JP6318707B2 - トナー用エステルワックス組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、レーザープリンタなどの電子写真法や静電記録法等で形成される静電潜像を現像するために用いられるトナーに対して好適に使用されるトナー用エステルワックス組成物に関する。
より詳細には、本発明は、低温定着を達成できるとともに、高画質で、かつ光沢性の低い画像を得られるトナー用エステルワックス組成物に関する。
複写機やプリンター等の複写装置に求められる性能は高度化しており、装置の改良に加え、それらの装置に使用されるトナーについても、多くの性能が求められている。例えば、環境意識の高まりから、消費電力を低減する技術が積極的に開発されている。消費電力を低減するためには、電力消費の大きな定着ロールの加熱に使用する電力を下げることが有効であり、定着温度を低くする方法について積極的な開発が行われている。定着温度を低くするためには、低温で機能するトナーが必要となり、ワックスについても低温で融解して機能を発現するものが求められている。
一方、近年、画質に対する要求も厳しくなっており、高画質を達成できるトナーが求められている。電子写真において画質の低下をもたらす原因として、トナー表面に露出したワックスがキャリヤやOPC(有機光導伝体)ドラムを汚染することが挙げられる。特に、省電力を志向した複写機やプリンターで使用されるトナー用ワックスは、上記のとおり低温で融解するものが多く、複写機やプリンターの内部が使用条件によっては50℃程度の高温に晒されることがあるので、これらの温度でワックスの一部が融解したり、ワックスが軟化することがある。したがって、トナー表面に露出したワックスがキャリヤやOPCドラムを汚染し、画質低下の原因となることがある。
また、画質の光沢性についても積極的な検討がなされており、例えばカラートナーにおいては高光沢性な画像が求められる一方で、モノクロトナーにおいては光沢を抑えた画質が求められる傾向にある。
特許文献1には、炭素数6〜32のモノアルコールと炭素数6〜22の二塩基酸とのエステル、または炭素数7〜33のモノカルボン酸と炭素数4〜20のジアルコールや分子内にエーテル結合を有する特定のジアルコールからなるジエステルワックスを含有するトナーが、OHPフィルムの定着画像の透明性や耐オフセット性に優れることが開示されている。しかしながら、これらのジエステルワックスを使用したトナーは、耐オフセット性は優れるが、OPCドラムやキャリヤを汚染し、画質を悪化させることがある。
特許文献2には、分子中に5個以上のエステル結合を有し、分子量が2000以上、35℃で測定したスチレン100gに対する溶解量が5g以上であり、ヘキサグリセリンとモノカルボン酸とからなるエステルワックス等を含有するトナーが、低温定着性や保存安定性、印刷画質の耐久性に優れることが開示されている。しかしながら、このワックスをモノクロトナーに使用した場合、モノクロ印刷において好まれる、光沢を抑えた画像が得られないといった問題がある。
特許文献3には、ジエステル化合物やジエステル化合物とジペンタエリスリトールへキサエステル化合物を組み合わせたワックスを含む特定のトナーが、高い低温定着性を示すとともに、印字物に高い光沢感を与えることが開示されている。しかしながら、これらのトナーでもモノクロ印刷において好まれる、光沢を抑えた画像を得られないといった問題がある。
このように、省エネルギー化を実現するために低温定着を達成できるとともに、高画質で、かつ光沢性が低く、モノクロ印刷に適した画像を得られるトナー用エステルワックス組成物が求められている。
特開平8−297376号公報 特開2001−147550号公報 国際公開第2013/047296号
本発明の目的は、低温定着を達成できるとともに、高画質で、かつ光沢性の低い画像を得られるトナー用エステルワックス組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のポリグリセリンエステルと特定のジエステルとを特定の割合で含有する脂肪酸エステル組成物が、トナー粒子の表面の光沢性を低く抑えることができるので、紙等の印刷媒体にトナーが印字された場合、その画像の光沢性を低く抑えることができることを見出した。また、本脂肪酸エステル組成物をトナー用ワックスとして使用した場合に、低温定着性が付与されるとともに、高温時にも針入度を低く保ち、各種機材汚染やトナーのブロッキングを防止し、優れた画質を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に示す脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとからなり、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとを3:97〜38:62の質量比で含有するトナー用エステルワックス組成物である。
脂肪酸エステルA:平均重合度が3〜10のポリグリセリンと炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックス
脂肪酸エステルB:炭素数2〜6の二価の飽和アルコールと炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックス
