JP6638570B2 - サーモクロミックフィルムの製造方法 - Google Patents

サーモクロミックフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サーモクロミックフィルムの製造方法に関し、より詳しくは、高温高湿環境下に保存されても性能変動の少ないサーモクロミックフィルムを製造するサーモクロミックフィルムの製造方法に関する。
近年、車体や建物の窓ガラスに近赤外光遮蔽フィルムを適用することにより、車内のエア・コンディショナー等の冷房設備への負荷を低減する技術が盛んに開発されている。
近赤外光遮蔽フィルムは、太陽光の照度が高い赤道近傍の低緯度地帯では、その高い近赤外光遮蔽能により、多用されている。しかしながら、中緯度から高緯度地帯の冬期においては、逆に、太陽光をできるだけ車内や室内に取り込みたいというニーズがあり、太陽光を遮蔽してしまうと、上記ニーズに応えられないという問題がある。
上記問題に対し、近赤外光遮蔽フィルムに、近赤外光の遮蔽や透過の光学的性質を温度により制御する(以下、「サーモクロミック性」という。)ことができるサーモクロミック材料を適用する方法の検討がなされている。サーモクロミックフィルムの代表例としては、二酸化バナジウム粒子(以下、「VO粒子」ともいう。)が挙げられる。
二酸化バナジウム粒子は、67℃前後の温度領域で、半導体から金属に相転移を起こし、サーモクロミック性を示すことが知られている。そこで、二酸化バナジウム粒子の上記特性を利用した光学フィルムにより、高い温度の環境下では熱の原因となる近赤外光を遮蔽し、低い温度の環境下では近赤外光を透過する特性を発現することが可能となる。
これにより、夏期の暑い季節は近赤外光を遮蔽して室内の温度上昇を抑制し、冬期の寒い季節は、光エネルギーを取り込むことができるようになる。
しかし、二酸化バナジウム粒子は、大気中の水分と酸素によって二酸化バナジウム粒子の酸化や結晶構造の変化が促進されることが知られており、二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミックフィルムでは、時間経過とともにサーモクロミック性が低下することが問題であった。
そこで、例えば、特許文献1ではシランカップリング剤及び長鎖アルキル樹脂で二酸化バナジウム粒子を保護することが提案されており、特許文献2ではポリカルボン酸で二酸化バナジウム粒子を保護することが提案されている。
しかしながら、本発明者がこれらの特許文献に記載された二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミックフィルムを作製し、高温高湿環境下に保存して耐久性試験を行ったところ、サーモクロミックフィルムのヘイズ値の上昇や、サーモクロミック性能の劣化などの性能変動が大きく、耐久性が不十分であることが分かった。
特表2015−513508号公報 特開2012−25629号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高温高湿環境下に保存されても性能変動の少ないサーモクロミックフィルムを製造するサーモクロミックフィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく上記問題の原因等について検討した結果、二酸化バナジウム粒子を分散して分散液を調製した後に、当該分散液と、バインダー樹脂と、カルボン酸基とアミノ基を有する特定の構造を有する化合物とを混合して塗布液を調製し、この塗布液を用いてサーモクロミックフィルムを製造することにより、高温高湿環境下に保存したときの、ヘイズの増加が少なく、またサーモクロミック性の劣化も少ない高温高湿耐性に優れたサーモクロミックフィルムを製造できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.透明基材上にサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミックフィルムの製造方法であって、前記二酸化バナジウム粒子を含有する二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程と、前記二酸化バナジウム粒子分散液と、バインダー樹脂と、下記一般式(1)、一般式(2)、又は一般式(3)で表される部分構造を有する化合物Aとを混合して塗布液を調製する工程と、前記塗布液を前記透明基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記透明基材上に形成された塗膜を乾燥する工程とを含むことを特徴とするサーモクロミックフィルムの製造方法。
Figure 0006638570
Figure 0006638570
(一般式(2)中、Zは炭素原子、炭素原子とともに5員環又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。)
Figure 0006638570
(一般式(3)中、nは、2以上の整数を表す。)
2.前記化合物Aが、下記一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
Figure 0006638570
(一般式(4)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
Figure 0006638570
(一般式(5)中、Zは炭素原子、又は炭素原子とともに5員環又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基又は複素環基を表す。nは0〜4の整数を表す。)
3.前記化合物Aが、一般式(1)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする第1項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
4.前記化合物Aが、ヒドロキシ基又はスルファニル基を有する化合物であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
5.前記塗布液を調製する工程において、前記二酸化バナジウム粒子100質量部に対して、前記化合物Aが、3〜100質量部の範囲内で混合されていることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
6.前記二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程において、前記二酸化バナジウム粒子分散液が、下記式(1)で表されるYの値が90以上である化合物Bを含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
式(1): Y=(X/X)×100
式(1)中、Xは及びXは、下記調製法によって調製された二酸化バナジウム粒子分散液A100質量部に対して、化合物Bを3質量部添加し、25℃で1時間撹拌した後、さらに、化合物Aを3質量部添加して、25℃で1時間撹拌し、その後、遠心分離機で固形物を分離したときの上澄み液中に含有される化合物A及び化合物Bの質量を表す。
二酸化バナジウム粒子分散液Aの調製法:
純水25gにメタバナジン酸アンモニウム(NHVO)を1g混合し、ヒドラジン一水和物(N・HO)の5質量%水溶液0.1gをゆっくり滴下して反応させ反応液を得る。
当該反応液を、100℃で2時間、続いて275℃で24時間の水熱反応を行う。
当該水熱反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行った後、乾燥させて粒子紛体を得る。当該粒子紛体を純水中に二酸化バナジウム含有粒子の濃度が3.0質量%となるように添加して二酸化バナジウム粒子分散液Aとする。
7.前記二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程において、前記二酸化バナジウム粒子分散液が、前記化合物Aを含有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、高温高湿環境下に保存されてもヘイズ値の上昇や、サーモクロミック性の劣化が少なく高温高湿耐性に優れたサーモクロミックフィルムを製造するサーモクロミックフィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
