JP7491741B2 - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、その硬化物が耐熱性、強度、耐薬品性、接着性等に優れていることから、繊維強化材用、電子部品用、接着剤用、塗料用等、様々な用途に適用されている。
各種用途において、エポキシ樹脂を含む組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」という。)は通常、該組成物を硬化させるための硬化剤を含み、硬化促進剤をさらに含有させることもある〔例えば、特開2015-083634号公報(特許文献1)及び特開2013-032510号公報(特許文献2)〕。
特開2015-083634号公報 特開2013-032510号公報
エポキシ樹脂組成物には、その適用される用途に応じた特性が求められる。一般的に、エポキシ樹脂組成物には、作業性の観点から、長いポットライフが求められる。
本発明の目的は、長いポットライフを有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
本発明は、以下に示すエポキシ樹脂組成物及び硬化物等を提供する。
[1] エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及びイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)を含むエポキシ樹脂組成物であって、
前記硬化剤(B)は、下記式(B-1):
Figure 0007491741000001

[式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基又は炭素数1~12の炭化水素基を表す。]
で表される化合物(B-1)を含み、
塩素含有量が1600質量ppm以下である、エポキシ樹脂組成物。
[2] 前記エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量に対するフェノール性水酸基含有量のモル比が0.20~0.75である、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 前記イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)の含有量は、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上50質量部以下である、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂からなり、該エポキシ樹脂の塩素含有量が1700質量ppm以下である、[4]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[7] [1]~[5]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と繊維を含むプリプレグ。
[8] [1]~[5]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と繊維を含む組成物。
長いポットライフを有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することができる。
<エポキシ樹脂組成物>
本発明に係るエポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」ともいう。)は、下記成分:
エポキシ樹脂(A)、
硬化剤(B)、及び
イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)
を含む。
硬化剤(B)は、上記式(B-1)で表される化合物(以下、「化合物(B-1)」ともいう。)を含む。
以下、エポキシ樹脂組成物に含まれる又は含まれ得る各成分及びエポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
なお、本明細書においてエポキシ樹脂組成物に含まれる又は含まれ得る各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で、又は、複数種を組み合わせて使用することができる。
〔1〕エポキシ樹脂(A)
エポキシ樹脂(A)としては、分子内にエポキシ基を1個以上有する限り特に制限されないが、エポキシ樹脂組成物の硬化性並びに硬化物の耐熱性及び強度等の観点から、好ましくは、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を含み、より好ましくは、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を含む。
分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂としては、例えば、
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビフェニルジオール、ナフタレンジオール、フェノール類とアルデヒド類とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂等の多価フェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができる芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸と、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、p-アミノフェノール、p-アミノクレゾール等のアミンと、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;
