JP2016000801A - エポキシ樹脂用希釈剤、及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂と混合して硬化させても、元のエポキシ樹脂の特性を損なうことなく、加工性が向上するエポキシ樹脂用希釈剤。
【解決手段】式(1)及び(2)で表される化合物から選ばれる構造を有するエポキシ樹脂用組成物。
Figure 2016000801

(L及びLは各々独立に、置換/未置換の2価の有機基;A及びBは各々独立にH又は置換/未置換のC1−8の1価の有機基;3つのエポキシ環が−C=C−でも良い)
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ化合物を含有するエポキシ樹脂用希釈剤、及びエポキシ樹脂用希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は、接着性、耐食性、機械特性、耐熱性、電気特性等に優れることから、接着材料、光学材料、電子材料等の幅広い用途に使用される樹脂である。
例えばLED等に使用される封止材にエポキシ樹脂が用いられている。封止材用のエポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂よりも耐熱性や耐光性に優れた脂肪族エポキシ樹脂が一般的に使用されており、特に脂肪族環式エポキシ樹脂は、耐光性に優れ、かつ耐熱性に非常に優れた材料として知られている。
またエポキシ樹脂は放熱材料としても使用されており、特に芳香族エポキシ化合物が、その耐熱性の高さから好ましく用いられている。
一方、エポキシ樹脂の中には粘度の高いものがあり、そのようなエポキシ樹脂を、成型や塗布といった方法で加工する際には、エポキシ樹脂の粘度を低減させ、加工性を向上させる目的で希釈剤が使用されている。一般的には、主材料となるエポキシ樹脂に対し、より粘度の低いエポキシ樹脂が希釈剤として用いられる。例えば水素化したビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いる方法が提案されている(特許文献1)。
特開2000−143939号
しかし、この水素化したビスフェノールA型エポキシ樹脂を希釈剤として使用した際、強度は改善が見られるものの、耐熱性が低下し、脂肪族環式エポキシ樹脂の性能低下を招いている。このように、従来用いられている希釈剤には、主材料となるエポキシ樹脂の低粘度化に寄与する反面、エポキシ樹脂の硬化速度の低下や、希釈剤を使用しなかった場合に比べて、得られる硬化物の物性を低下させるという問題がある。具体的には、主材料となる高い耐熱性を有するエポキシ樹脂を、希釈剤を用いて希釈した場合、加工性は向上するものの、硬化物の耐熱性が低下するという問題がある。主材料のエポキシ樹脂に対して、硬化物の耐熱性を下げずに、加工性を向上させることができる希釈剤はこれまでに見出されていない。
本発明は、エポキシ樹脂と混合して硬化させても、元のエポキシ樹脂の物性を損なうことなく、加工性が向上するエポキシ樹脂用途の希釈剤を得ることを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するブテンジオールを出発原料としたエポキシ化合物が得られ、既に本発明者が特許出願をおこなっている特願2013−212891号に記載のエポキシ樹脂が、本課題を解決する希釈剤となることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、
[1]下記一般式(1)及び(2)から選ばれる少なくとも一方で表される構造を有することを特徴とするエポキシ樹脂用希釈剤、
Figure 2016000801
Figure 2016000801
(式(1)、式(2)中、L及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の有機基を示し、A及びBは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の有機基を示す。但し、L及びL上の置換基は、それぞれA及びBと環を形成していてもよく、3つのエポキシ環のうちの1つがエポキシ環の代わりに炭素−炭素二重結合を形成していてもよい。)
[2]前記式(1)、式(2)中のA及びBが水素原子である、上記[1]に記載のエポキシ樹脂用希釈剤、
[3]前記式(1)、式(2)中のL及びLが−(CH−(但し、nは1〜14の整数を示す。)で表わされるアルキレン基である、上記[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂用希釈剤、
[4]前記nが1である、上記[3]に記載のエポキシ樹脂用希釈剤、
[5]前記希釈剤の理論エポキシ当量に対する前記希釈剤のエポキシ当量の比が1.0以上、1.2以下である、上記[1]から[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂用希釈剤、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエポキシ樹脂用希釈剤(a)と、該エポキシ樹脂用希釈剤(a)以外のエポキシ樹脂(b)とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
[7]さらに硬化剤を含む、上記[6]に記載のエポキシ樹脂組成物、
[8]さらに充填剤を含む、上記[6]または[7]に記載のエポキシ樹脂組成物、
[9]前記エポキシ樹脂用希釈剤(a)のL及びLが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜14の2価の脂肪族基であり、かつA及びBが、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の脂肪族基である、上記[6]〜[8]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、
[10]前記エポキシ樹脂(b)が、脂肪族型エポキシ樹脂である、上記[6]〜[9]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、
[11]前記エポキシ樹脂(b)が、芳香族基を有するエポキシ樹脂であることを特徴とする上記[6]〜[9]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、
[12]上記[6]〜[11]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いた光学材料用エポキシ樹脂組成物、
[13]上記[6]〜[10]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いたLED封止材用エポキシ樹脂組成物、
[14]上記[11]に記載のエポキシ樹脂組成物を用いた放熱材料用エポキシ樹脂組成物、
[15]上記[6]〜[14]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
[16]上記[13]に記載のエポキシ樹脂組成物によりLEDチップが封止されているLED装置、
[17]上記[14]に記載のエポキシ樹脂組成物を用いた放熱材料、に存する。
本発明の希釈剤を用いてエポキシ樹脂を希釈して使用することにより、元のエポキシ樹脂の性能、特に耐熱性を損なうことなく、加工性を向上させることができる。また本発明の希釈剤を、脂肪族エポキシ樹脂に対する希釈剤として用いることにより、得られる硬化物の黄色劣化を抑制し、かつ線膨張係数を下げることができる。
合成例2で得られたエポキシ化合物のH−NMR測定のチャートである。
以下、本発明の実施の形態について更に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲の内で種々変形して実施することができる。
なお本明細書において、「エポキシ樹脂」とは、その分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物をいう。また本発明のエポキシ樹脂用希釈剤(a)によって希釈される、主材料となる(a)以外のエポキシ樹脂を「エポキシ樹脂(b)」、エポキシ樹脂用希釈剤(a)とエポキシ樹脂(b)を混合したものを「エポキシ樹脂組成物」、前記エポキシ樹脂組成物と硬化剤とを反応させて得られた樹脂を「硬化物」ということがある。
<希釈剤>
本発明のエポキシ樹脂用希釈剤は、下記一般式(1)及び(2)から選ばれる少なくとも一方で表される構造を有する。
Figure 2016000801
Figure 2016000801
式(1)、式(2)中、L及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の有機基を示し、A及びBは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の有機基を示す。但し、L及びL上の置換基は、それぞれA及びBと環を形成していてもよく、3つのエポキシ環のうちの1つがエポキシ環の代わりに炭素−炭素二重結合を形成していてもよい。
本明細書において希釈剤とは、エポキシ樹脂(b)の物性を調整するため、エポキシ樹脂(b)を希釈する目的で使用されるものを言い、特にエポキシ樹脂組成物の粘度を低下させ、加工性を向上させるために使用される。
まず本発明の希釈剤を構成する一般式(1)及び(2)で表される構造を有する化合物について述べる。
一般式(1)及び(2)で表される構造を有する化合物は、置換基を有していてもよいブテンジオール類から誘導されて得られるエポキシ化合物である。これらの化合物は、特願2013−212891にて本出願人が特許出願を行なっている新規の化合物である。
一般式(1)及び(2)において、L及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の有機基を表す。前記有機基としては、例えばアルキレン基、アリーレン基等の2価の炭化水素基、カルボニル基(−CO−)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、イミノ基(−NH−)、ホスフィンジイル基(−PH−)、シリレン基(−SiH−)等が挙げられる。これら2価の有機基は1種を単独で用いてもよく、2種以上の有機基が適宜連結したものであってもよい。
