JP2015212367A - オリゴフルオレンエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物 - Google Patents

オリゴフルオレンエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】低融点で加工性が良く、高屈折率で光学用途に好適に用いられるエポキシ樹脂を提供する。【解決手段】オリゴフルオレンエポキシ樹脂において、置換基を有していてもよい2つ以上のフルオレン単位を含み、かつ該フルオレン単位の9位の炭素原子同士がメチレン基を介して鎖状に結合する。【選択図】なし

Description

本発明は、新規のオリゴフルオレンエポキシ樹脂、その製造方法、並びに、新規のオリゴフルオレンエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、その硬化物に関する。
エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物(以下、樹脂硬化物と呼称することがある)は、塗料、インキ、コーティング剤、接着剤、粘着剤、封止材、絶縁材料、電子材料、ホログラフィックメモリ、光学材料、積層板、レジスト等工業的に幅広い用途で使用されており、その要求性能は近年ますます高度化している。
その硬化物が高い透明性と屈折率を満たすエポキシ樹脂として、フルオレンが炭素数2〜10のアルキレン基で架橋されたジエポキシ化合物が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1で具体的に開示されているペンチレン基で架橋されたジフルオレンジエポキシ樹脂については粘性液体であり、ヘキシレン基で架橋されたジフルオレンジエポキシ樹脂については白色結晶であると記載されている。また、ペンチレン基で架橋されたジフルオレンジエポキシ樹脂の硬化物が、短時間の加熱試験後の透明性に優れることが記載されている。
特開2013−193958号公報
しかしながら、特許文献1において具体的に開示されているのはペンチレン基又はヘキシレン基で架橋されたジフルオレンジエポキシ樹脂のみであり、該エポキシ樹脂から得た硬化物の屈折率についても、硬化物の屈折率の値を左右するエポキシ樹脂そのものの屈折率についても一切評価がなされていない。一般に飽和炭化水素の割合が増加すると屈折率が低下することが知られており、特許文献1に具体的に開示されているエポキシ樹脂が、十分高い屈折率を有するかは不明である。
屈折率はフルオレンの架橋基がより短い場合に高められると考えられることから、本発明者らが炭素数2のエチレン基で架橋されたジフルオレンジエポキシ樹脂を合成して評価を行ったところ、融点が228℃である高融点の結晶性化合物であることが見出された。このように、架橋基がエチレン基であるジフルオレンジエポキシ樹脂は高融点であることから、低温で溶融し高温で硬化させる通常のエポキシ硬化条件に用いることが困難であることが判明した。
本発明は、低融点で加工性が良く、高屈折で光学用途に好適に用いられるエポキシ樹脂を提供することを課題とする。また、該エポキシ樹脂を製造するための原料となる、オリゴフルオレン化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、特定のオリゴフルオレンエポキシ樹脂が、十分高い屈折率を有し、かつ、融点が低く、加工性に優れていることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は以下を要旨とする。
[1] 置換基を有していてもよい2つ以上のフルオレン単位を含み、該フルオレン単位の9位の炭素原子同士がメチレン基を介して鎖状に結合されたことを特徴とする、オリゴフルオレンエポキシ樹脂。
[2] 下記一般式(1)で表されることを特徴とする、[1]に記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂。
Figure 2015212367
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、
又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、
4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
10は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
nは1〜5の整数値を示す。)
[3] R1及びR2がメチレン基である、[2]に記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂。
[4] 下記一般式(2)で表される炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンを酸化して[2]又は[3]に記載の一般式(1)で表されるオリゴフルオレンエポキシ樹脂を得ることを特徴とする、オリゴフルオレンエポキシ樹脂の製造方法。
Figure 2015212367
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、
又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素
数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、
4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
10は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
nは1〜5の整数値を示す。)
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂を含有することを特徴とするオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物。
[6] 下記一般式(2)で表されることを特徴とする、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン化合物。
Figure 2015212367
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、
又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、
4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
10は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
nは1〜5の整数値を示す。)
[7] 下記一般式(5)で表されることを特徴とする、エポキシ(メタ)アクリレート化合物。
Figure 2015212367
(式中、R1、R2、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。
12は水素原子又はメチル基であり、
13は水素原子又はアシル基を表す。
nは1〜5の整数値を示す。)
[8] [6]に記載の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン化合物又は[7]に記載のエポキシ(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする組成物。
[9] [5]に記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物又は[8]に記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
[10] ハロゲン原子の含有割合が1000質量ppm以下であることを特徴とする[9]に記載の硬化物。
[11] [9]又は[10]に記載の硬化物からなることを特徴とする光学材料。
[12] [9]又は[10]に記載の硬化物からなることを特徴とする電子材料。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、十分高い屈折率を有し、かつ、融点が低く、加工性に優れている。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。本発明において、「重量」は「質量」と同義である。
また本発明において、「置換基を有していてもよい」は「置換されていてもよい」と同義である。
<1 オリゴフルオレンエポキシ樹脂>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、置換基を有していてもよい2つ以上のフルオレン単位を含む。
オリゴフルオレンエポキシ樹脂においてフルオレン単位は、9位の炭素原子同士がメチレン基を介して鎖状に結合されている。
このように、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、フルオレン単位を炭素数の短いメチレン基を介して鎖状に結合しているため、分子あたりのフルオレン単位の割合が高く、高屈折率を発現している。それにも関わらず、メチレン基を介して鎖状に結合することで、フルオレン環が積層構造を形成し特異な立体構造をとるために、フルオレン単位を長鎖のアルキレン基で架橋したエポキシ樹脂とは異なり、特異的に融点が低いと考えられる。
<1.1 フルオレン単位が有していてもよい置換基>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂において、前記フルオレン単位が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル
基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);炭素数1〜10のアシルオキシ基(例、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数4〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
<1.2 エポキシ基>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、2つ以上のフルオレン単位のうち、両末端に位置するフルオレン単位の9位の炭素原子にそれぞれ置換基α1及びα2を結合させ、該置換基α1及びα2にエポキシ基が結合したものとすることができる。この場合、α1とα2とは同じであっても異なっていてもよい。また、置換基α1及びα2には直接結合が含まれ、つまり、フルオレン単位の9位の炭素原子に直接エポキシ基が結合してもよい。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂が有するエポキシ基としては特に限定されないが、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を置換基として有していてもよい。
炭素数1〜10のアルキル基の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−エチルヘキシル基などの分岐鎖を含むアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの環状のアルキル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基の置換部位は特に限定されないが、置換基を導入しやすいという観点から、エポキシ基において、置換基α1及びα2が結合する炭素原子に結合した水素原子を置換することが好ましい。
これらの中で、工業的に安価に入手できるとの観点から、無置換、または炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。さらに、立体的に嵩高い置換基があるとエポキシ基の反応性が低下する恐れがあるため、無置換、またはメチル基が特に好ましい。
<1.3 置換基α1及びα2
置換基α1及びα2としては特に限定されないが、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基が挙げられる。
「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基」としては、融点を低下させ、加工性を向上するという観点からは、炭素数が4以上のものを用いることが好ましい。一方で、ガラス転移温度を向上させるという観点からは、その炭素数を3以下とすることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。また、炭
素数が1の場合、工業的に安価で、入手が容易な原料を用いて製造できるという観点でも特に好ましい。
前記アルキレン基の具体的な構造は以下に挙げられ、これに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基などの直鎖状のアルキレン基;メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチレン基、プロピルメチレン基、ブチルメチレン基、(1−メチルエチル)メチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基(置換位置の数値は、フルオレン環側の炭素からつけるものとする);下記[A]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ脂環式アルキレン基
Figure 2015212367
(上記[A]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。);下記[B]群に示されるような複素環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ複素環式アルキレン基
Figure 2015212367
(上記[B]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)が挙げられる。
上記[A]群に示されるような脂環構造や、上記[B]群に示されるような複素環構造が、任意の2箇所に有している直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状のアルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基(ここで置換位置の数値は、上記環構造に結合した炭素からつけるものとする)が挙げられる。
当該アルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭
素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;オキソ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数4〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアルキレン基の具体例としては、シクロブチルメチレン基、シクロペンチルメチレン基、シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシルプロピレン基などのアルキル基置換アルキレン基;フェニルメチレン基、1−フェニルエチレン基、1−フェニルプロピレン基などのアリール基置換アルキレン基;オキソメチレン基、1−オキソプロピレン基、3−オキソプロピレン基などのオキソアルキレン基;1,1,2,2−テトラフルオロエチレン基、トリクロロメチルメチレン基、トリフルオロメチルメチレン基などのハロゲン原子置換アルキレン基;2−メトキシメチル−2−メチルプロピレン基などのアルコキシ基置換アルキレン基などが挙げられる(置換位置の数値は、フルオレン環側の炭素からつけるものとする)。
「置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基」としては、その炭素数が通常4以上であり、また、通常10以下であり、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下である。
前記アリーレン基の具体的な構造は以下に挙げられ、これに限定されるものではないが、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基;1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等のナフチレン基;2,5−ピリジレン基、2,4−チエニレン基、2,4−フリレン基などのヘテロアリーレン基が挙げられる。
当該アリーレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアリーレン基の具体例としては、2−メチル−1,4−フェニレン基、3−メチル−1,4−フェニレン基、3,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、3−メトキシ−1,4−フェニレン基、3−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−フェニレン基、3−ニトロ−1,4−フェニレン基、3−シアノ−1,4−フェニレン基などが挙げられる。
「置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基」としては、その炭素数が通常6以上であり、また、通常10以下であり、好ましくは9以下であり、より好ましくは8以下である。
前記アラルキレン基の具体的な構造は以下に挙げられ、これに限定されるものではない
が、下記[C]群に示されるようなアラルキレン基
Figure 2015212367
が挙げられる。
当該アラルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数4〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアラルキレン基の具体例としては、2−メチル−1,4−キシリレン基、2,5−ジメチル−1,4−キシリレン基、2−メトキシ−1,4−キシリレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−キシリレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−キシリレン基、α,α−ジメチル−1,4−キシリレン基、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレン基、などが挙げられる。
「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子またはカルボニル基で連結された基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[D]群に示されるような2価の基
Figure 2015212367
が挙げられる。これらの中で好ましくは、オリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物の透明性と安定性を保持したまま柔軟性を付与することができる、アルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基から選ばれる2つ以上の基が酸素原子で連結された基であり、より好ましくは、柔軟性を付与しつつ樹脂組成物のガラス転移温度を高くできる、下記[E]群に示されるようなアルキレン基が酸素原子で連結された基である。
Figure 2015212367
また、加工性とガラス転移温度の観点からは、これらの連結された基とする場合には、その炭素数を2以上とすることが好ましく、また、6以下とすることが好ましく、4以下とすることがより好ましい。
これらの中で好ましくは、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基である。
より好ましくは、直接結合、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖を含むアルキレン基、上記[A]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基の結合手を持つ脂環式アルキレン基、フェニレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子で連結された基である。
さらに好ましくは、芳香環を有さないことで硬化物の着色を抑制できる傾向にある、直接結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、メチルメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−メトキシメチル−2−メチルプロピレン基又は下記[F]群に示されるような脂環式アルキレン基
Figure 2015212367
(上記[F]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)である。
よりさらに好ましくは、直接結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、メチルメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、又は2,2−ジメチルプロピレン基である。特に好ましくは、メチレン基、エチレン基、又はn−プロピレン基である。
鎖長が長いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、短い鎖状の基、例えば炭素数
2以下の基が好ましい。さらに、短段階かつ工業的に安価に導入できる優位性もあることから、メチレン基であることが特に好ましい。
一方、オリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物のガラス転移温度を高くすることのできる、炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基及び置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子で連結された基が好ましく、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、又は下記[D2]群に示されるような2価の基がより好ましい。
Figure 2015212367
また、所望の光学特性を得るためには、置換基α1及びα2を適切に選択することが重要である。好ましくは、芳香環を有さないことで光学材料に求められる低い光弾性係数を達成できる、直接結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、メチルメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−メトキシメチル−2−メチルプロピレン基又は上記[F]群に示されるような脂環式アルキレン基、或いは、オリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物の屈折率を高くできる、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基である。
より好ましくは、メチレン基、直接結合、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、メチルメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、又は2,2−ジメチルプロピレン基である。
よりさらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、又はn−プロピレン基である。鎖長が長いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、短い鎖状の基、例えば炭素数3以下の基が好ましい。さらに、分子構造が小さくなるので繰り返し単位中のフルオレン環の割合を高くすることができることから、所望とする光学物性を効率良く発現させることができる。
短段階かつ工業的に安価に導入できる優位性もあることから、メチレン基であることが特に好ましい。
また、置換基α1及びα2は同一であることが、製造を容易にするため好ましい。
<1.4 具体的な構造>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂としては、具体的には、下記一般式(1)で表されるもの(以下、オリゴフルオレンエポキシ樹脂(1)と略記する場合がある)を好ましく用いることができる。
Figure 2015212367
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換
されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、
又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、
4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
