JP2013120102A - 放射性物質で汚染された土壌の除染方法 - Google Patents

放射性物質で汚染された土壌の除染方法 Download PDF

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Makoto Mifuji
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Abstract

【課題】 本発明は、放射性物質で汚染された土壌から、比較的簡単な操作で、迅速に効率よく、かつ安全に除染する方法を提供することを課題とする。
【解決方法】 本発明は、放射性物質で汚染された土壌と溶脱剤溶液を接触混合させることで溶脱剤溶液中に放射性物質をイオン状態で溶脱させた後、放射性物質と土壌とを含む溶脱剤懸濁液を固液分離する第一工程と、第一工程で得られた分離溶脱液中の放射性物質イオンをイオン吸着剤と接触させて吸着除去する第二工程を有し、前記イオン吸着剤がSiとAlとの合計量に対するナトリウム含有量のモル比(Na/(Si+Al))が0.1〜0.5であり、かつSi/Alモル比が1.3〜10.0である含水アルミノケイ酸塩粒子であることを特徴とする放射性物質で汚染された土壌の除染方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放射性物質で汚染された土壌の除染方法に関する。より詳細には、放射性物質で汚染された土壌から溶脱剤溶液を用いて放射性物質を溶脱した後、その溶脱液中の放射性物質を吸着剤により吸着除去する方法に関する。
2011年3月11日に福島第一原子力発電所(東京電力)において、チェルノブイリ原子力発電所事故以来2例目の国際原子力事象評価尺度(INES)レベル7の原子力事故が起きた。日本近海の三陸沖で同日に発生した東北地方太平洋沖地震とこれに伴い発生した大津波によって施設が多大な複合的被害を受け、この被害によって、福島第一原子力発電所の炉心および使用済燃料プール内の燃料が冷却できなくなって燃料が損傷し、大量の放射性物質が外部に放出され周辺に甚大な影響をもたらした。
放出された主な放射性核種は、ヨウ素131(半減期約8日)、セシウム137(半減期約28年)、セシウム134(半減期約2年)、ストロンチウム90(半減期約29年)等であり、セシウム137の放出量は15000TBq(広島原爆の168個分)、ヨウ素131は16000TBq(広島原爆約2.5個分)、ストロンチウム90は140TBq(広島原爆約2.4個分)と言われているが、半減期を考慮すると、放射能汚染に寄与する重要な核種は、セシウム137、セシウム131およびストロンチウム131と考えられる。
福島第一原子力発電所事故によるこれら放射性核種の放出によって汚染された対象物は、発電所内の炉心冷却に使用された海水を含む汚染水、発電所施設内のドレン水、発電所周辺および福島県内外の広域に汚染が広がっている市街地、田畑、湖沼等の多岐に渡り、汚染度合いも様々であるため、放射能汚染の多様な状況に応じた除去技術が必要となってくる。
その中でも特に、市街地や田畑等の放射性物質を含む土壌については、放射性物質が土壌中の粘土質に非常に強固に吸着される傾向があり、土壌からの放射性物質の分離・除染が極めて難しい。現在有効とされている方法としては、掘削除去法および分級洗浄法である。
しかしながら、掘削除去法では、多量の掘削した放射性廃棄物の隔離・保管場所の確保やその減容化処理が大きな問題となっている。また、分級洗浄法は、汚染土壌から放射性物質の含有量の多い微粒子を洗浄分離する方法であるが、砂礫質土壌については、放射性物質の除去率および土壌回収率が高いが、シルト・粘土質土壌については、放射性物質の除去はできるが、土壌回収率が低く、汚染土壌の減容化が十分でない。
一方、放射性物質イオンを含む汚染水の除染方法としては、吸着剤を用いた吸着除去する方法が考えられており、吸着剤としては、陽イオン交換能を有するゼオライト、不溶性フェロシアン化物、イモゴライト(またはアロフェン)および含水アルミノケイ酸塩等が提案されている(特許文献1〜4、非特許文献1)。