大豆油、ポリブタジエン等の分子内に2個以上の不飽和結合を有するオレフィン系化合物や、インデン、4-ビニル-1-シクロヘキセン、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸(3-シクロヘキセニル)メチル等の分子内に2個以上の不飽和結合を有する環状オレフィン化合物を過酸(過酢酸等)で酸化することによって得ることができる脂環エポキシ樹脂
等が挙げられる。
上記例示のエポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂であり得る。
分子内にエポキシ基を2個有する芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジオール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂が挙げられる。
分子内にエポキシ基を2個有する脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
分子内にエポキシ基を2個有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルが挙げられる。
分子内にエポキシ基を2個有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルアニリン、グリシジルトルイジン等が挙げられる。
エポキシ樹脂の粘度、ひいてはエポキシ樹脂組成物の粘度及びポットライフ、硬化性並びに硬化物の耐熱性及び強度等の観点から、エポキシ樹脂(A)は、好ましくは、芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂を含み、より好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂を含み、さらに好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む。
エポキシ樹脂(A)は、好ましくは、液状エポキシ樹脂を含み、より好ましくは、エポキシ樹脂(A)が1種又は2種以上のエポキシ樹脂を含む場合において、エポキシ樹脂(A)全体として液状である。
本明細書において「液状」とは、25℃において流動性を示すことをいう。本明細書において「液状」である物質は通常、粘性を示し、その粘度は、電磁スピニング法を用いた粘度計(EMS粘度計)又はEMS粘度計では測定できない粘度範囲においてはE型粘度計による25℃での粘度で、0.0001Pa・s~1000Pa・sであり得、0.001Pa・s~500Pa・sであってもよい。
「液状」である場合には、1以上の成分が他の成分に分散している状態が含まれる。
エポキシ樹脂(A)全体として液状である場合としては、例えば以下の場合が挙げられる。
a)エポキシ樹脂(A)が1種の液状エポキシ樹脂からなる場合
b)エポキシ樹脂(A)が2種以上の液状エポキシ樹脂の混合物である場合
c)エポキシ樹脂(A)が1種以上の液状エポキシ樹脂と1種以上の固体エポキシ樹脂との混合物であり、該混合物が液状である場合
d)エポキシ樹脂(A)が2種以上の固体エポキシ樹脂の混合物であり、該混合物が液状である場合
したがって、エポキシ樹脂(A)は、固体エポキシ樹脂を含み得る。本明細書において「固体」とは、25℃において固体であることをいう。固体エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂に溶解していてもよいし、分散されていてもよい。硬化反応を均一に行うために、固体エポキシ樹脂は均一に溶解していることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物の粘度を好ましい範囲に調整する観点から、エポキシ樹脂(A)の粘度(2種以上のエポキシ樹脂を含む場合には、該2種以上のエポキシ樹脂の混合物としての粘度)は、EMS粘度計による25℃での粘度で、好ましくは50Pa・s以下であり、より好ましくは40Pa・s以下であり、さらに好ましくは20Pa・s以下である。
エポキシ樹脂(A)の25℃での粘度は、通常0.01Pa・s以上であり、0.1Pa・s以上であってもよく、1Pa・s以上であってもよい。
エポキシ樹脂(A)の粘度は、EMS粘度計による25℃での粘度で、0.01Pa・s以上50Pa・s以下が好ましく、0.1Pa・s以上40Pa・s以下がより好ましく、1Pa・s以上20Pa・s以下がさらに好ましい。
分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビフェニル型エポキシ樹脂を併用すると、良好な耐熱性と良好な引張特性との両立に有利に働くことがあるので好ましい。
エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂と、分子内にエポキシ基を1個有するエポキシ樹脂及び分子内にエポキシ基を3個以上有するエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上のエポキシ樹脂とを含んでいてもよい。
エポキシ樹脂(A)における分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部中、例えば50質量部以上であり、エポキシ樹脂組成物の硬化物の特性(耐熱性及び/又は引張特性等)等の観点から、好ましくは60質量部以上であり、より好ましくは70質量部以上であり、さらに好ましくは80質量部以上であり、なおさらに好ましくは90質量部以上であり、100質量部であってもよい。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(2種以上のエポキシ樹脂を含む場合には、該2種以上のエポキシ樹脂の混合物としてのエポキシ当量)は、エポキシ樹脂組成物の硬化物の引張特性、耐熱性及び強度等の観点から、好ましくは30g/eq以上500g/eq以下であり、より好ましくは40g/eq以上400g/eq以下であり、さらに好ましくは50g/eq以上300g/eq以下であり、なおさらに好ましくは50g/eq以上250g/eq以下である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236に従って測定することができる。
