の有機光電変換素子の製造方法においては、いずれのタイプの有機光電変換素子を製造する場合であっても、活性層に含有される顔料のうちの2種以上を、潜在顔料から変換することによって得るようにする。
中でも、前記のバルクヘテロ接合型のように、一つの層内においてp型の顔料とn型の顔料とが相分離構造を有しているものは、相の界面が大きくなり、発電効率が向上すると考えられる。このため、層内において2種以上の顔料を含有するような製造方法が好ましく、例えば、2種以上の潜在顔料を混合することにより塗布液に2種以上の潜在顔料を含有させ、当該塗布液を成膜して、変換プロセスを行なうようにすることが好ましい。
上記のように2種以上の潜在顔料を顔料に変換するプロセスを経て有機光電変換素子を製造するようにすれば、塗布プロセスを用いて長寿命な有機光電変換素子を製造できる。即ち、顔料自体の成膜性が良好で無い場合でも、その前駆体である潜在顔料を成膜することで、潜在顔料の成膜性の良さを有効に活用し、有機光電変換素子を低コストで製造することが可能となる。特に、本発明の有機光電変換素子の製造方法によれば、2種以上の潜在顔料を用いることにより、p型の顔料とn型の顔料とを共に塗布プロセスを用いて成膜することが可能であるため、従来よりも有機光電変換素子の製造コストを大幅に下げることが期待される。
また、潜在顔料から変換して得られる顔料は通常は長寿命なものが多いため、長寿命な有機光電変換素子が得られるという利点を得ることも可能である。
さらに、本発明の有機光電変換素子の製造方法によれば、バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子のメカニズムを発現するp型及びn型の半導体のミクロ相分離構造を実現することができ、有機光電変換素子の効率を向上させることができる。
この本発明の有機光電変換素子は、特に、太陽電池に用いて好適である。
また、潜在顔料から変換して得られる顔料は通常は長寿命なものが多いため、長寿命な有機光電変換素子が得られるという利点を得ることも可能である。
さらに、本発明の有機光電変換素子の製造方法によれば、バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子のメカニズムを発現するp型及びn型の半導体のミクロ相分離構造を実現することができ、有機光電変換素子の効率を向上させることができる。
この本発明の有機光電変換素子は、特に、太陽電池に用いて好適である。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
n型に高濃度ドープしたシリコン基板上に300nmの熱酸化シリカ膜を形成したものに、クロム5nm、金100nmの電極を幅10μm、長さ500μmのギャップをパターニングしたギャップ部分を覆うようにこのビシクロ化合物(11A)を塗布成膜して、230℃で加熱変換した。こうして得られる電界効果トランジスタは、n型の特性を示し、電子の飽和移動度が1.2×10-3cm2/Vsと高い特性を示した。
一方、式(7A)で表される化合物は、特開2004−6750号公報に記載されているように、上と同様の電界効果トランジスタの構造で、200℃程度の加熱変換により、0.01〜0.1cm2/Vs程度の移動度を示す。
この式(7A)と(11A)の2種の潜在顔料を用いて、太陽電池を作製、評価した。即ち、ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を145nm堆積したもの(シート抵抗8.4Ω)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅のストライプにパターニングして、透明電極を形成した。パターン形成した透明電極を、界面活性剤による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。
この透明基板上に、導電性高分子であるポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS、スタルクヴィテック社製、品名Baytron PH)を40nmの膜厚でスピンコートした後、120℃で大気中10分間加熱乾燥した。
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。
まず、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。
クロロホルム/クロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)に式(7A)で表される化合物を1重量%溶解した液をろ過後1500rpmでスピンコートし、250℃で20分加熱し、式(7B)で表される化合物の膜を得た。それに、クロロホルムにビシクロ化合物(11A)を0.5重量%溶解したものをろ過後1500rpmでスピンコートして成膜し、250℃で40分、280℃で20分加熱して、平面分子(11B)の膜を積層した。
まず、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。
クロロホルム/クロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)に式(7A)で表される化合物を1重量%溶解した液をろ過後1500rpmでスピンコートし、250℃で20分加熱し、式(7B)で表される化合物の膜を得た。それに、クロロホルムにビシクロ化合物(11A)を0.5重量%溶解したものをろ過後1500rpmでスピンコートして成膜し、250℃で40分、280℃で20分加熱して、平面分子(11B)の膜を積層した。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。そこで、以下に示すフェナントロリン誘導体(通称BCP)を入れ、加熱して、蒸着した。なお、蒸着時の真空度は約10-4Pa、蒸着速度は約1nm/秒とした。これにより、膜厚6nmの膜を積層した。
引続き、上部電極形成用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、透明電極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置した。そして、n型半導体層を形成した際と同様にして、真空蒸着装置内の真空度が7.6×10-5Paとなるまで排気した。その後、アルミニウムを蒸着速度3nm/秒でBCP層上に膜厚80nmで蒸着し、上部電極を形成した。蒸着時の真空度は約10-4Paであった。
以上のようにして、2mm×2mmのサイズの受光面積部分を有する有機光電変換素子からなる有機薄膜太陽電池が得られた。
以上のようにして、2mm×2mmのサイズの受光面積部分を有する有機光電変換素子からなる有機薄膜太陽電池が得られた。
この有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.14V、短絡電流(Jsc)2.9mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)0.16%、形状因子(FF)0.40、という光電変換特性が得られた。
また、この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長470nmにおいて、外部量子効率の最大値21%を示した。なお、前記の分光感度は、単色光を照射し、光電変換された電流強度を測定して、当該電流量を光子1個当たりに対する割合で表わした。
また、この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長470nmにおいて、外部量子効率の最大値21%を示した。なお、前記の分光感度は、単色光を照射し、光電変換された電流強度を測定して、当該電流量を光子1個当たりに対する割合で表わした。
本発明は、例えば太陽電池について用いることができ、特に、有機半導体を用いた太陽電池に用いて好適である。
Claims (7)
- 基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に形成された活性層とを備えた有機光電変換素子の製造方法であって、
2種以上の潜在顔料を顔料に変換するプロセスを有する
ことを特徴とする、有機光電変換素子の製造方法。 - 前記潜在顔料を前記顔料に変換するより前に、前記潜在顔料の成膜を行なうプロセスを有する
ことを特徴とする、請求項1記載の有機光電変換素子の製造方法。 - 前記2種以上の潜在顔料を混合して前記成膜を行なう
ことを特徴とする、請求項2記載の有機光電変換素子の製造方法。 - 前記成膜を、塗布法により行なう
ことを特徴とする、請求項2又は請求項3記載の有機光電変換素子の製造方法。 - 前記顔料として、ポルフィリン、フタロシアニン、キナクリドン、ピロロピロール、ジチオケトピロロピロール及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
- 基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に形成された、n型半導体を含有する活性層とを備えた有機光電変換素子の製造方法であって、
前記n型半導体を、潜在顔料から変換して作製する
ことを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。 - 該有機光電変化素子が太陽電池である
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
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