特開平4−340497号公報 特開平4−118596号公報 特開平5−34497号公報 特開2005−91116号公報
末益匠、鈴木正哉、犬飼恵一、前田雅喜、月村勝宏、片元勉、「Cs吸着能を持つ非晶質アルミニウムケイ酸塩の開発とその吸着特性」、第55回粘土科学討論会、80(2011)
しかし、前出特許文献1には、セシウムイオンを含むウラン水溶液とゼオライト吸着剤とを接触させて、セシウムイオンを吸着分離することが記載されているが、モルデナイト型の天然ゼオライトではセシウムイオンの吸着性能は高いがストロンチウムイオンの吸着性能は低い、あるいはY型の人工ゼオライトはストロンチウムイオンの吸着性能は良いがセシウムイオンの吸着は低い、といったセシウムおよびストロンチウムイオンの両者について良好な吸着性能を有するものではない。
また、前出特許文献2には、硝酸含有水溶液中のセシウムイオンと不溶性フェロシアン化物からなる吸着剤とを接触させて、セシウムイオンを吸着分離することが記載されているが、フェロシアン化物はセシウムイオン吸着能力が高いものの、熱やアルカリには弱くシアン化合物を遊離するため、吸着分離後の長期安定性に問題がある。
また、前出特許文献3には、クリストバライト等の天然シリカ化合物あるいはクリノプチロライト等の天然ゼオライトを用いた放射性廃液の処理方法が記載されているが、セシウムおよびストロンチウムイオンに対する十分な吸着性能があるとは言い難い。
また、前出特許文献4には、ウラン含有廃液中のウランの吸着剤としてイモゴライトまたはアロフェン等が記載されているが、ウランイオンは吸着するものの、セシウムおよびストロンチウムイオンに対する十分な吸着性能があるとは言い難い。
また、前出非特許文献1には、Si/Alモル比が0.5および1.0とした非晶質アルミニウムケイ酸塩によるセシウムイオン吸着特性について開示しているが、セシウムの吸着性能は十分なものでなく、さらにストロンチウムイオンに対する吸着性能も優れているとは言い難い。
そこで、本発明は、放射性物質で汚染された土壌から、比較的簡単な操作で、迅速に効率よく、かつ安全に除染する方法を提供することを課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、放射性物質で汚染された土壌の除染方法であって、放射性物質で汚染された土壌と溶脱剤溶液を接触混合させることで溶脱剤溶液中に放射性物質をイオン状態で溶脱させた後、放射性物質と土壌とを含む溶脱剤懸濁液を固液分離する第一工程と、第一工程で得られた分離溶脱液中の放射性物質イオンをイオン吸着剤と接触させて吸着除去する第二工程を有し、前記イオン吸着剤がSiとAlとの合計量に対するナトリウム含有量のモル比(Na/(Si+Al))が0.1〜0.5であり、かつSi/Alモル比が1.3〜10.0である含水アルミノケイ酸塩粒子であることを特徴とする放射性物質で汚染された土壌の除染方法である(本発明1)。
また、本発明は、第一工程における溶脱剤溶液が、鉱酸、有機酸、水溶性カリウム塩、水溶性カルシウム塩、水溶性アンモニウム塩の一種以上を含む水溶液である本発明1記載の放射性物質で汚染された土壌の除染方法である(本発明2)。
また、本発明は、含水アルミノケイ酸塩粒子が非晶質であり、かつ、BET比表面積が300〜700m/gである本発明1又は2記載の放射性物質で汚染された土壌の除染方法である(本発明3)。
本発明に係る放射性物質で汚染された土壌の除染方法を用いることで、汚染土壌に強固に吸着している放射性物質を安全かつ効率よく、イオン状態で水溶液に溶脱でき、その溶脱した放射性物質イオンを可及的かつ安定的に吸着剤中に吸着固定できる。また、本発明による土壌の除染方法により、大容量の汚染土壌中の放射性物質を吸着剤中に濃縮固定できるため、後処理のための隔離・保管スペースが確保しやすくなる。