二酸化バナジウム粒子を分散した後に、化合物Aを添加しても二酸化バナジウム粒子表面に化合物Aが吸着して表面を保護し、水分子や酸素分子が微粒子表面に近づけなくなることで、サーモクロミックフィルムの高温高湿環境下での保存耐性が、向上すると考えている。
また、化合物Aは、二酸化バナジウム粒子合成時や粒子分散時に添加された表面処理剤があっても効果を発現しており、VO粒子表面に対する化合物Aの吸着力が非常に高いため効果が発現するものと推察している。
また、化合物Aは、塗布液調製時に混合することで効果を発現できることから、二酸化バナジウム粒子の分散剤など分散性向上や形態制御などのために使用する他の添加剤は、高温高湿保存耐性を劣化させないようにするという制限が無くなり自由に選択できるようになるという効果もある。
また、通常の二酸化バナジウム粒子分散液の分散剤は、分散性を改良するために添加量を増やすと逆に分散性が低下することがあるが、本発明に係る化合物Aは塗布液に混合するので化合物Aの添加量が多くても分散性の低下を起こしにくいという効果もある。
本発明に係るサーモクロミックフィルムの基本的な構成の一例を示す概略断面図 近赤外光遮蔽層を有する本発明に係るサーモクロミックフィルムの層配置の基本的な構成の一例を示す概略断面図 調色層を有する場合の本発明に係るサーモクロミックフィルムの構成例を示す概略断面図 本発明に係る二酸化バナジウム粒子の製造における製造フローの一例を示す図 本発明に係る二酸化バナジウム粒子の製造に適用可能な水熱反応部を具備した流通式反応装置の一例を示す概略図
本発明のサーモクロミックフィルムの製造方法は、二酸化バナジウム粒子を分散して二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程と、前記二酸化バナジウム粒子分散液と、バインダー樹脂と、前記一般式(1)、一般式(2)、又は一般式(3)で表される部分構造を有する化合物Aとを混合して塗布液を調製する工程と、前記塗布液を前記透明基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記基材上に形成された塗膜を乾燥する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の実施態様としては、前記化合物Aが、前記一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する化合物であることが、高温高湿環境下に保存されても性能変動の少ないサーモクロミックフィルムが製造できる観点から好ましい。
また、前記化合物Aが、ヒドロキシ基又はスルファニル基(「チオール」ともいう。)を有する化合物であることが、高温高湿環境下に保存されても性能変動の少ないサーモクロミックフィルムが製造できる観点から、好ましい。
また、前記塗布液を調製する工程において、前記二酸化バナジウム粒子100質量部に対して、前記化合物Aが、3〜100質量部の範囲内で混合されていることが、高温高湿環境下に保存されても性能変動の少ないサーモクロミックフィルムが製造できる観点から好ましい。
さらに、前記二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程において、前記二酸化バナジウム粒子分散液が、下記式(1)で表されるYの値が90以上である化合物Bを含有することが、高温高湿環境下に保存されても性能変動の少ないサーモクロミックフィルムが製造できる観点から好ましい。
式(1): Y=(X/X)×100
式(1)中、Xは及びXは、下記調製法によって調製された二酸化バナジウム粒子分散液A100質量部に対して、化合物Bを3質量部添加し、25℃で1時間撹拌した後、さらに、化合物Aを3質量部添加して、25℃で1時間撹拌し、その後、遠心分離機で固形物を分離したときの上澄み液中に含有される化合物Aおよび化合物Bの質量を表す。
二酸化バナジウム粒子分散液Aの調製法:
純水25gにメタバナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬工業(株)製、特級)を1g混合し、ヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬工業(株)製、特級)の5質量%水溶液0.1gをゆっくり滴下して反応させ反応液を得る。
当該反応液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mLセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学(株)製)に入れて、100℃で2時間、続いて275℃で24時間の水熱反応を行う。
当該水熱反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行った後、乾燥させて粒子紛体を得る。当該粒子紛体を純水中に二酸化バナジウム含有粒子の濃度が3.0質量%となるように混合して二酸化バナジウム粒子分散液Aとする。
なお、Yの値は、VO粒子表面に対する化合物A及び化合物Bの吸着力の強さの比率を示す値であり、Yの値が大きいほど化合物Aの吸着力が化合物Bの吸着力より大きいことを表す。
したがって、Yの値は化合物Aと化合物Bとの組み合わせにより定まる。
前述の「式(1)で表されるYの値が90以上である化合物Bを含有する」とは、含有されている化合物Bと化合物Aとの組み合わせにおいて、化合物Bと化合物Aとが、式(1)で表される関係を満たすことを表す。
さらに、前記二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程においても、前記二酸化バナジウム粒子分散液が、前記化合物Aを含有することが、高温高湿環境下に保存されても性能変動の少ないサーモクロミックフィルムが製造できる観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<二酸化バナジウム粒子>
本発明のサーモクロミックフィルムの製造方法には、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム粒子が用いられる。
本発明に係る二酸化バナジウム粒子の結晶形は、特に制限はないが、サーモクロミック性(自動調光性)を効率よく発現させる観点から、ルチル型の二酸化バナジウム粒子(VO粒子)を用いることが、特に好ましい。
ルチル型のVO粒子は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M型とも呼ばれる。本発明に係る二酸化バナジウム粒子においては、目的を損なわない範囲で、A型、又はB型などの他の結晶型のVO粒子を含んでもよい。
本発明に係る二酸化バナジウム粒子の一次粒子の粒子径としては、10〜100nmの範囲内であることが好ましい。
また、本発明のサーモクロミックフィルムにおいては、光学機能層中における二酸化バナジウム粒子の一次粒子及び二次粒子の数平均粒子径が、200nm以下であることが好ましく、1〜180nmの範囲内がより好ましく、さらに好ましくは、5〜100nmの範囲内である。
ここで「粒子」とは、その平均粒子径が1μm(1000nm)以下のサイズのものであればよいが、好ましくはナノ粒子が挙げられる。
ナノ粒子とは、平均粒子径が200nm以下のサイズのものを指しており、好ましくは200nm以下のサイズのものが挙げられる。ナノ粒子は、その平均粒子径が100nm以下のサイズのものが好ましく、50nm以下であってよい。また、ナノ粒子は、その平均粒子径が20nm以下のサイズのもの、10nm以下のサイズのものであってよい。
ナノ粒子の粒子サイズは均一なものが好ましいが、一定の割合でその粒子サイズの異なるものを混合しているものが好ましい場合もある。
粒子径の測定は当該分野で知られた方法によりそれを行うことができ、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)、吸着法、光散乱法、X線小角散乱(small angle X−ray scattering;SAXS)などにより測定できる。TEMでは、粒子径分布が広い場合には、視野内に入った粒子が全粒子を代表しているか否かに注意を払う必要がある。吸着法は、N吸着などによりBET表面積を評価するものである。
また、二酸化バナジウム粒子のアスペクト比としては、1.0〜3.0の範囲内であることが好ましい。
このような特徴をもつ二酸化バナジウム粒子では、アスペクト比が十分に小さく、形状が等方的であるので、溶液に添加した場合の分散安定性が良好である。加えて、単結晶の粒子径が十分に小さいので、従来の粒子に比べて、良好なサーモクロミック性を発揮することができる。
