JP2024058812A - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤とを含む液状エポキシ樹脂組成物であって、低粘度性が良好であり、かつ、高いガラス転移温度を有する硬化物を形成することができる新たな液状エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】温度25℃で液状であるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)とを含み、硬化剤(B)は、2個以上のフェノール性水酸基と、芳香環に直接結合する式:-Z-R1[式中、ZはCO2又はSO3を表し、R1は1価の炭化水素基を表す。]で表される基とを分子内に有する化合物(B-1)を少なくとも1種含み、温度25℃で液状であるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
半導体封止材等として、熱硬化性のエポキシ樹脂組成物がよく用いられている。該エポキシ樹脂組成物には、耐熱性等の観点から、高いガラス転移温度を有する硬化物を形成できることが通常求められ、また、封止される半導体のタイプやエポキシ樹脂組成物による封止方法によっては、エポキシ樹脂組成物が液状であり、かつ、低粘度であることが求められることがある。
例えば、特開2001-213924号公報(特許文献1)には、エポキシ樹脂の硬化剤として、特定の液状フェノールノボラック樹脂を用いることが記載されている。
特開2001-213924号公報
本発明の目的は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤とを含む液状エポキシ樹脂組成物であって、低粘度性が良好であり、かつ、高いガラス転移温度を有する硬化物を形成することができる新たな液状エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
本発明は、以下に示すエポキシ樹脂組成物及び硬化物を提供する。
[1] 温度25℃で液状であるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)とを含み、
前記硬化剤(B)は、2個以上のフェノール性水酸基と、芳香環に直接結合する下記式(1)で表される基とを分子内に有する化合物(B-1)を少なくとも1種含み、
温度25℃で液状である、エポキシ樹脂組成物。
-Z-R (1)
[式(1)中、
Zは、CO又はSOを表し、
は、1価の炭化水素基を表す。]
[2] 前記化合物(B-1)は、下記式(B-1a)で表される化合物(B-1a)である、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2024058812000001
[式(B-1a)中、
Z及びRは、前記と同じ意味を表し、
nは、2又は3の整数を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基、又はアルコキシ基を表し、複数のRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[3] 前記化合物(B-1)は、温度25℃で固体の化合物である、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記硬化剤(B)は、少なくとも1種の化合物(B-2)をさらに含み、
前記化合物(B-2)は、2個以上のフェノール性水酸基を分子内に有し、前記式(1)で表される基を分子内に有しない化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記2個以上のフェノール性水酸基は、1つのベンゼン環に直接結合する2個以上の水酸基を含む、[4]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] 前記化合物(B-2)は、温度25℃で固体の化合物である、[4]又は[5]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] 前記化合物(B-1)と前記化合物(B-2)との含有量比が、モル比で、99/1~1/99の範囲である、[4]~[6]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤とを含む液状エポキシ樹脂組成物であって、低粘度性が良好であり、かつ、高いガラス転移温度を有する硬化物を形成することができる液状エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することができる。
<エポキシ樹脂組成物>
本発明に係るエポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」ともいう。)は、温度25℃で液状であるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)とを含む、温度25℃で液状のエポキシ樹脂組成物である。エポキシ樹脂組成物は、硬化性を有し、通常は熱硬化性を有する。
本明細書において「温度25℃で液状である」とは、温度25℃において流動性を示すことをいう。本明細書において「液状」である物質は通常、粘性を示し、粘度を測定することができる。「液状」である物質の粘度は、ブルックフィールド社製コーンプレート型粘度計による25℃での粘度で、0.0001Pa・s~1000Pa・sであり得、0.001Pa・s~500Pa・sであってもよい。
以下、エポキシ樹脂組成物に含まれる又は含まれ得る各成分及びエポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
なお、本明細書においてエポキシ樹脂組成物に含まれる又は含まれ得る各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で、又は、複数種を組み合わせて使用することができる。
〔1〕エポキシ樹脂(A)
エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を1個以上有する。エポキシ樹脂組成物の硬化性及び硬化物のガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)を高める等の観点から、好ましくは、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を含み、より好ましくは、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂(A)は、1種又は2種以上のエポキシ樹脂を含むことができる。
分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂としては、例えば、
