JPWO2013183742A1 - ケイ酸アルミニウムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、セシウムイオン吸着容量の大きいケイ酸アルミニウムおよびその製造方法を提供することにある。本発明は、(1)下記式(I)で表され、xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)(式中、xは0.12≦x≦1.3、 mは5.0≦m≦15.0、 nは5≦n≦15である。)(2)Na2O含有量が1.5〜11.0重量%であり、(3)アルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニウム原子である、ケイ酸アルミニウムである。
Description
本発明は、セシウムイオン吸着容量の大きいケイ酸アルミニウムおよびその製造方法に関する。
東日本大地震による福島第一原子力発電所の事故により、放射性セシウムが外部に放出され大きな問題となっている。放射性セシウムの除去法として吸着剤による吸着固定化が想定される。セシウムイオンを吸着除去する方法として非晶質アルミニウムケイ酸塩を用いる方法が提案されている(非特許文献1)。また、セシウムイオンを吸着除去する方法としてゼオライト、層状ケイ酸塩等を用いる方法が提案されている(非特許文献2)。また、特許文献1には、メソポーラスシリカアルミナゲルが提案されている。
しかし、これらの文献に記載のケイ酸アルミニウムのセシウムイオンの吸着能には改良の余地がある。
特開2002−284520号公報
第55回粘度化学討論会講演要旨集A25
放射性物質の除去・回収技術のためのデータベース
しかし、これらの文献に記載のケイ酸アルミニウムのセシウムイオンの吸着能には改良の余地がある。
本発明の目的は、セシウムイオン吸着容量の大きいケイ酸アルミニウムおよびその製造方法を提供することにある。さらに本発明の目的は、セシウムイオンを吸着除去する方法を提供することにある。
本発明者は、セシウムイオンの吸着性に優れ、セシウムイオンの吸着固定化に優れた効果を有するケイ酸アルミニウムを提供するために鋭意検討した。その結果、水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、特定の組成比および条件で反応させるとセシウムイオンの吸着性に優れたケイ酸アルミニウムが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(1)下記式(I)で表され、
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
(式中、xは0.12≦x≦1.3、 mは5.0≦m≦15.0、 nは5≦n≦15である。)
(2)Na2O含有量が1.5〜11.0重量%であり、
(3)アルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニウム原子である、
ケイ酸アルミニウムである。
また本発明は、(1)水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性ケイ酸塩中のケイ素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が、2.5〜7.5となる割合で反応させ、液pH3.5〜10.5の反応液を得る工程、
(2)反応液を60〜120℃で、0.5〜3時間、熟成する工程、
(3)反応液を固液分離しケーキを得る工程、および
(4)ケーキを洗浄した後、乾燥する工程、
を含むケイ酸アルミニウムの製造方法である。
また本発明は、セシウムイオンを含有する水溶液とケイ酸アルミニウムとを接触させ、水溶液中のセシウムイオンを低減させる方法であって、ケイ酸アルミニウムが、
(1)下記式(I)で表され、
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
(式中、xは0.12≦x≦1.3、 mは5.0≦m≦15.0、 nは5≦n≦15である。)
(2)Na2O含有量が1.5〜11.0重量%であり、
(3)アルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニウム原子である、
ことを特徴とする前記方法である。
本発明者は、セシウムイオンの吸着性に優れ、セシウムイオンの吸着固定化に優れた効果を有するケイ酸アルミニウムを提供するために鋭意検討した。その結果、水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、特定の組成比および条件で反応させるとセシウムイオンの吸着性に優れたケイ酸アルミニウムが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(1)下記式(I)で表され、
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
(式中、xは0.12≦x≦1.3、 mは5.0≦m≦15.0、 nは5≦n≦15である。)
(2)Na2O含有量が1.5〜11.0重量%であり、
(3)アルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニウム原子である、
ケイ酸アルミニウムである。
また本発明は、(1)水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性ケイ酸塩中のケイ素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が、2.5〜7.5となる割合で反応させ、液pH3.5〜10.5の反応液を得る工程、
(2)反応液を60〜120℃で、0.5〜3時間、熟成する工程、
(3)反応液を固液分離しケーキを得る工程、および
(4)ケーキを洗浄した後、乾燥する工程、
を含むケイ酸アルミニウムの製造方法である。
また本発明は、セシウムイオンを含有する水溶液とケイ酸アルミニウムとを接触させ、水溶液中のセシウムイオンを低減させる方法であって、ケイ酸アルミニウムが、
(1)下記式(I)で表され、
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