2価の有機基が2種以上連結したものの例としては、カルボニルアルキレン基、カルボニルアリーレン基、カルボニルオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基等が挙げられ、低粘度化の観点からはカルボニルアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基等が好ましい。
前記置換基を有してもよい2価の有機基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜14であり、耐熱性がより向上することから1〜6が好ましく、原料入手の容易さから1〜4がさらに好ましい。この炭素数は、当該有機基が更に置換基を有する場合、その置換基も含めた炭素数を意味する。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等の直鎖状のアルキレン基;イソプロピレン基、イソブチレン基等の分岐鎖状のアルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基;等が挙げられる。
アリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、トルイレン基等が挙げられる。
なおアルキレン基、アリーレン基が複数の置換可能な位置を有する場合は、任意の置換位置で置換されていてもよい。
前記L及びLは希釈剤の用途に応じて、適宜選択可能であるが、光学材料等の透明性が必要な用途に用いる場合は、硬化物の透明性が高く、黄色劣化性が低くなる点で、アルキレン基、カルボニル基、オキシ基、チオ基、イミノ基、ホスフィンジイル基、シリレン基、またはこれらを2種以上連結したものが好ましく、中でも炭素数1〜14の直鎖アルキレン基、カルボニル基、オキシ基、またはこれらを2種類以上連結したものが、黄色劣化性がさらに低いことからより好ましく、製造の容易であることから炭素数1〜14の直鎖アルキレン基が更に好ましい。
一方、放熱材料等の透明性が要求されない用途に用いる場合は、原料の入手が容易である点でアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、オキシ基、またはこれらを2種類以上連結したものが好ましく、炭素数1〜14の直鎖アルキレン基、フェニレン基、カルボニル基、オキシ基、またはこれらを2種類以上連結したものがより好ましく、より低粘度の希釈剤が得られることから炭素数1〜14の直鎖アルキレン基を用いるのが更に好ましい。
前記L及びLが有していてもよい置換基としては、本発明の希釈剤の効果を損ねな
い限りにおいて特に限定はされないが、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子、チオール基、チオエーテル基、アルキルシリル基等が挙げられる。
前記L及びLが有していてもよい置換基は、希釈剤の用途に応じて、適宜選択可能であるが、光学材料等の透明性が必要な用途に用いる場合は、硬化物の透明性が高く、黄色劣化性が低くなる点で、脂肪族基が好ましく、具体的にはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子、チオール基、チオエーテル基、アルキルシリル基が挙げられる。一方、放熱材料等の透明性が要求されない用途の場合は、原料の入手が容易であるという観点からアルキル基、アリール基、水酸基が好ましく、より低粘度の希釈剤が得られる点からは、アルキル基、エステル基、ハロゲン原子、チオエーテル基が好ましい。また、これらの置換基は更に置換基を有していてもよく、この置換基としても上記のような置換基が挙げられる。
一般式(1)及び(2)において、前記A及びBは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の有機基を示す。前記1価の有機基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アラルキル基、エステル基等が挙げられる。
前記A及びBは、希釈剤の用途に応じて適宜選択可能であるが、特に本発明の希釈剤を光学材料向けに用いる場合は、硬化物の透明性が高く、黄色劣化性が低くなる点で、アルキル基、アルコキシ基、エステル基等の脂肪族基が好ましく、炭素数1〜8の脂肪族基がより好ましい。
一方、より低粘度の希釈剤が得られる点からはアルキル基が好ましく、中でも炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、原料入手が容易であるという観点から炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。
具体的には、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基等の環状アルキル基;等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。アルコキシフェニル基としては、例えば、メトキシフェニル基等が挙げられる。複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。エステル基としては、例えば、エチルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。
前記A及びBにおける「炭素数1〜8の1価の有機基」が有していてもよい置換基としては、上記L及びLにおける置換基と同様のものが挙げられる。これらの中で、原料の入手が容易であるという観点からアルキル基、アリール基、水酸基が好ましい。
また、前記L及びL上の置換基は、それぞれ、前記A及びBと環を形成していてもよい。具体的には、例えば、一般式(1)において、アルキル基同士が連結した以下の構造式(3)及び(4)のような構造が挙げられる。
Figure 2016000801
Figure 2016000801
構造式(3)、(4)として、一般式(1)において、前記Lと前記A、前記Lと前記Bの両方が結合した炭素6員環を形成している例を示したが、置換基の炭素数内において員環数に制限はなく、前記Lと前記A、前記Lと前記Bのどちらか一方のみが環を形成している化合物も具体例として挙げられる。また、一般式(2)においても同様に、置換基の炭素数内において員環数に制限はなく、例えば、前記Lと前記A、前記Lと前記Bの一方若しくは両方が結合して、炭素6員環を形成していてもよい。具体的には例えば、構造式(5)が挙げられる。
Figure 2016000801
上記L及びLとして好ましいものは、より低粘度の希釈剤が得られる点から、−(CH−(但し、nは1〜14の整数を示す。)で表わされる無置換の直鎖アルキレン基であり、nが1〜6の基がさらに好ましく、耐熱性の観点を合わせるとnが1の基、すなわちメチレン基が特に好ましい。
上記A及びBとして好ましいものは、原料入手の容易さから水素原子、炭素数1〜8の無置換アルキル基であり、中でも硬化剤との反応性が高いことから、水素原子が特に好ましい。
具体的には一般式(1)及び(2)としては以下の化合物が好ましい。
Figure 2016000801
中でもより好ましくは、以下の化合物である。
Figure 2016000801
本発明の希釈剤は、一般式(1)及び(2)で表されるエポキシ化合物から選ばれる少なくとも一方であり、前記エポキシ化合物はエポキシ環を3つ有するトリエポキシ化合物であるが、これらエポキシ化合物は、さらに一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物が有する3つのエポキシ環のうちの1つがエポキシ環の代わりに炭素−炭素二重結合を形成したジエポキシ化合物を含んでいても良い。さらにはそれぞれの前記ジエポキシ化合物同士が混合したものであってもよい。前記ジエポキシ化合物は、具体的には下記一般式(6)で表される化合物のいずれかである。
Figure 2016000801
一般式(6)において、L、L、A、Bは前記一般式(1)及び(2)と同義である。また一般式(6)において、波線で表わされる炭素−炭素二重結合の置換基は、二重結合が有するシス/トランス異性体のいずれでも良いことを表わす。
前記一般式(1)及び(2)で表わされるトリエポキシ化合物及び前記一般式(6)で表されるジエポキシ化合物は、それぞれの光学異性体を含んでいてもよく、ジアステレオマー、エナンチオマーなどの立体異性体を含んでいても良い。また、一般式(1)で表わされるトリエポキシ化合物と、一般式(2)で表わされるトリエポキシ化合物を混合していてもよく、前記一般式(6)で表されるジエポキシ化合物のうち2種類以上が混合していてもよい。さらには一般式(1)で表されるトリエポキシ化合物と一般式(6)で表されるジエポキシ化合物のうち1種類以上が混合していてもよく、一般式(2)で表されるトリエポキシ化合物と一般式(6)で表されるジエポキシ化合物のうち1種類以上が混合していてもよい。
本発明の希釈剤として前記一般式(1)及び(2)で表わされるトリエポキシ化合物及び前記一般式(6)で表されるジエポキシ化合物の混合物を用いる場合、本発明の効果を損ねない範囲においてそれらの混合比率は特に限定されるものではなく、使用する目的によって適宜設定可能だが、硬化物の耐熱性を維持する点からは前記トリエポキシ化合物を90質量%以上含む方が好ましく、エポキシ樹脂組成物の粘度を下げる点では前記ジエポキシ化合物を1質量%以上含む方が好ましい。
そのためトリエポキシ化合物の理論エポキシ当量に対する本発明の希釈剤のエポキシ当量の比(希釈剤のエポキシ当量/トリエポキシ化合物の理論エポキシ当量)は、特に限定はされないが、通常1.0以上、1.2以下であり、好ましくは1.1以下である。
なお本発明の希釈剤のエポキシ当量は、JIS法 K7236:2001に準じて測定することができる。
本発明の希釈剤として用いられるエポキシ化合物は、一分子内に3つのエポキシ基を有していることからエポキシ当量が小さく、硬化により密なネットワークが形成され、高いTgと耐熱性を有すると考えられる。
本発明の希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物のTgは特に限定されず、主材料となるエポキシ樹脂の種類やそのエポキシ当量、混合比率、硬化剤の種類、及び硬化条件等により好ましい範囲が異なるが、通常は100℃以上、好ましくは1