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビフェニルジオール、ナフタレンジオール、フェノール類とアルデヒド類とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂等の多価フェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができる芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸と、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
アニリン、トルイジン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、p-アミノフェノール、p-アミノクレゾール等のアミンと、エピクロルヒドリンとの反応によって得ることができるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;
大豆油、ポリブタジエン等の分子内に2個以上の不飽和結合を有するオレフィン系化合物や、インデン、4-ビニル-1-シクロヘキセン、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸(3-シクロヘキセニル)メチル等の分子内に2個以上の不飽和結合を有する環状オレフィン化合物を過酸(過酢酸等)で酸化することによって得ることができる脂環エポキシ樹脂
等が挙げられる。
上記例示のエポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂であり得る。
分子内にエポキシ基を2個有する芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジオール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂が挙げられる。
分子内にエポキシ基を2個有する脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
分子内にエポキシ基を2個有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルが挙げられる。
分子内にエポキシ基を2個有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
エポキシ樹脂の粘度、ひいてはエポキシ樹脂組成物の粘度の観点、エポキシ樹脂組成物の硬化性の観点、及び、硬化物のTg等の観点から、エポキシ樹脂(A)は、好ましくは、芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂を含み、より好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂を含み、さらに好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む。
エポキシ樹脂(A)は、温度25℃で液状である。「温度25℃で液状である」の意味は上述のとおりである。エポキシ樹脂(A)が2種以上のエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂(A)全体として液状であればよい。「液状」である場合としては、1以上の成分が他の成分に分散している状態が含まれる。
エポキシ樹脂(A)全体として液状である場合としては、例えば以下の場合が挙げられる。好ましくは、a)又はb)である。
a)エポキシ樹脂(A)が1種の液状エポキシ樹脂からなる場合
b)エポキシ樹脂(A)が2種以上の液状エポキシ樹脂の混合物である場合
c)エポキシ樹脂(A)が1種以上の液状エポキシ樹脂と1種以上の固体エポキシ樹脂との混合物であり、該混合物が液状である場合
d)エポキシ樹脂(A)が2種以上の固体エポキシ樹脂の混合物であり、該混合物が液状である場合
したがって、エポキシ樹脂(A)は、固体エポキシ樹脂を含み得る。本明細書において「固体」とは、25℃において固体であることをいう。固体エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂に溶解していてもよいし、分散されていてもよい。硬化反応を均一に行うために、固体エポキシ樹脂は均一に溶解していることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物の低粘度性を良好にする観点から、エポキシ樹脂(A)の粘度(2種以上のエポキシ樹脂を含む場合には、該2種以上のエポキシ樹脂の混合物としての粘度)は、ブルックフィールド社製コーンプレート型粘度計による温度25℃での粘度で、好ましくは50Pa・s以下であり、より好ましくは40Pa・s以下であり、さらに好ましくは20Pa・s以下である。エポキシ樹脂(A)の温度25℃での粘度は、通常0.01Pa・s以上であり、0.1Pa・s以上であってもよく、1Pa・s以上であってもよく、5Pa・s以上であってもよい。
分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂と、分子内にエポキシ基を1個有するエポキシ樹脂及び分子内にエポキシ基を3個以上有するエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上のエポキシ樹脂とを含んでいてもよい。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(2種以上のエポキシ樹脂を含む場合には、該2種以上のエポキシ樹脂の混合物としてのエポキシ当量)は、エポキシ樹脂組成物のTg及び強度等を高める観点から、好ましくは30g/eq~500g/eq以下、より好ましくは40g/eq~400g/eq、さらに好ましくは50g/eq~300g/eq、なおさらに好ましくは50g/eq~250g/eqである。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236に従って測定することができる。
〔2〕硬化剤(B)
硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(A)を架橋硬化させることができる化合物を含む。かかる化合物として、硬化剤(B)は、化合物(B-1)を含み、さらに化合物(B-2)を含んでいてもよい。硬化剤(B)は、化合物(B-1)を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。硬化剤(B)が化合物(B-2)をさらに含む場合、硬化剤(B)は、化合物(B-2)を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
