JP2016149505A - 組成物、光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール - Google Patents

組成物、光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】高い変換効率を有する光電変換素子を提供する。
【解決手段】基材106上に、一対の電極101,105と、一対の電極101,106間に配置された活性層103と、一対の電極101,106の少なくとも一方の電極と活性層103との間に配置されたバッファ層102,104と、を有する光電変換素子であって、バッファ層102,104が、導電性高分子化合物と、下記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有する光電変換素子。

【選択図】図1

Description

本発明は、組成物、光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールに関する。
近年、有機半導体を用いた電子デバイス、なかでも有機薄膜太陽電池(OPV)が盛んに開発されている。OPVは、一般的に、一対の電極と電極間に活性層が形成された構成を有するが、正孔輸送効率を向上させて変換効率を向上させるために、一方の電極と活性層との間に正孔輸送層を設けることが検討されている。例えば、特許文献1及び非特許文献1には、(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)を含有する正孔取り出し層を用いた光電変換素子の例が記載されている。
特開2006−278582号
Solar Energy Materials & Solar Cells 2011,95,731−734
有機薄膜太陽電池において、費用効率に優れ、フレキシブルな基板上にも塗布できるロール・ツー・ロール方式で、活性層の上にPEDOT:PSSの水分散液を塗布して、正孔取り出し層を形成することが検討されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、PEDOT:PSSの水分散液を用いて塗布により正孔取り出し層を形成しようとすると、該水分散液は粘度が低いために基板上でPEDOT:PSSの水分散液の垂れが発生するとともに、下地層が該水分散液を弾いてしまい期待する膜厚が得られない傾向があることが判明した。また、均一な膜質が得られにくく、結果的に得られる光電変換素子の変換効率は低くなってしまう傾向があることが判明した。特に、ロール・ツー・ロール方式を用いた塗布法により、正孔取り出し層を形成する場合、この問題がより顕著になる。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、均一な膜厚のバッファ層を有する、高い変換効率を有する光電変換素子を提供することを目的とする。また、優れた電荷輸送性と適度な粘度を両立した組成物、並びに高い変換効率を有する光電変換素子を生産性高く製造することを目的とする。
本発明者らは上記実情に鑑み、導電性高分子と特定の化合物とを含有するバッファ層を用いることにより上記課題を解決し、本発明を達成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 基材上に、一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層と、前記一対の電極の少なくとも一方の電極と前記活性層との間に配置されたバッファ層と、を有する光電変換素子であって、前記バッファ層が、導電性高分子化合物と、下記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有することを特徴とする光電変換素子。
(前記式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
[2] 前記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であることを特徴とする[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記バッファ層中における前記導電性高分子化合物に対する前記式(1)で表わされる構造を有する化合物の割合が、1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の光電変換素子を有する太陽電池。
[5] [4]に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
[6] 導電性高分子化合物と、下記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有する組成物。
(前記式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
[7] 基材上に、一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層と、前記一対の電極の少なくとも一方の電極と前記活性層との間に配置されたバッファ層と、を有する光電変換素子の製造方法であって、[6]に記載の組成物を塗布することにより前記バッファ層を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
本発明によれば、高い変換効率を有する光電変換素子を提供することができる。また、優れた電荷輸送性と適度な粘度を両立した組成物を提供することができ、高い変換効率を有する光電変換素子を生産性高く製造することができる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に表す断面図である。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分、又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
<1.光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、基材上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極間に配置された活性層と、一方の電極と活性層との間に配置されたバッファ層と、を有する。以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る光電変換素子の構成について説明する。
図1に示すように、本発明に係る光電変換素子の一実施形態は、基材106上に、下部電極101と、下部バッファ層102と、活性層103と、上部バッファ層104と、上部電極105と、が順次形成された層構造を有する。本発明において、下部電極とは、基材106側に積層される電極を意味し、上部電極とは、基材106をボトムとした際に、下部電極よりも上部に積層される電極を意味する。なお、本発明において、下部電極101及び上部電極105を合わせて一対の電極と称する場合がある。
また、バッファ層(102、104)は、それぞれ電荷の輸送性を高める機能を有する層を意味する。具体的には、正孔の輸送性を高める機能を有するバッファ層が正孔取り出し層であり、電子の輸送性を高めるバッファ層を電子取り出し層である。本明細書において、下部電極101と活性層103との間に設けられるバッファ層102を下部バッファ層、上部電極105と活性層103との間に儲けられるバッファ層104を上部バッファ層と称す場合があるが、下部電極101をカソードとし、上部電極105をアノードとする場合、通常、下部バッファ層102を電子取り出し層とし、上部バッファ層104を正孔取り出し層とすることが好ましい。一方、下部電極101をアノードとし、上部電極105をカソードとする場合、下部バッファ層102を正孔取り出し層とし、上部バッファ層104を電子取り出し層とすることが好ましい。
なお、光電変換素子は、必ずしも上部バッファ層104と下部バッファ層102の両方のバッファ層を有する必要はなく、どちらか一方のバッファ層のみを有していてもよい。すなわち、電子取り出し層及び正孔取り出し層のうち一方のバッファ層のみを有していてもよい。以下に光電変換素子の各構成部材について説明する。
<1−1.バッファ層(102、104)>
本発明に係る光電変換素子が有する少なくとも一つのバッファ層は、導電性高分子化合物と、後述する下記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有する。バッファ層(102、104)は、上述の通り、電荷の輸送機能を高める役割を有する。なお、バッファ層(102、104)を形成する材料は、電荷の輸送性を向上させる限りにおいて特段の制限はないが、少なくとも1つのバッファ層、すなわち、正孔取り出し層及び電子取り出し層の少なくとも1つのバッファ層は、導電性高分子化合物と、後述する下記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有する。なお、本明細書において、導電性高分子化合物とは、バンドギャップが5eV以下であり、かつ分子量1000以上の化合
物を意味する。導電性高分子化合物のバンドギャップは4eV以下であることが好ましく、下限はない。なお、バンドギャップは、通常の分光光度計で透過スペクトルを測定して算出することができる。
本発明において、バッファ層が導電性高分子化合物と、式(I)で表わされる構造を有
する化合物と、を含有することにより以下のような効果が期待できる。
一般的に、導電性高分子化合物を溶媒に溶解又は分散した組成物を塗布してバッファ層を形成した場合、該組成物の粘度が低いために、該組成物を下地層上に塗布した際に、下地となる層の上で組成物が弾かれてしまい、乾燥工程において組成物が凝集してしまい、均一な膜質が得られない傾向がある。また、組成物中に増粘剤等を加えて組成物の粘度を向上し、組成物の凝集を抑制する方法も検討されているが、加える増粘剤によっては、導電性高分子化合物の電荷輸送機能を低下させてしまい、結果的に高い変換効率を有する光電変換素子を製造することが困難な場合が発生する。
しかしながら、本発明においては、組成物中の導電性高分子化合物と、後述する下記式(I)で表わされる構造を有する化合物とは均一に混ざりやすい傾向があるため、組成物の粘度を適切に調整することが可能になるために、塗布成膜時に組成物の垂れや弾きといった問題を抑制することができる。そのため、後述するバッファ層を形成するための組成物の塗布成膜性を向上させることができ、目標の膜厚を得やすくすることができるとともに、高い均一性を有するバッファ層を形成することができる。さらには、他の増粘剤を加えたときに見られるような導電性高分子化合物の電荷輸送性の大幅な低下という問題が発生しにくい傾向がある。そのため、高い変換効率を有する光電変換素子を提供することができる。
バッファ層が含有する導電性高分子化合物は、電荷の輸送性有する限りにおいて、特段の制限はない。しかしながら、バッファ層を正孔取り出し層として用いる場合は、導電性高分子化合物のLUMOエネルギー準位は、−4.0eV以上であることが好ましく、−3.5eV以上であることがさらに好ましく、一方、−1.5eV以下であることが好ましく、−2.0eV以下であることがさらに好ましい。当該化合物のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であれば、電子の正孔取り出し層側への移動を充分に阻止することができる。
