JP6143151B2 - 光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールに関する。
ポリチオフェン等のp型高分子半導体化合物及びフラーレン等のn型半導体化合物が混合したバルクヘテロ型活性層を有する有機光電変換素子が従来から知られている。近年、p型高分子半導体化合物、n型半導体化合物及び添加剤を含有するインクを塗布することにより、バルクヘテロ型活性層を形成する方法が報告されている。
例えば特許文献1には、バルクヘテロ型活性層形成用インクに対して、2.5容積%の特定の二置換オクタンを添加剤として加えることにより、得られた光電変換素子の変換効率が向上したことが記載されている。
また特許文献2には、ジチエノシロール単位とイミドチオフェン単位とから構成されるコポリマーを含有する、バルクへテロ型活性層形成用インクに対して、芳香族複素環を有する化合物を1〜6重量%添加可能であることが記載されている。
さらに非特許文献1には、ジチエノシロール単位とイミドチオフェン単位とから構成されるコポリマーを含有する、バルクへテロ型活性層形成用インクに対して、ジヨードオクタン又はニトロベンゼンのような液体添加剤を用いたことが記載されている。
米国特許出願公開第2009/0108255号明細書 国際公開第2011/028827号
Solar Energy Materials & Solar Cells 2012,96,155−159.
有機光電変換素子は、熱により劣化する傾向がある。有機光電変換素子の実用化のために、熱にさらされた後であっても高い光電変換効率を示す有機光電変換素子を実現することが求められている。
本発明は、熱にさらされた後であっても高い光電変換効率を示す有機光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の化学構造を有する化合物を添加剤として活性層に含有させることにより、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1]少なくとも一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを有する光電変換素子であって、
前記活性層が、p型半導体化合物と、フラーレン化合物と、添加剤とを含有し、
前記添加剤は、下記式(I)又は(II)で表される化合物であることを特徴とする光電変換素子。
Figure 0006143151
(式(I)中、Rはハロゲン原子を表し、複数のRは同一でも互いに異なっていてもよく、mは5以上6以下の整数であり、ベンゼン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
Figure 0006143151
(式(II)中、Rはハロゲン原子、ルボニルオキシ基、ルコキシ基、アリールオキシ基、は芳香族基を表し、nは1以上8以下の整数であり、Rがハロゲン原子の場合はnは2以上8以下の整数であり、nが2以上の場合Rは同一でも互いに異なっていてもよく、ナフタレン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
[2]少なくとも一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを有する光電変換素子であって、
前記活性層が、p型半導体化合物と、フラーレン化合物と、添加剤とを含有し、
前記添加剤は、下記式(I)又は(II)で表される化合物であり、
下記式(I)又は(II)で表される化合物の融点は、1気圧において35℃以上であることを特徴とする光電変換素子。
Figure 0006143151
(式(I)中、Rはハロゲン原子を表し、複数のRは同一でも互いに異なっていてもよく、mは5以上6以下の整数であり、ベンゼン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
Figure 0006143151
(式(II)中、Rはハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボニルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又は芳香族基を表し、nは1以上8以下の整数であり、nが2以上の場合Rは同一でも互いに異なっていてもよく、ナフタレン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
[3]前記添加剤が、前記式(II)で表される化合物であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4]前記Rがハロゲン原子、カルボニルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることを特徴とする、[1]から[3]のいずれかに記載の光電変換素子。
[5]前記Rがカルボニルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又は芳香族炭化水素基であることを特徴とする、[1]から[3]のいずれかに記載の光電変換素子。
[6]前記p型半導体化合物及び前記フラーレン化合物の総重量に対して、前記添加剤の割合が1重量%以上30重量%以下であることを特徴とする、[1]から[5]のいずれかに記載の光電変換素子。
[7]前記p型半導体化合物が下記式(IIIA)で表される繰り返し単位及び下記式(IIIB)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることを特徴とする、[1]から[6]のいずれかに記載の光電変換素子。
Figure 0006143151
(式(IIIA)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
Figure 0006143151
(式(IIIB)中、Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
[8]前記p型半導体化合物が下記式(IV)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることを特徴とする、[1]から[7]のいずれかに記載の光電変換素子。
Figure 0006143151
(式(IV)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、R〜Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。)
[9][1]から[8]のいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする、太陽電池。
[10][9]に記載の太陽電池を備えることを特徴とする、太陽電池モジュール。
[11]光電変換素子のフラーレン化合物を含有する活性層用の添加剤であって、下記式(I)又は(II)で表されることを特徴とする添加剤。
Figure 0006143151
(式(I)中、Rはハロゲン原子を表し、複数のRは同一でも互いに異なっていてもよく、mは5以上6以下の整数であり、ベンゼン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
Figure 0006143151
(式(II)中、Rはハロゲン原子、ルボニルオキシ基、ルコキシ基、アリールオキシ基、は芳香族基を表し、nは1以上8以下の整数であり、Rがハロゲン原子の場合はnは2以上8以下の整数であり、nが2以上の場合Rは同一でも互いに異なっていてもよく、ナフタレン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
[12]光電変換素子の活性層形成用の組成物であって、[11]に記載の添加剤と、p型半導体化合物と、フラーレン化合物とを含有することを特徴とする、組成物。
本発明によれば、熱にさらされた後であっても高い光電変換効率を示す有機光電変換素子を提供することができる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
<1.光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、少なくとも一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを有する。活性層は、p型半導体化合物と、フラーレン化合物と、添加剤とを含有し、添加剤は、後述する式(I)又は(II)で表される化合物である。
Figure 0006143151
Figure 0006143151
本発明の一実施形態に係る光電変換素子107を図1に示す。図1は一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子を表すが、本発明に係る光電変換素子が図1の構成に限られるわけではない。
光電変換素子107は、一対の電極101,105と、電極間に配置された活性層103とを有する。具体的には光電変換素子107は、基材106と、カソード101と、バッファ層(電子取り出し層)102と、活性層103と、バッファ層(正孔取り出し層)104と、アノード105と、がこの順に配置された構造を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子は、電子取り出し層102を有さなくてもよいし、正孔取り出し層104を有さなくてもよいし、基材106を有さなくてもよい。また、活性層103よりも基材106に近い位置にアノード105及び正孔取り出し層104が形成され、活性層103よりも基材106から遠い位置にカソード101及び電子取り出し層102が形成されていてもよい。もっとも、アノード105等の劣化を抑える観点から、光電変換素子107は図1に示される順序の積層構造を有することが好ましい。
<1.1 活性層(103)>
活性層103は光電変換が行われる層を指し、p型半導体化合物と、フラーレン化合物と、後述する添加剤とを含有する。p型半導体化合物とはp型半導体材料として働く化合物のことを指す。光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収されて電気が発生し、発生した電気がカソード101及びアノード105から取り出される。
活性層103は、p型半導体化合物、フラーレン化合物及び添加剤が混合した層(i層)を有するバルクヘテロ接合型の活性層である。i層はp型半導体化合物とフラーレン化合物とが相分離した構造を有し、相界面でキャリア分離が起こり、生じたキャリア(正孔及び電子)が電極まで輸送される。活性層103には、p型半導体化合物とフラーレン化合物とが混合した層の他に、p型半導体化合物を含むp型半導体層と、n型半導体化合物を含むn型半導体層との少なくとも一方が積層されていてもよい。以下の説明においては、活性層103はi層のみを有するものとする。
活性層103中でのp型半導体化合物とフラーレン化合物との重量比(p型半導体化合物/フラーレン化合物)は、良好な相分離構造を得ることにより光電変換効率を向上させる観点から、0.15以上が好ましく、より好ましくは0.3以上であり、一方、4以下が好ましく、2以下がより好ましく、特に好ましくは0.8以下である。
活性層103の膜厚に制限はない。ただし、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは50nm以上、より好ましくは120nm以上である。一方、活性層103の膜厚は、500nm以下、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下である。活性層103の膜厚が500nm以下であることは、直列抵抗が低くなる点で好ましい。活性層103の膜厚が5nm以上であることは、より多くの光を吸収できる点で好ましい。
[1.1.1 添加剤]
活性層103中でフラーレン化合物が凝集すると、活性層103を構成するi層における、p型半導体化合物とフラーレン化合物との相分離が促進される。この場合、p型半導体化合物とフラーレン化合物との接触面積が小さくなり、電子移動効率及び/又は電荷分離効率が低下し、光電変換素子の性能劣化に繋がると考えられる。添加剤は、活性層103中におけるフラーレン化合物との分子間相互作用を介して、フラーレン化合物の凝集を抑制し、光電変換素子の性能劣化を抑制する。添加剤は特に、活性層103又は光電変換素子107が熱にさらされた際にフラーレン化合物が凝集することを防ぐことにより、光電変換素子107の耐熱性を向上させる。
また、添加剤のために、フラーレン化合物が凝集することを防ぎながら活性層103を加熱することが可能となるため、熱処理により活性層103における自己組織化を促進し、活性層103により長波長の光を吸収させることが可能となりうる。活性層103がより長波長の光を吸収することにより、より広い範囲に及ぶ波長の太陽光を効率良く電気に変換することができる。
添加剤としては、下記式(I)又は(II)で表される化合物が用いられる。
(式(I)で表される化合物)
Figure 0006143151
式(I)で表される化合物は、ベンゼン環にm個(mは4以上6以下の整数)の置換基R(ハロゲン原子)が結合した化合物である。式(I)で表される化合物は、4つ以上のハロゲン原子を有することによりロンドン分散力が高まるため、フラーレン化合物との十分な分子間相互作用が得られる点で好ましい。
式(I)において、mは4以上6以下の整数であり、mが4以上であることは、フラーレン化合物との相互作用が大きくなりうる点で好ましい。より好ましくはmは5以上である。
式(I)において、Rはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子として具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。式(I)で表される化合物のロンドン分散力が大きくなり、フラーレン化合物との相互作用が大きくなりうる点で、Rは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。また、式(I)で表される化合物の安定性が向上しうる点で、Rはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子であることも好ましい。これらの中でも、フラーレン化合物との相互作用と化合物の安定性とを両立できる点で、塩素原子又は臭素原子が特に好ましい。殊更に好ましくは臭素原子である。
また、式(I)で表される化合物が有する複数のRは、同一でも互いに異なっていてもよい。式(I)で表される化合物が容易に製造できるためコストに優れる点で、好ましくは同一である。また、式(I)で表される化合物の双極子モーメントが大きくなりすぎず、式(I)で表される化合物がフラーレン化合物と選択的に相互作用しやすい点でも、同一であることが好ましい。上述のようにRとしては臭素原子が好ましいことから、複数のRのうち4つ以上が臭素原子であることはより好ましい。また、ベンゼン環への複数のRの結合位置に特段の制限はないが、式(I)で表される化合物がフラーレン化合物と選択的に相互作用しやすい点で、化合物の双極子モーメントがより小さくなる位置にRが結合していることが好ましい。同一の置換基がベンゼン環に4つ結合する場合、Rの結合位置としては、1,2,3,4−位、1,2,3,5−位又は1,2,4,5−位が挙げられる。上述の理由により、この中でも1,2,3,5−位又は1,2,4,5−位が好ましく、特に好ましくは1,2,4,5−位である。
式(I)において、ベンゼン環はR以外の置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、特段の制限はないが、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボニルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又は芳香族基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、無置換のアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基若しくはジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基;又は、ジフェニルアミノ基若しくはジトリルアミノ基等のアリールアミノ基等が挙げられる。
アミド基としては、炭素数1以上16以下のものが好ましく、例えば、アセチルアミド基等が挙げられる。
カルボニルオキシ基としては、炭素数1以上16以下のものが好ましく、例えば、アセトキシ基等が挙げられる。
カルボニル基としては、炭素数1以上16以下のものが好ましく、例えば、ホルミル基;アセチル基等のアルキルカルボニル基;又は、フェニルカルボニル基等のアリールカルボニル基等が挙げられる。