さらに、本発明に用いるイオン吸着剤は1000℃付近の温度で急激に加熱収縮をするので、放射性物質イオンを保持した状態で減容積・ガラス固化することができ、最終処分場を省スペースで維持管理できる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
本発明は、放射性物質で汚染された土壌の除染方法であって、放射性物質で汚染された土壌と溶脱剤溶液を接触混合させることで溶脱剤溶液中に放射性物質をイオン状態で溶脱させた後、放射性物質と土壌とを含む溶脱剤懸濁液を固液分離する第一工程と、第一工程で得られた分離溶脱液中の放射性物質イオンをイオン吸着剤と接触させて吸着除去する第二工程からなる。
先ず、本発明に係る土壌の除染方法に用いるイオン吸着剤について述べる。
本発明におけるイオン吸着剤は、ナトリウムを含有するアルミノケイ酸塩粒子粉末であり、非結晶性である。
本発明におけるイオン吸着剤のナトリウム含有量は、SiとAlとの合計量に対するナトリウム含有量のモル比(Na/(Si+Al))が0.1〜0.5である。Na含有量が0.1未満の場合には、放射性物質イオンの吸着が十分ではない。Na含有量が0.5を超える場合には、アルミノケイ酸塩の微細構造が変化するので好ましくはない。好ましいNa含有量は0.10〜0.45であり、より好ましくは0.12〜0.40である。
本発明におけるイオン吸着剤の粒子形状は粒状又は板状が好ましい。
本発明におけるイオン吸着剤はSi/Alのモル比は1.3〜10.0が好ましい。Si/Alのモル比が1.3未満の場合には、吸着性能が低下して好ましくない。Si/Alのモル比が10.0を越えると吸着性能が低下して好ましくない。より好ましいSi/Alのモル比は1.3〜8.0であり、さらにより好ましくは1.4〜8.0である。
本発明におけるイオン吸着剤のBET比表面積値は300〜700m/gが好ましく、より好ましくは400〜600m/gである。BET比表面積値が300m/g未満の場合には、放射性物質イオンと吸着剤の接触面積が小さくなるので好ましくない。700m/gを超える場合には、放射性物質イオンの吸着には問題ないが、工業的に生産するには困難であり、取扱いにおいても困難である。
本発明におけるイオン吸着剤の炭素含有量は0.01〜0.5wt%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.3wt%である。硫黄含有量は0.5wt%以下が好ましく、より好ましくは0.3wt%以下である。
本発明におけるイオン吸着剤の平均1次粒子径は2〜50nmが好ましい。好ましくは3〜30nmである。
本発明におけるイオン吸着剤はTi、Zr、Fe及びCeから選ばれる1種以上の元素を含有してもよく、前記元素を含有することによって吸着性能が向上する。Ti、Zr、FeまたはCeは含水アルミノケイ酸塩中に固溶して存在させることが好ましい。
また、本発明におけるイオン吸着剤は、球状、円柱状、中空を有する円柱状、粒状などの造粒成型物とすることもできる。
前記造粒成形物を調製する場合には、樹脂を併用することができる。
本発明における樹脂成分は、ポリウレタン樹脂や塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂などで特に限定するものではなく、ウレタン、塩化ビニリデンなどと、アクリレート、アクリロニトリルなどとを共重合させた共重合体なども本発明の樹脂成分として有効である。さらに、必要に応じて、エポキシ系やメラミン系などの架橋剤や他の添加剤を添加することもできる。
なお、本発明におけるイオン吸着剤は、造粒の核となるような第3成分を加えて、吸着剤と樹脂成分を前記核の周囲に複合化して形成することで吸着剤成分の使用量を低減することも可能である。
次に、本発明におけるイオン吸着剤の製造法について述べる。
本発明におけるイオン吸着剤は、水溶性ケイ素原料と水溶性アルミニウム原料及びアルカリ原料とを混合し、反応溶液のpHを5.0〜8.0に制御して加熱熟成反応を行って得ることができる。
