JP4450917B2 - 新規電気・電子材料用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規電気・電子材料用組成物に係わり、さらに詳しくは、電気特性、耐熱性に優れ、吸水性が低く、耐光性良好な硬化物を形成することができ、作業性においても安全な、電気・電子用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気・分野において、エポキシ樹脂は耐熱性、電気特性に優れているために封止材、注型、積層板、絶縁粉体用へと幅広く使用されている。しかしながら、近年の技術進歩は著しいものがあり、それに伴い該分野に使用される樹脂に対する要求性能もますます高度なものとなっている。とくに電子機器での信頼性向上は大きな課題でそのために、より吸水性が低く耐湿性があり、耐熱性の良い硬化物を形成するエポキシ樹脂組成物が求められている。また、光通信分野の進歩、あるいはLEDの高輝度化のトレンドがあり、光に対する安定性はますます重要となっている。さらに環境問題についての意識の高まりにより作業環境を悪化させないより安全性の高い樹脂組成物系への要求が急速におこりつつある。
【0003】
従来より、耐熱性の良いエポキシ樹脂としてエポキシクレゾールノボラック樹脂が知られているが配合することによりTgの向上に効果はあるものの吸水性が高く、光による黄変性があって、耐湿性および耐光性に問題がある。
【0004】
近年、封止材用途にビフェニル型エポキシ樹脂が低溶融粘度を生かしてフィラー含有量を高めることにより、吸水性の上昇を抑え、加えて内部応力の低下を抑制することが出来ることから使用されている。しかしながら耐熱性の向上に対する要求にたいしては不満足な水準であり、耐光性はいぜんとして問題である。
【0005】
一方、電気注型用には3.4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3.4−エポキシ)シクロヘキサンカーボキシレートが耐熱性付与のため使用され、耐光性が良好であるが、吸水率が高いという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ニーズに鑑み、従来技術では克服しえなかった種々の課題が解決された電気・電子材料用組成物を提供するものである。すなわち、電気特性、耐熱性に優れ、吸水性が低く、耐光性良好な硬化物を形成し、作業性において安全な、電気・電子用樹脂組成物に関する。本発明は封止材用途、注型材用途、絶縁粉体用途、積層板用途、電気・電子部品用接着剤、導電性ペースト、各種レジスト類に好適な電気・電子用樹脂組成物を提供するものである。特に封止材用途、注型材用途、絶縁塗料用途、積層板用途に好適な電気・電子樹脂組成物を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題について鋭意検討した結果、特定の新規樹脂組成物が特に優れた特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
1.(a)下記一般式(2)で表される脂環基含有化合物(A)と(b)脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)および/または脂環基含有化合物(A)を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)を一種またはそれ以上、含有することを特徴とする新規電気・電子材料用樹脂組成物、
【化1】
Figure 0004450917
(2)
(式中、Rは、ビスフェノール類、テレフタル酸、トリメリット酸の中から選ばれる活性水素を少なくとも2個以上有する有機化合物の該活性水素の一部または全部を除く残基を表す。
また、yは2以上の整数を表す。また、Yは下記一般式(2−2)で表される脂環式エポキシ基を表わす。)
【化2】
Figure 0004450917
(2−2)
(mは1及び2から選ばれる整数)
2. 一般式(2)においてRがビスフェノール系化合物の残基である請求項記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
3. 一般式(2)においてRがテレフタル酸残基である前記記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
4. 脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)および/または脂環基含有化合物を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)が酸無水物類、フェノール類、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、イミダゾール類及びカチオン系硬化剤類から選ばれる一種またはそれ以上である前記1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
5. 脂環基含有化合物(A)と該脂環基含有化合物と反応する官能基を有する化合物(B)を反応させてなるプレポリマーを一種またはそれ以上、含有することを特徴とする前記1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
6. 一種またはそれ以上の硬化促進剤を含有する前記1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
7. 一種またはそれ以上の無機充填材を含有する前記1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
8. 一種またはそれ以上の添加剤を含有する前記1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
