JP4699305B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーに関する。
トナーに求められる性能に、定着時の離型性が挙げられる。離型性を上げる為に、ポリエチレン・ポリプロピレン等のワックスの使用が挙げられる(特許文献1参照)。また、エチレンビスステアロアミド等のアルキレンビス脂肪酸アミドに代表されるアミド系ワックスも、離型剤としての効能が期待できる(特許文献2参照)。
特開2006−119208号公報 特開平10−301325号公報
しかし、ポリエチレン・ポリプロピレン等のワックスは、結着樹脂、特に、ポリエステルとの相溶性が悪い為、ドメインを形成してフィルミングが発生する等の欠点を有しており、一方、エチレンビスステアロアミド等のアルキレンビス脂肪酸アミドに代表されるアミド系ワックスは、ポリエステルとの相溶性が高すぎる為、定着時の染み出しが悪いという課題がある。
本発明の課題は、アルキレンビス脂肪酸アミドを含有した場合でも、離型性及び現像性に優れた電子写真用トナーを提供することにある。
本発明は、ポリエステルを含む結着樹脂、粘土鉱物に4級アンモニウム塩をインターカレーションさせることにより得られる粘土有機複合体、及びアルキレンビス脂肪酸アミドを含有してなる電子写真用トナーであって、前記粘土有機複合体の含有量が、トナー中、0.05〜5重量%である電子写真用トナーに関する。
本発明の電子写真用トナーは、アルキレンビス脂肪酸アミドを含有していても、離型性及び現像性に優れた効果を奏する。
本発明の電子写真用トナーは、ポリエステルを含む結着樹脂、粘土鉱物に4級アンモニウム塩をインターカレーションさせることにより得られる粘土有機複合体、及びアルキレンビス脂肪酸アミドを含有しており、前記粘土有機複合体の含有量が、トナー中、0.05〜5重量%である点に特徴を有し、該粘土有機複合体を併用する事により、アルキレンビス脂肪酸アミドに離型剤としての性能を発現する事を見出した。その詳細な理由は不明なるも、該粘土有機複合体によって、ポリエステルの特性が調整され、アルキレンビス脂肪酸アミドとの相溶性が低下した事が原因と考えられ、この特性は特に、紙の巻きつき等が生じやすい結晶性ポリエステルを使用したトナーで有効である。
結着樹脂としては、ポリエステルを含有し、なかでも、結晶性ポリエステルを含有していることが好ましい。ポリエステルの結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち軟化点/吸熱の最高ピーク温度で定義される結晶性指数によって表わされる。一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。例えば、原料モノマーとして、同じような短い分子鎖を持ち、比較的規則的に配列しやすい脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸化合物を組み合わせることにより、ポリエステルの結晶化を促進することができる。また、吸熱の最高ピーク温度は結晶性が高い樹脂ほど高くなる傾向があり、例えば、結晶化を促進するモノマーや非結晶化を促進するモノマーの割合により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピーク温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
本発明における結晶性ポリエステルとは、この結晶性指数が0.6〜1.5のものをいう。結晶性ポリエステルの結晶性指数は、低温定着性の観点からは、0.8〜1.3が好ましく、より好ましくは0.85〜1.10、さらに好ましくは0.90〜1.05である。また、本発明における非晶質ポリエステルとは、結晶性指数が1.5より大きいか、0.6未満、好ましくは1.5より大きい樹脂をいう。
結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルは、いずれも2価以上のアルコールからなるアルコール成分と2価以上のカルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを原料モノマーを縮重合して得られる。
2価以上のアルコールとしては、トナーの保存安定性の観点から、式(I):
Figure 0004699305
(式中、ROはアルキレンオキサイドであり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。かかるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のRが炭素数2のエチレンオキサイド付加物、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のRが炭素数3のプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、少なくともエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の両方を用いることが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
これらのアルコール成分において、ポリエステルの結晶化を促進するアルコール成分としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール等の炭素数2〜6の脂肪族ジオール等が挙げられる。
また、2価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸(例えば、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸)等の脂肪族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、並びにこれらの酸の無水物及び低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
これらのカルボン酸成分において、樹脂の硬度を増大させ、現像性を向上させる観点から、フタル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