本発明に係る二酸化バナジウム粒子では、二酸化バナジウム(VO)の他に、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選定された、少なくとも一つの元素を含んでいても良い。このような元素の添加により、二酸化バナジウム粒子の相転移特性(特に、相転移温度)を制御することができる点で有効である。なお、最終的に得られる二酸化バナジウム粒子に対する、相転移特性を制御する添加物の総量は、バナジウム(V)原子に対して、0.1〜10原子%程度である。
<二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程>
本発明のサーモクロミックフィルムの製造方法は、二酸化バナジウム粒子を分散して二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程を有する。
二酸化バナジウム粒子分散液を調製する方法は、一般に固相法により合成されたVO焼結体を粉砕する方法と、五酸化二バナジウム(V)やバナジン酸アンモニウムなどのバナジウム化合物を原料として、有機溶媒ではなく水溶液を使用した液相でVOを合成しながら粒子成長させる水系合成法が好ましく用いられる。
(水系合成法)
水系合成法は、平均一次粒子径が小さく、粒子径のばらつきを抑制することができる点で好ましい。
本発明に係る二酸化バナジウム粒子は、以下の方法により製造した二酸化バナジウム粒子に前述の表面修飾を行うことができる。
更に、水系合成法としては、水熱合成法と、超臨界状態を用いた水系合成法が挙げられ、超臨界状態を用いた水系合成法(超臨界水熱合成法ともいう。)の詳細については、例えば、特開2010−58984号公報の段落番号(0011)、同(0015)〜(0018)に記載されている製造方法を参照することができる。
次いで、本発明に好適な水熱法による二酸化バナジウム粒子の製造方法について、その詳細をさらに説明する。
以下に、代表的な水熱法による二酸化バナジウム粒子の製造工程を示す。
(工程1)
バナジウム(V)を含む物質(I)と、ヒドラジン(N)又はその水和物(N・nHO)と、水とを混ぜて溶液(A)を調製する。この溶液は、物質(I)が水中に溶解した水溶液であっても良いし、物質(I)が水中に分散した懸濁液であっても良い。
物質(I)としては、例えば、五酸化二バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム(NHVO)、三塩化酸化バナジウム(VOCl)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)等が挙げられる。なお、物質(I)としては、五価のバナジウム(V)を含む化合物であれば、特に限定されない。ヒドラジン(N)及びその水和物(N・nHO)は、物質(I)の還元剤として機能するものであって、水に容易に溶解する性質を有する。
溶液(A)は、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)の単結晶粒子に元素を添加するため、添加する元素を含む物質(II)を更に含有していてもよい。添加する元素としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)又はリン(P)が挙げられる。
これらの元素を、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶粒子に添加することにより、二酸化バナジウム粒子のサーモクロミック性、特に、転移温度を制御することができる。
また、この溶液(A)は、酸化性又は還元性を有する物質(III)が更に含有されていてもよい。物質(III)としては、例えば、過酸化水素(H)が挙げられる。酸化性又は還元性を有する物質(III)を添加することにより、溶液のpHを調整したり、物質(I)であるバナジウム(V)を含む物質を均一に溶解させたりすることができる。
(工程2)
次に、調製した溶液(A)を用いて、水熱反応処理を行う。ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低い熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。
水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置内で行われる。水熱反応処理により、二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶粒子が得られる。
水熱反応処理の条件(例えば、反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間等。)は、適宜設定されるが、水熱反応処理の温度は、例えば、250〜350℃の範囲内であり、好ましくは250〜300℃の範囲内であり、より好ましくは250〜280℃の範囲内である。温度を低くすることにより、得られる単結晶粒子の粒子径を小さくすることができるが、過度に粒子径が小さいと、結晶性が低くなる。また、水熱反応処理の時間は、例えば1時間〜5日の範囲内であることが好ましい。時間を長くすることにより、得られる単結晶粒子の粒子径等を制御することができるが、過度に長い処理時間では、エネルギー消費量が多くなる。
以上の反応の方式としては、バッチ式(回分式)、セミバッチ式(半回分式)で行うことができるが、好ましくは前述の耐圧性の管型又は槽型などのフロー型リアクター(流通型反応器)を用いて亜臨界又は超臨界状態にある高温高圧水と混合して合成する連続法も使用でき、特には管型のリアクターを利用する連続法を好適に利用できる。
以上の工程1及び工程2を経て、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶粒子を含む分散液が得られる。
(粉砕法)
また、固相法により合成されたVO焼結体を粉砕する方法により、二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶粒子を含む分散液を製造することもできる。
二酸化バナジウムを微粒子化する方法は種々の方法があるが、ビーズミル、超音波破砕、高圧ホモジナイザー等種々の方法があり、いずれの方法を用いても二酸化バナジウム粒子を作製することができる。
ビーズミルでは、種々のビーズを用いることができるが、硬度、価格の観点からジルコニアビーズを利用するのが好ましい。
(二酸化バナジウム粒子分散液の不純物の除去処理)
上記水系合成法により調製された二酸化バナジウム粒子の分散液中には、合成過程で生じた残渣などの不純物が含まれており、光学機能層を形成する際に、二次凝集粒子発生のきっかけとなり、光学機能層の長期保存での劣化要因となることがあり、あらかじめ分散液の段階で不純物を除去することが好ましい。
二酸化バナジウム粒子分散液中の不純物を除去する方法としては、従来公知の異物や不純物を分離する手段を適用することができ、例えば、二酸化バナジウム粒子分散液に遠心分離を施し、二酸化バナジウム粒子を沈殿させ、上澄み中の不純物を除去し、再び分散媒を添加、分散する方法でも良いし、限外濾過膜などの交換膜を用いて不純物を系外へ除去する方法でも良いが、二酸化バナジウム粒子の凝集を防止する観点からは、限外濾過膜を用いる方法が最も好ましい。
限外濾過膜の材質としては、セルロース系、ポリエーテルスルホン系、ポリテトラフルオロエチレン(略称:PTFE)などを挙げることができ、その中でも、ポリエーテルスルホン系、PTFEを用いることが好ましい。
不純物を除去した水分散液を塗布・乾燥することにより、二酸化バナジウム粒子の粉体を得ることができる。
(二酸化バナジウム粒子分散液への添加剤)
二酸化バナジウム粒子分散液は二酸化バナジウム粒子の分散性を向上させる目的で分散剤として化合物Bを含有させてもよい。
化合物Bの具体例としては、カルボン酸、リン酸、スルホン酸類などから、樹脂との親和性に合わせて適宜選ぶことができる。また、炭酸塩微粒子に対してはチタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤なども用いることができる。中でもカルボン酸類は所望の構造が入手し易く、吸着効果も高いことなどから好ましく用いることができる。
