JPWO2016017611A1 - 二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルム - Google Patents

二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルム Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、VO2の含有量を高くでき、かつ、平均粒径及び形状の制御が可能な二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルムを提供することである。当該二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法であって、少なくとも、親水性高分子と、還元剤と、水と、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物と、を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム含有微粒子を形成することを特徴とする。

Description

本発明は、二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルムに関する。より詳しくは、二酸化バナジウムの含有量を高くでき、かつ、平均粒径及び形状の制御が可能な二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルムに関する。
例えば、住宅やビル等の建物及び車両などの移動体等では、内部(例えば、室内、車両内。)と外部環境との間で大きな熱交換が生じるか所(例えば、窓ガラス)において、省エネ性と快適性とを両立するために、熱の遮断又は透過を制御可能なサーモクロミック性を有する材料(以下、「サーモクロミック材料」ともいう。)の適用が期待されている(例えば非特許文献1)。
上記「サーモクロミック材料」とは、例えば透明状態/反射状態等の光学的な性質が、温度により変化する材料である。具体的には、例えば、温度が高い場合は反射状態となり、温度が低い場合は透明状態となる材料である。このようなサーモクロミック材料を、例えば、建物の窓ガラスに適用した場合には、夏には太陽光を反射させて熱を遮断でき、冬には太陽光を透過させて熱を利用できるため、この結果、省エネ性と快適性とを両立できる。
現在、最も着目されているサーモクロミック材料の一つに、二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する二酸化バナジウム含有微粒子(以下、単に「VO2微粒子」ともいう。)がある。VO2は、室温付近での相転移の際に、サーモクロミック性(温度により、光学特性が可逆的に変化する性質)を示すことが知られている。したがって、この性質を利用することにより、環境の温度に依存するサーモクロミック性を得ることができる。
サーモクロミック性を有する部材(フィルムなど)の形成方法として、VO2微粒子又はその分散液を調製し、これを例えば接着材を介して、サーモクロミック性を発現させたい部材に接着することにより、サーモクロミック性を有する部材を製造することが検討されている(例えば特許文献1、2)。
ここで、VO2の結晶構造には、A相、B相、C相及びR相(いわゆる「ルチル型の結晶相」のこと。)など、いくつかの結晶相の多形が存在する。この中でも、前述のようなサーモクロミック性を示す結晶構造は、R相に限られる。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。このようなVO2微粒子において、実質的に優良なサーモクロミック性を発現させるためには、VO2微粒子が凝集していないこと、平均粒径がナノオーダー(100nm以下)であること、粒子が等方的な形状を有していることが望ましい。
前述の特許文献1、2などの従来文献により、水熱反応によるR相のVO2微粒子の製作方法について、幾つか報告されている。
しかしながら、特許文献1に示す水熱反応で得られるVO2微粒子は、二酸化チタン(TiO2)微粒子上にVO2をエピタキシャル成長させたものであるので、得られる微粒子におけるVO2の含有量が低いという問題を有している。
一方、特許文献2に示す水熱反応で得られるVO2微粒子は、還元効果の強い還元剤を使用して形成されたものである。このような水熱反応による形成方法には、核の成長過程中に核同士が無秩序に凝集してしまうので、得られるVO2微粒子の平均粒径及び形状が制御困難となる問題がある。
特開2010−031235号公報 特開2011−178825号公報
井上 悟 等(2006年) 「機能性ガラス・ナノガラスの最新技術」エヌ・ティー・エス社出版、第5編3節pp.304〜322
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、VO2の含有量を高くでき、かつ、平均粒径及び形状の制御が可能な二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、親水性高分子を混ぜて二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する二酸化バナジウム含有微粒子(以下、単に「VO2微粒子」ともいう。)を合成すると、親水性高分子が保護コロイドとしてVO2微粒子表面に吸着し、これにより、立体反発力により凝集が抑制されるため、粒径が均一なVO2微粒子が合成できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法であって、
少なくとも、親水性高分子と、還元剤と、水と、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物と、を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム含有微粒子を形成することを特徴とする二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
2.前記二酸化バナジウム含有微粒子の平均粒径が、5〜50nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
3.前記二酸化バナジウム含有微粒子の粒径分布のCV値が、40以下であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
4.前記水熱反応が、液温150〜250℃の範囲内で行われることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
5.前記親水性高分子が、少なくとも窒素原子又はヒドロキシ基を有する水溶性高分子であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
6.前記反応液が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選定される、少なくとも一種の原子を含む化合物を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法で製造された二酸化バナジウム含有微粒子であって、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有微粒子。
8.第7項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子を含有することを特徴とする分散液。
9.透明基材上に少なくとも樹脂を含有する光学機能層を有する光学フィルムであって、第7項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
本発明の上記手段により、VO2の含有量を高くでき、かつ、平均粒径及び形状の制御が可能な二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
親水性高分子を混ぜてVO2微粒子を水熱反応によって合成すると、親水性高分子が保護コロイドとしてVO2微粒子の表面に吸着する。この表面に吸着した親水性高分子によって、VO2微粒子間に立体反発力が働き、この結果、VO2微粒子が凝集することが抑制される。
すなわち、本発明者は、上述の合成によれば、このような凝集抑制効果が発現するので、粒径が均一なVO2微粒子が合成できることを見いだし本発明に至った。
また、本発明者は、VO2に対して吸着性の強い親水性高分子を混合すれば、VO2微粒子が核生成してすぐに表面を被覆できるので、VO2微粒子の小粒径化も可能であることも見いだした。
本発明に係る光学フィルムの基本的な構成例を示す概略断面図 近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルムの層配置の一例を示す概略断面図 近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルムの層配置の他の例を示す概略断面図 近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルムの層配置の他の例を示す概略断面図 近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルムの構成の一例を示す概略断面図 近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図 近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図 透明基材の両面に近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルの構成の一例を示す概略断面図 ポリマー層積層体により形成した近赤外光遮蔽層を有する本発明に係る光学フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図
本発明の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法であって、少なくとも、親水性高分子と、還元剤と、水と、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物と、を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム含有微粒子を形成することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項9までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、二酸化バナジウム含有微粒子の平均粒径が、5〜50nmの範囲内であることが、当該二酸化バナジウム含有微粒子を含有する光学フィルム等にヘイズが発生することを抑制でき、また、可視光透過率を向上できるため好ましい。
本発明においては、前記二酸化バナジウム含有微粒子の粒径分布のCV値が、40以下であることが、当該二酸化バナジウム含有微粒子を含有する光学フィルム等にヘイズが発生することを抑制でき、また、可視光透過率を向上できるため好ましい。
また、本発明においては、水熱反応が、液温150〜250℃の範囲内で行われることが、親水性高分子の分解を抑制し、さらに、二酸化バナジウム含有微粒子を小粒径化できるため、好ましい。
さらに、本発明においては、親水性高分子が、少なくとも窒素原子又はヒドロキシ基を有する水溶性高分子であることが好ましい。これは、このような水溶性高分子は、酸化物の微粒子に対して吸着性が強いため、本発明に係る親水性高分子として採用すれば、二酸化バナジウム含有微粒子を更に小粒径化し、粒径を均一化できるためである。
本発明においては、前記反応液が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選定される、少なくとも一種の原子を含む化合物を含有していてもよい。これにより、二酸化バナジウム含有微粒子の相転移(サーモクロミック)温度を変化させることができる。
さらに、本発明の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法で製造された二酸化バナジウム含有微粒子は、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有することが好ましい。このような微粒子は、VO2の含有量が高く、小粒径でありかつ、粒径が均一である。このため、当該二酸化バナジウム含有微粒子を、光学フィルム等に採用すると、ヘイズの影響を低減できるので、透明性の高い光学フィルム等を提供できる。