エポキシ樹脂(A)、及び、硬化剤として化合物(B-1)、さらには化合物(B-2)を含むことにより、低粘度性が良好であり、かつ、高いTgを有する硬化物を形成できる液状のエポキシ樹脂組成物を提供することができる。硬化物のTgを高くすることは、硬化物の耐熱性や強度を高めるうえで有利である。本明細書において「低粘度性が良好である」とは、エポキシ樹脂組成物の温度25℃での粘度が、下記する好ましい粘度範囲内にあり十分に低い粘度であるか、又は、エポキシ樹脂組成物の温度25℃での粘度と、エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂(A)の温度25℃での粘度(2種以上のエポキシ樹脂を含む場合には、該2種以上のエポキシ樹脂の混合物としての粘度)との差が十分に小さいか、又は、エポキシ樹脂組成物の温度25℃での粘度がそれに含まれるエポキシ樹脂(A)の温度25℃での粘度よりも低いことをいう。
例えば、本発明に係るエポキシ樹脂組成物によれば、エポキシ樹脂組成物の温度25℃での粘度がそれに含まれるエポキシ樹脂(A)の温度25℃での粘度より高くなる場合であっても、該粘度差を小さくすることができる。また、本発明に係るエポキシ樹脂組成物によれば、エポキシ樹脂組成物の温度25℃での粘度を、それに含まれるエポキシ樹脂(A)の温度25℃での粘度よりも低くすることが可能である。
化合物(B-1)は、2個以上のフェノール性水酸基と、芳香環に直接結合する下記式(1)で表される基とを分子内に有する化合物である。
-Z-R (1)
[式(1)中、
Zは、CO又はSOを表し、
は、1価の炭化水素基を表す。]
本明細書において「フェノール性水酸基」とは、芳香環に直接結合する水酸基をいう。該水酸基が結合する芳香環と式(1)で表される基が結合する芳香環とは同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは同じである。化合物(B-1)は、分子内に1個又は2個以上の芳香環を有することができる。芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
化合物(B-1)が有するフェノール性水酸基の数は2個以上であり、好ましくは2~4個、より好ましくは2又は3個である。
式(1)で表される基は、カルボン酸エステル基又はスルホン酸エステル基である。式(1)中のZは好ましくはCOであり、すなわち、式(1)で表される基は、好ましくはカルボン酸エステル基である。
式(1)において、Rで表される1価の炭化水素基としては、例えば、脂肪族基(鎖状又は分岐状アルキル基等)、脂環族基(シクロアルキル基等)、芳香族基、脂肪族基と脂環族基との組み合わせからなる炭化水素基、並びに、芳香族基と脂肪族基及び/又は脂環族基との組み合わせからなる炭化水素基等が挙げられる。1価の炭化水素基の炭素数は、例えば1~12であり、好ましくは1~8、より好ましくは1~4である。一実施形態において化合物(B-1)が有するRは、アルキル基であり、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
化合物(B-1)は、繰り返し単位を有する重合体であってもよいが、好ましくは、繰り返し単位を有しない、いわゆる低分子化合物である。化合物(B-1)の分子量は、例えば1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは168以上300以下である。
化合物(B-1)の好ましい例は、下記式(B-1a)で表される化合物(B-1a)である。
Figure 2024058812000002
[式(B-1a)中、
Z及びRは、前記と同じ意味を表し、
nは、2又は3の整数を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基、又はアルコキシ基を表し、複数のRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
式(B-1a)において、Zは好ましくはCOであり、Rは、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。Rで表される1価の炭化水素基の例は、Rで表される1価の炭化水素基の例と同様である。Rで表されるアルコキシ基の炭素数は、例えば1~12であり、好ましくは1~8、より好ましくは1~4である。複数のRは、互いに独立して、好ましくは水素原子、1価の炭化水素基又はアルコキシ基、より好ましくは水素原子、アルキル基又はアルコキシ基、さらに好ましくは水素原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基、なおさらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基である。
ZがCOである化合物(B-1a)としては、例えば、2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,4-ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4-ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,3-ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,4-ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,5-ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,6-ジヒドロキシ安息香酸エチル、3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチル、3,5-ジヒドロキシ安息香酸エチル等が挙げられる。ZがSOである化合物(B-1a)としては、ZがCOである化合物(B-1a)の例において、COをSOに置き換えた化合物が挙げられる。
硬化剤(B)は、化合物(B-1)を2種以上含むことができる。2種以上の化合物(B-1)を併用することにより、1種の化合物(B-1)を用いる場合と比較して、低粘度性を改善させたり、硬化物のTgをより高めたりすることができることがある。
化合物(B-1)は、温度25℃で液状の化合物であってもよいし、固体の化合物であってもよい。固体化合物である化合物(B-1)を用いる場合であっても、本発明によれば、低粘度性が良好なエポキシ樹脂組成物を提供することができ、使用するエポキシ樹脂(A)の粘度よりも小さい粘度を示すエポキシ樹脂組成物を提供することも可能である。
硬化剤(B)は、化合物(B-1)に加えて、さらに化合物(B-2)を含むことができる。化合物(B-1)と化合物(B-2)とを併用することにより、化合物(B-1)のみを用いる場合と比較して、低粘度性を改善させたり、硬化物のTgをより高めたりすることができることがある。