9. 一種またはそれ以上の希釈剤を含有する前記1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物、
10. 前記1〜のいずれか一つに記載の新規封止材用樹脂組成物、
11. 前記1〜10のいずれか一つに記載の新規注型材用樹脂組成物、
12. 前記1〜11のいずれか一つに記載の新規絶縁塗料用樹脂組成物、
13. 前記1〜12のいずれか一つに記載の新規積層板用樹脂組成物、
である。
以下本発明を詳細に説明する。
【0033】
I.一般式(1)及び(2)で表される脂環基含有化合物(A)
本発明でいう活性水素とは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子に結合する水素原子を意味する。これら活性水素を有する活性水素含有基は、例えば、芳香環に結合する水酸基であるフェノール性水酸基、芳香環以外の炭素原子に結合する水酸基であるアルコール性水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、チオール基等があげられ、本発明で表現される活性水素とはこれら官能基に存在する水素原子を意味する。
【0034】
本発明において、上式(1)および(2)中のRは、フェノール類、アミン類、芳香族カルボン酸類、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸類、および炭素数3以上のアルコール類の中から選ばれる活性水素を少なくとも2個以上有する有機化合物の該活性水素の一部または全部を除く残基表す。
【0035】
本発明の該残基の前駆体であるフェノール類、アミン類、芳香族カルボン酸類、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸類、および炭素数3以上のアルコール類は、分子内に活性水素含有基を有する官能基としてフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、イミノ基、およびカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有することを必須とし、さらに、これらの官能基のみ、又はこれらの官能基と他の活性水素含有基とを同時に有することにより、分子内に活性水素を少なくとも2個以上する構造となることを必須とする。
【0036】
本発明のフェノール類とは、活性水素を少なくとも2個以上有し、フェノール性水酸基を少なくとも1個以上有する有機化合物であって、さらに他の活性水素基を同時に有してもよい。具体的に例を挙げると、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン 、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、臭素化ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビスフェノール類;カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等の単核多価フェノール類;ナフタレンジオール、レゾール型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等の多核多価フェノール類;さらには末端がヒドロキシフェニル型の芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、芳香族ポリスルホン等のポリマー型フェノール類;アミノフェノール等の他活性水素含有フェノール類;およびこれらの誘導体がある。
【0037】
本発明のアミン類とは、活性水素を少なくとも2個以上有し、アミノ基を分子内1個以上有する有機化合物であって、さらに他の活性水素基を同時に有してもよい。具体例としては、メチルアミン、イソプロピルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、アリルアミン等の脂肪族アミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環式アミン類;、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン等の複素環式アミン類;メタキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ビスメチルアミノジフェニルアミン、アニリン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン類;4−フェニル−4シクロオクテニルアミン、ジエタノールアミン等の他活性水素含有アミン類;およびこれらの誘導体がある。
【0038】
本発明の芳香族カルボン酸類とは、活性水素を少なくとも2個以上有し、芳香環に直接ついたカルボキシル基を分子内1個以上有する有機化合物であって、さらに他の活性水素基を同時に有してもよい。具体例としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸等の芳香族多価カルボン酸類;ナフタリンジカルボン酸等の多核芳香族カルボン酸類;ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸等の他活性水素含有芳香族カルボン酸類;およびこれらの誘導体がある。
【0039】
