JP6248526B2 - 新規エポキシ化合物 - Google Patents
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即ち、本発明の要旨は、下記の(1)〜(12)に存する。
(1)下記一般式(1)で表わされるエポキシ化合物。
(2)下記一般式(2)で表わされるエポキシ化合物。
(3)上記式(1)および式(2)中のAおよびBが水素原子である(1)又は(2)に記載のエポキシ化合物。
(4)上記式(1)および式(2)中のL1およびL2が−(CH2)n−(但し、nは1〜14の整数を示す。)で表わされるアルキレン基である(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ化合物。
(5)上記−(CH2)n−中のnが1である(4)に記載のエポキシ化合物。
(6)ブテンジオールの水酸基と炭素−炭素二重結合を有する有機基を連結して合成したトリオレフィン化合物を酸化することを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
(7)酸化が、塩基の存在下、ニトリルと過酸化水素水溶液で行われることを特徴とする(6)に記載の製造方法。
(8)酸化が、タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液で行われることを特徴とする(6)に記載の製造方法。
(9)トリオレフィン化合物が下記一般式(3)又は下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)(6)〜(9)のいずれかに記載の製造方法により得られるエポキシ化合物。
(11)(1)〜(5)、(10)のいずれかに記載のエポキシ化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(12)(11)に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
〔1〕エポキシ化合物
本発明のエポキシ化合物は、後述するエポキシ化合物の製造方法により得られる下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される構造を有する。
L1およびL2における「炭素数1〜14の2価の有機基」が有していてもよい置換基としては、本発明のエポキシ化合物の優れた物性を大幅に損ねるものでなければ特に制限はないが、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子、チオール基、チオエーテル基、アルコキシフェニル基、有機珪素基が挙げられる。これらの中で、原料の入手が容易な観点からアルキル基、アリール基、水酸基が好ましい。また、これらの置換基は更に置換基を有していてもよく、この置換基としても炭素数1〜14の上記のような有機基が挙げられる。
AおよびBにおける「炭素数1〜8の1価の有機基」としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシフェニル基、複素環基、アルコキシ基、アラルキル基、エステル基等が挙げられる。これらの中で、透明性および低粘度性の観点からアルキル基が好ましい。
AおよびBとして好ましいものは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基であり、中でもエポキシ化合物の反応性の観点から、水素原子が特に好ましい。
げられる。また、一般式(2)においても同様に、置換基の炭素数内において員環数に制限はなく、例えば、L1とA、L2とBの一方若しくは両方が結合して、炭素6員環を形成しているものが具体例として挙げられる。
上記一般式(1)および一般式(2)で表される化合物は、それぞれ、3つのエポキシ環を有するトリエポキシ化合物と2つのエポキシ環を有するジエポキシ化合物の混合物であってもよい。
また一般式(1)および(2)で表わされるトリエポキシ化合物およびジエポキシ化合物は、それぞれの光学異性体を含み、ジアステレオマー、エナンチオマーなどその立体異性体であっても良く、これら立体異性体の混合物であっても良い。
ましい。また、低粘度性ならびにエポキシ以外の反応架橋点の観点からジエポキシ化合物が好ましい。なお、本発明のエポキシ化合物の優れた物性を大幅に損ねるものでなければ混合比率に特に制限はないが、透明性の観点からはトリエポキシ化合物の比率が高い方が好ましく、トリエポキシ化合物とジエポキシ化合物の比率は、GC面積%で通常100:0〜60:40であり、製造コストと透明性の両立の面で99:1〜70:30が好ましく、95:5〜80:20がより好ましい。
本発明のエポキシ化合物は、芳香族を有さず、光を吸収しにくいため、硬化物が耐光性を有する。また、一分子内に3つのエポキシ基を有する場合、エポキシ当量が小さいため、硬化により密なネットワークが形成され、高いTgと耐熱性を有する。また、エポキシ当量が小さいため、高い接着性が期待できる。一般式(1)および(2)におけるL1およびL2が官能基を有さない炭素鎖である場合は、硬化物が塩基や水に対して安定で、耐薬品性を有し、吸水性が低い。また本発明のエポキシ化合物が一般式(1)で示され、AおよびBが水素原子である場合は、エポキシ基が末端であるため、硬化反応速度が速い。また本発明のエポキシ化合物は、液状であることから加工性に優れ、また水溶性も有することから加工処理条件が広いという特徴を有する。また、安価で入手容易な工業品を原料として合成することが可能である。