化合物(B-2)は、2個以上のフェノール性水酸基を分子内に有し、上記式(1)で表される基(カルボン酸エステル基又はスルホン酸エステル基)を分子内に有しない化合物である。化合物(B-2)が有するフェノール性水酸基の数は、例えば2~6個であり、好ましくは2~4個である。フェノール性水酸基が結合する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
硬化剤としての機能の観点から、化合物(B-2)が有する2個以上のフェノール性水酸基は、1つの芳香環に直接結合する2個以上の水酸基を含むことが好ましく、1つのベンゼン環に直接結合する2個以上の水酸基を含むことがより好ましい。化合物(B-2)は、2個以上の水酸基を有する芳香環の構造を2以上有していてもよい。
化合物(B-2)は、繰り返し単位を有する重合体であってもよいが、好ましくは、繰り返し単位を有しない、いわゆる低分子化合物である。化合物(B-2)の分子量は、例えば1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは110以上310以下である。
一実施形態において、化合物(B-2)は、水酸基及び式(1)で表される基以外の置換基を有していてもよいポリヒドロキシベンゼン(以下、「化合物(B-2a)」ともいう。)である。上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1価の炭化水素基、アルコキシ基等が挙げられる。1価の炭化水素基の例は、Rで表される1価の炭化水素基の例と同様である。アルコキシ基の炭素数は、例えば1~12であり、好ましくは1~8、より好ましくは1~4である。上記置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基、より好ましくはハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基、さらに好ましくはハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基である。
化合物(B-2a)が有するフェノール性水酸基の数は、2個以上であり、好ましくは2~4個、より好ましくは2又は3個である。
化合物(B-2a)としては、例えば、
1,2-ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3-ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール、レゾルシン)、4-フルオロ-1,2-ジヒドロキシベンゼン、4-フルオロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-クロロ-1,2-ジヒドロキシベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-メトキシ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-メトキシ-1,2-ジヒドロキシベンゼン、4-メトキシ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、5-メトキシ-1,2-ジヒドロキシベンゼン、5-メトキシ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-メチル-1,2-ジヒドロキシベンゼン(4-メチルカテコール)、4-メチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、5-メチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-エチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-エチル-1,2-ジヒドロキシベンゼン、4-エチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、5-エチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-(1-フェニルエチル)-1,2-ジヒドロキシベンゼン、4-(1-フェニルエチル)-1,3-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
1,2,3-トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン等のトリヒドロキシベンゼン類
等が挙げられる。
硬化剤(B)は、化合物(B-2)を2種以上含むことができる。2種以上の化合物(B-2)を併用することにより、低粘度性を改善させたり、硬化物のTgをより高めたりすることができることがある。
化合物(B-2)は、温度25℃で液状の化合物であってもよいし、固体の化合物であってもよい。固体化合物である化合物(B-2)を用いる場合であっても、本発明によれば、低粘度性が良好なエポキシ樹脂組成物を提供することができ、使用するエポキシ樹脂(A)の粘度よりも小さい粘度を示すエポキシ樹脂組成物を提供することも可能である。
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量に対するフェノール性水酸基含有量のモル比は、例えば0.4~2.0であり、硬化物の特性を改善させる観点、とりわけ硬化物のTgを高める観点から、好ましくは0.5~1.8、より好ましくは0.6~1.5、さらに好ましくは0.7~1.3、なおさらに好ましくは0.8~1.2である。
「エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量」とは、エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基の数(モル数)をいう。
「フェノール性水酸基含有量」とは、エポキシ樹脂組成物中のフェノール性水酸基含有量であり、化合物(B-1)が有するフェノール性水酸基の数(モル数)と、化合物(B-2)が有するフェノール性水酸基の数(モル数)との合計をいう。
なお、エポキシ樹脂組成物は、フェノール性水酸基を1個有する化合物を含んでいてもよい。この場合、上記合計は、該化合物が有するフェノール性水酸基の数(モル数)も含まれる。フェノール性水酸基を1個有する化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、t-ブチルフェノール等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物における化合物(B-1)の含有量は、好ましくは上記モル比が上記範囲内となる量であり、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、例えば5質量部~100質量部であり、好ましくは7質量部~80質量部、より好ましくは10質量部~60質量部である。