10は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
nは1〜5の整数値を示す。
前記式(1)において、R1及びR2としては、それぞれ<1.3 置換基α1及びα2>にて例示したものを好ましく用いることができる。
同様に、R10における置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、<1.2 エポキシ基>にて置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基として例示したものを好ましく用いることができる。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル、n−デシルなどの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−エチルヘキシル基などの分岐鎖を含むアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの環状のアルキル基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基における炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数4〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、メトキシメチル基などが挙げられる。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、フェニル基、1−ナフチル基
、2−ナフチル基等のアリール基;2−ピリジル基、2−チエニル基、2−フリル基などのヘテロアリール基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基における炭素数は、8以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該アリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−ベンゾイルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−メチルフリル基などが挙げられる。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、2−メチルプロピオニル基、2,2−ジメチルプロピオニル基、2−エチルヘキサノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、2−フリルカルボニル基などの芳香族アシル基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基における炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該アシル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数4〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアシル基の具体例としては、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、4−メトキシベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−トリフルオロメチルベンソイル基などが挙げられる。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基またはアシルオキシ基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基またはアシルオキシ基における炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
4〜R9において「置換されていてもよいアミノ基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、アミノ基;N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基等の芳香族アミノ基;ホルムアミド基、アセトアミド基、デカノイルアミド基、ベンゾイルアミド基、クロロアセトアミド基等のアシルアミノ基;ベンジルオキシカルボニルアミノ基、tert−ブチルオキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
これらの中でも、酸性度の高いプロトンを持たず、分子量が小さく、フルオレン比率を高めることができる傾向があることから、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、又はN,N−ジエチルアミノ基が好ましく、N,N−ジメチルアミノ基であることがより好ましい。
4〜R9において「置換基を有する硫黄原子」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、スルホ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基、p−トリルスルホニル基等のアリールスルホニル基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基、p−トリルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、p−トリルチオ基等のアリールチオ基;メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基等のアルコキシスルホニル基;フェノキシスルホニル基等のアリールオキシスルホニル基;アミノスルホニル基;N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−tert−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基等のアルキルスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基、N,N−ジフェニルアミノスルホニル基等のアリールアミノスルホニル基等が挙げられる。なお、スルホ基は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム等と塩を形成していてもよい。
これらの中でも、酸性度の高いプロトンを持たず、分子量が小さく、フルオレン比率を高めることができる傾向があることから、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、又はフェニルスルフィニル基が好ましく、メチルスルフィニル基であることがより好ましい。
4〜R9において「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらの中でも、比較的導入が容易で、電子吸引性の置換基のため、フルオレン9位の反応性を高める傾向があることから、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましく、塩素原子又は臭素原子であることがより好ましい。
隣接するR4〜R9は、互いに結合して環を形成していてもよい。その具体例としては、下記[G]群に示されるような置換フルオレン構造が挙げられる。
Figure 2015212367
このように、R4〜R9を上述のような特定の原子又は置換基にすることで、主鎖とフルオレン環との間や、フルオレン環同士の間の立体障害が少なく、フルオレン環に由来する所望の光学特性を得ることができる傾向がある。
これらR4〜R9の中で好ましくは、全て水素原子、或いはR4及び/又はR9がハロゲン原子、アシル基、ニトロ基、シアノ基、及びスルホ基からなる群から選ばれるいずれかであり、かつ、R5〜R8が水素原子である。全て水素原子の場合、工業的にも安価なフルオレンから誘導できる。また、R4及び/又はR9がハロゲン原子、アシル基、ニトロ基、シアノ基、及びスルホ基からなる群から選ばれるいずれかで、かつ、R5〜R8が水素原子の場合、フルオレン9位の反応性が向上するため、様々な誘導反応が適応可能となる傾向がある。より好ましくは、全て水素原子、或いはR4及び/又はR9がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びニトロ基からなる群から選ばれるいずれかで、かつ、R5〜R8が水素原子であり、特に好ましくは全て水素原子の場合である。また、上記のものとすることで、フルオレン比率を高めることができ、かつ、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向もある。
<1.5 オリゴフルオレンエポキシ樹脂の具体例>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の具体例としては、下記[H]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 2015212367
<1.6 オリゴフルオレンエポキシ樹脂の物性>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の物性値は特に限定されないが、以下に例示する物性値を満足するものであることが好ましい。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂中の塩素含有割合は、Cl換算質量で1000質量ppm以下であることが好ましい。さらには100質量ppm以下であることが好ま
しい。塩素成分の含有割合が多い場合、得られた硬化物中にも塩素成分が残存し、硬化物の絶縁性を低下させたり、接触する金属配線等を腐食させたりするおそれがある。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の融点は、200℃以下であることが好ましい。さらには180℃以下であることが好ましく、特に150℃以下であることが好ましい。組成物を硬化させる際には、通常加熱溶融して混合する必要があるが、融点が高いと溶融温度が高くなり操作性が悪くなるうえ、混合する前に硬化が始まり、品質の安定した均一な硬化物を得ることが難しい。一方下限としては、30℃以上であることが好ましく、さらには40℃以上であることが好ましく、特には50℃以上であることが好ましい。融点が室温に近いと保管中に一部融解、固化して塊となったり、また半固体であったりと、取扱いが困難となる。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の150℃溶融粘度は、10P以下であることが好ましい。さらには4P以下であることが好ましく、特には2P以下であることが好ましい。粘度が低いと組成物の加熱溶融による混合が容易となり、成型性や加工性が向上する。さらに、より多くの充填剤を加えることも可能となり、硬化物の物性を調整することができる。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の589nmにおける屈折率は、1.60以上であることが好ましく、1.62以上であることがより好ましい。さらには1.63以上であることが好ましく、特には1.64以上であることが好ましい。ここで屈折率とは、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の比重を1.2と仮定して、DMF溶液の外挿法(後述する実施例に記載の方法)により求めたものである。 屈折率が高いことでレンズ
等の光学材料に用いた時に薄く軽量化できる他、他の材料と混合して広範囲の屈折率を持つ材料を得ることができる。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、酸素原子が6個以下であることが好ましい。さらには4個以下であることが好ましく、特には酸素原子が2個以下であることが好ましい。酸素原子が多いと通常硬化物の吸水率が高くなり、耐湿熱性や寸法安定性が悪化する。また、炭素原子と水素原子以外の原子が6個以下であることが好ましい。さらには4個以下であることが好ましく、特には2個以下であることが好ましい。炭素原子と水素原子以外の原子を含有すると通常硬化物の吸水率が高くなる他、光による着色等が起こりやすくなる。
<1.7 他の態様に係るオリゴフルオレンエポキシ樹脂>
合成が容易であるという観点から、他の態様ではオリゴフルオレンエポキシ樹脂として、下記一般式(10)で表されるオリゴフルオレンエポキシ樹脂(以下、オリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)と略記する場合がある)を用いることが好ましい。
Figure 2015212367
式中、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。Riは水素原子又はメチル基を表す。nは1〜5の整数値を示す。
また、一般式(1)及び一般式(10)の両者を包括する、以下に示す一般式(14)で表されるオリゴフルオレンエポキシ樹脂を用いてもよい。
Figure 2015212367
式中、R1〜R10は前記一般式(1)と同義である。nは1〜5の整数値を示す。
β1及びβ2はそれぞれ独立に、直接結合又はエステル結合である。
<1.7.1 他の態様に係るオリゴフルオレンエポキシ樹脂の具体例>
他の態様に係るオリゴフルオレンエポキシ樹脂の具体例としては、下記[I]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 2015212367
<2 オリゴフルオレンエポキシ樹脂の製造方法>
<2.1 炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの酸化による製造>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の製造方法については特に限定されないが、後述の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンを酸化することにより、本発明のオリ
ゴフルオレンエポキシ樹脂を得ることができる。
酸化方法は、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂が取得可能な方法であれば特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、酸化反応で使用する酸化剤としては、過酸化水素、過酸類、ハイドロパーオキサイド類が挙げられる。具体的にはエポキシ基の開環反応を抑制するために、タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液で行う方法(方法A)、過酢酸やm−クロロ安息香酸等の有機過酸類を用いる方法(方法B)等が挙げられ、化合物の性質に応じて方法を選択することができる。なかでも、タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液で行う方法が、酸化剤として安価な過酸化水素を用いることができる上、副生物が水であり環境面からも好ましい。
また、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンが複数の炭素−炭素二重結合を有する場合、酸化剤の使用量、反応時間、反応条件を制御することで、炭素−炭素二重結合を一部酸化せずに残存させることもできる。すなわち、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂と、エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物を任意の割合で共存させることもできる。エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物を共存させることで、融点や粘度を低下させることができるため、加工性向上の観点から好ましい。
<2.1.1 方法A:タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液で行う方法>
以下にタングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液で酸化する方法(方法A)について説明する。
反応に用いるタングステン酸類としては、例えば、タングステン酸;12−タングストリン酸、18−タングストリン酸等のリンタングステン酸、12−タングストホウ酸等のホウタングステン酸、12−タングストケイ酸等のケイタングステン酸およびその塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。また、これらの塩の対カチオンとしては、4級アンモニウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオンが挙げられる。
対カチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、トリデカニルメチルアンモニウムイオン、ジラウリルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、トリヘキサデシルメチルアンモニウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリブチルアンモニウムイオン等の4級アンモニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオン等が挙げられる。
これらの中で、入手し易さの観点から、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カルシウムおよびその水和物が好ましい。
タングステン酸類の使用量は特に限定されないが、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの炭素−炭素二重結合1当量に対して、触媒金属原子換算で、好ましくは0.001当量以上、より好ましくは0.005当量以上、更に好ましくは0.01当量以上であり、また、好ましくは5当量以下、より好ましくは3当量以下、より好ましくは1当量以下である。使用量が0.001当量より少ないと、反応が十分に進行せず、使用量が5当量よりも多いと、タングステン酸類の除去が困難となる傾向がある。
4級アンモニウム塩としては、総炭素数が10以上、好ましくは25〜100、より好ましくは25〜55の4級アンモニウム塩が好ましく使用でき、特にそのアルキル鎖が全
て脂肪族鎖であるものが好ましい。
具体的には、トリデカニルメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリヘキサデシルメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、トリセチルメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
またアンモニウム塩としては、PCT/JP2013/059461号に開示、および特願2013−207331に記載したアンモニウム塩を使用することもできる。具体的には活性水素を含む官能基またはその塩に変換可能な置換基を1つ以上有するアンモニウム塩を用いることが好ましい。
また、これらアンモニウム塩の対アニオンとしては、例えば、硫酸水素イオン、モノメチル硫酸イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、リン酸水素イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、水酸化物イオンが挙げられる。対アニオンがエポキシやオレフィンに付加しない、調製が容易という観点から、硫酸水素イオン、モノメチル硫酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、水酸化物イオンが好ましく、入手容易な観点からトリオクチルメチルアンモニウム塩の硫酸水素イオンの組み合わせが特に好ましい。
4級アンモニウム塩の使用量は特に限定されないが、タングステン酸類1当量に対して、好ましくは0.01当量以上、より好ましくは0.1当量以上であり、また、好ましくは10当量以下、より好ましくは5当量以下である。使用量が0.01当量より少ないと、反応が十分に進行せず、使用量が5当量よりも多いと、アンモニウム塩の除去が困難となる傾向がある。
反応液に導入する過酸化水素水溶液の濃度は特に限定されないが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。濃度が10質量%より低いと、反応速度の低下およびバッチ効率の低下を招き、濃度が60質量%よりも高いと反応時の内温の制御が困難になったり、異常な過酸化水素の分解が起き易くなり危険性が増大したりする傾向がある。
過酸化水素の使用量は特に限定されず、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンや触媒の種類、反応条件等によって異なるが、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの炭素−炭素二重結合1当量に対して、過酸化水素換算で、好ましくは1当量以上、より好ましく2当量以上であり、また、好ましくは20当量以下、より好ましくは10当量以下である。使用量が1当量より少ないと、反応が十分に進行しない傾向があり、使用量が20当量よりも多いと、反応の制御や安全性の確保が困難になるうえ、反応液量が増加して生産性が低下する傾向がある。
また、方法Aにおいて、タングステン酸類、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液以外に、リン酸類を含んでいてもよい。リン酸類としては、例えば、リン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム等の無機リン酸、アミノメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸等が挙げられるが、入手容易なリン酸が好ましい。
リン酸類の使用量は特に限定されず、用いるリン酸類の種類やタングステン酸類の種類によって適切な使用量が異なる。一般的に、該リン酸類に含まれるリンの当量としては、
使用するタングステン酸類中のタングステン1原子に対して、通常0.1当量以上、好ましくは0.2当量以上、更に好ましくは0.2当量以上であり、また、通常5.0当量以下、好ましくは3.0当量以下、更に好ましくは2.0当量以下である。
反応には溶媒を使用することもできる。用いる溶媒は特に限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル等のエステル化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N− ジメチルアセトアミド等のアミド類;N,N’−ジメ
チルイミダゾリジノン等のウレア類;水およびこれら溶媒の混合物が挙げられる。これらの中で、水、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、およびこれら溶媒の混合物が好ましく、反応および後処理工程で安定であり、反応温度より高い沸点を有する水およびトルエンがさらに好ましい。
なお、方法Aにおいては、通常、水相と有機相の分離した二層系での反応系で行う。二層分離していることによりエポキシ樹脂が有機相に分配し、酸性水層の影響によりエポキシ環が開環、転移等で分解することを抑えることができる。
有機溶媒の使用態様としては、特に限定されるものではないが、反応に用いる炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンが反応条件下で液状である場合には、溶媒を使用しなくてもよい。炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンが固体である場合は、溶媒に溶解していても、懸濁状態でもよいが、通常、反応温度条件下で溶媒に溶解していることが好ましい。
有機溶媒の使用量は化合物の溶解度によるが、溶媒量の増大に従い反応速度が低下する場合が多いため、通常炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの0倍量〜10倍量、好ましくは0倍量〜5倍量、更に好ましくは0倍量〜3倍量である。
方法Aにおいて反応温度は、反応が阻害されない限り特に限定されないが、通常10℃〜90℃、好ましくは35℃〜80℃、更に好ましくは60℃〜75℃である。前記下限未満では反応速度が遅くなる場合があり、前記上限超過では安全上の観点で好ましくない場合がある。
反応時間は、反応スケール等により異なるが、通常1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは5時間以上であり、また、通常48時間以下、好ましくは36時間以下、より好ましくは24時間以下である。