本発明の二酸化バナジウム含有微粒子は、分散液に含有されていてもよい。当該分散液をフィルム等に塗布すれば、小粒径、かつ均一粒径な二酸化バナジウム含有微粒子を含有しているため、ヘイズの影響を低減できるので、透明性の高い光学フィルム等を提供できる。
本発明の二酸化バナジウム含有微粒子は、透明基材上に少なくとも樹脂を含有する光学機能層を有する光学フィルムに含有されていてもよい。これにより、ヘイズの影響が低減した透明性の高い光学フィルムを提供できる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法の概要≫
本発明の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法であって、少なくとも、親水性高分子と、還元剤と、水と、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物と、を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム含有微粒子を形成することを特徴とする。
以下に、本発明のサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する微粒子(以下、「VO2微粒子」又は単に「微粒子」ともいう。)の製造方法について詳細に説明する。
[1:反応液の調製]
まず、少なくとも、親水性高分子と、還元剤と、水と、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物(以下、「バナジウム化合物」ともいう。)と、を含む溶液を混ぜて反応液を調製する。この反応液は、バナジウム化合物が水中に溶解した水溶液であっても良いし、バナジウム化合物が水中に分散した懸濁液であっても良い。
なお、本発明に係る反応液とは、水熱反応をする溶液全量を指す。
<少なくともバナジウム(V)を含有する化合物>
上記少なくともバナジウム(V)を含有する化合物は、五価のバナジウム(V)の化合物であれば、特に限定されず、例えば、五酸化二バナジウム(V25)、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3)、三塩化酸化バナジウム(VOCl3)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO3)が含まれる。
<還元剤>
本発明に係る還元剤は、水に容易に溶解する性質を有し、かつ、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物の還元剤として機能すればよく、例えば、ヒドラジン(N24)及びヒドラジン一水和物などのヒドラジンの水和物(N24・nH2O)などが挙げられる。
<水>
本発明に係る水は、特に限定されないが、不純物の少ない高純度のものが好ましく、具体的には、イオン交換水、蒸留水等の精製水を用いることができる。
<親水性高分子>
本発明に係る親水性高分子は、VO2微粒子表面へ吸着し、立体反発力による凝集抑制効果を発現する機能を有していれば、天然物、合成化合物を問わず用いることができ、更には水溶性高分子であることが望ましい。
なお、本発明において、親水性高分子とは、好ましくは、水分子と水素結合を形成し得る基を有する高分子のことであり、具体的には、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、カルボニル基及びエーテル基等を有する高分子が挙げられる。親水性高分子は、分子中に、これら親水性基を複数種類有していてもよい。
また、本発明でいう水溶性高分子とは、25℃の水100gに0.001g以上溶解する高分子のことをいう。
本発明においては、親水性(水溶性)高分子は、少なくとも窒素原子又はヒドロキシ基を有することが、VO2微粒子表面への吸着能を有するため好ましい。窒素原子を含む親水性高分子としては、アミン構造、アミド構造、イミン構造、ニトリル構造を有するものなどを挙げることができ、具体的には、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンを挙げることができる。
本発明で用いることができる前記親水性高分子としては、例えば、ゼラチン(例えば、特開2006−343391公報記載のゼラチンを代表とする親水性高分子。)、デンプン、グアーガム、アルギン酸塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ナフタリンスルホン酸縮合物や、アルブミン、カゼイン等の蛋白質、アルギン酸ソーダ、デキストリン、デキストラン、デキストラン硫酸塩等の糖誘導体などを挙げることができる。
中でも、二酸化バナジウム含有微粒子との親和性が高く、さらには、膜形成の乾燥時にも粒子の凝集を防ぐ効果の高い、ヒドロキシ基を有する繰り返し単位成分を50mol%以上含有する高分子である、ゼラチン類、セルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシ基を有するアクリル系樹脂などを挙げることができ、ポリビニルアルコール類、セルロース類を好ましく利用できる。
また、本発明においては、上記親水性高分子が、後述する本発明に係る光学フィルムの光学機能層を構成する水系バインダー樹脂と、反射層積層体を構成する第1の水溶性バインダー樹脂又は第2の水溶性バインダー樹脂とが、同種であることが好ましい態様である。
以下、本発明に係る親水性高分子について具体的に説明する。
(ポリビニルアルコール類)
本発明に係る親水性高分子として、好ましく用いられるポリビニルアルコール(PVA)類には、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールを用いることができる。
そのようなPVAとしては、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。
市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235(以上、株式会社クラレ製)、JC−25、JC−33、JF−03、JF−04、JF−05、JP−03、JP−04JP−05、JP−45(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、一部が変性された変性ポリビニルアルコールを用いても良い。このような変性ポリビニルアルコールを含むと、膜の密着性や耐水性、柔軟性が改良される場合がある。このような変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報及び同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシ基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、ビニルアルコール系ポリマーとして、エクセバール(登録商標、株式会社クラレ製)やニチゴGポリマー(登録商標、日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
(セルロース類)
本発明に係る親水性高分子として用いることのできるセルロース類としては、水溶性のセルロース誘導体が好ましく、例えば、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体や、カルボン酸基含有セルロース類であるカルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース等を挙げることができる。その他には、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース、セルロース硫酸エステル等のセルロース誘導体を挙げることができる。
本発明においては、親水性高分子が、ヒドロキシ基を有する繰り返し単位を50モル%以上含有するポリマーであることが好ましい態様の一つであるが、セルロース類の場合では、繰り返し単位成分はもともと3つのヒドロキシ基を有し、この3つのヒドロキシ基の一部が置換されている。ヒドロキシ基を有する繰り返し単位成分を50mol%以上含有するとは、この置換基にヒドロキシ基を有する繰り返し単位成分、あるいは、置換されていないヒドロキシ基が1つ以上残った繰り返し単位成分が50mol%以上含有することを表す。
(ゼラチン類)
本発明に適用可能なゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを適用することができ、例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチン及びゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関してはよく知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55項、科学写真便覧(上)72〜75項(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載されているゼラチンを挙げることができる。
また、親水性(水溶性)高分子として、ゼラチンを用いる場合、必要に応じてゼラチンの硬膜剤を添加することもできる。使用できる硬膜剤としては、通常の写真乳剤層の硬膜剤として使用されている公知の化合物を使用でき、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを挙げることができる。
(増粘多糖類)
本発明で用いることのできる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本発明でいう増粘多糖類とは、糖類の重合体であり分子内に水素結合基を多数有するもので、温度により分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度差が大きな特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物微粒子を添加すると、低温時にその金属酸化物微粒子との水素結合によると思われる粘度上昇を起こすものであり、その粘度上昇幅は、添加することにより15℃における粘度が1.0mPa・s以上の上昇を生じる多糖類であり、好ましくは5.0mPa・s以上であり、更に好ましくは10.0mPa・s以上の粘度上昇能を備えた多糖類である。
本発明に適用可能な増粘多糖類としては、例えば、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ジェランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸及びアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類等が挙げられ、塗布液中に共存する金属酸化微粒子の分散安定性を低下させない観点から、好ましくは、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。本発明においては、特には、タマリンド、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムが好ましい。
(反応性官能基を有するポリマー類)
本発明に適用可能な親水性(水溶性)高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルピロリドン類及びこれを含有する共重合体が挙げられる。
また、ヒドロキシ基を有するアクリル系ポリマーの詳細については、国際公開第2011/148931号の段落番号(0049)〜同(0052)に記載されている内容を参照することができる。
本発明の効果をいかんなく発揮するための、好ましい親水性高分子の量は、バナジウム化合物に対して1.0質量%以上6.0質量%未満であり、更に好ましくは2.0〜5.0質量%以下であり、最も好ましくは3.0〜4.0質量%以下である。1.0質量%未満では、親水性高分子の凝集防止剤としての効果が得られにくくなり、また一方で、反応液の粘度上昇による撹拌効率低下の観点から6.0質量%未満が好ましい。
また、親水性高分子の重量平均分子量は、1000〜200000の範囲内であることが好ましい。
(本発明に係る反応液が含有していてもよいその他の化合物)
本発明に係る反応液は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選定される、少なくとも一種の原子を含む化合物を含有していてもよい。