オキシカルボニル基としては、炭素数2以上16のものが好ましく、例えば、メトキシカルボニル基若しくはエトキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基;又は、フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基等が挙げられる。
シリル基としては、例えば、無置換のシリル基;又は、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、若しくはトリフェニルシリル基などの、置換基としてアルキル基とアリール基との少なくとも一方を有するシリル基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1以上20以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基又はシクロヘキシル基等が挙げられる。フラーレン化合物との相互作用を阻害しにくい点で、炭素数1以上6以下のアルキル基がさらに好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
アルケニル基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、ビニル基、スチリル基、又はジフェニルビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、メチルエチニル基、フェニルエチニル基、又はトリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1以上20以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基、又はt−ブトキシ基などの、直鎖又は分岐のアルコキシ基が挙げられる。フラーレン化合物との相互作用を阻害しにくい点で、炭素数1以上6以下のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
アリールオキシ基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1以上20以下のものが好ましく、例えば、メチルチオ基又はエチルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数2以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニルチオ基等が挙げられる。
芳香族基としては、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、炭素数2以上9以下のものが好ましく、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、キノリル基又はイソキノリル基等が挙げられる。これらの中でも、キノリル基が好ましい。
ベンゼン環が有していてもよいR以外の置換基として好ましくは、カルボニルオキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、より好ましくは、カルボニルオキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基又は芳香族炭化水素である。これらの置換基は、式(I)で表される化合物の光吸収波長を長波長化させすぎない点で好ましい。またこれらの置換基は、式(I)で表される化合物のフラーレン化合物との分子間相互作用を強めることができる、又は阻害しにくい点で好ましい。
ベンゼン環が有するR以外の置換基は、さらなる置換基を有していてもよい。さらなる置換基としては、ベンゼン環が有していてもよいR以外の置換基として上述した置換基、又はハロゲン原子が挙げられる。さらなる置換基として好ましくは、ハロゲン原子、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基である。特に、ベンゼン環がR以外の置換基としてアルキル基又はアリールオキシ基を有する場合、このアルキル基又はアリールオキシ基がハロゲン原子を置換基として有することは、式(I)で表される化合物のフラーレン化合物との分子間相互作用を強めることができる点で好ましい。
ベンゼン環が有していてもよいR以外の置換基のさらなる好ましい例としては、1以上のハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素基が挙げられる。ハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素基は、ベンゼン環に直接結合していてもよいし、二価の置換基を介してベンゼン環に結合していてもよい。例えば式(I)で表される化合物は、4個又は5個の置換基Rを有するベンゼン環に対して、直接又は二価の置換基を介して、4個以上の置換基Rを有するベンゼン環が1つ又は2つ結合した化合物でありうる。二価の置換基としては、酸素原子、エチレン基等のアルキレン基、又はトリメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基等が挙げられる。
(式(II)で表される化合物)
Figure 0006143151
式(II)で表される化合物は、ナフタレン環にn個(nは1以上8以下の整数)の置換基Rが結合した化合物である。添加剤は、光電変換を妨害しないために、また添加剤そのものの光劣化を防ぐために、光電変換に利用される波長の光をできるだけ吸収しないことが好ましい。式(II)で表される化合物は、フラーレン化合物との間の分子間相互作用に加えて、π電子共役系が大きすぎず、可視光又はそれより長波長の光を吸収しにくい点で好ましい。
式(II)において、nは1以上8以下の整数である。nが1以上であることは、揮発性を小さくできる点で好ましい。また、nが6以下であることは、活性層中におけるp型半導体化合物あるいはn型半導体化合物を介したキャリア移動を妨げにくい点で好ましい。nは5以下であることがより好ましく、4以下がさらに好ましく、3以下が特に好ましい。nが2以上の場合、Rは同一でも互いに異なっていてもよい。式(II)で表される化合物がより容易に製造できるためにコストに優れる点、及び式(II)で表される分子内の双極子モーメントが小さくなり、フラーレン化合物と選択的に相互作用しやすくなる点で、好ましくは複数のRは1種類又は2種類の置換基から選択され、より好ましくは複数のRは同一である。
式(II)における、Rのナフタレン環に対する置換位置については、特段の制限はないが、以下の置換位置が好ましい。
nが1の場合には、Rによる立体障害が小さくなり、ナフタレン環上のπ電子とフラーレン環上とのπ電子との間の相互作用を妨げにくい点で、ナフタレン環のβ位(2−位、3−位、6−位又は7−位)にRが結合していることは好ましい。また、ナフタレン化合物の熱力学的安定性が高まることからも、β位に置換基を有することは好ましい。一方で、電子密度の高いα位(1−位、4−位、5−位又は8−位)に置換基を有することは、ナフタレン環上の電子密度を効果的に高め、電子受容性のフラーレン化合物との相互作用を強めうる点で好ましい。
nが2以上の場合には、ナフタレン環を構成する2つの六員環の両方にRが結合していることが、式(II)で表される分子内の双極子モーメントがより小さくなり、式(II)で表される化合物がフラーレン化合物と選択的に相互作用しやすくなる点で好ましい。具体的な例としては、複数のRのうち2つが1,5−位、1,6−位、2,6−位又は2,7−位に結合していることが好ましく、式(II)で表される化合物の熱力学的安定性が高まることから、2,6−位又は2,7−位に結合していることが特に好ましい。一方で、ナフタレン環を構成する2つの六員環の片方に複数のRが結合している場合については、同一の置換基である2つのRが1,4−位に結合していることは、分子内の双極子モーメントがより小さくなり、式(II)で表される化合物がフラーレン化合物と選択的に相互作用しやすくなる点で好ましい。異なる置換基である2つのRがナフタレン環を構成する2つの六員環の片方に結合している場合には、好ましい結合位置は1,4−位に限られず、他の結合位置も好ましい。
はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボニルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又は芳香族基を表す。
ハロゲン原子として具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。式(II)で表される化合物のロンドン分散力が大きくなり、フラーレン化合物との相互作用が大きくなりうる点で、Rは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。また、式(II)で表される化合物の安定性が向上しうる点で、Rはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子であることも好ましい。これらの中でも、フラーレン化合物との相互作用と化合物の安定性とを両立できる点で、塩素原子又は臭素原子が特に好ましい。式(II)で表される化合物の双極子モーメントが大きくなりすぎず、フラーレン化合物と選択的に相互作用しやすくなる点で、臭素原子が特に好ましい。
水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボニルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及び芳香族基の例としては、式(I)においてベンゼン環が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
として好ましくは、ハロゲン原子、カルボニルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、カルボニルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又は芳香族炭化水素基である。これらの置換基はさらなる置換基を有していてもよい。Rがこれらの置換基であることは、式(II)で表される化合物の吸収波長が長波長化しすぎない点で好ましい。また、Rがこれらの置換基であることは、式(II)で表される化合物とフラーレン化合物との分子間相互作用を強めることができる、又は阻害しにくい点で好ましい。具体的には、Rがハロゲン原子であることは、上述のようにフラーレン化合物との相互作用又は化合物の安定性の点で好ましい。また、Rがカルボニルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又は芳香族炭化水素基であることは、ナフタレン環上の電子密度を効果的に高め、また立体障害が比較的小さいために、式(II)で表される化合物と電子受容性のフラーレン化合物との相互作用を強めうる点で好ましい。また、Rが芳香族炭化水素基であることは、芳香族基のπ電子により、式(II)で表される化合物とフラーレン化合物との相互作用がさらに強まる傾向にある点で好ましい。
カルボニルオキシ基として好ましくは炭素数1以上16以下のものであり、さらに好ましくは炭素数2以上8以下のものであり、より好ましくは炭素数2以上8以下のアルキルカルボニルオキシ基である。芳香族炭化水素基として好ましくは炭素数6以上20以下のものであり、より好ましくは6以上12以下のものである。
式(II)において、ナフタレン環はR以外の置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
添加剤の具体例としては、限定するわけではないが、以下のものが挙げられる。
Figure 0006143151
Figure 0006143151
活性層103が含有する添加剤の量としては、特に限定は無いが、p型半導体化合物とフラーレン化合物の総重量に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、特に好ましくは3重量%以上である。一方、通常100重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。添加剤の量が0.1%重量%以上であることは、フラーレン化合物の凝集を抑制する効果が十分に生じうる点で好ましい。添加剤の量が100重量%以下であることは、活性層中でのキャリア移動を添加剤が阻害することが抑えられ、活性層として好適なp型半導体化合物とフラーレン化合物との相分離構造が得られうる点で好ましい。
添加剤は、可視光(380〜780nm)又はより長波長の光を吸収しにくいことが好ましい。具体的には、添加剤の吸収スペクトルにおける最大吸収波長は、好ましくは380nm以下であり、より好ましくは360nm以下、さらに好ましくは340nm以下、特に好ましくは320nm以下、殊更に好ましくは300nm以下である。添加剤が可視領域の光を吸収しにくいことは、光電変換効率の低下が抑えられうる点、及び添加剤の光による劣化を抑制しうる点で好ましい。ここで、最大吸収波長とは、350nm〜850nmの範囲において吸光度が最大となる波長のことを指す。
添加剤がフラーレン化合物の凝集を効果的に抑制するためには、活性層103から失われにくいことが好ましい。この理由から、添加剤は常温常圧(25℃、1気圧)の条件下において安定な固体であることが好ましい。また、活性層103の熱安定性を高める観点から、添加剤の融点はより高いことが好ましい。具体的には、添加剤の融点(1気圧)は通常35℃以上であり、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、殊更に好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上である。
また、添加剤から活性層103から失われにくい点で、添加剤は低揮発性又は不揮発性の化合物であることが好ましい。例えば、置換基を有するナフタレンはより昇華しにくいために添加剤として好ましい。より具体的には、常温(25℃)における蒸気圧が20Pa以下であることが好ましく、5Pa以下であることがさらに好ましく、1Pa以下であることがより好ましい。
添加剤は、活性層103中に均一に分散することが、フラーレン化合物の凝集を抑制するために好ましい。p型半導体化合物、フラーレン化合物及び添加剤を含む塗布液を塗布して活性層103を形成する場合、添加剤が均一に分散した活性層103を得るためには、添加剤が塗布液の溶媒に対して十分な溶解度を示すことが好ましい。例えば、添加剤のトルエンに対する溶解度は、好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、より好ましくは、1重量%以上である。一方、通常80重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
[1.1.2 p型半導体化合物]
活性層103が含有するp型半導体化合物としては、特段の制限はないが、高分子p型半導体化合物が挙げられる。なかでも、1.0eV以上1.8eV以下のエネルギーバンドギャップを有する高分子p型半導体化合物が好ましい。
具体的には、二種以上のモノマー単位を共重合させた半導体ポリマー、例えばNature Materials,2006,5,328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、国際公開第2008/000664号に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv.Mater.,2007,4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体、Nature Materials,2007,6,497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、国際公開第2011/028827号に記載のイミドチオフェンを含む共重合体、国際公開第2011/011545号に記載のチエノチオフェンとベンゾジチオフェンとの共重合体等が挙げられる。また、これらのポリマーの誘導体や、ここに挙げたモノマーの組み合わせで合成し得るポリマーも同様に用いることができる。これらポリマーやモノマーの置換基は、溶解性、結晶性、成膜性、HOMOエネルギー準位、LUMOエネルギー準位等を制御するために適宜選択しうる。
p型半導体化合物としてより好ましくは、下記式(IIIA)で表される繰り返し単位と式(IIIB)で表される繰り返し単位とを含むコポリマーAである。このコポリマーAは、溶解性と結晶性とをバランスよく有する点で好ましい。また、より長波長の光を吸収し、かつ光吸収性が高い点で好ましい。