本発明の脂肪族カルボン酸類とは、活性水素を少なくとも2個以上有し、炭素数4以上の飽和および/または不飽和脂肪(環)族炭化水素に直接ついたカルボキシル基を分子内に1個以上有する有機化合物であって、さらに他の活性水素基を同時に有してもよい。具体例としては、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;ジヒドロムコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;ダイマー酸等、テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂肪(環)族多価カルボン酸; およびアミノ吉草酸、オキシウンデカン酸等の他活性水素含有脂肪(環)族カルボン酸類;およびこれらの誘導体がある。
【0040】
炭素数が3以下の活性水素を少なくとも2個以上有する脂肪族カルボン類の場合は硬化性が低下する傾向にあり、良好な外観を有する硬化物が得られない傾向にある。
【0041】
本発明のアルコール類とは、活性水素を少なくとも2個以上有し、炭素数3以上の飽和および/または不飽和脂肪(環)族炭化水素に直接ついたアルコール性水酸基を分子内に1個以上有する有機化合物であって、さらに他の活性水素基を同時に有してもよい。具体例としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンタンジオール、イソペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ピナコール、ペンタンジオール、2−ブテン−1.4−ジオール等の脂肪族ジオール;グリセリン、エリトリット、アドニット等の多価アルコール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、シクロヘキセンジオール等の脂環族ポリオール、1.2.4トリメチロールベンゼン等の多価核含有ポリオール ;アミノシクロヘキサノール、ヒドロキシベンジルアルコール等の他活性水素含有アルコール類;およびこれらの誘導体がある。
【0042】
炭素数が2以下の活性水素を少なくとも2個以上有する脂肪族カルボン類の場合は硬化性が悪く、揮発性が高いため作業環境を著しくそこなう。
【0043】
本発明においては、工業的に入手が非常に容易であり、且つ十分な硬化塗膜を与えることができる点で、該残基の前駆体である有機化合物としてハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノール類、トリフェノール類、アニリン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸が好適に使用でき、特にビスフェノール類、テレフタル酸、トリメリット酸が好ましい。
【0044】
本発明の脂環基含有化合物(A)は一般式(1)で表されるように、上記前駆体の活性水素を除く残基に、不飽和脂環基であるX、脂環式エポキシ基であるY、アリル基及びグリシジル基が結合している。本発明においては、該式中x、y、a、bは0を含む正の整数であり、且つ(x+y+a+b)が2以上であり、さらに(x+y)が1以上の整数であることが必須である。
【0045】
本発明においては、(x+y+a+b)は通常、2〜3000の範囲であり、望ましくは、2〜2000、さらに望ましくは2〜500である。(x+y+a+b)が2未満の時は、各種架橋剤として用いた場合、得られる硬化物のガラス転移点が低く耐熱性が低いばかりでなく、架橋点密度が低く、硬度や衝撃強度等の力学強度が十分に得られない傾向にあるため望ましくない。また、(x+y+a+b)が3000を越える場合は、本発明の脂環基含有化合物(A)の溶融する温度が高くなる傾向にあり、また、溶融時の粘度も高いため成形が困難となる傾向にある。さらに、(x+y)が3000を越える場合には、各種溶剤にも溶解しにくい傾向にあり、例えば絶縁ワニス、積層板ワニスとしても用いることが困難となる傾向にあるため望ましくない。
【0046】
本発明の脂環基含有化合物(A)においては、一般式(1)において、a=0であり且つb=0である場合である、一般式(2)で表される場合が好ましい。一般式(2)で表される脂環基含有化合物の場合、アリル基、グリシジル基が反応性官能基として含まれている場合よりも、得られる硬化物がより高いガラス転移点を有する。
【0047】
本発明の一般式(2)で表される脂環基含有化合物(A)は、分子内にXで表される不飽和脂環基とYで表される脂環式エポキシ基を同時に含んでいてもよいし、いずれかの反応性脂環基のみを有していてもよい。特に本発明においては、同一分子中においてXとYのいずれかの反応性脂環基の存在比が高い場合が好ましい。さらには、いずれか一方の反応性脂環基のみを有している場合、つまり一般式(2)中において、x=0の場合か又はy=0の場合が好ましい。分子内に上記不飽和脂環基と脂環式エポキシ基を同時に含む場合には、それぞれの反応性脂環基に適した硬化剤や硬化触媒を同時に用いる必要があり、さらに場合によっては硬化反応を各々の場合に分けて2段階で行う必要があるため、硬化物を得る工程が複雑となる傾向にある。
【0048】
一般式(2)においてx=0の場合には、架橋性反応基として分子内に脂環式エポキシ基のみを有するため、エポキシ化合物に対して一般的に用いられる硬化剤のみで架橋反応をさせることができる。
【0049】
一般式(2)においてy=0の場合は、不飽和2重結合に対して、一般に用いられる反応触媒や反応開始剤をのみを用いて架橋反応をさせることができる。
【0050】
さらに、一般式(2)においてy=0の場合の本発明の脂環基含有化合物(A)は、該脂環基に含まれる不飽和2重結合に対し各種官能基を導入することにより、多くの有用な化合物へ誘導できたり、また、該不飽和2重結合をエポキシ化反応を行うことにより、本発明の一般式(2)においてy=1以上又はx=0の脂環式エポキシ基を含有する脂環基含有化合物(A)を得ることができる。
【0051】
本発明では、式(1−1)、(1−2)、(2−1)、及び(2−2)中で示されるn及びmは1又は2であり、同一分子中にn及びmが1と2の場合の置換基が同時に存在してもよい。nおよびmが、0の場合及び2を越える場合は、架橋剤として用いた場合、硬化物のガラス転移温度が低下する傾向にある。本発明ではn及びmがともに2である場合がガラス転移点や耐熱性が高くなる傾向にあり望ましい。
