JPWO2013183736A1 - エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物、並びに、硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、上記要求特性を満たす光学材料用のエポキシ樹脂の開発が強く望まれていた。
このような問題を解決する方法として、シルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂の適用も検討されているが、シルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂は耐熱性においては高いものの、脆さが際立ち、線膨張率も高くなる傾向がある、さらには屈折率が低くなってしまう。また、脂環式エポキシ樹脂もガラス転移点という意味合いでの耐熱性は向上するが、脆さやその屈折率の低さが課題となり、光学特性がよくさらには強靭性の高い、芳香族グリシジルエーテル化合物が望まれている。
また、本発明の第2は、高い耐熱性と難燃性を両立させることができる、電気・電子分野の用途に有利な硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、下記(1)〜(11)に関する。
(1)
下記式(1)で表されるフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂と、カルボン酸類および/またはカチオン重合触媒とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂は、ガードナー比色法(40%MEK溶液)における色相が2以下であるエポキシ樹脂組成物。
(2)
エピハロヒドリンと反応させるフェノール樹脂中の残留フェノールフタレイン誘導体の量が2%以下である前項(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)
エピハロヒドリンと反応させるフェノール樹脂中の残留鉄分が50ppm以下である前項(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)
遷移金属塩を含有する前項(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)
4級ホスホニウム塩を含有する前項(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)
カチオン重合開始剤を含有する前項(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)
前項(4)〜(6)のいずれか一項のエポキシ樹脂組成物を硬化したエポキシ樹脂硬化物。
(8)
前項(1)〜(6)のいずれか一項のガラス代替用エポキシ樹脂組成物。
下記式(2)で表されるエポキシ樹脂と、フェノール樹脂および/または重合触媒とを含有する硬化性樹脂組成物。
(10)
フェノール樹脂がフェノールアラルキル樹脂(芳香族アルキレン構造を有する樹脂)である前項(9)に記載の硬化性樹脂組成物。
(11)
重合触媒がカチオン重合触媒である前項(9)に記載の硬化性樹脂組成物。
また、本発明の第2である硬化性樹脂組成物は、十分な硬化性を確保しつつ、難燃剤、リン系化合物を使用しなくても難燃性を発現し、組成物中の難燃剤、リン系化合物の低減に寄与するエポキシ樹脂であり、電気電子部品用絶縁材料及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である。特に半導体素子を保護する半導体封止材料や基板材料にきわめて有用である。
このままでは光学材料への展開は困難であり、より透明性の高い樹脂が要求される。
また、上記特許文献4のデータから本樹脂は塩素量が非常に多く、電子材料用途には不向きであり、また非常に着色があることから色味の必要とされる用途においては使用が困難であることが示唆される。また、エポキシ当量が294g/eq.と理論値(252.7g/eq.)と比較し大きいこと、また塩素量からエポキシが閉環せずに残留したエピハロヒドリン構造が多く含有されることが示唆され、二官能であるにも関わらず、このようなエポキシ環が完成されていない構造であれば、架橋がうまく進まず、フェノール樹脂による硬化や、イミダゾール等の塩基性触媒によるアニオン重合、オニウム塩等によるカチオン重合を行った際、その機械特性や吸水性といった特性において課題が生じる場合が多い。特に電子材料用途においてはこれらの硬化だけでなく、アミン系の硬化においても硬化時の塩素の遊離が起因となる配線の腐食等が予想され、電気信頼性を落とす要因となる。
近年特に半導体のチップと基板との接合に銅のワイヤを使用することが多くなってきており、こういった電気腐食の課題はいっそう重要となっており、解決すべき課題点となる。
また、本特許文献4においては難燃性についての記載が無い。
Rが示す、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の直鎖、分岐鎖または環状構造を有するアルコキシ基が挙げられる。ここで、Rはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
また、得られたエポキシ樹脂中に残存している全塩素としては5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、特に2000ppm以下であることが好ましい。塩素量による悪影響については前述同様である。なお、塩素イオン、ナトリウムイオンについては各々5ppm以下が好ましく、より好ましくは3ppm以下である。塩素イオンは先に記載し、いうまでも無いが、ナトリウムイオン等のカチオンも、特にパワーデバイス用途においては非常に重要なファクターとなり、高電圧がかかった際の不良モードの一員となる。