(式中、xは0.12≦x≦1.3、 mは5.0≦m≦15.0、 nは5≦n≦15である。)
(2)Na2O含有量が1.5〜11.0重量%であり、
(3)アルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニウム原子である、
ことを特徴とする前記方法である。
以下、本発明について具体的に説明する。
(ケイ酸アルミニウム)
本発明のケイ酸アルミニウムは、前述したように下記式(I)で表される。
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
式(I)中x、m、nはそれぞれ下記範囲を満足する。0.12≦x≦1.3、5.0≦m≦15.0、 5≦n≦15。更に、x、m、nはそれぞれ0.25≦x≦1.0、 7.0≦m≦12.0、 6.0≦n≦12であることが好ましい。
式(I)中のxを0.12より小さくすると、反応母液中に逃げるアルミニウムイオンが多くなり収率が悪くなり不利である。xが1.3を超えると、ケイ酸アルミニウムの陽イオン吸着サイトを越えてしまう。よって、ケイ酸アルミニウム中にフリーのNaを含有することになり洗浄によりのぞかれてしまう。また、xの範囲が0.12≦x≦1.3はNa2O含有量として1.5〜11.0重量%に対応する。
また、mが前記範囲を外れるケイ酸アルミニウムはセシウムイオン吸着容量が少なくなり不利である。
また、nを5より小さくするには乾燥工程での熱エネルギーを多く必要とし経済的でない。nが15を超えると乾燥品中のケイ酸アルミニウム含量が少なくなりセシウムイオン吸着容量が少なくなり不利である。
Na2O含有量は、1.5〜11.0重量%、好ましくは1.6〜8.0重量%である。
(配位数)
通常、ケイ酸アルミニウム中のアルミニウム原子は、4配位と6配位の形態をとり得るが、陽イオンを吸着するためには4配位でなければならない。すなわち、アルミニウム原子が4配位となるためには、ケイ酸アルミニウム中のアルミニウム原子がシリカ原子と同型置換しなければ起こり得ない。アルミニウム原子がシリカ原子と置換すればここに負電荷一価が生じる。この負電荷が陽イオン吸着サイトとなる。一方アルミニウム原子が6配位のときは、電気的に中性であるので前述のようなアルカリ吸着サイトが存在しない。そして、本発明のケイ酸アルミニウム中のアルミニウム原子はその50%以上が4配位であり、好ましくは60〜70%、更に好ましくは80%以上である。
アルミニウム原子の配位数の測定方法は、NMR法で行うことができる。例えば、AlCl3・6H2Oを基準物質として、27Al−NMRを測定する場合6配位のアルミニウムのケミカルシフトのピークは0ppm近傍に現れ、4配位のアルミニウム原子のケミカルシフトのピークは55ppm付近に現れる。これらの位置に現れるピーク面積の比から、ケイ酸アルミニウム中に存在する4配位と6配位のアルミニウム原子の存在比を知ることができる。
(結晶構造)
本発明のケイ酸アルミニウムは、粉末X線回折法による結晶構造が非晶質である。すなわち、X線回折図において特定の面指数を示すピークが存在しない。
(製造方法)
本発明のケイ酸アルミニウムは以下の工程(1)〜(4)により製造することができる。
(工程(1))
工程(1)は、水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性ケイ酸塩中のケイ素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が、2.5〜7.5となる割合で反応させ、液pH3.5〜10.5の反応液を得る工程である。
水溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸アルカリ金属が挙げられる。ケイ酸ナトリウムとして、ケイ酸ナトリウム1号、2号、3号、4号又はメタケイ酸ナトリウムが挙げられる。
水溶性アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。
水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩との比率は、水溶性ケイ酸塩中のケイ素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比率(Si/Al)が2.5〜7.5、好ましくは3.5〜6となるようにする。
反応は、水溶性ケイ酸塩液水溶液および水酸化ナトリウム水溶液の一定量を反応槽に投入し、続いて水溶性アルミニウム塩水溶液の一定量を、一定の速度で注加するバッチ反応で行うことができる。また逆に、水溶性アルミニウム塩水溶液に水溶性ケイ酸塩および水酸化ナトリウム水溶液を投入することもできる。また、水溶性ケイ酸塩(水ガラス)中のNa2Oに対して水溶性アルミニウム塩中のAl2O3を等量で混合(反応)させることも出来る。
また、水溶性ケイ酸塩水溶液、水酸化ナトリウム水溶液および水溶性アルミニウム塩水溶液を一定の割合で、あらかじめ一定量の水を投入した反応槽に投入する連続反応方式でも良い。水溶性ケイ酸塩の濃度はSiとして1.5〜2.0モル/Lが好ましい。水溶性アルミニウム塩の濃度はAlとして0.25〜0.4モル/Lが好ましい。
また、ケイ酸アルミニウム中のNa2O含有量の変量は反応時に水酸化ナトリウム水溶液を使用する以外に、水溶性ケイ酸塩水溶液と水溶性アルミニウム塩を目的のモル比になるように、前記バッチ反応または連続反応法で反応し、洗浄時に設定のNa2O含有量を通液することによっても目的のケイ酸アルミニウムを得ることができる。
反応温度は、特に限定するものではないが20〜70℃で良い。また、反応液のpHは3.5〜10.5好ましくは3.8〜9.5である。反応液のpHが3.5未満になると反応母液中に逃げるアルミニウムアルミニウムイオンが多くなり収率が悪くなる。逆に反応pHを10.5以上とすると、Na2O含有量が得られるケイ酸アルミニウムの陽イオン吸着サイト以上となるので好ましくない。従って、反応液のpHは前述の範囲内とすることが必要である。
(工程(2))
工程(2)は、反応液を60〜120℃で、0.5〜3時間、熟成する工程である。熟成の温度は、好ましくは60〜95℃である。また、熟成時間は好ましくは1.0〜2.0時間である。熟成は、反応釜で行うことができる。
(工程(3))