また、添加剤を含む活性層103の材料としてコポリマーAを用いることは、以下の理由のためにも好ましい。すなわち、式(IIIB)で表される繰り返し単位は2つの置換基(R及びR)を有する。この2つの置換基による立体障害のために、添加剤とコポリマーAとの相互作用が適度に弱められる。さらに、式(IIIA)で表される繰り返し単位に含まれるイミド基に由来する極性のために、添加剤とコポリマーAとの相互作用が適度に弱められる。このため、添加剤とフラーレン化合物との間で分子間相互作用がより選択的に働き、添加剤がフラーレン化合物の凝集を抑制する効果が強まるものと考えられる。
Figure 0006143151
(式(IIIA)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
Figure 0006143151
(式(IIIB)中、Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
まず、式(IIIA)で表される繰り返し単位について説明する。Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。Rの具体的な例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基又は置換基を有していてもよい芳香族基が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、特に好ましくは6以上であり、一方、通常30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ラウリル基、シクロラウリル基又は1−(2−エチル)ヘキシル−3−エチルへプチル基等が挙げられる。なかでも、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ラウリル基、シクロラウリル基、又は1−(2−エチル)ヘキシル−3−エチルへプチル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、又は1−(2−エチル)ヘキシル−3−エチルへプチル基がより好ましい。
アルケニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、一方、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。このようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基又はゲラニル基等である。好ましくは、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基又はドデセニル基であり、より好ましくは、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、又はデセニル基である。
芳香族基の炭素数は、通常2以上であり、一方、通常60以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下である。このような芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、又はアズレニル基等の芳香族炭化水素基;チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、又はベンゾトリアゾリル基等の芳香族複素環基;等が挙げられる。なかでも、フェニル基、ナフチル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、又はオキサゾリル基が好ましい。
をこれらの基とすることは、コポリマーAの有機溶媒への溶解性が向上し、塗布成膜プロセスにおいて有利となりうるために好ましい。さらに好ましくは、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。直鎖状のアルキル基はコポリマーAの結晶性が向上しうるために移動度が大きくなりうる点で好ましく、特に炭素数4以上12以下の直鎖アルキル基が好ましい。分岐状のアルキル基はコポリマーAの溶解性が向上しうる点で好ましい。また、Rが置換基を有していてもよい芳香族基であることは、コポリマーAがより長波長の光を吸収しうる点、及び、コポリマーAの結晶性が向上しうるために移動度が大きくなりうる点で好ましい。
アルキル基、アルケニル基、又は芳香族基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、好ましくはハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シリル基、ボリル基、シアノ基、ニトロ基、ニトリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又は芳香族基等が挙げられる。これらの置換基は、隣接する置換基同士で連結して環を形成していてもよい。
式(IIIA)において、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表す。本明細書において周期表とは、IUPAC2005年推奨版をいう。Aとして具体的には、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は硫黄原子が好ましい。酸素原子は、光電変換素子の開放電圧(Voc)が向上しうる点で好ましく、硫黄原子は、コポリマーA同士の分子間相互作用が向上しうる点で好ましい。
次に、式(IIIB)で表される繰り返し単位について説明する。Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。Qとして具体的には、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子又はスズ原子が挙げられる。なかでも、炭素原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子が好ましい。より好ましくは炭素原子又はケイ素原子である。炭素原子は、コポリマーAの結晶性が向上しうる点で好ましく、ケイ素原子は、コポリマーAの溶解性が向上しうる点で好ましい。
式(IIIB)中、R及びRは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の例としては、Rについて挙げたものと同様のものが挙げられる。また、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。
なかでも、R及びRの少なくともひとつが置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましく、RとRとの双方が置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基であることがさらに好ましい。直鎖状のアルキル基は、コポリマーAの結晶性が向上することにより移動度が大きくなりうる点で好ましく、分岐状のアルキル基は、コポリマーAの溶解性が向上することにより塗布プロセスによる成膜が容易となりうる点で好ましい。芳香族基は、π電子間の相互作用により分子間の相互作用が向上するためにコポリマーAの移動度が大きくなる傾向がある点で好ましく、また式(IIIB)で表される骨格の安定性が向上する傾向がある点で好ましい。
また、R及びRの少なくともひとつが置換基を有していてもよいアルキル基であることは、コポリマーAがより長波長の光を吸収しうるという観点からも好ましい。これらの観点からは、R及びRの少なくともひとつが炭素数1以上20以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数6以上20以下のアルキル基であることが特に好ましい。
周期表第14族元素から選ばれる原子であるQ周辺の立体障害を大きくすることによりコポリマーAの耐久性を向上させるという観点からは、R及びRが、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
コポリマーAを構成する繰り返し単位に占める、式(IIIA)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。
コポリマーAを構成する繰り返し単位に占める、式(IIIB)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。
コポリマーA中の式(IIIA)で表される繰り返し単位に対する式(IIIB)で表される繰り返し単位の比は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは2以下である。
式(IIIA)及び(IIIB)で表される繰り返し単位はそれぞれ複数存在するが、コポリマーAは、式(IIIA)及び(IIIB)で表される繰り返し単位のうちそれぞれ1種のみを含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。その場合、コポリマーAが含む繰り返し単位の種類に制限はないが、通常8以下、好ましくは5以下である。
本発明の繰り返し単位(IIIA)及び(IIIB)の配列状態は、交互、ブロック及びランダムのいずれでもよい。すなわち、コポリマーAは、交互コポリマー、ブロックコポリマー、及びランダムコポリマーのいずれでもよい。好ましくは交互に配列しているものである。
とりわけ、コポリマーAは、下記式(IV)で表される繰り返し単位を含むコポリマーであることが好ましい。下記式(IV)で表される繰り返し単位を含むことにより、電荷分離状態の維持がより容易となりうる。
Figure 0006143151
(式(IV)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、R〜Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。)
式(IV)中、A、Q、R〜Rの具体例としては、式(IIIA)及び(IIIB)について説明したものと同様のものが挙げられる。溶解性及び光吸収性の観点から、Qがケイ素原子であり、Aが硫黄原子であることはより好ましい。
コポリマーAは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の繰り返し単位を含有していてもよい。他の繰り返し単位としては、例えばチオフェンジイル基やチアゾールジイル基等の芳香族複素環等が挙げられる。
コポリマーAが式(IV)で表される繰り返し単位を含むこの好ましい例において、コポリマーAを構成する繰り返し単位に占める、式(IV)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常10モル%以上、好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。上限は特になく、100モル%以下である。
式(IV)で表される繰り返し単位はそれぞれ複数存在するが、コポリマーAは、式(IV)で表される繰り返し単位のうち1種のみを含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。その場合、コポリマーAが含む繰り返し単位の種類に制限はないが、通常8以下、好ましくは5以下である。
コポリマーAの好ましい具体例を示すが、以下の例示に限られるものではない。C、C17、及びC1225は、所定の炭素数をもつ直鎖のアルキル基を表す。又、Bu、Hex及びOctはそれぞれn−ブチル基、n−ヘキシル基及びn−オクチル基を表す。コポリマーAが複数の繰り返し単位を含む場合は、含まれる複数の繰り返し単位間の比率は任意である。
Figure 0006143151
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以上説明したコポリマーAは、長波長領域(600nm以上)の光を吸収し、かつ高い開放電圧(Voc)を示すため、高い光電変換特性を示す利点があり、特にフラーレン化合物と組み合わせて太陽電池に適用すると高い太陽電池特性を示す。また、HOMOエネルギー準位が低く酸化されにくい利点もある。
また、コポリマーAは高溶解性を示す利点を持つ。塗布成膜を行う際に、コポリマーAは溶媒への溶解性が高く、さらに溶媒の選択の幅が広がるため条件に最適な溶媒を用いやすいため、形成された活性層の膜質を向上させることができる。このことも、本コポリマーを用いた太陽電池が高い太陽電池特性を示す一因であると考えられる。
コポリマーAのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常2.0×10以上、好ましくは5.0×10以上、より好ましくは1.0×10以上、さらに好ましくは3.0×10以上、よりさらに好ましくは5.0×10以上、特に好ましくは1.0×10以上である。一方、好ましくは1.0×10以下、より好ましくは5.0×10以下、さらにより好ましくは3.0×10以下、さらに好ましくは2.0×10以下、よりさらに好ましくは1.0×10以下、殊更に好ましくは5.0×10以下、特に好ましくは3.0×10以下である。光吸収波長を長波長化する観点、高い吸光度を実現する観点、及び相分離構造が最適化されうるという観点から、重量平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。
コポリマーAのポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。具体的には、カラムとして、PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm,内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に接続して使用し、ポンプとしてLC−10AT(島津製作所社製)、オーブンとしてCTO−10A(島津製作所社製)、検出器として示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)、及びUV−vis検出器(島津製作所製:SPD−10A)を用いることにより測定できる。測定対象のコポリマー(1mg)をクロロホルム(200mg)に溶解させ、得られた溶液1μLをカラムに注入する。移動相としてクロロホルムを用い、1.0mL/minの流速で測定を行う。解析にはLC−Solution(島津製作所)を用いる。
コポリマーAの数平均分子量(Mn)は、通常1.0×10以上、好ましくは3.0×10上、より好ましくは5.0×10以上、さらに好ましくは1.0×10以上、よりさらに好ましくは1.5×10以上、殊更に好ましくは2.0×10以上、特に好ましくは2.5×10以上である。一方、好ましくは1.0×10以下、より好ましくは5.0×10以下、さらにより好ましくは2.0×10以下、特に好ましくは1.0×10以下である。光吸収波長を長波長化するという観点、及び高い吸光度を実現するという観点から、数平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。コポリマーAの数平均分子量は、上記重量平均分子量と同様の方法で測定することができる。
コポリマーAの分子量分布(PDI、(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)))は、通常1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上である。一方、好ましくは20.0以下、より好ましくは15.0以下、さらに好ましくは10.0以下である。コポリマーの溶解度が塗布に適した範囲になりうるという点で、分子量分布がこの範囲にあることが好ましい。コポリマーAの分子量分布は、上記重量平均分子量と同様の方法で測定することができる。
コポリマーAは、好ましくは光吸収極大波長(λmax)が通常470nm以上、好ましくは480nm以上にあり、一方、通常1200nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは900nm以下にある。また、半値幅は通常10nm以上、好ましくは20nm以上であり、一方、通常300nm以下である。コポリマーAの吸収波長領域は、太陽光の吸収波長領域に近いほど望ましい。
コポリマーAの溶解度は、特に限定は無いが、好ましくは25℃におけるクロロベンゼンに対する溶解度が通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、一方、通常30重量%以下、好ましくは20重量%である。溶解性が高いことは、十分な厚さの活性層を製膜することができる点で好ましい。