ここで、理論エポキシ当量とは、前記式(1)のフェノール化合物のフェノール性水酸基が過不足なくグリシジル化した時に算出されるエポキシ当量を示す。
また、具体的なエポキシ当量の値としては、Rが全て水素原子の場合、257.8g/eq.〜285.6g/eq.が好ましく、260.3g/eq.〜278.0g/eq.が特に好ましい。エポキシ当量が上記範囲内にあることで、硬化物の耐熱性、電気信頼性に優れたエポキシ樹脂を得ることができる。
第2の発明で用いるエポキシ樹脂は、上記のように透明性(色相)に優れるものである必要はないが、同じように優れていることが好ましい。
また本発明のエポキシ樹脂は高い屈折率を有する。好ましくは1.61以上であり、より好ましくは1.62以上、特に好ましくは1.62〜1.65である。特に屈折率調整が必要な分野においては屈折率が高ければ用いる組成物の芳香環量を低減することができ、耐光特性の向上に貢献できる。また、レンズ等の用途においては高屈折率ほどより歪みの小さなレンズを作成する事ができ、好ましい。
前記式(2)の化合物は、フェノールフタレイン誘導体とアミノベンゼン誘導体から合成される(例えば、日本国特開2005−290378号公報が挙げられる)フェノール化合物(DPPI)とエピハロヒドリンとの反応で得られる。本発明のエポキシ樹脂の具体的な製造方法例を以下に示す。
ここで、前記各種フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、キシレノール、メチルブチルフェノールなどが挙げられる。
また、前記反応により得られるフェノールフタレイン誘導体として、例えば下記の構造が挙げられる。
残存フェノールフタレイン誘導体の量はDPPIの精製(洗浄、再結晶、再沈殿等)によって調整可能である。
3.0モルを下回るとエポキシ当量が大きくなることがあり、また、できたエポキシ樹脂の作業性が悪くなることがある。15モルを超えると溶剤量が多量となる。
アルカリ金属水酸化物の使用量は原料フェノール混合物の水酸基1モルに対して通常0.90〜1.5モルであり、好ましくは0.95〜1.25モル、より好ましくは0.99〜1.15モルである。
系中の水分が多い場合には、得られたエポキシ樹脂において電気信頼性が悪くなるため好ましくなく、水分は5%以下にコントロールして合成することが好ましい。また、非極性プロトン溶媒を使用してエポキシ樹脂を得た際には、電気信頼性に優れるエポキシ樹脂が得られるため、非極性プロトン溶媒は好適に使用できる。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を炭素数4〜7のケトン化合物(たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。)を溶剤として溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した原料フェノール混合物の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
またエピハロヒドリンとの反応においては反応初期から窒素等の不活性ガスで置換されていることが好ましく、空腔内の酸素濃度は10%以下であることが好ましい。酸素の残留は着色に影響をする。手法としてはフェノール化合物(DPPI)を仕込む前に窒素等の不活性ガスを吹き込み(気中、もしくは液中)、もしくは、いったん減圧で真空にした後、不活性ガスで置換する方法が挙げられる。不活性ガスでの置換が無い場合、得られる樹脂に着色が生じる場合がある。不活性ガスの吹き込みを行う場合、その量はその釜の容積によっても異なるが、0.5〜10時間でその釜の容積の1〜3倍量が置換できる量の不活性ガスの吹き込みが好ましい。
第1の発明のエポキシ樹脂組成物(以下、「硬化性樹脂組成物」とも称する)は本発明のエポキシ樹脂を必須成分として含有する。
第1の発明の硬化性樹脂組成物においては、カルボン酸類を必須成分とする硬化剤による熱硬化(硬化性樹脂組成物A)と酸などのカチオン重合触媒を硬化触媒とするカチオン硬化(硬化性樹脂組成物B)の二種の方法が適応できる。
シクロヘキセン構造を有する化合物としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(日本国特開2003−170059号公報、日本国特開2004−262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(日本国特開2006−052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物が挙げられる。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)及びジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
硬化性樹脂組成物A(硬化剤による熱硬化)
本発明の硬化性樹脂組成物Aが含有する硬化剤としては、カルボン酸構造を有する樹脂(以下カルボン酸類と称す。)を必須成分とする。カルボン酸類としては、特に2〜4官能のカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは2〜4官能の多価アルコールと、酸無水物を付加反応させることで得られるポリカルボン酸が好ましい。またシクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等の酸無水物とカルボン酸を有する構造も好ましい。一般に光学材料用途においては酸無水物が使用されるが、本発明の硬化性組成物Aにおいては揮発性を抑える面からもカルボン酸を必須成分とする。
