JP6697820B2 - 光電変換素子及びフラーレン誘導体 - Google Patents

光電変換素子及びフラーレン誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子及びフラーレン誘導体に関する。
近年、ペロブスカイト化合物を含む活性層を有する光電変換素子が提案されている。
例えば、透明電極であるパターニングされたITO(インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide)層、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)を含む正孔注入層、ペロブスカイト化合物を含む活性層、フラーレン誘導体である[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)を含む電子輸送層、及び陰極をこの順で有する光電変換素子が報告されている(非特許文献1参照。)。
Journal of Materials Chemistry A、2014、2号、p.15897
しかしながら、上述の非特許文献1に記載された光電変換素子では光照射に対する耐久性が必ずしも十分とはいえない。
本発明の目的は、光照射に対する高い耐久性を有する光電変換素子及び、その光電変換素子が有する電子輸送層に含まれるフラーレン誘導体を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[9]を提供する。
[1]陰極と、
陽極と、
陰極及び陽極の間に設けられたペロブスカイト化合物を含む活性層と、
陰極及び活性層の間に設けられた下記式(1a)又は式(1b)で表されるフラーレン誘導体を含む電子輸送層と
を有する光電変換素子。
Figure 0006697820
(1a) (1b)
〔式(1a)及び(1b)中、
環Aはフラーレン骨格を表す。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、オキソ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表し、点線は、R、R及びRがオキソ基である場合、二重結合であることを表し、それ以外の基である場合は単結合であることを表す。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表す。
Qは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
Q’は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
nは、1以上の整数を表す。〕
Figure 0006697820
〔式(2)中、
mは1〜6の整数を表す。
qは1〜4の整数を表す。
Xは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基を表す。
mが複数個ある場合、複数個あるmは同一であっても異なっていてもよい。〕
[2]前記式(1a)で表されるフラーレン誘導体が下記式(1a’)で表されるフラーレン誘導体であり、前記式(1b)で表されるフラーレン誘導体が下記式(1b’)で表されるフラーレン誘導体である、[1]記載の光電変換素子。
Figure 0006697820
(1a’) (1b’)
〔式(1a’)及び式(1b’)中、
環A、n、R、R、R、R、R、点線及びQは、それぞれ上述と同じ意味を表す。〕
[3]前記式(1a)で表されるフラーレン誘導体が下記式(3a)で表されるフラーレン誘導体であり、前記式(1b)で表されるフラーレン誘導体が下記式(3b)で表されるフラーレン誘導体である、[1]記載の光電変換素子。
Figure 0006697820

(3a) 式(3b)
〔式(3a)及び式(3b)中、
環A、n、R、R、R、R、R、点線及びQ’は、それぞれ上述と同じ意味を表す。〕
[4]前記Qが前記式(2)で表される基である、[1]〜[3]のいずれか記載の光電変換素子。
[5]前記nが1である、[1]〜[4]のいずれか記載の光電変換素子。
[6]支持基板をさらに含み、該支持基板、前記陽極、前記活性層、前記電子輸送層及び前記陰極がこの順に設けられている、[1]〜[5]のいずれか記載の光電変換素子。
[7]陽極及び活性層の間に設けられた、芳香族アミン化合物及び芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上を含む正孔注入層をさらに有する、[1]〜[6]のいずれか記載の光電変換素子。
[8][1]〜[7]のいずれか記載の光電変換素子を含む光センサー。
[9]下記式(4a)で表されるフラーレン誘導体、下記式(4b)で表されるフラーレン誘導体、下記式(5a)で表されるフラーレン誘導体又は下記式(5b)で表されるフラーレン誘導体。
Figure 0006697820
(4a) (4b)
Figure 0006697820
(5a) (5b)
〔式(4a)、式(4b)、式(5a)及び式(5b)中、
環Aはフラーレン骨格を表す。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、オキソ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表し、点線は、R、R及びRがオキソ基である場合、二重結合であることを表し、それ以外の基である場合は単結合であることを表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表す。
Qは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
Q’は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
は、下記式(2)で表される基を表す。
nは、1以上の整数を表す。〕
Figure 0006697820
〔式(2)中、
mは1〜6の整数を表す。
qは1〜4の整数を表す。
Xは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基を表す。
mが複数個ある場合、複数個あるmは同一であっても異なっていてもよい。〕
本発明によれば、光電変換素子の光照射に対する耐久性をより高めることができる。本明細書において、耐久性とは、光電変換効率の保持率を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<共通する用語の説明>
以下、本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
アルキル基の炭素原子数は、通常1〜20である。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基及びラウリル基が挙げられる。
アルキル基は、置換基としてハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基及びパーフルオロオクチル基が挙げられる。
シクロアルキル基の炭素原子数は、通常3〜20である。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
シクロアルキル基は、置換基としてハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
アルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜20である。アルコキシ基としては、置換基としてハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基と酸素原子とが結合した基が挙げられる。
シクロアルコキシ基の炭素原子数は、通常2〜20である。シクロアルコキシ基としては、置換基としてハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素原子数1〜20のシクロアルキル基と酸素原子とが結合した基が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。有機光電変換素子に用いた場合に光電変換効率をより高めることができるので、ハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましい。
アルケニル基は、アルケニル基の炭素原子数は、通常2〜20である。アルケニル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。好ましいアルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。
アリール基は、無置換の芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接的に又はビニレン等の基を介して結合した基が含まれる。アリール基の炭素原子数は、通常6〜60であり、6〜30であることが好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられる。
アリールアルキル基の炭素原子数は、通常7〜80であり、7〜40であることが好ましい。アリールアルキル基としては、例えば、フェニル−アルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜12)、アルコキシフェニル(アルコキシ基の炭素原子数1〜12)−アルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜12)、アルキルフェニル(アルキル基の炭素原子数1〜12)−アルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜12)が挙げられる。
ヘテロシクリル基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。ヘテロシクリル基の炭素原子数は通常4〜60であり、好ましくは4〜20である。
ヘテロシクリル基としては、ヘテロアリール基が好ましい。ヘテロアリール基の具体例としては、チエニル基(2−チエニル基、3−チエニル基)、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基及びイソキノリル基が挙げられる。芳香族以外のヘテロシクリル基としては、ピロリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホニル基、チオモルホニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチオピラニル基が挙げられる。
