JPWO2013047296A1 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、少なくとも結着樹脂、荷電制御剤及びワックス成分を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、当該ワックスのDSC曲線が所定の吸熱ピーク及び半値幅等を有し、且つ、当該ワックスの所定の吸熱ピークに起因するワックス成分が所定のエステルワックスであり、且つ重量平均粒径が所定の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
即ち、本発明によれば、結着樹脂、着色剤、及び軟化剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記軟化剤として、下記一般式(1)で示されるジエステル化合物を前記着色樹脂粒子100質量部に対して1〜15質量部含有し、且つフローテスターにおけるトナーの軟化温度Tsが55〜70℃、流出開始温度Tfbが80〜100℃、及びガラス転移温度が40〜70℃であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが提供される。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、及び特定の軟化剤、並びに外添剤を含有する。
以下、本発明に用いられる着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーについて、順に説明する。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、着色剤、及び軟化剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
上記一般式(1)中、R1はエチレン基(−CH2−CH2−)又はトリメチレン基(−CH2−CH2−CH2−)を示し、エチレン基が好ましい。
上記一般式(1)中、R2及びR3は炭素数11〜25の直鎖アルキル基を示し、且つ、これらR2及びR3は互いに独立である。したがって、R2及びR3は同じ基であってもよいし、互いに異なる基であってもよい。R2及びR3は、低温定着性に優れた(定着下限温度が低い)トナーが得られるとの観点から、好ましくは炭素数13〜21の直鎖アルキル基、より好ましくは炭素数15〜19の直鎖アルキル基である。
上記一般式(1)で示されるジエステル化合物として、具体的には、エチレングリコールジステアレート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C17H35)、トリメチレングリコールジステアレート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C17H35)、エチレングリコールアラキジネートステアレート(R1=−C2H4−、R2=−C19H39、R3=−C17H35)、トリメチレングリコールアラキジネートステアレート(R1=−C3H6−、R2=−C19H39、R3=−C17H35)、エチレングリコールステアレートパルミテート(R1=−C2H4−、R2=−C17H35、R3=−C15H31)、トリメチレングリコールステアレートパルミテート(R1=−C3H6−、R2=−C17H35、R3=−C15H31)、エチレングリコールジミリステート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C13H27)、トリメチレングリコールジミリステート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C13H27)、エチレングリコールジペンタデカネート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C14H29)、トリメチレングリコールジペンタデカネート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C14H29)、エチレングリコールジパルミテート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C15H31)、トリメチレングリコールジパルミテート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C15H31)、エチレングリコールジマルガレート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C16H33)、トリメチレングリコールジマルガレート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C16H33)、エチレングリコールジノナデカネート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C18H37)、トリメチレングリコールジノナデカネート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C18H37)、エチレングリコールジアラキジネート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C19H39)、トリメチレングリコールジアラキジネート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C19H39)、エチレングリコールジベヘネート(R1=−C2H4−、R2=R3=−C21H43)、トリメチレングリコールジベヘネート(R1=−C3H6−、R2=R3=−C21H43)等が挙げられる。これらのジエステル化合物の中でも、エチレングリコールジステアレート、トリメチレングリコールジステアレートがより好ましい。