工程(3)は、反応液を固液分離しケーキを得る工程である。固液分離は、ドラムフィルター、フィルタープレス等で行うことができる。固液分離の温度は、好ましくは常温〜50℃、より好ましくは25〜35℃である。
(工程(4))
工程(4)は、ケーキを洗浄した後、乾燥する工程である。
洗浄は、固液分離と連動しているのでドラムフィルター、フィルタープレス等で行うことができる。洗浄水温は常温〜50℃、より好ましくは25〜35℃である。また洗浄水量は、熟成後懸濁液中のケイ酸アルミニウム粒子に対して10倍量で十分である。
乾燥は、洗浄後ケーキを脱水しバンド乾燥機を用いたり、また、洗浄・脱水後ケーキを再乳化し噴霧乾燥する等の方法で行うことができる。
バンド乾燥機による乾燥は、入口温度50〜200℃、出口温度120〜170℃、より好ましくは入口温度160〜180、出口温度130〜150℃である。噴霧乾燥機による乾燥は、入口温度350〜500℃、出口温度160〜200℃、より好ましくは入口温度400〜450℃、出口温度170〜190℃である。
(ケイ酸アルミニウム)
本発明のケイ酸アルミニウムは、前述したように下記式(I)で表される。
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
式(I)中x、m、nはそれぞれ下記範囲を満足する。0.12≦x≦1.3、5.0≦m≦15.0、 5≦n≦15。更に、x、m、nはそれぞれ0.25≦x≦1.0、 7.0≦m≦12.0、 6.0≦n≦12であることが好ましい。
式(I)中のxを0.12より小さくすると、反応母液中に逃げるアルミニウムイオンが多くなり収率が悪くなり不利である。xが1.3を超えると、ケイ酸アルミニウムの陽イオン吸着サイトを越えてしまう。よって、ケイ酸アルミニウム中にフリーのNaを含有することになり洗浄によりのぞかれてしまう。また、xの範囲が0.12≦x≦1.3はNa2O含有量として1.5〜11.0重量%に対応する。
また、mが前記範囲を外れるケイ酸アルミニウムはセシウムイオン吸着容量が少なくなり不利である。
また、nを5より小さくするには乾燥工程での熱エネルギーを多く必要とし経済的でない。nが15を超えると乾燥品中のケイ酸アルミニウム含量が少なくなりセシウムイオン吸着容量が少なくなり不利である。
Na2O含有量は、1.5〜11.0重量%、好ましくは1.6〜8.0重量%である。
(配位数)
通常、ケイ酸アルミニウム中のアルミニウム原子は、4配位と6配位の形態をとり得るが、陽イオンを吸着するためには4配位でなければならない。すなわち、アルミニウム原子が4配位となるためには、ケイ酸アルミニウム中のアルミニウム原子がシリカ原子と同型置換しなければ起こり得ない。アルミニウム原子がシリカ原子と置換すればここに負電荷一価が生じる。この負電荷が陽イオン吸着サイトとなる。一方アルミニウム原子が6配位のときは、電気的に中性であるので前述のようなアルカリ吸着サイトが存在しない。そして、本発明のケイ酸アルミニウム中のアルミニウム原子はその50%以上が4配位であり、好ましくは60〜70%、更に好ましくは80%以上である。
アルミニウム原子の配位数の測定方法は、NMR法で行うことができる。例えば、AlCl3・6H2Oを基準物質として、27Al−NMRを測定する場合6配位のアルミニウムのケミカルシフトのピークは0ppm近傍に現れ、4配位のアルミニウム原子のケミカルシフトのピークは55ppm付近に現れる。これらの位置に現れるピーク面積の比から、ケイ酸アルミニウム中に存在する4配位と6配位のアルミニウム原子の存在比を知ることができる。
(結晶構造)
本発明のケイ酸アルミニウムは、粉末X線回折法による結晶構造が非晶質である。すなわち、X線回折図において特定の面指数を示すピークが存在しない。
(製造方法)
本発明のケイ酸アルミニウムは以下の工程(1)〜(4)により製造することができる。
(工程(1))
工程(1)は、水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性ケイ酸塩中のケイ素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が、2.5〜7.5となる割合で反応させ、液pH3.5〜10.5の反応液を得る工程である。
水溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸アルカリ金属が挙げられる。ケイ酸ナトリウムとして、ケイ酸ナトリウム1号、2号、3号、4号又はメタケイ酸ナトリウムが挙げられる。
水溶性アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。
水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩との比率は、水溶性ケイ酸塩中のケイ素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比率(Si/Al)が2.5〜7.5、好ましくは3.5〜6となるようにする。
反応は、水溶性ケイ酸塩液水溶液および水酸化ナトリウム水溶液の一定量を反応槽に投入し、続いて水溶性アルミニウム塩水溶液の一定量を、一定の速度で注加するバッチ反応で行うことができる。また逆に、水溶性アルミニウム塩水溶液に水溶性ケイ酸塩および水酸化ナトリウム水溶液を投入することもできる。また、水溶性ケイ酸塩(水ガラス)中のNa2Oに対して水溶性アルミニウム塩中のAl2O3を等量で混合(反応)させることも出来る。
また、水溶性ケイ酸塩水溶液、水酸化ナトリウム水溶液および水溶性アルミニウム塩水溶液を一定の割合で、あらかじめ一定量の水を投入した反応槽に投入する連続反応方式でも良い。水溶性ケイ酸塩の濃度はSiとして1.5〜2.0モル/Lが好ましい。水溶性アルミニウム塩の濃度はAlとして0.25〜0.4モル/Lが好ましい。
また、ケイ酸アルミニウム中のNa2O含有量の変量は反応時に水酸化ナトリウム水溶液を使用する以外に、水溶性ケイ酸塩水溶液と水溶性アルミニウム塩を目的のモル比になるように、前記バッチ反応または連続反応法で反応し、洗浄時に設定のNa2O含有量を通液することによっても目的のケイ酸アルミニウムを得ることができる。
