JP2021196608A - トナー用ワックス - Google Patents

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健司 吉村
Kenji Yoshimura
裕介 土井
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Abstract

【課題】トナーに低温定着性を付与することができるとともに、トナー中で優れた保存安定性を示し、さらに、トナーの発色性を向上させることでトナー印刷物の高画質化に寄与することが可能なトナー用ワックスを提供する。【解決手段】(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分のモル百分率Amol%が19.0〜25.0mol%であり、(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分のモル百分率Bmol%が55.0〜80.5mol%であり、(C)アジピン酸由来の構成成分のモル百分率Cmol%が0.50〜20.0mol%であるエステル化合物からなることを特徴とする、トナー用ワックスである。【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、レーザープリンタなどの画像形成装置において、電子写真法や静電記録法などの静電荷像を現像する記録方法のトナーに好適に用いられるトナー用ワックスに関する。
複写機やプリンターなどの画像形成装置に使用されるトナーは、バインダー樹脂となる熱可塑性樹脂に、着色剤(カーボンブラック、磁性粉、顔料など)、荷電制御剤、ワックスを含み、必要に応じて、流動性付加剤、クリーニング助剤、転写助剤を更に含む。
この中で、ワックスは定着時にトナーが定着ロールに残存すること(フィルミング)を防止するとともに、熱可塑性樹脂の軟化を促進して定着性を向上させる機能を有する。近年、トナーは、世界的な環境意識の高まりから、消費電力低減のために低温定着性が重視されており、ワックスについては低融点であり、熱可塑性樹脂の溶融温度を低下させることで、トナーの低温定着性を向上させることが求められている。
一方で、ワックスは、溶融トナーの表面へのブリードが過剰となり定着ローラーや定着ベルトなどの定着部材に付着することがあるため、画質不良を引き起こす可能性があり、また、トナー保管時にブリードすることで、トナー粒子同士のブロッキングの要因となることから、トナー保管時にブリードしにくい高分子量の合成多官能エステルワックスを用いてトナーの保存安定性を改善することが検討されている。
さらに近年、商業印刷分野におけるプリントオンデマンドなデジタル印刷の普及に伴い、高グラフィック出力な印刷物や従来にないメタリック調な印刷物などが登場し、発色性の良好なトナーの需要が高まる中で、高発色に寄与できる材料が求められている。
例えば特許文献1には、ペンタエリスリトールと、炭素数11〜30の脂肪酸と、炭素数1〜10の脂肪酸とから得られる多官能ポリエステルワックスを用いたトナーが開示されている。これらの多官能ポリエステルワックスは低温定着性と保存安定性に優れると記載されている。しかし、特許文献1のワックスを用いた場合、トナーの発色性を向上させることはできない。
さらに、特許文献2には、炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和モノカルボン酸あるいはその混合物と、炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和一価アルコールあるいはその混合物、または炭素数2〜30の中から選ばれる2〜6価の多価アルコールあるいはその混合物とを縮合反応し、その後にアルカリ水溶液を用いて中和して中和塩を遠心分離で除去することを特徴とするトナー用エステルワックスの製造方法が記載されており、当該ワックスを用いることにより、低温定着性と保存安定性に優れたトナーが提供されることが記載されている。しかし、特許文献2のワックスを用いた場合でも、トナーの発色性を向上させることはできない。
特開平7−98511号公報 特開2012−32479号公報
本発明の目的は、トナーに低温定着性を付与することができるとともに、トナー中で優れた保存安定性を示し、さらに、トナーの発色性を向上させることでトナー印刷物の高画質化に寄与することが可能なトナー用ワックスを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分、(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分、及び、(C)アジピン酸由来の構成成分を特定の割合で含むエステル化合物をトナー用ワックスとして使用した場合に、トナーに低温定着性を付与することができるとともに、トナー中で優れた保存安定性を示し、さらにトナーの発色性を向上させることでトナー印刷物の高画質化に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のトナー用ワックス組成物は、(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分のモル百分率Amol%が19.0〜25.0mol%であり、(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分のモル百分率Bmol%が55.0〜80.5mol%であり、(C)アジピン酸由来の構成成分のモル百分率Cmol%が0.50〜20.0mol%であるエステル化合物からなることを特徴とする。