カルボン酸類としては、いわゆる脂肪酸、樹脂酸、またはそのエステル構造などが一般的に用いられている。具体的には、プロピオン酸、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化パーム核脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化パーム核脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸などの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及び飽和不飽和混合脂肪酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩など、ナフテン酸などの脂環族カルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩など、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸などの樹脂酸のアンモニウム塩又はアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩などが挙げられる。
化合物Bは、下記式(1)で表されるYの値が90以上の関係を満たすことが好ましい。
式(1): Y=(X/X)×100
式(1)中、Xは及びXは、下記調製法によって調製された二酸化バナジウム粒子分散液A100質量部に対して、化合物Bを3質量部添加し、25℃で1時間撹拌した後、さらに、化合物Aを3質量部添加して、25℃で1時間撹拌する。その後、遠心分離機で固形物を分離したときの上澄み液中に含有される化合物Aおよび化合物Bの質量を表す。
二酸化バナジウム粒子分散液Aの調製法:
純水25gにメタバナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬工業(株)製、特級)を1g混合し、ヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬工業(株)製、特級)の5質量%水溶液0.1gをゆっくり滴下して反応させ反応液を得る。
該反応液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mLセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学(株)製)に入れて、100℃で2時間、続いて275℃で24時間の水熱反応を行う。
該水熱反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行った後、乾燥させて粒子紛体を得る。粒子紛体を純水中に二酸化バナジウム含有粒子の濃度が3.0質量%となるように添加して二酸化バナジウム粒子分散液Aとする。
<塗布液を調製する工程>
本発明のサーモクロミックフィルムの製造方法では、前記二酸化バナジウム粒子分散液と、下記バインダー樹脂と、下記一般式(1)、一般式(2)、又は一般式(3)で表される部分構造を有する化合物Aとを混合して塗布液を調製する工程を有する。
本発明において、二酸化バナジウム粒子を分散した後に、化合物Aを添加しても二酸化バナジウム粒子表面に化合物Aが吸着して表面を保護し、水分子や酸素分子が微粒子表面に近づけなくなることで、サーモクロミックフィルムの高温高湿環境下での保存耐性が、向上すると考えている。
化合物Aは、二酸化バナジウム粒子合成時や粒子分散時に添加された化合物Bがあっても効果を発現しており、VO2粒子表面に対する化合物Aの吸着力が非常に高いため効果が発現していると推察している。
特に、化合物Bは、前記式(1)で表されるYの値が90以上の関係を満たす場合、化合物Aの二酸化バナジウム粒子表面への吸着が強固となり、サーモクロミックフィルムの高温高湿環境下での保存耐性が、向上する。
<化合物A>
本発明では、塗布液の調製工程において、二酸化バナジウム粒子分散液と、水溶性高分子水溶液と、化合物Aとが混合される。塗布液の調製工程において、化合物Aが混合されることにより本願発明の効果が得られる。
化合物Aは、下記一般式(1)、一般式(2)、又は一般式(3)で表される部分構造を有する化合物である。
Figure 0006638570
一般式(1)で表される部分構造を有する化合物は、下記一般式(4)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0006638570
(一般式(4)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
炭素数1〜5のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基などが挙げられる。炭素数1〜5のアルキル基は、置換基を有していても良い。置換基としては、ヒドロキシ基、スルファニル基、フェニル基などが挙げられる。
置換基は、ヒドロキシ基、スルファニル基であることが好ましく、ヒドロキシ基であることがより好ましい。
が炭素数1〜5のアルキル基であり、かつR及びRが水素原子であることがより好ましい。
Figure 0006638570
(一般式(2)中、Zは炭素原子、炭素原子とともに5員環又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。)
一般式(2)で表される部分構造を有する化合物は、下記一般式(5)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0006638570
一般式(5)において、Zは炭素原子、又は炭素原子とともに5員環又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基又は複素環基を表す。nは0〜4の整数を表す。また複素環を形成する窒素原子が、N−オキシド構造をとっても良い。
Figure 0006638570
(一般式(3)中、nは、2以上の整数を表す。)
一般式(3)で表される部分構造を有する化合物は、置換基として炭素数1〜5のアルキル基を有することが好ましい。
化合物Aの具体的な化合物としては、下記の化合物例が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006638570
<塗膜を形成する工程>
本発明のサーモクロミックフィルムの製造方法では、前記塗布液を下記透明基材上に塗布して塗膜を形成する工程を有する。
塗布液を透明基材上に塗布する方法としては、特に制限はないが、好ましくは湿式塗布法を用いて光学機能層を形成する。湿式塗布法として具体的には、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
<塗膜を乾燥する工程>
本発明のサーモクロミックフィルムの製造方法では、前記透明基材上に塗布して塗膜を乾燥する工程を有する。
塗膜を乾燥する工程では、乾燥により塗布液の溶媒を揮発させ、透明基材上の塗膜を乾燥させてさらに安定化させ、サーモクロミックフィルムとする。
加熱乾燥は、塗膜を加熱し、必要に応じて風をあてることにより、塗膜を乾燥させるものである。加熱温度は、塗膜の構成により適宜選択できる。
なお、加熱手段としては、特に制限されないが、ドライヤーを用いて熱風をあてたり、乾燥ゾーンを設けて塗膜を加熱乾燥させたり、赤外線ヒータにより加熱させたりすることなどが挙げられる。
<サーモクロミックフィルムの構成の概要>
本発明に係るサーモクロミックフィルムの代表的な構成例について、図を参照して説明する。
本発明に係るサーモクロミックフィルムの好ましい態様の一つは、透明基材上に、光学機能層が形成されている構成である。
図1に示すサーモクロミックフィルム11は、透明基材12上に、光学機能層13を積層した構成を有している。この光学機能層13は、バインダー樹脂B1中に、二酸化バナジウム粒子が分散された状態で存在している二酸化バナジウム粒子含有層である。この二酸化バナジウム粒子には、二酸化バナジウム粒子が独立して存在している二酸化バナジウム粒子の一次粒子VOと、2個以上の二酸化バナジウム粒子の集合体(凝集体ともいう)を構成している、二酸化バナジウム粒子の二次粒子VOが存在している。本発明では、2個以上の二酸化バナジウム粒子の集合体を総括して二次粒子と称し、二次粒子凝集体、又は二次凝集粒子ともいう。
本発明においては、光学機能層13中における二酸化バナジウム粒子の一次粒子VO及び二次粒子VOの全粒子による数平均粒子径が、200nm以下であることが好ましい。
図2は、図1に示す構成で、透明基材上に、光学機能層13とともに近赤外光遮蔽層を有するサーモクロミックフィルムで、その代表的な層配置を示す概略断面図である。
図2の(a)で示すサーモクロミックフィルム11は、光線入射側Lより、光学機能層13、近赤外光遮蔽層14及び透明基材12の順に配置されている構成である。
