JP2005107182A - トナー用ポリエステル樹脂およびトナー - Google Patents

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JP2005107182A JP2003340818A JP2003340818A JP2005107182A JP 2005107182 A JP2005107182 A JP 2005107182A JP 2003340818 A JP2003340818 A JP 2003340818A JP 2003340818 A JP2003340818 A JP 2003340818A JP 2005107182 A JP2005107182 A JP 2005107182A
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Susumu Sugiura
将 杉浦
Koichi Ito
弘一 伊藤
Yoko Harada
陽子 原田
Akishi Kondo
晃史 近藤
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Abstract

【課題】 ポリエステル樹脂を結着樹脂として用い、非オフセット性、低温定着性、耐ブ
ロッキング性、および透明性に優れたトナーを提供することにあり、そのために、特にワ
ックス分散性の良好なポリエステル結着樹脂を提供することにある。
【解決手段】 トナー用結着樹脂として、長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコ
ールとから得られるエステルを重合時に添加して得られたトナー用ポリエステル樹脂を用
い、さらにエステル系ワックスを含有してなるトナーを用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等において、静電荷像または磁気潜像
の現像に用いられるポリエステル樹脂、およびトナーに関するものである。
静電荷像より恒久的な顕像を得る方法においては、光導電性感光体または静電記録体上
に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像した後これ
を定着する。定着は光導電性感光体または静電記録体上に現像によって得られたトナー像
を紙やフィルム上に直接融着させるか、または紙やフィルム上にトナー像を転写した後こ
れを転写シート上に融着させることによって行われる。トナー像の融着は溶剤蒸気との接
触、加圧および加熱によって行われる。加熱方式には電気オーブンまたはフラッシュ方式
による無接触加熱方式と加熱ローラーによる圧着加熱方式があるが、定着工程の高速化が
要請されている最近では主として後者が用いられている。
電子写真現像方式には乾式現像方式と湿式現像方式があり、乾式現像方式で使用される
トナーとしては、1成分系トナーと2成分系トナーがある。2成分系トナーは、まず樹脂
、着色剤、荷電制御剤、およびその他必要な添加剤を溶融混練して十分に分散させた後、
粗粉砕、次いで微粉砕して、所定の粒度範囲に分級して製造される。1成分系トナーは上
記2成分系トナーの各成分の他に磁性鉄粉を添加して同様に製造される。
トナーの製造に用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン
系樹脂等が知られているが、これら樹脂はトナー中の主成分であるため、トナーに要求さ
れる性能の大部分を支配する。そのためトナー用樹脂には、トナー製造時における溶融混
練工程での着色剤の分散性や、粉砕工程での粉砕性に優れること等が要求され、また、ト
ナーの使用時において、定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および電気的性質に
優れる等、多様な性能が要求される。
さらに、カラー画像を得るためには、上述の現像工程において、3〜4色のトナー(フ
ルカラートナー)を紙等に付着させ、ついで定着工程において、これらトナーを溶融混合
させながら発色させ、定着させなければならない。すなわち、フルカラートナー用樹脂に
は、優れた透明性が必要であるとともに、優れた定着性(溶融流動性)が必要である。そ
こでシャープメルトしやすく低分子量で分子量分布の狭い樹脂が求められており、一般に
低分子量でも比較的靭性強度が高いポリエステル樹脂が使われている。しかし、ポリエス
テル樹脂は溶融時の弾性率が低下するためオフセットを発生しやすいと言う問題がある。
オフセット防止対策としては、一般に黒トナーで使用されるスチレン系樹脂においては
、トナー中に低分子量のポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスを
含有させ、トナー自体に離型性を持たせる方法が用いられている。しかし、フルカラート
ナーで使用されるポリエステル樹脂は、スチレン系樹脂と比較して、非極性基を多く持つ
ポリオレフィン系ワックスとの相溶性が悪く、また、熱的に柔らかいためにトルクが十分
かかりにくいということもあって、混練時にオレフィン系ワックスを加えても、微細に分
散させることが困難であった。一般に、トナー材料は混練後5〜15μm程度まで微粉砕
するため、使用されるワックスはトナー中で細かく分散している必要がある。ワックスの
分散が不良な場合、トナー表面に露出するワックスが多くなり、トナーを高温で放置した
際にトナー同士が凝集(ブロッキング)したり、ライフでトナーがキャリアを汚染する現
象、いわゆるスペントトナーが増加したりすると言う問題がある。さらに、このようなワ
ックスの分散不良は、トナーの透明性を悪化させたり、感光体へのフィルミングの原因と
なる。
また、スチレン系樹脂においては、このワックス分散性の問題を解決するために、ポリ
プロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスをスチレン系樹脂の重合時に添
加してワックス分散性を向上させる手法が知られているが、ポリエステル樹脂の場合、こ
れらポリオレフィン系ワックスとの相溶性が悪いため、重合時にポリオレフィン系ワック
スを添加しても、分散性を向上させることが困難であった。
そこで、ポリエステル樹脂においては、ポリエステル樹脂との相溶性がポリオレフィン