エポキシ樹脂組成物が化合物(B-2)を含む場合、エポキシ樹脂組成物における化合物(B-2)の含有量は、好ましくは上記モル比が上記範囲内となる量であり、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、例えば5質量部~100質量部であり、好ましくは7質量部~80質量部、より好ましくは10質量部~60質量部である。
エポキシ樹脂組成物が化合物(B-2)を含む場合、低粘度性を良好にする観点及び/又は硬化物のTgを高める観点から、化合物(B-1)と化合物(B-2)との含有量比(化合物(B-1)/化合物(B-2))は、モル比で、好ましくは99/1~1/99の範囲であり、より好ましくは99/1~1/50、さらに好ましくは99/1~1/10、なおさらに好ましくは99/1~1/5であり、90/1~1/10、50/1~1/5、10/1~1/3、又は、1/1~1/3であってもよい。
〔3〕硬化促進剤(C)
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤(C)を含むことができる。本明細書において「硬化促進剤」とは、硬化反応を促進させる機能を有する剤をいう。ここでいう「促進」には、硬化反応を開始させる場合も含まれる。硬化促進剤(C)の使用は、硬化反応の促進に有利であり、また、比較的低温での硬化反応を可能にするうえでも有利である。硬化促進剤(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤(C)としては、例えば、第3級アミン化合物及びその塩、イミダゾール化合物(アダクト型、非アダクト型)、イミダゾリウム塩、トリフェニルホスフィンやホスホニウム塩等のリン系化合物、カルボン酸金属塩、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール(TBZ)等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物が硬化促進剤(C)を含む場合、エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤(C)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、例えば0.1質量部~50質量部であり、好ましくは0.5質量部~20質量部、より好ましくは1質量部~10質量部である。
〔4〕その他の配合成分
エポキシ樹脂組成物は、上述した成分以外の他の配合成分をさらに含むことができる。
他の配合成分としては、例えば、ゴム粒子、無機粒子(アルミニウム等の金属、炭酸カルシウムやシリカ等の金属化合物からなる粒子)、難燃剤、表面処理剤、離型剤、抗菌剤、レベリング剤、消泡剤、揺変剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、カップリング剤、界面活性剤、金属アルコキシド、熱可塑性樹脂、希釈剤等が挙げられる。
他の配合成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔5〕エポキシ樹脂組成物
エポキシ樹脂(A)、化合物(B-1)、並びに任意で添加される化合物(B-2)、硬化促進剤(C)及びその他の成分を含む本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、温度25℃で液状である。「温度25℃で液状である」の意味は上述のとおりである。液状のエポキシ樹脂組成物において、それに含まれるすべての成分は、溶解している状態であってもよいし、1以上の成分が他の成分に分散されている状態であってもよい。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、低粘度性が良好である。これにより、エポキシ樹脂組成物を用いた製品の生産性及び作業性を向上させ得る。本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、低粘度の液状エポキシ樹脂組成物が求められる用途に好適である。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、ブルックフィールド社製コーンプレート型粘度計による温度25℃での粘度で、好ましくは50Pa・s以下、より好ましくは40Pa・s以下であり、特に好ましくは20Pa・s以下である。エポキシ樹脂組成物の温度25℃での粘度は、通常0.01Pa・s以上であり、0.1Pa・s以上であってもよく、1Pa・s以上であってもよく、3Pa・s以上であってもよい。
また、本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、良好な硬化性を示すことができる。すなわち、エポキシ樹脂組成物は、比較的短い熱硬化時間で、及び/又は、比較的低温で、十分に硬化することができる。
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、化合物(B-1)、並びに任意で添加される化合物(B-2)、硬化促進剤(C)及びその他の成分を混合することによって調製できる。すべての成分を一括で混合してエポキシ樹脂組成物を得てもよいし、配合されるべき成分を複数の段階に分けて混合してエポキシ樹脂組成物を得てもよい。また、ある一つの成分を複数に分割し、分割した成分を異なるタイミングで混合してもよい。このように分割混合される成分は、2種以上あってもよい。
硬化促進剤(C)をエポキシ樹脂組成物に含有させる場合、エポキシ樹脂組成物の調製方法は、例えば、下記工程を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂(A)と化合物(B-1)と任意で添加される化合物(B-2)との混合物1を調製する工程I、
エポキシ樹脂(A)と硬化促進剤(C)との混合物2を調製する工程II、及び
混合物1と混合物2とを混合してエポキシ樹脂組成物を調製する工程III。
工程Iは、エポキシ樹脂(A)と化合物(B-1)と任意で添加される化合物(B-2)とを混合した後、昇温する工程を含んでいてもよい。昇温温度は、例えば80℃~120℃程度であってよい。昇温することにより、化合物(B-1)及び任意で添加される化合物(B-2)がエポキシ樹脂(A)中に均一に分散又は溶解したエポキシ樹脂組成物を得ることができる。工程Iが昇温する工程を含む場合であっても、上記調製方法によれば、工程Iにおいて硬化促進剤(C)が系中に存在しないため、硬化反応の開始を防止することができる。工程Iが昇温する工程を含む場合、工程IIIにおける混合物1と混合物2との混合は、硬化反応が生じない程度に混合物1を冷却してから行うことが好ましい。