これらの原子を含む化合物を、添加剤として最終的に得られるVO2微粒子に添加することにより、該VO2微粒子のサーモクロミック性(特に、転移温度)を制御することができる。
また、本発明に係る反応液は、酸化性又は還元性を有する物質が更に混ざったものであって良い。このような物質には、例えば、過酸化水素(H22)が含まれる。酸化性又は還元性を有する物質を添加することにより、反応液のpHを調整したり、バナジウム化合物を均一に溶解させたりすることができる。
[2:水熱反応]
次に、調製した反応液を用いて、水熱反応処理を行う。ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低い熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置内で実施される。水熱反応処理により、二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有するVO2微粒子が得られる。
水熱反応処理の条件(反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間)は、適宜設定されるが、水熱反応処理の液温は、例えば、150〜350℃(好ましくは、150〜300℃、さらに好ましくは、150〜250℃。)である。液温を低くすることにより、得られるVO2微粒子の平均粒径を小さくすることができるが、150℃以上であると、結晶成長が十分に進まず、結晶性が低くなるおそれを回避できる。350℃以下であると親水性高分子が熱分解するおそれを回避できる。また、水熱反応処理の時間は、例えば1時間〜7日である。時間を長くすることにより、得られるVO2微粒子の平均粒径等を制御することができ、7日以内であると、エネルギー消費量が多くなりすぎるおそれを回避できる。
また、水熱反応は、撹拌されながら行われることが、VO2微粒子の粒径をより均一化できるため、好ましい。
なお、水熱反応処理は、バッチ式で実施してもよく、連続式に実施してもよい。
以上の工程により、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO2)を含有するVO2微粒子を含む懸濁液が得られる。その後、懸濁液から、ろ過、洗浄、乾燥などによって、本発明に係るVO2微粒子が得られる。
このような方法によれば、親水性高分子が保護コロイドとしてVO2微粒子表面に吸着し、これにより、立体反発力により凝集が抑制されるため、粒径が均一なVO2微粒子が合成できる。
また、このような方法では、二酸化バナジウムの表面を親水性高分子で覆うので、副生成物の合成が抑制され、純度の高いVO2微粒子を得ることができる。従って、良好なサーモクロミック性を有するVO2微粒子を得ることができる。
(二酸化バナジウム含有微粒子(VO2微粒子))
本発明のVO2微粒子の製造方法によって製造されたVO2微粒子は、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有する。
当該VO2微粒子の平均粒径は、5〜50nmの範囲内であることが好ましい。また、VO2微粒子の粒径分布のCV値は、40以下であることが好ましい。
このようなVO2微粒子を含有する光学フィルム等であれば、ヘイズが発生することを抑制でき、また、可視光透過率を向上できる
(サーモクロミック性)
本発明に係るVO2微粒子は、VO2微粒子を含有するフィルムの可視光領域における光透過性とサーモクロミック性とを有している。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子を含有するフィルムの透過率は、高いほど好ましいが、70%以上であることが好ましい。
また、二酸化バナジウム含有粒子が有するサーモクロミック性としては、温度変化によって透過率や反射率等の光学特性が可逆的に変化すれば特に限定されるものではない。例えば、25℃及び80℃における透過率の差が30%以上であることが好ましい。
二酸化バナジウム含有粒子を含有するフィルムのサーモクロミック性は、例えば、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を用いて、波長2000nmにおける透過率の差として測定することができる。
(平均粒径の測定方法)
粒子を走査型電子顕微鏡で撮影し、粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径を粒径と定義し、100個のVO2微粒子について測定し、これらの算術平均値を求め、これを平均粒径とした。
(粒径分布のCV値の測定方法)
上記平均粒径の測定で求めた個々の粒径の標準偏差を平均粒径で除した値に100を乗じた値を求め、これを粒径分布のCV値とした。すなわち、当該CV値は下記式により、計算される値である。但し、本願においては、[%]を省いて記している。
粒径分布のCV値[%]=粒径の標準偏差/平均粒径粒子×100
また本発明に係るVO2微粒子は、二酸化バナジウム(VO2)の他、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選定される、少なくとも一種の原子を含んでいても良い。このような原子を含有することにより、VO2微粒子の相転移特性(特に、調光温度)を制御することが可能となる。なお、最終的に得られるVO2微粒子に対する、そのような添加物の総量は、バナジウム(V)原子に対して、0.1〜5.0原子%程度で十分であり、例えば、1.0原子%である。5.0原子%以上の量を添加すると、VO2微粒子のサーモクロミック性(例えば、調光前後の透過率の差)を劣化させてしまうおそれがあるからである。
≪分散液≫
本発明のVO2微粒子の製造方法で製造されたVO2微粒子をアルコールのような有機溶媒、あるいは水のような無機性の溶媒中に分散させた場合、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有するVO2微粒子を含有する分散液を提供することができる。本発明のVO2微粒子の製造方法で製造された、小粒径、かつ均一粒径なVO2微粒子を含有する分散液を塗布すれば、ヘイズの影響を低減できるので、透明性の高いフィルムが提供可能であるため好ましい。
なお、分散させるための溶媒は、特に限定されず、公知のものを使用できる。
≪光学フィルム≫
本発明のVO2微粒子の製造方法によって製造されたVO2微粒子は、透明基材上に少なくとも樹脂を含有する光学機能層を有する光学フィルムに好適にVO2微粒子を含有させることができる。
本発明に係る光学フィルムの代表的な構成例について、図を交えて説明する。
図1は、VO2微粒子とバインダー樹脂を含有する光学機能層を有する光学フィルムの基本的な構成の一例を示す概略断面図である。
図1に示す光学フィルム1は、透明基材2上に、光学機能層3を積層した構成を有している。この光学機能層3は、バインダー樹脂中に、VO2微粒子VOsが分散された状態で存在している。
本発明に係る光学フィルムにおいては、さらには、本発明に係るVO2微粒子とバインダー樹脂を含有する光学機能層に加えて、700〜1000nmの波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を有することが好ましく、さらに好ましくは、近赤外光遮蔽層が、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率反射層とを交互に積層し、特定の波長の光を選択的に反射する反射層積層体である構成である。
図2A〜図2Cは、透明基材上に、本発明に係る光学機能層と共に近赤外光遮蔽層を有する光学フィルムで、その代表的な層配置を示す概略断面図である。
図2Aに示す光学フィルム1は、光線入射側Lより、光学機能層3、近赤外光遮蔽層4及び透明基材2の順に配置されている構成である。
図2Bに示す光学フィルム1では、透明基材2と近赤外光遮蔽層4との間に、本発明に係る光学機能層3を配置した例であり、図2Cは、透明基材2の光線入射側Lに近赤外光遮蔽層4を配置し、透明基材2の裏面側に本発明に係る光学機能層3を配置した例である。
本発明におけるこれらの層構成は、少なくとも透明基材と光学機能層3を有していれば、特に限定されるものではなく、それぞれの目的に応じて適正な層構成を選択することができる。
図3〜図7は、図2A〜図2Cで概略層構成を示した光学フィルム1について、更に近赤外光遮蔽層4の構成を詳細に示した断面図である。
近赤外光遮蔽層においては、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率反射層とを交互に積層し、特定の波長の光を選択的に反射する反射層積層体であることが好ましい態様である。
図3は、図2Aに示した光学フィルム1において、近赤外光遮蔽層4の構成を詳細に示した構成図である。
図3において、本発明に係る光学フィルム1では、透明基材2上に、近赤外光遮蔽層として、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率の赤外線反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率の赤外線反射層とを交互に積層した反射層積層体ML1を有している。反射層積層体ML1は、透明基材2側から赤外線反射層T1〜Tnのn層で構成され、例えば、T1、T3、T5、(中略)、Tn-2、Tnを屈折率が1.10〜1.60の範囲内にある低屈折率層で構成し、T2、T4、T6、(中略)、Tn-1を屈折率が1.80〜2.50の範囲内にある高屈折率層とする構成が一例として挙げられる。本発明でいう屈折率とは、25℃の環境下で測定した値である。
同様に、図4は、図2Bに示した光学フィルム1の層配置において、近赤外光遮蔽層4の構成を詳細に示した構成図であり、同じく、図5は、図2Cに示した光学フィルム1の層配置において、近赤外光遮蔽層4の構成を詳細に示した構成図である。
図6は、本発明に係る光学フィルム1で、透明基材2の両面に金属酸化物粒子を含む反射層積層体ML1a及び反射層積層体ML1bを配置したものである。さらに、図6の本発明に係る光学フィルム1は、反射層積層体ML1a及び反射層積層体ML1bにおける透明基材2とは反対側の面に、光学機能層3A及び3Bを配置した構成となっている。
図7は、本発明に係る光学フィルムで、ポリマー層積層体により構成される近赤外遮蔽層を有する構成の一例を示す概略断面図である。
図7に示す光学フィルム1では、透明基材2上に、近赤外光遮蔽層として反射層積層体ML2が、それぞれ素材の異なる2種のポリマーフィルムを積層して構成されている。構成の一例としては、透明基材2側から、ポリエチレンナフタレートフィルムで形成されているPEN1、ポリメチルメタアクリレートフィルムで形成されているPMMA1、PEN2、PMMA2、PEN3、PMMA3、(中略)、PENn-1、PMMAn、PENnと積層して反射層積層体ML2が形成されている。積層されるフィルム総数は150〜1000層の範囲内であることが好ましい。この反射層積層体ML2上に、光学機能層3が配置されている。これらポリマー層積層体の詳細については、例えば、米国特許公報第6049419号明細書に記載の内容を参考とすることができる。
本発明に係る光学フィルムとしては、上記の構成層の他に、必要に応じて、各種機能層を設けてもよい。
本発明に係る光学フィルムの総厚としては、特に制限はないが、250〜1500μmの範囲内であり、好ましくは400〜1200μmの範囲内であり、さらに好ましくは600〜1000μmの範囲内であり、特に好ましくは750〜900μmの範囲内である。
本発明に係る光学フィルムの光学特性として、JIS R3106(1998)で測定される可視光透過率としては、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。また、波長900〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
《光学フィルムの各構成材料》
本発明に係る光学フィルムは、透明基材上に、少なくともVO2微粒子とバインダー樹脂を含有する光学機能層を有し、光学機能層中におけるVO2微粒子の粒径が、200nm未満であることが好ましい。
さらには、700〜1000nmの波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を有することが好ましい構成である。
以下、本発明に係る光学フィルムの構成要素である透明基材、光学機能層及び近赤外光遮蔽層の詳細について説明する。
<透明基材>