【0052】
また、該式中で表されるPは水素原子であり、Qは不飽和2重結合を有してもよい炭素数15以下の炭化水素基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、グリシジル基を表す。該ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、沃素を意味する。また、同式中、p及びqは0〜9の整数でありn及びmが1の場合はp+qが7、また、n及びmが2の場合はp+qが9を表す。本発明においては、q=0である化合物が、耐熱性、耐光性が向上する点で望ましい。
【0053】
本発明の脂環基含有化合物(A)は、上記残基の構造にその性状が左右され、室温で液状の場合、さらにはワックス状、固形状、結晶性固体状等の場合がある。
【0054】
以上、本発明の脂環基含有化合物(A)の構造を説明したが、下記にそれらの代表的な構造を例示する。
【0055】
【化13】
Figure 0004450917
【0056】
以下、本発明の脂環基含有化合物(A)の製造法について述べる。
まず、上式(1)においてy=0であり且つb=0で示される脂環基含有化合物(A)の製造法について述べる。
【0057】
本発明の上式(1)において、y=0であり且つb=0で示される脂環基含有化合物(A)は、上記活性水素を少なくとも2個以上有する有機化合物と、該活性水素を有する官能基と反応しうる官能基を有するシクロアルケニル化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0058】
例えば、シクロヘキセノールやシクロペンテノールを該有機化合物の活性水素と反応させる方法や、ハロゲン化シクロヘキセンやハロゲン化シクロペンテンおよびハロゲン化アリルを該有機化合物の活性水素と脱ハロゲン化水素反応により結合させる方法等がある。さらには、本発明においては、結果として得られる脂環基含有化合物が上記本発明の脂環基含有化合物(A)の構造をなしていれば、上記式(1)においてRで示される残基の前駆体となる有機化合物が酸クロライドを反応性官能基として有していてもよい。この場合はシクロヘキセノールやシクロペンテノールを用いて、該酸クロライド部位と脱塩化水素反応をさせることにより、本発明の脂環基含有化合物(A)を得てもよい。
【0059】
また、上記式(1)のRで示される残基の前駆体である有機化合物に、下式で示されるような水酸基やハロゲン基の結合したシクロペンチル基又はシクロヘキシル基を結合させておいて、後工程として分子内脱水や分子内脱ハロゲン化水素反応をさせることにより、式(1−1)で示される構造となるように不飽和結合を生じさせる方法を用いてもよい。
【0060】
【化14】
Figure 0004450917
【0061】
以上説明した合成法により得られる一般式(2)においてy=0である脂環基含有化合物は、濾過、溶媒抽出法、水洗浄、カラム分離法、蒸留法、再結晶法(結晶性の場合)等の一般に周知の手段を組み合わせることにより容易に精製できる。
【0062】
次に、上式(1)においてyが少なくとも1である化合物の製造法について述べる。
上式(1)においてyが少なくとも1である化合物は、
▲1▼上記の方法により得た式(1)においてy=0であり且つb=0ある化合物、又は一般式(2)においてv=0である化合物の、脂環基内及びアリル基の炭素−炭素2重結合を、酸化剤を用いてエポキシ化する方法、
▲2▼フェノール性水酸基等に3−クロル−1,2−シクロヘキセンオキサイド及び又は3−クロル−1,2−シクロペンテンオキサイドを反応させることにより得る方法、
▲3▼該2重結合を次亜塩素酸等によりハロヒドリン構造とし、ついで苛性ソーダ等のアルカリを用いて脱塩酸させることによりエポキシ化するハロヒドリン法等が採用できる。
【0063】
本発明においては、選択性及びハロゲン性廃棄物が低減できる点で、▲1▼又は▲2▼の製造法が好ましい。前記▲3▼の方法の場合には、後段のアルカリによるエポキシ化の工程で、精製除去が困難な未反応のハロヒドリン構造の化合物が残留してしまう傾向にあり、製品の純度が低下する傾向にある。
【0064】
以上説明した合成法により得られる式(1)においてyが少なくとも1である脂環基含有化合物は、濾過、溶媒抽出法、水洗浄、カラム分離法、蒸留法、再結晶法(結晶性の場合)等の一般に周知の手段を組み合わせることにより容易に精製できる。
【0065】
II.脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)
本発明の新規電気・電子材料用樹脂組成物において、脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)の具体例としては、エポキシ樹脂と反応性がある官能基を分子内に有する化合物、あるいはエポキシ環の開環反応を開始せしめる化合物を挙げることができる。例えばアミン類をあるいはフェノール類、ポリカルボン酸の無水物、等、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されるものを挙げることができる。
【0066】
ポリカルボン酸の無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水メチルフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水フマル酸、無水マレイン酸が挙げられる。好適な無水トリカルボン酸としては無水1,2,3−プロパントリカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ヘミメリット酸等が挙げられる。また、好適な無水テトラカルボン酸としては、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラ−カルボン酸等が挙げられる。
