JP2012049168A - 有機デバイスの製造方法および当該製法で得られた有機デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板1上に機能膜層Aが形成された有機デバイスの製造方法であって、基板1上に直接または他の層を介して有機物を含有する有機物薄膜層を形成する工程A、有機物薄膜層の上に被覆層Bを形成する工程B、被覆層Bの形成後の有機物薄膜層の少なくとも一部に構造変化を生じさせることにより機能膜層Cを形成する工程C、および機能膜層Cを形成した後に被覆層Bを除去する工程Dを含む、有機デバイスの製造方法。
【選択図】図1
Description
また、G.Yu等著、「Polymer Photovoltaic Cells:Enhanced Efficiencies via a Network of Internal Donor−Acceptor Heterojunctions」、Science、270巻、1789頁、1995年(非特許文献2)および特表平8−500701号公報(特許文献1)には、電子供与体であるポリフェニレンビニレンと、電子受容体であるフラーレン誘導体とを組み合わせた光電変換素子が開示されている。
また、Y.Sato等著「Organic photovoltaics based on solution−processed benzoporphyrin」、Proceedings of SPIE、6656巻、66560U頁、2007年(非特許文献3)には、電子供与体であるベンゾポルフィリンと、電子受容体であるフラーレン誘導体とを組み合わせた光電変換素子を、ベンゾポルフィリンの前駆体を用いることにより塗布法で作製した光電変換素子が開示されている。
特に、有機デバイスに含まれる機能膜層が有機物の集合体である有機デバイスの特性は、化合物としての物質単独の物性以外に有機物の集合状態、さらには機能膜層の膜構造によって大きく変化する。
したがって、有機デバイスの性能を向上、安定化させるためには有機デバイスの機能を担う機能膜層の構造を、機能を発現するために好ましい構造とする必要がある。
さらに、有機物薄膜の構造変化は成膜工程の結果として現れるのみでなく、成膜された後の膜の変化としても生じうる。このような事後的な変化は意図的な場合であっても既に基板上に薄膜として形成された機能膜層に対する制御要因が限定されるため構造制御が難しくなる。また意図しない形で発現した場合は、特性を低下、不安定化させる要因となる。このように有機物薄膜は製造工程上の温度変化等の擾乱によりその構造が変化しやすい。
基板上に機能膜層が形成された有機デバイスの製造方法であって、基板上に直接または他の層を介して有機物を含有する有機物薄膜層を形成する工程A、有機物薄膜層の上に被覆層を形成する工程B、被覆層の形成後の有機物薄膜層の少なくとも一部に構造変化を生じさせることにより機能膜層を形成する工程C、および機能膜層を形成した後に被覆層を除去する工程Dを含む、有機デバイスの製造方法。
[2]
工程Cにおいて、有機物薄膜層に加熱または電磁波の照射を行う、[1]に記載の有機デバイスの製造方法。
[3]
構造変化が化学構造変化である、[1]または[2]に記載の有機デバイスの製造方法。
[4]
有機物薄膜層に含まれる有機物が下記式(A1)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法。
[5]
有機物薄膜層に含まれる有機物が下記一般式(I)または(II)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法により製造された有機デバイス。
[7]
被覆層を形成した後に、構造変化を生じさせることにより形成される機能膜層の厚みが25nm以下である[6]に記載の有機デバイス。
[8]
有機デバイスが光電変換素子である、[6]または[7]に記載の有機デバイス。
2 ITO電極
3 正孔取り出し層
4 機能膜層a(電子供与体層)
5 機能膜層b(電子供与体と電子受容体の混合層)
6 機能膜層c(電子受容体層)
7 電子取り出し層
8 電極
A 有機物薄膜層
B 被覆層
C 機能膜層
本発明のデバイスは、基板上に有機物薄膜層に被覆層を形成して得られる機能膜層を有する。機能膜層は基板に直接設けられても、他の層を介して設けられてもよい。
本発明のデバイスの好ましい態様としては光電変換素子が挙げられる。本発明の光電変換素子において、たとえば、電子供与体層、電子受容体層等を機能膜層として形成することができる。好ましい態様の光電変換素子は、図2に示すように、ガラス基板等の基板1の上に、順に、ITO電極2、正孔取り出し層3、機能膜層a(電子供与体層)4、機能膜層b(電子供与体と電子受容体の混合層)5、機能膜層c(電子受容体層)6、電子取り出し層7および電極8を有する。