本発明に係る光学フィルムに適用可能な透明基材としては、透明であれば特に制限はなく、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができるが、可撓性の付与及び生産適性(製造工程適性)の観点からは、透明基材であることが好ましい。本発明でいう「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明に係る透明基材の厚さは、30〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは35〜70μmでの範囲内である。透明樹脂フィルムの厚さが30μm以上であれば、取扱い中にシワ等が発生しにくくなり、また厚さが200μm以下であれば、合わせガラス作製時、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性がよくなる。
本発明に係る透明基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明に係る光学フィルムを具備した合わせガラスを、自動車のフロントガラスとして用いられる際に、延伸フィルムがより好ましい。
本発明に係る透明基材は、光学フィルムのシワの生成や赤外線反射層の割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜3.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0%の範囲内であることがより好ましく、1.9〜2.7%であることがさらに好ましい。
本発明に係る光学フィルムに適用可能な透明基材としては、上述のように、透明であれば特に制限されることはいが、種々の樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムである。
ポリエステルフィルム(以降、単にポリエステルと称す。)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に係る透明基材として透明樹脂フィルムを用いる場合、取り扱いを容易にするために、透明性を損なわない範囲内で粒子を含有させてもよい。当該透明樹脂フィルムに採用可能な粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子や、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。また粒子を添加する方法としては、原料とするポリエステル中に粒子を含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用してもよく、二つの方法を併用してもよい。本発明では必要に応じて上記粒子の他にも添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。
透明基材である透明樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の透明樹脂フィルムを製造することができる。また、未延伸の透明樹脂フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、透明樹脂フィルムの流れ(縦軸)方向、又は透明樹脂フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸透明樹脂フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、透明樹脂フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、透明樹脂フィルムは、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、又はテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理された基材は、オフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、さらに、寸法安定性が良好になる。
透明樹脂フィルムは、製膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明においては、製膜工程中での下引塗布をインライン下引という。本発明に有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等が挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
<光学機能層>
本発明に係る光学機能層は、本発明の微粒子の製造方法によって製造された微粒子が分散されて含有していることを特徴とする。
上記VO2微粒子の結晶形は、特に制限はないが、サーモクロミック性(自動調光性)を効率よく発現させる観点から、ルチル型の二酸化バナジウムを含有する微粒子を用いることが、特に好ましい。しかしながら、本発明に係る光学機能層は、目的を損なわない範囲で、A型、あるいはB型などの他の結晶型のVO2微粒子を含んでもよい。
(バインダー樹脂)
本発明に係る光学機能層に適用可能なバインダー樹脂としては、特に制限はないが、上述の本発明に係る水溶性高分子を好適に使用できる。
(光学機能層のその他の添加剤)
本発明に係る光学機能層に、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
(光学機能層の形成方法)
本発明に係る光学機能層の形成方法としては、特に制限はないが、本発明においては、本発明のVO2微粒子の製造方法で、水熱反応(VO2微粒子を形成)させた反応液を、光学機能層形成用塗布液とし、この光学機能層形成用塗布液を湿式塗布方式により、透明基材上に塗布、乾燥して光学機能層を形成する方法が好ましい形成方法である。
上記光学機能層の形成に用いる湿式塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
《近赤外遮蔽層》
本発明に係る光学機能層は、近赤外遮蔽層を有していてもよく、その代表的な構成としては、前記図3〜図6を用いて説明した水溶性バインダー樹脂と金属酸化物粒子を含有する赤外線反射層が多層積層された反射層積層体ML1、あるいは図7を用いて説明したポリマー層積層体ML2が挙げられ、特に水溶性バインダー樹脂と金属酸化物粒子を含有する屈折率の異なる赤外線反射層が好ましい。
[ポリマー層積層体]
本発明に係る近赤外遮蔽層の一つであるポリマー層積層体は、第1屈折率を有する第1ポリマー層と、第2屈折率を有する第2ポリマー層とを多数積層して構成される。
第1ポリマー層及び第2ポリマー層は、互いの上部に積層され、ポリマー層積層体を形成する。第1及び第2ポリマー層を構成するポリマー材料としは、ポリエステル、アクリル、ポリエステルアクリルのブレンド又はコポリマー等が挙げられ、例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ナフタレンジカルボンコポリエステル(coPEN)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリブチレン−2,6−ナフタレート(PBN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナフタレンジカルボン酸誘導体、ジオールコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタックポリスチレン樹脂(SPS)等が挙げられ、具体的な第1ポリマー層と第2ポリマー層との組み合わせとしては、PEN/PMMA、PET/PMMA、PEN/coPEN、PEN/SPS、PET/SPS等の組み合わせを挙げることができる。
ポリマー層積層体の具体的な構成例としては、前記図7で説明したように、それぞれ素材の異なる2種のポリマーフィルムを積層して構成されている。具体的には、図7に示すように、下面側から、ポリエチレンナフタレートフィルムで形成されているPEN1、ポリメチルメタアクリレートフィルムで形成されているPMM1、PEN2、PMMM2、PEN3、PMMA3、(中略)、PENn-1、PMMAn、PENnと積層してポリマー層積層体ML2が形成されている。
積層されるフィルム総数は、特に制限はないが、おおむね150〜1000層の範囲内であることが好ましい。
これらポリマー層積層体の詳細については、米国特許公報第6049419号明細書に記載の内容を参考とすることができる。
[反射層積層体]
反射層積層体は、少なくとも1層の赤外線反射層を有していればよいが、日射に対する優れた断熱効果、電磁波透過性を発現させる観点からは、図3〜図6で例示したような反射層積層体であることが、特に好ましい態様である。
本発明に係る反射層積層体とは、前記説明した本発明の光学フィルムを構成する透明基材上の少なくとも一つの面側に、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率の赤外線反射層(以下、高屈折率層ともいう。)と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率の赤外線反射層(以下、低屈折率層ともいう。)を、交互に積層した反射層積層体を有する構成である。
また、本発明の光学フィルムにおいては、前記光学機能層を構成するバインダー樹脂と、反射層積層体を構成する第1の水溶性バインダー樹脂又は第2の水溶性バインダー樹脂とが、同種のバインダー樹脂であることが好ましく、更には、ポリビニルアルコールであることがより好ましい。
反射層積層体において、高屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。また、低屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。
ここで、1層あたりの各層の厚さを測定する場合、高屈折率層と低屈折率層は、これらの間に明確な界面をもっていても、徐々に変化していてもよい。界面が徐々に変化している場合には、それぞれの層が混合し屈折率が連続的に変化する領域中で、最大屈折率−最小屈折率=Δnとした場合、2層間の最小屈折率+Δn/2の地点を層界面とみなす。
高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成された反射層積層体の金属酸化物濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することができる。また、反射層積層体を切断して、切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することにより求めることも可能である。混合領域において、金属酸化物の濃度が不連続に変化している場合には、電子顕微鏡(TEM)で撮影した断層写真により、その境界を確認することができる。
XPS表面分析装置としては、特に制限はなく、いかなる機種も使用することができるが、例えば、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いることができる。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
反射層積層体は、生産性の観点から、好ましい高屈折率層及び低屈折率層の総層数の範囲としては、6〜100層の範囲内であり、より好ましくは8〜40層の範囲内であり、さらに好ましくは9〜30層の範囲内である。
反射層積層体は、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計されることが、少ない層数で赤外線反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本発明では、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
また、特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、近赤外線反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくするという観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度が限界である。
赤外線反射層においては、透明樹脂フィルムに対する密着性の観点から、透明樹脂フィルムに隣接する最下層が低屈折率層である層構成が好ましい。また、ポリビニルアセタール系樹脂膜と隣接する層も、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素を10〜60質量%の範囲内で含有する低屈折率層であることが好ましい。