コポリマーAは分子間で相互作用するものであることが好ましい。本明細書において、分子間で相互作用するということは、分子間でのπ−πスタッキングの相互作用等によってポリマー鎖間の距離が短くなることを意味する。相互作用が強いほど、高い移動度及び/又は結晶性を示す傾向がある。すなわち、分子間で相互作用するコポリマーにおいては分子間での電子移動が起こりやすいため、活性層103内のコポリマーAとフラーレン化合物との界面で生成した正孔(ホール)を効率よくアノード105へ輸送できると考えられる。
結晶性の測定方法としてはX線回折法(XRD)が挙げられる。本明細書において結晶性を有するとは、コポリマーの回折ピークがX線回折スペクトルに示されることを意味し、特に2θ=4.8°近傍に回折ピークを示すことが好ましい。結晶性を有することは、分子同士が配列した積層構造を有することを意味すると考えられ、十分な厚さの活性層を得ることが容易となる傾向がある点で好ましい。X線回折法(XRD)は公知文献(X線結晶解析の手引き(応用物理学選書4))に記載の方法に基づいて行うことができる。
コポリマーAの正孔移動度は、通常1.0×10−7cm/Vs以上、好ましくは1.0×10−6cm/Vs以上、より好ましくは1.0×10−5cm/Vs以上、特に好ましくは1.0×10−4cm/Vs以上である。一方、コポリマーAの正孔移動度は通常1.0×10cm/Vs以下であり、好ましくは1.0×10cm/Vs以下であり、より好ましくは1.0×10cm/Vs以下である。高い変換効率を得るためには、n型半導体化合物の移動度と、コポリマーAの移動度とのバランスが重要である。p型半導体化合物として用いられるコポリマーAの移動度と、n型半導体化合物として用いられるフラーレン化合物の移動度とを近づける観点から、コポリマーAの正孔移動度がこの範囲にあることが好ましい。正孔移動度の測定方法としてはFET法が挙げられる。FET法は公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により行うことができる。
コポリマーA中の不純物は極力少ないほうが好ましい。特に、パラジウム、銅等の遷移金属触媒が残っていると、遷移金属の重原子効果による励起子トラップが生じるために電荷移動を阻害され、結果として光電変換素子の光電変換効率を低下させるおそれがある。遷移金属触媒の濃度は、コポリマーAに対して、通常1000ppm以下、好ましくは500pm以下、より好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、1ppm以上であってもよく、3ppm以上であってもよい。
コポリマーAにおける末端残基(後述の式(VA)及び式(VB)でのX及びX)の残存量は、特段の制限は無いが、通常6000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、さらに好ましくは2000ppm以下、よりさらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは200ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、1ppm以上であってもよく、3ppm以上であってもよい。
特に、コポリマーA中のスズ原子の残存量は、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、1ppm以上であってもよく、3ppm以上であってもよい。スズ原子の残存量を5000ppm以下にすることは、熱分解しやすいアルキルスタニル基中のスズ原子の残存量が少なくなり、より高い安定性を得ることができるために、好ましい。
また、コポリマーA中のハロゲン原子の残存量は、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、1ppm以上であってもよく、3ppm以上でであってもよい。ハロゲン原子の残存量を5000ppm以下にすることは、光電変換素子の光電変換特性及び耐久性等が向上する傾向にあることから好ましい。
コポリマーの末端残基(後述のX及びX)の残存量は、炭素、水素及び窒素以外の元素量により測定することができる。測定手法として、得られたコポリマーの元素分析は、臭素イオン(Br)及びヨウ素イオン(I)についてはイオンクロマトグラフィー法又はICP質量分析法で実施することができ、パラジウム及びスズについてはICP質量分析法で実施することができる。
イオンクロマトグラフィー法は、公知文献(「イオンクロマトグラフィー」:共立出版株式会社)に記載されている方法により実施できる。例えば、イオンクロマトグラフ分析装置(Dionex社製 イオンクロマト分析装置 DX120型又はDX500型)により実施することができる。
ICP質量分析法は、公知文献(「プラズマイオン源質量分析」(学会出版センター))に記載されている方法により実施できる。具体的には、Pd及びSnについて、試料を湿式分解後、分解液中のPd,SnをICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により定量することができる。又、Br及びIについて、試料を試料燃焼装置(三菱化学アナリテック社製 試料燃焼装置 QF−02型)にて燃焼し、燃焼ガスを還元剤入りのアルカリ吸収液に吸収し、吸収液中のBr及びIをICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により定量することができる。
(コポリマーAの製造方法)
コポリマーAの製造方法には特に限定はない。例えば、下記一般式(VA)で表される化合物と、下記一般式(VB)で表される化合物とを用いて公知の方法で製造することができる。好ましい方法としては、下記一般式(VA)で表される化合物と、下記一般式(VB)で表される化合物とを、必要であれば適当な触媒の存在下で、重合する方法が挙げられる。
Figure 0006143151
式(VA)中、R及びAは前記と同義である。式(VB)中、R、R及びQは前記と同義である。
及びXは各々独立して、ハロゲン原子、アルキルスタニル基、アルキルスルホ基、アリールスルホ基、アリールアルキルスルホ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(−B(OH))、ホルミル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式(VA)又は(VB)で表される化合物の合成上の観点及び反応のし易さの観点から、X及びXは各々独立に、ハロゲン原子、アルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、又はホウ酸残基(−B(OH))であることが好ましい。X及びXにおいて、ハロゲン原子としては、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。
ホウ酸エステル残基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
Figure 0006143151
(式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を表す。)
アルキルスタニル基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
Figure 0006143151
アルケニル基としては、例えば炭素数2〜12のアルケニル基が挙げられる。
コポリマーAの重合に用いる反応方法としては、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法、ヘック反応方法、薗頭反応方法、FeCl等の酸化剤を用いる反応方法、電気化学的な酸化反応を用いる方法、適当な脱離基を有する中間体化合物の分解による反応方法等が挙げられる。これらの中でも、Suzuki−Miyauraカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、又はGrignard反応方法が、構造制御がしやすい点で好ましい。特に、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、又はGrignard反応方法が、材料の入手しやすさ、反応操作の簡便さの点からも好ましい。これらの反応は、「クロスカップリング−基礎と産業応用−(CMC出版)」、「有機合成のための遷移金属触媒反応(辻二郎著:有機合成化学協会編)」、「有機合成のための触媒反応103(檜山為次郎著:東京化学同人)」等の公知文献の記載の方法に従って行うことができる。以下はStilleカップリング反応方法について述べる。
Stilleカップリング反応方法を用いる場合、上記一般式(VA)、一般式(VB)において例えば、Xがハロゲン原子でありかつXがアルキルスタニル基であるか、又はXはアルキルスタニル基でありかつXがハロゲン原子であることが好ましい。
式(VA)で表される化合物に対する、式(VB)で表される化合物のモル比(VB/VA)は、通常0.90以上、好ましくは0.95以上であり、一方、通常1.3以下、好ましくは1.2以下である。モル比が上記の範囲内にあることは、より高い収率でより高い分子量を有するコポリマーが得られうる点で好ましい。
コポリマーAの純度を高めることにより、光電変換素子の変換特性が向上しうるため、重合前のモノマー(一般式(VA)又は(VB)で表される化合物)を蒸留、昇華精製、カラムクロマトグラフィー又は再結晶等の方法で精製した後に、重合反応を行うことが好ましい。重合前のモノマーの純度は、通常90%以上、好ましくは95%以上である。
重合反応においては、反応促進のために、アルカリ、触媒、補触媒、有機配位子又は相間移動触媒等を添加することができる。これらのアルカリ又は触媒等は、重合反応の種類に応じて選択すればよいが、重合反応に用いる溶媒に十分に溶解することが好ましい。アルカリとしては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは炭酸セシウム等の無機塩基、又はトリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)等のホスフィン化合物を配位子として含むパラジウム錯体又は酢酸パラジウム等のパラジウム(Pd)触媒;Ni(dppp)Cl又はNi(dppe)Cl等のニッケル触媒;塩化鉄等の鉄触媒;又はヨウ化銅等の銅触媒等が挙げられる。
ホスフィン化合物を配位子として含むパラジウム錯体としては、具体的には、Pd(PPh、Pd(P(o−tolyl)、Pd(PCy、Pd(dba)3、PdCl(PPh等が挙げられる(式中、Phはフェニル基を表し、Cyはシクロヘキシル基を表し、o−tolylは2−トリル基を表し、dbaはジベンジリデンアセトンを表す)。Pd(dba)3、PdCl(PPh等の2価のPd錯体を用いる場合には、PPhやP(o−tolyl)等の有機配位子と併せて使用することが望ましい。
触媒の使用量は、式(VA)で表される化合物と式(VB)で表される化合物との合計に対するパラジウム錯体の使用量として、通常1.0×10−4mol%以上、好ましくは1.0×10−3mol%以上、より好ましくは1.0×10−2mol%以上であり、一方、通常1.0×10mol%以下、より好ましくは5mol%以下である。触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率で、より高分子量のコポリマーAが得られる傾向にある点で好ましい。
補触媒としてはフッ化セシウム、酸化銅又はハロゲン化銅等の無機塩が挙げられる。補触媒の使用量は、式(VA)で表される化合物に対して、通常1.0×10−4mol%以上、好ましくは1.0×10−3mol%以上、より好ましくは1.0×10−2mol%以上であり、一方、通常1.0×10mol%以下、好ましくは1.0×10mol%以下、より好ましくは1.5×10mol%以下である。補触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
相間移動触媒としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドやAliquat336(アルドリッチ社製)等が挙げられる。相間移動触媒の使用量は、式(VA)で表される化合物に対して、通常1.0×10−4mol%以上、好ましくは1.0×10−3mol%以上、より好ましくは1.0×10−2mol%以上であり、一方、通常5mol%以下、より好ましくは3mol%以下である。相間移動触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーAが得られる傾向にある点で好ましい。
重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はシクロヘキサン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はトリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はt−ブチルアルコール等のアルコール類;水;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン又はジオキサン等のエーテル類;DMF等の非プロトン性有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、式(VA)で表される化合物と式(VB)で表される化合物との合計1gに対して、通常、1.0×10−2mL以上、好ましくは1.0×10−1mL以上、より好ましくは1mL以上であり、一方、通常1.0×10mL以下、好ましくは1.0×10mL以下、より好ましくは2.0×10mL以下である。
Stilleカップリング反応の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。
加熱方法としては、特段の制限は無いが、オイルバス加熱、熱電対加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱の他、IHヒーターを用いた接触による加熱等が挙げられる。
反応時間は、通常1分間以上、好ましくは10分間以上、一方、通常160時間以下、好ましくは120時間以下、より好ましくは100時間以下である。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い収率でコポリマーが得られうる。
重合反応後は、例えば、水でクエンチした後に有機溶媒で抽出し、有機溶媒を留去する等の通常の後処理により、粗製のコポリマーAを得ることができる。コポリマーの合成後、再沈精製、ソックスレーを用いた精製、ゲル浸透クロマトグラフィー、又はスキャベンジャーによる金属除去等の、純化処理をすることが好ましい。
また、Stilleカップリング反応は窒素(N)又はアルゴン(Ar)雰囲気下で行うことが好ましい。
重合反応後のコポリマーに対しては、末端処理を行うことが好ましい。コポリマーの末端処理を行うことにより、コポリマーの臭素(Br)若しくはヨウ素(I)等のハロゲン原子又はアルキルスタニル基等の末端残基(上述のX及びX)のコポリマー中の残存量を減らすことが可能である。この末端処理を行うことは、効率及び耐久性の点でよりよい性能のポリマーを得ることができるために、好ましい。
コポリマーの末端処理方法としては、特段の制限は無いが、以下の方法が挙げられる。Stilleカップリング反応によってコポリマーを重合した場合には、コポリマーの末端に存在する臭素(Br)やヨウ素(I)等のハロゲン原子及びアルキルスタニル基に対する末端処理を行うことができる。
ハロゲン原子の末端処理方法としては、反応系中に末端処理剤としてアリールトリアルキルスズを加えた後、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールトリアルキルスズとしてはフェニルトリメチルスズ又はチエニルトリメチルスズ等が挙げられる。末端処理剤の添加量に特段の制限は無いが、ハロゲン原子が末端に付加したモノマーに対して、通常1.0×10−2当量以上、好ましくは0.1当量以上、より好ましくは1当量以上であり、一方、通常50当量以下、好ましくは20当量以下、より好ましくは10当量以上である。加熱時間にも特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常50時間以下、好ましくは20時間以下である。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。末端処理によりコポリマー末端のハロゲン原子をアリール基に置換することは、共役安定効果によりコポリマーがより安定になりうるために、好ましい。