10℃以上であり、通常200℃以下である。
本発明の希釈剤として用いられるエポキシ化合物は、エポキシ当量が小さいため、硬化した際に単位体積あたりの酸素原子の数が多くなる傾向があるため、高い接着性が期待できる。
本発明の希釈剤として用いられるエポキシ化合物は粘度が低い。よって、本発明の希釈剤を混合することにより、エポキシ樹脂(b)が粘度の高いエポキシ樹脂であっても、エポキシ樹脂組成物が十分に低粘度化して加工性を確保することができる。その粘度は限定されるものではないが、70℃における粘度で、通常1cP以上、30cP以下であり、好ましくは20cP以下、より好ましくは10cP以下、さらに好ましくは5cP以下である。
エポキシ樹脂(b)には、粘度が高いものがあり、加工性に乏しい場合がある。本発明の希釈剤(a)は粘度が低いため、エポキシ樹脂(b)と混合して組成物とすることにより、エポキシ樹脂組成物全体の粘度を下げることができ、加工性を上げることが可能になる。同時に本発明の希釈剤(a)は、これを硬化させて得られる硬化物のTgが高いため、加工性と耐熱性を両立することが可能である。
前記一般式(1)及び(2)における前記L及びLが官能基を有さない炭素鎖である場合は、硬化物が塩基や水に対して安定で、耐薬品性を有し、吸水性が低い。また本発明の希釈剤が一般式(1)で示され、A及びBが水素原子である場合は、エポキシ基が末端であるため、硬化反応速度が速い。また本発明のエポキシ化合物は、液状であることから加工性に優れ、また水溶性も有することから水性のエポキシ樹脂に対する希釈剤としても利用可能であり、加工処理条件が広いという特徴を有する。つまり、本発明の希釈剤を混合することによって、エポキシ樹脂(b)の性能を損なわず、これらの性能を付け加えることができる。
<希釈剤の製造方法>
本発明の希釈剤の製造方法は特に限定されず、用いる基質や所望の物性に応じて適宜合成することができる。具体的には置換基を有していてもよいブテンジオールを出発原料とし、前記ブテンジオールの水酸基と炭素−炭素二重結合を有する有機基を連結して得られたトリオレフィン化合物を酸化する方法(以下、製法1)や、ブテンジオール、又はブテンジオールに水酸基を有する有機基を連結して得たアルコール化合物にエピクロロヒドリンを作用させ、得られたジエポキシ化合物をさらに酸化する方法(以下、製法2)等が挙げられる。
このうち前記製法1は、副反応に伴う高分子量体を殆ど生成しないため、トリエポキシ化合物の含有比率がより高く、低粘度の希釈剤が得られる点で好ましい。また一般式(1)の構造のように、分子内の隣り合った位置にエポキシ基を有する化合物を容易に合成することができることから、耐熱性の観点でも好ましい。
前記製法1による製造方法は、具体的には、特願2013−212891の明細書中に記載されており、これらに記載された方法、条件に基づき本発明に用いるトリエポキシ化合物を製造することができる。
また前記製法2による製造方法は、ブテンジオールに水酸基を有する有機基を連結し、アルコール化合物を得る方法としては、Journal of Combinatorial Chemistry(2001),3,(2),154−156や、特開平06−329571号公報等の公知の方法を使用することができる。また前記アルコール化合物にエピクロロヒドリンを作用させ、エポキシ基を導入する方法は、例えばSynthesis(1985)、(6−7)、649−51等に記載の方法、条件が使用できる。
<エポキシ樹脂組成物>
(エポキシ樹脂(b))
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂用希釈剤(a)と、(a)以外のエポキシ樹脂(b)とを含むものである。
また、本発明の硬化物は、前記エポキシ樹脂組成物を硬化して得られるものである。
本発明で用いられる、エポキシ樹脂(b)としては、本発明の目的を損なわない限りにおいて特に限定されるものではなく、いわゆるエポキシ樹脂一般を用いることができる。
前記エポキシ樹脂(b)は、大別して芳香族基を有するエポキシ樹脂と脂肪族型エポキシ樹脂に分けられる。
芳香族基を有するエポキシ樹脂とは、その単位構造中に芳香族基を有するエポキシ樹脂をいい、特に限定はされないが、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂類、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂類等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;芳香族アミン類やアミノフェノール類等から得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;フタル酸型エポキシ樹脂等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;フェノールノボラックから得られるエポキシ樹脂、クレゾールノボラックから得られるエポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラックエポキシ樹脂、フェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド類から得られるノボラックエポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;一つの芳香環に複数のエポキシ基を有するビフェニル、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
脂肪族型エポキシ化合物とは、前記の芳香族基を有するエポキシ樹脂以外のものをいい、具体的には、芳香族基を有さないエポキシ樹脂をいう。例えば前記芳香族基を有するエポキシ樹脂が有する芳香族基の芳香環を水素添加して得られる水添型エポキシ樹脂や、環状オレフィンがエポキシ化された脂環基を有する脂環式エポキシ樹脂類、1,3,5−トリスグリシジルイソシアヌル酸等の複素環式エポキシ樹脂類、シルセスキオキサン構造を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂(b)は、エポキシ樹脂組成物の用途に応じて適宜選択可能であり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を光学材料用途に用いる場合、硬化物の黄色劣化を抑制することができる点で脂肪族型エポキシ樹脂が好ましく、脂環式エポキシ樹脂やシルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂がさらに好ましい。特に脂環式エポキシ樹脂の場合、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましく、シクロヘキセン構造を有する化合物の酸化反応により得られるエポキシ樹脂が好ましい。
これら脂環式エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、水添型ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエンジエポキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。これらエポキシ樹脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これら脂環式エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、水添型ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトールグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルを有する脂環式エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンジエポキシド、3‘,4‘−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−ビス(ヒドロキ
シメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等のグリシジルエーテルを持たない脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物をパワーデバイス等の放熱材料用途に用いる場合は
、耐熱性の観点から芳香族基を有するエポキシ樹脂が好ましく、1分子の中に3つ以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂がさらに好ましいが、特に高粘度のエポキシ樹脂であるほうが、本発明の希釈剤による低粘度化の効果を得られやすい。
これらのエポキシ樹脂としてはビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂;ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等の多環式芳香族構造を有するエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の希釈剤(a)と、エポキシ樹脂(b)の混合比は目的に応じて適宜設定可能であるが、通常希釈剤(a)の重量比がエポキシ樹脂組成物の50質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
(硬化剤、硬化促進剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに硬化剤を含んでいてもよい。
本発明に用いられる硬化剤は、用いるエポキシ樹脂組成物を硬化することができる限りにおいて特に限定はされず、一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものを使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、1級及び2級アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などの付加重合型硬化剤;3級アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、有機ホスフィン系硬化剤、ホスホニウム塩系硬化剤などの触媒型硬化剤;等が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物またはポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック等が挙げられる。
