JP6919279B2 - トナー用ワックス組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンターなどの電子写真法や静電記録法などで形成される静電荷の現像に用いられるトナーに対して好適に添加されるトナー用ワックス組成物に関する。
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置に求められる性能は高度化しており、装置上の改良に加え、それらの装置に使用されるトナーについても高い性能が要求される。例えば、環境意識の高まりから、消費電力を低減するために、低温定着に適応したトナーが求められている。更に、商業印刷分野では、様々な印刷媒体に適応できる高画質トナーが求められている。このようにトナーには多くのニーズがあり、これらの課題を同時に満たすトナーが求められている。
一方、ワックスは、定着手段によって熱定着処理を受ける際に、その融点を超えて過剰に加熱されると、トナーから揮発して大気中で再結晶することにより、超微小粒子(Ultra Fine Particle )となって画像形成装置の外部へ放出され、環境汚染の原因となり得る。更に、ワックスは、溶融トナーの表面への滲み出しが過剰となり定着ローラーや定着ベルトなどの定着部材に付着することがあるため、画質不良を引き起こしたり、トナー粒子同士のブロッキングの要因となっている。
そこで、ワックスの超微小粒子の発生を抑制し、耐ブロッキング性を達成するためには、トナー保管時にブリードしにくい高分子量の合成多官能エステルワックスが求められている。
例えば特許文献1には、3価以上の多価アルコール(A)と炭素原子数14〜28のアルキル鎖を有するモノカルボン酸(B)とを反応させて得られる電子写真トナー用ワックスであり、該ワックスは、該多価アルコール(A)が有するアルコール性水酸基1モルに対して、該モノカルボン酸(B)が有するカルボキシル基を0.25〜0.75モル反応させることにより得られるものであることを特徴とする電子写真トナー用ワックスが記載され、本ワックスを用いることにより低温定着性、耐ホットオフセット性、および帯電性に優れることが記載されている。
しかし、本ワックスは、部分エステル化合物であることから、耐熱性が低く超微小粒子の発生原因となったり、バインダー樹脂の種類やトナーの製造方法等によっては、分散性が低くなり保存安定性が不十分な場合がある。
特許文献2には、炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和モノカルボン酸あるいはその混合物と、炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和一価アルコールあるいはその混合物、または炭素数2〜30の中から選ばれる2〜6価の多価アルコールあるいはその混合物とを縮合反応し、その後にアルカリ水溶液を用いて中和して中和塩を遠心分離で除去することを特徴とするトナー用エステルワックスの製造方法が記載されており、本ワックスを用いることにより、定着性が良好であり、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れた静電荷像現像用トナーが提供されることが記載されている。
しかし、本ワックスは超微小粒子の発生を抑制することができない。
特許文献3には、結着樹脂、着色剤、及びエステルワックスを含有する着色樹脂粒子と、外添剤とを含有する静電荷像現像用トナーにおいて、該エステルワックスが、4価以上の多価アルコールのポリグリセリンと、炭素数14〜25の飽和または不飽和の脂肪酸との多官能脂肪酸エステル化合物と、炭素数13〜25の高級飽和脂肪族の1価アルコールと、炭素数14〜25の飽和または不飽和の脂肪酸との単官能脂肪酸エステル化合物とを、50:50〜95:5の範囲内の重量比で含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが記載され、本トナーが定着性(低温定着性)、保存安定性(耐ブロッキング性)、及び印字耐久性(連続印字特性)に優れることが記載されている。
しかし、本ワックスは単官能脂肪酸エステル化合物を含有することから超微小粒子の発生を抑制することができない。
ワックスの超微小粒子の発生を抑制するとともに、トナーに高い保存安定性を付与し、かつ離型性の向上を両立させるためには、未反応の酸やアルコールの残存量が少ない多官能エステルワックスであり、トナーに熱を加えて定着させる際にワックスが適度に膨張してトナーからの染み出し性を向上させることが必要であり、このような超微小粒子の発生を抑制するとともに、トナーに高い保存安定性を付与し、かつ離型性の向上を両立できるトナー用ワックス組成物が求められている。
特開2015−219395号公報 特開2012−32479号公報 特開2012−198569号公報
本発明の目的は、超微小粒子の発生を抑制してトナーに保存安定性を付与することができ、かつワックスに熱を加えた際に熱膨張を起こすことにより、定着時の染み出し性を促進させて離型性を向上させ、さらに印字耐久性を向上させることができるトナー用ワックス組成物を提供することである。
本発明者は、上記の問題について鋭意検討を重ねた結果、ジペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックス、およびトリペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックスからなり、両エステルワックスを構成する各カルボン酸の炭素数の差が4以下である混合エステルワックスが、高い硬度を有するとともに、ワックスに熱を加えた際に適度に膨張することを見出した。そして、本混合エステルをトナー用ワックス組成物として使用した場合に、超微小粒子の発生を抑制して保存安定性を付与することができ、かつ定着工程で膨張することにより、素早くワックスが染み出して離型性が向上するとともに、紙等の印刷媒体に印字された後の印字耐久性を向上させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のトナー用ワックス組成物は、下記に示す化合物aと化合物bとからなり、化合物aと化合物bとの質量比が99.7:0.3〜97:3であり、且つ化合物aを構成する直鎖飽和カルボン酸の炭素数と化合物bを構成する直鎖飽和カルボン酸の炭素数との差が4以下であることを特徴とする。
化合物a:ジペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックス
化合物b:トリペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックス
本発明のトナー用ワックス組成物は、高分子量の多価アルコールエステルワックスからなり、超微小粒子の発生を抑制してトナーに保存安定性を付与することができ、かつ定着工程で膨張することにより素早くワックスが染み出して離型性が向上するとともに、紙等の印刷媒体に印字された後の印字耐久性を向上させるという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のトナー用ワックス組成物は、下記に示す化合物aと化合物bとからなる。
化合物a:ジペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックス
化合物b:トリペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックス
化合物aおよび化合物bを構成する一価の直鎖飽和カルボン酸の炭素数は14〜24であり、好ましくは14〜22である。炭素数が小さすぎる場合には、ワックスが低温下で融解して、トナーの高温保存時の安定性が低下することがある。また、炭素数が大きすぎる場合には、定着時にワックスが素早く染み出すことが困難となり、離型性が低下することがある。
かかる一価の直鎖飽和カルボン酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘネイコサン酸、ベヘニン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等が挙げられる。これらの中でもステアリン酸、ベヘニン酸が特に好ましい。本発明では、これらの一価の直鎖飽和カルボン酸を2種以上含有する混合カルボン酸を用いてもよいが、印字耐久性の点から、1種のカルボン酸を用いることが好ましい。
本発明のトナー用ワックス組成物は、上記の化合物aと化合物bとの質量比(a:b)が99.7:0.3〜90:10である。質量比(a:b)がこの範囲内である場合には、高硬度を維持しつつ特定範囲の平均線膨張係数となるので、本混合エステルをトナーに用いることによって、高分子量のワックスである化合物Bの含有によりトナーの保存安定性を高めるとともに、ワックスに熱をかけた際に膨張するのでトナーの熱定着時にワックスの融点付近の温度領域から高分子量であっても素早い染み出しにより良好な離型性が得られる。
化合物aと化合物bとの質量比(a:b)は、99.5:0.5〜92:8が好ましく、99:1〜95:5が特に好ましい。質量比(a:b)がこれらの範囲内である場合には、膨張性がより高くなることから、トナー用ワックスとして適用した場合、熱定着時にワックスの染み出し性がより高くなり離型性がより良好となり印刷が良好となる。また、ワックスの硬度がより高くなり、印刷物同士の融着等のブロッキングがより抑制される。
また、本発明のトナー用ワックス組成物は、化合物aを構成する直鎖飽和カルボン酸の炭素数と化合物bを構成する直鎖飽和カルボン酸の炭素数との差が4以下であること、言い換えれば、化合物aと化合物bをそれぞれ構成する直鎖飽和カルボン酸の炭素数の差が以下の式(1)を満たすことを特徴とし、これにより、高い硬度が得られる傾向があり、高速印刷における耐ブロッキングを向上させることができる。なお、直鎖飽和カルボン酸として上記の混合カルボン酸を用いる場合は、2種以上の直鎖飽和カルボン酸の平均炭素数を用いて算出する。
|化合物aのカルボン酸炭素数−化合物bのカルボン酸炭素数|≦4 ・・・式(1)
本発明のトナー用ワックス組成物は、上記の化合物aと化合物bとの溶融混合物である。化合物aおよび化合物bのそれぞれの融点は60℃以上100℃以下であることが好ましく、65℃以上95℃以下であることが特に好ましい。
化合物aおよび化合物bのそれぞれの酸価は、好ましくは3mgKOH/g以下であり、特に好ましくは1mgKOH/g以下、さらに好ましくは0.5mgKOH/g以下である。化合物aおよび化合物bのそれぞれの酸価を上記の範囲とすることにより、保存安定性がより良好となり、環境条件が変化した場合の帯電性がより安定になり画質をより向上させることができる。
また、化合物aおよび化合物bのそれぞれの水酸基価は、好ましくは7mgKOH/g以下であり、特に好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは3mgKOH/g以下である。化合物aおよび化合物bのそれぞれの水酸基価を上記の範囲とすることにより、保存安定性がより良好となり、環境条件が変化した場合の帯電性がより安定になり画質をより向上させることができる。
本発明のトナー用ワックス組成物を製造する方法としては、例えば、酸化反応による合成、脂肪族カルボン酸およびその誘導体からの合成、脂肪族カルボン酸と脂肪族アルコールとの脱水縮合反応、脂肪族カルボン酸の酸ハロゲン化物と脂肪族アルコールとの反応、エステル交換反応等を利用した製造方法が挙げられる。反応の際には触媒を使用しても良く、かかる触媒としては酸性またはアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物が挙げられる。反応に際しては、カルボン酸とアルコールとを同量のモル比で反応させても良いし、あるいは1成分を過剰に添加し反応させても良い。その後、再結晶法、蒸留法、溶剤抽出法などにより高純度化させても良い。
また、本発明のトナー用ワックス組成物は、2種以上のエステルをそれぞれ合成した後に、化合物aと化合物bの質量比が規定の比率になるように配合して製造しても良いし、規定の比率になるように原料の直鎖飽和カルボン酸および脂肪族アルコール(ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトール)の量を調整して一括合成で製造しても良い。
本発明のトナー用ワックス組成物は、バインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤などとともに配合され、通常の製法によってトナーが製造される。トナー中における本発明のトナー用ワックス組成物の配合量は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部である。トナー中には、本発明のトナー用ワックス組成物の1種が単独で、あるいは2種類以上を混合して配合される。
本発明のトナー用ワックス組成物は、高分子量であるトリペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックスを含有することにより、トナー中での保存安定性を高め、且つワックス組成物に加熱時の膨張性が得られるので、トナー粒子中からの素早い染み出しにより優れた離型性が得られる。