本発明のエポキシ化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えばブテンジオールの水酸基と炭素−炭素二重結合を有する有機基を連結して合成したトリオレフィン化合物を酸化する方法、ブテンジオール、又はブテンジオールに水酸基を有する有機基を連結して得たアルコール化合物にエピクロロヒドリンを作用させ、得られたジエポキシ化合物をさらに酸化する方法等が挙げられる。
先ず、上記のトリオレフィン化合物を酸化する方法(以下において、本発明の製造方法ということがある)を例として製造方法を説明するが、まずこの方法において原料となるトリオレフィン化合物の製造法について説明する。
具体的には、本発明の製造方法は、ブテンジオールの2つの水酸基に、それぞれ独立に炭素−炭素二重結合を有し、かつ炭素数1〜14の2価の有機基(本発明のエポキシ化合物におけるL1、L2をさす)を2つ連結し、トリオレフィン化合物を製造する。このとき前記の炭素−炭素二重結合は、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の有機基(本発明のエポキシ化合物における置換基A,Bに相当する)を有していてもよい。
と2-ブテン−1,4−ジオールの混合物を用いてもよい。
Xがアシルオキシ基の場合、得られるエポキシ化合物中のハロゲン含有量が少なくなる点でさらに好ましい。
モニウムヒドロキシド;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基等の塩基性化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
また上記水酸基のエーテル化反応は、特にXが水酸基、アシルオキシ基、アルキルカーボネート基等の場合は、パラジウム、ルテニウム等の遷移金属触媒の存在下で行なってもよく、有機リン化合物や含窒素有機化合物等を配位子としてさらに加えてもよい。
反応は、通常、ブテンジオールとエーテル化反応試薬を溶媒に溶解させ、0〜100℃、好ましくは40℃〜80℃で、数分〜数十時間、好ましくは5分〜10時間反応させることにより行われる。
(M1)反応式(12)のように、ブテンジオールが有する水酸基とカルボン酸誘導体等のカルボニル基を含む一般式(10)、(11)で表される化合物(エステル化反応試薬)を、塩基の存在下に反応させる方法(方法M1)
(M2)反応式(15)のように、ブテンジオールが有する水酸基とカルボン酸誘導体等のカルボニル基を含む一般式(13)、(14)で表される化合物(エステル化反応試薬)を縮合剤の存在下に反応させる方法(方法M2)
方法M1について説明する。
この方法で用いるエステル化反応試薬(カルボン酸誘導体)としては、酸ハロゲン化合物、酸無水物、アミド化合物、エステル化合物等が挙げられる。これらの中でも入手の容易さと反応性の観点から、酸ハロゲン化物が好ましい。
反応溶媒は、上記の反応が十分な反応速度で進行するものであれば任意であるが、通常、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系
溶媒又はベンゾニトリル、アニソールといった芳香族溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等が好ましい。溶媒の使用量は、目的とするエステル化反応が十分な反応速度で進行するものであれば任意だが、通常、原料ブテンジオールの質量(g)に対する溶媒の体積(mL)の割合が、1〜100mL/gとなる溶媒量が好ましい。
縮合剤としては特に限定されないが、例えば、DCC(N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド)、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、HATU(O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩)、DPPA(ジフェニルリン酸アジド)等の市販の一般的な試薬をそのまま使用することができる。また、活性化剤としてジメチルアミノピリジン等を添加してもよい。
したものを同様に適用できる。
かくして得られるトリオレフィン化合物の中で、下記一般式(3)、一般式(4)で表される化合物が特に好ましい。
上記一般式(3)で示されるトリエポキシ化合物は、AおよびBが有機基の場合、両端の二重結合部位におけるシス−トランス両異性体を含む。また上記一般式(4)で示されるトリエポキシ化合物およびジエポキシ化合物は、中央の炭素−炭素二重結合、ならびにAおよびBが有機基である場合、各炭素−炭素二重結合部位におけるシス−トランス両異性体を含む。
上記したトリオレフィン化合物を酸化することにより、本発明のエポキシ化合物を得ることができる。
反応に用いる塩基としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が使用されるが、これらの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸アルカリ金属塩、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等の硫酸アルカリ金属塩、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中で、反応性の観点から炭酸アルカリ金属塩が好ましく、特に炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