よりも比較的良好な脂肪族エステル系化合物を用いた検討がなされてきた(例えば、特許
文献1、2参照)。
特許文献1には、ポリエステル樹脂に、融点が60〜100℃の脂肪族エステルを溶融
混練により配合してなる(外添してなる)トナーが記載されている。このトナーにおいて
は、脂肪族エステル自身をオフセット防止剤として用いるものである。しかしながら、脂
肪族ポリエステルは、確かにポリオレフィンよりも相対的にはポリエステル樹脂との相溶
性がよいものの、まだ相溶性が不十分であるため、溶融混練により配合しただけでは、ポ
リエステル樹脂中に均一に分散しない。その結果、トナーの耐ブロッキング性、透明性、
およびホットオフセット性が低下するという問題があった。
特許文献2には、長鎖直鎖飽和脂肪酸と炭素数が12以上の長鎖直鎖飽和アルコールと
から得られる特定のモノエステルの存在下で重合した(特定のモノエステルを内添した)
ポリエステル樹脂が記載されている。同文献には、この特定のモノエステルの作用につい
ては明記されていないものの、この特定のモノエステルが特定量(2質量部)より少ない
と低温定着性が劣り、特定量(20質量部)より多いと高温オフセットが発生する記載が
あることから、この特定のモノエステルは、軟化温度の調節剤としての機能を有するもの
と考えられる。そこで、同文献においては、前記ポリエステル樹脂にさらにオフセット防
止剤としてポリプロピレンワックスを溶融混練により配合してトナーを得ているため、ポ
リプロピレンワックスの分散不良によりトナーの透明性が悪いという問題があった。また
、およびポリプロピレンワックスの融点が高いためトナーの低温定着性に劣り、定着工程
の高速化(50枚/分以上)が要請されている昨今においては、低温定着性が不十分であ
るという問題があった。
以上述べたように、非オフセット性、低温定着性、耐ブロッキング性、および透明性を
全て同時に満足するポリエステル樹脂系トナーは、これまでなかった。
特開2000−56505号公報 特開平8−272140号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ポリステル樹脂を結着
樹脂として用い、非オフセット性、低温定着性、耐ブロッキング性、および透明性に優れ
たトナーを提供することであり、特に、そのためにワックス分散性の良好なポリエステル
結着樹脂を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のエステルを重合時に添加して得られるポリエス
テル樹脂が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明
は、長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られるエステルを重合時
に添加して得られたトナー用ポリエステル樹脂に関するものであり、また、該樹脂を含有
してなるトナーに関するものである。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂を用いることにより、ワックス分散性の良好なトナ
ーを得ることができ、その結果、非オフセット性、低温定着性、耐ブロッキング性、およ
び透明性に優れたトナーを得ることができる。また、本発明のトナーは、電子写真法、静
電印刷法、静電記録法等における、定着システムに好適に使用することができるものであ
り、特にフルカラー用トナーとして好適に用いることができ、工業上非常に有用である。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコ
ールとから得られるエステルを重合時に添加して得られた樹脂である。
本発明において、長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られるエ
ステルは、低温定着性を発現させる成分であり、同時に、後述の外添するワックスの分散
助剤としての成分である。従って、ポリエステル樹脂が、前記特定のエステルを含有する
場合に、トナーの低温定着性とワックス分散性が良好となる。
また、本発明においては、前記特定のエステルをポリエステル樹脂の重合時に添加する
こと(内添すること)が特に重要である。これは、重合時に添加することにより、前記特
定のエステルの一部はポリエステル樹脂骨格中に取り込まれると同時に、残りの前記特定
のエステルはポリエステル樹脂中に均一に分散し、その結果、外添するワックスの分散性
が良好となるからである。前記特定のエステルをポリエステル樹脂の重合後に、溶融混練
により添加した場合(外添した場合)には、さらに外添するワックスの分散性が不良とな
り、トナーの非オフセット性および透明性が不良となる。
本発明において用いる長鎖脂肪酸は、一般式C2n+1COOH(ただし、nは自
然数を表わす)で表される酸であり、nは特に制限されないが、n=5〜40のものが好
ましく用いられる。nが5以上の場合に、外添するワックスとの相溶性が向上する傾向に
あり、40以下の場合にトナーの保存安定性が良好となる傾向にある。nの下限値は8以
上がより好ましく、10以上が特に好ましい。nの上限値は35以下がより好ましく、3
0以下が特に好ましい。
長鎖脂肪酸の具体例としては、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸
、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、ヘ
プタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、
セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メシリン酸等が挙げられる。中でも、ワック
スとの相溶性が良好となることから、ステアリン酸、セロチン酸、ミリスチン酸が特に好
ましい。
本発明においては、炭素数2〜10の脂肪族アルコールを用いることが特に重要である
。炭素数1の脂肪族アルコール(メタノール)を用いた場合には沸点が低いためエステル
を得ることが困難であり、炭素数11以上の脂肪族アルコールを用いた場合には、エステ