本発明における水溶性ケイ素原料としては、オルトケイ酸ナトリウム、水ガラス、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)等を使用することができる。水溶性アルミニウム原料としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等を使用することができる。
アルカリ原料は、炭酸アルカリ水溶液としては炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液等であり、水酸化アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。
Si/Alモル比としては1.3〜10.0が好ましく、より好ましくは1.5〜5.0である。1.3未満の場合には、吸着性能が低下して好ましくない。10.0を越えると吸着性能が低下して好ましくない。
反応時のpHは5.0〜8.0が好ましい。pHが5.0未満の場合には、含水アルミノケイ酸塩中のナトリウム含有量が少なくなり、放射性物質イオンの吸着能が低下し、吸着剤として好ましくない。pH8.0を越える場合は、放射性物質イオンの吸着能が低下し、吸着剤として好ましくない。より好ましい反応pHは6.0〜8.0である。
反応温度は、85〜110℃の温度が好ましい。85℃未満の場合には、反応時間が長くなるので好ましくない。110℃を超える場合には吸着性能が低下して好ましくない。
反応の終了後にナトリウムイオンを含むアルカリ溶液の添加による脱プロトン反応を伴う熟成を行い、ナトリウムイオンの含有量を向上させる後反応を行ってもよい。
前記後反応における反応溶液のpHは8.0〜9.5が好ましい。また後反応における反応溶液の温度は20〜70℃が好ましい。
本発明におけるTiを含有する含水アルミノケイ酸塩粒子を製造する際は、前記反応において、Ti原料を添加して混合、熟成すればよい。Ti原料としては、硫酸チタニル溶液、四塩化チタン溶液などである。
本発明におけるZrを含有する含水アルミノケイ酸塩粒子を製造する際は、前記反応において、Zr原料を添加して混合、熟成すればよい。Zr原料としては、硫酸ジルコニウム・オキシ塩化ジルコニウムなどの4価のジルコニウム塩である。
本発明におけるFeを含有する含水アルミノケイ酸塩粒子を製造する際は、前記反応において、Fe原料を添加して混合、熟成すればよい。Fe原料としては、硫酸第二鉄・塩化第二鉄・硝酸鉄などの3価の鉄塩である。また、鉄は硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩に不純物として含まれていることもある。
本発明におけるCeを含有する含水アルミノケイ酸塩粉末を製造する際は、前記反応において、Ce原料を添加して混合、熟成すればよい。Ce原料としては、硫酸第二セリウムなどの4価のセリウム塩である。
次に、本発明に係る放射性物質で汚染された土壌の除染方法について述べる。
本発明に係る放射性物質で汚染された土壌の除染方法において、対象となる土壌は、セシウム137(半減期約28年)、セシウム134(半減期約2年)、ストロンチウム90(半減期約29年)、コバルト60(半減期約5.3年)、ラジウム226(半減期約1600年)等の放射線核種を含む土壌であり、土壌の種類や土質は特に制限されない。
本発明に係る放射性物質で汚染された土壌の除染方法において、第一工程は放射性物質で汚染された土壌と溶脱剤溶液を接触混合させることで溶脱剤溶液中に放射性物質をイオン状態で溶脱させた後、放射性物質と土壌とを含む溶脱剤懸濁液を固液分離する工程である。