導電性高分子化合物のHOMOエネルギー準位は、特段の制限はないが、バッファ層を正孔取り出し層として用いる場合は、−6.5eV以上であることが好ましく、−6.0eV以上であることがさらに好ましく、一方、−4.0eV未満であることが好ましく、−4.5eV以下であることがさらに好ましい。当該化合物のHOMOエネルギー準位が−6.5eV以上であることにより、活性層103からの正孔取り出し効率が向上し得る点で好ましい。また、導電性高分子化合物のHOMOエネルギー準位は、活性層103中のp型半導体化合物のHOMOエネルギー準位よりも高いことが好ましい。
導電性高分子化合物のHOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位の算出方法は、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法が挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法が挙げられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法又はサイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。その中でも好ましくはサイクリックボルタモグラム測定法であり、本明細書においてサイクリックボルタモグラム測定法を用いるものとする。具体的には、例えば公知文献(国際公開第2011/016430号パンフレット)に記載の方法で測定することができる。
バッファ層を正孔取り出し層として用いる場合、導電性高分子化合物は、上述のHOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位を有することが好ましいが、具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンポリピロール又はポリアニリン等にスルホン酸及び/又はヨウ素等をドーピングした導電性ポリマースルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、導電性及び化学的な安定性からスルホ
ン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。なお、バッファ層は2種以上の導電性高分子化合物を含有していてもよい。
バッファ層を電子取り出し層として用いる場合、バッファ層が含有する導電性高分子化合物は、電子輸送性を有する限りにおいて特段の制限はないが、導電性高分子化合物のLUMOエネルギー準位は、−4.0eV以上であることが好ましく、−3.9eV以上であることがさらに好ましく、一方、−1.9eV以下であることが好ましく、−2.0eV以下であることがさらに好ましい。導電性高分子化合物のLUMOエネルギー準位が−2.0eV以下であることにより、電荷移動が促進され得る点で好ましい。また、導電性高分子化合物のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であることにより、n型半導体材料への逆電子移動が防がれ得る点で好ましい。
バッファ層を電子取り出し層として用いる場合、導電性高分子化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、−9.0eV以上であることが好ましく、−8.0eV以上であることがさらに好ましく、一方、−4.0eV未満であることが好ましく、−5.5eV以下であることがさらに好ましい。導電性高分子化合物のHOMOエネルギー準位が−4.0eV未満であることにより、正孔が電子取り出し層側に移動するのを充分に阻止し得る点で好ましい。バッファ層102の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、上述のサイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。
バッファ層を電子取り出し層として用いる場合、電子取り出し層を形成する導電性高分子化合物は、上述のようなHOMO電子エネルギー順位及びLUMOエネルギー準位を有する高分子化合物が好ましいが、具体的には、アンモニウム酢酸塩が導入された置換フルオレン系ポリマー、臭化アンモニウム塩が導入された置換フルオレン系ポリマー、アンモニウム酢酸塩が導入されたポリエチレンオキサイド等が挙げられる。また、2種以上の導電性高分子化合物を含有していてもよい。
バッファ層中に含有される導電性高分子化合物の含有量は特段の制限はないが、高い電荷輸送性を得るために、バッファ層全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、一方で、形成時の成膜性を向上させるために95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。
上述の通り、バッファ層は、さらに下記式(I)で表わされる構造を有する化合物を含有する。
上記式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す

1価の有機基は、特段の制限はないが、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトリル基、アミノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が挙げられる。なお、アミノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子は、特段の制限はないが、フッ素原子が好ましい。
アミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、カルバゾリル基等の芳香族置換アミノ基が挙げられる。
シリル基としては,炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基が挙げられる。
ボリル基としては、例えば、ジメシチルボリル基等の芳香族置換ボリル基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1以上20以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基又はシクロヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、ビニル基、スチリル基又はジフェニルビニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、メチルエチニル基、フェニルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、エチルヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシ基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましい。芳香族炭化水素基は、単環芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族炭化水素基、及び環連結芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。単環芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。縮合多環芳香族炭化水素基としては、例えば、フェナントリル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基、ペリレニル基が挙げられる。環連結芳香族炭化水素基としては、例えば、ビフェニル基又はターフェニル基が挙げられる。これらの中でも、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
芳香族複素環基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、フェニルカルバゾリル基が挙げられる。これらの中でも、ピリジル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基又はフェナントリル基が好ましい。
アミノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が有していてもよい置換基は、本発明の効果を妨げない限りにおいて特段の制限はないが、上述の1価の有機基で挙げた1種以上の基が挙げられる。
上記の中でも、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、なかでも、R〜Rが水素原子であり、Rがアルキル基又は水素原子であることが好ましく、R〜Rがいずれも水素原子であることが好ましい。
上記式(I)で表わされる構造を有する化合物の分子量は特段の制限はないが、1000以上であり、5000以上であることがさらに好ましく、10000以上であることが特に好ましく、一方、1000000以下であることが好ましく、500000以下であることがさらに好ましく、300000以下であることが特に好ましい。
上記式(I)で表わされる構造を有する化合物の製造方法に特段の制限はなく、公知の方法により製造すればよい。また、市販品を用いてもよい。例えば、市販のアロンA−10H(東亞合成株式会社製)等を用いることもできる。
バッファ層中、導電性高分子化合物に対する上記式(I)で表わされる導電性高分子化合物の割合は、塗布成膜性を向上し均一な膜質を得るために 1質量%以上であることが
好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましく、一方、バッファ層の電荷輸送性が低下するのを防ぐために、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
バッファ層(102、104)はそれぞれ単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造を有していてもよい。
バッファ層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、導電性高分子化合物及び上記式(I)で表わされる構造を有する化合物以外の化合物を含んでいてもよい。例えば、電荷輸送機能を有する導電性の、無機化合物又は低分子有機化合物を含有していてもよい。さらには、後述するように、バッファ層形成用組成物中に含有される化合物由来の残留成分を含んでいてもよい。
バッファ層(102、104)のそれぞれの膜厚は特段の制限はないが、0.1nm以上であることが好ましく、0.5nm以上であることがさらに好ましく、1.0nm以上であることが特に好ましく、一方、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。バッファ層が上述の範囲であることにより、正孔又は電子の輸送効率が向上し、光電変換素子の変換効率を向上させることができる。
(バッファ層の形成方法)