ルを重合時に添加して得られるポリエステル樹脂と、外添するワックスとの相溶性が悪化
し、ワックスの分散性の良好なポリエステル樹脂が得られない。
脂肪族アルコールの炭素数の上限値は、8以下が好ましく、6以下がより好ましく、5
以下が特に好ましい。
脂肪族アルコールとしては、特に制限はなく、1価のアルコール、2価のアルコール(
ジオール)、3価のアルコール(トリオール)、その他4価以上のアルコールでも構わな
いが、中でもジオールおよび/またはトリオールが好ましく、ジオールが特に好ましい。
本発明で用いられる炭素数2〜10の脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、エ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1
,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール、ペン
タエリスリトール等のテトラオールが挙げられる。中でも、外添するワックスとの相溶性
が良好となることから、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−
プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールが好ましく、特にジオールの中でも
、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールがより好ましい。
長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られるエステルは、特に制
限されず、モノエステルでもよく、ジエステルや3価以上の多価エステルでもよい。また
、該エステルは、水酸基残基を有していもよいし、水酸基残基を有していなくてもよいが
、3価以上の多価エステルの場合には、水酸基は1個以下であることが好ましい。
長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られるエステルの含有量は
、特に制限されないが、本発明のトナー用ポリエステル樹脂全量中、0.1〜20質量%
の範囲が好ましい。この含有量が、0.1質量%以上の場合に外添するワックスの分散性
が良好となる傾向にあり、また、20質量%以下の場合にトナーの保存性が良好となる傾
向にある。この含有量の下限値は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が特
に好ましい。また、この含有量の上限値は、15質量%以下がより好ましく、10質量%
以下が特に好ましい。
また、本発明に用いられる長鎖脂肪酸と炭素数2〜10の脂肪族アルコールとから得ら
れるエステルの融点は、特に制限されないが、40〜90℃の範囲であることが好ましい
ここでいう融点とは、示唆熱分析(以下DSCという)による吸収熱量ピーク温度のこ
とであり、島津製作所社製示差走査熱量計DSC−60を用いて、昇温速度5℃/min
におけるチャートの吸熱ピーク温度を測定した。
この吸収熱量ピーク温度が、40℃以上の場合にトナーの保存性が良好となる傾向にあ
り、90℃以下の場合に低温定着性が良好となる傾向にある。この吸収熱量ピーク温度の
下限値は、45℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、この吸収熱量
ピーク温度の上限値は、85℃以下がより好ましく、80℃以下が特に好ましい。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂を重合をする際に用いる単量体成分としては、(イ
)テレフタル酸および/またはイソフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分、(ロ)脂
肪族ジオール成分および/または(ハ)その他のジオール成分、並びにこれらに加えてさ
らに所望により(ニ)3価以上の多価カルボン酸成分および/または3価以上の多価アル
コール成分が挙げられ、こららの単量体成分を単独重合または共重合することによって、
本発明のポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明において(イ)ジカルボン酸成分の主成分として用いられるテレフタル酸および
/またはイソフタル酸は、テレフタル酸もしくはイソフタル酸、またはそれらの低級アル
キルエステルから選ばれるものである。テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アルキル
エステルの例としては、ジメチルテレフタル酸、ジメチルイソフタル酸、ジエチルテレフ
タル酸、ジエチルイソフタル酸、ジブチルテレフタル酸、ジブチルイソフタル酸などが挙
げられるが、コストおよびハンドリングの点でジメチルテレフタル酸やジメチルイソフタ
ル酸が好ましい。この(イ)成分は、樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと略記する)を
上げて、トナーの耐ブロッキング性の向上に寄与する効果がある。このためテレフタル酸
および/またはイソフタル酸は、全酸成分中、60〜100モル%含有するのが好ましい
。この含有量の下限値は70モル%以上がより好ましい。
本発明において、(イ)成分として、上記のテレフタル酸やイソフタル酸と併用するこ
とのできるその他のジカルボン酸成分の例としては、特に制限されないが、例えば、フタ
ル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、
アジピン酸等の酸、これらの酸のモノメチルエステル、モノエチルエステル、ジメチルエ
ステル、ジエチルエステル等のエステル、並びにこれらの酸の酸無水物等が挙げられる。
これらのジカルボン酸成分の含有量は特に制限されないが、トナー組成物の軟化温度を低
下させ、トナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響を与えるため、全酸成分中、4
0モル%以下であることが好ましく、より好ましくは30モル%以下である。
また、本発明において用いられる脂肪族ジオール成分(ロ)としては、エチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール
、水添ビスフェノールAなどが挙げられ、1種または2種以上併用して使用することがで
きる。これらの中でも定着性の点からエチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好
ましい。特にエチレングリコールは反応性を高めることができる。
脂肪族ジオール成分(ロ)の含有量は、特に制限されないが、全酸成分100モル部に
対して100モル部以下であることが好ましい。この含有量の下限値は5モル部以上が好
ましく、上限値は80モル部以下が好ましい。
また、本発明において用いられるその他のジオール成分(ハ)としては、上記の脂肪族
ジオール(ロ)以外のジオール成分であり、具体例としては、ポリオキシエチレン−(2
.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(
2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−
(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル
)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(5.0)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテグ
リコール等が挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を混合して使用される。
上記(ハ)成分の中でも、芳香族ジオールは、樹脂のTgを上げる効果があり、特にポ
リオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよ
び/またはポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル
)プロパンが好ましい。
一方、(ハ)成分の中でも、ポリエーテルグリコールは、樹脂のTgを下げ、定着性を
良くする効果がある。このため芳香族ジオールとポリエーテルグリコールは、樹脂のTg
を調整するためには使用することができる。これらの(ハ)ジオール成分は、高温で熱分
解をおこし易いため、高い反応温度を必要とする芳香族ジカルボン酸との併用する場合に
おいて、好ましい含有量の範囲がある。その含有量は、全酸成分100モル部に対して1
50モル部以下であることが好ましく、120モル部以下であることが特に好ましい。
本発明において用いられる3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価ア
ルコール成分(ニ)は、3価以上の多価カルボン酸および3価以上の多価アルコールから
選ばれるものである。3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボ
ン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、
1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸およびこれらの酸無水物等を挙げることがで
きる。3価以上の多価アルコールの例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサ
テトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、
トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオ
ール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタン
トリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が
挙げられる。これらの中でも、トリメリット酸およびその酸無水物、ペンタエリスリトー
ル、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
上記(ニ)成分は、1種または2種以上を併用して用いることができ、ポリエステル樹
脂に凝集性を付与し、非オフセット性を高める効果があり、全酸成分100モル部に対し
て40モル部以下であることが好ましい。この含有量の下限値は5モル部以上が好ましく
、また上限値は30モル部以下がより好ましい。これは(ニ)成分の含有量が多すぎると
架橋反応を制御することが困難となり、得られるポリエステル樹脂のタフネスを低下させ
る傾向にあるためである。
また、本発明においては、ポリエステル樹脂の特性を損なわない限り、全酸成分100
モル部に対し、10モル部以下の範囲で、上記以外のモノマーを使用してもよい。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、特に制限されないが、45〜
75℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度が、45℃以上の場合にトナーの耐
ブロッキング性が良好となる傾向にあり、75℃以下の場合にトナーの定着性が良好とな
る傾向にある。ガラス転移温度の下限値は50℃以上であることがより好ましく、また上
限値は70℃以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の軟化温度は、特に制限されないが、80〜
180℃の範囲であることが好ましい。軟化温度が、80℃以上の場合にトナーの非オフ
セット性が良好となる傾向にあり、また、180℃以下の場合にトナーの定着性が良好と
なる傾向にある。この軟化温度の下限値は100℃以上であることがより好ましく、また
、上限値は160℃以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の酸価は、特に制限されないが、0.5〜3
0mgKOH/gの範囲であることが好ましい。酸価が、0.5mgKOH/g以上の場
合にトナーの画像安定性が良好となる傾向にあり、また、30mgKOH/g以下の場合
にトナーの耐湿性が良好となる傾向にある。この酸価の下限値は1以上であることがより