本発明の第一工程における溶脱剤溶液は、塩酸、硝酸等の鉱酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸、塩化カリウム、硝酸カリウム等の水溶性カリウム塩、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の水溶性カルシウム塩、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の水溶性アンモニウム塩の一種以上を含む水溶液を用いることができる。前記溶脱剤溶液の濃度は、0.001〜5.0mol/lが好ましく、より好ましくは0.01〜1.0mol/lである。0.001mol/l未満の場合は放射性物質イオンの溶脱する効果がなく、5.0mol/lを超える場合は、塩濃度が高すぎて、第二工程におけるイオン吸着剤による放射性物質イオンの吸着除去性能を阻害してしまう。
本発明の第一工程における放射性物質で汚染された土壌と溶脱剤溶液を接触混合させる方法としては、機械式攪拌または粉砕装置を用いて懸濁化して混合する方法、あるいは土壌を充填したカラムや濾過槽に溶脱液溶液を流通して接触させる方法が良い。機械式攪拌または粉砕装置としては、インペラー式攪拌機、転動ミルや振動ミル等の容器駆動式粉砕機、アトライター等の媒体攪拌式粉砕機、ホモミキサー等のせん断・摩擦式粉砕機等を用いることができる。混合処理時間は5分間〜1時間が好ましく、より好ましくは10分間〜1時間である。混合処理温度は5〜90℃が好ましく、より好ましくは10〜50℃である。
前記溶脱溶液と土壌との懸濁液中の土壌含有濃度については、十分に接触混合できる範囲であればよいが、好ましくは1〜90重量%である。
本発明の第一工程における放射性物質と土壌とを含む溶脱剤懸濁液を固液分離する方法としては、沈降分離法、ろ過分離法および遠心分離法を用いることができる。また、各分離方法の処理条件については、常法を用いることができる。
本発明の第一工程における放射性物質で汚染された土壌と溶脱剤溶液を接触混合させることによって、汚染土壌に含まれる放射性物質を溶脱剤溶液にイオンとして75%以上、好ましくは80%以上溶脱できる。
本発明に係る放射性物質で汚染された土壌の除染方法において、第二工程は第一工程で得られた分離抽出液中の放射性物質イオンをイオン吸着剤により吸着除去する工程である。
本発明の第二工程における分離溶脱液中の放射性物質イオンをイオン吸着剤により吸着除去する方法としては特に制限はなく、例えば、機械式攪拌装置を用いて接触混合した後、沈降分離法、ろ過分離法および遠心分離法を用いて固液分離する。あるいは、イオン吸着剤粉末または顆粒物が充填されたカラムや濾過槽に分離溶脱液を流通させる方法も利用できる。
前記分離溶脱液と吸着剤を接触させる際の液温については、特に制限はなく、通常使用される温度範囲の5〜90℃が好ましく、より好ましくは10〜50℃である。
前記分離溶脱液中の放射性物質イオンを吸着する際の水溶液のpHは弱酸性〜弱アルカリ性であることが好ましく、特に、4.5〜9.5であることが好ましい。pH調整には、塩酸等の鉱酸もしくは炭酸ナトリウム等のアルカリを用いることができる。
本発明の第二工程における分離溶脱液中の放射性物質イオンとイオン吸着剤をバッチ方式で接触混合させる場合のイオン吸着剤の添加量は、放射性物質イオンの総重量に対して5〜10000倍量が好ましく、より好ましくは10〜5000倍量である。
本発明の第二工程における分離溶脱液中の放射性物質イオンをイオン吸着剤で吸着処理することで、分離溶脱液中の放射性物質イオンを80%以上、好ましくは90%以上を吸着除去できる。
なお、本発明に用いるイオン吸着剤は1000℃付近の温度で急激に加熱収縮をするので、放射性物質イオンを保持した状態で減容積・ガラス固化することができ、最終処分場を省スペースで維持管理できる。
<作用>
本発明において重要な点は、放射性物質で汚染された土壌から特定の溶脱剤溶液を用いて効率的に放射性物質イオンを溶脱させ、その溶脱液中の放射性物質イオンを、特定の含水アルミノケイ酸塩粒子からなるイオン吸着剤で低濃度から高濃度まで広範囲にわたって吸着できるという事実である。