複素環式化合物とは、環式構造を有する有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子、硼素原子、珪素原子等のヘテロ原子を環内に含む化合物をいう。
脂環式炭化水素基は、脂環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。脂環式炭化水素基の炭素原子数は通常3〜30であり、3〜20であることが好ましい。脂環式化合物は脂肪族の分枝を有していてもよい。脂環式化合物の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカンなどの単環のシクロアルカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロプロペン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環のシクロアルケン、ビシクロウンデカン、デカヒドロナフタレン(デカリン)などの二環式アルカン、ノルボルネン、ノルボルナジエンなど二環式アルケン、キュバン、バスケタン、ハウサン、アダマンタンなどの多環式化合物が挙げられる。
−(C=O)Q(Qは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30である脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。)で表される基の具体例としては、アシル基が挙げられる。アシル基は、置換基を有していてもよい。アシル基は、その炭素原子数が通常2〜20である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
Figure 0006697820
〔式(2)中、
mは1〜6の整数を表す。
qは1〜4の整数を表す。
Xは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基を表す。
mが複数個ある場合、複数個あるmは同一であっても異なっていてもよい。〕
−COOQ’で表される基(Q’は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30である脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。)の具体例としては、メチルオキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基中のアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。かかるアルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜20である。アルコキシ基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、3−メチルブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基ラウリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基及びナフトキシ基が挙げられる。
式(2)で表される基は既に説明したとおりであり、具体的には下記の基が挙げられる。
Figure 0006697820
「置換基を有していてもよい」とは、その化合物又は基を構成するすべての水素原子が無置換である場合、及び1個以上の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の両方の態様を含む。
置換基の例としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜60のアリール基、炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、オキソ基、アシル基、−(C=O)Qで表される基(Qは、前述と同じ意味を表す。)、−COOQ’で表される基(Q’は、前述と同じ意味を表す。)又は式(2)で表される基が挙げられる。
アミノ基は、−N(R’)で表される基(2つのR’はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基又はアルキル基を有していてもよい複素環基を表す。)を意味する。
シリル基は、−Si(R’)3で表される基(R’は前述と同義であり、3つのR’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)を意味する。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、
陰極と、
陽極と、
陰極及び陽極の間に設けられたペロブスカイト化合物を含む活性層と、
陰極及び活性層の間に設けられたフラーレン誘導体を含む電子輸送層と
を有する。
本発明の光電変換素子は、通常支持基板上に作製される例えば、支持基板、陽極、活性層、電子輸送層及び陰極がこの順に設けられている光電変換素子であってもよいし、支持基板、陰極、電子輸送層、活性層及び陽極がこの順に設けられている光電変換素子であってもよい。
本発明の光電変換素子は、支持基板、陽極、活性層、電子輸送層及び陰極がこの順に設けられている光電変換素子であることが好ましい。
本発明の光電変換素子は、陰極、陽極、活性層及び電子輸送層のほかに、必要に応じて他の要素を含んでいてもよい。必要に応じて含まれる他の要素としては、支持基板、正孔注入層、正孔輸送、電子注入層等が挙げられる。
正孔注入層は、通常、陽極及び活性層の間に設けられる。
正孔輸送層は、通常、活性層及び正孔注入層の間に設けられる。
電子注入層は、通常、電子輸送層及び陰極の間に設けられる。
(支持基板)
本発明の光電変換素子は、通常、支持基板上に作製される。支持基板としては、電極を形成し、有機物の層を形成して光電変換素子を作製する際に化学的に変化しない材料により構成される基板が好適に用いられる。支持基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。支持基板側から光を取り込む形態の光電変換素子の場合、支持基板には光透過性の高い基板が好適に用いられる。また不透明な支持基板上に光電変換素子を作製する場合には、支持基板を通して光を取り込むことができない。そのため、支持基板から遠い方の電極が透明又は半透明であることが好ましい。支持基板から遠い方にある電極が透明又は半透明であることにより、不透明な支持基板を用いた場合に、支持基板から遠い方にある電極を通して光を取り込むことができる。
(電極)
電極は、導電性の材料で形成される。電極の材料としては、例えば、金属、金属酸化物等の無機化合物、導電性高分子等の有機化合物を用いることができる。
金属、金属酸化物の例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫等の金属、それらの金属からなる群より選ばれる2つ以上の金属を含む合金、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、フッ素化スズ酸化物(FTO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、グラファイト、グラファイト層間化合物等が挙げられる。2つ以上の金属を含む合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。金属は、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノファイバーを含む。
有機化合物の例としては、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体の高分子化合物、グラファイト、グラファイト層間化合物並びにカーボンナノチューブが挙げられる。
電極は、ナノ粒子又はナノファイバーのみから構成されていてもよい。電極は、特表2010−525526号公報に開示されているように、ナノ粒子又はナノファイバーが、導電性ポリマーなどの所定の媒体中に分散されていてもよい。
電極は、単層の形態であっても、複数の層が積層された形態であってもよい。
陽極及び陰極のうちの少なくとも一方は、透明又は半透明であることが好ましい。本発明の光電変換素子の活性層に含まれるペロブスカイト化合物は通常結晶構造を有しており、透明又は半透明の電極側から入射した光は、活性層中において、結晶構造を有するペロブスカイト化合物に吸収されて電子及び正孔を生成する。生成した電子と正孔とが活性層中を移動して互いに異なる電極に至ることにより光電変換素子の外部に電気エネルギー(s電流)として取り出される。
透明又は半透明の電極の材料の例としては、導電性の金属酸化物、金属等が挙げられ、これらの材料が透明ではない場合には、光が透過する程度の厚さの薄膜とすることにより、透明又は半透明な電極とすることができる。透明又は半透明の電極の材料として、具体的には、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるITO、IZO、FTO、NESA、金、白金、銀、銅、アルミニウムが挙げられる。透明又は半透明の電極の材料は、ITO、IZO、及び酸化スズから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、ITO、IZO、及び酸化スズから選ばれる1種以上を含むことがより好ましい。
電極に対して、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理が施されていてもよい。
(正孔注入層)
本発明の光電変換素子は、陽極及び活性層の間に正孔注入層を設けてもよい。正孔注入層は、電子ブロックの機能を有する。正孔注入層を設けることで、より高い光電変換効率を示す光電変換素子を得ることができる。
正孔注入層は有機材料、無機材料のいずれを含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよいが、形成された正孔注入層は、水に対して不溶であることが好ましい。水に対して不溶である正孔注入層を形成する観点から、正孔注入層としては、芳香族アミン化合物及び芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上を有することが好ましい。
正孔注入層としては、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物等の高分子化合物、アニリン、チオフェン、ピロール、芳香族アミン化合物等の低分子化合物、CuSCN、CuI等の無機化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を有する正孔注入層が挙げられる。