また、高屈折率層又は低屈折率層に含まれる第1及び第2の水溶性バインダー樹脂は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。また、高屈折率層に含まれるポリビニルアルコールのケン化度と、低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールのケン化度とは異なることが好ましい。さらに、高屈折率層に含まれる第1の金属酸化物粒子は、酸化チタン粒子であることが好ましく、更には、含ケイ素の水和酸化物で表面処理された酸化チタン粒子であることが好ましい。
〔高屈折率層〕
本発明に係る高屈折率層は、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含有し、必要に応じて、硬化剤、その他のバインダー樹脂、界面活性剤、及び各種添加剤等を含んでもよい。
本発明に係る高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。
(第1の水溶性バインダー樹脂)
本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂とは、該水溶性バインダー樹脂が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性バインダー樹脂の50質量%以内であるものをいう。
本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂の重量平均分子量は、1000〜200000の範囲内であることが好ましい。更には、3000〜40000の範囲内がより好ましい。
本発明でいう重量平均分子量は、公知の方法によって測定することができ、例えば、静的光散乱、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)、飛行時間型質量分析法(TOF−MASS)などによって測定することができ、本発明では一般的な公知の方法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定している。
高屈折率層における第1の水溶性バインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内であることが好ましく、10〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。
高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂としては、特に制限はないが、上述の親水性高分子化合物を好適に採用でき、その中でも、ポリビニルアルコールであることが特に好ましい。また、後述する低屈折率層に存在する水溶性バインダー樹脂も、ポリビニルアルコールであることが好ましい。
高屈折率層と低屈折率層においては、それぞれケン化度の異なる2種以上のポリビニルアルコールを含むことが好ましい。ここで、区別するために、高屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(A)とし、低屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(B)という。なお、各屈折率層が、ケン化度や重合度が異なる複数のポリビニルアルコールを含む場合には、各屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコールをそれぞれ高屈折率層におけるポリビニルアルコール(A)、及び低屈折率層におけるポリビニルアルコール(B)と称する。
ここでいう「ケン化度」とは、ポリビニルアルコール中のアセチルオキシ基(原料の酢酸ビニル由来のもの)とヒドロキシ基との合計数に対するヒドロキシ基の割合のことである。
また、ここでいう「屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコール」という際には、ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールであるとし、重合度を算出する。ただし、重合度1000以下の低重合度ポリビニルアルコールは、異なるポリビニルアルコールとする(仮にケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールがあったとしても同一のポリビニルアルコールとはしない)。具体的には、ケン化度が90mol%、ケン化度が91mol%、ケン化度が93mol%のポリビニルアルコールが同一層内にそれぞれ10質量%、40質量%、50質量%含まれる場合には、これら3つのポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールとし、これら3つの混合物をポリビニルアルコール(A)又は(B)とする。また、上記「ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコール」とは、いずれかのポリビニルアルコールに着目した場合に3mol%以内であれば足り、例えば、90mol%、91mol%、92mol%、94mol%のポリビニルアルコールを含む場合には、91mol%のポリビニルアルコールに着目した場合に、いずれのポリビニルアルコールのケン化度の差も3mol%以内なので、同一のポリビニルアルコールとなる。
同一層内にケン化度が3mol%以上異なるポリビニルアルコールが含まれる場合、異なるポリビニルアルコールの混合物とみなし、それぞれに重合度とケン化度を算出する。例えば、PVA203:5質量%、PVA117:25質量%、PVA217:10質量%、PVA220:10質量%、PVA224:10質量%、PVA235:20質量%、PVA245:20質量%が含まれる場合、最も含有量の多いPVA(ポリビニルアルコール)は、PVA217〜245の混合物であり(PVA217〜245のケン化度の差は3mol%以内なので同一のポリビニルアルコールである)、この混合物がポリビニルアルコール(A)又は(B)となる。そうして、PVA217〜245の混合物(ポリビニルアルコール(A)又は(B))において、重合度が、(1700×0.1+2000×0.1+2400×0.1+3500×0.2+4500×0.7)/0.7=3200であり、ケン化度は、88mol%となる。
ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の絶対値の差は、3mol%以上であることが好ましく、5mol%以上であることがより好ましい。このような範囲であれば、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態が好ましいレベルになるため好ましい。また、ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の差は、離れていれば離れているほど好ましいが、ポリビニルアルコールの水への溶解性の観点から、20mol%以下であることが好ましい。
また、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のケン化度は、水への溶解性の観点で、75mol%以上であることが好ましい。さらに、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方がケン化度90mol%以上であり、他方が90mol%以下であることが、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態を好ましいレベルにするために好ましい。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方が、ケン化度95mol%以上であり、他方が90mol%以下であることがより好ましい。なお、ポリビニルアルコールのケン化度の上限は特に限定されるものではないが、通常100mol%未満であり、99.9mol%以下程度である。
また、ケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールの重合度は、1000以上のものが好ましく用いられ、特に、重合度が1500〜5000の範囲内のものがより好ましく、2000〜5000の範囲内のものがさらに好ましく用いられる。ポリビニルアルコールの重合度が、1000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5000以下であると塗布液が安定するからである。なお、本明細書において、「塗布液が安定する」とは、塗布液が経時的に安定することを意味する。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の少なくとも一方の重合度が2000〜5000の範囲内であると、塗膜のひび割れが減少し、特定の波長の反射率が向上するため好ましい。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の双方が、2000〜5000であると上記効果はより顕著に発揮できるため好ましい。
本明細書でいう「重合度P」とは、粘度平均重合度を指し、JIS K6726(1994)に準じて測定され、PVAを完全に再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から、下式(1)により求められるものである。
式(1)
P=(〔η〕×103/8.29)(1/0.62)
低屈折率層に含まれるポリビニルアルコール(B)は、ケン化度が75〜90mol%の範囲内で、かつ重合度が2000〜5000の範囲内であることが好ましい。このような特性を備えたポリビニルアルコールを低屈折率層に含有させると、界面混合がより抑制される点で好ましい。これは塗膜のひび割れが少なく、かつセット性が向上するためであると考えられる。
ここでは、屈折率の異なる層間ではケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールがそれぞれ用いられることが好ましい。
例えば、高屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましい。また、高屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量の範囲内がより好ましい。含有量が40質量%以上であると、層間混合が抑制され、界面の乱れが小さくなるという効果が顕著に現れる。一方、含有量が100質量%以下であれば、塗布液の安定性が向上する。
(その他のバインダー樹脂)
高屈折率層では、ポリビニルアルコール以外の第1の水溶性バインダー樹脂としては、第1の金属酸化物粒子を含有した高屈折率層が塗膜を形成することができれば、いかなるものでも制限なく使用可能である。また、後述する低屈折率層においても、ポリビニルアルコール(B)以外の第2の水溶性バインダー樹脂としては、前記と同様に、第2の金属酸化物粒子を含有した低屈折率層が塗膜を形成することができれば、どのようなものでも制限なく使用可能である。ただし、環境の問題や塗膜の柔軟性を考慮すると、水溶性高分子(特にゼラチン、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー)が好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
高屈折率層において、水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用する他のバインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内で用いることもできる。
水溶性バインダー樹脂は、有機溶媒を用いる必要がなく、環境保全上好ましいことから、水溶性高分子から構成されることが好ましく、必要に応じて上記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールに加えて、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子を水溶性バインダー樹脂として用いてもよい。前記水溶性高分子とは、該水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルター(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性高分子の50質量%以内であるものを言う。そのような水溶性高分子の中でも、特に上述したゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、又は反応性官能基を有するポリマーを好適に使用できる。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