好ましく、また、上限値は25mgKOH/g以下であることがより好ましい。
次に、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限されず、公知のポリエステ
ル樹脂の製造方法を用いて製造することができる。例えば、上記(イ)成分および(ロ)
成分、さらに所望によりこれらに加えて(ハ)成分および/または(ニ)成分を反応容器
に投入し、加熱昇温して、エステル化反応またはエステル交換反応を行う。次いで、常法
に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後引き続き重合反応を実施
するが、このとき150mmHg(20kPa)以下の真空下でジオール成分を留出除去
させながら縮重合を行う。
本発明における重合時とは、上記のエステル化反応またはエステル交換反応から縮重合
までの一連の操作時をいい、この重合時に、長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アル
コールとから得られるエステルを添加して、トナー用ポリエステル樹脂を製造する。従っ
て、本発明においては、長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られ
るエステルを、上記(イ)〜(ロ)成分とともに反応容器に投入してもよいし、一旦、(
イ)〜(ロ)成分のエステル化反応またはエステル交換反応を行った後、該エステルを添
加して縮重合を行ってもよい。
また、エステル化反応、エステル交換反応、縮重合時に用いる触媒としては、特に制限
されず、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化ス
ズ、三酸化アンチモン、ニ酸化ゲルマニウム等の公知の触媒を用いることができる。
重合温度、触媒量については特に限定されるものではないが、高温で副生物として発生
する脂肪族ジオール成分を低減させるためには、比較的反応温度が低い領域でも反応する
触媒を選択することが好ましい。例えば、三酸化アンチモン、チタンブトキサイド、そし
てジブチルスズオキサイドが好適に使用される。
また、ゲル化成分を有するポリエステル樹脂を製造する場合には、高真空下でジオール
成分を留出除去させながら、縮重合を進めてゆく課程でゲル化反応が生じ、反応系内の粘
度が急激に上昇するので、この粘度上昇に対応しながら、反応系内の真空度を調整してゲ
ル化反応を制御するのが好ましく、所望の粘度に到達した時に反応系内の圧力を常圧に戻
し、窒素により加圧して反応容器より樹脂を取り出すのが好ましい。
次に、本発明のトナーについて説明する。
本発明のトナーは、上述のトナー用ポリエステル樹脂を含有してなるものである。トナ
ー用ポリエステル樹脂は、結着樹脂として使用されるものである。結着樹脂としては、本
発明のポリエステル樹脂を1種または2種類以上組み合わせて使用することができ、また
さらに本発明のポリエステル樹脂以外の樹脂を併用してもよい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂と併用するその他の樹脂としては、例えば、公知の非
線状ポリエステル樹脂、線状ポリエステル樹脂、環状オレフィン樹脂、スチレン−アクリ
ル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種以上を選択して使用すること
ができ、これらの樹脂と本発明のポリエステル樹脂とを混合して使用することにより、定
着性を向上させることができる傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中5質量%以
上であることが好ましい。これは、5質量%以上用いることで目的の効果を発揮すること
ができるためである。この含有量の下限値は、10質量%以上がより好ましく、20質量
%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、特に制限されない。
本発明のトナーは、前記ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有するものであるが、必
要に応じて、これに離型剤、着色剤、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等を配合すること
によって、トナーを得ることができる。
特に、前記ポリエステル樹脂に対して、離型剤を溶融混練により配合する(外添する)
と、トナーの非オフセット性が向上する傾向にあるため、好ましい。
この場合、離型剤としては特に制限されず、例えば、ポリオレフィン系ワックス、シリ
コン系ワックス、アミド系ワックス、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、高級アルコール、エス
テル系ワックス等が挙げられるが、中でも、エステル系ワックスが好ましい。これは、長
鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られるエステルを重合時に添加
して(内添して)得られたポリエステル樹脂を結着樹脂として用い、これにエステル系ワ
ックスを組み合わせて、離型剤として外添してトナー化すると、外添ワックスのポリエス
テル結着樹脂中への分散性が特に良好となり、トナーの非オフセット性が向上するだけで
なく、耐ブロッキング性、低温定着性、および透明性を同時に発現することができる傾向
にあるからである。
このようなエステル系ワックスとしては、特に制限されないが、例えば、モノステアリ
ン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール 、ジセロチン酸エチレン
グリコール等が挙げられる。中でも、トナーの保存安定性の面から、モノステアリン酸エ
チレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコールが特に好ましい。
離型剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.3〜15質量%の範囲が好
ましい。離型剤の含有量が、0.3質量%以上の場合に離型性が良好となる傾向にあり、