上記のとおり、方法Aでは、タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液で炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンを酸化してエポキシ化合物を生成させる。これらの化合物の添加順序は特に限定されないが、通常の反応では、まず炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン、タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩、リン酸類等の添加物を反応溶媒中で混合し、混合物の温度に注意しながら過酸化水素水を滴下し、撹拌する。反応後、水洗、残存した過酸化水素をクエンチ、濃縮等の通常の操作を行ってエポキシ化合物を得る。
過酸化水素は速やかにエポキシ化反応に消費されるが、安全性の観点から数回に分けて添加することや、連続的に添加する方が好ましい。
方法Aでは、水相と有機相の分離した二層系での反応系で行うことができるため、エポキシ基の開環反応を抑制することができ、高選択性を維持したままオリゴフルオレンエポ
キシ樹脂を合成することができる。
<2.1.2 方法B:有機過酸類を用いる方法>
次に、有機過酸類を用いて酸化する方法(方法B)について説明する。
反応に用いる有機過酸類としては、過酢酸、過プロピオン酸、m-クロロ過安息香酸、
過安息香酸、過フタル酸等が挙げられるが、このうち過酢酸、m-クロロ過安息香酸が好
ましく、工業的に安価で液体で取扱いやすいことから過酢酸が更に好ましい。
また、有機過酸類を反応系中で有機酸類と過酸化水素から調整することもできる。用いられる有機酸類としては、酢酸、プロピオン酸、m-クロロ安息香酸、安息香酸、フタル
酸等が挙げられるが、このうち酢酸、m-クロロ安息香酸が好ましく、工業的に安価でか
つ液体のため取扱いやすいことから酢酸が更に好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
有機過酸類の使用量は特に限定されないが、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの炭素−炭素二重結合1当量に対して、好ましくは0.5当量以上、より好ましくは1当量以上、更に好ましくは、1.1当量以上であり、また、好ましくは5当量以下、より好ましくは2当量以下、更に好ましくは1.5当量以下である。使用量が1当量より少ないと、反応が十分に進行しない傾向があり、使用量が5当量よりも多いと、過剰の有機過酸類が分解し反応暴走を引き起こす危険性が高まる傾向がある。
有機過酸類は過酸化水素と組み合わせて用いるため触媒的に働くため、過酸化水素に対して少量であってもよく、好ましくは0.05当量以上、より好ましくは0.1当量以上、更に好ましくは、0.2当量以上であり、また、好ましくは5当量以下、より好ましくは2当量以下、更に好ましくは1.5当量以下である。また、組み合わせて用いる場合の過酸化水素の使用量は特に限定されないが、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの炭素−炭素二重結合1当量に対して、好ましくは0.5当量以上、より好ましくは1当量以上、更に好ましくは、1.1当量以上であり、また、好ましくは5当量以下、より好ましくは2当量以下、更に好ましくは1.5当量以下である。使用量が1当量より少ないと、反応が十分に進行しない傾向があり、使用量が5当量よりも多いと、過剰の有機過酸類が分解し反応暴走を引き起こす危険性が高まる傾向がある。
反応液に導入する過酸化水素水溶液の濃度は特に限定されないが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。濃度が10質量%より低いと、反応速度の低下およびバッチ効率の低下を招き、濃度が60質量%よりも高いと反応時の内温の制御が困難になったり、異常な過酸化水素の分解が起き易くなり危険性が増大したりする傾向がある。
反応には溶媒を使用することもできる。用いる溶媒は特に限定されないが、例えば、べンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル等のエステル化合物;酢酸、プロピオン酸等の有機酸;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N− ジメチルアセトアミド等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノ
ン等のウレア類;水およびこれら溶媒の混合物が挙げられる。これらの中で、芳香族炭化水素類、ハロゲン系溶媒およびこれら溶媒の混合物が、有機過酸類の溶解性及び酸化反応への耐性の観点から好ましい。
溶媒の使用量は特に限定されないが、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは200質量部以上であり、また、好ましくは10000質量部以下、より好ましくは5000質量部以下である。溶媒が少ないと、基質が上手く系内で混和せず反応性が低下する傾向がある。また、溶媒が多いと、系内の反応基質の濃度が低下し、反応速度が低下する傾向がある。
反応温度は特に限定されないが、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、よりが好ましくは80℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。100℃を超えると、過酸化水素の分解や、生成したエポキシの加水分解が促進される傾向がある。0℃未満であると、十分な反応速度が得られず、反応が完全に進行しない傾向がある。
反応時間は、反応スケール等により異なるが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、また、通常72時間以下、好ましくは24時間以下の範囲から選択できる。
上記のとおり、方法Bでは、有機過酸類で炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンを酸化してエポキシ樹脂を生成させる。これらの化合物の添加順序は特に限定されないが、通常の反応では、まず炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンを反応溶媒に溶解または懸濁させ、混合物の温度に注意しながら有機過酸類を添加する。有機酸類と過酸化水素を組み合わせて用いる場合、有機酸類を加えた後、混合物の温度に注意しながら過酸化水素を添加する。反応後、水洗、残存した過酸化物をクエンチ、濃縮等の通常の操作を行ってエポキシ樹脂を得る。
有機過酸類や過酸化水素は系中の濃度が高いと急激な反応や分解を引き起こす恐れがあるため、安全性の観点から数回に分けて添加することや、連続的に添加する方が好ましい。
方法Bでは、中性〜弱酸性条件で酸化を行うことができるため、エポキシ基の開環反応を抑制することができ、高選択性を維持したままオリゴフルオレンエポキシ樹脂を合成することができる。
<2.1.3 エピハロヒドリンの付加による製造>
特許文献1ではエピブロモヒドリンを用いてジフルオレンジエポキシ化合物を合成している。この方法では臭素原子を有する副生物の生成は避けられず、高純度品を得るためにはカラムクロマトグラフィー等の精製が必要である。
<2.1.4 アクリレート付加による製造>
以下、下記一般式(10)で表されるオリゴフルオレンエポキシ樹脂の製造方法を製造法Cと製造法Dに分けて記載する。
Figure 2015212367
式中、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。R11は、炭素数1〜10の有機置
換基である。Riは、水素原子又はメチル基を表す。nは1〜5の整数値を示す。
<2.1.4.1 製造法C:マイケル付加反応(工程ia)を経て、エステル交換反応(工程ii)による製造方法>
一般式(10)で表される本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、一般式(8)で表されるオリゴフルオレン化合物(以下、オリゴフルオレン化合物(8)と略記する場合がある)を原料として、マイケル付加反応(工程ia)により一般式(9)で表されるオリゴフルオレンジエステル(以下、オリゴフルオレン化合物(9)と略記する場合がある)を合成した後、エステル交換反応(工程ii)により製造できる。
<2.1.4.1.1 工程ia:マイケル付加反応>
オリゴフルオレンジエステル(9)は、工程iaに従い、塩基存在下、オリゴフルオレン化合物(8)と下記一般式(11)で表される(メタ)アクリル酸エステル(以下、(メタ)アクリル酸エステル(11)と略記する場合がある)を反応させることにより製造される。
Figure 2015212367
式中、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。R11は、炭素数1〜10の有機置
換基である。Riは、水素原子又はメチル基を表す。nは1〜5の整数値を示す。
<2.1.4.1.1.1 (メタ)アクリル酸エステル>
反応試剤としての(メタ)アクリル酸エステルは、工程(ia)における一般式(11)で表されるものであり、一般式(11)中、Riは水素原子又はメチル基を表す。
(メタ)アクリル酸エステル(11)として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸アリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類が挙げられる。
11は、より小さいものが工業的に安価かつ蒸留精製も容易で、反応性も高いため、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸フェニル、又はメタクリル酸フェニルが特に好ましい。
異なる2種以上の(メタ)アクリル酸エステル(11)を用いてもよいが、精製の簡便性から、1種類の(メタ)アクリル酸エステル(11)を用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル(11)は、重合活性が高いため、高濃度で存在すると、光、熱、酸・塩基などの外部刺激により、容易に重合する傾向がある。その際、大きな発熱を伴うため、非常に危険となる場合がある。そのため、(メタ)アクリル酸エステル(11)の使用量は、安全性の観点から、あまり過剰に用いない方がよい。通常、原料であるオリゴフルオレン化合物(8)に対して、10倍モル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましくは3倍モル以下である。下限は、原料に対して理論量で2倍モルであるので通常は2倍モル以上である。反応の進行を速め、原料や中間体を残存させないために、メタアクリル酸エステル(11)の使用量は、原料のオリゴフルオレン化合物(8)に対して好ましくは2.2倍モル以上、さらに好ましくは2.5倍モル以上である。
<2.1.4.1.1.2 塩基>
塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、n−ブチルリチウム、ターシャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属のアルコキシド塩、水素化ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの三級アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシドが用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
オリゴフルオレン化合物(8)は溶媒中、塩基存在下で容易に分解反応が進行する。そのため、有機層と水層の2層系で反応を行った場合に、分解反応などの副反応が抑制できることから、水溶性の無機塩基を用いることが好ましい。中でもコスト、反応性の面からアルカリ金属の水酸化物の水溶液が好ましく、特に水酸化ナトリウムの水溶液又は水酸化カリウムの水溶液がより好ましく、水酸化ナトリウムの水溶液がさらに好ましい。
また、水溶液の濃度は、特に好ましい水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、濃度が薄いと反応速度が著しく低下する傾向があるため、通常は10wt/wt%以上、好ましくは30wt/wt%以上、より好ましくは40wt/wt%以上の水溶液を用いるのが特に好ましい。
塩基の使用量は、原料であるオリゴフルオレン化合物(8)に対して、上限は特に制限はないが、使用量が多すぎると攪拌や反応後の精製負荷が大きくなる場合があるので、特に好ましい塩基である40wt/wt%以上の水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、通常、オリゴフルオレン化合物(8)に対して10倍体積量以下、好ましくは5倍体積量以下、さらに好ましくは2倍体積量以下である。塩基量が少なすぎると反応速度が著しく低
下するため、通常、塩基は、原料のオリゴフルオレン化合物(8)に対して、0.1倍体積量以上である。好ましくは、0.2倍体積量以上、より好ましくは0.5倍体積量以上である。
<2.1.4.1.1.3 相間移動触媒>
工程(ia)において、有機層と水層の2層系での反応を行う場合、反応速度を上げるため、相間移動触媒を用いることが好ましい。
相間移動触媒としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、アセチルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム塩のハライド(フッ素は除く)、N,N−ジメチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムヨージド、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムブロミドなどの四級ピロリジニウム塩のハライド(フッ素は除く)、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムヨージド、N−アリル−N−メチルモルホリニウムブロミドなどの四級モルホリニウム塩のハライド(フッ素は除く)、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムブロミド、N,N−ジメチルピペリジニウムヨージド、N−メチル−N−エチルピペリジニウムアセテート、N−メチル−N−エチルピペリジニウムヨージドなどの四級ピペリジニウム塩のハライド(フッ素は除く)、クラウンエーテル類などが挙げられる。好ましくは四級アンモニウム塩、更に好ましくは、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、又はベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
相間移動触媒の使用量は、原料であるオリゴフルオレン化合物(8)に対して、多すぎるとエステルの加水分解や逐次マイケル反応などの副反応の進行が顕著になる傾向があり、また、コストの観点からも、通常、オリゴフルオレン化合物(8)に対して5倍モル以下、好ましくは2倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以下である。相間移動触媒の使用量が少なすぎると反応速度が著しく低下する傾向があるため、通常、相間移動触媒の使用量は、原料のオリゴフルオレン化合物(8)に対して、0.01倍モル以上である。好ましくは、0.1倍モル以上、より好ましくは0.5倍モル以上である。
<2.1.4.1.1.4 溶媒>
工程(ia)は溶媒を用いて行うことが望ましい。
具体的に使用可能な溶媒は、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなど、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど、エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸フェニル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等の直鎖状のエステル類;γ―ブチロラクトン、カプロラクトン等の環状エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類など、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテルなど、ハロゲン系溶媒としては、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベ
ンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど、スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素;その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレンなど、芳香族複素環としては、ピリジンなど、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ターシャリーブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
水と相分離する溶媒を用いることで、オリゴフルオレン化合物(8)の分解反応などの副反応を抑制できる傾向があることが解っている。さらに、原料のオリゴフルオレン化合物(8)をよく溶解する溶媒を用いた場合に、反応の進行が良好である傾向があることから、原料のオリゴフルオレン化合物(8)の溶解度が0.5質量%以上の溶媒を用いることが好ましく、より好ましくは1.0質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上の溶媒を用いることである。具体的には、ハロゲン系脂肪族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、芳香族炭化水素、又はエーテル系溶媒が好ましく、ジクロロメタン、クロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、又はメチルシクロペンチルエーテルが特に好ましい。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
溶媒の使用量は、上限は特に制限はないが、反応器あたりの目的物の生成効率を考えると、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(8)の20倍体積量、好ましくは15倍体積量、さらに好ましくは10倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の使用量が少なすぎると試剤の溶解性が悪くなり攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅くなる傾向があるので、下限としては、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(8)の1倍体積量、好ましくは2倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使用される。
<2.1.4.1.1.5 反応形式>
工程(ia)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
バッチ式の場合の反応試剤の反応器への投入方法は、(メタ)アクリル酸エステル(11)を反応開始時に一括添加で仕込んだ場合、(メタ)アクリル酸エステル(11)が高濃度で存在するため、副反応の重合反応が進行し易い。よって原料のオリゴフルオレン化合物(8)、相間移動触媒、溶媒及び塩基を加えた後に、少量ずつ(メタ)アクリル酸エステル(11)を逐次添加するのが好ましい。
<2.1.4.1.1.6 反応条件>
工程(ia)において、温度が低すぎると十分な反応速度が得られず、逆に高すぎると(メタ)アクリル酸エステル(11)の重合反応が進行しやすい傾向があるため、温度管理が重要である。そのため、反応温度としては、具体的には、通常、下限は0℃、好ましくは10℃、より好ましくは15℃で実施される。一方通常、上限は、40℃、好ましくは30℃、より好ましくは20℃で実施される。
工程(ia)における一般的な反応時間は、通常下限が30分、好ましくは1時間、さ
らに好ましくは2時間で、上限は特に限定はされないが通常20時間、好ましくは10時間、さらに好ましくは5時間である。
<2.1.4.1.1.7 目的物の分離・精製>
反応終了後、オリゴフルオレンジエステル(9)は、副生した金属ハロゲン化物、及び残存した無機塩基を濾過して反応液から除去した後に、溶媒を濃縮する方法、或いは目的物の貧溶媒を添加する方法などを採用して、目的物であるオリゴフルオレンジエステル(9)を析出させることにより単離することができる。
また、反応終了後、反応液に酸性水と目的物であるオリゴフルオレンジエステル(9)が可溶な溶媒とを添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的物は、溶媒を濃縮する方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することができる。
抽出の際に使用可能な溶媒としては、目的物であるオリゴフルオレンジエステル(9)が溶解するものであれば良く、特に制限はないが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、ジクロロメタン、クロロホルムなどハロゲン系溶媒などの1種又は2種以上が好適に用いられる。
ここで得られるオリゴフルオレンジエステル(9)は、そのまま次の反応に用いてもよいが、精製を行ってから使用しても良い。精製法としては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製、カラムクロマトグラフィーなど制限なく採用可能である。また、オリゴフルオレンジエステル(9)を適当な溶媒に溶解して活性炭で処理することも可能である。その際に使用可能な溶媒は、抽出の際に使用可能な溶媒と同じである。
<2.1.4.1.2 工程(ii):エステル交換反応>
オリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)は、工程(ii)に従い、塩基存在下、オリゴフルオレンジエステル(9)と、下記一般式(12)で表されるエポキシ基を有するアルコール(以下、エポキシ基を有するアルコール(12)と略記する場合がある)を反応させることにより製造される。
Figure 2015212367
式中、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。R11は、炭素数1〜10の有機置
換基である。Riは、水素原子又はメチル基を表す。nは1〜5の整数値を示す。
<2.1.4.1.2.1 エポキシ基を有するアルコール>
工程(ii)で用いられるエポキシ基を有するアルコールは、工程(ii)における一般式(12)で表されるものであり、一般式(12)中、R10は炭素数1〜10のアルキル基を表す。具体的には、グリシドール、2−メチルグリシドール、2−エチルグリシドールなどが挙げられる。
中でも、グリシドール、2−メチルグリシドールが反応性とコストの観点から好ましく、グリシドールが特に好ましい。
工程(ii)において、異なる2種以上のエポキシ基を有するアルコール(12)を用
いることも可能であるが、精製の簡便性からは、通常は1種類のエポキシ基を有するアルコール(12)が用いられる。
エポキシ基を有するアルコール(12)の使用量は、原料のオリゴフルオレンジエステル(9)のエステル基の有機置換基から生じるアルコールと、エポキシ基を有するアルコール(12)の競争反応となる傾向があるため、エポキシ基を有するアルコール(12)の使用量が多いほうが、反応の進行が早い。
そのため、エポキシ基を有するアルコール(12)の使用量は、通常、オリゴフルオレンジエステル(9)に対して3倍モル以上、好ましくは10倍モル以上、さらに好ましくは50倍モル以上である。
エポキシ基を有するアルコール(12)は、仕込み時に一括添加してもよく、反応の進行に従って分割添加してもよい。
<2.1.4.1.2.2 塩基>
工程(ii)で用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、n−ブチルリチウム、ターシャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属のアルコキシド塩、水素化ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシドが用いられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
中でもコスト、反応性の面からアルカリ金属のアルコキシドが好ましく、特にナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシドがより好ましい。
塩基の使用量は原料であるオリゴフルオレンジエステル(9)に対して、上限は特にないが、使用量が多すぎると撹拌や反応後の精製負荷が大きくなる傾向があるので、通常、オリゴフルオレンジエステル(9)の10倍モル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以下である。