本発明のトナー用エステルワックス組成物は、トナーの光沢性を低く抑えることができるとともに、低温定着を達成しつつ、高温時でも針入度を低く抑えることができる。そのため、本ワックス組成物を含有するトナーは、紙等の印刷媒体に印字された場合、その画像の表面光沢性を低く抑えることができ、さらに、低温定着性が付与されるとともに、各種機材汚染やトナーのブロッキングが起こり難いという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明のトナー用エステルワックス組成物は、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBからなる。脂肪酸エステルAおよび脂肪酸エステルBについて順次説明する。
なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
〔脂肪酸エステルA〕
本発明における脂肪酸エステルAは、ポリグリセリンと直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックスである。
脂肪酸エステルAの原料アルコールであるポリグリセリンは、平均重合度が3から10のグリセリン縮合物である。ポリグリセリンの平均重合度は、好ましくは4〜10、更に好ましくは6〜10である。平均重合度が3未満の場合には、光沢性を低く抑えることが困難となるおそれがあり、10を超える場合には、定着時にワックス染み出し性が低下し、定着ロールからの剥離性が低下するおそれがある。
脂肪酸エステルAの原料脂肪酸は、直鎖飽和脂肪酸であって、炭素数が16〜24であり、好ましくは炭素数が18〜22であり、更に好ましくは炭素数が22である。炭素数が16未満の場合には、低温からワックスの融解が起こることがあるので、高温保存時の安定性が低下するおそれがある。また、炭素数が24を超える場合には、定着時にワックス染み出し性が低下し、定着ロールからの剥離性が低下するおそれがある。
原料脂肪酸の例としては、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘネイコサン酸、ベヘニン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、ベヘニン酸が好ましい。
上記のポリグリセリンと上記の直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックスの中でも、グリセリンの平均重合度が6〜10であるポリグリセリンとベヘニン酸とから得られるエステルワックスが好ましい。脂肪酸エステルAは1種または2種以上を用いることができる。
脂肪酸エステルAの酸価は、3mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価が3mgKOH/g以下の場合、本エステルワックスを含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
また、脂肪酸エステルAは、ポリグリセリンの水酸基が全てエステル化されたものが好ましい。脂肪酸エステルAの水酸基価は、10mgKOH/g以下であることが好ましく、7mgKOH/g以下であることが更に好ましい。水酸基価が10mgKOH/g以下の場合、本エステルワックスを含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
さらに、脂肪酸エステルAの透明融点は、80℃以下であることが好ましく、75℃以下であることが更に好ましい。透明融点が80℃以下の場合、本エステルワックスを含有するトナーの低温定着性が更に良好となり好ましい。
なお、酸価はJOCS(日本油化学会)2.3.1−1996に準拠して測定することができ、水酸基価はJOCS(日本油化学会)2.3.6.2−1996に準拠して測定することができ、透明融点はJOCS(日本油化学会)2.2.4.1に準拠して測定することができる。
〔脂肪酸エステルB〕
本発明における脂肪酸エステルBは、飽和アルコールと直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックスである。
脂肪酸エステルBの原料アルコールは、炭素数が2〜6の二価の飽和アルコールである。炭素数が2未満の場合には、保存時の安定性が低下するおそれがある。また、炭素数が6を超える場合には、定着時にワックス染み出し性が低下し、剥離性が低下するおそれがある。
原料アルコールの例としては、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらのアルコールの中でも、1,2−エタンジオール、1,6−へキサンジオールが好ましい。
脂肪酸エステルBの原料脂肪酸は、直鎖飽和脂肪酸であって、炭素数が16〜24、好ましくは炭素数が16〜22である。炭素数が16未満の場合には、低温からワックスの融解が起こることがあるので、高温保存時の安定性が低下するおそれがある。また、炭素数が24を超える場合には、定着時にワックス染み出し性が低下し、定着ロールからの剥離性が低下するおそれがある。
原料脂肪酸の例としては、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘネイコサン酸、ベヘニン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、ステアリン酸が好ましい。
上記の飽和アルコールと上記の直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックスの中でも、1,2−エタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールと、ステアリン酸とから得られるエステルワックスが好ましい。脂肪酸エステルBは1種または2種以上を用いることができる。