バッファ層の形成方法は、特段の制限はないが、成膜が容易な点で塗布法を用いることが好ましい。具体的には、後述するようなバッファ層形成用組成物を下地層上に塗布することによりバッファ層を形成することができる。なお、活性層103は後述するように、p型半導体ポリマー及びn型半導体ポリマーを含有しており、一般的に活性層103の表面エネルギーは低い傾向がある。そのため、塗布法により、活性層103上に特定の組成物を塗布して、特定の層を形成する場合、該組成物が弾かれ易く膜が形成しにくい傾向がある。しかしながら、本発明に係るバッファ層形成用組成物は適度な粘度を有しているために、活性層103上にバッファ層を塗布形成する場合も、組成物が凝集することなくバッファ層を形成することができる。そのため、活性層103上にバッファ層を形成する場合、本発明に係る組成物は特に有効である。
塗布法は、特に制限されないが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法、グラビア法が好ましい。なかでも、インクジェット法、ドクターブレード法、スプレーコート法、グラビア法が大面積の塗布が可能である点で好ましい。また、塗布法は、枚葉式で行ってもよいしロール・ツー・ロール方式で行ってもよいが、本発明によれば、一般的に液垂れの問題が発生しやすい傾向のあるロール・ツー・ロール方式で行っても液垂れが発生しにくい。そのため、量
産性の高いロール・ツー・ロール方式によりバッファ層を形成することが好ましい。
なお、溶媒を除去するために、バッファ層形成用組成物を塗布した後に加熱等による乾燥処理を行ってもよい。
バッファ層形成用組成物は、導電性高分子化合物と、上記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有する。導電性高分子化合物及び式(I)で表わされる構造を有する化合物は上述した化合物が挙げられる。組成物が該化合物を有することにより、上述の通り、適度な粘度を有することができ、組成物の液垂れや下地層から弾かれるといった問題を抑制することができる。そのため、少ない組成物量で目標とする膜厚が得られやすく、さらには均一な膜質を得ることができる。
また、バッファ層形成用組成物は溶媒を含有していてもよい。溶媒は特段の制限はないが、極性溶媒又は非極性溶媒が挙げられる。
極性溶媒は特段の制限はないが、水系溶媒、アルコール系溶媒又はその他の極性溶媒が挙げられる。
水系溶媒としては、水が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、特段の制限はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール又は1−エトキシ−2−プロパノールが挙げられる。
その他の極性溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
非極性溶媒としては、ジオキサン、四塩化炭素等が挙げられる。
これらの溶媒の中でも、下地となる層を浸食又は溶解させにくい点で、極性溶媒であることが好ましく、水系溶媒又はアルコール系溶媒であることが特に好ましい。
なお、溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。
バッファ層形成用組成物は、導電性高分子化合物と、上記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、溶媒以外に、他の化合物を含んでいてもよく、形成するバッファ層に合わせて適宜選択することができる。例えば、導電性を有する、無機化合物又は低分子有機化合物等を含有していてもよい。また、組成物の濡れ性を向上するために、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤)を含有していてもよい。
バッファ層形成用組成物は、導電性高分子化合物と、上記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を溶媒に溶解させることにより作製することができる。なお、これらの組成比は、形成するバッファ層の組成に合わせて任意で選択すればよい。
バッファ層形成用組成物は、塗布性を考慮して、粘度が2mPa・s以上であることが好ましく、5mPa・s以上であることがさらに好ましく、10mPa・s以上であることが特に好ましく、200mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以下であることがさらに好ましく、30mPa・s以下であることが特に好ましい。
なお、本発明に係る光電変換素子は、上述の通り、導電性高分子化合物と上記式(I)で表わされる構造を有する化合物とを含有して形成されるが、光電変換素子が2つ以上のバッファ層を有する場合、すなわち、光電変換素子が下部バッファ層102及び上部バッファ層104の2つのバッファ層を有する場合は、一方のバッファ層が導電性高分子化合物と上記式(I)で表わされる構造を有する化合物を含有して形成されていれば、他方のバッファ層は電荷輸送機能を有する限りにおいてどのような化合物により形成されていて
もよい。例えば、他方のバッファ層を正孔取り出し層又は電子取り出し層とするかによって、使用できる材料は異なるが、他方のバッファ層も同様に導電性高分子化合物及び上記式(I)で表わされる構造を有する化合物を含有して形成されていてもよいし、電荷輸送機能を有する他の化合物から形成されていてもよい。
他方のバッファ層を正孔取り出し層として使用する場合、正孔輸送機能を有する限りにおいて該バッファ層を形成する該他の化合物に特段の制限はないが、例えば、アリールアミン等の導電性有機化合物、ナフィオン、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、又は酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物が挙げられる。
他方のバッファ層を電子取り出し層として使用する場合、電子取り出し機能を有する限りにおいて該バッファ層を形成する該他の化合物に特段の制限はないが、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属塩;酸化チタン(TiOx)、酸化亜鉛(ZnO)等のn型半導体特性を有する金属酸化物;トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよい、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
なお、他方のバッファ層が上述のような化合物により形成される場合、その形成方法は特段の制限はなく、使用する材料に合わせて、適宜選択すればよい。例えば、公知の塗布法又は蒸着法により形成することができる。
<1−2.活性層(103)>
活性層とは光電変換が行われる層を指し、通常、p型半導体化合物とn型半導体化合物とを含む。p型半導体化合物とは、p型半導体材料として働く化合物であり、n型半導体化合物とは、n型半導体材料として働く化合物である。光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気が電極101,105から取り出される。
活性層103の材料としては無機化合物と有機化合物とのいずれを用いてもよいが、簡易な塗布法により形成しうる層であることが好ましい。
活性層103の層構成としては、p型半導体化合物層とn型半導体化合物層とが積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層を有するバルクヘテロ接合型、p型半導体化合物層と、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層(i層)と、n型半導体化合物層とが積層されたもの等が挙げられる。なかでも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型が好ましい。
活性層103の膜厚は特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、一方通常1μm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下である。活性層103の膜厚が10nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、活性層103の厚さが1μm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極(カソード−アノード)間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
活性層の作成方法としては、特段に制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法としては、任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、又はカーテンコート法が挙げられる。
p型半導体化合物層及びn型半導体化合物層は、p型半導体化合物又はn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。また、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層は、p型半導体化合物及びn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。後述するように、半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後で、半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換してもよい。
なお、本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、本明細書における「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が通常1.0x10-6cm2
V・s以上、好ましくは1.0x10-5cm2/V・s以上、より好ましくは5.0x1
-5cm2/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10-4cm2/V・s以上であることが望ましい。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタのIV特性の測定、又はタイムオブフライト法等により測定できる。また、本発明に係る半導体層の特性としては、室温におけるキャリア移動度が1.0x10-6cm2/V・s以上、好ましくは1
.0x10-5cm2/V・s以上、より好ましくは5.0x10-5cm2/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10-4cm2/V・s以上であることが望ましい。
<1−2−1.p型半導体化合物>
活性層が含むp型半導体化合物としては、特に限定はないが、低分子有機半導体化合物、高分子有機半導体化合物、及び有機無機複合半導体化合物が挙げられる。
<1−2−1−1.低分子有機半導体化合物>
低分子有機半導体化合物の分子量は、上限、下限ともに特に制限されないが、通常1000未満、好ましくは500以下であり、一方、通常100以上、好ましくは200以上である。