本発明のトナー用ワックス組成物は、JISK2207に従って、温度50℃、荷重150gで測定された針入度が3未満であることが好ましく、2以下であることが特に好ましい。かかる針入度が上記範囲である場合には、定着画像部を紙で擦ったときにトナーが紙を汚す指標である、いわゆる両面コピー性が良好となり、あるいは印刷物同士が融着するなどの問題が生じ難くなる。
本発明のトナー用ワックス組成物は、熱機械分析装置(Thermal Mechanical Analyzer、以下、TMAともいう。) で、20mNの荷重を加えながら、2℃/分の速度で昇温した時の25℃の膨張率値%と最大膨張率値%との間の平均線膨張係数が、好ましくは1.0×10−4/℃〜4.0×10−4/℃であり、特に好ましくは1.0×10−4/℃〜3.0×10−4/℃である。
平均線膨張係数が上記の範囲内である場合は、低温からの染み出し性が高く、高い離型性が得られ、またトナー保管時やカートリッジ中でワックスがブリードし難く、トナー粒子同士がブロッキングを起こし難い。
以下、実施例、参考例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
表1に示すエステルワックスを表2に示す混合比率で組み合わせ、融点以上の温度で溶融させてワックス組成物を調製した。
本実施例、参考例および比較例で採用した各種評価の方法を次に示す。
〔エステルワックスの評価方法〕
本実施例および比較例で採用した各種評価の方法を次に示す。
(1)エステルワックスの酸価:JOCS(日本油化学会)2.3.1−96に準拠した。
(2)エステルワックスの水酸基価:JOCS(日本油化学会)2.3.6.2−96に準拠した。
(3)エステルワックスの透明融点:JOCS(日本油化学会)2.2.4.1に準拠した。
(4)エステルワックス組成物の針入度:JISK2207に従って、温度50℃、荷重150gで測定を行った。
(5)平均線膨張係数:
エステルワックスの試料を融点温度で完全に融解させ、アルミカップに排出して冷却固化した。試料について、(縦×横×高さ)が1mm×1mm×0.5mmになるように上面と下面を平滑に成型した。熱機械分析装置(TMA/SS6100、セイコーインスツル株式会社製)により、先端径1mmの針入プローブを用いて、窒素ガス雰囲気下、2℃/minの昇温条件で測定を行った。25℃の膨張率値%と最大膨張率値%をプロットして平均線膨張係数を求めた。
〔エステルワックスa−1の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、ジペンタエリスリトールを200g(0.79mol)、ミリスチン酸を1110g(4.86mol)加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1130gであり、酸価が6.9mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン244gおよび2−プロパノール90gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、エステルワックスa−1を1050g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は93%であった。得られたエステルワックスa−1の組成、酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
〔エステルワックスa−2の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、ジペンタエリスリトールを160g(0.63mol)、ステアリン酸を1106g(3.89mol)加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1093gであり、酸価が6.4mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン226gおよび2−プロパノール85gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、エステルワックスa−2を1000g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は91%であった。得られたエステルワックスa−2の酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
〔エステルワックスa−3の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、ジペンタエリスリトールを130g(0.51mol)、ベヘニン酸を1097g(3.22mol)加え、窒素気流下、240℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1075gであり、酸価が6.3mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン223gおよび2−プロパノール85gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、エステルワックスa−3を1000g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は93%であった。得られたエステルワックスa−3の酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
〔エステルワックスa−4の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、ジペンタエリスリトールを130g(0.43mol)、モンタン酸を1114g(2.62mol)加え、窒素気流下、240℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1120gであり、酸価が3.2mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物について濾過を行い、エステルワックスa−4を1100g得た。エステル化粗生成物に対する収率は99%であった。得られたエステルワックスa−4の組成、酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