、特にメタノールが好ましい。
上記のとおり、方法M3では、塩基の存在下、ニトリルと過酸化水素水溶液でトリオレフィン化合物を酸化してエポキシ化合物を生成させる。これらの化合物の添加順序は特に限定されないが、通常の反応では、まずトリオレフィン化合物、塩基、ニトリルを反応溶媒中で混合し、混合物の温度に注意しながら過酸化水素水を滴下し、撹拌する。その後、必要に応じて、ニトリルと過酸化水素を導入してもよい。反応後、水洗、残存した過酸化水素をクエンチ、濃縮等の通常の操作を行ってエポキシ化合物を得る。
方法M3では、塩基性条件で酸化を行うことができるため、エポキシ基の開環反応を抑制することができ、高選択性を維持したままジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物を合成することができる。
反応に用いるタングステン酸類としては、例えば、タングステン酸;12−タングストリン酸、18−タングストリン酸等のリンタングステン酸、12−タングストホウ酸等のホウタングステン酸、12−タングストケイ酸等のケイタングステン酸およびその塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。また、これらの塩のカウンターカチオンとしては、4級アンモニウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオンが挙げられる。
タングステン酸類の使用量は特に限定されないが、トリオレフィン化合物の炭素−炭素二重結合1当量に対して、触媒金属原子換算で、好ましくは0.001当量以上、より好ましくは0.005当量以上、更に好ましくは0.01当量以上であり、また、好ましくは5当量以下、より好ましくは3当量以下、より好ましくは1当量以下である。使用量が0.001当量より少ないと、反応が十分に進行せず、使用量が5当量よりも多いと、タングステン酸類の除去が困難となる傾向がある。
具体的には、トリデカニルメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリヘキサデシルメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、トリセチルメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
い。
;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等のウレア類;水およびこれら溶媒の混合物が挙げられる。これらの中で、水、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、およびこれら溶媒の混合物が好ましく、反応および後処理工程で安定であり、反応温度より高い沸点を有する水およびトルエンがさらに好ましい。
有機溶媒の使用態様としては、特に限定されるものではないが、反応に用いるトリオレフィン化合物が反応条件下で液状である場合には、溶媒を使用しなくてもよい。トリオレフィン化合物が固体である場合は、溶媒に溶解していても、懸濁状態でもよいが、通常、反応温度条件下で溶媒に溶解していることが好ましい。
方法M4において反応温度は、反応が阻害されない限り特に限定されないが、通常10℃〜90℃、好ましくは35℃〜80℃、更に好ましくは60℃〜75℃である。前記下限未満では反応速度が遅くなる場合があり、前記上限超過では安全上の観点で好ましくない場合がある。
上記のとおり、方法M4では、タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩と過酸化水素水溶液でトリオレフィン化合物を酸化してエポキシ化合物を生成させる。これらの化合物の添加順序は特に限定されないが、通常の反応では、まずトリオレフィン化合物、タングステン酸類の存在下、4級アンモニウム塩、リン酸類等の添加物を反応溶媒中で混合し、混合物の温度に注意しながら過酸化水素水を滴下し、撹拌する。反応後、水洗、残存した過酸化水素をクエンチ、濃縮等の通常の操作を行ってエポキシ化合物を得る。
方法M4では、水相と有機相の分離した二層系での反応系で行うことができるため、エ
ポキシ基の開環反応を抑制することができ、高選択性を維持したままジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物を合成することができる。
次に、(M5)有機過酸を用いて酸化する方法(方法M5)について説明する。反応に用いる有機過酸類としては、過酢酸、過プロピオン酸、m-クロロ過安息香酸、過安息香
酸、過フタル酸等が挙げられるが、このうち過酢酸、m-クロロ過安息香酸が好ましく、
工業的に安価で液体で取扱いやすいことから過酢酸が更に好ましい。
本発明のトリエポキシ化合物は、上記ジエポキシ化合物を、別の方法で合成し、これを更に酸化する方法でも製造できる。即ち、ブテンジオール、又はブテンジオールに水酸基を有する有機基を連結して得たアルコール化合物を、グリシジルエーテル化することでジエポキシ体を得て、さらに分子内のオレフィンを酸化する方法でも製造できる。
エピクロロヒドリンを作用させ、アルコール化合物にエポキシ基を導入する方法としてはSynthesis(1985)、(6−7)、649−51等に記載の公知の方法、条件が使用できる。