正孔注入層は、ポリチオフェン及びその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物、CuSCN並びにCuIからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。初期の光電変換効率を良好にする観点からは、正孔注入層は、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含むことが好ましい。また、光電変換素子の寿命をより長くする観点から、正孔注入層は、高分子化合物の中では芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物を含むことがより好ましい。
芳香族アミン化合物の具体例としては、下記式で示される化合物が挙げられる。
Figure 0006697820
前記芳香族アミン化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
芳香族アミン化合物に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルコキシ基、アミノ基及びシリル基が挙げられる。
少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含む芳香族アミン化合物の具体例としては、下記式で示される化合物が挙げられる。
Figure 0006697820
芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物において、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位とは、芳香族アミン化合物から水素原子を2個取り除いた繰り返し単位である。芳香族アミン残基を有する繰り返し単位の例としては、下記式(4’)で表される繰り返し単位が挙げられる。下記式(4’)で表される繰り返し単位としては、下記式(4)で表される繰り返し単位が好ましい。前記芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
Figure 0006697820
式(4’)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立にアリーレン基(A1)又は2価の複素環基(B1)を表す。E’、E’及びE’は、それぞれ独立にアリール基(A2’)又は1価の複素環基(B2’)を表す。a及びbはそれぞれ独立に0又は1を表し、0≦a+b≦1である。
アリーレン基(A1):アリーレン基(A1)は、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、ベンゼン環又は縮合環を有する2価の基、及び独立したベンゼン環又は縮合環が2個以上直接的に又はビニレン等の基を介して結合した2価の基も含まれる。アリーレン基(A1)は置換基を有していてもよい。アリーレン基(A1)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、−O(C=O)Rで表される基(Rはアルキル基を表す。)、シアノ基等が挙げられ、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基が好ましい。置換基を有しないアリーレン基の炭素原子数は通常6〜60であり、好ましくは6〜20である。
2価の複素環基(B1):2価の複素環基(B1)は、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団であり、2価の複素環基(B1)は置換基を有していてもよい。
ここで複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子などのヘテロ原子を環内に含む基をいう。2価の複素環基(B1)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基、イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、−O(C=O)Rで表される基(Rはアルキル基を表す。)、シアノ基等が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基が好ましい。置換基を有しない2価の複素環基の炭素原子数は通常3〜60である。
アリール基(A2’):アリール基(A2’)は、置換基を有していてもよい。アリール基(A2’)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子等が挙げられる。置換基を有しないアリール基の炭素原子数は通常6〜30であり、好ましくは6〜20である。
1価の複素環基(B2’):1価の複素環基(B2’)は、置換基を有していてもよい。1価の複素環基(B2’)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子等が挙げられる。置換基を有しない1価の複素環基の炭素原子数は通常1〜30である。
Figure 0006697820
(4)
式(4)中、Ar、Ar、Ar及びArは、前記と同じ意味を表す。E、E及びEは、それぞれ独立に下記のとおり定義されるアリール基(A2)又は1価の複素環基(B2)を表す。a及びbは、前記と同じ意味を表す。
アリール基(A2):アリール基(A2)は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を3個以上有するアリール基である。アリール基(A2)の炭素原子数は通常6〜40であり、好ましくは6〜30である。
1価の複素環基(B2):1価の複素環基(B2)は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1個以上有し、かつ該置換基の数と複素環のヘテロ原子の数の和が3以上である1価の複素環基である。1価の複素環基(B2)の炭素原子数は通常1〜40である。
アリール基(A2)は、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基、又は置換基を3個以上有するアントラセニル基であることが好ましく、アリール基(A2)が下記式(5)で示される基であることがより好ましい。
Figure 0006697820
(5)

〔式(5)中、Re、Rf及びRgは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、シリル基、シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。〕
芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は、さらに、下記式(5)、式(6)、式(7)又は式(8)で示される繰り返し単位を有していてもよい。
−Ar12− (5)

―Ar12−X―(Ar13−X)―Ar14− (6)

−Ar12−X2− (7)

−X2− (8)

〔式(5)〜式(8)中、
Ar12、Ar13及びAr14はそれぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を示す。
1は、−CR=CR−で示される基、−C≡C−で示される基又は−(SiR−で示される基を示す。
2は−CR=CR−で示される基、−C≡C−で示される基、−N(R)−で示される基、又は−(SiR−で示される基を示す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシ基、−O(C=O)Rで表される基(Rはアルキル基を表す。)又はシアノ基を示す。
、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。
dは1〜12の整数を表す。
cは0〜2の整数を表す。
Ar13、R、R、R及びRがそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。〕
前記式(4’)で示される繰り返し単位(前記式(4)で示される繰り返し単位の例を含む)の例としては、Ar、Ar及びArがそれぞれ独立に置換基を有しないフェニレン基であり、a=1、b=0の繰り返し単位が挙げられ、具体例としては下記式で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0006697820
Figure 0006697820
Figure 0006697820
前記式(4’)で示される繰り返し単位(前記式(4)で示される繰り返し単位の例を含む)の例としては、Ar、Ar及びArがそれぞれ独立に、置換基を有しないフェニレン基であり、a=0、b=1である繰り返し単位が挙げられ、具体例としては下記式で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0006697820
Figure 0006697820
Figure 0006697820
上記式中、Meはメチル基を示し、Prはプロピル基を示し、Buはブチル基を示し、MeOはメトキシ基を示し、BuOはブチルオキシ基を示す。
正孔注入層の厚さは、25nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔注入層と活性層との間に設けられ、正孔を輸送し、かつ電子をブロックする機能を有する。正孔輸送層を設けることで、より高効率な光電変換素子とすることができる。正孔輸送層としては、アミン残基を含む低分子化合物、アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物などが挙げられる。正孔注入層に、芳香族アミン残基を有する低分子化合物、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物を用いる場合には、特にこのような正孔輸送層を設けなくてもよい。
正孔輸送層に含まれ得るアミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物としては、例えば、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0006697820
(活性層)
本発明の光電変換素子が有する活性層は、ペロブスカイト化合物を含む。本明細書において、ペロブスカイト化合物とは、ペロブスカイト構造を有する化合物をいう。ペロブスカイト化合物は、有機化合物及び無機化合物がペロブスカイト構造の構成要素となっているペロブスカイト化合物(有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物)であることが好ましい。
