JP2005275390A - トナー用ポリエステル樹脂およびその製造方法、並びにトナー - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂およびその製造方法、並びにトナー Download PDF

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将 杉浦
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弘一 伊藤
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Daisuke Natsui
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Abstract

【課題】 低温定着性、耐オフセット性、貯蔵安定性、および耐久性に優れたトナーを提
供することにある。
【解決手段】 トナー用結着樹脂として、高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)を0.1〜4.5質量%含有するポリエステル樹脂を用いることにより、低温定着性、耐オフセット性、貯蔵安定性、および耐久性に優れたトナーを得ることができる。また、2価の酸成分(a)、ジオール成分(b)、並びに高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)をエステル化反応させた後に重縮合させることによっても、これらの性能に優れたトナー用ポリエステル樹脂を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられるトナー、トナーに用いられるポリエステル樹脂、およびトナー用ポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。
静電荷像より恒久的な顕像を得る方法においては、光導電性感光体または静電記録体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像した後これを定着する。定着は光導電性感光体または静電記録体上に現像によって得られたトナー像を紙やフィルム上に直接融着させるか、または紙やフィルム上にトナー像を転写した後これを転写シート上に融着させることによって行われる。トナー像の融着は熱ローラー定着等の接触加熱定着方式やオーブン定着方式等の非接触加熱方式などが用いられている。接触方式は熱効率がよいことが特徴で、非接触方式に比べて、定着機に必要な温度を下げることができ、省エネルギー化や複写機の小型化に有効である。しかしながら、この接触式加熱定着法においては、定着時に溶融したトナーの一部が熱ローラーに移り、後続の転写紙等に転写されるオフセット現象という問題が生じやすい。
この現象を防止するため、従来より、熱ローラーの表面をフッ素系樹脂等の離型性の優れた材料で加工したり、熱ローラーの表面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布したりしている。しかし、シリコーンオイル等を用いる方法は、定着装置が大きく複雑になるので、コスト高となったりトラブルの原因となることが考えられ好ましくない。また、フッ素系樹脂等の離型性の優れた材料で加工する方法は、コストが高く、加工性に問題があり、更に傷が付き易いという問題がある。
従来より、この種のトナーにはスチレン−アクリル共重合体に代表されるビニル系樹脂が用いられてきた。ビニル系の樹脂の場合、耐オフセット性を向上させようとすると樹脂の軟化点や架橋密度を上げざるを得なくなり、その結果低温定着が犠牲となる。逆に低温定着を重視すると耐ホットオフセット性や耐ブロッキング性に支障をきたすことになり、耐オフセット性と低温定着性のバランスを取らせることが困難であった。
一方、近年省エネの要請から、特に低温定着性に優れたトナーが要求されるようなり、の観点から、本質的に定着性が良好なポリエステル樹脂を用いたトナーが使用されるようになってきた。しかしながら、ポリエステル樹脂は低温定着性に優れるものの、耐オフセット性が悪い。このため、非接触定着方式においては使用可能であるものの、ヒートロール定着方式においては、オフセット現象が発生し易いという問題があった。
このオフセット現象を防止するために、多価カルボン酸等を使用してポリエステル樹脂に架橋構造を導入する検討がなされてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、多価カルボン酸を導入すると、耐オフセット性は向上するものの、逆に低温定着性が低下するという問題が生じる。そこで、低温定着性を向上させるため、樹脂のガラス転移温度(Tg)を下げると、今度はトナーのブロッキング現象が発生し、貯蔵安定性が悪くなるという問題があった。従って、多価カルボン酸を導入するだけでは、耐オフセット性、低温定着性、貯蔵安定性のトナー性能を全て満足させることが困難であった。
そこで、耐オフセット性、低温定着性、および貯蔵安定性の問題を解決する検討がなさ
れている。(例えば、特許文献4参照)
特許文献4には、線状ポリエステル樹脂と架橋ポリエステル樹脂が複合した複合ポリエステル樹脂に、Tgを下げる成分として特定の酸(ステアリン酸)を特定量(5質量%)以上添加して反応させる特定の製法により得られたポリエステル樹脂が記載されている。
しかしながら、特許文献4に記載されているポリエステル樹脂は、一旦、複合ポリエステル樹脂を合成した後にステアリン酸を添加し、200℃で1時間という低温・短時間で反応させているため、ステアリン酸がポリエステル樹脂の構造中に完全に組み込まれず、ステアリン酸の効果(低温定着性)を発現させるためには、5質量%以上と多量に添加する必要があった。その結果、ポリエステル樹脂中に残存するステアリン酸の影響で、長時間運転した場合に、トナーが感光体上に融着する現象(フィルミング現象)の発生、画像濃度の安定性の低下、かぶりの発生、べた追従性の低下等がおこり、耐久性が悪いという問題があった。