上記一般式(2)で示されるジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物として、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート(R4〜R9=−C17H35)、ジペンタエリスリトールトリアラキジネートトリステアレート(R4〜R6=−C19H39、R7〜R9=−C17H35)、ジペンタエリスリトールトリステアレートトリパルミテート(R4〜R6=−C17H35、R7〜R9=−C15H31)、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(R4〜R9=−C13H27)、ジペンタエリスリトールヘキサペンタデカネート(R4〜R9=−C14H29)、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート(R4〜R9=−C15H31)、ジペンタエリスリトールヘキサマルガレート(R4〜R9=−C16H33)、ジペンタエリスリトールヘキサノナデカネート(R4〜R9=−C18H37)、ジペンタエリスリトールヘキサアラキジネート(R4〜R9=−C19H39)等が挙げられる。これらのジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物の中でも、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールトリアラキジネートトリステアレート、及びジペンタエリスリトールトリステアレートトリパルミテートがより好ましい。
軟化剤の含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して好ましくは3〜13質量部であり、より好ましくは5〜12質量部である。
ジエステル化合物及びジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物の含有比は、ジエステル化合物:ジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物=40質量%:60質量%〜70質量%:30質量%であることが好ましい。
軟化剤の製造方法の典型例は以下の通りである。なお、本発明に用いられる軟化剤の製造方法は、以下の典型例に限定されない。
まず、反応容器に、原料となるアルコールとカルボン酸を加える。アルコールとカルボン酸のモル比は、目的とする軟化剤の化学構造に合わせて適宜調整する。例えば、ジエステル化合物の場合は、アルコール:カルボン酸=1:2のモル比となるようにアルコールとカルボン酸を混合する。一方、ジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物の場合には、ジペンタエリスリトール:カルボン酸=1:6のモル比となるようにジペンタエリスリトールとカルボン酸を混合する。なお、脱水縮合反応における反応性等を考慮して、アルコールとカルボン酸のうちいずれか一方を、上記比より若干過剰に加えてもよい。
次に、混合物を適宜加熱し、脱水縮合反応を行う。脱水縮合反応により得られるエステル化粗生成物に対し、塩基性水溶液、及び適宜有機溶媒を加え、未反応のアルコール及びカルボン酸を脱プロトン化し水相に分離する。あとは、適宜水洗、溶媒留去、及びろ過を行うことにより、所望の軟化剤が得られる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、少なくとも重合性単量体、着色剤、軟化剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、着色剤、及び軟化剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明においては、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とする。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本発明のトナーのフローテスターにおける軟化温度Tsは55〜70℃である。フローテスターにおけるトナーの軟化温度Tsが55℃未満である場合には、保存性が悪くなるおそれがある。一方、当該軟化温度Tsが70℃を超える場合には、低温定着性が悪くなる(定着下限温度が高くなる)おそれがある。
本発明のトナーの、フローテスターにおける軟化温度Tsは、好ましくは57〜67℃であり、より好ましくは60〜65℃である。軟化温度Tsは、重合性単量体の組成、重合開始剤の量、分子量調整剤の量により制御できる。
本発明のトナーの、フローテスターにおける流出開始温度Tfbは、好ましくは83〜97℃であり、より好ましくは85〜95℃である。流出開始温度Tfbは、重合性単量体の組成(中でも特に架橋性単量体の量)、重合開始剤の量、分子量調整剤の量により制御できる。
本発明のトナーのガラス転移温度は、好ましくは45〜60℃であり、より好ましくは50〜55℃である。ガラス転移温度は、重合性単量体の組成、重合開始剤の量、分子量調整剤の量により制御できる。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[製造例1]
温度計、窒素導入管、攪拌機及び冷却管を備えた4つ口フラスコに、ステアリン酸312.9g(1.1mol)と、エチレングリコール31g(0.5mol)とを加え、窒素気流下、180℃で反応水を留去しつつ、15時間常圧で反応させた。この反応によって得られたエステル化粗生成物100部に対して、トルエン20部と、エタノール4部とを加え、さらに、前記エステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。攪拌後30分間静置した後、エステル相から分離した水相(下層)を除去することによって、前記エステル化粗生成物を水洗した。水相のpHが7になるまで、上記水洗を4回繰り返した。その後、180℃、1kPaの減圧条件下で、水洗されたエステル相から溶媒を留去し、濾過を行い、軟化剤A(エチレングリコールジステアレート)を得た。得られた軟化剤Aの酸価は0.1mgKOH/gであり、水酸基価は2.6mgKOH/gであった。
軟化剤Aの化学構造を下記式(1A)に示す。
製造例1において、エチレングリコール31gをジペンタエリスリトール43.2g(0.17mol)に変更した以外は、製造例1と同様にして軟化剤B(ジペンタエリスリトールヘキサステアレート)を得た。得られた軟化剤Bの酸価は0.1mgKOH/gであり、水酸基価は3.8mgKOH/gであった。