またブテンジオールに水酸基を有する有機基を連結して得たアルコール化合物を得る方法としては、Journal of Combinatorial Chemistry(2001),3,(2),154−156に記載のハロアルコールや特開平06−329571に記載のエチレンオキサイドを反応させる等の公知方法を使用することができる。
エポキシ樹脂組成物とは、硬化物とした際に該硬化物中に含まれる有機物および無機物の原料となる、エポキシ樹脂を含む混合物の総体を意味する。エポキシ樹脂とは官能基としてエポキシ基を含む化合物の単体もしくは混合物を意味する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、上記した本発明のエポキシ化合物を含有することに特徴をもつものである。また、本発明の硬化物は、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られるものである。
本発明の樹脂組成物1と樹脂組成物2において、本発明のエポキシ化合物は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、全エポキシ樹脂成分(本発明のエポキシ化合物と他のエポキシ樹脂の合計量)中に占める本発明のエポキシ化合物の割合は、任意に設定することができる。
具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロ
メチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物およびこれ
らの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類またはアルコール類から誘導される、それらのグリシジルエーテル化物;脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シルセスキオキサン系のエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基、および/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル社製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業社製)およびジシクロペンタジエンジエポキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物1が含有する硬化剤としては、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物等が挙げられる。
用いうる硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等の含窒素化合物(アミン、アミド化合物);無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等の酸無水物;各種アルコール、カルビノール変性シリコーン、と前述の酸無水物との付加反応により得られるカルボン酸樹脂;フェノール樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナ
フトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物およびこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、テルペンとフェノール類の縮合物等のポリフェノール類;イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体等の化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
本発明の樹脂組成物1において、硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量や硬化剤の種類によっても異なり、特に限定はされないが、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは500質量部以下、より好ましくは350質量部以下である。この範囲外であると、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られないことがある。
上記のエポキシ樹脂硬化剤のうち、特に脂環式酸無水物類、2価フェノール類が耐紫外線性および耐湿性を向上させる点で望ましい。
なお、ここで、本発明のエポキシ樹脂と共に、後述のその他のエポキシ樹脂を併用する場合は、エポキシ樹脂組成物中に含まれる本発明のエポキシ樹脂とその他のエポキシ樹脂との合計である。
硬化促進剤を用いる場合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、通常0.01以上10質量部以下である。
レニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキ
シ化合物、赤リン等が挙げられる。これらの中で、リン酸エステル類、ホスファン類、リン含有エポキシ化合物が好ましく、さらに具体的には、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特
に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