ペロブスカイト化合物は、下記式(9)〜式(11)で表される化合物であることが好ましく、下記式(9)で表される化合物であることがより好ましい。下記式(9)で表される化合物のうち、CHNHPbI、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHSnI、CHNHSnCl、CHNHSnBr等がさらに好ましい。
CHNH (9)
〔式(9)中、Mは、2価の金属(例、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu)であり、3個のXは、それぞれ独立に、F、Cl、Br又はIである。〕
(R10NH (10)
〔式(10)中、R10は、炭素原子数2〜40のアルキル基、炭素原子数3〜40のシクロアルキル基、炭素原子数2〜30のアルケニル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、1価の複素環基であり、Mは、2価の金属(例、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu)であり、4個のXは、それぞれ独立に、F、Cl、Br又はIである。〕
式(10)中、R10で表されるアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、イコサニル基、ドコサニル基、トリアコンタニル基、テトラコンタニル基が挙げられる。
式(10)中、R10で表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式(10)中、R10で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、オレイル基、アリル基等が挙げられる。
式(10)中、R10で表されるアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
式(10)中、R10で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
式(10)中、R10で表される1価の複素環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジニル基、モルホリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基、フタラジニル基が挙げられる。
HC(=NH)NH (11)
〔式(11)中、Mは、2価の金属(例、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu)であり、3個のXは、それぞれ独立に、F、Cl、Br又はIである。〕
ペロブスカイト化合物は1種のみを活性層の材料として用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
活性層は、ペロブスカイト化合物の他に、他の成分を含んでいてもよい。活性層が含み得る他の成分の例としては、電子供与性化合物、電子受容性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線に対する安定性を増すための光安定剤、及び機械的特性を高めるためのバインダーが挙げられる。
(電子輸送層)
本発明の光電変換素子が有する電子輸送層は、下記式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体を含む。
Figure 0006697820
(1a) (1b)
〔式(1a)及び(1b)中、
環Aはフラーレン骨格を表す。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、オキソ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表し、点線は、R、R及びRがオキソ基である場合、二重結合であることを表し、それ以外の基である場合は単結合であることを表す。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表す。
Qは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
Q’は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
nは、1以上の整数を表す。〕
Figure 0006697820
〔式(2)中、
mは1〜6の整数を表す。
qは1〜4の整数を表す。
Xは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基を表す。
mが複数個ある場合、複数個あるmは同一であっても異なっていてもよい。〕
式(1a)又は式(1b)中、環Aは炭素原子数が異なる各種のフラーレンに由来する構造であれば特に限定されない。かかるフラーレンとしては、C60フラーレン、C70フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン等のいずれであってもよい。環Aは好ましくはC60フラーレンに由来するフラーレン骨格である。
式(1a)又は式(1b)中、nは1〜3の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(1a)又は式(1b)中、R〜Rで表される−(C=O)Qで表される基及び
−COOQ’で表される基において、Q及びQ’は、式(2)で表される基であることが、耐久性の点で好ましい。
式(1a)で表されるフラーレン誘導体の具体例としては、下記のフラーレン誘導体が挙げられる。
Figure 0006697820
式(1b)で表されるフラーレン誘導体の具体例としては、以下に示されるフラーレン誘導体が挙げられる。
Figure 0006697820
式(1a)及び式(1b)で表されるフラーレン誘導体は、光電変換効率を高める観点から、R、Rが−(C=O)Qで表される基である、下記式(1a’)又は式(1b’)で表されるフラーレン誘導体を含むことが好ましい。
Figure 0006697820

(1a’) (1b’)
〔式(1a’)及び式(1b’)中、
環A、n、R、R、R、R、R、点線及びQは、前述と同じ意味を表す。〕
式(1a’)で表される化合物、及び式(1b’)で表される化合物は、それぞれ、式(4a)で表される化合物、及び式(4b)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006697820
(4a) (4b)
〔式(4a)及び式(4b)中、
環A、n、R、R、R、R、点線及びRは、前述と同じ意味を表す。
は、式(2)で表される基を表す。〕
式(1a’)で表されるフラーレン誘導体の具体例としては、以下に示されるフラーレン誘導体が挙げられる。
Figure 0006697820
式(1b’)で表されるフラーレン誘導体の具体例としては、以下に示されるフラーレン誘導体が挙げられる。
Figure 0006697820
式(1a)及び式(1b)で表されるフラーレン誘導体は、光電変換効率の観点から、R、Rが−COOQ’で表される基である、下記式(3a)又は式(3b)で表されるフラーレン誘導体であることが好ましい。
Figure 0006697820
式(3a) 式(3b)
〔式(3a)及び式(3b)中、
環A、n、R、R、R、R、R、点線及びQ’は、前述と同じ意味を表す。〕
式(3a)で表される化合物、及び式(3b)で表される化合物は、それぞれ、式(5a)で表される化合物、及び式(5b)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006697820

式(5a) 式(5b)
〔式(5a)及び式(5b)中、
環A、n、R、R、R、R、R、点線及びQは、前述と同じ意味を表す。〕
電子輸送層に含まれるフラーレン誘導体は、シクロペンテン環構造を有する式(1a)、式(1a’)、式(3a)又は式(5a)のいずれかで表されるフラーレン誘導体であることが好ましく、式(3a)又は式(5a)で表されるフラーレン誘導体であることがより好ましく、式(5a)で表されるフラーレン誘導体であることがさらに好ましい。
式(1a)、式(1a’)、式(3a)又は式式(5a)のいずれかで表されるフラーレン誘導体は、シクロペンテン環構造が置換基としてアルキル基又はシクロアルキル基を有する場合、アルキル基又はシクロアルキル基の炭素原子数は奇数であることが好ましい。
電子輸送層は、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体以外の電子輸送性材料を含んでいてもよい。式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体以外の電子輸送層に含まれていてもよい電子輸送性材料は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。
有機化合物である電子輸送性材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。 低分子化合物である電子輸送性材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60フラーレン等のフラーレン及びそれらの誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。フラーレン誘導体は、カーボンナノチューブであってもよい。
高分子化合物である電子輸送性材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を含むポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体以外の電子輸送層に含まれていてもよい電子輸送性材料としては、これらのなかでも、フラーレン及びその誘導体(ただし、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体を除く。)が好ましい。
フラーレン及びその誘導体(ただし、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体を除く。)としては、例えば、C60フラーレン、C70フラーレン、及びC70フラーレンよりも炭素原子数が大きいフラーレン、並びにそれらの誘導体が挙げられる。C60フラーレンの誘導体(ただし、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体を除く。)としては、例えば、下記のフラーレン誘導体が挙げられる。
Figure 0006697820
無機化合物である電子輸送性材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、FTO、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)が挙げられ、これらの中でも、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛又はアルミニウムドープ酸化亜鉛が好ましい。