〔2〕硬化剤(B)
硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(A)を架橋硬化させることができる化合物を含む。該化合物として、硬化剤(B)は、上記式(B-1)で表される化合物(B-1)を含む。
硬化剤(B)は、化合物(B-1)を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
上記式(B-1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基又は炭素数1~12の炭化水素基を表す。
におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
における炭素数1~12の炭化水素基としては、脂肪族基(アルキル基等)、脂環族基(シクロアルキル基等)、芳香族基、脂肪族基と脂環族基との組み合わせからなる炭化水素基、並びに、芳香族基と脂肪族基及び/又は脂環族基との組み合わせからなる炭化水素基等が挙げられる。
炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~8である。エポキシ樹脂組成物の粘度の観点から炭化水素基はメチル基又は1-フェニルエチル基である。
は、好ましくは、水素原子又は炭化水素基であり、より好ましくは水素原子である。
化合物(B-1)が有する2つのOH基の位置関係は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよいが、エポキシ樹脂組成物の粘度を低減する観点及びエポキシ樹脂組成物中での結晶析出を抑制する観点から、好ましくは、オルト位又はメタ位であり、より好ましくはメタ位である。
化合物(B-1)は、エポキシ樹脂組成物の粘度を低減する観点、エポキシ樹脂組成物中での結晶析出を抑制する観点、及びエポキシ樹脂組成物を調製する際の溶解温度を低くする観点から、好ましくは、融点が150℃以下の化合物であり、より好ましくは、融点が130℃以下の化合物である。
融点が150℃以下の化合物(B-1)としては、例えば、カテコール(1,2-ジヒドロキシベンゼン)、レゾルシン(1,3-ジヒドロキシベンゼン)、4-フルオロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-メトキシ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-メトキシ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、5-メトキシ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-メチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、5-メチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-エチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-エチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、5-エチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-(1-フェニルエチル)-1,3-ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
1つの好ましい実施形態に係るエポキシ樹脂組成物において、化合物(B-1)は、1,3-ジヒドロキシベンゼンを含む。
エポキシ樹脂組成物に化合物(B-1)を含有させることは、エポキシ樹脂組成物の硬化物の特性(耐熱性及び/又は引張特性等)を改善させるうえで有利である。
エポキシ樹脂組成物は、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物をさらに含んでいてもよい。該化合物を含有させることにより、エポキシ樹脂組成物の硬化物の特性(耐熱性及び/又は引張特性等)を改善できることがある。
フェノール性水酸基を3個以上有する化合物としては、化合物(B-1)が有するベンゼン環に直接結合する水素原子の1個を水酸基で置換した化合物、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂組成物は、フェノール性水酸基を1個有する化合物を含んでいてもよい。フェノール性水酸基を1個有する化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、t-ブチルフェノール等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量に対するフェノール性水酸基含有量のモル比は、例えば0.20以上0.75以下であり、硬化物の特性(耐熱性及び/又は引張特性等)を改善させる観点から、好ましくは0.25以上0.67以下であり、より好ましくは0.3以上0.6以下であり、さらに好ましくは0.35以上0.55以下であり、なおさらに好ましくは0.4以上0.5以下である。
「エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量」とは、エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基の数(モル数)をいう。