本発明のデバイスは基板を有することが好ましい。基板は電極等の支持体となるものが好ましく、基板の材料(基板材料)は電極等の支持体となり得るであれば特に限定されない。ただし、本発明の光電変換素子において、基板に照射された光を素子内に取り込むため、基板には透光性の材料が用いられる。基板材料としては、当該基板を透過する可視光の透過率が、60%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
基板の厚みには制限はないが、5μm〜20mmが好ましく、20μm〜10mmがさらに好ましい。基板が薄すぎると有機光電変換素子を保持する強度が不足する可能性があり、厚すぎるとコストが高くなったり、重量が重くなりすぎたりする可能性があるからである。
本発明で基板上に設けられる機能膜層は、本発明のデバイスの主要機能を発現する層であり、有機物を含んで形成される発電、発光、電流制御、電圧制御、センシング等の機能を有する薄膜である。
機能膜層は基板上に直接設けられても、他の層を介して設けられてもよい。
機能膜層は好ましくは、半導体化合物を含んで形成される。半導体化合物としてはp型半導体化合物、n型半導体化合物等があげられる。半導体化合物には、p型とn型の両極性を示すものが知られているが、特性が強い方の極性を用いて活用されることが望ましい。
機能膜層は目的とする機能によってp型半導体化合物またはn型半導体を含む単層でもよく、p型半導体化合物を含む層とn型半導体化合物を含む層との積層、p型半導体化合物とn型半導体化合物を含む混合層、p型半導体化合物またはn型半導体化合物以外の層を含んだ多層、さらにこれらを組み合わせた複層であってもよい。
電子受容体層である機能膜層には、電子供与体層、電子受容体層、混合層等が挙げられる。これらの機能膜層には、電子供与体層である機能膜層にはp型半導体化合物、電子受容体層にはn型半導体化合物が用いられ、電子供与体と電子受容体の混合層にはp型半導体化合物とn型半導体化合物が用いられる。したがって、本発明における光電変換素子として用いられる機能膜層では,電子供与体層としてp型半導体化合物層,電子受容体層としてn型半導体化合物層を用いるのが一般的である。この場合には,p型半導体化合物とn型半導体化合物の積層、あるいはp型半導体化合物とn型半導体化合物の混合層、さらにこれらの複層が好ましく用いられる。複層で用いられる場合には,p型半導体化合物を含む層とn型半導体化合物層を含む層との間に、p型半導体化合物とn型半導体化合物とを含む混合層を入れることがエネルギー変換効率を高める上で好ましい。
p型半導体化合物としては特に限定はないが、好ましくは有機低分子材料と有機高分子材料が挙げられる。
Y1〜Y4はそれぞれ独立に、水素原子,もしくは炭素数1−24のアルキル基である。炭素数1から24のアルキル基とは、炭素数が1から24の飽和または不飽和の鎖状炭化水素基、もしくは飽和または不飽和の環式炭化水素である。その中でも好ましくは炭素数1から12の飽和または不飽和の鎖状炭化水素基、もしくは飽和または不飽和の環式炭化水素である。
本発明における結晶性とは、分子間相互作用等によって配向の揃った3次元周期配列をとる化合物の性質である。
本発明の有機デバイスは、電極を有してもよい。電極が形成される場所としては厚み方向においては基板上に形成される場合、形成された層の上に形成される場合、双方に形成される場合があり、2次元的には全面に形成される場合と、パターン化して形成される場合がある。
本発明のデバイスは、さらに正孔取り出し層と電子取り出し層との少なくとも一方を有することができる。
本発明の光電変換素子において、電子供与体層、電子受容体層および混合層等を含む全ての機能膜層を含む厚さは特に限定されないが、10nm未満では均一性が十分ではなく、短絡を起こしやすいという問題が生じる。他方、層の厚さが1000nmを超えると内部抵抗が大きくなり、また電極間の距離が離れて電荷の拡散が悪くなる問題が生じるため、好ましくない。そこで、電子供与体層、電子受容体層および混合層等を含む全ての機能膜層を含む厚さは10〜1000nmが好ましく、50〜200nmがさらに好ましい。
本発明のデバイスの製造方法は、基板上に直接または他の層を介して有機物を含有する有機物薄膜層を形成する工程A、有機物薄膜層の上に被覆層を形成する工程B、被覆層の形成後の有機物薄膜層の少なくとも一部に構造変化を生じさせることにより機能膜層aを形成する工程C、および機能膜層aを形成した後に被覆層を除去する工程Dを有する方法である。
すなわち、図1に示すように、本発明のデバイスの製造方法は、基板1の上に形成された有機物薄膜層Aに被覆層Bを形成した後、有機物薄膜層Aを機能膜層Cに構造変化させてから、被覆層Bを除去する方法である。