また、ポリエステルは、軟化点と粉砕性の観点から、アルコール成分及び/又はカルボン酸成分として3価以上のモノマーを用いて得られた架橋ポリエステルであることが好ましい。3価以上のモノマーの含有量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、2〜20モル%が好ましく、4〜18モル%がより好ましい。3価以上のモノマーとしては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその無水物が好ましい。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、例えば、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒の存在下で縮重合させて得られる。反応温度は、結晶性ポリエステルの製造においては、120〜230℃が好ましく、非晶質ポリエステルの製造においては、150〜280℃が好ましく、200〜250℃がより好ましい。
結晶性ポリエステルの軟化点は、70〜150℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。
非晶質ポリエステルの軟化点は、80〜160℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。また、ガラス転移点は、現像性を向上させる観点から、50〜75℃が好ましく、53〜65℃がより好ましい。
結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルの酸価は、3〜40mgKOH/gが好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
さらに、本発明のトナーには、ポリエステル以外に、他の結着樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂等が挙げられる。ポリエステルの含有量は、特に限定されないが、アルキレンビス脂肪酸アミドの結着樹脂への分散性を向上させる観点から、結着樹脂中、50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、実質的に100重量%がさらに好ましい。
また、結晶性ポリエステルの含有量は、低温定着性を向上させる観点から、ポリエステル中、3〜40重量%が好ましく、5〜25重量%がより好ましい。
粘土有機複合体は、粘土鉱物に4級アンモニウム塩をインターカレーションさせることより得られる。
粘土鉱物としては、カオリン鉱物、雲母型粘土鉱物、スメクタイト型粘土鉱物等が挙げられ、離型性を向上させる観点から、スメクタイト型粘土鉱物が好ましい。
スメクタイト型粘土鉱物としては、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト等の天然のスメクタイト型粘土、化学的に合成した合成スメクタイト型粘土、これらの置換体及び誘導体並びにこれらの混合物等が挙げられる。
スメクタイト型粘土鉱物は、離型性を向上させる観点から、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、珪素(Si)及びアルミニウム(Al)からなる群より選ばれた3種以上の元素を含有することが好ましく、Mg、Li及びSiを含有することがより好ましい。
スメクタイト型粘土鉱物の陽イオン交換容量は、粘土100g当たり70ミリ当量以上が好ましく、85〜130ミリ当量がより好ましい。
本発明に用いる粘土鉱物における非粘土不純物の含有量は、10重量%以下が好ましい。
4級アンモニウム塩が式(A):
[(R1)r(R2)s(R3)N]+・X- (A)
(式中、R1及びR2は同一ではなく、R1は炭素数4〜24の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、R2は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基もしくはアルキニル基であり、R3はフェニル基又は炭素数7〜10のアリールアルキル基であり、r、s及びtはr+s+t=4、r≧1、s≧1、t≧0を満足する整数を示し、X-は陰イオンを示す)
で表される化合物が好ましい。
1で表されるアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基の炭素数は、好ましくは4〜24であり、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは8〜18である。
2で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜2である。また、R2で表されるアルケニル基又はアルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6、さらに好ましくは1〜2であり、1が特に好ましい。
3で表されるアリールアルキル基の炭素数は、好ましくは7〜10であり、より好ましくは7〜8である。
r、s及びtは、r+s+t=4、r≧1、s≧1、t≧0を満足する整数であることが好ましく、r=2、s=2、t=0であることがより好ましい。また、rが2又は3であるとき、R1は同一でも異なっていてもよく、sが2又は3であるとき、R2は同一でも異なっていてもよく、tが2であるとき、R3は同一でも異なっていてもよい。
式中のアンモニウムイオンの具体例としては、トリオクチル・メチル・アンモニウムイオン、トリステアリル・エチル・アンモニウムイオン、トリオクチル・エチル・アンモニウムイオン、トリステアリル・メチル・アンモニウムイオン、トリデシル・ヘキシル・アンモニウムイオン、トリテトラデシル・プロピル・アンモニウムイオン、ジステアリル・ジメチル・アンモニウムイオン、ステアリル・ジメチル・フェニルメチル・アンモニウムイオン等が挙げられる。
-は陰イオンであり、かかる陰イオンとしては、例えば、Cl-、Br-、OH- 、NO3 -等が好ましい。
4級アンモニウム塩のインターカレーションにより、粘土鉱物の層間にある陽イオンと4級アンモニウム塩における陽イオンとの交換が生じる。インターカレーションとは、粘土鉱物の層間領域に化学反応等を利用して分子、イオン等を浸入させ、粘土の表面及び層状にあるアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン等と接触させることにより陽イオン交換反応を起こさせることをいう。インターカレーションに供される4級アンモニウム塩の種類や4級アンモニウム塩の量により、層間化合物の帯電性を調整することができる。