式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体の他に、無機化合物である電子輸送材料を含む電子輸送層を形成する際には、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体に加えて、無機化合物を粒子状にして塗布液に含有させ、この塗布液を塗布することにより、電子輸送層を形成することが好ましい。粒子状の無機化合物を含む電子輸送材料としては、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛又はアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子を含む電子輸送材料が好ましい。無機化合物である電子輸送材料は、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛又はアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子のみからなることが好ましい。酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛又はアルミニウムドープ酸化亜鉛の球相当の平均粒子径は、1nm〜1000nmであることが好ましく、10nm〜100nmであることがより好ましい。平均粒子径はレーザー光散乱法、X線回折法によって測定され得る。
電子輸送層の厚さは、1nm〜10μmであることが好ましく、1nm〜1000nmであることがより好ましい。
(電子注入層)
電子注入層としては、例えば、アルカリ土類金属酸化物を含む層が挙げられる。アルカリ土類金属酸化物は、CaO、BaO及びSrOからなる群より選ばれる1以上であるが好ましく、BaO及び/又はSrOであることがより好ましく、BaOであることがさらに好ましい。
<光電変換素子の製造方法>
本発明の光電変換素子に含まれる陰極、陽極、活性層、電子輸送層及び必要に応じて含まれる他の要素の製造方法について、以下に詳しく説明する。必要に応じて含まれる他の要素としては、支持基板、正孔注入層、正孔輸送層等が挙げられる。
(電極の形成方法)
電極の形成方法に特に制限はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等によって電極を形成すべき層上又は支持基板上に形成することができる。
電極の材料が、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ナノ粒子、ナノワイヤ又はナノチューブを含むエマルション(乳濁液)又はサスペンション(懸濁液)等である場合、塗布法によって電極を形成することが好ましい。
電極が導電性物質を含む場合、導電性物質を含む塗布液、金属インキ、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって電極を形成してもよい。 塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
上記のエマルション又はサスペンションに含まれ得る導電性物質としては、金、銀等の金属、ITO等の金属酸化物からなるナノ粒子、ナノワイヤ若しくはナノチューブ又はカーボンナノチューブ等が挙げられる。
電極を塗布法により形成する際に用いる塗布液の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベゼン、tert−ブチルベンゼン等の炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒、水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
(正孔注入層の形成方法)
正孔注入層の形成方法は特に限定されない。正孔注入層は、例えば前述した正孔注入層の構成材料と溶媒とを含む塗布液を、正孔注入層が形成されるべき層に塗布することにより形成することができる。塗布液は、溶液であっても、溶液でなくともよく、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。
形成工程をより簡便にする観点から、前記正孔注入層は塗布法により形成することが好ましい。
正孔注入層を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒の例としては、水、アルコール、ケトン、炭化水素等が挙げられる。
アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。
ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。
溶媒は、2種類以上の成分を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。塗布液における前記溶媒の量は、前記正孔注入層の構成材料に対し、1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
正孔注入層の構成材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法の具体例及び好ましい例としては、既に説明した電極の塗布法として挙げられた具体例及び好ましい例が挙げられる。
塗布液の塗布後において、溶媒を除去することが好ましい。溶媒を除去する方法として、加熱処理、風乾処理、減圧処理等が挙げられる。
(正孔輸送層の形成方法)
正孔輸送層は、既に説明した正孔注入層と同様にして形成することができる。正孔輸送層の構成材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する形成方法の具体例及び好ましい例としては、正孔注入層を形成する方法において既に説明した方法が挙げられる。
前記塗布液の塗布後に、正孔輸送層を形成するにあたり溶媒を除去することが好ましい。溶媒を除去する方法としては、正孔注入層の形成工程において溶媒を除去する方法として既に説明した方法が挙げられる。
(活性層の形成方法)
ペロブスカイト化合物を含む活性層を形成する方法は特に制限されない。活性層の形成方法としては、例えば、塗布法が挙げられる。活性層の形成工程をより簡便にする観点からはペロブスカイト化合物を含む活性層を塗布法によって形成することが好ましい。
塗布法に用いられ得る塗布液は、前記ペロブスカイト化合物を含む溶液であっても、活性層の形成後にペロブスカイト化合物に自己組織化反応により変換し得る前駆体を含む溶液であってもよい。このような前駆体としては、例えば、CHNHPbI、CHNHPbBr、(CH(CHCHCHNHPbI(ここでnは5〜8の整数である。)、(CNHPbBrが挙げられる。
前記式(9)〜式(11)で表されるペロブスカイト化合物を含む活性層は、金属ハロゲン化物を含む溶液を、活性層が形成されるべき層の上に塗布した後に、形成された金属ハロゲン化物の膜に、ハロゲン化アンモニウムを含む溶液、ハロゲン化アミン又はホルムアミジンハロゲン化水素酸塩を含む溶液をさらに塗布する方法、又は形成された金属ハロゲン化物の膜を、ハロゲン化アンモニウムを含む溶液、ハロゲン化アミン又はホルムアミジンハロゲン化水素酸塩を含む溶液に浸漬する方法によっても形成することができる。
例えば、ペロブスカイト化合物を含む活性層は、活性層が形成されるべき層の上に、ヨウ化鉛を含む溶液を塗布し、形成されたヨウ化鉛の膜にヨウ化メチルアンモニウムを含む溶液を塗布することによって形成することができる。
前記ペロブスカイト化合物を含む塗布液、前記金属ハロゲン化物を含む溶液、前記ハロゲン化アンモニウムを含む溶液及び前記ハロゲン化アミンを含む溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
塗布法によりペロブスカイト化合物を含む活性層を形成する場合、塗布法に用いられる塗布液にはペロブスカイト化合物又はペロブスカイト化合物の前駆体の他に、溶媒が含まれていてもよく、溶媒が含まれていることが好ましい。
前記活性層を形成するための塗布液を調製するための溶媒としては、エステル類(例、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例、γ-ブチロラクトン、N−メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド溶剤(例、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ニトリル溶剤(例、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボネート溶剤(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
これらの溶媒を構成する化合物は分岐構造若しくは環状構造を有していてもよく、エステル類、ケトン類、エーテル類及びアルコール類の官能基(即ち、−O−、−(C=O)−、−COO−、−OH)のうちの2つ以上を有する化合物であってもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類及びアルコール類の炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。また前記活性層を形成するための塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
塗布液に用いられる溶媒の量に特に制限はない。用いられる溶媒の量は、ペロブスカイト化合物又はペロブスカイト化合物の前駆体の重量に対して、1倍以上10000倍以下の重量であることが好ましく、10倍以上1000倍以下の重量であることがより好ましい。例えば、前記金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アミンの重量に対し、溶媒はそれぞれ1倍以上10000倍以下の重量とすることが好ましく、10倍以上1000倍以下の重量とすることがより好ましい。
活性層を形成するための塗布液は、溶液であっても、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。
前記塗布液の塗布後において、前記活性層を形成するにあたり溶媒を除去することが好ましい。溶媒を除去する方法として、加熱処理、風乾処理、減圧処理等が挙げられる。
(電子輸送層の形成方法)