また、低分子有機半導体化合物は結晶性を有することが好ましい。結晶性を有するp型半導体化合物は分子間相互作用が強く、活性層においてp型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で生成した正孔(ホール)を効率よくアノードへ輸送しうる。本明細書において結晶性とは、分子間相互作用等によって配向の揃った3次元周期配列をとる、化合物の性質である。結晶性の測定方法としては、X線回折法(XRD)又は電界効果トランジスタ(FET)による移動度測定法等が挙げられる。特に電界効果トランジスタによる移動度測定において、正孔移動度は、通常1.0×10-6cm2/Vs以上であり、1.0
×10-5cm2/Vs以上が好ましく、5.0×10-5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10-4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×104cm2/V
s以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、5.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。正孔移動度が1.0×10-6cm2/Vs以上であることは、光電変
換素子の正孔拡散速度向上、短絡電流向上、変換効率向上等の効果が得られうる点で好ましい。電界効果トランジスタによる移動度測定方法は、公知文献(特開2011−61095号公報)に記載の方法により実施することができる。
低分子有機半導体化合物としては、p型半導体材料として働きうるのであれば特段の制限はないが、具体的には、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;
α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも一つ以上を含み、かつ合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体、等の大環状化合物が挙げられる。好ましくは、フタロシアニン化合物及びその金属錯体又はポルフィリン化合物及びその金属錯体である。
ポルフィリン化合物及びその金属錯体(下記式中のZ1がCH)、及びフタロシアニン
化合物及びその金属錯体(下記式中のZ1がN)としては、例えば、以下のような構造の
化合物が挙げられる。
ここで、Metは金属あるいは2個の水素原子を表し、金属としては、Cu、Zn、Pb、Mg、Pd、Ag、Co又はNi等の2価の金属のほか、軸配位子を有する3価以上の金属、例えば、TiO、VO、SnCl2、AlCl、InCl又はSi(OH)2も挙げられる。
図中のZ1はCH又はNである。
図中のR11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上24以下のアルキル基である。炭素数1以上24以下のアルキル基とは、炭素数1以上24以下の飽和若しくは
不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数3以上24以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。その中でも好ましくは炭素数1以上12以下の飽和若しくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数3以上12以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。
フタロシアニン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、29H,31H−フタロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体又は銅4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン錯体であり、より好ましくは、29H,31H−フタロシアニン又は銅フタロシアニン錯体である。上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
ポルフィリン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンニッケル(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンコバルト(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン銅(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン亜鉛(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンニッケル(II)又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンバナジウム(IV)オキシドであり、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンである。上記のうち1種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
低分子有機半導体化合物の成膜方法としては、真空蒸着法及び塗布法が挙げられる。塗布成膜できるというプロセス上の利点からは後者が好ましい。塗布法を用いる場合、低分子有機半導体化合物前駆体を塗布後に低分子有機半導体化合物に変換する方法がある。塗布成膜がより容易である点で、半導体化合物前駆体を用いる方法がより好ましい。
(低分子有機半導体化合物前駆体)
低分子有機半導体化合物前駆体とは、例えば加熱や光照射等の外的刺激を与えることにより、その化学構造が変化し、低分子有機半導体化合物に変換される化合物である。低分子有機半導体化合物前駆体は成膜性に優れることが好ましい。特に、塗布法を適用できるようにするためには、前駆体自体が液状で塗布可能であるか又は前駆体が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。このため、低分子有機半導体化合物前駆体の溶媒に対する溶解性は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。一方、上限に特段の制限はないが、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
溶媒の種類としては、半導体前駆体化合物を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール又はプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリク
ロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類である。より好ましくは、トルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類;シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等の非ハロゲン系ケトン類;テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサン等の非ハロゲン系脂肪族エーテル類である。特に好ましくは、トルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類である。なお、1種の溶媒を単独で用いてもよく、2種以上の溶媒を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、低分子有機半導体化合物前駆体は、容易に半導体化合物に変換できることが好ましい。後述する低分子有機半導体化合物前駆体から半導体化合物への変換工程において、どのような外的刺激を半導体前駆体に与えるかは任意であるが、通常は、熱処理又は光処理等を行う。好ましくは、熱処理である。この場合には、低分子有機半導体化合物前駆体が、骨格の一部として、逆ディールス・アルダー反応によって脱離可能な、所定の溶媒に対する親溶媒性の基を有することが好ましい。
また、低分子有機半導体化合物前駆体は、変換工程を経て、高い収率で半導体化合物に変換されることが好ましい。この際、低分子有機半導体化合物前駆体から変換して得られる半導体化合物の収率は光電変換素子の特性を損なわない限り任意であるが、低分子有機半導体化合物前駆体から得られる低分子有機半導体化合物の収率は、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。
低分子有機半導体化合物前駆体は上記の特徴を有するものであれば特に制限はないが、具体的には特開2007−324587号公報に記載の化合物等が用いられうる。なかでも好ましい例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
上式において、D1及びD2の少なくとも一方はπ共役した2価の芳香族環を形成する基を表し、Z2−Z3は熱又は光により脱離可能な基であって、Z2−Z3が脱離して得られるπ共役化合物が低分子有機半導体化合物となるものを表す。また、D1及びD2のうちπ共役した2価の芳香族環を形成する基でないものは、置換又は無置換のエテニレン基を表す。
上式で表される化合物は、下記化学反応式に示すように熱又は光によりZ2−Z3が脱離して、平面性の高いπ共役化合物を生成する。この生成されたπ共役化合物が低分子有機
半導体化合物である。この低分子有機半導体化合物が、p型半導体特性を有する材料として用いられる。
低分子有機半導体化合物前駆体の例としては、以下のものが挙げられる。以下において、t−Buはt−ブチル基を表し、Metは、ポルフィリン及びフタロシアニンについて説明したものと同様である。
低分子有機半導体化合物前駆体の低分子有機半導体化合物への変換の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子有機半導体化合物前駆体は、位置異性体が存在する構造であってもよく、またその場合、複数の位置異性体の混合物であってもよい。複数の位置異性体の混合物は、単一の位置異性体成分からなる低分子有機半導体化合物前駆体と比較して溶媒に対する溶解度が向上するため、塗布成膜が行いやすく好ましい。複数の位置異性体の混合物の溶解度が高い理由は、詳細なメカニズムは明確ではないが、化合物そのものの結晶性が潜在的に保持されつつも、複数の異性体混合物が溶液内に混在することで、三次元規則的な分子間相互作用が困難になるためと想定される。複数の位置異性体混合物の、非ハロゲン性溶媒への溶解度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。上限に制限は無いが、通常50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
<1−2−1−2.高分子有機半導体化合物>
高分子有機半導体化合物として、特に限定はなく、ポリチオフェン、ポリフルオレン、
ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役ポリマー半導体;アルキル基やその他の置換基が置換されたオリゴチオフェン等のポリマー半導体が挙げられる。また、2種以上のモノマー単位を共重合させた半導体ポリマーも挙げられる。共役ポリマーとしては、例えば、Handbook of Conducting Polymers,3rd Ed.(全2巻,2007)、Materials Science and Engineering 2001,32,1.、Pure Appl.Chem. 2002,74,2031.、Handbook of THIOPHENE−BASED MATERIALS(全2巻,2009)等の公知文献に記載されたポリマーやその誘導体、及び記載されているモノマーの組み合わせによって合成し得るポリマーを用いることができる。p型半導体化合物として用いられる高分子有機半導体化合物は、1種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
高分子有機半導体化合物のモノマー骨格及びモノマーの置換基は、溶解性、結晶性、成膜性、HOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位等を制御するために選択することができる。また、高分子有機半導体化合物が有機溶媒に可溶であることは、光電変換素子を作製する際に塗布法により活性層を形成しうる点で好ましい。高分子有機半導体化合物の具体例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されることはない。
<1−2−1−3.有機無機複合半導体化合物>
有機無機複合半導体化合物として、特に限定はなく、鉛ぺロブスカイト構造化合物等のぺロブスカイト構造化合物が挙げられる。ぺロブスカイト構造化合物は、溶解性、結晶性、成膜性、HOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位等を制御するために構成材料を選択することができる。また、ぺロブスカイト構造化合物が有機溶媒に可溶であることは、光電変換素子を作製する際に塗布法により活性層を形成しうる点で好ましい。ぺロブスカイト構造化合物の具体例としては、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbIXCl3-X、CH3NH3PbBr3、CH3NH3SnI3、CH3NH3SnBr3、CH3CH2NH3PbI3、HC(NHPbIが挙げられるが、これらに限定されることはない。
これらの中でも、p型半導体化合物としてポリチオフェン等の共役ポリマー半導体である。
なお、活性層は2種以上のp型半導体化合物を含有していてもよい。また、2層以上の積層構造であってもよい。
p型半導体化合物は、成膜された状態において、何らかの自己組織化した構造を有していても、アモルファス状態であってもよい。
p型半導体化合物のHOMO(最高被占分子軌道)エネルギー準位は、特に限定は無く、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができる。特に、フラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、通常−5.7eV以上、より好ましくは−5.5eV以上、一方、通常−4.6eV以下、より好ましくは−4.8eV以下である。p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.7eV以上であることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体化
合物のHOMOエネルギー準位が−4.6eV以下であることにより化合物の安定性が向上し、開放電圧(Voc)も向上する。
p型半導体化合物のLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位は、特に限定は無いが、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができる。特に、フラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、通常−3.7eV以上、好ましくは−3.6eV以上である。一方、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体のLUMOエネルギー準位が−2.5eV以下であることにより、バンドギャップが調整され長波長の光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度が向上する。p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が−3.7eV以上であることにより、n型半導体化合物への電子移動が起こりやすくなり短絡電流密度が向上する。
<1−2−2.n型半導体化合物>
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、具体的にはフラーレン化合物、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型高分子半導体化合物、酸化チタン又は酸化亜鉛等の金属酸化物、n型ドープされたシリコンが挙げられる。
その中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、酸化チタン又は酸化亜鉛等の金属酸化物、n型ドープされたシリコンがより好ましく、フラーレン化合物であることが特に好ましい。なお、上記のうち1種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、特に限定はされないが、例えばサイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値が、通常−3.85eV以上、好ましくは−3.80eV以上である。p型半導体化合物から効率良くn型半導体化合物へと電子を移動させるためには、p型半導体化合物とn型半導体化合物とのLUMOエネルギー準位の相対関係が重要である。具体的には、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位より所定の値だけ上にあること、言い換えると、n型半導体化合物の電子親和力がp型半導体化合物の電子親和力より所定のエネルギーだけ大きいことが好ましい。開放電圧(Voc)はp型半導体化合物のHOMOエネルギー準位とn型半導体化合物のLUMOエネルギー準位の差に依存するため、n型半導体化合物のLUMOを高くすると、Vocが高くなる傾向がある。一方、LUMOの値は通常−1.0eV以下、好ましくは−2.0eV以下、より好ましくは−3.0eV以下、さらに好ましくは−3.3eV以下である。n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位を低くすることで、電子の移動が起こりやすくなり、短絡電流(Jsc)が高くなる傾向がある。
n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位の算出方法は、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法が挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法があげられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法又はサイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。その中でも好ましくはサイクリックボルタモグラム測定法である。
n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。一方、通常−7.0eV以上、好ましくは−6.6eV以上である。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−7.0eV以上であることは、n型半導体化合物の光吸収も発電に利用しうる点で好ましい。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔の逆移動を阻止できる点で好ましい。
n型半導体化合物の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10-6cm2
Vs以上であり、1.0×10-5cm2/Vs以上が好ましく、5.0×10-5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10-4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常
1.0×104cm2/Vs以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、5.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。n型半導体化合物の電子移動度が1.0×10-6cm2/Vs以上であることは、光電変換素子の電子拡散速度向上、短絡電流向上、
変換効率向上等の効果が得られうる点で好ましい。電子移動度の測定方法としては電界効果トランジスタ(FET)法が挙げられ、公知文献(特開2007−320957号公報)に記載の方法により実施することができる。
n型半導体化合物の25℃でのトルエンに対する溶解度は、通常0.5質量%以上であり、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましい。一方、通常90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。n型半導体化合物の25℃でのトルエンに対する溶解度が0.5質量%以上であることは、溶液中でのn型半導体化合物の分散安定性が向上し、凝集、沈降、分離等を起こしにくくなるために、好ましい。
以下、好ましいn型半導体化合物の例について説明する。
<1−2−2−1.フラーレン化合物>
フラーレン化合物としては、一般式(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造を有するものが好ましい例として挙げられる。
上式中、FLNは、閉殻構造を有する炭素クラスターであるフラーレンを表す。フラーレンの炭素数は、通常60以上130以下の偶数であれば何でもよい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスターが挙げられる。その中でも、C60又はC70が好ましい。フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素−炭素結合が切れていてもよい。また、フラーレンを構成する炭素原子の一部が、他の原子に置き換えられていてもよい。さらにフラーレンは、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団をフラーレンケージ内に内包していてもよい。