前記1級及び2級アミン系硬化剤の具体例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が挙げられる。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が挙げられる。
脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が挙げられる。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(3−アミノフェニル)エチルアミン、α−(4−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
第3級アミン系硬化剤の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤の具体例としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−エチル−4−メチル−1−イミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリル)−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が挙げられる。
有機ホスフィン系硬化剤としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が挙げられ、ホスホニウム塩系硬化剤としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホ
ニウム・テトラブチルボレート等が挙げられる。
なお、これらの硬化剤の中のいずれを用いるかは、硬化条件及び樹脂硬化物の形状、樹脂硬化物の耐熱性、接着性、吸水性、曲げ強度などの各種性状のバランスによって種々選択される。
本発明のエポキシ樹脂組成物を光学材料向けに用いる場合、硬化剤としては、黄色劣化を抑制する点から酸無水物を使用するのが好ましく、特にLED封止材用途では無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸を使用するのが好ましい。また、硬化性、耐熱性、耐湿性の観点から、有機ホスフィン系、有機ホスホニウム塩系もしくは第3級アミン等の前記触媒型硬化剤を硬化促進剤として併用するのが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を放熱材料向けに用いる場合、硬化剤としては、耐熱性向上の観点から、付加重合型硬化剤が好ましく、フェノール系硬化剤や1級及び2級アミン系硬化剤を使用するのが好ましい。中でも、フェノール系硬化剤としてはフェノールノボラック硬化剤がより好ましく、1級及び2級アミン系硬化剤としては芳香族ポリアミンがより好ましい。
以上に挙げた硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤の使用量は特に限定されないが、硬化剤が前記付加重合型硬化剤の場合は、本発明の希釈剤(a)とエポキシ樹脂(b)とを混合したエポキシ樹脂中のエポキシ基と、硬化剤中のエポキシ基と反応し架橋構造を形成する反応部位との当量比で、通常0.8以上、好ましくは0.9以上、通常1.5以下、好ましくは1.2以下となるように用いる。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の反応部位の残留が抑制され、所望の物性を容易に得られる。
硬化剤が前記触媒型硬化剤の場合は、その使用量は特に限定されず、用いるエポキシ樹脂(b)の種類、構造、又は本発明の希釈剤との混合比率等に応じ適宜調整可能であるが、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂(b)100質量部に対して通常0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲で用いられる。前記の範囲で使用することで十分な硬化が達成でき、本発明の希釈剤の特徴である硬化物の耐熱性を特に向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じ、硬化剤とともに硬化促進剤を併用してもよい。また、硬化剤を用いずに硬化促進剤のみで硬化させることもできる。用いられる硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラブチルアンモニウム塩、トリイソプロピルメチルアンモニウム塩、トリメチルデカニルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩;トリフェニルベンジルフォスフォニウム塩、トリフェニルエチルフォスフォニウム塩、テトラブチルフォスフォニウム塩、メチルトリブチルフォスフォニウム塩等の4級ホスホニウム塩等が挙げられる。4級塩のカウンターアニオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、有機リン酸イオン、水酸化物イオン等、特に指定は無いが、特に有機リン酸イオン、水酸化物イオンが好ましい。
硬化促進剤を用いる場合は、エポキシ樹脂(b)100質量部に対して、通常0.01以上10質量部以下である。
(充填剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、樹脂硬化物の熱伝導率を向上させたり、熱膨張係数
を低下させたりするなど、種々の特性の向上を目的として、必要に応じて充填剤を添加することができる。充填剤としては、特に限定はされないが、通常無機化合物が用いられ、例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられる。また導電性を付与する目的として、カーボン、アルミニウム、銅、金、炭化ケイ素等を添加してもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。粒径や形状の異なるものを混合してもよい。
これら充填剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中において、特に限定されないが、通常1質量%以上、95質量%以下を占める量が用いられる。
(本発明の希釈剤以外の希釈剤)
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の希釈剤以外の希釈剤を含有していても良いが、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物は、本発明の希釈剤を加えることにより粘度が下がり十分な加工性を有することから、本発明の希釈剤以外の希釈剤は使用しないのが好ましい。
(その他の添加剤)
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、その性能を損なわない範囲で、所望の物性を得るための各種添加剤を添加することができ、例えばリン含有化合物等の難燃剤;フェノール系、イオウ系、リン系等の酸化防止剤;ヒンダートアミン等の光安定剤;シランカップリング剤;ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤;ブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等のバインダー樹脂;界面活性剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等の種々の配合剤;等を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、光学材料用エポキシ樹脂組成物として好適であり、LED封止材として特に好適である。
具体的にLED封止材に使用する場合、必要に応じて、蛍光体を添加することができる。蛍光体は、例えば、青色LED素子から発せられた青色光の一部を吸収し、波長変換された黄色光を発することにより、白色光を形成する作用を有するものである。蛍光体を、エポキシ樹脂組成物に予め分散させておいてから、光半導体を封止する。蛍光体としては特に制限がなく、従来公知の蛍光体を使用することができる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物は、放熱材料向けエポキシ樹脂組成物としても好適であるが、その機能性の更なる向上を目的として、上述の各種添加剤に加えて、さらに可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、消泡剤、イオントラップ剤等を含んでいても良い。
<硬化物>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、容易にその硬化物とすることができる。
硬化に際しては、前記エポキシ樹脂(b)、本発明の希釈剤(a)に、必要により前記硬化剤、硬化促進剤、前記充填材、添加剤等とを混合したエポキシ樹脂組成物を得る。
前記エポキシ樹脂組成物の混合方法は特に限定されず、押出機、ニーダ、ロール等を用いることができる。
前記エポキシ樹脂組成物を均一になるまで充分に混合した後、その樹脂組成物を成型する。成型手段は特に限定されず、ポッティング、溶融後(液状の場合は溶融不要)注型、又はトランスファー成型機等を用いて成型することができる。
硬化温度は特に限定されないが、通常80〜200℃である。