図2の(b)で示すサーモクロミックフィルム11では、透明基材12と近赤外光遮蔽層14との間に、本発明に係る光学機能層13を配置した例であり、図2の(c)は、透明基材12の光線入射側Lに近赤外光遮蔽層14を配置し、透明基材12の裏面側に本発明に係る光学機能層13を配置した例である。
図3は、調色層を有する場合の、本発明に係るサーモクロミックフィルムの構成例を示す概略断面図である。
図3(a)に示すサーモクロミックフィルム31は、透明基材32の一方の面に、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム粒子を含有する光学機能層33及び粘着層35がこの順に積層され、透明基材32の他方の面に、光波長350〜750nmの範囲内に極大吸収波長を持つ染料又は顔料を含有するハードコート層34が積層されている。
光学機能層33は、バインダー樹脂中に、二酸化バナジウム粒子が分散された状態で存在している。
また、ハードコート層35中には、前記染料又は顔料が分散された状態で存在している。図3(b)に示す光学フィルムは、上記染料又は顔料が、二酸化バナジウム粒子を含有する光学機能層に直接接触する隣接層である粘着層に含有されている。
図3(c)に示す光学フィルムは、上記染料又は顔料が、二酸化バナジウム粒子を含有する光学機能層に直接接触する隣接層である着色剤層に含有されており、当該着色剤層上にさらに粘着層が形成されている。
図3(d)に示す光学フィルムは、上記染料又は顔料が、二酸化バナジウム粒子を含有
する光学機能層と同じ層に含有されている。
本発明のサーモクロミックフィルムとしては、上記説明した各構成層の他に、必要に応じて、各種機能層を設けてもよい。
本発明のサーモクロミックフィルムの総厚としては、特に制限はないが、10〜1500μmの範囲内であり、好ましくは20〜1000μmの範囲内であり、さらに好ましくは30〜500μmの範囲内であり、特に好ましくは40〜300μmの範囲内である。
本発明のサーモクロミックフィルムの光学特性として、JIS R3106(1998)で測定される可視光透過率としては、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。
<サーモクロミックフィルムの各構成材料>
本発明に係るサーモクロミックフィルムの構成要素である光学機能層、必要により設ける樹脂基材、近赤外光遮蔽層等の詳細について説明する。
(光学機能層)
本発明に係る光学機能層は、二酸化バナジウム粒子と、バインダー樹脂とを含有している。光学機能層における二酸化バナジウム粒子の濃度としては、特に制限はないが、おおむね光学機能層全質量に対し、5〜60質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%の範囲内であり、さらに好ましくは5〜30質量%の範囲内である。
本発明に係るサーモクロミックフィルムにおいては、光学機能層中における二酸化バナジウム粒子の一次粒子の粒子個数比率が、一次粒子及び二次粒子の総粒子数の30個数%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50個数%以上であり、特に好ましくは70個数%以上である。理想的な上限は100個数%であるが、現状における最大値としては、95個数%以下である。測定法は、前記の二酸化バナジウム粒子の平均粒子径を測定する方法と同様である。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、二酸化バナジウム粒子を保持し、膜を形成できるバインダー樹脂であれば特に制限はなく、例えば、水溶性高分子、疎水性高分子、又は活性エネルギー線硬化樹脂などを用いることができる。
(水溶性高分子)
本発明でいう水溶性高分子とは、100gの水に対し、液温25℃での溶解量が1.0g以上である樹脂であれば特に制限なく用いられる。
本発明に適用可能な水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ゼラチン(例えば、特開2006−343391号公報記載のゼラチンを代表とする親水性高分子)、デンプン、グアーガム、アルギン酸塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルアセトアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ナフタリンスルホン酸縮合物や、アルブミン、カゼイン等のタンパク質、アルギン酸ソーダ、デキストリン、デキストラン、デキストラン硫酸塩等の糖誘導体などを挙げることができる。
(疎水性高分子)
本発明のサーモクロミックフィルムは、二酸化バナジウム粒子を保持するバインダー樹脂として、疎水性高分子を適用することもできる。
本発明でいう疎水性バインダーとは、100gの水に対し、液温25℃での溶解量が1.0g未満である樹脂をいい、さらに好ましくは、溶解量が0.5g未満の樹脂であり、さらに好ましくは、溶解量が0.25g未満の樹脂である。
本発明に適用する疎水性バインダーとしては、疎水性高分子を水に分散させたエマルジョンを用いることが好ましい。
本発明に適用可能な疎水性高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー、アクリル酸エステル系共重合体;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)やASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂)、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等が挙げられる。水溶性高分子と疎水性高分子分散液とを併用して用いてもよい。
また、疎水性高分子を有機溶剤に溶解した高分子溶液を用いてもよい。
本発明に適用可能な高分子を有機溶剤に溶解した高分子溶液の高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、アクリル酸エステル系共重合体;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)やASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂)、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等が挙げられる。
<活性エネルギー線硬化樹脂>
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
疎水性バインダー樹脂の単量体を用い、硬化処理工程でポリマー化する樹脂を挙げることができ、その代表的な疎水性バインダー樹脂材料としては、活性エネルギー線の照射により硬化する化合物であり、具体的にはラジカル活性種による重合反応により硬化するラジカル重合性化合物、及びカチオン活性種によるカチオン重合反応により硬化するカチオン重合性化合物を挙げることができる。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
カチオン重合性化合物としては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、特開2001−40068、特開2001−55507、特開2001−310938、特開2001−310937、特開2001−220526に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
上記化合物とともに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知の光重合開始剤を用いることができる。
活性エネルギー線の光源としては、紫外線を照射する場合には、例えば紫外線LED、紫外線レーザー、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、低圧水銀灯、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ及び太陽光を使用することができる。電子線により硬化させる場合には、通常300eVの以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