反応温度は、特に限定するものではないが20〜70℃で良い。また、反応液のpHは3.5〜10.5好ましくは3.8〜9.5である。反応液のpHが3.5未満になると反応母液中に逃げるアルミニウムアルミニウムイオンが多くなり収率が悪くなる。逆に反応pHを10.5以上とすると、Na2O含有量が得られるケイ酸アルミニウムの陽イオン吸着サイト以上となるので好ましくない。従って、反応液のpHは前述の範囲内とすることが必要である。
(工程(2))
工程(2)は、反応液を60〜120℃で、0.5〜3時間、熟成する工程である。熟成の温度は、好ましくは60〜95℃である。また、熟成時間は好ましくは1.0〜2.0時間である。熟成は、反応釜で行うことができる。
(工程(3))
工程(3)は、反応液を固液分離しケーキを得る工程である。固液分離は、ドラムフィルター、フィルタープレス等で行うことができる。固液分離の温度は、好ましくは常温〜50℃、より好ましくは25〜35℃である。
(工程(4))
工程(4)は、ケーキを洗浄した後、乾燥する工程である。
洗浄は、固液分離と連動しているのでドラムフィルター、フィルタープレス等で行うことができる。洗浄水温は常温〜50℃、より好ましくは25〜35℃である。また洗浄水量は、熟成後懸濁液中のケイ酸アルミニウム粒子に対して10倍量で十分である。
乾燥は、洗浄後ケーキを脱水しバンド乾燥機を用いたり、また、洗浄・脱水後ケーキを再乳化し噴霧乾燥する等の方法で行うことができる。
バンド乾燥機による乾燥は、入口温度50〜200℃、出口温度120〜170℃、より好ましくは入口温度160〜180、出口温度130〜150℃である。噴霧乾燥機による乾燥は、入口温度350〜500℃、出口温度160〜200℃、より好ましくは入口温度400〜450℃、出口温度170〜190℃である。
以下実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ケイ酸アルミニウムの特性は以下の方法により測定した。
(1)Na2O含有量:東京光電機株式会社製 炎光光度計ANA−135を用いてNa含有量を求め、Na2O含有量(重量%)に換算した。
(2)Al2O3含有量:日本薬局方乾燥水酸化アルミニウムゲル定量法に準じたが、試料を塩酸で溶解後、ろ過し、そのろ液について測定した。
(3)SiO2含有量:日本薬局方無水ケイ酸の定量法に準じて測定した。
(4)H2O含有量:試料を900℃で3時間焼成し、その灼熱減量から求めた。
(5)4配位Al原子(%):AlCl3・6H2Oを基準物質として、NMR27Al−NMRを測定し、6配位のアルミニウム原子のケミカルシフトのピーク面積と、4配位のアルミニウム原子のケミカルシフトの面積から算出した。
(6)粉末X線回折:理学電機株式会社製 RINT2200Vを用いて、Cu−Kαにて測定した。
(7)セシウムイオン濃度測定:誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS) 日立製作所製 P−5000型を用いて測定した。
実施例1(ケイ酸アルミニウム1の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液を33.4ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を33.6ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは5.19であった。得られた反応懸濁液pHは4.03であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を10Lステンレス槽に入れ95℃で2時間熟成した。
[工程(3)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過しケーキを形成させた。
[工程(4)]
次に、水道水7,000mLを通水し洗浄した。続いて、脱水後ラボスケール熱風乾燥機を用いて乾燥し、ハンマーミルで粉砕することによりケイ酸アルミニウム粒子を得た。得られたケイ酸アルミニウム1の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験1]
Cs濃度1mg/L水溶液100mLおよび実施例1で得られたケイ酸アルミニウム1gを、300mL容共栓付き三角フラスコに入れ、30℃に設定した浸とう器にセットし振幅速度100min−1で1時間浸とう後、遠心分離機を用いて15,000rpm×15分間処理し、上澄み液中のセシウムイオン濃度を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)で測定した。その結果を表2に示す。
[セシウムイオン吸着試験2]
ケイ酸アルミニウム使用量を0.5gとした以外はセシウムイオン吸着試験1と同操作を行った。その結果を表2に示す。
[セシウムイオン吸着試験3]
ケイ酸アルミニウム使用量を0.1gとした以外はセシウムイオン吸着試験1と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例2(ケイ酸アルミニウム2の製造)
[工程(1)]
実施例1と同条件で実施した。その結果、得られた反応液のpHは4.01であった。
[工程(2)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過により固液分離しケーキを形成させた。
[工程(3)]
次に、水道水3,000mLを通水した。続いて、0.3モル/L水酸化ナトリウム水溶液3,000mLを通液した。
[工程(4)]
続いて、脱水後ラボスケール熱風乾燥機を用いて乾燥し、ハンマーミルで粉砕しケイ酸アルミニウム粒子を得た。得られたケイ酸アルミニウム2の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例3(ケイ酸アルミニウム3の製造)