a、b、c及びdは整数であり、a、b、c及びdの合計は通常1以上であり、一方、通常5以下であり、好ましくは3以下である。(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)中の部分構造は、フラーレン骨格中の同一の五員環又は六員環に結合している。一般式(n1)では、フラーレン骨格中の同一の五員環又は六員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−R21と、−(CH2Lとがそれぞれ結合している。一般式(n2)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R25)(R26)−N(R27)−C(R28)(R29)−が付加して5員環を形成している。一般式(n3)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R30)(R31)−C−C−C(R32)(R33)−が付加して6員環を形成している。一般式(n4)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して−C(R34)(R35)−が付加して3員環を形成している。Lは1以上8以下の整数である。Lとして好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
一般式(n1)中のR21は、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1以上10以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上6以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。
上記のアルキル基、アルコキシ基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては特に限定されないが、ハロゲン原子又はシリル基が好ましい。
ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
シリル基としては、ジアリールアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、トリアリールシリル基又はトリアルキルシリル基が好ましく、ジアルキルアリールシリル基がより好ましく、ジメチルアリールシリル基がさらに好ましい。
一般式(n1)中のR22〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はn−ヘキシル基が好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基は特に限定されないが、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は炭素数3以上10以下の芳香族基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、n−ブトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基がさらに好ましい。芳香族基が置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上3以下が好ましく、1がより好ましい。芳香族基が置換基を複数有する場合、その置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n2)中のR25〜R29は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基又はオクチル基であり、より好ましくはメチル基である。アルキル基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、ハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、
好ましくはフッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基である。アルキル基にはフッ素原子が置換されていてもよい。さらに好ましくは炭素数1以上14以下のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のAr1は、置換基を有していてもよい炭素数6以上20以下の芳香
族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基又はキノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基又はフリル基である。
有していてもよい置換基として限定は無いが、フッ素原子、塩素原子、水酸基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換していてもよいアミノ基、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基、炭素数1以上14以下のアルキルチオ基、炭素数2以上14以下のアルケニル基、炭素数2以上14以下のアルキニル基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基、炭素数2以上20以下のアリールチオ基、炭素数2以上20以下のアリールオキシ基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の複素環基が好ましく、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以下14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基又は炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基がより好ましい。炭素数1以上14以下のアルキル基は1又は2以上のフッ素で置換されていてもよい。
炭素数1以上14以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルキルカルボニル基としては、アセチル基が好ましい。炭素数2以上14以下のエステル基としては、メチルエステル基又はn−ブチルエステル基が好ましい。炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基が好ましい。
置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。置換基が複数の場合、その種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のR30〜R33は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基である。R30又はR31は、R32とR33とのいずれか一方と結合して環を形成していてもよい。環を形成する場合における構造としては、例えば、芳香族基が縮合したビシクロ構造である一般式(n5)に示す構造が挙げられる。
一般式(n5)においてfはcと同義であり、Z4は、2個の水素原子、酸素原子、硫
黄原子、アミノ基、アルキレン基又はアリーレン基である。アルキレン基としては炭素数1以上2以下が好ましい。アリーレン基としては炭素数5以上12以下が好ましく、例えばフェニレン基が挙げられる。アミノ基は、メチル基やエチル基等の炭素数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。アルキレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。アリーレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。
式(n5)に示す構造として特に好ましくは、下記式(n6)又は式(n7)で表される構造である。
一般式(n4)中のR34〜R35は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上12以下のアルコキシ基又は炭素数1以上12以下のフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上12以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブ
トキシ基、イソブトキシ基又はn−ヘキソキシ基が特に好ましい。
アルキル基としては、炭素数1以上8以下の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基がより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基には特に限定は無いが、好ましくはアルコキシカルボニル基である。アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又はフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下の炭化水素基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又はn−ブトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基が好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が特に好ましい。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても同一でもよく、好ましくは同一である。
一般式(n4)の構造として好ましくは、R34、R35が共にアルコキシカルボニル基であるか、R34、R35が共に芳香族基であるか、又はR34が芳香族基でありかつR35が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基であるものが挙げられる。
フラーレン化合物としては、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
塗布法によりフラーレン化合物を成膜するためには、フラーレン化合物自体が液状で塗布可能であるか、又はフラーレン化合物が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、25℃でのトルエンに対する溶解度が、通常0.1質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上である。フラーレン化合物の溶解度が0.1質量%以上であることは、フラーレン化合物の溶液中での分散安定性が増加し、凝集、沈降、分離等が起こりにくくなるために好ましい。
フラーレン化合物を溶解させる溶媒としては、非極性有機溶媒であれば特段に制限はないが、非ハロゲン系溶媒が好ましい。ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒を用いることも可能であるが、環境負荷の面等から代替が求められている。非ハロゲン系溶媒としては、例えば、非ハロゲン系芳香族炭化水素類が挙げられる。その中でも好ましくはトルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等である。
(フラーレン化合物の製造方法)
フラーレン化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、部分構造(n1)を有するフラーレン化合物の合成は、国際公開第2008/059771号やJ.Am.Chem.Soc. 2008,130,15429.のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n2)を有するフラーレン化合物の合成は、J.Am.Chem.Soc.1993,115,9798.、Chem.Mater. 2007,19,5363.