〔エステルワックスb−1の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、トリペンタエリスリトールを180g(0.48mol)、ステアリン酸を1156g(4.06mol)加え、窒素気流下、230℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1180gであり、酸価が8.9mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン240gおよび2−プロパノール125gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、エステルワックスb−1を1120g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は95%であった。得られたエステルワックスb−1の酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
〔エステルワックスb−2の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、トリペンタエリスリトールを150g(0.40mol)、ベヘニン酸を1153g(3.39mol)加え、窒素気流下、230℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1160gであり、酸価が8.7mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン240gおよび2−プロパノール120gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、エステルワックスb−2を1100g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は95%であった。得られたエステルワックスb−2の酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
〔エステルワックスc−1の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、モノペンタエリスリトールを130g(0.95mol)、ステアリン酸を1141g(4.01mol)加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1190gであり、酸価が6.8mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン225gおよび2−プロパノール90gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、エステルワックスc−1を1140g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は96%であった。得られたエステルワックスc−1の酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
〔エステルワックスd−1の調製〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、ベヘニルアルコールを700g(2.14mol)、ステアリン酸を628g(2.21mol)加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は1100gであり、酸価が7.1mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン230gおよび2−プロパノール95gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、エステルワックスd−1を1060g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は96%であった。得られたエステルワックスd−1の酸価、水酸基価、透明融点を表1に示す。
Figure 0006919279
Figure 0006919279
実施例1の化合物A−1および実施例2の化合物A−5は、50℃・150gの条件でも針入度を低く抑えることができるので、本エステルワックス組成物をトナー用ワックス組成物として用いたトナーは、50℃で荷重がかかった状態でも硬度を保持することができ、印刷物同士の融着によるブロッキングやトナーのブロッキングが起こりにくい。また、実施例1の化合物A−1および実施例2の化合物A−5は、膨張率を一定の範囲におさめることができるので、トナー保管時やカートリッジ中でワックスのブリードによるトナー粒子同士のブロッキングを抑制しつつ、低温からのワックス染み出し性が低くなり高い離型性が得られる。
一方、ジペンタエリスリトールエステルを構成する脂肪酸が、本発明範囲外の脂肪酸鎖長から構成されるワックスが組成物の1種となる化合物B−1は、結晶性が低下して平均線膨張係数が高くなりすぎる。したがって、トナー用ワックス組成物として用いた場合、保存安定性を低下させる。
また、トリペンタエリスリトールエステル含量が少ない化合物B−2は、平均線膨張係数が小さくなり、トナー用ワックス組成物として用いた場合、離型性を低下させる。
反対に、トリペンタエリスリトールエステル含量が多い化合物B−3は、結晶性が低下して針入度が大きくなり、トナー用ワックス組成物として用いた場合、印刷物同士の融着によるブロッキングを引き起こすおそれがある。
一方、異なる構造のペンタエリスリトールエステル、モノエステルの組み合わせのワックスである化合物B−4、B−5では、針入度と平均線膨張係数を両立することができない。また、ジペンタエリスリトールエステル単一である化合物B−6は、平均線膨張係数が低くなり、トナー用ワックス組成物として用いた場合、離型性を低下させる。

Claims (1)

  1. 下記に示す化合物aと化合物bとからなり、化合物aと化合物bとの質量比が99.7:0.3〜97:3であり、且つ化合物aを構成する直鎖飽和カルボン酸の炭素数と化合物bを構成する直鎖飽和カルボン酸の炭素数との差が4以下であるトナー用ワックス組成物。
    化合物a:ジペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックス
    化合物b:トリペンタエリスリトールと炭素数14〜24の一価の直鎖飽和カルボン酸とから得られるエステルワックス
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