15質量%以下の場合にトナーの保存性並びに定着性が良好となる傾向にある。この含有
量の下限値は0.5質量%以上であることがより好ましく、また、上限値は10質量%以
下であることがより好ましい。
着色剤としては、一般に使用されているカーボンブラック、有彩色の顔料および染料が
使用でき、特に限定はない。カラートナーの場合には、例えば、C.I.ソルベントイエ
ロー21、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー114、C.
I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイ
エロー17、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ソルベントレッド19、C.I
.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド128、C.I.ピグメントレッド
5、C.I.ピグメントレッド13、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメン
トレッド48・2、C.I.ディスパースレッド11、C.I.ソルベントブルー25、
C.I.ソルベントブルー94、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブ
ルー15・3等が挙げられる。
着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、
トナー全量中2〜10質量%の範囲が好ましい。この含有量の下限値は3質量%以上であ
ることがより好ましく、また、上限値は8質量%以下であることがより好ましい。
荷電制御剤としては、特に制限はなく、従来電子写真用に用いられている荷電制御剤を
使用することが出来る。負帯電性の荷電制御剤としては、例えば、オリエント化学社製の
ボントロンS−31、ボントロンS−32、ボントロンS−34、ボントロンS−36等
、保土ヶ谷化学社製のアイゼンスピロンブラックTVH等の含金属アゾ染料;オリエント
化学社製のボントロンE−85等のサリチル酸アルキル誘導体の金属錯体;ヘキスト社製
のCopy Charge NX VP434等の四級アンモニウム塩;銅フタロシアニ
ン染料等が挙げられる。また、正帯電性の荷電制御剤としては、例えば、四国化成社製の
PLZ−2001、PLZ−8001等のイミダゾール誘導体;ヘキスト社製のCopy
Charge BLUE PR等のトリフェニルメタン誘導体;オリエント化学社製の
ボントロンP−51、ヘキスト社製のCopy Charge PXVP435、セチル
トリメチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩;オリエント化学社製のAF
P−B等のポリアミン樹脂等が挙げられる。本発明では、以上の荷電制御剤の1種または
2種以上を使用することが出来る。また、主荷電制御剤と逆極性の荷電制御剤との併用も
可能である。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.5〜5質量%の範囲が
好ましい。荷電制御剤の含有量が、0.5質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレ
ベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑
制される傾向にある。この含有量の下限値は1質量%以上であることがより好ましい。
流動性向上剤としては、特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン
、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウムチタン酸ストロンチウ
ム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ藻土、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アン
チモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カル
シウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
流動性向上剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.5〜5質量%の範囲
が好ましい。流動性向上剤の含有量が、0.5質量%以上の場合にフィルミングが抑制さ
れる傾向にあり、5質量%以下の場合に定着性が良好となる傾向にある。この含有量の下
限値は1質量%以上であることがより好ましく、また、上限値は3質量%以下であること
がより好ましい。
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現
像剤としても使用できる。
本発明のトナーを磁性1成分現像剤として用いる場合には、トナー中に磁性体を含有す
る。磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等をはじめとする、鉄、コバル
ト、ニッケル等を含む強磁性の合金;マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ
等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金等のように、化合物や強磁性元素を含まな
いが適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金;二酸化クロム等が挙げ
られる。
これらの磁性体の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中30〜70質量%の範
囲であることが好ましい。磁性体の含有量が30質量%以上の場合にトナーの帯電量が充
分なレベルとなる傾向にあり、70質量%以下の場合にトナーの定着性が良好となる傾向
にある。この磁性体の含有量の下限値は40質量%以上であることがより好ましく、上限