硬化時間は特に限定されないが、通常2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物を、必要に応じて、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させてワニスとし、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙等の基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上であって、通常70質量%以下を占める量を用いる。また液状組成物であれば、そのまま例えば、RTM(Resin Transfer Molding)成形により、カーボン繊維を含有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物は、フィルム型組成物の改質剤としても使用できる。具体的には、Bステージにおけるフレキ性等を向上させる場合に用いることができる。このようなフィルム型の樹脂組成物を得る場合は、このようなフィルム型の樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂組成物を前記ワニスとして剥離フィルム上に塗布し、加熱下で溶剤を除去した後、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤として得られる。このシート状接着剤は多層基板等における層間絶縁層として使用することができる。
硬化物のTgは、特に限定されるものではなく、前記エポキシ樹脂(b)と本発明の希釈剤(a)との比率によって適宜調整可能であるが、通常140℃以上、好ましくは160℃以上であり、上限は通常、前記エポキシ樹脂(b)のTgであり、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下である。
本発明の希釈剤のTgが高いため、得られる硬化物は、前記エポキシ樹脂(b)が有するTgを著しく低下させることがなく、耐熱性を保持することができる。
本発明の希釈剤は、硬化後の黄色劣化性が小さい。そのため前記エポキシ樹脂組成物を硬化させた場合も、硬化物の黄色劣化性を低下させることがない。
本発明の硬化物は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途に用いることができ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止材の他、封止材、基板用のシアネート樹脂組成物、レジスト用硬化剤としてアクリル酸エステル系樹脂等、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、例えば、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止材としては、例えば、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI等用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB(Chip On Board)、COF(Chip On Film)、TAB(Tape Automated Bonding)等用のポッティング封止、フリップチップ等用のアンダーフィル、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)等用のICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)等が挙げられる。
上述の用途の中でも、本発明の希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物は、低粘度であることから、成型加工時の低粘度化が求められる用途に対しての利用が好適であり、該硬化物が高耐熱性、強度、低線膨張性等を有することが特徴であることから、特に、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等の半導体材料向け用途がさらに好適である。
上述の通り、エポキシ樹脂組成物には、樹脂硬化物の熱伝導率を向上させたり、熱膨張係数を低下させたりするなど、種々の特性の向上を図る目的で、充填剤を添加することができる。特に、パワーデバイス向け材料では、エポキシ樹脂で硬化物の耐熱性を持たせ、熱伝導率の高い充填剤の添加により放熱性を向上させる方法が広く知られている一方で、充填剤の配合量が増大すると組成物の粘度が高くなり、成型加工性が悪化する。つまり充填剤の配合量は液状成分の粘度に制約を受けるため、エポキシ樹脂組成物は耐熱性に加えて、より低粘度であることが求められる。本発明の希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物は、既存の希釈剤を混合した場合と同程度の粘度を有しながら、得られる硬化物は主材料であるエポキシ樹脂(b)の耐熱性を損なうことが無いため、パワーデバイス向けの材料に特に好適である。
なおここで「パワーデバイス」とは、具体的には多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板、放熱シートである。
また、本発明の希釈剤は透明性にも優れていることから光学材料向けエポキシ樹脂の希釈剤としての使用することもできる。ここで「光学材料」とは具体的には光学レンズ、光ディスク、フラットパネルディスプレイに用いられる導光板や各種フィルムであり、特に、本発明の希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物の硬化物は主材料であるエポキシ樹脂(b)の耐熱性を損なうことが無いことから、光半導体部材向けの使用が好適である。また、LED封止材向けエポキシ樹脂として、低黄色劣化性の観点から一般に脂肪族エポキシ樹脂が使用されるが、本発明の希釈剤のうち、一般式(1)、(2)のL、L、A、Bが置換基を含めて全て脂肪族有機基である場合、希釈剤自体も脂肪族エポキシ樹脂となる。よってこれらはLED封止材向けエポキシ樹脂の希釈剤として使用するのがさらに好適であり、これを含むエポキシ樹脂組成物は、LED封止材向けエポキシ樹脂組成物として好適である。
封止方法としては一般的な方法で実施すればよく、低圧トランスファー成形法が挙げられるが、射出成形、圧縮成形、注型、ポッティング、キャスティング、スクリーン印刷等により封止することもできる。成形時及び/または成形後の硬化条件は、エポキシ樹脂組成物の各成分の種類や、配合量により異なるが、通常、硬化温度は50〜200℃、硬化時間は1分〜10時間が好ましい。
前記LED封止材向け希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物、すなわちLED封止材向けエポキシ樹脂組成物は、これを用いてLED発光素子を封止することで、LED装置に適用することができる。
前記LED発光素子としては特に限定されず、従来公知の発光素子を用いることができ、例えばGaN、InGaN等の窒化物系LEDを用いた発光素子等を用いることができる。
前記LED装置としては、従来公知の装置構成を用いることができ、特に限定はされないが、前記LED封止材向け希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物を封止材として含み、例えば前記LED発光素子、発光素子に形成された電極部、前記電極部を電気接続するための
リード端子部、これらを装置内に固定するダイボンド部等を必要に応じて有することができる。
以下、実験例(合成例、実施例)に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実験例により限定されるものではない。
実施例中の資材は断りのない限り通常入手可能な市販試薬を用いた。また、実施例及び比較例における各種分析方法は以下の通りである。
H−NMR分析条件)
装置 :BRUKER社製 AVANCE400、400MHz
溶媒 :0.03体積%テトラメチルシラン含有重クロロホルム
(以下、ガスクロマトグラフ(GC)分析条件1とする)
(ガスクロマトグラフ分析条件)
カラム :ZB−5(30m×0.25mmφ、0.25μm)
検出器 :水素炎イオン検出器(FID)
Inj温度:250℃
Det温度:280℃
昇温条件 :100℃から10℃/minで270℃まで昇温後、5分間保持した。
(以下、GC分析条件2)
カラム :ZB−1(30mx0.25mmφ、0.25μm、島津ジーエルシー製)検出器 :水素炎イオン検出器(FID)
Inj温度:250℃
Det温度:280℃
昇温条件 :100℃で5分間保持した後、10℃/minで250℃まで昇温し、さらに5分間保持した。
(エポキシ当量)
JIS K7236:2001に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
(粘度分析)
分析装置:コーンプレート粘度計(東海八神株式会社製)
70℃に調整した粘度計の熱板の上に3mLのスポイトで吸引したエポキシ樹脂を1滴滴下して、回転速度750rpmで粘度を測定した。
(ガラス転位温度(Tg)および線膨張係数(α、α)の測定)
エポキシ樹脂硬化物を厚さ約2mm、直径約7mmの円柱状試験片として測定を行なった。
分析装置(TMA):EXSTAR6000E(セイコーインスツルメント社製)
測定モード:圧縮モード
昇温速度 :5℃/minで2回、測定温度範囲: 0℃から250℃
2回目の測定におけるガラス転移温度を測定した。
(YI(Yellowness Index)の測定)
樹脂硬化物を厚さ約2mm、一片約6cmの板状試験片として測定を行なった。
分析装置:日本電色工業株式会社 Color Meter ZE2000
(耐熱劣化試験)
厚さ約2mm、一片約6cmの四角柱状のエポキシ樹脂硬化物を、オーブン中に150
℃で96時間放置した後、オーブンから取り出し、エポキシ硬化物を室温に冷却した後、YIおよび光線透過率の測定に用いた。
(耐UV劣化試験)
厚さ約2mm、一片約6cmの四角柱状のエポキシ樹脂硬化物に、メタリイングバーチカルウェザーメーター(スガ試験機社製)を使用して、照射強度0.4kW/m2、ブラックパネル温度63℃の条件で96時間紫外線照射した後、メタリイングバーチカルウェザーメーターから取り出し、エポキシ硬化物を室温に冷却した後、YIおよび光線透過率の測定に用いた。
(光線透過率の測定)
樹脂硬化物を厚さ約2mm、一片約6cmの板状試験片として測定を行った。
測定装置:日立 分光光度計 UV Solution U−2010(Spectro
photometer)
波長:400nm
(合成例1)3−ブテン−1,2−ジオールジアリルエーテルの合成
Figure 2016000801