より具体的な方法としては、例えば、水中に粘土鉱物を分散させた粘土鉱物の懸濁液に、4級アンモニウム塩を添加し、反応させる方法が挙げられる。懸濁液中の固体(粘土鉱物)分散濃度は、粘土鉱物が分散可能な濃度の範囲であれば特に限定されないが、1〜5重量%程度が好ましい。この際、あらかじめ凍結乾燥した粘土鉱物を用いてもよい。
4級アンモニウム塩の混合量は、粘土鉱物の陽イオン交換容量と4級アンモニウムイオンが当量になるよう調整することが好ましいが、これより少ない量でもよく、また陽イオン交換容量に対して過剰量添加してもよい。具体的には、粘土鉱物と4級アンモニウム塩の重量比(粘土鉱物/4級アンモニウム塩)が好ましくは90/10〜60/40、より好ましくは80/20〜60/40、さらに好ましくは75/25〜60/40であることが望ましい。
粘土鉱物と4級アンモニウム塩の反応温度は、4級アンモニウム塩の分解点以下が好ましい。
反応後は、固液を分離し、生成した有機粘土複合体を水、又は湯洗浄して副成した電解質を除去した後、乾燥し、必要に応じて粉砕することにより粘土有機複合体が得られる。
粘土有機複合体の生成は、化学分析、X線回折、NMR、赤外線吸収スペクトル、熱天秤、示差熱分析、高極性溶媒系のレオロジー、高極性有機溶媒中の膨潤力、色調等を利用した方法を目的に応じて選択し、適宜それらを組み合わせることにより確認することができる。
例えば、X線回折を利用する方法においては、001底面反射の大きさを測定することにより、容易に粘土有機複合体の生成を確認することができる。原料の粘土鉱物は、脱水状態では10Åであり、通常の温度、湿度下では12〜16Åの底面間隔を有するが、本発明における粘土有機複合体は、底面間隔が18Å程度である。
粘土有機複合体の含有量は、離型性の観点から、トナー中、0.05〜5重量%であり、0.05〜3重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましく、0.3〜1.5重量%がさらに好ましい。
さらに、本発明のトナーには、飽和帯電量向上剤としての粘土有機複合体に加えて、公知の荷電制御剤が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の荷電制御剤としては、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、ニグロシン染料等の正帯電性荷電制御剤、及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸化合物の金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、種類等によっても異なるが、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
本発明のトナーは、離型剤として、ポリエステルとの相溶性が高いアルキレンビス脂肪酸アミドを含有している。
アルキレンビス脂肪酸アミドのアルキレン基の炭素数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。また、アルキレンビス脂肪酸アミドにおける脂肪酸基の炭素数は6〜30が好ましく、8〜24がより好ましい。本発明において好適なアルキレンビス脂肪酸アミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられ、結晶性の高さの観点から、エチレンビスステアリン酸アミドがより好ましい。
アルキレンビス脂肪酸アミドの含有量は、離型性と現像性を両立させる観点から、トナー中、0.1〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好ましい。
粘土有機複合体とアルキレンビス脂肪酸アミドの重量比(粘土有機複合体/アルキレンビス脂肪酸アミド)は、離型性と現像性を両立させる観点から、1/30〜2/1が好ましく、1/15〜1/1がより好ましく、1/6〜1/1がさらに好ましい。
さらに、本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で他の離型剤が適宜含有されていてもよい。他の離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、特に限定されないが、耐フィルミング性の観点から、他の離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して含有されていても良い。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
本発明のトナーは、混練粉砕法、乳化凝集法、スプレイドライ法、重合法等の公知の方法により製造することができる。混練粉砕法により粉砕トナーを製造する一般的な方法としては、例えば、結着樹脂、粘土有機複合体、エチレンビスステアロアミド等のトナー原料をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法等が挙げられる。さらに、製造過程における粗粉砕物や、得られたトナーの表面に、必要に応じて疎水性シリカ等の流動性向上剤等を添加してもよい。本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜8μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明の電子写真用トナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、またはキャリアと混合して二成分現像剤として、一成分現像法及び二成分現像法のいずれにも用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のとき、そのピーク温度を融点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のときは、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃を超えるときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