(第1の金属酸化物粒子)
高屈折率層に適用可能な第1の金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上、3.0以下である金属酸化物粒子が好ましい。さらに具体的には、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。また複数の金属で構成された複合酸化物粒子やコア・シェル状に金属構成が変化するコア・シェル粒子等を用いることもできる。
透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層には、チタン、ジルコニウム等の高屈折率を有する金属の酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子及び/又は酸化ジルコニア微粒子を含有させることが好ましい。これらの中でも、高屈折率層を形成するための塗布液の安定性の観点から、酸化チタンがより好ましい。また、酸化チタンの中でも、とくにアナターゼ型よりルチル型(正方晶形)の方が、触媒活性が低いために、高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなることから好ましい。
また、高屈折率層に、第1の金属酸化物粒子としてコア・シェル粒子を用いた場合では、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と隣接層の層間混合が抑制される効果から、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコア・シェル粒子がさらに好ましい。
上記コア・シェル粒子のコアに用いられる酸化チタン粒子を含む水溶液は、25℃で測定したpHが1.0〜3.0の範囲内であり、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの表面を、疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。
第1の金属酸化物粒子の含有量が高屈折率層の固形分100質量%に対して、15〜80質量%の範囲内であると、低屈折率層との屈折率差を付与するという観点で好ましい。さらに、20〜77質量%の範囲内であることがより好ましく、30〜75質量%の範囲内であることがさらに好ましい。なお、当該コア・シェル粒子以外の金属酸化物粒子が、高屈折率層に含有される場合の含有量は、本発明の効果を奏することができる範囲であれば特に限定されるものではない。
高屈折率層に適用する第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmの範囲内であることがより好ましく、5〜15nmの範囲内であるのがさらに好ましい。体積平均粒径が1〜30nmの範囲内であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
なお、第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
さらに、本発明に係る第1の金属酸化物粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式(2)で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%の範囲内である。
式(2)
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100(%)
(コア・シェル粒子)
高屈折率層に適用する第1の金属酸化物粒子としては、「含ケイ素の水和酸化物で表面処理された酸化チタン粒子」を用いることが好ましく、このような形態の酸化チタン粒子を「コア・シェル粒子」、あるいは「Si被覆TiO2」と称する場合もある。
コア・シェル粒子は、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されており、好ましくはコアの部分である平均粒径が1〜30nmの範囲内、より好ましくは平均粒径が4〜30nmの範囲内にある酸化チタン粒子の表面を、コアとなる酸化チタンに対して、含ケイ素の水和酸化物の被覆量がSiO2として3〜30質量%の範囲内となるように含ケイ素の水和酸化物からなるシェルが被覆した構造である。
すなわち、コア・シェル粒子を含有させることで、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制される効果、及びコアとして酸化チタンを用いる場合の酸化チタンの光触媒活性によるバインダーの劣化やチョーキングなどの問題を防げるという効果を奏する。
コア・シェル粒子は、コアとなる酸化チタンに対して、含ケイ素の水和酸化物の被覆量がSiO2として3〜30質量%の範囲内であること好ましく、より好ましくは3〜10質量%の範囲内であり、さらに好ましくは3〜8質量%の範囲内である。被覆量が30質量%以下であれば、高屈折率層の高屈折率化を達成することができ、また、被覆量が3質量%以上であれば、コア・シェル粒子の粒子を安定に形成することができる。
さらに、コア・シェル粒子の平均粒径は、好ましくは1〜30nmの範囲内であり、より好ましくは5〜20nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜15nmの範囲内である。コア・シェル粒子の平均粒径が1〜30nmの範囲内であれば、近赤外線反射率や、透明性、ヘイズといった光学特性がより向上させることができる。
上記コア・シェル粒子の製造方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、特開平10−158015号公報、特開2000−053421号公報、特開2000−063119号公報、特開2000−204301号公報、特許第4550753号公報などを参照することができる。
コア・シェル粒子に適用する含ケイ素の水和酸化物とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物又は縮合物のいずれでもよく、本発明においては、シラノール基を有する化合物であることが好ましい。
高屈折率層には、コア・シェル粒子以外にも、その他の金属酸化物粒子が含まれていてもよい。その他の金属酸化物粒子を併用する場合には、上記説明したコア・シェル粒子が電荷的に凝集しないよう、各種のイオン性分散剤や保護剤を用いることができる。コア・シェル粒子以外に用いることのできる金属酸化物粒子は、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第2鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。
本発明に係るコア・シェル粒子は、コアである酸化チタン粒子の表面全体を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよく、また、コアである酸化チタン粒子の表面の一部を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよい。
(硬化剤)
高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。
第1の水溶性バインダー樹脂と共に用いることができる硬化剤としては、当該水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば特に制限はない。例えば、第1の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを用いる場合では、硬化剤として、ホウ酸及びその塩が好ましい。ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用でき、一般的には、ポリビニルアルコールと反応し得る基を有する化合物あるいはポリビニルアルコールが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸及びその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。
中でも、ホウ酸及びその塩、又はホウ砂を用いた場合は、金属酸化物粒子と水溶性バインダー樹脂であるポリビニルアルコールのOH基と水素結合ネットワークがより形成しやすく、その結果として高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制され、好ましい近赤外遮断特性が達成されると考えられるため、より好ましい。
高屈折率層における硬化剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。
特に、第1の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1〜600mgが好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100〜600mgがより好ましい。
〔低屈折率層〕
低屈折率層は、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含み、更は、硬化剤、表面被覆成分、粒子表面保護剤、バインダー樹脂、界面活性剤、各種添加剤等を含んでもよい。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.10〜1.60の範囲内であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
(第2の水溶性バインダー樹脂)
本発明に係る低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。さらに、前記高屈折率層に存在するポリビニルアルコール(A)のケン化度とは異なるポリビニルアルコール(B)が、本発明に係る低屈折率層に用いられることがより好ましい。なお、ここでの第2の水溶性バインダー樹脂の好ましい重量平均分子量等、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)についての説明は、上記高屈折率層の水溶性バインダー樹脂にて説明されており、ここでは説明を省略する。
低屈折率層における第2の水溶性バインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜99.9質量%の範囲内であることが好ましく、25〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明に係る低屈折率層において適用が可能な、ポリビニルアルコール以外の水溶性バインダー樹脂としては、第2の金属酸化物粒子を含有した低屈折率層が塗膜を形成することができればどのようなものでも制限なく使用可能である。ただし、環境の問題や塗膜の柔軟性を考慮すると、水溶性高分子(特にゼラチン、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー)が好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
低屈折率層において、第2の水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用する他のバインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0〜10質量%の範囲内で用いることもできる。
熱線遮断フィルムの低屈折率層において、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等の水溶性高分子を含有することもできる。これらセルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等の水溶性高分子は、上述した高屈折率層で説明した水溶性高分子と同様のものが用いられるため、ここでは説明を省略する。
(第2の金属酸化物粒子)