本発明におけるイオン吸着剤が放射性物質イオンに対して、高い吸着能を有する理由は未だ明らかではないが、後出実施例及び比較例に示すとおり、吸着剤を構成する含水アルミノケイ酸塩粒子表面にイオン交換可能なナトリウム等のイオンが多く存在することによるものと本発明者は推定している。
本発明におけるイオン吸着剤は、アルミノケイ酸塩の組成や比表面積を制御することによって、多くの交換が可能なイオンが粒子表面に存在することに起因するものと本発明者は推定している。
本発明におけるイオン吸着剤は、放射性物質イオンに対して高い吸着能を有するので、不純物のカチオンとアニオンが共存する場合であっても、また高い吸着能を維持することができる。また本発明におけるイオン吸着剤は粒子表面のイオン交換によるカチオン及び/又はアニオンの吸着メカニズムを持つために、吸着速度が大きいという特長を持っている。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
本発明におけるイオン吸着剤の結晶相の同定は、「X線回折装置RINT2500(理学電機(株)製)」(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:300mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.010°、走査速度:4.00°/min、発散スリット:1/2°、散乱スリット:1/2°、受光スリット:0.15mm)を使用して行った。
本発明におけるイオン吸着剤のBET比表面積値はBET法により測定した値で示した。
本発明におけるイオン吸着剤のAl、Si、Na含有量の分析は、該粉末を塩酸で溶解し、「プラズマ発光分光分析装置 SPS4000(セイコー電子工業(株))」で測定して求めた。
本発明におけるイオン吸着剤の炭素含有量(重量%)、硫黄含有量(重量%)は、カーボン・サルファーアナライザー:EMIA−2200(HORIBA製)により測定した。
<吸着剤1の製造>
内容積100lの反応容器中に、Siとして1.0mol/lの3号オルトケイ酸ナトリウム溶液28lを投入した後、Al3+0.5mol/lの塩化アルミニウム溶液40lを添加・混合し、つぎに3NのNaOH溶液をpH7.2になるまで滴下して、さらに水を加えて、溶液量95l、温度40℃に調整した。
上記懸濁液を温度40℃で30分間保持して熟成した後、当該懸濁液の温度を95℃とし、20時間熟成撹拌反応を行った。得られた白色懸濁液の温度を50℃まで冷却したところ、溶液のpHは6.1であった。
さらに撹拌しながら1.0MのNaOH溶液を滴下してpHを8.5に調整し、50℃、1時間アルカリ処理した。次に濾別、水洗、乾燥、粉砕した。
得られた白色粒子粉末は、X線回折の結果、非晶質であり、BET比表面積が452m/gの粒状を呈した粒子からなり、組成分析の結果、Si/Alモル比1.4、Na/(Si+Al)が0.17、硫黄(T−S)0.01wt%、炭素(T−C)0.07wt%であった。
<吸着剤2〜9>
吸着剤の生成反応における水溶性ケイ素及び水溶性アルミニウムの種類、濃度及び使用量、アルカリ水溶液の種類、濃度及び使用量、反応後アルカリ処理の条件などを種々変化させた以外は、イオン吸着剤1と同様にして含水アルミノケイ酸塩粒子を生成した。
このときの製造条件を表1に、得られたアルミノケイ酸塩粒子の諸特性を表2に示す。
Figure 2013120102
Figure 2013120102
<セシウム含有模擬汚染土壌1の調製>
容量1000mlのメスフラスコに、特級試薬の塩化セシウム38.0mgを入れて超純水で溶解させ、30mg/lのセシウム標準溶液1000ml(pH7.8)を調製した。次に、乾燥黒ボク土100gに対して、前記30mg/lセシウム標準液30mlを均一に添加混合した後、80℃にて乾燥させ、セシウム濃度9.0mg/kgの模擬汚染土壌1を調製した。尚、この模擬汚染土壌に含まれるセシウムがセシウム137であった場合の放射能濃度は、2.9×1010Bq/kgとなる。
<セシウムおよびストロンチウム含有模擬汚染土壌2の調製>