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた200mLの3口フラスコを窒素置換した後に、3−ブテン−1,2−ジオール5.0g(56.7mmol、三菱化学社製、GC純度95.5%(Area))、テトラヒドロフラン25mL、n−テトラブチルアンモニウムブロマイド0.5g(1.6mmol、東京化成工業社製)、アリルブロマイド17.2g(142.1mmol、東京化成工業社製)及び顆粒状水酸化ナトリウム6.8g(170mmol)を加え、内温60℃で4.5時間反応させた。反応終了後、イオン交換水20mLを加えた後、ヘキサン75mLで抽出を行った。その後有機層をイオン交換水20mLで5回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し透明液体の生成物6.1g(36mmol、収率64%)を得た。(GC分析条件1)で分析したところ、3−ブテン−1,2−ジオールジアリルエーテルのGC純度は98.3%(Area%)だった。また、H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR]δ=3.47ppm(1H,dd,J=4.6,10.4Hz)、3.53ppm(1H,dd,J=6.6,10.4Hz)、3.92−4.13ppm(5H,m)、5.15−5.20ppm(2H,m)、5.25−5.33ppm(4H,m)、5.75ppm(1H,dd,J=7.1,10.4Hz)、5.86−5.97ppm(2H,m)
(合成例2)3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルの合成
Figure 2016000801
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、合成例1で合成した3−ブテン−1,2−ジオールジアリルエーテル20.0g(119mmol)、クロロホルム400mLを加え、内温40℃〜45℃に調整しながら、純度約65%のm−クロロ過安息香酸(東京化成社製)110.43g(約416mmol)を30分ごとに8分割して加えた。内温40〜45℃に保ちながら11時間反応させた。トリエポキシ化合物とジエポキシ化合物のGC面積比が91.8:8.2となった。
反応終了後、ジクロロメタン100mLを追加して室温に戻した後、セライト40.0gを水120mLに懸濁させて加え、15分撹拌した。続いてこの反応液中の不溶物をセライトで濾別し、残渣をジクロロメタン40mLと水200mLで洗浄した。洗浄液と濾液を混合した中に、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液30mLを反応系に内温19〜25℃の範囲で滴下した。室温で1時間撹拌した後に有機層と水層を分離し、水層をクロロホルム40mLを用いて再抽出した。これらの有機層を合わせて、1N水酸化ナトリウム水溶液40mLで3回洗浄した。次に3回分の水層を合わせてクロロホルム40mLを用いて再抽出した。これらの有機層を合わせて更に飽和塩化ナトリウム水溶液40mLで2回洗浄した。続いて2回分の水層を合わせてクロロホルム40mLを用いて再抽出した。これらの有機層を合わせて溶媒を留去し、透明粘性液体として3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルとそのジエポキシ化合物を含む混合物(以下、これを粗3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルと呼ぶ)を得た。同様の操作を繰り返し実施し、3−ブテン−1,2−ジオールジアリルエーテル40.0g(238mmol)分に相当する粗3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルを得た。
これをカラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 400g、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1、粗3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルにトリエチルアミン2mLを添加して展開)にて精製し、3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテル23.7g(109mmol)を得た。収率は46%だった。(GC分析条件2)で分析したところ、3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルのGC純度は98.2%(Area%)であり、ジエポキシ化合物のピークは観察されなかった。H−NMRの測定では、合成例1の生成物に含まれていたトリオレフィン由来のオレフィンのピークは観察されなかった。得られたH−NMRのチャートを図1に示した。また、得られた3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルの粘度は70℃で2cPであり、エポキシ当量は75g/当量であった。また、得られた3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルのエポキシ当量/トリエポキシ化合物の理論エポキシ当量は1.0であった。
(合成例3)3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルの合成
Figure 2016000801
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、合成例1で合成した3−ブテン−1,2−ジオールのジアリルエーテル5.0g(27.0mmol)、クロロホルム50mLを加え、内温40℃〜45℃に調整しながら、純度
約65%のm−クロロ過安息香酸(東京化成工業社製)24.9g(約93.8mmol)を分割して加えた。内温40〜45℃に保ちながら8時間反応させた。GC分析により、トリエポキシ化合物が85.0%(Area%)、ジエポキシ化合物が15.0%(Area%)観測された。
反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液6mLを反応系に内温45℃以下になるように少量ずつ加えた後、析出した不溶物をセライトで濾別した。得られたろ液を1N水酸化ナトリウム水溶液20mLで3回洗浄し、更に水20mLで洗浄後、溶媒を留去し透明粘性液体として粗3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルを得た。
これを、カラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 200g、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2、粗3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルにトリエチルアミン4mLを添加して展開)にて精製し、3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルをジアステレオマー混合物として3.50g(16.1mmol)を得た。収率は61%であった。(GC分析条件1)で分析したところ、GC純度は96.5%(Area%)であり、ジエポキシ化合物のピークは観察されなかった。H−NMRの測定では、合成例2と同様のピークが観測された。得られた3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルの粘度は70℃で2cPであり、エポキシ当量は74g/当量であった。また得られた3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルのエポキシ当量/トリエポキシ化合物の理論エポキシ当量は1.0であった。
(合成例4)cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルの合成
Figure 2016000801
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、cis−2−ブテン−1,4−ジオール2.0g(23mmol、東京化成工業社製)、テトラヒドロフラン20mL、N,N−ジメチルアセトアミド2.0mL、n−テトラブチルアンモニウムブロマイド0.73g(2.3mmol、東京化成工業社製)、顆粒状水酸化ナトリウム2.7g(68mmol)を加え、内温40℃に加温した。これにエピクロロヒドリン5.9g(64mmol、和光純薬社製)を3回に分割して添加し、内温40〜45℃で5時間反応させた。反応終了後、水10mLで2回洗浄し、更に酢酸エチル10mLを加えた後、水10mLで1回洗浄し、溶媒を留去し、cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルを含む黄色液体(以下、粗cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルという)5.2g得た。(GC分析条件1)で分析したところ、GC純度76.6%(Area%)、収率87%であった。
この粗cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルのうち、4.0gをカラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 100g、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)にて精製し、cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルを1.8g得た。H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR]δ=2.61ppm(2H,dd,J=2.5,4.8Hz)、2.80ppm(2H,dd,J=4.3,5.0Hz),3.13−3.18ppm(2H,m),3.38ppm(2H,dd,J=5.8,11.4Hz),3.75ppm(2H,dd,J=3.0,11.6Hz)、4.08−4.19ppm(4H,m)、5.