本発明に係る低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子としては、シリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることがさらに好ましい。また、屈折率をより低減させるためには、低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いることができ、特にシリカ(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmの範囲内であることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmの範囲内であることがより好ましく、3〜40nmの範囲内であることがさらに好ましく、3〜20nmであることが特に好ましく、4〜10nmの範囲内であることがもっとも好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
低屈折率層に適用する金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
上記コロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、及び国際公開第94/26530号などに記載されているものである。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、Mg又はBa等で処理された物であってもよい。
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子として、中空粒子を用いることもできる。中空粒子を用いる場合には、平均粒子空孔径が、3〜70nmの範囲内であるのが好ましく、5〜50nmの範囲内がより好ましく、5〜45nmの範囲内がさらに好ましい。なお、中空粒子の平均粒子空孔径とは、中空粒子の内径の平均値である。本発明において、中空粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形又は実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、平均粒子空孔径としては、円形、楕円形又は実質的に円形もしくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
第2の金属酸化物粒子は、表面被覆成分により表面コーティングされていてもよい。特に、本発明に係る第1の金属酸化物粒子としてコア・シェル状ではない金属酸化物粒子を用いる際に、第2の金属酸化物粒子の表面をポリ塩化アルミニウムなどの表面被覆成分によりコーティングすると、第1の金属酸化物粒子と凝集しにくくなる。
低屈折率層における第2の金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0.1〜70質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることがさらに好ましい。
(硬化剤)
本発明に係る低屈折率層において、前記高屈折率層と同様に、硬化剤をさらに含むことができる。低屈折率層に含まれる第2の水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば、特に制限されない。特に、低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを用いた場合の硬化剤としては、ホウ酸及びその塩ならびに/又はホウ砂が好ましい。また、ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用できる。
低屈折率層における硬化剤の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、2〜6質量%の範囲内であることがより好ましい。
特に、第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1〜600mgの範囲内が好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100〜600mgの範囲内がより好ましい。
また、硬化剤の具体例などは、上述した高屈折率層と同様であるため、ここでは説明を省略する。
〔各屈折率層のその他の添加剤〕
高屈折率層及び低屈折率層には、必要に応じて各種の添加剤を用いることができる。また、高屈折率層における添加剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、0〜20質量%であることが好ましい。当該添加剤の例を以下に記載する。
(界面活性剤)
高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、さらに界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、両性イオン系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれの種類も使用することができる。より好ましくは、ベタイン系両性イオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩系アニオン性界面活性剤、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤、又はフッ素系カチオン性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の添加量としては、高屈折率層用塗布液又は低屈折率層用塗布液の全質量を100質量%としたとき、0.005〜0.30質量%の範囲内であることが好ましく、0.01〜0.10質量%の範囲内であることがより好ましい。
(アミノ酸)
高屈折率層又は低屈折率層は、等電点が6.5以下のアミノ酸を含有していてもよい。アミノ酸を含むことにより、高屈折率層又は低屈折率層中の金属酸化物粒子の分散性が向上しうる。
ここで、アミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシ基とを有する化合物であり、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体でも使用することができる。
アミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
具体的に好ましいアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、セリン、等を挙げることができ、特にグリシン、セリンが好ましい。
アミノ酸の等電点とは、アミノ酸は特定のpHにおいて分子内の正・負電荷が釣り合い、全体としての電荷が0となるので、このpH値をいう。各アミノ酸の等電点については、低イオン強度での等電点電気泳動で求めることが出来る。
(エマルジョン樹脂)
高屈折率層又は低屈折率層は、エマルジョン樹脂をさらに含有していてもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性が高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
エマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、ヒドロキシ基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られない。エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。ヒドロキシ基を有する高分子分散剤を用いて乳化重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面にヒドロキシ基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
ヒドロキシ基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖又は末端にヒドロキシ基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテルなどが挙げられる。
(リチウム化合物)
高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、さらにリチウム化合物を含有してもよい。該リチウム化合物を含む高屈折率層用塗布液又は低屈折率層用塗布液は粘度の制御がより容易となり、その結果、ガラスに本発明に係る光学フィルムを加える際の製造安定性がより向上する。
リチウム化合物としては、特に制限はなく、例えば、炭酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、オロト酸リチウム、クエン酸リチウム、モリブデン酸リチウム、塩化リチウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、臭化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、ステアリン酸リチウム、リン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリエチルホウ酸リチウム、水素化トリエトキシアルミニウムリチウム、タンタル酸リチウム、次亜塩素酸リチウム、酸化リチウム、炭化リチウム、窒化リチウム、ニオブ酸リチウム、硫化リチウム、ホウ酸リチウム、LiBF、LiClO、LiPF、LiCFSO等が挙げられる。これらリチウム化合物は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、水酸化リチウムが本願発明の効果を十分に発揮できる観点から好ましい。
リチウム化合物の添加量は、屈折率層中に存在する金属酸化物粒子1g当たり、0.005〜0.05gの範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜0.03gである。
(その他の添加剤)
高屈折率層及び低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
〔反射層積層体の形成方法〕
反射層積層体の形成方法は、湿式塗布方式を適用して形成することが好ましく、更には、透明基材上に、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液と、を湿式塗布する工程を含む製造方法が好ましい。
湿式塗布方法は、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布方式でもよいし、同時重層塗布方式でもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
[VO2微粒子合成方法]
<微粒子1の合成方法(比較例)>
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製)の10質量%水溶液50g(溶媒)に、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物(表1の「Vを含有する化合物」。)として五酸化バナジウム(V25、和光純薬社製、特級)1.5gを添加し、これを4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾル20gに、還元剤であるヒドラジン一水和物(N24・H2O、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、pH値が4.0〜5.0の反応液(液温25℃)を調製した。調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える)内に入れ、270℃で48時間、水熱反応させた。
次に、得られた反応生成物をろ過し、これを水およびエタノールで洗浄した。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、微粒子1の紛体が得られた。
<微粒子2の合成方法(実施例)>