本発明のトナー用ワックスは、トナーに低温定着性を付与することができるとともに、トナー中で優れた保存安定性を示し、さらにトナーの発色性を向上させることでトナー印刷物の高画質化に寄与するという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上、5以下を表す。
本発明のトナー用ワックスは、アルコール成分として(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分、第一の酸成分として(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分、及び、第二の酸成分として(C)アジピン酸由来の構成成分を含むエステル化合物である。
(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分、(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分、及び、(C)アジピン酸由来の構成成分を特定の割合で含むエステル化合物をトナー用ワックスとして使用した場合には、バインダー樹脂との相溶性が適度に向上するとともに、着色剤との相溶性も高くなると考えられる。
バインダー樹脂に対するワックスの相溶性が適度に向上するため、樹脂の軟化温度を低下させることでトナーに低温定着性を付与することができるとともに、トナー中でブリードしにくくなることで優れた保存安定性を示すと考えられる。また、着色剤に対するワックスの相溶性も高いため、着色剤の分散を阻害せず、トナーの発色性を向上させると考えられる。そして、低温定着性及び保存安定性とともに、トナーの発色性を向上させることで、トナー印刷物の高画質化に寄与すると考えられる。
アルコール成分である(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分の原料としては、ペンタエリスリトール又はエステル合成反応においてペンタエリスリトールと同様の構成単位を与えるペンタエリスリトール誘導体を用いることができる。
ペンタエリスリトールは、ネオペンチル骨格を有するネオペンチルポリオールであるため、酸化安定性や耐熱性に優れる。その他のネオペンチルポリオールとして、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールが挙げられる。しかし、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンをアルコール成分とした場合、得られるエステルの融点が著しく低下し、トナー中での保存安定性が悪化する恐れがあり、ジペンタエリスリトールをアルコール成分とした場合、粘度が著しく高くなり、低温定着性の付与が不十分となる恐れがある。このため、本発明で使用するネオペンチルポリオールはペンタエリスリトールが好ましい。
第一の酸成分である(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分の原料としては、炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸又はエステル合成反応において炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸と同様の構成単位を与える脂肪酸誘導体を用いることができる。
本発明において使用する炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。本発明では、これらの一価の直鎖飽和カルボン酸を2種以上含有する混合カルボン酸を用いてもよい。上記直鎖飽和脂肪酸においては、好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸であり、特に好ましくはステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸である。
炭素数が14より少ない場合、融点が低下しトナー中での保存安定性が悪化する恐れがあり、一方、炭素数が24よりも多い場合、低温定着性の付与が不十分である恐れがある。
第二の酸成分である(C)アジピン酸由来の構成成分の原料としては、二価カルボン酸であるアジピン酸又はエステル合成反応においてアジピン酸と同様の構成単位を与えるアジピン酸誘導体を用いることができる。