<硬化物>
本発明に係る硬化物は、上記本発明に係るエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるものである。本発明に係る硬化物は、上記本発明に係るエポキシ樹脂組成物の硬化物であるため、高いTgを有することができ、これにより、高い耐熱性及び強度を示し得る。
本発明に係る硬化物は、例えば90℃以上、さらには95℃以上のTgを示すことができ、さらには100℃以上、なおさらには105℃以上又は110℃以上のTgを示すことができる。硬化物のTgは、後述する[実施例]の項の記載に従って測定することができる。
硬化物は、エポキシ樹脂組成物に熱を与えることによって形成することができる。硬化温度領域が異なる複数の硬化工程を経て硬化物を得てもよい。硬化温度は、例えば110℃~200℃であり、好ましくは120℃~180℃である。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物及びその硬化物は、半導体や電子部品の封止材として好適である。また、該エポキシ樹脂組成物は、接着剤、繊維への含浸用樹脂組成物としても使用することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
<実施例1>
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)100.0部にピロガロールを13.8部加えた後、さらに2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチルを27.7部加え、100.0℃まで温度を上げ10.0分保温後に25.0℃に温度調整した。そこに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)25.0部にトリフェニルホスフィン2.5部を溶解させた液体を加え、25.0℃で30.0分撹拌しエポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例2>
2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部の代わりに2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例3>
ピロガロールの使用量を20.7部としたこと、及び、2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部の代わりに2,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル13.8部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例4>
ピロガロール13.8部の代わりに1,2,4-トリヒドロキシベンゼン13.8部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例5>
ピロガロール13.8部の代わりに1,2,4-トリヒドロキシベンゼン11.6部を用いたこと、及び、2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部の代わりに2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル32.1部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例6>
ピロガロール13.8部の代わりに1,2,4-トリヒドロキシベンゼン6.9部を用いたこと、及び、2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部の代わりに2,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル41.5部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例7>
ピロガロール13.8部の代わりに4-メチルカテコール20.4部を用いたこと、及び、2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部の代わりに2,4-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例8>
ピロガロール13.8部の代わりにヘマトキシリン19.9部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例9>
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)100.0部に2,5-ジヒドロキシ安息香酸メチルを55.3部加え、100.0℃まで温度を上げ10.0分保温後に25.0℃に温度調整した。そこに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)25.0部にトリフェニルホスフィン2.5部を溶解させた液体を加え、25.0℃で30.0分撹拌しエポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例10>
ピロガロール13.8部の代わりに2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例11>
ピロガロール13.8部の代わりに2,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<実施例12>
ピロガロール13.8部の代わりに2,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部を用いたこと、及び、2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部の代わりに2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル27.7部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<比較例1>
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)100.0部に液状フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社(UBE株式会社に吸収合併)製の「MEH8000」)を92.8部加え、100.0℃まで温度を上げ10.0分保温後に25.0℃に温度調整した。そこに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)25.0部にトリフェニルホスフィン2.5部を溶解させた液体を加え、25.0℃で30.0分撹拌しエポキシ樹脂組成物を調製した。