70−5.79ppm(2H,m)
(合成例5)cis−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの合成
Figure 2016000801
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、合成例4で合成した粗cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテル1.0g(3.8mmol)、クロロホルム10mLを加え、内温40℃〜45℃に調整しながら、純度約65%のm−クロロ過安息香酸1.6g(約6.0mmol、東京化成工業社製)を2分割して加えた。内温40〜45℃で3時間反応させた。
反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液2mLを反応系に内温45℃以下になるように少量ずつ加えた後、析出した不溶物をセライトで濾別した。得られたろ液を1N水酸化ナトリウム水溶液3mLで3回洗浄し、更に水3mLで洗浄後、溶媒を留去しcis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルを含む黄色液体(以下、粗cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルという)を得た。透明液体を得た。
これを、カラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 100g、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2、粗cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルにトリエチルアミン1mLを添加して展開)にて精製し、ジアステレオマー混合物としてcis−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを0.29g(1.3mmol)得た。(GC分析条件1)で分析したところ、GC純度は98%(Area%)、収率34%であった。H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR]δ=2.57−2.69ppm(2H,m)、2.77−2.84ppm(2H,m)、3.13−3.28(4H,m)、3.34−3.41、3.46−3.53(2H,m)、3.52−3.64(2H,m)、3.72−3.92(4H,m)
また、得られたcis−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの粘度は70℃で2cPであり、エポキシ当量は84g/当量であった。また、得られたcis−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのエポキシ当量/トリエポキシ化合物の理論エポキシ当量は1.2であった。
(合成例6)trans−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルの合成
Figure 2016000801
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた300mLの反応容器を窒素置換した後に、trans−2−ブテン−1,4−ジオールを8.70g(98.3mmol)、cis−2−ブテン−1,4−ジオールを1.30g(14.5mmol)含む2−ブテン−1,4−ジオール10.0g(113mmol、三菱化学社製)、テトラヒドロフラン100mL、N,N−ジメチルアセトアミド10mL、n−テトラブチルアンモニウムブロマイド3.66g(11.4mmol、東京化成工業社製)、顆粒状水酸化ナトリウム3.62g(341mmol)を加え、内温48℃に加温した。これにエピクロロヒドリン29.4g(317mmol)を5回に分割して添加し、内温45〜48℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液を室温に戻し、析出した固体を濾別し、固体は酢酸エチル20mLで洗浄し、洗浄液と濾液を混合した。この液を飽和塩化ナトリウム水溶液30mLで2回洗浄し、分液した水層を酢酸エチル20mLで再抽出した。これらの有機層を合わせて無水硫酸ナトリウム10gを加えて乾燥させ、硫酸ナトリウムを濾別した後、溶媒を留去し、trans−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルを含む黄色液体(以下、粗trans−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルという)を得た。同様の操作を繰り返し実施し、trans−2−ブテン−1,4−ジオール26.1g(295mmol)分に相当する粗trans−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルを得た。この黄色液体をカラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 500g、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/1→1/2にて精製し、2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルをtrans体とcis体の混合物として29.0gを含む酢酸エチル溶液を得た。(GC分析条件1)で分析したところ、酢酸エチルを除くtrans−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルのGC純度は81.3%(Area%)、混合物としての収率は42.6%だった。H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR]δ=2.62ppm(2H,dd,J=2.5,4.8Hz)、2.80ppm(2H,dd,J=4.3,4.8Hz),3.15−3.18ppm(2H,m)、3.40ppm(2H,dd,J=5.8,11.4Hz),3.74ppm(2H,dd,J=3.0,11.6Hz)、4.05−4.10ppm(4H,m)、5.82−5.84ppm(2H,m)
(合成例7)trans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの合成
Figure 2016000801
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた500mLの反応容器を窒素置換した後に、合成例6で合成した2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルのtrans体とcis体の混合物15.0g(75.0mmol)、クロロホルム10mLを加え、内温40℃〜45℃に調整しながら、純度約65%のm−クロロ過安息香酸23.9g(約90.0mmol)を4分割して加えた。内温40〜45℃で4時間反応させた。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液30mLを反応系に内温が45℃以下になるように少量ずつ加えた後、析出した不溶物をセライトで濾別した。得られた濾液を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液30mLで1回洗浄し、分液した水層を酢酸エチル15mLで再抽出した。これらの有機層を合わせて1N水酸化ナトリウム水溶液30mLで2回洗浄し、分液
した水層を酢酸エチル15mLで再抽出した。これらの有機層を合わせて更に飽和塩化ナトリウム水溶液15mLで2回洗浄後、分液した水層を酢酸エチル15mLで再抽出した。これらの有機層を合わせて溶媒を留去した後、trans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを含む薄黄色液体(以下、粗trans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルという)を得た。これを、カラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 150g、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2、粗trans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルにトリエチルアミン1mLを添加して展開)にて精製し、ジアステレオマー混合物として2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル9.86g(45.6mmol)を白色ろう状固体として得た。(GC分析条件1)で分析したところ、混合物としてのGC純度は93%(Area%)、収率は61%だった。H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR]δ=2.62ppm(2H,dd,J=2.8,5.0Hz)、2.80ppm(2H,dd,J=0.8,4.3Hz),3.08−3.14ppm(2H,m),3.15−3.19ppm(2H,m)、3.43ppm(2H,ddd,J=6.0,11.6,17.9Hz),3.52ppm(2H,ddd,J=5.6,11.8,26.5Hz)、3.79−3.88ppm(4H,m)3.53(2H,m)、3.52−3.64(2H,m)、3.72−3.92(4H,m)