値は60質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナーを2成分現像剤として用いる場合には、キャリアと併用して用い
られる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それ
らの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用すること
ができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているス
チレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変
性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを使用することができる
。併用するキャリアの量としては、特に制限されないが、90質量%以上の場合にトナー
の帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり好ましい。
さらに本発明のトナーは、シリカ等の無機粉末をトナー表面に付着させて、粉体流動性
を調整してもよい。その使用量は、特に制限されないが、トナー100質量部に対して0
.1〜10質量部であることが好ましい。この使用量が、0.1質量部以上である場合に
粉体流動性が良好となる傾向にあり、10質量部以下の場合に画像が良好となる傾向にあ
る。この使用量の下限値は0.2質量部以上であることがより好ましく、また上限値は5
質量部以下であることがより好ましい。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いて製造することがで
きる。例えば、上述のトナー用ポリエステル樹脂、着色剤、荷電制御剤、流動改質剤、お
よび磁性体等を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い
、必要に応じて無機粒子をトナー表面に付着させて製造することができる。特に、混練工
程においては、押出機のシリンダー内温度がポリエステル系樹脂の軟化温度よりも高い温
度で混練するのが好ましい。また、上記工程において、微粉砕〜分級後にトナー粒子を球
形にするなどの処理を行ってもよい。
以下に実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。また、実施例に示した樹脂およびトナーの評価方法を以下に示す。
エステル評価方法
(1)融点
島津製作所社製示差走差熱量計DSC−60を用いて、昇温速度5℃/minにおける
チャートの吸熱ピーク温度を測定した。
樹脂評価方法
(1)軟化温度T4
島津製作所社製フローテスターCFT−500を用いて、1mmφ×10mmのノズル
、荷重294N、昇温速度3℃/minの等速昇温下で、サンプル1.0g中の4mmが
流出したときの温度を測定した。
(2)ガラス転移温度Tg
示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/minにおけるチャートのベースラインと吸
熱カーブの接線との交点からの測定した。
(3)酸価AV
ベンジルアルコールに、ポリエステル樹脂を溶解させ、1/50N NaOHベンジル
アルコール溶液にて滴定し、KOH換算した。
トナー評価方法
(1)ワックス分散性
トナー中のワックス分散径は透過型電子顕微鏡を用いて測定した。評価基準を以下の通
りとした。
◎(良好 ) :1μm以下
○(使用可能) :1〜5μm
×(劣る) :5μm以上
(2)非オフセット性の評価法
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度100mm/
秒に設定した温度変更可能であるプリンターを用いて印刷を行い、非オフセット性の評価
を行った。また、定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット
発生温度と定め、以下の基準を用いて非オフセット性を判断した。
◎(非常に良好):オフセット発生温度が200℃以上
○(使用可能) :オフセット発生温度が190℃以上200℃未満
×(劣る) :オフセット発生温度が190℃未満
(3)低温定着性
非オフセット性の評価方法と同一条件でトナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に
定着し始めるときの最低温度を定着温度とし、次の基準で判定した。
◎(非常に良好):定着温度が140℃未満
○(使用可能) :定着温度が140℃以上150℃未満
×(劣る) :定着温度が150℃以上
(4)耐ブロッキング性
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを50℃に保温された乾燥機に約2
4時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を
以下の通りとした。
◎(良好) :サンプル瓶を逆さにするだけで分散する
○(使用可能) :サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する
×(劣る) :サンプル瓶を逆さにし、4〜5回以上叩かないと分散しない
(5)透明性
トナーの透過率は上述の定着試験機を用いて、160℃においてOHPに定着を行ない
、その透過率を紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV−2400PC)を用いて69
0nm波長の透過率を測定した。評価基準を以下の通りとした。
◎(非常に良好):70%以上
○(使用可能) :60〜70%
×(劣る) :60%以下
[実施例1〜4]
蒸留塔備え付けの反応容器に、表1に示される仕込み量に従って、モノマー(酸および
アルコール)およびその他の成分を仕込み、さらにジブチルスズオキサイドを全酸成分に
対して500ppmとなるように仕込んだ。次いで、撹拌回転数を24rpm、反応系内
温度265℃の条件でエステル化反応を行った。エステル化反応は、水が留出しなくなっ
た時点で終了させた。
さらに、反応系内の温度を245℃に保ち、反応容器内の真空度を約40分かけて1.