、及びChem.Mater. 2007,19,5194.のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n3)を有するフラーレン化合物の合成は、Angew.Chem.Int.Ed. 1993,32,78.、Tetrahedron Lett. 1997,38,285.、国際公開第2008/018931号及び国際公開第2009/086210号のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n4)を有するフラーレン化合物の合成は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans. 1997,1,1595.、Thin Solid Films 2005,489,251.、Adv.Funct.Mater. 2005,15,1979.、及びJ.Org.Chem. 1995,60,532.のような公知文献の記載に従って実施可能である。
<1−3. 一対の電極(101,105)>
上述の通り、本発明に係る光電変換素子は、一対の電極(101、105)を有する。電極101,105は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極には、電子の捕集に適した電極101(カソード)と、正孔の捕集に適した電極105(アノード)とを用いることが好ましい。一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透光性を有する透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層103に光を到達させるために好ましい。光の透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
カソード101は、一般には仕事関数がアノードよりも小さい値を有する導電性材料で構成され、活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
カソード101の材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は小さい仕事関数を有する材料であるため、好ましい。また、後述するように、電子取り出し層102の材料として酸化亜鉛のようなn型半導体材料で導電性を有するものを用いる場合、ITOのような、アノードに適した大きい仕事関数を有する材料を、カソード101の材料として用いることもできる。電極保護の観点から、カソード101の材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、カルシウム又はインジウム等の金属及びこれらの金属を用いた合金である。
カソード101の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソード101の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソード101の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。カソード101を透明電極として用いる場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。
カソード101のシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソード101の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。
アノード105とは、一般には仕事関数がカソードよりも大きい導電性材料で構成され、活性層103で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
アノード105の材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金等が挙げられる。これらの物質は大きい仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が大きいことから、上記のような大きい仕事関数の材料でなくとも、アルミニウムやマグネシウム等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。
ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。
アノード105が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化錫等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOを用いることが好ましい。
アノード105の膜厚に特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノード105の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノード105の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。アノード105が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗とを両立できる膜厚を選ぶ必要がある。
アノード105のシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
アノード105の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
さらに、カソード101及びアノード105は、2層以上の積層構造を有していてもよい。また、カソード101及びアノード105に対して表面処理を行うことにより、特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
<1−4. 基材(106)>
光電変換素子107は、通常は支持体となる基材106上に形成される。すなわち、基材上に、電極101,105と、活性層103とが形成される。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材106を有さなくてもよい。
基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材106の材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル若しくはポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を
付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;等が挙げられる。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材106の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。また、基材106の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重量が重くならないために好ましい。基材106の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材106の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材106の膜厚が0.5cm以下であることは、重量が重くならないために好ましい。
<1−5.光電変換素子の製造方法>
図1に示される構成を有する光電変換素子107は、各層について説明した上述の方法に従い、基材106上に、下部電極101、下部バッファ層102、活性層103、上部バッファ層104、及び上部電極105を順次積層することにより作製することができる。
上部電極105を積層した後に、光電変換素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する)。
アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子の各層間の密着性、例えば、下部電極101と下部バッファ層102及び/又は下部バッファ層102と活性層103及び/又は活性層103と上部バッファ層104及び/又は上部バッファ層104と上部電極105との密着性が向上する効果が得られるために好ましい。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上し得る。また、アニーリング処理工程により、活性層103の自己組織化が促進され得る。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、活性層103内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
アニーリング処理工程により光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上し得るものの、アニーリング処理工程中にフラーレン化合物が凝集し、相分離が促進されるために、光電変換効率が低下することがある。しかしながら活性層103は添加剤を含有しているため、添加剤によってアニーリング処理工程中のフラーレン化合物の凝集が抑制される。この
ように、活性層103に添加剤を含有させることにより、アニーリング処理工程を行った後での光電変換効率がより高い光電変換素子107が得られ得る。
本発明に係る光電変換素子を構成する各層は、特段の制限はなく、シート・ツー・シート(万葉)方式、又はロール・ツー・ロール方式により形成することができるが、特にバッファ層の形成においては、ロール・ツー・ロール方式を用いて塗布法により形成することが好ましい。
一般的に、ロール・ツー・ロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロール・ツー・ロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、シート・ツー・シート方式に比べて量産化に適した生産方式である。一方、ロール・ツー・ロール方式を用いて塗布法により各層を形成しようとすると、層が形成された基材をロール状に巻取る必要があるために、シート・ツー・シート方式を用いて塗布法により層を形成する場合と比較して、塗布液等の液垂れ等の問題がより顕著なものとなる。しかしながら、本発明においては、バッファ層形成用組成物が適度な粘度を有するためにロール・ツー・ロール方式を用いても液垂れ等を防ぐことができる。従って、ロール・ツー・ロール方式を用いて生産性高く高い変換効率を有する光電変換素子を製造することができる。
なお、ロール・ツー・ロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロール・ツー・ロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、外径の上限は、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下である。一方、下限は通常10cm以上、好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。ロール芯の外径の上限は、通常4m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは0.5m以下である。一方、下限は通常1cm以上、好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であると、各工程で成膜される層が、曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅の下限は、通常5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上である。一方、上限は、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であると光電変換素子の大きさの自由度が高くなるため好ましい。
<1−6.光電変換特性>
光電変換素子107の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子107にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
本発明に係る光電変換素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
<2.太陽電池>
上述の実施形態に係る光電変換素子は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。図2は、本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲ
ッター材フィルム4と、封止材5と、光電変換素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、薄膜太陽電池は、通常、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、光電変換素子6が発電する。なお、薄膜太陽電池は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、各構成部材を任意で選択して設ければよい。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2011/016430号パンフレット又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。