【0067】
フェノール類の具体例としては、ノボラックフェノール類、アルキルフェノールノボラック類、たとえばクレゾールノボラック、ノニルフェノールノボラック、ポリアルケニルフェノール類、たとえばポリ−p−ビニルフェノール、ポリ−p−イソプロペニルフェノール 等が挙げられる。
【0068】
アミン類の具体例として、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、0−またはp−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、2,6−ジアミノピリジン、ベンジルメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、ジシアンジアミド、ジメチルエタノールアミン、トリアルキルアミンたとえばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等、4−ピコリン 等が挙げられる。
【0069】
また本発明の新規電気・電子材料用樹脂組成物で脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)として、炭素−炭素2重結合を有するモノマー類、オリゴマー類、ポリマー類、マイケル付加反応が可能である化合物等を挙げることができる。具体例としてスチレン、MMA、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、シクロペンタジエン誘導体、エポキシアクリレート類、不飽和ポリエステル類、アミン類等が挙げられる。
【0070】
本発明の組成物において、脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物と反応する官能基を有する化合物の当量比は0.5:1 〜2:1の範囲で用いられる。
【0071】
III.脂環基含有化合物(A)を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)
本発明の新規電気・電子材料用樹脂組成物で脂環基含有化合物(A)を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)としてイミダゾール類、カチオン系硬化剤等が挙げられる。イミダゾール類の具体例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、およびこれらのイミダゾール類とエポキシ樹脂の反応物が挙げられる。
【0072】
カチオン系硬化剤の具体例としては、三弗化ホウ素あるいは6弗化アンチモンおよびその錯体、例えばアミン類あるいは1,3−ジケトンとの反応によって形成されたキレート、Alシラノール錯体、SnCl4、AlCl3等が挙げられる。
【0073】
また本発明の新規電気・電子材料用樹脂組成物で脂環基含有化合物を互いに反応させる触媒作用を有する化合物として炭素−炭素不飽和2重結合を反応させる触媒、具体的にはケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等の有機過酸化物が挙げられる。
【0074】
本発明の組成物において、一般式(1)で表わされる脂環基含有化合物(A)100に対して該脂環基含有化合物を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)は0.01 〜50重量部の範囲で用いられる。
【0075】
IV.プレポリマー
脂環基含有化合物(A)と該脂環基含有化合物と反応する官能基を有する化合物(B)とを反応させてなるプレポリマーは、上記2成分を触媒存在下または無触媒で加熱反応させることによって得られる。この場合、脂環基含有化合物と該脂環基含有化合物と反応する官能基を有する化合物の比率は、脂環基含有化合物が当量的に過剰であって、さらにゲル化あるいは分子量が50000以上に高分子量化することのない範囲で選ばれる。分子量が50000以上である場合は溶剤の溶解性あるいは流動性が著しく劣り、好適な電気・電子材料用樹脂組成物を得ることができない。脂環基含有化合物と反応する官能基を有する化合物の具体例としては、IIに挙げた化合物が好適に使用される。プレポリマーを含む組成物は別途反応釜で予め反応させたのちに混合することによって得ることができ、また、押出機等の混練機内で温度等を調整して混合と同時にプレポリマー化する方法も採用することができる。
【0076】
V.硬化促進剤
本発明の新規電気・電子用樹脂組成物において、硬化促進剤としてエポキシ樹脂用硬化促進剤を好適に使用することができる。
【0077】
具体例としては第三アミンまたはその塩、第四アンモニウム化合物、ホスフィン類、ホスホニウム塩またはアルカリ金属アルコキシドを促進剤として供することができる。例えばn−ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチル −アミノメチル)−フェノール、イミダゾール類およびトリメチルアンモニウムフェノキシド、トリフェニルホスフィン、臭化エチルトリフェニルホスホニウム等が挙げられる。
【0078】
また、三弗化ホウ素あるいは6弗化アンチモンおよびその錯体、例えばアミン類あるいは1,3−ジケトンとの反応によって形成されたキレート、Alシラノール錯体、SnCl4、AlCl3等のエポキシ樹脂のカチオン系硬化剤として用いられるものを促進剤として使用することができる。
【0079】