一方、塩基の使用量が少なすぎると反応の進行が遅くなる傾向があるので、下限としては、通常、原料のオリゴフルオレンジエステル(9)に対して0.01倍モル以上、好ましくは0.05倍モル以上、さらに好ましくは0.1倍モル以上である。
<2.1.4.1.2.3 溶媒>
工程(ii)は無溶媒で行っても良いが、原料のオリゴフルオレンジエステル(9)が反応試剤のエポキシ基を有するアルコール(12)に対する溶解性が低く、反応性が低い場合には、溶媒を用いて行っても良い。
具体的に使用可能な溶媒は、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなど、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、ジエチレングルコール ジメチルエーテル、トリエチレングルコール ジメチルエーテルなど、ハロゲン系溶媒としては、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど、スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素
;その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレンなどが挙げられる。
中でも、原料のオリゴフルオレンジエステル(9)とエポキシ基を有するアルコール(12)の両方の溶解性が高い溶媒を用いた場合に、反応の進行が良好である傾向があることから、エーテル系溶媒が好ましく、高温での反応が可能であることから、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はトリエチレングリコールジメチルエーテルが特に好ましい。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
溶媒の使用量は、上限は特に制限はないが、反応器あたりの目的物の生成効率を考えると、通常、原料のオリゴフルオレンジエステル(9)の20倍体積量、好ましくは15倍体積量、さらに好ましくは10倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の使用量が少なすぎると試剤の溶解性が悪くなり攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅くなる傾向があるので、下限としては、通常、原料のオリゴフルオレンジエステル(9)の1倍体積量、好ましくは2倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使用される。
<2.1.4.1.2.4.反応形式>
工程(ii)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
<2.1.4.1.2.5.反応条件>
溶媒や反応試剤であるエポキシ基を有するアルコール(12)に水分が含まれている場合、エステルの加水分解が進行し、副生成物として、含有される水分量に応じてカルボン酸生成する傾向がある。
そのため、溶媒や反応試剤であるエポキシ基を有するアルコール(12)は無水のものを用いるか、反応前にトルエン、キシレンなどの反応に関与せず、水と共沸する溶媒で、共沸脱水を行ってから、反応を行うことが好ましい。
工程(ii)は温度が低すぎると十分な反応速度が得られない傾向があるため、反応温度としては、具体的には、通常、下限は20℃、好ましくは50℃、より好ましくは80℃で実施される。一方通常、上限は、150℃、好ましくは120℃、より好ましくは100℃で実施される。
工程(ii)における一般的な反応時間は、通常下限が2時間、好ましくは4時間、さらに好ましくは6時間で、上限は特に限定はされないが通常30時間、好ましくは20時間、さらに好ましくは10時間である。
<2.1.4.1.2.6.目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物であるオリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)は、副生した金属ハロゲン化物、及び残存した無機塩基などの不溶物を濾過して反応液から除去した後に、溶媒を濃縮する方法、或いは目的物の貧溶媒を添加する方法などを採用して、目的物であるオリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)を析出させることにより単離することができる。
また、反応終了後、反応液に酸性水と目的物であるオリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)が可溶な溶媒とを添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的物は、溶媒を濃縮する方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することができる。
また、溶媒により抽出された目的物を、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの水溶液で洗浄することにより、副生成物であるカルボン酸を除去することができる。
抽出の際に使用可能な溶媒としては、目的物であるオリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)が溶解するものであれば良く、特に制限はないが、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、ジクロロメタン、クロロホルムなどハロゲン系溶媒などの1種又は2種以上が好適に用いられる。
オリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)は、そのまま硬化に使用することも可能であるし、精製を行った後に次工程へ用いても良い。精製法としては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製など制限なく採用可能である。また、オリゴフルオレンエポキシ樹脂(10)を適当な溶媒に溶解して活性炭で処理することも可能である。その際に使用可能な溶媒は、抽出の際に使用可能な溶媒と同じである。
<2.1.4.2 製造法D:マイケル付加反応(工程ib)による製造方法>
一般式(10)で表される本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、塩基存在下、オリゴフルオレン化合物(8)と、下記一般式(13)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(13)と略記する場合がある)を反応させることにより製造できる。
Figure 2015212367
式中、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。Riは、水素原子又はメチル基を表す。nは1〜5の整数値を示す。
製造法Dは、(メタ)アクリル酸エステル(11)の代わりに、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(13)を用いて、<2.1.4.1.1 工程ia:マイケル付加反応>と同様の条件で行うことで製造することができる。
反応試剤としてのエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、工程(ib)において一般式(13)で表されるものであり、一般式(13)中、Riは水素原子又はメ
チル基を表す。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(13)として、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、アクリル酸2−エチルグリシジル、メタクリル酸2−エチルグリシジルなどが挙げられる。
10は、水素原子のものが工業的に安価かつ蒸留精製も容易で、反応性も高いため、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが特に好ましい。
異なる2種以上のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(13)を用いても
よいが、精製の簡便性から、1種類のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(13)を用いることが好ましい。
<3 炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン>
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンは、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の製造方法において原料として用いられるものであり、その構造は下記一般式(2)で表される(以下、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)と略記する場合がある)。
Figure 2015212367
式中、R1、R2、及びR4〜R10は前記一般式(1)と同義である。nは1〜5の整数
値を示す。
前記式(2)において、R1及びR2としては、それぞれ<1.3 置換基α1及びα2>にて例示したものを好ましく用いることができる。
同様に、R10における置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、<1.2 エポキシ基>にて置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基として例示したものを、また、R4〜Rは<1.4 具体的な構造>にて例示したものを、それぞ
れ好ましく用いることができる。
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)は、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂(1)の有用な原料であるだけでなく、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)自体も硬化性樹脂組成物として有用である。本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)も、架橋基がメチレン基であることにより、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂(1)と同様に高い屈折率を有し、融点が低いため、加工性に優れていることが期待される。
また、架橋基がメチレン基である場合、その他の架橋基と比較して、安価な原料を用いて、温和な条件で製造することができる。
<3.1 炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの具体例>
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの具体例としては、下記[J]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 2015212367
<3.2 炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの物性>
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの物性値は特に限定されないが、以下に例示する物性値を満足するものであることが好ましい。
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン中の塩素含有割合は、Cl換算質量で1000質量ppm以下であることが好ましい。さらには100質量ppm以下であることが好ましい。塩素成分の含有割合が多い場合、得られた硬化物中にも塩素成分が残存し、硬化物の絶縁性を低下させたり、接触する金属配線等を腐食させたりするおそれ
がある。
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの融点は、170℃以下であることが好ましい。さらには150℃以下であることが好ましく、特に120℃以下であることが好ましい。組成物を硬化させる際には、通常加熱溶融して混合する必要があるが、融点が高いと溶融温度が高くなり操作性が悪くなるうえ、混合する前に硬化が始まり、品質の安定した均一な硬化物を得ることが難しい。一方下限としては、30℃以上であることが好ましく、さらには40℃以上であることが好ましく、特には50℃以上であることが好ましい。融点が室温に近いと保管中に一部融解、固化して塊となったり、また半固体であったりと、取扱いが困難となる。
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの150℃溶融粘度は、10P以下であることが好ましい。さらには4P以下であることが好ましく、特には1P以下であることが好ましい。粘度が低いと組成物の加熱溶融による混合が容易となり、成型性や加工性が向上する。さらに、より多くの充填剤を加えることも可能となり、硬化物の物性を調整することができる。
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの589nmにおける屈折率は、1.60以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましい。さらには1.65以上であることが好ましく、特には1.66以上であることが好ましい。ここで屈折率とは、本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの比重を1.2と仮定して、DMF溶液の外挿法(後述する実施例に記載の方法)により求めたものである。 屈折率が高いことでレンズ等の光学材料に用いた時に薄く軽量化できる他、他の材料
と混合して広範囲の屈折率を持つ材料を得ることができる。
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンは、酸素原子が4個以下であることが好ましい。さらには2個以下であることが好ましく、特には酸素原子を持たないことが好ましい。酸素原子が多いと通常硬化物の吸水率が高くなり、耐湿熱性や寸法安定性が悪化する。また、炭素原子と水素原子以外の原子が4個以下であることが好ましい。さらには2個以下であることが好ましく、特には炭素原子と水素原子のみからなることが好ましい。炭素原子と水素原子以外の原子を含有すると通常硬化物の吸水率が高くなる他、光による着色等が起こりやすくなる。
<3.3 炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの製造方法>
本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)の製造方法は何ら限定されないが、例えば、下記式に示される方法により製造することができる。
Figure 2015212367
式中、R1、R2、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。nは1〜5の整数値を
示す。Xは、脱離基を表す。脱離基の例としては、ハロゲン原子(フッ素を除く。)、メシル基、またはトシル基などが挙げられる。
<3.2.1 工程(iii):オリゴフルオレン化合物(II)の製造方法>
下記一般式(II)で表されるメチレン架橋を有するオリゴフルオレン化合物(以下、オリゴフルオレン化合物(II)と略記する場合がある)は、下記一般式(I)で表されるフルオレン類(以下、フルオレン類(I)と略記する場合がある)及びホルムアルデヒド類から、塩基存在下、溶媒中で下記式で表される反応に従って製造することができる。
Figure 2015212367
式中、R4〜R9及びnは前記式(1)と同義である。
<3.3.1.1 ホルムアルデヒド類>
工程(iii)で用いられるホルムアルデヒド類とは、反応系中にホルムアルデヒドを供給できる物質であれば特に限定されないが、ガス状のホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド水溶液、ホルムアルデヒドが重合したパラホルムアルデヒド、トリオキサン等が挙げられる。これらの中で、パラホルムアルデヒドを用いることが、工業的に安価かつ粉末状のため操作性が容易で正確に秤量することが可能であることから、特に好ましい。
(理論量の定義)
目的とするn数のオリゴフルオレン化合物(II)を製造する場合、原料のフルオレン類(I)に対するホルムアルデヒド類の理論量(モル比)とは、n/(n+1)で表される。
(理論量を超えない方がよい理由)
フルオレン類(I)に対して、理論量超過のホルムアルデヒド類を用いた場合、目的とするn数以上のオリゴフルオレン化合物(II)が生成する傾向がある。n数が増加するほど、溶解性が低下するために、目的物に目的とするn数以上のオリゴフルオレン化合物(II)が存在する場合、精製負荷が大きくなる傾向があることが解っている。そのため、通常、ホルムアルデヒド類の使用量は目的のn数に応じた理論量のn/(n+1)倍モル以下であることが好ましい。
(理論量を大きく下回わらない方がよい理由)
また、ホルムアルデヒド類の使用量が理論量のn/(n+1)を大きく下回ると、目的とするn数以下のオリゴフルオレン化合物(II)が主生成物となるか、あるいは、原料のフルオレン類(I)が未反応で残るため、収率が大きく低下する傾向があることが解っている。
そのため、最適なホルムアルデヒド類の使用量は、具体的には、n=1の場合、通常フルオレン類(I)に対して0.1倍モル以上、好ましくは0.3倍モル以上、さらに好ましくは0.38倍モル以上、また、通常0.5倍モル以下、好ましくは0.46倍モル以下、さらに好ましくは0.42倍モル以下である。
また、n=2の場合、通常0.5倍モル以上、好ましくは0.55倍モル以上、さらに好ましくは0.6倍モル以上、また、通常0.66倍モル以下、好ましくは0.65倍モ
ル以下、さらに好ましくは0.63倍モル以下である。このように、ホルムアルデヒド類の使用量に従って、主生成物の構造と生成物の比率が大きく変化することが解っており、ホルムアルデヒド類の使用量を限られた条件で用いることで、目的とするn数のオリゴフルオレン化合物(II)を高収率で得ることができる。
<3.3.1.2 塩基>
工程(iii)で用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、n−ブチルリチウム、ターシャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属のアルコキシド塩、水素化ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの三級アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシドなどが用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらの中で好ましくは、本反応において十分な塩基性を有する、アルカリ金属のアルコキシドであり、より好ましくは、工業的に安価なナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドである。ここでアルカリ金属のアルコキシドは、粉状のものを用いてもよく、アルコール溶液等の液状のものを用いてもよい。また、アルカリ金属とアルコールを反応させて調製してもよい。
塩基の使用量は原料であるフルオレン類(I)に対して、上限は特にないが、使用量が多すぎると撹拌や反応後の精製負荷が大きくなるので、通常、フルオレン類(I)の10倍モル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以下である。一方、塩基の使用量が少なすぎると反応の進行が遅くなるので、下限としては、通常、原料のフルオレン類(I)に対して0.01倍モル以上、好ましくは0.1倍モル以上、さらに好ましくは0.2倍モル以上である。
<3.3.1.3 溶媒>
工程(iii)は溶媒を用いて行うことが望ましい。使用可能な溶媒の具体例としては、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなど、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテルなど、ハロゲン系溶媒としては、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど、スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素;その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン
、n−テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレンなど、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ターシャリーブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
中でもフルオレン類(I)から生じるアニオンの溶解性が高く、反応の進行が良好である傾向があることから、極性溶媒のアミド系溶媒、又はスルホキシド系溶媒が好ましい。その中で、n=1又は2のオリゴフルオレン化合物(II)を製造する場合、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。これは、N,N−ジメチルホルムアミドに対するn=1又は2のオリゴフルオレンの溶解性が低く、目的物は生成後、速やかに析出し、それ以上の反応の進行が抑制され、目的物の選択性が上がる傾向があるためである。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
工程(iii)で製造されるオリゴフルオレン化合物(II)は、nの値が大きくなるほど溶媒への溶解性が減少することが解っており、生成した目的物が速やかに析出することで、それ以上の反応の進行を抑制していると考えられる。そのため、溶媒の使用量は、nの値に応じて適切に調整することが好ましい。特にn=1又は2のオリゴフルオレン化合物(II)を製造する場合、目的物の選択性をあげるために、溶媒を過剰に用いないほうが良い。例えば、最も好ましい溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドを用いた場合の溶媒量の上限は、通常、原料のフルオレン類(I)の10倍体積量、好ましくは7倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の使用量が少なすぎると、攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅くなるので、下限としては、通常、原料のフルオレン類(I)の1倍体積量、好ましくは2倍体積量、さらに好ましくは3倍体積量となるような量が使用される。
<3.3.1.4 反応形式>
工程(iii)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
<3.3.1.5 反応条件>
工程(iii)は目的とするn値のオリゴフルオレン化合物(II)に応じて、適宜調整すればよい。目的とするn値以上に反応が進行するのを抑制するためには、なるべく低温で反応を行うことが好ましい。一方、温度が低すぎると十分な反応速度が得られない可能性がある。
そのため、最適な溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドと最適な塩基であるナトリウムエトキシドを用いた場合、n=1及び2の具体的な反応温度としては、通常上限が30℃、好ましくは20℃、より好ましくは10℃で実施される。一方、下限は−50℃、好ましくは−20℃、より好ましくは0℃以上で実施される。
工程(iii)における一般的な反応時間は、通常下限が30分、好ましくは60分、さらに好ましくは2時間で、上限は特に限定はされないが通常20時間、好ましくは10時間、更に好ましくは5時間である。
<3.3.1.6 目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物であるオリゴフルオレン化合物(II)は、反応液を希塩酸などの酸性水に添加し、あるいは希塩酸などの酸性水を反応液に添加し、析出させることにより単離することができる。
また、反応終了後、目的物であるオリゴフルオレン化合物(II)が可溶な溶媒と水を反応液に添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的物は、溶媒を濃縮する方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することができる。ただし、室温では溶媒
に対するオリゴフルオレン化合物(II)の溶解性が非常に低い傾向があるため、通常は酸性水と接触させて析出させる方法が好ましい。