0mmHg以下となるよう減圧し、反応系からジオール成分を留出させ、樹脂が所望の軟
化温度となるまで縮合反応を行った。反応とともに、系内の粘度が徐々に上昇しはじめ、
所望の軟化温度に相当する粘度となった時点で反応系を常圧に戻し、加熱を停止した後、
反応物を窒素により加圧して約2時間かけて取り出し、ポリエステル樹脂A〜Dを得た。
組成分析結果および特性値を表1に示す。
なお、表1中の仕込み組成および樹脂組成の数値は、テレフタル酸、トリメリット酸、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAエチレンオキサ
イド2モル付加物、およびエチレングリコールについては、テレフタル酸とトリメリット
酸の合計量を基準(100モル部)とした場合のモル部を表し、モノステアリン酸エチレ
ングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸、1,2−オクタデカ
ンジオール、およびカルナウバワックスについては、結着樹脂全量中における質量%を表
す。
また、得られたポリエステル樹脂91質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製E
02)を5質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライト社製、カルナバワックス1号)
3質量部、負帯電性の荷電制御剤(オリエント化学社製E−85)1質量部をヘンシェル
ミキサーで30分間混合し、得られた混合物を二軸押出機(池貝製作所社製、PCM29
)で溶融混練した。溶融混練は内温を樹脂の軟化温度に設定して行った。混練後、冷却し
トナーを得、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、粒径を7
μmとした。得られた微粉末100質量部に対して、0.25質量部のシリカ(日本アエ
ロジル社製、R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合しトナー表面へシリカを付
着させ、トナーTA〜TDを得た。得られたトナーの評価結果を表2に示す。
[比較例1〜3]
表1に示される仕込み組成に従って、実施例と同様の方法でポリエステル樹脂E〜Gを
得た。組成分析結果および特性値を表1に示す。また、得られた樹脂を用いて実施例と同
様の方法でトナーTE〜TGを得た。得られたトナーの評価結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例1で得られたポリエステル樹脂E91質量部、キナクリドン顔料5質量部、ジス
テアリン酸エチレングリコール3質量部、負帯電性の荷電制御剤1質量部を用いて、実施
例と同様の方法で溶融混練後、粉砕し、シリカをトナー表面へ付着させ、トナーTE’を
得た。得られたトナーの評価結果を表2に示す。
Figure 2005107182
Figure 2005107182
実施例から明らかなように、本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、トナーの保存性(
耐ブロッキング性)や透明性を損なうことなく、低温定着性および非オフセット性(耐ホ
ットオフセット性)を向上させることが可能である。
一方、比較例では、耐ホットオフセット性、保存性および透明性等が悪く、実用上問題
があるものであった。

Claims (4)

  1. 長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られるエステルを重合時に
    添加して得られたトナー用ポリエステル樹脂。
  2. 長鎖脂肪酸と炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとから得られるエステルの融点が4
    0〜90℃であることを特徴とする請求項1記載のトナー用ポリエステル樹脂。
  3. 請求項1または2記載のトナー用ポリエステル樹脂を含有してなるトナー。
  4. さらに、エステル系ワックスを含有してなる請求項3記載のトナー。

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