さらに本発明の樹脂組成物1には、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤の使用量は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、通常0.008質量部以上、好ましくは0.01以上であり、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類等が例示される。
さらに本発明の樹脂組成物1には、必要に応じて光安定剤をすることができる。
光安定剤としては、ヒンダートアミン系の光安定剤(以下これを、「HALS」ということがある)が好適である。HALSとしては、例えば、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、ブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
本発明の樹脂組成物1には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられる。また導電性を付与する目的として、カーボン、アルミニウム、銅、金、炭化ケイ素等を添加してもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。粒径や形状の異なるものを混合してもよい。
例えば、本発明のエポキシ化合物と硬化剤並びに必要により硬化促進剤、リン含有化合
物、バインダー樹脂、無機充填材および配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して樹脂組成物を得、その樹脂組成物をポッティング、溶融後(液状の場合は溶融無しに)注型、あるいはトランスファー成型機等を用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物2は酸性硬化触媒を用いて硬化させるものであり、酸性硬化触媒として光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有する。さらに、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよい。また、所望に応じて無機充填材、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤等、各種公知の添加剤を含有してもよい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、金属フルオロホウ素錯塩および三フッ化ホウ素錯化合物(米国特許第3379653号明細書)、ビス(ペルフルアルキルスルホニル)メタン金属塩(米国特許第3586616号明細書)、アリールジアゾニウム化合物(米国特許第3708296号明細書)、VIa族元素の芳香族オニウム塩(米国特許第4058400号明細書)、Va族元素の芳香族オニウム塩(米国特許第4069055号明細書)、IIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート(米国特許第4068091号明細書)、チオピリリウム塩(米国特許第4139655号明細書)、MF6−陰イオンの形のVIb族元素(米国特許第4161478号明細書;Mはリン、アンチモンおよび砒素から選択される。)、アリールスルホニウム錯塩(米国特許第4231951号明細書)、芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩(米国特許第4256828号明細書)、およびビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(Journal of Polymer Science, Polymer Chemistry、第2巻、
1789項(1984年))等が挙げられる。その他、鉄化合物の混合配位子金属塩およびシラノール−アルミニウム錯体も使用することができる。
カチオン重合開始剤の使用量は、エポキシ樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
重合開始補助剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
光増感剤としては、例えば、アントラセン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アクリジン オレンジ、アクリジン イエロー、ホスフィンR、ベンゾフラビン、セトフラビンT、ペリレン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエタノールアミン、トリエチル
アミン等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物2は、各成分を均一に混合することにより得られる。またポリエチレングリコールモノエチルエーテルやシクロヘキサノン、γブチロラクトン等の有機溶剤に溶解させ、均一とした後、乾燥により溶剤を除去して使用することも可能である。
本発明の樹脂組成物2は紫外線照射することにより硬化できるが、その紫外線照射量については、樹脂組成物により変化するため、それぞれの硬化条件によって、決定される。光硬化型樹脂組成物が硬化する照射量であればよく、硬化物の接着強度が良好である硬化条件を満たしていればよい。この硬化の際、光が細部まで透過することが必要であることから、本発明のエポキシ化合物、および樹脂組成物2においては透明性の高いものが望まれる。また、これらエポキシ樹脂系の光硬化では光照射のみでは完全に硬化することが難しく、耐熱性が求められる用途においては光照射後に加熱により完全に硬化を終了させる必要がある。