使用することができる他の促進剤としては、金属硝酸塩、特に硝酸マグネシウウムおよび硝酸マンガン、弗素化および塩素化カルボン酸およびその塩(例えばマグネシウムトリフルオロアセテート、ソジウムトリフルオロアセテート、マグネシウムトリクロロアセテートおよびソジウムトリクロロアセテート、トリフルオロメタンスルフォン酸およびその塩(例えばマンガン、亜鉛、マグネシウム、ニッケルおよびコバルト塩)ならびに過塩素酸マグネシウムおよび過塩素酸マグネシウムおよび過塩素酸カルシウムが挙げられる。
【0080】
VI.無機充填剤
本発明の新規電気・電子樹脂組成物の無機充填剤としては、そのもの自体は硬化反応には寄与しないが機械強度、硬化収縮、硬化発熱、膨張係数、熱伝導性、電気特性を改良する効果をもち、また増量材として使用しうる無機化合物が挙げられる。をたとえば各種シリカ粉、アルミナ粉、タルク粉、石英ガラス粉、炭酸カルシウム、ガラスチョップ、アスベスト、マイカ、珪酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0081】
VII.添加剤
本発明の新規電気・電子用樹脂組成物に用いられる添加剤としては、各種機能付与剤を挙げることができる。たとえば、三酸化アンチモン、Br含有化合物、りん含有化合物等の難燃性付与剤;天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸およびその金属塩、パラフィン類等の離型剤;シランカップリング剤のような表面処理剤;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、シリコンゴム、シリコンオイル等の低応力化剤;ヒンダードアミン類のような光安定剤;ヒンダードフェノール類のような熱安定剤;カーボンブラックのような着色剤等が挙げられる。
【0082】
VIII.希釈剤
本発明の新規電気・電子樹脂組成物に用いられる希釈剤としては、非反応性あるいは/または反応性であって、塗料用組成物の粘度低下のために好適に使用される有機溶剤が使用される。また、分散剤、乳化剤を用いれば水も好適な希釈剤となる。
【0083】
非反応性の希釈剤の具体例としては;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、セルソルブ、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0084】
反応性の希釈剤としては、ブチルグリシジルエーテル、ネオペンチルジグリシジルエーテル、1.6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0085】
本発明の新規電気・電子用組成物においては脂環基含有化合物(A)とエポキシ化合物を併用してもよい。すなわち、脂環基含有化合物を単独(A)で、またはこれにエポキシ化合物の1種または2種以上を併用して、脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)あるいは/または脂環基含有化合物を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)で硬化反応をさせれば、優れた電気・電子用樹脂硬化物が得られる。併用されるエポキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシクレゾールノボラック樹脂、エポキシフェノールノボラック樹脂等のフェノール系エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系樹脂;ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン系樹脂;1.4ブタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート等の脂肪(環)族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0086】
本発明の新規電気・電子用樹脂組成物は好適な封止材用組成物として使用できる。すなわち、本発明の樹脂組成物を低圧トランスファー用で成形硬化されたものは、耐熱性に優れ、低吸水率であり、電気特性の良好な各種LSI封止材として使用できる。また、本発明の新規電気・電子用樹脂組成物で液状物は流動性に優れ、ディスペンサー等を用いて、たとえばBGA用液状封止材として使用した場合、耐熱性、耐湿性、電気特性において優れた封止材となる。
【0087】
また、本発明の新規電気・電子用樹脂組成物は好適な注型用組成物として使用できる。すなわち本発明の電気・電子用樹脂組成物の液状物は電気・電子部品、たとえば、トランス類、LED、碍子、スイッチ類、モータースロット類等のキャスティング、ポッティング、被覆、シーリング用の材料として使用でき、耐熱性、耐湿性、電気特性において優れた注型材となる。
【0088】
また、本発明の新規電気・電子用樹脂組成物は耐熱性、耐湿性、電気特性において優れた絶縁塗料組成物として使用できる。すなわち、新規電気・電子用樹脂組成物の粉状物あるいはワニス類は、トランジスター類、コンデンサー類、小型モーターのコイル等の被覆材として使用できる。
【0089】
また、本発明の新規電気・電子用樹脂組成物は好適な積層板組成物として使用できる。すなわち、電気・電子用樹脂組成物のプリント配線板は耐熱性、耐湿性、電気特性において優れたものとなる。さらにビルドアップ手法においての樹脂組成物としても好適である。
以下、合成例、実施例において、本発明を具体的に説明する。
【0090】
(合成例1)
攪拌装置、及び温度計の付いた500ml丸底フラスコに、水素化ナトリウム11.54g(油分40重量%含有品)を入れ、20gの脱水n−ヘキサンを添加し、20分攪拌し該ヘキサンを除去する操作を3回行うことにより、該水素化ナトリウム付着の油分を洗浄除去した。ついで、脱水ジメチルホルムアミド260gを添加し、その後、該フラスコを水で冷却しながらゆっくりビスフェノールA23.5g(0.103モル)を添加し、その後2時間攪拌した。ビスフェノールAの添加中、水素からなる気泡が発生し、ビスフェノールAのナトリウム塩が形成されるにつれ、液は黄色を呈した。