脂肪酸エステルBの酸価は、3mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価が3mgKOH/g以下の場合、本エステルワックスを含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
また、脂肪酸エステルBの水酸基価は、5mgKOH/g以下であることが好ましく、4mgKOH/g以下であることが更に好ましい。水酸基価が5mgKOH/g以下の場合、本エステルワックスを含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
さらに、脂肪酸エステルBの透明融点は、90℃以下であることが好ましく、85℃以下であることが更に好ましい。透明融点が90℃以下の場合、本エステルワックスを含有するトナーの低温定着性が更に良好となり好ましい。
なお、酸価はJOCS(日本油化学会)2.3.1−1996に準拠して測定することができ、水酸基価はJOCS(日本油化学会)2.3.6.2−1996に準拠して測定することができ、透明融点はJOCS(日本油化学会)2.2.4.1に準拠して測定することができる。
脂肪酸エステルAおよびBの製造法としては、アルコールと脂肪酸からの脱水縮合反応を利用する方法が挙げられる。反応の際には触媒を使用しても良く、触媒としては、酸性または塩基性触媒などが挙げられる。反応の際には、脂肪酸とアルコールとを等モル比で、あるいは一方の成分を他方の成分よりも過剰に添加し反応させる。その後、再結晶法、蒸留法、溶剤抽出法、吸着処理法などによって、高純度化させても良い。
〔トナー用エステルワックス組成物〕
本発明のトナー用エステルワックス組成物は、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとを3:97〜38:62の質量比で含有し、好ましくは5:95〜33:67、更に好ましくは10:90〜30:70の質量比で含有する。
脂肪酸エステルAの含有比率が3未満の場合には、ワックスの光沢性の制御が不十分となり、その結果、画質の光沢性の制御も不十分となるおそれがある。また50℃におけるワックスの針入度が高くなり、各種機材汚染やトナーのブロッキングを引き起こすおそれもある。
脂肪酸エステルAの含有比率が38を超える場合には、ワックスの光沢性の抑制が不十分となり、その結果、画質の光沢性の制御も不十分となるおそれがある。
脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBを一定の質量比で混合した場合、ワックスの光沢性を低く抑えることが可能となる。この機構の詳細については、十分解明されていないが、特定の比率で配合した際にワックスの結晶状態が変化して、光沢性を低減しているものと推測される。
本発明のトナー用エステルワックス組成物は、2種以上の脂肪酸エステルをそれぞれ合成した後に、規定の比率になるように複数の脂肪酸エステルを配合して製造してもよいし、規定の比率になるように原料脂肪酸および原料アルコールの量を調整して一括合成で製造しても良い。2種以上の脂肪酸エステルをそれぞれ合成した後に配合して製造する方法を採用する場合には、脂肪酸エステルを一旦、融点以上に加熱した上で、均一に混合した後に、冷却および微粒子化等を行うことが、品質のばらつき防止の観点から好ましい。
このようにして得られたトナー用エステルワックス組成物は、ワックスの光沢性を十分に抑制できるとともに、針入度を低く保つことができる。
本発明のトナー用エステルワックス組成物は、バインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤などとともに配合され、通常の製法によってトナーが製造される。トナー中における本発明のトナー用エステルワックス組成物の配合量は、バインダー樹脂100質量部に対して、通常、0.1〜40質量部である。
以下に本発明のトナー用エステルワックス組成物の実施例および比較例を示して、本発明を更に具体的に説明する。実施例および比較例で採用した各種の評価方法、使用した脂肪酸エステルAおよびBの製造例を示す。なお、以下の実施例および比較例において、「%」は質量%を示す。
〔評価方法〕
(1)脂肪酸エステルの酸価:JOCS(日本油化学会)2.3.1−1996に従った。
(2)脂肪酸エステルの水酸基価:JOCS(日本油化学会)2.3.6.2−1996に従った。
(3)脂肪酸エステルの透明融点:JOCS(日本油化学会)2.2.4.1に従った。
(4)脂肪酸エステルおよびエステルワックス組成物の針入度:JIS K2207に従って、温度50℃、荷重150gで測定を行った。
(5)脂肪酸エステルおよびエステルワックス組成物の光沢率:日本電色工業株式会社製VC−21−D3型デジタル携帯用光沢計により角度60°で光沢率を測定した。
〔脂肪酸エステルAの製造例1〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、アルコール100g、カルボン酸616g(アルコールに対して1.05モル過剰)を加え、窒素気流下、240℃で22時間反応させた。得られたエステル化粗生成物は680gであり、酸価が5.0mgKOH/ gであった。このエステル化粗生成物にトルエン136gおよびエタノール41gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を分離・除去した。70℃のイオン交換水130gを入れて10分間攪拌後、30分間静置して水層部を分離・除去した。排水のpHが中性になるまでこの操作を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶剤を留去し、濾過を行い、脂肪酸エステルa−1を500g得た。得られた脂肪酸エステルの原料組成、酸価、水酸基価および透明融点を表1に示す。