電子輸送層の形成方法に特に制限はない。電子輸送層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、塗布法が挙げられる。電子輸送層は、塗布法により形成することが好ましい。電子輸送層を塗布法により形成する際に用いられる塗布液は、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体に加えて、必要に応じて他の電子輸送性材料を含み得る。電子輸送層は、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体と必要に応じて添加される他の電子輸送性材料と溶媒とを含む塗布液を、活性層に塗布することにより形成することが好ましい。塗布液は、塗布液が塗布される層(活性層など)に損傷を与えないか又は与え難い塗布液を用いることが好ましく、具体的には塗布液が塗布される層(活性層など)を溶解しないか又は溶解し難い塗布液とすることが好ましい。塗布液は、溶液であっても、溶液でなくともよく、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。
前記電子輸送層を形成するための塗布液に含まれる溶媒としては、例えばアルコール、ケトン、炭化水素等が挙げられる。
アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。
ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、
炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。
電子輸送層を形成するための塗布液は、2成分以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。用いられる前記溶媒の量は、式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体及び必要に応じて添加される他の電子輸送性材料の重量に対し、1倍以上10000倍以下の重量であることが好ましく、10倍以上1000倍以下の重量であることがより好ましい。
前記溶媒と、前記式(1a)又は(1b)で表されるフラーレン誘導体と、必要に応じて他の電子輸送性材料とを含む塗布液は、濾過して用いることが好ましく、孔径0.5μmの含フッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))製のフィルター等を用いて濾過することが好ましい。
前記塗布液を塗布して電子輸送層を形成するにあたり、溶媒を除去することが好ましい。溶媒を除去する方法としては、活性層の形成方法において説明した溶媒を除去する方法と同様の方法が挙げられる。
(フラーレン誘導体の製造方法)
以下に、電子輸送層に含まれるフラーレン誘導体の製造方法を示す。
(製造方法例1)
前記式(1a)及び式(1b)で表されるフラーレン誘導体であって、R、Rが−C(=O)Qで表される基でありR、R及びRが水素原子である、下記式(1a’)及び下記式(1b’)で表されるフラーレン誘導体は、Journal of Organic Chemistry 2013年 第78巻 1163ページから1170ページに記載されているように、例えば、フラーレンと下記式(A1)又は式(B1)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
Figure 0006697820
Figure 0006697820
式(A1)、式(1a’)、式(B1)及び式(1b’)中、R、R及びQは既に説明したとおりであり、Rはアリール基又はヘテロシクリル基であることが好ましい。
(製造方法例2)
前記式(3a)及び式(3b)で表されるフラーレン誘導体であってR、R及びRが水素原子である、下記式(3a’)及び下記式(3b’)で表されるフラーレン誘導体は、例えば、Journal of Organic Chemistry 2013年 第78巻 1163ページから1170ページに記載されているように、フラーレンと下記式(A2)で表される化合物又は下記式(B2)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
Figure 0006697820
Figure 0006697820
式(A2)、(3a’)、式(B2)及び式(3b’)中、R、R及びQ’は、既に説明したとおりである。
フラーレンと前記式(A1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(B1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(A2)で表される化合物との反応、及びフラーレンと前記式(B2)で表される化合物との反応に用いられるフラーレンの炭素原子数は特に限定されない。用いられ得るフラーレンは、C60フラーレン、C70フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン等のいずれであってもよいが、C60フラーレンを用いることが好ましい。
フラーレンと前記式(A1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(B1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(A2)で表される化合物との反応、及びフラーレンと前記式(B2)で表される化合物との反応は、無溶媒の条件で反応させることも可能であるが、溶媒中で反応させることが好ましい。
これらの反応に用いられ得る溶媒としては、芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、ハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、二硫化炭素などを用いることができる。これらの中でも芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
芳香族炭化水素溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クメン、エチルベンゼン、テトラリンなどが挙げられる。
ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒の例としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼンなどが挙げられる。
溶媒としては、好ましくはトルエン、キシレンであり、特に好ましくはトルエンである。
フラーレンと前記式(A1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(B1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(A2)で表される化合物との反応、及びフラーレンと前記式(B2)で表される化合物との反応においては、塩基性化合物を共存させると転化率を向上させることができるために好ましい。
用いられ得る塩基性化合物の例としてはピリジン、ピペリジン、ピリミジン、キノリン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどが挙げられる。かかる塩基性化合物としては、好ましくはピリジン、ピペリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンであり、特に好ましくはN,N−ジメチル−4−アミノピリジンである。
フラーレンと前記式(A1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(B1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(A2)で表される化合物との反応、及びフラーレンと前記式(B2)で表される化合物との反応においては、酸又は酸無水物を共存させると転化率を向上させることができるために好ましい。
用いられ得る酸の例としては、酢酸、シュウ酸、酪酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、ギ酸が挙げられる。酸無水物の例としては無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられる。このような酸又は酸無水物の中でも酢酸又は無水酢酸が好ましく、無水酢酸がより好ましい。
フラーレンと前記式(A1)で表される化合物の反応、フラーレンと前記式(B1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(A2)で表される化合物との反応、及びフラーレンと前記式(B2)で表される化合物との反応は大気中で行うことが可能である。副生物の生成を低減して転化率をより向上させる観点から、これらの反応は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。用いられ得る不活性ガスの例としては窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。
フラーレンと前記式(A1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(B1)で表される化合物との反応、フラーレンと前記式(A2)で表される化合物との反応、及びフラーレンと前記式(B2)で表される化合物との反応は、通常0℃から用いられ得る溶媒の沸点程度の温度で行われ、50℃〜溶媒の沸点程度の温度で行われることが好ましい。
反応後、反応生成物を室温まで放冷し、溶媒を減圧留去することで、反応混合物が得られる。
前記反応混合物は、通常、フラーレン誘導体、反応の副生物及び未反応の原料等を含む。該反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー法により分離精製し、フラーレン誘導体を得ることができる。
高純度のフラーレン誘導体を得るための精製方法としては、例えば、二硫化炭素と酢酸エステルとを展開溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する方法及び芳香族炭化水素と酢酸エステルとを展開溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する方法が挙げられる。
高純度のフラーレン誘導体を得る精製方法としては、芳香族炭化水素と酢酸エステルとを展開溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する方法が好ましい。シリカゲルカラムクロマトグラフィーとしては、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーが好ましい。