以上述べたように、低温定着性、耐ホットオフセット性、貯蔵安定性(耐ブロッキング性)、および耐久性(耐フィルミング性、画像濃度の安定性、かぶり、ベタ追従性)の全ての性能を同時に満足するポリエステル樹脂系トナーは、これまでになかった。
特開昭50−44836号公報 特開昭57−37353号公報 特開昭57−109875号公報 特開平10−186717号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は低温定着性、耐オフセット性、貯蔵安定性、および耐久性に優れたトナーを提供することにある。
本発明は、高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)を0.1〜4.5質量%含有するトナー用ポリエステル樹脂およびこのポリエステル樹脂を含有するトナーに関するものであり、2価の酸成分(a)、ジオール成分(b)、並びに高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)をエステル化反応させた後に重縮合させることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、適量の高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分を含有することを特徴としている。これにより、トナー製造時に添加する離型剤の樹脂中での分散性が向上し、離型剤の性能を充分に引き出すことが可能となり、低温定着性および耐オフセット性に優れたトナーを得ることができる。さらに、本発明のトナー用ポリエステル樹脂を含有するトナーは、複写機あるいはプリンター等に用いて、連続印刷を実施した際、トナーの貯蔵安定性(耐ブロッキング性)および優れた耐久性(耐フィルミング性、画像濃度の安定性、かぶり、ベタ追従性)を維持することができる。すなわち、本発明のトナーは、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等における、定着システムに好適に使用することができるものであり、工業上非常に有用である。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)をポリエステル樹脂全量中0.1〜4.5質量%含有する。
高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)の含有量がポリエステル樹脂全量中0.1質量%以上である場合に、トナーの低温定着性及び耐オフセット性が良好となる。この含有量の下限値は、0.5質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。
また、高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)の含有量がポリエステル樹脂全量中4.5質量%以下である場合に、耐ブロッキング性、および耐フィルミング性が良好となる。この含有量の上限値は、4.5質量%以下が好ましく、4.3質量%以下がより好ましく、4.0質量%以下が特に好ましい。
高級脂肪酸とは、炭素数が8以上の脂肪酸である。高級脂肪酸の炭素数が8以上の場合に、低温定着性と耐ホットオフセット性が良好となる傾向にある。高級脂肪酸の炭素数の下限値は、10以上がより好ましく、12以上が特に好ましい。
また、高級脂肪酸の炭素数の上限値は、特に制限されないが、60以下が好ましい。高級脂肪酸の炭素数が60以下の場合に、貯蔵安定性が良好となる傾向にある。高級脂肪酸の炭素数の上限値は55以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
高級脂肪酸の具体例としては、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メシリン酸等が挙げられる。中でもステアリン酸、セロチン酸、ミリスチン酸が特に好ましい。
高級アルコールとは、炭素数が8以上のアルコールである。高級アルコールの炭素数が8以上の場合に、低温定着性と耐ホットオフセット性が良好となる傾向にある。高級アルコールの炭素数の下限値は、10以上がより好ましく、12以上が特に好ましい。
また、高級アルコールの炭素数の上限値は、特に制限されないが、60以下が好ましい。高級アルコールの炭素数が60以下の場合に、貯蔵安定性が良好となる傾向にある。高級アルコールの炭素数の上限値は55以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
高級アルコールの具体例としては、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、パルミチルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。中でもステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコールが特に好ましい。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、2価の酸成分(a)とジオール成分(b)等を縮合重合してなるものである。
本発明のポリエステル樹脂を構成する2価の酸成分(a)としては、特に制限されないが、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、イソデシル琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの低級アルキルエステルまたは酸無水物等が挙げられる。これら2価の酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、モノメチルエステル、モノエチルエステル、ジメチルエステル、ジエチルエステル等が挙げられる。中でも、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を上げ、樹脂強度を付与するとともに、トナーの耐ブロッキング性、ブレード融着性、フィルミング性の向上に寄与し、それの持つ疎水性のためトナーの耐湿性向上にも効果がある。従って、芳香族ジカルボン酸成分は、全酸成分に対して50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上の範囲がより好ましい。中でも、テレフタル酸系のものは結着樹脂のガラス転移温度をアップさせるのに効果があり、またイソフタル酸系のものは反応性を高める効果があるので目的によってその使用バランスを変えて用いることが好ましい。一方、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分は、トナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響を与えるので、これらの特性を考慮して使用することが重要であり、全酸成分に対して30モル%以下の範囲で使用することが好ましい。これら2価の酸成分(a)は、単独または2種以上を組合せて使用することができる。