本発明で用いられる有機物を含有する有機物薄膜層は、該有機物薄膜層の上に直接に被覆層が形成された後、化学的または物理的な構造変化によって機能膜層aとなる層である。
化学的構造変化は、構造変化の前後の状態に応じてX線散乱、X線回折、光吸収、NMR、質量分析等の手法により確認することができる。また薄膜を溶解して各種分析をおこなうことにより確認することもできる。また示差熱分析等により構造変化の発生する条件を把握した上で当該条件を印加することでも間接的に確認できる。さらには、キャリア移動度や電子親和力、仕事関数のような物性測定でも確認しうる。
特に、式(A7)で表される化合物は脱離する構造が小さく、体積変化が少ないため好ましい。R1−R4の一部がメチル基に置き換わった化合物は溶解性が向上するため好ましい。
本明細書において、「複素環基」の例としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ビピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環芳香族基」の例としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環複素環基」の例としては、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等がある。
湿式の塗布方法は薄膜層を形成する物質を液状にして塗布する方法であり、好ましくは当該物質を溶液にして塗布することが好ましい。湿式の塗布方法では、有機物薄膜層に含まれる物質(たとえば、前駆体)の溶解度をより高くするように設計することが可能であることから好ましい。
用いられる溶媒は、有機物薄膜層を形成する物質を溶解できれば特に制限されないが、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
本発明で用いられる被覆層は有機物薄膜層上に形成されるものである。被覆層の直下にある有機物薄膜層に構造変化を生じさせ、機能膜層aの少なくとも一部を形成する際に、たとえば、空間的自由度の制限、界面的相互作用等により機能膜層aを好ましい構造に制御するためのものである。
被覆層はこのような役割を果たす層であれば特に限定はない。
本発明では、有機物薄膜層が構造変化した後に、被覆層の除去が連続的に行われることが好ましい。
なお、機能膜層aに含まれる物質を被覆層が含む場合、機能膜層aと被覆層が共通の物質を有することによって両者が一体として機能膜層aとなり得るが、機能膜層aと被覆層では、配向、構造等に相違があることにより両者を区別でき、本発明に特徴的な効果を奏することができる。
低分子の材料としては分子量100−2000の範囲の物質が好ましく使用できる。高分子材料としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
また、高分子と低分子の中間にあたるオリゴマーも使用できる。被覆層を除去する場合、オリゴマーは高分子より除去が容易であることが多く、好ましい。
無機酸化物としては酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化ニッケル,酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、インジウムージルコニウム酸化物(IZO)、酸化亜鉛などが挙げられる。
無機イオン性物質としてはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩などが挙げられる。金属としては金、白金、銀、クロム、コバルトやナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カリウム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛などが挙げられる。
本発明で用いられる被覆層は、有機物薄膜層の上に被覆し、有機物薄膜層に構造変化を生じさせて、機能膜層aの少なくとも一部を形成した後に除去される。
被覆層を除去した後に、さらに機能膜層(機能膜層b・機能膜層c)を形成してもよい。機能膜層は1層でも複数層でもよい。機能膜層aの上に設けられる機能膜層の構成は特に限定されないが、さらに設けられる機能膜層が1層の場合には、n型半導体を含む電子受容体層である機能膜層cを設けることが好ましい。さらに設けられる機能膜層が2層の場合には、機能膜層aの上に、n型半導体化合物とp型半導体化合物を含む混合層である機能膜層bを設け、さらにその上に上記機能膜層cを設けることが好ましい。
なお、機能膜層bおよび機能膜層cは、機能膜層aと同様に構造変化させて形成させても、公知の方法で形成させてもよい。
本発明のデバイスに含まれる機能膜層以外の構成(たとえば、電極、正孔取り出し層、電子取り出し層)は、公知の方法で形成される。具体的には、これらの構成は、真空成膜法(真空蒸着、CVD等)、湿式の塗布方法等を用いることができる。