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製)の10質量%水溶液50g(溶媒)に、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物として五酸化バナジウム(V25、和光純薬社製、特級)1.5g、重量平均分子量17万のポリビニルアルコール(親水性高分子)0.132gを加え、これを4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾル20gに、還元剤であるヒドラジン一水和物(N24・H2O、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、pH値が4.0〜5.0の反応液(液温25℃)を調製した。調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える)内に入れ、220℃で72時間(水熱反応条件)、水熱反応させた。
次に、得られた反応生成物をろ過し、これを水及びエタノールで洗浄した。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、微粒子2の紛体が得られた。
<微粒子3〜7の合成方法(実施例)>
親水性高分子の種類(表1に記載の樹脂名。)及びその添加量(質量%)並びに水熱反応条件を表1に記載のものにしたほかは、微粒子2の合成方法と同様にして、微粒子3〜7の紛体を得た。
なお、表1の親水性高分子における添加量とは、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物に対する親水性高分子の割合(質量%)のことである。
<微粒子8の合成方法(比較例)>
純水(溶媒)20gに、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物としてバナジン酸アンモニウム(NH4VO3、和光純薬社製、特級)0.866g、さらに、還元剤であるヒドラジン一水和物(N24・H2O、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、pH値が9.0〜9.5の反応液(液温25℃)を調製した。調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製HU−50型)(SUS製本体に50ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える)内に入れ、270℃で38時間、水熱反応処理を実施した。
次に、得られた反応生成物をろ過し、これを水及びエタノールで洗浄した。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、微粒子8の紛体が得られた。
<微粒子9の合成方法(実施例)>
純水(溶媒)20gに、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物としてバナジン酸アンモニウム(NH4VO3、和光純薬社製、特級)0.866g、重量平均分子量17万のポリビニルアルコール(親水性高分子)0.128gを混合し、更に、還元剤であるヒドラジン水和物(N24・H2O、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、pH値が9.0〜9.5の反応液(液温25℃)を調製した。調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製HU−50型)(SUS製本体に50ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える)内に入れ、200℃で96時間、水熱反応処理を実施した。
次に、得られた反応生成物をろ過し、これを水及びエタノールで洗浄した。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、微粒子9の紛体が得られた。
<微粒子10の合成方法(実施例)>
微粒子9の合成方法における反応液の調製において、純水(溶媒)20gに、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物としてバナジン酸アンモニウム(NH4VO3、和光純薬社製、特級)0.866g、添加剤としてタングステン酸アンモニウムパラ五水和物((NH4101241・5H2O、和光純薬社製)0.019g、重量平均分子量17万のポリビニルアルコール0.038gを混合したほかは、微粒子9の合成方法と同様にして微粒子10の紛体を合成した。
<微粒子1〜10の同定>
(結晶構造)
X線回折装置(株式会社リガク製 RINT−TTR2)を用いて測定を行い、既知のM相からなる二酸化バナジウム結晶のプロファイルと比較することで微粒子1〜10が二酸化バナジウム結晶(M相)をとっていることを同定した。
(微粒子1〜10の平均粒径の測定)
粒子を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JSM−7401F)で撮影し、粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径を粒径と定義し、100個の粒子について測定した個々の粒径の算術平均値を求め、これを平均粒径とした。測定結果は表1に示すとおりである。
(微粒子1〜10の粒径分布のCV値の測定)
上記平均粒径の測定で求めた個々の粒径の標準偏差を平均粒径で除した値に100を乗じた値を求め、これを粒径分布とした。すなわち、当該CV値は下記式により、計算される値である。
粒径分布のCV[%]=粒径の標準偏差/平均粒径粒子×100
Figure 2016017611
<水熱反応後の反応液1〜10のサーモクロミック性の評価>
各VO2含有粒子の作製において、純水で5000倍に希釈した水熱反応後の反応液(分散液)を市販の栓付石英セル(2面透光型45mm×12.5mm×10mm)内に入れ、加熱可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)により、反応液の透過スペクトルを測定した。測定温度は、20℃及び80℃とし、反応液の光透過率(波長1300nm)の温度依存性を測定した。波長1300nmで、温度が20℃から80℃に上昇することによる、光透過率の変化(差)を算出し、水熱反応後の反応液についてサーモクロミック性を評価した。
評価結果を表2に示す。
◎…15%以上、
○…10%以上15%未満
△…10%未満
Figure 2016017611
[光学フィルム1〜10の作製]
<光学フィルム1の作製>
(光学機能層形成用塗布液の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して水系の光学機能層形成用塗布液を調製した。なお、下記3質量%のVO2微粒子分散液1とは、上記水熱反応後の反応液1を限外濾過により、3質量%に濃縮した微粒子分散液である。
3質量%のVO2微粒子分散液1 28質量部
3質量%のホウ酸水溶液 10質量部
5質量%のポリビニルアルコール(5質量%水溶液、PVA−124;重合度:2400、ケン化度:98〜99mol%;クラレ株式会社製) 60質量部
5質量%の界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製) 2質量部
なお、ポリビニルアルコールであるPVA−124は、ヒドロキシ基含有の繰り返し単位の比率が50モル%以上のポリマーである。
(光学機能層の形成)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液1を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布を行い、次いで110℃の温風を2分間吹きつけて乾燥させて、光学機能層を形成して、光学フィルム1を作製した。
<光学フィルム2〜10の作製>
上記光学フィルム1の作製において使用したVO2微粒子分散液1を、それぞれVO2微粒子分散液2〜10にしたほかは、光学フィルム1の作製と同様にして光学フィルム2〜10を作製した。なお、光学フィルム2〜10の作製においては、上記光学フィルム1の作製と同様に、水熱反応後の反応液2〜10を限外濾過により、3質量%に濃縮したものをVO2微粒子分散液2〜10として使用した。
<光学フィルム1〜10の評価>
(ヘイズの測定)
ヘイズはJIS K7136に従い日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を用いて測定し、膜厚100μm換算での値で評価した。
ヘイズの評価基準は、下記のとおりである。なお、ヘイズは、小さいほど好ましい。
◎…5以下
○…5より大きく、10未満
×…10以上
(光学フィルムのサーモクロミック性の評価)
フィルムを固定用治具に取り付け、加熱可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)により、フィルムの透過スペクトルを測定した。
測定温度は、25℃及び80℃とした。また、フィルムの光透過率(波長2000nm)の温度依存性を測定した。
波長2000nmで、温度が20℃から80℃に上昇することによる、光透過率の変化の評価基準は、下記のとおりである。なお、透過率は、大きいほど好ましい。
◎…50%以上
○…40%以上50%未満
△…40%未満
Figure 2016017611
(まとめ)
表1〜3に示されるように、本発明のVO2微粒子の製造方法によって製造されたVO2微粒子によれば、VO2の含有量を高くでき、かつ、平均粒径及び形状の制御が可能なため、当該VO2微粒子はサーモクロミック性が良好であり、ヘイズの発生が抑えられたサーモクロミック性の良好な光学フィルムを提供できることが示された。
以上のように、本発明は、VO2の含有量を高くでき、かつ、平均粒径及び形状の制御が可能な二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルムを提供することに適している。
1 光学フィルム
2 透明基材
3、3A、3B 光学機能層
4 近赤外光遮蔽層
B バインダー樹脂
L 光線入射側
ML1、ML1a、ML1b 反射層積層体
ML2 ポリマー層積層体
PEN1〜PENn ポリエチレンナフタレートフィルム
PMMA1〜PMMAn ポリメチルメタアクリレートフィルム
1〜Tn、Ta1〜Tan、Tb1〜Tbn 赤外線反射層
VOS VO2微粒子

Claims (9)

  1. サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO2)を少なくとも含有する二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法であって、
    少なくとも、親水性高分子と、還元剤と、水と、少なくともバナジウム(V)を含有する化合物と、を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム含有微粒子を形成することを特徴とする二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
  2. 前記二酸化バナジウム含有微粒子の平均粒径が、5〜50nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
  3. 前記二酸化バナジウム含有微粒子の粒径分布のCV値が、40以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
  4. 前記水熱反応が、液温150〜250℃の範囲内で行われることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
  5. 前記親水性高分子が、少なくとも窒素原子又はヒドロキシ基を有する水溶性高分子であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
  6. 前記反応液が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選定される、少なくとも一種の原子を含む化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法で製造された二酸化バナジウム含有微粒子であって、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有微粒子。
  8. 請求項7に記載の二酸化バナジウム含有微粒子を含有することを特徴とする分散液。
  9. 透明基材上に少なくとも樹脂を含有する光学機能層を有する光学フィルムであって、請求項7に記載の二酸化バナジウム含有微粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
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