本発明に係る太陽電池、特に上述した薄膜太陽電池14の用途に特段の制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等が挙げられる。
本発明に係る太陽電池、特に薄膜太陽電池はそのまま用いてもよいし、例えば基材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13として、使用場所に設置して用いることができる。基材12については、周知技術を用いることができ、例えば、国際公開第2011/016430号パンフレット又は日本国特開2012−191194号公報等に記載のものを用いることができる。例えば、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計を変更することができる。
<合成例1:コポリマーAの合成>
モノマーとして、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E1,86mg,0.204mmol)、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,1006
2)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2,80mg,0.108mmol)、及び公知文献(Chem.Commun.,2011,47,4920−4922)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ジ−n−オクチル−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E3,80mg,0.108mmol)を用いて、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にしてコポリマーAを合成した。
コポリマーAの重量平均分子量Mw及びPDIを、上述のように測定したところ、それぞれ、3.69×10及び9.4であった。
(半導体形成用組成物の作製)
p型半導体化合物として合成例1で得られたコポリマーA、及びn型半導体化合物としてフラーレン混合物(フロンティアカーボン社製 nanom spectra−E124(NS−E124))を、質量比が1:3となるように混合し、混合物が3.5質量%の濃度となるように窒素雰囲気中でオルトキシレンとテトラリンとの混合溶媒(重量比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で40℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を孔径5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、半導体層形成用組成物を得た。
(上部バッファ層(正孔取り出し層)形成用組成物1の作製)
1.5質量%PEDOT:PSS水溶液(R−iCP150,株式会社理学製)にアセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンEXP.4200(日信化学社製,アセチレングリコール系化合物を75質量%含有)を1質量%加えた。得られた液に対してさらに10分間超音波をかけることで分散処理を行い、孔径0.45μmのフィルターでろ過することにより、上部バッファ層形成用組成物1を得た。得られた上部バッファ層形成用組成物1の粘度は(東機産業株式会社製RE−85L型で測定)8mPa・sであった。
(上部バッファ層(正孔取り出し層)形成用組成物2の作製)
上部バッファ層形成用組成物1に増粘剤の析出を防止するために、組成物中の濃度が30質量%となるようにエタノールを加え、さらに組成物中の濃度が10質量%となるように1−メトキシ−2−プロパノールを加え、さらに増粘剤であるアロンA−10H(東亞合成株式会社製、ポリアクリル酸26質量%含有する水溶液)を混合液中のポリアクリル酸濃度として0.1質量%(導電性高分子化合物に対するポリアクリル酸の割合は11.6質量%)加えて10分間撹拌混合した。得られた液に対してさらに10分間超音波をかけることで分散処理を行い、孔径5μmのフィルターでろ過することにより、上部バッファ層形成用組成物2を得た。得られた上部バッファ層形成用組成物2の粘度は15mPa・sであった。
(上部バッファ層(正孔取り出し層)形成用組成物3の作製)
アロンA−10H(東亞合成株式会社製、ポリアクリル酸を26質量%含有する水溶液)を混合液中のポリアクリル酸濃度として0.2質量%(導電性高分子化合物に対するポリアクリル酸の割合は23.2質量%)加えて混合した以外は、上部バッファ層形成用組成物2と同様の方法で上部バッファ層形成用組成物3を作製した。得られた上部バッファ層形成用組成物3の粘度は21mPa・sであった。
(上部バッファ層(正孔取り出し層)形成用組成物4の作製)
アロンA−10H(東亞合成株式会社製、ポリアクリル酸を26質量%含有する水溶液)を混合液中のポリアクリル酸濃度として0.3質量%(導電性高分子化合物に対するポ
リアクリル酸の割合は34.9質量%)加えて混合した以外は、上部バッファ層形成用組成物2と同様の方法で上部バッファ層形成用組成物4を作製した。得られた上部バッファ層形成用組成物4の粘度は28mPa・sであった。
(上部バッファ層(正孔取り出し層)形成用組成物5の作製)
アロンA−10H(東亞合成株式会社製、ポリアクリル酸を26質量%含有する水溶液)を混合液中のポリアクリル酸濃度として0.4質量%(導電性高分子化合物に対するポリアクリル酸の割合は46.5質量%)加えて混合した以外は、上部バッファ層形成用組成物2と同様の方法で上部バッファ層形成用組成物5を作製した。得られた上部バッファ層形成用組成物5の粘度は35mPa・sであった。
<実施例1:光電変換素子1の作製>
酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜(カソード)がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロピルアルコールによる超音波洗浄の後、窒素ブローで乾燥させた。次に、洗浄後の基板を紫外線オゾン処理装置(フィルジェン社製)を用いて10分間紫外線オゾン処理した。その後、酢酸亜鉛(II)二水和物(和光純薬社製)を、濃度が105mg/mLとなるように2−メトキシエタノール(Aldrich社製)とエタノールアミン(Aldrich社製)との混合溶媒(体積比100:3)に溶解した溶液(約0.1mL)を、酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜上に3000rpmにてスピンコートし、200℃のオーブンで10分間加熱することで、電子取り出し層である下部バッファ層を形成した。形成された下部バッファ層の膜厚は30nmであった。次に下部バッファ層を形成した基板をグローブボックスに持ち込み、上述の方法で作製した半導体層形成用組成物(0.2mL)を250rpmにてスピンコートし、グローブボックス中で、ホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をし、活性層を形成した。なお、得られた活性層の膜厚は300nmであった。
次に、活性層を形成した基板を大気下で、上述の方法で作製した上部バッファ層形成用組成物2(0.2mL)を塗布厚20μmのドクターブレード(株式会社井元製作所製)にて成膜し、窒素雰囲気のグローブボックスに移した。ついでグローブボックス中にて、ホットプレートを用い、140℃の温度で10分間の熱処理を行い、正孔取り出し層である上部バッファ層を形成した。なお、目視により上部バッファ層が良好に成膜されていることを確認した。形成された上部バッファ層の膜厚は約195nmであった。
次に、上部バッファ層上に、銀を真空蒸着法により、100nm蒸着して、アノードである上部電極を形成した。このようにして作製した光電変換素子を以下の方法で評価を行った。その結果を表1に表す。
(光電変換素子の評価方法)
光電変換素子に6mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極とアルミニウム電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
<実施例2:光電変換素子2の作製>
上部バッファ層形成用組成物2の代わりに上部バッファ層形成用組成物3を塗布厚20μmのドクターブレード(株式会社井元製作所製)にて形成した以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例3:光電変換素子3の作製>
上部バッファ層形成用組成物2の代わりに上部バッファ層形成用組成物4を塗布厚20μmのドクターブレード(株式会社井元製作所製)にて成膜した以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例4:光電変換素子4の作製>
上部バッファ層形成用組成物2の代わりに上部バッファ層形成用組成物5を塗布厚20μmのドクターブレード(株式会社井元製作所製)にて成膜した以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例1:光電変換素子5の作製>
上部バッファ層形成用組成物2の代わりに上部バッファ層形成用組成物1を塗布厚20μmのドクターブレード(株式会社井元製作所製)にて成膜した以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
表1において、ポリアクリル酸割合(%)の欄は、上部バッファ層(正孔取り出し層)中において、導電性高分子化合物に対するポリアクリル酸の割合を表す。なお、上部バッファ層中の導電性高分子化合物に対するポリアクリル酸の割合は、組成物中の濃度から算出した。また、目標膜厚とは、組成物中の導電性高分子化合物とポリアクリル酸の固形分濃度から理論上得られる膜厚を意味する。
比較例1においては、活性層上に上部バッファ層を形成する際に、活性層が上部バッファ層形成用組成物を弾いてしまい、結果的に形成された上部バッファ層はところどころ孔が発生し、均一な膜質の上部バッファ層を得ることができなかった。また、目標膜厚よりも大幅に薄いバッファ層しか得られなかった。一方、実施例1〜4においては、均一な膜質の上部バッファ層が得られた。また、目標膜厚に近い膜厚の上部バッファ層を形成することができた。これは、実施例1〜4においては、上部バッファ層形成用組成物は、導電性高分子化合物に加え、ポリアクリル酸が添加されているために、上部バッファ層形成用組成物の粘度が向上したために良好に塗布することができ、目標膜厚に近く、均一な膜質が得られたものと考えられる。このため、本発明に係るバッファ層形成用組成物を用いることにより生産性高く光電変換素子を製造することができる。また、表1の結果を参照すると、実施例1〜4により得られた光電変換素子は、高い変換効率を有することが判明した。これにより、本発明においては、高い変換効率を有する光電変換素子を提供することができることが分かる。
101 下部電極
102 下部バッファ層
103 活性層
104 上部バッファ層
105 上部電極
106 基材
107 光電変換素子
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池

Claims (7)

  1. 基材上に、一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層と、前記一対の電極の少なくとも一方の電極と前記活性層との間に配置されたバッファ層と、を有する光電変換素子であって、
    前記バッファ層が、導電性高分子化合物と、下記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有することを特徴とする光電変換素子。
    (前記式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
  2. 前記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記バッファ層中における前記導電性高分子化合物に対する前記式(1)で表わされる構造を有する化合物の割合が1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する太陽電池。
  5. 請求項4に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
  6. 導電性高分子化合物と、下記式(I)で表わされる構造を有する化合物と、を含有する組成物。
    (前記式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
  7. 基材上に、一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層と、前記一対の電極の少なくとも一方の電極と前記活性層との間に配置されたバッファ層と、を有する光電変換素子の製造方法であって、請求項6に記載の組成物を塗布することにより前記バッファ層を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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