「フェノール性水酸基含有量」とは、エポキシ樹脂組成物中のフェノール性水酸基含有量であり、化合物(B-1)が有するフェノール性水酸基の数(モル数)と、化合物(B-1)以外のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物が有するフェノール性水酸基の数(モル数)との合計をいう。
エポキシ樹脂組成物における化合物(B-1)の含有量は、好ましくは上記モル比が上記範囲内となる量であり、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、例えば1質量部以上30質量部以下であり、好ましくは5質量部以上25質量部以下であり、より好ましくは8質量部以上22質量部以下である。
硬化剤(B)は、下記式(B-2):
Figure 0007491741000002

で表される化合物(以下、「化合物(B-2)」ともいう。)をさらに含んでいてもよい。
硬化剤(B)は、化合物(B-2)を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
上記式(B-2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表す。
におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
は、融点の観点から、好ましくは、水素原子、メチル基又はメトキシ基であり、より好ましくは水素原子である。
エポキシ樹脂組成物に化合物(B-2)を含有させることは、エポキシ樹脂組成物の低粘度化に有利となり得る。
また、エポキシ樹脂組成物に化合物(B-2)を含有させることは、エポキシ樹脂組成物の硬化物において、引張特性を高めるうえで有利となり得る。この際、硬化物の耐熱性を低下させることなく、破断伸び特性を高め得る。
1つの好ましい実施形態に係るエポキシ樹脂組成物において、化合物(B-1)が1,3-ジヒドロキシベンゼンを含み、かつ、化合物(B-2)がジヒドロクマリン(R:水素原子)を含む。
エポキシ樹脂組成物が化合物(B-2)を含む場合、エポキシ樹脂組成物における化合物(B-2)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であり、上記効果をより効果的に発現させる観点から、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは2質量部以上である。
エポキシ樹脂組成物における化合物(B-2)の含有量が過度に大きいと、エポキシ樹脂組成物の硬化が不十分となり得る。したがって、エポキシ樹脂組成物が化合物(B-2)を含む場合、エポキシ樹脂組成物における化合物(B-2)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。
エポキシ樹脂組成物が化合物(B-1)とともに化合物(B-2)を含む場合、エポキシ樹脂組成物の硬化性の観点から、エポキシ樹脂組成物における化合物(B-1)の含有量に対する化合物(B-2)の含有量の比は、質量比で、好ましくは0.20~0.95であり、より好ましくは0.20~0.75であり、さらに好ましくは0.20~0.50である。
エポキシ樹脂組成物は、上記した以外の他のエポキシ樹脂用硬化剤をさらに含んでいてもよい。他のエポキシ樹脂用硬化剤は、従来公知の硬化剤であってよい。
ただし、エポキシ樹脂組成物の粘度若しくはポットライフ、硬化物の特性(耐熱性及び/又は引張特性等)の観点から、硬化剤(B)における他のエポキシ樹脂用硬化剤の含有量は、硬化剤(B)の全体量を100質量部とするとき、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以下であり、なおさらに好ましくは1質量部以下(例えば0質量部)である。
〔3〕イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)
本明細書において「硬化促進剤」とは、硬化反応を促進させる機能を有する剤をいう。ここでいう「促進」には、硬化反応を開始させる場合も含まれる。
本発明では、硬化促進剤の中でも、イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)を用いる。イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)の使用は、エポキシ樹脂組成物のポットライフと硬化性(速硬化性等)との両立に有利となり得る。これは、イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)がエポキシ樹脂(A)同士の硬化反応並びにエポキシ樹脂(A)と化合物(B-1)及び/又は化合物(B-2)との硬化反応を効果的に開始及び/又は促進させることができるとともに、イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)が一般的には潜在性を有しているために、ポットライフの延長に有利に働くためであると推定される。
また、硬化促進剤としてイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)を用いることは、比較的低温での硬化反応を可能にするうえでも有利であり、また、エポキシ樹脂組成物の保存安定性を高めるうえでも有利である。
イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
「潜在性」とは、エポキシ樹脂の存在下、又は、エポキシ樹脂及び硬化剤の存在下においても室温(25℃)では安定に貯蔵できる一方で、熱、光又は圧力等により硬化反応を促進させる機能を発現することができる性質をいう。
本発明に用いられるイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、好ましくは、熱により硬化反応を促進させる機能を発現することができる性質(熱潜在性)を有する。
イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、イミダゾール化合物に付加体が付加した化合物である。付加体の付加によって潜在性が付与される。付加体は、例えば、イミダゾール化合物との反応によりイミダゾール環のN原子、好ましくは1-位のN原子に結合することができる化合物である。該結合は、通常、共有結合である。
付加体は、良好な潜在性を付与できる化合物であることが好ましく、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリル系化合物、尿素化合物等が挙げられる。
イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、イミダゾール化合物に上記付加体を反応させることによって得られる高分子化合物であることが好ましい。
また、上記付加体をさらにフェノール樹脂等との固溶体としたり、有機酸やホウ酸化合物等で表面処理をしてもよい。
このようにして製造されたイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、通常、0.5~50μm程度の粒径に粉砕され、エポキシ樹脂に分散して使用される。
イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、一般にエポキシ樹脂に対する常温における溶解性が低いことから、エポキシ樹脂と混合されたイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、熱潜在性を示す場合が多い。
イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)は、公知の特許文献、例えば、特開昭59-053526号公報、特開昭60-004524号公報、特開昭60-072917号公報、特開2005-206744号公報、特開平06-073156号公報、特開平06-172495号公報、特開2008-214567号公報、特開2014-177525号公報等に記載されている方法で製造することができる。
イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)として市販品が用いられてもよい。イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)の市販品としては、いずれも商品名で、「フジキュアー FXR-1020」、「同 FXR-1030」、「同 FXR-1032」、「同 FXR-1081」、「同 FXR-1121」、「同 FXR-1131」(以上、株式会社T&K TOKA製);「アデカハードナー EH-5011S」、「同 EH-5046S」(以上、株式会社ADEKA製);「キュアダクト P-0505」(四国化成工業株式会社製);「アミキュア PN-23」、「同 PN-23J」、「同 PN-31」、「同 PN-31J」、「同 PN-40」、「同 PN-40J」、「同 PN-50」、「同 PN-F」、「同 PN-H」(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)以外の他の硬化促進剤を1種又は2種以上含んでいてもよい。
他の硬化促進剤としては特に制限されず、例えば、第3級アミン化合物及びその塩、イミダゾール化合物(非アダクト型)、イミダゾリウム塩、トリフェニルホスフィンやホスホニウム塩等のリン系化合物、カルボン酸金属塩、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール(TBZ)等が挙げられる。
上記効果をより効果的に発現させる観点から、硬化促進剤における他の硬化促進剤の含有量は、硬化促進剤の全体量を100質量部とするとき、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以下であり、なおさらに好ましくは1質量部以下(例えば0質量部)である。
エポキシ樹脂組成物におけるイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、例えば1質量部以上50質量部以下であり、上記効果をより効果的に発現させる観点から、好ましくは2質量部以上40質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上30質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以上20質量部以下であり、なおさらに好ましくは5質量部以上15質量部以下である。
〔4〕その他の配合成分
エポキシ樹脂組成物は、上述した成分以外の他の配合成分をさらに含むことができる。
他の配合成分としては、例えば、ゴム粒子、無機粒子(アルミニウム等の金属、炭酸カルシウムやシリカ等の金属化合物からなる粒子)、難燃剤、表面処理剤、離型剤、抗菌剤、レベリング剤、消泡剤、揺変剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、カップリング剤、界面活性剤、金属アルコキシド、熱可塑性樹脂、希釈剤等が挙げられる。
他の配合成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム粒子の添加により、エポキシ樹脂組成物の硬化物において、良好な耐熱性を維持しながら、靱性を向上させることが可能となる。
ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型アクリルゴム粒子、表面修飾型アクリルゴム粒子、架橋NBR粒子、シリコーンゴム粒子等が挙げられる。これらのゴム粒子は、従来公知のものであってよい。
ゴム粒子の平均粒子径は、例えば、0.05μm以上1μm以下であり、好ましくは0.2μm以上0.5μm以下である。