軟化剤Bの化学構造を下記式(2B)に示す。
製造例1において、エチレングリコール31gを1,4−ブタンジオール45.1g(0.5mol)に変更した以外は、製造例1と同様にして軟化剤C(1,4−ブタンジオールジステアレート)を得た。得られた軟化剤Cの酸価は0.1mgKOH/gであり、水酸基価は3.2mgKOH/gであった。
軟化剤Cの化学構造を下記式(1C)に示す。
製造例1において、エチレングリコール31gを1,6−ヘキサンジオール59.1g(0.5mol)に変更した以外は、製造例1と同様にして軟化剤D(1,6−ヘキサンジオールジステアレート)を得た。得られた軟化剤Dの酸価は0.1mgKOH/gであり、水酸基価は3.5mgKOH/gであった。
軟化剤Dの化学構造を下記式(1D)に示す。
製造例1において、ステアリン酸312.9gをコハク酸118.1g(1mol)、エチレングリコール31gをステアリルアルコール148.7g(0.55mol)に変更した以外は、製造例1と同様にして軟化剤E(ジステアリルスクシナート)を得た。得られた軟化剤Eの酸価は0.1mgKOH/gであり、水酸基価は4.7mgKOH/gであった。
軟化剤Eの化学構造を下記式(1E)に示す。
製造例1において、ステアリン酸312.9gをベヘン酸374.6g(1.1mol)に変更した以外は、製造例1と同様にして軟化剤F(エチレングリコールジベヘネート)を得た。得られた軟化剤Fの酸価は0.1mgKOH/gであり、水酸基価は3.0mgKOH/gであった。
軟化剤Fの化学構造を下記式(1F)に示す。
軟化剤A〜軟化剤F、及び、グリセリンエステル化合物(日本油脂社製、商品名「WEP7」:以下、軟化剤Gと称する場合がある。)について、JIS K 0070に準拠して酸価及び水酸基価を測定した。
軟化剤A〜軟化剤Fの測定結果を、軟化剤の原料と併せて下記表1に示す。なお、軟化剤Gの酸価は0.5mgKOH/gであり、水酸基価は4.8mgKOH/gである。
[実施例1]
モノビニル単量体としてスチレン75部及びアクリル酸n−ブチル25部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#25B」)7部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.60部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0部、及びマクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名「AA6」)0.25部を、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行った後、帯電制御剤として正帯電性の帯電制御樹脂(4級アンモニウム基含有スチレン/アクリル共重合体)1部、軟化剤として、製造例1で作製した軟化剤Aを10部、混合して、重合性単量体組成物を得た。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Aを5部、軟化剤Bを5部添加した他は、実施例1と同様にして、実施例2の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Aを6.5部、軟化剤Bを3.5部添加した他は、実施例1と同様にして、実施例3の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Aを5部、グリセリンエステル化合物(軟化剤G)を5部添加した他は、実施例1と同様にして、実施例4の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Fを5部、軟化剤Bを5部添加した他は、実施例1と同様にして、実施例5の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Cを10部添加した他は、実施例1と同様にして、比較例1の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、グリセリンエステル化合物(軟化剤G)を10部添加した他は、実施例1と同様にして、比較例2の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Cを5部、グリセリンエステル化合物(軟化剤G)を5部添加した他は、実施例1と同様に、比較例3の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Dを5部、グリセリンエステル化合物(軟化剤G)を5部添加した他は、実施例1と同様にして、比較例4の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Bを10部添加した他は、実施例1と同様にして、比較例5の静電荷像現像用トナーを製造した。
実施例1において、軟化剤Aを10部添加する替わりに、軟化剤Eを5部、グリセリンエステル化合物(軟化剤G)を5部添加した他は、実施例1と同様にして、比較例6の静電荷像現像用トナーを製造した。
上記実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例5の静電荷像現像用トナー、並びにこれらのトナーの製造に用いた各着色樹脂粒子について特性を調べた。詳細は以下の通りである。なお、比較例6のトナーは、製造時に融着してしまい、トナーとして評価できなかった。
着色樹脂粒子を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名「ドライウエル」)0.1mLを加えた。そのビーカーへ、更に専用電解液(ベックマン・コールター社製、商品名「アイソトンII−PC」)を10〜30mL加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名「マルチサイザー」)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII−PC、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。測定及び算出結果を下記表2に示す。