アルキルスタニル基の末端処理方法としては、反応系中に末端処理剤としてアリールハライドを加えたのち、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールハライドとしてはヨードチオフェン、ヨードベンゼン、ブロモチオフェン又はブロモベンゼン等が挙げられる。末端処理剤の添加量に特段の制限は無いが、アルキルスタニル基が末端に付加したモノマーに対して、通常1.0×10−2当量以上、好ましくは0.1当量以上、より好ましくは1当量以上であり、一方、通常50当量以下、好ましくは20当量以下、より好ましくは10当量以上である。加熱時間にも特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常50時間以下、好ましくは10時間以下である。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。末端処理によりコポリマー末端のアルキルスタニル基をアリール基に置換することによって、熱分解しやすいアルキルスタニル基中のSn原子がコポリマー中に存在しなくなることから、コポリマーの経時劣化が抑えられることが期待される。また、コポリマー末端のアルキルスタニル基をアリール基に置換することは、共役安定効果によりコポリマーがより安定になりうる点においても好ましい。
末端処理の反応操作については、特段の制限は無いが、各々独立に行うことが好ましい。例えば、Stilleカップリング反応を用いた場合、ハロゲン原子の末端処理と、アルキルスタニル基の末端処理とを、独立に行うことが好ましい。各々の末端処理の操作順序に特段の制限は無く、順序は適宜選択できる。
また、末端処理は、コポリマーの精製前に行っても、コポリマーの精製後に行ってもよい。末端処理をコポリマー精製後に行う場合には、コポリマーと片方の末端処理剤(アリールハライド又はアリールトリメチルスズ)を有機溶剤に溶解した後、パラジウム触媒等の遷移金属触媒を加え、窒素条件下加熱攪拌を行う。その後、さらにもう片方の末端処理剤(アリールトリメチルスズ又はアリールハライド)を加え、加熱攪拌を行うことにより、末端処理を行うことができる。上記の処理は、末端残基を短時間に効率よく除去できるために好ましい。
パラジウム触媒等の遷移金属触媒の添加量としては、特段の制限は無いが、コポリマーに対して、通常5.0×10−3当量以上、好ましくは1.0×10−2当量以上であり、一方、通常1.0×10−1当量以下、好ましくは5.0×10−2当量以下である。触媒の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
アルキルスタニル基の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、アルキルスタニル基が末端に付加したモノマーに対して、通常1.0×10−2当量以上、好ましくは1.0×10−1当量以上、より好ましくは1当量以上であり、一方、通常50当量以下、好ましくは20当量以下、より好ましくは10当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
ハロゲン基の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、ハロゲン基が末端に付加したモノマーに対して、通常1.0×10−2当量以上、好ましくは1.0×10−1当量以上、より好ましくは1当量以上であり、一方、通常50当量以下、好ましくは20当量以下、より好ましくは10当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
加熱時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常25時間以下、好ましくは10時間以下である。
なお、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法によりコポリマーを重合した場合には、ハロゲン基の末端処理剤としてアリールボロン酸を用い、アリールボロン酸を加えた後加熱攪拌を行うことにより、末端処理を行うことができる。
末端処理後のコポリマーの精製は、上記の通り、ソックスレーによる精製、ゲル浸透クロマトグラフィー、又はスキャベンジャーによる金属除去等の方法により行うことができる。
なお、重合反応の原料として用いられる式(VA)に示される化合物は、J.Am.Chem.Soc.,2010,132(22),7595−7597に記載の方法に準じて製造することができる。また、式(VB)に示される化合物はJ.Mater.Chem.,2011,21,3895、及びJ.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に記載の方法に準じて製造することができる。
(その他のp型半導体化合物)
活性層103は、p型半導体化合物として、低分子有機半導体化合物を含有していてもよい。また活性層103は、p型半導体化合物として、高分子有機半導体化合物と低分子有機半導体化合物との双方を含有していてもよい。低分子有機半導体化合物については周知のものを用いることができ、具体的には国際公開第2011/016430号等の公知文献に記載のものを採用することができる。
p型半導体化合物は、成膜された状態において、何らかの自己組織化した構造を有していても、アモルファス状態であってもよい。
p型半導体化合物のHOMO(最高被占分子軌道)エネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−5.7eV以上、より好ましくは−5.5eV以上、一方、通常−4.6eV以下、より好ましくは−4.8eV以下である。p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.7eV以上であることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−4.6eV以下であることにより化合物の安定性が向上し、開放電圧(Voc)も向上する。
p型半導体化合物のLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−3.7eV以上、好ましくは−3.6eV以上である。一方、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体のLUMOエネルギー準位が−2.5eV以下であることにより、バンドギャップが調整され長波長の光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度が向上する。p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が−3.7eV以上であることにより、フラーレン化合物への電子移動が起こりやすくなり短絡電流密度が向上する。
LUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法は、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法が挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法が挙げられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法又はサイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。その中でも好ましくはサイクリックボルタモグラム測定法であり、本明細書においてサイクリックボルタモグラム測定法を用いるものとする。具体的には、例えば公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法で測定することができる。
[1.1.3 フラーレン化合物]
フラーレン化合物としては、一般式(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造を有するものが好ましい例として挙げられる。
Figure 0006143151
上式中、FLNは、閉殻構造を有する炭素クラスターであるフラーレンを表す。フラーレンの炭素数は、通常60以上130以下の偶数であれば何でもよい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等が挙げられる。その中でも、C60又はC70が好ましい。フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素−炭素結合が切れていてもよい。また、フラーレンを構成する炭素原子の一部が、他の原子に置き換えられていてもよい。さらにフラーレンは、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団をフラーレンケージ内に内包していてもよい。
a、b、c及びdは整数であり、a、b、c及びdの合計は通常1以上であり、一方、通常5以下であり、好ましくは3以下である。(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)中の部分構造は、フラーレン骨格中の同一の五員環又は六員環に結合している。一般式(n1)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−R21と、−(CHとがそれぞれ結合している。一般式(n2)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R25)(R26)−N(R27)−C(R28)(R29)−が付加して5員環を形成している。一般式(n3)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R30)(R31)−C−C−C(R32)(R33)−が付加して6員環を形成している。一般式(n4)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して−C(R34)(R35)−が付加して3員環を形成している。Lは1以上8以下の整数である。Lとして好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
一般式(n1)中のR21は、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1以上10以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上6以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。
上記のアルキル基、アルコキシ基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては特に限定されないが、ハロゲン原子又はシリル基が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。シリル基としては、ジアリールアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、トリアリールシリル基又はトリアルキルシリル基が好ましく、ジアルキルアリールシリル基がより好ましく、ジメチルアリールシリル基がさらに好ましい。
一般式(n1)中のR22〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はn−ヘキシル基が好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基は特に限定されないが、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は炭素数2以上10以下の芳香族基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、n−ブトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基がさらに好ましい。芳香族基が置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上3以下が好ましく、1がより好ましい。芳香族基が置換基を複数有する場合、その置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n2)中のR25〜R29は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基又はオクチル基であり、より好ましくはメチル基である。アルキル基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、ハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、好ましくはフッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基である。アルキル基にはフッ素原子が置換されていてもよい。さらに好ましくは炭素数1以上14以下のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のArは、置換基を有していてもよい炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基又はキノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基又はフリル基である。
有していてもよい置換基として限定は無いが、フッ素原子、塩素原子、水酸基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換していてもよいアミノ基、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基、炭素数1以上14以下のアルキルチオ基、炭素数2以上14以下のアルケニル基、炭素数2以上14以下のアルキニル基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基、炭素数2以上20以下のアリールチオ基、炭素数2以上20以下のアリールオキシ基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の複素環基が好ましく、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以下14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基又は炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基がより好ましい。炭素数1以上14以下のアルキル基は1又は2以上のフッ素原子で置換されていてもよい。
炭素数1以上14以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基としては、アセチル基が好ましい。炭素数2以上14以下のエステル基としては、メチルエステル基又はn−ブチルエステル基が好ましい。炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基が好ましい。
置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。置換基が複数の場合、その種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のR30〜R33は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基である。R30又はR31は、R32とR33とのいずれか一方と結合して環を形成していてもよい。環を形成する場合における構造としては、例えば、芳香族基が縮合したビシクロ構造である一般式(n5)に表す構造が挙げられる。
Figure 0006143151
一般式(n5)においてfはcと同義であり、Zは、2つの水素原子、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、アルキレン基又はアリーレン基である。アルキレン基としては炭素数1以上2以下が好ましい。アリーレン基としては炭素数5以上12以下が好ましく、例えばフェニレン基が挙げられる。アミノ基は、メチル基やエチル基等の炭素数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。アルキレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。アリーレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。
式(n5)に表す構造として特に好ましくは、下記式(n6)又は式(n7)で表される構造である。