2〜4官能の多価アルコールとしては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンなどのテトラオール類などが挙げられる。
特に好ましくは、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどの分岐鎖状や環状の多価アルコールである。
特に好ましくは下記式(5)
本発明においては特に光学特性を保持する為に、4級フォスフォニウム塩や遷移金属化合物(遷移金属塩)を用いることが好ましい。
光安定剤としては、ヒンダートアミン系の光安定剤、特にHALS等が好適である。HALSとしては特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、等が挙げられる。HALSは1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
酸性硬化触媒(カチオン重合触媒)を用いて硬化させる本発明の硬化性樹脂組成物Bは、酸性硬化触媒として光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有する。さらに、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよい。また、所望に応じて無機充填材、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤等、各種公知の添加剤を含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物Bは、加熱及び/または紫外線照射により硬化できる(例えば、参考文献:総説エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I p82−84)が、その際の熱量及び/または紫外線照射量は硬化性樹脂組成物Bの組成に依存して異なるため、それぞれの組成に合わせて硬化条件が決定される。基本的には、硬化物が使用目的において必要とされる強度を発現できる硬化条件であれば良い。通常、これら硬化性樹脂組成物は光照射のみで完全に硬化させることが難しいため、耐熱性が求められる用途においては光照射後に加熱により完全に反応を終了させる必要がある。また、光硬化の際の照射光を細部まで透過させることが必要なため、本発明のエポキシ樹脂および硬化性樹脂組成物Bにおいては透明性の高い化合物および組成物が望まれる。
第2の発明の硬化性樹脂組成物においては、フェノール樹脂または重合触媒を必須成分として使用する。
好ましいフェノール樹脂としては、フェノールアラルキル樹脂(芳香族アルキレン構造を有する樹脂)が挙げられ、特に好ましくはフェノール、ナフトール、クレゾールから選ばれる少なくとも一種を有する構造であり、そのリンカーとなるアルキレン部が、ベンゼン構造、ビフェニル構造、ナフタレン構造から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする樹脂(具体的にはザイロック、ナフトールザイロック、フェノールビフェニレンノボラック樹脂、クレゾール−ビフェニレンノボラック樹脂、フェノール−ナフタレンノボラック樹脂などが挙げられる。)である。
硬化剤による熱硬化(硬化性樹脂組成物2A)
本発明の硬化性樹脂組成物2Aが含有する硬化剤としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aにおいて用い得るカルボン酸類や該カルボン酸類と併用できる他の硬化剤と同様である。
本発明においては特に前述の酸無水物、カルボン酸樹脂に代表される、酸無水物構造、及びまたはカルボン酸構造を有する化合物が好ましい。
光安定剤の具体例としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
酸性硬化触媒を用いて硬化させる本発明の硬化性樹脂組成物2Bは、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様に、酸性硬化触媒として光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有し、さらに、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよく、また、所望に応じて無機充填材、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤等、各種公知の添加剤を含有してもよい。
以下に実施例で用いた各種分析方法について記載する。
エポキシ当量: JIS K 7236 (ISO 3001) に準拠
ICI溶融粘度: JIS K 7117−2 (ISO 3219) に準拠
軟化点: JIS K 7234 に準拠
全塩素: JIS K 7243−3 (ISO 21672−3) に準拠
塩素イオン: JIS K 7243−1 (ISO 21672−1) に準拠
ナトリウムイオン: イオンクロマトグラフィーにて測定
鉄分: ICP発光分光分析
屈折率: ISO 5661 に準拠
ガードナー色数:ISO 4630−1 に準拠
GPC:
カラム(Shodex KF−603、KF−602x2、KF−601x2)
連結溶離液はテトラヒドロフラン
流速は0.5ml/min.