得られたオリゴフルオレン化合物(II)は、そのまま工程(iv)の原料として使用することも可能であるが、精製を行った後に工程(iv)に用いても良い。精製法としては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製、カラムクロマトグラフィーなど制限なく採用可能である。
一方で、架橋基がメチレン基以外のジフルオレン化合物の製造法はn−ブチルリチウムを塩基として用い、フルオレン類(I)のアニオンを発生させた後に、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨードプロパン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサンなどの直鎖状のアルキルジハライド(フッ素原子を除く)、1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼンなどのアラルキルジハライド(フッ素原子を除く)、などアルキル化剤とカップリングさせる方法が広く知られており、架橋基がエチレン基の場合や、架橋基がプロピレン基などの製造法が知られている(Organometallics,2008,27,3924;J.Molec.Cat.A:Chem.,2004,214,187.)。また、アルキレン基以外にも、キシリレン基で架橋した報告例がある(J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8458.)。
しかしながら、これらのn−ブチルリチウムを用いた方法で工業的に製造することは、安全面でも、コスト面でも非常に困難となる傾向がある。また、ジフルオレン化合物の製造方法としては、フルオレンとエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコールなどのジオール類を水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの塩基存在下、高温(180℃以上)で脱水縮合させる方法が知られている(特許文献1、J.Org.Chem.,1965,30,2540.)。しかしながら、強塩基を用い、高温条件に耐えうる反応器が必要であるため、工業化するには制約が大きい。
一方で、本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)や、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂(1)は、架橋基がメチレン基であるため、上述のとおり、安価な原料を用いて、工業化の制約の少ない温和な条件で製造が可能である。
<3.3.2 工程(iv):オリゴフルオレン化合物(II)のアルキル化による炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)の製造方法>
炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)は、塩基存在下、オリゴフルオレン化合物(II)と下記一般式(IIIa)で表されるアルキル化剤(以下、アルキル化剤(IIIa)と略記する場合がある)及び下記一般式(IIIb)で表されるアルキル化剤(以下、アルキル化剤(IIIb)と略記する場合がある)のアルキル化反応により製造することができる。
Figure 2015212367
式中、R1、R2、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。nは1〜5の整数値を
示す。Xは、脱離基を表す。脱離基の例としては、ハロゲン原子(フッ素を除く。)、メタンスルホニルオキシ基、またはp−トルエンスルホニルオキシ基などが挙げられる。
フルオレン類のアルキル化反応は広く知られており、例えば、9,9−ビス(ブロモへキシル)フルオレンや9,9−ビス(ヨードへキシル)フルオレンなどの9,9−ビス(ハロアルキル)フルオレンが報告されている(2層系での反応:J.Org.Chem.,2010,75,2714.、均一系での反応:Org.Lett.,2011,13,6429.)。これらの知見から、オリゴフルオレン(II)を原料とすることで、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)の合成は可能である。
<3.3.2.1 アルキル化剤>
工程(iv)で用いられるアルキル化剤(IIIa)及び(IIIb)としては、ビニルヨージド、ビニルブロミド、ビニルクロリドなどのビニルハライド(フッ素原子を除く)、アリルヨージド、アリルブロミド、アリルクロリドなどのアリルハライド(フッ素原子を除く)、2−メチルアリルヨージド、2−メチルアリルブロミド、2−メチルアリルクロリド、2−エチルアリルヨージド、2−エチルアリルブロミド、2−エチルアリルクロミドなどの2−アルキルアリルハライド(フッ素原子を除く)、4−ヨード−1−ブテン、4−ブロモ−1−ブテン、4−クロロ−1−ブテン、5−ヨード−1−ペンテン、5−ブロモ−1−ペンテン、5−クロロ−1−ペンテン、6−ヨード−1−ヘキセン、6−ブロモ−1−ヘキセン、6−クロロ−1−ヘキセンなどの直鎖状のハロアルケン(フッ素原子を除く)、4−ブロモ−2−メチル−1−ブテン、5−ブロモ−2−エチル−1−ペンテン、6−ブロモ−2−エチル−1−ヘキセン、6−クロロ−2−メチル−1−ヘキセンなどの分岐鎖を含むアルキルジハライド(フッ素原子を除く)、4−ビニルベンジルクロリド、4−ビニルベンジルブロミド、3−ビニルベンジルクロリド、3−ビニルベンジルブロミド、2−ビニルベンジルクロリド、2−ビニルベンジルブロミドなどのビニルベンジルハライド、ビニルアルコールメシラート、アリルアルコールメシラート、ビニルアルコールトシラート、アリルアルコールトシラートなどのグリコールのスルホネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらの中で好ましくは、アリルブロミド、アリルクロリドなどのアリルハライド、4−ビニルベンジルクロリド、4−ビニルベンジルブロミドなどのビニルベンジルハライドであり、より好ましくは、工業的に入手可能で安価なアリルブロミド、アリルクロリドである。一方、芳香環を有することで、高いガラス転移温度が期待できるという観点から、4−ビニルベンジルクロリド、4−ビニルベンジルブロミドが好ましい。
アルキル化剤(IIIa)及び(IIIb)の使用量は原料であるオリゴフルオレン化合物(II)に対して、上限は特にないが、使用量が多すぎると反応後の精製負荷が大きくなる傾向があるので、通常、オリゴフルオレン化合物(II)の10倍モル以下、好ましくは6倍モル以下、さらに好ましくは4倍モル以下である。一方、1分子のオリゴフルオレン化合物(II)に対して、反応点が2か所存在するので、下限としては、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(II)に対して2.0倍モル以上、好ましくは2.2倍モル以上、さらに好ましくは2.4倍モル以上である。
<3.3.2.2 塩基>
工程(iv)で用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、n
−ブチルリチウム、ターシャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属のアルコキシド塩、水素化ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの三級アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシドなどが用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
オリゴフルオレン化合物(II)は2層系での反応で分解を受けやすいため、均一系で反応を行うことが好ましい。そのため、上記塩基の中で好ましくは、アルカリ金属のアルコキシドであり、より好ましくは、工業的に入手可能なナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、及びtert−ブトキシカリウムである。ここでアルカリ金属のアルコキシドは、粉状のものを用いてもよく、アルコール溶液等の液状のものを用いてもよい。また、アルカリ金属とアルコールを反応させて調製してもよい。
塩基の使用量は原料であるオリゴフルオレン化合物(II)に対して、上限は特にないが、使用量が多すぎると撹拌や反応後の精製負荷が大きくなるので、通常、オリゴフルオレン化合物(II)の10倍モル以下、好ましくは6倍モル以下、さらに好ましくは4倍モル以下である。一方、1分子のオリゴフルオレン化合物(II)に対して、反応点が2か所存在するので、下限としては、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(II)に対して2.0倍モル以上、好ましくは2.2倍モル以上、さらに好ましくは2.4倍モル以上である。
<3.3.2.3 溶媒>
工程(iv)は溶媒を用いて行うことが望ましい。使用可能な溶媒の具体例としては、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなど、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテルなど、ハロゲン系溶媒としては、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど、スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素;その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレンなど、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ターシャリーブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
中でもオリゴフルオレン化合物(II)から生じるアニオンの溶解性が高く、反応の進行が良好である傾向があることから、極性溶媒のアミド系溶媒、又はスルホキシド系溶媒が好ましい。その中でも、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
溶媒量が多すぎると、生産性が低下し、精製時の負荷も大きくなることから、溶媒の使用量の上限は、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(II)の10倍体積量、好ましくは7倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の使用量が少なすぎると、攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅くなるので、下限としては、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(II)の1倍体積量、好ましくは2倍体積量、さらに好ましくは3倍体積量となるような量が使用される。
<3.3.2.4 反応形式>
工程(iv)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
<3.3.2.5 反応条件>
工程(iv)は目的とする炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)に応じて、適宜調整すればよい。温度が低すぎると十分な反応速度が得られない可能性がある。
そのため、反応温度としては、通常上限が80℃、好ましくは50℃、より好ましくは40℃で実施される。一方、通常下限は−50℃、好ましくは−20℃、より好ましくは0℃以上で実施される。
工程(iv)における一般的な反応時間は、通常下限が30分、好ましくは60分、さらに好ましくは2時間で、上限は特に限定はされないが通常30時間、好ましくは20時間、更に好ましくは10時間である。
<3.3.2.6 目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物である炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)は、反応液を希塩酸などの酸性水に添加し、あるいは希塩酸などの酸性水を反応液に添加し、析出させることにより単離することができる。
また、反応終了後、目的物である炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)が可溶な溶媒と水を反応液に添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的物は、溶媒を濃縮する方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することができる。
得られた炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)は、そのままオリゴフルオレンエポキシ樹脂の原料として酸化反応に使用することも可能であるが、精製を行った後に酸化反応に用いても良い。また、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン(2)は、そのままでも硬化性樹脂として使用することも可能である。精製法としては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製、カラムクロマトグラフィーなど制限なく採用可能である。
<4 オリゴフルオレンエポキシ樹脂誘導体>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂を用いて誘導体を得ることができる。誘導体として具体的には、任意の量のビスフェノール類と反応させたフェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂) 、任意の量の(メタ)アクリル酸と反応させたエポキシ(メタ)アクリレ
ート、エポキシ樹脂のオリゴマー等が挙げられる。
<4.1 フェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂) >
フェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)は、オリゴフルオレンエポキシ樹脂をビスフェノール類と反応させることにより製造できる。該フェノキシ樹脂は、単独、あるいは任意のエポキシ樹脂と混合して硬化することで、オリゴフルオレンエポキシ樹脂の持つ高屈折率、高透明性等の特性を維持しつつ、エポキシ樹脂硬化物に靱性を付与することができる。
任意の量のビスフェノール類と反応させたフェノキシ樹脂としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2015212367
式中、R1、R2、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。R14 は2価の芳香族基である。nは1〜5の整数値を表す。mは0.1〜100の数値を示す。)で示される化合物が挙げられる。
ここで、用いられるビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノーC、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
前記式(4)において、R1及びR2としては、それぞれ<1.3 置換基α1及びα2>にて例示したものを好ましく用いることができる。
同様に、R10における置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、<1.2 エポキシ基>にて置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基として例示したものを、また、R4〜Rは<1.4 具体的な構造>にて例示したものを、それぞ
れ好ましく用いることができる。
14は、<4.1 フェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂) >で例示したビスフェ
ノール類に由来する芳香族基を好ましく用いることができる。
<4.1.1 フェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)の物性>
本発明のフェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)の物性値は特に限定されないが、以下に例示する物性値を満足するものであることが好ましい。
本発明のフェノキシ樹脂中の塩素含有割合は、Cl換算質量で1000質量ppm以下であることが好ましい。さらには100質量ppm以下であることが好ましい。塩素成分の含有割合が多い場合、得られた硬化物中にも塩素成分が残存し、硬化物の絶縁性を低下させたり、接触する金属配線等を腐食させたりするおそれがある。
本発明のフェノキシ樹脂のガラス転移温度は、50℃以上であることが好ましい。さらには120℃以上であることが好ましく、特に130℃以上であることが好ましい。フェノキシ樹脂が高いガラス転移温度を有していると、樹脂硬化物とした際の耐熱性を高めることができる。
本発明のフェノキシ樹脂の重量平均分子量は、1000以上であることが好ましい。さらには2000以上であることが好ましく、特には4000以上であることが好ましい。また上限としては、100000以下であることが好ましい。さらには50000以下であることが好ましく、特には30000以下であることが好ましい。ここで重量平均分子量は、標準ポリスチレンを用いた換算値(後述する実施例に記載の方法)により求めたものである。 分子量が十分大きいことでより柔軟なエポキシ樹脂組成物及び硬化物とする
ことができ、一定以下であることで操作性の良い粘度と溶解度とすることができる。
<4.2 エポキシ(メタ)アクリレート>
エポキシ(メタ)アクリレートは、オリゴフルオレンエポキシ樹脂をアクリル酸、またはメタクリル酸と反応させることにより製造できる。また、反応により生じた水酸基にアシル化剤を反応させたものであってもよく、酸二無水物等の2官能性の化合物を反応させて、オリゴマー、または重合物としたものであってもよい。 該エポキシ(メタ)アクリ
レートは、単独、あるいは任意のエポキシ樹脂、任意のアクリレートと混合して硬化することで、オリゴフルオレンエポキシ樹脂の持つ高屈折率、高透明性等の特性を維持しつつ、高強度の硬化物を得ることができる。
オリゴフルオレンエポキシ樹脂を任意の量の(メタ)アクリル酸と反応させる工程を含むことにより製造されたエポキシ(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(5)で示される化合物や、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015212367
式中、R1、R2、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。R12は水素原子又はメ
チル基、R13は水素原子又はアシル基を表す。nは1〜5の整数値を示す。
Figure 2015212367
式中、R1、R2、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。R12は、水素原子又は
メチル基、R13は水素原子又はアシル基 を示す。
上記一般式(5)または上記一般式(6)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートにおいて、R13がアシル基であるエポキシ(メタ)アクリレートを製造するためには、アシル化剤、または酸二無水物が用いられる。
前記アシル化剤の具体例としては、無水酢酸、アセチルクロリド、無水プロピオン酸、ベンゾイルクロリド等の1官能アシル化剤;クロロギ酸エチル、クロロギ酸アリル等のクロロギ酸類;アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸無水物等の(メタ)アクリル酸類;ドデセニル無水コハク酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等の環状酸無水物、等が挙げられる。
前記酸二無水物の具体例としては、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、4、4’−ビフタル酸無水物、水素添加4、4’−ビフタル酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無
水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、等が挙げられる。
これらアシル化剤及び酸二無水物の中で、本発明のエポキシ(メタ)アクリレートにカルボキシル基を導入できる環状酸無水物、及び酸二無水物が好ましい。カルボキシル基を導入したエポキシ(メタ)アクリレートは、未硬化の状態では塩基水によって溶解、除去可能であるため、ネガ型のレジスト材料として用いることができる。特に酸二無水物が好ましく、レジスト材料として適切な粘度と官能基数を有するオリゴマー及び重合物のエポキシ(メタ)アクリレートを得ることができる。
前記式(5)及び(6)において、R1及びR2としては、それぞれ<1.3 置換基α1及びα2>にて例示したものを好ましく用いることができる。
同様に、R10における置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、<1.2 エポキシ基>にて置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基として例示したものを、また、R4〜Rは<1.4 具体的な構造>にて例示したものを、それぞ
れ好ましく用いることができる。
12及びR13は水素原子であることが好ましい。
<4.2.1 エポキシ(メタ)アクリレートの物性>
本発明のエポキシ(メタ)アクリレートの物性値は特に限定されないが、以下に例示する物性値を満足するものであることが好ましい。
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート中の塩素含有割合は、Cl換算質量で1000質量ppm以下であることが好ましい。さらには100質量ppm以下であることが好ましい。塩素成分の含有割合が多い場合、得られた硬化物中にも塩素成分が残存し、硬化物の絶縁性を低下させたり、接触する金属配線等を腐食させたりするおそれがある。
本発明のエポキシ(メタ)アクリレートの融点は、150℃以下であることが好ましい。さらには100℃以下であることが好ましく、特に50℃以下であることが好ましい。組成物を硬化させる際には、通常加熱溶融して混合する必要があるが、融点が高いと溶融温度が高くなり操作性が悪くなるうえ、混合する前に硬化が始まり、品質の安定した均一な硬化物を得ることが難しい。
本発明のエポキシ(メタ)アクリレートの150℃溶融粘度は、10P以下であることが好ましい。さらには4P以下であることが好ましく、特には1P以下であることが好ましい。粘度が低いと組成物の加熱溶融による混合が容易となり、成型性や加工性が向上する。さらに、より多くの充填剤を加えることも可能となり、硬化物の物性を調整することができる。
本発明のエポキシ(メタ)アクリレートの589nmにおける屈折率は、1.58以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。さらには1.62以上であることが好ましく、特には1.63以上であることが好ましい。ここで屈折率とは、本発明のエポキシ(メタ)アクリレートの比重を1.2と仮定して、DMF溶液の外挿法(後述する実施例に記載の方法)により求めたものである。 屈折率が高いことでレンズ
等の光学材料に用いた時に薄く軽量化できる他、他の材料と混合して広範囲の屈折率を持つ材料を得ることができる。
<5.オリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物>
エポキシ樹脂組成物とは、硬化物とした際に該硬化物中に含まれる有機物および無機物
の原料となる、エポキシ樹脂を含む混合物の総体を意味する。エポキシ樹脂とは官能基としてエポキシ基を含む化合物の単体もしくは混合物を意味する。本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物は、上記した本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂を含有するものであり、オリゴフルオレンエポキシ樹脂の他、(A)他のエポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)充填剤、(D)その他各種添加剤を含んでいても良い。
また、本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン、及び本発明のエポキシ(メタ)アクリレート化合物も、本発明のエポキシ樹脂組成物と同様に、(A)他のエポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)充填剤、(D)その他各種添加剤を含む組成物とすることができる。加えて、(E)他の炭素−炭素二重結合を有する化合物と併用してもよい。