実施例1では、図2に示すような光電変換素子を製造した。
1 正孔取り出し層の成膜
ガラス基板1上に電極としてITO電極2がパターニングされた、ITO付きガラス基板上に、正孔取り出し層3としてポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液(スタルクヴィテック社製 商品名「Baytron AI」)をスピンコート法により塗布した。塗布後のガラス基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施して、正孔取り出し層3を成膜した。ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート層(正孔取り出し層3)の膜厚は40nmであった。
2.1 有機物薄膜層の形成
正孔取り出し層3が成膜された基板をグローブボックス中に持ち込み、ガラス基板を窒素雰囲気下180℃で3分間加熱処理して乾燥させた。続けてクロロホルム/モノクロロベンゼンの重量比1:2の混合溶媒に下記式(B1)で表される化合物を0.33重量%溶解し、グローブボックス中でガラス基板上の正孔取り出し層3上に1500rpmでスピンコート法により塗布して有機物薄膜層を得た。得られた有機物薄膜層は薄茶色のアモルファス膜であった。
真空蒸着装置内に有機物薄膜層が形成された基板を設置し、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートにフェナントロリン誘導体(ナフチルバソフェナントレン:NBphen)を入れ、加熱した。有機物を含有する薄膜層上にフェナントロリン誘導体(ナフチルバソフェナントレン:NBphen)を膜厚25nmになるまで蒸着し、被覆層を形成した。
積層体が形成されたガラス基板をグローブボックス中180℃で20分間加熱した。有機物薄膜層を構成する上記式(B1)で表される化合物は、p型半導体材料であるテトラベンゾポルフィリンの前駆体であり、加熱により式(B1)で表される化合物はテトラベンゾポルフィリンへと構造変化し、薄膜は緑色に変化した。これによって、有機物薄膜層は電子供与体層(機能膜層a)4となった。
有機物薄膜層の構造変化による電子供与体層(機能膜層a)4の形成後に、クロロホルム、トルエンで洗浄することにより被膜層であるフェナントロリン誘導体(ナフチルバソフェナントレン:NBphen)を除去した。薄膜X線による解析結果から、得られた機能膜層aは結晶性であることが示された。被覆層を除去した段階における電子供与体層(機能膜層a)4の膜厚は21nmであった。
被膜層が除去された基板に設けられた電子供与体層(機能膜層a)4を機能膜層の一部として利用し、その上に電子供与体と電子受容体の混合層(機能膜層b)5を続けて形成した。具体的には、クロロホルム/モノクロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)に、式(B1)で表される化合物を0.6重量%、下記式で表されるフラーレン化合物3で表されるフラーレン誘導体を1.4重量%溶解した液を調製し、グローブボックス中で窒素雰囲気下、被膜が除去された基板における電子供与体層(機能膜層a)4上に1500rpmでスピンコートし、グローブボックス中180℃で20分間加熱した。加熱により式(B1)で表される化合物は、テトラベンゾポルフィリンへと変換された。
トルエンにフラーレン化合物3で表されるフラーレン誘導体を1.2重量%溶解した液を調整し、混合層(機能膜層b)5が形成された基板に、グローブボックス中で窒素雰囲気下3000rpmでスピンコートし、グローブボックス中120℃で5分間加熱処理を施すことにより、電子受容体層(機能膜層c)6を形成した。
真空蒸着装置内に電子受容体層(機能膜層c)6が形成された基板を設置し、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートにフェナントロリン誘導体(ナフチルバソフェナントレン:NBphen)を入れ、加熱した。電子受容体層(機能膜層c)6上にフェナントロリン誘導体(ナフチルバソフェナントレン:NBphen)を膜厚7.5nmになるまで蒸着し、電子取り出し層7を形成した。
電子取り出し層7の上に真空蒸着により厚さ80nmのアルミニウム膜を電極8として設けた。
ガラス基板にITO電極、正孔取り出し層、機能膜層(電子供与体層、混合層、電子受容体層)、電子取り出し層および電極が順に積層された積層体に対して、ガラス基板側と反対側を透明ガラス基板(非図示)を用いて封止した。封止はグローブボックス中で窒素雰囲気下、透明ガラス基板の外周を、封止剤を用いて接着することにより行った。このようにして積層体が外気に対して密封された光電変換素子を作製した。
