JP2013231912A - トナー用結着樹脂 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 カルボン酸成分とアルコール成分、及び式(I):
で表される化合物を含む原料モノマーを縮重合させて得られる非晶質ポリエステルを含有してなるトナー用結着樹脂、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー
に関する。
で表される化合物が原料モノマーとして用いられた非晶質ポリエステルを含有している点に特徴を有している。骨格の硬いフラン環をポリエステルに導入することにより、低分子量とすることにより軟化点が低く設定しても、ポリエステルの分子運動が抑制されガラス転移温度の高いポリエステル、つまりトナー用結着樹脂として、低温定着性と保存性に優れたポリエステルが得られる。さらに、フラン2量体が構造から明らかなように、非常に剛直な構造をしており、軟化点の割には、一般的なポリエステルより分子量を低く設定できるため、定着性に優れ、印刷表面の平滑性が向上し、さらにグロスが高くなるものと推察される。
(a):式(Ib)で表される化合物のように、式(I)において、R1〜R3が全てカルボキシル基である化合物、
(b):式(Ia)で表される化合物のように、式(I)において、R1〜R3のうちの2つがカルボキシル基であり、1つがヒドロキシメチル基である化合物、
(c):式(I)において、R1〜R3のうちの1つがカルボキシル基であり、2つがヒドロキシメチル基である化合物、及び
(d):式(I)において、R1〜R3が全てヒドロキシメチル基である化合物
のいずれかであるが、本発明においては、それぞれ単独でも、複数の化合物を組み合わせて使用してもよく、(a)〜(d)の化合物の総含有量は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、カルボン酸成分100モルに対して、0.02〜25モルが好ましく、0.1〜20モルがより好ましく、1〜18モルがさらに好ましく、2〜15モルがさらにより好ましい。また、アルコール成分100モルに対して、0.02〜25モルが好ましく、0.1〜20モルがより好ましく、1〜18モルがさらに好ましく、2〜15モルがさらにより好ましい。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
フローテスター(島津製作所社製、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度50℃/分で昇温し測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分で昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
JIS K0070の方法に基づき測定する。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
平均粒径は、個数平均粒径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
オートクレーブに5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)(シグマアルドリッチ ジャパン株式会社製)5.0g、酢酸45.7g、酢酸コバルト0.29g、酢酸マンガン0.57g、及び臭化ナトリウム0.12gを加え、酸素置換し、150℃、0.3MPaで3時間反応させた。反応物をロータリーエバポレーター(50℃温浴)にて濃縮し固体物を得た。この固形物とメタノール50gをガラス製反応器に加え、攪拌を行いながら60℃の条件で反応させて、式(Ia)で表される化合物のメチルエステル体を得た。溶媒に酢酸エチル/ヘキサンを用い、カラムにより式(Ia)で表される化合物のメチルエステル体を単離した。メチルエステル体に水酸化ナトリウム0.32gを添加し、60℃で2時間反応させて、加水分解した後、分液ロートに移し、ジイソプロピルエーテル100mlを加え、1重量%塩化アンモニウム水溶液100ml、1Nの塩酸水溶液100mlで2回洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。溶媒を留去することによりフラン2量体(Ia)を得た。
酸素置換後の反応条件を180℃、0.5MPaに、反応時間を5時間に変更した以外は、製造例1と同様にして、HMFの酸化により、フラン2量体(Ib)を得た。
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
実施例1〜6及び比較例1、2
表2に示す結着樹脂100重量部、負帯電性荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1重量部、シアン顔料「Toner Cyan BG」(クラリアント社製、P.B.15:3)5重量部、及び離型剤「HNP-9」(日本精鑞社製、パラフィンワックス、融点:80℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
着色剤として、シアン顔料「Toner Cyan BG」の代わりに、イエロー顔料「Paliotol Yellow D1155」(BASF社製、P.Y.185)6重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
結着樹脂、着色剤等とともに、荷電制御樹脂「FCA-701PT」(藤倉化成社製、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系樹脂、軟化点:123℃)を5重量部使用し、負帯電性荷電制御剤の代わりに、正帯電性荷電制御剤「ボントロン E-84」(オリエント化学工業社製)1重量部を使用し、外添剤として「R-972」の代わりに、疎水性シリカ「TG-C243」(キャボット社製、平均粒径100nm、疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン+オクチルトリエトキシシラン)1.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m2)]上に、4cm×4cmのベタ印刷の未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、最低定着温度に達するまで、各温度で未定着画像を定着させた。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、温度を30℃、総定着圧が40kgfになるように調整した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、トナーの低温定着性を評価した。結果を表2に示す。
トナー4gを半径12mmの円筒型容器に入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナーを容器から取り出し、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、トナーの保存性を評価した。結果を表2に示す。
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが72時間後では明らかに凝集が認められる。
D:48時間後で凝集が認められる。
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m2)]上に、4cm×4cmのベタ印刷の未定着画像を得た。オイルレス定着方式の「DL-2300」(コニカミノルタ社製)を改造した外部定着装置を用いて、定着ロールの回転速度を265mm/secに設定し、定着装置中の定着ロール温度を170℃に設定して、定着処理を行い、定着画像を得た。その定着画像を用いて光沢度を測定した。光沢度は光沢度計「PG-1」(日本電色工業株式会社)を用い、光源を60°に設定して測定を行い、グロスを評価した。結果を表2に示す。光沢度が高いほど、グロスが良好であることを示す。本発明においては、光沢度8以上であれば、効果を奏すると判断する。
Claims (9)
- 原料モノマーが、さらに式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び/又はフラン環を有するアルコールを10〜99.99モル%含有してなる、請求項1記載のトナー用結着樹脂。
- 式(I)で表される化合物の含有量が、原料モノマー中、0.01〜10モル%である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂。
- 式(I)で表される化合物の含有量が、式(I)で表される化合物、式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するアルコールの総量中、0.02〜100モル%含まれる請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 非晶質ポリエステルの軟化点が80〜180℃である、請求項1〜4いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 原料モノマーが、さらに、第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを、アルコール成分中、10モル%以上含有してなる、請求項1〜5いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物が、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のカルボン酸化合物を含む、請求項2〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するアルコール化合物が、フランジアルコール、ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルコールを含む、請求項2〜7いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 請求項1〜8いずれか記載の結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー。
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