また、本発明の樹脂組成物2を硬化させて得られる硬化物の形状も用途に応じて種々とりうるので特に限定されないが、例えば、フィルム状、シート状、バルク状等の形状とすることもできる。
い、硬化物を得る。このようにしてプリント配線板を得ることもできる。
その材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。
例えば、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等の液晶用フィルム等の液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またLED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤等である。光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルム等である。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤等である。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤等である。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材、接着剤等である。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤等である。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ
基板等の多層基板の層間接着剤、ワイヤーボンディング用導電性接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)、等の実装用接着剤等が挙げられる。
また実施例中の資材は断りのない限り通常入手可能な市販試薬を用いた。
以下の合成例、実施例において得られた化合物は、1H−NMRおよびガスクロマトグラフ(GC)にて分析し、構造は1H−NMRにより確認した。またGC−MSにて得られた生成物の分子量を求めた。また本発明のエポキシ化合物の耐熱性を評価するため、ガラス転移点(Tg)を求めた。
装置 :BRUKER社製 AVANCE400、400MHz
溶媒 :0.03体積%テトラメチルシラン含有重クロロホルム
(GC分析条件)
カラム :ZB−5(30mx0.25mmφ、0.25μm)
検出器 :水素炎イオン検出器(FID)
Inj温度:250℃
Det温度:280℃
昇温条件 :100℃から10℃/minで270℃まで昇温、5分間保持
(GC/Mass分析条件)
GC装置 :アジレントテクノロジー社製 Agilent7890A Serie
s ガスクロマトグラフ
MS装置 :日本電子社製 JMS−T100GCV
カラム :DB−5 30M×0.25(0.25μ)
イオン化法:EI法およびCI法(反応ガス:アンモニア)
樹脂硬化物を厚さ約2mm直径、約7mmの円柱状試験片として測定を行なった。
熱機械分析装置(TMA):セイコーインスツルメント社製 EXSTAR6000E
測定モード:圧縮モード
昇温速度 :5℃/分で2回、測定温度範囲: 0℃から250℃
2回目の測定における、ガラス転移温度を測定した。
下記反応式(16)に示す反応により、以下の方法で合成を行った。
GC測定の結果、反応主生成物が、リテンションタイム6.1minに98.3(Area%)で観測された。
また、上記反応主生成物の1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
[1H−NMR(CDCl3,400MHz)]
5.90ppm(Ha,2H)、5.75ppm(Ha,1H)、5.30ppm(Hb,4H)、5.20ppm(Hb,2H)、4.03ppm(Hc,5H)、3.50ppm(Hd,2H)
(実施例1)3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルの合成
下記反応式(17)に示す反応により、3,4−エポキシ−1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテルの合成を以下の方法で行った。
GC測定の結果、リテンションタイム14.4minに81.5(Area%)、11.5minに18.5(Area%)で観測された。またGC−MS(CI)測定の結果、14.4minのピークがトリエポキシ体(分子量216)であり、11.5minのピークがジエポキシ体(分子量200)であった。
[1H−NMR(CDCl3,400MHz)]
合成例1で記載した原料である3−ブテン−1,2−ジオールジアリルエーテルのアリル基ピーク(5.0〜6.0ppm)が大幅に減少し、エポキシ基の根元プロトン(2.5〜3.4ppm)が観測された。エポキシ基の根元プロトンを9Hとすると、Hc〜Hdに由来するプロトン(3.4〜4.2ppm)は7.6Hだった(図1参照)。
前記トリエポキシ体の合成を以下の方法で行った。