Figure 0006143151
一般式(n4)中のR34〜R35は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上12以下のアルコキシ基又は炭素数1以上12以下のフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上12以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はn−ヘキソキシ基が特に好ましい。
アルキル基としては、炭素数1以上8以下の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基がより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基には特に限定は無いが、好ましくはアルコキシカルボニル基である。アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又はフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又はn−ブトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基が好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が特に好ましい。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても同一でもよく、好ましくは同一である。
一般式(n4)の構造として好ましくは、R34、R35が共にアルコキシカルボニル基であるか、R34、R35が共に芳香族基であるか、又はR34が芳香族基でありかつR35が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基であるものが挙げられる。
フラーレン化合物としては、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
塗布法によりフラーレン化合物を成膜するためには、フラーレン化合物自体が液状で塗布可能であるか、又はフラーレン化合物が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、25℃でのトルエンに対する溶解度が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上である。フラーレン化合物の溶解度が0.1重量%以上であることは、フラーレン化合物の溶液中での分散安定性が増加し、凝集、沈降、分離等が起こりにくくなるために好ましい。
フラーレン化合物を溶解させる溶媒としては、非極性有機溶媒であれば特段に制限はないが、非ハロゲン系溶媒が好ましい。ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒を用いることも可能であるが、環境負荷の面等から代替が求められている。非ハロゲン系溶媒としては、例えば、非ハロゲン系芳香族炭化水素類が挙げられる。その中でも好ましくはトルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等である。
(フラーレン化合物の製造方法)
フラーレン化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、部分構造(n1)を有するフラーレン化合物の合成は、国際公開第2008/059771号やJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(46),15429−15436のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n2)を有するフラーレン化合物の合成は、J.Am.Chem.Soc.1993,115,9798−9799、Chem.Mater.2007,19,5363−5372及びChem.Mater.2007,19,5194−5199のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n3)を有するフラーレン化合物の合成は、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1993,32,78−80、Tetrahedron Lett.1997,38,285−288、国際公開第2008/018931号及び国際公開第2009/086210号のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n4)を有するフラーレン化合物の合成は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1997 1595、Thin Solid Films 489(2005)251−256、Adv.Funct.Mater.2005,15,1979−1987及びJ.Org.Chem.1995,60,532−538のような公知文献の記載に従って実施可能である。
また、市販されているフラーレン化合物として、例えばPC61BM及びPC71BMを含むPCBM(フロンティアカーボン社製)、PCBNB(フロンティアカーボン社製)等が好適に使用できる。
フラーレン化合物のLUMOエネルギー準位は、特に限定はされないが、例えばサイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値が、通常−3.85eV以上、好ましくは−3.80eV以上である。p型半導体化合物から効率良くフラーレン化合物へと電子を移動させるためには、p型半導体化合物とフラーレン化合物とのLUMOエネルギー準位の相対関係が重要である。具体的には、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が、フラーレン化合物のLUMOエネルギー準位より所定の値だけ上にあること、言い換えると、フラーレン化合物の電子親和力がp型半導体化合物の電子親和力より所定のエネルギーだけ大きいことが好ましい。開放電圧(Voc)はp型半導体化合物のHOMOエネルギー準位とフラーレン化合物のLUMOエネルギー準位の差に依存するため、フラーレン化合物のLUMOエネルギー準位を高くすると、Vocが高くなる傾向がある。一方、LUMOエネルギー準位は通常−1.0eV以下、好ましくは−2.0eV以下、より好ましくは−3.0eV以下、さらに好ましくは−3.3eV以下である。フラーレン化合物のLUMOエネルギー準位を低くすることで、電子の移動が起こりやすくなり、短絡電流(Jsc)が高くなる傾向がある。
フラーレン化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。一方、通常−7.0eV以上、好ましくは−6.6eV以上である。フラーレン化合物のHOMOエネルギー準位が−7.0eV以上であることは、フラーレン化合物の光吸収も発電に利用しうる点で好ましい。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔の逆移動を阻止できる点で好ましい。
フラーレン化合物の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm/Vs以上であり、1.0×10−5cm/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×10cm/Vs以下であり、1.0×10cm/Vs以下が好ましく、5.0×10cm/Vs以下がより好ましい。フラーレン化合物の電子移動度が1.0×10−6cm/Vs以上であることは、光電変換素子の電子拡散速度向上、短絡電流向上、変換効率向上等の効果が得られうる点で好ましい。電子移動度の測定方法としてはFET法が挙げられ、公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により実施することができる。
[1.1.4 活性層の形成方法]
活性層103は、塗布法及び蒸着法(例えば共蒸着法)を含む任意の方法により形成することができるが、塗布法を用いると、より簡単に活性層103を形成できるため好ましい。塗布法により活性層103を作製する場合、p型半導体化合物、フラーレン化合物及び添加剤を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布すればよい。塗布液は、p型半導体化合物を含む溶液、フラーレン化合物を含む溶液、及び添加剤を含む溶液をそれぞれ調製後混合して作製してもよい。また塗布液は、後述する溶媒にp型半導体化合物、フラーレン化合物及び添加剤を溶解して作製してもよい。また、半導体化合物前駆体を含む塗布液を作製して、この塗布液を塗布した後、半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換することにより、活性層103を形成してもよい。以上のように、p型半導体化合物とフラーレン化合物と添加剤とを含む塗布液(インク)を塗布することによって、バルクヘテロ接合型の活性層を形成することができる。
添加剤を含有する塗布液を塗布して活性層103を形成することは、さらなる利点を有する。すなわち、添加剤がフラーレン化合物と相互作用することにより、塗布液から溶媒が揮発して活性層が形成される過程で、フラーレン化合物が析出するタイミングが遅れる。このため、塗布液が添加剤を含有していない場合と比較して、p型半導体化合物の結晶化が促進される。p型半導体化合物の結晶化が促進されることにより、p型半導体化合物はより長波長の光を吸収しうる。
塗布液中のp型半導体化合物とフラーレン化合物との合計濃度は、特に限定されないが、十分な膜厚の活性層を形成する観点から塗布液全体に対して0.3重量%以上であることが好ましく、化合物を十分に溶解させる観点から塗布液全体に対して20重量%以下であることが好ましい。
塗布液中の添加剤の量は、塗布液全体に対して0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましい。また、塗布液全体に対して10重量%以下が好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。塗布液の塗布後に、加熱等による乾燥処理を行ってもよい。
塗布液を塗布した後に、加熱乾燥を行ってもよい。加熱により、活性層の自己組織化が促進されうる。加熱温度は、通常50℃以上、好ましくは80℃以上であり、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下である。加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。
加熱により、活性層103の熱安定性や耐久性等が向上しうる。ここで、加熱中にフラーレン化合物が凝集し、相分離が促進されるために、光電変換効率が低下することがある。しかしながら活性層103は添加剤を含有しているため、添加剤によって加熱中のフラーレン化合物の凝集が抑制される。このように、活性層103に添加剤を含有させることにより、加熱処理を行った後での光電変換効率がより高い光電変換素子107が得られうる。
塗布液の溶媒としては、p型半導体化合物、フラーレン化合物及び添加剤を均一に溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類;又は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類である。一方で環境負荷の観点から、クロロベンゼン又はジヨードオクタンのようなハロゲン系炭化水素類を用いないことは好ましい。
より好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン若しくはシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の非ハロゲン系ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;テトラヒドロフラン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の非ハロゲン系脂環式炭化水素類;又は、1,4−ジオキサン等の非ハロゲン系脂肪族エーテル類である。特に好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類である。
溶媒としては1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。2種以上の溶媒を併用する場合、常圧下での沸点が60℃以上150℃以下である低沸点溶媒と、常圧下での沸点が180℃以上250℃以下である高沸点溶媒とを組み合わせることが好ましい。例えば、高沸点溶媒としてはテトラリン、デカリン、又はアセトフェノン等が挙げられ、低沸点溶媒としてはトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、又はエチルメチルケトン等が挙げられる。このように高沸点溶媒と低沸点溶媒とを組み合わせて用いる場合、活性層を成膜する際に、揮発性のより低い高沸点溶媒がゆっくりと揮発することにより、半導体化合物の組織化が促進され、相分離構造が最適化されうる。また、環境負荷の観点から、これらの高沸点溶媒及び低沸点溶媒は非ハロゲン系溶媒であることが好ましい。
高沸点溶媒と低沸点溶媒との比率は、特に制限されないが、重量比(高沸点溶媒/低沸点溶媒)が1/20以上であることが好ましく、1/15以上であることがさらに好ましく、1/10以上であることがより好ましい。一方、10/1以下であることが好ましく、2/1以下であることがさらに好ましく、1/1以下であることがより好ましく、1/2以下であることが特に好ましい。
低沸点溶媒と高沸点溶媒との組み合わせの例としては、非ハロゲン芳香族炭化水素類と脂環式炭化水素類、非ハロゲン芳香族炭化水素類と芳香族ケトン類、エーテル類と脂環式炭化水素類、エーテル類と芳香族ケトン類、脂肪族ケトン類と脂環式炭化水素類、又は脂肪族ケトン類と芳香族ケトン類、等が挙げられる。
好ましい組み合わせの具体例としては、トルエンとテトラリン、キシレンとテトラリン、トルエンとアセトフェノン、キシレンとアセトフェノン、テトラヒドロフランとテトラリン、テトラヒドロフランとアセトフェノン、メチルエチルケトンとテトラリン、メチルエチルケトンとアセトフェノン、等が挙げられる。
<1.2 バッファ層(102,104)>
光電変換素子107は、活性層103と電極101,105の間にバッファ層102,104を有する。バッファ層は、電子取り出し層102及び正孔取り出し層104に分類することができる。バッファ層を設けることで、活性層103と電極101,105との間での電子又は正孔の移動が容易となるほか、電極間の短絡が防止されうる。もっとも本発明において、バッファ層102,104は存在しなくてもよい。
電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは、1対の電極101,105の間に、活性層103を挟むように配置される。すなわち、本発明に係る光電変換素子107が電子取り出し層102と正孔取り出し層104との両者を含む場合、カソード101、電子取り出し層102、活性層103、正孔取り出し層104、及びアノード105がこの順に配置される。本発明に係る光電変換素子107が電子取り出し層102を含み正孔取り出し層104を含まない場合は、カソード101、電子取り出し層102、活性層103、及びアノード105がこの順に配置される。正孔取り出し層104と電子取り出し層102との少なくとも一方が、異なる複数の膜により構成されていてもよい。
[1.2.1 電子取り出し層(102)]
電子取り出し層102の材料は、活性層103からカソード101へ電子の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はないが、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の材料の好ましい例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはセシウム等のアルカリ金属の塩、又は金属酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム又はフッ化セシウムのようなフッ化物塩が好ましく、金属酸化物としては、酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体特性を有する金属酸化物が好ましい。無機化合物の材料として特に好ましくは、酸化亜鉛(ZnO)のような、n型半導体特性を有する金属酸化物である。このような材料の動作機構は不明であるが、カソード101と組み合わされた際に、仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の材料の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