容量1000mlのメスフラスコに、特級試薬の塩化セシウム38.0mgおよび塩化ストロンチウム六水和物91.1mgを入れて超純水で溶解させ、セシウム30mg/lおよびストロンチウム30mg/lの標準溶液1000ml(pH7.8)を調製した。次に、乾燥黒ボク土100gに対して、前記各30mg/lセシウムおよびストロンチウム標準液30mlを均一に添加混合した後、80℃にて乾燥させ、セシウムおよびストロンチウム濃度各9.0mg/kgの模擬汚染土壌2を調製した。尚、この模擬汚染土壌に含まれるセシウムがセシウム137であった場合の放射能量は、2.9×1010Bq/kgとなり、ストロンチウムがストロンチウム90であった場合の放射能量は、4.6×1010Bq/kgである。
<模擬汚染土壌を用いたイオン吸着剤による吸着試験>
実施例1
容量300mlのビーカーにセシウム含有量9.0mg/kgの模擬汚染土壌1を100g採取し、溶脱液溶液として0.1mol/l塩化カリウム水溶液を100ml添加し、羽根攪拌機を用いて24℃で1時間攪拌混合した。次いで、この溶脱懸濁液をヌッチェ(濾紙No.6)にて濾過・洗浄(超純水)し、得られた濾液をメスフラスコにて250mlにメスアップした。得られた溶脱濾液中のセシウム濃度を「ICP質量分析装置ICPM−8500(島津製作所(株))」を用いて測定した結果3.3mg/lであり、模擬汚染土壌中の全セシウムの92%の溶脱率であった。
容積200mlのビーカーに前記溶脱濾液100mlを採取し、イオン吸着剤1を0.01g(0.1g/l)添加して、水平振とう機を用いて1時間振とうした後、0.1μmメンブレンフィルターを用いて固液分離し、液中のセシウム濃度を測定した結果、0.20mg/lに低減した(除去率94%)。
<実施例2〜12、比較例1〜10>
模擬汚染土壌の種類、溶脱剤溶液の種類および濃度、吸着剤の種類および添加量を種々変化させた以外は、前記実施例1と同様にして溶脱試験および吸着試験を実施した。その結果を表3、表4に示す。尚、液中のストロンチウム濃度は、「プラズマ発光分光分析装置 SPS4000(セイコー電子工業(株))」で測定して求めた。
なお、実施例2、4、6、8、11及び12、比較例3、6及び7では溶脱剤溶液での処理を行った後、得られた溶脱濾液に対してpH調整を行った。
比較例4、5、9及び10では、第一工程において汚染土壌中の放射性物質の溶脱率が低く、イオン吸着剤による吸着処理(第二工程)を行わなかった。
Figure 2013120102
Figure 2013120102
本発明に係る放射性物質で汚染された土壌の除染方法は、放射能汚染土壌から比較的簡単な操作で、迅速に効率よく、かつ安全に放射性物質を分離除去できるので、放射性物質を含む土壌の除染方法として好適である。

Claims (3)

  1. 放射性物質で汚染された土壌の除染方法であって、放射性物質で汚染された土壌と溶脱剤溶液を接触混合させることで溶脱剤溶液中に放射性物質をイオン状態で溶脱させた後、放射性物質と土壌とを含む溶脱剤懸濁液を固液分離する第一工程と、第一工程で得られた分離溶脱液中の放射性物質イオンをイオン吸着剤と接触させて吸着除去する第二工程を有し、前記イオン吸着剤がSiとAlとの合計量に対するナトリウム含有量のモル比(Na/(Si+Al))が0.1〜0.5であり、かつSi/Alモル比が1.3〜10.0である含水アルミノケイ酸塩粒子であることを特徴とする放射性物質で汚染された土壌の除染方法。
  2. 第一工程における溶脱剤溶液が、鉱酸、有機酸、水溶性カリウム塩、水溶性カルシウム塩、水溶性アンモニウム塩の一種以上を含む水溶液である請求項1記載の放射性物質で汚染された土壌の除染方法。
  3. 含水アルミノケイ酸塩粒子が非晶質であり、かつ、BET比表面積が300〜700m/gである請求項1又は2記載の放射性物質で汚染された土壌の除染方法。
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