実施例1の[有機物薄膜層の形成]において、式(B1)で表される化合物を0.5重量%溶解した液を用いて有機物を含有する薄膜層を作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し評価した。
被覆層を除去した段階における機能膜層aの厚みは27nmであった。
実施例1の[有機物薄膜層の形成]において、式(B1)で表される化合物を0.40重量%溶解した液を用いて有機物を含有する薄膜層を作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し評価した。
実施例1の[有機物薄膜層の形成]において、式(B1)で表される化合物を0.25重量%溶解した液を用いて有機物を含有する薄膜層を作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し評価した。
実施例1の[有機物薄膜層の形成]において、式(B1)で表される化合物を0.20重量%溶解した液を用いて有機物を含有する薄膜層を作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し評価した。
実施例1の被覆層の形成とその除去を省略した以外は、実施例1と同様にして有機薄膜太陽電池を形成し評価した。機能膜層aの厚みは19nmであった。
実施例2の被覆層の形成とその除去を省略した以外は、実施例2と同様にして有機薄膜太陽電池を形成し評価した。機能膜層aの厚みは27nmであった。
実施例4の被覆層の形成とその除去を省略した以外は、実施例4と同様にして有機薄膜太陽電池を形成し評価した。
実施例1の電子供与体層(機能膜層)の形成(1)が終了した段階の基板の表面に設けられた機能膜層aについて、JASCO製 V−570を使用して光透過スペクトル測定を行った。同様に、比較例1の機能膜層aについて光スペクトル測定を行った。これらの結果は図3の通りであった。
実施例1の電子供与体層(機能膜層)の形成(1)が終了した段階の基板の表面に設けられた機能膜層aについて、電界放射型走査電子顕微鏡(Zeiss社製ULTAR55 Scanning Electron Microscopy(SEM))によって電子顕微鏡観察を行った。観察の結果得られた電子顕微鏡写真は図4に示すとおりであった。
同様に、比較例1の被覆層を形成せずに構造変化が生じた機能膜層aについて電子顕微鏡観察を行った。観察の結果得られた電子顕微鏡写真は、図5に示すとおりであった。
実施例1−5、比較例1−3で得られた光電変換素子の光電変換効率を測定した結果をまとめて示す。前駆体の構造変化を被覆層に覆われた状態で生じさせた実施例において、エネルギー変換効率(PCE)、短絡電流(Jsc)および開放電圧(Voc)とも高い値を示すことがわかる。特に、化合物B1の濃度が低い場合では、比較例3で機能薄膜層aの欠陥の増加に由来すると思われる特性低下が著しいのに対し、実施例4では機能薄膜層aの均一性が高いため高い性能を維持していることがわかる。
また、化合物B1の濃度が0.5重量%と高い場合(実施例2)では、被覆層を除去した段階における機能膜層aの厚みは27nmであり、実施例1(機能膜層aの厚みは21nm)と比較してエネルギー変換効率が低下している。このことから、被覆層を除去した段階における機能膜層aの厚みに上限があることがわかる。
Claims (8)
- 基板上に機能膜層が形成された有機デバイスの製造方法であって、基板上に直接または他の層を介して有機物を含有する有機物薄膜層を形成する工程A、有機物薄膜層の上に被覆層を形成する工程B、被覆層の形成後の有機物薄膜層の少なくとも一部に構造変化を生じさせることにより機能膜層を形成する工程C、および機能膜層を形成した後に被覆層を除去する工程Dを含む、有機デバイスの製造方法。
- 工程Cにおいて、有機物薄膜層に加熱または電磁波の照射を行う、請求項1に記載の有機デバイスの製造方法。
- 構造変化が化学構造変化である、請求項1または2に記載の有機デバイスの製造方法。
- 有機物薄膜層に含まれる有機物が下記式(A1)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法。
- 有機物薄膜層に含まれる有機物が下記一般式(I)または(II)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法により製造された有機デバイス。
- 被覆層を形成した後に、構造変化を生じさせることにより形成される機能膜層の厚みが25nm以下である請求項6に記載の有機デバイス。
- 有機デバイスが光電変換素子である、請求項6または7に記載の有機デバイス。
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