電子取り出し層102の材料のLUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上である。一方、通常−1.9eV以下、好ましくは−2.0eV以下である。電子取り出し層102の材料のLUMOエネルギー準位が−1.9eV以下であることは、電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子取り出し層102の材料のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であることは、n型半導体材料への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
電子取り出し層102の材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−9.0eV以上、好ましくは−8.0eV以上である。一方、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。電子取り出し層102の材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔が移動してくることを阻止しうる点で好ましい。電子取り出し層102の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、上述のサイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。
電子取り出し層102の材料が有機化合物である場合、DSC法により測定した場合のこの化合物のガラス転移温度(以下、Tgと記載する場合もある)は、特段の制限はないが、観測されないか、又は55℃以上であることが好ましい。DSC法によりガラス転移温度が観測されないとは、ガラス転移温度がないことを意味する。具体的には400℃以下のガラス転移温度の有無により判別する。DSC法によるガラス転移温度が観測されない材料は、熱的に高い安定性を有している点で好ましい。
また、DSC法により測定した場合のガラス転移温度が55℃以上である化合物の中でも、ガラス転移温度が、好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である化合物が望ましい。一方、ガラス転移温度の上限は特に限定はないが、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。また、電子取り出し層102の材料は、DSC法によるガラス転移温度が30℃以上55℃未満に観測されないものであることが好ましい。
本明細書におけるガラス転移温度とは、アモルファス状態の固体において、熱エネルギーにより局所的な分子運動が開始される温度とされており、比熱が変化する点として定義される。Tgよりさらに温度が上がると、固体構造が変化して結晶化が起こる(この時の温度を結晶化温度(Tc)とする)。さらに温度が上がると、融点(Tm)で融解し液体状態に変化することが一般的である。但し、高温で分子が分解したり、昇華したりして、これらの相転移が見られないこともある。
DSC法とは、JIS K−0129“熱分析通則”に定義された熱物性の測定法(示差走査熱量測定法)である。ガラス転移温度をより明確に決める為には、一度ガラス転移点以上の温度に加熱したサンプルを急冷した後に測定することが望ましい。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法により、測定を実施することができる。
電子取り出し層に用いられる化合物のガラス転移温度が55℃以上である場合、この化合物は、印加される電場、流れる電流、曲げや温度変化による応力等の外部ストレスに対して構造が変化しにくいため、耐久性の面で好ましい。さらに、化合物の薄膜の結晶化が進みにくい傾向も有すことから、使用温度範囲においてこの化合物がアモルファス状態と結晶状態との間で変化しにくくなることにより、電子取り出し層としての安定性が良くなるため、耐久性の面で好ましい。この効果は、材料のガラス転移温度が高ければ高いほど、より顕著に表れる。
電子取り出し層102の膜厚は特に限定はないが、通常0.1nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上である。一方、通常100nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは20nm以下である。電子取り出し層102の膜厚が0.1nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、電子取り出し層102の膜厚が100nm以下であることで、電子が取り出しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
[1.2.2 正孔取り出し層(104)]
正孔取り出し層104の材料に特に限定は無く、活性層103からアノード105への正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基として有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、三酸化モリブデン等の金属酸化物、上述のp型半導体化合物等が挙げられる。その中でも、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーが好ましく、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)がより好ましい。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層104の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは70nm以下である。正孔取り出し層104の膜厚が0.2nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、正孔取り出し層104の膜厚が400nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
電子取り出し層102及び正孔取り出し層104の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。正孔取り出し層104に半導体化合物を用いる場合は、活性層103と同様に、半導体化合物前駆体を含む層を形成した後に、前駆体を半導体化合物に変換してもよい。
<1.3 電極(101,105)>
電極101,105は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極には、電子の捕集に適した電極101(カソード)と、正孔の捕集に適した電極105(アノード)とを用いることが好ましい。一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透光性を有する透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層103に光を到達させるために好ましい。光の透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
カソード101は、一般には仕事関数がアノードよりも小さい値を有する導電性材料で構成され、活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
カソード101の材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は小さい仕事関数を有する材料であるため、好ましい。また、電子取り出し層102の材料として酸化亜鉛のようなn型半導体材料で導電性を有するものを用いる場合、ITOのような、アノードに適した大きい仕事関数を有する材料を、カソード101の材料として用いることもできる。電極保護の観点から、カソード101の材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、カルシウム又はインジウム等の金属及びこれらの金属を用いた合金である。
カソード101の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソード101の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソード101の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。カソード101を透明電極として用いる場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。
カソード101のシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソード101の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。
アノード105とは、一般には仕事関数がカソードよりも大きい導電性材料で構成され、活性層103で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
アノード105の材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金等が挙げられる。これらの物質は大きい仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が大きいことから、上記のような大きい仕事関数の材料でなくとも、アルミニウムやマグネシウム等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。
ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。
アノード105が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化錫等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOを用いることが好ましい。
アノード105の膜厚に特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノード105の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノード105の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。アノード105が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗とを両立できる膜厚を選ぶ必要がある。
アノード105のシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
アノード105の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
さらに、カソード101及びアノード105は、2層以上の積層構造を有していてもよい。また、カソード101及びアノード105に対して表面処理を行うことにより、特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
<1.4 基材(106)>
光電変換素子107は、通常は支持体となる基材106を有する。すなわち、基材上に、電極101,105と、活性層103とが形成される。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材106を有さなくてもよい。
基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材106の材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル若しくはポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;等が挙げられる。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材106の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。また、基材106の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重量が重くならないために好ましい。基材106の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材106の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材106の膜厚が0.5cm以下であることは、重量が重くならないために好ましい。
<1.5 光電変換素子の製造方法>
光電変換素子107は、上述した方法に従い、基材106、カソード101、電子取り出し層102、活性層103、正孔取り出し層104、及びアノード105を順次積層することにより作製することができる。異なる構成を有する光電変換素子、例えば基材106、電子取り出し層102、及び正孔取り出し層104のうちの少なくとも1つを有さない光電変換素子も、同様の方法により作製することができる。
カソード101及びアノード105を積層した後に、光電変換素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する)。
アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子の各層間の密着性、例えば電子取り出し層102とカソード101及び/又は電子取り出し層102と活性層103の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。また、アニーリング処理工程により、活性層の自己組織化が促進されうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、活性層103内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
アニーリング処理工程により光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうるものの、アニーリング処理工程中にフラーレン化合物が凝集し、相分離が促進されるために、光電変換効率が低下することがある。しかしながら活性層103は添加剤を含有しているため、添加剤によってアニーリング処理工程中のフラーレン化合物の凝集が抑制される。このように、活性層103に添加剤を含有させることにより、アニーリング処理工程を行った後での光電変換効率がより高い光電変換素子107が得られうる。
<1.6 光電変換特性>
光電変換素子107の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子107にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
本発明に係る光電変換素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
また、光電変換素子の耐久性を測定する方法としては、光電変換素子を大気暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。
(維持率)=(大気暴露N時間後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
光電変換素子を実用化するには、製造が簡便かつ安価であること以外に、高い光電変換効率及び高い耐久性を有することが重要である。この観点から、1週間大気暴露する前後での光電変換効率の維持率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、高ければ高いほどよい。
<2.本発明に係る太陽電池>
本発明に係る光電変換素子107は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。図2に表すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