溶媒としては、特に制限はなく適宜選択することができるが,例えば、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒,酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒,エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒、ジオキサン、ヘキサン、オクタン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド等、同時に適用する疎水性バインダー樹脂を溶解させるものであれば使用可能である。
<光学機能層のその他の添加剤>
本発明に係る光学機能層に、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
<透明基材>
本発明に係る透明基材としては、透明であれば特に制限はなく、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができるが、可撓性の付与及び生産適性(製造工程適性)の観点からは、透明樹脂フィルムであることが好ましい。本発明でいう「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明に係る透明基材の厚さは、30〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは35〜70μmの範囲内である。透明基材の厚さが30μm以上であれば、取り扱い中にシワ等が発生しにくくなり、また厚さが200μm以下であれば、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性がよくなる。
本発明に係る透明基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度の向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明のサーモクロミックフィルムを具備した合わせガラスを自動車用のガラスとして用いる場合、延伸フィルムがより好ましい。
本発明に係る透明基材は、サーモクロミックフィルムのシワの生成や光学機能層の割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜3.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0%の範囲内であることがより好ましく、1.9〜2.7%であることがさらに好ましい。
本発明のサーモクロミックフィルムに適用可能な透明基材としては、透明であれば特に制限されることはないが、種々の樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、シクロオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくは、シクロオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムである。
透明樹脂フィルムは、成膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明においては、成膜工程中での下引塗布をインライン下引という。
<ハードコート層>
本発明に係るサーモクロミックフィルムには、フィルムの耐久性を向上させるためにハードコート層を設けても良い。
なお、前記の<サーモクロミックフィルムの構成の概要>で記載した図3(a)又は図3(f)に示されるように染料又は顔料を、ハードコート層に含有させてもよい。
ハードコート層(HC層ともいう。)のハードコート材としては、ポリシロキサンに代表される無機系材料、活性エネルギー線硬化樹脂等を使用することができる。
無機系材料は、湿気硬化(常温〜加温)が必要であり、硬化温度、硬化時間、コストの観点から本発明では活性エネルギー線硬化樹脂を使用することが好ましい。活性エネルギー線樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又はプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。
例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(DIC(株)製)100部とコロネートL(東ソー(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端のヒドロキシ基やカルボキシ基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号公報)。紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端のヒドロキシ基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
<調色層>
本発明においては、サーモクロミックフィルムの色味を調整するために、350〜750nmの範囲内に極大吸収波長を持つ染料又は顔料を含有する調色層を設けてもよい。
「染料」とは、着色する色材として利用され、水や有機溶媒などのいずれかの溶媒に溶解するものをいう。「顔料」とは、着色する色材として利用され、水や有機溶媒などに溶解しない色素が微粉末状になったものをいう。
本発明において使用できる光波長350〜750nmの範囲内に極大吸収波長を持つ染料としては、具体的には、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリールメタン系色素、インジゴ系色素などが挙げられる。
中でも、同フタロシアニン系のC.I.ピグメントブルー15:3(極大吸収波長630nm、720nm)、C.I.ピグメントブルー15:4(極大吸収波長640nm、740nm)、C.I.ピグメントブルー16(極大吸収波長620nm、690nm)などを好ましく用いることができる。
<粘着層>
粘着層は、本発明に係る光学フィルムを他の基材等に粘着させるための層である。本発明の光学フィルムをウインドウフィルムとして用いる場合には、窓ガラスに粘着させるための層である。
本発明においては、光学フィルムの層構成のうち、上記図3(b)に示される層構成のように、本発明に係る上述の染料又は顔料を、二酸化バナジウムを含有する光学機能層に直接接触する隣接層として粘着層に含有させてもよい。
粘着層に用いる粘着剤はゴム系、アクリル系、シリコン系、ウレタン系等の粘着剤から選ばれる。経時での黄変がないことでアクリル系、シリコン系が好ましく、汎用離型シートが使用できる点でアクリル系がもっとも好ましい。
また、粘着層の厚さは5μm〜30μmの範囲内が好ましい。5μm以上あれば粘着性が安定し、30μm以下の場合粘着剤がフィルムのわきからはみ出すことがなく取扱いやすい。
粘着層に貼り合わせるセパレーター(剥離シート)の種類については、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、紙等の基材にシリコンコート、ポリアルキレンコート、フッ素樹脂コートしたものが使用できるが、寸法安定性、平滑性、剥離安定性の点からポリエステルフィルムにシリコンコートしたものが特に好ましい。
また、セパレーターの厚さは10〜100μmの範囲内が好ましく、さらに好ましくは20〜60μm内である。10μm以上あれば塗布、乾燥時の熱によりフィルムに搬送じわが生じることがないため好ましい、また、100μm以下であれば経済性の観点から好ましい。
<サーモクロミックフィルムの用途>
本発明のサーモクロミックフィルムの用途としては、ガラスに後貼りする構成とすることができ、このフィルムを貼合したガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。フィルムを貼合したガラスは、これらの用途以外にも使用できる。前記フィルムを貼合したガラスは、建築用又は車両に用いることが好ましく、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
ガラス部材としては、無機ガラス及び有機ガラス(樹脂グレージング)が挙げられる。無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、及びグリーンガラス等の着色ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラス(樹脂グレージング)としては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
<二酸化バナジウム粒子分散液1の調製>