実施例2において、工程(3)の水酸化ナトリウム水溶液通を0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液3,000mLとした以外、実施例2と同操作としケイ酸アルミニウム粒子を得た。なお、工程(1)における反応温度は30℃±1℃で実施し、得られた反応液のpHは3.95であった。得られたケイ酸アルミニウム3の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例4(ケイ酸アルミニウム4の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液を21.4ml/1分、0.54モル/L水酸化ナトリウム水溶液を21.4mL/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を21.4ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは5.22であった。得られた反応液pHは10.7であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を10Lステンレス槽に入れ60℃で2時間熟成した。
[工程(3)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過しケーキを形成させた。次に、水道水7,000mLを通水し洗浄した。
[工程(4)]
続いて、脱水後ラボスケール熱風乾燥機を用いて乾燥し、ハンマーミルで粉砕することによりケイ酸アルミニウム4を得た。得られたケイ酸アルミニウム4の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例5(ケイ酸アルミニウム5の製造)
[工程(1)]
容量10Lのステンレス槽に、Al濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液4,000mLを入れ、撹拌下にSi濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液4,000mLを定量ポンプを用いて1時間で投入した。Si/Alは5.22であった。反応温度は30℃±1℃で実施し、水ガラス水溶液投入終了後の液pHは3.86であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を95℃×2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム5の特性を表1に示す。
[セシウム吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例6(ケイ酸アルミニウム6の製造)
[工程(1)]
容量10Lのステンレス槽に、Si濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液4,000mLを入れ、撹拌下にAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液4,000mLを定量ポンプを用いて1時間で投入したSi/Alは5.22であった。反応温度は30℃±1℃で実施し、硫酸アルミニウム水溶液投入終了後の液pHは3.92であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を95℃×2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム6の特性を表1に示す。
[セシウム吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例7(ケイ酸アルミニウム7の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.75モル/Lの1号水ガラス水溶液を26ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を41ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは3.47であった。反応液のpHは3.90であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を10Lステンレス槽に入れ60℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム7の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例8(ケイ酸アルミニウム8の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.8モル/Lの2号水ガラス水溶液を28.3ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を38.7ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは4.11であった。反応液のpHは4.01であった。
[工程(2)]
得られた反応液を10Lステンレス槽に入れ80℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム8の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例9(ケイ酸アルミニウム9の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.7モル/Lの4号水ガラス水溶液を36.3ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を30.7ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは6.28であった。反応液のpHは3.95であった。
[工程(2)]
得られた反応液を10Lステンレス槽に入れ90℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1、と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム9の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
比較例1
[工程(1)]
実施例1の工程(1)迄は同操作で実施した。反応温度は30±1℃で実施し、得られた反応液のpHは3.97であった。Si/Alは5.19であった。
[工程(2)]