ゴム粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム粒子として市販品が用いられてもよいし、あらかじめエポキシ樹脂にゴム粒子が分散された分散品を用いてもよい。ゴム粒子又は該分散品の市販品としては、いずれも商品名で、「アクリセット BPA328」(株式会社日本触媒製);「カネエース MX-153」、「同 MX-154」、「同 MX-257」、「同 MX-960」(以上、株式会社カネカ製);「スタフィロイド AC」シリーズ(アイカ工業株式会社製);「パラロイド EXL」シリーズ(ダウ社製);「メタブレン」(三菱ケミカル株式会社製);「XER-91」(JSR株式会社製);「GENIOPERL P52」(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物におけるゴム粒子の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、例えば1質量部以上100質量部以下であり、上記効果をより効果的に発現させる観点から、好ましくは5質量部以上80質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上50質量部以下である。
エポキシ樹脂組成物におけるゴム粒子の含有量は、組成物全体に対して、例えば1質量%以上50質量%以下であり、上記効果をより効果的に発現させる観点から、好ましくは2質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
〔5〕エポキシ樹脂組成物
エポキシ樹脂組成物は、塩素含有量が1600質量ppm(mg/kg)以下である。該エポキシ樹脂組成物は、塩素含有量が1600質量ppmを超えるエポキシ樹脂組成物に比べて、優れたポットライフを有することができる。
上記塩素含有量は、JIS K 7243-3:2005に従う全塩素量を意味し、同規格に準拠して測定される。
エポキシ樹脂組成物の塩素含有量は、ポットライフをさらに向上させる観点から、好ましくは1500質量ppm以下であり、より好ましくは1450質量ppm以下であり、さらに好ましくは1400質量ppm以下であり、なおさらに好ましくは1350質量ppm以下であり、特に好ましくは1300質量ppm以下(例えば1250質量ppm以下)である。
エポキシ樹脂組成物の塩素含有量はゼロであってもよく、例えば100質量ppm以上、200質量ppm以上、500質量ppm以上又は1000質量ppm以上であってもよい。
エポキシ樹脂組成物の塩素含有量は、好ましくは100質量ppm以上1500質量ppm以下であり、より好ましくは200質量ppm以上1450質量ppm以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以上1400質量ppm以下であり、なおさらに好ましくは1000質量ppm以上1350質量ppm以下であり、特に好ましくは1000質量ppm以上1300質量ppm以下である。
エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂からなることが好ましく、エポキシ樹脂組成物のポットライフを向上させる観点から、該エポキシ樹脂の塩素含有量(2種以上のエポキシ樹脂を含む場合には、該2種以上のエポキシ樹脂の混合物としての塩素含有量)は、好ましくは1700質量ppm以下であり、より好ましくは1500質量ppm以下であり、さらに好ましくは1450質量ppm以下であり、なおさらに好ましくは1400質量ppm以下であり、特に好ましくは1350質量ppm以下である。該エポキシ樹脂の塩素含有量はゼロであってもよく、例えば100質量ppm以上、200質量ppm以上、500質量ppm以上又は1000質量ppm以上であってもよい。
エポキシ樹脂(A)の塩素含有量は、好ましくは100質量ppm以上1700質量ppm以下であり、より好ましくは200質量ppm以上1500質量ppm以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以上1450質量ppm以下であり、なおさらに好ましくは1000質量ppm以上1400質量ppm以下であり、特に好ましくは1000質量ppm以上1350質量ppm以下である。
エポキシ樹脂(A)、化合物(B-1)及びイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)、並びに任意で添加されるその他の成分を含む本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、好ましくは液状である。「液状」の意味は上述のとおりである。
液状のエポキシ樹脂組成物において、それに含まれるすべての成分は、溶解している状態であってもよいし、1以上の成分が他の成分に分散されている状態であってもよい。
本発明に係る液状のエポキシ樹脂組成物は、低粘度を有することができる。低粘度であることによって、エポキシ樹脂組成物を用いた製品の生産性及び作業性を向上させ得る。例えば、エポキシ樹脂組成物の硬化物と繊維等とを含む成形材(組成物)を製造するための方法は、繊維の織物や繊維束にエポキシ樹脂組成物を含浸させる工程を含むところ、低粘度のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、エポキシ樹脂組成物の含浸性を高めることができる。
液状であるエポキシ樹脂組成物の粘度は、該組成物の調製直後において、EMS粘度計による25℃での粘度で、好ましくは50Pa・s以下であり、より好ましくは40Pa・s以下であり、さらに好ましくは30Pa・s以下であり、なおさらに好ましくは25Pa・s以下であり、特に好ましくは20Pa・s以下である。エポキシ樹脂組成物の25℃での粘度は、通常0.01Pa・s以上であり、0.1Pa・s以上であってもよく、1Pa・s以上であってもよい。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、EMS粘度計による25℃での粘度で、0.01Pa・s以上50Pa・s以下が好ましく、0.1Pa・s以上40Pa・s以下がより好ましく、1Pa・s以上30Pa・s以下がさらに好ましく、1Pa・s以上25Pa・s以下がなおさらに好ましく、1Pa・s以上20Pa・s以下が特に好ましい。