二酸化バナジウム粒子(WO)2%(VO)98%、NanoAmor社製)10質量部、分散剤としてポリカルボン酸(AFB−0561、日油株式会社製)5質量部を、85質量部のトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート中に添加し、ビーズミルで混合して二酸化バナジウム粒子分散液1を得た。
<二酸化バナジウム粒子分散液2の調製>
純水400質量部に、二酸化バナジウム粒子(VO2、新興化学工業株式会社製)75質量部、分散剤としてポリカルボン酸(マリアリムSC−0505K、日油株式会社製)25質量部を混合し、ジルコニアビーズを用いて(株)広島メタル&マシナリー社製スーパーアペックスミルで混合して二酸化バナジウム粒子分散液2を得た。
<二酸化バナジウム粒子分散液3の調製>
二酸化バナジウム粒子(新興化学工業株式会社製)10質量部、分散剤としてポリカルボン酸(AFB−0561、日油社製)5質量部をメチルイソブチルケトン85質量部中に添加し、ジルコニアビーズを用いて(株)広島メタル&マシナリー社製スーパーアペックスミルで混合して二酸化バナジウム粒子分散液3を得た。
<二酸化バナジウム粒子分散液4の調製>
純水25gにバナジン酸アンモニウム(V)(NHVO、和光純薬工業株式会社製、特級)を1g混合し、ヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬工業株式会社製、特級)の5質量%水溶液0.1gをゆっくり滴下した。
調製した反応液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mLセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学株式会社製)に入れて、100℃で2時間、続いて275℃で24時間の水熱反応を行った。
反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行い、仕上がりの二酸化バナジウム粒子の濃度を3.0質量%に調製し、更に二酸化バナジウム粒子100質量部に対して15質量部の割合でポリカルボン酸(マリアリムSC−0505K、日油株式会社製)を加え、粒径30μmのジルコニアビーズを用いて(株)広島メタル&マシナリー社製スーパーアペックスミルにより1時間分散し、二酸化バナジウム粒子の分散液4を調製した。
<二酸化バナジウム粒子分散液5の調製>
二酸化バナジウム粒子分散液4の調製において、ポリカルボン酸(マリアリムSC−0505K、日油株式会社製)をアルギニンに変更した以外は同様にして二酸化バナジウム粒子分散液5を調製した。
<二酸化バナジウム粒子分散液6の調製>
図4(a)の実施形態及び図5に記載の水熱反応部を有する流通式反応装置を用い、下記の方法に従って、二酸化バナジウム粒子を含む分散液を調製した。
図5に記載の原料液容器1(105)に、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)19.0gをイオン交換水(溶存酸素量:8.1mg/L)に溶解して300mLとし、この液を撹拌しながら、アルカリとして3.0mol/LのNH3水溶液を68mL添加して、pHが8.0の原料液1を調製した。一方、図5に記載の原料液容器2(102)にはイオン交換水(溶存酸素量:8.1mg/L)を原料液2として収納した。
酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1は、原料液容器1(105)から流路(106)内をポンプ(107)により送液し、加熱媒体(115)で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2であるイオン交換水は、原料液容器2(102)から流路(103)内をポンプ(104)により送液し、加熱媒体(113)で、440℃で、30MPaの条件で加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、図5で示す合流点(MP)で酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1と、超臨界水である原料液2を、体積比として、原料液1:原料液2=1:4となる条件で混合して、反応液2を形成し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱配管部(117)における水熱反応条件としては、400℃、30MPaの条件で、処理時間(通過時間)を2秒となる条件で行い、二酸化バナジウム(VO)含有粒子を形成した。次いで、冷却部(108)にて反応液2を冷却し、二酸化バナジウム含有粒子2及び水を含有する分散液を調製した。
反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行い、仕上がりの二酸化バナジウム含有粒子の濃度を3.0質量%に調整し、更に二酸化バナジウム含有粒子100質量部に対して15質量部の割合でL−サルコシンを加え、粒径30μmのジルコニアビーズを用いて(株)広島メタル&マシナリー社製スーパーアペックスミルにより1時間分散し、二酸化バナジウム含有粒子の分散液5を調製した。
<サーモクロミックフィルム101の作製>
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)上に、下記の二酸化バナジウム粒子含有層塗布液1を、ダイコーターを用いて乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布量を調整して湿式塗布を行い、90℃で1分間乾燥させた。次に、紫外線ランプを用いて、照度100mW/cm、照射量0.2J/cm、酸素濃度200ppmの条件で紫外線を照射することにより塗膜を硬化さてサーモクロミックフィルム101を作製した。
<二酸化バナジウム粒子含有層塗布液1の調製>
下記の組成の二酸化バナジウム粒子含有層塗布液1を調製した。
二酸化バナジウム粒子分散液1 40質量部
ビームセット577(荒川化学工業(株)製) 30質量部
Irgacure127(BASF株式会社製) 1質量部
メガファックF−552(DIC株式会社製) メチルイソブチルケトン希釈液(1質量部) 2質量部
メチルイソブチルケトン 27質量部
<サーモクロミックフィルム102の作製>
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、下記の二酸化バナジウム粒子含有層塗布液2を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布を行い、次いで110℃の温風を2分間吹きつけて乾燥させて、光学機能層を形成して、サーモクロミックフィルム102を作製した。
<二酸化バナジウム粒子含有層塗布液2の調製>
下記の組成の二酸化バナジウム粒子含有層塗布液2を調製した。
二酸化バナジウム含有粒子の分散液4 10質量部
4質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトロース60SH−50、信越化学工業(株)製)水溶液 75質量部
5質量%の界面活性剤水溶液(Triton X−100、シグマアルドリッチ社製)
2質量部
純水 13質量部
<サーモクロミックフィルム103の作製>
サーモクロミックフィルム102の作製において、二酸化バナジウム粒子含有層塗布液2に、二酸化バナジウム粒子100質量部に対して2質量%となるようにサルコシンを添加した以外はサーモクロミックフィルム102と同様にしてサーモクロミックフィルム103を作製した。
<サーモクロミックフィルム104〜131の作製>
サーモクロミックフィルム103の作製において、二酸化バナジウム粒子の種類、塗布液に添加する化合物Aの種類、量(二酸化バナジウム粒子100質量部に対する量(質量部))、水溶性高分子の種類を表1、及び表2に示すように変更した以外は、サーモクロミックフィルム103と同様に行い、サーモクロミックフィルム104〜131を作製した。
<サーモクロミックフィルム132の作製>
サーモクロミックフィルム101の作製において、二酸化バナジウム粒子含有層塗布液1の二酸化バナジウム粒子分散液1を二酸化バナジウム粒子分散液3に変更し、さらに二酸化バナジウム粒子100質量部に対して50質量部となるようにフェニルアラニンを添加した以外は、サーモクロミックフィルム101と同様にしてサーモクロミックフィルム132を作製した。
<サーモクロミックフィルムの評価>
作製した各サーモクロミックフィルムについて、下記の各評価を行った。