【0091】
2時間後、上記溶液を攪拌しながら、滴下ロートを用いて、3−クロロシクロヘキセン26.50g(0.227モル)を1時間かけて滴下し、その後攪拌を続けた。滴下中、及び滴下終了後の攪拌中、該フラスコ外部は水冷し、反応液の温度24〜45℃の範囲に保った。
【0092】
滴下終了20時間後、反応液を液体クロマトグラフィーにより分析した結果、ビスフェノールA(又はそのナトリウム塩)のピークは検出されず、ビスフェノールAの転化率は100%であった。
【0093】
上記反応終了後、反応液に水を3ml添加し、過剰の水素化ナトリウムを失活させた。ついで、反応液にn−ヘキサン100mlを添加し、激しく攪拌することにより、生成物をヘキサン相へ抽出する操作を3回行った。得られたn−ヘキサン溶液を200mlの蒸留水で5回洗浄し、ついで無水硫酸マグネシウムで乾燥操作を行った。さらに、濾過処理後、得られたn−ヘキサン溶液をエバポレートすることにより、薄黄色の粘性透明液体(A−1)38.63gを得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は96%であった。
【0094】
つぎに攪拌装置、温度計を付した300mlの三口フラスコに、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)を0.33g(1ミリモル)、31%過酸化水素水8.17g、85%燐酸水溶液0.12gをいれ、氷水で該フラスコを冷却しながら攪拌し、これをA液とした。このように調整した液のpHは1.8であった。
【0095】
一方、トルエン10.0g、CH3N[(CH27CH33Cl(アルドリッチ社製、Aliquat336)0.30g、及び上記粘性透明液体7.00gからなる均一溶液を調整し、これをB液とした。
【0096】
上記A液を水冷下で激しく攪拌している中へ、B液を滴下ロートを用いて約20分かけてゆっくり滴下し、滴下終了後、40時間攪拌した。
【0097】
反応終了後、分液ロートを用いてトルエン層を分離し、1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液20ml、蒸留水20ml、1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液20ml、蒸留水20mlの順で該トルエン溶液を洗浄した。
【0098】
得られたトルエン溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過により無水硫酸マグネシウムを除去、該溶液に100mlのトルエンを加えて希釈し、さらに乾燥シリカゲルを100g加えた。1時間攪拌後、濾過により該シリカゲルを除去し、濾液として得られたトルエン溶液をエバポレートすることによりトルエンを除去し、ほぼ無色に近い淡い黄色の高粘性液状の化合物を7.51g得た。液体クロマトグラフィーの分析の結果、主生成物の純度は98.4%であった。また、エポキシ当量の測定結果、215g/当量であった。
【0099】
このようにして得られた化合物の元素分析結果、IR測定核磁気共鳴スペクトル(図1〜2)の分析を行い、下式に示される構造をもつ脂環基含有化合物(A−1)であると同定した。
【0100】
【化15】
Figure 0004450917
【0101】
(合成例2)
テレフタル酸ジメチル58.2g(0.3モル)と3−ヒドロキシシクロヘキセン58.8g(0.6モル)を用いてエステル交換反応行った後、m−クロロ過安息香酸でエポキシ化反応を行い、再結晶を2度行うことにより白色固体を26.8g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は99%であった。また、エポキシ当量の測定結果、180g/当量であった。
【0102】
このようにして得られた化合物の元素分析結果、IR測定核磁気共鳴スペクトルの分析を行い、下式に示される構造をもつ脂環基含有化合物(A−2)であると同定した。
【0103】
【化16】
Figure 0004450917
【0104】
(合成例3)
トリメリット酸トリメチル25.2g(0.1モル)と3−ヒドロキシシクロヘキセン58.8g(0.6モル)を用いてエステル交換反応を行った後、m−クロロ過安息香酸でエポキシ化反応を行い、高粘性液体を41.4g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は98%であった。
また、エポキシ当量の測定結果、169g/当量であった。
【0105】
このようにして得られた化合物の元素分析結果、IR測定核磁気共鳴スペクトル(図3〜4)の分析を行い、下式に示される構造をもつ脂環基含有化合物(A−3)であると同定した。
【0106】
【化17】
Figure 0004450917
【0107】
(合成例4)プレポリマーの合成
合成例1で得られた脂環基含有化合物(A−1)430gとビスフェノールA114gとを加えトリフェニルホスフィン 2gを触媒として、150℃ 5時間反応した。得られたプレポリマーのエポキシ当量は 550g/eqであった。
【0108】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1
表1に示した配合物をKRCニーダーで90〜110℃の温度にて混練し、溶融混合物を粉砕したのちにタブレット化して成形材料を得た。得られた成形材料をトランスファー成形機を用いて金型温度180℃、成形時間180秒で成形した試験片を180℃で8時間ポストキュアーしたものについて、耐熱性(Tg)と吸水率および電気特性を測定した。測定結果は表1の下段に示すように、本発明の組成物はTgが高く、吸水率が低く、電気特性も良好であった。