二価カルボン酸として、アジピン酸より炭素数の少ないコハク酸等を用いた場合、耐熱性が著しく悪化する恐れがある。また、アジピン酸より炭素数の多いセバシン酸等を使用すると、融点が著しく低下しトナー中での保存安定性が悪化する恐れがある。
本発明のトナー用ワックスは、(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分のモル百分率Amol%が19.0〜25.0mol%であり、(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分のモル百分率Bmol%が55.0〜80.5mol%であり、(C)アジピン酸由来の構成成分のモル百分率Cmol%が0.50〜20.0mol%であるエステル化合物からなる。(A)成分、(B)成分及び(C)成分それぞれの含有割合が上記範囲から外れる場合、トナーの低温定着性や、トナーの保存安定性が不充分となる恐れがあり、また、トナーの発色性向上効果が得られない。
こうした観点からは、(A)ペンタエリスリトール由来の構成成分のモル百分率Amol%は20.0〜24.0mol%が好ましく、20.5〜22.5mol%が更に好ましい。また、(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分のモル百分率Bmol%は57.5〜78.5mol%が好ましく、60.0〜77.5mol%が更に好ましい。また、(C)アジピン酸由来の構成成分のモル百分率Cmol%は1.5〜19.0mol%が好ましく、2.0〜17.5mol%が更に好ましい。
上記のモル百分率Amol%、Bmol%、Cmol%は、エステル化合物をH−NMRにより分析し、各原料由来の構成成分のモル量を求めた後に、算出した値である。
以下にH−NMRの測定条件を示す。
<測定条件>
・分析機器:H−NMR(400MHz)
・溶媒:重クロロホルム
上記測定条件にて得られたエステル化合物のH−NMRチャートを解析することで、モル量を求めることができる。具体的には、以下の4つのピークを用いる。
・ピーク(I):3.40〜3.70ppm=(A)ペンタエリスリトールの未反応のヒドロキシル基のα位の水素
・ピーク(II):4.00〜4.20ppm=(A)ペンタエリスリトールの反応済みのヒドロキシル基のα位の水素{ピーク(I)とピーク(II)とを合わせて8個}
・ピーク(III):0.85〜0.90ppm=(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸の末端の炭素に結合した水素(3個)
・ピーク(IV):2.25〜2.35ppm=(C)アジピン酸のカルボニル基のα位の水素(4個)および(B)炭素数14〜22の直鎖脂肪酸のカルボニル基のα位の水素(2個)
上記4つのピークの積分値を以下のように計算し、各原料由来の各構成成分のモル量Amol、Bmol、Cmolとする。
Amol={ピーク(I)の積分値+ピーク(II)の積分値}/8
Bmol=ピーク(III)の積分値/3
Cmol={ピーク(IV)の積分値−(Bmol×2)}/4
上記で得られた、モル量Amol、Bmol、Cmolからモル百分率Amol%、Bmol%、Cmol%を以下のように算出する。
Amol%=100×Amol/(Amol+Bmol+Cmol)
Bmol%=100×Bmol/(Amol+Bmol+Cmol)
Cmol%=100×Cmol/(Amol+Bmol+Cmol)
本発明におけるエステル化合物の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。本発明におけるエステル化合物の分子量は、ポリエステル化合物の単分散ポリスチレン換算した数平均分子量として、2000〜3500の範囲が好ましい。この数平均分子量の範囲で、低温定着性の付与とトナーの優れた保存安定性を両立することができる。
本発明におけるエステル化合物は、保存安定性の観点で、酸価は5mgKOH/g以下が好ましく、さらには3mgKOH/g以下が好ましく、特に1mgKOH/g以下が好ましい。
また、保存安定性の観点で、水酸基価は20mgKOH/g以下が好ましく、さらには15mgKOH/g以下が好ましく、特に10mgKOH/g以下が好ましい。
なお、酸価はJOCS(日本油化学会)2.3.1−1996に準拠して測定することができ、水酸基価はJOCS(日本油化学会)2.3.6.2−1996に準拠して測定することができる。
本発明におけるエステル化合物は、樹脂の軟化温度を低下させることが可能であることから、トナーに低温定着性を付与することができ、さらに、分子量が大きく、高粘度であることから、トナーに優れた保存安定性を付与することができる。
本発明におけるエステル化合物の融点は60〜90℃が好ましく、さらに好ましくは65〜85℃である。融点が60℃未満では保存安定性が悪化し、90℃より高いとトナーに低温定着性を付与できない。