上記構成及びその製造方法については、周知技術を用いることができ、具体的には国際公開第2011/016430号等の公知文献に記載のものを採用することができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明に係る薄膜太陽電池を適用できる分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等である。
本発明に係る太陽電池、特には薄膜太陽電池はそのまま用いても、基材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に模式的に表すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。基材12については、周知技術を用いることができ、具体的には国際公開第2011/016430号等の公知文献に記載のものを採用することができる。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。本実施例に記載の項目は以下の方法によって測定した。
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。分子量分布(PDI)は、Mw/Mnを表す。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定は以下の条件で行った。
カラム:PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm,内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に接続して使用
ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製)
オーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
検出器:示差屈折率検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出器(島津製作所社製,SPD−10A)
サンプル:試料1mgをクロロホルム(200mg)に溶解させた液1μL
移動相:クロロホルム
流速:1.0mL/min
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
(活性層の吸収スペクトルの測定方法)
吸収スペクトル測定には、分光光度計(日立製作所製、U−3500)を用いた。具体的には、酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)上に、電子取り出し層としての酸化亜鉛膜を形成し、さらにその上に活性層を形成した試料に対して、350−850nmの範囲で測定を行った。
(光電変換素子の評価)
光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、形状因子FF、光電変換効率PCE(%)を算出した。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
<合成例1:コポリマー1の合成>
Figure 0006143151
公知文献(Solar Energy Materials & Solar Cells 2012,96,155−159)に記載の方法を参考にして、目的とするコポリマー1(180mg)を合成した。
合成したコポリマー1の重量平均分子量及び分子量分布(PDI)を上述のように測定したところ、重量平均分子量Mwは1.35×10であり、PDIは2.9であった。
<インクの調製>
(活性層塗布液Ink1の作製)
p型半導体化合物として合成例1で得られたコポリマー1、及びn型半導体化合物としてフラーレン化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物(フロンティアカーボン社,nanom spectra E123)を、重量比が1:2となるように混合し、混合物が1.8重量%の濃度となるように窒素雰囲気中でo−キシレンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布液Ink1を得た。
Figure 0006143151
(活性層塗布液Ink2の作製)
活性層塗布液Ink1の中に、p型半導体化合物とn型半導体化合物との合計重量に対して20重量%の濃度になるように、2−フェニルナフタレン(東京化成工業社製)を加え、活性層塗布液Ink2を得た。
(活性層塗布液Ink3の作製)
活性層塗布液Ink1の中に、p型半導体化合物とn型半導体化合物との合計重量に対して20重量%の濃度になるように、1,4−ジブロモナフタレン(東京化成工業社製)を加え、活性層塗布液Ink3を得た。
(活性層塗布液Ink4の作製)
活性層塗布液Ink1の中に、p型半導体化合物とn型半導体化合物との合計重量に対して20重量%の濃度になるように、1,1’−ビナフチル(東京化成工業社製)を加え、活性層塗布液Ink4を得た。
(活性層塗布液Ink5の作製)
活性層塗布液Ink1の中に、p型半導体化合物とn型半導体化合物との合計重量に対して20重量%の濃度になるように、2,7−ジブロモナフタレン(東京化成工業社製)を加え、活性層塗布液Ink5を得た。
(活性層塗布液Ink6の作製)
活性層塗布液Ink1の中に、p型半導体化合物とn型半導体化合物との合計重量に対して20重量%の濃度になるように、ヘキサブロモベンゼン(東京化成工業社製)を加え、活性層塗布液Ink6を得た。
(活性層塗布液Ink7の作製)
活性層塗布液Ink1の中に、p型半導体化合物とn型半導体化合物との合計重量に対して20重量%の濃度になるように、1−アセトキシナフタレン(東京化成工業社製)を加え、活性層塗布液Ink7を得た。
(活性層塗布液Ink8の作製)
活性層塗布液Ink1の中に、p型半導体化合物とn型半導体化合物との合計重量に対して20重量%の濃度になるように、2,3,4,5,6−ペンタブロモトルエン(東京化成工業社製)を加え、活性層塗布液Ink8を得た。
<実施例1>
(光電変換素子の作製)
インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロパノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローでの乾燥及びUV−オゾン処理を行った。
次に、酢酸亜鉛(II)二水和物(和光純薬社製)を、濃度105mg/mLとなるように2−メトキシエタノール(Aldrich社製)とエタノールアミン(Aldrich社製)との混合溶媒(体積比100:3)に溶解した溶液(約0.1mL)を、ガラス基板上に3000rpmの速度にてスピンコートし、UV−オゾン処理した後、200℃のオーブンで15分間加熱することで、電子取り出し層を形成した。
電子取り出し層を成膜した基板をグローブボックスに持ち込み、窒素雰囲気下150℃で3分間加熱処理し、冷却後に上述のように作製した活性層塗布液Ink2(0.12mL)を400rpmの速度にてスピンコートすることにより活性層を形成した。
さらに、活性層上に、正孔取り出し層として厚さ3.0nmの三酸化モリブデン(MoO)膜を、次いで電極層として厚さ100nmの銀膜を、抵抗加熱型真空蒸着法により順次成膜し、5mm角の光電変換素子を作製した。
このように作製した光電変換素子を、上述のように電流−電圧特性を測定することにより評価した。結果を表1に示す。
<実施例2>
活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink3を用い、活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例5>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例6>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink4を用い、活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例7>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例8>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink5を用い、活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例9>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例10>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink6を用い、活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例11>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例12>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink7を用い、活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例13>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<実施例14>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink8を用い、活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
<比較例2>
活性層塗布液Ink2の代わりに活性層塗布液Ink1を用い、活性層を形成した後に、同じグローブボックス中でホットプレートを用いて140℃で10分間熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製及び評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006143151
表1に示すように、実施例に係る光電変換素子は、特に活性層を熱処理した場合において、活性層の最大吸収波長がより大きく、より広い波長範囲の太陽光を吸収することが判る。また、実施例に係る光電変換素子は、活性層を熱処理した場合において、比較例に係る光電変換素子に比べて短絡電流密度が高く、高い光電変換効率を示す。このように本発明に係る光電変換素子は、高い光電変換効率と耐熱性を備えることがわかる。
101 カソード
102 電子取り出し層
103 活性層
104 正孔取り出し層
105 アノード
106 基材
107 光電変換素子
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池

Claims (12)

  1. 少なくとも一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを有する光電変換素子であって、
    前記活性層が、p型半導体化合物と、フラーレン化合物と、添加剤とを含有し、
    前記添加剤は、下記式(I)又は(II)で表される化合物であることを特徴とする光電変換素子。
    Figure 0006143151
    (式(I)中、Rはハロゲン原子を表し、複数のRは同一でも互いに異なっていてもよく、mは5以上6以下の整数であり、ベンゼン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
    Figure 0006143151
    (式(II)中、Rはハロゲン原子、ルボニルオキシ基、ルコキシ基、アリールオキシ基、は芳香族基を表し、nは1以上8以下の整数であり、Rがハロゲン原子の場合はnは2以上8以下の整数であり、nが2以上の場合Rは同一でも互いに異なっていてもよく、ナフタレン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
  2. 少なくとも一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを有する光電変換素子であって、
    前記活性層が、p型半導体化合物と、フラーレン化合物と、添加剤とを含有し、
    前記添加剤は、下記式(I)又は(II)で表される化合物であり、
    下記式(I)又は(II)で表される化合物の融点は、1気圧において35℃以上であることを特徴とする光電変換素子。
    Figure 0006143151
    (式(I)中、Rはハロゲン原子を表し、複数のRは同一でも互いに異なっていてもよく、mは5以上6以下の整数であり、ベンゼン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
    Figure 0006143151
    (式(II)中、Rはハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボニルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又は芳香族基を表し、nは1以上8以下の整数であり、nが2以上の場合Rは同一でも互いに異なっていてもよく、ナフタレン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
  3. 前記添加剤が、前記式(II)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記Rがハロゲン原子、カルボニルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記Rがカルボニルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又は芳香族炭化水素基であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記p型半導体化合物及び前記フラーレン化合物の総重量に対して、前記添加剤の割合が1重量%以上30重量%以下であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記p型半導体化合物が下記式(IIIA)で表される繰り返し単位及び下記式(IIIB)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006143151
    (式(IIIA)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
    Figure 0006143151
    (式(IIIB)中、Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
  8. 前記p型半導体化合物が下記式(IV)で表される繰り返し単位を有するコポリマ ーであることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006143151
    (式(IV)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、R〜Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。)
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする、太陽電池。
  10. 請求項9に記載の太陽電池を備えることを特徴とする、太陽電池モジュール。
  11. 光電変換素子のフラーレン化合物を含有する活性層用の添加剤であって、下記式(I)又は(II)で表されることを特徴とする添加剤。
    Figure 0006143151
    (式(I)中、Rはハロゲン原子を表し、複数のRは同一でも互いに異なっていてもよく、mは5以上6以下の整数であり、ベンゼン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
    Figure 0006143151
    (式(II)中、Rはハロゲン原子、ルボニルオキシ基、ルコキシ基、アリールオキシ基、は芳香族基を表し、nは1以上8以下の整数であり、Rがハロゲン原子の場合はnは2以上8以下の整数であり、nが2以上の場合Rは同一でも互いに異なっていてもよく、ナフタレン環はR以外の置換基を有していてもよい。)
  12. 光電変換素子の活性層形成用の組成物であって、請求項11に記載の添加剤と、p型半導体化合物と、フラーレン化合物とを含有することを特徴とする、組成物。
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