得られた反応液を10Lステンレス槽に入れ40℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過しケーキを形成させた。次に、水道水7,000mLを通水し洗浄した。脱水後、乾燥し、ハンマーミルで粉砕した。得られたケイ酸アルミニウムの特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
比較例2
[工程(1)]
容量10Lのステンレス槽に、Al濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液4,000mLを入れ、撹拌下にSi濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液1,150mLを定量ポンプを用いて30分で投入した。続いて、1モル/L水酸化ナトリウム液3,000mLを定量ポンプを用いて60分で投入した。反応温度は30±1℃で実施し、水酸化ナトリウム投入終了後液pHは4.23であった。Si/Alは1.5であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を60℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同じ操作を行った。得られたケイ酸アルミニウムの特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
比較例3
容量12Lのステンレス槽に、Al濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液3,000mLを入れ、撹拌下にSi濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液5,750mLを定量ポンプを用いて60分で投入した。続いて、1モル/L硫酸水溶液1,450mLを定量ポンプを用いて30分で投入した。反応温度は30℃±1℃で実施し、水酸化ナトリウム投入終了後液pHは4.12であった。Si/Alは10.0であった。
[熟成]
得られた反応懸濁液を90℃で2時間熟成した。
[洗浄・乾燥]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウムの特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、セシウムイオンの低濃度水溶液中(Cs=1ppm)を、本発明のケイ酸アルミニウムで処理することにより、その濃度を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)の検出限界以下まで下げることができる。
発明の効果
本発明のケイ酸アルミニウムは、セシウムイオン吸着性に優れておりセシウムイオン含有水中のセシウムイオンを吸着固定化できる。本発明の製造方法によれば、セシウムイオンの吸着性に優れたケイ酸アルミニウムを製造することができる。さらに本発明のセシウムイオンを低減させる方法によれば、セシウムイオンを効率的に低減させることができる。この方法は、セシウムの放射性同位体137Csおよび134Cs吸着にも適用することが期待される。
ケイ酸アルミニウムの特性は以下の方法により測定した。
(1)Na2O含有量:東京光電機株式会社製 炎光光度計ANA−135を用いてNa含有量を求め、Na2O含有量(重量%)に換算した。
(2)Al2O3含有量:日本薬局方乾燥水酸化アルミニウムゲル定量法に準じたが、試料を塩酸で溶解後、ろ過し、そのろ液について測定した。
(3)SiO2含有量:日本薬局方無水ケイ酸の定量法に準じて測定した。
(4)H2O含有量:試料を900℃で3時間焼成し、その灼熱減量から求めた。
(5)4配位Al原子(%):AlCl3・6H2Oを基準物質として、NMR27Al−NMRを測定し、6配位のアルミニウム原子のケミカルシフトのピーク面積と、4配位のアルミニウム原子のケミカルシフトの面積から算出した。
(6)粉末X線回折:理学電機株式会社製 RINT2200Vを用いて、Cu−Kαにて測定した。
(7)セシウムイオン濃度測定:誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS) 日立製作所製 P−5000型を用いて測定した。
実施例1(ケイ酸アルミニウム1の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液を33.4ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を33.6ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは5.19であった。得られた反応懸濁液pHは4.03であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を10Lステンレス槽に入れ95℃で2時間熟成した。
[工程(3)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過しケーキを形成させた。
[工程(4)]
次に、水道水7,000mLを通水し洗浄した。続いて、脱水後ラボスケール熱風乾燥機を用いて乾燥し、ハンマーミルで粉砕することによりケイ酸アルミニウム粒子を得た。得られたケイ酸アルミニウム1の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験1]
Cs濃度1mg/L水溶液100mLおよび実施例1で得られたケイ酸アルミニウム1gを、300mL容共栓付き三角フラスコに入れ、30℃に設定した浸とう器にセットし振幅速度100min−1で1時間浸とう後、遠心分離機を用いて15,000rpm×15分間処理し、上澄み液中のセシウムイオン濃度を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)で測定した。その結果を表2に示す。
[セシウムイオン吸着試験2]
ケイ酸アルミニウム使用量を0.5gとした以外はセシウムイオン吸着試験1と同操作を行った。その結果を表2に示す。
[セシウムイオン吸着試験3]
ケイ酸アルミニウム使用量を0.1gとした以外はセシウムイオン吸着試験1と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例2(ケイ酸アルミニウム2の製造)