以下の方法により、トナーの軟化温度Ts及び流動開始温度Tfbを測定した。
まず、トナーをフローテスター(島津製作所製、商品名「CFT−500C」)を用いて、下記条件で測定した。
開始温度=35℃、昇温速度=3℃/分、予熱時間=5分、シリンダー圧力=10.0kg・f/cm2、ダイ直径=0.5mm、ダイ長さ=1.0mm、剪断応力=2.451×105Pa、試料投入量=1.0〜1.3g。
次に、当該測定結果から、トナーの軟化温度Ts及び流動開始温度Tfbを求めた。算出結果を下記表2に示す。
ASTM D3418−82に準拠して、トナーの最大吸熱ピーク温度を測定した。具体的には、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名「SSC5200」)を用いてトナー試料を昇温速度10℃/分で昇温し、その過程で得られたDSC曲線のガラス転移温度を示す温度を測定した。測定結果を下記表2に示す。
上記実施例1〜実施例5、並びに、比較例1〜比較例5の静電荷像現像用トナーについて物性を調べた。詳細は以下の通りである。
トナー10gを密閉可能な容器(ポリエチレン製、容量:100mL)に加えて密閉した後、当該容器を55℃の温度に保持した恒温水槽の中に沈めた。8時間経過した後、恒温水槽から当該容器を取り出し、容器内のトナーを42メッシュの篩上へ置いた。この際、容器内でのトナーの凝集構造を破壊しないように、容器内からトナーを静かに取り出し、注意深く篩上に移して置くようにした。
トナーを置いた篩を、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名「パウダテスタPT−R」)を用いて、振幅1mmの条件で、30秒間振動させた後、篩上に残留したトナーの質量を測定し、凝集トナーの質量とした。最初に容器に入れたトナーの質量に対する凝集トナーの質量の割合(質量%)を算出した。
なお、1サンプルにつき上記測定を3回行い、凝集トナーの質量の割合(質量%)を算出し、その平均値を保存性の指標とした。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターの定着ロール部の温度を変えられるように改造したプリンターを用い、当該プリンターの現像装置内のトナーカートリッジに、トナーを100g充填した後、印字用紙をセットし、下記のように定着試験を行った。
定着試験は、黒ベタ(印字濃度100%)を印字して、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃ずつ変化させ、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めた。
なお、5℃ずつ変化させる各温度において、定着ロールの温度を安定化させるために、5分以上その温度状態を維持させた。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)を貼り、円盤型の金属ロール(直径15cm×厚さ2cm、重さ:1kg)を用いて、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名「RD914」)を用いて測定した。
上記のプリンターを用い、ベタ画像の紙面上トナー量が0.45(mg/cm2)となるようにプリンターの調整を行った後、定着ロールの温度(定着温度)を170〜200℃の間で10℃ずつ変化させて、5cm四方のベタ画像を用紙(HammerMill製、商品名「Laser Print Paper24」)に印字した。得られた5cm四方のベタ画像を、グロスメーター(日本電色工業製、商品名「VGS−SENSOR」)を用いて、入射角60°によりグロスの値を測定した。なお、グロスの値は、大きい程光沢感があることを示す。
以下、表1及び表2を参照しながら、静電荷像現像用トナーの評価結果について検討する。
まず、比較例1のトナーについて検討する。表1及び表2より、比較例1のトナーは、酸価が0.1mgKOH/g、水酸基価が3.2mgKOH/gである軟化剤C(1,4−ブタンジオールジステアレート)を10質量部用いて製造したトナーである。表2より、比較例1のトナーは、フローテスターにおける軟化温度Tsが59℃、流出開始温度Tfbが85℃、ガラス転移温度が48℃である。
表2より、比較例1のトナーは、凝集トナーの割合が2.0質量%であり、グロスの値が170〜200℃の各温度において、8.5〜9.6である。したがって、比較例1のトナーについては、少なくとも保存性及び光沢感に問題は見られない。
しかし、比較例1のトナーは、最低定着温度が150℃と高く、さらにホットオフセット温度が160℃と低い。特に、比較例1のトナーのホットオフセット温度は、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例5のトナー中、最も低い値である。したがって、軟化剤として、上記一般式(1)におけるR1がテトラメチレン基である1,4−ブタンジオールジステアレートのみを用いた比較例1のトナーは、低温定着性、及び耐ホットオフセット性にいずれも劣り、特に耐ホットオフセット性に極めて劣ることが分かる。
表2より、比較例2のトナーは、凝集トナーの割合が0.1質量%であり、ホットオフセット温度が230℃を超える。したがって、比較例2のトナーについては、少なくとも保存性及び耐ホットオフセット性に問題は見られない。
しかし、比較例2のトナーは、最低定着温度が165℃と高く、グロスの値が170〜200℃の各温度において、3.0〜4.5と低い。特に、比較例2のトナーの最低定着温度は、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例5のトナー中、最も高い値である。また、比較例2のトナーのグロスの値は、180〜200℃のいずれの温度においても、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例5のトナー中、最も低い値である。したがって、軟化剤として軟化剤Gのみを用い、且つ、フローテスターにおける流出開始温度Tfbが100℃を超える比較例2のトナーは、低温定着性、及び光沢感に格段に劣ることが分かる。