また、本発明のポリエステル樹脂を構成するジオール成分(b)としては、特に制限されず、脂肪族ジオール成分(b1)、芳香族ジオール成分(b2)等が使用できる。
脂肪族ジオール成分(b1)としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等が挙げられ、芳香族ジオール成分(b2)としては、例えば、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(3.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のエチレンキサイドを付加したビスフェノールA誘導体、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体等があげられる。
ジオール成分(b)のうち、脂肪族ジオール成分(b1)は樹脂の縮重合反応速度を向上させるものである。
脂肪族ジオール成分(b1)の含有量は特に制限されないが、全酸成分に対して、110モル部以下の範囲で使用することが好ましい。脂肪族ジオール成分(b1)の含有量が110モル部以下の場合に、ポリエステル樹脂のガラス転移温度および樹脂強度を高く維持することができ、トナーの耐ブロッキング性、融着性、耐フィルミング性が良好となる傾向にある。脂肪族ジオール成分(b1)の含有量の上限値は、105モル部以下であることが特に好ましい。
脂肪族ジオール成分(b1)の含有量の下限値は、特に制限されないが、全酸成分に対して1モル部以上であることが好ましい。これは、脂肪族ジオール成分を1モル部以上含有する場合に、ポリエステル樹脂の縮合反応性が良好となるからである。ポリエステル樹脂が、高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)を含有する場合には、縮合反応性が低下するが、ジオール成分(b)として、特に脂肪族ジオール成分(b1)を成分(x)と共に併用して用いると、反応性を低下させることなく縮合反応を行うことができる傾向にある。脂肪族ジオール成分(b1)の含有量の下限値は、3モル部以上がより好ましく、5モル部以上が特に好ましい。
また、ジオール成分(b)のうち、芳香族ジオール成分(b2)は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を上げ樹脂強度を付与し、ポリエステル樹脂の低分子量成分を低減させるものであり、トナーの耐ブロッキング性、融着性、フィルミング性を良好とするとともに、樹脂の反応性を制御するための成分である。
芳香族ジオール成分(b2)の含有量は、特に制限されないが、全酸成分に対して20〜140モル部であることが好ましい。芳香族ジオール成分(b2)が、20モル部以上の場合に、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を高く維持することができ、トナーの耐ブロッキング性、融着性、耐フィルミング性が良好となる傾向にある。また、芳香族ジオール成分(b2)が140モル部以下の場合に、反応性を低下させることがなく、目的の重合度まで反応を進行させることができる傾向にある。芳香族ジオール成分(b2)の下限値は30モル部以上がより好ましく、また、上限値は130モル部以下がより好ましい。
また、本発明においては、ポリエステル樹脂を構成する成分として、必要に応じて3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分(c)を使用することができる。3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分(c)は、ポリエステル樹脂に樹脂強度を付与するとともに、分子量や分子量分布を調整するものであり、トナーの融着性、フィルミング性を向上させることができる傾向にある。
3価以上の多価カルボン酸としては、特に制限されないが、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸またはこれらの酸無水物等が挙げられる。また、3価以上の多価アルコールとしては、特に制限されないが、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。中でも、トリメリット酸またはその酸無水物、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンが好ましい。
これら3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分(c)は、単独または2種以上を組合せて使用することができる。
本発明においては、3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分(c)の含有量は、特に制限されないが、全酸成分に対して30モル部以下が好ましい。3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分(c)、30モル部を超えるとポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなり、トナーの定着性や発色性が低下する傾向にある。3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分(c)の含有量の上限値は、25モル部以下がより好ましく、20モル部以下が特に好ましい。また、下限値については、特に制限されない。