カラム温度は40℃
検出:RI(示差屈折検出器)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコをいったん真空にし、窒素置換した後、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP 純度99%以上 残留フェノールフタレイン200ppm、鉄分<5ppm)255部、エピクロロヒドリン842部、メタノール168部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。内温が65℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム21部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン200部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液26部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP1)を301部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は266g/eq.、軟化点が88℃、ICI溶融粘度0.44Pa・s(150℃)、塩素イオン2ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%THF溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。なお屈折率は1.63であった。(通常のエポキシ、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂は1.59であるため非常に大きい屈折率を示す。)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lのフラスコに窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP 純度99%以上 残留フェノールフタレイン200ppm、鉄分<5ppm)255部、エピクロロヒドリン601部、メタノール180部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。窒素パージ開始から1.5時間(フラスコの約3倍の窒素量の吹き込み)経ち、さらに内温が65℃を越えたことを確認した後、フレーク状の水酸化ナトリウム21部を90分かけて分割添加した。その後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン200部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液5部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2)を300部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は270g/eq.、軟化点が90℃、ICI溶融粘度0.46Pa・s(150℃)、塩素イオン2ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%THF溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。なお屈折率は1.63であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコにフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP 純度99%以上 残留フェノールフタレイン200ppm、鉄分<5ppm)256部、エピクロロヒドリン661部、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド3部を加え、水浴を70℃にまで昇温した。ここに49%水酸化ナトリウム水溶液100部を90分かけて滴下した後、更に70℃で4時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去することでエポキシ樹脂(EP3)を290部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は297g/eq.、軟化点が95℃、ICI溶融粘度0.70Pa・s(150℃)、全塩素量 10450ppm、加水分解性塩素 9700ppm、塩素イオン0.5ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相3(ガードナー 40%THF溶液)であった。また前記式(1)の構造は65面積%(GPC)であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール15部、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物(新日本理化製 リカシッド MH)70部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)15部を加え、40℃で3時間反応後70℃で1時間加熱撹拌を行うことで(GPCによりトリシクロデカンジメタノールの消失(1面積%以下)を確認した。)カルボン酸類と酸無水物を含有する硬化剤組成物(H−1)が100部得られた。得られた硬化剤組成物(H−1)は無色の液状樹脂であり、GPCによる純度はカルボン酸類(下記式6)を37面積%、酸無水物(シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物)が11面積%、酸無水物(メチルシクロヘキサンカルボン酸無水物)が52面積%であった。また、官能基当量は171g/eq.であった。
実施例として合成例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)、比較例としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER828 三菱化学製)に対し、各々、脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド3150 ダイセル工業株式会社製)とカチオン硬化触媒(SI−150L 三新化学工業株式会社製)を53:47:2の割合で配合し、メチルエチルケトン55%溶液を作成した。得られた溶液に厚さ40ミクロンのEガラスのガラスクロス(ユニチカ製)を含浸し、150℃、4分で溶剤を揮発させ、プリプレグを作成した。その後、150℃、1分のプレヒートを行った後、150℃、30kg/cm2で15分加圧プレスを行い、最後に150℃3時間かけて硬化を行った。得られたフィルムを10x40mmの大きさに切り出し、複屈折の指標であるリタデーションの測定を行った。なお、フィルムの厚みは56μmであった。
測定機器:エリプソM−220(日本分光製)
入射角:90度
バンド幅:1.0nm
測定範囲:0.1〜0.4kgf
測定波長:550nm
尚、リタデーションとは位相差であり、小さければ小さいほど好ましく、本結果より、本発明のエポキシ樹脂組成物は低いリタデーション、つまり低複屈折である事が確認できた。