<比較例2>
液状フェノールノボラック樹脂92.8部の代わりにレゾルシノール36.2部を用いたこと以外は比較例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
[測定]
(1)エポキシ樹脂組成物の粘度(25℃)
調製したエポキシ樹脂組成物について、ブルックフィールド社製コーンプレート型粘度計を用いて、温度25℃における粘度(Pa・s)を測定した。結果を表1に示す。該粘度は、好ましくは20.0Pa・s未満である。
なお、同粘度計を用いて測定したビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)の温度25℃における粘度は、13.1Pa・sであった。
(2)硬化物のガラス転移温度Tg
調製したエポキシ樹脂組成物をアルミカップに入れ、オーブンを使用して120℃で2時間、その後に160℃で3時間硬化させることにより、エポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
株式会社日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量計「DSC7000」を用いて、得られた硬化物のTgを次の手順で測定した。まず、30℃で1分間保温後、昇温レート10℃/分で230℃まで昇温し(1st scan)、30℃まで200℃/分の降温レートで降温した。その後、30℃で10分間保温した後、2nd scanとして昇温レート10℃/分で230℃まで昇温し、2nd scanにおけるTgを該硬化物のTg(℃)とした。結果を表1に示す。Tgは、好ましくは100.0℃以上である。
Figure 2024058812000003
表1に示される化合物の略称は下記の意味である。
・jER828:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製の「jER828」)
・2,3-DHBAM:2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル
・2,4-DHBAM:2,4-ジヒドロキシ安息香酸メチル
・2,5-DHBAM:2,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル
・2,6-DHBAM:2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル
・1,2,4-THB:1,2,4-トリヒドロキシベンゼン
・4-MC:4-メチルカテコール(4-メチル-1,2-ジヒドロキシベンゼン)
・MEH8000:液状フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社(UBE株式会社に吸収合併)製の「MEH8000」)
・TPP:トリフェニルホスフィン
表1において、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)の使用量の単位は質量部である。使用した化合物(B-1)及び化合物(B-2)は、MEH8000を除き、すべて温度25℃で固体である。表1の「OH/EPモル比」の欄に、仕込量から算出される、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基含有量に対するフェノール性水酸基含有量のモル比を記載した。
実施例のエポキシ樹脂組成物は、温度25℃での粘度が20.0Pa・s未満であり、かつ、Tgが100.0℃以上である硬化物を形成することができるものであった。また、実施例1、4、8、10、11及び12では、使用した化合物(B-1)及び化合物(B-2)が温度25℃で固体であるにもかかわらず、エポキシ樹脂組成物の温度25℃での粘度を、それに含まれるエポキシ樹脂(A)の温度25℃での粘度よりも小さくすることができた。これに対して、比較例1及び2のエポキシ樹脂組成物は、硬化物のTgが低く、さらに比較例2のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)の粘度に対する粘度上昇が大きいものであった。

Claims (8)

  1. 温度25℃で液状であるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)とを含み、
    前記硬化剤(B)は、2個以上のフェノール性水酸基と、芳香環に直接結合する下記式(1)で表される基とを分子内に有する化合物(B-1)を少なくとも1種含み、
    温度25℃で液状である、エポキシ樹脂組成物。
    -Z-R (1)
    [式(1)中、
    Zは、CO又はSOを表し、
    は、1価の炭化水素基を表す。]
  2. 前記化合物(B-1)は、下記式(B-1a)で表される化合物(B-1a)である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2024058812000004

    [式(B-1a)中、
    Z及びRは、前記と同じ意味を表し、
    nは、2又は3の整数を表し、
    は、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基、又はアルコキシ基を表し、複数のRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  3. 前記化合物(B-1)は、温度25℃で固体の化合物である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤(B)は、少なくとも1種の化合物(B-2)をさらに含み、
    前記化合物(B-2)は、2個以上のフェノール性水酸基を分子内に有し、前記式(1)で表される基を分子内に有しない化合物である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記2個以上のフェノール性水酸基は、1つのベンゼン環に直接結合する2個以上の水酸基を含む、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記化合物(B-2)は、温度25℃で固体の化合物である、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記化合物(B-1)と前記化合物(B-2)との含有量比が、モル比で、99/1~1/99の範囲である、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
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