また、本発明においては、ポリエステル樹脂の特性を損なわない限り、全酸成分100モル部に対し、10モル部以下の範囲で、上記以外のモノマーを使用してもよい。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、特に制限されないが、45〜75℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度が、45℃以上の場合にトナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、75℃以下の場合にトナーの定着性が良好となる傾向にある。このガラス転移温度の下限値は50℃以上であることがより好ましく、また上限値は70℃以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の軟化温度は、特に制限されないが、80〜180℃の範囲であることが好ましい。軟化温度が、80℃以上の場合にトナーの非オフセット性が良好となる傾向にあり、また、180℃以下の場合にトナーの定着性が良好となる傾向にある。この軟化温度の下限値は90℃以上であることがより好ましく、また、上限値は170℃以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の酸価は、特に制限されないが、0.5〜30mgKOH/gの範囲であることが好ましい。酸価が、0.5mgKOH/g以上の場合にトナーの画像安定性が良好となる傾向にあり、また、30mgKOH/g以下の場合にトナーの耐湿性が良好となる傾向にある。この酸価の下限値は1以上であることがより好ましく、また、上限値は25mgKOH/g以下であることがより好ましい。
次に、トナー用ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限されず、公知のポリエステル樹脂の製造方法を用いて製造することができる。例えば、前期成分(a)、成分(b)、および成分(x)、さらに所望によりこれらに加えて成分(c)を反応させてポリエステル樹脂を製造することができる。
特に、成分(a)、成分(b)、および成分(x)を反応容器に投入し、加熱昇温して、エステル化反応させた後に、重縮合させてポリエステル樹脂を得る方法が好ましい。これはエステル化反応時に成分(x)を投入することにより、成分(x)の反応率を上げることが可能となり、少ない添加量で効果を発揮することが可能となる傾向にあるからである。このエステル化反応の温度の下限値は、特に制限されないが、210℃以上が好ましく、235℃以上がより好ましく、240℃以上がさらに好ましく、250℃以上が特に好ましい。また、このエステル化反応の温度の上限値は、特に制限されないが、300℃以下が好ましく、290℃以下がより好ましく、280℃以下が特に好ましい。
次いで、常法に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後引き続き重合反応を実施するが、このとき150mmHg(20kPa)以下の真空下でジオール成分を留出除去させながら縮重合を行うことが好ましい。また、重縮合の温度としては、特に制限されないが、210℃以上であることが好ましい。これは反応温度が210℃以上の場合に、エステル化物と成分(x)との反応性が良好となる傾向にあるからである。重縮合の温度の下限値は、特に制限されないが、220℃以上がより好ましく、230℃以上がさらに好ましく、240℃以上が特に好ましい。また、この重縮合温度の上限値は、特に制限されないが、300℃以下が好ましく、290℃以下がより好ましく、280℃以下が特に好ましい。
また、エステル化反応、エステル交換反応、縮重合時に用いる触媒としては、特に制限されず、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、ニ酸化ゲルマニウム等の公知の触媒を用いることができる。
重合温度、触媒量については特に限定されるものではないが、高温で副生物として発生する脂肪族ジオール成分を低減させるためには、比較的反応温度が低い領域でも反応する触媒を選択することが好ましい。例えば、三酸化アンチモン、チタンブトキサイド、そしてジブチルスズオキサイドが好適に使用される。
また、ゲル化成分を有するポリエステル樹脂を製造する場合には、高真空下でジオール成分を留出除去させながら、縮重合を進めてゆく課程でゲル化反応が生じ、反応系内の粘度が急激に上昇するので、この粘度上昇に対応しながら、反応系内の真空度を調整してゲル化反応を制御するのが好ましく、所望の粘度に到達した時に反応系内の圧力を常圧に戻し、窒素により加圧して反応容器より樹脂を取り出すのが好ましい。
次に、本発明のトナーについて説明する。
本発明のトナーは、上述のトナー用ポリエステル樹脂を含有してなるものである。トナー用ポリエステル樹脂は、結着樹脂として使用されるものである。結着樹脂としては、本発明のポリエステル樹脂を1種または2種類以上組み合わせて使用することができ、またさらに本発明のポリエステル樹脂以外の樹脂を併用してもよい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂と併用するその他の樹脂としては、例えば、公知の非線状ポリエステル樹脂、線状ポリエステル樹脂、環状オレフィン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種以上を選択して使用することができ、これらの樹脂と本発明のポリエステル樹脂とを混合して使用することにより、定着性を向上させることができる傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂とその他の樹脂を混合して結着樹脂として用いる場合、本発明のポリエステル樹脂の含有量は、樹脂全量中20質量%以上であることが好ましい。この含有量が20質量%以上の場合に、目的の効果を発揮することができるためである。好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、結着樹脂として使用され、これに、荷電制御剤、離型剤、着色剤、流動改質剤、磁性体等を配合することによって、トナーを得ることができる。