[工程(1)]
実施例1と同条件で実施した。その結果、得られた反応液のpHは4.01であった。
[工程(2)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過により固液分離しケーキを形成させた。
[工程(3)]
次に、水道水3,000mLを通水した。続いて、0.3モル/L水酸化ナトリウム水溶液3,000mLを通液した。
[工程(4)]
続いて、脱水後ラボスケール熱風乾燥機を用いて乾燥し、ハンマーミルで粉砕しケイ酸アルミニウム粒子を得た。得られたケイ酸アルミニウム2の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例3(ケイ酸アルミニウム3の製造)
実施例2において、工程(3)の水酸化ナトリウム水溶液通を0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液3,000mLとした以外、実施例2と同操作としケイ酸アルミニウム粒子を得た。なお、工程(1)における反応温度は30℃±1℃で実施し、得られた反応液のpHは3.95であった。得られたケイ酸アルミニウム3の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例4(ケイ酸アルミニウム4の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液を21.4ml/1分、0.54モル/L水酸化ナトリウム水溶液を21.4mL/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を21.4ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは5.22であった。得られた反応液pHは10.7であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を10Lステンレス槽に入れ60℃で2時間熟成した。
[工程(3)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過しケーキを形成させた。次に、水道水7,000mLを通水し洗浄した。
[工程(4)]
続いて、脱水後ラボスケール熱風乾燥機を用いて乾燥し、ハンマーミルで粉砕することによりケイ酸アルミニウム4を得た。得られたケイ酸アルミニウム4の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例5(ケイ酸アルミニウム5の製造)
[工程(1)]
容量10Lのステンレス槽に、Al濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液4,000mLを入れ、撹拌下にSi濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液4,000mLを定量ポンプを用いて1時間で投入した。Si/Alは5.22であった。反応温度は30℃±1℃で実施し、水ガラス水溶液投入終了後の液pHは3.86であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を95℃×2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム5の特性を表1に示す。
[セシウム吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例6(ケイ酸アルミニウム6の製造)
[工程(1)]
容量10Lのステンレス槽に、Si濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液4,000mLを入れ、撹拌下にAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液4,000mLを定量ポンプを用いて1時間で投入したSi/Alは5.22であった。反応温度は30℃±1℃で実施し、硫酸アルミニウム水溶液投入終了後の液pHは3.92であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を95℃×2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム6の特性を表1に示す。
[セシウム吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例7(ケイ酸アルミニウム7の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.75モル/Lの1号水ガラス水溶液を26ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を41ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは3.47であった。反応液のpHは3.90であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を10Lステンレス槽に入れ60℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム7の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例8(ケイ酸アルミニウム8の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.8モル/Lの2号水ガラス水溶液を28.3ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を38.7ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは4.11であった。反応液のpHは4.01であった。
[工程(2)]
得られた反応液を10Lステンレス槽に入れ80℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム8の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例9(ケイ酸アルミニウム9の製造)