〔樹脂の結晶性指数〕
上記に従って測定した軟化点及び吸熱の最高ピーク温度から以下の式を用いて、結晶性指数を算出する。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〜2
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及び酸化ジブチル錫40gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で20時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、210℃にて表1に示す無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A及びB(いずれも非晶質ポリエステル)を得た。
樹脂製造例3
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及び酸化ジブチル錫40gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、200℃で10時間かけて反応させた。その後、8.3kPaにて1時間反応させ、さらに、表1に示す無水トリメリット酸を添加し、常圧で1時間反応させて、樹脂a(結晶性ポリエステル)を得た。
Figure 0004699305
粘土有機複合体の製造例1〜4
表2に示す組成のスメクタイト型粘土鉱物を水道水1000mLに分散させ、これに表2に示す4級アンモニウム塩を純水に溶解した300mLを添加し、撹拌しながら室温で2時間反応させた。次いで生成物を固液分離、洗浄して副成塩類を除去した後、乾燥、粉砕し、粘土有機複合体A〜Dを得た。
Figure 0004699305
実施例1〜6及び比較例1〜3(実施例6は参考例である)
樹脂A 50重量部、樹脂B 30重量部、樹脂a 20重量部、パラフィンワックス「HNP-9」(日本精鑞社製)0.5重量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1.0重量部、表3に示す粘土有機複合体、エチレンビスステアリン酸アミド及び着色剤を5L容のヘンシェルミキサーにて3600r/min、5分間攪拌混合を行った。その後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の設定温度は100℃、混練物の出口温度は約140℃であり、混合物の供給速度は10kg/時間、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)5.5μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に対し、外添剤「アエロジル R-972」(日本アエロジル社製)1.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合し、トナーを得た。
試験例1〔離型性〕
複写機「AR−505」(シャープ(株)製)に表3のトナーを実装し、未定着で2cm×12cm、0.6mg/cm2で画像出しを行った。得られた未定着画像について、前記複写機の定着機をオフラインで、90℃から240℃へ10℃ずつ順次定着温度を上昇させながら、500mm/secで用紙に定着させた。オフセット・巻きつきの有無を確認し、以下の評価基準に従って、離型性を評価した。結果を表3に示す。なお、用紙は、250g紙と50g紙を用い、どちらの紙でもオフセットの発生しない温度幅の確認を行った。
〔離型性の評価基準〕
◎:非オフセット域100℃以上、評価範囲において巻きつきの発生なし
○:非オフセット域70℃以上、100℃未満、評価範囲において巻きつきの発生なし
△:非オフセット域70℃未満、評価範囲において巻きつきの発生なし
×:評価範囲において巻きつきが発生する
試験例2〔現像性〕
現像機「ML 7300」(沖データ(株)製)を、から回し運転出来るように改造し、200mm/secで30分間回転させた。その後、現像ローラ表面の層形成状態を目視で確認し、以下の評価基準に従って、現像性を評価した。結果を表3に示す。
〔現像性の評価基準〕
○:スジの発生なし
×:スジが確認される
Figure 0004699305
以上の結果より、実施例1〜6のトナーは、粘土有機複合体に用いる粘土鉱物によって離型性が異なるが、比較例1〜3のトナーに比べて良好な結果を示すことがわかる。また、粘土有機複合体を有しない比較例1〜2のトナーは離型性が不良であり、一方、粘土有機複合体の含有量が8.0重量%である比較例3のトナーは、エチレンビスステアリン酸アミドの分散不良により、スジが発生し現像性は不良であった。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (2)

  1. ポリエステルを含む結着樹脂、粘土鉱物に4級アンモニウム塩をインターカレーションさせることにより得られる粘土有機複合体、及びアルキレンビス脂肪酸アミドを含有してなる電子写真用トナーであって、前記4級アンモニウム塩が式:
    [(R 1 ) r (R 2 ) s N] + ・X -
    (式中、R 1 及びR 2 は同一ではなく、R 1 は炭素数8〜18の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、R 2 は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基もしくはアルキニル基であり、r=2、s=2であり、X - は陰イオンを示す)
    で表され、前記粘土有機複合体の含有量が、トナー中、0.05〜5重量%であり、前記アルキレンビス脂肪酸アミドの含有量が、トナー中、0.1〜5重量%であり、粘土有機複合体とアルキレンビス脂肪酸アミドの重量比(粘土有機複合体/アルキレンビス脂肪酸アミド)が、1/30〜2/1である電子写真用トナー。
  2. ポリエステルが結晶性ポリエステルを含有する請求項1記載の電子写真用トナー。
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