エステルの融点は、昇温速度毎分10℃の示差走査熱量分析(DSC)により測定することができ、DSC分析により測定される吸熱ピークのトップピークの温度を融点とすることができる。
本発明におけるエステル化合物を製造する方法としては、例えば、アルコール成分の原料であるペンタエリスリトールと酸成分の原料である炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸及びアジピン酸との脱水縮合反応、ペンタエリスリトールと炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸及びアジピン酸それぞれの酸ハロゲン化物との反応、アルコール成分としてペンタエリスリトールを含む第一のエステルと、酸成分として炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸及びアジピン酸を含む第二のエステルのエステル交換反応等を利用した製造方法が挙げられる。
反応の際には触媒を使用しても良く、かかる触媒としては酸性またはアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。
エステル化反応が終了した後、得られた反応生成物を再結晶法、蒸留法、溶剤抽出法などにより高純度化させても良い。
本発明のトナー用ワックスは、バインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤などとともに配合され、通常の製法によってトナーが製造される。トナー中における本発明のトナー用ワックスの配合量は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部である。トナー中には、本発明のトナー用ワックスの1種を単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて配合される。
バインダー樹脂は特に限定されず、トナーのバインダー樹脂として従来用いられているもの、例えば、スチレン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
また、着色剤も特に限定されず、トナーの着色剤として従来用いられているもの、例えば、カーボンブラック、磁性粉、様々な色の顔料等を用いることができる。
次に、実施例及び比較例を示すことによって、本発明をさらに詳細に説明する。
1.ワックスの調製例
表1に、実施例及び比較例で用いたトナー用ワックスの組成、酸価、水酸基価、数平均分子量Mn及び融点を示す。表1に示した各ワックスの調製方法は次のとおりである。
[ワックスaの調製]
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた3Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトールを280g(2.06mol)、アジピン酸を119.9g(0.82mol)、ステアリン酸を1955.2g(6.87mol)、パラトルエンスルホン酸を2.36g(0.01mol)加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は2215.5gであり、酸価が7.5mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン700gおよび2−プロパノール150gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、ワックスaを2060.4g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は93%であった。
[ワックスbの調製]
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた3Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトールを280g(2.06mol)、アジピン酸を119.9g(0.82mol)、ステアリン酸を1955.2g(6.87mol)加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は2211.8gであり、酸価が11.5mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン700gおよび2−プロパノール150gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、ワックスbを2057.5g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は93%であった。
[ワックスc〜g及びj〜lの調製]
上記ワックスaの調製において同じ原料を用い、原料仕込み量を変えたこと以外は同様の手順で、表1に示すワックスc〜g及びj〜lを得た。