上述のように、本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、優れたポットライフを有することができる。ポットライフは、例えば、エポキシ樹脂組成物調製時からの保管経過日数を横軸とし、該組成物のEMS粘度計による25℃での粘度を縦軸とするグラフの傾きによって評価することができる。この傾きが小さいほどポットライフに優れるといえる。
より具体的には、ポットライフは、例えば、下記式:
粘度比=(エポキシ樹脂組成物調製から保管X日後の粘度)/(エポキシ樹脂組成物調製直後の粘度)
によって評価することができる。Xは1以上の整数である。該粘度比が小さいほどポットライフに優れるといえる。上記式中の各粘度は、EMS粘度計による25℃での粘度である。上記保管は、25℃で行われる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、X=2(日)における上記粘度比が、好ましくは1.35未満であり、より好ましくは1.33以下であり、さらに好ましくは1.30以下である。上記粘度比は、1.00以上であってもよい。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、良好な硬化性を示すことができる。すなわち、エポキシ樹脂組成物は、比較的短い熱硬化時間で、及び/又は、比較的低温で、十分に硬化することができる。
<硬化物>
本発明に係る硬化物は、上記本発明に係るエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるものである。本発明に係る硬化物は、良好な耐熱性を有することができ、あるいはさらに良好な引張特性を有することができる。
本発明に係る硬化物は、例えば、110℃以上、さらには115℃以上、さらには120℃以上、さらには125℃以上のガラス転移温度を示すことができる。
本発明に係る硬化物は、JIS K 7161-1及びJIS K 7161-2に準拠する引張特性における破断伸びが、例えば、4.5%以上、さらには5.5%以上、さらには6.5%以上、さらには7.0%以上、さらには7.5%以上であり得る。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物及びその硬化物は、様々な用途に適用することができ、例えば、接着剤、電子部品の封止、繊維への含浸用樹脂組成物として使用することができる。とりわけ、本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、塩素含有量が低いため、封止剤など電子材料向けに好適である。
本発明は、上記硬化物を含む製品又は部品にも関する。該製品の一例は、上記硬化物と繊維等とを含む成形物(組成物)である。上記硬化物を含む製品又は部品は、例えば繊維のように、エポキシ樹脂組成物由来成分(硬化物)以外の成分を含んでいてもよい。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物を繊維への含浸用樹脂組成物として使用する場合について以下に説明する。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物と併用する繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラスファイバー、アラミド繊維、ケナフ繊維等の繊維を使用することができる。繊維の表面には公知のサイジング処理を実施してもよい。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物と繊維とを複合化して成形物を作製する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、
繊維にエポキシ樹脂組成物を含浸して、マンドレル等の成型金型に巻き付けて成形し、加熱硬化させる、ウェットフィラメントワインディング法;
繊維にエポキシ樹脂組成物を予め含浸させたトゥプリプレグを準備し、トゥプリプレグをマンドレル等の成型金型に巻き付けて成形し、加熱硬化させる、ドライフィラメントワインディング法;
繊維の織物を作製し、金型に繊維織物を積層してプレス加圧して作製したプリフォームに、エポキシ樹脂組成物を真空含浸して、加熱硬化する、レジントランスファーモールド法;
繊維の織物にエポキシ樹脂組成物を予め含浸させたプリプレグを準備し、マンドレル等の成型金型に巻き付けて成形し、加熱硬化させる、シートワインディング法;
繊維の織物にエポキシ樹脂組成物を予め含浸させたプリプレグを準備し、金型にプリプレグを積層し、プレスで加熱・加圧硬化させる、プレス成形法;
繊維の織物にエポキシ樹脂組成物を予め含浸させたプリプレグを準備し、プリプレグを成形冶具に載せてバッグフィルムで覆い、オートクレーブ中で加熱・加圧硬化させる、オートクレーブ成形法;
等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
<実施例1~4、比較例1~2>
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
下記表1に示される各成分を、下記表1に示される配合量で混合して、エポキシ樹脂組成物を調製した。表1において、各成分の配合量の単位は質量部である。すべての実施例及び比較例において、得られたエポキシ樹脂組成物は、液状であった(25℃で流動性あり)。