[工程(1)]
オーバーフロー付き容量2Lのステンレス製反応槽に、予め水を800mL入れ撹拌下に、Si濃度1.7モル/Lの4号水ガラス水溶液を36.3ml/1分およびAl濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を30.7ml/1分の流速で定量ポンプを用いて同時に供給し、30±1℃で2時間連続反応した。Si/Alは6.28であった。反応液のpHは3.95であった。
[工程(2)]
得られた反応液を10Lステンレス槽に入れ90℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1、と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウム9の特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
比較例1
[工程(1)]
実施例1の工程(1)迄は同操作で実施した。反応温度は30±1℃で実施し、得られた反応液のpHは3.97であった。Si/Alは5.19であった。
[工程(2)]
得られた反応液を10Lステンレス槽に入れ40℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
熟成した懸濁液を常温まで冷却し、ヌッチエを用いて吸引ろ過しケーキを形成させた。次に、水道水7,000mLを通水し洗浄した。脱水後、乾燥し、ハンマーミルで粉砕した。得られたケイ酸アルミニウムの特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
比較例2
[工程(1)]
容量10Lのステンレス槽に、Al濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液4,000mLを入れ、撹拌下にSi濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液1,150mLを定量ポンプを用いて30分で投入した。続いて、1モル/L水酸化ナトリウム液3,000mLを定量ポンプを用いて60分で投入した。反応温度は30±1℃で実施し、水酸化ナトリウム投入終了後液pHは4.23であった。Si/Alは1.5であった。
[工程(2)]
得られた反応懸濁液を60℃で2時間熟成した。
[工程(3)および(4)]
実施例1と同じ操作を行った。得られたケイ酸アルミニウムの特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
比較例3
容量12Lのステンレス槽に、Al濃度0.32モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液3,000mLを入れ、撹拌下にSi濃度1.67モル/Lの3号水ガラス水溶液5,750mLを定量ポンプを用いて60分で投入した。続いて、1モル/L硫酸水溶液1,450mLを定量ポンプを用いて30分で投入した。反応温度は30℃±1℃で実施し、水酸化ナトリウム投入終了後液pHは4.12であった。Si/Alは10.0であった。
[熟成]
得られた反応懸濁液を90℃で2時間熟成した。
[洗浄・乾燥]
実施例1と同操作を行った。得られたケイ酸アルミニウムの特性を表1に示す。
[セシウムイオン吸着試験]
実施例1のセシウム吸着試験3と同操作を行った。その結果を表2に示す。
発明の効果
本発明のケイ酸アルミニウムは、セシウムイオン吸着性に優れておりセシウムイオン含有水中のセシウムイオンを吸着固定化できる。本発明の製造方法によれば、セシウムイオンの吸着性に優れたケイ酸アルミニウムを製造することができる。さらに本発明のセシウムイオンを低減させる方法によれば、セシウムイオンを効率的に低減させることができる。この方法は、セシウムの放射性同位体137Csおよび134Cs吸着にも適用することが期待される。
本発明のケイ酸アルミニウムは、セシウムの放射性同位体137Csおよび134Csの吸着固定化への利用が期待される。
Claims (7)
- (1)下記式(I)で表され、
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
(式中、xは0.12≦x≦1.3、 mは5.0≦m≦15.0、 nは5≦n≦15である。)
(2)Na2O含有量が1.5〜11.0重量%であり、
(3)アルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニウム原子である、
ケイ酸アルミニウム。 - 粉末X線回折法に結晶構造が非晶質である請求項1記載のケイ酸アルミニウム。
- (1)水溶性ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性ケイ酸塩中のケイ素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が、2.5〜7.5となる割合で反応させ、液pH3.5〜10.5の反応液を得る工程、
(2)反応液を60〜120℃で、0.5〜3時間、熟成する工程、
(3)反応液を固液分離しケーキを得る工程、および
(4)ケーキを洗浄した後、乾燥する工程、
を含むケイ酸アルミニウムの製造方法。 - 水溶性ケイ酸塩が、ケイ酸ナトリウムである請求項3記載の製造方法。
- 水溶性アルミニウム塩が、硫酸アルミニウムである請求項3記載の製造方法。
- セシウムイオンを含有する水溶液とケイ酸アルミニウムとを接触させ、水溶液中のセシウムイオンを低減させる方法であって、ケイ酸アルミニウムが、
(1)下記式(I)で表され、
xNa2O・Al2O3・mSiO2・nH2O (I)
(式中、xは0.12≦x≦1.3、 mは5.0≦m≦15.0、 nは5≦n≦15である。)
(2)Na2O含有量が1.5〜11.0重量%であり、
(3)アルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニウム原子である、
ことを特徴とする前記方法。 - ケイ酸アルミニウムは、粉末X線回折法による結晶構造が非晶質である請求項6記載の方法。
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