実施例として、合成例1、2で得られたエポキシ樹脂(EP1)と(EP2)を、比較例として合成例3で得られたエポキシ樹脂(EP3)を使用し、下記表1に記載の配合比で配合を行った。得られた硬化性樹脂組成物は実施例2、3、比較例2についてはテフロン(登録商標)板上で80℃、20分で溶剤を揮発させ、できたフィルムを、また実施例4については、溶剤揮発条件を150℃、3分で揮発させ、できたフィルムを切り出し、横7mm、縦5cm、の試験片用型に0.9g重ねて押し詰め、150℃、30kg/cm2で15分間加圧プレスを行い、最後に160℃3時間かけて硬化を行うことで得られた。何れも0.7〜0.8mmの厚みに成型した。得られた板について透明性の評価を行った。なお、透明性の評価については日本電色製 色彩・濁度同時測定器 COH400を使用し、YIの測定値で比較した。結果を表1に示す。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコをいったん真空にし、窒素置換した後(酸素濃度4.9%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP 純度99%以上 残留フェノールフタレイン200ppm、鉄分<5ppm)256部、エピクロロヒドリン842部、メタノール180部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。内温が65℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム21部を90分けて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液26部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2−1)を305部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は266g/eq.、軟化点が89℃、ICI溶融粘度0.42Pa・s(150℃)、全塩素量 1600ppm、加水分解性塩素 1540ppm、塩素イオン2ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%MEK(メチルエチルケトン)溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコをいったん真空にし、窒素置換した後(酸素濃度5.3%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI2)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP 純度99%以上 残留フェノールフタレイン200ppm、鉄分<5ppm に フェノールフタレイン500ppm添加したもの)を用いた以外は合成例2−1と同様に反応を行った。得られたエポキシ樹脂(EP2−2)のエポキシ当量は266g/eq.、軟化点が90℃、ICI溶融粘度0.44Pa・s(150℃)、全塩素量 2000ppm、加水分解性塩素 1950ppm、塩素イオン1ppm、ナトリウムイオン0.3ppm、色相0.2(ガードナー 40%MEK溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコに4L/hで30分窒素置換した後(酸素濃度6.5%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP 純度99%以上 残留フェノールフタレイン200ppm、鉄分<5ppm)256部、エピクロロヒドリン661部、メタノール165部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。内温が65℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム57部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液5部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2−3)を297部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は277g/eq.、軟化点が96℃、ICI溶融粘度0.62Pa・s(150℃)、全塩素量 2230ppm、加水分解性塩素 2100ppm、塩素イオン0.5ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%MEK溶液)であった。また前記式(1)の構造は82面積%(GPC)であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコをいったん真空にし、窒素置換した後(酸素濃度5.2%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP 純度99%以上 残留フェノールフタレイン200ppm、鉄分<5ppm)256部、エピクロロヒドリン661部、ジメチルスルホキシド 200部を加え、水浴を45℃にまで昇温した。内温が40℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム57部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液16部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2−4)を300部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は270g/eq.、軟化点が92℃、ICI溶融粘度0.48Pa・s(150℃)、全塩素量 1050ppm、加水分解性塩素 960ppm、塩素イオン0.3ppm、ナトリウムイオン0.1ppm、色相0.6(ガードナー 40%MEK溶液)であった。また前記式(1)の構造は90面積%(GPC)であった。
前記で得られたエポキシ樹脂を用い、下記表2に示す配合で配合し、120℃2時間、160℃2時間、180℃4時間で硬化し、難燃性の試験を行った。なお、難燃性の試験の手法は以下に示す。
難燃性
・難燃性の判定:UL94に準拠して行った。ただし、サンプルサイズは幅12.5mm×長さ150mmとし、厚さは0.8mmで試験を行った。
なお、本出願は、2012年6月7日付で出願された日本特許出願(特願2012−129406及び特願2012−129408)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
Claims (11)
- エピハロヒドリンと反応させるフェノール樹脂中の残留フェノールフタレイン誘導体の量が2%以下である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- エピハロヒドリンと反応させるフェノール樹脂中の残留鉄分が50ppm以下である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 遷移金属塩を含有する請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 4級ホスホニウム塩を含有する請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- カチオン重合開始剤を含有する請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項4〜請求項6のいずれか一項のエポキシ樹脂組成物を硬化したエポキシ樹脂硬化物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか一項のガラス代替用エポキシ樹脂組成物。
- フェノール樹脂がフェノールアラルキル樹脂(芳香族アルキレン構造を有する樹脂)である請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
- 重合触媒がカチオン重合触媒である請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
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