ここで、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物、本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン組成物、及び本発明のエポキシ(メタ)アクリレート化合物組成物を総称して、エポキシ樹脂等組成物と呼ぶ 。
<5.1 (A)他のエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂としては、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂を単独で使用してもよく、または他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、全エポキシ樹脂成分(本発明のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂の合計量)中に占める本発明のエポキシ樹脂の割合は、任意に設定することができる。
本発明のエポキシ化合物と併用できる他のエポキシ樹脂、または、本発明のエポキシ樹脂等組成物に使用できる他のエポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロ
ロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物およびこ
れらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類またはアルコール類から誘導される、それらのグリシジルエーテル化物;脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シルセスキオキサン系のエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基、および/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
特に、本発明のエポキシ樹脂等組成物を光学用途に用いる場合、脂環式エポキシ樹脂やシルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂との併用が好ましい。特に脂環式エポキシ樹脂の場合、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましく、シクロヘキセン構造を有する化合物の酸化反応により得られるエポキシ樹脂が好ましい。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ERL−4221、UVR−6105
、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル社製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業社製)およびジシクロペンタジエンジエポキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とを用いる場合、全エポキシ樹脂中の本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の配合量は、通常10〜100質量%、好ましくは20〜95質量%、特に好ましくは40〜90質量%である。本発明のエポキシ樹脂の割合が前記下限値以上であることにより、本発明のエポキシ樹脂を配合することによる屈折率や加工性、耐熱性等の向上効果を十分に得ることができ、前記上限値以下であることにより、他のエポキシ樹脂が有する、加工性制御や硬化物の物性制御など種々の効果を十分に得ることができる。
<5.1.1 (A’)エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物>
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物は、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂において、2つのエポキシ環のうちの1つがエポキシ環の代わりに炭素−炭素二重結合で置換した化合物(以下、(A’)エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物と略記する場合がある)を含有していてもよい。(A’)エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物は、オリゴフルオレンエポキシ樹脂を炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの酸化によって製造する際に、酸化剤の量を制御することで製造できる。本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物が、(A’)エポキシ基を一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物を含有することで、融点や粘度を低下させ、加工性を向上させるため好ましい。
(A’)エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物は、具体的には、下記一般式(3)で表される。炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を有していてもよい。
Figure 2015212367
式中、R1、R2、及びR4〜R10は前記一般式(1)と同義である。nは1〜5の整数
値を示す。
本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物中は、(A’)エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物を含むことで融点が低下し、低粘度化できるため、加工性向上の観点においてエポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物を含有することが好ましく、その含有量としては、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、含有量が多いと硬化不良やガラス転移点の低下等を引き起こすため、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
(A’)エポキシ基が一部炭素−炭素二重結合に置換した化合物の具体例としては、下記[K]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 2015212367
<5.2 (B)硬化剤>
本発明におけるエポキシ樹脂等組成物は(B)硬化剤を含んでいても良い。本発明のエポキシ樹脂等組成物に用いることのできる硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基の架橋反応に寄与する物質を示す。本発明に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬
化剤、1級および2級アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などの付加重合型硬化剤、3級アミン系硬化剤、イミダゾール類系硬化剤、有機ホスフィン系硬化剤、ホスホニウム塩系硬化剤、カチオン重合開始剤などの触媒型硬化剤等が挙げられる。
また、本発明のエポキシ樹脂等組成物に用いることのできる硬化剤として、炭素−炭素二重結合、及び(メタ)アクリレートの炭素−炭素二重結合の架橋反応に寄与する物質も同様に用いることができる。本発明に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的に炭素−炭素二重結合、及び(メタ)アクリレート硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、チオール系硬化剤、シラン系硬化剤などの付加重合型硬化剤、金属触媒、ラジカル重合開始剤などの触媒型硬化剤等が挙げられる。
前記フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物またはポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が挙げられる。
前記1級および2級アミン系硬化剤の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が挙げられる。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が挙げられる。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が挙げられる。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェ
ニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(3−アミノフェニル)エチルアミン、α−(4−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
前記酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、4、4’−ビフタル酸無水物、水素添加4、4’−ビフタル酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、等が挙げられる。
硬化剤として使用可能な前記第3級アミン系硬化剤としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。
硬化剤として使用可能な前記イミダゾール系硬化剤としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−エチル−4−メチル−1−イミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリル)−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が挙げられる。
硬化剤として使用可能な前記有機ホスフィン系硬化剤としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が挙げられ、ホスホニウム塩系硬化剤としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート、メチルトリブチルホスホニウム・ジメチルホスフェート(PX−4MP )等が挙げられる。
カチオン重合開始剤としてはヨードニウム塩もしくはスルホニウム塩、またはジアゾニウム塩等のオニウム塩を有するものが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、金属フルオロホウ素錯塩および三フッ化ホウ素錯化合物(米国特許第3379653号明細書)、ビス(ペルフルアルキルスルホニル)メタン金属塩(米国特許第3586616号明細書)、アリールジアゾニウム化合物(米国特許第3708296号明細書)、VIa族元素の芳香族オニウム塩(米国特許第4058400号明細書)、Va族元素の芳香族オニウム塩(米国特許第4069055号明細書)、IIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート(米国特許第4068091号明細書)、チオピリリウム塩(米国特許第4139655号明細書)、MF6−陰イオンの形のVIb族元素(米国特許第4161478号明細書;Mはリン、アンチモンおよび砒素から選択される。)、アリールスルホニウム錯塩(米国特許第4231951号明細書)、芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩(米国特許第4256828号明細書)、およびビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(Journal of Polymer Science, Polymer Chemistry、第2巻、
1789項(1984年))等が挙げられる。その他、鉄化合物の混合配位子金属塩およびシラノール−アルミニウム錯体も使用することができる。
また、具体例としては、「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP170」(いずれも旭電化工業社製)、「UVE−1014」(ゼネラルエレクトロニクス社製)、「CD−1012」(サートマー社製)、「RP−2074」(ローディア社製)等が挙げられる。
さらに、これらの光カチオン重合開始剤と公知の重合開始補助剤および光増感剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
重合開始補助剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤等の重合開始補助剤の使用量は、光ラジカル可能な成分100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
光増感剤としては、例えば、アントラセン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アクリジン オレンジ、アクリジン イエロー、ホスフィンR、ベンゾフラビン、セトフラビンT、ペリレン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
光増感剤の使用量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、通常0.01以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
前記チオール系硬化剤の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート
)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)等のポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物;1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオールなどのアルキルポリチオール化合物;末端チオール基含有ポリエーテル;末端チオール基含有ポリチオエーテル;エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物;ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物;等が挙げられる。
前記シラン系硬化剤の具体例としては、例えば、ヒドロシリル基を有するポリメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリオクチルメチルシロキサン等が挙げられる。なお、該ポリシロキサンは、鎖状、環状、分岐状、三次元網目状、いずれのものも用いることができる。
前記金属触媒の具体例としては、ヒドロシリル化反応を触媒する白金系触媒、炭素―炭素二重結合と反応するメタセシス触媒等が挙げられる。
白金系触媒としては、ヒドロシリル化反応を促進する白金、パラジウム及びロジウムの一種以上の金属を含有する公知の触媒であればよい。これらのヒドロシリル化反応用の触媒として用いられる白金系触媒としては、例えば、白金−カルボニルビニルメチル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体等の白金系触媒をはじめ、白金の代わりに同じく白金系金属であるパラジウム、ロジウム等を含有する化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。特に硬化性の点から、白金を含有するものが好ましく、具体的には、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体が好ましい。
メタセシス触媒としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が、遷移金属原子として使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、好ましい5族の原子はタンタルであり、好ましい6族の原子はモリブデン、タングステンであり、好ましい8族の原子はルテニウム、オスミウムである。特に好ましいメタセシス重合触媒は、ルテニウムカルベン錯体である。
金属触媒の使用量は、反応性の点から、エポキシ樹脂等組成物中のエポキシ樹脂等100質量部に対して5質量部以下が好ましく、0.0001〜1.0質量部がより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の具体例としては、光ラジカル重合開始剤、熱重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3
−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;ラウロイルパーオキサイドなどのジアルカノイルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなどのジアロイルパーオキサイド;過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなどの過酸エステル類;ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミドのアゾアミド化合物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾアミジン化合物;2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)などのアゾアルカン化合物;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシムなどのオキシム骨格を有するアゾ化合物等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤、及び熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよく、光ラジカル重合開始剤と熱重合開始剤を2種以上組み合わせて使用してもよい。
以上に挙げた硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。なお、硬化剤が付加重合型硬化剤の場合は、エポキシ樹脂等組成物中のエポキシ基等の反応性官能基と、硬化剤中のエポキシ基等の反応性官能基と反応し架橋構造を形成する反応部位との当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましく、0.9〜1.2の範囲となるように用いることがより好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基等の反応性官能基や硬化剤の反応部位が残留し、所望の物性が得られないことがある。一方、硬化剤が触媒型硬化剤の場合は、前記硬化剤の具体例で特別の記載がない限り、エポキシ樹脂等組成物中のエポキシ樹脂等100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲で用いることが好ましく、0.2〜10質量部の範囲で用いることがより好ましい。これら硬化剤が少なすぎると十分な硬化が達成できなくなり、多すぎると硬化剤の樹脂硬化物への影響が増大し樹脂硬化物の特性が悪化する傾向にある。
なお、これらの硬化剤の中のいずれを用いるかは、硬化条件および樹脂硬化物の形状、樹脂硬化物の耐熱性、接着性、吸水性、曲げ強度などの各種性状のバランスによって種々選択される。
<5.3 (C)充填剤>
本発明のエポキシ樹脂等組成物は(C)充填剤を含有していてもよい。充填剤を含むことにより、樹脂硬化物の熱伝導率の向上、線膨張率の低下など、種々の特性の向上を図ることができる。
充填剤としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、シリカ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルクなどの絶縁性充填剤や、アルミニウム、銀、銅、炭素、炭化ケイ素などの電気伝導性充填剤が挙げられる。これらの中でも、樹脂硬化物に絶縁性を付与するために絶縁性充填剤を用いることが好ましい。さらに、安価なエポキシ樹脂等組成物を得る観点から、充填剤としてアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、又はシリカを用いることが好ましく、熱伝導率を向上させる観点から、特にア
ルミナ、窒化アルミニウム、又は窒化ホウ素が好ましく、充填量を増やして線膨張率を低下させる目的には、シリカが好ましい。これらの充填剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
なお、充填剤の形状については特に限定されないが、球状など表面積が小さい充填剤を用いた場合、加工性を向上させることができる傾向があり、繊維状など表面積が大きい充填剤を用いた場合、充填剤が有する熱伝導率などの種々の性状を硬化物中でより強く発揮させやすくする傾向があり、扁平状など表面積がこれらの中間のものを用いた場合、両者のバランスを取りやすくなる傾向がある。
充填剤は、その粒径が大き過ぎると硬化物中にボイドが残留しやすくなり、小さ過ぎると凝集しやすくなり分散性が悪くなることから、平均粒径0.01〜1000μm程度のものを用いることが好ましい。充填量を増やして線膨張率を低下させる目的には、0.1〜200μm程度のものを用いることがさらに好ましく、0.5〜100μmのものを用いることが特に好ましい。透明性を維持しつつ線膨張率を低下させる目的には、0.01〜1μm程度のものを用いることがさらに好ましく、0.05〜0.2μmのものを用いることが特に好ましい。平均粒径は体積分布をレーザー回折・散乱法や沈降法など既存の測定方法により測定した結果から得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂等組成物が充填剤を含む場合、充填剤の配合割合は、エポキシ樹脂等組成物に対して好ましくは10〜95質量%、より好ましくは20〜90質量%である。充填剤の配合量が前記下限値以上であることにより、充填剤の十分な配合効果が発揮され、また、前記上限値以下であることにより、エポキシ樹脂等組成物の加工性を十分に得ることができる傾向がある。
<5.4(D)その他添加剤>
本発明のエポキシ樹脂等組成物は、その機能性の更なる向上を目的として、各種の添加剤を含んでいてもよい。このようなその他の添加剤としては、難燃性を付与するための難燃剤(リン含有化合物を難燃剤など)、酸化による黄変、劣化を防止するための酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤)、基材との接着性やマトリックス樹脂と無機充填剤との接着性を向上させるための添加成分として、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、蛍光体、保存安定性向上のための紫外線防止剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
さらに本発明の樹脂等組成物には、必要に応じてその他の樹脂を配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂等組成物に含有させることができるリン含有化合物としては、反応型のものでも添加型のものでもよい。具体的には、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシリレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等の
リン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられる。これらの中で、リン酸エステル類、ホスファン類、リン含有エポキシ化合物が好ましく、さらに具体的には、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキ
シリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
リン含有化合物の含有量は、全エポキシ樹脂に対して、質量比で、好ましくは0.1以上0.6以下である。含有量(質量比)が0.1以下では難燃性が不十分であり、0.6以上では硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
さらに本発明のエポキシ樹脂等組成物には、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の使用量は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、通常0.008質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジンー2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類等が例示される。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。また、本発明においては、特にリン系の酸化防止剤が好ましい。