フラーレン誘導体において、例えば光学異性体などの立体異性体が存在する場合には、複数種類の立体異性体を含んだ状態で用いてよく、また溶媒への溶解性、光電変換素子の特性などを勘案して、単一の立体異性体として分取して用いてもよい。単一の立体異性体を分取する場合には、分取薄層クロマトグラフィーなどの方法を用いることができる。
原料である化合物(A1)、化合物(A2)、化合物(B1)及び化合物(B2)、及びフラーレンの使用量、反応時間、反応温度といった反応条件等を適宜調整することで、フラーレン骨格に結合し得る構造の数(n)を調節することができ、また分離精製条件を適宜調整することにより、所望の数の構造がフラーレン骨格に結合したフラーレン誘導体を選択的に得ることができる。
(電子注入層の形成方法)
電子注入層の形成方法は特に限定されない。電子注入層は、例えば、真空蒸着法、塗布法等によって形成ることができ、塗布法により形成することが好ましい。
電子注入層は、例えば、前述のアルカリ土類金属酸化物と溶媒とを含む塗布液を塗布することにより形成することができる。
電子注入層を形成するための塗布液は、溶液であってもよく、溶液でなくてもよく、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。
塗布法としては、活性層の形成方法で例示した塗布法と同様の方法が挙げられる。
塗布液は、塗布液が塗布される層に与える損傷が少ないものを用いることが好ましく、具体的には塗布液が塗布される層を溶解し難いものが好ましい。
塗布液に含まれる溶媒としては、活性層の形成方法で例示した溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、溶媒を2種類以上含んでいてもよい。溶媒は、後述する電子注入層の形成材料に対し、1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
溶媒と、前述アルカリ土類金属酸化物とを含む塗布液は、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルター等で濾過することが好ましい。
<光電変換素子の用途>
本発明の光電変換素子は、透明又は半透明の電極側に太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、太陽電池として動作させることができる。本発明の光電変換素子を含む太陽電池は、活性層に有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物を含む有機無機ペロブスカイト太陽電池であることが好ましい。このような太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
また、本発明の光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明又は半透明の電極側に光を照射することにより、光電流を流すことができ、光センサーとして動作させることができる。このような光センサーを複数集積することによりイメージセンサーとして用いることもできる。
<フラーレン誘導体の用途>
本発明に係る、前述の式(4a)で表されるフラーレン誘導体、式(4b)で表されるフラーレン誘導体、下記式(5a)で表されるフラーレン誘導体又は下記式(5b)で表されるフラーレン誘導体の、光電変換素子の電子輸送層以外の用途としては、溶媒可溶性のn型半導体であることから、塗布型トランジスタ、塗布型発光素子、塗布型熱電変換素子、などへの適用が考えられる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
試薬及び溶媒は市販品をそのまま使用した。C60フラーレンはフロンティアカーボン社製の製品を使用した。
H NMR及び13C NMRスペクトルはJEOL MH500で測定し、H NMRは溶媒として重クロロホルム又は重クロロホルム/二硫化炭素を用い、重クロロホルム(7.26ppm)を内部標準に使用した。13C NMRは溶媒として重クロロホルム、重クロロホルム/二硫化炭素又は重クロロホルム/o−ジクロロベンゼンを用い、重クロロホルム(77.16ppm)を内部標準に使用した。赤外吸収スペクトルはPerkinElmer Spectrum 65 FT−IR又はSHIMADZU FT−IR 8000を使用して測定した。MALDI−TOF MSスペクトルはBRUKER Auto FLEX−T2で測定した。ESI−MSはThermo Scientific Exactiveにより測定した。
[合成例1]フラーレン誘導体1の合成
下記式で表されるフラーレン誘導体1を下記のスキームに従って合成した。
Figure 0006697820
化合物A フラーレン誘導体1
二口ナスフラスコ (300mL)にフラーレンC60 (360mg、0.50mmol)、化合物A (487mg、1.50mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(N,N−dimethyl−4−aminopyridine)(183mg、1.50mmol)を加え、アルゴン置換をした。脱水トルエン(toluene)(160mL)を加え、超音波振動を行い紫色の均一な溶液とした後に、無水酢酸 (acetic anhydride)(153mg、1.50mmol)を加え、反応容器を120℃にて5時間加熱した。反応容器を室温まで冷却後、ロータリーエバポレーターで反応混合物を濃縮した。内容物をメタノールに加え、生じた茶色沈殿をメンブランフィルター法で濾過した。濾過した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を二硫化炭素に溶解させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Wakogel(登録商標) C−300E/トルエン:酢酸エチル =8:1、5:1、1:1(体積比))と分取薄層クロマトグラフィー(二硫化炭素:酢酸エチル=10:1(体積比))にて精製し、フラーレン誘導体1を収量120mg(0.15mmol)、収率10%で得た。
[合成例2]フラーレン誘導体2の合成
下記式で表されるフラーレン誘導体2を下記のスキームに従って合成した。

Figure 0006697820
化合物B フラーレン誘導体2
二口ナスフラスコ (300mL)にフラーレンC60(360mg、0.50mmol)、化合物B(381mg、1.50mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(N,N−dimethyl−4−aminopyridine)(183mg、 1.50mmol)を加え、アルゴン置換をした。脱水トルエン(toluene)(160mL)を加え、超音波振動を行い紫色の均一な溶液とした後に、無水酢酸 (acetic anhydride)(153mg、1.50mmol)を加え、反応容器を120℃にて6時間加熱した。反応容器を室温まで冷却後、ロータリーエバポレーターで反応混合物を濃縮した。内容物をメタノールに加え、生じた茶色沈殿をメンブランフィルター法で濾過した。濾過した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を二硫化炭素に溶解させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Wakogel(登録商標)C−300E/トルエン:酢酸エチル=8:1、5:1、1:1(体積比))と分取薄層クロマトグラフィー(二硫化炭素:酢酸エチル=10:1(体積比))にて精製し、フラーレン誘導体2を収量160mg(0.22mmol)、収率15%で得た。
[合成例3]フラーレン誘導体3の合成
下記式で表されるフラーレン誘導体3を下記のスキームに従って合成した。
Figure 0006697820
化合物C フラーレン誘導体3
二口ナスフラスコ(300mL)にフラーレンC60(360mg、0.50mmol)、化合物B(420mg、1.50mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(N,N−dimethyl−4−aminopyridine)(183mg、1.50mmol)を加え、アルゴン置換をした。脱水トルエン(toluene)(160mL)を加え、超音波振動を行い紫色の均一な溶液とした後に、無水酢酸(acetic anhydride)(153mg、1.50mmol)を加え、反応容器を120℃にて40時間加熱した。反応容器を室温まで冷却後、ロータリーエバポレーターで反応混合物を濃縮した。内容物をメタノールに加え、生じた茶色沈殿をメンブランフィルター法で濾過した。濾過した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を二硫化炭素に溶解させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Wakogel(登録商標)C−300E/トルエン:酢酸エチル=8:1、5:1、1:1(体積比))と分取薄層クロマトグラフィー(二硫化炭素:酢酸エチル=10:1(体積比))にて精製し、フラーレン誘導体3を収量158mg(0.22mmol)、収率20%で得た。
[合成例4]フラーレン誘導体4の合成
下記式で表されるフラーレン誘導体4を下記のスキームに従って合成した。

Figure 0006697820
フラーレン誘導体4
二口ナスフラスコ(容量300mL)にC60フラーレン(360mg、0.50mmol)、2−(メトキシエトキシ)エチル2−(ヒドロキシ(チオフェン−2−イル)メチル)アクリレイト(2−(2−methoxyethoxy)ethyl 2−(hydroxy(thiophen−2−yl)methyl)acrylate)(430mg、1.50mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(N,N−dimethyl−4−aminopyridine)(183mg、1.50mmol)を加え、内部の気体をアルゴンガスで置換した。脱水トルエン(toluene)(160mL)を加えて超音波振動を行い、紫色の均一な溶液とした後に、無水酢酸(acetic anhydride)(153mg、1.50mmol)を加え、反応容器を120℃にて5時間加熱した。反応容器を室温まで冷却後、ロータリーエバポレーターで反応混合物を濃縮した。反応混合物をメタノールに加え、生じた茶色沈殿をメンブランフィルターで濾過した。濾過により得られた茶色沈殿をメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。得られた固体を二硫化炭素に溶解させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Wakogel(登録商標)C−300E/トルエン:酢酸エチル=8:1、5:1、1:1(体積比))と分取薄層クロマトグラフィー(二硫化炭素:酢酸エチル=10:1(体積比))にて精製し、フラーレン誘導体4を収量200mg(0.20mmol)、収率40%で得た。