[ワックスhの調製]
直鎖飽和脂肪酸としてパルミチン酸を用いて、調製手順についてはワックスaと同様にして、ワックスhを得た。
[ワックスiの調製]
直鎖飽和脂肪酸としてベヘン酸を用いて、調製手順についてはワックスaと同様にして、ワックスiを得た。
[ペンタエリスリトールテトラステアレート(PETS)ワックスの調製]
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた3Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトールを280g(2.06mol)、ステアリン酸を1955.2g(6.87mol)加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル粗生成物は2640.3gであり、酸価が8.7mgKOH/gであった。
本エステル粗生成物にトルエン750gおよび2−プロパノール200gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10質量%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部(下層)を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層の溶剤を180℃、1kPaの減圧条件下で留去し、濾過を行い、PETSワックスを2520.7g得た。脱酸に供したエステル化粗生成物に対する収率は95%であった。
Figure 2021196608
2.評価方法
実施例および比較例で行った各種測定及び評価の方法は、次のとおりである。
2−1.ワックスの組成及び物性の測定
(1)ワックス中の各構成成分のモル百分率Amol%、Bmol%、Cmol%
各ワックスについて、H−NMR分析を下記の測定条件で実施し、得られたH−NMRチャートを解析して各原料由来の構成成分のモル量を求めた。得られたモル量に基づいて上記した計算式で、ワックス中の各構成成分のモル百分率Amol%、Bmol%、Cmol%を算出した。
<測定条件>
・分析機器:H−NMR(400MHz)
・溶媒:重クロロホルム
(2)ワックスの酸価
JOCS(日本油化学会)2.3.1−1996に準拠し測定した。
(3)ワックスの水酸基価
JOCS(日本油化学会)2.3.6.2−1996に準拠し測定した。
(4)ワックスの数平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定装置として「HLC−8320 GPC EcoSEC(東ソー社製)」を使用した。溶離液にTHFを用い、測定温度40℃とし、標準物質にポリスチレンを用いて、ワックスの数平均分子量を測定した。
(5)ワックスの融点
示差走査熱量分析計として、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の「DSC−7000X」を使用した。測定は、約10mgのエステルを試料ホルダーに入れ、レファレンス材料としてアルミナ10mgを用いて行い、昇温速度毎分10℃として30℃から150℃まで昇温した。なお、測定の前に、30℃から150℃までの昇温工程と150℃から30℃までの冷却工程を経たサンプルを測定試料とした。
上記DSCにより測定された吸熱ピークのトップピークの温度を、ワックスの融点とした。
2−2.ワックスの性能評価
(1)樹脂溶融温度の低下効果
ワックスをバインダー樹脂に混合したときの溶融温度の低下効果について、以下の方法で評価した。
実施例1〜9および比較例1〜4のそれぞれについて、評価サンプルを作成した。具体的には、ポリエステル樹脂(製品名:ダイヤクロンER−508、三菱レイヨン社製)を95質量部、表2に示したワックスを5質量部の割合で混合し、二軸混錬機「ラボプラストミル」(東洋精機社製)を用いて溶融混錬を行ない、樹脂混練物を得た。溶融混錬は120℃、80rpm/分で約5分間行い、得られた樹脂混練物を粉砕し、粒径100μm以下に成形し、評価サンプルとした。
また、ポリエステル樹脂を含むがワックスを含まない樹脂混練物を粉砕し、粒径100μm以下に成形し、ブランクサンプルとした。
それぞれの評価サンプル及びブランクサンプルについて、サンプル1gを直径1cm×高さ1cmの円柱形に成形し、フローテスタ(CFT−500EX:島津製作所製)を用いて、昇温速度2℃/min、荷重20kgの条件で、1/2溶融温度を測定した。各サンプルについて測定は3回行い平均値を算出し、各評価サンプルの測定平均値T、及び、ブランクサンプルの測定平均値Tblankを求めた。
1/2溶融温度(1/2T)は、評価サンプルの測定平均値T、及び、ブランクサンプルの測定平均値Tblankを用いて以下の計算式(1)で算出される。
このように算出された1/2溶融温度の値が大きいほど、低温定着性に優れていると評価される。
計算式(1): 1/2T=Tblank−T
(2)樹脂中での保存安定性