荷電制御剤としては、特に制限はなく、従来電子写真用に用いられている荷電制御剤を使用することが出来る。負帯電性の荷電制御剤としては、例えば、オリエント化学社製のボントロンS−31、ボントロンS−32、ボントロンS−34、ボントロンS−36等、保土ヶ谷化学社製のアイゼンスピロンブラックTVH等の含金属アゾ染料;オリエント化学社製のボントロンE−85等のサリチル酸アルキル誘導体の金属錯体;ヘキスト社製のCopy Charge NX VP434等の四級アンモニウム塩;銅フタロシアニン染料等が挙げられる。また、正帯電性の荷電制御剤としては、例えば、四国化成社製のPLZ−2001、PLZ−8001等のイミダゾール誘導体;ヘキスト社製のCopy Charge BLUE PR等のトリフェニルメタン誘導体;オリエント化学社製のボントロンP−51、ヘキスト社製のCopy Charge PXVP435、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩;オリエント化学社製のAFP−B等のポリアミン樹脂等が挙げられる。本発明では、以上の荷電制御剤の1種または2種以上を使用することが出来る。また、主荷電制御剤と逆極性の荷電制御剤との併用も可能である。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.5〜5質量%の範囲が好ましい。荷電制御剤の含有量が、0.5質量%以上の場合にトナーの帯電量及びゲル化が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。この含有量の下限値は1質量%以上であることがより好ましい。
離型剤としては特に制限されず、例えば、ポリオレフィン系ワックス、シリコン系ワックス、アミド系ワックス、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、高級アルコール、エステル系ワックス等が挙げられる。
離型剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.3〜15質量%の範囲が好ましい。離型剤の含有量が、0.3質量%以上の場合に離型性が良好となる傾向にあり、15質量%以下の場合にトナーの保存性並びに定着性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は0.5質量%以上であることがより好ましく、また、上限値は10質量%以下であることがより好ましい。
着色剤としては、一般に使用されているカーボンブラック、有彩色の顔料および染料が使用でき、特に限定はない。カラートナーの場合には、例えば、C.I.ソルベントイエロー21、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド128、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド13、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド48・2、C.I.ディスパースレッド11、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー94、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー15・3等が挙げられる。
着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー全量中2〜10質量%の範囲が好ましい。この含有量の下限値は3質量%以上であることがより好ましく、また、上限値は8質量%以下であることがより好ましい。
流動性向上剤としては、特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウムチタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ藻土、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
流動性向上剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.5〜5質量%の範囲が好ましい。流動性向上剤の含有量が、0.5質量%以上の場合にフィルミングが抑制される傾向にあり、5質量%以下の場合に定着性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は1質量%以上であることがより好ましく、また、上限値は3質量%以下であることがより好ましい。
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。
本発明のトナーを磁性1成分現像剤として用いる場合には、トナー中に磁性体を含有する。磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等をはじめとする、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金;マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金等のように、化合物や強磁性元素を含まないが適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金;二酸化クロム等が挙げられる。