【0109】
【表1】
Figure 0004450917
【0110】
実施例4、5 比較例2、3
表2に示した配合物を金型に流し込んで、180℃で5時間硬化して得られた注型物について、耐熱性(Tg)と吸水率、電気特性および耐光性を測定した。測定結果は表2の下段に示すように、本発明の組成物はTgが高く、吸水率が低く、電気特性、耐光性も良好であった。
【0111】
【表2】
Figure 0004450917
【0112】
実施例6〜8、比較例4
表3に示した配合物を作成し、ヘンシェルミキサーを用いて乾式混合して各粉体組成物を得た。なお、この場合に、各構成成分は粉砕後100メッシュ篩を用いて篩別したものを用いた。粉体組成物を流動浸漬法により塗膜を作成して耐湿性を測定し、また硬化物のTgを測定した。測定結果は表3の下段に示すように、本発明の組成物はTgが高く、吸水率が低いものであった。
【0113】
【表3】
Figure 0004450917
【0114】
実施例9、10 比較例5
表4に示した配合物を用い、基材であるガラスクロス(MIL規格7628グレード)に含浸させ、160℃で3分乾燥させて樹脂分40%のプリプレグを作成した。ついで、得られたプリプレグを4枚重ね合わせ、その上に銅箔を重ね圧力40kg/cm2、加熱温度170℃、加熱時間120分の条件で硬化させて積層板を作成し、物性を試験した。測定結果は表4の下段に示すように、本発明の組成物はTgが高く、耐熱性が良く吸水率が低いものであった。
【0115】
【表4】
Figure 0004450917
【0116】
【発明の効果】
本発明は、耐熱性に優れ、吸水性が低く、耐光性が優れ、電気特性が良好な硬化物を形成することができ、しかも作業性において安全な電気・電子用樹脂組成物を提供する。とくに本発明は封止材用途、注型材用途、絶縁塗料用途、積層板用途に好適な樹脂組成物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得られた化合物のIR吸収スペクトル図。
【図2】同上、H−NMRスペクトル図。
【図3】合成例3で得られた化合物のIR吸収スペクトル図。
【図4】同上、H−NMRスペクトル図。

Claims (13)

  1. (a)下記一般式(2)で表される脂環基含有化合物(A)と(b)脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)および/または脂環基含有化合物(A)を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)を一種またはそれ以上、含有することを特徴とする新規電気・電子材料用樹脂組成物。
    Figure 0004450917
    (2)
    (式中、Rは、ビスフェノール類、テレフタル酸、トリメリット酸の中から選ばれる活性水素を少なくとも2個以上有する有機化合物の該活性水素の一部または全部を除く残基を表す。
    また、yは2以上の整数を表す。また、Yは下記一般式(2−2)で表される脂環式エポキシ基を表わす。)
    Figure 0004450917
    (2−2)
    (mは1及び2から選ばれる整数)
  2. 一般式(2)においてRがビスフェノール系化合物の残基である請求項記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  3. 一般式(2)においてRがテレフタル酸残基である請求項記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  4. 脂環基含有化合物(A)と反応する官能基を有する化合物(B)および/または脂環基含有化合物を互いに反応させる触媒作用を有する化合物(C)が酸無水物類、フェノール類、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、イミダゾール類及びカチオン系硬化剤類から選ばれる一種またはそれ以上である請求項1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  5. 脂環基含有化合物(A)と該脂環基含有化合物と反応する官能基を有する化合物(B)を反応させてなるプレポリマーを一種またはそれ以上、含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  6. 一種またはそれ以上の硬化促進剤を含有する請求項1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  7. 一種またはそれ以上の無機充填材を含有する請求項1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  8. 一種またはそれ以上の添加剤を含有する請求項1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  9. 一種またはそれ以上の希釈剤を含有する請求項1〜のいずれか一つに記載の新規電気・電子材料用樹脂組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか一つに記載の新規封止材用樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか一つに記載の新規注型材用樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一つに記載の新規絶縁塗料用樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一つに記載の新規積層板用樹脂組成物。
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