ワックスをバインダー樹脂に混合したときの保存安定性について、以下の方法で評価した。
樹脂中での保存安定性を評価するために、上記した樹脂溶融温度低下効果の評価において調製した実施例1〜9および比較例1〜4の評価サンプルを用いた。
それぞれの評価サンプルについて、ガラスバイアルに評価サンプルである樹脂混練物5gを入れ、45℃に保たれた恒温槽に2週間静置し、バイアルをひっくり返し、力を加えることなくサンプルを取り出した際に、バイアルに沈着することなく流出し、かつ粒径が100μm以下に保たれているサンプルの質量をXとしたとき、耐ブロッキング率Rは以下の計算式(2)より算出される。
計算式(2): R=X(g)/5(g)
算出された耐ブロッキング率Rを下記の評価基準に照らし、保存安定性を評価した。このように算出された耐ブロッキング率Rの値が大きいほど、保存安定性に優れていると評価される。なお、表2の括弧内に示す数値は、算出された耐ブロッキング率Rの値である。
<評価基準>
〇(優秀):0.85≦耐ブロッキング率R
△(良好):0.75<耐ブロッキング率R<0.85
×(不良):0.75≧耐ブロッキング率R
(3)発色性向上効果
ワックスの発色性向上効果について、以下の方法で評価した。
実施例1〜9および比較例1〜4のそれぞれについて、評価サンプルを作成した。具体的には、ポリエステル樹脂(製品名:ダイヤクロンER−508、三菱レイヨン社製)を94質量部、表2に示したワックスを5質量部、着色剤(製品名:PV−FAST BLUE BG、クラリアント社製)を1質量部の割合で混合し、二軸混錬機(製品名「ラボプラストミル」、東洋精機社製)を用いて溶融混錬を行ない、樹脂混練物を得た。溶融混錬は120℃、80rpm/分で約5分間行い、得られた樹脂混練物を熱プレス機によって、平滑板状(100×100mm)に成形し、評価サンプルとした。
また、ポリエステル樹脂を99質量部、着色剤を1質量部含むがワックスを含まない平滑板状成形物を、ブランクサンプルとして用意した。
それぞれの評価サンプルについて、サンプル表面を色差計(色差計ZE6000、日本電色工業株式会社製)を用いて反射モードで測定し、CIE1976(L,a,b)色空間(いわゆるCIELAB)における色相ごとの発色a、bでの値を得た。得られた測定値を用いて以下の計算式(3)で、評価サンプルの彩度Cを求めた。ブランクサンプルについても色差計を用いて同様に測定を行い、ブランクサンプルの彩度Cblankを求めた。
計算式(3): C=(a*2+b*21/2
発色性向上率Kcは、評価サンプルの彩度C及びブランクサンプルの彩度Cblankの値を用いて以下の計算式(4)で求められる。このように算出された発色性向上率Kcの値が大きいほど、発色性向上効果に優れていると評価される。
計算式(4): Kc=C/Cblank
3.評価結果
以上の実施例および比較例について、ワックスそのものの組成及び物性を上記の表1に示し、トナー材料としてのワックスの性能評価に用いたサンプルの組成及び性能評価の結果を表2に示した。
Figure 2021196608
実施例1〜9で用いたワックスa〜iは融点が60℃〜90℃の範囲であり、樹脂の溶融温度を低下させることで、トナーに低温定着性を付与することが可能であり、耐ブロッキング率Rも高いため、保管時のトナー中での保存安定性にも優れている。さらに、発色性向上率KcがKc>1であることから、トナーの発色性を向上させることが可能である。
一方、アジピン酸由来の構成成分のモル百分率Cmol%が0mol%すなわち、ペンタエリスリトールテトラステアレート(PETS)単体を用いた比較例1では、実施例と比較して1/2溶融温度が小さいため、トナーに低温定着性を充分に付与することができない。また、発色性向上率KcがKc<1であり、トナー用ワックスとして用いた場合に発色性の向上効果がない。
直鎖飽和酸由来の構成成分のモル百分率Bmol%が本発明の範囲より高いワックスjを用いた比較例2では、耐ブロッキング率Rが実施例と比べると低く、トナー中での保存安定性が悪化し、発色性向上率KcがKc<1であり、発色性の向上効果がない。
ペンタエリスリトール由来の構成成分のモル百分率Amol%が本発明の範囲より高いワックスkを用いた比較例3では、耐ブロッキング率Rが低く、保存安定性が悪化する。
アジピン酸由来の構成成分のモル百分率Cmol%が本発明の範囲より高いワックスlを用いた比較例4では、耐ブロッキング率Rが低く、保存安定性が悪化する。

Claims (1)

  1. (A)ペンタエリスリトール由来の構成成分のモル百分率Amol%が19.0〜25.0mol%であり、(B)炭素数14〜24の直鎖飽和脂肪酸由来の構成成分のモル百分率Bmol%が55.0〜80.5mol%であり、(C)アジピン酸由来の構成成分のモル百分率Cmol%が0.50〜20.0mol%であるエステル化合物からなることを特徴とする、トナー用ワックス。
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