また、得られた脂肪酸エステルを加熱溶融して、持手付アルミケース(アズワン株式会社製、NO.3)に流し込み、常温で固化させた。アルミケースからサンプルを取り出し、アルミと接触して平滑になった部分の光沢率を、光沢計を用いて測定した。さらに、これらのサンプルについて、荷重150g、温度50℃における針入度を測定し、ワックスの針入度を求めた。これらの値を同じく表1に示した。
〔脂肪酸エステルAの製造2〕
脂肪酸およびアルコールを代えた以外は実施例1と同様の方法で脂肪酸エステルを得た。得られた脂肪酸エステルa−2からa−6の原料組成、酸価、水酸基価、透明融点、針入度および光沢率を表1に示す。
〔脂肪酸エステルBの製造例1〕
脂肪酸およびアルコールを代えた以外は実施例1と同様の方法で脂肪酸エステルを得た。得られた脂肪酸エステルb−1からb−4、b−6の原料組成、酸価、水酸基価、透明融点、針入度および光沢率を表2に示す。
〔脂肪酸エステルBの製造例2〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、アルコール100g、カルボン酸626g(アルコールに対して2.02モル)を加え、窒素気流下、200℃で22時間反応させて脂肪酸エステルb−5を620g得た。得られた脂肪酸エステルの酸価、水酸基価、透明融点、針入度および光沢率を表2に示す。
Figure 0006318707
Figure 0006318707
〔トナー用エステルワックス組成物の調製例1〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、脂肪酸エステルa−1を3g、脂肪酸エステルb−1を97gとり、窒素下、100℃で加熱溶融して、均一になるように30分間加熱攪拌した。この混合物10gを持手付アルミケース(アズワン株式会社製、NO.3)に流し込みワックスを常温で固化させて、ワックス組成物c−1を得た。アルミケースからサンプルを取り出し、アルミと接触して平滑になった部分の光沢率を、光沢計を用いて測定した。また、これらのサンプルについて、荷重150g、温度50℃における針入度を測定し、ワックスの針入度を求めた。さらに、これらのサンプルについて透明融点を測定した。これらの値を表3に示した。
〔トナー用エステルワックス組成物の調製例2〕
表3および4に示すように、配合する脂肪酸エステルの種類および量を変えた以外は調製例1と同様の方法でワックス組成物を得た。得られたワックス組成物c−2からc−21の組成、針入度、光沢率および透明融点の値を表3および4に示す。
なお、エステルワックス組成物の針入度が1以下を「◎」(特に好ましい)、2〜5を「○」(好ましい)、6以上を「×」(好ましくない)と評価して、その評価を表3および4に記載した。
また、エステルワックス組成物の光沢率が20.0以下を「◎」(特に好ましい)、20.0超から30.0以下を「○」(好ましい)、30.0超を「×」(好ましくない)と評価して、その評価を表3および4に記載した。
Figure 0006318707
Figure 0006318707
実施例1〜12のエステルワックス組成物は、50℃の高温時でも針入度を低く抑えることができるので、本ワックス組成物をワックスとして用いたトナーは、50℃においても硬度を保持することができ、キャリヤやOPCドラム等への汚染、トナーのブロッキングが起こり難い。また、実施例1〜12のエステルワックス組成物は、光沢率を低く抑えることができるので、本ワックス組成物をワックスとして用いたトナーが定着して形成された画像もまた光沢性が低く抑えられる。
一方、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBの含有比率が本願発明と異なる比較例1〜4では、光沢性を低く抑えることができない。また50℃での針入度の値が大きい比較例2では、キャリヤやOPCドラム等への汚染が発生しやすく、長時間の使用で画質の低下を引き起こすおそれがある。
また、脂肪酸エステルAを構成する原料アルコールが本願発明と異なる比較例5〜7においても、光沢性を低く抑えることができない。
更に、脂肪酸エステルBを構成する原料が本願発明と異なる比較例8および9においても光沢性を低く抑えることができない。また50℃での針入度の値が大きい比較例9では、キャリヤやOPCドラム等への汚染が発生しやすく、長時間の使用で画質の低下を引き起こすおそれがある。

Claims (1)

  1. 下記に示す脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとからなり、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとを3:97〜38:62の質量比で含有するトナー用エステルワックス組成物。
    脂肪酸エステルA:平均重合度が3〜10のポリグリセリンと炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックス
    脂肪酸エステルB:炭素数2〜6の二価の飽和アルコールと炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックス
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