表2より、比較例3のトナーは、ホットオフセット温度が200℃である。したがって、比較例3のトナーについては、少なくとも耐ホットオフセット性に問題は見られない。
しかし、比較例3のトナーは、凝集トナーの割合が4.0質量%と高く、最低定着温度が160℃と高く、グロスの値が170〜200℃の各温度において、6.3〜7.1と低い。したがって、軟化剤として、1,4−ブタンジオールジステアレート及び軟化剤Gを併用した比較例3のトナーは、保存性、低温定着性、及び光沢感にいずれも劣ることが分かる。
表2より、比較例4のトナーは、ホットオフセット温度が220℃である。したがって、比較例4のトナーについては、少なくとも耐ホットオフセット性に問題は見られない。
しかし、比較例4のトナーは、凝集トナーの割合が5.0質量%と高く、最低定着温度が150℃と高く、グロスの値が170〜200℃の各温度において、6.0〜7.3と低い。特に、比較例4のトナーの凝集トナーの割合は、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例5のトナー中、最も高い。したがって、軟化剤として、上記一般式(1)におけるR1がヘキサメチレン基である1,6−ヘキサンジオールジステアレート、及び、軟化剤Gを併用した比較例4のトナーは、保存性、低温定着性、及び光沢感にいずれも劣り、特に保存性に極めて劣ることが分かる。
表2より、比較例5のトナーは、凝集トナーの割合が0.1質量%であり、ホットオフセット温度が230℃を超える。したがって、比較例5のトナーについては、少なくとも保存性及び耐ホットオフセット性に問題は見られない。
しかし、比較例5のトナーは、最低定着温度が160℃と高く、グロスの値が170〜200℃の各温度において、4.0〜5.0と低い。特に、比較例5のトナーのグロスの値は、170〜180℃のいずれの温度においても、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例5のトナー中、最も低い値である。したがって、軟化剤としてジペンタエリスリトールヘキサステアレートのみを用いた比較例5のトナーは、低温定着性、及び光沢感にいずれも劣り、特に光沢感に極めて劣ることが分かる。
表2より、実施例1〜5のトナーは、凝集トナーの割合が2.0質量%以下と低く、最低定着温度が140℃以下と低く、ホットオフセット温度が180℃以上と高く、グロスの値が170〜200℃の各温度において、7.0〜10.8と高い。
したがって、軟化剤として、上記一般式(1)におけるR1がエチレン基であり、且つ、R2及びR3が炭素数17のヘプタデシル基であるエチレングリコールジステアレート、又は上記一般式(1)におけるR1がエチレン基であり、且つ、R2及びR3が炭素数21のヘンエイコシル基であるエチレングリコールジベヘネートのいずれかを用い、さらに、フローテスターにおける軟化温度Tsが60〜61℃、流出開始温度Tfbが85〜96℃、ガラス転移温度が50〜52℃である実施例1〜5のトナーは、優れた耐熱保存性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性を有し、且つ、印刷面を平滑にでき、さらに高いグロス(光沢感)の印字物を与えるトナーであることが分かる。
また、軟化剤A(エチレングリコールジステアレート)を5質量部、軟化剤G(グリセリンエステル化合物)を5質量部、それぞれ用いた実施例4のトナーは、ホットオフセット温度が230℃を超え、極めて高い。
また、軟化剤F(エチレングリコールジベヘネート)を5質量部、軟化剤B(ジペンタエリスリトールヘキサステアレート)を5質量部それぞれ用いた実施例5のトナーは、凝集トナーの割合が0.1質量%と極めて低く、ホットオフセット温度が230℃を超え極めて高く、グロスの値が170〜200℃の各温度において、9.0〜10.2と極めて高い。
例えば、特許文献1には、少なくとも結着樹脂、荷電制御剤及びワックス成分を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、当該ワックスのDSC曲線が所定の吸熱ピーク及び半値幅等を有し、且つ、当該ワックスの所定の吸熱ピークに起因するワックス成分が所定のエステルワックスであり、且つ重量平均粒径が所定の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
以下の方法により、トナーの軟化温度Ts及び流出開始温度Tfbを測定した。
まず、トナーをフローテスター(島津製作所製、商品名「CFT−500C」)を用いて、下記条件で測定した。
開始温度=35℃、昇温速度=3℃/分、予熱時間=5分、シリンダー圧力=10.0kg・f/cm2、ダイ直径=0.5mm、ダイ長さ=1.0mm、剪断応力=2.451×105Pa、試料投入量=1.0〜1.3g。
次に、当該測定結果から、トナーの軟化温度Ts及び流出開始温度Tfbを求めた。算出結果を下記表2に示す。
Claims (7)
- 前記軟化剤として、更にジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記着色樹脂粒子が、湿式法により製造されたものであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ジエステル化合物及び前記ジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物の含有比が、ジエステル化合物:ジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物=20質量%:80質量%〜80質量%:20質量%であることを特徴とする請求の範囲第2項乃至第4項のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記軟化剤の酸価は、0.01〜2mgKOH/gであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記軟化剤の水酸基価は、0.1〜15mgKOH/gであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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