表1の「OH/EPモル比」の欄に、仕込み量から算出される、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量に対するフェノール性水酸基含有量のモル比を記載した。
表1に示される各配合成分の詳細は次のとおりである。
〔a〕エポキシ樹脂1:株式会社ADEKA製の液状エポキシ樹脂 商品名「アデカレジンEP-4300E」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:185g/eq、粘度:8Pa・s(25℃))
〔b〕エポキシ樹脂2:國都化学製の液状エポキシ樹脂 商品名「EPOKUKDO YD-127」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180-190g/eq、粘度:8-11Pa・s(25℃))
〔c〕エポキシ樹脂3:國都化学製の液状エポキシ樹脂 商品名「EPOKUKDO YD-128」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184-194g/eq、粘度:11-15Pa・s(25℃))
〔d〕エポキシ樹脂4:三菱ケミカル株式会社製の液状エポキシ樹脂 商品名「jER828」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184-194g/eq、粘度:12-15Pa・s(25℃))
〔e〕エポキシ樹脂5:國都化学製の液状エポキシ樹脂 商品名「EPOKUKDO YD-128M」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184-196g/eq、粘度:12-14Pa・s(25℃))
〔f〕エポキシ樹脂6:株式会社ADEKA製の液状エポキシ樹脂 商品名「EP-4300」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180-200g/eq、粘度:10.4 Pa・s(25℃))
〔g〕硬化剤1:1,3-ジヒドロキシベンゼン(レゾルシン)
〔h〕硬化剤2:ジヒドロクマリン
〔i〕硬化促進剤1:株式会社ADEKA製のイミダゾールアダクト型硬化促進剤 商品名「アデカハードナー EH-5011S」(潜在性)
(2)測定・評価
(2-1)エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物の塩素含有量
JIS K 7243-3:2005に準拠して、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物の塩素含有量をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
(2-2)エポキシ樹脂組成物の粘度及びポットライフ
エポキシ樹脂組成物の調製直後及び25℃恒温槽内で所定の期間保管したエポキシ樹脂組成物のそれぞれについて、約2gのエポキシ樹脂組成物を4.7mmアルミニウム球状プローブとともに試料管に封入した。この試験管を25℃に設定された京都電子工業株式会社製 EMS粘度計(EMS-1000)にセットし、モーター回転数1000rpm、測定時間2分、測定間隔30秒の条件でエポキシ樹脂組成物の粘度を測定した。結果を表1に示す。表1において「-」は、その保管期間において粘度の測定を行わなかったことを意味する。
エポキシ樹脂組成物のポットライフは、下記式:
粘度比=(エポキシ樹脂組成物調製から保管X日後の粘度)/(エポキシ樹脂組成物調製直後の粘度)
によって評価することができる。X=2(日)における粘度比を表1に示す。該粘度比が小さいほどポットライフに優れるといえる。
比較例1~2のエポキシ樹脂組成物は、X=2(日)における粘度比が、実施例と比べて高い。
Figure 0007491741000003

Claims (8)

  1. ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及びイミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)を含むエポキシ樹脂組成物であって、
    前記硬化剤(B)は、下記式(B-1):
    Figure 0007491741000004

    [式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基又は炭素数1~12の炭化水素基を表す。]
    で表される化合物(B-1)を含み、
    塩素含有量が1600質量ppm以下である、エポキシ樹脂組成物(ただし、融点または軟化点が50℃以上である樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を除く。)
  2. 前記エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量に対するフェノール性水酸基含有量のモル比が0.20~0.75である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記イミダゾールアダクト型硬化促進剤(C)の含有量は、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上50質量部以下である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂からなり、該エポキシ樹脂の塩素含有量が1700質量ppm以下である、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物と繊維を含むプリプレグ。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と繊維を含む組成物。
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