また、H−NMRの測定の結果、trans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを8.96g(41.4mmol)含んでいたことから、trans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルとしては、合成例6と合成例7の通算収率が27%だった。
また、得られたtrans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの粘度は70℃で2cPであり、エポキシ当量は82g/当量であった。また得られたtrans−2,3−エポキシ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのエポキシ当量/トリエポキシ化合物の理論エポキシ当量は1.1であった。
(樹脂X)1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(三菱化学社製 YED216D)
(樹脂Y)水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製 YX8000)
(樹脂Z)3‘,4‘−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキ
サンカルボキシレート(ダイセル社製 セロキサイド2021P)
(実施例1〜5、比較例1〜3)エポキシ樹脂組成物の硬化
下記表1に示す配合比で、エポキシ樹脂(希釈剤(a)及びエポキシ樹脂(b))と、硬化剤として4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30(MH−700 商品名、新日本理化社製 酸無水物当量165g/当量)を、40℃で均一になるまで混合し、続いて硬化促進剤としてメチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート(日本化学工業社製 ヒシコーリン(登録商標)PX−4MP)を添加し、攪拌、溶解してエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を減圧下で脱泡した後、各評価試験の試験片作製用の型の中に流し込み、オーブン中にて100℃で3時間、次いで140℃で3時間硬化させ透明な硬化物を得た。
表1に、エポキシ樹脂及びその硬化物の物性評価結果を示した。
Figure 2016000801
比較例1で用いた樹脂Xは、従来エポキシ樹脂組成物の低粘度化希釈剤として用いられているものである。比較例2及び3で用いた樹脂Y、Zは、従来LED封止材等の光学材料用エポキシ樹脂として一般的に用いられているものである。
実施例1〜4と比較例1を対比すると、本発明の希釈剤は、従来の希釈剤と同等の低粘度性を有しながらも、硬化物が極めて高いTgを示すことが分かった。これは本発明の希釈剤となるエポキシ樹脂が、分子量が小さく低粘度でありながら、その小さい一分子内に3つのエポキシ基を有し、またエポキシ当量が小さいために、硬化により密なネットワークが形成されるためだと考えられる。このことから、本発明の希釈剤を使用すると、従来の希釈剤を使用した場合より、硬化物のTgの高く維持できると考えられる。
さらに、実施例5では、比較例2で用いた樹脂Yに本発明の希釈剤を加えることによって、樹脂Y単独の時よりも粘度が大幅に低下しているが、硬化物のTgは変わらないことが示された。
また、実施例3及び4と比べると、実施例1及び2のTgが高いことが分かった。これは、各エポキシ樹脂が有するエポキシ基が、実施例1及び2は末端に2つと内部に1つあるのに対し、実施例3では3つとも末端に位置していることから、より硬化時の反応性が高いことが一因と考えられる。
実施例1〜4の硬化物のTgは、比較例2と同等又はそれ以上であり、比較的高いことがわかった。また、実施例1〜4の希釈剤の粘度は、樹脂Y、Zの粘度より低かった。従って、樹脂X、Yに本発明の希釈剤を添加すると、粘度を低くできると共に、硬化物のTgも高く維持できると考えられる。
以上の結果から、本発明の希釈剤をエポキシ樹脂の希釈剤として用いれば、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物は、耐熱性を損なうことなく、粘度を低くすることが可能となり得る。よって本発明のエポキシ樹脂組成物は、成型加工性が求められる半導体用途として好適である。
表2に実施例2、比較例2,3で得られた硬化物に対し、光学材料として求められる物性の評価結果を示した。
その結果、実施例2の硬化物は、Tgより高い温度領域(α2)での線膨張係数が低く、従来のエポキシ樹脂と比較しても低いことが分かった。
Figure 2016000801
以上の結果から、本発明の希釈剤をエポキシ樹脂に混合すれば、エポキシ樹脂組成物の低粘度化が可能となり、成型加工性を向上させることができる。また、硬化物はエポキシ樹脂の耐熱性を損なわないだけでなく、線膨張係数が低いことから、クラックの少ない、高い信頼性を有する封止材であると言える。よって半導体封止剤への使用が期待されるが
、本希釈剤は脂肪族エポキシ樹脂でもあるため黄色劣化性が低く、特にLEDの封止剤に代表される光学材料用途にも好適である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。その用途の一例としては、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられる。

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)及び(2)から選ばれる少なくとも一方で表される構造を有することを特徴とするエポキシ樹脂用希釈剤。
    Figure 2016000801
    Figure 2016000801
    (式(1)、式(2)中、L及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の有機基を示し、A及びBは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の有機基を示す。但し、L及びL上の置換基は、それぞれA及びBと環を形成していてもよく、3つのエポキシ環のうちの1つがエポキシ環の代わりに炭素−炭素二重結合を形成していてもよい。)
  2. 前記式(1)、式(2)中のA及びBが水素原子である、請求項1に記載のエポキシ樹脂用希釈剤。
  3. 前記式(1)、式(2)中のL及びLが−(CH−(但し、nは1〜14の整数を示す。)で表わされるアルキレン基である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂用希釈剤。
  4. 前記nが1である、請求項3に記載のエポキシ樹脂用希釈剤。
  5. 前記希釈剤の理論エポキシ当量に対する前記希釈剤のエポキシ当量の比が1.0以上、1.2以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用希釈剤。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用希釈剤(a)と、該エポキシ樹脂用希釈剤(a)以外のエポキシ樹脂(b)とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  7. さらに硬化剤を含む、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. さらに充填剤を含む、請求項6または7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 前記エポキシ樹脂用希釈剤(a)のL及びLが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜14の2価の脂肪族基であり、かつA及びBが、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の脂肪族基である、請求項6から8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 前記エポキシ樹脂(b)が、脂肪族型エポキシ樹脂である、請求項6から9のいずれか
    1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 前記エポキシ樹脂(b)が、芳香族基を有するエポキシ樹脂である、請求項6から9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 請求項6から11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いた光学材料用エポキシ樹脂組成物。
  13. 請求項6から10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いたLED封止材用エポキシ樹脂組成物。
  14. 請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物を用いた放熱材料用エポキシ樹脂組成物。
  15. 請求項6から14のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  16. 請求項13に記載のエポキシ樹脂組成物によりLEDチップが封止されているLED装置。
  17. 請求項14に記載のエポキシ樹脂組成物を用いた放熱材料。
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