(初期ヘイズ値)
上記作製した各サーモクロミックフィルムについて、室温にて、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて、ヘイズ(%)を測定し、下記の基準に従ってヘイズの評価を行った。
○:ヘイズが、2.0%未満である
○△:ヘイズが、2.0%以上、3.0%未満である
△:ヘイズが、3.0%以上、5.0%未満である
×:5.0%以上である
(高温高湿環境保存後のサーモクロミック性)
各測定用フィルムを85℃・85%RHに400時間保存し、保存前後の各サーモクロミックフィルムのサーモクロミック性の評価を行った。
具体的には、25℃・50%RH(保存前)、80℃・50%RH(保存後)における波長1500nmでのそれぞれの光透過率を測定し、算出される光透過率差ΔT%を出し、保存前後の各ΔT%の比率[ΔT%(保存後)/ΔT%(保存前)]を下記評価基準に従って評価した。測定は、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)に温調ユニット(日本分光株式会社製)を取り付けて行った。
○:90%以上100%である
○△:80%以上90%未満である
△:70%以上80%未満である
×:70%未満である
(高温高湿環境保存後のヘイズ値)
各測定用フィルムを85℃・85%RHに400時間保存し、保存前後の各サーモクロミックフィルムのヘイズ値の評価を上記と同様にして行った。
(Y値)
各サーモクロミックフィルムにおける化合物Bの下記式(1)で示されるYの値を、下記方法により測定した。
式(1): Y=(X/X)×100
式(1)中、Xは及びXは、下記調製法によって調製された二酸化バナジウム粒子分散液A100質量部に対して、化合物Bを3質量部添加し、25℃で1時間撹拌した後、さらに、化合物Aを3質量部添加して、25℃で1時間撹拌し、その後、遠心分離機で固形物を分離したときの上澄み液中に含有される化合物Aおよび化合物Bの質量を表す。
二酸化バナジウム粒子分散液Aの調製法
純水25gにメタバナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬工業(株)製、特級)を1g混合し、ヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬工業(株)製、特級)の5質量%水溶液0.1gをゆっくり滴下して反応させ反応液を得る。
該反応液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mLセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学(株)製)に入れて、100℃で2時間、続いて275℃で24時間の水熱反応を行う。
該水熱反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行った後、乾燥させて粒子紛体を得る。粒子紛体を純水中に二酸化バナジウム含有粒子の濃度を3.0質量%となるように混合して二酸化バナジウム粒子分散液Aとする。
評価結果を表1、及び表2に示す。
Figure 0006638570
Figure 0006638570
表1、及び表2に記載の結果より明らかなように、本発明のサーモクロミックフィルムは、比較例に対し、ヘイズが低下しており、高温高湿環境下でもサーモクロミックフィルムの性能劣化が少なく、湿熱耐性に優れていることが分かった。
11、31 サーモクロミックフィルム
12、32 透明基材
13、33 光学機能層
14 近赤外光遮蔽層
34 ハードコート層
35 粘着層
36 調色層
101 流通式反応装置
102 原料液容器2
103、106、111、118 流路(配管)
104、107、112 ポンプ
105 原料液容器1
108 冷却部
109、110 タンク
113、114、115 加熱媒体
116 水熱反応部
117 加熱部配管
119 制御弁
C 冷媒
IN 加熱媒体の入口
OUT 加熱媒体の出口
L 加熱部配管のライン長
MP 合流点
TC 温度センサー

Claims (7)

  1. 透明基材上にサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミックフィルムの製造方法であって、
    前記二酸化バナジウム粒子を含有する二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程と、
    前記二酸化バナジウム粒子分散液と、バインダー樹脂と、下記一般式(1)、一般式(2)、又は一般式(3)で表される部分構造を有する化合物Aとを混合して塗布液を調製する工程と、
    前記塗布液を前記透明基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記透明基材上に形成された塗膜を乾燥する工程とを含むことを特徴とするサーモクロミックフィルムの製造方法。
    Figure 0006638570
    Figure 0006638570
    (一般式(2)中、Zは炭素原子、炭素原子とともに5員環又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。)
    Figure 0006638570
    (一般式(3)中、nは、2又は3の整数を表す。)
  2. 前記化合物Aが、下記一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
    Figure 0006638570
    (一般式(4)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
    Figure 0006638570
    (一般式(5)中、Zは炭素原子、又は炭素原子とともに5員環又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基又は複素環基を表す。nは0〜4の整数を表す。)
  3. 前記化合物Aが、一般式(1)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
  4. 前記化合物Aが、ヒドロキシ基又はスルファニル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
  5. 前記塗布液を調製する工程において、前記二酸化バナジウム粒子100質量部に対して、前記化合物Aが、3〜100質量部の範囲内で混合されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
  6. 前記二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程において、
    前記二酸化バナジウム粒子分散液が、下記式(1)で表されるYの値が90以上である化合物Bを含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
    式(1): Y=(X/X)×100
    式(1)中、Xは及びXは、下記調製法によって調製された二酸化バナジウム粒子分散液A100質量部に対して、化合物Bを3質量部添加し、25℃で1時間撹拌した後、さらに、化合物Aを3質量部添加して、25℃で1時間撹拌し、その後、遠心分離機で固形物を分離したときの上澄み液中に含有される化合物Aおよび化合物Bの質量を表す。
    二酸化バナジウム粒子分散液Aの調製法:
    純水25gにメタバナジン酸アンモニウム(NHVO)を1g混合し、ヒドラジン一水和物(N・HO)の5質量%水溶液0.1gをゆっくり滴下して反応させ反応液を得る。
    当該反応液を、100℃で2時間、続いて275℃で24時間の水熱反応を行う。
    当該水熱反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行った後、乾燥させて粒子紛体を得る。当該粒子紛体を純水中に二酸化バナジウム含有粒子の濃度が3.0質量%となるように添加して二酸化バナジウム粒子分散液Aとする。
  7. 前記二酸化バナジウム粒子分散液を調製する工程において、
    前記二酸化バナジウム粒子分散液が、前記化合物Aを含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムの製造方法。
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