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの3口フラスコを窒素置換した後に、合成例1で合成した3−ブテン−1,2−ジオールジアリルエーテル1.0g(5.9mmol)、メタノール2.5g(78.0mmol)、アセトニトリル1.5g(36.5mmol)、炭酸ナトリウム0.47g(4.5mmol)を加え、内温40℃に調整しながら、45質量%過酸化水素水2.70g(過酸化水素として35.6mmol)を20分かけて滴下した。滴下終了後は、内温37〜43℃に保ちながら1.5時間反応させた。その後、アセトニトリル1.5g(36.5mmol)と45質量%の過酸化水素水2.70g(過酸化水素として35.6mmol)を1.5時間おきに3回導入した。反応終了後、イオン交換水10mLを加えた後、トルエン25mLで抽出を4回行った。イオン交換水10mL、5質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液15mL、イオン交換水
10mLで有機層を洗浄し、溶媒を留去し透明粘性液体としてトリエポキシ体、ジエポキシ体の混合物を0.15g得た。
GC測定の結果、リテンションタイム14.4minにトリエポキシ体として77.4(Area%)、11.5minにジエポキシ体として22.6(Area%)で観測された。
前記トリエポキシ体の合成を以下の方法で行った。
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの3口フラスコを窒素置換した後に、合成例1で合成した3−ブテン−1,2−ジオールのジアリルエーテル1.0g(5.9mmol)、メタノール2.5g(78.0mmol)、アセトニトリル1.5g(36.5mmol)、無水ケイ酸ナトリウム0.54g(4.5mmol)を加え、内温40℃に調整しながら、45質量%過酸化水素水2.70g(過酸化水素として35.6mmol)を20分かけて滴下した。滴下終了後は、内温37〜43℃に保ちながら1.5時間反応させた。その後、アセトニトリル1.5g(36.5mmol)と45質量%過酸化水素水2.70g(過酸化水素として35.6mmol)を1.5時間後に1回導入した。反応終了後、イオン交換水10mLを加えた後、トルエン25mLで抽出を4回行った。イオン交換水10mL、5質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液15mL、イオン交換水10mLで有機層を洗浄し、溶媒を留去し透明粘性液体としてトリエポキシ体、ジエポキシ体の混合物を0.21g得た。
GC測定の結果、リテンションタイム14.4minにトリエポキシ体として66.1(Area%)、11.5minにジエポキシ体として33.9(Area%)で観測された。
前記トリエポキシ体の合成を以下の方法で行った。
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、合成例1で合成した3−ブテン−1,2−ジオールのジアリルエーテル2.0g(11.9mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物785mg(2.38mmol)、8.5%(重量/体積)りん酸水溶液0.25ml(2.14mmol)、メチルトリオクチルアンモニウム硫酸水素塩554mg(1.19mmol)、トルエン2.0mlの混合液を調製し、これに内標としてn−テトラデカン25.6mgを加えた。
窒素気流下、この混合液を50℃に加温し、42質量%過酸化水素水0.20ml(2.8mmol)を反応開始時、および反応開始30分後に添加し、更に反応開始から3時間後から8時間後まで、一時間ごとに0.40ml(5.6mmol)を加え、内温60〜63℃にて計9時間反応した。反応終了後、酢酸エチル20mlを加え、有機相をGC分析したところ、GC内標検量により、トリエポキシ体として10%、ジエポキシ体として2%の生成が確認された。
前記トリエポキシ体の合成を以下の方法で行った。
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、合成例1で合成した3−ブテン−1,2−ジオールのジアリルエーテル5.0g(27.0mmol)、クロロホルム50mlを加え、内温40℃〜45℃に調整しながら、純度約65%のm−クロロ過安息香酸(東京化成社製)24.9g(約94mmol)を分割して加えた。内温40〜45℃に保ちながら8時間反応させた。トリエポキシ体として85.0(Area%)、ジエポキシ体として15.0(Area%)で観測された。
化ナトリウム水溶液20mlで3回洗浄し、更に水20mlで洗浄後、溶媒を留去し透明粘性液体としてトリエポキシ体、ジエポキシ体の混合物を得た。
これを、カラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 200g、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2、上記トリエポキシ体、上記ジエポキシ体の混合物にトリエチルアミン4mlを添加して展開)にて精製し、トリエポキシ体をジアステレオマー混合物として3.50g得た。(以下、これを化合物αという)GC純度96.5%(Area%)、ジエポキシ体のピークは観察されなかった。収率61%であった。1H−NMRの測定では、実施例1の生成物の主成分と同様のNMRスペクトル(図1参照)が観測され、実施例1の生成物に含まれていたジオレフィン由来のオレフィンのピークは観察されなかった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、cis−2−ブテン−1,4−ジオール2.0g(23mmol)、テトラヒドロフラン20mL、N,N−ジメチルアセトアミド2.0ml、n−テトラブチルアンモニウムブロマイド0.73g(2.3mmol)、顆粒状水酸化ナトリウム2.7g(68mmol)を加え、内温40℃に加温した。これにエピクロルヒドリン5.9g(64mmol)を3回に分割して添加し、内温40〜45℃で5時間反応させた。反応終了後、水10mLで2回洗浄し、更に酢酸エチル10mlを加えた後、水10mlで1回洗浄し、溶媒を留去し、cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルを含む黄色液体(以下、粗cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルという)5.18gで得た。GC純度76.6%(Area%)、収率87%であった。