これらの磁性体の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中30〜70質量%の範囲であることが好ましい。磁性体の含有量が30質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、70質量%以下の場合にトナーの定着性が良好となる傾向にある。この磁性体の含有量の下限値は40質量%以上であることがより好ましく、上限値は60質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナーを2成分現像剤として用いる場合には、キャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用することができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを使用することができる。併用するキャリアの量としては、特に制限されないが、90質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり好ましい。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、上述のトナー用ポリエステル樹脂及び荷電制御剤と着色剤、流動改質剤、および磁性体等を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて無機粒子をトナー表面に付着させて製造することができる。特に、混練工程においては、押出機のシリンダー内温度がポリエステル系樹脂の軟化温度よりも高い温度で混練するのが好ましい。また、上記工程において、微粉砕〜分級後にトナー粒子を球形にするなどの処理を行ってもよい。
以下に実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例に示した樹脂およびトナーの評価方法を以下に示す。
樹脂評価方法
(1)軟化温度T4
島津製作所社製フローテスターCFT−500を用いて、1mmφ×10mmのノズル、荷重294N、昇温速度3℃/minの等速昇温下で、サンプル1.0g中の4mmが流出したときの温度を測定した。
(2)ガラス転移温度Tg
島津製作所社製示差走差熱量計DSC−60を用いて、昇温速度5℃/minにおけるチャートのベースラインと吸熱カーブの接線との交点からの測定した。
(3)酸価AV
ポリエステル樹脂をベンジルアルコールに溶解させ、1/50N NaOHベンジルアルコール溶液にて滴定し、KOH換算した。
トナー評価方法
(1)非オフセット性の評価法
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度100mm/秒に設定した温度変更可能であるプリンター(カシオ電子工業株式会社製N4−612)を用いて印刷を行い、非オフセット性の評価を行った。また、定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて非オフセット性を判断した。
◎(非常に良好):オフセット発生温度が200℃以上
○(使用可能) :オフセット発生温度が190℃以上200℃未満
×(劣る) :オフセット発生温度が190℃未満
(2)定着性の評価法
非オフセット性の評価方法と同一条件でトナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に定着し始めるときの最低温度を定着温度とし、次の基準で判定した。
◎(非常に良好):定着温度が140℃未満
○(使用可能) :定着温度が140℃以上150℃未満
×(劣る) :定着温度が150℃以上
(3)定着強度の評価法
前記定着機の熱定着ロールの表面温度を150℃に設定し、未定着画像が形成された定着画像に対しておもり(荷重:1kg)による摺擦及びテープ剥離(日東電工包装システム株式会社製N.29)を施し、下記式によって定着強度を算出し定着性の指標とした。画像濃度はマクベス社製の反射濃度計RD−917を使用した。
定着強度(%)=摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前の定着画像の画像濃度×100
定着強度は60%以上あることが好ましく、更に好ましくは65%以上である。
(4)耐ブロッキング性
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを50℃に保温された乾燥機に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
◎(良好) :サンプル瓶を逆さにするだけで分散する
○(使用可能) :サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する
×(劣る) :サンプル瓶を逆さにし、4〜5回以上叩かないと分散しない
(5)フィルミング性
フルカラープリンター(カシオ電子工業株式会社製N5300)を用いて、A4紙上にベタ画像(A4紙上全面が黒画像)を10万枚印刷(31枚/分)した後の感光体の汚染状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。この際、紙上へのトナーの平均付着量は0.75mg/cmであった。
◎(良好) :感光体の汚れが認められない。
○(使用可能) :感光体にやや汚れが認められる。
×(劣る) :感光体の汚れが顕著である。
(6)画像濃度の安定性
フィルミング性評価の際にベタ画像を印刷した1枚目〜10万枚目の画像濃度をマクベス社製の反射濃度計RD−917にて測定し、その濃度変化を評価した。
濃度変化(%)={(1枚目の画像濃度−画像濃度の最小値)/1枚目の画像濃度}×100(%)
◎(良好) :濃度変化15%未満
○(使用可能) :濃度変化15%以上25%未満
×(劣る) :濃度変化25%以上
(7)かぶり
かぶりは、非画像部へのトナー飛翔現象のことであり、フィルミング性評価のために10万枚の印刷を行った後に、白紙印刷を行って非画像部の汚れの程度を画像処理装置にて占有面積率を算出し、かぶり率として判定した。
◎(良好) :かぶり率0.4%未満
○(使用可能) :かぶり率0.4%以上1.0%未満
×(劣る) :かぶり率1.0%以上
(8)ベタ追従性
フィルミング性評価を行った際の10万枚目のベタ画像について、印字方向で画像のカスレが発生していないかどうかを目視にて評価した。