さらに本発明のエポキシ樹脂等組成物には、必要に応じて光安定剤をすることができる

光安定剤としては、ヒンダートアミン系の光安定剤(以下これを、「HALS」ということがある)が好適である。HALSとしては、例えば、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(8−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
一方、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
なお、その他の添加剤のうち、カップリング剤の添加量は、エポキシ樹脂等組成物中の全固形分に対して0.1〜2.0質量%程度とするのが好ましい。カップリング剤の配合量が少ないと、カップリング剤を配合したことによるマトリックス樹脂と無機充填剤との密着性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると得られる硬化物からカップリング剤がブリードアウトする可能性がある。以上に挙げたシランカップリング剤、チタネートカップリング剤に代表されるカップリング剤は、いずれも1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、比率で混合して用いてもよい。また、その他の添加剤の配合量には特に制限はなく、必要な機能性が得られる程度に、通常の樹脂組成物の配合量で用いられる。
本発明のエポキシ樹脂等組成物を光半導体封止材に使用する場合、必要に応じて、蛍光体を添加することができる。蛍光体は、例えば、青色LED素子から発せられた青色光の一部を吸収し、波長変換された黄色光を発することにより、白色光を形成する作用を有するものである。蛍光体を、エポキシ樹脂等組成物に予め分散させておいてから、光半導体を封止する。蛍光体としては特に制限がなく、従来公知の蛍光体を使用することができる。
その他の樹脂としては、例えば、ブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
その他の樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、エポキシ樹脂等組成物100質量部に対して、通常0.05質量部以上であり、また、通常50質量部以下、好ましくは20質量部以下である。
<5.5 溶媒>
本発明のエポキシ樹脂等組成物は、加工時の粘度を適度に調整するために溶媒を配合してもよい。本発明のエポキシ樹脂等組成物が含み得る溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。
以上に挙げた溶媒は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。また、本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂等組成物において、溶媒は、前述の如く、エポキシ樹脂等組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
なお、本発明におけるエポキシ樹脂等組成物には、硬化時に溶媒が残留することによるボイド形成を防ぐ観点から、溶媒を用いないことが好ましい。
<5.6 (E)他の炭素−炭素二重結合を有する化合物>
本発明のエポキシ樹脂等組成物は、他の炭素−炭素二重結合を有する化合物と併用して使用することができる。併用する場合、全成分(本発明のエポキシ樹脂等組成物と他の炭素−炭素二重結合を有する化合物の合計量)中に占める本発明のエポキシ樹脂等組成物の割合は、任意に設定することができる。
本発明のエポキシ樹脂等組成物と併用できる他の炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル系化合物、非(メタ)アクリル化合物に大別できる。(メタ)アクリル系化合物としては、特に限定されないが、例えば、単官能性化合物、多官能性化合物に大別できる。
単官能性の(メタ)アクリル系化合物として具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキル;ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸多環式シクロアルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチルなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどのハロアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)
アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミド;、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。単官能性の(メタ)アクリル系化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの中で、好ましい単官能性(メタ)アクリル系化合物として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが工業的に安価に入手できるため、より好ましい。
多官能性の(メタ)アクリル系化合物としては、二官能性(メタ)アクリル系化合物と、三官能性以上の(メタ)アクリル系化合物に分けられる。
二官能性の(メタ)アクリル系化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどのトリオールのジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどのテトラオールのジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの橋架け環式(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
三官能性以上の(メタ)アクリル系化合物としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのポリオールトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート}などの多官能性(メタ)アクリレートなどが含まれる。
多官能性の(メタ)アクリル系化合物は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
非(メタ)アクリル系化合物として具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン、イソプレンなど鎖状オレフィン;ノルボルネン、ピネン、シクロペンタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどのスチレン系化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステル系化合物;ビニルピロリドン、トリアリルイソシアヌレートなどの含窒素系化合物;塩化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系化合物;メチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、N−フェニルマレイミド、1,3−フェニレンビスマレイミド、1,4−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドなどの不飽和カルボン酸系化合物;などが挙げられる。これらの非(メタ)アクリル系化合物は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
<6.硬化物>
本発明の硬化物は、本発明のエポキシ樹脂等組成物を硬化して得られるものである。
本発明のエポキシ樹脂等組成物を硬化して得られる硬化物は、高い透明性と屈折率、耐
熱性等の良好な硬化物性を示すものであり、以下に記載する各種用途に有用である。
[用途]
本発明のエポキシ樹脂等組成物を硬化して得られる硬化物、特に本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、光学材料、電子材料等に好適に使用することができる。
[硬化物の物性]
本発明の硬化物中の塩素含有割合は、通常、Cl換算質量で1000質量ppm以下、好ましくは500質量ppm以下、さらに好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下、よりさらに好ましくは50質量ppm以下、特に好ましくは20ppm以下であることが好ましい。塩素成分の含有割合が多い場合、光学材料用途では、色調が悪化するなどの問題がある。一方で、電子材料用途では、塩素成分が配線中の金属成分を腐食するなどの問題がある。
本発明の硬化物のガラス転移温度は任意の温度でよく、目的に応じて適切な温度に制御することが可能であるが、一般に100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、180℃以上であることが特に好ましい。この範囲を下回ると、使用環境下において、光学物性が設計値から変化してしまうおそれがあり、実用的に必要な耐熱性を満たさない可能性がある。
本発明の硬化物の589nmにおける屈折率は任意の値でよく、目的に応じて適切に制御することが可能であるが、一般に1.55以上であることが好ましい。さらには1.57以上であることが好ましく、特には1.58以上であることが好ましい。屈折率が高いことでレンズ等の光学材料に用いた時に薄く軽量化できる他、共に用いる材料との屈折率差を大きくすることで、反射防止等の性能を強化することができる。
本発明の硬化物は、85℃、85%湿度における24時間後の吸水率が2質量%以下であることが好ましい。さらには1.5質量%以下であることが好ましく、特には1質量%以下であることが好ましい。吸水率が高いと耐湿熱性や寸法安定性が悪化する。
本発明の硬化物の光弾性係数は45×10-12Pa-1以下であることが好ましい。さら
に好ましくは40×10-12Pa-1以下であり、特に好ましくは35×10-12Pa-1以下であり、また、通常5×10-12Pa-1以上である。光弾性係数が高くなると、大型の成
形品に使用する場合や、成形品を折り曲げたりする場合に、応力が発生する部分において、材料の複屈折が変化し、光学物性の均一性が損なわれる可能性がある。
[硬化物の作成方法]
本発明のエポキシ樹脂等組成物を硬化剤により硬化する方法としては、硬化剤に応じて加熱による硬化、紫外線照射による硬化が挙げられる。
例えば、本発明のエポキシ樹脂と硬化剤並びに必要により硬化促進剤、リン含有化合物、その他の樹脂、無機充填材および配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、その樹脂組成物をポッティング、溶融後(液状の場合は溶融無しに)注型、あるいはトランスファー成型機等を用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
また、光カチオン重合開始剤を含む場合には、紫外線照射することにより硬化できる。その紫外線照射量については、樹脂組成物により変化するため、それぞれの硬化条件によって、決定される。樹脂組成物が硬化する照射量であればよく、硬化物の接着強度が良好である硬化条件を満たしていればよい。この硬化の際、光が細部まで透過することが必要
であることから、本発明のエポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂組成物は透明性の高いものが望まれる。また、これらエポキシ樹脂やエポキシ樹脂組成物は光照射のみでは完全に硬化することが難しく、耐熱性が求められる用途においては光照射後に加熱により完全に硬化を終了させることが望ましい。
光照射後の加熱は通常の樹脂組成物の硬化温度域でよい。例えば常温〜150℃で30分〜7日間の範囲が好適である。樹脂組成物の配合により変化するが、特に高い温度域であればあるほど光照射後の硬化促進に効果があり、短時間の熱処理で効果がある。このような熱アフターキュアすることで、エージング処理になるという効果もでる。
また、必要に応じて、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させてワニスとしたエポキシ樹脂組成物を、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙等の基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物中で通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上であって、通常70質量%以下を占める量を用いる。また液状組成物であれば、そのまま例えば、RTM(Resin Transfer Molding)成形により、カーボン繊維を含有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
<7.光学材料>
本発明のエポキシ樹脂等組成物を硬化して得られる硬化物は、各種光学材料用途に使用できる。光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。
例えば、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等の液晶用フィルム等の液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またLED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、ホログラムメモリ、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材、接着剤等である。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤等である。光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルム等である。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤等である。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤等である。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材、接着剤等である。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料
、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤等である。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。
<8.電子材料>
本発明のエポキシ樹脂等組成物を硬化して得られる硬化物は、各種電子材料用途に使用できる。電子材料とは、半導体封止材や放熱材料、積層板等、電子機器周辺に用いる材料一般を示す。その具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止材としては、例えば、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI等用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB(Chip On Board)、COF(Chip On Film)、TAB(Tape Automated Bonding)等用のポッティング封止、フリップチップ等用のアンダーフィル、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)等用のICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)等が挙げられる。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料、熱伝導性材料、放熱性材料、多層基板等における層間絶縁層等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂等組成物は、光半導体装置にも適用することが可能である。かかる光半導体装置は、本発明のエポキシ樹脂等組成物で光半導体素子(光半導体チップ)を封止することによって製造することができる。その封止法としてはキャスティングやポッティングあるいは印刷等の方法で光半導体素子を封止する封止樹脂を成形(注型および硬化)する方法が採用できる。成形条件は従来から行われている硬化性樹脂組成物による半導体素子の封止成形における成形条件をそのまま採用することができ、光半導体封止用樹脂組成物の組成等により適宜設定すればよい。
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤等である。
光学材料及び電子材料以外の用途としては、エポキシ樹脂組成物が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)の他、基板用のシアネート樹脂組成物、レジスト用硬化剤としてアクリル酸エステル系樹脂等、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、例えば、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。
また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コート、炭素繊維強化複合材料である。建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂、及び本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの特性評価は次の方法により行った。なお、特性評価手法は以下の方法に限定されるものではなく、当業者が適宜選択することができる。
また、以下の実施例で用いた化合物の略号等は以下の通りである。
DMF;N,N−ジメチルホルムアミド
PET;ポリエチレンテレフタレート
[オリゴフルオレンエポキシ樹脂、及び炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの物性測定法]
(1) オリゴフルオレンエポキシ樹脂、及び炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの屈折率測定
オリゴフルオレンエポキシ樹脂、及び炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンのDMF溶液の589nmにおける屈折率をデジタル屈折計RX−7000α(アタゴ社製)を用いて測定温度20℃で測定した。DMF溶液の濃度を変えて測定を行い、オリゴフルオレンエポキシ樹脂、及び炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの密度を1.2と仮定して、外挿することにより、オリゴフルオレンエポキシ樹脂、及び炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの屈折率を算出した。
(2) オリゴフルオレンエポキシ樹脂、及び炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの融点測定
オリゴフルオレンエポキシ樹脂、又は本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンを少量キャピラリーに詰め、融点測定器SMP3(Stuart Scientific社製)を用い、測定を行った。
(3) オリゴフルオレンエポキシ樹脂のエポキシ当量測定
JIS K7236に準じて測定した。
(4) オリゴフルオレンエポキシ樹脂の溶融粘度測定
150℃に調整したコーンプレート粘度計(東海八神(株)製)の熱板の上にエポキシ樹脂を溶融させ、回転速度750rpmで測定した時の粘度を測定した。
[フェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)の物性測定法]
(5) 重量平均分子量および数平均分子量
東ソー(株)製「HLC−8120GPC装置」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線(較正曲線近似式:3次式)を作成して、重量平均分子量および数平均分子量をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
インジェクション量:10μl
(6)エポキシ当量
JIS K 7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
(7)ガラス転移温度(Tg)
高分子エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂組成物の溶液をセパレータ(シリコーン処理したPETフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布し、160℃で1.5時間、その後200℃で1.5時間乾燥又は硬化させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂フィルムを得た。このフィルムを切り出し、SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」を使用し、30〜250℃まで10℃/minで昇温してガラス転移温度を測定した。なお、ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に記載されているうち「中点ガラス転移温度:Tmg」に基づいて測定した。
[オリゴフルオレンエポキシ樹脂硬化物の物性測定法]
(8) ガラス転移温度(Tg),線膨張係数(α1、α2)の測定
硬化物を厚さ2mm直径6mmの円柱状に切削し、試験片を得た。熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製 EXSTAR6000)により、圧縮モードで以
下の測定方法を用いて分析を行った。2回目昇温時の測定における、ガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(α1、α2)を測定した。
(測定方法)
1回目昇温:5℃/分、30℃から250℃、1回目降温:10℃/分、250℃から30℃
2回目昇温:5℃/分、30℃から250℃、2回目降温:10℃/分、250℃から30℃
測定荷重30mN
(9) 1%、5%熱重量減少温度(Td1,Td5)
硬化物を100mg削り取り、そこから10mgを計量しサンプルとした。このサンプルについて、熱分析装置(TG/DTA:セイコーインスツルメント社製 EXSTAR
7200)を用いて、以下の測定方法で分析を行った。硬化物の重量が1%、5%減少した時点の温度を測定し1%、5%熱重量減少温度(Td1,Td5)とした。
(測定方法)
昇温速度:5℃/分、30℃から600℃
空気:流量200mL/分
(10) 屈折率、アッベ数の測定
硬化物を縦40mm、横8mm、厚さ2mmの直方体に切削し、試験片を得た。屈折率計(ATAGO社製 DR―M2)により、屈折率(D,F,C)、アッベ数を測定した。
[炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンの合成]
(実施例1) ビス(9−アリルフルオレン−9−イル)メタン(化合物2)の合成
Figure 2015212367
100mL三口フラスコにビス(フルオレン−9−イル)メタン(化合物1)10.0g(29.0mmol)、DMF40mL、アリルブロミド8.78g(72.6mmol)を加え氷冷した。ここにtert−ブトキシカリウム9.77g(87.1mmol)を10分かけて添加後、室温で5時間熟成した。反応液を氷冷し、3mol/L塩酸15mLと水50mLを添加後、スラリーを濾過した。濾取したものを水20mLで2回洗浄後、エバポレーターにより低沸物を留去した。得られた粉体にメタノール50mLを加え、50℃にて懸濁洗浄後、室温にて濾過し、減圧乾燥することにより白色粉体を取得した。ビス(9−アリルフルオレン−9−イル)メタン(化合物2)10.7g(収率87%)。以下に化合物2の1H−NMRの化学シフトを示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.04−7.07(m,4H),6.95−6.99(m,4H),6.80−6.82(m,8H),4.90−4.98(m,2H),4.59−4.71(m,4H),3.08(s,2H),2.50(d,4H,J=7.3Hz).