[合成例5]組成物1の調製
ヨウ化鉛460mgを1.25mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、70℃で攪拌することで完溶させることにより、組成物1を調製した。
[合成例6]組成物2の調製
ヨウ化メチルアンモニウム55mgを1mLの2−プロパノールに完溶させることにより、組成物2を調製した。
[合成例7]組成物3の調製
フラーレンの誘導体として2重量部の[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)(フロンティアカーボン社製 E100)と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合して完溶させることにより、組成物3を調製した。
[合成例8]組成物4の調製
2重量部のフラーレン誘導体1と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合して完溶させることにより、組成物4を調製した。
[合成例9]組成物5の調製
2重量部のフラーレン誘導体2と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合して完溶させることにより、組成物5を調製した。
[合成例10]組成物6の調製
2重量部のフラーレン誘導体3と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合して完溶させることにより、組成物6を調製した。
[合成例11]組成物7の調製
2重量部のフラーレン誘導体4と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合して完溶させることにより、組成物7を調製した。
[合成例12]組成物8の製造
下記繰り返し単位を持つ高分子化合物(シグマアルドリッチ社製Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn 7,000−10,000)を0.5重量部、溶媒として100重量部のクロロベンゼンを混合し完溶させて、組成物8を調整した。
Figure 0006697820
[実施例1]光電変換素子(太陽電池)の作製、評価
陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタリング法によって形成され、その厚さは150nmであった。前記ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。前記ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。組成物8をスピンコートにより塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚約10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層を形成した基板を70℃に加熱した後、スピンコーターのチャック上に載せ、基板に形成された正孔注入層上に、70℃に加熱した組成物1を2000rpmの回転数でスピンコーターを用いて塗布し、窒素ガス雰囲気下で風乾させ、ヨウ化鉛層を得た。その後、ヨウ化鉛層上に前記組成物2を滴下し、6000rpmでスピンコートし、大気中100℃で10分間乾燥させることで、有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物を含む活性層を形成した。活性層の厚さは約350nmであった。
次に、活性層上に組成物4をスピンコーターを用いて塗布し、厚さ約50nmの電子輸送層を形成した。その後、真空蒸着機により酸化バリウムを厚さ2nmで蒸着し、次いで、金を厚さ60nmで蒸着することにより、陰極を形成した。蒸着のときの真空度は、すべての蒸着工程において1×10−3〜9×10−3Paとした。その後、窒素ガス雰囲気下において、UV硬化性エポキシ樹脂を用いて封止ガラスを光電変換素子の陰極側の面にUV硬化によって接着して封止することによって太陽電池を作製した。こうして得られた太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。
得られた太陽電池に、UVカットフィルム(3M社製LR2CLAR)を貼り付けた後、ソーラシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定して、初期の光電変換効率(初期効率)を測定した。初期効率は、11.4%であった。その後、UVカットフィルム付きの太陽電池(光電変換素子)を1Sunの光強度で65℃の一定温度の条件の耐候性試験機(東洋精機製作所製Ci4000)中に66時間保持した後、ソーラシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の光を太陽電池に照射し、発生する電流と電圧を測定して、66時間後の光電変換効率(66時間後の効率)を測定した。(66時間後の効率)/(初期効率)の値を光電変換効率の保持率として算出し、電子輸送層の形成に使用された組成物と併せて表1に示した。
[実施例2〜4]太陽電池の作製、評価
電子輸送層の作成に使用した組成物4を、組成物5〜7に変更した以外は、実施例1と同様にして太陽電池を作成し、初期効率と66時間後の効率とを測定した。実施例2、3及び4の初期効率は、それぞれ15.7%、16.2%及び14.3%であった。(66時間後の効率)/(初期効率)の値を光電変換効率の保持率として算出し、電子輸送層の形成に使用された組成物と併せて表1に示した。
[比較例1]太陽電池の作製、評価
電子輸送層の作成に使用した組成物4を、組成物3に変更した以外は、実施例1と同様にして太陽電池を作製し、初期効率と66時間後の効率とを測定した。初期効率は、16.5%であった。(66時間後の効率)/(初期効率)の値を光電変換効率の保持率として算出し、電子輸送層の作成に使用された組成物と併せて表1に示した。
Figure 0006697820
表1から明らかなように、ペロブスカイト化合物を含む活性層と式(1a)で表されるフラーレン誘導体を含む電子輸送層とを有する実施例1〜4記載の光電変換素子は、比較例1記載の光電変換素子と比較して、光電変換効率の保持率が顕著に高く、光照射に対する高い耐久性を有していた。

Claims (9)

  1. 陰極と、
    陽極と、
    陰極及び陽極の間に設けられたペロブスカイト化合物を含む活性層と、
    陰極及び活性層の間に設けられた下記式(1a)又は式(1b)で表されるフラーレン誘導体を含む電子輸送層と
    を有する光電変換素子。
    Figure 0006697820
    〔式(1a)及び(1b)中、
    環Aはフラーレン骨格を表す。
    、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、オキソ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表し、点線は、R、RおよびRがオキソ基である場合、二重結合であることを表し、それ以外の基である場合は単結合であることを表す。
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基、−(C=O)Qで表される基、−COOQ’で表される基又は下記式(2)で表される基を表す。
    Qは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
    Q’は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜80のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜60のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素基又は下記式(2)で表される基を表す。
    nは、1以上の整数を表す。〕
    Figure 0006697820
    〔式(2)中、
    mは1〜6の整数を表す。
    qは1〜4の整数を表す。
    Xは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数6〜60のアリール基を表す。
    mが複数個ある場合、複数個あるmは同一であっても異なっていてもよい。〕
  2. 前記ペロブスカイト化合物が、有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物である、請求項1記載の光電変換素子。
  3. 前記式(1a)で表されるフラーレン誘導体が下記式(1a’)で表されるフラーレン誘導体であり、前記式(1b)で表されるフラーレン誘導体が下記式(1b’)で表されるフラーレン誘導体である、請求項1又は2記載の光電変換素子。
    Figure 0006697820
    〔式(1a’)及び式(1b’)中、
    環A、n、R、R、R、R、R、点線及びQは、それぞれ上述と同じ意味を表す。〕
  4. 前記式(1a)で表されるフラーレン誘導体が下記式(3a)で表されるフラーレン誘導体であり、前記式(1b)で表されるフラーレン誘導体が下記式(3b)で表されるフラーレン誘導体である、請求項1又は2記載の光電変換素子。
    Figure 0006697820
    〔式(3a)及び式(3b)中、
    環A、n、R、R、R、R、R、点線及びQ’は、それぞれ上述と同じ意味を表す。〕
  5. 前記Qが前記式(2)で表される基である、請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  6. 前記nが1である、請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  7. 支持基板をさらに含み、該支持基板、前記陽極、前記活性層、前記電子輸送層及び前記陰極がこの順に設けられている、請求項1〜のいずれか一項記載の光電変換素子。
  8. 陽極及び活性層の間に設けられた、芳香族アミン化合物及び芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上を含む正孔注入層をさらに有する、請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  9. 請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子を含む光センサー。
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