◎(良好) :画像カスレなし
○(使用可能) :濃度の薄いカスレ有り
×(劣る) :白くカスレた部分有り
[実施例1]
蒸留塔備え付けの反応容器に、表1に示される仕込み組成に従って、モノマー及び全酸成分に対して500ppmのジブチルスズオキサイドを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、撹拌回転数を24rpm、反応系内温度265℃の条件でエステル化反応を行った。エステル化反応は、水が留出しなくなった時点で終了させた。
さらに、反応系内の温度を245℃に保ち、反応容器内の真空度を約40分かけて1.0mmHg以下となるよう減圧し、反応系からジオール成分を留出させ、樹脂が所望の軟化温度となるまで縮合反応を行った。反応とともに、系内の粘度が徐々に上昇しはじめ、所望の軟化温度に相当する粘度となった時点で反応系を常圧に戻し、加熱を停止した後、反応物を窒素により加圧して約2時間かけて取り出し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の組成を表1に示す。
得られたポリエステル樹脂91質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)を5質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライト社製、カルナバワックス1号)3質量部、負帯電性の荷電制御剤(オリエント化学社製E−81)1質量部をヘンシェルミキサーで30分間混合し、得られた混合物を二軸押出機(池貝製作所社製、PCM29)で溶融混練した。溶融混練は内温を樹脂の軟化温度に設定して行った。混練後、冷却しトナーを得、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、粒径を7μmとした。得られた微粉末100質量部に対して、0.25質量部のシリカ(日本アエロジル社製、R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合しトナー表面へシリカを付着させ、トナーを得た。評価に用いる各々のプリンターのブラック用カートリッジからトナーを抜き、洗浄したカートリッジに、得られたトナー を充填した。得られたトナーの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
仕込み組成を表1に示す組成に変更すること以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂およびトナーを得た。トナーの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
仕込み組成を表1に示す組成に変更すること以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂およびトナーを得た。トナーの評価結果を表1に示す。
[比較例2]
蒸留塔備え付けの反応容器に、表1に示される仕込み組成に従って、ステアリン酸以外のモノマー及び全酸成分に対して500ppmのジブチルスズオキサイドを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、撹拌回転数を24rpm、反応系内温度265℃の条件でエステル化反応を行った。エステル化反応は、水が留出しなくなった時点で終了させた。
さらに、反応系内の温度を245℃に保ち、反応容器内の真空度を約40分かけて1.0mmHg以下となるよう減圧し、反応系からジオール成分を留出させ、樹脂が所望の軟化温度となるまで縮合反応を行った。反応とともに、系内の粘度が徐々に上昇しはじめ、所望の軟化温度に相当する粘度となった時点で反応系を常圧に戻した。更に、反応系内の温度を200℃に下げ、ステアリン酸を添加して1時間攪拌した。その後、加熱を停止し、反応物を窒素により加圧して約2時間かけて取り出し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の組成を表1に示す。
得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様の方法でトナーを得た。トナーの評価結果を表1に示す。
実施例及び比較例より、以下のことが分かった。
(1)トナー用ポリエステル樹脂が高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分を含有する場合は、トナーの貯蔵安定性(耐ブロッキング性)および耐久性(耐フィルミング性、画像濃度の安定性、かぶり、ベタ追従性)を維持しつつ、低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上させることが可能である。
(2)トナー用ポリエステル樹脂が高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分を含有しない場合は、貯蔵安定性および耐久性と、低温定着性および耐ホットオフセット性との両立ができず、実用上問題があるものである。
以上のことから、本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、トナーの低温定着性、耐オフセット性、貯蔵安定性(耐ブロッキング性)および耐久性に優れており、工業上非常に有用である。
Figure 2005275390

Claims (3)

  1. 高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)を0.1〜4.5質量%含有するトナー用ポリエステル樹脂。
  2. 請求項1記載のトナー用ポリエステル樹脂を含有するトナー。
  3. 2価の酸成分(a)、ジオール成分(b)、並びに高級脂肪酸成分および/または高級アルコール成分(x)をエステル化反応させた後に、重縮合させることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。

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