m.p.:97℃
[オリゴフルオレンエポキシ樹脂の合成]
(実施例2) ビス[9−(2,3−エポキシプロピル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)の合成
Figure 2015212367
300mL三口フラスコにビス(9−アリルフルオレン−9−イル)メタン(化合物2)10.5g(24.8mmol)、クロロホルム50mLを加え水冷した。ここに65重量%m−クロロ過安息香酸水溶液17.1g(64.4mmol)をクロロホルム120mLに溶解した溶液を10分かけて滴下した。室温で5時間熟成後、反応液を終夜放置した。5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液50mLで2回、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液50mLで2回、水75mLで2回、順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、エバポレーターにより溶媒を留去した。残渣をトルエン15mLで加熱溶解し、メタノール75mLを60℃でゆっくり滴下後、放冷し、引き続き氷冷して目的物を晶析させて、濾過により一番晶を取得した。この濾液をエバポレーターにより溶媒を留去し、残渣をトルエン2mL、メタノール50mLを用い、一番晶と同様に晶析して二番晶を取得した。一番晶と二番晶を減圧乾燥することにより白色粉体を取得した。ビス[9−(2,3−エポキシプロピル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)一番晶6.01g、二番晶3.40g(合計収率83%)。以下に化合物3の1H−NMRの
化学シフトと融点を示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.77−7.10(m,16H),3,07−3.24(m,2H),2.29−2.34(dd,2H,J=4.3,14.1Hz),2.05−2.07(m,2H),1.88−1.93(m,4H),1.79−1.84(m,2H).
m.p.:137℃
(実施例3) ビス[9−(2,3−エポキシプロピル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)の合成
Figure 2015212367
100mL三口フラスコにビス(9−アリルフルオレン−9−イル)メタン(化合物2)10.0g(23.6mmol)、トルエン15ml、水6.3ml、N−ブチル−N,N−ジ[2−(4−t−ブチルベンゾイルオキシ)エチル]−N−メチルアンモニウムモノメチル硫酸塩540mg(1.18mmol)、8.1%(重量/体積)リン酸水溶液4.29mL(3.54mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物781mg(2.36mmol)を加え、ジムロートを付けて70℃で撹拌した。ここに35重量%過酸化水素6.07ml(70.8mmol)を7時間かけて滴下し、さらに1時間加熱後、反応液を終夜放置し、分液して有機層を得た。
ビス(9−アリルフルオレン−9−イル)メタン(化合物2)4.0g(9.42mmol)から上述の方法で得た有機層を合わせ、5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液14mlで洗浄した。ここにメタノール14mlと炭酸カリウム1.83g(13.2mmol)を加えて1時間撹拌した後、1 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液14ml、飽和
硫酸ナトリウム水溶液7mlで順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、エバポレーターにより溶媒を一部留去し、26.9gの赤褐色油状物を得た。
これを60℃に加熱し、ヘキサン42mlをゆっくり滴下後、放冷し、引き続き氷冷して目的物を晶析させ、濾過により薄茶色粉末を取得した。得られた粉末をヘキサン14mlで洗浄し、減圧乾燥することによりビス[9−(2,3−エポキシプロピル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)を12.1g(合計収率81%)取得した。
(比較例1) ビス(9−アリルフルオレン−9−イル)エタン(化合物4)の合成
Figure 2015212367
50mL四ツ口フラスコにビス(フルオレン―9−イル)エタン(5.00g、13.9mmol)、DMF(20mL)を入れ、窒素置換後、水浴で20〜30℃に制御してtBuOK(3.50g、31.2mmol)を加えたところ、溶液の色は濃い赤色へ変化した。その後、アリルブロミド(2.6ml、31mmol)とDMF(2.6ml)の混合溶液を30分かけて滴下した。滴下中、反応液の色が赤から淡黄色に変化した時点
で滴下を一時停止し、tert−ブトキシカリウム(2.12g、27.8mmol)を2回に分けて追加した。内温25℃で30分攪拌した後、反応の終了をHPLCで確認した。蒸留水(20mL)を加えて濾別し、残渣をメタノール(15mL)へ分散して得られるスラリー溶液を還流した。スラリー溶液を濾別して吸引ろ過を行った後、80℃で恒量になるまで減圧乾燥することで、白色固体として化合物4を4.76g(収率78%、HPLC純後97%)得た。以下に化合物4の1H−NMRの化学シフトを示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.73−7.72(m,4H),7.39−7.36(m,4H),7.30−7.26(m,4H),7.03−7.01(m,4H)4.92−4.83(m,2H),4.53−4.48(m,4H),2.31(d,4H,J=3.4Hz),1.27(s,4H).
m.p.:176℃
(比較例2) ビス[9−(2,3−エポキシプロピル)フルオレン−9−イル]エタン(化合物5)の合成
Figure 2015212367
50mL三口フラスコへ化合物4(0.997g、2.27mmol)を入れ、クロロホルム(9.1mL)を加えて溶解した。65重量%m−クロロ過安息香酸水溶液(1.453g、5.89mmol)をクロロホルム(7.5mL)に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、25℃で6時間攪拌する。反応の終了をHPLCで確認した後、5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液(5ml×3回)、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を用いて洗浄する。トリブチルホスファイト0.2mLを加えて30分攪拌した後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(5mL)、脱塩水(5mL)により洗浄した。有機層へ硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ別した後、有機層を減圧濃縮した。メタノール(5mL)を加えて晶析し、吸引ろ過を行った。残渣をメタノール(15mL)により洗浄し80℃で恒量になるまで乾燥することで、白色固体として化合物5を0.826g(収率77%、HPLC純度97%)得た。以下に化合物5の1H−NMRの化学シフト
と融点を示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.77−7.74(m,4H),7.42−7.37(m,4H),7.33−7.29(m,4H),7.10−6.99(m,4H)2.10−2.08(m,2H),2.02−1.96(m,4H),1.85−1.83(m,2H),1.66−1.60(m,2H),1.29(s,4H).
m.p.:228℃
表1に化合物3のDMF溶液の屈折率の実測値を、表2に化合物5のDMF溶液の屈折率の実測値を示す。また表3に外挿によりもとめた化合物3及び化合物5の屈折率の値と、融点の値を併せて示す。
Figure 2015212367
Figure 2015212367
Figure 2015212367
表3より、実施例2の化合物3と比較例2の化合物5の屈折率を比較すると、屈折率はどちらも1.65と高い値を示すことが分かる。その一方で、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂である実施例2の化合物3は、比較例2の化合物5よりも低融点であるため、加工性に優れていると考えられる。通常、架橋基のアルキレン基が短い方が高融点であると考えられるが、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、架橋基をメチレン基にすることで、高屈折率を有しながら、低融点であるという特異な特徴を有する傾向にある。
以上のことより、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂は、高屈折率、かつ、低融点で加工性に優れていると考えられる。
表4に化合物2のDMF溶液の屈折率の実測値を、表5に化合物4のDMF溶液の屈折率の実測値を示す。また表6に外挿によりもとめた化合物2及び化合物4の屈折率の値と、融点の値を併せて示す。
Figure 2015212367
Figure 2015212367
Figure 2015212367
表6より、実施例1の化合物2と比較例1の化合物4の屈折率を比較すると、屈折率はどちらも1.66と高い値を示すことが分かる。その一方で、本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンである実施例1の化合物2は、比較例1の化合物4よりも低融点であるため、加工性に優れていると考えられる。通常、架橋基のアルキレン基が短い方が高融点であると考えられるが、本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンも本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂と同様に、架橋基をメチレン基にすることで、高屈折率を有しながら、低融点であるという特異な特徴を有する傾向にある。
以上のことより、本発明の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンは、本発明のオリゴフルオレンエポキシ樹脂の有用な原料であるだけでなく、それ自体も硬化性樹脂組成物として有用である。
(実施例4)
[フェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)の製造と評価]
2官能エポキシ樹脂として実施例3の方法で得られた化合物3(エポキシ当量230)35.0g、ビスフェノール系化合物として4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール(水酸基当量155、本州化学工業(株)製)23.1g、触媒として27質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液0.32g、および反応用の溶剤としてシクロヘキサノン31.3gを撹拌機付き反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、145℃で8時間反応を行った。その後、希釈用の溶剤としてメチルエチルケトンを加えて固形分濃度を50質量%に調整した。得られたフェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)のエポキシ当量は3,000g/当量、重量平均分子量は4,800であった。また、前述の方法で溶剤を除去し、ガラス転移温度を測定したところ、139℃であった。
(実施例5)
実施例4で得られたフェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)と、ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80質量%MEK溶液(三菱化学(株)製 商品名「157S65B80)」)と、硬化剤として2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製 商品名「EMI24」)の20質量%MEK溶液を、固形分の質量比で95:5:0.5となるようにはかり取り、よく撹拌してエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物について、前述の方法で硬化フィルムを作製してガラス転移点を測定したところ、158℃であった。
(実施例6)
[オリゴフルオレンエポキシ樹脂硬化物の製造と評価]
エポキシ樹脂(化合物3またはPG100:大阪ガスケミカル社製)と酸無水物(MH700:新日本理化社製)を表7の割合で配合し、80℃まで加温して均一になるまで撹拌した。その後、60℃まで冷却し触媒(PX−4MP:日本化学工業社製)を加え均一になるまで撹拌し組成液を作成した。
内側に離型PETフィルムを引いたガラス板を2枚作成し、厚さ2mmに調整し注型板を作成。注型板に組成液を注型し、100℃で3時間加温後、更に130℃で3時間加温して硬化物を得た。
Figure 2015212367
表7より、化合物3はPG100に比べてエポキシ樹脂の溶融粘度が低く、加工性に優れていることがわかる。また、化合物3の硬化物は公知の高屈折エポキシ樹脂であるPG100の硬化物と同程度の高い屈折率を有している一方、化合物3の硬化物の1%、5%熱重量減少温度(Td1,Td5)はPG100の硬化物より高く、高い熱安定性を有していると考えられる。
(実施例7) エポキシアクリレート(化合物6)の合成
Figure 2015212367
50mL三口フラスコへ化合物3(0.400g、876μmol)、テトラメチルアンモニウムクロリド(2.0mg、18μmol)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(2.0mg、9.1μmol)、アクリル酸(690μL、10.1mmol)を入れ、120℃で3時間攪拌した。反応の終了をNMRで確認した後、
反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル2mlを加えた。有機層を飽和硫酸ナトリウム水溶液2mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液2mlで2回洗浄した後、溶媒を留去し、黄褐色粘凋性固体として化合物6を0.527g(収率100%、NMR純度96%)得た。

Claims (12)

  1. 置換基を有していてもよい2つ以上のフルオレン単位を含み、該フルオレン単位の9位の炭素原子同士がメチレン基を介して鎖状に結合されたことを特徴とする、オリゴフルオレンエポキシ樹脂。
  2. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂。
    Figure 2015212367
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、
    又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、
    4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
    10は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
    nは1〜5の整数値を示す。)
  3. 1及びR2がメチレン基である、請求項2に記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂。
  4. 下記一般式(2)で表される炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレンを酸化して請求項2又は3に記載の一般式(1)で表されるオリゴフルオレンエポキシ樹脂を得ることを特徴とする、オリゴフルオレンエポキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2015212367
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、
    又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換
    されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、
    4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
    10は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
    nは1〜5の整数値を示す。)
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂を含有することを特徴とするオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物。
  6. 下記一般式(2)で表されることを特徴とする、炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン化合物 。
    Figure 2015212367
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基、
    又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数5〜12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、
    4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
    10は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
    nは1〜5の整数値を示す。)
  7. 下記一般式(5)で表されることを特徴とする、エポキシ(メタ)アクリレート化合物。
    Figure 2015212367
    (式中、R1、R2、R4〜R10は前記一般式(1)と同義である。
    12は水素原子又はメチル基であり、
    13は水素原子又はアシル基を表す。
    nは1〜5の整数値を示す。)
  8. 請求項6に記載の炭素−炭素二重結合を有するオリゴフルオレン化合物又は請求項7に記載のエポキシ(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする組成物。
  9. 請求項5に記載のオリゴフルオレンエポキシ樹脂組成物又は請求項8に記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
  10. ハロゲン原子の含有割合が1000質量ppm以下であることを特徴とする請求項9に記載の硬化物。
  11. 請求項9又は10に記載の硬化物からなることを特徴とする光学材料。
  12. 請求項9又は10に記載の硬化物からなることを特徴とする電子材料。
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