また、この黄色液体4.0gをカラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 100g、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/2にて精製し、cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテルを1.77g得た。1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
[1H−NMR(CDCl3,400MHz)]
2.61ppm(2H,dd,J=2.5,4.8Hz)、2.80ppm(2H,dd,J=4.3,5.0Hz),3.13−3.18ppm(2H,m),3.38ppm(2H,dd,J=5.8,11.4Hz),3.75ppm(2H,dd,J=3.0,11.6Hz)、4.08−4.19ppm(4H,m)、5.70−5.79ppm(2H,m)
還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの反応容器を窒素置換した後に、合成例2で合成した粗cis−2−ブテン−1,4−ジオールジグリシジルエーテル1.0g(3.8mmol)、クロロホルム10mlを加え、内温40℃〜45℃に調整しながら、純度約65%のm−クロロ過安息香酸1.6g(約6.0mmol)を2分割して加えた。内温40〜45℃で3時間反応させた。
これを、カラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカゲルN60 100g、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2、上記液体にトリエチルアミン1mlを添加して展開)にて精製し、ジアステレオマー混合物としてcis−2,3−エポキ
シ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを0.29g得た。GC純度98%(Area%)。収率34%であった。
[1H−NMR(CDCl3,400MHz)]
2.57−2.69ppm(2H,m)、2.77−2.84ppm(2H,m)、3.13−3.28(4H,m)、3.34−3.41、3.46−3.53(2H,m)、3.52−3.64(2H,m)、3.72−3.92(4H,m)
(エポキシ化合物の評価)
上記実施例5で得られたトリエポキシ化合物(化合物α)の物性評価を行なった。なお化合物αのエポキシ当量は73.5g/当量であった。化合物α100質量部、硬化剤MH−700(商品名、新日本理化社製 無水メチルヘキサヒドロフタル酸、酸無水物当量165g/当量)229質量部を、40℃で均一になるまで混合し、続いて硬化促進剤としてヒシコーリンPX−4MP(商品名、日本化学工業社製、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート)1.0質量部を添加し、攪拌、溶解してエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物を減圧下で脱泡した後、各評価試験の試験片作製用の型の中に流し込み、オーブン中にて100℃で3時間、次いで140℃で3時間硬化させ透明な硬化体を得た。このエポキシ樹脂硬化体の評価結果を表1に示す。得られたエポキシ樹脂硬化体の評価結果を表1に示す。
ガラス転位点(Tg)は、上記のTMA法(5℃/分で昇温)により測定した。結果を表1に示した。
エポキシ化合物として、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物YX−8000(商品名;三菱化学社製 エポキシ当量 205g/当量、以下化合物βという)を用い、
表1に記載の組成に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を得、同様にエポキシ樹脂硬化体を得た。得られたエポキシ樹脂硬化体の評価結果を表1に示す。
、鉄道車両用、航空機用、電子材料用等の分野において好適に使用することができる。
Claims (5)
- 上記式(1)および式(2)中のAおよびBが水素原子である請求項1又は2に記載の
エポキシ化合物。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ化合物を含有することを特徴とするエポ
キシ樹脂組成物。 - 請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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